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Title:
METHOD FOR PRODUCING SEAMLESS PIPE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/119245
Kind Code:
A1
Abstract:
A method for producing a seamless pipe by performing the piercing rolling of round billets heated to 1250°C or less by means of a piercer where plugs are arranged along a pass line between a pair of inclined rolls and a pair of guide means arranged opposed to each other around the pass line, wherein perforated rolling is performed under conditions which satisfy following expressions (1) to (3): -1.0<Δθ ... (1) Δθ=θp-θr ... (2) -0.37×Δθ+1.47≤Rn≤0.37×Δθ+2.67 ... (3) wherein the meaning of each symbol in the expressions is as follows. θr: half angle (°) that the pass line and a main roll surface make under a state where the angle of inclination of the main roll is zero, θp: half angle (°) that the pass line and a reeling portion of the plug make, and, Rn: number of times of reeling the plug.

Inventors:
INAGE TAKATERU (JP)
YAMAKAWA TOMIO (JP)
SHIMODA KAZUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053652
Publication Date:
October 01, 2009
Filing Date:
February 27, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO METAL IND (JP)
INAGE TAKATERU (JP)
YAMAKAWA TOMIO (JP)
SHIMODA KAZUHIRO (JP)
International Classes:
B21B19/04; B21B27/02
Foreign References:
JP2003001305A2003-01-07
JPH10249412A1998-09-22
Other References:
See also references of EP 2281641A4
Attorney, Agent or Firm:
SUGIOKA, Kanji et al. (JP)
Sugioka Miki 2 (JP)
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Claims:
 パスライン廻りに対向配設された一対の傾斜ロールと一対のガイド手段との間にパスラインに沿ってプラグを配したピアサにより1300℃以下に加熱した丸鋼片を穿孔圧延して継目無管を製造する方法であって、下記の(1)~(3)式を満足する条件で穿孔圧延することを特徴とする継目無管の製造方法。
  -1.0<δθ  ・・・(1)
  δθ=θ pr   ・・・(2)
  -0.37×δθ+1.47≦R n ≦0.37×δθ+2.67  ・・・(3)
 但し、上記式中の各記号の意味は下記の通りである。
θ r :主ロールの傾斜角がゼロの状態におけるパスラインと主ロール面とがなす半角(°)
θ p :パスラインとプラグのリーリング部とがなす半角(°)
R n :プラグのリーリング回数(回)
 
 パスライン廻りに対向配設された一対の傾斜ロールと一対のガイド手段との間にパスラインに沿ってプラグを配したピアサにより1300℃以下に加熱した丸鋼片を穿孔圧延して継目無管を製造する方法であって、下記の(1)、(2)および(4)式を満足する条件で穿孔圧延することを特徴とする継目無管の製造方法。
  -1.0<δθ  ・・・(1)
  δθ=θ pr   ・・・(2)
  -0.24×δθ+1.73≦R n ≦0.37×δθ+2.67  ・・・(4)
 但し、上記式中の各記号の意味は下記の通りである。
θ r :主ロールの傾斜角がゼロの状態におけるパスラインと主ロール面とがなす半角(°)
θ p :パスラインとプラグのリーリング部とがなす半角(°)
R n :プラグのリーリング回数(回)
 更に、下記の(5)式を満足する条件で穿孔圧延することを特徴とする請求項1または2に記載の継目無管の製造方法。
  -1.37×D 2 /D 1 +2.74≦R n   ・・・(5)
 但し、上記式中の各記号の意味は下記の通りである。
D 1 :主ロールゴージ部のロール直径(mm)
D 2 :プラグ最大径部位置における主ロール外径(mm)
R n :プラグのリーリング回数(回)
 更に、下記の(6)式を満足する条件で穿孔圧延することを特徴とする請求項1または2に記載の継目無管の製造方法。
  -1.25×D 2 /D 1 +2.88≦R n   ・・・(6)
 但し、上記式中の各記号の意味は下記の通りである。
D 1 :主ロールゴージ部のロール直径(mm)
D 2 :プラグ最大径部位置における主ロール外径(mm)
R n :プラグのリーリング回数(回)
 
 
Description:
継目無管の製造方法

 本発明は、継目無管の製造方法に関する

 継目無管の製造方法としては、加熱した 鋼片をピアサによって穿孔圧延した後、マ ドレルミル、プラグミルなどにより延伸圧 し、更に、サイザーなどで定径圧延して継 無管を得るマンネスマンプロセスが知られ いる。

 ピアサは、通常、バレル型またはコーン の一対の主ロール(「傾斜ロール」ともいう )からなる圧延ロールと、ガイドシュー、デ スクロール、ローラ式ガイドなどのガイド 段と、プラグと呼ばれる内面規制工具とを する穿孔機である。

 図1は、コーン型傾斜ロールを用いた傾斜 穿孔機の例を示す模式図であり、図2は、図1 A-A矢視図を示す模式図である。図3は、プラ グ形状を模式的に示した図である。

 図1に示すように、ピアサにおいては、例 えば、一対の主ロール1は、被圧延材である 鋼片BのパスラインX-Xに対してロール軸心線 それぞれ交叉角γをなすように対向配置さ ている。また、図2に示すように、主ロール1 はパスラインX-Xに対して傾斜角βとなるよう 配置される。図2に示されない他方の主ロー ル1は、パスラインX-Xを挟んで互いに傾斜角β で逆方向に傾斜させて対向配置されている。 丸鋼片Bに螺進運動を加える主ロール1は、そ ぞれの駆動装置4に直接連結され、これによ り、ロール軸心線を中心に回転できる。

 また、図2に示すように、パスライン周り に主ロール1とは位相を90°ずらして配置され 一対のディスクロール2が対向配置されてい る。一対のディスクロール2は、被圧延材の 行方向と同方向に所定の速度で回転駆動さ 、肉厚加工時の被圧延材の外周長の膨らみ 抑えて丸形状にするために重要な役目をな ている。

 プラグ3は、砲弾形状を有し、その基端部 をマンドレルバーMの先端に支持されており パスラインX―X上に配置されている。プラグ 3の材質としては、通常、Cr―Ni系の低合金鋼 用いられ、耐久性を高めるために使用前に 処理により酸化スケール被膜を形成させて る。

 そして、プラグ3は、例えば、図3に示す うに、主として圧延部31、リーリング部32お び逃げ部33で構成されており、リーリング 32と逃げ部33との境界が最大径Pdとなる。圧 部31では、主として中実鋼材の穴を空ける役 割を果たし、リーリング部では、中空素管の 肉厚寸法を均一化させるとともに、中空素管 内面を平滑化させる役割を果たす。そして、 リーリング部32は、プラグ軸心、即ち、丸鋼 のパスラインに対し半角θpの角度を有して る(図5を参照)。

 このように構成されたピアサにおいては 加熱された丸鋼片BがパスラインX-X上を図面 右方向に供給され、傾斜ロールの間隙を通過 している間に主ロール1とプラグ3により肉厚 工が施されながら圧延される。このとき、 鋼片Bは、パスラインX-X上を螺進移動し、そ の軸心部にプラグ3により孔が空けられて中 素管となる。

 ピアサによる穿孔圧延時に中空素管の内 に生じた凹凸部は、次工程のエロンゲータ プラグ、および、マンドレルミルのバーも くはプラグミルのプラグなどの内面規制工 で押しつぶされてしわ疵(かぶれ疵)へと進 する。即ち、最終製品に微小な内面疵が発 する原因は、ピアサ穿孔後の素管内表面性 (粗さ)に起因しているといえる。

 特に、燃料噴射管など内面に高い圧力を ける継目無鋼管において、微小米粒状の疵 あると、疵を起点として管が破裂し、大事 につながるなどの危険性がある。管内径が きい場合にはグラインダなどを用いた内面 の機械的除去は可能であるが、管内径が小 い場合には完全に除去することは困難であ 。仮に除去ができたとしても、手入れ工数 増大するのはもちろんのこと、除去した部 の肉厚が薄くなるなど、製品として問題を す場合もある。

 このような問題を解決するべく、本出願 は、特許文献1において、プラグのリーリン グ部のスケール皮膜を圧延部のスケール皮膜 より薄くしたプラグを用いて継目無鋼管を製 造する方法を開示している。

特開平10-249412

 特許文献1に記載の発明によれば、米粒か ぶれの発生を防止できる。しかしながら、ス ケール皮膜の除去量を厳密に調整しなければ ならず、皮膜厚さの管理を怠り、皮膜厚さを 薄くし過ぎると、リーリング部の焼き付き、 プラグ寿命低下などの問題を引き起こす場合 がある。

 本発明は、穿孔圧延後の中空素管の内面 状を向上させ、継目無管のしわ疵を抑止す ことができる継目無管の製造方法を提供す ことを目的とする。

 本発明者は、このような問題を解決する く鋭意研究を行った結果、下記の知見を見 した。

 図4は、パスラインに垂直な断面における 穿孔圧延過程の例を示す模式図である。図4 示すように、穿孔圧延においては、例えば 被圧延材5が一対の主ロール1およびプラグ3 よって形成される空間に圧入されることに り肉厚加工がなされる。その後、半回転し 位置でディスクロール2により外径の膨らみ 抑えられ、再び、一対の主ロール1およびプ ラグ3による肉厚加工が実施される。これを り返すことにより、被圧延材5に孔が空けら ると共に、その肉厚が規制される。

 ここで、図4の「a」で示す領域に到達し 被圧延材5の内表面には、その周方向に圧縮 が作用し、しわが発生する場合がある。被 延材5は、その後、螺進移動し、図4の「b」 示す領域に到達したとき、その外面が主ロ ル1に接触する。このとき、被圧延材5は、 径加工を受けるので、「a」で示す領域で形 された内面のしわが深くなる。その後、図4 の「c」で示す領域に到達したとき、被圧延 5の内面がプラグ3に接触する。このとき、し わが周方向に引き延ばされて微小疵に発展す る。

 本発明者は、被圧延材の内面性状を劣化 せる要因を調査したところ、管内粗面化、 詰まり(穿孔圧延終了時に被圧延材が主ロー ルから離脱しない状態またはプラグが被圧延 材ボトム部に残った状態を意味する。)等の 孔不良の発生に関し、下記の知見を得た。

 (a)プラグのリーリング回数R n が多くなると、被圧延材の前進方向への推進 力が低下する。その結果、穿孔圧延終了時の 速度が低下して、尻詰り等の穿孔不良が発生 しやすくなる。しかし、δθ(=θ p r 、但し、θ r :主ロールの傾斜角がゼロの状態におけるパ ラインと主ロール面とがなす半角、θ p :パスラインとプラグのリーリング部とがな 半角。)が大きくなるほど、ゴージ出側での 下が大きくなり、面圧が高くなって穿孔不 が発生しにくくなる。その結果、プラグの ーリング回数R n の自由度(主として、上限の自由度)が増す。

 (b)プラグのリーリング回数R n が多くなると、それだけ被圧延材への圧延回 数が多くなるので、ピアスドシェルの内面の 粗さを低減させやすくなる。その粗さ低減効 果は、δθ(=θ p r )が大きくなるほど、大きくなる。その結果 プラグのリーリング回数R n の自由度(主として、下限の自由度)が増す。

 (c)D 2 /D 1 が大きくなるほど、ゴージ出側のロール周速 が増加するため、前掲図4の「b」に示す領域 の外径の膨らみを抑制することができる。 の結果、プラグリーリング回数R n を少なくしても、しわの発生を抑止可能とな り、プラグのリーリング回数R n の自由度(主として、下限の自由度)が増す。

 上記のθ r は、主ロールの傾斜角がゼロの状態における パスラインと主ロール面とがなす半角(図5の θ r 」参照)、θ p は、パスラインとプラグのリーリング部とが なす半角(図5の「θ p 」参照)をそれぞれ意味する。また、プラグ リーリングRn回数は、下記式により求められ る。
  Rn=L p /(π×d×tanβ/2)

 但し、L p は、リーリング部の長さ(mm)、dは、下記式に り求められる値、βは、主ロールの傾斜角( )をそれぞれ意味する。
  d=(d 1 +d 2 )/2
 なお、上記式のd 1 は、丸鋼片の外径(mm)、d 2 は、中空素管の外径をそれぞれ意味する。

 本発明は、このような知見に基づいてな れたものであり、下記〔1〕~〔4〕に示す継 無管の製造方法を要旨としている。

 〔1〕パスライン廻りに対向配設された一対 の傾斜ロールと一対のガイド手段との間にパ スラインに沿ってプラグを配したピアサによ り1300℃以下に加熱した丸鋼片を穿孔圧延し 継目無管を製造する方法であって、下記の(1 )~(3)式を満足する条件で穿孔圧延することを 徴とする継目無管の製造方法。
  -1.0<δθ  ・・・(1)
  δθ=θ p r   ・・・(2)
  -0.37×δθ+1.47≦R n ≦0.37×δθ+2.67  ・・・(3)
 但し、上記式中の各記号の意味は下記の通 である。
θ r :主ロールの傾斜角がゼロの状態におけるパ ラインと主ロール面とがなす半角(°)
θ p :パスラインとプラグのリーリング部とがな 半角(°)
R n :プラグのリーリング回数(回)

 〔2〕パスライン廻りに対向配設された一対 の傾斜ロールと一対のガイド手段との間にパ スラインに沿ってプラグを配したピアサによ り1300℃以下に加熱した丸鋼片を穿孔圧延し 継目無管を製造する方法であって、下記の(1 )、(2)および(4)式を満足する条件で穿孔圧延 ることを特徴とする継目無管の製造方法。
  -1.0<δθ  ・・・(1)
  δθ=θ p r   ・・・(2)
  -0.24×δθ+1.73≦R n ≦0.37×δθ+2.67  ・・・(4)
 但し、上記式中の各記号の意味は下記の通 である。
θ r :主ロールの傾斜角がゼロの状態におけるパ ラインと主ロール面とがなす半角(°)
θ p :パスラインとプラグのリーリング部とがな 半角(°)
R n :プラグのリーリング回数(回)

 〔3〕更に、下記の(5)式を満足する条件で穿 孔圧延することを特徴とする上記〔1〕また 〔2〕に記載の継目無管の製造方法。
  -1.37×D 2 /D 1 +2.74≦R n   ・・・(5)
 但し、上記式中の各記号の意味は下記の通 である。
D 1 :主ロールゴージ部のロール直径(mm)
D 2 :プラグ最大径部位置における主ロール外径(m m)
R n :プラグのリーリング回数(回)

 〔4〕更に、下記の(6)式を満足する条件で穿 孔圧延することを特徴とする上記〔1〕また 〔2〕に記載の継目無管の製造方法。
  -1.25×D 2 /D 1 +2.88≦R n   ・・・(6)
 但し、上記式中の各記号の意味は下記の通 である。
D 1 :主ロールゴージ部のロール直径(mm)
D 2 :プラグ最大径部位置における主ロール外径(m m)
R n :プラグのリーリング回数(回)

 なお、本発明においてリーリング部とは、 記の(A)~(B)のいずれかの条件を満たす部位を 意味する。
 (A)下記式から求められる肉厚加工度が5%以 である部位
  肉厚加工度=(G 1 -G 2 )/G 1 ×100(%)
  但し、式中の各記号の意味は下記の通り ある。
  G 1 :プラグ該当部位の開始位置におけるプラグ ロールの距離(mm)
  G 2 :プラグ該当部位の終了位置におけるプラグ ロールの距離(mm)
 (B)プラグの最大径部の入側付近の部位
 (C)リーリング部に相当する部分が曲率を持 ない場合には、下記式から求められる面角 が2°以下である部位
  面角差=プラグ該当部位の面角-ロール出側 面角(°)
 但し、「プラグ該当部位の開始位置」とは 例えば、図3の符号31および符号32の境界線 位置、「プラグ該当部位の終了位置」とは 例えば、図3の符号32および符号33の境界線の 位置をそれぞれ意味する。

 本発明によれば、穿孔圧延後の中空素管 内面性状を改善でき、穿孔圧延後、延伸圧 および定径圧延を実施して得られた継目無 のしわ疵を抑止することができる。

コーン型傾斜ロールを用いた傾斜穿孔 の例を示す模式図 図1のA-A矢視図を示す模式図 プラグ形状を模式的に示した図 パスラインに垂直な断面における穿孔 延過程の例を示す模式図 傾斜角βがゼロの状態における主ロー およびプラグを示す模式図 δθとR n との関係を示す図 D 2 /D 1 とR n との関係を示す図

符号の説明

1  主ロール
2  ディスクロール
3  プラグ
31 圧延部
32 リーリング部
33 逃げ部
4  駆動装置
5  被圧延材
B  丸鋼片(ビレット)

 本発明に係る継目無鋼管の製造方法にお て用いる穿孔圧延機としては、従来用いら ているピアサを用いることができる。即ち パスライン廻りに対向配設された一対の傾 ロールと一対のガイド手段との間にパスラ ンに沿ってプラグを配し、ガイドシュー、 ィスクロール、ローラ式ガイドなどの通常 ガイド手段を有しているピアサを用いるこ ができる。また、プラグの形状についても 特に制約はないが、例えば、前掲の図3に示 すように、圧延部31、リーリング部32および げ部33を有し、リーリング部32と逃げ部33と 境界が最大径となる構成のものを用いるこ ができる。

 なお、ガイド手段としては、軸方向に材 速度を上昇させることができることから、 ィスクロールを用いることが望ましい。ま 、主ロールとしては、コーン型形状のロー を使用することが望ましい。

 穿孔圧延に供する丸鋼片は、1300℃以下に 加熱する必要がある。1300℃を超えると、丸 片内面の溶融による内面疵が発生するため 管の内面性状が劣化する。丸鋼片の温度は 低すぎると、変形抵抗が大きくなりすぎて 孔圧延を実施できないか、プラグその他の 造設備の寿命を著しく低下させる。従って 丸鋼片の温度は、1150℃以上とするのが望ま い。

 ここで、下記(a)式で定義されるδθは、-1.0 上とする必要がある。
  δθ=θ p r   ・・・(a)
 但し、上記式中の各記号の意味は下記の通 である。
θ r :主ロールの傾斜角がゼロの状態におけるパ ラインと主ロール面とがなす半角(°)
θ p :パスラインとプラグのリーリング部とがな 半角(°)

 即ち、穿孔圧延後の中空素管の内面は、プ グリーリング回数R n を多くすることで平滑化されるが、主ロール の出口面角θ r に対するプラグ面角θ p との組み合わせによっては、平滑性が不十分 となる場合、尻詰まり、偏肉等の不具合が発 生する場合などがある。この傾向は、上記の δθが小さくなるほど強くなり、δθが-1.0未満 では、プラグリーリング回数R n を多くしても、穿孔圧延後の中空素管の内面 を平滑にすることができなくなる。従って、 δθは-1.0以上とした。

 一方、プラグリーリング回数R n は、小さすぎると穿孔圧延後の中空素管の内 面の表面粗さが粗くなるが、大きすぎると尻 詰まりの問題が生じやすくなる。しかし、い ずれの問題も、δθが大きくなると、発生し くくなる。これは、δθを大きくすれば、ゴ ジ出側での圧下が大きくなるため面圧が高 なり穿孔不良が発生しにくくなるからであ 。すなわち、リーリング部での加工を後半 集中させることができ、同じプラグリーリ グ回数であっても内面性状の良好な中空素 を得ることできるのである。従って、プラ リーリング回数R n は、δθとの関係で、下記(b)式の関係を満足 る必要がある。より望ましいのは、下記(b1) の関係を満足する場合である。
  -0.37×δθ+1.47≦R n ≦0.37×δθ+2.67  ・・・(b)
  -0.24×δθ+1.73≦R n ≦0.37×δθ+2.67  ・・・(b1)

 プラグリーリング回数R n は、更に、下記(c)式を満足するのが望ましい 。より望ましいのは、下記(d)式を満足する場 合である。
  -1.37×D 2 /D 1 +2.74≦R n   ・・・(c)
  -1.25×D 2 /D 1 +2.88≦R n   ・・・(d)
 但し、上記式中の各記号の意味は下記の通 である。
D 1 :主ロールゴージ部のロール直径(mm)
D 2 :プラグ最大径部位置における主ロール外径(m m)

 穿孔圧延後の中空素管の内面粗さは、主ロ ル出側位置におけるロール径の影響を受け すい。プラグ最大径部位置における主ロー 外径D 1 を主ロールのゴージ部のロール直径D 2 よりも大きくなるように設定すれば、被圧延 材の内面に作用する周方向の圧縮歪みを緩和 しやすく、その結果、管内面のしわの抑制が 容易になる。前述のように、δθを小さくす と、管内面の平滑化が困難になるが、D 2 /D 1 とR n との関係を上記(c)式で示される条件を満足す るように設定することにより管内面の表面粗 さを改善できる。管内面の表面粗さは、D 2 /D 1 とR n との関係を上記(d)式で示される条件を満足す るように設定することにより更に改善する。

 本発明に係る継目無管の製造方法は、金 管、普通鋼管、低合金鋼管、高合金鋼管な いずれの管の製造にも適用することができ が、特に、内面のしわ疵に対する仕様の厳 い自動車部品用鋼管などを製造するのに適 ている。

 表1に示す化学組成を有する鋼種について 、連続鋳造により製造した鋼片を分塊圧延に て225φに仕上げた丸鋼片の中心部より70φの丸 鋼片を削りだして供試材とした。ガイド手段 としてディスクロールを用い、主ロール形状 とプラグ形状を変化させ、表2または表3に示 製造条件で穿孔圧延を行い、中空素管内面 粗さを(JIS-0601に定義される最大高さRz)測定 た。

 表2に示す製造条件で中空素管を製造したと きのδθおよびR n と管内面性状との関係を図6に、表3に示す製 条件で中空素管を製造したときのD 2 /D 1 およびR n と管内面性状との関係を図7にそれぞれ示し いる。

 なお、図6および図7中の「▲」は、中空 管内面の粗さがRz>150μmmであることを、「 」は、中空素管内面の粗さが100μmm≦Rz≦150 mmで、「○」は、中空素管内面の粗さがRz< 100μmmであることをそれぞれ示している。ま 、図6の「×」は、尻詰まり等の穿孔不良が じたことを示している。

 図6に示すように、δθが-1.0未満の領域では 中空素管内面の粗さRzが150μmmを超えるか、 孔不良が生じた。δθが-1.0の領域において 、R n が「0.37×δθ+2.67」を超える領域では穿孔不良 が生じ、「-0.37×δθ+1.47」を下回る領域では 表面粗さRzが大きくなった。また、R n が「-0.24×δθ+1.73」以上の領域となるように 造条件を調整すれば、表面粗さRzをより小さ くできた。

 図7に示すように、Rnが「-1.37×D 2 /D 1 +2.74」を下回る領域では、表面粗さが大きく り、これ以上の領域であれば、表面粗さが 好な範囲となる。Rnが「-1.25×D 2 /D 1 +2.88」以上の領域では、さらに、表面粗さを さくすることができる。

 表1に示す化学組成を有する連続鋳造材を 分塊圧延にてφ191の丸鋼片にした後、表4に示 す製造条件で、上記の丸鋼片をそれぞれ100本 分穿孔圧延し、外径φ73、肉厚t5.51の継目無鋼 管を製造し、その内面性状を調査した。その 結果を表5に示す。

 表5に示すように、本発明例は、比較例に 比べて内面疵発生率を格段に小さくすること ができた。

 本発明によれば、穿孔圧延後の中空素管の 面性状を改善でき、穿孔圧延後、延伸圧延 よび定径圧延を実施して得られた継目無管 しわ疵を抑止することができる。
 




 
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