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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING FINE PARTICLE PHOSPHOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/093845
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for efficiently producing a nano-sized phosphor which emits fluorescent light with high luminance when irradiated with ultraviolet light. Specifically disclosed is a method wherein a solution (1) is obtained by adding a complex-forming compound to an yttrium compound and a compound of a rare earth metal other than yttrium in the presence of water, a solution or dispersion (2) is obtained by dissolving or dispersing a vanadium compound in water, and then the solution (1) and the solution or dispersion (2) are mixed and reacted with each other.

Inventors:
ISOBE TETSUHIKO (JP)
TAKESHITA SATORU (JP)
KONO MITSURU (JP)
NIIKURA SEIJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051671
Publication Date:
August 07, 2008
Filing Date:
February 01, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV KEIO (JP)
SINLOIHI CO LTD (JP)
ISOBE TETSUHIKO (JP)
TAKESHITA SATORU (JP)
KONO MITSURU (JP)
NIIKURA SEIJI (JP)
International Classes:
C09K11/82; C09K11/08
Foreign References:
JP2005502573A2005-01-27
JP2003213255A2003-07-30
JP2006524623A2006-11-02
Other References:
HUIGNARD A. ET AL.: "Synthesis and Characterization of YVO4:EU Colloids", CHEM. MATER., vol. 14, 2002, pages 2264 - 2269, XP001162217, DOI: doi:10.1021/cm011263a
RIWOTZKI K. ET AL.: "Wet-Chemical Synthesis of Doped Colloidal Nanoparticles:YVO4:Ln (Ln=Eu, Sm, DY)", J. PHYS. CHEM. B, vol. 102, 1998, pages 10129 - 10135, XP001034725
Attorney, Agent or Firm:
KUMAKURA, Yoshio et al. (Shin-Tokyo Bldg. 3-1, Marunouchi 3-chome, Chiyoda-k, Tokyo 55, JP)
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Claims:
 紫外線励起により蛍光発光する、式、YVO 4 :A(Aは、イットリウム以外の希土類金属を示す。)で表される微粒蛍光体の製造方法であって、
(1) 水の存在下において、イットリウム化合物及びイットリウム以外の希土類金属の化合物を錯形成化合物で溶解して、溶液1を形成する工程、
(2) バナジウム化合物を水に溶解又は分散させて、溶液又は分散液2を形成する工程、及び
(3) 前記溶液1と、前記溶液又は分散液2とを混合して、反応させる工程、
からなることを特徴とする微粒蛍光体の製造方法。
 前記イットリウム以外の希土類金属が、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
 前記蛍光体の平均粒子径が、5~1000nmである、請求項1に記載の方法。
 前記蛍光体が、式、YVO 4 :A、B(Aは、イットリウム以外の希土類金属を示し、Bは、周期律表(長周期型)第13~第17族に属する元素を示す。)で示される請求項1に記載の方法。
 前記イットリウム化合物、前記バナジウム化合物、前記イットリウム以外の希土類金属の化合物、及び/又は前記周期律表(長周期型)第13~第17族に属する元素の化合物が、水酸化物、キレート化物、無機酸塩、有機酸塩、酸素酸塩、ハロゲン化物及びアルコキシドからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
 Bが、周期律表(長周期型)第15族元素である、請求項4に記載の方法。
 Aが、ユウロピウムである、請求項1に記載の方法。
 前記錯形成化合物が、クエン酸、シュウ酸及びエチレングリコールからなる群から選択される請求項1に記載の方法。
 錯形成化合物が、クエン酸である請求項8に記載の方法。
Description:
微粒蛍光体の製造方法

 本発明は、紫外線により高輝度に蛍光発 するナノサイズ蛍光体を効率よく製造する 法に関するものである。

 従来、アート・装飾分野や、セキュリテ 等の分野において、紫外線などの光エネル ーを照射することにより蛍光発光する無機 光体が種々使用されてきた。通常、蛍光体 末を塗料又はインキに加工し、目的物に塗 や、シルクスクリーン印刷が行なわれてい 。具体的には、アート・装飾分野では、テ マパークや、ホテル、地下道、列車などの や、天井に芸術家や、工芸塗装技術者など 、前記蛍光体含有塗料で装飾画等を描き、 ラックライト等で紫外線を照射することに り鮮やかな蛍光発色画を浮かび上がらせる のである。また、セキュリティ分野では、 殊使用法としてシルクスクリーン印刷が行 れている。

 最近、インクジェット印刷技術の飛躍的進 により、色鮮やかで高精細の屋内、屋外の 告看板、電飾看板が多く見られるようにな ている。上記アート・装飾画、セキュリテ の分野においても、このようなインクジェ トを始めとする印刷技術で、高精細で耐久 のあるインビジブル印刷製品への期待が強 っている。
 しかしながら、このような用途には装置の 造上、1000nm以下、場合によっては、100nm以 の極微細な無機蛍光体粒子が必要となるが これまで、そのような用途に適する無機蛍 体は知られていなかった。通常、無機蛍光 は、乾式法(粉末冶金法)、即ち、原料の無機 化合物粉末を混合した後、数百℃~千数百℃ おいて焼成した後、物理的に粉砕すること よって作られているが、このような乾式法 おいては、一定以下の粒度に粉砕を行うこ が困難であるとともに、たとえ微細粉砕で ても、蛍光体の発光輝度が著しく低下する め、このような用途に使用することが出来 かった。
 一方、希土類燐酸塩蛍光体の製造方法とし 、Yなどの希土類元素及びP、Ce、Tbを溶解し 蛍光体原料の水溶液を液滴にして、キャリ ガスとともに熱分解反応炉に導入して800~190 0℃で加熱する方法(特許文献1)や、有機溶剤 存在下において、アルカリ土類金属化合物 どを加熱する方法(特許文献2)などが提案さ ている。

特開2002-155276号公報

特開2006-213822号公報

 しかしながら、気相中で原料となる無機 合物を反応させる特許文献1に開示の方法で は、微粒蛍光体を工業的に生産する場合にお いては、製造設備が大規模にならざるを得ず 、製造コストが過大となるなどの問題がある 。また、液相中で原料となる無機化合物を反 応させる特許文献2に開示の方法では、有機 剤を使用するため、有機溶剤の除去や環境 対して問題が懸念される。

 本発明者等は、従来の技術について鋭意検 の結果、蛍光体を形成するための原料を、 中で反応させることにより、発光輝度の高 、微粒蛍光体が作製できることを見出し、 発明を完成させたものである。
 即ち、本発明は、紫外線励起により蛍光発 する、式、YVO 4 :A(Aは、イットリウム以外の希土類金属を示 。)で表される微粒蛍光体の製造方法であっ 、
(1) 水の存在下において、イットリウム化合 及びイットリウム以外の希土類金属の化合 を錯形成化合物で溶解して、溶液1を形成す る工程、
(2) バナジウム化合物を水に溶解又は分散さ て、溶液又は分散液2を形成する工程、及び
(3) 前記溶液1と、前記溶液又は分散液2とを 合して、反応させる工程、
からなることを特徴とする微粒蛍光体の製造 方法に関するものである。

 本発明によれば、特殊な装置を用いるこ なく、原料の無機化合物を水中で反応させ ことにより、高輝度蛍光体を効率よく製造 ることができる。また、本発明により製造 た蛍光体は、1000nm以下の均一な粒子径を有 る微粒子であり、紫外線励起により蛍光発 する。

 以下、本発明について詳細に説明する。
 本発明で使用されるイットリウム化合物と ては、例えば、イットリウムの水酸化物や キレート化物(例えば、キレート化剤として は、アミノカルボン酸系キレート剤や、ホス ホン酸系キレート剤等が好適に挙げられる) 酸素酸塩(例えば、硝酸塩や、硫酸塩、燐酸 、硼酸塩、ケイ酸塩、バナジン酸塩など)、 有機酸塩(例えば、カルボン酸塩、スルホン 塩、フェノール塩、スルフィン酸塩、1,3-ジ トン形化合物の塩、チオフェノール塩、オ シム塩、芳香族スルホンアミドの塩、第一 及び第二級ニトロ化合物の塩など)、ハロゲ ン化物(例えば、ハロゲンとしては、フッ素 、塩素、臭素など)、アルコキシド(例えば、 炭素数が1~15の、直鎖又は分岐を有するアル キシ基、例えば、メトキシ基や、エトキシ 、プロポキシ基、ブトキシ基等が好適に挙 られる)等を好適に使用することができる。 れらの代表例として、硝酸塩や、硫酸塩、 酸塩、硼酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、カルボ 酸塩(例えば、カルボン酸としては、シュウ 酸や、酢酸、安息香酸など)、ハロゲン化物( えば、ハロゲンとしては、フッ素や、塩素 臭素など)、アルコキシド(例えば、炭素数 1~15の、直鎖又は分岐を有するアルコキシ基 例えば、メトキシ基や、エトキシ基、プロ キシ基、ブトキシ基等が好適に挙げられる) 等を好適に挙げることができる。その中でも 、硝酸塩や、カルボン酸塩、アルコキシドが 特に好適に使用することができ、これらの代 表的なものとしては、硝酸イットリウムや、 シュウ酸イットリウム、イットリウムイソプ ロポオキシド等が挙げられる。

 イットリウム以外の希土類金属元素とし は、具体的には、Scや、La、Ce、Pr、Nd、Pm、S m、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLu等が好 に挙げられ、希土類化合物としては、希土 金属元素それ自体や、その水素化物、ハロ ン化物(例えば、ハロゲンとしては、フッ素 、塩素、臭素など)、水酸化物、硫化物、酸 素酸塩(例えば、硝酸塩や、硫酸塩、燐酸塩 硼酸塩、ケイ酸塩、バナジン酸塩など)、有 酸塩(例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩 、フェノール塩、スルフィン酸塩、1,3-ジケ ン形化合物の塩、チオフェノール塩、オキ ム塩、芳香族スルホンアミドの塩、第一級 び第二級ニトロ化合物の塩など)、アルコキ ド(例えば、炭素数が1~15の、直鎖又は分岐 有するアルコキシ基、例えば、メトキシ基 、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基 が好適に挙げられる)等が好適に挙げられる 代表的なものとしては、シュウ酸ユウロピ ムや、硝酸エルビウム、酢酸サマリウム、 酸セリウム等が好適に挙げられ、その中で 特にEuの化合物が特に好適に使用すること できる。

 本発明で使用されるバナジウム化合物と ては、例えば、バナジウムの水酸化物や、 レート物(例えば、キレート化剤としては、 アミノカルボン酸系キレート剤や、ホスホン 酸系キレート剤等が好適に挙げられる)、酸 物、酸素酸塩(例えば、硝酸塩や、硫酸塩、 酸塩、硼酸塩、ケイ酸塩、バナジン酸塩な )、有機酸塩(例えば、カルボン酸塩、スル ン酸塩、フェノール塩、スルフィン酸塩、1, 3-ジケトン形化合物の塩、チオフェノール塩 オキシム塩、芳香族スルホンアミドの塩、 一級及び第二級ニトロ化合物の塩など)、ハ ロゲン化物(例えば、ハロゲンとしては、フ 素や、塩素、臭素など)、アルコキシド(例え ば、炭素数が1~15の、直鎖又は分岐を有する ルコキシ基、例えば、メトキシ基や、エト シ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が好適 挙げられる)等を好適に使用することができ 。これらの代表例として、硝酸塩や、硫酸 、燐酸塩、硼酸塩、ケイ酸塩、バナジン酸 、炭酸塩、カルボン酸塩(例えば、カルボン 酸としては、シュウ酸や、酢酸、安息香酸な ど)、ハロゲン化物(例えば、ハロゲンとして 、フッ素や、塩素、臭素など)、アルコキシ ド(例えば、炭素数が1~15の、直鎖又は分岐を するアルコキシ基、例えば、メトキシ基や エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等 好適に挙げられる)等を好適に挙げることが できる。その中でも、硝酸塩、バナジン酸塩 、カルボン酸塩、アルコキシドが特に好適に 使用することができ、これらの代表的なもの としては、トリイソプロポキシ酸化バナジウ ムや、バナジン酸カリウム等が挙げられる。

 式、YVO 4 :A(Aは、イットリウム以外の希土類金属元素) 示される蛍光体には、更に、補助付活剤Bを 添加してもよい。この場合、式、YVO 4 :A,B(Aは、イットリウム以外の希土類金属元素 であり、Bは、元素の周期表(長周期型)の第13 ら17族に属する元素(以下、単に、「Pブロッ ク元素」と言う))で表される蛍光体となる。 だし、Pブロック元素の具体例としては、例 えば、Alや、Zn、Ga、Ge、Cd、In、Sn、Sb、Hg、Tl Pb、Bi、Poである。その中でも、Bi、Ga、Geを 適に使用することができ、特に好ましくは Biである。これらPブロック元素を蛍光体合 反応に用いる場合は、水素化物や、ハロゲ 化物(例えば、ハロゲンとしては、フッ素や 、塩素、臭素など)、水酸化物、硫化物、酸 酸塩(例えば、硝酸塩や、硫酸塩、燐酸塩、 酸塩、ケイ酸塩、バナジン酸塩など)、有機 酸塩(例えば、カルボン酸塩、スルホン酸塩 フェノール塩、スルフィン酸塩、1,3-ジケト 形化合物の塩、チオフェノール塩、オキシ 塩、芳香族スルホンアミドの塩、第一級及 第二級ニトロ化合物の塩など)、アルコキシ ド(例えば、炭素数が1~15の、直鎖又は分岐を するアルコキシ基、例えば、メトキシ基や エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等 好適に挙げられる)等のPブロック元素化合 が好適に使用される。

 錯形成化合物は、イットリウムや希土類 属元素及びPブロック元素と錯体を形成する 物質であり、金属イオンに配位する酸素や、 窒素、硫黄等の3種類の原子を2個以上含み、 レート環を形成する化合物であって、O-O配 、N-N配位、S-S配位、O-N配位、S-N配位、O-S配 、及びこれらを複数個有する多座配位化合 である。具体的にはシュウ酸や、アセチル セトン、クエン酸、エチレングリコール、 チレンジアミン、1,10-フェナントロリン、 チオール、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、 オオキシン3-メルカプト-p-クレゾール及びこ れらの誘導体などである。本発明において特 に好適に使用されるのは、クエン酸や、シュ ウ酸、エチレングリコールなどであるが、特 にこれらに限定されるものではない。この錯 形成化合物を添加することにより、混晶を析 出と粒子成長の制御に効果があり、また生成 した微粒子蛍光体の分散安定がよくなる。

 本発明の蛍光物質は、イットリウム酸化物 結晶内に発光中心(付活剤)である希土類金 元素や、任意の付活剤の発光を補助する補 付活剤が含有されることで紫外線などの励 源により発光する。なお、微粒蛍光体の粒 は、動的光散乱法により測定した粒度分布 基づくものである。
 なお、理論により束縛されるものではない 、実験の観察によれば、本発明においては イットリウム化合物と付活剤原料化合物や 補助付活剤原料化合物が、水中で溶解又は 散し、錯形成化合物の存在下で混晶を形成 、更にバナジウム化合物の添加することに り、微粒蛍光体が合成されると思われる。
 従って、イットリウム化合物と、付活剤原 化合物(A成分化合物)や、補助付活剤原料化 物(Pブロック元素化合物)が、十分に水に溶 又は安定に分散する量とすることが必要で る。

 溶液1において、イットリウム化合物は、一 般に、水1容量部に対して、0.0001~0.6質量部、 ましくは0.001~0.5質量部の範囲とすることが ましい。例えば、水1mlに対して、0.0001~0.6g 好ましくは0.001~0.5gとすることが適当である
この範囲での使用により、粒子径が、好まし くは、1000nm以下、例えば、5~1000nmの微粒蛍光 の水分散液を得ることができる。
 前記添加量が0.0001質量部より少ないと、微 蛍光体の製造効率が低下する傾向にある。 た、0.6質量部より多いと、微粒蛍光体が凝 し、目的とする微粒蛍光体の均一な分散体 得にくい。

 イットリウム以外の希土類金属化合物の量 、同様に、水に対する溶解性又は分散性に づくが、発光輝度の高い微粒蛍光体を製造 率よく製造するためには、前記イットリウ 化合物1モルに対して、40モル%以下、好まし くは、0.005~30モル%の範囲にとどめることが好 ましい。
 錯形成化合物の量は水1mlに対して、0.0001~0.7 g、好ましくは0.001~0.6gであり、錯体を形成さ るため、イットリウム元素、イットリウム 外の希土類金属元素及びビスマス元素の添 量を考慮し、添加する必要性がある。また 錯形成化合物は粒子の分散安定に寄与する め、添加量が少ないと、分散剤として機能 ないため、好ましくない。
 溶液又は分散液2において、バナジウム化合 物の量は、水1mlに対して、0.0001~0.6g、好まし は0.001~0.5gの範囲の量であることが好適であ る。
 Pブロック元素(B)の化合物の量は、水に対す る溶解性又は分散性に基づくが、発光輝度の 高い微粒蛍光体を製造効率よく製造するため には、前記イットリウム化合物1モルに対し 、60モル%以下、好ましくは、0.005~50モル%の 囲にとどめることが好ましい。Pブロック元 (B)の化合物は、任意の時期に、溶液1又は、 溶液又は分散液2に添加することができる。
 なお、イットリウム化合物、イットリウム 外の希土類金属化合物、バナジウム化合物 び任意にPブロック元素化合物を複数併用す る場合においては、得られる微粒蛍光体の組 成や、粒径等によりその配合比率を適宜変化 させることが可能である。
 本発明の方法においては、溶液1と、溶液又 は分散液2とを混合する工程3において、pHを 整することが好ましく、蛍光体の生成を促 することができる。pHは、例えば、4~11程度 あり、好ましくは、pH6~10である。pHが4より いとポリバナジン酸塩が生成しやすく、pHが 11より高いと水酸化物が生成してしまうため 目的の蛍光体を生成することが難しい。

 本発明における反応は、大気圧下、又は水 沸点以上の圧力のどちらでも可能である。 気圧で反応を行う場合には、製造設備を過 にする必要が無く、より簡便に製造効率よ 微粒蛍光体を製造することが可能となる。
加熱温度は、大気圧下であれば、例えば、20 ~100℃の範囲で行うことが好ましい。加熱温 度が20℃より低いと、微粒蛍光体の反応が著 く遅くなり易く、製造効率が低下する傾向 ある。大気圧下での反応時間は、例えば、1 分~72時間であり、好ましくは、10分~10時間で 分である。
 また、加圧下では、100~400℃程度の高温下で 反応することも出来る。この場合、原料の溶 解性が高まり、また反応時間も短くできる長 所がある。

 本発明においては、反応の際、分散安定性 向上のため、界面活性剤などの有機分散剤 、無機分散剤、高分子分散剤、分散安定に 与するイオン(例えば、酢酸イオン)などを えてもよい。また、必要に応じて酸化防止 や、還元剤などの添加剤を加えることも可 である。
 また、反応の際には、窒素ガス又はアルゴ ガス雰囲気下で反応を行うことも可能であ 。反応系に対する酸素の混入を防止し、蛍 体の蛍光強度の低下、生成物の着色等、蛍 体の性能低下を防止することが可能である
 本発明は、攪拌装置を用いて水を攪拌しな ら行うことが好ましい。このような攪拌装 を用いることで、反応系を均一とし、反応 率を上昇させることができ、微粒蛍光体の 定的な製造が可能となる。

<微粒蛍光体の特性>
 本発明により製造された微粒蛍光体は、例 ば、平均粒径が1000nm以下(下限は、例えば、 5nm程度)という、これまでの蛍光体よりも非 に小さな粒径を有する。従って、微粒蛍光 をコーティングや、インクジェットプリン ー用インクの用途等、幅広い用途で使用す ことが可能となる。より高い分散安定性や 視光下透明性が要求される用途においては 100nm以下の微粒蛍光体を使用することが出来 る。
 また、前記微粒蛍光体は、紫外線を照射す ことにより、蛍光発色するが、特に波長領 300~400nmの近紫外線においても励起するため ブラックライトや紫外線LEDなどの光源でも 光発光させることが可能である。そのため 近紫外線発光の望ましいアート・装飾の分 や各種有価証券、ブランド品等の偽造防止 適している。
 更に、当然のことではあるが、本発明の蛍 体は上記の用途に限定されることなく、蛍 灯やLEDなどの照明やPDP、液晶、FEDなどのフ ットパネル・ディスプレイ分野などに使用 ることも可能である。

 以下、実施例等により、本発明について更 詳細に説明するが、これらの実施例によっ 、本発明の範囲は、何ら限定されるもので ない。
 粒度分布についてはマルバーン社製のMalvern HPPSを使用した。この測定機械は、動的光散 法にて粒度分布を測定する装置である。

<実施例1>
 200mlの3口フラスコに、還流装置として冷却 、温度計、攪拌装置を取り付け、当該フラ コをウォーターバス中に設置した。当該フ スコに水40.0ml、硝酸イットリウム六水和物1 .00g(2.6mmol)と、硝酸ユウロピウム六水和物0.09g (0.2mmol)、クエン酸三ナトリウム二水和物0.62g 加え、60℃で2時間攪拌を行ない、溶液1を調 製した。
 別途、水酸化ナトリウムでpH12.5に調整した 40.0mlをはかりとり、その中にオルトバナジ 酸ナトリウム0.55g(3.0mmol)を加え、溶解させ 溶液2を調製し、溶液2を、溶液1の入ってい 上記3口フラスコに滴下した。
 滴下終了後、60℃で3時間撹拌を行った。滴 直後のpHは8.5であった。その後、室温まで 却し、やや黄みの白濁水分散液を得た。得 れた分散液中の微粒物質をMalvernHPPS(マルバ ン社製)で測定したところ、平均粒径48nmの均 一な粒子であった(図1参照)。
 この分散液に対し、302nmを主波長とする紫 線ランプを照射したところ、赤色の蛍光発 が確認できた。また、PL-250(日本分光社製)に て発光波長を確認したところ、615nmに発光波 のピークを確認できた。また、微粒子をX線 回折装置(XRD-6100、島津製作所製)にて定性を った結果、バナジン酸イットリウムの回折 ータと一致した。また、ICP発光分光分析装 (ICPS-7510、島津製作所製)にて確認したところ 、バナジウム、イットリウム、ユウロピウム の元素からなる物質であることが確認できた 。

<実施例2>
 200mlの3口フラスコに、還流装置として冷却 、温度計、攪拌装置を取り付け、当該フラ コをウォーターバス中に設置した。当該フ スコに水40.0ml、硝酸イットリウム六水和物0 .10g(0.3mmol)と、硝酸テルビウム六水和物0.05g(0. 1mmol)を加え、80℃で1時間撹拌後、シュウ酸0.1 9gを加え、80℃で2時間攪拌を行ない、溶液1を 調製した。
 別途、水酸化ナトリウムでpH12.5に調整した 40.0mlを100mlのビーカーにはかりとり、その にオルトバナジン酸ナトリウム0.55g(3.0mmol)を 加え、溶解させ、溶液2を調製した。得られ 溶液2を、溶液1の入っている3口フラスコに 下した。
 滴下終了後、80℃で3時間撹拌を行った。滴 直後のpHは8.2であった。その後、室温まで 却し、やや黄みの白濁水分散液を得た。得 れた分散液中の微粒物質をMalvernHPPS(マルバ ン社製)で測定したところ、平均粒径38nmの均 一な粒子であった(図2参照)。
 この分散液に対し、302nmを主波長とする紫 線ランプを照射したところ緑色の蛍光発色 確認できた。また、PL-250(日本分光社製)にて 発光波長を確認したところ、544nmに発光波長 ピークを確認できた。また、微粒子をX線回 折装置(XRD-6100、島津製作所製)にて定性を行 た結果、バナジン酸イットリウムの回折デ タと一致した。また、ICP発光分光分析装置(I CPS-7510、島津製作所製)にて確認したところ、 バナジウム、イットリウム、テルビウムの元 素からなる物質であることが確認できた。

<実施例3>
 200mlの3口フラスコに、還流装置として冷却 、温度計、攪拌装置を取り付け、当該フラ コをウォーターバス中に設置した。当該フ スコに水40.0ml、硝酸イットリウム六水和物1 .00g(2.6mmol)と、硝酸ユウロピウム六水和物0.09g (0.2mmol)を加え、70℃で1時間撹拌した後、クエ ン酸三ナトリウム二水和物0.62gを加え、更に3 0分後にクエン酸ビスマス0.48g(1.2mmol)を加え、 70℃で2時間攪拌を行ない、溶液1を調製した
 別途、水酸化ナトリウムでpH12.5に調整した 40.0mlを100mlのビーカーにはかりとり、その にオルトバナジン酸ナトリウム0.55g(3.0mmol)を 加えて、溶液2を調製し、この溶液2を、溶液1 の含まれている3口フラスコに滴下した。滴 終了後、70℃で3時間撹拌を行った。滴下直 のpHは7.5であった。その後、室温まで冷却し 、室温で72時間撹拌を続け、やや黄みの白濁 分散液を得た。得られた分散液中の微粒物 をMalvernHPPS(マルバーン社製)で測定したとこ ろ、平均粒径55nmの均一な粒子であった(図3参 照)。
 この分散液に対し、365nmを主波長とする紫 線ランプを照射したところ、赤色の蛍光発 が確認できた。また、PL-250(日本分光社製)に て発光波長を確認したところ、615nmに発光波 のピークを確認できた。また、微粒子をX線 回折装置(XRD-6100、島津製作所製)にて定性を った結果、バナジン酸イットリウムの回折 ータと一致した。また、ICP発光分光分析装 (ICPS-7510、島津製作所製)にて確認したところ 、バナジウム、イットリウム、ユウロピウム 、ビスマスの元素からなる物質であることが 確認できた。

 本発明によれば、紫外線により高輝度に 光発光するナノサイズ蛍光体を効率よく製 することができる。

実施例1で得られた微粒蛍光体の粒径分 布の測定データを示す図である。 実施例2で得られた微粒蛍光体の粒径分 布の測定データを示す図である。 実施例3で得られた微粒蛍光体の粒径分 布の測定データを示す図である。