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Title:
METHOD OF PRODUCING DISTILLED SPIRIT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084485
Kind Code:
A1
Abstract:
This object aims to provide a method of enriching the flavor of a distilled spirit whereby an excellent flavor can be imparted to a distilled spirit without developing any off flavor by using a specific lactic acid bacterium. Provided is the method of enriching the flavor of a distilled spirit whereby a distilled spirit having an excellent flavor can be produced by adding a lactic acid bacterium belonging to the group of Lactobacillus casei to the starting materials of the distilled spirit.

Inventors:
YOMO HIDEKO (JP)
NOGUCHI YUSHI (JP)
YONEZAWA TAKESHI (JP)
HOSHIKO HIROYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073219
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SUNTORY HOLDINGS LTD (JP)
YOMO HIDEKO (JP)
NOGUCHI YUSHI (JP)
YONEZAWA TAKESHI (JP)
HOSHIKO HIROYUKI (JP)
International Classes:
C12H6/02
Foreign References:
JP2003169659A2003-06-17
JP2000060531A2000-02-29
JPH01257460A1989-10-13
Other References:
TANABE K. ET AL.: "Kansho Shochu Jozo ni Okeru Shubo, Moromi Chu no Nyusankin ni Tsuite", KADAI NOGAKUJUTSU HOKOKU, 1982, pages 69 - 77
Attorney, Agent or Firm:
ONO, Shinjiro et al. (Section 206New Ohtemachi Bldg.,2-1, Ohtemachi 2-chome,Chiyoda-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 蒸留酒原料にラクトバチルス・カゼイグループに属する乳酸菌を添加することを特徴とする蒸留酒の製造方法。
 前記乳酸菌を、蒸留酒原料に酵母を仕込むと同時又は仕込み前後に添加する請求項1に記載の方法。
 前記蒸留酒原料が焼酎原料である請求項1又は2に記載の方法。
 請求項1又は2に記載の方法で製造された蒸留酒。
 請求項3に記載の方法で製造された焼酎。
 蒸留酒原料にラクトバチルス・カゼイグループに属する乳酸菌を添加することを特徴とする蒸留酒の香味増強方法。
 焼酎原料にラクトバチルス・カゼイグループに属する乳酸菌を添加することを特徴とする焼酎の香味増強方法。
Description:
蒸留酒の製造方法

 本発明は蒸留酒の製造方法及びその方法 製造される蒸留酒に関する。

 乳酸菌は、伝統的発酵食品に多く含まれ おり、各国の食文化において古くからその 能が生かされ利用されてきた。酒造りの中 は、国内では清酒の生もとづくりにおいて の効果がよく知られている。また海外では バーボンウイスキーでは麦汁原料製造の際 、乳酸菌によって酸性化させるサワーマッ ュという方法が知られており、ワインでは ルコール生成終了後の後発酵期間中の乳酸 によるマロラクティック発酵が、酸味低減 風味増強に寄与していることが知られてい 。また、ベルギーでは野生酵母や乳酸菌に る発酵で酸味のある複雑な味のビール作り 行われている。

 一方、焼酎製造では、乳酸菌がアルコー の収率を低下させる、腐造の原因菌である とが広く知られている。例えば、非特許文 1には、ラクトバチルス・ペントサス及びラ クトバチルス・プランタルムに属する乳酸菌 が焼酎モロミにおいて生育可能な特性を持ち 、しかも腐造原因乳酸菌になり得ることが記 載されている。このため、焼酎製造において は、製造工程において乳酸菌を添加すること は、これまで十分には検討されていなかった 。

 焼酎香味増強のために、乳酸菌を活用する 法について、特許文献1(特開2000-60531号公報) は言及している。しかしながら、上記特許文 献1の実施例で使用されている乳酸菌は、ラ トバチルス・プランタルム( Lactobacillus   plantarum )ATCC21028株(実施例1、2)及びラクトバチルス・ ランタルムIFO12011株(実施例3)の2株に過ぎな 。そして、これら2株の乳酸菌を使用した効 果は官能試験によってのみ評価されているも ので、香味成分の分析値などの定量的評価は 一切示されていない。

 一方、蒸留酒であるブランデーにおける香 を評価するために、香味成分であるジエチ サクシネートを定量することが報告されて る(非特許文献2)。蒸留前の発酵モロミで、 ロラクティック発酵が起きた場合に、ジエ ルサクシネートが検出されるようになるこ が記載されている。しかしながら、検出さ るジエチルサクシネートの量は微量のため 品質にどのような影響を与えるのかについ は報告されていない。

特開2000-60531号公報 百瀬等、J. Brew. Soc. Japan., 92(6), 452-457( 1997) Journal of Applied Microbiology, 2002, 92, 1005- 1013

 蒸留酒、特に焼酎及びウイスキーの香味 定量的に評価する方法を提供し、かつ蒸留 製造における腐造原因菌とならずに優れた 味増強効果を示す特定の乳酸菌を選択して 味の増強された蒸溜酒を提供することを課 とする。

 本発明者は、ジエチルサクシネートは、 い香りをもった物質であり、それ自体でも 味に影響があること、及び蒸留酒の味や香 は各成分の量だけでなくバランスによって 体の酒質も大きく変わると考えた。このよ な考えに基づき、本発明者は、ジエチルサ シネート成分の増加によって単純に香りが 加するだけでなく、他の香味成分の生成等 より蒸留酒の香味が全体的に増強されるこ を見出した。

 このように蒸溜酒の香味成分であるジエチ サクシネートを定量することにより、蒸留 の香味増強を定量的に評価できることを見 し、この定量的評価を使用することにより くの乳酸菌の内からラクトバチルス・カゼ グループ( Lactobacillus   casei Lactobacillus   paracasei Lactobacillus   rhamnosus )が、蒸留酒、特に焼酎に優れた香味を与え ことを確認し、本発明を完成した。

 また、この確認試験において、上記特許 献1の実施例で使用され、官能試験で香味増 強効果が高いと評価されたラクトバチルス・ プランタルムは、本発明のラクトバチルス・ カゼイグループに比較して、蒸留酒の香味増 強効果が明らかに低いことも確認された。

 本発明は、下記の通りの内容である。
1.蒸留酒原料にラクトバチルス・カゼイグル プに属する乳酸菌を添加することを特徴と る蒸留酒の製造方法。
2.前記乳酸菌を、蒸留酒原料に酵母を仕込む 同時又は仕込み前後に添加する上記1に記載 の方法。
3.前記蒸留酒原料が焼酎原料である上記1又は 2に記載の方法。
4.上記1又は2に記載の方法で製造された蒸留 。
5.上記3に記載の方法で製造された焼酎。
6.蒸留酒原料にラクトバチルス・カゼイグル プに属する乳酸菌を添加することを特徴と る蒸留酒の香味増強方法。
7.焼酎原料にラクトバチルス・カゼイグルー に属する乳酸菌を添加することを特徴とす 焼酎の香味増強方法。

 本発明は、ラクトバチルス・カゼイグル プに属する乳酸菌を、蒸留工程より前に蒸 酒原料に添加して乳酸醗酵を行うことによ 、モロミの腐造を起すことなく、優れた香 を有する蒸留酒を得ることに成功した。本 明における蒸留酒とは、焼酎、ウイスキー ウオッカ、ジン、ブランデー、ラム等を含 ものである。本発明の方法は焼酎及びウイ キーを製造するのに特に有効であるが、こ らに限定されるものではなく、前記の蒸留 に広く応用できる。

(乳酸菌)
 本発明に使用できる乳酸菌は、ラクトバチ ス・カゼイグループに属する乳酸菌である 本発明における、ラクトバチルス・カゼイ( Lactobacillus   casei )グループとは、ラクトバチルス・カゼイ及 その極めて近縁のラクトバチルス・パラカ イ( Lactobacillus   paracasei )及びラクトバチルス・ラムノサス( Lactobacillus   rhamnosus )の乳酸菌を総称する。本発明に用いられる 酸菌は、蒸留酒原料、例えば、焼酎原料中 特にモロミ中において増殖が可能である、 えば、pH3.5以下の酸性条件に耐性を有し、か つ、一定以上のエタノール濃度、例えば、15 量%以上のエタノールに感受性を示す乳酸菌 が好ましい。このような特性により、本発明 の乳酸菌はモロミ中においても所望の菌数が 確保できるため、焼酎に所望の香味を付与す ることができる。また、乳酸菌は、一定以上 の濃度のエタノールにより増殖が抑制される ので、焼酎原料中、特にモロミ中において乳 酸菌の過剰増殖を防ぐことができ、かつ焼酎 オフフレーバーの生成等を抑制することがで きる。焼酎オフフレーバー物質とは、焼酎に 異臭、変質臭、悪変臭等を付与する物質をい い、例えばダイアセチル、アセトアルデヒド 、酢酸等があげられる。
(蒸留酒原料)
 本発明において、蒸留酒原料とは炭素源、 素源を糖化して得られる糖質、糖質をアル ール発酵して得られるモロミ等、蒸留工程 前の工程にある蒸留酒の原材料を総称して う。焼酎を例にとれば、炭素源及び糖質と ては、いかなる糖質および澱粉質を用いて よいが、好ましくは米、麦、あわ、トウモ コシ、こうりゃん、ひえ、きび等の穀類、 モ類、そば等の澱粉質、またはこれらを粉 、蒸煮したものを用いる。原料中の炭素源 なわち澱粉質を糖化する方法としては、麹 や酵素剤の添加が用いられるが、好ましく 麹菌を用いた麹が用いられる。

 麹菌としては、アスペルギルス( Aspergillus )属、リゾップス( Rhizopus )属等に属する麹菌等が用いられる。糖化酵 としては、麹菌が生産する酵素、またはα- ミラーゼ、グルコアミラーゼ等の酵素剤等 用いられる。本発明においては、炭素源を 菌、糖化酵素等により糖質に変換できれば いずれの慣用的条件で糖化を行ってもよい 例えば麹菌を添加して糖化させる場合、通 は麹菌を種付けした後、30~45℃で35~60時間の 麹を行う。

 一方、ウイスキー原料としては、モルトウ スキー及びグレーンウイスキー等に用いら る大麦麦芽及びとうもろこし等を用いるこ ができる。
(乳酸菌の添加時期及び蒸留酒の製造)
 本発明における乳酸菌の添加時期は、蒸留 程以前であり、かつ好ましくは焼酎原料中 エタノール濃度が、一定濃度より低い時期 例えば、15重量%より低い時期であれば、い れの時期において乳酸菌を蒸留酒原料に添 してもよいが、蒸留酒原料に酵母を仕込む 同時に又はその前後に添加することが好ま い。

 焼酎製造の場合を例にとれば、炭素源ま は糖質に酵素剤または麹を添加したものに 水と酵母を仕込み、アルコール発酵させて ロミを調製する。焼酎のアルコール発酵と ては、炭素源を糖化して得られる糖質、例 ば麹に酵母を仕込み、発酵の経過とともに りの炭素源を追加する、一次仕込み、二次 込みと呼ばれる段仕込みが一般に行われる 段仕込みは炭素源の糖化とアルコール発酵 が同時に進行する並行複式発酵によるもの ある。酵母としては、例えば協会焼酎酵母 協会清酒酵母、泡盛酵母等、焼酎製造に用 られる酵母であれば、いずれも用いられる

 アルコール発酵は、通常は酵母を仕込ん 後、20~35℃で7~22日間行う。アルコール発酵 了後、得られたモロミを直接または圧搾濾 、遠心分離によって発酵残渣、酵母菌体等 分離し、得られた液を蒸留する等、通常の 留工程を用いることにより、エタノールの 縮された原酒の形態にする。原酒をそのま 、または混合、希釈、アルコール添加等の 整を行い、さらに必要に応じて濾過、熟成 を行い、焼酎の形態にする。

 本発明は主として焼酎又はウイスキーを にとって説明してきたが、これら以外の蒸 酒についても本発明が応用できることを理 されたい。

 以下、本発明を実施例及び比較例をあげて 体的に説明するが、本発明はこの実施例に 定されるものではない。
[実施例 焼酎の香味増強]
 一次発酵原料(750g乾燥麹、1.25L仕込み水)に 酎用乾燥酵母(協会3号)を接種し、25℃で6日 発酵させ、一次モロミを得た。

 他方、10mlのMRS液体培地で下記の表1に示す 種乳酸菌を前培養した。なお、これらの菌 JCM(Japan Collection of Microorganisms:独立行政法 理化学研究所バイオリソースセンター)から 手可能である。OD 660 =5の培養液6mlを遠心分離(3,000rpm、10分)し、上 み液を捨て、乳酸菌を含む沈殿を得た。

 得られた乳酸菌を含む沈殿をそれぞれ、 次モロミ600mlに添加した。次いで、二次原 として、800gの蒸し麦と1Lの仕込み水を添加( け麦)し、25℃で10日間発酵させて、二次モ ミを得た。なお、乳酸菌を含む沈殿を添加 ずに製造した二次モロミを比較とした。

 各二次モロミの減圧蒸留を実施して、溜 を採取し、ガスクロマトグラフィー(GC)を用 いて香気成分を分析した。内部標準(パルミ ン酸メチル溶液)を添加した20mlの溜液を0.2ml で濃縮し、微量試料用バイアルへ移してGC 析を行った。装置は「Agilent6890N GC System」 解析ソフトはChemstationを用いた。使用カラム はDB-WAX(60m×内径0.32mm、膜厚0.25μm)、カラム昇 条件は、42℃で8分間保持、10℃/分で230℃ま 昇温、230℃で50分間保持、であった。検出 としてFIDを用いた。乳酸菌を添加して製造 た溜液でジエチルサクシネート含有量が増 していた。結果を表1に示す。

 また、焼酎専門のパネラー5名によって官 能評価を行った。官能グラスに減圧蒸留液を アルコール度数約25%となるように割り水した もの20mlを注ぎ、ガラスの蓋をした。官能時 蓋をずらし、甘い香り、クリーミーな香り 程度について評価し、引き続いて口に含ん トロ味を評価した。乳酸菌を添加しないも を基準とし、それより大きい数字が強い、 さい数字が弱いことを示す5段階評価で実施 た。5名の評価点の平均値であらわした。そ の結果を表2に示す。官能評価においても、 酸菌を添加して製造した場合に、特徴的な い香り、クリーミーな香り、とろ味が増加 て良好な焼酎が得られたことが示された。

[比較例  L. plantarum 添加焼酎]
 10mlのMRS液体培地で L. plantarum  JCM1149株を前培養した。OD 660 =5の培養液6mlを遠心分離(3,000rpm、10分)し、上 み液を捨て、乳酸菌を含む沈殿を得た。

 得られた乳酸菌を含む沈殿を一次発酵原 (750g乾燥麹、1.25L仕込み水)に焼酎用乾燥酵 (協会3号)と同時に接種した。25℃で6日間発 させ、一次モロミを得た。次に、一次モロ 600mlに対して、二次原料として、600gの麦麹 用いた場合(全麹)と800gの蒸し麦と1Lの仕込み 水を添加(掛け麦)した場合の2通りの仕込み方 法を用い、25℃で10日間発酵させて、二次モ ミを得た。

 実施例と同様に減圧蒸留を実施して、溜 を採取し、ガスクロマトグラフィー(GC)を用 いて香気成分を分析した。その結果を表3に す。

 表3に示す通り L. plantarum を植菌した場合には、実施例の結果と異なり 、ジエチルサクシネート含有量は増加しなか った。

 また、実施例と同様に焼酎専門のパネラー5 名によって官能評価を行った。その結果を表 4に示す。表4に示す通り、 L. plantarum を植菌した場合には、甘い香り、クリーミー な香り、トロ味は無添加の場合と比較して、 増加していなかった。