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Title:
METHOD FOR PRODUCTION OF ADHESIVE RESIN COMPOSITION, RESIN FILM, AND LAMINATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/022516
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a method for producing an adhesive resin composition; a resin film; and a laminate. The method is characterized by kneading a saturated polyester resin having a melt index of 10 to 500 g/10 minutes and a thermoplastic resin which is different from the saturated polyester resin and has a melt index of 1.5 to 20 g/10 minutes by using a twin-screw extruder, wherein the ratio of the total length (Ls) and the effective screw length (La) of a kneading screw part (i.e., an Ls/La ratio) is 0.20 to 0.45, and wherein the preset average cylinder temperature in the first kneading step is lower than that in the second kneading step. The resin film is produced by processing an adhesive resin composition produced by the method. The laminate comprises two or more materials bound together through an adhesive layer, wherein the adhesive layer comprises the resin film.

Inventors:
TANASE MANABU (JP)
KANBAYASHI TOMIO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/062861
Publication Date:
February 19, 2009
Filing Date:
July 16, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOAGOSEI CO LTD (JP)
TANASE MANABU (JP)
KANBAYASHI TOMIO (JP)
International Classes:
C09J167/00; B29B7/46; B29C48/395; B29C48/40; B29C48/625; B32B27/00; B32B27/36; C08K3/00; C08L23/04; C08L23/26; C08L63/00; C08L67/00; C09J7/00; C09J11/04; C09J201/00
Foreign References:
JP2002309205A2002-10-23
JPH01254789A1989-10-11
JPH0234307A1990-02-05
JPH06238655A1994-08-30
JPH1171466A1999-03-16
JPH11166040A1999-06-22
Attorney, Agent or Firm:
KOJIMA, Seiji (4F 8-20, Jingu 3-chome,Atsuta-k, Nagoya-shi Aichi 31, JP)
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Claims:
 メルトインデックスが10~500g/10分の飽和ポリエステル樹脂と、該飽和ポリエステル樹脂を除く熱可塑性樹脂であり、且つメルトインデックスが1.5~20g/10分である熱可塑性樹脂とを、2軸スクリュー型押出機を用いて混練する接着性樹脂組成物の製造方法であって、
 混練用スクリューパーツの合計長さ(Ls)とスクリュー有効長(La)との比(Ls/La)が0.20~0.45であり、且つ第1混練工程における平均シリンダー設定温度が第2混練工程における平均シリンダー設定温度より低いことを特徴とする接着性樹脂組成物の製造方法。
 上記第1混練工程における上記平均シリンダー設定温度が上記第2混練工程における上記平均シリンダー設定温度より2~60℃低い請求項1に記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 上記2軸スクリュー型押出機は、原材料を投入するためのホッパーと、長さ方向の中間部で副原料を投入するための副原料供給口と、アダプターとを備え、上記第1混練工程は該ホッパーと該副原料供給口との間の混練工程であり、上記第2混練工程は該副原料供給口と該アダプターとの間の混練工程である請求項1又は2に記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 上記第1混練工程における上記平均シリンダー設定温度が、上記飽和ポリエステル樹脂の融点を20℃下回る温度から該融点を20℃上回る温度までの温度範囲であり、上記第2混練工程における平均シリンダー設定温度が、該飽和ポリエステル樹脂の該融点を15℃下回る温度から該融点を60℃上回る温度までの温度範囲である請求項1乃至3のうちのいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 上記第1混練工程における混練用スクリューパーツの長さ(L 1 )と、上記第2混練工程における混練用スクリューパーツの長さ(L 2 )との合計長さと、該第1混練工程における混練用スクリューパーツの長さ(L 1 )との比[L 1 /(L 1 +L 2 )]が、0.3~0.6である請求項1乃至4のうちのいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 上記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、及びグリコール変性ポリエチレンテレフタレート樹脂のうちの少なくとも1種である請求項1乃至5のうちのいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 上記ポリエチレン樹脂が密度0.910~0.925g/cm 3 の低密度ポリエチレン樹脂である請求項6に記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 上記接着性樹脂組成物が更にエポキシ樹脂を含有する請求項1乃至7のうちのいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 上記エポキシ樹脂が、分子中に2個以上のグリシジル基を有するビスフェノールA型エポキシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のうちの少なくとも一方である請求項8に記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 上記接着性樹脂組成物が更に無機充填剤を含有する請求項1乃至9のうちのいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 上記無機充填剤がタルクである請求項10に記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 請求項1乃至11のうちのいずれか1項に記載の接着性樹脂組成物の製造方法により製造された接着性樹脂組成物を加工してなることを特徴とする樹脂フィルム。
 複数の被着材と、各々の該被着材を互いに接着している接着剤層とを備える積層体であって、
 上記接着剤層は請求項12に記載の樹脂フィルムを用いて形成されたことを特徴とする積層体。
Description:
接着性樹脂組成物の製造方法及 樹脂フィルム並びに積層体

 本発明は、接着性樹脂組成物の製造方法 び樹脂フィルム並びに積層体に関する。更 詳しくは、本発明は、混練不良による未溶 物の発生が抑えられる接着性樹脂組成物の 造方法、及び未溶融物による厚さのばらつ 等の少ない樹脂フィルム、並びにこの樹脂 ィルムを接着剤層として被着材を接着して る積層体に関する。本発明の方法により製 された接着性樹脂組成物は、特に、金属及 樹脂等の接着に用いたときに、未溶融物に る接着剤層の厚さのばらつき、接着不良及 外観不良等を生じることがなく、且つ優れ 接着強さ等を有する接着剤層を形成するこ ができる。

 従来、熱可塑性樹脂組成物は各種の方法 より製造されている。例えば、ベント式2軸 押出機を用いて熱可塑性樹脂ペレットを製造 する際、真空脱揮領域を設けないシリンダー ・スクリュー配列として、溶融体搬送領域を 短くし、固体搬送領域に押出材料圧縮領域を 設けて遷移領域への随伴空気量を減らし、ゲ ル化物・炭化物等の異物の少ない品質の優れ た熱可塑性樹脂ペレットを提供する製造方法 が知られている(例えば、特許文献1参照。)。

 また、金属及び樹脂等の接着に用いる接 剤として、飽和ポリエステル樹脂を含有す 接着剤組成物が検討されている。飽和ポリ ステル樹脂を金属及び樹脂等の接着剤とし 用いる方法としては、(1)共重合させるモノ ー組成により接着性を付与する方法(例えば 、特許文献2参照。)、(2)共重合させるモノマ 組成を限定し、特定の結晶性を付与するこ により接着性を向上させる方法(例えば、特 許文献3参照。)、及び(3)ナイロン、エチレン- 酢酸ビニル共重合体を混合し、接着性を向上 させる方法(例えば、特許文献4参照。)等が知 られている。

特開2002-292626号公報

米国特許第3423281号明細書

米国特許第3515628号明細書

特開昭51-91958号公報

 特許文献1に記載の熱可塑性樹脂ペレット の製造方法では、真空脱揮領域を設けない、 及び遷移領域への随伴空気量を減らす等の特 定の方法により、ゲル化物・炭化物等の異物 の少ないペレットが製造されている。しかし 、特許文献1には、特定の飽和ポリエステル 脂及びポリエチレン樹脂等を用いて、混練 良による未溶融物の発生を抑えることにつ ては何ら言及されていない、また、製造さ た熱可塑性樹脂ペレットを接着剤として用 ることについても何ら記載されていない。

 また、特許文献2~4に記載の接着剤は、特 金属及び樹脂等の接着では、被着材の間に 脂組成物のペレットを介在させ、加熱して 着させる、及び樹脂組成物を二次加工して るフィルム等を、次工程で被着材に積層し 接着させる等の方法で用いられる。しかし 樹脂組成物の混練不良による未溶融物によ て、接着剤層の厚さがばらつく等の問題が 生し、接着不良及び外観不良等を生じるこ がある。更に、特許文献2~4に記載の接着剤 、被着材と共押出する、溶融させて塗布す 、又は接着性フィルムに成形して用いる等 、加熱し、溶融させるのみの簡易な操作、 程により使用することができる。しかし、 着後の耐久性が十分ではないという問題が り、接着強さ等の更なる向上が必要とされ 。

 本発明は上記の従来の問題点を解決する のであり、混練不良による未溶融物の発生 抑えられる接着性樹脂組成物の製造方法を 供することを目的とする。また、本発明の 法により製造された接着性樹脂組成物を加 してなる樹脂フィルムであって、特に被着 の間に介在させて接着剤として用いること できる樹脂フィルム、並びにこの樹脂フィ ムを接着剤層として被着材が接着されてな 積層体を提供することを目的とする。本発 の方法により製造された接着性樹脂組成物 、特に、金属及び樹脂等の接着に用いたと に、接着不良及び外観不良等を生じること なく、優れた接着強さ等を有する接着剤層 形成することができる。

 本発明は以下のとおりである。
 1.メルトインデックスが10~500g/10分の飽和ポ エステル樹脂と、該飽和ポリエステル樹脂 除く熱可塑性樹脂であり、且つメルトイン ックスが1.5~20g/10分である熱可塑性樹脂とを 、2軸スクリュー型押出機を用いて混練する 着性樹脂組成物の製造方法であって、混練 クリューパーツの合計長さ(Ls)とスクリュー 効長(La)との比(Ls/La)が0.20~0.45であり、且つ 1混練工程における平均シリンダー設定温度 第2混練工程における平均シリンダー設定温 度より低いことを特徴とする接着性樹脂組成 物の製造方法。
 2.上記第1混練工程における上記平均シリン ー設定温度が上記第2混練工程における上記 平均シリンダー設定温度より2~60℃低い上記1. に記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 3.上記2軸スクリュー型押出機は、原材料を 入するためのホッパーと、長さ方向の中間 で副原料を投入するための副原料供給口と アダプターとを備え、上記第1混練工程は該 ホッパーと該副原料供給口との間の混練工程 であり、上記第2混練工程は該副原料供給口 該アダプターとの間の混練工程である上記1. 又は2.に記載の接着性樹脂組成物の製造方法
 4.上記第1混練工程における上記平均シリン ー設定温度が、上記飽和ポリエステル樹脂 融点を20℃下回る温度から該融点を20℃上回 る温度までの温度範囲であり、上記第2混練 程における平均シリンダー設定温度が、該 和ポリエステル樹脂の該融点を15℃下回る温 度から該融点を60℃上回る温度までの温度範 である上記1.乃至3.のうちのいずれか1項に 載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 5.上記第1混練工程における混練用スクリュ パーツの長さ(L 1 )と、上記第2混練工程における混練用スクリ ーパーツの長さ(L 2 )との合計長さと、該第1混練工程における混 用スクリューパーツの長さ(L 1 )との比[L 1 /(L 1 +L 2 )]が、0.3~0.6である上記1.乃至4.のうちのいず か1項に記載の接着性樹脂組成物の製造方法
 6.上記熱可塑性樹脂が、ポリエチレン樹脂 酸変性ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸 ニル共重合樹脂、及びグリコール変性ポリ チレンテレフタレート樹脂のうちの少なく も1種である上記1.乃至5.のうちのいずれか1 に記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 7.上記ポリエチレン樹脂が密度0.910~0.925g/cm 3 の低密度ポリエチレン樹脂である上記6.に記 の接着性樹脂組成物の製造方法。
 8.上記接着性樹脂組成物が更にエポキシ樹 を含有する上記1.乃至7.のうちのいずれか1項 に記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 9.上記エポキシ樹脂が、分子中に2個以上の リシジル基を有するビスフェノールA型エポ キシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポキ シ樹脂のうちの少なくとも一方である上記8. 記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 10.上記接着性樹脂組成物が更に無機充填剤 含有する上記1.乃至9.のうちのいずれか1項 記載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 11.上記無機充填剤がタルクである上記10.に 載の接着性樹脂組成物の製造方法。
 12.上記1.乃至11.のうちのいずれか1項に記載 接着性樹脂組成物の製造方法により製造さ た接着性樹脂組成物を加工してなることを 徴とする樹脂フィルム。
 13.複数の被着材と、各々の該被着材を互い 接着している接着剤層とを備える積層体で って、上記接着剤層は上記12.に記載の樹脂 ィルムを用いて設けられたことを特徴とす 積層体。

 本発明の接着性樹脂組成物の製造方法によ ば、混練領域の長さ、並びに上流側及び下 側の各々の混練領域の温度設定を特定する とにより、混練不良による未溶融物の発生 抑えられる接着性樹脂組成物を製造するこ ができる。この接着性樹脂組成物は、特に 金属及び樹脂等からなる被着材の接着に用 たときに、接着不良及び外観不良等を生じ ことがなく、優れた接着強さ等を有する接 剤層を形成することができる。また、無溶 型の接着剤として用いることができるため 無公害であり、生産性も高く、広範な産業 野で利用することができる。
 また、第1混練工程における平均シリンダー 設定温度が第2混練工程における平均シリン ー設定温度より2~60℃低い場合は、十分に混 することができ、未溶融物の発生がより抑 られ、接着剤として用いたときに、接着不 及び外観不良等を生じることがなく、より 用な接着性樹脂組成物を製造することがで る。
 更に、2軸スクリュー型押出機が、原材料を 投入するためのホッパーと、長さ方向の中間 部で副原料を投入するための副原料供給口と 、アダプターとを備え、第1混練工程がホッ ーと副原料供給口との間の混練工程であり 第2混練工程が副原料供給口とアダプターと 間の混練工程である場合は、未溶融物の発 がより抑えられ、接着剤として用いたとき 、接着不良及び外観不良等を生じることが い。
 また、第1混練工程における平均シリンダー 設定温度が、飽和ポリエステル樹脂の融点を 20℃下回る温度から融点を20℃上回る温度ま の温度範囲であり、第2混練工程における平 シリンダー設定温度が、飽和ポリエステル 脂の融点を15℃下回る温度から融点を60℃上 回る温度までの温度範囲である場合は、接着 剤として用いたときに、接着不良及び外観不 良等を生じることがなく、優れた接着強さ等 を有する接着剤層を形成することができる。
 更に、第1混練工程における混練用スクリュ ーパーツの長さ(L 1 )と、第2混練工程における混練用スクリュー ーツの長さ(L 2 )との合計長さと、第1混練工程における混練 スクリューパーツの長さ(L 1 )との比[L 1 /(L 1 +L 2 )]が、0.3~0.6である場合は、特に無機充填剤が 配合されているときでも、十分に混練するこ とができ、未溶融物の発生等をより抑えるこ とができる。
 また、熱可塑性樹脂が、ポリエチレン樹脂 酸変性ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸 ビニル共重合樹脂、グリコール変性ポリエチ レンテレフタレート樹脂のうちの少なくとも 1種である場合は、接着剤として用いたとき 、接着不良及び外観不良等を生じることが く、より優れた接着強さ等を有する接着剤 を形成することができる。
 更に、ポリエチレン樹脂が密度0.910~0.925g/cm 3 の低密度ポリエチレン樹脂である場合は、特 に優れた接着性及び外観等を有する接着剤層 を形成することができる。
 また、接着性樹脂組成物がエポキシ樹脂を 有する場合は、接着剤として用いたときに より優れた接着性及び外観等を有する接着 層を形成することができる。
 更に、エポキシ樹脂が、分子中に2個以上の グリシジル基を有するビスフェノールA型エ キシ樹脂及びクレゾールノボラック型エポ シ樹脂のうちの少なくとも一方である場合 、特に優れた接着性及び外観等を有する接 剤層を形成することができる。
 また、接着性樹脂組成物が更に無機充填剤 含有する場合は、接着剤として用いたとき 、より優れた接着強さ等を有する接着剤層 形成することができる。
 更に、無機充填剤がタルクである場合は、 に優れた接着強さ等を有する接着剤層を形 することができる。
 本発明の樹脂フィルムは、本発明の方法に り製造された接着性樹脂組成物を加工して るため、混練不良による未溶融物の発生が えられ、特に、金属及び樹脂等からなる被 材の接着に用いたときに、接着不良及び外 不良等を生じることがない。
 本発明の積層体は、複数の被着材が、本発 の樹脂フィルムを用いてなる接着剤層によ 接着されているため、接着不良を生じるこ がなく、優れた外観を有する。

実施例1において用いた2軸スクリュー 押出機が備えるシリンダーに設けられたC1~C9 の9個の温度設定ゾーン、及びスクリューに 設された3個の混練用スクリューパーツを説 するための模式図である。

符号の説明

 C1~C9;温度設定ゾーン、N1~N3;混練用スクリ ーパーツ、1;ホッパー、2;副原料供給口、3; ダプター。

 以下、本発明を詳しく説明する。
 本発明の接着性樹脂組成物の製造方法は、 ルトインデックスが10~500g/10分の飽和ポリエ ステル樹脂と、この飽和ポリエステル樹脂を 除く他の熱可塑性樹脂であって、メルトイン デックスが1.5~20g/10分の熱可塑性樹脂とを、2 スクリュー型押出機を用いて混練するとき 、混練スクリューパーツの合計長さ(Ls)とス クリュー有効長(La)との比(Ls/La)が0.20~0.45であ 、且つ第1混練工程における平均シリンダー 設定温度が第2混練工程における平均シリン ー設定温度より低いことを特徴とする。
 尚、飽和ポリエステル樹脂及び他の熱可塑 樹脂の各々のメルトインデックスは、JIS K 7210(熱可塑性プラスチックの流れ試験方法) 従って、試験温度190℃、試験荷重21.18Nの条 で測定した値である。

[1]接着性樹脂組成物の組成
 上記「飽和ポリエステル樹脂」としては、 ルトインデックス(以下、「MI」と略記する )が10~500g/10分の飽和ポリエステル樹脂を用 ることができる。このMIは、10~300g/10分、特 10~200g/10分、更に10~100g/10分であることが好ま しい。飽和ポリエステル樹脂のMIが10~500g/10分 であれば、混練不良による未溶融物の発生が 十分に抑えられ、特に、金属及び樹脂等の接 着に用いたときに、接着不良及び外観不良等 を生じることがなく、優れた接着強さ等を有 する接着剤として使用することができる。

 飽和ポリエステル樹脂は、MIが上記の特 の範囲内であることを除いて特に限定され いが、その軟化温度が100~190℃、特に100~160℃ であることが好ましい。軟化温度が100~190℃ あれば、特に、金属及び樹脂等の接着に用 たときに、優れた接着強さ等を有する接着 層を形成することができる。また、接着性 脂組成物を用いて樹脂フィルムを成形する きに、ブロッキング等を生じることがなく 成形加工が容易である。更に、示差走査熱 計を用いて測定した飽和ポリエステル樹脂 融解熱は、0.5kccal/kg以上であることが好まし い。融解熱が0.5kccal/kg以上であれば、特に、 属及び樹脂等の接着に用いたときに、より れた接着強さ等を有する接着剤層を形成す ことができる。

 また、金属シート、樹脂フィルム等の、 さが薄く、柔軟な被着材である場合は、飽 ポリエステル樹脂として、粘弾性スペクト メータにより測定したガラス転移温度が30 以下、特に0℃以下(通常、-40℃以上)の飽和 リエステル樹脂を用いることが好ましい。 着材が柔軟であれば、被着材が接着されて る積層体を容易に変形させることができる 、飽和ポリエステル樹脂のガラス転移温度 30℃以下であれば、接着剤層が積層体の変形 に十分に追随し、変形による剥離等を生じる ことがなく、優れた耐久性等を有する接着剤 層を形成することができる。

 飽和ポリエステル樹脂の製造に用いるジ ルボン酸としては、例えば、テレフタル酸 ジメチルテレフタル酸、イソフタル酸、オ ソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、及 コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、β-メ ルアジピン酸、ピメリン酸、1,6-ヘキサンジ カルボン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノ ナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ヘ キサデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカル ボン酸等が挙げられる。これらのジカルボン 酸は1種のみ用いてもよく、2種以上を併用し もよい。

 また、ジオールとしては、例えば、エチ ングリール、1,2-プロパンジオール、1,3-プ パンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタ ンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,5-ペン ンジオール、3-メチルペンタンジオール、1, 3-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、 1,4-シクロヘキサンジオール、水添ビスフェ ールA、ジエチレングリコール、トリエチレ グリコール、ジプロピレングリコール等の オールが挙げられる。これらのジオールは1 種のみ用いてもよく、2種以上を併用しても い。

 本発明の方法により製造された接着性樹 組成物では、ジカルボン酸残基として30~90 ル%のテレフタル酸残基が含有され、且つジ ール残基として30モル%以上の1,4-ブタンジオ ール残基が含有される飽和ポリエステル樹脂 が好ましい。また、このような組成を有し、 且つ上記の軟化温度、融解熱及びガラス転移 温度を併せて有する飽和ポリエステル樹脂が より好ましい。このような飽和ポリエステル 樹脂を用いたときは、特に、金属及び樹脂等 の接着に用いたときに、より優れた接着強さ 等を有する接着剤層を形成することができる 。

 更に、飽和ポリエステル樹脂を製造する 、酸成分として、マレイン酸、フマル酸、 イマー酸等の不飽和酸、及びトリメリット 等の3官能以上の多官能酸を共重合させるこ ともできる。また、アルコール成分として、 トリメチールプロパン、ペンタエリスリトー ル等の3価以上の多価アルコールを共重合さ ることもできる。これらのモノマーを共重 させた飽和ポリエステル樹脂は、ポリエス ル系接着剤に配合して用いられることが多 共重合樹脂であるが、この共重合樹脂を用 た場合、使用形態によっては接着性、耐久 及び熱安定性等が低下することがあるため 所要特性が損なわれない範囲で用いること 好ましい。

 上記「熱可塑性樹脂」としては、上記の 定のMIを有する飽和ポリエステル樹脂を除 他の熱可塑性樹脂であり、且つMIが1.5~20g/10 である各種の熱可塑性樹脂を用いることが きる。この熱可塑性樹脂としては、ポリエ レン樹脂、酸変性ポリオレフィン樹脂、エ レン-酢酸ビニル共重合樹脂、グリコール変 ポリエチレンテレフタレート樹脂のうちの なくとも1種を用いることが好ましい。

 熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂 より好ましい。このポリエチレン樹脂は特 限定されず、各種のポリエチレン樹脂を用 ることができる。ポリエチレン樹脂として 、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリ チレン、中高密度ポリエチレン等が挙げら る。また、エチレンと、10質量%以下、特に3 ~7質量%のプロピレン、アクリル酸、アクリル 酸エステル等との共重合樹脂(エチレンと他 モノマーとの合計を100質量%とする。)を用い ることもできる。これらのポリエチレン樹脂 は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用し もよい。ポリエチレン樹脂としては、低密 ポリエチレン及び直鎖状低密度ポリエチレ を用いることが好ましく、密度が0.910~0.925g/ cm 3 の低密度ポリエチレン樹脂が特に好ましい。

 酸変性ポリオレフィン樹脂としては、ポ エチレン、ポリプロピレン等のポリオレフ ン樹脂に、無水マレイン酸、無水イタコン 等をグラフト重合させてなる樹脂を用いる とができる。また、エチレン-酢酸ビニル共 重合樹脂としては、エチレンと、45質量%以下 、特に3~15質量%の酢酸ビニルとの共重合樹脂( エチレンと酢酸ビニルとの合計を100質量%と る。)を用いることができる。更に、グリコ ル変性ポリエチレンテレフタレート樹脂と ては、例えば、テレフタル酸残基、エチレ グリコール残基及びシクロヘキサンジメタ ール残基を有する飽和ポリエステル樹脂(イ ーストマンケミカル社製、商品名「EASTER GN07 1等)を用いることができる。

 熱可塑性樹脂のMIは1.5~20g/10分であり、1.5~ 15g/10分、特に1.5~10g/10分、更に1.5~5g/10分であ ことが好ましい。熱可塑性樹脂のMIが1.5~20g/1 0分であれば、飽和ポリエステル樹脂との混 が容易であり、より均質な樹脂混合物とす ことができ、特に、金属及び樹脂等の接着 用いたときに、未溶融物によって、接着剤 の厚さがばらつき、接着不良及び外観不良 を生じることがない。

 また、熱可塑性樹脂の配合量は、飽和ポリ ステル樹脂を100質量部とした場合に、5~35質 量部、特に10~30質量部、更に10~25質量部とす ことが好ましい。熱可塑性樹脂の配合量が5~ 35質量部であれば、特に、金属及び樹脂等の 着に用いたときに、優れた接着強さ等を有 る接着剤層を形成することができる。
 更に、接着性樹脂組成物には、上記の特定 飽和ポリエステル樹脂と、熱可塑性樹脂と 除く他の熱可塑性樹脂が含有されていても いが、上記の特定の飽和ポリエステル樹脂 び熱可塑性樹脂と、他の熱可塑性樹脂との 計を100質量%とした場合に、他の熱可塑性樹 脂は30質量%以下、特に25質量%以下であること が好ましい。

 接着性樹脂組成物にはエポキシ樹脂を含有 せることができる。このエポキシ樹脂は特 限定されず、例えば、ビスフェノール型エ キシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等を いることができる。エポキシ樹脂としては 分子中に2個以上のグリシジル基を有するビ スフェノールA型エポキシ樹脂及びクレゾー ノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。こ らのエポキシ樹脂は1種のみ用いてもよく、2 種以上を併用してもよい。
 エポキシ樹脂の含有量は特に限定されない 、飽和ポリエステル樹脂を100質量部とした 合に、3~20質量部、特に5~15質量部とするこ ができる。3~20質量部のエポキシ樹脂を含有 せることにより、特に、金属及び樹脂等の 着に用いたときに、接着強さ等をより向上 せることができる。

 接着性樹脂組成物には無機充填剤を含有さ ることもできる。この無機充填剤は特に限 されず、例えば、タルク、炭酸カルシウム 酸化亜鉛、酸化チタン、クレー、ベントナ ト、シリカ等の粉末を用いることができる 無機充填剤としてはタルクが好ましい。
 無機充填剤の含有量も特に限定されないが 飽和ポリエステル樹脂を100質量部とした場 に、20質量部以下、特に15質量部以下、更に 10質量部以下(通常、1質量部以上)であること 好ましい。20質量部以下の無機充填剤を含 させることにより、特に、金属及び樹脂等 接着に用いたときに、接着強さ等をより向 させることができる。

 接着性樹脂組成物には有機アルコキシシラ を含有させることもできる。この有機アル キシシランは特に限定されず、例えば、ビ ルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキ シラン、ビニル-トリ(β-メトキシ)シラン、 -メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ 、γ-メタクリロキシプロピル-トリ(β-メト シエトキシ)シラン、β-(3,4-エポキシシクロ キシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリ ドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニ トリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロ ルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピル リエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ- ミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げ れる。これらのうちでは、エポキシ基を有 る有機アルコキシシランが特に好ましい。
 有機アルコキシシランの含有量も特に限定 れないが、飽和ポリエステル樹脂を100質量 とした場合に、0.1~5質量部、特に0.5~3質量部 であることが好ましい。0.1~5質量部の有機ア コキシシランを含有させることにより、特 、金属及び樹脂等の接着に用いたときに、 着強さ等をより向上させることができる。

 本発明の方法により製造された接着性樹 組成物には更に他の添加剤等を含有させる とができる。この添加剤等としては、安定 、紫外線吸収剤及び老化防止剤等の、通常 接着性樹脂組成物に配合して用いられる添 剤等が挙げられる。

[2]接着性樹脂組成物の製造方法
 本発明の接着性樹脂組成物の製造方法は、 記の飽和ポリエステル樹脂と、この飽和ポ エステル樹脂を除く他の熱可塑性樹脂とを 2軸スクリュー型押出機を用いて混練すると きの、混練用スクリューパーツの合計長さ(Ls )とスクリュー有効長(La)との比(Ls/La)が0.20~0.45 であり、且つ第1混練工程における平均シリ ダー設定温度が第2混練工程における平均シ ンダー設定温度より低い。

 本発明において用いられる2軸スクリュー 型押出機は、スクリューの基端部が取り付け られた駆動側(上流側)からスクリューの先端 (下流側)へと、原材料を投入するためのホ パー、必要に応じて中間部で副原料を投入 るための副原料供給口、及び先端部に取り けられたアダプター等を備える。そして、 原料供給口を備える場合は、ホッパーと副 料供給口との間の混練部における混練が上 「第1混練工程」となり、副原料供給口とア プターとの間の混練部における混練が上記 第2混練工程」となる。また、副原料供給口 を備えない場合は、スクリュー有効長の中央 から駆動側(上流側)を「第1混練工程」とし、 中央から先端側(下流側)を第2混練工程とする 。

 上記「2軸スクリュー型押出機」が有する スクリューは、軸芯の長さ方向に、樹脂等を 混練するための混練部と、樹脂等を搬送する ための搬送部とを備え、この混練部と搬送部 との合計長さがスクリュー有効長である。従 って、後記のアダプターはスクリュー有効長 に含まれない。また、このスクリューは、軸 芯と、この軸芯に嵌装されたそれぞれ複数の 混練用スクリューパーツと搬送用スクリュー パーツとを有し、複数の混練用スクリューパ ーツが上記の混練部を構成し、複数の搬送用 スクリューパーツが上記の搬送部を構成する 。また、第1混練工程及び第2混練工程の各々 構成するそれぞれの混練用スクリューパー は、同構造であってもよく、構造が異なっ いてもよい。更に、第1混練工程及び第2混 工程の各々に複数の混練用スクリューパー が配設される場合、それぞれの混練用スク ューパーツは同構造でもよく、構造が異な ていてもよい。

 本発明では、混練用スクリューパーツの 計長さ(Ls)とスクリュー有効長(La)との比(Ls/L a)が0.20~0.45であり、0.23~0.45、特に0.23~0.42、更 0.24~0.40であることが好ましい。この比が0.20 ~0.45であれば、樹脂等を安定して、且つ十分 混練し、混合することができ、混練不良に る未溶融物の発生が抑えられ、特に、金属 び樹脂等の接着に用いたときに、接着不良 び外観不良等を生じることがなく、優れた 着強さ等を有する接着剤層を形成すること できる。また、比(Ls/La)が上記の範囲内であ れば、過大な負荷によって樹脂温度が高くな りすぎ、樹脂が劣化することもない。

 また、第1混練工程における混練用スクリュ ーパーツの長さ(L 1 )と、第2混練工程における混練用スクリュー ーツの長さ(L 2 )との合計長さと、第1混練工程における混練 スクリューパーツの長さ(L 1 )との比[L 1 /(L 1 +L 2 )]は特に限定されないが、0.3~0.6、特に0.35~0.6 更に0.4~0.55であることが好ましい。このよ に第1混練工程における混練用スクリューパ ツが十分な長さを有しておれば、特に無機 填剤等を配合したときでも、十分に混練す ことができ、未溶融物の発生を抑えること でき、特に、金属及び樹脂等の接着に用い ときに、優れた接着強さ等を有する接着剤 を形成することができる。

 更に、本発明では、第1混練工程における 平均シリンダー設定温度が第2混練工程にお る平均シリンダー設定温度より低く、これ よって、より安定した混練、混合が可能と り、特に、金属及び樹脂等の接着に用いた きに、より優れた接着強さ等を有する接着 層を形成することができる。第1混練工程に ける平均シリンダー設定温度は、第2混練工 程における平均シリンダー設定温度より2~60 低いことが好ましく、5~40℃低いことがより ましい。

 また、第1混練工程における平均シリンダ ー設定温度は、飽和ポリエステル樹脂の融点 を20℃下回る温度から融点を20℃上回る温度 での温度範囲であり、第2混練工程における 均シリンダー設定温度は、飽和ポリエステ 樹脂の融点を15℃下回る温度から融点を60℃ 上回る温度までの温度範囲であることがより 好ましい。これによって、更に安定した混練 、混合が可能となり、混練不良による未溶融 物の発生が十分に抑えられ、特に、金属及び 樹脂等の接着に用いたときに、優れた接着強 さ等を有する接着剤層を形成することができ る。

 第1混練工程における平均シリンダー設定 温度は、飽和ポリエステル樹脂の融点を10℃ 回る温度から融点を10℃上回る温度までの 度範囲であることが特に好ましい。また、 2混練工程における平均シリンダー設定温度 、飽和ポリエステル樹脂の融点を5℃下回る 温度から融点を45℃上回る温度までの温度範 であることが特に好ましい。これによって 特に安定した混練、混合が可能となる。

 この2軸スクリュー型押出機では、シリン ダーの温度設定は、シリンダーを上流側から 下流側へと複数の温度設定ゾーンに分割し、 各々の温度設定ゾーンの温度を所定温度に設 定することによりなされている。そして、混 練用スクリューパーツの配設部と、シリンダ ーの温度設定ゾーンとは必ずしも一致しない 。即ち、混練用スクリューパーツが所定の温 度設定ゾーンの範囲内に配設されることもあ り、異なる温度に設定された隣り合う温度設 定ゾーンを跨って配設されることもある。更 に、第1混練工程及び第2混練工程の各々を構 する混練用スクリューパーツは、それぞれ 箇所のみに配設されることもあり、複数箇 に配設されることもある。即ち、第1混練工 程及び第2混練工程は、それぞれ1個のスクリ ーパーツにより構成されることもあり、2個 以上のスクリューパーツにより構成され、各 々のスクリューパーツ間に搬送用スクリュー パーツが配設された形態でもよい。このよう に混練用スクリューパーツの配設形態は多様 であるが、複数の温度設定ゾーンに配設され ることが多い。従って、第1混練工程及び第2 練工程の各々におけるシリンダー設定温度 、「平均」シリンダー設定温度とする。

[3]樹脂フィルム及び積層体
 本発明の樹脂フィルムは、本発明の方法に り製造された接着性樹脂組成物を加工して る。
 この樹脂フィルムは、接着性樹脂組成物を いて、T-ダイ法、インフレーション法等の 種の成形法によりフィルムに加工すること できる。この樹脂フィルムは、特に金属及 樹脂等の接着において有用である。
 また、本発明の積層体は、複数の被着材と 各々の被着材を互いに接着している接着剤 とを備え、この接着剤層は本発明の樹脂フ ルムを用いて形成されている。
 この積層体は、各種の被着材の間に所定の 法によって本発明の樹脂フィルムを介在さ 、種々の方法によって各々の被着材を接着 ることにより作製することができる。
 以下、接着方法及び被着材について詳述す 。

(1)接着方法
 本発明の方法により製造された接着性樹脂 成物を用いる場合、接着方法としては、組 物の製造に用いた2軸スクリュー型押出機か ら押し出され、造粒されたペレットを用いて 、押出機等により本発明の樹脂フィルムを成 形し、この樹脂フィルムを被着材の間に介在 させ、所定温度に加熱し、必要に応じて加圧 して接着させて本発明の積層体とする方法が 挙げられる。また、押出機等により成形され つつある樹脂フィルムを、そのまま一方の被 着材の表面に積層させ、この樹脂フィルムに 他方の被着材を積層し、必要に応じて加熱、 加圧して接着させて積層体とする方法が挙げ られる。また、被着材の少なくとも一方が樹 脂シート等であるときは、この樹脂シートと 樹脂フィルムとを共押出により直接接着させ 、この樹脂フィルムに他方の被着材を積層し 、必要に応じて加熱、加圧して接着させて積 層体とすることもできる。

(2)被着材
 被着材は特に限定されず、本発明の方法に り製造された接着性樹脂組成物は、各種の 着材の接着に用いることができる。この被 材としては、金属シート等の金属成形体、 び樹脂シート等の樹脂成形体が挙げられる 金属の種類も特に限定されず、銅、アルミ ウム、及び冷間圧延鋼、リン酸処理鋼、亜 処理鋼、クロメート処理鋼、ステンレス鋼 の各種の鋼材などが挙げられる。また、樹 の種類も特に限定されず、飽和ポリエステ 樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂 ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂等 熱可塑性樹脂が挙げられる。更に、フェノ ル樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステ 樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。

 また、本発明の方法により製造された接 性樹脂組成物は、同種又は異種の金属シー 等の金属成形体の接着、同種又は異種の樹 フィルム等の樹脂成形体の接着に有用であ ばかりでなく、金属シート等の金属成形体 樹脂フィルム等の樹脂成形体との接着にお ても有用である。例えば、ICカード等の製 における、銅及びアルミニウム等と、ポリ チレンテレフタレート等の飽和ポリエステ 樹脂及びポリ塩化ビニル樹脂等との接着に いることができる。このように、本発明の 法により製造された接着性樹脂組成物は、 種の同種の被着材、異種の被着材の接着に いることができるが、特に異種の被着材の 着では、少なくとも一方の被着材にプライ ーを塗布する、及び表面処理をする等の方 によって接着強さ等をより向上させること できる。

 以下、本発明を実施例により具体的に説明 る。
(1)樹脂の予備混合
 飽和ポリエステル樹脂、熱可塑性樹脂、並 に必要に応じてエポキシ樹脂(ビスフェノー ルA型、ジャパンエポキシレジン社製、商品 「ER1007」)及びタルク(ソブエクレー社製、商 品名「タルクCS」)を、表1、2に記載の質量割 で配合し、タンブラーを用いて予備混合し 。また、有機アルコキシシラン(γ-グリシド キシプロピルトリメトキシシラン、日本ユニ カー社製、商品名「A-187」)2質量部(飽和ポリ ステル樹脂を100質量部とする。)を、2軸ス リュー型押出機の副原料供給口から投入し 添加した。

(2)2軸スクリュー型押出機
 58mmφ同方向2軸スクリュー型押出機(L/D=42、 クリュー有効長;2445mm)を用いた。この2軸ス リュー型押出機は、図1のように、長さ方向 C1~C9の9個の温度設定ゾーンが設けられたシ ンダー、及び長さ方向に複数の混練用スク ューパーツ(N1、N2、N3)が配設されたスクリ ーを備え、C1ゾーンの直上にホッパー1、C5ゾ ーンとC6ゾーンとの境界部に副原料供給口2、 C9の下流側にアダプター3がそれぞれ配設され ている。

(3)接着性樹脂組成物の評価
 実施例、比較例で製造した接着性樹脂組成 を造粒してなるペレットを用いて、40mmφ単 押出機により、厚さ50μmの樹脂フィルムを 形し、この樹脂フィルムの任意の位置にお る幅200mm、長さ10mの範囲内に存在する面積0.3 mm 2 以上の未溶融物(財務省印刷局製造の夾雑物 定図表により大きさを判断した。以下、こ 未溶融物を「FE」と略記する。表1、2におい もFEと表記する。)の個数を計数した。また 発生したFEのうちの代表的なFE(最も寸法が きいと思われるFEから大きさの順に10個のFE 但し、FEが10個以下の場合は全数)の厚さをダ イヤルゲージにより測定した。表1、2の厚さ 平均値である。

 実施例1
(1)2軸スクリュー型押出機
 シリンダーの各々のゾーンの設定温度を、C 1=70℃、C2=100℃、C3=120℃、C4=110℃、C5=100℃、C6 =100℃、C7=100℃、C8=150℃及びC9=150℃とした(ア プターの設定温度は150℃とした。)。また、 C3~C5ゾーンに跨って長さ390mmの第1混練用スク ューパーツN1(第1混練工程を構成する。)、C6 ~C7ゾーンに跨って長さ380mmの第2混練用スクリ ューパーツN2、及びC9ゾーンに長さ120mmの第3 練用スクリューパーツN3(第2混練用スクリュ パーツと第3混練用スクリューパーツとで第 2混練工程を構成する。)を配設した。

 上記のように温度設定し、且つ上記のよう 混練用スクリューパーツを配設することに り、混練用スクリューパーツの合計長さ(Ls) とスクリュー有効長(La)との比(Ls/La)は0.364と る。更に、第1混練工程の平均シリンダー設 温度は110℃[(C3;120℃+C4;110℃+C5;100℃)/3](下記 飽和ポリエステル樹脂の融点を4℃下回る。 )、第2混練工程の平均シリンダー設定温度は1 17℃[(C6;100℃+C7;100℃+C9;150℃)/3](下記の飽和ポ エステル樹脂の融点を3℃上回る。)となり 第1混練工程の平均シリンダー設定温度は、 2混練工程の平均シリンダー設定温度より7 低い。また、第1混練工程における混練用ス リューパーツの長さ(L 1 )は390mm、第2混練工程における混練用スクリ ーパーツの長さ(L 2 )は500mmであり、第1混練工程における混練用 クリューパーツの長さと混練用スクリュー ーツの合計長さとの比[L 1 /(L 1 +L 2 )]は0.44となる。

(2)使用樹脂
 樹脂として、MI73g/10分、融点114℃の飽和ポ エステル樹脂[東亞合成社製、商品名「アロ メルトPES-111」、以下、飽和ポリエステル樹 脂(A)という。また、表1、2でも飽和ポリエス ル樹脂(A)と表記する。]、及びMI2.4g/10分、密 度0.922g/cm 3 の低密度ポリエチレン[日本ユニカー社製、 品名「NUC8160」、以下、ポリエチレン樹脂(A) 表記する。また、表1、2でもポリエチレン 脂(A)と表記する。]を使用し、上記のように て予備混合してなる樹脂混合物をホッパー ら200kg/時の供給速度で投入し、スクリュー 転数400rpmで接着性樹脂組成物を製造した。

 実施例2
(1)2軸スクリュー型押出機
 シリンダーの各々のゾーンの設定温度を、C 1=70℃、C2=100℃、C3=120℃、C4=110℃、C5=100℃、C6 =140℃、C7=140℃、C8=150℃及びC9=150℃とした(ア プターの設定温度は150℃とした。)。また、 C3~C5ゾーンに跨って長さ330mmの第1混練用スク ューパーツ、C6~C8ゾーンに跨って長さ260mmの 第2混練用スクリューパーツ、及びC9ゾーンに 長さ60mmの第3混練用スクリューパーツを配設 た。このように温度設定し、且つ混練用ス リューパーツを配設することにより、比(Ls/ La)は0.266となる。更に、第1混練工程の平均シ リンダー設定温度は110℃[(C3;120℃+C4;110℃+C5;10 0℃)/3](下記の飽和ポリエステル樹脂の融点を 4℃下回る。)、第2混練工程の平均シリンダー 設定温度は145℃[(C6;140℃+C7;140℃+C8;150℃+C9;150) /4](下記の飽和ポリエステル樹脂の融点を31℃ 上回る。)となり、第1混練工程の平均シリン ー設定温度は、第2混練工程の平均シリンダ ー設定温度より35℃低い。また、L 1 は330mm、L 2 は320mmであり、比[L 1 /(L 1 +L 2 )]は0.51となる。

(2)使用樹脂
 実施例1と同じ飽和ポリエステル樹脂、及び MI9.4g/10分、密度0.922g/cm 3 の低密度ポリエチレン樹脂[日本ポリエチレ 社製、商品名「LC720」、表1ではポリエチレ 樹脂(B)と表記する。]を使用し、上記のよう して予備混合してなる樹脂混合物をホッパ から250kg/時の供給速度で投入し、スクリュ 回転数400rpmで接着性樹脂組成物を製造した

 実施例3
 熱可塑性樹脂として、MI13g/10分の酸変性ポ オレフィン樹脂(東洋化成工業社製、商品名 トーヨータックM300」)を用いた他は、実施 2と同様にして接着性樹脂組成物を製造した

 実施例4
 樹脂の予備混合の工程で更にエポキシ樹脂 配合した他は、実施例1と同様にして接着性 樹脂組成物を製造した。

 実施例5
 樹脂の予備混合の工程で更にタルクを配合 た他は、実施例1と同様にして接着性樹脂組 成物を製造した。

 実施例6
 樹脂の予備混合の工程で更にエポキシ樹脂 びタルクを配合した他は、実施例1と同様に して接着性樹脂組成物を製造した。

 実施例7
 飽和ポリエステル樹脂(A)に代えてMI20g/10分 融点104℃の飽和ポリエステル樹脂(B)[東亞合 社製、商品名「アロンメルトPES-231」、表1 は飽和ポリエステル樹脂(B)と表記する。]を いた他は、実施例1と同様にして接着性樹脂 組成物を製造した。この場合、第1混練工程 平均シリンダー設定温度(110℃)は飽和ポリエ ステル樹脂の融点を6℃上回り、第2混練工程 平均シリンダー設定温度(117℃)は飽和ポリ ステル樹脂の融点を13℃上回ることになる。

 実施例8
 飽和ポリエステル樹脂(A)に代えてMI400g/10分 融点118℃の飽和ポリエステル樹脂(C)[東亞合 成社製、商品名「アロンメルトPES-120L」、表1 では飽和ポリエステル樹脂(C)と表記する。] 用いた他は、実施例1と同様にして接着性樹 組成物を製造した。この場合、第1混練工程 の平均シリンダー設定温度(110℃)は飽和ポリ ステル樹脂の融点を8℃下回り、第2混練工 の平均シリンダー設定温度(117℃)は飽和ポリ エステル樹脂の融点を1℃下回ることになる

 比較例1
 ポリエチレン樹脂(A)に代えてMI1.1g/10分、密 0.920g/cm 3 の低密度ポリエチレン樹脂[以下、ポリエチ ン樹脂(C)という。また、表2でもポリエチレ 樹脂(C)と表記する。]を用いた他は、実施例 1と同様にして接着性樹脂組成物を製造した

 比較例2
 ポリエチレン樹脂(A)に代えてポリエチレン 脂(C)を用いた他は、実施例6と同様にして接 着性樹脂組成物を製造した。

 比較例3
 シリンダーの各々のゾーンの設定温度のう の、C3を130℃、C4を150℃、C5を140℃、及びC6 140℃、C7を140℃、C9を140℃とした他は、実施 1と同様にして接着性樹脂組成物を製造した 。この場合、第1混練工程の平均シリンダー 定温度は140℃、第2混練工程の平均シリンダ 設定温度は140℃となり、第1混練工程の平均 シリンダー設定温度と、第2混練工程の平均 リンダー設定温度とは同じになる。

 比較例4
 シリンダーの各々のゾーンの設定温度のう の、C3を130℃、C4を140℃、C5を150℃、及びC6 100℃、C7を110℃、C9を120℃とした他は、実施 6と同様にして接着性樹脂組成物を製造した 。この場合、第1混練工程の平均シリンダー 定温度は140℃、第2混練工程の平均シリンダ 設定温度は110℃となり、第1混練工程の平均 シリンダー設定温度は、第2混練工程の平均 リンダー設定温度より30℃高い。

 比較例5
 C7~C8ゾーンに跨って長さ270mmの混練用スクリ ューパーツを配設し、その他のゾーンには搬 送用スクリューパーツを配設したスクリュー を用いた他は、実施例1と同様にして接着性 脂組成物を製造した。この場合、混練用ス リューパーツの長さ(Ls)とスクリュー有効長( La)との比(Ls/La)は0.110となる。

 比較例6
 C7~C8ゾーンに跨って長さ270mmの混練用スクリ ューパーツを配設し、その他のゾーンには搬 送用スクリューパーツを配設したスクリュー を用いた他は、実施例6と同様にして接着性 脂組成物を製造した。この場合、混練用ス リューパーツの長さ(Ls)とスクリュー有効長( La)との比(Ls/La)は0.110となる。

 表1の結果によれば、実施例1~8の接着性樹 脂組成物では、FEの個数が少なく、FEの厚さ 平均値もフィルムの厚さ50μmと比べて過大で はなく、溶融、混練により均質な組成物とな り、優れた外観等を有する樹脂フィルムなど とすることができる。また、実施例1及び4~7 ように、飽和ポリエステル樹脂及びポリエ レン樹脂のMIが小さい場合に、FEの発生がよ 少ないことが分かる。

 一方、表2の結果によれば、ポリエチレン 樹脂のMIが下限値未満である比較例1、2及び 1混練工程と第2混練工程の各々設定温度が発 明の範囲を外れる比較例3、4では、FEの個数 47個以上と多く、厚さも232μm以上であり、実 用に供し得ないことが分かる。また、混練用 スクリューパーツの長さとスクリュー有効長 との比が発明の範囲を外れる比較例5、6では FEは極めて多く、厚さもフィルムの厚さ50μm の10倍を越えており、極めて劣っていること 分かる。

 本発明は、例えば、金属及び樹脂等の接 などを必要とする各種の産業分野において 用である。特に、金属シート、樹脂シート びに特定の形状を有する金属成形体及び樹 成形体の接着に有用であり、接着強さ等に れた接着剤層を形成することができる。