Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING HUMAN CERAMIDE USING TRANSFORMED YEAST
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/149665
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a method for producing human ceramide in yeast cells. The production method of the invention includes the steps of: 1) introducing a sphingoid Δ4-desaturase gene (DES1) by yeast cell transformation; 2) deactivating the expression of a yeast sphinganine C4-hydroxylase gene (SUR2) by yeast cell transformation; and deactivating the expression of a yeast sphingoid base kinase gene (LCB4) by yeast cell transformation.

Inventors:
KODAMA, Yukiko (1-1-1 Wakayamadai, Shimamoto-cho, Mishima-gu, Osaka 03, 6188503, JP)
児玉 由紀子 (〒03 大阪府三島郡島本町若山台1-1-1 サントリー研究センター内 Osaka, 6188503, JP)
OKUHARA, Hiroaki (1-1-1 Wakayamadai, Shimamoto-cho, Mishima-gu, Osaka 03, 6188503, JP)
Application Number:
JP2008/059241
Publication Date:
December 11, 2008
Filing Date:
May 20, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
SUNTORY LIMITED (1-40, Dojimahama 2-chome Kita-ku, Osaka-sh, Osaka 03, 5308203, JP)
サントリー株式会社 (〒03 大阪府大阪市北区堂島浜2丁目1番40号 Osaka, 5308203, JP)
HIROSHIMA UNIVERSITY (1-3-2, Kagamiyama Higashi-Hiroshima-sh, Hiroshima 11, 7398511, JP)
国立大学法人 広島大学 (〒11 広島県東広島市鏡山1-3-2 Hiroshima, 7398511, JP)
KODAMA, Yukiko (1-1-1 Wakayamadai, Shimamoto-cho, Mishima-gu, Osaka 03, 6188503, JP)
International Classes:
C12P13/00; C12N1/19; C12N15/12; C12N15/53; C12P13/00; C12N1/19; C12N15/12; C12N15/53
Attorney, Agent or Firm:
ONO, Shinjiro et al. (YUASA AND HARA, Section 206 New Ohtemachi Bldg.,2-1, Ohtemachi 2-chom, Chiyoda-ku Tokyo 04, 1000004, JP)
Download PDF:
Claims:
 ヒト型セラミドを酵母細胞内で製造する方法であって、
  1)酵母細胞の形質転換によって、スフィンゴイド δ4-デサチュラーゼ遺伝子(DES1)を導入すること;
  2)酵母細胞の形質転換によって、酵母スフィンガニン C4-ヒドロキシラーゼ遺伝子(SUR2)の発現を欠失させること;及び
  3)酵母細胞の形質転換によって、酵母スフィンゴイド塩基リン酸化酵素遺伝子(LCB4)の発現を欠失させること
を含む、前記製造方法。
 酵母スフィンゴイド塩基リン酸化酵素遺伝子(LCB4)が、配列番号10のアミノ酸配列又は配列番号10において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換しているアミノ酸配列を有しており、かつ、スフィンゴイド塩基リン酸化活性を有するタンパク質をコードする、請求項1に記載の方法。
 スフィンゴイド δ4-デサチュラーゼ遺伝子(DES1)が、配列番号2のアミノ酸配列又は配列番号2において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換しているアミノ酸配列を有しており、かつ、スフィンゴイド δ4-デサチュラーゼ活性を有するタンパク質をコードする、請求項1又は2に記載の方法。
 酵母スフィンガニン C4-ヒドロキシラーゼ遺伝子(SUR2)が、配列番号6のアミノ酸配列又は配列番号6において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換しているアミノ酸配列を有しており、かつ、スフィンガニン C4-ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
 さらに、4)酵母細胞の形質転換によって、酵母スフィンゴ脂質 α-ヒドロキシラーゼ遺伝子(SCS7)の発現を欠失させることを含む、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
 酵母スフィンゴ脂質 α-ヒドロキシラーゼ遺伝子(SCS7)が、配列番号8のアミノ酸配列又は配列番号8において1またはそれ以上のアミノ酸残基が欠失、付加または置換しているアミノ酸配列を有しており、かつ、スフィンゴ脂質 α-ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク質をコードする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
 酵母が、サッカロミセス属の酵母から選択される、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
 1)スフィンゴイド δ4-デサチュラーゼ遺伝子(DES1)の導入に際し、各々異なる選択マーカーを含む2種以上のDES1発現ベクターを用いる、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の方法。
Description:
形質転換酵母を用いたヒト型セ ミドの製造方法

 本出願は、2007年6月5日に出願された日本 特許出願2007-149657に基づく優先権を主張す 。

 本発明は、ヒト型セラミドを酵母細胞内 どの細胞内で製造する方法に関する。

 皮膚の最外層には、水分を保持する保湿 能と外部刺激から肌を保護するバリア機能 司る角質層という組織が存在する。角質層 角質細胞と天然保湿因子、そして細胞間脂 から構成されているが、その中でも特に細 間脂質の約半分を占めるセラミドが、それ の機能に極めて重要な役割を担っている。 えば、アトピー性皮膚炎や老人性乾皮症に 通する特徴は保湿能の著しい低下であるが その主因は脂質代謝酵素異常によるセラミ 量の減少であることが知られている。また ラミドはバリア機能の増強・美白作用やメ ニンの生成を抑制する作用があることも確 されている。セラミドは外部から補給する とが可能な物質である。

 J Invest Dermatol. 96:523-526, 1991(非特許文献 1)、Arch Dermatol Res. 283:219-223,1991(非特許文献2 )は、「アトピー性皮膚炎や老人性乾皮症に けるセラミド量の減少」について、J Dermatol  Sci. 1:79-83, 1990(非特許文献3)、Acta Derm Vener eol. 74:337-340, 1994(非特許文献4)は、「セラミ 量の減少と脂質代謝酵素異常」について、C ontact Dermatitis. 45:280-285, 2001(非特許文献5)、J  Eur Acad Dermatol Venereol. 16:587-594, 2002(非特 文献6)は、「セラミドによるバリア機能の回 復」について、そして、Cell Signal 14:779-785,  2002(非特許文献7)は、「セラミドによるメラ ン生成の抑制」について開示している。

 近年では、乾燥敏感肌を伴う皮膚疾患に する治療薬あるいは化粧品・美容健康食品 素材として大変注目されている。実際、化 品、食品・サプリメント等として、セラミ を配合した多くの製品がすでに市販されて り、さらに、セラミド原料市場規模は拡大 向が続いている。

 セラミドの原料としては、これまで牛な の動物由来のものが使われていたが、感染 の問題が指摘され、現在では米、小麦、大 や芋などの植物性セラミドが主流である。 近の基礎的研究(J. Clin. Invest. 112:1372-1382,  2003(非特許文献8))により、セラミドの構造が 膚の保湿・バリア能に極めて重要であるこ が明らかとなり、ヒトのセラミドと構造が なる植物性セラミドが機能性の高い脂質で るかどうか疑問が残る。しかも動植物に存 するセラミドは微量で抽出・精製が困難で り、生産性が悪い上コストが高いことから それらを克服することが可能な新しい生産 術の開発が強く望まれている。

 図1に示したように、スフィンゴ脂質合成・ 代謝経路においてジヒドロスフィンゴシン(DH S)生合成以降の反応は、ヒトを含む高等動物 胞と酵母の間で大きく異なることが知られ いる。また、スフィンゴ脂質合成・代謝経 において、各工程において機能する各酵素 ンパク質及び当該タンパク質をコードする 伝子についても、ある程度知見が得られて る(Biochemistry. 41:15105-15114. 2002(非特許文献9) ;J Biol Chem. 277:25512-25518,2002(非特許文献10);Yea st 9: 267-277,1993(非特許文献11);J Biol Chem 272:2 9704-29710,1997(非特許文献12);J Biol Chem 275:31369- 31378, 2000(非特許文献13);J Biol Chem 275:39793-397 98, 2000(非特許文献14))。
J Invest Dermatol. 96:523-526, 1991 Arch Dermatol Res. 283:219-223,1991 J Dermatol Sci. 1:79-83, 1990、 Acta Derm Venereol. 74:337-340, 1994 Contact Dermatitis. 45:280-285, 2001、 J Eur Acad Dermatol Venereol. 16:587-594, 2002 Cell Signal 14:779-785, 2002 J. Clin. Invest. 112:1372-1382, 2003 Biochemistry. 41:15105-15114. 2002 J Biol Chem. 277:25512-25518,2002 Yeast 9: 267-277,1993 J Biol Chem 272:29704-29710,1997 J Biol Chem 275:31369-31378, 2000 J Biol Chem 275:39793-39798, 2000

 植物性セラミドはヒトのセラミドと構造 異なる上に生産性が低い。それらを克服す ために、ヒト型セラミドを酵母細胞などの 胞を用いて製造することが可能な、新しい 産技術の開発が強く望まれている。

 本発明者らは、上記問題解決のために鋭 研究に努めた結果、本発明を想到した。

 本発明は、遺伝子組み換え技術と真核生 のセラミド合成・代謝および輸送システム 巧く制御することにより、機能性の高いヒ 型セラミドを効率的に生産する系を開発す 。そのため遺伝子操作が比較的容易であり しかも伝統的に食品製造に利用されている 芽酵母を宿主として用いる。

 具体的には、ヒトの角質層に存在し、そ なかでも分布量が最も多く皮膚の保湿・バ ア機能に極めて重要であると言われている ラミドNSをターゲットにする。セラミドの 造は細胞が持っている酵素の種類によって 定されており生物種で異なる。宿主として いる出芽酵母は、高等動物の主なセラミド あるセラミドNSを合成する酵素を持っていな い。その代わり宿主には宿主特有のセラミド を合成する酵素を有している。そのため酵母 でセラミドNSを合成させるためには、宿主由 のセラミド合成経路を抑制し、且つ必要な 素を酵母に導入する必要がある。

 具体的には、図1に示したように、スフィ ンゴ脂質合成・代謝経路においてジヒドロス フィンゴシン(DHS)生合成以降の反応は、ヒト 含む高等動物細胞と酵母の間で大きく異な 。即ち、出芽酵母(サッカロミセス属)では スフィンゴリピッド δ4-デサチュラーゼ遺 子(DES1)が存在しないことから、DHSのC-4位に 重結合を有するヒト型スフィンゴイド塩基( フィンゴシン)は合成されない(図2)。その代 わりスフィンガニン C4-ヒドロキシラーゼ遺 子(SUR2)がコードする酵素によってDHSのC-4位 水酸化されフィトスフィンゴシン(PHS)が合 される。あるいは、スフィンゴイド塩基リ 酸化酵素遺伝子(LCB4)がコードする酵素によ て、DHSをリン酸化してジヒドロスフィンゴ ン1リン酸を合成する。

 スフィンゴイド塩基が効率よく合成され ば、セラミドへと変換されることが期待さ る。

 本発明者らは、まずヒト型セラミドを酵 細胞内で製造させるために、1)酵母細胞内 は存在しないスフィンゴリピッド δ4-デサ ュラーゼ酵素を酵母細胞内で発現させるこ 、2)スフィンガニン C4-ヒドロキシラーゼ酵 活性を完全に又は部分的にでも破壊するこ 、そして、3)スフィンゴイド塩基リン酸化 素活性を完全に又は部分的にでも破壊する とが重要であること考えた。そこで先ず、 母の形質転換により、上述したSUR2遺伝子、L CB4遺伝子破壊株を作成し、その変異株にヒト DES1遺伝子を導入する、ということを想到し 。これにより、従来不可能であったヒト型 ラミドの酵母細胞内での製造が初めて可能 なった。

 本発明において、ヒト型セラミドは、例 ば図2の「目的生産物」に示された構造式を 有する、セラミドNSを意味する。これに対し 酵母型セラミドであるフィトセラミドは、 ト型セラミドの4位の二重結合部分が水酸基 で置換されている点で相違する(図3)。

 さらにまた、ヒト型セラミドNSを効率的に 産させるシステムを構築するために、本発 の製造方法の最適化を行った。具体的な方 としては、酵母の形質転換によって、以下 4)の工程を行い、ヒト型セラミドをより効率 よく製造することに成功した:
  4)セラミドNSが水酸化されないように酵母 フィンゴ脂質 α-ヒドロキシラーゼ遺伝子(S CS7)の発現を欠失させること。

 よって、本発明は、上記1)-3)を必須要件と 、4)を好ましい態様の追加要件として行うこ とにより、ヒト型セラミドを酵母細胞内で簡 便かつ効率よく製造する方法を提供するもの である。本発明は、好ましくは以下の態様を 含む。
(態様1)
 ヒト型セラミドを酵母細胞内で製造する方 であって、
  1)酵母細胞の形質転換によって、スフィン ゴイド δ4-デサチュラーゼ遺伝子(DES1)を導入 すること;
  2)酵母細胞の形質転換によって、酵母スフ ィンガニン C4-ヒドロキシラーゼ遺伝子(SUR2) 発現を欠失させること;及び
  3)酵母細胞の形質転換によって、酵母スフ ィンゴイド塩基リン酸化酵素遺伝子(LCB4)の発 現を欠失させること
を含む、前記製造方法。
(態様2)
 酵母スフィンゴイド塩基リン酸化酵素遺伝 (LCB4)が、配列番号10のアミノ酸配列又は配 番号10において1またはそれ以上のアミノ酸 基が欠失、付加または置換しているアミノ 配列を有しており、かつ、スフィンゴイド 基リン酸化活性を有するタンパク質をコー する、態様1に記載の方法。
(態様3)
 スフィンゴイド δ4-デサチュラーゼ遺伝子( DES1)が、配列番号2のアミノ酸配列又は配列番 号2において1またはそれ以上のアミノ酸残基 欠失、付加または置換しているアミノ酸配 を有しており、かつ、スフィンゴイド δ4- サチュラーゼ活性を有するタンパク質をコ ドする、態様1又は2に記載の方法。
(態様4)
 酵母スフィンガニン C4-ヒドロキシラーゼ 伝子(SUR2)が、配列番号6のアミノ酸配列又は 列番号6において1またはそれ以上のアミノ 残基が欠失、付加または置換しているアミ 酸配列を有しており、かつ、スフィンガニ  C4-ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク 質をコードする、態様1ないし3のいずれか1項 に記載の方法。
(態様5)
 さらに、4)酵母細胞の形質転換によって、 母スフィンゴ脂質 α-ヒドロキシラーゼ遺伝 子(SCS7)の発現を欠失させることを含む、態様 1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
(態様6)
 酵母スフィンゴ脂質 α-ヒドロキシラーゼ 伝子(SCS7)が、配列番号8のアミノ酸配列又は 列番号8において1またはそれ以上のアミノ 残基が欠失、付加または置換しているアミ 酸配列を有しており、かつ、スフィンゴ脂  α-ヒドロキシラーゼ活性を有するタンパク 質をコードする、態様1ないし5のいずれか1項 に記載の方法。
(態様7)
 酵母が、サッカロミセス属の酵母から選択 れる、態様1ないし6のいずれか1項に記載の 法。
(態様8)
 1)スフィンゴイド δ4-デサチュラーゼ遺伝 (DES1)の導入に際し、各々異なる選択マーカ を含む2種以上のDES1発現ベクターを用いる、 態様1ないし7のいずれか1項に記載の方法。

  スフィンゴリピッド δ4-デサチュ ラーゼ遺伝子(DES1)
 本発明の方法は構成要件1)として、酵母細 の形質転換によって、スフィンゴリピッド  δ4-デサチュラーゼ遺伝子(DES1)を導入するこ を含む。

 限定されるわけではないが、DES1は、好ま しくは、配列番号2のアミノ酸配列又は配列 号2において1またはそれ以上のアミノ酸残基 が欠失、付加または置換しているアミノ酸配 列を有しており、かつ、スフィンゴリピッド  δ4-デサチュラーゼ活性を有するタンパク質 をコードする。

 本発明に利用可能な遺伝子(核酸)は、ゲ ムDNA(その対応するcDNAも含む)、化学的に合 されたDNA、PCRにより増幅されたDNA、および れらの組み合わせが含まれる。

 DES1は、好ましくは配列番号1の塩基配列を する。これは配列番号2のアミノ酸配列を有 るヒト スフィンゴリピッド δ4-デサチュ ーゼタンパク質をコードする塩基配列であ 、例えば、GenBanK TM : accession number AF466375に開示されている。

 1つ以上のコドンが同一のアミノ酸をコー ドする場合があり、遺伝暗号の縮重と呼ばれ ている。このため、配列番号1とは完全には 致していないDNA配列が、配列番号2と全く同 のアミノ酸配列を有するタンパク質をコー することがあり得る。こうした変異体DNA配 は、サイレント(silent)突然変異(例えば、PCR 幅中に発生する)から生じてもよいし、また は天然配列の意図的な突然変異誘発の産物で あってもよい。

 DES1は、好ましくは配列番号2に記載のア ノ酸配列をコードする。しかしながら、こ に限定されることなく、1またはそれ以上の ミノ酸配列が欠失、付加または置換してい アミノ酸配列を有していてもよい。スフィ ゴリピッド δ4-デサチュラーゼ活性を有す 限り、全ての相同タンパク質を含むことが 図される。配列番号2と同等の機能を有する アミノ酸配列をコードする限り、配列番号2 限定されるものではない。「アミノ酸変異 は1から複数個、好ましくは、1ないし20個、 り好ましくは1ないし10個、最も好ましくは1 ないし5個である。

 DES1にコードされるアミノ酸配列は、配列 番号2に記載のアミノ酸配列と、少なくとも 70%、好ましくは約80%以上、より好ましくは90 %以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ま くは98%以上の同一性を有する。

 アミノ酸の同一性パーセントは、視覚的 査及び数学的計算により決定してもよい。 るいは、2つのタンパク質配列の同一性パー セントは、Needleman,S.B.及びWunsch,C.D.(J.Mol.Biol.,4 8:443-453,1970)のアルゴリズムに基づき、そして ウィスコンシン大学遺伝学コンピューターグ ループ(UWGCG)より入手可能なGAPコンピュータ プログラムを用い配列情報を比較すること より、決定してもよい。GAPプログラムの好 しいデフォルトパラメーターには:(1)Henikoff,S 及びHenikoff,J.G.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:10915-10919,19 92)に記載されるような、スコアリング・マト リックス、blosum62;(2)12のギャップ加重;(3)4の ャップ長加重;及び(4)末端ギャップに対する ナルティなし、が含まれる。

 当業者に用いられる、配列比較の他のプ グラムもまた、用いてもよい。同一性のパ セントは、例えばAltschulら(Nucl.Acids.Res.25.,p.3 389-3402,1997)に記載されているBLASTプログラム 用いて配列情報と比較し決定することが可 である。当該プログラムは、インターネッ 上でNational Center for Biotechnology Information(NCB I)、あるいはDNA Data Bank of Japan(DDBJ)のウェ サイトから利用することが可能である。BLAST プログラムによる相同性検索の各種条件(パ メーター)は同サイトに詳しく記載されてお 、一部の設定を適宜変更することが可能で るが、検索は通常デフォルト値を用いて行 。

 本発明の方法において、好ましくは、ス ィンゴリピッド δ4-デサチュラーゼが、配 番号2又は配列番号2と少なくとも70%の同一 アミノ酸配列を有しており、かつ、スフィ ゴリピッド δ4-デサチュラーゼ活性を有す 。

 同一の機能を有するタンパク質であって 、由来する品種の相違によって、そのアミ 酸配列に相違が存在しうることは当業者に って周知の事実である。スフィンゴリピッ  δ4-デサチュラーゼ活性を有する限り、DES1 は、配列番号1の塩基配列のこのような相同 、変異体も含みうる。配列番号2のヒト ス ィンゴリピッド δ4-デサチュラーゼタンパ 質以外にも、例えばマウス(M. musculus)やショ ウジョウバエ(D. melanogaster)、線虫(C. elegans) 分裂酵母(Schizosaccharomyces pombe)等で同様の活 を示すタンパク質をコードする遺伝子の存 が知られている(非特許文献10)。

 「スフィンゴリピッド δ4-デサチュラー 活性を有する」とは、例えば図2又は図3に されているように、ジヒドロスフィンゴシ のC-4にニ重結合を導入し、スフィンゴシン 合成する活性を意味する。あるいは、ジヒ ロセラミドのC-4にニ重結合を導入し、セラ ドNSを合成する活性を意味する。DES1の導入 より、形質転換酵母細胞内では、酵母の天 の代謝経路では合成されない、スフィンゴ ン及び/又はセラミドNSの合成が行われる。

 本発明の好ましいスフィンゴリピッド δ 4-デサチュラーゼ遺伝子はまた、配列番号1の 塩基配列にストリンジェントな条件下、例え ば、中程度又は高程度にストリンジェントな 条件下でハイブリダイズすることが可能であ り、かつ、フィンゴイド δ4-デサチュラーゼ 活性を有する核酸を含む。

 「ストリンジェントな条件下」とは、中 度または高程度にストリンジェントな条件 おいてハイブリダイズすることを意味する 具体的には、中程度にストリンジェントな 件は、例えば、DNAの長さに基づき、一般の 術を有する当業者によって、容易に決定す ことが可能である。基本的な条件は、Sambroo kら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,第3版,第6-7 章,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2001に示され 、そしてニトロセルロースフィルターに関し 、5×SSC、0.5% SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)の前洗浄溶液 、約40-50℃での、約50%ホルムアミド、2×SSC-6× SSC(または約42℃での約50%ホルムアミド中の、 スターク溶液(Stark’s solution)などの他の同様 のハイブリダイゼーション溶液)のハイブリ イゼーション条件、および例えば、約40℃-60 ℃、0.5-6×SSC、0.1% SDSの洗浄条件の使用が含 れる。好ましくは中程度にストリンジェン な条件は、約50℃、6×SSCのハイブリダイゼー ション条件(及び洗浄条件)を含む。高ストリ ジェントな条件もまた、例えばDNAの長さに づき、当業者によって、容易に決定するこ が可能である。

 一般に、こうした条件は、中程度にストリ ジェントな条件よりも高い温度および/また は低い塩濃度でのハイブリダイゼーション( えば、約65℃、6×SSCないし0.2×SSC、好ましく 6×SSC、より好ましくは2×SSC、最も好ましく 0.2×SSCのハイブリダイゼーション)および/ま たは洗浄を含み、例えば上記のようなハイブ リダイゼーション条件、およびおよそ65℃-68 、0.2×SSC、0.1% SDSの洗浄を伴うと定義され 。ハイブリダイゼーションおよび洗浄の緩 液では、SSC(1×SSCは、0.15M NaClおよび15mM ク ン酸ナトリウムである)にSSPE(1×SSPEは、0.15M  NaCl、10mM NaH 2 PO 4 、および1.25mM EDTA、pH7.4である)を代用するこ とが可能であり、洗浄はハイブリダイゼーシ ョンが完了した後で15分間行う。

 当業者に知られていて、以下にさらに記載 たように、ハイブリダイゼーション反応と 本鎖の安定性を支配する基本原理を適用す ことによって望ましい度合いのストリンジ ンシーを達成するためには、洗浄温度と洗 塩濃度を必要に応じて調整することが可能 あると理解すべきである(例えば、Sambrookら 2001を参照されたい)。核酸を未知配列の標 核酸へハイブリダイズさせる場合、ハイブ ッドの長さはハイブリダイズする核酸のそ であると仮定される。既知配列の核酸をハ ブリダイズさせる場合、ハイブリッドの長 は核酸の配列を並列し、最適な配列相補性 もつ単数または複数の領域を同定すること よって決定可能である。50塩基対未満の長さ であることが予測されるハイブリッドのハイ ブリダイゼーション温度は、ハイブリッドの 融解温度(T m )より5-25℃低くなければならず、T m は、以下の等式により決定される。長さ18塩 対未満のハイブリッドに関して、T m (℃)=2(A+T塩基数)+4(G+C塩基数)。18塩基対を超え る長さのハイブリッドに関しては、T m =81.5℃+16.6(log 10 [Na + ])+41(モル分率[G+C])-0.63(%ホルムアミド)-500/nで り、ここで、Nはハイブリッド中の塩基数で あり、そして[Na + ]は、ハイブリダイゼーション緩衝液中のナ リウムイオン濃度である(1×SSCの[Na + ]=0.165M)。好ましくは、こうしたハイブリダイ ズする核酸は各々、少なくとも8ヌクレオチ (または、より好ましくは、少なくとも15ヌ レオチド、または少なくとも20ヌクレオチド 、または少なくとも25ヌクレオチド、または なくとも30ヌクレオチド、または少なくと 40ヌクレオチド、または最も好ましくは少な くとも50ヌクレオチド)、またはそれがハイブ リダイズする核酸の長さの少なくとも1%(より 好ましくは少なくとも25%、または少なくとも 50%、または少なくとも70%、そして最も好まし くは少なくとも80)である長さを有し、それが ハイブリダイズする核酸と少なくとも50%(よ 好ましくは少なくとも70%、少なくとも75%、 なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90% 少なくとも95%、少なくとも97.5%、または少な くとも99%、そして最も好ましくは少なくとも 99.5%)の配列同一性を有する。ここで配列同一 性は、上記により詳しく記載されるように、 重複部分と同一性を最大化する一方、配列ギ ャップを最小化するように並列された、ハイ ブリダイズする核酸の配列を比較することに よって決定される。

 核酸の同一性パーセントは、視覚的検査 よび数学的計算によって決定することが可 である。あるいは、2つの核酸配列のパーセ ント同一性は、目視検査と数学的計算により 決定可能であるか、またはより好ましくは、 この比較はコンピュータ・プログラムを使用 して配列情報を比較することによってなされ る。代表的な、好ましいコンピュータ・プロ グラムは、遺伝学コンピュータ・グループ(GC G;ウィスコンシン州マジソン)のウィスコンシ ン・パッケージ、バージョン10.0プログラム GAP」である(Devereuxら、1984、Nucl.Acids Res.12:387 )。この「GAP」プログラムの使用により、2つ 核酸配列の比較の他に、2つのアミノ酸配列 の比較、核酸配列とアミノ酸配列との比較を 行うことができる。ここで、「GAP」プログラ ムの好ましいデフォルトパラメーターには:(1 )ヌクレオチドについての(同一物について1、 および非同一物について0の値を含む)一元(una ry)比較マトリックスのGCG実行と、Schwartzおよ Dayhoff監修「ポリペプチドの配列および構造 のアトラス(Atlas of Polypeptide SequenceおよびStr ucture)」国立バイオ医学研究財団、353-358頁、1 979により記載されるような、GribskovおよびBurg ess,Nucl.Acids Res.14:6745,1986の加重アミノ酸比較 トリックス;または他の比較可能な比較マト リックス;(2)アミノ酸の各ギャップについて30 のペナルティと各ギャップ中の各記号につい て追加の1のペナルティ;またはヌクレオチド 列の各ギャップについて50のペナルティと ギャップ中の各記号について追加の3のペナ ティ;(3)エンドギャップへのノーペナルティ :および(4)長いギャップへは最大ペナルティ し、が含まれる。当業者により使用される の配列比較プログラムでは、例えば、国立 学ライブラリーのウェブサイト:http://www.ncbi. nlm.nih.gov/blast/bl2seq/bls.htmlにより使用が利用可 能なBLASTNプログラム、バージョン2.2.7、また WU-BLAST2.0アルゴリズムが使用可能である。WU -BLAST2.0についての標準的なデフォルトパラメ ーターの設定は、以下のインターネットサイ ト:http://blast.wustl.eduに記載されている。さら 、BLASTアルゴリズムは、BLOSUM62アミノ酸スコ ア付けマトリックスを使用し、使用可能であ る選択パラメーターは以下の通りである:(A) い組成複雑性を有するクエリー配列のセグ ント(WoottonおよびFederhenのSEGプログラム(Comput ers and Chemistry,1993)により決定され;Woottonおよ びFederhen,1996「配列データベースにおける組 編重領域の解析(Analysis of compositionally biased  regions in sequence databases)」Methods Enzymol.266:5 44-71も参照されたい)、または、短周期性の内 部リピートからなるセグメント(Claverieおよび States(Computers and Chemistry,1993)のXNUプログラム より決定される)をマスクするためのフィル ターを含むこと、および(B)データベース配列 に対する適合を報告するための統計学的有意 性の閾値、またはE-スコア(KarlinおよびAltschul, 1990)の統計学的モデルにしたがって、単に偶 により見出される適合の期待確率;ある適合 に起因する統計学的有意差がE-スコア閾値よ 大きい場合、この適合は報告されない);好 しいE-スコア閾値の数値は0.5であるか、また は好ましさが増える順に、0.25、0.1、0.05、0.01 、0.001、0.0001、1e-5、1e-10、1e-15、1e-20、1e-25、1 e-30、1e-40、1e-50、1e-75、または1e-100である。

 同様に、本発明のスフィンゴリピッド δ 4-デサチュラーゼ遺伝子(DES1)には、1つまたは 複数の塩基の欠失、挿入または置換のため、 配列番号1の塩基配列とは異なるが、スフィ ゴリピッド δ4-デサチュラーゼ活性を有す タンパク質をコードする核酸を含む。スフ ンゴリピッド δ4-デサチュラーゼ活性を有 るタンパク質をコードする限り、欠失、挿 または置換される塩基の数は特に制限され いが、好ましくは1個ないし数千個、より好 しくは1個ないし千個、さらにこのましくは 1個ないし500個、さらにより好ましくは1個な し200個、最も好ましくは1個ないし100個であ る。

 既定のアミノ酸を、例えば同様の物理化 的特性を有する残基により置換してもよい こうした保存的置換の例には、1つの脂肪族 残基を互いに、例えばIle、Val、Leu、またはAla を互いに置換するもの;LysおよびArg、Gluおよ Asp、またはGlnおよびAsn間といった、1つの極 残基から別のものへの置換;あるいは芳香族 残基の別のものでの置換、例えばPhe、Trp、ま たはTyrを互いに置換するものが含まれる。他 の保存的置換、例えば、同様の疎水性特性を 有する領域全体の置換が、周知である。当業 者は、周知の遺伝子工学的手法により、Sambro okら(2001)(上述)等に記載の、例えば部位特異 突然変異誘発法を使用して、所望の欠失、 入または置換を施すことが可能である。

  酵母スフィンガニン C4-ヒドロキ ラーゼ遺伝子(SUR2)
 本発明の方法は構成要件2)として、酵母細 の形質転換によって、酵母スフィンガニン  C4-ヒドロキシラーゼ遺伝子(SUR2)の発現を欠失 させることを含む。

 限定されるわけではないが、SUR2は、好ま しくは、配列番号6のアミノ酸配列又は配列 号6において1またはそれ以上のアミノ酸残基 が欠失、付加または置換しているアミノ酸配 列を有しており、かつ、スフィンガニン C4- ドロキシラーゼ活性を有するタンパク質を ードする。

 SUR2は、好ましくは配列番号5の塩基配列 有する。これは配列番号6のアミノ酸配列を する酵母スフィンガニン C4-ヒドロキシラ ゼタンパク質をコードする塩基配列であり 例えば、SGD(Saccharomyces Genome Database, http://ww w.yeastgenome.org/)に開示されている。

 SUR2は、好ましくは配列番号6に記載のア ノ酸配列をコードする。しかしながら、こ に限定されることなく、1またはそれ以上の ミノ酸配列が欠失、付加または置換してい アミノ酸配列を有していてもよい。スフィ ガニン C4-ヒドロキシラーゼ活性を有する り、全ての相同タンパク質を含むことが意 される。配列番号6と同等の機能を有するア ノ酸配列をコードする限り、配列番号6に限 定されるものではない。「アミノ酸変異」は 1から複数個、好ましくは、1ないし20個、よ 好ましくは1ないし10個、最も好ましくは1な し5個である。

 「スフィンガニン C4-ヒドロキシラーゼ 性を有する」とは、例えば図2又は図3に示さ れているように、ジヒドロスフィンゴシンの C-4に水酸基を導入し、フィトスフィンゴシン を合成する活性を意味する。あるいは、ジヒ ドロセラミドのC-4に水酸基を導入し、フィト セラミドを合成する活性を意味する。本発明 では、酵母細胞の形質転換によって、SUR2の 現を部分的又は完全に欠失させることによ て、酵母の天然の代謝経路では合成される フィトスフィンゴシン及び/又はフィトセラ ドの合成を部分的又は完全に抑制させる。S UR2遺伝子発現の抑制と、DES1遺伝子発現によ 、スフィンゴシン及び/又はセラミドNSの効 的な合成が可能になる。

 SUR2にコードされるアミノ酸配列は、配列 番号6に記載のアミノ酸配列と、少なくとも 70%、好ましくは約80%以上、より好ましくは90 %以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ま くは98%以上の同一性を有する。

 本発明の好ましい酵母スフィンガニン C4 -ヒドロキシラーゼ遺伝子(SUR2)はまた、配列 号5の塩基配列にストリンジェントな条件下 例えば、中程度又は高程度にストリンジェ トな条件下でハイブリダイズすることが可 であり、かつ、酵母スフィンガニン C4-ヒ ロキシラーゼ活性を有する核酸を含む。

 同様に、本発明の酵母スフィンガニン C4 -ヒドロキシラーゼ遺伝子(SUR2)には、1つまた 複数の塩基の欠失、挿入または置換のため 配列番号5の塩基配列とは異なるが、スフィ ンガニン C4-ヒドロキシラーゼ活性を有する ンパク質をコードする核酸を含む。

 「アミノ酸及び/又は塩基の欠失、付加、 置換」、「アミノ酸及び/又は塩基の同一性 ーセント」、ハイブリダイゼーションの「 トリンジェントな条件下」など、共通する 項については、DES1について上述した通りで る。

  スフィンゴイド塩基リン酸化酵素 遺伝子(LCB4)
 本発明の方法は構成要件3)として、酵母細 の形質転換によって、スフィンゴイド塩基 ン酸化酵素遺伝子(LCB4)の発現を欠失させる とを含む。

 LCB4は、例えば図1-図2に示されているよう にスフィンゴイド塩基のリン酸化活性を有す るタンパク質をコードする。LCB4活性はスフ ンゴイド塩基のリン酸化を促進し、スフィ ゴイド塩基の細胞内量を減少させる。ヒト セラミドをより効率的に生産されるために 、LCB4遺伝子を破壊し、スフィンゴイド塩基 細胞内量を増加させるほうがより有効であ 。よって、本発明はLCB4の発現を欠失させる ことを含む。

 限定されるわけではないが、LCB4は、好ま しくは、配列番号10のアミノ酸配列又は配列 号10において1またはそれ以上のアミノ酸残 が欠失、付加または置換しているアミノ酸 列を有しており、かつ、スフィンゴイド塩 リン酸化活性を有するタンパク質をコード る。

 LCB4は、好ましくは配列番号9の塩基配列 有する。これは配列番号10のアミノ酸配列を 有する酵母スフィンゴイド塩基リン酸化酵素 タンパク質をコードする塩基配列であり、例 えば、SGD(Saccharomyces Genome Database, http://www.ye astgenome.org/)に開示されている。

 LCB4は、好ましくは配列番号10に記載のア ノ酸配列をコードする。しかしながら、こ に限定されることなく、1またはそれ以上の アミノ酸配列が欠失、付加または置換してい るアミノ酸配列を有していてもよい。スフィ ンゴイド塩基リン酸化活性を有する限り、全 ての相同タンパク質を含むことが意図される 。配列番号10と同等の機能を有するアミノ酸 列をコードする限り、配列番号10に限定さ るものではない。「アミノ酸変異」は1から 数個、好ましくは、1ないし20個、より好ま くは1ないし10個、最も好ましくは1ないし5 である。

 「スフィンゴイド塩基リン酸化活性を有 る」とは、例えば図1-図3に示されているよ にジヒドロスフィンゴシンをリン酸化して ヒドロスフィンゴシン1リン酸を合成する活 性を有する、ことを意味する。本発明では、 酵母細胞の形質転換によって、LCB4の発現を 分的又は完全に欠失させることによって、 ましくないジヒドロスフィンゴシンのリン 化を抑制する。

 LCB4にコードされるアミノ酸配列は、配列 番号10に記載のアミノ酸配列と、少なくとも 70%、好ましくは約80%以上、より好ましくは9 0%以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ま くは98%以上の同一性を有する。

 本発明の好ましい酵母スフィンゴイド塩 リン酸化酵素遺伝子(LCB4)はまた、配列番号9 の塩基配列にストリンジェントな条件下、例 えば、中程度又は高程度にストリンジェント な条件下でハイブリダイズすることが可能で あり、かつ、酵母スフィンゴイド塩基リン酸 化活性を有する核酸を含む。

 同様に、本発明の酵母スフィンゴイド塩 リン酸化酵素遺伝子(LCB4)には、1つまたは複 数の塩基の欠失、挿入または置換のため、配 列番号9の塩基配列とは異なるが、スフィン イド塩基リン酸化活性を有するタンパク質 コードする核酸を含む。

 「アミノ酸及び/又は塩基の欠失、付加、 置換」、「アミノ酸及び/又は塩基の同一性 ーセント」、ハイブリダイゼーションの「 トリンジェントな条件下」など、共通する 項については、DES1について上述した通りで る。

  酵母スフィンゴ脂質 α-ヒドロキ ラーゼ遺伝子(SCS7)
 本発明の方法はさらに所望により、構成要 4)として酵母細胞の形質転換によって、酵 スフィンゴ脂質 α-ヒドロキシラーゼ遺伝子 (SCS7)の発現を欠失させることを含んでもよい 。SCS7は、例えば図2又は図3のフィトセラミド 、ジヒドロセラミド、セラミドNSのスフィン イド塩基にアミド結合した脂肪酸のα位の 素に水酸基を付加し、各々Cer(AP)、Cer(ASa)、Ce r(AS)を合成する活性を有する。SCS7活性の存在 により、所望のジヒドロセラミド、セラミド NSが合成されても、さらに水酸化されてしま 。よって、本発明は好ましくは、SCS7の発現 を欠失させることを含む。

 限定されるわけではないが、SCS7は、好ま しくは、配列番号8のアミノ酸配列又は配列 号8において1またはそれ以上のアミノ酸残基 が欠失、付加または置換しているアミノ酸配 列を有しており、かつ、スフィンゴ脂質 α- ドロキシラーゼ活性を有するタンパク質を ードする。

 SCS7は、好ましくは配列番号7の塩基配列 有する。これは配列番号8のアミノ酸配列を する酵母スフィンゴ脂質 α-ヒドロキシラ ゼタンパク質をコードする塩基配列であり 例えば、SGD(Saccharomyces Genome Database, http://ww w.yeastgenome.org/)に開示されている。

 SCS7は、好ましくは配列番号8に記載のア ノ酸配列をコードする。しかしながら、こ に限定されることなく、1またはそれ以上の ミノ酸配列が欠失、付加または置換してい アミノ酸配列を有していてもよい。スフィ ゴ脂質 α-ヒドロキシラーゼ活性を有する り、全ての相同タンパク質を含むことが意 される。配列番号8と同等の機能を有するア ノ酸配列をコードする限り、配列番号8に限 定されるものではない。「アミノ酸変異」は 1から複数個、好ましくは、1ないし20個、よ 好ましくは1ないし10個、最も好ましくは1な し5個である。

 「スフィンゴ脂質 α-ヒドロキシラーゼ 性を有する」とは、例えば図7に示されてい ように、フィトセラミド、ジヒドロセラミ 、セラミドNSのスフィンゴイド塩基にアミ 結合している脂肪酸のα位の炭素に水酸基を 付加し、各々Cer(AP)、Cer(ASa)、Cer(AS)を合成す 活性を有する、ことを意味する。本発明で 、好ましくは、酵母細胞の形質転換によっ 、SCS7の発現を部分的又は完全に欠失させる とによって、ジヒドロセラミド、セラミドN Sの好ましくない水酸化を抑制する。

 SCS7にコードされるアミノ酸配列は、配列 番号8に記載のアミノ酸配列と、少なくとも 70%、好ましくは約80%以上、より好ましくは90 %以上、さらに好ましくは95%以上、最も好ま くは98%以上の同一性を有する。

 本発明の好ましい酵母スフィンゴ脂質 α -ヒドロキシラーゼ遺伝子(SCS7)はまた、配列 号7の塩基配列にストリンジェントな条件下 例えば、中程度又は高程度にストリンジェ トな条件下でハイブリダイズすることが可 であり、かつ、酵母スフィンゴ脂質 α-ヒ ロキシラーゼ活性を有する核酸を含む。

 同様に、本発明の酵母スフィンゴ脂質 α -ヒドロキシラーゼ遺伝子(SCS7)には、1つまた 複数の塩基の欠失、挿入または置換のため 配列番号7の塩基配列とは異なるが、スフィ ンゴ脂質 α-ヒドロキシラーゼ活性を有する ンパク質をコードする核酸を含む。

 「アミノ酸及び/又は塩基の欠失、付加、 置換」、「アミノ酸及び/又は塩基の同一性 ーセント」、ハイブリダイゼーションの「 トリンジェントな条件下」など、共通する 項については、DES1について上述した通りで る。

  酵母の形質転換による遺伝子の導 入及び発現方法
 本発明において、酵母細胞内におけるDES1の 発現は限定されず、公知の方法を用いて行う ことが可能である。好ましくは、DES1を含む 現ベクターで宿主酵母細胞を形質転換し、 して、核酸の発現を可能にする条件下で形 転換酵母細胞を培養する、ことを含む。

 本発明の方法に利用可能な酵母は、限定 れるわけではないが、好ましくは、サッカ ミセス属(Saccharomyces)由来の酵母である。よ 好ましくは、サッカロミセス・セレビジエ サッカロミセス・パストリアヌス、サッカ ミセス・バイヤヌス、サッカロミセス・ク ベリである。サッカロミセス属を含む出芽 母は、遺伝子レベルでセラミドの合成・代 の解析が最も進んでいる。そのため、本発 のヒト型セラミドの製造方法を迅速に最適 することが可能である。また酵母細胞は培 が容易で、また、伝統的に食品製造に利用 れている。簡便、安全、安価にセラミドを 量に抽出・精製する方法を確立することが 能である。

 本発明において、遺伝子の導入・発現の めに公知の酵母発現ベクターを使用可能で る。本発明の実施例では、公知の酵母用遺 子発現ベクターpRS series(p4XX)(Mumberg et al.,  Gene, 156, 119, 1995)及びpYE22m(Ashikari et al., App l Microbiol Biotechnol,30, 515, 1989)を使用した。

 酵母に導入する際に用いるベクターとし は、多コピー型(YEp型)、単コピー型(YCp型)、 染色体組み込み型(YIp型)のいずれもが利用可 である。例えば、YEp型ベクターとしてはYEp2 4 (J. R. Broach et al., Experimental Manipulation of  Gene Expression, Academic Press, New York, 83, 1983 )、YCp型ベクターとしてはYCp50 (M. D. Rose et  al., gene, 60, 237, 1987)、YIp型ベクターとして YIp5(K. Struhl et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,  76, 1035, 1979)等多数の酵母用発現ベクター 当業者に公知であり、本発明の方法に利用 能である。

 発現ベクターは、各遺伝子の他に、一般 に、宿主における増殖のため、選択可能マ カーおよび複製起点を含むベクター内に含 されることが可能である。ベクターにはさ に、好ましくは酵母由来の適切な転写また 翻訳制御配列が、所望により本発明の核酸 連結されて、含まれる。

 制御配列の例には、転写プロモーター、 ペレーター、またはエンハンサー、mRNAリボ ソーム結合部位、並びに転写および翻訳開始 および終結を調節する適切な配列が含まれる 。ヌクレオチド配列は、制御配列が該DNA配列 に機能的に関連しているとき、機能可能であ るように連結されている。したがって、プロ モーターヌクレオチド配列は、該プロモータ ーヌクレオチド配列がDNA配列の転写を調節す るならば、DNA配列に、機能可能であるように 連結されている。宿主細胞において複製する 能力を与える複製起点、および形質転換体を 同定する選択遺伝子が、一般的に発現ベクタ ーに取り込まれている。

 選択マーカーとしては、通常使用される のを常法により用いることができる。例え テトラサイクリン、アンピシリン、または ナマイシンもしくはネオマイシン、ハイグ マイシンまたはスペクチノマイシン等の抗 物質耐性遺伝子やHIS3、TRP1などの栄養要求 遺伝子などが例示される。

 本発明の好ましい態様において、1)スフ ンゴイド δ4-デサチュラーゼ遺伝子(DES1)の 入に際し、各々異なる選択マーカーを含む2 以上のDES1発現ベクターを用いてもよい。例 えば、本明細書中の実施例7ではウラシル、 リプトファン、リジンの3種の異なる栄養要 性選択マーカーを含む、3種の発現ベクター を使用したところ酵母形質転換細胞での生産 量が約2倍近くに増加した。複数の選択マー ーは栄養要求性遺伝子に限定されず、所期 公知の選択マーカーを適宜組み合わせて使 することができる。

 酵母ベクターは、しばしば、2μ酵母プラ ミド由来の複製起点配列、自律複製配列(ARS )、プロモーター領域、ポリアデニル化のた の配列、転写終結のための配列、および選 可能マーカー遺伝子を含有するであろう。

 べクターは、簡便には当業界において入 可能な組換え用べクター(例えば、プラスミ ドDNAなど)に所望の遺伝子を常法により連結 ることによって調製することができる。プ スミドなどのベクターに遺伝子のDNA断片を み込む方法としては、例えば、Sambrook,J., and  Russell, D.W. (2001). Molecular Cloning: A Laborator y Manual, 3rd ed. (New York: Cold Spring Harbor Lab oratory Press)に記載の方法などが挙げられる。 簡便には、市販のライゲーションキット(例 ば、宝酒造製等)を用いることもできる。

 ベクターを宿主細胞に導入する方法とし は、一般に、Sambrook,J.ら(2001)(上述)に記載の リン酸カルシウム法または塩化カルシウム/ 化ルビジウム法、エレクトロポレーション 、エレクトロインジェクション法、PEGなど 化学的な処理による方法、遺伝子銃などを いる方法などが挙げられる。

  酵母の形質転換による各遺伝子の 欠失方法
 本発明の方法は、酵母細胞の形質転換によ て、
  2)酵母細胞の形質転換によって、酵母スフ ィンガニン C4-ヒドロキシラーゼ遺伝子(SUR2) 発現を欠失させること;及び
  3)酵母細胞の形質転換によって、酵母スフ ィンゴイド塩基リン酸化酵素遺伝子(LCB4)の発 現を欠失させること
を含む。

 本発明の方法はさらに、好ましい態様にお て、
 4)酵母細胞の形質転換によって、酵母スフ ンゴ脂質 α-ヒドロキシラーゼ遺伝子(SCS7)の 発現を欠失させることを含む。

 本発明において、各遺伝子の発現を欠失 せるとは、各遺伝子によってコードされる ンパク質活性が発揮されないことを意味す 。酵母細胞のゲノム上の各遺伝子を破壊す 、遺伝子の転写を阻害する、遺伝子からタ パク質の翻訳を阻害する、タンパク質が翻 されても活性の発揮を阻害する、など結果 に遺伝子によってコードされるタンパク質 性が発揮されなければ、本発明の方法にお る目的を達成するため、本発明の範囲に含 れる。欠失は、部分的な欠失であっても完 な欠失であってもよい。典型的には、母細 のゲノム上の各遺伝子を破壊し、遺伝子を 分的又は完全に欠失させる。

 SUR2、LCB4、SCS7の各遺伝子の発現の欠失は 知の方法によって行うことができる。

 例えば、本明細書中の実施例では各遺伝 の上流及び下流の塩基配列、及び選択マー ーを連結させたDNA断片を用い、酵母の天然 ゲノム配列との相同組換えによって、各遺 子を欠失させた。

 遺伝子の破壊は、ターゲットとする遺伝 における遺伝子産物の発現に関与する領域 例えば、コード領域やプロモーター領域の 部へ単一あるいは複数の塩基を付加あるい 欠失させたり、これらの領域全体を欠失さ ることにより行うことができる。このよう 遺伝子破壊の手法は、公知の文献を参照す ことができる(例えば、Yeast 10, 1793 (1994)、 Yeast 15,1541(1999)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76, 4951(1979) 、Methods in Enzymology, 101, 202(1983)な ど参照)。

 遺伝子破壊以外にも、本発明の目的のた に、各遺伝子の発現を抑制する方法として 、アンチセンス法(例えば、平島および井上 : 新生化学実験講座2 核酸IV 遺伝子の複製 発現 (日本生化学会編, 東京化学同人) pp.31 9-347, 1993などを参照)、RNAi法(特表2002-516062号 報; 米国特許公開公報第2002/086356A号; Nature Genetics, 24(2), 180-183, 2000などを参照)、リボ イムによる方法(FEBS Lett. 228: 228, 1988; FEBS  Lett. 239: 285, 1988; Nucl. Acids. Res. 17: 7059, 1989などを参照)、共抑制による方法(例えば Smyth DR: Curr. Biol. 7: R793, 1997、Martienssen R:  Curr. Biol. 6: 810, 1996など参照)などが挙げ れる。

  セラミド合成の確認方法
 本発明の方法によって、製造されたヒト型 ラミド(セラミドNS)は、公知の方法を用いる ことによって、抽出・精製することができる 。本発明の方法は、酵母細胞を使用するため 、大量の培養、セラミドの簡便かつ迅速な抽 出・精製が可能である。精製されたセラミド は、公知のスフィンゴイド分析のための方法 を用いて確認することが可能である。分析方 法は、例えば、図4に示すTLCやHPLC、マススペ トル(例えば、LC-MS、LC-MS/MS、FT-MS)等を含む

 本発明の形質転換酵母を用いるセラミド 製造法によれば、ヒトの皮膚で機能性の高 ヒト型セラミドを安価に製造することが可 となる。

図1は、酵母及び高等動物細胞における スフィンゴ脂質合成代謝経路を示す。 図2は、本発明のヒト型セラミドを酵母 細胞内で製造する方法の好ましい態様の概要 を示す。 図3は、酵母及び高等動物のスフィンゴ イド及びセラミドの分子種とその構造式を示 す。 図4は、酵母菌体の培養からTLC及びHPLC よる分析までの工程を模式的に示したもの ある。 図5は、トリチウム標識( 3 H)したD-erythro-dihydrosphingosine を用いた酵母の ラミドのTLCによる分析結果とバイオイメー アナライザー(BAS)を用いた放射能標識セラ ドの定量結果を示す。標識時間は23時間、温 度は25℃であった。

 左からサンプル1-3は以下の通りである。

 1. SUR2/SCS7二重破壊(実施例3)+空ベクター
 2. SUR2/SCS7二重破壊(実施例3)+DES1遺伝子発現
 3. SUR2/SCS7/LCB4三重破壊(実施例4)+DES1遺伝子 現

 以下、実施例によって本発明を具体的に 明するが、これらは本発明の技術的範囲を 定するためのものではない。当業者は本明 書の記載に基づいて容易に本発明に修飾・ 更を加えることができ、それらは本発明の 術的範囲に含まれる。

  実施例1:ヒト スフィンゴイド δ4 -デサチュラーゼ遺伝子(DES1)発現ベクターの 製
 公開されているデータベース中のヒト ス ィンゴイド δ4-デサチュラーゼ(sphingoid δ4-d esaturase)遺伝子(DES1)の塩基配列(GenBanK TM : accession number AF466375)(配列番号23、そのう のCDSは配列番号1)を参考にプライマーdes1F(配 列番号11)およびdes1R(配列番号12)を作製した。

 配列番号11:
 5’-CCTTCTCTAGAGGATCCATGGGGAGCCGCGTCTCGCGGGAAGAC-3’
 配列番号12:
 5’-CCTTCGAATTCCCCGGGCCAGGGGAGCTTCTGAGCATCACTGGTC-3’
 上記プライマー対を利用して、ヒトcDNAライ ブラリーを鋳型にPCRを行った。得られたPCR産 物(約1.1kb)のBamHIとSmaIサイトを利用して酵母 遺伝子発現ベクターpKO11 (Kamei et al., J. Bio l. Chem., 273,28341,1998;Dr.K.Tanakaより提供)にクロ ーニングした。

 サンガー法による塩基配列決定を行い、 ローンの塩基配列がデータベースと一致す ことを確認した。BamHIとXho1サイトを利用し 酵母用遺伝子発現ベクターpRS series(p4XX)(Mumb erg et al., Gene, 156, 119, 1995)にサブクローニ ングした。

   実施例2:酵母スフィンガニン C4- ドロキシラーゼ遺伝子(SUR2)破壊株の作製
 公開されている酵母ゲノムデータベース(SGD (Saccharomyces Genome Database, http://www.yeastgenome.or g/))中の酵母スフィンガニン C4-ヒドロキシラ ーゼ(sphinganine C4-hydroxylase)遺伝子(SUR2)の塩基 列(配列番号5)とその上流および下流領域を む配列(配列番号3)を参考にプライマーsur2F( 列番号13)およびsur2R(配列番号14)を作製した

 配列番号13:
 5’-CTCCGGCTTCTGCGGTTTTTCTTAGTCTTTCCGCACCAATTTTCACAGGAATT CCCGGGGATCCGG-3’
 配列番号14:
 5’-GGATAATAAATACAAACGTGGGAAGTCGGAGACATTGCCTTTACCCAGCAAGC TAGCTTGGCTGCAGG-3’
 上記プライマー対を利用して、プラスミドp YDp―L(Berben et al., Yeast,7,475,1991)を鋳型とし PCRを行い、SUR2遺伝子上流295bp、選択マーカ およびSUR2遺伝子下流75bpが連結したPCR産物を 得た。このPCR産物を用いてFK113株(MATa,ura3,his3, leu2,lys2,trp1,bar1-1)の形質転換を常法に従って い、栄養要求性培地で形質転換体を選抜し SUR2遺伝子破壊株を得た。

 正常遺伝子と破壊遺伝子で増幅する断片 長さが異なるように設計した確認用のプラ マー(配列番号15および16)を用いて、PCR法に りSUR2遺伝子破壊の確認を行った。

 配列番号15:
 5’-CTCCGGCTTCTGCGGTTTTTCTTAGTCTTTC-3’
 配列番号16:
 5’-GGAAGTCGGAGACATTGCCTTTACCCAG-3’
  実施例3:酵母SUR2、および酵母スフ ィンゴ脂質 α-ヒドロキシラーゼ遺伝子(SCS7) 重破壊株の作製
 公開されている酵母ゲノムデータベース(SGD )中の酵母スフィンゴ脂質 α-ヒドロキシラー ゼ(sphingolipid alpha-hydroxylase)遺伝子(SCS7)の塩基 配列(配列番号7)とその上流および下流領域を 含む配列(配列番号4)を参考にプライマーscs7up 280F(配列番号17)およびscs7up280R_G418(配列番号18) 、scs7down280F_G418(配列番号19)およびscs7down280R( 列番号20)を作製した。

 配列番号17:
 5’-CGAATTCAGCCGAAAACAGTCTTGCTT-3’
 配列番号18:
 5’-CTCCATGTCGCTTACCACCGCTTTTAGTGC-3’
 配列番号19:
 5’-CGCTATACTGCAGCCTCGTCCAAAATTGTCA-3’
 配列番号20:
 5’-CGAATTCTTGCCAACCTGATCTGTGAA-3’
 上記プライマー対を利用して、常法により 製した酵母ゲノムDNAを鋳型にPCRを行い、SCS7 遺伝子上流域約280bp、下流域約280bpにそれぞ 相当するPCR産物を得た。

 次に2段階目のPCRとして、これら2種類のPC R断片を混合し、既存プライマーをG-50ゲル濾 カラム(Quick Spin Columns for radiolabeled DNA pu rification, Roche社)で除去した後、ジェネティ ン(G418)抵抗性遺伝子をマーカーにもつpFA6a-ka nMX4(EMBL AJ002680)ベクターを鋳型に、上記プラ マーscs7up280Fとscs7down280Rの組み合わせで約2.3 kbのPCR断片を増幅した。この最終PCR産物を用 て、実施例2記載の酵母SUR2破壊株の形質転 を常法に従って行った。G418 300 mg/Lを含むYP D平板培地(1%酵母エキス、2%ポリペプトン、2% ルコース、2%寒天)で形質転換体を選抜し、S UR2/SCS7二重破壊株を取得した。

 目的の場所にG418遺伝子が挿入されSCS7遺 子が破壊されているかどうか調べるために SCS7遺伝子上流でプライマーSCS7 GD CheckF2(配 番号21)を、G418遺伝子内でプライマーG418Check R(配列番号22)を作製した。PCRで1.2kbの断片が 幅したものについて、遺伝子破壊株と確認 た。

 配列番号21:
 5’-GCGCTGCATACATAGACATATACAC-3’
 配列番号22:
 5’-ATACGCGATCGCTGTTAAAAGGACA-3’
  実施例4:酵母SUR2、SCS7および酵母 フィンゴシンキナーゼ遺伝子(LCB4)三重破壊 の作製
 実施例1―3と同様に、公開されている酵母 ノムデータベース(SGD)中のスフィンゴシンキ ナーゼ遺伝子(LCB4)(配列番号9)とその上流およ び下流領域を含む配列(配列番号24)の塩基配 を参考に、プライマーLCB4.KO-F(配列番号25)お びLCB4.KO-R(配列番号26)を作製した。His3をマ カーにもつプラスミドpYDp-H(Berben et al. 実 例3で引用)を鋳型に、上記プライマー対を用 いてPCRを行い、約1.2kbの断片を増幅した。こ PCR産物を用いて、実施例4記載の酵母SUR2/SCS7 二重破壊株の形質転換を常法に従って行った 。ヒスチジンを含まない最小完全平板培地(SC -His)で選抜し、SUR2/SCS7/LCB4の3重破壊株を取得 た。

 配列番号25:
 5’-AGGTTATCAAGAACACAAAAGTCTAGCAGCGAAAAGTACGGAATTCCCGGGGA TCCG-3’
 配列番号26:
 5’-AAGGACGCAACTTCCAAGTGAATGATTTAATGTGCATATATGAAGCTAGCTTG GCTGCAG-3’
 正常遺伝子と破壊遺伝子ではPCRで増幅する 片の長さが異なるように、プライマーLCB4.KO C-F(配列番号27)とLCB4.KOF-R(配列番号28)を設計し 、PCRで遺伝子破壊を確認した。

 配列番号27:
 5’-GAAGAAAGGCATACAAGAAGGTGAAAATTCG-3’
配列番号28:
 5’-TCTGGATAAAGAGAGTACGACTTCTAAGG-3’
実施例5 ヒトDES1発現ベクターの 養要求性マーカーをウラシルからトリプト ァン・リジンに変えた2種ベクターの作製
 実施例1記載のhDES1発現ベクター(phDES1)から ロモーター・ターミネーターを含む約1.3kbの hDES1遺伝子断片をBamHIとXhoIで消化して切り出 、Trp1をマーカーにもつpRS424(2μ)GPDベクター( Mumberg et al., GENE, 156, 119-122, 1995)の同部位 挿入、トリプトファンマーカーをもつhDES1 現ベクターを構築した(phDES1w)。

 実施例1-4と同じく、SGD中のαアミノアジ ン酸リダクターゼ(LYS2)とその上流および下 領域を含む塩基配列(配列番号29)を参考にLYS2 クローニング用のプライマーLYS2-PstI-F(配列番 号30)およびLYS2-SmaI-R(配列番号31)を作製した。 常法により調製した酵母ゲノムDNAを鋳型に上 記プライマーを用いてPCRを行い、約5.1kbの断 を増幅した。得られた断片は一旦pCR-Blunt II -TOPOベクターにサブクローニングした後、制 酵素PstIとSmaI消化で約5.1kbのLys2断片を切り し、実施例1記載のphDES1をPstIとNaeI消化してUr a3のマーカーを除いた部分に挿入し、リジン ーカーをもつhDES1発現ベクターを構築した(p hDES1k)。

 配列番号30:
 5’- ACTGCAGAATTCCGGCGGTTTTTCGCGTG-3’
 配列番号31:
 5’- ACCCGGGGATTTGTCTCAACCTGCTTTGG-3’
実施例6 ヒトDES1発現プラスミド もつ酵母SUR2、SCS7、LCB4三重破壊株の作製
 実施例1で作製したヒトDES1(hDES1)発現ベクタ (phDES1)と、実施例5で作製したphDES1wとphDES1k 酵母SUR2、SCS7、LCB4三重破壊株に形質転換し 。

 形質転換の方法は常法に従った。形質転換 の選抜はphDES1の場合はウラシルを含まない 小完全平板培地(SC-Ura)を、phDES1、phDES1w、phDE S1kを3種同時に発現させる場合はウラシル・ リプトファン・リジンを含まない最小完全 板培地(SC-Ura,Trp,Lys)を使用した。

  実施例7 ヒトDES1発現プラスミド もつ酵母セラミド合成系・代謝系形質転換 のスフィンゴイド分析
 (1)親株FK113株;
 (2)実施例6で得られたヒトDES1遺伝子発現酵 (phDES1)SUR2、SCS7、LCB4三重破壊株、および
 (3)ヒトDES1遺伝子発現酵母(phDES1、 phDES1w、ph DES1k)SUR2、SCS7、LCB4三重破壊株
をSC培地で30℃、24時間培養した。次いで、37 、90分のヒートショック培養を行い、菌体 らスフィンゴイドを文献(Sperling et al., Journ al of Biological chemistry, 273, 28590, 1998)に従っ て、スフィンゴイド抽出、ジニトロフェノー ル化した。

 上記スフィンゴイドを用いて薄層クロマ グラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフ ー(HPLC)による分析を行った。以下に簡潔に の方法を示す。

 菌体(湿重量350mg)を直接、10%(w/v)Ba(OH) 2 を含む1,4-ジオキサン/水,1:1(v/v) 3ml中で、110 、24時間、加水分解した。遊離したスフィン ゴイドをクロロホルム/1,4-ジオキサン/水,8:3:8 (v/v/v)で層分離することによって抽出した。 機層を等量の0.1M KOH、0.5M KClで洗浄した後 0.5%(v/v) 1-フルオロ-2,4-ジニトロベンゼン メ タノール溶液 0.2mlと2M ホウ酸/KOH(pH10.5)0.8ml 60℃、30分間反応させてスフィンゴイドをジ トロフェノール化合物化(DNP化)した。反応 、回収した有機層を真空乾燥させて得られ DNP化スフィンゴイドをクロロホルムに溶解 た後、シリカゲル 60TLCプレート上でクロロ ルム/メタノール,9:1(v/v)を用いて展開した。 DNP化スフィンゴイドは黄色(UV照射下では暗青 色)を呈しており、これを観察した。

 次に、DNP化sphingoidをTLCプレートから回収 、クロロホルム/メタノール,2:1(v/v)で抽出後 、クロロホルム/メタノール/0.1 M KOH, 2:1:1(v/ v/v)で層分離を行った。有機層を回収し、真 乾燥した後、メタノールに溶解させてHPLCサ プルとして供試した。HPLCはシリカゲルODSカ ラムを用い、80% メタノール/アセトニトリル /2-プロパノール(10:3:1,v/v/v)、および20%水から0 %水への直線勾配溶出(流速 1ml/分、40分)を行 、350nm 紫外線吸収をモニタリングした。

 理解を容易にするために、TLC、HPLCによる スフィンゴイド分析のためのスキームを図4 示した。

 Sigma社から購入した既定量の合成スフィ ゴシンを同様に分析したHPLCデータを基準値 して菌体内のスフィンゴシンの定量を行っ 。菌体100mgあたりに蓄積したスフィンゴシ の計算値は以下の通りであった。

 (1)親株FK113株 0.13μg;
 (2)ヒトDES1遺伝子発現酵母(phDES1)SUR2、SCS7、LC B4三重破壊株 27.6μg;及び
 (3)ヒトDES1遺伝子発現酵母(phDES1、 phDES1w、ph DES1k)SUR2、SCS7、LCB4三重破壊株 46.2μg。

  実施例8:トリチウム標識( 3 H)したD-erythro-dihydrosphingosine を用 たセラミドの解析
 上述のセラミド合成系遺伝子形質転換酵母 最少液体培地で25℃、150rpmで23時間振盪培養 した後、酵母を回収し、最少液体培地に懸濁 させた懸濁液0.5ml(16OD 600 units/ml)を調製した。トリチウム標識( 3 H)したD-エリスロ-ジヒドロスフィンゴシンを1 0μl(10μCi)加え、一晩25℃で培養を行った(Zanola ri et al., The EMBO Journal, 19, 2824,2000)。250mM NaFと250mMのNaN 3 を200μl加え、反応を停止させた後、氷冷した 滅菌水で3度洗浄し、菌体を66μlの滅菌水に懸 濁させた。

 本懸濁液にグラスビーズを加え、激しく 拌することにより菌体を破砕した。これに ロロホルム、メタノール、懸濁液の比が10:1 0:3になるようにクロロホルム、メタノールを 加え、脂質を抽出した。抽出液の遠心分離を 行い、得られた上清を回収した後、窒素ガス を吹き付けて濃縮乾燥させた。試料を100μlの クロロホルム-メタノール-水(10:10:3)に溶解し 0.6N NaOHメタノール溶液を20μl加え、30℃、90 min反応させた後、0.6N 酢酸溶液で中和させた 。ブタノール抽出により塩を除去し、得られ たブタノール層(上層)を窒素ガスを吹き付け 濃縮乾燥させた。

 脂質を20μlのクロロホルム-メタノール(1:1 )に溶解させ、borate処理した薄層クロマトグ フィー(TLC)プレートにスポットし、クロロホ ルム-メタノール(9:1)で展開した(Triola et al., Molecular Pharmacology, 66, 1671, 2004)。展開後、 射能標識セラミドをバイオイメージアナラ ザー(BAS)で分析した。結果を図5に示す。

 ヒトDES1発現酵母SUR2/SCS7二重破壊株のみで DES1を発現させない場合、セラミドNS(CerNS)は く観察されなかった(0%)。ヒトDES1発現酵母SUR 2/SCS7二重破壊株のセラミドNS(CerNS)を100%とし 場合、ヒトDES1遺伝子発現酵母SUR2/SCS7/LCB4三 破壊株のセラミドNS(CerNS)は214%であった。