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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING HIGH-PURITY PHOSPHITE CHLORIDE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/072591
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a high-purity phosphite chloride, wherein adhesion of a catalyst to an evaporation unit can be prevented during a step wherein a phosphite chloride as the object material is separated from a reaction liquid by evaporation. Specifically disclosed is a method for producing a high-purity phosphite chloride, which comprises a first step wherein a phosphite chloride expressed as RO(R')PCl is produced by reacting phosphorus trichloride with a phosphite triester expressed as (RO)3P in the presence of a catalyst having a viscosity at 80˚C of not more than 100 mPa s, and a second step wherein the catalyst is separated by evaporating the reaction liquid, which is obtained in the first step and contains phosphite chloride, in a short time.

Inventors:
SASAKI KENTRAO (JP)
TSUNASHIMA KATSUHIKO (JP)
SAITO TADASHI (JP)
HARA YOSHIFUSA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/072125
Publication Date:
June 11, 2009
Filing Date:
December 05, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NIPPON CHEMICAL IND (JP)
SASAKI KENTRAO (JP)
TSUNASHIMA KATSUHIKO (JP)
SAITO TADASHI (JP)
HARA YOSHIFUSA (JP)
International Classes:
C07F9/146
Foreign References:
JPH04305588A1992-10-28
JPH02145594A1990-06-05
JPS61112088A1986-05-30
JPS6045585A1985-03-12
JPS5242823A1977-04-04
Attorney, Agent or Firm:
Nippon Chemical Industrial Co., Ltd (Kameido 9-chome koto-k, Tokyo 15, JP)
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Claims:
 三塩化リンと、(RO) 3 P(式中Rは、アルキル基、置換アルキル基、フェニル基、置換フェニル基を示す。)で表される亜リン酸トリエステルとを、80℃における粘度が100mPa・s以下である触媒の存在下で反応させて、RO(R’)PCl(式中Rは前記定義と同じであり、R’はRO又は塩素原子を示す。)で表される塩化ホスファイトを製造する第一工程、及び
 第一工程で得られた塩化ホスファイトを含む反応液を短時間で気化させて前記触媒を分離する第二工程を有することを特徴とする高純度塩化ホスファイトの製造方法。
 前記触媒が、80℃で液体である4級アンモニウム塩又は4級ホスホニウム塩である請求項1記載の高純度塩化ホスファイトの製造方法。
 前記第二工程において、塩化ホスファイトを含む反応液を短時間で気化させて触媒を分離する手段が薄膜蒸留装置を用いて行う請求項1記載の高純度塩化ホスファイトの製造方法。
 前記薄膜蒸留装置は、塩化ホスファイトを含む反応液を加熱して塩化ホスファイトを気化させる手段、及び気化した塩化ホスファイトを冷却して液化する手段を備える請求項3記載の高純度塩化ホスファイトの製造方法。
 前記薄膜蒸留装置は、自然流下式である請求項3又は4記載の高純度塩化ホスファイトの製造方法。
 触媒と液化した塩化ホスファイトとを自然流下させて回収する請求項5記載の塩化ホスファイトの製造方法。
Description:
高純度塩化ホスファイトの製造 法

 本発明は、高純度塩化ホスファイトの製 方法に関する。塩化ホスファイトは、例え 有機リン系農薬の原料として有用な物質で る。

 本出願人は先に、高純度塩化ホスファイ の製造方法として、三塩化リンと、亜リン トリエステルとを、触媒の存在下で反応さ て塩化ホスファイトを生成させ、生成した 化ホスファイトを含む反応液を短時間で触 と分離する方法を提案した(特許文献1参照) この方法は、高純度の塩化ホスファイトを 収率で得ることができるという利点を有す 。また、塩化ホスファイトと二塩化ホスフ イトとを選択的に製造することができると う利点も有する。

 前記の製造方法においては、塩化ホスフ イトを含む反応液を、蒸発缶における加熱 れた内面に供給し、該反応液を該内面に沿 て膜状に流下させることで急激な気化を起 させ、目的物である塩化ホスファイトを蒸 させて、触媒と分離する。この場合、触媒 種類によっては、蒸発缶の内面に固化した 媒が粉状に付着し、これが原因で連続製造 支障を来すことがある。この現象は、目的 する塩化ホスファイトの収率の低下の原因 もなる。

 また、本出願人は先に、前記の製造方法 用い得る触媒として、4級ホスホニウム塩を 用いることを提案した(特許文献2参照)。しか し、この化合物を触媒として用いた場合にも 、上述した不都合が生じることがある。

特開昭61-112088号公報

特開平2-145594号公報

 したがって本発明の目的は、前述した従 技術の方法よりも生産性が更に向上した塩 ホスファイトの製造方法を提供することに る。

 前記の課題を解決すべく、本発明者らは 々の検討を行った結果、塩化ホスファイト 製造に用いられる触媒として低粘性のもの 用いることで、触媒の意図しない付着を防 でき、高い収率で高純度の塩化ホスファイ を製造し得ることを知見した。

 本発明は前記の知見に基づきなされたもの 、三塩化リンと、(RO) 3 P(式中Rは、アルキル基、置換アルキル基、フ ェニル基、置換フェニル基を示す。)で表さ る亜リン酸トリエステルとを、80℃における 粘度が100mPa・s以下である触媒の存在下で反 させて、RO(R’)PCl(式中Rは前記定義と同じで り、R’はRO又は塩素原子を示す。)で表され る塩化ホスファイトを製造する第一工程、及 び第一工程で得られた塩化ホスファイトを含 む反応液を短時間で気化させて前記触媒を分 離する第二工程を有することを特徴とする高 純度塩化ホスファイトの製造方法を提供する ものである。

 本発明の製造方法の第一工程においては、 塩化リンと、(RO) 3 Pで表される亜リン酸トリエステルとを触媒 存在下で反応させる。この反応に用いられ 亜リン酸トリエステルは、Rがアルキル基、 換アルキル基、フェニル基、置換フェニル であるものである。(RO) 3 Pで表される亜リン酸トリエステルにおいて 、3つのRは同一でもよく、あるいは異なって いてもよい。合成方法の容易さの点から、一 般に3つのRは同一である。

 (RO) 3 Pで表される亜リン酸トリエステルにおいて Rがアルキル基である場合、該アルキル基と ては、メチル基、エチル基、プロピル基、 チル基、アミル基、ヘキシル基、シクロヘ シル基、オクチル基、デシル基、ドデシル 、テトラデシル基等の炭素数1~14の基が好ま しく、特に炭素数1~6の基が好ましい。

 Rが置換アルキル基である場合、該置換ア ルキル基としては、前記のアルキル基が、ハ ロゲン、シアノ基、アルコキシ基等で置換さ れたものが挙げられる。

 Rが置換フェニル基である場合、該置換フ ェニル基としては、アルキル基、ニトロ基、 ハロゲン等で置換されたものが挙げられる。

 (RO) 3 Pで表される亜リン酸トリエステルの好適な としては、亜リン酸トリメチル、亜リン酸 リエチル、亜リン酸トリプロピル、亜リン トリブチル、亜リン酸トリオクチル、亜リ 酸トリフェニル等が挙げられる。

 本発明においては、三塩化リンと、(RO) 3 Pで表される亜リン酸トリエステルとの仕込 量を適切に調整することで、塩化ホスファ ト又は二塩化ホスファイトを選択的に製造 ることができる。具体的には、三塩化リン1 ル当たり、亜リン酸トリエステルを好まし は1.8~2.2モル、更に好ましくは1.85~2.1モル用 ることで、塩化ホスファイトが選択的に得 れる。一方、三塩化リン1モル当たり、亜リ ン酸トリエステルを好ましくは0.45~0.55モル、 更に好ましくは0.48~0.52モル用いることで、二 塩化ホスファイトが選択的に得られる。

 三塩化リンと、(RO) 3 Pで表される亜リン酸トリエステルとを反応 せるに際しては、触媒を用いる。本発明の 造方法は、使用する触媒に特徴の一つを有 る。本発明で用いられる触媒は、80℃におけ る粘度が100mPa・s以下、好ましくは80mPa・s以 、更に好ましくは60mPa・s以下のものである( 下、粘度というときには、80℃で測定され 値を指す。)。このような粘度の触媒を用い ことで、第一工程で得られる塩化ホスファ トを含む反応液を、第二工程で蒸発分離す ときに、触媒の意図しない付着を防止でき 。その結果、塩化ホスファイトの製造を、 断することなく長時間にわたり連続して行 ことができ、歩留まりが向上する。また、 い収率で高純度の塩化ホスファイトを製造 ることができる。なお、触媒の粘度の下限 に特に制限はなく、触媒として十分な能力 有する範囲において、粘度は低ければ低い ど好ましい。粘度が100mPa・s程度に低ければ 、本発明の製造方法を支障なく実施すること ができる。

 本発明において粘度は、粘度標準液(ブル ックフィールド社製)によって較正された振 式粘度計(CBC株式会社、VM-10A)を用いて80℃窒 雰囲気下にて測定した。

 本発明で用いられる触媒としては、以下 式(1)で表される4級アンモニウム塩又は4級 スホニウム塩であって、粘度が上述の値以 であるものを用いることが好ましい。特に 80℃で液体である4級アンモニウム塩又は4級 スホニウム塩であって、粘度が上述の値以 であるものを用いることが、触媒の付着防 の点、及び塩化ホスファイトを高収率で、 つ高品質で得られる点から好ましい。式(1) 表される化合物は、1種を単独で用いてもよ く、あるいは2種以上を組み合わせて用いて よい。

 式(1)で表される化合物においては、R 1 ~R 4 の4つのアルキル基のうち、3つのアルキル基 同じ基であり、残りの1つのアルキル基がそ れらとは異なる基であることが、粘度の低下 及び触媒能の向上の観点から好ましい。この 場合、3つのアルキル基の炭素数と、残り一 のアルキル基の炭素数との差が、2~10、特に2 ~8であると、粘度が一層低下し、また一層触 能が高まるので好ましい。3つのアルキル基 の炭素数と、残り一つのアルキル基の炭素数 との大小に特に制限はなく、3つのアルキル の炭素数の方が、残り一つのアルキル基の 素数よりも大きい場合と、3つのアルキル基 炭素数の方が、残り一つのアルキル基の炭 数よりも小さい場合とがある。

 式(1)で表される化合物においてYで表され るアニオンとしては、ビス(トリフルオロメ ルスルホニル)イミド、ビス(フルオロスルホ ニル)イミド、ジシアナミド、ハロゲン、テ ラフルオロボレート、ヘキサフルオロホス ェート、トリフルオロメタンスルホネート メタンスルホネート、トリフルオロアセテ ト、チオシアネート、ジメチルホスフェー 、ジエチルホスホロジチオエート、アミノ などが挙げられる。

 式(1)で表される化合物においては、同じ チオンを用いた場合であっても、アニオン 種類によって粘度が相違する。したがって アニオンの選定も、式(1)で表される化合物 粘度を低下させる観点から重要である。こ 観点から、Yで表されるアニオンとしては、 特にビス(トリフルオロメチルスルホニル)イ ド、トリフルオロアセテート、ジメチルホ フェートを用いることが好ましい。

 式(1)で表される化合物におけるカチオン 、アンモニウムイオン又はホスホニウムイ ンである。これらのうち、触媒能の高さ及 粘度の低さの点からホスホニウムイオンを いることが好ましい。

 式(1)で表される化合物がホスホニウム塩で る場合、該化合物の具体例としては、以下 ものが挙げられる。
トリメチルヘキシルホスホニウム・ビス(ト フルオロメチルスルホニル)イミド、トリメ ルヘキシルホスホニウム・ビス(フルオロス ルホニル)イミド、トリメチルヘキシルホス ニウム・ジシアナミド、トリメチルオクチ ホスホニウム・ビス(トリフルオロメチルス ホニル)イミド、トリメチルオクチルホスホ ニウム・ビス(フルオロスルホニル)イミド、 リメチルオクチルホスホニウム・ジシアナ ド

 トリエチルブチルホスホニウム・ビス(ト リフルオロメチルスルホニル)イミド、トリ チルブチルホスホニウム・ビス(フルオロス ホニル)イミド、トリエチルブチルホスホニ ウム・ジシアナミド

 トリエチルペンチルホスホニウム・ビス( トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ト エチルペンチルホスホニウム・ビス(フルオ スルホニル)イミド、トリエチルペンチルホ スホニウム・ジシアナミド

 トリエチルオクチルホスホニウム・クロ ド、トリエチルオクチルホスホニウム・テ ラフルオロボレート、トリエチルオクチル スホニウム・ヘキサフルオロホスフェート トリエチルオクチルホスホニウム・トリフ オロメタンスルホネート、トリエチルオク ルホスホニウム・メタンスルホネート、ト エチルオクチルホスホニウム・トリフルオ アセテート、トリエチルオクチルホスホニ ム・ビス(トリフルオロメチルスルホニル) ミド、トリエチルオクチルホスホニウム・ ス(フルオロスルホニル)イミド、トリエチル オクチルホスホニウム・ジシアナミド、トリ エチルオクチルホスホニウム・チオシアネー ト、トリエチルオクチルホスホニウム・ジメ チルホスフェート

 トリエチルドデシルホスホニウム・クロ ド、トリエチルドデシルホスホニウム・テ ラフルオロボレート、トリエチルドデシル スホニウム・トリフルオロメタンスルホネ ト、トリエチルドデシルホスホニウム・ビ (トリフルオロメチルスルホニル)イミド、 リエチルドデシルホスホニウム・ビス(フル ロスルホニル)イミド、トリエチルドデシル ホスホニウム・ジシアナミド

トリブチルメチルホスホニウム・クロリド 、トリブチルメチルホスホニウム・テトラフ ルオロボレート、トリブチルメチルホスホニ ウム・トリフルオロメタンスルホネート、ト リブチルメチルホスホニウム・ビス(トリフ オロメチルスルホニル)イミド、トリブチル チルホスホニウム・ビス(フルオロスルホニ ル)イミド、トリブチルメチルホスホニウム ジシアナミド、トリブチルメチルホスホニ ム・ジメチルホスフェート

 テトラブチルホスホニウム・ジメチルホ フェート、テトラブチルホスホニウム・ジ チルホスホロジチオエート、テトラブチル スホニウム・アミノ酸塩

 トリブチルオクチルホスホニウム・テト フルオロボレート、トリブチルオクチルホ ホニウム・トリフルオロメタンスルホネー 、トリブチルオクチルホスホニウム・メタ スルホネート、トリブチルオクチルホスホ ウム・トリフルオロアセテート、トリブチ オクチルホスホニウム・ビス(トリフルオロ メチルスルホニル)イミド、トリブチルオク ルホスホニウム・ビス(フルオロスルホニル) イミド、トリブチルオクチルホスホニウム・ ジシアナミド、トリブチルオクチルホスホニ ウム・チオシアネート、トリブチルオクチル ホスホニウム・ジメチルホスフェート

 トリブチルドデシルホスホニウム・テト フルオロボレート、トリブチルドデシルホ ホニウム・トリフルオロメタンスルホネー 、トリブチルドデシルホスホニウム・ビス( トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ト ブチルドデシルホスホニウム・ビス(フルオ スルホニル)イミド、トリブチルドデシルホ スホニウム・ジシアナミド

 トリブチルヘキサデシルホスホニウム・ リフルオロメタンスルホネート、トリブチ ヘキサデシルホスホニウム・ビス(トリフル オロメチルスルホニル)イミド、トリブチル キサデシルホスホニウム・ビス(フルオロス ホニル)イミド、トリブチルヘキサデシルホ スホニウム・ジシアナミド

 トリヘキシルメチルホスホニウム・テト フルオロボレート、トリヘキシルメチルホ ホニウム・トリフルオロメタンスルホネー 、トリヘキシルメチルホスホニウム・ビス( トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ト ヘキシルメチルホスホニウム・ビス(フルオ スルホニル)イミド、トリヘキシルメチルホ スホニウム・チオシアネート、トリヘキシル メチルホスホニウム・ジメチルホスフェート 、トリヘキシルメチルホスホニウム・トリフ ルオロアセテート、トリヘキシルメチルホス ホニウム・ジシアナミド

 トリヘキシルテトラデシルホスホニウム テトラフルオロボレート、トリヘキシルテ ラデシルホスホニウム・トリフルオロメタ スルホネート、トリヘキシルテトラデシル スホニウム・ビス(トリフルオロメチルスル ホニル)イミド、トリヘキシルテトラデシル スホニウム・ビス(フルオロスルホニル)イミ ド、トリヘキシルテトラデシルホスホニウム ・チオシアネート、トリヘキシルテトラデシ ルホスホニウム・ジメチルホスフェート、ト リヘキシルテトラデシルホスホニウム・トリ フルオロアセテート、トリヘキシルテトラデ シルホスホニウム・ジシアナミド

 トリオクチルメチルホスホニウム・テト フルオロボレート、トリオクチルメチルホ ホニウム・トリフルオロメタンスルホネー 、トリオクチルメチルホスホニウム・ビス( トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ト オクチルメチルホスホニウム・ビス(フルオ スルホニル)イミド、トリオクチルメチルホ スホニウム・チオシアネート、トリオクチル メチルホスホニウム・ジメチルホスフェート 、トリオクチルメチルホスホニウム・トリフ ルオロアセテート、トリオクチルメチルホス ホニウム・ジシアナミド

 トリオクチルエチルホスホニウム・テト フルオロボレート、トリオクチルエチルホ ホニウム・トリフルオロメタンスルホネー 、トリオクチルエチルホスホニウム・ビス( トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ト オクチルエチルホスホニウム・ビス(フルオ スルホニル)イミド、トリオクチルエチルホ スホニウム・チオシアネート、トリオクチル エチルホスホニウム・ジメチルホスフェート 、トリオクチルエチルホスホニウム・トリフ ルオロアセテート、トリオクチルエチルホス ホニウム・ジシアナミド

 これらのホスホニウム塩のうち、特に80 の粘度が低い点から、トリエチルペンチル スホニウム・ビス(トリフルオロメチルスル ニル)イミド、トリブチルメチルホスホニウ ム・ジメチルホスフェート、トリエチルペン チルホスホニウム・ジシアナミド、トリエチ ルオクチルホスホニウム・ビス(トリフルオ メチルスルホニル)イミド、トリエチルドデ ルホスホニウム・ビス(トリフルオロメチル スルホニル)イミド、トリブチルメチルホス ニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニ )イミド、テトラブチルホスホニウム・ジエ チルホスホロジチオエート、トリブチルオク チルホスホニウム・トリフルオロメタンスル ホネート、トリブチルオクチルホスホニウム ・トリフルオロアセテート、トリブチルオク チルホスホニウム・ビス(トリフルオロメチ スルホニル)イミド、トリブチルオクチルホ ホニウム・ジシアナミド、トリブチルオク ルホスホニウム・チオシアネート、トリブ ルドデシルホスホニウム・ビス(フルオロス ルホニル)イミド、トリヘキシルメチルホス ニウム・ビス(トリフルオロメチルスルホニ )イミド、トリオクチルメチルホスホニウム ・ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミ を用いることが好ましい。

 式(1)で表される化合物は、例えば4級ホス ホニウム塩の場合、3級ホスフィン類と、ア キルハライド又はジアルキル硫酸等とを混 し、必要に応じて加熱を行うことで調製す ことができる。アニオンを種々異ならせた4 ホスホニウム塩を調製する場合には、4級ホ スホニウムハライド(塩化物、臭化物、ヨウ 物)を、水性媒体中に溶解し、必要とするア オン種を発生させる試薬と反応させて、ア オン交換を行えばよい。

 4級アンモニウム塩の場合には、4級ホス ニウム塩の場合と同様に、3級アミン類と、 ルキルハライド又はジアルキル硫酸等とを 合し、必要に応じて加熱を行うことで4級ア ンモニウムハライド塩とする。次いで、得ら れた4級アンモニウムハライド塩を、水等の 性媒体中に溶解し、ホウフッ化水素酸や、 トラフルオロリン酸等のアニオン種を発生 せる試薬と反応させてアニオン交換を行え よい。

 第一工程における触媒の使用量は、亜リ 酸トリエステル1モル当たり0.05~20g、特に0.5~ 10gとすることが好ましい。第一工程における その他の反応条件として、温度は-10~90℃であ ることが好ましい。圧力は通常大気圧でよい が、加圧下又は減圧下で行っても差し支えな い。反応時間は、原料の種類や反応温度に応 じて適宜調整する。一般に反応温度が低い場 合には長時間を要し、高温の場合には短時間 で終了する。通常は0.5~80時間、特に2~24時間 あることが好ましい。

 第一工程においては、原料又は触媒の種 に応じ、溶剤を用いてもよく、あるいは用 なくてもよい。溶剤を使用する場合には、 料、触媒及び生成物と反応しない不活性溶 を用いることが好ましい。そのような溶剤 例としては、ベンゼン、クロロベンゼン、 ルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、ヘ サン、ペンタン、ヘプタン、オクタン、ノ ン等のパラフィン系炭化水素、ケロシン、 グロイン等の石油系炭化水素などが挙げら る。これらの溶剤は単独で使用してもよく あるいは2種以上を組み合わせて使用しても よい。

 第一工程においては、亜リン酸トリエス ルに、触媒を溶解するか、又は触媒を分散 せ、次に三塩化リンを添加した後、所定温 で所定時間反応を行う。この場合、亜リン トリエステルと三塩化リンは、それらの添 の順序を変えてもよい。第一工程における 応は、水の不存在下に行うことが好ましい 反応系に水を存在させないことで、触媒の 用効果が減殺されにくくなる。また、水の 在に起因して亜リン酸トリエステルが分解 て生じる亜リン酸ジエステルの生成がほと どなくなる。このことは、純度の高い塩化 スファイトを得る観点から有利である。

 第二工程においては、第一工程で得られ 塩化ホスファイトを含む反応液から塩化ホ ファイトと触媒とを分離する。両者の分離 、反応液を短時間で気化させることで行わ る。このような分離方法を採用することで 目的物である塩化ホスファイトが触媒と接 した状態で長時間加熱されることが防止さ 、それによって塩化ホスファイトが触媒に る二次分解を受けづらくなる。その結果、 純度の塩化ホスファイトを高収率で得るこ ができる。

 第二工程において、前記塩化ホスファイ を含む反応液から塩化ホスファイトと触媒 を分離する手段は、薄膜蒸留装置を用いて うことが連続的に該第二工程を行うことが きる点で工業的に有利である。また、前記 膜蒸留装置は、塩化ホスファイトを含む反 液を加熱して塩化ホスファイトを気化させ 手段、及び気化した塩化ホスファイトを冷 して液化する手段を備えているものが、効 的に触媒と塩化ホスファイトを分離できる で好ましく、更に、前記薄膜蒸留装置とし 自然流下式のものを用いると、極めて高純 の塩化ホスファイトを得ることができる点 特に好ましい。

 図1(a)には、第二工程で用いられる分離装 置10が模式的に示されている。分離装置10は 図1(a)に示すように薄膜蒸留装置20を備えて る。図1(b)は、図1(a)における薄膜蒸留装置20 b-b線断面の模式図である。同図に示すよう 、薄膜蒸留装置20は、同方向にそれぞれ延 る内管21とジャケット22とを備えている。内 21はジャケット22内に配置されている。内管 21とジャケット22との間には空間S1が形成され ている。内管21及びジャケット22は、例えば ラスや金属で構成されている。

 薄膜蒸留装置20における内管21内の空間S2 は冷媒が流通している。これによって、内 21の外側面21aは所定温度に冷却されている 一方、ジャケット22内の空間S3には熱媒が流 している。これによって、ジャケット22の 壁面22aは所定温度に加熱されている。

 このような構造を有する分離装置10を用 た第二工程について説明すると、薄膜蒸留 置20における上部から、第一工程で得られた 反応液を供給する。反応液は、ジャケット22 内壁面22aを膜状に流下するように供給され 。内壁面22aを膜状に流下するので反応液は 激に加熱される。それによって、低沸点成 である塩化ホスファイトは短時間で気化す 。一方、触媒は、塩化ホスファイトよりも 点が高いので、気化せずにジャケット22の 壁面22aを流下し続ける。この操作を確実な のとする観点から、熱媒の循環によるジャ ット22の内壁面22aの加熱温度は、塩化ホスフ ァイトが気化する温度以上で、かつ触媒が気 化しない温度とすることが重要である。塩化 ホスファイトが低温でも気化するようにする ために、薄膜蒸留装置20内を減圧状態にして よい。また、塩化ホスファイトの気化を促 し、均一な膜できるよう内壁面22aをそのま 軸のまわりに回転させてもよい。

 気化した塩化ホスファイトは、ジャケッ 22の内部に位置している内管21の外側面21aに 接触する。この外側面21aは上述のとおり冷却 されているので、該外側面21aに接触した塩化 ホスファイトは冷えて外側面21a上で液化する 。そして液化した塩化ホスファイトは外側面 21aを流下する。この観点から、冷媒の循環に よる内管21の外側面21aの冷却温度は、塩化ホ ファイトが液化する温度以下とすることが 要である。特に該冷却温度は、短時間で気 した塩化ホスファイトが液化し、また、該 化した塩化ホスファイトが流動性を示す温 とすることが目的物を高収率で得ることが きる点で好ましく、多くの場合は、0℃以下 、好ましくは-100~0℃、特に好ましくは-30~-5℃ である。また、塩化ホスファイトの液化を促 進させるために、内管21aをその軸のまわりに 回転させてもよい。

 このように、本分離装置10を用いると、 化ホスファイトは内管21の外側面21aを伝って 流下し、一方、触媒はジャケット22の内壁面2 2aを伝って流下する。その結果、塩化ホスフ イトと触媒とを首尾良く分離することがで る。しかも本発明で用いられる触媒は、先 述べたとおり低粘度のものであるから、固 によってジャケット22の内壁面22aに粉状又 ペースト状に付着することが起こりづらい その結果、操作を中断することなく長時間 わたり連続して操作を行うことができ、歩 まりを高くすることが可能となる。また、 化ホスファイトと触媒との分離の効率も良 なるので、高純度の塩化ホスファイトを高 率で得ることが可能となる。

 以下、実施例により本発明を更に詳細に 明する。しかしながら本発明の範囲は、か る実施例に制限されない。

  〔実施例1〕
 トリエチルホスファイト37.90gに、触媒であ トリエチルオクチルホスホニウム・ビス(ト リフルオロメチルスルホニル)イミド(80℃に ける粘度:25mPa・s)を2.00g溶解した。この液を 拌しながら20~25℃で三塩化リン16.80gを滴下 た。滴下終了後、25~30℃で6時間反応を行い ジエチルクロロホスファイトを生成させた

 生成したジエチルクロロホスファイトを む反応液を、図1に示す分離装置10の薄膜蒸 装置20に供給した。薄膜蒸留装置20内は5kPa 減圧状態にした。薄膜蒸留装置20における内 管21に-10℃のケロシンを循環させて、外側面2 1aを冷却した。また、ジャケット22に90℃のシ リコンオイルを循環させて、内壁面22aを80℃ 加熱した。反応液を薄膜蒸留装置20内に連 的に供給し、30分後に液の供給を停止した。 その結果、内管21の外側面21aを流下してきた 51.00g(収率95.2%)及びジャケット22の内壁面22a 流下してきた液5.7gを得た。内管21の外側面2 1aを流下してきた液中のジエチルクロロホス ァイトの純度をガスクロマトグラフィで測 したところ、82.6%であった。また、薄膜蒸 装置20内には、触媒の固化による付着は観察 されなかった。

  〔実施例2〕
 トリエチルホスファイト37.90gに、触媒であ トリブチルメチルホスホニウム・ジメチル スフェート(80℃における粘度:34mPa・s)を2.00g 溶解した。この液を攪拌しながら20~25℃で三 化リン16.80gを滴下した。滴下終了後、25~30 で3時間反応を行い、ジエチルクロロホスフ イトを生成させた。ジエチルクロロホスフ イトの収率は96.5%であり、純度は88.2%であっ た。薄膜蒸留装置20内には、触媒の固化によ 付着は観察されなかった。

  〔実施例3〕
 トリエチルホスファイト37.90gに、触媒であ トリブチルオクチルホスホニウム・トリフ オロメタンスルホネート(80℃における粘度: 52mPa・s)を2.00g溶解した。この液を攪拌しなが ら20~25℃で三塩化リン16.80gを滴下した。滴下 了後、25~30℃で8時間反応を行い、ジエチル ロロホスファイトを生成させた。ジエチル ロロホスファイトの収率は96.1%であり、純 は84.7%であった。薄膜蒸留装置20内には、触 の固化による付着は観察されなかった。

  〔比較例1〕
 実施例1で用いた触媒に代えて、テトラ-n-ブ チルホスホニウムブロマイド(80℃では固体) 2.0g用いた。これ以外は実施例1と同様にして ジエチルクロロホスファイトを得た。ジエチ ルクロロホスファイトの収率は73.5%であり、 度は71.3%であった。薄膜蒸留装置20内には、 触媒の固化による付着が観察された。

 本発明によれば、反応液から目的物であ 塩化ホスファイトを蒸発によって分離する 程において、蒸発装置に触媒が付着するこ を効果的に防止することができる。その結 、本発明によれば、塩化ホスファイトの連 的な製造が可能であり、また高純度の塩化 スファイトを高収率で製造することができ 。

本発明の製造方法における第二工程で 適に用いられる分離装置を示す模式図であ 。

符号の説明

 10 分離装置
 20 薄膜蒸留装置
 21 内管
 21a 外側面
 22 ジャケット
 22a 内壁面