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Title:
METHOD FOR PRODUCING IODIZING AGENT AND METHOD FOR PRODUCING AROMATIC IODINE COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111521
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing an iodizing agent, which is characterized in that an iodine molecule is electrolyzed in a solution using an acid as a supporting electrolyte. This method for producing an iodizing agent enables to produce an iodine cation which is suitably used as an iodizing agent that does not require a sophisticated separation operation after completion of the iodizing reaction. Also disclosed is an electrolyte solution used in this method for producing an iodizing agent. Further disclosed is a method for producing an aromatic iodine compound, which is characterized by comprising a step for reacting an iodizing agent and an aromatic compound having one or more substituents and two or more hydrogen atoms in the nucleus in the presence of a specific ether compound. This method for producing an aromatic iodine compound is improved in position selectivity in an iodizing reaction of an aromatic compound.

Inventors:
YOSHIDA JUNICHI (JP)
SUGA SEIJI (JP)
KATAOKA KAZUHIDE (JP)
MIDORIKAWA KOJI (JP)
HAGIWARA YUJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054184
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
March 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN SCIENCE & TECH AGENCY (JP)
UNIV KYOTO (JP)
NIPPOH CHEMICALS (JP)
YOSHIDA JUNICHI (JP)
SUGA SEIJI (JP)
KATAOKA KAZUHIDE (JP)
MIDORIKAWA KOJI (JP)
HAGIWARA YUJI (JP)
International Classes:
C25B1/24; C07B39/00; C07C17/12; C07C25/02; C07C25/18; C07C25/22; C07C37/62; C07C39/27; C07C41/22; C07C43/225; C07C209/74; C07C211/52; C07C253/30; C07C255/50
Domestic Patent References:
WO2006073124A12006-07-13
Foreign References:
JPH05195272A1993-08-03
JP2004010599A2004-01-15
EP0376858B11994-02-02
Other References:
L.L.MILLER; E.P.KUJAWA; C.B.CAMBELL: "Iodation with electrolytically generated iodine (I)", J.AM.CHEM.SOC., vol. 92, 1970, pages 2821, XP000573922, DOI: doi:10.1021/ja00712a036
L.L.MILLER; B.F.WATKINS: "Scope and mechanism of aromatic iodination with electrolytically generated iodine (I)", J.AM.CHEM.SOC., vol. 98, 1976, pages 1515, XP002491790, DOI: doi:10.1021/ja00422a039
R.LINES; V.D.PARKER: "Electrophilic aromatic substitution by positive iodine species. Iodation of deactivated aromatic compounds", ACTA CHEM.SCAND., vol. B34, 1980, pages 47, XP002491791
T.SHONO ET AL.: "Aromatic iodination by positive iodine active species generated by anodic oxidation in orthoformate", TETRAHEDRON LETTERS, vol. 30, 1989, pages 1649, XP000572794, DOI: doi:10.1016/S0040-4039(00)99543-1
See also references of EP 2123795A4
Attorney, Agent or Firm:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK (2-6 Tenjinbashi 2-chome Kita,Kita-k, Osaka-shi Osaka 41, JP)
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Claims:
 酸を支持電解質として、溶液中でヨウ素分子を電気分解することを特徴とするヨウ素化剤の製造方法。
 前記酸は、下記一般式(1)
R 1 SO 3 H・・・(1)
(式(1)中、R 1 は、水酸基、炭素数1~6のアルキル基、フェニル基およびナフチル基のいずれか1種であり、該アルキル基は、水素原子がフッ素原子で置換されていてもよく、該フェニル基および該ナフチル基は置換基を有していてもよい。)で示されるスルホン酸類および下記一般式(2)
(式(2)中、R 2 、R 3 は、同一または異なってもよく、水素原子または炭素数1~10のアルキル基またはフェニル基であり、該フェニル基は置換基を有していてもよい。)で示されるリン酸類の少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲第1項に記載の製造方法。
 前記溶液には、有機溶媒が含まれていることを特徴とする請求の範囲第1項または第2項に記載の製造方法。
 前記有機溶媒は、脂肪族ニトリル、アルコール、塩素系溶剤、脂肪族アミド、環状エーテルおよびニトロメタンからなる群より選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求の範囲第3項に記載の製造方法。
 支持電解質として使用される酸と、ヨウ素分子とを含む電解液であって、
 前記酸の濃度は、0.01mol/L以上、19.0mol/L以下であることを特徴とする電解液。
 前記ヨウ素分子の濃度は、0.1質量%以上、50質量%以下であることを特徴とする請求の範囲第5項に記載の電解液。
 請求の範囲第5項または第6項に記載の電解液を電気分解してヨウ素カチオンを得ることを特徴とするヨウ素化剤の製造方法。
 下記一般式(3)
(式(3)中、mは2~6の整数であり、nは1以上の整数であり、R 1 、R 2 は、同一または異なっていてもよく、水素原子または炭素数1から10のアルキル基であり、R 3 、R 4 は、同一または異なっていてもよく、水素原子または炭素数1~10のアルキル基である)で示される非環式エーテル化合物および環式エーテル化合物の少なくとも1種の存在下で、ヨウ素化剤と、1つ以上の置換基および2つ以上の水素原子を核に有する芳香族化合物と、を反応させる工程を含むことを特徴とする芳香族ヨウ素化合物の製造方法。
 前記環式エーテル化合物は、環をなす炭素数が3~12であることを特徴とする請求の範囲第8項に記載の製造方法。
 前記ヨウ素化剤として、ヨウ素カチオンを用いることを特徴とする請求の範囲第8項または第9項に記載の製造方法。
 前記反応させる工程において得られた反応液から、固体状の反応生成物を分離し、該反応生成物を再結晶させる工程をさらに含むことを特徴とする請求の範囲第8項から第10項のいずれか1項に記載の製造方法。
 前記反応させる工程において得られた反応液に蒸留処理を施すことで、反応生成物を単離する工程をさらに含むことを特徴とする請求の範囲第8項から第10項のいずれか1項に記載の製造方法。
 1以上の置換基を有する芳香族化合物を貯蔵したタンクと、下記一般式(3)
(式(3)中、mは2~6の整数であり、nは1以上の整数であり、R 1 、R 2 は、同一または異なっていてもよく、水素原子または炭素数1から10のアルキル基であり、R 3 、R 4 は、同一または異なっていてもよく、水素原子または炭素数1~10のアルキル基である)で示される非環式エーテル化合物および環式エーテル化合物の少なくとも1種を貯蔵したタンクと、ヨウ素化剤を貯蔵したタンクと、を含むことを特徴とする芳香族ヨウ素化合物を製造するためのシステム。
Description:
ヨウ素化剤の製造方法、および 香族ヨウ素化合物の製造方法

 本発明は、ヨウ素化剤の製造方法および の製造方法に用いる電解液に関し、特に、 ウ素分子を電気分解してヨウ素カチオンを るヨウ素化剤の製造方法およびこの製造方 に用いる電解液に関する。また、本発明は 芳香族ヨウ素化合物の製造方法に関し、特 、ヨウ素の結合位置の選択性が向上した芳 族ヨウ素化合物の製造方法に関する。

 芳香族化合物の核にヨウ素原子が結合し いる芳香族ヨウ素化合物は、各種有機合成 中間体として幅広い需要がある。このよう 芳香族ヨウ素化合物の製造方法の一つに、 気分解により発生させたヨウ素カチオンを ウ素化剤として用いる方法が報告されてい (特許文献1および非特許文献1から3参照)。 ウ素カチオンは、反応性が高く非常に有効 ヨウ素化剤である。たとえば、非特許文献1 2には、有機溶媒(アセトニトリル)中で、金 塩を支持電解質として用いてヨウ素分子を 気分解することにより、ヨウ素カチオンを る方法が開示されている。また、非特許文 1、2には、得られたヨウ素カチオンを種々 芳香族化合物と反応させたことが開示され いる。さらに、非特許文献3には、支持電解 として、第4級アンモニウム塩を用いるヨウ 素カチオンの製造方法が開示されている。

 一方、このようなヨウ素化反応では、芳 族化合物に結合している置換基の種類に応 て、ヨウ素原子の結合位置が決定され、メ 配向をとる場合と、オルト‐パラ配向をと 場合とがある。ここで、メタ配向とは、置 基に対してメタ位にヨウ素原子が結合する 性をいい、オルト‐パラ配向とは、置換基 対して、オルト位またはパラ位のいずれか ヨウ素原子が結合する特性をいう。オルト パラ配向を示す場合には、オルト位にヨウ が結合した生成物と、パラ位にヨウ素が結 した生成物とが混在して得られることとな 。

 上記のようにオルト‐パラ配向を示すヨ 素化反応では、出発物質である芳香族化合 の置換基の種類に応じて、オルト位にヨウ が結合した生成物と、パラ位にヨウ素が結 した生成物とが、略1:1の比で得られること ある。

 しかしながら、近年、このようなヨウ素化 応において、ヨウ素原子の結合位置の選択 (以下、「位置選択性」ともいう。)を向上 せることが望まれている。特許文献1および 特許文献4には、ヨウ素の位置選択性を向上 させることを目的とした製造方法が開示され ている。具体的には、特許文献1には、炭素 極を用いて、ヨウ素分子を電解酸化し、ト エンをヨウ素化したときに、ヨウ素がパラ に結合した化合物が、オルト位にヨウ素が 合した化合物と比して多く得られることが 告されている。また、非特許文献4には、3つ のエーテル結合を有するオルソギ酸メチルエ ステルを含む溶液中でトルエンをヨウ素化す ることで、オルト位にヨウ素が結合した生成 物およびパラ位にヨウ素が結合した生成物を 得ることができ、その比が3:7であったことが 報告されている。

欧州特許第0376858号明細書(1990(平成2)年7 4日公開) L.L.Miller,E.P.Kujawa,C.B.Cambell,「Iodation with e lectrolytically generated iodine(I)」J.Am.Chem.Soc.,92,28 21,(1970) L.L.Miller,B.F.Watkins,「Scope and mechanism of a romatic iodination withelectrolytically generated iodine (I)」 J.Am.Chem.Soc.,98,1515,(1976) R.Lines,V.D.Parker,「Electrophilic aromatic substit ution by positve iodine species.Iodation of deactivati ed aromatic comounds」Acta Chem.Scand.,B34,p47,(1980) T.Shono,Y.Matsumura,S.Katoh,K.Ikeda,T.kamada,「Aromat ic iodination by positve iodine active species genera ted by anodic oxidation in orthoformate」Tetrahedron  Letters,30,1649,(1989)

 目的のヨウ素化化合物を得るためには、 ウ素化反応終了後に支持電解質を分離しな てはならないが、支持電解質として上記の 特許文献1から3のように塩を用いた場合に 、塩の種類によっては、カラムクロマトグ フィを用いる必要がある。カラムクロマト ラフィを用いた分離操作は、工業的応用が 難であり、このことが、電気分解により生 たヨウ素カチオンを用いた芳香族化合物の 造方法の工業化を妨げる一因であった。そ ため、ヨウ素化反応終了後に目的のヨウ素 化合物を単離するために、高度な分離操作 必要とすることがなく、工業的な生産を実 し得るヨウ素化剤の製造方法の開発が求め れている。

 また、本発明者らによると、特許文献1お よび非特許文献4のいずれの方法によっても ヨウ素が芳香族化合物のパラ位に結合した 香族ヨウ素化合物の生成割合を向上させる とができないことが確認されている。その め、位置選択性が向上したヨウ素化反応を 現し得る芳香族ヨウ素化合物の製造方法の 発が求められている。

 本発明は、上記問題点に鑑みてなされた のであり、その目的は、電気分解によりヨ 素カチオンを得る方法であって、得られた ウ素カチオンをヨウ素化剤として用いた場 、反応終了後に高度な分離操作を必要とす ことがないヨウ素化剤の製造方法および電 液を実現すること、ならびにヨウ素の位置 択性が向上した芳香族ヨウ素化合物の製造 法を実現することにある。

 本発明にかかるヨウ素化剤の製造方法は 酸を支持電解質として、溶液中でヨウ素分 を電気分解することを特徴とする。

 本発明にかかるヨウ素化剤の製造方法では
 前記酸は、下記一般式(1)
R 1 SO 3 H・・・(1)
(式(1)中、R 1 は、水酸基、炭素数1~6のアルキル基、フェニ ル基およびナフチル基のいずれか1種であり 該アルキル基は、水素原子がフッ素原子で 換されていてもよく、該フェニル基および ナフチル基は置換基を有していてもよい。) 示されるスルホン酸類および下記一般式(2)

(式(2)中、R 2 、R 3 は、同一または異なっていてもよく、水素ま たは炭素数1~10のアルキル基またはフェニル であり、該フェニル基は置換基を有してい もよい。)で示されるリン酸類の少なくとも1 種であることが好ましい。なお、本発明にお いて、リン酸類とはリン酸エステルを含む。

 本発明にかかるヨウ素化剤の製造方法で 、前記溶液は、有機溶媒が含まれているこ が好ましい。

 本発明にかかるヨウ素化剤の製造方法で 、前記有機溶媒は、脂肪族ニトリル、アル ール、塩素系溶剤、脂肪族アミド、環状エ テルおよびニトロメタンからなる群より選 される少なくとも1種であることが好ましい 。

 本発明にかかるヨウ素化剤の製造方法で 、酸を支持電解質として用いている。その め、ヨウ素カチオンをヨウ素化剤としてヨ 素化化合物を合成した場合に、反応終了後 支持電解質の分離を容易に行うことができ 。本発明者らは、鋭意検討の結果、ヨウ素 子を電気分解する際に、塩ではなく酸を支 電解質として利用できることを見出した。 は、カラムクロマトグラフィによる分離を ずとも、たとえば、中和反応により除去す ことができる。つまり、本発明によれば、 ウ素化反応終了後に高度な分離操作を必要 することがないヨウ素カチオンを得ること できる。本発明によって得られるヨウ素カ オンは、各種化合物のヨウ素化剤として好 に用いることができる。

 なお、非特許文献3には、トリフルオロ酢 酸が添加された有機溶媒中で、ヨウ素分子を 電気分解し、得られたヨウ素カチオンを用い て種々の芳香族化合物をヨウ素化する方法が 開示されている。しかしながら、非特許文献 3に記載の方法では、トリフルオロ酢酸が支 電解質として機能していなかった。

 本発明にかかる電解液は、支持電解質とし 機能し得る酸と、ヨウ素分子とを含む電解 であって、
 前記酸の濃度は、0.01mol/L以上、19.0mol/L以下 あることを特徴とする。

 本発明にかかる電解液では、前記ヨウ素 子の濃度は、0.1質量%以上、50質量%以下であ ることが好ましい。なお、本発明において、 「電解液」とは、そのまま電気分解に供され る溶液のことをいう。そのため、上記範囲外 の溶液を準備し、電気を流す前に希釈または 濃縮など公知の濃度調製手段を行って、上記 範囲内の濃度の溶液が得られた場合には、そ の溶液も本発明にかかる電解液に相当するこ ととなる。

 本発明にかかる電解液は、ヨウ素分子を 気分解してヨウ素カチオンを得るための電 液として用いられることが好ましい。

 本発明にかかる電解液を用いて、電気分 を行うことで、種々の化合物のヨウ素化剤 して好適に用いられるヨウ素カチオンを得 ことができる。

 また、本発明者らは、ヨウ素の位置選択 が向上した芳香族ヨウ素化合物を製造する とを鋭意検討した結果、特定の非環式エー ル化合物および環式エーテル化合物の少な とも1種の存在下で、ヨウ素カチオンと、1 以上の置換基および2つ以上の水素原子を核 有する芳香族化合物とを反応させることに り、芳香族化合物の置換基に対して、ヨウ の結合位置の選択性を向上させることがで ることを見出した。

 本発明にかかる芳香族ヨウ素化合物の製造 法は、
 下記一般式(3)

(式(3)中、mは2~6の整数であり、nは1以上の整 であり、R 1 、R 2 は、同一または異なっていてもよく、水素原 子または炭素数1から10のアルキル基であり、 R 3 、R 4 は、同一または異なっていてもよく、水素ま たは炭素数1~10のアルキル基である)で示され 非環式エーテル化合物および環式エーテル 合物の少なくとも1種の存在下で、ヨウ素化 剤と、1つ以上の置換基および2つ以上の水素 子を核に有する芳香族化合物と、を反応さ る工程を含むことを特徴とする。また、本 明において、アルキル基とは、置換されて てもよく、例えば、チオエーテル結合を有 るアルキル基を含む。

 本発明にかかる芳香族ヨウ素化合物の製 方法では、前記環式エーテル化合物は、環 なす炭素数が3~12であることが好ましい。

 本発明にかかる芳香族ヨウ素化合物の製 方法では、前記ヨウ素化剤として、ヨウ素 チオンを用いることが好ましい。

 本発明にかかる芳香族ヨウ素化合物の製 方法では、前記反応させる工程において得 れた反応液から、固体状の反応生成物を分 し、該反応生成物を再結晶させる工程をさ に含むことが好ましい。

 本発明にかかる芳香族ヨウ素化合物の製 方法では、前記反応させる工程において得 れた反応液に蒸留処理を施すことで、反応 成物を単離する工程をさらに含むことが好 しい。

 本発明にかかる芳香族ヨウ素化合物を製 するためのシステムは、1以上の置換基を有 する芳香族化合物を貯蔵したタンクと、非環 式エーテル化合物および環式エーテル化合物 の少なくとも1種を貯蔵したタンクと、ヨウ 化剤を貯蔵したタンクと、を含むことを特 とする。

 本発明にかかる製造方法によれば、特定 非環式エーテル化合物および環式エーテル 合物の存在下でヨウ素化反応を行うことで ヨウ素原子の結合位置の位置選択性を向上 せることができる。そのため、本発明によ ば、異性体の生成割合を低下させ、単一の 成物を効率よく製造することができる。

 本発明の他の目的、特徴、および優れた は、以下に示す記載によって十分分かるで ろう。また、本発明の利点は、添付図面を 照した次の説明で明白になるであろう。

 〔1.ヨウ素化剤の製造方法〕
 以下、本発明のヨウ素化剤の製造方法につ て詳細を説明する。本発明にかかる製造方 は、支持電解質として機能し得る酸を含む 液中でヨウ素分子を電気分解することを含 。

 1-1.電解液
 本発明にかかる電解液は、酸とヨウ素分子 を含む。

 (溶媒)
 溶媒は、上記ヨウ素分子および酸を溶解し ヨウ素分子を電気分解に供する役割を果た 。このような溶媒としては、有機溶媒が好 しい。有機溶媒としては、脂肪族ニトリル アルコール、塩素系溶剤、脂肪族アミド、 状エーテルおよびニトロメタンからなる群 り選択される少なくとも1種を用いることが できる。具体的には、アセトニトリル、プロ ピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロ ニトリル、バレロニトリル、イソバレロニト リル、ピバロニトリル、ヘキサンニトリル、 メタノール、エタノール、プロパノール、イ ソプロパノール、ブタノール、イソブタノー ル、tert‐ブタノール、クロロホルム、ジク ロメタン、四塩化炭素、1,2‐ジクロロエタ 、1,1,1‐トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロ エタン、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N‐ジ メチルアセトアミド、N‐メチルピロリドン N‐メチルピペリドン、テトラヒドロフラン 1,4‐ジオキサン、テトラヒドロピラン、ニ ロメタンを例示することができる。

 (酸)
 本発明にかかる製造方法では、酸を支持電 質として用いる。本明細書中で使用される 合、「酸」は、溶媒中にてイオンに解離し 電気分解に必要な電気を導く役割を果たす をいう。

 前記酸は、下記一般式(1)
R 1 SO 3 H・・・(1)
(式(1)中、R 1 は、水酸基、炭素数1~6のアルキル基、フェニ ル基およびナフチル基のいずれか1種であり 該アルキル基は、水素原子がフッ素原子で 換されていてもよく、該フェニル基および ナフチル基は置換基を有していてもよい。) 示されるスルホン酸類および下記一般式(2)

(式(2)中、R 2 、R 3 は、同一または異なっていてもよく、水素ま たは炭素数1~10のアルキル基またはフェニル であり、該フェニル基は置換基を有しても い。)で示されるリン酸類の少なくとも1種で あることが好ましい。

 スルホン酸類として、硫酸、メタンスル ン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホ 酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ タンスルホン酸などを挙げることができる リン酸類として、リン酸、メチルリン酸、 チルリン酸、イソデシルリン酸、2‐エチル キシルリン酸、フェニルリン酸などを挙げ ことができる。

 電解液中の酸の濃度は、0.01mol/L以上、19.0 mol/L以下であり、0.05mol/L以上、10.0mol/L以下で ることが好ましく、0.1mol/L以上、5.0mol/L以下 であることがより好ましい。酸の濃度が、0.0 1mol/Lより小さい場合には、溶液中に電気を流 すことができず、支持電解質としての役割を 果たせない。また、19.0mol/Lを超える場合には 、酸の濃度の調製が困難になるという問題が ある。

 (ヨウ素分子)
 本発明の製造方法では、ヨウ素分子が電気 解される。これにより、ヨウ素化反応終了 に、ヨウ素の金属化合物に由来する金属イ ンに対する分離作業を行う必要がない。ま 、ヨウ素の金属化合物を用いた場合には、 媒中に1価のヨウ素アニオンが存在すること となり、ヨウ素カチオンを得るためには、2 の電子を引き抜かなくてはならない。これ 対して、ヨウ素分子の場合には、1個の電子 引き抜くのみで、ヨウ素カチオンを発生さ ることができ、電気分解に要する電気量を なくすることができるという利点を有する 電解液におけるヨウ素分子の含有割合は、0 .1質量%以上、50質量%以下であり、0.5質量%以 、25質量%以下であることが好ましく、1.0質 %以上、10質量%以下であることがより好まし 。

 1-2.ヨウ素カチオンの製造
 上記の電解液を用いて電気分解を行い、下 反応式(4)に従って、ヨウ素カチオンを得る

 この電気分解は、たとえば、陽極側と陰極 とで2室に分離した電気分解装置を用いて行 うことができる。陽極側の室には、ヨウ素分 子、支持電解質および溶媒を投入し、陰極側 の室には、支持電解質と溶媒とを投入する。 この反応は、攪拌しつつ行うことが好ましい 。また、この反応は、-100℃以上、100℃以下 条件で行うことができ、好ましくは、-40℃ 上、40℃以下であり、より好ましくは、-20℃ 以上、25℃以下である。上記温度範囲であれ 、ヨウ素カチオンを良好に得ることができ 。この電気分解に用いる電気量は、ヨウ素 子1モルに対して、0.5F以上、5.0F以下である とが好ましい。これにより、陽極側の室に 、ヨウ素カチオンを含む溶液(以下、「ヨウ 素カチオン溶液」ともいう。)を得ることが きる。電気量が0.5Fより小さい場合には、電 分解を行うことができず、5.0Fを超える場合 には、ヨウ素以外の溶媒が酸化を受けたり、 ヨウ素カチオンがさらに酸化されることがあ る。

 電極としては、銅、銀、金、白金などの 属電極、銅、銀、金、白金などの金属でめ きされた電極、ステンレス、ハステロイな の耐蝕性の合金製の電極、またはグラファ ト、ダイヤモンドなどの炭素電極を用いる とができる。特に、白金電極が好ましい。

 1-3.芳香族ヨウ素化合物の製造
 上記反応により得られたヨウ素カチオンは 種々の化合物のヨウ素化に用いることがで る。特に、芳香族化合物の核にヨウ素を結 させたい場合のヨウ素化剤として好適に用 ることができる。

 以下に、ヨウ素カチオンを用いたヨウ素 の一例として、溶媒中で、ヨウ素カチオン 、芳香族化合物とを反応させて、芳香族ヨ 素化合物を製造する場合について説明する この反応は、下記の反応式(5)で表すことが きる。なお、反応式(5)は、芳香族化合物と て、トルエンを用いた場合を示す。

 芳香族ヨウ素化合物は、芳香族化合物が溶 した溶液中に、ヨウ素カチオン溶液を添加 、反応が完了するまで攪拌することで得ら る。なお、本発明において、芳香族化合物 は、芳香族性を示す化合物のことをいい、 素環又は複素環を有する化合物のいずれで ってもよい。同素環を有する芳香族化合物 しては、ベンゼン環、ナフタレン環などの 素数6~12の同素環を有する化合物が挙げられ る。

 複素環を有する芳香族化合物としては、 素、窒素および硫黄原子から選択された少 くとも1つ(通常、1~3つ程度)のヘテロ原子を する5員又は6員ヘテロ環を有する化合物が げられる。この場合、ヘテロ環は縮合環を 成してもよい。具体的には、ヘテロ原子と て酸素原子を含むフラン類、ヘテロ原子と て硫黄原子を含むチオフェン類、チアゾー 類、イソチアゾール類、ヘテロ原子として 素原子を含むピロール類、ピラゾール類、 ミダゾール類、トリアゾール類、ピリジン を例示することができる。

 具体的な芳香族化合物としては、トルエ 、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、イ プロピルベンゼン、tert‐ブチルベンゼン、 o‐キシレン、m‐キシレン、p‐キシレン、ビ フェニル、ナフタレン、m‐ターフェニル、p ターフェニル、フェノール、アニソール、 オフェン、アニリン、クロロベンゼン、ブ モベンゼン、ヨードベンゼン、p‐クロロト ルエン、o‐クロロトルエン、p‐クロロフェ ール、4‐メチルアニソール、2‐メチルア ソール、o‐ジメトキシベンゼン、m‐ジメト キシベンゼン、p‐ジメトキシベンゼンなど 用いることができる。

 このとき、芳香族化合物を溶解する溶媒 しては、アセトニトリル、プロピオニトリ 、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、 レロニトリル、イソバレロニトリル、ピパ ニトリル、ヘキサン、メチルシクロヘキサ 、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン メタノール、エタノール、プロパノール、 ソプロパノール、ブタノール、イソブタノ ル、tert‐ブタノール、ジエチルエーテル、 ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチル ーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチ メチルエーテル、1,2‐ジメトキシエタン、1 ,2‐ジエトキシエタン、ジエチレングリコー ジメチルエーテル、ジエチレングリコール エチルエーテル、ジエチレングリコールモ メチルエーテル、ジエチレングリコールモ エチルエーテル、トリエチレングリコール ノメチルエーテル、トリエチレングリコー モノエチルエーテル、テトラエチレングリ ールジメチルエーテル、テトラエチレング コールジエチルエーテル、テトラエチレン リコールモノメチルエーテル、テトラエチ ングリコールジエチルエーテル、エチレン リコール、エチレングリコールモノメチル ーテル、エチレングリコールモノエチルエ テル、ポリエチレングリコール、テトラヒ ロフラン、1,4‐ジオキサン、テトラヒドロ ラン、ジクロロメタン、クロロホルム、四 化炭素、1,2‐ジクロロエタン、1,1,1‐トリ ロロエタン、1,1,2‐トリクロロエタン、ニト ロメタン、ペンタフルオロ安息香酸などを用 いることができる。

 また、この合成では、ヨウ素カチオンと 1つ以上の置換基および2つ以上の水素原子 核に有する芳香族化合物とを、特定のエー ル化合物の存在下で反応させることにより ヨウ素の結合位置の選択性を向上できる。

 芳香族化合物が有する置換基は、電子供 基であることができる。このような芳香族 合物としては、トルエン、o‐キシレン、m キシレン、2‐クロロトルエン、3‐メトキシ フェノール、2‐メチルアニソール、3‐メチ アニソール、エチルベンゼン、クメン、tert ‐ブチルベンゼンなどを例示することができ る。

 エーテル化合物およびアミド化合物は、 媒中でヨウ素がオルト位に結合することを 体的に阻害する役割を果たすと推測される この場合、エーテル化合物およびアミド化 物を、上記芳香族化合物が溶解された溶液 添加して用いてもよいし、芳香族化合物が ーテル化合物およびアミド化合物に可溶で る場合には、それ自体を溶媒として用いて よい。

 エーテル化合物としては、非環式エーテ 化合物および環式エーテル化合物のいずれ 使用することができる。本発明の製造方法 使用される非環式エーテル化合物は、2つ以 上のエーテル結合を含み、一方のエーテル結 合の酸素原子と他方のエーテル結合の酸素原 子との間に、炭素数が2以上の炭素鎖を有す 化合物である。このような非環式エーテル 合物の一例として、以下の一般式(6)に示す 合物が挙げられる。

(式(6)中、mは1以上の整数であり、nは、2以上 整数であり、R 1 、R 4 は、同一または異なってもよく、水素または 炭素数1~3のアルキル基であり、該アルキル基 は、アルコキシ基で置換されていてもよい。 R 2 、R 3 は、同一または異なってもよく、水素または 炭素数1~3のアルキル基である。)
 一般式(6)で示される化合物としては、具体 に、1,2‐ジメトキシエタン、1,2‐ジエトキ エタン、ジエチレングリコールジメチルエ テル、ジエチレングリコールジエチルエー ル、ジエチレングリコールモノメチルエー ル、ジエチレングリコールモノエチルエー ル、トリエチレングリコールジメチルエー ル、トリエチレングリコールジエチルエー ル、トリエチレングリコールモノメチルエ テル、トリエチレングリコールモノエチル ーテル、テトラエチレングリコールジメチ エーテル、テトラエチレングリコールジエ ルエーテル、テトラエチレングリコールモ メチルエーテル、テトラエチレングリコー モノエチルエーテル、エチレングリコール エチレングリコールモノメチルエーテル、 チレングリコールモノエチルエーテル、ポ エチレングリコールなどを例示することが きる。

 環式エーテル化合物は、1つ以上のエーテ ル結合を有する環式の化合物である。環式エ ーテル化合物としては、テトラヒドロフラン 、クラウンエーテル、1,4‐ジオキサン、テト ラヒドロピラン、1,3,5‐トリオキサンを例示 ることができる。

 また、エーテル化合物を添加する場合に 、その添加量は、ヨウ素カチオン溶液に対 て0.1倍以上、10.0倍以下の容量であることが 好ましく、0.5倍以上、1.5倍以下であることが より好ましい。添加量が少ない場合には、選 択率の向上が見られず、多すぎる場合には、 ヨウ素化の収率が低下してしまう。

 上記の芳香族化合物を溶解した溶液に、 気分解により得られたヨウ素カチオン溶液 添加し、攪拌を継続することで反応を完結 ることができる。このとき、反応温度は、- 40℃以上、150℃以下であることが好ましい。 られた反応液に、公知の分離操作(抽出操作 、分液操作)を施すことにより、目的の反応 を単離する。

 本発明にかかるヨウ素化剤の製造方法で 、酸を支持電解質として用いている。その め、このヨウ素カチオンをヨウ素化剤とし ヨウ素化化合物を合成した場合に、反応終 後に支持電解質の分離を容易に行うことが きる。本発明者らは、鋭意研究の結果、ヨ 素分子を電気分解する際に、塩ではなく酸 支持電解質として利用できることを見出し 。酸は、カラムクロマトグラフィによる分 を経ずとも、たとえば、中和反応により除 することができる。そのため、本発明によ ば、ヨウ素化剤として用いた場合、反応終 後に高度な分離操作を必要とすることがな ヨウ素カチオンを得ることができる。

 〔2.芳香族ヨウ素化合物の製造方法〕
 以下、本発明の芳香族ヨウ素化合物の製造 法について詳細を説明する。本発明にかか 製造方法は、ヨウ素化剤と、1つ以上の置換 基および2以上の水素原子を核に有する芳香 化合物とを、特定のエーテル化合物の存在 で反応させることを含む。

 2-1.ヨウ素化剤
 まず、ヨウ素化剤について説明する。ヨウ 化剤としては、たとえば、ヨウ素カチオン を用いることが好ましい。

 ここで、ヨウ素カチオンの製造方法につ て説明する。ヨウ素カチオンは、たとえば 支持電解質を含む溶液中で、ヨウ素分子、 ウ素金属化合物(ヨウ素アニオン)の少なく も1種を電気分解することにより得られる。 のようなヨウ素カチオンを得るためには、 ず、電解液の調整を行う。電解液は、支持 解質と、ヨウ素分子またはヨウ素の金属化 物とを含む溶液である。

 (溶媒)
 電解液を構成する溶媒は、上記ヨウ素分子 たはヨウ素の金属化合物と、支持電解質を 解し電気分解に供することができる溶媒で る。このような溶媒としては、有機溶媒が ましい。有機溶媒としては、脂肪族ニトリ 、アルコール、塩素系溶剤、脂肪族アミド 環式エーテルおよびニトロメタンからなる より選択される少なくとも1種を用いること ができる。具体的には、アセトニトリル、プ ロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチ ロニトリル、バレロニトリル、イソバレロニ トリル、ピバロニトリル、ヘキサンニトリル 、メタノール、エタノール、プロパノール、 イソプロパノール、ブタノール、イソブタノ ール、tert‐ブタノール、クロロホルム、ジ ロロメタン、四塩化炭素、1,2‐ジクロロエ ン、1,1,1‐トリクロロエタン、1,1,2‐トリク ロエタン、N,N‐ジメチルホルムアミド、N,N ジメチルアセトアミド、N‐メチルピロリド ン、N‐メチルピペリドン、テトラヒドロフ ン、1,3‐ジオキサン、1,4‐ジオキサン、1,3,5 ‐トリオキサン、テトラヒドロピランおよび ニトロメタンを例示することができる。

 (支持電解質)
 支持電解質としては、酸または塩を用いる とが好ましい。支持電解質は、溶媒中に電 を導く役割を果たし、溶媒中でイオンに解 するものである。塩を用いる場合には、(nBu ) 4 NBF 4 、Et 4 NBF 4 、NaClO 4 、LiBF 4 、LiClO 4 、(nBu) 4 NClO 4 、Et 4 NClO 4 、LiCl、(nPr) 4 NClO 4 、Mg(ClO 4 ) 2 、(nBu) 4 NCl、(nBu) 4 NBr、(nBu) 4 NI、Et 4 NCl、Et 4 NBr、Et 4 NI、(nPr) 4 NBr、(nPr) 4 NI、KOHを用いることができる。

 酸を用いる場合には、硫酸、メタンスル ン酸、ベンゼンスルホン酸、p‐トルエンス ルホン酸およびリン酸のうちの少なくとも1 を例示することができる。支持電解質とし は、酸を用いることが好ましい。酸を用い 場合には、ヨウ素化反応終了後に、支持電 質の除去に際し、カラムクロマトグラフィ よる分離操作を行う必要がないという利点 有する。

 酸を用いる場合、電解液中の酸の濃度は 0.01mol/L以上、19.0mol/L以下であり、0.05mol/L以 、10.0mol/L以下であることが好ましく、0.1mol/ L以上、5.0mol/L以下であることがより好ましい 。酸の濃度が、0.01mol/Lより小さい場合には、 溶液中に電気を流すことができず、支持電解 質としての役割を果たせない。また、19.0mol/L を超える場合には、酸の濃度の調製が困難に なるという問題がある。

 (ヨウ素分子またはヨウ素金属化合物)
 本発明におけるヨウ素カチオンの製造では ヨウ素分子またはヨウ素の金属化合物が電 分解される。ヨウ素分子を使用する場合、 解液におけるヨウ素分子の含有割合は、0.1 量%以上、50質量%以下であり、0.5質量%以上 25質量%以下であることが好ましく、1.0質量% 上、10質量%以下であることがより好ましい ヨウ素分子の含有量が上記範囲内である場 には、生産性を低下させることなく、良好 生産することができる。ヨウ素の金属化合 としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリ ム、ヨウ化リチウム、ヨウ化アンモニウム ヨウ化バリウム、ヨウ化銅、ヨウ化鉛、ヨ 化ルビジウムなどを用いることができる。

 ヨウ素カチオンを得るための出発化合物 しては、ヨウ素分子を用いることが好まし 。ヨウ素分子は、ヨウ素の金属化合物と異 り、溶媒中でイオンとして存在していない め、1電子を引き抜くだけで、ヨウ素カチオ ンを生成することができる。これに対して、 ヨウ素の金属化合物は、1価のヨウ素アニオ として存在するため、ヨウ素カチオンを得 ためには、2電子を引き抜かなくてはならな 。つまり、ヨウ素分子を電気分解すること 、この電気分解に要する電気量を低くする とができるという利点を有する。また、ヨ 素の金属化合物(ヨウ化ナトリウム、ヨウ素 カリウムなど)を出発物質とした場合と異な 、得られたヨウ素カチオン溶液中に、金属 オンが混合することがない。そのため、カ ムクロマトグラフィを用いた分離操作を行 必要がないヨウ素カチオンを得ることがで る。

 (電気分解)
 上記の電解液を用いて電気分解を行い、下 反応式(4)に従って、ヨウ素カチオンを得る なお、下記反応式(4)では、ヨウ素分子が電 分解により酸化される場合を示す。

 この電気分解では、たとえば、陽極側と陰 側とで2室に分離した電気分解装置を用いて 行うことができる。陽極側の室には、ヨウ素 分子またはヨウ素の金属化合物、支持電解質 および溶媒を投入し、陰極側の室には、支持 電解質と溶媒とを投入する。また、この反応 は、-100℃以上、100℃以下の条件で行うこと でき、好ましくは、-40℃以上、40℃以下であ り、より好ましくは、-20℃以上、25℃以下で る。上記温度範囲であれば、良好にヨウ素 チオンを得ることができる。この電気分解 用いる電気量は、ヨウ素分子1モルに対して 、0.5F以上、5.0F以下であることが好ましい。 れにより、陽極側の室には、ヨウ素カチオ を含む溶液(以下、「ヨウ素カチオン溶液」 ともいう。)を得ることができる。電気量が0. 5Fより小さい場合には、電気分解を行うこと できず、5.0Fを超える場合には、ヨウ素以外 の溶媒が酸化を受けたり、ヨウ素カチオンが さらに酸化されることがある。

 電極としては、銅、銀、金、白金などの 属電極、銅、銀、金、白金などの金属でめ きされた電極、ステンレス、ハステロイな の耐蝕性の合金製の電極、またはグラファ ト、ダイヤモンドなどの炭素電極を用いる とができる。特に、白金電極が好ましい。

 上記のように電気分解を用いてヨウ素カ オンを得る方法以外に、以下の方法により ウ素カチオンを得ることができる。N‐ヨー ドスクシンイミド、N,N‐ジヨード‐5,5‐ジメ チルヒダントインおよびビスピリジンヨード ニウムテトラフルオロボレートの少なくとも 1種を溶剤に溶解し、この溶解液にテトラフ オロホウ酸もしくはトリフルオロメタンス ホン酸などの酸を加えることにより、容易 ヨウ素カチオンを得ることができる。

 その他に、ヨウ素分子もしくはヨウ化物 オンに次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸ナ リウム、塩素酸ナトリウム、過塩素酸ナト ウム、次亜臭素酸ナトリウム、臭素酸ナト ウム、過ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ素酸ナ リウム、塩素、臭素、過硫酸アンモニウム 過酸化水素、過酢酸などの酸化剤を加えて ウ素カチオンを得ることができる。

 2-2.芳香族ヨウ素化合物の製造
 次に、上記電気分解により得られたヨウ素 チオンと、1つ以上の置換基を有する芳香族 化合物とを反応させる。以下の説明では、芳 香族化合物がトルエンである場合を例として 、本発明にかかる芳香族ヨウ素化合物の製造 方法について説明する。

 本発明にかかる芳香族ヨウ素化合物は、 記の反応式(5)に従って製造される。

 芳香族化合物は、1つ以上の置換基および2 以上の水素原子が核に結合された芳香族化 物を用いる。なお、本発明において、芳香 化合物とは、芳香族性を示す化合物のこと いい、同素環又は複素環(核)を有する化合物 のいずれであってもよい。同素環を有する芳 香族化合物としては、ベンゼン環、ナフタレ ン環などの炭素数6~12の同素環を有する化合 が挙げられる。

 複素環を有する芳香族化合物としては、 素、窒素および硫黄原子から選択された少 くとも1つ(通常、1~3つ程度)のヘテロ原子を する5員又は6員ヘテロ環を有する化合物が げられる。この場合、ヘテロ環は縮合環を 成してもよい。具体的には、ヘテロ原子と て酸素原子を含むフラン類、ヘテロ原子と て硫黄原子を含むチオフェン類、チアゾー 類、イソチアゾール類、ヘテロ原子として 素原子を含むピロール類、ピラゾール類、 ミダゾール類、トリアゾール類、ピリジン を例示することができる。

 具体的な芳香族化合物としては、1つ以上 の置換基を有し、特に、電子供与基が置換基 であることが好ましい。このような芳香族化 合物としては、トルエン、o‐キシレン、m‐ シレン、フルオロベンゼン、クロロベンゼ 、ヨードベンゼン、フェノール、o‐クレゾ ール、m‐クレゾール、アニソール、アニリ 、N,N‐ジメチルアニリン、o‐トルイジン、m ‐トルイジン、2‐クロロトルエン、3-クロロ トルエン、2‐ブロモトルエン、3‐ブロモト エン、2‐フルオロトルエン、3-フルオロト エン、2‐ヨードトルエン、3‐ヨードトル ン、2‐メトキシフェノール、3‐メトキシフ ェノール、2‐メチルアニソール、3-メチルア ニソール、1,2‐ジメトキシベンゼン、1,3‐ジ メトキシベンゼン、エチルベンゼン、プロピ ルベンゼン、ベンジルクロライド、ベンジル ブロマイド、クメン、tert‐ブチルベンゼン ビフェニル、p‐ターフェニルなどを例示す ことができる。

 このとき、芳香族化合物を溶解する溶媒 しては、アセトニトリル、プロピオニトリ 、ブチロニトリル、イソブチロニトリル、 レロニトリル、イソバレロニトリル、ピパ ニトリル、ヘキサン、メチルシクロヘキサ 、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン メタノール、エタノール、プロパノール、 ソプロパノール、ブタノール、イソブタノ ル、tert‐ブタノール、ジエチルエーテル、 ジイソプロピルエーテル、tert-ブチルメチル ーテル、ジブチルエーテル、シクロペンチ メチルエーテル、1,2‐ジメトキシエタン、 トラヒドロフラン、1,4‐ジオキサン、テト ヒドロピラン、ジクロロメタン、クロロホ ム、四塩化炭素、1,2‐ジクロロエタン、1,1, 1‐トリクロロエタン、1,1,2‐トリクロロエタ ン、ニトロメタン、ペンタフルオロ安息香酸 などを用いることができる。また、溶媒とし ては、後述するエーテル化合物を用いること もできる。

 本発明では、ヨウ素化剤と、芳香族化合 との反応が、特定のエーテル化合物の存在 で行われる。特定のエーテル化合物は、溶 中でヨウ素がオルト位に結合するのを抑制 る機能を果たすと推測される。本発明では 特定のエーテル化合物が、上記芳香族化合 が溶解された溶液に添加されていてもよい 、芳香族化合物が特定のエーテル化合物に 溶である場合には、それ自体を溶媒として いてもよい。

 (エーテル化合物)
 エーテル化合物としては、一般式(3)に示す 環式エーテル化合物および環式エーテル化 物の少なくとも1種を使用することができる 。

(式(3)中、mは2~6の整数であり、nは1以上の整 であり、R 1 、R 2 は、同一または異なっていてもよく、水素原 子または炭素数1から10のアルキル基であり、 R 3 、R 4 は、同一または異なっていてもよく、水素ま たは炭素数1~10のアルキル基である)。

 一般式(3)で示される化合物としては、具 的に、1,2‐ジメトキシエタン、1,2‐ジエト シエタン、ジエチレングリコールジメチル ーテル、ジエチレングリコールジエチルエ テル、ジエチレングリコールモノメチルエ テル、ジエチレングリコールモノエチルエ テル、トリエチレングリコールモノメチル ーテル、トリエチレングリコールモノエチ エーテル、トリエチレングリコールジメチ エーテル、トリエチレングリコールジエチ エーテル、テトラエチレングリコールジメ ルエーテル、テトラエチレングリコールジ チルエーテル、テトラエチレングリコール ノメチルエーテル、テトラエチレングリコ ルモノエチルエーテル、エチレングリコー 、エチレングリコールモノメチルエーテル エチレングリコールモノエチルエーテル、 リエチレングリコールなどを例示すること できる。

 環式エーテル化合物は、1つ以上のエーテ ル結合を有する環式の化合物である。環式エ ーテル化合物としては、エチレンオキシド、 トリメチレンオシキド、テトラヒドロフラン 、クラウンエーテル、1,4‐ジオキサン、1,3‐ ジオキサン、テトラヒドロピラン、1,3,5‐ト オキサンなどを例示することができる。

 また、上記エーテル化合物を添加する場 には、その添加量は、ヨウ素化剤溶液に対 て、0.1~10.0倍の容量であることが好ましく 0.5~1.5倍の容量であることがより好ましい。 加量がヨウ素化剤溶液に対して、0.1倍より ない場合には、選択率の向上が見られず、1 0.0倍を超える場合には、ヨウ素化の収率が低 下してしまうことがある。

 上記の芳香族化合物を溶解した溶液に、 気分解により得られたヨウ素カチオン溶液 添加し、攪拌を継続することで反応を完結 ることができる。このとき、反応温度は、 40℃以上、100℃以下であることが好ましい 得られた反応液に、公知の分離操作(抽出操 、分液操作)を施すことにより、目的の反応 物を単離する。また反応温度は、‐40℃以上 0℃以下であることがより好ましい。この範 囲内の温度で反応させることにより、位置選 択性の向上をさらに図ることができる。

 その後、公知の分離操作(抽出、分液およ びカラムクロマトフラフィなど)により反応 を単離する。

 また、得られた反応物を再結晶すること 反応物の純度を高めることができる。具体 には、粗生成物をメタノール、エタノール プロバノール、イソプロバノール、ブタノ ルなどのアルコールに溶解し、-80℃以上、0 ℃以下の温度で結晶を析出させることを、複 数回繰り返すことが好ましい。この方法によ れば、純度を約98%までに向上させることがで きる。この数値範囲内で行うことにより、純 度の高い生成物を得るための再結晶を行うこ とができる。

 また、反応物の純度を高める操作として 、上記再結晶の他に、得られた反応液に蒸 処理を施すことで、純度の高い反応生成物 単離することができる。

 本発明にかかる製造方法によれば、ヨウ カチオンを用いて芳香族化合物をヨウ素化 る際に、特定のエーテル化合物の存在下で 応させることにより、ヨウ素の結合位置の 択性を向上させることができる。そのため 所望の芳香族ヨウ素化合物を効率よく製造 ることができる。

 また、本発明の製造方法で使用する特定 エーテル化合物は、溶媒中で安定な化合物 あり、取り扱いが容易である。そのため、 置選択性が向上したヨウ素化反応を、再現 よく行うことができ、工業化に適した製造 法を提供することができる。

 さらに、酸を支持電解質とした電気分解 より得られたヨウ素カチオンをヨウ素化剤 して用いることで、反応終了後に支持電解 の除去を容易に行うことができるという利 を有する。

 以下に、本発明の実施例について説明す 。なお、本発明は、以下の実施例に限定さ るべきものではない。

 〔1.ヨウ素化剤の製造〕
 [実施例1]
 (ヨウ素カチオンの生成)
 ヨウ素カチオンの生成は、H型2室型電解槽 用いて無水条件で行った。この際、隔膜と ては、ガラスフィルター(G4)を用いた。電極 、陽極、陰極ともに白金板(30mm×20mm)を用い 。電解槽を減圧下で乾燥後、窒素雰囲気と た後、陰極室に2.0M硫酸を含むアセトニトリ ル溶液13mL、陽極室に2.0M硫酸を含むアセトニ リル溶液13mLおよびヨウ素127mg(0.500mmol)を加 、0℃に冷却した。マグネチックスターラー 陽極室および陰極室を攪拌しつつ、0℃で定 電流電解(20mA)を行った。2.0F/mol通電すること 、陽極室にヨウ素カチオン溶液が得られた

 (芳香族ヨウ素化合物の製造)
 次に、得られたヨウ素カチオン溶液12.5mlを トルエン92mg(1.0mmol)を含むアセトニトリル溶 液2.5mlに添加した。このとき、反応液の温度 、0℃であった。0.5時間かけて攪拌した。反 応終了後、0℃で4N水酸化ナトリウム水溶液13m Lを加えて中和し、エーテル20mLを加えて希釈 た。反応混合物を分液漏斗に移し、有機層 水層とを分離した。水層をエーテルで抽出 、有機層は飽和食塩水で洗浄した。有機層 硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過した。濾 を減圧下で濃縮し、反応液を減圧濃縮し、4 ‐ヨードトルエン(表1においては、「4‐I体 と称する。)および2‐ヨードトルエン(表1に いては、「2‐I体」と称する。)が混合した 燥物を得た。実施例1による反応物の収率お よび4‐ヨードトルエンおよび2‐ヨードトル ンの混合割合を表1に示す。

 [実施例2]
 実施例2では、支持電解質として、5.0mol/Lの タンスルホン酸溶液を使用した以外は、実 例1と同様にしてヨウ素カチオンの生成を行 い、芳香族ヨウ素化化合物を得た。収率およ び4‐ヨードトルエンおよび2‐ヨードトルエ の混合割合について表1に示す。

 [実施例3]
 実施例3では、支持電解質として、4.0mol/Lの ン酸溶液を使用した以外は、実施例1と同様 にしてヨウ素カチオンの生成を行い、芳香族 ヨウ素化化合物を得た。収率および4‐ヨー トルエンおよび2‐ヨードトルエンの混合割 について表1に示す。

 [実施例4]
 実施例4では、支持電解質として、2.0mol/Lの リフルオロメタンスルホン酸を使用し、-20 で電気分解を行った以外は、実施例1と同様 にしてヨウ素カチオンの生成を行い芳香族ヨ ウ素化化合物を得た。収率および4‐ヨード ルエンおよび2‐ヨードトルエンの混合割合 ついて表1に示す。

 [実施例5]
 実施例5では、支持電解質として、2.0mol/Lの ンゼンスルホン酸を使用した以外は、実施 1と同様にしてヨウ素カチオンの生成を行い 、芳香族ヨウ素化化合物を得た。収率および 4‐ヨードトルエンおよび2‐ヨードトルエン 混合割合について表1に示す。

 [比較例1]
 比較例1では、支持電解質として、4.59mol/Lの トリフルオロ酢酸溶液を使用した以外は、実 施例1と同様にして反応を行った。しかし、 大で110ボルトの電圧をかけても電流が流れ かった。そのため、ヨウ素分子が電気分解 れず、ヨウ素カチオン溶液を得ることがで なかった。

 実施例1から5では、電気分解により得られ 溶液と、トルエンとを反応させることで、 ードトルエンを製造することができた。こ により、実施例1から5では、電気分解により ヨウ素カチオンが生成されていることが確認 された。

 [実施例6]
 実施例1と同様にして、ヨウ素カチオンを含 む溶液を製造した。このヨウ素カチオン溶液 12.5mlに、1,2‐ジエトキシエタン10mlを加えた ついで、トルエン92mg(1.0mmol)および1,2‐ジメ キシエタン2.5mlを50mlのナスフラスコに仕込 、マグネチックスターラーにて攪拌し、氷 浴にて0℃まで冷却した。ここに、ヨウ素カ チオン溶液22.5mlを添加して、0℃で1時間反応 行った。得られた反応液を減圧濃縮し、乾 して反応物を得た。得られた反応物は、4- ードトルエンおよび2-ヨードトルエンであっ た。収率は、79.8%であり、4-ヨードトルエン 2-ヨードトルエンとの比は、73:27であった。

 実施例6により、エーテル化合物であるジ メトキシエタンをヨウ素化反応の溶媒として 用いたことでパラ位にヨウ素が結合した芳香 族ヨウ素化合物を高い比率で製造できたこと が確認された。

 [実施例7]~[実施例29]
 実施例7から実施例29では、芳香族化合物を 2に示す化合物に変更した以外は、実施例1 同様にして、芳香族ヨウ素化合物を得た。

 表2に示されるように、本実施例によれば、 ヨウ素カチオンを用いて良好に芳香族ヨウ素 化合物を得られることが確認された。

 [実施例30]~[実施例42]
 (ヨウ素カチオンの生成)
 実施例1と同様の装置を用いて、陰極室に2.0 Mの硫酸を含むアセトニトリル溶液56ml、陽極 に2.0Mの硫酸を含むアセトニトリル溶液56ml 、ヨウ素分子1.524g(6mmol)を加え、0℃に冷却し た。マグネチックスターラーで陰極室および 陽極室を攪拌しつつ、0℃で20mAの電流を流し 解を行った。2.0F/molの電気量を通電するこ で、陽極室にヨウ素カチオン溶液が得られ 。得られたヨウ素カチオン溶液を梨型フラ コに移し、-20℃の恒温槽で保存した。

 (芳香族ヨウ素化合物の製造)
 上記方法により得られたヨウ素カチオン溶 2ml(約0.21M、0.42mmol)をシリンジで抜き取り、 3に示す溶媒を加えた後、トルエン77.4mg(0.84m mol)を仕込んだフラスコ中にキャヌラーを通 て加えた。0℃で30分間反応させた。反応終 後、水酸化ナトリウム水溶液で中和し、エ テルを加えて分液した後、水層を抽出した エーテル層を過飽和食塩水で1回洗浄した後 硫酸マグネシウムで乾燥し濾過した。ろ液 ガスクロマトグラフ(内部標準法)にて分析 た。生成物(4‐ヨードトルエンおよび2‐ヨ ドトルエン)の収率および4‐ヨードトルエン と2‐ヨードトルエンとの生成比率を以下の 3に示す。

 実施例30から実施例42までの結果からわかる ように、種々の溶媒を用いた場合であっても 、芳香族化合物をヨウ素化できることが確認 された。

 〔2.芳香族ヨウ素化合物の製造〕
 [実施例43]
 (ヨウ素カチオンの製造)
 ヨウ素カチオンの製造は、H型2室型電解槽 用いて無水条件で行った。この際、隔膜と ては、ガラスフィルタ(G4)を用いた。電極は 陽極、陰極ともに白金板(30mm×20mm)を用いた 電解槽を減圧下で乾燥後、窒素雰囲気とし 後、陰極室にトリフルオロメタンスルホン 79mg(0.526mmol)と、0.3Mテトラブチルアンモニウ ムテトラフルオロボレート(支持電解質)を溶 したアセトニトリル溶液8mL、陽極室に0.3Mテ トラブチルアンモニウムテトラフルオロボレ ート(支持電解質)を溶解したアセトニトリル 液8mLおよびヨウ素127mg(0.500mmol)を投入し、0 に冷却した。マグネチックスターラーで陽 室および陰極室を攪拌しつつ、0℃で定電流 解(20mA)を行った。2.0F/mol通電することで、 極室にヨウ素カチオン溶液が得られた。

 (芳香族ヨウ素化合物の製造)
 ついで、1つの置換基を有する芳香族化合物 であるトルエン92mg(1.0mmol)と、非環式エーテ 化合物である1,2‐ジメトキシエタン8mlとを50 mlナスフラスコに仕込み、マグネチックスタ ラーにて攪拌し、氷水浴にて0℃まで冷却し た。ここに、上記の電気分解により得られた ヨウ素カチオン溶液12.5mlを添加して、0℃で1 間反応を行った。得られた反応液を減圧濃 し、10cmのシリカゲルカラムにかけて、100ml エーテルでカラム内から反応物を溶出させ 。溶媒を減圧濃縮し、飽和炭酸水素ナトリ ム溶液100mlをおよびヘキサン50mlを加えて、 出を行った。分液を行い、ヘキサン層を減 濃縮し、反応物を乾燥させた。得られた反 物は、4‐ヨードトルエンと、2‐ヨードト エンとの混合物であった。以下の表4に収率 選択率を示す。なお、表4ではパラ位にヨウ 素が結合した生成物を「I」とし、オルト位 ヨウ素が得結合した生成物を「II」と称する 。また、選択率については、 1 H-NMRの測定結果より求めた。

 (再結晶)
 得られた反応物を、メタノール0.7mlに溶解 、-40℃で結晶を析出させた。この操作を2回 り返し、4‐ヨードトルエンの純度が98%であ る反応物を得た。

 [実施例44]~[実施例48]
 (ヨウ素カチオンの生成)
 電気分解装置の陰極室に2.0M硫酸のアセトニ トリル溶液8mLを、陽極室に2.0M硫酸を含むア トニトリル溶液8mLおよびヨウ素分子127mg(0.50m mol)を投入し、マグネチックスターラーで攪 しつつ、25℃で定電流電解(20mA)を行い、2.0F/m ol通電し、ヨウ素カチオン溶液を得た。

 (芳香族ヨウ素化合物の製造)
 ついで、トルエン92mg(1.0mmol)を、1,2‐ジメト キシエタン3.6mLに溶解し、該溶液が表4に示す 温度になるまで冷却した。ついで、得られた ヨウ素カチオン溶液を加え、上記冷却時の温 度で、1時間反応を行った。反応終了後、水 化ナトリウム水溶液およびエーテルを加え 中和し、エーテル層と水層とに分離させた エーテル層と水層とを分液し、水層に対し エーテルを加えて分液する操作を2回繰り返 行った。得られたエーテル層を混合し、飽 食塩水により洗浄を行った。これを減圧濃 し、乾燥物を得た。得られた生成物は、4‐ ヨードトルエンと、2‐ヨードトルエンであ た。以下の表4に収率と選択率とを示す。

 [実施例49]~[実施例52]
 実施例49から実施例52では、エーテル化合物 を下記表5に示す化合物に変更した以外は、 施例43と同様にして4‐ヨードトルエンおよ 2‐ヨードトルエンを得た。以下の表5に収率 および選択率を示す。

 [実施例53]
 (ヨウ素カチオンの生成)
 電気分解装置の陰極室に2.0M硫酸(支持電解 )のアセトニトリル溶液13mL、陽極室に2.0M硫 を含むアセトニトリル溶液13mLおよびヨウ素1 27mg(0.500mmol)を投入した以外は、実施例43と同 にして、ヨウ素カチオン溶液を得た。

 (芳香族ヨウ素化合物の製造)
 次に、得られたヨウ素カチオン溶液12.5ml(1.0 mmol)を、非環式エーテル化合物であるジメト シエタン10mlに加えた。これをトルエン92mg(1 .0mmol)と、非環式エーテル化合物であるジメ キシエタン2.5mlの混合液に加えて反応させた 。このとき、反応液の温度は、0℃であった 0.5時間かけて攪拌した。反応終了後、0℃で4 N水酸化ナトリウム水溶液13mLを加えて中和、 ーテル20mLを加えて希釈した。反応混合物を 分液漏斗に移し、有機層と水層とを分離した 。水層はエーテルで抽出し、有機層は飽和食 塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム で乾燥し、濾過した。濾液を減圧下で濃縮し 、反応液を減圧濃縮し、4‐ヨードトルエン よび2‐ヨードトルエンが混合した乾燥物を た。実施例53による反応物の収率および4‐ ードトルエンおよび2‐ヨードトルエンの生 成割合を表6に示す。

 [実施例54]~[実施例61]
 実施例54から実施例61では、出発物質である 芳香族化合物を表6に示す化合物に変更した 外は、実施例53と同様にして、芳香族ヨウ素 化合物を得た。以下の表6に、収率と選択率 示す。

 [比較例2]
 比較例2では、ヨウ素カチオンの生成は、実 施例53と同様にして行った。ついで、得られ ヨウ素カチオン溶液を、トルエンを含むア トニトリル溶液12.5mlに添加した。その後、1 時間かけて攪拌した。反応液を減圧濃縮し、 4‐ヨードトルエンと、2‐ヨードトルエンと 含む反応物を得た。以下の表6に収率と選択 率を示す。

 [比較例3]~[比較例10]
 比較例3から比較例10は、出発物質である芳 族化合物を変更した以外は、比較例2と同様 にして芳香族ヨウ素化合物を得た。以下の表 6に収率を、結合位置の選択率を示す。なお 表6では、比較例2から比較例10は、実施例53 ら実施例61にそれぞれ対応した比較例である 。この比較例の結果は、対応する実施例の結 果に併記する。

 表4~表6から明らかなように、実施例にかか 芳香族ヨウ素化合物の製造方法によれば、 ラ位にヨウ素が結合した芳香族ヨウ素化合 を高い選択率をもって製造できたことが確 された。また、実施例43から実施例48の結果 を互いに比較して分かるように、ヨウ素化の 反応温度が低くすることで選択率が向上する ことが確認された。

 [実施例62]~[実施例73]
 (ヨウ素カチオンの生成)
 電気分解装置の陰極室に2.0Mの硫酸を含むア セトニトリル溶液56ml、陰極室に2.0Mの硫酸を むアセトニトリル溶液56mlと、ヨウ素分子1.5 24g(6mmol)を加え、0℃に冷却した。マグネチッ スターラーで、陰極室および陽極室を攪拌 つつ、0℃で定電流電解(20mA)を行った。2.0F/m ol通電することにより、陽極室にヨウ素カチ ン溶液を得た。得られたヨウ素カチオン溶 を梨型フラスコに移し、-20℃の恒温槽で保 した。

 (芳香族ヨウ素化合物の製造)
 上記方法により得られたヨウ素カチオン溶 2ml(約0.21M、0.42mmol)をシリンジで抜き取り、 7に示すエーテル化合物(溶媒)を加えた後、 ルエン77.4mg(0.84mmol)を仕込んだフラスコ中に キャヌラーを通して加えた。0℃で30分間反応 させた。反応終了後、水酸化ナトリウム水溶 液で中和し、エーテルを加えて分液し、水層 を抽出した。エーテル層を過飽和食塩水で1 洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、 過した。ろ液をガスクロマトグラフ(内部標 法)にて分析した。生成物の収率、および4 ヨードトルエンと2‐ヨードトルエンとの生 比率を表7に示す。

 表7の結果から分かるように種々のエーテル 化合物を用いた場合であっても、良好に芳香 族ヨウ素化合物を製造できることが確認され た。

 本発明に係るヨウ素化剤の製造方法によ ば、酸を支持電解質としてヨウ素分子を電 分解することでヨウ素カチオンが製造され 。このようにして得られたヨウ素カチオン 液を用いてヨウ素化化合物を得た場合、反 終了後に、カラムクロマトグラフィを用い の高度な分離操作を行う必要がない。その め、ヨウ素化化合物の工業的生産に適した ウ素化剤として好適なヨウ素カチオンを製 することができる。

 また、本発明に係る芳香族ヨウ素化合物 製造方法によれば、以上のように、特定の ーテル化合物の存在下で、ヨウ素化剤と、1 つ以上の置換基を有する芳香族化合物とを反 応させることで、芳香族化合物に対するヨウ 素原子の結合位置の選択性を高めることがで きる。

 発明の詳細な説明の項においてなされた 体的な実施形態または実施例は、あくまで 、本発明の技術内容を明らかにするもので って、そのような具体例にのみ限定して狭 に解釈されるべきものではなく、本発明の 神と次に記載する請求の範囲内で、いろい と変更して実施することができるものであ 。

 本発明に係るヨウ素化剤の製造方法は、 々の化合物のヨウ素化に用いることができ 工業的生産に適したヨウ素カチオンを製造 ることができる。また、本発明に係る芳香 ヨウ素化合物の製造方法は、反応中間体と て好適に用いられる芳香族ヨウ素化合物を ることができる。