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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING HALOGENATED AROMATIC COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/143141
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a halogenated aromatic compound, which is characterized in that an aromatic compound wherein one or more substituents and two or more hydrogen atoms are attached to a nucleus and an N-iodine bond type or N-bromine bond type halogenating agent are reacted in an organic solvent in the presence of an acid, or alternatively characterized in that a solvent poorly dissolving a reaction product is mixed into a reaction liquid which is obtained by reacting the aromatic compound and iodine monochloride in an organic solvent, and then the organic solvent is removed therefrom. This method for producing a halogenated aromatic compound has high position selectivity and is suitable for commercial production.

Inventors:
GUO HAIQING
KIMURA SAORI
HOSONO KAZUMI
SONOBE KENJI
Application Number:
PCT/JP2008/058966
Publication Date:
November 27, 2008
Filing Date:
May 15, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPOH CHEMICALS (JP)
GUO HAIQING
KIMURA SAORI
HOSONO KAZUMI
SONOBE KENJI
International Classes:
C07B39/00; B01J23/30; B01J27/16; B01J27/188; B01J31/02; C07C17/12; C07C17/392; C07C25/02; C07C37/62; C07C37/84; C07C39/27; C07C41/22; C07C41/40; C07C43/225; C07C201/12; C07C201/16; C07C205/26; C07C205/37; C07C209/74; C07C209/84; C07C211/52; C07B61/00
Foreign References:
JPH0748297A1995-02-21
JPH10236991A1998-09-08
Other References:
HISAO EGUCHI ET AL., BULLETIN OF THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN, vol. 67, no. 7, 15 July 1994 (1994-07-15), pages 1918 - 1921
CHASSAING C. ET AL., TETRAHEDRON LETTERS, vol. 38, 1997, pages 4415 - 4416
CASTANET C.-S. ET AL., TETRAHEDRON LETTERS, vol. 43, 2002, pages 5047 - 5048
THE CHEMICAL SOCIETY OF JAPAN: "Shin Jikken Kagaku Koza 1 Kihon Sosa I", 20 September 1975, MARUZEN CO., LTD., pages: 296 - 300
Attorney, Agent or Firm:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK (2-6 Tenjinbashi 2-chome Kita,Kita-k, Osaka-shi Osaka 41, JP)
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Claims:
 有機溶媒中、1つ以上の置換基および2つ以上の水素原子が核に結合している芳香族化合物と、N-ヨウ素結合型またはN-臭素結合型のハロゲン化剤と、を酸の存在下で反応させるか、または有機溶媒中、前記芳香族化合物と一塩化ヨウ素とを反応させる反応工程と、
 前記反応工程により得られた反応液に、生成物の溶解度が低い溶媒を混合した後、前記有機溶媒を除去する工程と、を含むことを特徴とするハロゲン化芳香族化合物の製造方法。
 前記置換基は、炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基、ヒドロキシル基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~6のアシルオキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボキシル基、アルコキシカルボニルアルキル基、アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、カルボニル基、ニトリル基、ニトロ基およびハロゲン原子からなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の製造方法。
 前記ハロゲン化剤は、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン、N-ヨ-ドスクシンイミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、またはN-ブロモスクシンイミドであることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の製造方法。
 前記生成物の溶解度が低い溶媒は、水であることを特徴とする請求の範囲第1項から第3項のいずれか1項に記載の製造方法。
 前記生成物の溶解度が低い溶媒は、前記有機溶媒と比して沸点が高いことを特徴とする請求の範囲第1項から第4項のいずれか1項に記載の製造方法。
Description:
ハロゲン化芳香族化合物の製造 法

 本発明は、核にハロゲン原子が結合した ロゲン化芳香族化合物の製造方法に関し、 には、核にヨウ素原子または臭素原子が結 した、ヨウ素化芳香族化合物または臭素化 香族化合物の製造方法に関する。

 芳香族化合物の核にハロゲン原子が結合 たハロゲン化芳香族化合物の中でも、芳香 化合物の核にヨウ素原子が結合したヨウ素 芳香族化合物は、各種有機合成の中間体と て幅広い需要がある。ヨウ素化芳香族化合 の製造方法の一例として、1以上の置換基を 有する芳香族化合物と、ヨウ素化剤とを反応 させる方法が挙げられる。ヨウ素化剤として は、ヨウ素分子、ヨウ化ナトリウムまたはヨ ウ化カリウムなどのヨウ素の無機化合物、ス クシンイミドまたはヒダントインの窒素原子 にヨウ素原子が結合したN-ヨード-スクシンイ ミド、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン などが用いられている。

 非特許文献1、2には、ヨウ素化剤を用い ヨウ素化芳香族化合物の製造方法が報告さ ている。具体的には、非特許文献1には、1,3- ジヨード-5,5-ジメチルヒダントインをヨウ素 剤として、各種芳香族化合物をヨウ素化し ことが開示されている。また、非特許文献2 には、収率の向上を図るために、N-ヨード-ス クシンイミドと、芳香族化合物とを、酸の存 在下で反応させることが開示されている。

 このようなヨウ素化反応では、芳香族化 物に結合している置換基の種類に応じて、 ウ素原子の結合位置が決定され、メタ配向 とる場合と、オルト-パラ配向をとる場合と がある。ここで、メタ配向とは、置換基に対 してメタ位にヨウ素原子が結合する特性をい い、オルト-パラ配向とは、置換基に対して オルト位またはパラ位のいずれかにヨウ素 子が結合する特性をいう。オルト-パラ配向 示す場合には、オルト位にヨウ素が結合し 生成物と、パラ位にヨウ素が結合した生成 とが混在して得られることとなる。

 上記のようにオルト-パラ配向を示すヨウ素 化反応では、収率の向上を図る以外に、ヨウ 素原子の結合位置の選択性(以下、「位置選 性」ともいう。)を向上させることが望まれ いる。特許文献1には、位置選択性の向上を 図った製造方法が開示されている。具体的に は、パラジウム触媒の存在下で、芳香族化合 物と、ヨウ素化剤とを反応させ、高い位置選 択性が実現されたヨウ素化芳香族化合物を製 造できたことが報告されている。

日本国公開特許公報「特開2002-338516号公 (公開日:平成14年11月27日)」 Orfeo O.Orazi,Renle A.Corral,Hector E.Bertorello, Iodations with 1,3-Diiodo-5,5-dimethylhydantoin」Journal  of Organic Chemistry.,30,p1101-1104(1965) Anne-Sophie Castanet,Francoise Colobert,Pierre Emma nuel Broutin,「Mild and regioselective iodination of  electron-rich aromatics with N-iodosuccinimide and cata lytic trifuoroacetic acid」Tertrahedron Letters.,43,p504 7-5048,(2000)

 しかしながら、特許文献1に記載の製造方 法において用いられるパラジウム触媒は、高 価な貴金属を用いた化合物であり、触媒自体 が非常に高価である。そのため、触媒の使用 による製造コストの上昇が避けられず、経済 性が低いという問題があった。さらには、反 応を終えた後にパラジウム触媒を除去するた めに抽出やカラムクロマトグラフィ-などの 離操作を行う必要がある。この製造方法を 業的生産に応用した場合には、工程数を増 させ製造コストの上昇を招くという問題も る。そのため、高い位置選択性を有し、か 、低コストでの工業的生産を実現し得るハ ゲン化芳香族化合物の製造方法の開発が望 れている。

 また、芳香族化合物のハロゲン化反応で 、ハロゲン化剤(例えば、ヨウ素、臭素、ヨ ウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなど)を用 て反応させるが、反応後、大量の有機溶媒( 出溶媒)を用いて、目的のハロゲン化芳香族 化合物を抽出する工程が必要である。

 そのため、ハロゲン化芳香族化合物を製 する際の工程数が増加すると共に、抽出溶 を大量に使用するために、製造に要するコ トが増加してしまうという問題がある。ま 、抽出溶媒は一般的に有機溶媒であるため 抽出溶媒を大量に使用することは、廃液処 のコストの増加の原因となり、また環境に しても悪影響を及ぼすことになる。さらに 製造工程数の増加は、目的とするハロゲン 芳香族化合物の収率の減少を引き起こし、 産性の低下の一因ともなっている。

 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされ ものであり、その目的は、高い位置選択性 有し工業的生産に適したハロゲン化芳香族 合物の製造方法を実現することにある。

 本発明者等は、上記の目的を達成すべく ハロゲン化芳香族化合物の製造方法につい 鋭意検討した。その結果、有機溶媒中、芳 族化合物と、N-ヨウ素結合型またはN-臭素結 合型のハロゲン化剤と、を酸の存在下で反応 させるか、または有機溶媒中、上記芳香族化 合物と一塩化ヨウ素とを反応させることによ り得られた反応液に、生成物の溶解度が低い 溶媒を混合した後、有機溶媒を除去すること により、位置選択性が高く、工業的生産に適 したハロゲン化芳香族化合物を得られること を見出し、本発明を完成するに至った。

 本発明にかかるハロゲン化芳香族化合物 製造方法は、有機溶媒中、1つ以上の置換基 および2つ以上の水素原子が核に結合してい 芳香族化合物と、N-ヨウ素結合型またはN-臭 結合型のハロゲン化剤と、を酸の存在下で 応させるか、または有機溶媒中、上記芳香 化合物と一塩化ヨウ素とを反応させること 特徴とする。

 また、本発明にかかるハロゲン化芳香族 合物の製造方法は、有機溶媒中、1つ以上の 置換基および2つ以上の水素原子が核に結合 ている芳香族化合物と、N-ヨウ素結合型また はN-臭素結合型のハロゲン化剤と、を酸の存 下で反応させるか、または有機溶媒中、上 芳香族化合物と一塩化ヨウ素とを反応させ 反応工程と、前記反応工程により得られた 応液に、生成物の溶解度が低い溶媒を混合 た後、前記有機溶媒を除去する工程と、を むことを特徴とする。

 なお、本発明において、芳香族化合物と 、芳香族性を示す化合物のことをいい、核 同素環または複素環からなる化合物である また、芳香族化合物の同素環または複素環 は、1つ以上の置換基が結合され、かつ、2 以上の水素原子を有する。後述の反応の項 説明するが、本発明のヨウ素化反応では、 換基の種類に応じて、2つ以上の水素原子の ちいずれかの水素原子がヨウ素原子と置換 ることでハロゲン化芳香族化合物が得られ 。また、本発明において、酸とは、他の物 にプロトンを与える物質のことを指す。

 本発明にかかる製造方法では、前記置換 は、炭素数1~12のアルキル基、アルケニル基 、ヒドロキシル基、炭素数1~8のアルコキシ基 、炭素数1~6のアシルオキシ基、カルボキシル 基、アルコキシカルボキシル基、アルコキシ カルボニルアルキル基、アミノ基、アシルア ミノ基、カルバモイル基、カルボニル基、ニ トリル基、ニトロ基およびハロゲン原子から なる群より選択される少なくとも1種である とが好ましい。

 本発明にかかる製造方法では、前記ハロ ン化剤は、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダン イン、N-ヨードスクシンイミド、1,3-ジブロ -5,5-ジメチルヒダントイン、またはN-ブロモ スクシンイミドであることが好ましい。

 本発明にかかる1つのハロゲン原子により 置換されたハロゲン化芳香族化合物の製造方 法では、前記N-ヨウ素結合型もしくはN-臭素 合型のハロゲン化剤または一塩化ヨウ素の 用量は、前記芳香族化合物に対して0.6当量 上、1.5当量未満であることが好ましい。

 本発明にかかる2つのハロゲン原子により 置換されたハロゲン化芳香族化合物の製造方 法では、前記N-ヨウ素結合型もしくはN-臭素 合型のハロゲン化剤または一塩化ヨウ素の 用量は、前記芳香族化合物に対して1.5当量 上、3.3当量以下であることが好ましい。従 にかかる製造方法では、ハロゲン化剤を大 剰に用いる必要があったが、本発明によれ 、大過剰に用いることなく、転化率よく反 させることができる。

 本発明にかかる製造方法では、前記酸は 有機酸および金属酸化物酸の少なくとも1種 であることが好ましい。なお、本発明にかか る製造方法において、有機酸とは有機化合物 からなる酸、また、金属酸化物酸とは、炭素 原子を含まない無機酸(なお、炭酸は無機酸 含まれる)のうち、金属元素を含有する酸の とをいう。金属元素は、タングステン、ケ 素、モリブデン、アルミニウム、鉄、パラ ウムなどの遷移金属元素であることが好ま い。

 本発明にかかる製造方法では、前記酸は トリフルオロメタンスルホン酸またはリン ングステン酸(タングストリン酸)であるこ が好ましい。

 本発明にかかる製造方法では、前記反応 せる工程により得られた反応液に、生成物 溶解度が低い溶媒を混合した後、前記有機 媒を除去する工程を含むことが、さらに好 しい。なお、本発明において、生成物とは 目的とするヨウ化芳香族化合物のことをい 、貧溶媒とは、生成物に対して溶解度の小 い溶媒のことをいう。

 本発明にかかる製造方法では、前記生成 の溶解度が低い溶媒は、水であることが好 しい。

 本発明にかかる製造方法では、前記反応 と前記生成物の溶解度が低い溶媒とが、均 に混合されていることが好ましい。なお、 発明において、均一とは、反応液と生成物 溶解度が低い溶媒とが完全に溶解しあって る状態のことをいう。

 本発明にかかる製造方法では、前記生成 の溶解度が低い溶媒は、前記有機溶媒と比 て沸点が高いことが好ましい。

 本発明に係る製造方法は、以上のように 特定の芳香族化合物と、N-ヨウ素結合型ま はN-臭素結合型のハロゲン化剤と、を酸の存 在下で反応させるか、または有機溶媒中、上 記芳香族化合物と一塩化ヨウ素とを反応させ ることで、位置選択性が高いハロゲン化芳香 族化合物を製造することができる。本発明で 用いられる酸は、特許文献1に記載のパラジ ム触媒と比して、安価な化合物である。そ ため、経済性が高く工業的生産に適したハ ゲン化芳香族化合物の製造方法を提供する とができる。

 さらに、本発明にかかる製造方法によれ 、反応液から生成物を取り出す際に抽出操 を行う必要がない。抽出操作は、製造工程 を増加させ、多量の溶媒を使用するため製 方法の経済性を低下させる。特に、スクシ イミド類またはヒダントイン類のハロゲン 剤を用いた場合には、この抽出操作は必要 工程として行なわれるのが通常であるが、 発明者等は、反応液に生成物の溶解度が低 溶媒を添加後に、有機溶媒を蒸留するのみ 生成物を取り出せることを見出した。本発 の製造方法によれば、位置選択性が向上し 反応液中には単一の生成物を生じさせるこ ができる。このように、単一の生成物が含 れる反応液に対して、上記の取り出し方法 適用することで、一工程で純度の高い生成 を得ることができる。そのため、簡便であ 工業的生産に適したハロゲン化芳香族化合 の製造方法を提供することができる。

 本発明の他の目的、特徴、および優れた は、以下に示す記載によって十分分かるで ろう。

 本発明にかかるハロゲン化芳香族化合物 製造方法は、1つ以上の置換基および2つ以 の水素原子が核に結合した芳香族化合物と N-ヨウ素結合型またはN-臭素結合型のハロゲ 化剤と、を酸の存在下で反応させるか、ま は有機溶媒中、上記芳香族化合物と一塩化 ウ素とを反応させる反応工程を含むことを 徴とする。また、本発明に係るハロゲン化 香族化合物の製造方法は該反応させる工程 より得られた反応液に、生成物の溶解度が い溶媒(以下、貧溶媒と称する)を混合した 、前記有機溶媒を留去する工程とを含むこ を特徴とする。

 1.芳香族化合物
 芳香族化合物としては、1つ以上の置換基お よび2つ以上の水素原子が核に結合された芳 族化合物を用いる。なお、本発明において 芳香族化合物とは、芳香族性を示す化合物 ことをいい、同素環又は複素環を有する化 物のいずれであってもよい。また、置換基 結合位置は、特に限定されるものではなく 核の任意の位置に結合していることができ 。同素環を有する芳香族化合物としては、 ンゼン環、ナフタレン環などの炭素数6~12の 素環を有する化合物が挙げられる。

 複素環を有する芳香族化合物としては、 素、窒素および硫黄原子から選択された少 くとも1つ(通常、1~3つ程度)のヘテロ原子を する5員又は6員ヘテロ環を有する化合物が げられる。この場合、ヘテロ環は縮合環を 成してもよい。具体的には、ヘテロ原子と て酸素原子を含むフラン類、ヘテロ原子と て硫黄原子を含むチオフェン類、チアゾー 類、イソチアゾール類、ヘテロ原子として 素原子を含むピロール類、ピラゾール類、 ミダゾール類、トリアゾール類、ピリジン を例示することができる。

 本発明では、この芳香族化合物の核(環) 結合している2つ以上の水素原子の何れか一 が、ハロゲン原子と置換することで、目的 するハロゲン化芳香族化合物を製造するこ ができる。

 また、本発明で好適に用いられる芳香族 合物の一例として、下記一般式(1)で示す化 物を例示することができる。

(式(1)中、nは2以上、5以下の整数であり、Rは 炭素数1~12のアルキル基、ニトロ基、ハロゲ ン原子、-OR´-COOR´、-SR´、-NR´から選択され 1種であり、R´は、水素原子または炭素数1か ら6のアルキル基である。)
 本発明で使用される芳香族化合物に結合す 置換基は、炭素数1~12のアルキル基、アルケ ニル基、ヒドロキシル基、炭素数1~8のアルコ キシ基、炭素数1~6のアシルオキシ基、カルボ キシル基、アルコキシカルボキシル基、アル コキシカルボニルアルキル基、アミノ基、ア シルアミノ基、カルバモイル基、カルボニル 基、ニトリル基、ニトロ基およびハロゲン原 子からなる群より選択される少なくとも1種 あることができる。

 アルキル基は、炭素数が1~12のアルキル基 である。中でも、炭素数が1~8のアルキル基で あることが好ましく、炭素数が1~6であること がより好ましい。このような置換基として、 メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロ ピル基、ブチル基、イソブチル基、s-ブチル 、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、 プチル基、オクチル基を挙げることができ 。また、アルキル基は、直鎖状または環状 いずれであってもよく、側鎖を有していて よい。

 アルキル基が結合した芳香族化合物とし は、トルエン、o-,m-,p-キシレン、メシチレ 、1,2,3-トリメチルベンゼン、1-メチルナフタ レン、2-メチルナフタレン、1,2-ジメチルナフ タレン、エチルベンゼン、α-ハロエチルベン ゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン 、ジイソプロピルベンゼン、ブチルベンゼン 、イソブチルベンゼン、s-ブチルベンゼン、 メン、シメンなどを例示することができる また、メチル基が置換した複素環化合物と ては、たとえば、1~6個(好ましくは1~3個、特 に1または2個)程度のメチル基が置換した化合 物、たとえば、メチル基置換インドール、メ チル基置換イソインドール、メチル基置換キ ノリン、メチル基置換イソキノリンなどを例 示することができる。

 側鎖に芳香環を有する芳香族炭化水素類( ジフェニルメタン、1,2-ジフェニルエタン、2, 2-ジフェニルプロパンなど)、縮合多環式炭化 水素類(フルオレン、インダン、イソクロマ 、クロマンなどを例示することができる。

 アルコキシ基は、炭素数が1~8のアルコキ 基である。中でも、炭素数が1~6のアルコキ 基であることが好ましく、炭素数が1~4のア コキシ基であることがより好ましい。この うなアルコキシ基としては、メトキシ基、 トキシ基などを挙げることができる。

 アルコキシ基が結合した芳香族化合物と ては、メトキシ基を含有する化合物として ニソール、o-,m-,p-メチルアニソール、エチ アニソール、フェネトール、メトキシフェ ールなどを例示することができる。また、 れらのメトキシ基含有化合物に対応する炭 数2~4のアルコキシ基含有化合物などを例示 ることができる。

 カルボキシル基が結合した芳香族化合物 しては、安息香酸、o-,m-,p-メチル安息香酸 エチル安息香酸、オキシ安息香酸、アミノ 息香酸、ジメチルアミノ安息香酸、フタル 、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレ カルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、フ ンカルボン酸、チオフェンカルボン酸、ピ ジンカルボン酸などを例示することができ 。

 アルコキシカルボニルアルキル基が結合 た芳香族化合物としては、アルコキシカル ニルアルキル基を有する化合物としては、 とえば、エチルフェニルアセテート(メトキ シカルボニルエチルベンゼン)エトキシカル ニルエチルベンゼンなどの炭素数1~6のアル キシ-カルボニル-C1-4アルキル基含有化合物 どが例示できる。

 ハロゲン基を有する芳香族化合物として 、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ハロ ルエン(p-ブロモトルエン、p-クロロトルエ )、ハロキシレンなどを例示することができ 。

 ニトロ基が結合した芳香族化合物として 、ニトロベンゼン、p-メチルニトロベンゼ 、p-エチニルニトロベンゼン、ピクリン酸な どを例示することができる。

 水酸基が結合した芳香族化合物としては フェノール、o-,m-,p-クレゾール、キシレノ ル、1-ヒドロキシ-4-イソプロピルフェノール 、チモール、ヒドロキノン、レゾルシノール 、ピロガロール、ナフトール、ジ(4-ヒドロキ シフェニル)メタン、1,2-ジ(4-ヒドロキシフェ ル)エタン、2,2-ジ(4-ヒドロキシフェニル)プ パン、キノリノール、インドール-5-オール どを例示することができる。

 さらに、上記の置換基の他に、以下の置 基が結合していてもよい。

 ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル 基、アリル基、ブテニル基などのアルケニル 基;ホルミル基、アセチル基、プロピオニル などの炭素数1~6のアルキル-カルボニル基、 ンゾイル基などのアリール-カルボニル基な どのアシル基;ホルミルオキシ基、アセチル キシ基、プロピオニルオキシ基などの炭素 1~6のアシルオキシ基;メチルアミノ基、ジメ ルアミノ基、ジエチルアミノ基などのモノ はジアルキルアミノ基などのアミノ基;ホル ミルアミノ基、アセチルアミノ基などの炭素 数1~6のアシルアミノ基;カルバモイル基;置換 ルバモイル基;カルボニル基;ニトリル基な を例示することができる。

 2.N-ヨウ素結合型またはN-臭素結合型のハロ ン化剤
 本明細書において「N-ヨウ素結合型またはN- 臭素結合型のハロゲン化剤」とは、分子中の 窒素原子にヨウ素または臭素が結合したハロ ゲン化剤を指す。

 本発明に係る製造方法では、N-ヨウ素結 型またはN-臭素結合型のハロゲン化剤として 、例えば、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダント イン(DIH)、N-ヨードスクシンイミド(NIS)、1,3- ブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン(DBH)、また N-ブロモスクシンイミド(NBS)などを用いるこ とができる。これらのN-ヨウ素結合型またはN -臭素結合型のハロゲン化剤は、窒素原子に 合しているヨウ素原子または臭素原子が容 に解離し得るため、ヨウ素化剤または臭素 剤として好適に用いることができる。また N-ヨウ素結合型またはN-臭素結合型のハロゲ 化剤と同様に、一塩化ヨウ素(ICl)もヨウ素 剤として好適に用いることができる。

 本発明において、N-ヨウ素結合型もしく N-臭素結合型のハロゲン化剤または一塩化ヨ ウ素の使用量は、目的とするハロゲン化芳香 族化合物に応じて適宜変更することが好まし い。1つのハロゲン原子により置換されたハ ゲン化芳香族化合物(1つのハロゲン原子が結 合したハロゲン化芳香族化合物)を生成した 場合には、N-ヨウ素結合型もしくはN-臭素結 型のハロゲン化剤または一塩化ヨウ素の使 量は、前記芳香族化合物に対して0.6当量以 、1.5当量未満であることが好ましく、0.8当 以上、1.2当量以下であることがより好まし 。また、2つのハロゲン原子により置換され たハロゲン化芳香族化合物(2つのハロゲン原 が結合したハロゲン化芳香族化合物)を生成 したい場合には、N-ヨウ素結合型もしくはN- 素結合型のハロゲン化剤または一塩化ヨウ の使用量は、前記芳香族化合物に対して1.5 量以上、3.3当量以下であること好ましく、2. 0当量以上、2.3当量以下であることがより好 しい。上記の範囲内であれば、ハロゲン化 効率良く進行し、かつ位置選択性を向上さ ることができる。

 3.酸
 酸は、芳香族化合物と、N-ヨウ素結合型も くはN-臭素結合型のハロゲン化剤または一塩 化ヨウ素とを反応させる触媒としての役割を 果たす。酸としては、無機酸、有機酸、金属 酸化物酸、ポリ酸などを例示することができ る。無機酸としては、硫酸、リン酸、硝酸、 ヨウ素酸、過ヨウ素酸、塩素酸、過塩素酸を 好適に用いることができる。有機酸としては 、カルボン酸、スルホン酸、アクリル酸を例 示することができる。中でも、トリフルオロ 酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、m-キ レン-4-スルホン酸、酢酸、メタンスルホン が好ましい。金属酸化物酸としては、リン ングステン酸(H 3 PW 12 O 40 )、ケイ素タングステン酸(H 4 SiW 12 O 40 )を好適に用いることができる。ポリ酸とし は、ポリへテロ酸、好ましくは、下記一般 (2)で示されるポリアクリル酸およびPerfluorina ted resin-Sulfonic-acid(ナフィオン登録商標)を例 することができる。特に、トリフルオロメ ンスルホン酸、リンタングステン酸が好ま い。このような酸を用いることで、ヨウ素 転化率および位置選択性を向上させること できる。

 4.反応
 本発明にかかるハロゲン化芳香族化合物の 造方法は、以下の反応式(1)に従う。

 (上記式(1)中、Rは、炭素数1~12のアルキル基 アルケニル基、ヒドロキシル基、炭素数1~8 アルコキシ基、炭素数1~6のアシルオキシ基 カルボキシル基、アルコキシカルボキシル 、アルコキシカルボニルアルキル基、アミ 基、アシルアミノ基、カルバモイル基、カ ボニル基、ニトリル基、ニトロ基およびハ ゲン原子からなる群より選択される少なく も1種である)
 本発明では、芳香族化合物と、N-ヨウ素結 型もしくはN-臭素結合型のハロゲン化剤また は一塩化ヨウ素と、酸とが溶解した溶液を攪 拌することでハロゲン化反応を完結すること ができる。この反応では、必要に応じて、冷 却、加熱または還流しつつ反応を進めること ができる。

 有機溶媒としては、芳香族化合物と、N-ヨ 素結合型もしくはN-臭素結合型のハロゲン化 剤または一塩化ヨウ素と、酸とが可溶な溶媒 であれば特に制限されない。具体的には、ニ トリル系、ケトン系、アルコール系、ジメチ ルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トル エン等を例示することができる。より好まし くは、下記一般式(4)、(5)、(6)で示される溶媒 である。
R-CN・・・(4)
R-CO-R´・・・(5)
R-OH・・・(6)
 (式中(4)、(5)、(6)中、RおよびR´は、炭素数1~ 3のアルキル基である。)
 また、後述の生成物の取り出し法を適用す 場合には、その沸点が貧溶媒(この貧溶媒に ついては後述の説明を参照されたい)と比し 沸点が低く、貧溶媒と溶解し得る溶媒であ ことが好ましい。このような有機溶媒とし は、例えば、アセトニトリル、プロピオニ リルまたはメタノ-ルなどを挙げることがで る。有機溶媒として、貧溶媒と比して沸点 低く、貧溶媒と溶解し得る溶媒を用いるこ の利点については後述する。また、有機溶 は、水より沸点が低い溶媒であるものが好 しい。水は後述のように貧溶媒として好ま く例示できる。そのため、水より沸点の低 有機溶媒は、貧溶媒として水を用いる形態 おいて特に好適に用いることができる。

 5.生成物の取り出し方法
 次に、前記反応液から生成物を取り出す方 について説明する。まず、反応液に貧溶媒 添加する。この貧溶媒は、目的とするハロ ン化芳香族化合物以外を溶解し得る液体で り、前記有機溶媒と比して沸点が高い溶媒 ある。この貧溶媒を反応液に添加すること 、その後前記反応に用いた有機溶媒を反応 外に除去する際に、生成したハロゲン化芳 族化合物が貧溶媒に対して分離し易くする とができる。

 貧溶媒としては、水を用いることが好ま いが、水溶性アルコールやアセトンと水と 混合した溶媒であっても、好適に用いるこ ができる。なお、以下、反応液と貧溶媒と 混合した溶液を「混合液」と称する。また 貧溶媒を反応液に添加したときには、生成 の全てが析出していなくてもよい。

 この混合液は、混合液の全体が均一にな ように混ざり合っていることが好ましいが 2層に分離していてもよい。ここで、「全体 が均一」とは、貧溶媒が反応液に完全に溶解 していることを意味する。このように貧溶媒 の添加により、ハロゲン化芳香族化合物以外 の水溶性物質を確実に貧溶媒に溶解させるこ とができ、生成物の純度を向上させることが できる。特に混合液の全体が均一に混ざり合 っている場合には、不純物の除去をより確実 に行うことができる。また、貧溶媒には、還 元剤が添加されていることが好ましい。N-ヨ 素結合型もしくはN-臭素結合型のハロゲン 剤または一塩化ヨウ素から抜けたハロゲン 子は、分子として反応液に存在しているが 還元剤を添加することで、このハロゲン原 からなる分子を還元し、水に溶解させるこ ができる。還元剤としては、亜硫酸、亜硫 アルカリ金属塩、亜硫酸アルカリ土類金属 、亜硫酸アンモニウム塩、チオ硫酸、チオ 酸アルカリ金属塩、チオ硫酸アルカリ土類 属塩、チオ硫酸アンモニウム塩などを例示 ることができる。中でも、亜硫酸アルカリ 属塩、チオ硫酸アルカリ金属塩が好ましい

 ついで、混合液から有機溶媒を留去(除去 )する。有機溶媒の留去は、通常の蒸留操作 よって行うことができる。有機溶媒の混合 合が低下するに従い、ハロゲン化芳香族化 物が析出する。このとき、系内に存在する 溶性物質は、反応液に溶解したままとなる め、純度の高いハロゲン化芳香族化合物を 出させることができる。ついで、有機溶媒 留去の完了を確認した後、析出したハロゲ 化芳香族化合物を濾別する。その後、得ら た濾物を貧溶媒で洗い、乾燥させることで 成物を得る(反応液から取り出す)ことができ る。その後、必要に応じて、再結晶を行って 、より純度の高い生成物を得ることができる 。

 本発明にかかる製造方法によれば、1つ以 上の置換基を有する芳香族化合物と、N-ヨウ 結合型またはN-臭素結合型のハロゲン化剤 、を酸の存在下で反応させるか、または有 溶媒中、上記芳香族化合物と一塩化ヨウ素 を反応させることで、位置選択性が高いハ ゲン化芳香族化合物の製造方法を実現する とができる。酸は、パラジウム触媒と比し 、安価であり、本製造方法を工業的生産に 用した場合には、経済性の高いハロゲン化 香族化合物の製造を実現することができる

 また、本発明にかかる製造方法によれば 位置選択性が向上するため、異性体を分離 るためのカラムクロマトグラフィ-などによ る分離操作が不要である。

 さらに、本発明にかかる製造方法によれ 、反応液から生成物を取り出す際に抽出操 を行う必要がない。抽出操作は、製造工程 を増加させ、多量の溶媒を使用するため製 方法の経済性を低下させる。特に、スクシ イミド類またはヒダントイン類のN-ヨウ素 合型もしくはN-臭素結合型のハロゲン化剤ま たは一塩化ヨウ素を用いた場合には、この抽 出操作は必要な工程として行なわれるのが通 常であるが、本発明者等は、反応液に貧溶媒 を添加後に、有機溶媒を蒸留するのみで生成 物を取り出せることを見出した。特に、本発 明の製造方法によれば、位置選択性が向上し 、反応液中には単一の生成物が生じている。 この反応液に対して、上記の取り出し方法を 適用することで、一工程で純度の高い生成物 を得ることができる。そのため、簡便であり 工業的生産に適したハロゲン化芳香族化合物 の製造方法を提供することができる。

 たとえば、本発明の他の実施形態に係る ウ素化芳香族化合物の製造方法は、有機溶 中、1つ以上の置換基および2つ以上の水素 子が核に結合している芳香族化合物と、ヨ 素化剤とを酸の存在下で反応させる工程と 該反応させる工程により得られた反応液に その反応液に含まれる生成物に対して溶解 の小さい貧溶媒を混合した後、前記有機溶 を留去する工程とを、含む。

 この実施形態においても、芳香族化合物 有機溶媒および酸としては、上述の説明と 様の化合物を使用することができる。また ヨウ素化剤としては、1,3-ジヨード-5,5-ジメ ルヒダントインの他に、N-ヨードスクシン ミドを選択することができる。

 本発明に係るハロゲン化芳香族化合物の 造方法は、以上のように1つ以上の置換基を 有する芳香族化合物と、N-ヨウ素結合型また N-臭素結合型のハロゲン化剤と、を酸の存 下で反応させるか、または有機溶媒中、上 芳香族化合物と一塩化ヨウ素とを反応させ ことより得られた反応液に、生成物の溶解 が低い貧溶媒を混合した後、前記有機溶媒 留去することで、簡便であり、経済性が高 、工業的生産に適したヨウ素化芳香族化合 の製造方法を提供することができる。また 位置選択性が高く、工業的生産に適したヨ 素化芳香族化合物を製造することができる

 また、芳香族化合物へのハロゲン化を行 際、N-ヨウ素結合型もしくはN-臭素結合型の ハロゲン化剤である、DIH、DBH、NIS、NBSまたは IClを用いることによって、目的物を得るため の反応から目的物の結晶化までをワンポット で行うことができると共に、反応後に、大量 の有機溶媒を用いる抽出工程を不要にするこ とができる。さらに、貧溶媒の添加後に、有 機溶媒を留去する工程を含むことによって、 目的物の単離を容易にすることができる。

 以下に、実施例を参照しつつ本発明をよ 詳細に説明するが、本発明はこれらに限定 れるものではない。

 [実施例1]
 冷却および攪拌機能、還流装置を備えた25mL ガラス製フラスコおよびそのフラスコを加熱 する装置を準備した。フラスコにアニソ-ル1. 08g(0.01mol)、次にアセトニトリル5.13mlを入れた 。そこに、トリフルオロメタンスルホン酸( 下、「TFMSA」と称する)0.15g(10mmol:10mol%)を加え た。その溶液に、1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒ ダントイン(以下、「DIH」と称する)2.09g(1.1当 )を、3回に分けて加え、その後、70~80℃まで 加熱し、3時間還流した。

 得られた反応液の一部を 1 H-NMRの測定溶媒であるジメチルスルホキシド- d6に溶解し、 1 H-NMRで測定した結果、アニソールからの転化 が99%であり、目的物である4-ヨードアニソ ルが95%の選択率で得られたことが確認され 。これに対して、2-ヨードアニソールは、5% あった。

 ヨウ素化反応終了後の反応液に、2%の亜硫 ナトリウム水溶液20mLを加え30分間攪拌した 減圧留去が可能な蒸留菅および冷却菅を装 し、反応溶液中のアセトニトリルを減圧下 留去した。溶液中に沈殿した結晶をヌッチ 吸引ろ過器にてろ別し、その結晶をイオン 換水100mLで3回洗浄を繰り返した。こうして られた結晶を真空デシケータに入れ、室温 で一晩減圧乾燥した。得られたヨウ素化合 の分析は、 1 H-NMRもしくはHPLCを用いて実施した。収量は、 2.28g(収率97.4%)、純度99%であった。なお、HPLC 条件は、以下のとおりである。InersiI ODS(5μm 、4.6×250nm)、溶媒:50%アセトニトリル水溶液、 流速:1mL/min、UV検出波長:254nm。

 [実施例2-24]
 出発物質である芳香族化合物、酸、反応時 、反応温度を表1に示すように変更した以外 は、実施例1と同様にしてそれぞれヨウ素化 香族化合物を得た。各反応の転化率および 置選択率を表1に示す。

 [比較例1-5]
 出発物質である芳香族化合物、反応時間、 応温度を表1に示すように変更した以外は、 実施例1と同様にしてそれぞれヨウ素化芳香 化合物を得た。各反応の転化率および位置 択率を表1に示す。

 表1に示すように、比較例1から5と比して、 施例1から実施例24では、いずれも、転化率 よび位置選択率とも高く、良好にヨウ素化 香族化合物を製造できることが確認された

 [実施例25]
 実施例25では、まず、実施例1と同様の装置 準備した。フラスコにアニソール1.08g(0.01mol )、次にアセトニトリル7.69mlを入れた。そこ 、TFMSA0.15g(10mmol:10mol%)を加えた。その溶液に 1,3-ジヨード-5,5-ジメチルヒダントイン4.18g(2 .2当量)を加え、その後、70~80℃まで加熱し、3 時間攪拌した。

 得られた反応液の一部を 1 H-NMRの測定溶媒であるジメチルスルホキシド- d 6 に溶解し、 1 H-NMRで測定した結果、転化率が99%であり、目 物である2,4-ジヨードアニソールが97%の割合 で得られることが確認された。

 [実施例26]
 実施例26では、実施例25と同様の装置を準備 した。4-ヨードアニソール2.35g(0.01mol)、次に アセトニトリル5.13mlを入れた。そこに、TFMSA 0.15g(10mmol:10mol%)を加えた。その溶液に、1,3-ジ ヨード-5,5-ジメチルヒダントイン2.09g(1.1当量) を3回に分けて加え、その後、70~80℃まで加熱 し還流させ、2時間攪拌した。反応の分析は 施例25で示したとおりに行なった。その結果 、4-ヨードアニソールからの転化率が99%であ 、目的物である2,4-ジヨードアニソールが98% の選択率で得られることが確認された。

 [実施例27、28]
 出発物質である芳香族化合物、触媒、反応 間、反応温度を下記の表2に示すように変更 した以外は、実施例25と同様にしてそれぞれ 香族ジヨード化合物を得た。各反応の転化 および位置選択率を表2に示す。

 表2に示すように、実施例26から28によるヨ 素化芳香族化合物の製造方法によれば、い れも転化率および位置選択率が高く目的物 生成できることが確認された。つまり、リ タングステン酸の存在下で、芳香族化合物 、特定のヨウ素化剤を反応させることによ 、2つのヨウ素原子が核に結合した芳香族ジ ード化合物を製造反応できることが確認さ た。

 [実施例29]
 冷却および攪拌機能、還流装置を備えた300m Lガラス製フラスコおよびそのフラスコを加 する装置を準備した。フラスコにアニソー 10.8g(0.1mol)、次にアセトニトリル51.3mlを入れ 。そこに、TFMSA1.50g(10mmol:10mol%)を加えた。そ の溶液に、DIH20.9g(1.1当量)を、3回に分けて加 、その後、70~80℃まで加熱し、3時間還流し 。

 得られた反応液の一部を 1 H-NMRの測定溶媒であるジメチルスルホキシド- d6に溶解し、 1 H-NMRで測定した結果、アニソールからの転化 が99%であり、目的物である4-ヨードアニソ ルが95%の選択率で得られることが確認され 。これに対して、2-ヨードアニソールは、5% あった。

 ヨウ素化反応終了後の反応液に、2%の亜硫 ナトリウム水溶液120mLを加え30分間攪拌した 減圧留去が可能な蒸留菅および冷却菅を装 し、反応溶液中のアセトニトリルを減圧下 留去した。溶液中に沈殿した結晶をヌッチ 吸引ろ過器にてろ別し、その結晶をイオン 換水500mLで3回洗浄を繰り返した。こうして られた結晶を真空デシケ-タに入れ、室温下 で一晩減圧乾燥を行った。得られたヨウ素化 合物の分析は、 1 H-NMRもしくはHPLCを用いて実施した。収量は、 22.8g(収率97.4%)、純度99%であった。なお、HPLC 条件は、以下のとおりである。InersiI ODS(5μm 、4.6×250nm)、溶媒:50%アセトニトリル水溶液、 流速:1mL/min、UV検出波長:254nm。

 本発明は上述した実施形態に限定される のではなく、請求項に示した範囲で種々の 更が可能である。すなわち、請求項に示し 範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わ て得られる実施形態についても本発明の技 的範囲に含まれる。

 [実施例30]
 攪拌機能および冷却装置を備えた500mlガラ 製フラスコ、ならびにそのフラスコを加熱 る装置を準備した。フラスコにフェノ-ル14.1 g(0.15mol)を入れ、次にメタノール42gを入れた 続いて、TFMSA1.12g(7.5mmol:5mol%)を加えた。そこ 、30%ICl/メタノールを104.9g滴下した後、得ら れた溶液を攪拌した。

 得られた反応液の一部をGC(ガスクロマト ラフィー)で分析した結果、フェノールの転 化率が90%であり、目的化合物である4-ヨード ェノールが85%の選択率で得られたことが確 された。これに対して、2-ヨードフェノー は15%であった。

 ヨウ素化反応終了後の反応液に5%亜硫酸 トリウム水溶液を150g加え、30分間攪拌した 減圧留去が可能な蒸留管および冷却管をフ スコに装着し、反応溶液中のメタノールを 圧下で留去した。溶液中に沈殿した結晶を ッチェ吸引濾過にてろ別し、その結晶をイ ン交換水50gで3回洗浄を繰り返した。このよ にして得られた結晶を真空デシケータに入 、室温下で一晩乾燥させた。収量は23.6g(収 72%)、純度95%であった。なお、GCには、G-205( )のカラムを用いた。

 [実施例31]
 攪拌機能および冷却装置を備えた500mlガラ 製フラスコ、ならびにそのフラスコを加熱 る装置を準備した。フラスコにp-クロロフェ ノール9.38g(0.07mol)を入れ、次にアセトニトリ 55gを入れた。続いて、TFMSA1.13g(7.0mmol:10mol%) 加えた。そこに、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチル ダントイン(以下「DBH」と称する)を19.6g加え 後、得られた溶液を攪拌した。

 得られた反応液の一部をHPLCを用いて分析 した結果、p-クロロフェノールの転化率が90% あり、目的化合物である2-ブロモ-4-クロロ ェノールが100%の選択率で得られたことが確 された。

 ヨウ素化反応終了後の反応液に5%亜硫酸 トリウム水溶液を50g加え、30分間攪拌した。 減圧留去が可能な蒸留管および冷却管をフラ スコに装着し、反応溶液中のアセトニトリル を減圧下で留去した。溶液中に沈殿した結晶 をヌッチェ吸引濾過にてろ別し、その結晶を イオン交換水25gで3回洗浄を繰り返した。こ ようにして得られた結晶を真空デシケータ 入れ、室温下で一晩乾燥させた。収量は14.9g (収率94%)であり、HPLCによる分析(Inersil ODS(5μm 、4.6×250nm)、移動相:50%アセトニトリル水溶液 、流速:1ml/min、UV検出波長:254nm)による純度は9 2%であった。

 [実施例32]
 攪拌機能および冷却装置を備えた500mlガラ 製フラスコ、ならびにそのフラスコを加熱 る装置を準備した。フラスコにp-クロロフェ ノール9.14g(0.07mol)を入れ、次にアセトニトリ 55gを入れた。続いて、TFMSA1.04g(7.0mmol:10mol%) 加えた。そこに、N-ヨードスクシンイミド( 下、「NIS」と称する)を15.4g加え、得られた 液を攪拌した。

 得られた反応液の一部をHPLCを用いて分析 した結果、p-クロロフェノールの転化率が93% あり、目的化合物である2-ヨ-ド-4-クロロフ ノールが100%の選択率で得られたことが確認 された。

 ヨウ素化反応終了後の反応液に5%亜硫酸 トリウム水溶液を50g加え、30分間攪拌した。 減圧留去が可能な蒸留管および冷却管をフラ スコに装着し、反応溶液中のアセトニトリル を減圧下で留去した。溶液中に沈殿した結晶 をヌッチェ吸引濾過にてろ別し、その結晶を イオン交換水25gで3回洗浄を繰り返した。こ して得られた結晶を真空デシケータに入れ 室温下で一晩乾燥させた。収量は14.9g(収率94 %)であり、HPLCによる純度は92%であった。

 [実施例33]
 攪拌機能および冷却装置を備えた500mlガラ 製フラスコ、ならびにそのフラスコを加熱 る装置を準備した。フラスコにp-クロロフェ ノール9.00g(0.07mol)を入れ、次にアセトニトリ 55gを入れた。続いて、TFMSA1.14g(7.0mmol:10mol%) 加えた。そこに、N-ブロモスクシンイミド( 下、「NBS」と称する)を12.5g加えた後、得ら た溶液を攪拌した。

 得られた反応液の一部をNMR測定溶媒である メチルスルホキシド-d6に溶解し、 1 H-NMRで測定した結果、p-クロロフェノールの 化率が99%であり、目的化合物である2-ブロモ -4-クロロフェノールが100%の選択率で得られ ことが確認された。

 ヨウ素化反応終了後の反応液に5%亜硫酸 トリウム水溶液を50g加え、30分間攪拌した。 減圧留去が可能な蒸留管および冷却管をフラ スコに装着し、反応溶液中のアセトニトリル を減圧下で留去した。溶液中に沈殿した溶液 を分液ろ過し、このようにして得られた溶液 を真空デシケータに入れ、室温下で一晩乾燥 させた。収量は14.5g(収率93%)であり、純度は90 %であった。

 [比較例6]
 冷却および攪拌機能、ならびに還流装置を えた500mLガラス製フラスコおよびそのフラ コを加熱する装置を準備した。フラスコに4- クロロフェノールを17.1g(0.8mol)入れ、次にア トニトリル104mlを入れた。続いて、TFMSA1.0g(10 mol%)を加えた。そこに、DIH25.3g(1.0当量)を、3 に分けて加え、その後、25℃にて、4時間反 させた。

 ヨウ素化反応終了後の反応液に、2%の亜 酸ナトリウム水溶液50mLを加え反応を停止さ た。反応に用いたアセトニトリルをエバポ ーターにて留去させ、およそ半分以下にな まで反応液を濃縮した。この濃縮した反応 に酢酸エチル300mLを加え30分間攪拌させた。 酢酸エチル溶液を分液漏斗に入れ、さらに2% 亜硫酸ナトリウム水溶液200mLにて洗浄を2回 い、有機層を分取した。この有機層をエバ レーターにて濃縮させ酢酸エチルを留去し 。この粗体2-ヨード-4-クロロフェノールを 1N水酸化ナトリウム水溶液250mLにて完全に溶 させた。この粗体溶液に36%塩酸を滴下した pH1になるまで滴下した。析出した結晶をろ し、得られた結晶を約100mLの純水で洗浄し 。このようにして得られた結晶を真空デシ ータに入れ、室温下で一晩減圧乾燥させた 収率は82%であり、純度は98%であった。

 [比較例7]
 比較例6と同様にして生成した、酢酸エチル を留去した粗体2-ヨード-4-クロロフェノール 、50mLのメタノールにより完全に溶解させた 。この粗体メタノール溶液をイオン交換水(50 0mL)に滴下した。析出した結晶をろ過し、得 れた結晶を純水100mLほどで洗浄を行った。こ うして得られた結晶を真空デシケータに入れ 、室温下で一晩減圧乾燥させた。収率は、76% であり、純度は98%であった。

 発明の詳細な説明の項においてなされた 体的な実施形態または実施例は、あくまで 、本発明の技術内容を明らかにするもので って、そのような具体例にのみ限定して狭 に解釈されるべきものではなく、本発明の 神と次に記載する請求の範囲内で、いろい と変更して実施することができるものであ 。

 有機合成の中間体として有用なヨウ素化 香族化合物および臭素化芳香族化合物の工 的生産を低コストで実現することができる