Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING FLUOROALKYL ETHER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/116518
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a fluoroalkyl ether represented by general formula (2) (wherein Rf1 and Rf2 are as defined below), which is characterized by decarboxylating a compound represented by general formula (1) (wherein Rf1 and Rf2 may be the same or different and each represents a CF3(CF2)n group (wherein n is an integer of 0-10) or a CH3(CH2)m group (wherein m is an integer of 0-10), and at least Rf1 or Rf2 is a CF3(CF2)n group; R1 represents an optionally substituted alkyl group, an optionally substituted aryl group, an optionally substituted alkenyl group or an optionally substituted aralkyl group; and X represents a hydrogen atom or a halogen atom) in the presence of an amine compound and a hydrohalic acid. The method is capable of highly selectively producing a fluoroalkyl ether such as hexafluoroisopropyl methyl ether or hexafluoroisopropyl chloromethyl ether, which is useful as an intermediate for sevoflurane, by a simple process.

Inventors:
SUGIYAMA AKINARI (JP)
SUZUKI ATSUSHI (JP)
YAMAMOTO YOSHIHIRO (JP)
KUROKI YOSHICHIKA (JP)
OHTSUKA TATSUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/055132
Publication Date:
September 24, 2009
Filing Date:
March 17, 2009
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
DAIKIN IND LTD (JP)
SUGIYAMA AKINARI (JP)
SUZUKI ATSUSHI (JP)
YAMAMOTO YOSHIHIRO (JP)
KUROKI YOSHICHIKA (JP)
OHTSUKA TATSUYA (JP)
International Classes:
C07C41/18; C07C43/12
Foreign References:
JP2008013488A2008-01-24
Attorney, Agent or Firm:
Saegusa & Partners et al. (JP)
Patent business corporation 3 Edakuni [Hajime] patent firm (JP)
Download PDF:
Claims:
一般式(1)
(式中、Rf 1 及びRf 2 は、同一又は異なって、基:CF 3 (CF 2 ) n (式中、nは0~10の整数である)又は基:CH 3 (CH 2 ) m (式中、mは0~10の整数である)であり、Rf 1 及びRf 2 の少なくとも一つは、基:CF 3 (CF 2 ) n である。R 1 は、置換基を有することのあるアルキル基、置換基を有することのあるアリール基、置換基を有することのあるアルケニル基、又は置換基を有することのあるアラルキル基であり、Xは水素原子又はハロゲン原子である)で表される化合物を、アミン化合物及びハロゲン化水素酸の存在下に、脱炭酸することを特徴とする、一般式(2)
(式中、Rf 1 及びRf 2 、Xは上記に同じ)で表されるフルオロアルキルエーテルの製造方法。
一般式(1)において、Rf 1 及びRf 2 におけるnが0又は1、mが0又は1であり、R 1 が炭素数1~4のアルキル基、シクロアルキル基、又はフェニル基であり、Xが水素原子、塩素原子又はフッ素原子である請求項1に記載のフルオロアルキルエーテルの製造方法。
アミン化合物とハロゲン化水素酸が、(1)それぞれ独立の化合物として添加する方法、(2)アミン化合物のハロゲン化水素酸塩として添加する方法、(3)アミン化合物とハロゲン化水素酸の両方又はいずれか一方と、アミン化合物のハロゲン化水素酸塩を添加する方法、のいずれかの方法によって反応系に添加される請求項1に記載のフルオロアルキルエーテルの製造方法。
アミン化合物が、下記式(3)
(式中、R 2 、R 3 及びR 4 は、同一又は異なって、水素原子、置換基を有することのあるアルキル基、置換基を有することのあるアリール基、置換基を有することのあるアルケニル基、又は置換基を有することのあるアラルキル基であるか、或いは、R 2 とR 3 は互いに結合して、窒素原子と共に環状構造を形成してもよく、また、R 2 とR 3 は、一緒になって窒素原子との間に不飽和結合を形成し、更に、R 4 と結合して、窒素原子と共に環状構造を形成してもよい。)で表される化合物であり、ハロゲン化水素酸が、式:HY(式中、Yはハロゲン原子である)で表される化合物である請求項1に記載の方法。
アミン化合物が三級アンモニウム化合物であり、ハロゲン化水素酸が塩酸又はフッ酸である請求項1に記載の方法。
アミン化合物:ハロゲン化水素酸(モル比)が、0.1:1~9:1である請求項1に記載の方法。
Description:
フルオロアルキルエーテルの製 方法

 本発明はフルオロアルキルエーテルの製 方法に関する。

 化学式:(CF 3 ) 2 CH(OCH 2 F)で表されるセボフルランは、麻酔薬として 用な化合物であり、これを安価に製造する とは重要な課題であり、これまでに種々の 法が検討されている。

 例えば、下記特許文献1、2には、ヘキサ ルオロイソプロパノール(HFIP)をメチル化し 得られる1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトシ プロパンを塩素ガスと反応させてセボフル ンの中間体である1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2 -クロロメトシキプロパン(セボクロラン)とす る方法等が記載されている。この方法で得ら れるセボクロランは、例えば、フッ化カリウ ムと反応させることによって、容易に目的と するセブフロランとすることができる。

 この様なセボフルランの中間体として有 な1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトシキプロ ン又はこれを塩素化した1,1,1,3,3,3-ヘキサフ オロ-2-クロロメトシキプロパンの製造方法 しては、上述した方法以外にも数多くの方 が知られているが、その殆どはHFIPを原料と する方法である。HFIPの製造方法としてはヘ サフルオロアセトン又はその水和物を、触 存在下に水素還元する方法が知られている( 記特許文献3、4等参照)。また、ヘキサフル ロアセトンの製造方法としてはヘキサフル ロプロピレンオキサイドを触媒存在下に転 させる方法(特許文献5)やヘキサクロロアセ ンをフッ化水素でフッ素化する方法(特許文 献6)等が知られている。しかしながら、前者 製法は、原料のヘキサフルオロプロピレン キサイドが高価であるという問題がある。 た、後者の方法は、生成したヘキサフルオ アセトンと塩酸との分離や、副生成物であ クロロフルオロアセトンの分離等の精製方 が複雑であり、コストが高いという問題が る。

 このような背景から、ヘキサフルオロアセ ンを安価に製造する為の検討がなされてい 。特にフッ素樹脂のモノマーとして大量に 産されるヘキサフルオロプロペンの副生成 であるオクタフルオロイソブテンをメタノ ルと反応させた(CF 3 ) 2 CHCF 2 OCH 3 (2H-オクタフルオロイソブチルメチルエーテ 、以下OIMEと略称する)や、OIMEを脱HFして得ら れる(CF 3 ) 2 C=CFOCH 3 (ヘプタフルオロイソブテニルメチルエーテ 、以下HIMEと略記する)を原料とする方法が注 目される。

 例えば、特許文献7には、HIMEを光照射下 酸素と反応させてヘキサフルオロアセトン 和物を製造する方法が開示されている。

 特許文献8には、OIME又はHIMEを活性炭触媒 、酸素と反応させてヘキサフルオロアセト またはその水和物を得る方法が開示されて る。

 さらに、特許文献9には、OIMEをトリエチ アミンと反応させてヘキサフルオロアセト オキシムとし、これを酸で加水分解してヘ サフルオロアセトンを得る方法が開示され いる。

 また、特許文献10には、(CF 3 ) 2 C(OH)CO 2 CH 3 (3,3,3-トリフルオロ-2-トリフルオロメチル-2- ドロキシプロピオン酸メチル、以下MTTHPと略 記する。)を加水分解し、ハロゲン化剤と反 させて脱炭酸し、ヘキサフルオロアセトン 和物を製造する方法が開示されている。

 しかしながら、HIMEの光酸化を利用する方 法は、工業的に光照射を行うことが困難であ る上に、収率が低いという問題がある。また 、活性炭触媒を使用する酸化方法は、触媒の 劣化が著しく、長期的な運転が出来ないこと や、ヘキサフルオロアセトンの選択率が低い こと等の問題がある。トリエチルアミンと反 応させてオキシムとする方法は、副原料であ るトリエチルアミンが高価であるという問題 がある。MTTHPを加水分解、ハロゲン化脱炭酸 る方法は副原料が安価でかつ収率が高いも の、工程数が長いという欠点を有している

 ヘキサフルオロアセトンを経由すること くHFIPを安価に製造する方法については次の ような検討がなされている。

 例えば、特許文献11には、HIMEを酸化してMTTH Pを合成し、これを加水分解して、プロトン 溶媒存在下に脱炭酸させてHFIPを得る方法が 示されている。しかしながら、本発明者ら 追試した結果、この方法では脱炭酸の際にC F 3 (HCF 2 )C=O(ペンタフルオロアセトン)が副生し、収率 が低いことが判明した。

 このように、ヘキサフルオロアセトンやH FIPを安価に製造することは重要な課題である が、未だに満足の行く結果が得られていない 。

 従って、セボフルランを安価に製造する為 、ヘキサフルオロアセトンやHFIPを経由しな いセボフルランの合成中間体の製造方法の開 発等が強く望まれている。

米国特許第3,683,092号

特開平11-116521号公報

特公昭61-25694号公報

特開平6-184025号公報

米国特許第3,321,515号

米国特許第3,544,633号

特開昭61-277645号公報

特開平1-203339号公報

米国特許第5,466,879号

特開2005-306747号公報

特開2002-234860号公報

 本発明は、上記した従来技術の現状に鑑 てなされたものであり、その主な目的は、 価な原料を用いて、ヘキサフルオロアセト やHFIPを経由することなく、セボフルランの 中間体として有用なヘキサフルオロイソプロ ピルメチルエーテル、ヘキサフルオロイソプ ロピルクロロメチルエーテルなどのフルオロ アルキルエーテルを簡便に高選択率で製造で きる方法を提供することである。

 本発明者は、上記した目的を達成すべく 意研究を重ねた結果、産業廃棄物として有 利用が求められているオクタフルオロイソ テン又はその類似化合物から得られる含フ 素ヒドロキシカルボン酸類から誘導される フッ素メトキシカルボン酸類を原料として い、これをアミンのハロゲン化水素酸塩の 在下に、脱炭酸反応に供することによって 目的とするフルオロアルキルエーテルを簡 に且つ高選択率で製造できることを見出し ここに本発明を完成するに至った。

 即ち、本発明は、下記のフルオロアルキル ーテルの製造方法を提供するものである。
1. 一般式(1)

(式中、Rf 1 及びRf 2 は、同一又は異なって、基:CF 3 (CF 2 ) n (式中、nは0~10の整数である)又は基:CH 3 (CH 2 ) m (式中、mは0~10の整数である)であり、Rf 1 及びRf 2 の少なくとも一つは、基:CF 3 (CF 2 ) n である。R 1 は、置換基を有することのあるアルキル基、 置換基を有することのあるアリール基、置換 基を有することのあるアルケニル基、又は置 換基を有することのあるアラルキル基であり 、Xは水素原子又はハロゲン原子である)で表 れる化合物を、アミン化合物及びハロゲン 水素酸の存在下に、脱炭酸することを特徴 する、一般式(2)

(式中、Rf 1 及びRf 2 、Xは上記に同じ)で表されるフルオロアルキ エーテルの製造方法。
2. 一般式(1)において、Rf 1 及びRf 2 におけるnが0又は1、mが0又は1であり、R 1 が炭素数1~4のアルキル基、シクロアルキル基 、又はフェニル基であり、Xが水素原子、塩 原子又はフッ素原子である上記項1に記載の ルオロアルキルエーテルの製造方法。
3. アミン化合物とハロゲン化水素酸が、(1) れぞれ独立の化合物として添加する方法、(2 )アミン化合物のハロゲン化水素酸塩として 加する方法、(3)アミン化合物とハロゲン化 素酸の両方又はいずれか一方と、アミン化 物のハロゲン化水素酸塩を添加する方法、 いずれかの方法によって反応系に添加され 上記項1に記載のフルオロアルキルエーテル 製造方法。
4. アミン化合物が、下記式(3)

(式中、R 2 、R 3 及びR 4 は、同一又は異なって、水素原子、置換基を 有することのあるアルキル基、置換基を有す ることのあるアリール基、置換基を有するこ とのあるアルケニル基、又は置換基を有する ことのあるアラルキル基であるか、或いは、 R 2 とR 3 は互いに結合して、窒素原子と共に環状構造 を形成してもよく、また、R 2 とR 3 は、一緒になって窒素原子との間に不飽和結 合を形成し、更に、R 4 と結合して、窒素原子と共に環状構造を形成 してもよい。)で表される化合物であり、ハ ゲン化水素酸が、式:HY(式中、Yはハロゲン原 子である)で表される化合物である上記項1に 載の方法。
5. アミン化合物が三級アンモニウム化合物 あり、ハロゲン化水素酸が塩酸又はフッ酸 ある上記項1に記載の方法。
6. アミン化合物:ハロゲン化水素酸(モル比) 、0.1:1~9:1である上記項1に記載の方法。

 本発明では、原料としては、一般式(1)

(式中、Rf 1 及びRf 2 は、同一又は異なって、基:CF 3 (CF 2 ) n (式中、nは0~10の整数である)又は基:CH 3 (CH 2 ) m (式中、mは0~10の整数である)であり、Rf 1 及びRf 2 の少なくとも一つは、基:CF 3 (CF 2 ) n である。R 1 は、置換基を有することのあるアルキル基、 置換基を有することのあるアリール基、置換 基を有することのあるアルケニル基、又は置 換基を有することがあるアラルキル基であり 、Xは水素原子又はハロゲン原子である)で表 れる化合物を用いる。

 上記一般式(1)において、Rf 1 及びRf 2 は、同一又は異なって、基:CF 3 (CF 2 ) n 又は基:CH 3 (CH 2 )  m であり、Rf 1 及びRf 2 の少なくとも一つは、基:CF 3 (CF 2 ) n である。特に、Rf 1 及びRf 2 の両方が、基:CF 3 (CF 2 ) n であることが好ましい。これらの基において 、nは0~10の整数であり、0~5の整数が好ましく 0又は1が特に好ましい。また、mは、0~10の整 数であり、0~5の整数が好ましく、0又は1が特 好ましい。

 R 1 は、置換基を有することのあるアルキル基、 置換基を有することのあるアリール基、置換 基を有することのあるアルケニル基、又は置 換基を有することのあるアラルキル基である 。アルキル基、アリール基、アルケニル基、 及びアラルキル基の置換基としては、F、Cl、 Br、I等のハロゲン原子、ニトロ基、ニトリル 基、基:CH 3 (CH 2 ) c  O(CH 2 ) d -(式中、c及びdは同一又は異なって0~5の整数 ある)、基:CH 3 (CH 2 ) c OCO(CH 2 ) d -(式中、e及びfは同一又は異なって0~5の整数 ある) 、基:CH 3 (CH 2 ) g CO 2 (CH 2 ) h -(式中、g及びhは同一又は異なって0~5の整数 ある) 、基:CH 3 (CH 2 ) i S-(式中、iは0~5の整数である。)等を例示でき 。アルキル基、アリール基、アルケニル基 びアラルキル基の各基には、上記した置換 の内から、同一又は異なる基が、一個又は2 個以上置換していても良い。

 R 1 で表されるアルキル基の具体例としては、メ チル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n -ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチ 、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1~6程度の 鎖状又は分枝鎖状の低級アルキル基、シク ヘキシル基等のシクロアルキル基等を例示 きる。置換基を有することのあるアリール としては、フェニル基、ナフチル基、ピリ ル基、クロロフェニル基、トリル基、ニト フェニル基等を例示できる。アルケニル基 しては、ビニル、アリル、1-ブテニル、イソ ブテニルなどの直鎖又は分枝を有する炭素数 2~6程度の直鎖状又は分枝鎖状の低級アルケニ ル基等を例示できる。アラルキル基としては 、ベンジル基、フェネチル基等を例示できる 。

 R 1 としては、特に、炭素数1~4程度のアルキル基 、シクロアルキル基、フェニル基等が好まし い。

 Xは水素原子又はハロゲン原子であり、ハ ロゲン原子としては、F,Cl,Br,I等を例示できる 。Xとしては、特に、水素原子、塩素原子又 フッ素原子が好ましい。

 一般式(1)の化合物としては、特に、Rf 1 及びRf 2 が基:CF 3 (CF 2 ) n であって、R 1 が低級アルキル基である化合物が好ましい。

 上記一般式(1)で表される化合物の内で、X が水素原子である化合物は、公知の化合物又 はこれに類似した化合物であり、例えば、産 業廃棄物であるオクタフルオロイソブテンを 原料として、下記の工程により製造できる。

 まず、特開2002-234860号公報に記載されてい ように、オクタフルオロイソブテンをアル ール(ROH)と反応させてアルコール付加物((CF 3 ) 2 CHCF 2 OR)とし(F. W. Hoffmann. et al.; J. Am. Chem. Soc., 79 (1957) 1741等参照)、ついで、脱HF反応を行 (特開昭63-35534号公報等参照)、得られたヘキ フルオロイソブテニルアルキルエーテル((CF 3 ) 2 )C=CFOR)を酸化することによって、一般式(1)の ドロキシカルボン酸エステル((CF 3 ) 2 C(OH)COOR)とする。酸化反応としては、KMnO 4 を酸化剤として用いる方法(Utebaev U. et al.;  Izv. Akad. Nauk SSSR Ser. Khim., 2 (1974) 387等参 )、H 2 O 2 を酸化剤として用いる方法(特開昭61-286348号 報など参照)等を適用できる。また、オスミ ム触媒又はルテニウム触媒を用いて酸化反 を行うこともできる(特開2002-234860号公報な 参照)。次いで、ヨウ化メチル、ジメチル硫 酸等のメチル化剤を用いてエーテル化するこ とによって、メトキシカルボン酸エステル((C F 3 ) 2 C(OMe)COOR)とすることができる。一般式(1)で表 れる化合物の内で、Xが水素であるその他化 合物についても、同様の方法によって得るこ とができる。

 また、一般式(1)で表される化合物の内で、X がハロゲン原子である化合物は、文献未記載 の新規化合物であり、例えば、Xが塩素原子 ある化合物は、上記した方法で得られるメ キシカルボン酸エステル((CF 3 ) 2 C(OMe)COOR)を分子状塩素と反応させることによ て、α-クロロメトキシカルボン酸エステル( (CF 3 ) 2 C(OCH 2 Cl)COOR)を得ることができる。

 メトキシカルボン酸エステルと分子状塩素 の反応は、加熱や各種のラジカル反応開始 の添加によっても行うことができるが、特 、反応条件の制御が容易な光照射に反応を 行させることが好ましい。光照射下におけ 反応は、例えば、原料中に塩素をバブリン させる方法によって行うことができる。塩 の使用量は、(CF 3 ) 2 C(OCH 3 )COORで表されるα-メトキシカルボン酸エステ 1当量に対して0.1~1.7当量程度とすることが ましく、0.7~1.2当量程度とすることがより好 しい。

 上記反応は、溶媒の存在下又は非存在下 行うことができる。溶媒を使用する場合に 、四塩化炭素、クロロホルム、テトラクロ エチレン、酢酸、二硫化炭素などのように 素に対して比較的安定な溶媒を使用するこ が望ましい。

 反応温度は、通常、0~100℃程度、好まし は10~50℃程度とすればよい。

 反応時間は、塩素の流量により規定され が、塩素流量を上げることにより反応系内 温度上昇が起こるため、除熱状態を考慮し つ適宜反応時間を設定する必要がある。

 光照射の条件については、特に限定的で なく、例えば、200nm~600nmのスペクトル範囲 持つ水銀灯を使用した光照射下に反応を行 ことが可能であるが、その他に、例えば、 ングステン-ハロゲンランプ、キセノンラン 、水銀-キセノンランプ等を使用して光照射 を行ってもよい。

 一般式(1)で表される化合物の内で、Xがハ ロゲン原子であるその他の化合物も同様の方 法によって得ることができる。

 本発明のフルオロアルキルエーテルの製 方法は、上記一般式(1)で表される化合物を アミン化合物とハロゲン化水素酸の存在下 、脱炭酸する方法である。

 アミン化合物としては、例えば、下記式( 3)

で表される化合物を用いることができる。

 上記式(3)において、R 2 、R 3 及びR 4 は、同一又は異なって、水素原子、置換基を 有することのあるアルキル基、置換基を有す ることのあるアリール基、置換基を有するこ とのあるアルケニル基、又は置換基を有する ことのあるアラルキル基であるか、或いは、 R 2 とR 3 は互いに結合して、窒素原子と共に環状構造 を形成してもよく、また、R 2 とR 3 は、一緒になって窒素原子との間に不飽和結 合を形成し、更に、R 4 と結合して、窒素原子と共に環状構造を形成 してもよい。

 上記一般式(3)で表されるアミン化合物にお て、置換基を有することのあるアルキル基 置換基を有することのあるアリール基、置 基を有することのあるアルケニル基、又は 換基を有することのあるアラルキル基とし は、上記した一般式(1)におけるR 1 と同様の基を例示できる。R 2 、R 3 及びR 4 で表される基の好ましい具体例としては、水 素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基 イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル 、sec-ブチル基、t-ブチル基、オクチル基、 ェニル基、ベンジル基等を挙げることがで る。

 上記一般式(3)で表されるアミン化合物と ては、三級アミン化合物が好ましく、特に トリエチルアミン、トリプロピルアミン、 リイソプロピルアミン、トリブチルアミン ジメチルエチルアミン、ジイソプロピルエ ルアミン等のトリアルキルアミンが好まし 。

 また、上記したアミン化合物は環状アミン あっても良い。例えば、R 2 とR 3 が互いに結合して、窒素原子と共に環状構造 を形成してもよく、或いは、R 2 とR 3 が、一緒になって窒素原子との間に不飽和結 合を形成し、更に、R 4 と結合して、窒素原子と共に環状構造を形成 してもよい。この様な環状アミンの具体例と しては、ピリジン、ピロリジン、N-メチルピ リジン、ピペリジン等を例示でき、特にピ ジンが好ましい。

 ハロゲン化水素酸としては、式:HY(式中、 Yはハロゲン原子である)で表される化合物を いることができる。Yとして表されるハロゲ ン原子としては、F、Cl、Br、I等を例示でき、 F、Cl、Br等が好ましく、特に、F、Cl等が好ま い。

 反応系内に、アミン化合物とハロゲン化 素酸が同時に存在することによって、アミ 化合物のハロゲン化水素酸塩が形成され、 れが存在することによって、一般式(1)の化 物の脱炭酸反応が進行して、一般式(2)のフ オロアルキルエーテルが得られる。脱炭酸 応に利用されたアミン化合物のハロゲン化 素酸塩からは、ハロゲン化水素酸塩が脱離 てアミン化合物は反応系に残存し、これが 応系に存在するハロゲン化水素酸と反応し アミン化合物のハロゲン化水素酸塩が形成 れて、再び脱炭酸反応に利用される。

 アミン化合物とハロゲン化水素酸は、ア ン化合物とハロゲン化水素酸を別の化合物 して添加してもよく、或いは、アミン化合 のハロゲン化水素酸塩として添加してもよ 。また、アミン化合物とハロゲン化水素酸 両方又はいずれか一方と、アミン化合物の ロゲン化水素酸塩を同時に添加してもよい

 ハロゲン化水素酸の使用量は、一般式(1) 化合物1モルに対して0.1~100モル程度とすれ よく、0.3~50モル程度とすることが好ましく 安価且つ効率的に反応させるためには、0.5~5 モル程度とすることが特に好ましい。

 アミン化合物とハロゲン化水素酸の使用 合は、アミン化合物:ハロゲン化水素酸(モ 比)=0.1:1~9:1程度とすればよく、0.3:1~3:1程度と することが好ましく、1:1程度とすることが特 に好ましい。

 尚、上記場合、ハロゲン化水素酸の量は アミン化合物のハロゲン化水素酸塩として 加された量とハロゲン化水素酸として添加 れた量の合計量であり、アミン化合物の量 、アミン化合物のハロゲン化水素酸塩とし 添加された量とアミン化合物として添加さ た量の合計量である。

 本発明の製造方法は、溶媒の存在下又は非 在下に行うことができるが、特に、反応基 の接触効率の点から溶媒の存在下に行うこ が好ましい。溶媒としては、上記した原料 分を分散又は溶解できる溶媒であればよく 例えば、n-ヘキサン等の炭化水素系溶媒、N- メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド 、ニトロベンゼン、ベンゾニトリル、ジメチ ルホルムアミド、水、メタノール・エタノー ル等のアルコール類、エチレングリコール、 ポリエチレングリコール、アセトニトリル、 スルホラン、塩化メチレン、クロロホルム、 四塩化炭素、ジメチルスルホキシド、ジメチ ルアセテート、酢酸、キシレン等の他、1,1- クロロ-1-フルオロエタン、3,3-ジクロロ-1,1,1, 2,2,-ペンタフルオロプロパン、パーフルオロ キサン、HCF 2 CF 2 CF 2 CF 2 Cl等のフッ素系溶媒等も用いることが出来る また、アミンを溶媒として用いても良い。

 溶媒を使用する場合の溶媒の使用量は、 般式(1)の化合物に対し0.001~20体積倍程度と ることができ、好ましくは、0.01 ~10体積倍 度とすればよく、安価かつ効率的に反応さ るためには、0.1~5体積倍程度とすればよい。

 反応方法については、特に限定はなく、 原料を同時に仕込んでも良く、或いは、任 の順序で別々に仕込んでもよい。特に、発 を抑制するためには、アミンのハロゲン化 素酸塩と溶媒を混合した後、これに一般式( 1)で表される化合物を添加することが好まし 。

 反応温度は、20℃~300℃程度とすることが きるが、特に50~200℃程度の範囲とすること 好ましい。

 反応時の圧力は特に限定はなく、減圧下 大気圧下、加圧下のいずれでも良い。

 反応時間は、通常、0.01~50時間とすればよ く、好ましくは、0.1~24時間程度とすればよい 。各成分は同時に仕込んでもよく、別々に仕 込んでも良い。

 反応器の材質は特に限定はなく、ガラス 金属のいずれでも良く、反応温度・化合物 対する耐性がある材料を用いれば良い。

 上記した方法によって、一般式(2)

(式中、Rf 1 及びRf 2 、Xは上記に同じ)で表されるフルオロアルキ エーテルが得られる。得られたフルオロア キルエーテルは、公知の方法で分離、精製 ることが出来る。例えば、抽出、蒸留、再 晶、クロマトグラフィーなどの方法を適用 きる。

 上記した方法で得られる一般式(2)で表さ る化合物の内で、Xが水素原子である化合物 は、例えば、紫外線照射下において分子状塩 素と反応させることによって、Xが塩素原子 ある化合物、例えば、セボクロランに変換 ることができる。

 また、上記一般式(2)で表される化合物の で、Xがハロゲン原子である化合物、特に、 セボクロランは、フッ化カリウムと反応させ ることによって、セブフロランとすることが できる。

 本発明によれば、産業廃棄物であるオク フルオロイソブテンから得られる一般式(1) 表される化合物を原料として、ヘキサフル ロイソプロピルメチルエーテル、ヘキサフ オロイソプロピルクロロメチルエーテルな のフルオロアルキルエーテルを高い選択率 収率良く製造できる。よって、本発明の方 は、フルオロアルキルエーテルを安価に収 良く製造できる方法として有用性の高い方 である。

 以下、参考例、実施例及び比較例を挙げ 本発明を更に詳細に説明する。

  参考例1
 以下の方法で、下記実施例1及び実施例4に いて原料として用いる3,3,3-トリフルオロ-2- リフルオロメチル-2-クロロメトキシプロピ ン酸メチルを製造した。

 光反応用のフラスコに、3,3,3-トリフルオ -2-トリフルオロメチル-2-メトキシプロピオ 酸メチル100g(417mmol)及び四塩化炭素100gを仕 んだ後、水冷・撹拌下・高圧水銀ランプ照 下、内温30℃以下で塩素ガス(10~20ml/min)を5時 かけてゆっくりと吹き込んだ。

 吹き込み終了後、反応粗体を水洗し、常圧 蒸留を行い、沸点125~135℃(バス温:165~175℃) 留分として41.3gの3,3,3-トリフルオロ-2-トリフ ルオロメチル-2-クロロメトキシプロピオン酸 メチル((CF 3 ) 2 C(OCH 2 Cl)CO 2 CH 3 )を回収した(GCの転化率は37%)。
1 H-NMR(CDCl 3 :TMS標準) δ 4.0ppm(s ,3H), 5.7ppm(s ,2H)
19 F-NMR(CDCl 3 :CFCl 3 標準) δ -71.6ppm(s ,6F)
MS(EI):m/z(%)=239(21), 159(35),69(55), 59(100), 45(89),  15(48)

  実施例1
  1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-クロロ メトキシプロパンの合成
 50mlのオートクレーブに、3,3,3-トリフルオロ -2-トリフルオロメチル-2-クロロメトキシプロ ピオン酸メチル((CF 3 ) 2 C(OCH 2 Cl)CO 2 CH 3 )3.0g(10.9mmol)、トリエチルアミン一塩酸塩 2.3g (16.7mmol)及びPEG-400(平均分子量:400のポリエチ ンングリコール) 10gを仕込んだ後、反応器 90~100℃で加熱・撹拌下、約5時間反応を行っ (内圧は0.5Mpaまで上昇)。

 反応終了後、反応液を塩化メチレン20mlと 水50mlで抽出し、有機層のガスクロマトグラ ィ(GC)及び質量分析(GC/MS)を行った。

 その結果、 (CF 3 ) 2 C(OCH 2 Cl)CO 2 CH 3 の転化率は100%であり、1,1,1,3,3,3-ヘキサフル ロ-2-クロロメトキシプロパン((CF 3 ) 2 CH(OCH 2 Cl))の反応収率は65.6%(GC分析による標準サンプ ルを用いた外部標準法で算出)であった。

  実施例2
  1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキ シプロパンの合成
 50mlのオートクレーブに、3,3,3-トリフルオロ -2-トリフルオロメチル-2-メトキシプロピオン 酸メチル((CF 3 ) 2 C(OCH 3 )CO 2 CH 3 )3.0g(12.5mmol)、トリエチルアミン一塩酸塩 2.6g (18.8mmol)及びPEG-400 10gを仕込んだ後、反応器 90~100℃で加熱・撹拌下、約5時間反応を行っ (反応圧は0.6Mpaまで上昇)。

 反応終了後、反応液を塩化メチレン20mlと 水50mlで抽出し、有機層のガスクロマトグラ ィ(GC)及び質量分析(GC/MS)を行った。

 その結果、 (CF 3 ) 2 C(OCH 3 )CO 2 CH 3 の転化率は94%であり、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオ ロ-2-メトキシプロパン((CF 3 ) 2 CH(OCH 3 ))の反応収率は89.0%(GC分析による標準サンプ を用いた外部標準法で算出)であった(尚、オ レフィン体の副生は0.4%以下であった)。

  実施例3
  1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキ シプロパンの合成
 リフラックスコンデンサーを備えた50mlの3 口フラスコに3,3,3-トリフルオロ-2-トリフル ロメチル-2-メトキシプロピオン酸メチル( (C F 3 ) 2 C(OCH 3 )CO 2 CH 3 )10.0g(43.1mmol)、トリエチルアミン一塩酸塩 6.5 g(47.3mmol)、及びトリエチルアミン 10gを仕込 だ。

 反応器を90~100℃で加熱・撹拌下、約5時間反 応を行った。室温まで冷却し、反応溶液をガ スクロマトグラフィ(GC)分析を行った結果、(C F 3 ) 2 C(OCH 3 )CO 2 CH 3 の転化率は99%であり、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオ ロ-2-メトキシプロパン((CF 3 ) 2 CH(OCH 3 ))の選択率は62%であった。その他、1,1,1,3,3,- ンタフルオロ-2-メトキシプロペンが38%の選 率で生成していた。

  実施例4
  1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-クロロ メトキシプロパンの合成
 50mlのオートクレーブに、3,3,3-トリフルオロ -2-トリフルオロメチル-2-クロロメトキシプロ ピオン酸メチル((CF 3 ) 2 C(OCH 2 Cl)CO 2 CH 3 ) 3.0g(10.9mmol))、トリエチルアミン三フッ酸塩 (Et 3 N・3HF) 2.0g(12.4mmol)及びPEG-400 10gを仕込んだ後 、反応器を90~100℃で加熱・撹拌下、約5時間 応を行った(内圧は0.4Mpaまで上昇)。

 反応終了後、反応液を塩化メチレン20mlと 水50mlで抽出し、有機層のガスクロマトグラ ィ(GC)及び質量分析(GC/MS)を行った。

 その結果、 (CF 3 ) 2 C(OCH 2 Cl)CO 2 CH 3 の転化率は33.6%であり、1,1,1,3,3,3-ヘキサフル ロ-2-クロロメトキシプロパン((CF 3 ) 2 CH(OCH 2 Cl))の選択率は37.4%であった。

 その他、3,3,3-トリフルオロ-2-トリフルオ メチル-2-フロロメトキシプロピオン酸メチ 及びフロロメチル-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ イソプロピルエーテルもそれぞれ31.9%と30.7% 選択率で生成していた。

  比較例1
  1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキ シプロパンの合成
 トリエチルアミン一塩酸塩を用いることな 、それ以外は実施例2と同様の方法で反応を 行った。その結果、反応は進行せず、1,1,1,3,3 ,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパンは得ら れなかった。