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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCTION OF CARBONIZED CLOTH, AND CARBONIZED CLOTH PRODUCED BY THE METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/084734
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a carbonized fiber cloth by carbonizing a raw fiber cloth under heating, wherein the raw fiber cloth is a woven fabric, a knitted fabric or a woven and knitted fabric composed of a cellulose fiber yarn. The method comprises the steps of: holding the raw fiber cloth which has been dried to such an extent that the moisture content becomes less than 25% by restraining the cloth in a vertical or transverse direction; heating the cloth continuously to a temperature ranging from 250 to 450˚C at a heating rate of 50 to 200˚C/hour under an oxidizing atmosphere having an oxygen partial pressure of 50 mmHg or higher and subsequently to a final heating temperature ranging from 1000 to 1600˚C at a heating rate of 50 to 200˚C/hour under a non-oxidizing atmosphere having an oxygen partial pressure of less than 50 mmHg in a heating furnace; and heating the cloth by retaining the cloth at the final heating temperature for a predetermined time period. The method enables to produce a carbonized cloth having excellent electrical conduction property, heat resistance, electromagnetic wave absorption property and the like and also having excellent mechanical strength and flexibility in a relatively simple and economically advantageous manner.

Inventors:
KIMURA TAKESHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/075259
Publication Date:
July 17, 2008
Filing Date:
December 28, 2007
Export Citation:
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Assignee:
SHIN NIHON TEX CO LTD (JP)
ASAHI TRADING CO LTD (JP)
MITSUI GLOBAL STRATEGIC STUDIE (JP)
KIMURA TAKESHI (JP)
International Classes:
D01F9/16; D06C7/04
Foreign References:
JP2001234435A2001-08-31
JP2006016699A2006-01-19
Attorney, Agent or Firm:
ISHIKAWA, Yasuo (17-11 Shiba 2-chome, Minato-k, Tokyo 14, JP)
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Claims:
 セルロース系繊維の糸からなる織布、編布または織編布を原料繊維布帛とし、これを加熱炭素化して炭素化繊維布帛を製造する方法であって、
 含水率25%未満の乾燥状態の原料繊維布帛を、当該布帛の縦あるいは横のいずれか一方向から拘束して保持し、そのまま、加熱炉内において、酸素分圧50mmHg以上の酸化性雰囲気下において、250~450℃の温度領域まで50~200℃/時間にて昇温し、その後、酸素分圧50mmHg未満の非酸化性雰囲気として1000~1600℃の最終加熱温度領域まで50~200℃/時間の昇温速度にて、連続して昇温し、最終加熱温度にて所定時間保持する加熱に付することを特徴とする炭素化布帛の製造方法。
 加熱開始から最終温度での加熱終了までの総合加熱保持時間が10~50時間であることを特徴とする請求項1に記載の炭素化布帛の製造方法。
 250~1600℃の温度領域においては、前記拘束方向において布帛に収縮による張力が加わることを特徴とする請求項1に記載の炭素化布帛の製造方法。
 酸化性雰囲気から非酸化性雰囲気への置換は、加熱された原料繊維布帛の熱分解により発生する出ガスを利用して、原料繊維布帛の囲繞雰囲気より酸素含有ガスを追放することによって行われるものである請求項1に記載の炭素化布帛の製造方法。
 原料繊維布帛は、加熱炉内において積層された状態で配置されているものである請求項請求項1に記載の炭素化布帛の製造方法。
 請求項1~5のいずれか1つに記載の製造方法により得られたことを特徴とする炭素化布帛。
 前記炭素化布帛は、面方向において体積固有抵抗0.01~0.6ωcm、カンチレバーソフトネステスターにより測定される炭素化布帛の剛軟度と原料繊維布帛の剛軟度との比(炭素化布帛の剛軟度/原料繊維布帛の剛軟度)が1.2~0.8であることを特徴とする請求項6に記載の炭素化布帛。
Description:
炭素化布帛の製造方法およびこ により得られた炭素化布帛

 本発明は、炭素化布帛の製造方法および れにより得られた炭素化布帛に関するもの ある。詳しく述べると本発明は、機械的強 、柔軟性、耐薬品性、耐洗濯強度等に優れ ためにハンドリングが容易であり、かつ導 特性、耐熱性、臭気吸着性等に優れるため 種の用途に応用できる炭素化布帛を、セル ース系繊維布帛を原料として、歩留まり良 かつ経済的に製造する方法に関するもので る。

 炭素繊維は、その比弾性率、比強度が、 の繊維に比べて大きく、また、化学的、熱 にも安定であるので、従来、各種構造用複 材の素材として、またその電気的特徴、振 減衰性、X線透過性等の優れた特徴を生かし て各種工業材料の複合材の素材としても広く 用いられている。

 このような構造用複合材に用いられる炭 繊維としては、今日、その大部分がポリア リロニトリル系繊維を原料として製造され PAN系のものである。PAN系炭素繊維は、既に 分子量化している有機合成繊維を原料とす ため、原料繊維そのものの強度および伸度 十分なものであるため、製造工程における 械的取り扱いが容易であるが、原料中に窒 分が多く、炭化過程における重量損失が多 。また、ピッチ類を原料として製造された ッチ系のものも実用化されている。ピッチ 炭素繊維は、一般にPAN系のものよりも、弾 率、熱伝導度及び導電性が高いという特徴 有し、原料コスト的にも有利であるが、ピ チ系繊維においては、その強度が発現され のは炭化過程においてであって、それに至 までのピッチ繊維や不融化繊維の状態では 械的強度が非常に小さくかつ非常に脆いも であるため、製造工程における取り扱いが しく高度な技術が必要とされるために、製 コストが高くなるという欠点を有している

 また、PAN系、ピッチ系のいずれの炭素繊 も、良く知られるように、高い剛性を有す 反面、破断伸度が小さく、屈折に弱いとい 問題点を有している。さらに、PAN系、ピッ 系のいずれの炭素繊維も、一般に非常に細 フィラメントやトウの形で製造されるため 各種の用途に用いる上でのハンドリング性 難点がある。このため、これらの炭素繊維 、布帛ないしシート状に加工して提供する とが望ましいが、上記したように破断伸度 小さく、屈折に弱いという特性を有するた 、一般的な繊維のように、紡糸、織編加工 ることが難しく、炭素繊維を一方向に引き え、これに各種樹脂を含浸させて構造を安 化させたプリプレグという形態へと加工さ ているのが現状である。このようにして得 れるプリプレグは、比較的組織が単純で密 の粗いものであり、また成形時における曲 追従性が低い、あるいは曲面成形時に糸束 目ずれが起こりやすいといった欠点を有し いる。また、含浸樹脂の影響によって、炭 繊維の各種の機能性の低下、例えば、複合 造材とする上でのマトリックスとの接着性 低下、導電性および熱伝導性の低下、燃焼 における有害物質の発生等の問題が生じ、 素繊維本来の特性を活かしきれず、応用用 を限定するものとなっていた。

 ところで、上記したような広く実用化さ ているPAN系、ピッチ系の炭素繊維以外に、 種の有機高分子を原料として炭素化繊維を ようとする試みは、従来より行われている 例えば、レーヨンを中心とするセルロース 繊維を原料として炭素化繊維を得る方法も の1つである。

 なお、セルロース系繊維の場合、PAN系、 ッチ系の場合とは異なり、炭素化処理時の 熱によって、溶融することなく、面相炭化 るものであるため、その製造プロセスとし も当然異なるものが必要とされる。

 例えば、特許文献1においては、ビスコー スレーヨン等のセルロース系繊維を、不活性 雰囲気下に300°F(約146℃)~500°F(約260℃)の温度 囲で加熱し、500°Fとなるまで所定時間かけ 加熱し、部分炭素化することによって、固 繊維密度および引張強度の良好な半導性の 素化繊維を得ることが開示されている。

 また、特許文献2においては、レーヨン繊 維を、100℃から450℃まで約10℃/時~約50℃/時 ゆっくりした昇温速度で、次いで、900℃ま 約100℃/時以上の昇温速度で、さらに実質的 グラファイト化が起こるまで約3000℃に加熱 することによって、布状の柔軟な繊維状グラ ファイトを製造することが開示されている。

 特許文献1および2に示される技術におい は、例えば、窒素ガスを流しながら不活性 囲気下でゆっくりと昇温し、セルロースの 解反応を確実に行うものであるが、この分 反応は発熱反応であるために原料繊維中に が蓄積されやすく、いわゆる暴走反応を起 しやすいため、これを防止する上で、不活 雰囲気下で、その処理に非常に長時間を要 るものとなる。また、炭素化焼成工程にお ては、熱分解が進むにつれて、繊維には大 な構造変化が引き起こされ、繊維には収縮 生じるが、収縮に伴う大きな応力が構造弱 に集中し、炭素化焼成時に構造弱部での破 や破壊が起こり、結果的に、得られる炭素 繊維の機械的特性を低下させてしまうもの あった。さらに、長時間の加熱によるエネ ギーの消費とともに、窒素ガス等の不活性 スを長時間流しつづける必要があるために 製造コストの増大を招くものであった。

 さらに、特許文献3においては、セルロー ス系繊維布をリン酸等の酸溶液に浸漬し、乾 燥して溶媒を除去した後、酸化雰囲気中で約 100~350℃で加熱することで、セルロース系物 を部分的かつ選択的分解して、恒久的に脱 された熱処理物質を得、その後、酸化を防 しながら当該物質を炭素化温度に加熱して 素化し、さらに炭素化された物質を、窒素 スで浄化された電気炉で加熱してグラファ ト化する技術が開示されている。

 特許文献3に記載される技術は、セルロー ス系繊維が大気中の湿度と平衡する通常約5~2 0%程度の水分を含有しており、この水分は加 によって脱水するが、冷却において非常に い時間で水分は再吸収されること、そして 収された水分は、繊維物質の個々のフィラ ント上にタール状の表面析出物の形成を促 し可撓性炭素質繊維物質の製造を妨害し、 れらのタール状析出物は、更なる熱分解に いて分解し、その結果、個々のフィラメン が他のフィラメント、特に交差関係にある のフィラメントと粘着してしまい、その結 脆く、弱い製品ができてしまうため、上記 たように、最初に完全に脱水されたセルロ ス系繊維を得ることで、これを解消しよう いうものである。

 特許文献3に示されるようなリン酸等の酸 を用いた脱水による構造変化を行う方法以外 に、金属塩化物を用いるもの、あるいは特許 文献4に示されるように、臭化マグネシウム の臭化金属物およびチオ尿素、硫酸アンモ ウム等の窒素化合物を用い不活性雰囲気下 加熱して、難燃化する方法も知られている

 しかしながら、特許文献3に示されるよう な酸溶液、特許文献4に示されるような臭化 属物、あるいは金属塩化物処理等の薬剤を 用してセルロース系繊維の前処理を行う方 は、セルロース系繊維の不燃化に要する加 時間の短縮化は図れるものの、固相である 維体という不均一系繊維における処理とな ため、繊維表面の分子と、内部の分子では 応性が異なるものとなり、極端な場合、薬 は固体の内部に到達する事ができず、内部 分子はまったく反応できない。このため、 の変性は、繊維の各部位で不均一な分布を ったものとなり、結果的に得られる炭素化 維においてもその特性が繊維の各部位にお て不均一なものとなる。

 さらに、特許文献3に示されるような酸溶 液にセルロース系繊維が曝されることで、原 料繊維強度が低下し、結果的に得られる炭素 化繊維の強度等も低下してしまう虞れがあっ た。また、金属塩化物や特許文献4に示され ように臭化金属物などを用いて、ハロゲン 換により難燃化した場合、炭素化処理時に 毒なガスの発生する虞れがあった。

 また、セルロース系炭素繊維の機械的強 を高めるため、原料繊維にケイ素化合物を 浸させた後、炭素化処理を行うことも知ら ている(例えば、特許文献5~7参照。)。

 すなわち、オルガノポリシロキサン等の 機ケイ素化合物の有機溶媒溶液中にセルロ ス系原料繊維を浸漬し、その後、120~300℃で 0.4~2時間加熱、18~30℃に0.050~0.2時間冷却、変 度0~-10%で上記条件で再度加熱、300~400℃の区 での変形度-25~+30%をもって180~600℃に加熱し 炭素化、および-10~+25%の変形度をもって900~2 800℃でグラファイト化する方法(特許文献5)、 ケイ素含有の含水セルロース繊維を、さらに アンチピリン溶液に浸漬し、空気中100~150℃ て熱処理し、さらに不活性ガス雰囲気中300~9 00Paの真空圧で150℃から300~600℃へゆるやかな 度上昇で炭素化し、その後不活性ガス雰囲 中で1000~2000℃で熱処理する方法(特許文献6) また、有機ケイ素化合物の有機溶媒溶液中 セルロース系原料繊維を浸漬し、10℃/分~60 /分の昇温速度で250℃~350℃までの温度範囲 する初期段階、2℃/分~10℃/分の昇温速度で35 0℃~500℃までの温度範囲にする中間段階、5℃ /分~40℃/分の昇温速度で500℃~750℃に昇温する 最終段階を含む(その後、1000℃~2800℃の範囲 高温熱処理に付すことができる。)熱処理を う方法(特許文献7)が知られている。

 このようにケイ素化合物を含浸させて得 れた炭素化繊維は、確かに、その機械的強 の向上が望まれるものの、繊維の柔軟性と う面では満足のいくレベルのものとはなら 、また、炭素化繊維中にはケイ素分が残留 ているため、繊維の熱的、電気的あるいは 学的特性といった面からは、あまり良好な のが期待できないものであった。

 ところで、セルロース系繊維の炭素化処 としては、従来、特許文献1~6にも記載され いるように、セルロース系繊維糸を「かせ 状態で加熱炉内に入れてバッチ式で行うか あるいは繊維糸を加熱炉内に配したローラ の間を引き回しながら通過させて連続式で う方法が知られているが、炭素化処理後に 織等して布帛とすることは、PAN系、ピッチ の炭素繊維の場合と同様に、非常に困難で る。

 原料としてセルロース系繊維布帛を用い これをそのまま炭素化処理して炭素化繊維 帛を得ようとする試みもなされている。例 ば、特許文献8の実施例中には、リン酸溶液 処理後の原料布帛を2枚の黒鉛板に挟持し、 ッキングコークス中に埋め非酸化性雰囲気 で1週間の時間をかけて900℃で炭素化するこ が示されている。また、前記特許文献7にお いては、所定の温度ゾーンを複数有する連続 炉を用いて原料布帛を連続的に処理する方法 も示されている。

 しかしながら、特許文献8に示される原料 繊維布帛を炭素化する方法は、非常に長時間 を有するものであって効率が悪く、特許文献 1および2に示される技術と同様に、得られる 素化繊維布帛の特性も十分なものとならな ものであった。さらに、製造時に原料布帛 全体に強い押圧力が常時加わるため炭素化 における布帛の収縮にうまく追従させるこ ができず、布帛の部分的な破損等をもたら たりする虞れがあった。また、特許文献7に 示される方法は、前記したようにケイ素化合 物を含浸させる前処理を行うものであって、 機械的強度の向上が望まれるものの、繊維の 柔軟性という面では満足のいくレベルのもの とはならず、また、炭素化繊維中にはケイ素 分が残留しているため、繊維の熱的、電気的 あるいは化学的特性といった面から問題の残 るものであった。さらに、連続炉を用いる方 法は、製造装置が非常に大がかりなものとな り、また、所定の昇温パターンで加熱するた めに、ある特定の温度ゾーンでは、いくつも の搬送ロール、転向ロール等を配置し、原料 布帛をこれらの間に掛け渡した上で引き出す 操作が必要であり、炭素化途中において非常 に破断伸度が小さく、屈折に弱い布帛を連続 して炉内を通過させるためには、非常に微妙 な張力調整が必要となるため、操作が高度な ものとなり、また、一端布帛が破断してしま うと完全に操作を中断する必要があるため、 効率が悪く、製造歩留まりも悪いものとなる ものであった。

 このように、従来、セルロース系繊維を 料とした炭素化繊維布帛の製造は、その製 効率が低く、また得られる炭素化繊維布帛 しても十分な特性を有するものが得られて ないのが現状であった。

 なお、特許文献1~8における関連記載部分は その関連により本明細書中に組み入れられ 。

米国特許第3053775号明細書

米国特許第3107152号明細書

米国特許第3305315号明細書

日本国特開昭58-13722号公報

ロシア特許第2045472号明細書

ロシア特許第2047674号明細書

米国特許第6967014号明細書

国際公開WO00/49213号公報

 従って、本発明は、機械的強度および柔 性に優れた炭素化布帛を比較的容易にかつ 済的に製造することのできる炭素化布帛の 造方法を提供することを課題とする。本発 はまた、機械的強度、柔軟性、耐薬品性、 洗濯強度等に優れるためにハンドリングが 易であり、かつ電磁波吸収能、電気的特性 いし誘電特性、耐熱性、臭気吸着性等に優 るため各種の用途に好適に応用できる炭素 布帛、およびその製造方法を提供すること 課題とする。

 上記課題を解決する本発明は、セルロー 系繊維の糸からなる織布、編布または織編 を原料繊維布帛とし、これを加熱炭素化し 炭素化繊維布帛を製造する方法であって、 水率25%未満の乾燥状態の原料繊維布帛を、 該布帛の縦あるいは横のいずれか一方向か 拘束して保持し、そのまま、加熱炉内にお て、酸素分圧50mmHg以上の酸化性雰囲気下に いて、250~450℃の温度領域まで50~200℃/時間 て昇温し、その後、酸素分圧50mmHg未満の非 化性雰囲気として1000~1600℃の最終加熱温度 域まで50~200℃/時間の昇温速度にて、連続し 昇温し、最終加熱温度にて所定時間保持す 加熱に付することを特徴とする炭素化布帛 製造方法である。

 本発明の炭素化布帛の製造方法において また、加熱開始から最終温度での加熱終了 での総合加熱保持時間が10~50時間であるこ が好ましい。

 本発明の炭素化布帛の製造方法において また、250~1600℃の温度領域においては、前 拘束方向において布帛に収縮による張力が わることが好ましい。

 本発明の炭素化布帛の製造方法において また、酸化性雰囲気から非酸化性雰囲気へ 置換は、加熱された原料繊維布帛の熱分解 より発生する出ガスを利用して、原料繊維 帛の囲繞雰囲気より酸素含有ガスを追放す ことによって行われるものであることが望 しい。

 本発明の炭素化布帛の製造方法はまた、 料繊維布帛は、加熱炉内において積層され 状態で配置されているものである炭素化布 の製造方法を示すものである。

 上記課題を解決する本発明はまた、セル ース系繊維の糸からなる織布、編布または 編布を原料繊維布帛とし、当該布帛を含水 25%未満の乾燥状態にて、当該布帛の縦ある は横のいずれか一方向から拘束して保持し そのまま、加熱炉内において、酸素分圧50mm Hg以上の酸化性雰囲気下において、250~450℃の 温度領域まで50~200℃/時間にて昇温し、その 、酸素分圧50mmHg未満の非酸化性雰囲気とし 1000~1600℃の最終加熱温度領域まで50~200℃/時 の昇温速度にて、連続して昇温し、最終加 温度にて所定時間保持する加熱に付するこ を特徴とする炭素化布帛の製造方法により られた炭素化布帛である。

 本発明はまた、前記炭素化布帛が面方向 おいて体積固有抵抗0.01~0.6ωcm、カンチレバ ソフトネステスターにより測定される炭素 布帛の剛軟度と原料繊維布帛の剛軟度との (炭素化布帛の剛軟度/原料繊維布帛の剛軟 )が1.2~0.8であることを特徴とする炭素化布帛 を示すものである。

 本発明の炭素化布帛の製造方法において 、セルロース系繊維の糸からなる織布、編 または織編布を原料として用い、原料布帛 酸溶液、ハロゲン化物あるいはケイ素化合 などを使用した前処理等を何ら施すことな そのまま加熱炉に導入し、熱処理を行う雰 気を酸化雰囲気から非酸化雰囲気へと変化 せつつ、連続的に昇温させるという比較的 単な処理工程により炭素化繊維布帛を得る とができるため、製造コスト面で有利な製 方法となる。また、本発明の炭素化布帛の 造方法において、前記250~450℃の温度領域ま で昇温およびその後の1000~1600℃の最終加熱温 度領域までの昇温が、それぞれ50~200℃/時間 一定速度で行われため、製造工程における 制御が簡単でありかつ短時間で製品を得る とができる。また、本発明の製造方法にお ては当該原料布帛を当該布帛の縦あるいは のいずれか一方向から拘束して保持して加 処理を施すため、セルロース系繊維の熱分 ないし炭素化が進行し収縮が生じる際に、 度な張力、より好ましくは、250~1600℃の温度 領域においては、前記拘束方向において布帛 に収縮による張力を加えるものとなり、得ら れる炭素化繊維布帛の機械的強度および柔軟 性が高まるものである。

 また本発明の炭素化布帛は、上記したよ な製造方法により調製できるものであるか 、非常に安価で提供でき、加えて、このよ にして得られる本発明に係る炭素化繊維布 は、上記したように優れた機械的強度およ 柔軟性、さらに良好な耐薬品性および耐洗 強度を有するゆえにハンドリング性に優れ という点のみならず、良好な導電性、熱伝 性、電磁波吸収性、臭気吸着性等を有して り、各種の用途に好適に用いることができ ものである。殊に、本発明おけるように、1 000~1600℃の最終加熱温度にて炭化して得られ ものは、その端部に電極を接続して電流を してやれば、非常に低電力にて布帛全体が 電されて容易に発熱が起こり、また電流を 断すると急速に降温し、しかも投入電圧に って到達温度が変化することから所定温度 加熱することが容易であるといった優れた 熱作用を発揮し、かつ遠赤外線放射も大き 、耐熱性も非常に高いことから、面状発熱 を初めとする発熱体用途に好適に使用され ことが期待できるものである。

 なお、詳細な機構は明らかではないが、 記したように本発明に係る炭素化繊維布帛 優れた電熱効果を示すのは、原料繊維布帛 おける撚糸ないし織編構造を引き継いで、 素化繊維布帛において炭素が多配向性を持 て分布し、かつマクロおよびミクロ的な電 回路が組織内に形成されるためではないか 思われる。

は、実施例で得られた炭素化繊維布の 電子顕微鏡写真(倍率50倍)である。 は、実施例で得られた炭素化繊維布の 電子顕微鏡写真(倍率3000倍)である。 は、実施例で得られた炭素化繊維布の 電子顕微鏡写真(倍率10000倍)である。 は、実施例で得られた炭素化繊維布のT G-DTAチャートである。 は、実施例で得られた炭素化繊維布の マンスペクトルチャートである。

 以下、本発明を実施形態に基づき、詳細 説明する。

 本発明において、原料としては、セルロ ス系繊維の糸からなる織布、編布または織 布が用いられる。

 本発明の出発原料となるセルロース系繊 としては、綿、麻(リネン麻、ラミー麻、マ ニラ麻、サイザル麻、ジュート麻、ケナフ、 ヘンプ等各種のものを含む)、絹、その他、 、こうぞ、みつまた等の植物性および動物 の天然セルロース繊維でも、ビスコースレ ヨン、銅アンモニアレーヨンといったレー ン繊維、ビスアセテート、トリアセテート いったアセテート繊維等の再生ないし半合 セルロース繊維でも構わない。

 出発原料として、好ましいものの1つは、 綿である。綿繊維はアオイ科の植物である綿 を栽培し、開花後子房の胚珠の表皮細胞が伸 長して形成された長い綿毛(リント)を回収し 得る。木綿繊維はグルコースが鎖状に連結 たセルロース(線維素)が主成分であり、こ 繊維は自然界で得られる最も純粋なセルロ スである(乾燥時には88~96%)。木綿繊維の断面 は中空であり、生の時は円形であるが、乾燥 すると扁平になり、このことにより天然撚り を生ずる。綿は、従来の炭素繊維の原料であ る再生セルロースとは形態が異なり、立体的 な積層構造になっており、これを炭素化して 得られた炭素化繊維は、綿の持つ特徴、すな わち、木綿繊維の構造上の特性である二重セ ルロース層が残存し、柔軟性、強度、吸着性 に富む素材となる。

 綿のセルロース繊維はミセル状の構造を ち、セルロース分子が一定の排列をした結 部分と不規則に集合した非結晶部分からな 、結晶部分はお互いの結合に関与して繊維 の結合を担い、結晶部分と非結晶部分の混 によって、木綿繊維特有の強度や弾力性が 定づけられている。木綿の繊維は、全体的 捩れがあるが、外からクチクラ層(ワックス などからなる)、セルロース第1層、セルロー 第2層の3層からなる。第1層のセルロースは て結晶化されており、第2層では結晶と非結 晶が混在している。中央には断面積比が3~4% ルーメンと言う中空部がある。これを炭化 ると、クチクラ層は燃焼し、セルロース層 露出する。炭素化綿の表面には繊維の束が 確に現れており、クラチラ層は完全に分解 去されている。炭化したセルロースは繊維 向に整列しており、ロープのような構造を している。各繊維の束にはところどころに 間が出来ており、この隙間は空間的に下層 炭化したセルロースに繋がっていると考え れる。高率の吸着性を示す理由は恐らく、 維中の結晶部分と非結晶部分とが混在する 造上の特徴、繊維間の配位などが関与して るものと考えられる。このように、綿が持 自然の捩れが、炭素化繊維を製造した場合 そのまま維持され、しなやかさや加工のし さ、さらには強度をそのまま維持するもの 考えられる。

 また、機械的強度等に優れた炭素化繊維 製造する上で好ましい出発原料としては、 ーヨン繊維を挙げることができる。

 原料の布帛の織り方、編み方としては、 に限定されるものではなく、例えば、平織 、綾織り、繻子織り等の織り方、横編、縦 等によるシングルニット、ダブルニット等 編み方、あるいはこれらの組合せ等の各種 ものが用いられ得るが、このうち、得られ 、炭素化布帛の良好な機械的強度および柔 性、また繊維の多方向的配向性などといっ 面からは、編物であることが望ましい。

 また、原料の布帛を構成する糸としては 単繊維糸であっても複数の繊維の捻糸であ てもよいが、捻糸であることが、得られる 素化布帛の良好な機械的強度および柔軟性 また繊維の多方向的配向性などといった面 ら望ましい。

 さらに糸の太さとしては、用いる繊維の 類によっても左右され、特に限定されるも ではないが、例えば、綿糸の場合、番手10~1 00番程度、また、レーヨン繊維等の長繊維の 合、5000~10000デニール程度であることが望ま しい。

 また原料布帛の厚さとしても、用いる繊 の種類によっても左右され、特に限定され ものではないが、例えば、綿布帛の場合、 さが0.05~50mm、好ましくは、0.05~30mm程度のも であることが望ましい。

 なお本発明の製造方法においては、炭素 繊維に導電性を付与するため、比較的高温 まで加熱することから、後述するような電 波吸収用途や吸着用途のように最終加熱温 がより低温の場合に比べ、用いる原料布帛 構成する糸の太さ、布帛の厚さ等は比較的 きなものを用いることが望ましい。

 本発明の製造方法においては、このよう 原料布帛は、また、従来公知のリン酸等酸 液、オルガノポリシロキサン等の有機ケイ 化合物、臭化マグネシウム等のハロゲン化 、チオ尿素、硫酸アンモニウム等の窒素化 物等を用いた難燃化等を目的とする前処理 何ら施すことなく、乾燥状態(含水率25%未満 )で、そのまま加熱炭素化処理工程にかけら る。なお、必要に応じて、付着した異物等 除去する目的の上で、水洗および乾燥処理 施すことは可能である。

 本発明の製法においては、このようなセ ロース系繊維の糸からなる織布、編布また 織編布を、乾燥状態にて、温度制御可能な 熱炉に挿入し、最初に酸素分圧50mmHg以上、 り好ましくは酸素分圧100~150mmHgの酸化性雰 気下において、250~450℃の温度領域まで昇温 、その後、酸素分圧50mmHg未満、より好まし は酸素分圧10mmHg未満の非酸化性雰囲気とし 1000~1600℃の最終加熱温度領域まで連続して 温し、最終加熱温度にて所定時間保持する いう熱処理を施すことで、炭素化繊維布帛 製造するものである。

 ここで、本発明において、当該原料繊維 帛は、縦あるいは横のいずれか一方向から 束して保持された状態で加熱炉内に挿入さ る。

 セルロース系繊維の熱分解ないし炭素化 進行するにつれて、布帛には収縮が生じる 、本発明においては、原料布帛が上記した うに縦あるいは横のいずれか一方向から拘 して保持された状態で収納されているため 布帛にはその収縮の程度に応じて適度な張 、特に限定されるものではないが、具体的 は、例えば、250~1600℃の温度領域において 前記拘束方向において布帛に収縮による、0. 01N~10.0N程度、より好ましくは0.1N~5.0Nの張力が 安定して加わることになる。このため炭素化 した繊維中において、炭素原子の配向等が進 行するものと思われ、得られる炭素化布帛は 十分な機械的強度とともに良好な柔軟性を有 するものとなる。

 なお、本発明において原料布帛を縦ある は横のいずれか一方向から「拘束する」と うのは、完全に両端を固定するというもの はなく、布帛の収縮の程度に応じて上記し ような適度な張力が加わるように保持する とを意味するものである。

 加熱炉としては、温度制御可能な加熱炉 あれば特に限定されるものではないが、例 ば、電熱炉、ガス炉、コークス炉等を用い ことができる。

 また、一般に、セルロース系繊維は大気 の湿度と平衡する通常約5~20%程度の水分を 有しており、この水分は加熱によって脱水 るが、冷却において非常に短い時間で水分 再吸収されること、そして吸収された水分 、繊維物質の個々のフィラメント上にター 状の表面析出物の形成を促進し可撓性炭素 繊維物質の製造を妨害し、これらのタール 析出物は、更なる熱分解において分解し、 の結果、個々のフィラメントが他のフィラ ント、特に交差関係にある他のフィラメン と粘着してしまい、その結果脆く、弱い製 ができてしまう。本発明においては、最初 酸素分圧50mmHg以上の酸化性雰囲気下におい 、250~450℃の温度領域まで加熱することで、 ルロースの分子鎖構造を変化させて脱水さ ることで、その後において強靭で柔軟な繊 構造を形成するものである。

 本発明の炭素化布帛の製造方法において 前記250~450℃の温度領域まで昇温条件として は、50~200℃/時間、より好ましくは80~150℃/時 とされる。セルロース系繊維は、一般に240~ 250℃前後の温度で熱分解が開始されるが、こ の温度域を含めて、250~450℃の温度領域まで 化性雰囲気下において、50~200℃/時間の昇温 件で加熱することで、安定、確実かつ迅速 、セルロースの分子鎖構造を変化させて脱 させる。

 そして、セルロース系繊維の熱分解によ 発生する可燃性の出ガスおよび熱分解時の 熱反応により布帛が燃焼し炭素化の制御が 能となることを抑制するために、この温度 に達したら酸化性雰囲気より非酸化性雰囲 へと置換する。

 製造途中における酸化性雰囲気から非酸 性雰囲気への切り替えは、加熱炉内の雰囲 中に外部より不活性ガスを供給することに っても行うことが可能であるが、約250℃以 の温度領域で繊維の熱分解により発生する ガスによって雰囲気中の酸素分を加熱炉系 へ追放することによって行うことが望まし 。なお、この場合、原料繊維布帛より発生 る分解ガスによって迅速かつ十分に雰囲気 置換されるよう、加熱炉内は、余剰空間の ない状態としておくことが望ましい。

 最終的加熱温度は、得ようとする炭素化 維の特性によって変動するが、本発明にお ては、良好な導電性を示し卓越した電熱特 を発揮する炭素化繊維布帛を得るために、1 000~1600℃の温度、より好ましくは、1200~1400℃ 温度とする。

 なお、250~450℃の温度領域から、酸素分圧 50mmHg未満の非酸化性雰囲気に切り替えての、 この最終的加熱温度までの加熱は、安定かつ 均一に炭素化が十分に進行しかつ炭素の所期 の配列化が生じるように、50~200℃/時間、よ 好ましくは80~150℃/時間の昇温速度で行われ ことが好ましい。

 また最終温度での保持時間としては、特に 定されるものではないが、例えば、10~50時 程度、好ましくは10~30時間、より好ましくは 12~20時間程度である。
 本発明においては、このような所定の昇温 度にて加熱することによって、比較的短時 にて所期の特性を有する炭素化布帛を得る とができる。

 本発明において、このように最終温度ま の所期の加熱処理を行った後の冷却条件は に限定されるものではないが、自然冷却で く、例えば、-10~-100℃/時間程度、より好ま くは、-20~-60℃/時間程度の降温条件となる その後、得られた炭素化繊維布帛は、必要 応じて、端部裁断等の整形処理を行って製 とすることができる。

 さらに、本発明により製造した炭素化繊 布帛炭素化繊維布帛を、さらに1600℃~3000℃ 温度で加熱すると、得られる炭素繊維のグ ファイト化が進行し、得られる繊維の剛性 導電性が高まった炭素繊維布帛とすること 可能である。なお、このグラファイト化処 は、前記最終加熱温度へと加熱後、連続昇 して行うことも、あるいは一端冷却した後 うことも可能である。

 さらに、本発明の好ましい実施形態にお ては、原料繊維布帛は、加熱炉内において 層された状態で配置されているものとされ 。これは、このように積層された状態で配 されていると、各繊維布帛の各層間の間隙 ほとんどなく、結果的に各層を囲繞する空 を非常に狭いものとすることができるゆえ 上記したように、加熱工程途中において酸 性雰囲気から非酸化性雰囲気へと置換する 、布帛より発生する出ガスによって酸素分 囲繞空間から容易に追放することができか 一端追放されると次々と発生する出ガスに って酸素含有ガスが侵入してくることはほ んど不可能となり良好な非酸化性雰囲気を 帛周りに形成することができるためである また、このように、各層が相互に面するこ によって、加熱炉の伝熱体や熱媒体といっ 良熱伝導体に布帛が直接接触することが回 され、これによって布帛が急速に加熱され 燃焼を起こすといった不具合の発生を抑え ことができる。さらに、このように原料繊 布帛を積層配置することによって、一度に 量の処理が行え、生産効率が向上するもの ある。なお、積層数としては、特に限定さ るものではなく、原料繊維布帛の厚さによ ても左右されるが、例えば、2~5000層、好ま くは10~1000層、さらに好ましくは100~500層程 とすることができる。

 なお、原料繊維布帛を積層状態として、 素化処理すると、熱分解時に発生するター 状析出物の影響により、積層された布帛界 相互で炭素化された繊維相互が燃焼固着し しまい、炭素化処理後に層間剥離できない 状体となってしまうということが、当業者 あれば観念的に思い浮かぶところであるが 本発明者が見出した上記したような所期の 件下で処理を行うと、このような現象は発 することなく、炭素化処理後に、各層間を 離でき、原料繊維布帛の状態をほぼそのま 残した状態で炭素化した布帛状態として製 が可能となったものである。

 このようにして得られる本発明に係る炭 化繊維布帛は、十分な機械的強度を有する 共に、原料布帛と遜色のない柔軟性を有し おり、かつ炭素繊維を使用してそれを織製 て織布、編布または織編布とするのではな 、炭素化焼成前の出発原料として、セルロ ス系繊維の糸からなる織布、編布または織 布を用いることにより、出発原料の糸自体 柔らかく自由な方向性を持っているため、 直な炭素繊維を織ったものと比較し、繊維 面方向に揃っておらず、厚さ方向にも十分 配合するために、面方向のみならず、厚さ 向においても、良好な電気伝導性、熱伝導 、圧縮強度等に優れたものとなる。

 代表的な特性としては、炭素化布帛が面 向において体積固有抵抗0.01~0.6ωcm、より好 しくは0.1~0.5ωcm、さらに好ましくは0.3~0.5ωcm 、引張強度が1.5N以上、より好ましくは、2.0N 上、カンチレバーソフトネステスターによ 測定される炭素化布帛の剛軟度と原料繊維 帛の剛軟度との比(炭素化布帛の剛軟度/原 繊維布帛の剛軟度)が1.2~0.8、より好ましく1.1 ~0.9である。なお引張強度としては当然にそ 値が高いものが望ましく、また布帛の厚さ によっても変動するものであるので、その 限値としては、特に限定されるものではな が、例えば、50N程度の強度までのものを比 的容易に得ることができる。

 また特に限定されるものではないが、本発 の炭素化繊維布帛は、代表的には、厚さが0 .001~30mm、単位面積当りの質量が20~200g/m 2 であるものとすることが、その特性およびハ ンドリング性の上から望ましい。

 その他の特性としては、特に限定されるも ではないが、例えば、空気中での燃焼開始 度が600℃以上、ラマン分光分析法で測定さ るDバンド(1350cm -1 )とGバンド(1590cm -1 )の比(D/G)が、1.4~2.0である。

 以下、実施例により本発明を具体的に説 するが、本発明はこれらの実施例に限定さ るものではない。なお、以下の実施例およ 比較例に記載の特性の測定方法としては次 ような条件にて測定した。

 <厚さ、単位面積当りの質量>
 厚さは、マイクロメーターにより測定した
 単位面積当りの質量は、JIS L 1018に規定さ るところに従って測定した。

 <引張強度>
 JIS L 1018 カットスリップ法に準拠して測 した。なお、測定条件としては、引張速度20 cm/分、つかみ間隔20cm、試料幅5cm、試験機:定 伸張形とした。

 <剛軟度>
 JIS L1018 A法(45°カンチレバー法)に準拠して 、カンチレバーソフトネステスター(型式:CAN- 45)により測定した。

 <面方向導電性>
 得られた試験片を、四探針式低抵抗率計(ロ レスタGP、三菱化学製)を用いて表面9箇所の 抗(ω)を測定し、同抵抗計により体積抵抗率( ω・cm)に換算し、平均値を算出した。

 <ラマン分光分析>
 堀場ジョバンイボン製LabRam800を用い、アル ンレーザーの514nmの波長を用いて測定した

 <TG燃焼温度>
 マックサイエンス製TG-DTAを用い、空気を0.1 ットル/分の流速で流通させながら、10℃/分 の速度で昇温し、燃焼挙動を測定した。燃焼 時にTGは減量を示し、DTAは発熱ピークを示す で、発熱ピークのトップ位置を燃焼開始温 と定義した。

 [実施例1]
(製造条件)
 以下の条件により炭素化繊維布帛を調製し 。

 原材料として、幅115mm×厚さ6mmの綿ニット (ダブルニット、木村織物株式会社製)を用い 。なお、この綿ニットのカンチレバーソフ ネステスターにより測定される剛軟度は、 ェール方向:35mm、コース方向:22mmであった。 この綿ニットを所定長さで300層積層し、これ を加熱炉内に配して以下の加熱条件にて加熱 して、炭素化繊維布帛を製造した。

加熱条件:室温(15℃±20℃)~1200℃  昇温速度 1 00℃/時間
     総合加熱保持時間  15時間
     冷却: 自然冷却

 なお、加熱開始直後は酸素分圧約150mmHg程 度であった酸化性の雰囲気は、約270℃~300℃ 度の温度域において、繊維の熱分解により 生する出ガスの影響により、酸素分圧50mmHg 満の非酸化性の雰囲気となり、それ以降は の非酸化性雰囲気が加熱終了時まで維持さ た。

(結果)
 得られた炭素化繊維布帛の表面性状を電子 微鏡を用いて観察した。得られた結果を図1 A(倍率50倍)、図1B(倍率3000倍)、図1C(倍率10000倍 )に示す。

 また、得られた炭素化繊維布帛の物性は 下の通りであった。

体積固有抵抗: 0.35ωcm
引張強度: ウェール方向7.21N、コース方向3.59 N
カンチレバーソフトネステスターにより測定 される剛軟度: ウェール方向35mm、コース方 25mm
厚さ:4mm
単位面積当りの質量:79.1g/m 2
空気中での燃焼開始温度:656℃
D/G比:1.5

 なお、図2に、空気中での燃焼開始温度を 求めたTG-DTAチャート、図3に、D/G比を求めた マンスペクトルチャートを示す。

 [応用例1]
 実施例1において得られた炭素化繊維布から サンプル片(長さ300mm×幅300mm)を切り出し、こ サンプル片の幅方向の両端部全長にわたっ 、幅30mm、厚さ0.3mmの銅板を耐熱性接着剤を いて片面側に被着し、この銅板に電線を接 することで、ヒータユニットを作製した。

 このヒータユニットに通電したところ、 ンプル片全体が均一に発熱した。

 電圧70V、電流6Aの条件下では、230℃±10℃ 約2分で到達し、その後はその温度を維持し 続けた。また、通電を止めると、30秒で室温( 20℃)まで温度降下した。

 また、同様に、電圧20V、電流5Aの条件下 は、100℃±5℃に約1分で到達し、その後はそ 温度を維持し続けた。また、通電を止める 、17秒で室温(20℃)まで温度降下した。

 なお、このような高温に長期間複数回に たり繰り返し保持しても、炭素繊維自体に 段変化は見られず、長期間経過後も同様の 定した電熱特性を発揮し、また、全体を通 て、ヒータユニットでチャタリング等の不 合も発生することはなかった。