太田 剛 (〒93 千葉県袖ヶ浦市上泉1280番地 Chiba, 2990293, JP)
SENGA, Minoru (1280, Kamiizumi Sodegaura-sh, Chiba 93, 2990293, JP)
出光興産株式会社 (〒21 東京都千代田区丸の内三丁目1番1号 Tokyo, 1008321, JP)
OTA, Tsuyoshi (1280, Kamiizumi Sodegaura-sh, Chiba 93, 2990293, JP)
太田 剛 (〒93 千葉県袖ヶ浦市上泉1280番地 Chiba, 2990293, JP)
| 硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1種類以上の化合物と、硫化リチウムを、炭化水素系溶媒中で接触させる工程を含む、リチウムイオン伝導性固体電解質の製造方法。 |
| 炭化水素系溶媒中における接触温度が80℃以上300℃以下である請求項1に記載のリチウムイオン伝導性固体電解質の製造方法。 |
| 前記接触工程により得られた固体電解質を、さらに、200℃以上400℃以下の温度で加熱処理する請求項1又は2に記載のリチウムイオン伝導性固体電解質の製造方法。 |
| 前記硫化リチウムの平均粒子径が10μm以下である請求項1~3のいずれかに記載のリチウムイオン伝導性固体電解質の製造方法。 |
本発明は、リチウムイオン伝導性固体電 質の製造方法に関する。さらに詳しくは、 較的低温で特殊設備を使用せずに、リチウ イオン伝導性固体電解質を工業的に有利に 造する方法に関する。
近年、携帯情報端末、携帯電子機器、家庭
小型電力貯蔵装置、モーターを電力源とす
自動二輪車、ハイブリッド電気自動車等の
電源として利用されているリチウム電池の
要が増大している。
現在リチウム電池に用いられている固体電
質の多くは、可燃性の有機物を含むことか
、電池に異常が生じた際には発火する等の
れがあり、電池の安全性の確保が望まれて
る。また、衝撃や振動に対する信頼性の向
、エネルギー密度のより一層の向上及び地
環境に対するクリーンで高効率なエネルギ
変換システムヘの強い杜会的要請から、不
性の固体材料で構成される固体電解質を用
た全固体型リチウム二次電池の開発が望ま
ている。
不燃性の固体電解質として、硫化物系固 電解質が検討されている。その製造として 、原料を真空下又は不活性雰囲気下にて高 で処理する方法や、室温で遊星型ボールミ を用いてメカニカルミリングする方法があ 。しかしながら、いずれの方法も特殊な設 が必要であり、量産化には適さなかった。
本発明者らは上記の課題に対し、原料を 機溶媒中にて反応させることにより、比較 低温で、特殊設備を必要とせずに、リチウ イオン伝導性固体電解質を工業的に有利に 造できる方法を提案している(特許文献1参 。)。具体的に、非プロトン性有機溶媒とし N-メチル-2-ピロリドン等を使用し、溶媒中 硫化リチウムと硫化りんを均一溶液として 応させている。
しかしながら、非プロトン性有機溶媒でも
N-メチル-2-ピロリドン等の極性が比較的高
溶媒は、硫化りんを溶解し易く、反応性を
上させる因子になる一方、硫化リチウムと
溶媒和が強いため、硫化リチウム製品中に
存しやすいという問題があった。
特許文献1の技術では、残留N-メチル-2-ピロ
ドンを実質的に完全に除去することで、所
のイオン伝導度を発現させることも可能で
るが、まだ不十分なレベルである。しかし
生成した固体電解質の非極性溶媒による洗
や、減圧下での溶媒留去を多数回繰り返す
要があるため、製造工程が長くなるという
題があった。
また、通常の方法による溶媒留去により N-メチル-2-ピロリドン等の極性溶媒が製品 に残存した場合には、極端なイオン伝導度 低下が起き、安定した製品供給の上で改良 必要であった。尚、高温下で極性溶媒の留 時の温度が高すぎる場合、溶媒との反応に り、固定電解質のイオン伝導性が低下する 能性があった。
残留極性溶媒は電池性能の低下、セルの 食をまねくこともあり、なるべく完全に除 する必要がある。また、N-メチル-2-ピロリ ン等の特殊な溶媒は高価であり、コストの でも相応しい溶媒が望まれている。
特許文献2には、原料混合粉を回転ミル等特
殊な機器により比較的低温で処理する固体電
解質の製造方法が記載されている。しかしな
がら、特殊な機器が必要であり、かつ原料粉
が装置の壁面に付着するため製造効率が悪か
った。
本発明の目的は、特殊設備を使用せず、 易にリチウムイオン伝導性固体電解質を製 できる方法を提供することである。
有機溶媒を使用した固体電解質の製造に いて、反応性を上げるためには原料の溶解 を上げることが望ましく、そのためには極 の高い溶媒を使用することが好ましい。一 で、極性の高い溶媒は最終製品中に残留し すいため、得られる固体電解質の性能が低 する可能性がある。このように相反する条 において、本発明者らは溶媒として炭化水 系溶媒を使用することにより、反応性を維 し、最終製品における溶媒の残留を低減で ることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下のリチウムイオン伝
性固体電解質の製造方法が提供される。
1.硫化りん、硫化ゲルマニウム、硫化ケイ素
び硫化ほう素から選択される1種類以上の化
合物と、硫化リチウムを、炭化水素系溶媒中
で接触させる工程を含む、リチウムイオン伝
導性固体電解質の製造方法。
2.炭化水素系溶媒中における接触温度が80℃
上300℃以下である1に記載のリチウムイオン
導性固体電解質の製造方法。
3.前記接触工程により得られた固体電解質を
さらに、200℃以上400℃以下の温度で加熱処
する1又は2に記載のリチウムイオン伝導性
体電解質の製造方法。
4.前記硫化リチウムの平均粒子径が10μm以下
ある1~3のいずれかに記載のリチウムイオン
導性固体電解質の製造方法。
本発明によれば、リチウムイオン伝導性 体電解質を、特殊な機器や特殊な溶媒を使 せずに、短時間かつ容易に製造することが きる。
本発明のリチウムイオン伝導性固体電解 の製造方法は、硫化りん、硫化ゲルマニウ 、硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択され 1種類以上の化合物と、硫化リチウムを、炭 化水素系溶媒中で接触させる工程を含む。
本発明で使用する硫化りん、硫化ゲルマ ウム、硫化ケイ素及び硫化ほう素について 、特に限定はなく、市販されているものが 用できる。これらのうち、硫化りんが好ま い。さらに硫化りんの中でも、五硫化二り が好ましい
本発明で使用する硫化リチウムは、例えば
特許第3528866号に記載の方法で合成すること
ができる。特に、国際公開第2005/040039号に記
された方法等で合成し、純度が99%以上であ
ものが好ましい。
硫化リチウムは、あらかじめ粉砕等の処理
より、平均粒子径を10μm以下にすることが
ましい。特に好ましくは5μm以下である。平
粒子径が小さいと反応時間が短縮でき、ま
、得られる固体電解質の伝導度が向上しや
い。
溶媒である炭化水素系溶媒としては、飽和
化水素、不飽和炭化水素又は芳香族炭化水
が使用できる。
飽和炭化水素としては、ヘキサン、ペンタ
、2-エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、
クロヘキサン等が挙げられる。
不飽和炭化水素しては、ヘキセン、ヘプテ
、シクロヘキセン等が挙げられる。
芳香族炭化水素としては、トルエン、キシ
ン、デカリン、1,2,3,4-テトラヒドロナフタ
ン等が挙げられる。
これらのうち、特にトルエン、キシレンが
ましい。
炭化水素系溶媒は、あらかじめ脱水されて
ることが好ましい。具体的には、水分含有
として100重量ppm以下が好ましく、特に30重
ppm以下であることが好ましい。
尚、必要に応じて炭化水素系溶媒に他の溶
を添加してもよい。具体的には、アセトン
メチルエチルケトン等のケトン類、テトラ
ドロフラン等のエーテル類、エタノール、
タノール等のアルコール類、酢酸エチル等
エステル類等、ジクロロメタン、クロロベ
ゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられ
。
本発明では、硫化りん、硫化ゲルマニウム
硫化ケイ素及び硫化ほう素から選択される1
種類以上の化合物(以下、化合物Aと略記する
合がある)と、硫化リチウムを、炭化水素系
溶媒中で接触させる。
硫化リチウムの仕込み量は、硫化リチウム
化合物Aの合計に対し30~95mol%とすることが好
ましく、さらに、40~90mol%とすることが好まし
く、特に50~85mol%とすることが好ましい。
炭化水素系溶媒の量は、原料である硫化 チウムと化合物Aが、溶媒の添加により溶液 又はスラリー状になる程度であることが好ま しい。通常、溶媒1リットルに対する原料(合 量)の添加量は0.001~1Kg程度となる。好ましく は0.005~0.5Kg、特に好ましくは0.01~0.3Kgである。
硫化リチウムと化合物Aを炭化水素系溶媒中
で接触させる。この際の温度は、通常、80~300
℃であり、好ましくは100~250℃であり、より
ましくは100~200℃である。また、通常、時間
5分~50時間、好ましくは、10分~40時間である
尚、温度や時間は、いくつかの条件をステ
プにして組み合わせてもよい。
また、接触時は撹拌することが好ましい。
素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下であ
ことが好ましい。不活性ガスの露点は-20℃
下が好ましく、特に好ましくは-40℃以下で
る。圧力は、通常、常圧~100MPaであり、好ま
しくは常圧~20MPaである。
接触処理後、生成した固体部分と溶媒を 離して固定電解質を回収する。分離は、デ ンテーション、ろ過、乾燥等、又はこれら み合わせ等、公知の方法で実施することが きる。
本発明では、上記の接触工程により得られ
固体電解質を、さらに、200℃以上400℃以下
より好ましくは230~350℃で加熱処理すること
が好ましい。これにより、固体電解質のイオ
ン伝導性が向上する。
加熱処理の時間は、0.1~24時間が好ましく、
に0.5~12時間が好ましい。
尚、加熱処理は窒素、アルゴン等の不活性
ス雰囲気下で行うことが好ましい。不活性
スの露点は-20℃以下が好ましく、特に好ま
くは-40℃以下である。圧力は、通常、減圧~
20MPaであり、減圧乾燥、あるいは常圧で不活
ガスを流通させることが好ましい
本発明の製造方法では、原料を炭化水素系
媒中にて接触させるため、通常の反応槽や
ートクレーブ等の汎用設備で固体電解質を
造することができる。即ち、高温に耐える
備やボールミル等の特殊な設備が不要であ
。
また、炭化水素系溶媒を使用することで、
体電解質に残留する溶媒量を低減できる。
のため、洗浄等、残留溶媒の除去処理をし
くとも、イオン伝導度が安定した固体電解
が製造できる。
[実施例]
実施例1
撹拌機付きのフラスコ内を窒素で置換し、
均粒径4μmの硫化リチウム(出光興産株式会
)1.55g、五硫化二りん(アルドリッチ社)3.46g、
分含有量を10ppmとした50mlのキシレン(和光純
薬工業株式会社)を仕込み、140℃で24時間接触
させた。
固体成分をろ過により分離し、120℃で40分
真空乾燥させ、固体電解質を製造した。得
れた固体電解質のイオン伝導度は2.2×10 -6
S/cmであった。また、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)
結果、非晶質に由来するハローパターン以
にピークが観測されず固体電解質ガラスで
ることを確認した。
尚、硫化リチウムの粒子径は、レーザー回
・散乱式粒度分布測定器LMS-30(株式会社セイ
シン企業)を用いて測定した。
また、イオン伝導度は下記方法に従い測定
た。
固体電解質を錠剤成形機に充填し、4~6MPaの
力を加え成形体を得た。さらに、電極とし
カーボンと固体電解質を重量比1:1で混合し
合材を成形体の両面に乗せ、再度錠剤成形
にて圧力を加えることで、伝導度測定用の
形体(直径約10mm、厚み約1mm)を作製した。こ
成形体について交流インピーダンス測定に
りイオン伝導度測定を実施した。伝導度の
は25℃における数値を採用した。
実施例2
実施例1で製造した固体電解質を、さらに窒
素雰囲気下で300℃、5時間の加熱処理を行っ
。
加熱処理後の固体電解質のイオン伝導度は2
.1×10 -4
S/cmであった。
X線回折測定の結果、2θ=17.8、18.2、19.8、21.8
23.8、25.9、29.5、30.0degに若干ながらピークが
観測され、固体電解質ガラスセラミックであ
ることが確認された。
実施例3
硫化リチウムとして、あらかじめジェット
ル(アイシンナノテクノロジー社)により粉
し、平均粒径が0.3μmの硫化リチウムを使用
た以外は、実施例1と同様にして固体電解質
製造した。この固体電解質のイオン伝導度
2.0×10 -5
S/cmであった。X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)の結果
非晶質に由来するハローパターン以外にピ
クが観測されず固体電解質ガラスであるこ
が確認された。
実施例4
実施例3で製造した固体電解質を、300℃で5
間、加熱処理した。加熱処理後の固体電解
のイオン伝導度は8.2×10 -4
S/cmであった。X線回折測定の結果、2θ=17.8、18
.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピーク
観測され、固体電解質ガラスセラミックで
ることが確認された。
実施例5
あらかじめジェットミル(アイシンナノテク
ノロジー社)で粉砕した、平均粒径0.3μmの硫
リチウム(出光興産株式会社)1.55g、五硫化二
ん3.46g、及び水分含有量が7ppmであるトルエ
(和光純薬工業株式会社)50mlを、内部を窒素
置換した撹拌機付きのオートクレーブに仕
み、190℃で24時間接触させた。
その後、固体成分をろ過により分離し、150
で120分間真空乾燥し、固体電解質を製造し
。
この固体電解質のイオン伝導度は4.0×10 -4
S/cmであった。X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)の結果
非晶質に由来するハローパターン以外にピ
クが観測されず固体電解質ガラスであるこ
が確認された。
実施例6
実施例5で製造した固体電解質を、300℃で5
間、加熱処理した。加熱処理後の固体電解
のイオン伝導度は1.1×10 -3
S/cmであった。X線回折測定の結果、2θ=17.8、18
.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピーク
観測され、固体電解質ガラスセラミックで
ることが確認された。
実施例7
用いる溶媒をトルエンに代わって、水分量
6ppmに減らしたヘキサンを用い、接触温度を
78℃、接触時間を48時間にした以外は実施例5
同様に作製し固体電解質を製造した。この
体電解質のイオン伝導度は6.5×10 -5
S/cmであり、更に300℃で5時間、加熱処理した
のイオン伝導度は、3.3×10 -4
S/cmであった。X線回折測定の結果、2θ=17.8、18
.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピーク
観測され、固体電解質ガラスセラミックで
ることが確認された。
実施例8
接触温度を88℃、接触時間を40時間にした以
外は、実施例7と同様に作製し固体電解質を
造した。この固体電解質のイオン伝導度は7.
7×10 -5
S/cmであり、更に300℃で5時間、加熱処理した
のイオン伝導度は、5.3×10 -4
S/cmであった。X線回折測定の結果、2θ=17.8、18
.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピーク
観測され、固体電解質ガラスセラミックで
ることが確認された。
実施例9
用いる溶媒をトルエンに代わって、水分量
5ppmに減らしたデカンを用い、接触温度を250
℃、接触時間を12時間、真空乾燥温度を180℃
した以外は実施例5と同様に作製し固体電解
質を製造した。この固体電解質のイオン伝導
度は6.2×10 -5
S/cmであり、更に300℃で5時間、加熱処理した
のガラスセラミックは、9.5×10 -4
S/cmであった。
実施例10
硫化リチウムとして、平均粒径が12μmの硫
リチウム(三協化成社製)を使用した以外は、
実施例1と同様に固体電解質を製造した。こ
固体電解質のイオン伝導度1.4×10 -6
S/cmであった。X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)の結果
非晶質に由来するハローパターン以外にピ
クが観測されず固体電解質ガラスであるこ
が確認された。また、窒素雰囲気下で300℃
5時間の加熱処理を行った後の固体電解質の
オン伝導度は1.2×10 -5
S/cmであった。
X線回折測定の結果、2θ=17.8、18.2、19.8、21.8
23.8、25.9、29.5、30.0degに若干ながらピークが
観測され、固体電解質ガラスセラミックであ
ることが確認された。
実施例11
硫化リチウムとして、平均粒径が8μmの硫化
リチウム(三協化成社製)を使用した以外は、
施例1と同様に固体電解質を製造した。この
固体電解質のイオン伝導度3.1×10 -6
S/cmであった。また、窒素雰囲気下で300℃、5
間の加熱処理を行った後の固体電解質のイ
ン伝導度は9.5×10 -6
S/cmであった。
X線回折測定の結果、2θ=17.8、18.2、19.8、21.8
23.8、25.9、29.5、30.0degに若干ながらピークが
観測され、固体電解質ガラスセラミックであ
ることが確認された。
比較例1
撹拌機付きのフラスコ内を窒素で置換し、
均粒径4μmの硫化リチウム1.55g、五硫化二り
3.46g、及び水分含有量が5ppmであるN-メチル-2
-ピロリドン(和光純薬工業株式会社)50mlを仕
み、140℃で24時間接触させた。
その後、固体成分をろ過により分離し、150
で120分間、真空乾燥した。この固体のイオ
伝導度は3.7×10 -7
S/cmであった。X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)の結果
非晶質に由来するハローパターン以外にピ
クが観測されず固体電解質ガラスであるこ
が確認された。
上記固体電解質ガラスを300℃で5時間、加熱
処理した後の固体電解質のイオン伝導度は3.4
×10 -6
S/cmであった。
本発明の製造方法では、リチウムイオン 導性固体電解質を比較的低温で特殊設備を 用せずに製造することができる。
Next Patent: CONTAINER FOR VOLATILE PEST INSECT-CONTROLLING AGENT
