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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCING ISOCYANATE COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/151005
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for efficiently producing an isocyanate compound at a low reaction temperature at a low reaction pressure without using a highly toxic phosgene and without going through a complicated process. Specifically, an isocyanate compound is produced by reacting a carbonyl fluoride and an organic amine.  A carbamoyl fluoride is produced by reacting the carbonyl fluoride and the organic amine, and then the carbamoyl fluoride is converted into an isocyanate.  The carbamoyl fluoride is converted into the isocyanate by heating.

Inventors:
QUAN HENG-DAO (JP)
TAMURA MASANORI (JP)
SEKIYA AKIRA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/060334
Publication Date:
December 17, 2009
Filing Date:
June 05, 2009
Export Citation:
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Assignee:
NAT INST OF ADVANCED IND SCIEN (JP)
QUAN HENG-DAO (JP)
TAMURA MASANORI (JP)
SEKIYA AKIRA (JP)
International Classes:
C07C263/10; C07C263/04; C07C265/14; C07C271/04
Foreign References:
GB727916A1955-04-13
JPS3920159B1
JP2006291188A2006-10-26
JPS4015177B1
JPS4217979B1
JP2006510692A2006-03-30
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Claims:
 フッ化カルボニルと有機アミンを反応させることを特徴とするイソシアナート化合物の製造方法。
 フッ化カルボニルと有機アミンを反応させてフッ化カルバモイルを製造し、ついで該フッ化カルバモイルをイソシアナートに変換させることを特徴とする請求項1に記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 フッ化カルバモイルを加熱することによりイソシアナートに変換させることを特徴とする請求項2に記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 フッ化カルボニルと有機アミンを反応させ、得られるフッ化カルバモイルを含む反応混合物を引き続き加熱することを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 上記反応を有機溶媒中で行うことを特徴とする請求項4に記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 有機溶媒が、炭化水素、塩素化炭化水素、またはフッ化炭化水素を含むことを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
 反応が80℃~250℃の範囲で行われることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 フッ化カルボニルと有機アミンを反応させる第一の工程と、過剰のフッ化カルボニルを必要に応じ除去し、得られるフッ化カルバモイルを含む反応混合物を加熱してイソシアナート化合物に変換する第二の工程を含むことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 第一の工程を有機溶媒中で行い、過剰の有機溶媒とフッ化水素を除去することを特徴とする請求項8に記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 第一の工程が80℃未満で行われることを特徴とする請求項9に記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 第二の工程のフッ化カルバモイルを含む反応混合物の加熱が、80℃から250℃で行われることを特徴とする請求項10に記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 有機アミンが少なくとも2個のアミノ(-NH 2 )基を持ち、イソシアナート化合物が少なくとも2個のイソシアナト(-NCO)基を持つことを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 イソシアナート化合物がトリレンジイソシアナート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、ナフタレンジイソシアナート(NDI)、トリジンジイソシアナート(TODI)を含むことを特徴とする請求項12に記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 有機アミンがトリレンジアミン(TDA)であり、イソシアナート化合物がトリレンジイソシアナート(TDI)であることを特徴とする請求項12に記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 有機アミンがジフェニルメタンジアミン(MDA)であり、イソシアナート化合物がジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)であることを特徴とする請求項12に記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 有機アミンがヘキサメチレンジアミン(HDA)であり、イソシアナート化合物がヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)であることを特徴とする請求項12に記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 有機アミンがナフタレンジアミン (NDA)であり、イソシアナート化合物がナフタレンジイソシアナート(NDI)であることを特徴とする請求項12に記載のイソシアナート化合物の製造方法。
 有機アミンがトリジンであり、イソシアナート化合物がトリジンジイソシアナート(TODI)であることを特徴とする請求項12に記載のイソシアナート化合物の製造方法。
Description:
イソシアナート化合物の製造方

 本発明は、イソシアナート化合物の新規 製造方法に関する。

 イソシアナート化合物は、硬質および軟質 ォームとして用いられているポリウレタン 主要な原料であり、また、エラストマー、 ァイバー、合成皮革の製造原料としても、 く使用されている。
 工業的に生産されている代表的なイソシア ート化合物として、トルエンジイソシアナ ト(TDI),ジフェニルメタンジイソシアナート( MDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)な どがある。

 これらTDIなどのイソシアナートは、主に対 する有機アミンとホスゲンとの反応により 造されている。有機アミン(RNH 2 )とホスゲン(COCl 2 )との反応によりイソシアナートを作る反応 公知であるが、単に有機アミンとホスゲン を混合して加熱するという方法では、イソ アナートは得られるが、下記の反応式にみ れるように、そのイソシアナートが原料の ミンと反応して尿素を生成するという副反 が生じる(非特許文献1)。

 このような問題点を解消するために、有機 ミンを塩酸塩とし、これをホスゲンと反応 せることにより塩化カルバモイル化合物(RNH COCl)を製造し、さらにこれを熱分解すること よって、尿素の生成を抑えてイソシアナー 化合物を得る方法が提案された(非特許文献 2)。

 現在、工業的には、TDIなどのポリイソシア ート化合物のほとんどがこの有機アミン塩 塩とホスゲンとの反応を応用することによ 製造されている。
 この有機アミン塩酸塩とホスゲンとの反応 利用するイソシアナートの合成方法は、(a) ミンを低温で直接ホスゲンと反応させて塩 カルバモイルと塩酸塩との混合物とした後 高温でさらにホスゲンと反応させる方法と( b)アミンを塩酸塩とした後にホスゲンと反応 せる方法、の2つの方法に大別される(特許 献1)。

(a)の方法は通常、連続した2段階で実施され 。第1段階では不活性溶媒中低温で(例えばTDI 製造であれば0℃から60℃程度で)実施され、 ミンとホスゲンとの反応により塩化カルバ イルと塩化水素が生成すると同時に、この 成した塩化水素とアミンからアミン塩酸塩 生成する。すなわち、第1段階は塩化カルバ イルと塩酸塩との混合物を製造することを 旨とする。これは、次いで第2段階では高温 で(TDI製造であれば80℃から180℃程度で)さら ホスゲンを反応させ、イソシアナートとす ものである(特許文献2)。なお、この第1段階 反応はここに挙げたTDIに限らずモノアミン ど一般のアミンも知られているものである( 非特許文献2)。

(b)の方法は、アミンの活性を抑えるため、予 めアミンと塩化水素などでアミン塩酸塩を合 成しておき、これを不活性溶媒中強攪拌下高 温(TDI製造であれば80℃から180℃程度で)でホ ゲンと反応させてイソシアナートとするも である(特許文献3)。

 これらの方法は、アミンを塩酸塩にする とにより、反応の活性を落とし副反応の抑 を図ることができるものの、アミンをその 酸塩とする工程を必要とし、また少なくと 第2段階の脱塩酸塩工程を高温で行う必要が あり、しかもいずれも毒性の高いホスゲンの 使用を余儀なくされるといった多くの問題点 があり、より簡便で危険性の少ない原料を用 いる、効果的なイソシアナートの製造法を開 発することが望まれていた。

 ホスゲンを使わずイソシアナートを製造す 方法として、これまでに、種々のものが知 れている。
 たとえば、アミンと炭酸ジメチルとの反応( 非特許文献3)、アミンとトリホスゲンとの反 (非特許文献4)、ニトロ化合物と一酸化炭素 原料に用いる方法(特許文献4,非特許文献5, 特許文献6)、オレフィンとイソシアン酸との 反応、カルボン酸アジドの分解(非特許文献7) が知られているが、これらの方法は、いずれ も、原料の価格、原料の安定性、反応の収率 、反応の安全性などの面からみて、工業化に 適したものではなかった。

 なお、古い従来技術文献の中には、ホス ンと有機アミンを反応させてイソシアナー を得る方法において、ホスゲン以外の他の ロゲン化カルボニル(COXY;X, Y=F, Cl, Br, I)を 用いてもホスゲンと同様な反応でイソシアナ ートが得られる報告例も確かに存在する(特 文献5等)。

 しかしながら、この特許文献において、 際に用いられたハロゲン化カルボニルはホ ゲン(COXY;X, Y= Cl)だけであり、他のハロゲ 化カルボニルたとえばフッ化カルボニルを いた実証例は存在しない。すなわち、フッ カルボニルと有機アミンを反応させた場合 、実際に得られる生成物がどのようなもの なるか否か、あるいはその具体的な反応挙 や反応機構などがどのようになるか否かに いての実験的な裏付けが何ら存在しない。 たがって、この特許文献では、単に従来の ロゲン原子の類似性から、フッ化カルボニ などのハロゲン化カルボニルはいずれも有 アミンに対してホスゲンと同様な反応性を すものであろうとの単なる願望を述べた程 のものに過ぎず、実質的にフッ化カルボニ と有機アミンとからイソシアナートの合成 応を検証していないとみるのが自然である

 このことは、既にみてきたように、上記 許文献5が公知になってから既に53年経過し いるに拘わらず、ハロゲン化カルボニルを いるイソシアナートの製法に関する論文や 許文献が専らホスゲンと有機アミンとの反 を利用したものに集中・集約され、フッ化 ルボニルを対象としたものが皆無にひとし ことからも理解されよう。

特開2001-233853号公報

特表2006-510692号公報

英国特許第1146664号明細書

英国特許第1313199号明細書

英国特許第727916号明細書

J. H. Saunders and R. J. Slocombe, Chem. Rev.,  43, 203 (1948). W. Sieken, Liebigs Annalen der Chemie, 562, 1  (1949). Y. Wang, X.G. Zhao, F. Li, S. F. Wang and J.  Zhang, J. Chem. Tech. and Biotech, 76, 857 (2001). Y. C. Charalambides and S. C. Moratti, Syntheti c Commun., 37(6), 1037 (2007). A. M. Tafesh and J.Weiguny, Chem. Rev., 96, 20 35 (1996). F. Ragaini, S. Cenini, J. Mol. Catal. A: Chem.  1 (1996). S. Ozaki, Chem. Rev., 72(5), 457 (1972).

 本発明は、毒性の高いホスゲンを使うこ なく、また、複雑なプロセスを経由せず、 い反応温度、低い反応圧力でイソシアナー 化合物を効率的に製造する方法を提供する とを目的とする。

 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭 研究を重ねた結果、アミンをフッ化カルボ ル(COF 2 )と反応させれば、毒性の高いホスゲンを使 ことなく、また、ホスゲンを用いる場合の うに予めアミンを塩酸塩としたり、アミン 酸塩を経由させたりする必要なく、高収率 イソシアナートへ変換できることを見出し 本発明を完成するに至った。
 すなわち、この出願は以下の発明を提供す ものである。
〈1〉フッ化カルボニルと有機アミンを反応 せることを特徴とするイソシアナート化合 の製造方法。
〈2〉フッ化カルボニルと有機アミンを反応 せてフッ化カルバモイルを製造し、ついで フッ化カルバモイルをイソシアナートに変 させることを特徴とする〈1〉に記載のイソ アナート化合物の製造方法。
〈3〉フッ化カルバモイルを加熱することに りイソシアナートに変換させることを特徴 する〈2〉に記載のイソシアナート化合物の 造方法。
〈4〉フッ化カルボニルと有機アミンを反応 せ、得られるフッ化カルバモイルを含む反 混合物を引き続き加熱することを特徴とす 〈1〉~〈3〉のいずれかに記載のイソシアナ ト化合物の製造方法。
〈5〉上記反応を有機溶媒中で行うことを特 とする〈4〉に記載のイソシアナート化合物 製造方法。
〈6〉有機溶媒が炭化水素、塩素化炭化水素 またはフッ化炭化水素を含むことを特徴と る〈5〉に記載の製造方法。
〈7〉反応が80℃~250℃の範囲で行われること 特徴とする〈4〉~〈6〉のいずれかに記載の ソシアナート化合物の製造方法。
〈8〉フッ化カルボニルと有機アミンを反応 せる第一の工程と、過剰のフッ化カルボニ を必要に応じ除去し、得られるフッ化カル モイルを含む反応混合物を加熱してイソシ ナート化合物に変換する第二の工程を含む とを特徴とする〈1〉~〈3〉のいずれかに記 のイソシアナート化合物の製造方法。
〈9〉第一の工程を有機溶媒中で行い、過剰 有機溶媒とフッ化水素を除去することを特 とする〈8〉に記載のイソシアナート化合物 製造方法。
〈10〉第一の工程が80℃未満で行われること 特徴とする〈9〉に記載のイソシアナート化 物の製造方法。
〈11〉第二の工程のフッ化カルバモイルを含 反応混合物の加熱が、80℃から250℃で行わ ることを特徴とする〈10〉に記載のイソシア ナート化合物の製造方法。
〈12〉有機アミンが少なくとも2個のアミノ(-N H 2 )基を持ち、イソシアナート化合物が少なく も2個のイソシアナト(-NCO)基を持つことを特 とする〈1〉~〈11〉のいずれかに記載のイソ シアナート化合物の製造方法。
〈13〉イソシアナート化合物がトリレンジイ シアナート(TDI)、ジフェニルメタンジイソ アナート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアナ ート(HDI)、ナフタレンジイソシアナート(NDI) トリジンジイソシアナート(TODI)を含むこと 特徴とする〈12〉に記載のイソシアナート化 合物の製造方法。
〈14〉有機アミンがトリレンジアミン(TDA)で り、イソシアナート化合物がトリレンジイ シアナート(TDI)であることを特徴とする〈12 に記載のイソシアナート化合物の製造方法
〈15〉有機アミンがジフェニルメタンジアミ (MDA)であり、イソシアナート化合物がジフ ニルメタンジイソシアナート(MDI)であること を特徴とする〈12〉に記載のイソシアナート 合物の製造方法。
〈16〉有機アミンがヘキサメチレンジアミン( HDA)であり、イソシアナート化合物がヘキサ チレンジイソシアナート(HDI)であることを特 徴とする〈12〉に記載のイソシアナート化合 の製造方法。
〈17〉有機アミンがナフタレンジアミン(NDA) あり、イソシアナート化合物がナフタレン イソシアナート(NDI)であることを特徴とする 〈12〉に記載のイソシアナート化合物の製造 法。
〈18〉有機アミンがトリジンであり、イソシ ナート化合物がトリジンジイソシアナート( TODI)であることを特徴とする〈12〉に記載の ソシアナート化合物の製造方法。

 本発明によれば、毒性の高いホスゲンを使 ことなく、また、複雑なプロセス経由せず 低い反応温度、低い反応圧力で、アミンか 効率よくイソシアナート化合物を製造する とができる。なお、本発明で用いるCOF 2 は、ホスゲンより毒性は低く (TLV COF2 =2ppm, TLV COCl2 =0.1ppm,)、より安全性の高いものである。

 本発明のイソシアナート化合物の製造方法 、第一に、フッ化カルボニルと有機アミン 反応させることを特徴とするものであり、 二に、フッ化カルボニルと有機アミンを反 させてフッ化カルバモイルを製造し、つい 該フッ化カルバモイルをイソシアナートに 換させることを特徴とするものである。
 ここでいう有機アミンとは-NH 2 基をもつ有機化合物を意味し、フッ化カルバ モイル化合物(あるいはフッ化カルバモイル) は-NHC(=O)F基をもつ有機化合物を、そしてイ シアナート化合物とは-N=C=O基をもつ有機化 物を意味する。

 先に述べたように、古い従来技術文献の中 は、なんら実験の裏付けもなく、ハロゲン 子が類似しているというだけの理由で、ホ ゲン以外のハロゲン化カルボニルとアミン の反応でもホスゲンと同様な反応でイソシ ナートが得られるであろうという報告がみ れる。
 この点に関し、本発明者等は、長年、数多 のフッ素化合物についての実験や研究を積 重ねて得られた実績やデーターを活かし、 かる報告書を綿密に検討したところ、これ での技術常識とは異なり、アミンとの反応 おいては、フッ化カルボニル(COF 2 )とホスゲン(COCl 2 )とは全く異なる反応特性を示し、アミンと スゲンとの反応では式(3-2)で表わされるよう にアミン塩酸塩が副生するのに対し、フッ化 カルボニルとの反応ではアミンフッ酸塩を生 成することなくフッ化カルバモイルが生成す ることを見出した。さらに、これより、イソ シアナートの製造において、予めアミンを塩 酸塩としてからホスゲンと反応させるという 副反応を抑制する手段を講じることなく、直 接、簡便な操作工程により高収率でイソシア ナートに変換できるといった従来全く知られ ていない新規な知見を得たのである。

 すなわち、本発明の如く、COF 2 とアミンとをたとえば低温で混合すると、上 記式(3)とは異なり、アミンのフッ酸塩ではな くフッ化カルバモイル化合物(RNHCOF:R:有機ア ン残基)を生成する。そして、本発明によれ 、このフッ化カルバモイル化合物を単に分 するだけで目的とするイソシアナートを簡 に得ることができる。

 有機アミンとしてトリレンジアミン(TDA)を いた場合の本願発明で知見した典型的な反 は下記の反応式で示すことができる。
 このように、本発明によれば、COF 2 を室温、有機溶媒中で、TDAなどの有機アミン と反応させてフッ化カルバモイル中間体を合 成し、これを変換してTDIなどのイソシアナー トを効率よく製造することができる。また、 上でも述べたが、本発明で用いるCOF 2 は、不燃性で、ホスゲンより毒性は低い(TLV COF2 =2ppm, TLV COCl2 =0.1ppm,)。

 本発明のイソシアナート合成方法は、上記 合成反応式に示されるように、フッ化カル モイルを生成する反応と、フッ化カルバモ ルを分解してイソシアナートを得る反応よ なる。
 本発明においては、これら二つの反応を、 段階の工程で連続して行ってもよく(一段階 法)、また、それぞれの工程を二段に分けて ってもよい(二段階法)。2段階法で行うのが り好ましい。

 まず、本発明の一段階法によるイソシアナ トの合成反応について説明する。
 この一段階法は、フッ化カルボニルと有機 ミンを反応させ、得られるフッ化カルバモ ルを含む反応混合物を引き続き加熱するこ により行われる。
 ここで用いる原料の有機アミンは、特に制 はなく、この種の反応でも用いられる第一 有機アミンのいずれのものも使用できる。 のようなアミンとしては、具体的には、メ ルアミン、エチルアミン、プロピルアミン アニリン、ナフチルアミンなどのモノアミ 、フェニレンジアミン、トルエンジアミン( TDA)、メチレン(ジフェニルアミン)(MDA)、ヘキ メチレンジアミン(HAD),イソホロンジアミン( IPDA)などのジアミン、ポリメチレンポリフェ レンポリアミン(PMDA)などのポリアミンが例 できる。また、このようなアミンの分子内 は、本反応を妨げない官能基たとえばメチ 基、エチル基、プロピル基などのアルキル 、フェニル基、ナフチル基などのアリール 、フルオロ基、クロロ基などのハロゲン基 メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ 基、フェノキシ基、ナフトキシ基などのア ールオキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチ アミノ基などのジアルキルアミノ基、メチ チオ基、エチルチオ基などのアルキルチオ 、フェニルチオ基、ナフチルチオ基などの リールチオ基が存在していても構わない。 発明で好ましく用いられるアミンは、トル ンジアミン(TDA)、メチレン(ジフェニルアミ )(MDA)、ヘキサメチレンジアミン(HAD),イソホ ンジアミン(IPDA)などのジアミンである。

 これらの有機アミンとCOF 2 の反応は好ましくは有機溶媒中で、加熱攪拌 下で行われる。この場合、原料のアミン化合 物のアミノ基とCOF2のモル比率は1から30、好 しくは2から20、より好ましく2から10である
 加熱温度は80℃から250℃、好ましくは130℃ ら200℃、より好ましくは150℃から160℃であ 。

 また有機溶媒としては、原料となるアミ を溶解し、本反応に影響しないものであれ 特に制限はないが、ペンタン、ヘキサン、 プタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、 シレンなどの炭化水素系溶媒、ジクロロメ ン、クロロホルム、四塩化炭素、テトラク ロエチレン、クロロベンゼン、ジクロロベ ゼンなどの塩素化炭化水素系溶媒、1,1,1,3,3- ペンタフルオロブタン、1,1,1,2,2,3,4,5,5,5-デカ ルオロペンタン、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオ シクロペンタンなどのフッ化炭化水素系溶 、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン ジオキサンなどのエーテル系溶媒などが例 される。好ましくは、ジクロロメタン、ト エン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン 1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタンな どの炭化水素あるいは塩素化炭化水素、ある いはフッ化炭化水素である。

 また、本発明方法においては、反応の際 、本反応に関与しないいかなる化合物を原 のアミンまたはCOF2に混合していてもよい。 このような化合物として、メタン、エタン、 プロパン、ブタン、ベンゼン、トルエン、キ シレンなどの炭化水素、クロロメタン、フル オロメタン、クロロフルオロメタン、クロロ ジフルオロメタン、などのハロゲン化炭化水 素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、 テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエー テル類、などが例示できる。

 つぎに、本発明の二段階法によるイソシア ートの合成反応について説明する。
 この二段階法によるイソシアナートの合成 法は、フッ化カルボニルと有機アミンを反 させる第一の工程と、過剰のフッ化カルボ ルおよびフッ化水素を除去し、得られるフ 化カルバモイルを含む反応混合物を加熱し イソシアナート化合物に変換する第二の工 を含むことからなる。

 第一の工程は、フッ化カルボニルと有機 ミンを好ましくは有機溶媒中で反応させる この反応は撹拌下で行うことが好ましい。 の反応は0℃から80℃、好ましくは10℃から50 ℃更に好ましくは15℃から30℃で行われる。

 第二の工程は、第一の工程で得られるフッ カルバモイルを含む反応混合物をそのまま あるいは残存するCOF 2 、フッ化水素および/または有機溶媒を、濾 、常圧または減圧留去などの方法で除去し のちに行われる。
 好ましくは残存するCOF 2 を除去したのちに行い、より好ましくは残存 するCOF 2 および有機溶媒を除去して反応生成物を取り 出した後に行うことが好ましい。

 第二工程のイソシアナートを合成する反応 、加熱分解あるいは塩基との反応により行 れる。いずれにするかは、副生するフッ化 素を利用する方法により選択する。
 加熱分解の場合、加熱する温度は80℃から25 0℃、好ましくは130℃から200℃、より好まし は150℃から160℃である。
 塩基との反応の場合、塩基としてアルカリ 属あるいはアルカリ土類金属の炭酸塩、水 化物塩、酸化物塩、リン酸化物塩、フッ化 塩が好適であり、炭酸ナトリウム、炭酸カ ウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム 酸化カルシウム、酸化マグネシウム、リン ナトリウム、フッ化ナトリウムなどが例示 きる。反応温度は0℃から100℃で行われるが 、好ましくは室温で行われる。

 なお、上記二段階法によるイソシアナー の合成方法において、用いられる原料であ 有機アミンの種類、該有機アミンとフッ化 ルボニルの使用割合、使用される有機溶媒 種類、その他の各種構成や条件は、先に述 た第一段階法で例示したものがそのまま適 される。

 また、本製造法で用いる反応容器はいかな 形のものでもよく、およそ10MPaの圧力で使 できればよい。反応容器の材料は、原料、 成物、HFやCOF 2 の存在下、高温高圧で腐食されにくいものが 好ましく、たとえばインコネル、ハステロイ 、ニッケルなどが挙げられる。

 以下、本発明について具体例を挙げてさ に詳しく説明する。ただし、以下の特定の 体例は、本発明を例示するためのもので、 発明はいかなる制限を受けるものではない

実施例1 トリレンジ(カルバモイルフルオリ )の合成
 2,4-トリレンジアミン1gとCOF 2  5gをクロロベンゼン中室温で攪拌したとこ 生成物が沈殿した。これをろ過して固体生 物1.6gを得た。得られた生成物の 1 H-、 19 F-NMR、及びIRスペクトルを測定し、2,4-トリレ ジ(カルバモイルフルオリド)(2,4-(FCONH) 2 C 6 H 3 CH 3 )の生成を確認した。
  1 H-NMR (DMF-d 7 , TMS): δ2.3 (s, 3H), 7.2-7.8 (m, 3H), 10.0 (br,  1H), 10.7 (br, 1H)
  19 F-NMR (DMF-d 7 , CFCl3): φ6.9 (s, 1F), 10.3 (s, 1F)
 IR: 3289, 1808, 1797, 1770, 1550 cm-1

実施例2 ジフェニルメタンジ(カルバモイル ルオリド)の合成
 4,4’-ジフェニルメタンジアミン1gとCOF 2  3.5gをクロロベンゼン中室温で攪拌したとこ ろ生成物が沈殿した。これをろ過して固体生 成物1.0gを得た。得られた生成物の 1 H-、 19 F-NMR、及びIRスペクトルを測定し、4,4’-ジフ ニルメタンジ(カルバモイルフルオリド)(4,4 - FCONHC 6 H 4 CH 2 C 6 H 4 NHCFO)の生成を確認した。
  1 H-NMR (CDCl 3 , TMS): δ3.9 (s, 2H), 6.7 (br, 2H), 7.2 (m, 4H), 7.3 (m, 4H)
  19 F-NMR (CDCl 3 , CFCl3): φ6.8 (s, 1F)
 IR: 3325, 1815, 1777, 1527 cm-1

実施例3 一段階法によるTDIの合成
 2,4-トリレンジアミン1gとCOF 2  5gをクロロベンゼン中150℃で攪拌したのち られた生成物をガスクロマトグラフィーで 析した。市販のサンプルとの比較から、2,4- リレンジイソシアナート(2,4-(NCO) 2 C 6 H 3 CH 3 )が生成していることを確認した。

実施例4 二段階法によるTDIの合成
 2,4-トリレンジアミン1gとCOF 2  5gをジクロロメタン中室温で攪拌したのち 剰のCOF 2 と溶媒を留去した。この生成物の 1 H-、 19 F-NMR、及びIRスペクトルを測定し、2,4-トリレ ジ(カルバモイルフルオリド)(2,4-(FCONH) 2 C 6 H 3 CH 3 )の生成を確認した(実施例1のデータと一致) 得られた生成物を180℃で加熱して2,4-トリレ ジイソシアナートを得た。 1 H-NMRによる分析の結果、2,4-トリレンジイソシ アナートの2,4-トリレンジアミンからの収率 92%であった。

実施例5 MDIの合成
 2,4-トリレンジアミンの代わりに4,4’-ジフ ニルメタンジアミンを用いて実施例4と同様 反応を行い、4,4’-ジフェニルメタンジイソ シアナート(4,4’-OCNC 6 H 4 CH 2 C 6 H 4 NCO)を4,4’-ジフェニルメタンジアミンからの 率85%で得た。なお、実施例4と同様に中間生 成物の 1 H-、 19 F-NMR、及びIRスペクトルを測定し、中間体と て4,4’-ジフェニルメタンジ(カルバモイルフ ルオリド)(4,4’- FCONHC 6 H 4 CH 2 C 6 H 4 NHCFO)の生成を確認している。

実施例6 HDIの合成
 ヘキサメチレンジアミン1gとCOF 2  2.5gをジクロロベンゼン中70℃で攪拌したの 過剰のCOF 2 を留去した。次に180℃で加熱してヘキサメチ レンジイソシアナート(OCN(CH 2 ) 6 NCO)を得た。 1 H-NMRによる分析の結果、ヘキサメチレンジイ シアナートのヘキサメチレンジアミンから 収率は61%であった。

実施例7 NDIの合成
 2,4-トリレンジアミンの代わりに1,5-ナフタ ンジアミンを用いて実施例4と同様に反応を い、1,5-ナフタレンジイソシアナート(1,5-(NCO ) 2 C 10 H 6 )を1,5-ナフタレンジアミンからの収率78%で得 。

実施例8 TODIの合成
 2,4-トリレンジアミンの代わりにo-トリジン 用いて実施例4と同様に反応を行い、o-トリ ンジイソシアナート(3,3’-(CH 3 ) 2 -4,4’-(NCO) 2 (C 6 H 3 ) 2 )をo-トリジンからの収率79%で得た。