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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING EVOH RESIN COMPOSITION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/084607
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a resin mixture of a saponified ethylene-vinyl ester copolymer (A) having an ethylene content of 20-60% and a modified saponified ethylene-vinyl ester copolymer (B) having a structural unit (1) shown below and an ethylene content of 20-60%. Specifically disclosed is a method for producing a saponified ethylene-vinyl ester copolymer resin mixture, which is characterized in that a mixture of an ethylene-vinyl ester copolymer (A'), which is obtained by copolymerizing ethylene and a vinyl ester, and a modified ethylene-vinyl ester copolymer (B'), which is obtained by copolymerizing ethylene, a vinyl ester and at least one of monomers (2)-(4) (e.g. 3,4-diacetoxy-1-butene), is saponified in the same system. The method for producing a saponified ethylene-vinyl ester copolymer resin mixture is also characterized in that the ethylene content of the ethylene-vinyl ester copolymer (A') is higher than the ethylene content of the modified ethylene-vinyl ester copolymer (B').

Inventors:
BENIYA YASUFUMI
FUJIMURA KEISUKE
HARAO AKIO
Application Number:
PCT/JP2008/073658
Publication Date:
July 09, 2009
Filing Date:
December 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON SYNTHETIC CHEM IND (JP)
BENIYA YASUFUMI
FUJIMURA KEISUKE
HARAO AKIO
International Classes:
C08L29/04; C08F8/12
Foreign References:
JP2006124668A2006-05-18
JPS614752A1986-01-10
JPS5686949A1981-07-15
JP2006124668A2006-05-18
US20070178268A12007-08-02
JP2004359965A2004-12-24
Other References:
See also references of EP 2228404A4
Attorney, Agent or Firm:
NAITO, Teruo (7-13 Nishi-Shimbashi 1-chome, Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 エチレン-ビニルエステル共重合体(A’)及び、一般式(2)に示される化合物に由来する構造単位を含有する変性エチレン-ビニルエステル共重合体(B’)を同一系内で加溶媒分解して、エチレン-ビニルエステル共重合体の加溶媒分解物(A)及び一般式(1)で示される構造単位を有する変性エチレン-ビニルエステル共重合体の加溶媒分解物(B)を含有するエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物を製造する工程を含み、
 該加溶媒分解する工程における、エチレン-ビニルエステル共重合体(A’)及び変性エチレン-ビニルエステル共重合体(B’)のエチレン含有量の比(B’)/(A’)が0.3以上1未満である、エチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
[一般式(1)において、R 1 、R 2 、及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表す。]
[一般式(2)において、R 1 、R 2 、及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、R 7 及びR 8 はそれぞれ独立して水素原子、炭化水素基またはR 9 -CO-(式中、R 9 はアルキル基である)を表し、R 7 とR 8 は結合して5員環を形成してもよく、該5員環は環状カーボネート構造または環状アセタール構造である。]
 エチレン-ビニルエステル共重合体(A’)、および変性エチレン-ビニルエステル共重合体(B’)の配合割合(A’)/(B’)が、重量比で99/1~1/99である請求項1記載のエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
 変性エチレン-ビニルエステル共重合体(B’)が、一般式(2)に示される化合物に由来する構造単位を0.1~30モル%含有する請求項1または2記載のエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
 エチレン-ビニルエステル共重合体(A’)、および変性エチレン-ビニルエステル共重合体(B’)のエチレン含有量の差(A’)-(B’)が、0.1~40モル%である請求項1~3いずれか1項に記載のエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
 エチレン-ビニルエステル共重合体(A’)及び変性エチレン-ビニルエステル共重合体(B’)のエチレン含有量が20~60モル%である請求項1~4のいずれか1項に記載のエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
 エチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の融解ピーク差が、0~20℃である請求項1~5のいずれか1項に記載のエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
 エチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の平均加溶媒分解度が、90~100モル%である請求項1~6のいずれか1項に記載のエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
 エチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物のMFRが、210℃、2160g荷重にて計測した値で、1~120g/10分である請求項1~7のいずれか1項に記載のエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
 一般式(1)に示される構造単位および一般式(2)に示される化合物において、R 1 ~R 3 がそれぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基または水素原子を表し、R 4 ~R 6 がそれぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基または水素原子を表す請求項1~8いずれか1項に記載のエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
 一般式(1)に示される構造単位および一般式(2)に示される化合物において、Xが単結合または炭素数1~6の炭化水素鎖である請求項1~9いずれか1項に記載のエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
 一般式(2)に示される化合物が、下記一般式(2a)で表わされる化合物である請求項1~8いずれか1項に記載のエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
[一般式(2a)において、R 1 、R 2 、及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を表し、R 7 及びR 8 はそれぞれ独立して水素原子またはR 9 -CO-(式中、R 9 はアルキル基である)を表す。]
 一般式(1)に示される構造単位が、下記一般式(1a)で表わされる構造単位であり、一般式(2)に示される化合物が、3,4-ジアセトキシ-1-ブテンである請求項1~11いずれか1項に記載のエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
 加溶媒分解が、塩基性条件下で行われる請求項1~12のいずれか1項に記載のエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
 加溶媒分解が、アルコール又は水/アルコール混合溶媒中で行われる請求項1~13のいずれか1項に記載のエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
 
Description:
EVOH樹脂組成物の製造方法

 本発明はエチレン-ビニルエステル共重合 体の加溶媒分解物(以下EVOH樹脂と称す)及び変 性EVOH樹脂を含むEVOH樹脂組成物の製造方法に するものであり、詳しくはEVOH樹脂(A)および 後述する一般式(1)で表される構造単位を有す る変性EVOH樹脂(B)を含有するEVOH樹脂組成物を 造する方法に関するものである。

 従来、EVOH樹脂のガスバリア性や成形性を 向上させるため、例えば、エチレン含有量や ケン化度等の異なる2種以上のEVOH樹脂を混合 たEVOH樹脂組成物を成形物に用いる技術が検 討されている。

 上記のような異なるEVOH樹脂を混合したEVOH 脂組成物は、主として溶融成形に用いられ ため、熱によって均一に溶融し、かつ成形 に均一に固化することが好ましい。しかし がら、異なるEVOH樹脂を混合する技術では、 チレン含量やケン化度、変性基の種類や変 量などが互いに異なるEVOH樹脂を混合するが 、当然ながら各々EVOH樹脂の有する融点が異 るため、得られたEVOH樹脂組成物には融解ピ クが複数存在する。
 ゆえに、得られたEVOH樹脂組成物を溶融混合 および/または溶融成形する場合には、融解 が均一でないために組成成分の相溶性が不 分となり、また固化するスピードが異なる めに相分離を起こす傾向があり、該EVOH樹脂 成物から得られた成形物には厚みムラやす が発生するという問題があった。

 これに対し、下記一般式(1)で示される構 単位を有する変性EVOH樹脂と、通常のEVOH樹 を混合したEVOH樹脂組成物を製造し、かかる 脂組成物層とポリオレフィン樹脂層とを積 することにより、高速製膜を行った場合で ネックインが小さく、延伸性に優れ、延伸 のガスバリア性が安定した積層体を得る技 が提案されている(例えば、特許文献1参照 )。

[一般式(1)において、R 1 、R 2 、及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 示す。]

 しかしながら、このような変性基を有する 性EVOH樹脂と、通常のEVOH樹脂を有するEVOH樹 組成物を製造するにあたり、あらかじめ各 のEVOH樹脂の融解ピーク差を小さくするよう にエチレン含有量やケン化度や変性度を調節 した変性EVOH樹脂と通常のEVOH樹脂をそれぞれ に製造した後、混合する場合は、一つ一つ 樹脂を個別に製造しなければならないため 生産性を損なう傾向がある。
 また、各々の加溶媒分解前の樹脂同士を混 し、同時に加溶媒分解する場合には互いに 解ピークが近づき、かつ生産性が良好にな ものの、融解ピーク差は未だ大きく、不十 であった。

特開2006-124668号公報(対応米国特許US2007-01 78268号公報)

 そこで本発明は、上記一般式(1)で示され 構造単位を含有する変性EVOH樹脂と、異なる EVOH樹脂とを含むEVOH樹脂組成物において、簡 な工程にて、融解ピーク差が特に小さくな 、生産性、成形性に優れたEVOH樹脂組成物を 提供することを目的とする。

 本発明は上記事情に鑑み、鋭意検討した結 、前記エチレン-ビニルエステル共重合体( 下、EVA樹脂と称する)(A’)のエチレン含有量 、変性EVA樹脂(B’)のエチレン含有量よりも くした場合、EVOH樹脂組成物の融解ピーク差 が小さくなることを見出し、本発明を完成し た。
 すなわち、本発明の要旨は以下の通りであ 。
[1] エチレン-ビニルエステル共重合体(A’)及 び、一般式(2)に示される化合物に由来する構 造単位を含有する変性エチレン-ビニルエス ル共重合体(B’)を同一系内で加溶媒分解し 、エチレン-ビニルエステル共重合体の加溶 分解物(A)及び一般式(1)で示される構造単位 有する変性エチレン-ビニルエステル共重合 体の加溶媒分解物(B)を含有するエチレン-ビ ルエステル共重合体加溶媒分解物組成物を 造する工程を含み、
 該加溶媒分解する工程における、エチレン- ビニルエステル共重合体(A’)及び変性エチレ ン-ビニルエステル共重合体(B’)のエチレン 有量の比(B’)/(A’)が0.3以上1未満である、エ チレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解 組成物の製造方法。

[一般式(1)において、R 1 、R 2 、及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 表す。]

[一般式(2)において、R 1 、R 2 、及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 表し、R 7 及びR 8 はそれぞれ独立して水素原子、炭化水素基ま たはR 9 -CO-(式中、R 9 はアルキル基である)を表し、R 7 とR 8 は結合して5員環を形成してもよく、該5員環 環状カーボネート構造または環状アセター 構造である。]
[2] エチレン-ビニルエステル共重合体(A’)、 および変性エチレン-ビニルエステル共重合 (B’)の配合割合(A’)/(B’)が、重量比で99/1~1/ 99である[1]記載のエチレン-ビニルエステル共 重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
[3] 変性エチレン-ビニルエステル共重合体(B )が、一般式(2)に示される化合物に由来する 構造単位を0.1~30モル%含有する[1]または[2]記 のエチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒 解物組成物の製造方法。
[4] エチレン-ビニルエステル共重合体(A’)、 および変性エチレン-ビニルエステル共重合 (B’)のエチレン含有量の差(A’)-(B’)が、0.1~ 40モル%である[1]~[3]いずれか1つに記載のエチ ン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組 成物の製造方法。
[5] エチレン-ビニルエステル共重合体(A’)及 び変性エチレン-ビニルエステル共重合体(B’ )のエチレン含有量が20~60モル%である[1]~[4]の ずれか1つに記載のエチレン-ビニルエステ 共重合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
[6] エチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒 分解物組成物の融解ピーク差が、0~20℃であ [1]~[5]のいずれか1つに記載のエチレン-ビニ エステル共重合体加溶媒分解物組成物の製 方法。
[7] エチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒 分解物組成物の平均加溶媒分解度が、90~100モ ル%である[1]~[6]のいずれか1つに記載のエチレ ン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組 物の製造方法。
[8] エチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒 分解物組成物のMFRが、210℃、2160g荷重にて計 した値で、1~120g/10分である[1]~[7]のいずれか 1つに記載のエチレン-ビニルエステル共重合 加溶媒分解物組成物の製造方法。
[9] 一般式(1)に示される構造単位および一般 (2)に示される化合物において、R 1 ~R 3 がそれぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基ま たは水素原子を表し、R 4 ~R 6 がそれぞれ独立して炭素数1~4のアルキル基ま たは水素原子を表す[1]~[8]いずれか1つに記載 エチレン-ビニルエステル共重合体加溶媒分 解物組成物の製造方法。
[10] 一般式(1)に示される構造単位および一般 式(2)に示される化合物において、Xが単結合 たは炭素数1~6の炭化水素鎖である[1]~[9]いず か1つに記載のエチレン-ビニルエステル共 合体加溶媒分解物組成物の製造方法。
[11] 一般式(2)に示される化合物が、下記一般 式(2a)で表わされる化合物である[1]~[8]いずれ 1つに記載のエチレン-ビニルエステル共重 体加溶媒分解物組成物の製造方法。

[一般式(2a)において、R 1 、R 2 、及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 表し、R 7 及びR 8 はそれぞれ独立して水素原子またはR 9 -CO-(式中、R 9 はアルキル基である)を表す。]
[12] 一般式(1)に示される構造単位が、下記一 般式(1a)で表わされる構造単位であり、一般 (2)に示される化合物が、3,4-ジアセトキシ-1- テンである[1]~[11]いずれか1つに記載のエチ ン-ビニルエステル共重合体加溶媒分解物組 成物の製造方法。

[13] 加溶媒分解が、塩基性条件下で行われる [1]~[12]のいずれか1つに記載のエチレン-ビニ エステル共重合体加溶媒分解物組成物の製 方法。
[14] 加溶媒分解が、アルコール又は水/アル ール混合溶媒中で行われる[1]~[13]のいずれか 1つに記載のエチレン-ビニルエステル共重合 加溶媒分解物組成物の製造方法。

 本発明においては、EVA樹脂(A’)、および 般式(2)に示される化合物に由来する構造単 を含有する変性EVA樹脂(B’)を同一系内で加 媒分解し、かつ前記EVA樹脂(A’)のエチレン 有量と、前記変性EVA樹脂(B’)のエチレン含 量の比(B’)/(A’)が0.3以上1未満として製造 れるEVOH樹脂組成物の融解ピーク差が小さく り、生産性および成形性が向上するという 想外の効果が得られた。

図1は実施例1におけるEVOH樹脂組成物の 解ピークを示す。 図2は実施例2におけるEVOH樹脂組成物の 解ピークを示す。 図3は実施例3におけるEVOH樹脂組成物の 解ピークを示す。 図4は実施例4におけるEVOH樹脂組成物の 解ピークを示す。 図5は比較例2におけるEVOH樹脂組成物の 解ピークを示す。

 以下、本発明について詳細に説明するが 以下に記載する説明は、本発明の実施態様 一例(代表例)であり、これらの内容に限定 れるものではない。

 本発明は、EVA樹脂(A’)及び、一般式(2)に される化合物に由来する構造単位を含有す 変性EVA樹脂(B’)を同一系内で加溶媒分解す 工程、及び、EVOH樹脂(A)及び一般式(1)で示さ れる構造単位を有する変性EVOH樹脂(B)を含有 るEVOH樹脂組成物を製造する工程を含み、該 溶媒分解する工程におけるEVA樹脂(A’)及び 性EVA樹脂(B’)のエチレン含有量の比(B’)/(A )が0.3以上1未満である、EVOH樹脂組成物の製 方法に関する。

[一般式(1)において、R 1 、R 2 、及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 表す。]

[一般式(2)において、R 1 、R 2 、及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 表し、R 7 及びR 8 はそれぞれ独立して水素原子、炭化水素基ま たはR 9 -CO-(式中、R 9 はアルキル基である)を表し、R 7 とR 8 は結合して5員環を形成してもよく、該5員環 環状カーボネート構造または環状アセター 構造である。]
 なお、下記一般式(3)は、一般式(2)において R 7 及びR 8 が結合して5員環を形成し、該5員環が環状カ ボネート構造である化合物の例であり、下 一般式(4)は、一般式(2)において、R 7 及びR 8 が結合して5員環を形成し、該5員環が環状ア タール構造である化合物の例である。

[一般式(4)において、R 10 およびR 11 は水素または炭化水素基を示す。]

<EVA樹脂(A’)、およびEVOH樹脂(A)の説明>
 本発明における、EVOH樹脂(A)は、エチレンと ビニルエステル系モノマーを共重合させたEVA 樹脂(A’)を得た後に、該EVA樹脂(A’)を加溶媒 分解させることにより得られる樹脂であり、 一般的に食品包装用のフィルムなどとして用 いられる公知のものが挙げられる。EVA樹脂(A )は公知の任意の重合法、例えば、溶液重合 、懸濁重合、エマルジョン重合などにより製 造される。

 上記ビニルエステル系モノマーとしては 例えばギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオ 酸ビニル、バレリン酸ビニル、酪酸ビニル イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプ ン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリ 酸ビニル、バーサチック酸ビニル等の脂肪 ビニルエステル、安息香酸ビニル等の芳香 ビニルエステル等が挙げられ、通常炭素数3 ~20、好ましくは炭素数4~10、特に好ましくは 素数4~7の脂肪族ビニルエステルである。経 的な点から、特に好ましくは酢酸ビニルが いられる。これらは通常単独で用いるが、 要に応じて複数種を同時に用いてもよい。

 EVA樹脂(A’)、およびEVOH樹脂(A)におけるエ チレン含有量は、加溶媒分解の前後に変化す るものではなく、同じ値となる。ISO14663に基 いて計測した値で、20~60モル%、好ましくは2 5~55モル%、特に好ましくは29~44モル%、殊に好 しくは38~44モル%である。かかる含有量が低 ぎる場合は、成形性が不足する傾向があり 逆に高すぎる場合は、ガスバリア性が不足 る傾向がある。

 また、該EVA樹脂(A’)の粘度は、B型粘度計( ーターNo.2、回転数10rpm、ペースト温度65℃) て測定した値で、通常10 1 ~10 5 mPa・s、好ましくは10 2 ~10 4 mPa・s、特に好ましくは10 2 ~10 3 mPa・sである。かかる値が大きすぎる場合又 小さすぎる場合、相溶性不良となる傾向が る。
 EVA樹脂(A’)の粘度は、樹脂分により調節す ことができ、樹脂分が多いと粘度が大きく る傾向があり、少ないと粘度が小さくなる 向がある。

<変性EVA樹脂(B’)、および変性EVOH樹脂(B)の 明>
 本発明で用いる、一般式(1)で示される構造 位を有する変性EVOH樹脂(B)自体は公知のもの である。

[一般式(1)において、R 1 、R 2 、及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 示し、Xは単結合または結合鎖を示し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 示す。]

 かかる樹脂は通常、エチレンとビニルエ テル系モノマーと一般式(2)で示される化合 との共重合により得られた変性EVA樹脂(B’) 加溶媒分解することにより得られる樹脂で る。

[一般式(2)において、R 1 、R 2 、及びR 3 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 表し、Xは単結合または結合鎖を表し、R 4 、R 5 、及びR 6 はそれぞれ独立して水素原子または有機基を 表し、R 7 及びR 8 はそれぞれ独立して水素原子、炭化水素基ま たはR 9 -CO-(式中、R 9 はアルキル基である)を表し、R 7 とR 8 は結合して5員環を形成してもよく、該5員環 環状カーボネート構造または環状アセター 構造である。]
 かかる一般式(2)で示される化合物は、エチ ンおよびビニルエステル系モノマーとの共 合後、該共重合体を加溶媒分解した場合に ビニルエステル系モノマー由来の構造単位 加溶媒分解される条件と同条件下で加溶媒 解され、上記一般式(1)で示される構造単位 なるような化合物である。

 なお、上述したように、下記一般式(3)は、 般式(2)において、R 7 及びR 8 が結合して5員環を形成し、該5員環が環状カ ボネート構造である化合物の例であり、下 一般式(4)は、一般式(2)において、R 7 及びR 8 が結合して5員環を形成し、該5員環が環状ア タール構造である化合物の例である。

[一般式(4)において、R 10 およびR 11 は水素または炭化水素基を示す。]

 一般式(2)で示される化合物の中でも、工 生産性の点から、下記一般式(2a)に示すよう な化合物を用いることが好ましい。

[一般式(2a)において、R 7 及びR 8 はそれぞれ独立して水素原子またはR 9 -CO-(式中、R 9 はアルキル基である)である]

 但し、上記一般式(2a)において、R 1 ~R 6 は前記一般式(1)と同様である。R 7 及びR 8 について好ましくはそれぞれR 9 -CO-である。R 9 は通常炭素数1~20のアルキル基であり、工業 産性から好ましくは1~10のアルキル基であり 特に好ましくは1~5のアルキル基であり、殊 好ましくはメチル基である。
 すなわち、一般式(2a)に示す化合物として具 体的には、通常3,4-ジアシロキシ-1-ブテン、3- アシロキシ-4-オール-1-ブテン、4-アシロキシ- 3-オール-1-ブテン、3,4-ジアシロキシ-2-メチル -1-ブテンが挙げられ、好ましくは3,4-ジオー -1-ブテン、3,4-ジアセトキシ-1-ブテン、3-ア トキシ-4-オール-1-ブテン、4-アセトキシ-3-オ ール-1-ブテン、3,4-ジアセトキシ-2-メチル-1- テンであり、特に好ましくは3,4-ジアセトキ -1-ブテンである。

 前記ビニルエステル系モノマーとしては 前記EVA樹脂(A’)およびEVOH樹脂(A)に用いられ るものと同様のものが用いられ、通常炭素数 3~20、好ましくは炭素数4~10、特に好ましくは 素数4~7の脂肪族ビニルエステルである。経 的な点から、特に好ましくは酢酸ビニルが いられる。かかるビニルエステル系モノマ は通常単独で用いるが、必要に応じて複数 を同時に用いてもよい。

 上記一般式(1)で表される1,2-ジオール構造単 位における有機基としては、特に限定されず 、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基 イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル 、tert-ブチル基等のアルキル基、フェニル基 、ベンジル基等の芳香族炭化水素基、ハロゲ ン原子、水酸基、アシルオキシ基、アルコキ シカルボニル基、カルボキシル基、スルホン 酸基等が挙げられる。
 R 1 ~R 3 は、それぞれ独立して、通常炭素数1~30、特 は炭素数1~15、さらには炭素数1~4のアルキル または水素原子が好ましく、水素原子が最 好ましい。R 4 ~R 6 は、それぞれ独立して、通常炭素数1~30、特 は炭素数1~15、さらには炭素数1~4のアルキル または水素原子が好ましく、水素原子が最 好ましい。特に、R 1 ~R 6 がすべて水素原子であるものが最も好ましい 。

 また、一般式(1)で表わされる構造単位中のX は、結晶性が維持されガスバリア性が優れる 点から、好ましくは単結合である。
 なお、本発明の効果を阻害しない範囲であ ば結合鎖であってもよい。かかる結合鎖と ては特に限定されないが、アルキレン、ア ケニレン、アルキニレン、フェニレン、ナ チレン等の炭化水素鎖(これらの炭化水素は フッ素、塩素、臭素等のハロゲン等で置換さ れていても良い)の他、-O-、-(CH 2 O) m -、-(OCH 2 ) m -、-(CH 2 O) m CH 2 -等のエーテル結合部位を含む構造、-CO-、-COC O-、-CO(CH 2 ) m CO-、-CO(C 6 H 4 )CO-等のカルボニル基を含む構造、-S-、-CS-、- SO-、-SO 2 -等の硫黄原子を含む構造、-NR-、-CONR-、-NRCO- -CSNR-、-NRCS-、-NRNR-等の窒素原子を含む構造 -HPO 4 -等のリン原子を含む構造などのヘテロ原子 含む構造、-Si(OR) 2 -、-OSi(OR) 2 -、-OSi(OR) 2 O-等の珪素原子を含む構造、-Ti(OR) 2 -、-OTi(OR) 2 -、-OTi(OR) 2 O-等のチタン原子を含む構造、-Al(OR)-、-OAl(OR) -、-OAl(OR)O-等のアルミニウム原子を含む構造 どの金属原子を含む構造等が挙げられる(R 各々独立して任意の置換基であり、水素原 、アルキル基が好ましく、またmは自然数で り、通常1~30、好ましくは1~15、さらに好ま くは1~10である。)。その中でも製造時あるい は使用時の安定性の点で-CH 2 OCH 2 -、および炭素数1~10の炭化水素鎖が好ましく さらには炭素数1~6の炭化水素鎖、特には炭 数1であることが好ましい。

 上記一般式(1)で表される1,2-ジオール構造単 位における最も好ましい構造は、R 1 ~R 6 がすべて水素原子であり、Xが単結合である のである。すなわち、下記一般式(1a)で示さ る構造単位が最も好ましい。

 次に、EVOH樹脂(B)の加溶媒分解前のポリマー であるEVA樹脂(B’)が有する構造単位について 説明する。
[i]一般式(2)で表わされる化合物に由来する構 造単位
 下記一般式(2-1)で示される構造単位は、一 式(2)で表わされる化合物に由来する構造単 である。

[一般式(2-1)において、R 7 及びR 8 はそれぞれ独立して水素原子、炭化水素基ま たはR 9 -CO-(式中、R 9 はアルキル基である)を表し、R 7 とR 8 は結合して5員環を形成してもよく、該5員環 環状カーボネート構造または環状アセター 構造である。]

[ii]一般式(3)で表わされる化合物に由来する 造単位
 下記一般式(3-1)で示される構造単位は、一 式(3)で表わされる化合物に由来する構造単 である。なお、一般式(3)は、一般式(2)にお て、R 7 及びR 8 が結合して5員環を形成し、該5員環が環状カ ボネート構造である化合物の例である。

但し、上記一般式(3-1)において、R 1 ~R 6 は前記一般式(1)と同様である。

[iii]一般式(4)で表わされる化合物に由来する 造単位
 下記一般式(4-1)で示される構造単位は、一 式(4)で表わされる化合物に由来する構造単 である。なお、一般式(4)は、一般式(2)にお て、R 7 及びR 8 が結合して5員環を形成し、該5員環が環状ア タール構造である化合物の例である。

[一般式(4-1)において、R 10 およびR 11 は水素または炭化水素基を示す。]
 但し、上記一般式(4-1)において、R 1 ~R 6 は前記一般式(1)と同様である。R 10 およびR 11 は通常炭素数1~20のアルキル基であり、生産 から好ましくは1~10のアルキル基であり、特 好ましくは1~5のアルキル基であり、殊に好 しくはメチル基である。

 さらに、例えば最も好ましい構造である 造単位(1a)を含有する変性EVOH樹脂を例とす と、その製造方法としては、[1]コモノマー して、一般式(2a)に示すような、3,4-ジオール -1-ブテン、3,4-ジアシロキシ-1-ブテン、3-アシ ロキシ-4-オール-1-ブテン、4-アシロキシ-3-オ ル-1-ブテン、3,4-ジアシロキシ-2-メチル-1-ブ テン等を用い、これらとビニルエステル系モ ノマーおよびエチレンと共重合して共重合体 を得、次いでこれを加溶媒分解する方法、あ るいは、[2]コモノマーとして、一般式(3)に示 すような、ビニルエチレンカーボネート等を 用いてこれらとビニルエステル系モノマーお よびエチレンと共重合して共重合体を得、次 いでこれを加溶媒分解、脱炭酸する方法、あ るいは、[3]コモノマーとして、一般式(4)に示 すような、2,2-ジアルキル-4-ビニル-1,3-ジオキ ソラン等を用い、これらとビニルエステル系 モノマーおよびエチレンと共重合して共重合 体を得、次いで加溶媒分解、脱アセタール化 する方法等が挙げられる。

 上記のなかでも、重合が良好に進行し、1 ,2-ジオール構造単位を高分子主鎖中に均一に 導入しやすいという製造時の利点や、未反応 モノマーが少なく製品中の不純物を減らすこ とができることから、上記[1]の製造方法を採 用することが好ましく、特に好ましくは、共 重合反応性に優れる点で3,4-ジアシロキシ-1- テンとビニルエステル系モノマーおよびエ レンを共重合して得られた共重合体を加溶 分解する方法である。さらには3,4-ジアシロ シ-1-ブテンとして、3,4-ジアセトキシ-1-ブテ ンを用いることが好ましい。また、上記[1]の 製造方法で例示したモノマーの混合物を用い てもよい。

 なお、ビニルエステル系モノマーとして 酸ビニルを用い、これと3,4-ジアセトキシ-1- ブテンを共重合させた際の各モノマーの反応 性比は、r(酢酸ビニル)=0.710、r(3,4-ジアセトキ シ-1-ブテン)=0.701、であり、これは後述のビ ルエチレンカーボネートの場合の、r(酢酸ビ ニル)=0.85、r(ビニルエチレンカーボネート)=5. 4、と比較して、3,4-ジアセトキシ-1-ブテンが 酸ビニルとの共重合反応性に優れることを すものである。

 また、3,4-ジアセトキシ-1-ブテンの連鎖移 動定数は、Cx(3,4-ジアセトキシ-1-ブテン)=0.003( 65℃)であり、ビニルエチレンカーボネートの 場合の、Cx(ビニルエチレンカーボネート)=0.00 5(65℃)や、2,2-ジメチル-4-ビニル-1,3-ジオキソ ンの場合のCx(2,2-ジメチル-4-ビニル-1,3-ジオ ソラン)=0.023(65℃)と比較して、重合の阻害 因となって重合度が上がりにくくなったり 重合速度低下の原因となることがないこと 示すものである。

 また、かかる3,4-ジアセトキシ-1-ブテンは 、その共重合体を加溶媒分解する際に発生す る副生物が主構造単位である酢酸ビニル構造 単位に由来するものと同一であり、その後処 理に特別な装置や工程を設ける必要がない点 も、工業的に大きな利点である。また、3,4- アセトキシ-1-ブテンは少量の不純物として3, 4-ジアセトキシ-1-ブタンや1,4-ジアセトキシ-1- ブテン、1,4-ジアセトキシ-1-ブタン等を含ん いても良い。

 なお、3,4-ジオール-1-ブテンは、イースト マンケミカル社から、3,4-ジアセトキシ-1-ブ ンは工業生産用ではイーストマンケミカル 、試薬レベルではアクロス社の製品を市場 ら入手することができる。また、1,4―ブタ ジオール製造工程中の副生成物として得ら る3,4-ジアセトキシ-1-ブテンを利用すること 出来る。

 上記[2]の製造方法により製造された1,2-ジ オール構造単位を有する変性EVOH樹脂は、ケ 化度が低い場合や、脱炭酸が不充分な場合 は側鎖にカーボネート環が残存し、溶融成 時に脱炭酸され、樹脂が発泡する原因とな 傾向がある。また、[3]の製造方法により製 された1,2-ジオール構造単位を有する変性EVOH 樹脂も、[2]の製造方法により製造された1,2- オール構造単位を有する変性EVOH樹脂と同様 、側鎖に残存したモノマー由来の官能基(ア セタール環)が溶融成形時に脱離して、臭気 発生する傾向があるため、これに留意して 用する必要がある。

 変性EVOH樹脂(B)における上記一般式(1)で示さ れる構造単位の含有量は、 1 H-NMRを用いて特開2004-359965号公報に記載の方 にて測定した値で、通常0.1~30モル%、好まし は0.5~15モル%、特に好ましくは1~8モル%であ 。かかる含有量が少なすぎる場合、成形性 良となる傾向があり、多すぎる場合は成形 のガスバリア性が低下する傾向がある。
 また、変性EVA樹脂(B’)において、上記一般 (2)で示される化合物の共重合割合は、変性E VOH樹脂(B)における上記一般式(1)で示される構 造単位の含有量に対応するため、通常0.1~30モ ル%、好ましくは0.5~15モル%、特に好ましくは1 ~8モル%である。かかる含有量は、モノマーの 仕込み量によって調節可能である。

 変性EVA樹脂(B’)、および変性EVOH樹脂(B)に おけるエチレン含有量は、加溶媒分解前後に 変化するものではなく、同じ値となる。ISO146 63に基づいて計測した値で、20~60モル%、好ま くは25~55モル%、特に好ましくは29~44モル%、 に好ましくは29~35モル%である。かかる含有 が低すぎる場合は、EVOH樹脂の成形性が不足 する傾向があり、逆に高すぎる場合は、EVOH 脂のガスバリア性が不足する傾向がある。

 また、該変性EVA樹脂(B’)の粘度は、B型粘度 計(ローターNo.2、回転数10rpm、ペースト温度65 ℃)にて測定した値で、通常10 1 ~10 5 mPa・s、好ましくは10 2 ~10 4 mPa・s、特に好ましくは10 2 ~10 3 mPa・sである。かかる値が大きすぎたり又は さすぎた場合、相溶性不良となる傾向があ 。
 変性EVA樹脂(B’)の粘度は、樹脂分により調 することができ、樹脂分が多いと粘度が大 くなる傾向があり、少ないと粘度が小さく る傾向がある。

 また、EVOH樹脂(A)および変性EVOH樹脂(B)は、 発明の効果を阻害しない範囲で、共重合可 なエチレン性不飽和単量体由来の構造単位 例えば10モル%以下にて有していてもよい。( なわちEVA樹脂(A’)および変性EVA樹脂(B’)も 様に本発明の効果を阻害しない範囲で、共 合可能なエチレン性不飽和単量体由来の構 単位を例えば10モル%以下にて有していても い。)
 かかる単量体としては、プロピレン、1-ブ ン、イソブテン等のオレフィン類、3-ブテン -1-オール、4-ペンテン-1-オール、5-ヘキセン-1 ,2-ジオール等のヒドロキシ基含有α-オレフィ ン類やそのエステル化物、アシル化物などの 誘導体、アクリル酸、メタクリル酸、クロト ン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、( 水)イタコン酸等の不飽和酸類あるいはその 塩あるいは炭素数1~18のモノまたはジアルキ エステル類、アクリルアミド、炭素数1~18のN -アルキルアクリルアミド、N,N-ジメチルアク ルアミド、2-アクリルアミドプロパンスル ン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロ ルジメチルアミンあるいはその酸塩あるい その4級塩等のアクリルアミド類、メタアク ルアミド、炭素数1~18のN-アルキルメタクリ アミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、2- タクリルアミドプロパンスルホン酸あるい その塩、メタクリルアミドプロピルジメチ アミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩 等のメタクリルアミド類、N-ビニルピロリド 、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトア ミド等のN-ビニルアミド類、アクリルニトリ 、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル 、炭素数1~18のアルキルビニルエーテル、ヒ ドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキ シアルキルビニルエーテル等のビニルエーテ ル類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化 ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニル等の ハロゲン化ビニル化合物類、トリメトキシビ ニルシラン等のビニルシラン類、酢酸アリル 、塩化アリル等のハロゲン化アリル化合物類 、ジメトキシアリルアルコール等のアリルア ルコール類、トリメチル-(3-アクリルアミド-3 -ジメチルプロピル)-アンモニウムクロリド、 アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸 等が挙げられる。

 又、本発明の製造方法によって得られるE VOH樹脂組成物は、本発明の趣旨を損なわない 範囲で、ウレタン化、アセタール化、シアノ エチル化、オキシアルキレン化等の後変性反 応をしても差し支えない。

 EVA樹脂(A’)と変性EVA樹脂(B’)の配合割合 目的及び用途により任意に設定できる。例 ば、配合割合(A’)/(B’)は、通常99/1~1/99(重 比)、好ましくは90/10~5/95(重量比)、特に好ま くは80/20~5/95(重量比)である。

 本発明においては、EVOH樹脂(A)(すなわちEV A樹脂(A’))のエチレン含有量のほうが、変性E VOH樹脂(B)(すなわち変性EVA樹脂(B’))のエチレ 含有量よりも多いことが好ましく、このと EVOH樹脂組成物が持つ特性を充分に発揮する ことができる。

 さらに、本発明ではEVA樹脂(A’)と変性EVA樹 (B’)を同一系内で加溶媒分解することが特 であるが、これらを同一系内で加溶媒分解 ず、個別に加溶媒分解してEVOH樹脂(A)と変性 EVOH樹脂(B)を製造した場合、その融解ピーク は、通常、EVOH樹脂(A)の方が大きくなる。
 しかし、本発明のように、EVA樹脂(A’)と変 EVA樹脂(B’)の混合物を同一系内で加溶媒分 した場合、生成するEVOH樹脂組成物に含まれ るEVOH樹脂(A)は、EVA樹脂(A’)単独(変性EVA樹脂( B’)非存在下)で加溶媒分解した場合、すなわ ち通常法で製造したものに比べて、融解ピー ク値が下がる傾向がある。

 また逆に、EVA樹脂(A’)と変性EVA樹脂(B’) 、互いに同一系内で加溶媒分解した場合、 成するEVOH樹脂組成物に含まれる変性EVOH樹 (B)は、変性EVA樹脂(B’)単独(EVA樹脂(A’)の非 在下)で加溶媒分解した場合、すなわち通常 法で製造したものに比べて、融解ピーク値が 上がる傾向がある。

 従って、本発明においては、EVOH樹脂(A)(す わちEVA樹脂(A’))のエチレン含有量のほうが 変性EVOH樹脂(B)(すなわち変性EVA樹脂(B’))の チレン含有量よりも大きい場合、EVA樹脂(A )と変性EVA樹脂(B’)を同一系内で加溶媒分解 ると、融解ピーク値の調節に適切に作用し 自動的に融解ピーク差が特に小さいEVOH樹脂 組成物が得られる。
 従って、本発明の製造方法は製造工程が簡 化され、自動的に融解ピーク差が特に小さ EVOH樹脂組成物が得られる。

 本発明では、EVA樹脂(A’)のエチレン含有量 、変性EVA樹脂(B’)のエチレン含有量よりも くする点が最大の特徴である。かかるエチ ン含有量の比(B’)/(A’)が0.3以上1未満であ 、好ましくは0.5以上1未満、より好ましくは0 .6~0.99、特に好ましくは0.8~0.97である。
 また、エチレン含有量の差(A’)-(B’)は、通 常0.1~40モル%、好ましくは0.1~30モル%、より好 しくは1~10モル%、特に好ましくは2~5モル%で る。

 また、EVA樹脂(A’)と変性EVA樹脂(B’)のB型粘 度計(ローターNo.2、回転数10rpm、ペースト温 65℃)にて測定した粘度の差は、相溶性の点 ら、通常0~10 5 mPa・sであり、好ましくは0~10 4 mPa・sであり、特に好ましくは0~2000mPa・sであ 。粘度差が小さいほど混合効率が良好にな 、相溶性が向上する傾向がある。

<製造方法>
 本発明のEVOH樹脂組成物の製造方法は、EVA樹 脂(A’)および変性EVA樹脂(B’)の混合物を同一 系内で加溶媒分解することに特徴がある。

 かかる加溶媒分解にあたっては、EVA樹脂(A )および変性EVA樹脂(B’)がアルコール又は水/ アルコール混合溶媒に溶解された状態で、ア ルカリ触媒又は酸触媒を用いて行われる。
 アルコールとしては通常、炭素数1~4の脂肪 アルコール等が挙げられるが、好ましくは タノール、エタノール、プロパノール、tert -ブタノールであり、経済的な点から特に好 しくはメタノールである。
 水/アルコール混合溶媒の場合、その重量比 は通常10/90~90/10、好ましくは20/80~80/20、特に ましくは40/60~60/40である。

 EVA樹脂(A’)溶液および変性EVA樹脂(B’)溶 の濃度は系の粘度により適宜選択される。 常は10~60重量%(樹脂分)であり、好ましくは25 ~50重量%(樹脂分)である。粘度は、樹脂分によ り調節することができ、樹脂分が多いと粘度 が大きくなる傾向があり、少ないと粘度が小 さくなる傾向がある。

 EVA樹脂(A’)および変性EVA樹脂(B’)の混合 液を得るには、(1)両樹脂をドライブレンド て共通の溶媒に溶解する手法、(2)各樹脂を 媒に溶解し、それぞれの樹脂溶液を混合す 手法、(3)一方の樹脂を溶媒に溶解し、かか 溶液に他方の樹脂を添加し、溶解して混合 る手法、(4)両樹脂を溶融状態にて混合した 、溶媒に溶解する手法が挙げられる。これ の中でも生産性の点から(2)の手法が好まし 、特には、各々の樹脂の重合後の溶液をそ まま用いることが好ましい。

 加溶媒分解に使用される触媒としては、ア カリ触媒、酸触媒等が挙げられる。例えば 体的に、アルカリ触媒としては、水酸化ナ リウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属 酸化物、ナトリウムメチラート、ナトリウ エチラート、カリウムメチラート、リチウ メチラート等のアルカリ金属アルコキシド が挙げられる。酸触媒としては、硫酸、塩 、硝酸等の無機酸、メタスルフォン酸等の 機酸、ゼオライト、カチオン交換樹脂等が げられる。取り扱い性や工業生産性の点か 好ましくはアルカリ触媒であり、特に好ま くはアルカリ金属水酸化物である。即ち、 発明の加溶媒分解は塩基性条件下で行われ こと、言い換えれば、ケン化であることが ましい。
 かかる加溶媒分解触媒の使用量については 加溶媒分解の方法、目標とする加溶媒分解 等により適宜選択されるが、アルカリ触媒 使用する場合は通常、酢酸ビニル量に対し 通常0.001~100ミリモル当量が適当である。
 ここで、加溶媒分解度とは、JIS K6726に基づ いて計測される値である。特に、加溶媒分解 がケン化である場合、ケン化度と言う。

 かかる加溶媒分解の方法に関しては目標と る加溶媒分解度等に応じて、バッチ加溶媒 解、ベルト上の連続加溶媒分解、塔式の連 加溶媒分解の何れも可能で、加溶媒分解時 アルカリ触媒量が低減できることや加溶媒 解反応が高効率で進み易い等の理由より、 ましくは、一定加圧下での塔式加溶媒分解 用いられる。また、加溶媒分解時の圧力は 的とするエチレン含有量により一概に言え いが、通常2~7kg/cm 2 の範囲から選択され、このときの温度は通常 60~140℃、であり、通常0.5~6.0時間反応させる

 上記のように加溶媒分解されたEVOH樹脂組 成物のメタノール溶液は、公知の方法、例え ば遠心分離器や、凝固液中へ押出す方法によ って固液分離する。乾燥方法としても、公知 の方法を採用することができ、機械的にもし くは熱風により撹拌分散されながら行われる 流動乾燥や、撹拌、分散などの動的な作用を 与えられずに行われる静置乾燥が挙げられ、 流動乾燥を行うための乾燥器としては、円筒 ・溝型撹拌乾燥器、円管乾燥器、回転乾燥器 、流動層乾燥器、振動流動層乾燥器、円錐回 転型乾燥器等が挙げられ、また、静置乾燥を 行うための乾燥器として、材料静置型として は回分式箱型乾燥器が、材料移送型としては バンド乾燥器、トンネル乾燥器、竪型乾燥器 等を挙げることができるが、これらに限定さ れるものではない。流動乾燥と静置乾燥を組 み合わせて行うことも可能である。

 該乾燥処理時に用いられる加熱ガスとし は空気または不活性ガス(窒素ガス、ヘリウ ムガス、アルゴンガス等)が用いられ、該加 ガスの温度としては、40~150℃が、生産性とEV OH樹脂組成物の熱劣化防止の点で好ましい。 乾燥処理の時間としては、EVOH樹脂組成物の 含水量やその処理量にもよるが、通常は15分~ 72時間程度が、生産性と熱劣化防止の点で好 しい。

 上記の条件で乾燥処理されるのであるが 該乾燥処理後の樹脂組成物の含水率は、通 0.001~5重量%、好ましくは0.01~2重量%、特に好 しくは0.1~1重量%である。

 本発明の製造方法によって得られたEVOH樹 脂組成物の平均加溶媒分解度は、JIS K6726に づいて計測した値で、通常90~100モル%、好ま くは95~100モル%、特に好ましくは99~100モル% ある。かかる加溶媒分解度が低すぎる場合 はガスバリア性が低下する傾向がある。

 また、本発明の製造方法によって得られ EVOH樹脂組成物のMFRは、210℃、2160g荷重にて 測した値で、通常1~120g/10分、好ましくは1~45 g/10分、特に好ましくは3~25g/10分である。

 本発明の製造方法によって得られたEVOH樹 脂組成物中のEVOH樹脂(A)と変性EVOH樹脂(B)の割 は、前記したEVA樹脂(A’)と変性EVA樹脂(B’) 割合に対応する。例えば、配合割合(A)/(B)及 び配合割合(A’)/(B’)は、通常99/1~1/99(重量比) 、好ましくは90/10~5/95(重量比)、特に好ましく は80/20~5/95(重量比)である。

 本発明の製造方法によって得られた樹脂組 物の融解ピーク値は、示差走査熱量計(DSC) 昇温速度5℃/minにて融解メインピークを測定 したセカンドランを計測することにより得ら れる。
 本発明の製造方法によって得られた樹脂組 物の融解ピーク差は、通常0~20℃、好ましく は0~10℃、好ましくは0(即ち、ただ1つの融解 ークを有する)である。かかる値が大きすぎ 場合、EVOH樹脂(A)および変性EVOH樹脂(B)の相 性が不良となる傾向がある。

 また、本発明の製造方法によって得られ EVOH樹脂組成物には、本発明の目的を阻害し ない範囲(例えばEVOH樹脂分に対して10重量%以 )において公知の配合剤を配合することもで きる。かかる配合剤としては、例えば、酢酸 、リン酸、ホウ酸等の酸類やそのアルカリ金 属、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属塩 である。飽和脂肪族アミド(例えばステアリ 酸アミド等)、不飽和脂肪酸アミド(例えばオ レイン酸アミド等)、ビス脂肪酸アミド(例え エチレンビスステアリン酸アミド等)、低分 子量ポリオレフィン(例えば分子量500~10,000程 の低分子量ポリエチレン、又は低分子量ポ プロピレン等)などの滑剤、エチレングリコ ール、グリセリン、ヘキサンジオール等の脂 肪族多価アルコールなどの可塑剤、光安定剤 、酸化防止剤、乾燥剤、紫外線吸収剤、着色 剤、帯電防止剤、界面活性剤、抗菌剤、アン チブロッキング剤、不溶性無機塩(例えばハ ドロタルサイト等)、充填材(例えば無機フィ ラー等)、酸素吸収剤、EVOH以外の他樹脂(例え ばポリオレフィン、ポリアミド等)等が挙げ れる。

 本発明においては、EVOH樹脂(A)と、上記一 般式(1)で示される構造単位を有する変性EVOH 脂(B)とを、それぞれ加溶媒分解前の樹脂で る前記EVA樹脂(A’)および前記変性EVA樹脂(B’ )を同一系内で加溶媒分解し、かつ、EVA樹脂(A ’)のエチレン含有量が変性EVA樹脂(B’)のエ レン含有量よりも高い場合に、融解ピーク が小さいEVOH樹脂組成物が得られ、生産性お び成形性が向上するという予想外の効果が られる。

 以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に 明する。
 尚、実施例中「部」、「%」とあるのは、特 に断わりのない限り、重量基準を意味する。

 各EVA樹脂のエチレン含有量はISO14663に準拠 て測定した。
 各EVA溶液の粘度は、B型粘度計(ローターNo.2 回転数10rpm、ペースト温度65℃)にて測定し 。
 各EVOH樹脂の平均加溶媒分解度は、JIS K6726 準拠して測定した。
 変性EVA樹脂(B’)の変性構造単位の含有量は 1 H-NMRを用いて特開2004-359965号公報に記載の方 にて測定した。
 融解ピークは、示差走査熱量計(DSC)で昇温 度5℃/minにて融解ピークを測定したセカンド ランを計測した。
 得られたEVOH樹脂組成物のMFRは、210℃、2160g 重にて計測した。

実施例1
 EVA樹脂(A’)としてエチレン含有量44モル%、 脂分40%メタノール溶液における粘度が2800mPa ・sであるEVA樹脂(A1’)を用い、変性EVA樹脂(B )として3,4-ジ-アセトキシ-1-ブテン由来の構 単位の含有量3モル%、エチレン含有量35モル% 、樹脂分40%メタノール溶液における粘度が500 mPa・sである変性EVA樹脂(B1’)を用いた。

 EVA樹脂(A1’)のメタノール溶液(樹脂分40重 量%)10重量部と、変性EVA樹脂(B1’)のメタノー 溶液(樹脂分41重量%)90重量部を混合した(加 媒分解後の樹脂分の重量比(A)/(B)が10/90とな )。次いで、該混合樹脂溶液にNaOH水溶液(NaOH3 .5重量%)を8重量部配合し、100℃で3時間加溶媒 分解してEVOH樹脂(A)および変性EVOH樹脂(B)のEVOH 樹脂組成物溶液を得た。得られたEVOH樹脂組 物溶液を凝固液に浸漬して析出させ、118℃ て18時間乾燥して、固体EVOH樹脂組成物を得 。

 得られたEVOH樹脂組成物の平均ケン化度は 99.8モル%、MFRは12g/10分であり、かかるEVOH樹脂 組成物の融解ピークを計測したところ、151℃ と160℃にピークが確認された。

実施例2
 EVA樹脂(A’)としてエチレン含有量38モル%、 脂分49%メタノール溶液における粘度が3500mPa ・sであるEVA樹脂(A2’)を用い、変性EVA樹脂(B )として3,4-ジ-アセトキシ-1-ブテン由来の構 単位の含有量が3モル%、エチレン含有量35モ %、樹脂分49%メタノール溶液における粘度が 2000mPa・sである変性EVA樹脂(B2’)を用いた。

 EVA樹脂(A2’)のメタノール溶液(樹脂分49重 量%)47重量部と、変性EVA樹脂(B2’)のメタノー 溶液(樹脂分45重量%)53重量部を混合した(加 媒分解後の樹脂分の重量比(A)/(B)が50/50とな )。次いで、該混合樹脂溶液にNaOH水溶液(NaOH3 .5重量%)を6重量部配合し、107℃で3時間加溶媒 分解してEVOH樹脂(A)および変性EVOH樹脂(B)のEVOH 樹脂組成物の溶液を得た。得られたEVOH樹脂 成物の溶液を凝固液中にストランド状に押 して析出させ、かかるストランドをカット 、118℃にて16時間乾燥して、固体のEVOH樹脂 成物を得た。

 得られたEVOH樹脂組成物の平均ケン化度は 99.8モル%、MFRは11.4g/10分であり、かかるEVOH樹 組成物の融解ピークを計測したところ、166 にピークが確認された。

実施例3
 EVA樹脂(A2’)のメタノール溶液(樹脂分44重量 %)10重量部と、変性EVA樹脂(B2’)のメタノール 液(樹脂分45重量%)90重量部を混合した(加溶 分解後の樹脂分の重量比(A)/(B)が10/90となる) 外は実施例2と同様にして固体のEVOH樹脂組 物を得た。
 得られたEVOH樹脂組成物の平均ケン化度は99. 8モル%、MFRは10.7g/10分であり、かかるEVOH樹脂 成物の融解ピークを計測したところ、155℃ ピークが確認された。

実施例4
 EVA樹脂(A2’)のメタノール溶液(樹脂分49重量 %)69重量部と、変性EVA樹脂(B2’)のメタノール 液(樹脂分48重量%)31重量部を混合した(加溶 分解後の樹脂分の重量比(A)/(B)が70/30となる) 外は実施例2と同様にして固体のEVOH樹脂組 物を得た。
 得られたEVOH樹脂組成物の平均ケン化度は99. 8モル%、MFRは11.4g/10分であり、かかるEVOH樹脂 成物の融解ピークを計測したところ、169℃ ピークが確認された。

比較例1
 EVOH樹脂(A)として、実施例2で用いたEVA樹脂(A 2’)のメタノール溶液(樹脂分49重量%)47重量部 にNaOH水溶液(NaOH3.5重量%)を6重量部配合し、107 ℃で3時間加溶媒分解してEVOH樹脂(A2)溶液を得 た。かかるEVOH樹脂(A2)溶液を凝固液に浸漬し 析出させ、118℃にて16時間乾燥して、固体EV OH樹脂(A2)を得た。
 また、実施例2で用いた変性EVA樹脂(B2’)の タノール溶液(樹脂分45重量%)53重量部にNaOH水 溶液(NaOH3.5重量%)を7重量部配合し、100℃で3時 間加溶媒分解して変性EVOH樹脂(B2)溶液を得た かかるEVOH樹脂(B2)溶液を凝固液に浸漬して 出させ、118℃にて16時間乾燥して、固体EVOH 脂(B2)を得た。

 上記EVOH樹脂(A2)を50重量部、および変性EVOH 脂(B2)を50重量部(重量比にて(A)/(B)=50/50)にて ライブレンドし、押出機で210℃で溶融混錬 、かかるEVOH樹脂組成物をストランド状に押 してカッターで切断し、EVOH樹脂組成物ペレ ットを得た。
 得られたEVOH樹脂組成物の平均ケン化度は99. 8モル%、MFRは11.5g/10分であり、かかるEVOH樹脂 成物の融解ピークを計測したところ、152℃ 173℃にピークが確認された。

比較例2
 EVA樹脂(A’)として、エチレン含有量32モル% 樹脂分36%メタノール溶液における粘度が6300 mPa・sであるEVA樹脂(A3’)を用い、変性EVA樹脂( B’)として、3,4-ジ-アセトキシ-1-ブテン由来 構造単位の含有量が3モル%、エチレン含有量 35モル%、樹脂分40%メタノール溶液における粘 度が500mPa・sである変性EVA樹脂(B1’)を用いた 外は実施例3と同様に行なって、固体のEVOH 脂組成物を得た。
 得られたEVOH樹脂組成物の平均ケン化度は99. 8モル%であり、MFRは20.9g/10分であり、かかるEV OH樹脂組成物の融解ピークを計測したところ 139℃と168℃にピークが確認された。

 実施例および比較例における条件および 果を表1に示す。

 なお、単独で加溶媒分解する方法にて製 したエチレン含有量32モル%、ケン化度99.8モ ル%のEVOH樹脂の融解ピークは183℃であり、エ レン含有量38モル%、ケン化度99.8モル%のEVOH 脂の融解ピークは173℃であり、エチレン含 量44モル%、ケン化度99.8モル%のEVOH樹脂の融 ピークは164℃であった。また、構造単位(1a) 含有量3モル%、エチレン含有量35モル%、ケン 度99.8モル%のEVOH樹脂の融解ピークは150℃で った。

 EVOH樹脂(A)と、一般式(1)で示される構造単 位を有する変性EVOH樹脂(B)とを、それぞれ別 に製造し、各々の樹脂をドライブレンドし 後に溶融混錬する方法によってEVOH樹脂組成 を得た比較例1では、152℃(変性EVOH樹脂(B)に 当)と173℃(EVOH樹脂(A)に相当)の融解ピークが 確認され、その差は21℃であった。

 これに対してEVA樹脂(A’)および変性EVA樹 (B’)を同一系内で加溶媒分解し、かつEVA樹 (A’)のエチレン含有量が変性EVA樹脂(B’)の チレン含有量よりも高いという本発明の製 方法によって製造した実施例1では、融解ピ ーク差の絶対値が9℃であるEVOH樹脂組成物が られ、実施例2~4では融解ピーク差の絶対値 0(即ち、ただ1つの融解ピークを有する)であ るEVOH樹脂組成物が得られた。

 本発明の製造方法によって得られたEVOH樹 脂組成物は、それぞれをドライブレンドする 方法(比較例1)により得られたEVOH樹脂組成物 また、EVA樹脂(A’)のエチレン含有量が変性EV A樹脂(B’)のエチレン含有量よりも低い条件 EVA樹脂(A’)および変性EVA樹脂(B’)を同一系 で加溶媒分解する方法(比較例2)により得ら たEVOH樹脂組成物よりも融解ピーク差が小さ なる。このことから、本発明の製造方法に って得られたEVOH樹脂組成物は、溶融成形時 に融解性が良好となり相溶性が良くなり、溶 融状態から固化する場合の固まり方が均一と なるため、相分離しにくいEVOH樹脂組成物で ることがわかる。

 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照 て説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱 ることなく様々な変更や修正を加えること できることは当業者にとって明らかである
 本出願は、2007年12月27日出願の日本特許出 (特願2007-335892)に基づくものであり、その内 はここに参照として取り込まれる。

 本発明は、一般式(1)で示される構造単位 含有する変性EVOH樹脂と、異なるEVOH樹脂と 含むEVOH樹脂組成物において、簡便な工程に 、融解ピーク差の小さなEVOH樹脂組成物を得 ることができるもので、生産性、成形性に優 れたEVOH樹脂組成物を提供することができる