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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCTION OF CHOPSTICK CONTAINING PAPER COMPONENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/001893
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a method for producing a chopstick containing a paper component, which can overcome the disadvantages of chopsticks made from plastic materials and can be used repeatedly. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] Disclosed is a method for producing a chopstick containing a paper component, which comprises the following steps: a pellet molding step of heating and kneading not less than 30 wt% and less than 50 wt% of a polypropylene (14), 40 to 60 wt% (inclusive) of a paper powder (15) having a particle diameter of 30 to 100 μm, 5 to 10 wt% (inclusive) of a zeolite powder (16) having a particle diameter of 5 to 50 μm, and 5 to 10 wt% (inclusive) of a silver powder (17) having a particle diameter of 1 to 10 μm to thereby produce a molten mixture, and then molding the molten mixture into multiple pellet-like molding materials (13); and a chopstick molding step of heating and kneading the pellet-like molding materials (13) to reconstitute the pellet-like molding materials (13) into a molten mixture, and then injecting the molten mixture into a chopstick mold to thereby mold the molten mixture into the shape of a chopstick in the mold.

Inventors:
SATO MITSUHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/061635
Publication Date:
December 31, 2008
Filing Date:
June 26, 2008
Export Citation:
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Assignee:
KANKYOKEIEISOGOKENKYUSHO CO IN (JP)
SATO MITSUHIRO (JP)
International Classes:
A47G21/10
Foreign References:
JP3124630U2006-08-24
JP2007045863A2007-02-22
JPH0673231A1994-03-15
JPH11178693A1999-07-06
JPH08224155A1996-09-03
Attorney, Agent or Firm:
KOBAYASHI, Yoshitaka (14-9Nishi-shinbashi 1-chome,Minato-k, Tokyo 03, JP)
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Claims:
 30重量%以上50重量%未満のポリプロピレンと、蛍光物質、重金属、インク成分を非含有であって、30~200μmの平均粒径を有する40重量%以上60重量%以下の紙粉末とを加熱、混練した溶融混合物を複数のペレット状成形材料に成形するペレット成形工程と、前記ペレット状成形材料を加熱、混練して前記溶融混合物に戻し、箸成形金型に前記溶融混合物を注入して該箸成形金型内で箸の形状に成形する箸成型工程とを有する紙成分含有箸製造方法。
 前記ペレット成形工程では、5~50μmの平均粒径を有する5重量%以上10重量%以下のゼオライト粉末が加えられ、前記ゼオライト粉末が略均一に分散する前記ペレット状成形材料を作る請求項1記載の紙成分含有箸製造方法。
 前記ペレット成形工程では、1~10μmの平均粒径を有する5重量%以上10重量%以下の銀粉末が加えられ、前記銀粉末が略均一に分散する前記ペレット成形材料を作る請求項1または請求項2に記載の紙成分含有箸製造方法。
 前記箸成型工程では、前記ペレット状成形材料を所定のアルコール濃度を有するアルコール水溶液に浸けた後、該ペレット状成形材料を加熱、混練して前記溶融混合物に戻す請求項1ないし請求項3いずれかに記載の紙成分含有箸製造方法。
 前記ポリプロピレンには、曲げ弾性率が1500MPa以上2000MPa以下、メルトフローレート(MFR)が(230℃、2,16kg、1φオリフィス)で50g/10分以上100g/10分以下のグレードが使用されている請求項1ないし請求項4いずれかに記載の紙成分含有箸製造方法。
 前記ゼオライト粉末には、細孔径が5~19Aの範囲、比表面積が100~150m 2 /grの範囲、吸湿能力が20~50%の範囲、吸油能力が1.3~1.5倍の範囲にある人工ゼオライトが使用されている請求項2ないし請求項5いずれかに記載の紙成分含有箸製造方法。
 前記紙成分含有箸製造方法には、前記箸の全長を100%としたときの該箸の前端から後端に向かう少なくとも20~35%の範囲の表面全域に10~50μmの厚みを有するポリプロピレンのみの層を形成する層形成工程が含まれる請求項1ないし請求項6いずれかに記載の紙成分含有箸製造方法。
Description:
紙成分含有箸製造方法

 本発明は、紙成分を含有する箸の製造方 に関する。

 曲げ弾性率が1GPa以上、荷重たわみ温度が190 ℃以上のポリスチレン樹脂から作られたプラ スチック製の箸がある(特許文献1参照)。箸は 、ポリスチレン樹脂を射出成形することによ って作られている。この箸は、前端からの距 離1~10mmの範囲における最小径が1.0~3.8mmの範囲 にある。この箸は、塗装膜がなく、耐熱温度 も高いから、食器洗浄機を利用して高温での 洗浄が可能であり、繰り返しの使用が可能で ある。

特開2006-158811号公報

 前記特許文献1に開示の箸は、それがポリス チレン樹脂で作られているから、それを使用 するときに使用者に冷感を与えるのみならず 、表面が滑り易く、箸の使用中に手から滑り 落ちてしまう場合がある。また、箸を電子レ ンジで加熱すると、不規則に変形する場合が あり、繰り返しの使用ができず、さらに、プ ラスチック添加剤等の不純物が表面に滲出す る場合がある。この箸は、その焼却処理時に 煤煙が発生し、大気汚染の原因になる場合が あるばかりか、その焼却処理時に多量のCO 2 を排出するから、地球温暖化の原因になる。 さらに、燃焼カロリーが高く、高い焼却温度 でなければ箸を完全燃焼させることができな い。

 本発明の目的は、プラスチック材料から られた箸が有する前記問題点を解決するこ ができ、繰り返しの使用が可能な紙成分含 箸の製造方法を提供することにある。

 前記課題を解決するための本発明にかか 紙成分含有箸製造方法は、30重量%以上50重 %未満のポリプロピレンと、蛍光物質、重金 、インク成分を非含有であって、30~200μmの 均粒径を有する40重量%以上60重量%以下の紙 末とを加熱、混練した溶融混合物を複数の レット状成形材料に成形するペレット成形 程と、ペレット状成形材料を加熱、混練し 溶融混合物に戻し、箸成形金型に溶融混合 を注入して該箸成形金型内で箸の形状に成 する箸成型工程とを有する。

 本発明の紙成分含有箸製造方法の一例と て、ペレット成形工程では、5~50μmの平均粒 径を有する5重量%以上10重量%以下のゼオライ 粉末が加えられ、ゼオライト粉末が略均一 分散するペレット状成形材料を作る。

 本発明の紙成分含有箸製造方法の他の一 として、ペレット成形工程では、1~10μmの平 均粒径を有する5重量%以上10重量%以下の銀粉 が加えられ、銀粉末が略均一に分散するペ ット成形材料を作る。

 本発明の紙成分含有箸製造方法の一例と て、箸成型工程では、ペレット状成形材料 所定のアルコール濃度を有するアルコール 溶液に浸けた後、ペレット状成形材料を加 、混練して溶融混合物に戻す。

 本発明の紙成分含有箸製造方法の一例と て、ポリプロピレンには、曲げ弾性率が1500 MPa以上2000MPa以下、メルトフローレート(MFR)が (230℃、2,16kg、1φオリフィス)で50g/10分以上100g /10分以下のグレードが使用されている。

 本発明の紙成分含有箸製造方法の一例とし 、ゼオライト粉末には、細孔径が5~19Aの範 、比表面積が100~150m 2 /grの範囲、吸湿能力が20~50%の範囲、吸油能力 が1.3~1.5倍の範囲にある人工ゼオライトが使 されている。

 本発明の紙成分含有箸製造方法の一例と て、紙成分含有箸製造方法には、箸の全長 100%としたときの箸の前端から後端に向かう 少なくとも20~35%の範囲の表面全域に10~50μmの みを有するポリプロピレンのみの層を形成 る層形成工程が含まれる。

 本発明にかかる紙成分含有箸製造方法によ ば、それによって作られた箸が30~200μmの平 粒径を有する40重量%以上60重量%以下の紙粉 を含むから、プラスチック材料のみから箸 作る場合と比較し、使用者に冷感を与える とがない箸を作ることができ、紙成分が抵 要素となって手に持ったときに滑り難く、 用中に手から滑り落ちる度合いが少ない箸 作ることができる。この箸製造方法は、紙 末を含むことで耐熱性に優れた箸を作るこ ができ、自動食器洗浄機で洗浄したとして 、先細りの前端部にひび割れが生じること なく、繰り返しの使用が可能であり、使い てのように資源の無駄が生じることがない を作ることができる。また、電子レンジで 熱したとしても、不規則に変形することは く、プラスチック添加剤等の不純物が表面 滲出することもない箸を作ることができる この箸製造方法は、焼却処理時に煤煙の発 がなく、大気を汚染することがないのみな ず、焼却処理時におけるCO 2 の排出量が少ない箸を作ることができる。さ らに、燃焼カロリーが低く、低い焼却温度で 完全燃焼する箸を作ることができる。

 ペレット成形工程において5~50μmの平均粒 径を有する5重量%以上10重量%以下のゼオライ 粉末が加えられる紙成分含有箸製造方法は 紙粉末から発生する臭いをゼオライト粉末 吸着させることができ、臭いによる不快感 使用者に与えることがない箸を作ることが きる。この箸製造方法は、紙粉末が湿気を んだとしても、紙粉末の湿気をゼオライト 末が吸湿するから、紙粉末の乾燥状態が維 され、紙粉末が湿気を含むことによる脆弱 がなく、一定の強度を保持した箸を作るこ ができる。

 ペレット成形工程において1~10μmの平均粒 径を有する5重量%以上10重量%以下の銀粉末が えられる紙成分含有箸製造方法は、銀粉末 優れた殺菌作用により、付着したバクテリ や雑菌、カビ菌が死滅除去され、バクテリ や雑菌の繁殖がなく、カビの発生がない箸 作ることができる。

 箸成型工程においてペレット状成形材料 所定のアルコール濃度を有するアルコール 溶液に浸けた後、ペレット状成形材料を加 、混練して溶融混合物に戻す紙成分含有箸 造方法は、アルコール水溶液によってペレ ト状成形材料に付着したバクテリアや雑菌 カビ菌を死滅除去することができるから、 クテリアや雑菌の繁殖がなく、カビの発生 ない箸を作ることができる。

 ポリプロピレンとして、曲げ弾性率が1800 MPa以上2000MPa以下、メルトフローレート(MFR)が (230℃、2,16kg、1φオリフィス)で50g/10分以上100g /10分以下のグレードを使用している紙粉末含 有箸製造方法は、前記曲げ弾性率のポリプロ ピレンに紙粉末を混合することで、曲げ弾性 率が高く、容易に撓むことがない箸を作るこ とができる。この箸製造方法は、ポリプロピ レンのメルトフローレートが前記範囲にある から、ポリプロピレンに紙粉末を混合した溶 融混合物の流動性が低下することはなく、溶 融混合物が箸成形金型内でショートモールド を起こすことはなく、箸成形金型を利用して 箸を確実に作ることができる。

 ゼオライト粉末として、細孔径が5~19Aの範 、比表面積が100~150m 2 /grの範囲、吸湿能力が20~50%の範囲、吸油能力 が1.3~1.5倍の範囲にある人工ゼオライトが使 されている紙成分含有箸製造方法は、紙粉 から発生する臭いをゼオライト粉末に確実 吸着させることができ、臭いによる不快感 使用者に与えることがない箸を作ることが きる。この箸製造方法は、紙粉末が湿気を んだとしても、紙粉末の湿気をゼオライト 末が確実に吸湿するから、紙粉末の乾燥状 が維持され、紙粉末が湿気を含むことによ 脆弱化がなく、一定の強度を保持した箸を ることができる。

 箸の全長を100%としたときの箸の前端から 後端に向かう少なくとも20~35%の範囲の表面全 域に10~50μmの厚みを有するポリプロピレンの の層を形成する層形成工程が含まれる紙成 含有箸製造方法は、箸の前端から後端に向 う20~35%の部分において紙粉末が箸の表面に 出することはなく、その部分に水分や油分 滲入し難く、その部分に水分や油分が滲入 ることによる箸の脆弱化がない箸を作るこ ができる。また、箸の前端から後端に向か 20~35%の部分において食物に紙粉末が付着す ことはなく、紙粉末が体内に取り込まれる とはない箸を作ることができる。

一例として示すペレット成型工程の模 図。 一例として示す箸成型工程の模式図。 図1,2に示す箸製造方法によって作られ 紙粉末含有箸の斜視図。 図3の箸の4-4線矢視断面図。 図3の箸の5-5線矢視断面図。 後端部に形成された凹部を上から見た 。 他の一例として示す箸成型工程の模式 。 一例として示す層形成工程の模式図。 図7,8に示す箸製造方法によって作られ 紙粉末含有箸の図4と同様の矢視断面図。 他の一例として示すペレット成型工程 の模式図。 他の一例として示す箸成型工程の模式 図。

符号の説明

 10  押出機
 13  ペレット状成形材料
 14  ポリプロピレン
 15  紙粉末
 16  ゼオライト粉末
 17  銀粉末
 21  射出成形機
 22  箸成形金型
 28A 紙成分含有箸
 28B 紙成分含有箸
 28C 紙成分含有箸
 29  前端部
 30  中間部
 31  後端部
 36  アルコール容器
 37  消毒液(アルコール水溶液)
 39  層

 添付の図面を参照し、本発明にかかる紙 分含有箸製造方法の詳細を説明すると、以 のとおりである。図1は、一例として示すペ レット成型工程の模式図であり、図2は、一 として示す箸成型工程の模式図である。紙 分含有箸製造方法の一例を射出成形法を例 して説明すると、以下のとおりである。箸 造方法は、ペレット状成型材料13を作るペレ ット成形工程と、ペレット状成形材料13を箸2 8A(図3参照)に成形する箸成形工程とから形成 れている。

 ペレット成形工程では、押出機10とダイ11 (金型)とカッター12とを使用してペレット状 形材料13を製造する。ペレット成形工程では 、ポリプロピレン14、紙粉末15、ゼオライト 末16、銀粉末17を用意する。ポリプロピレン1 4には、ブロック重合ポリプロピレン、ラン ムポリプロピレン、ホモ重合ポリプロピレ 、メタロセン触媒ポリプロピレン、変成ポ プロピレンのうちのいずれか1つ、または、 れらを所定の割合で混合したポリプロピレ を使用する。ポリプロピレン14には、線状 リプロピレンとイソプレンとラジカル重合 始剤とを反応させた改質ポリプロピレンを 用することもできる。線状ポリプロピレン は、ポリプロピレンの単独重合体や共集合 、ブロック共重合体、ランダム共重合体の ちの少なくとも1つを使用することができる ラジカル重合開始剤には、過酸化物やアゾ 合物を使用することができる。

 紙粉末15は、ボールミルや攪拌ミル、ロ ラミル等の微粉砕機を使用して紙(バージン )を微粉砕して作ることができる。紙粉末15 、紙を製造するときに発生する破紙や損紙 微粉砕して作ることもでき、パルプを微粉 して作ることもできる。また、使用済みの カップや食品紙トレー、ミルクカートン等 食品用紙食器を微粉砕して作ることもでき 。紙粉末15は、それが湿気を含むことがな ように、ビニール袋に入れられ、かつ、除 機能を備えた保管場所に保管されることで その水分吸湿量が3%以上15%以下、好ましくは 3%以上10%以下に管理されている。

 紙には、バージン紙の他に、古紙を使用 ることもできる。古紙には、新聞古紙や雑 古紙、印刷古紙、包装古紙、段ボール古紙 OA古紙等を使用することができる。パルプ は、機械的パルプ、化学的機械パルプ、半 学的パルプ、化学的パルプのうちのいずれ 1つ、または、それらを所定の割合で混合し パルプを使用することができる。パルプに 、木材パルプを使用することが好ましいが 木材パルプにぼろパルプや茎かんパルプ、 皮パルプのうちの少なくとも1つを混合した パルプを使用することもできる。紙やパルプ 、食品用紙食器には、蛍光物質や重金属、イ ンクを含まないものが使用されている。紙や パルプが塩素や蛍光漂白剤を含む場合は、脱 塩素処理や脱蛍光漂白剤処理を施して塩素と 蛍光漂白剤とを排除する。ゆえに、それらか ら作られた紙粉末15にも蛍光物質や重金属、 ンクは含まれていない。

 紙粉末15には、紙やパルプに換え、また 、紙やパルプとともに他の繊維成分を使用 ることができる。繊維成分には、セルロー から形成された麻や綿、竹、ケナフ等の植 繊維、レーヨンのうちのいずれか1つ、また 、それらを所定の割合で混合した繊維を使 することができる。繊維成分を添加するこ により、後記する箸28Aの強度を向上させる とができ、箸28Aの不用意な破損を防ぐこと できる。

 ゼオライト粉末16には、人工ゼオライトを 用する。人工ゼオライトは、無水物である 炭灰をアルカリ水熱処理することから作ら る。人工ゼオライトを使ったゼオライト粉 16は、細孔径が5~19Aの範囲、比表面積が100~150 m 2 /grの範囲にあり、吸湿能力が20~50%の範囲、吸 油能力が1.3~1.5倍の範囲にある。人工ゼオラ トから形成されたゼオライト粉末16は、細孔 径や比表面積が前記範囲にあるから、優れた 脱臭機能を有し、さらに、吸湿能力や吸油能 力が前記範囲にあるから、優れた吸湿機能お よび吸油機能を有する。

 ゼオライト粉末16には、人工ゼオライト 他に、天然ゼオライトを使用することもで る。天然ゼオライトには、湯河原沸石、菱 石、方沸石、束沸石、斜プチロル沸石、輝 石、ソーダ沸石、モルデン沸石、濁沸石、 十字沸石、重度十字沸石、トムソン沸石、 沸石、スコレス沸石、剥沸石、レビ沸石、 ウルス沸石、ポルックス石のうちのいずれ 1つ、または、それらを所定の割合で混合し 沸石を使用することができる。天然ゼオラ トから形成されるゼオライト粉末16は、微 砕機を使用して天然ゼオライトを微粉砕し 作ることができる。銀粉末17は、微粉砕機を 使用して銀を微粉砕することで作られている 。

 ペレット成形工程では、ポリプロピレン1 4、紙粉末15、ゼオライト粉末16、銀粉末17を 意する。ペレット成形工程において押出機10 のホッパ18には、ポリプロピレン14、紙粉末15 、ゼオライト粉末16、銀粉末17が投入される 押出機10の内部では、ヒーターによってポリ プロピレン14と紙粉末15とゼオライト粉末16と 銀粉末17とが加熱されるとともに、スクリュ よってそれらが混練される。ポリプロピレ 14は、溶融温度以上に加熱され、高温の溶 ポリプロピレンになる。紙粉末15やゼオライ ト粉末16、銀粉末17は、ポリプロピレン14とと もに押出機10のスクリュによって混練される とで、溶融ポリプロピレンの中にほぼ均一 分散混入する。ポリプロピレン15や紙粉末15 、ゼオライト粉末16、銀粉末17は、押出機10の 内部で溶融混合物になる。

 溶融混合物は、スクリュの回転によって 出機10の後端部19から先端部20に向かって次 に移動する。押出機10の先端部20には、溶融 混合物をヌードル状に成形するダイ11(金型) 、ヌードル状に成形された溶融混合物を所 の長さにカットするカッター12とが取り付け られている。押出機10の先端部20から押し出 れた溶融混合物は、ダイ11を通って複数のヌ ードル状に成形され、ヌードル状に成形され た混合物がダイ11から排出された直後、カッ ー12によって所定長さにカットされ、ペレ ト状成形材料13に成形される。ペレット状成 形材料13は、冷却固化し、その形態を維持す 。

 ペレット状成形材料13では、ポリプロピ ン14の中に紙粉末15やゼオライト粉末16、銀 末17が略均一に分散している。なお、紙粉末 15は、その水分吸湿量が3%以上15%以下の範囲 好ましくは3%以上10%以下の範囲にある。水分 吸湿量が15%を超過すると、紙粉末15が必要以 の水分を含有し、ポリプロピレン20と混合 たときに、ポリプロピレン20の温度を低下さ せるから、ポリプロピレン20に紙粉末15を均 に分散混入させることができない。また、 レット状成形材料13は、それに含まれる紙粉 末15が湿気を含むことがないように、複数の れらがビニール袋に入れられ、かつ、除湿 能を備えた保管場所に保管されることで、 形材料13における水分吸湿量が5%以下、好ま しくは3%以下に管理されている。

 箸成形工程では、射出成形機21と箸成形 型22とを使用して紙粉末含有箸28Aを製造する 。箸成形工程では、ペレット成形工程で作ら れたペレット状成形材料13が保管場所から取 出され、成形材料13が射出成形機21のホッパ 23に投入される。射出成形機21の内部では、 クリュによってペレット状成形材料13が混練 されつつ、ヒーターによって成形材料13が加 され、成形材料13のうちのポリプロピレン14 が溶融温度以上に加熱されて溶融し、溶融混 合物になる。溶融混合物は、スクリュの回転 によって射出成形機21の後端部24から先端部25 に向かって次第に移動する。射出成形機21の 端部25には、箸成形金型22が取り付けられて いる。

 箸成形金型22は、互いに重なり合う第1金 26と第2金型27とから形成されている。第1お び第2金型26,27には、図示はしていないが、 融混合物が通る連絡路と、箸28Aの形に作ら た箸成形溝とが形成されている。箸成形溝 、前溝部(後記する箸28Aの前端部29を形成)お よび後溝部(箸28Aの後端部31を形成)と、前後 部の間に位置する中間溝部(箸28Aの中間部30 形成)とを有する。中間溝部の略中央部分か 後溝部までは、その幅寸法が同一であり、 角柱状を呈して直状に延びている。後溝部 は、箸28Aの後端部31に凹部32を作る凸部が形 成され、さらに、凹部32に刻印される宣伝表 33(図6参照)のデボスパターンが形成されて る。前溝部は、円柱状または四角柱状を呈 、中間溝部の略中央部分から前端部の前端 向かってその幅寸法が次第に狭くなる先細 に形成されている。溶融混合物は、射出成 機21から箸成形金型22に射出される。

 箸成形金型22に溶融混合物を注入すると は、図2に示すように、第1および第2金型26,27 の対向面が互いに当接するようにそれら金型 26,27どうしを重ね合わせる。第1および第2金 26,27どうしの重ね合わせや離間は、油圧また は空気圧またはモータ駆動によって行われる 。射出成形機21から射出された溶融混合物は 射出成形機21のゲートから箸成形金型22の流 入口を通って金型22内部に流入し、連絡路を って箸成形溝に流入する。箸成形溝では、 融混合物が溝の後溝部から中間溝部を通り 前溝部に向かって次第に流動する。箸成形 型22では、箸成形溝に流入した溶融混合物 溝において冷却固化することで、図3に示す 28Aが作られる。

 なお、箸成形金型22には、複数の箸の型( 成形溝)が形成されており、一度に複数本の 箸28Aを作ることができる。成形された箸28Aを 箸成形金型22から取り出すには、第1金型26と 2金型27とを離間させ、成形された箸28Aを箸 形溝から取り出す。射出成形では、溶融混 物が高温のまま外気に触れることなく箸成 金型22に射出されるから、ペレット状成形 料13に雑菌やウイルスが混入していたとして も、それらを確実に死滅させることができ、 衛生的な箸28Aを作ることができる。また、ペ レット状成形材料13にカビ菌が混入したとし も、カビ菌を確実に死滅させることができ 箸28Aにおけるカビの発生を防ぐことができ 。

 ペレット成形工程と箸成形工程とにおけ 成形条件は、押出機10や射出成形機21におけ る成形温度が160℃以上195℃以下、かつ、箸成 形金型22の温度が50℃以上95℃以下である。成 形温度が195℃を超過し、箸成形金型22の温度 95℃を超過すると、紙粉末15が炭化して箸28A の強度が低下するとともに、紙粉末15が黄ば で箸28Aが変色する場合がある。この製造方 では、押出機10や射出成形機21における成形 温度と箸成形金型22の温度とが前記範囲にあ から、ペレット成形工程と箸成型工程とに いて紙粉末15の炭化を防ぐことができ、紙 末15が炭化することによる強度低下がない箸 28Aを作ることができる。さらに、紙粉末15の ばみを防ぐことができ、紙粉末15が黄ばむ とによる変色のおそれがない箸28Aを作るこ ができる。

 ペレット状成形材料13は、その水分吸湿 が5%以下、好ましくは3%以下である。ペレッ 状成形材料13の水分吸湿量が5%を超過すると 、成形材料13が射出成形機21内において溶融 合物になり難く、成形材料13を溶融混合物に するために成形温度を195℃より高くしなけれ ばならない場合がある。しかし、成形温度を 195℃より高くすると、紙粉末15が炭化したり 紙粉末15が黄ばんでしまう。この製造方法 は、ペレット状成形材料13の水分吸湿量が5% 下であるから、前記成形温度でペレット状 形材料13が確実に溶融し、紙粉末15の炭化や 紙粉末15の黄ばみを防ぐことができ、強度低 がなく、変色のおそれがない箸28Aを作るこ ができる。

 ペレット状成形材料13の全重量に対する リプロピレン14の割合(重量比)は、30重量%以 50重量%未満の範囲にある。ペレット状成形 料13に対するポリプロピレン14の割合が30重 %未満では、加熱しても流動性を示さない紙 粉末15、ゼオライト粉末16、銀粉末17をポリプ ロピレン14中に均一に分散混入させることが きず、成形された箸28Aに紙粉末15、ゼオラ ト粉末16、銀粉末17の塊部分が形成されてし う場合がある。紙粉末15やゼオライト粉末16 、銀粉末17の塊部分が形成された部位では箸2 8Aの強度が著しく低下し、箸28Aが部位におい 容易に破損してしまう場合がある。また、 融混合物の流動性が著しく低下し、射出成 法によって箸28Aを製造するときに、溶融混 物が射出成形機21のゲートから箸成形金型22 に円滑に流入しなかったり、溶融混合物が箸 成形金型22の内部でショートモールドを起こ 易く、箸成形金型22を利用して箸28Aを作る とができない場合がある。

 ペレット状成形材料13に対するポリプロピ ン14の割合が50重量%を超過すると、耐熱温度 の高い箸28Aを作ることができず、繰り返しの 使用が可能な箸28Aを作ることができない。ポ リプロピレン14の割合が50重量%を超過した条 で作られた箸28Aは、耐熱温度が低く、箸28A 自動食器洗浄機で洗浄したときに箸28Aの前 部にひび割れが生じてしまう場合があり、 子レンジで加熱したときに箸28Aに不規則な 形が生じてしまう場合がある。この箸製造 法は、ペレット状成形材料13の全重量に対 るポリプロピレン14の割合が前記範囲にある から、強度が高く、耐熱性に優れた箸28Aを作 ることができ、繰り返しの使用が可能な箸28A を作ることができる。また、焼却処理時に煤 煙の発生がなく、大気を汚染することがない のみならず、焼却処理時におけるCO 2 の排出量が少ない箸28Aを作ることができる。 さらに、燃焼カロリーが低く、低い焼却温度 で完全燃焼する箸28Aを作ることができる。

 ポリプロピレン14には、曲げ弾性率が1500M Pa以上2000MPa以下、メルトフローレート(MFR)が( 230℃、2,16kg、1φオリフィス)で50g/10分以上100g/ 10分以下のグレードが使用されている。ポリ ロピレン14の曲げ弾性率が1500MPa未満では、 い曲げ弾性率を有する箸28Aを作ることがで ない。ポリプロピレン14の曲げ弾性率が1500M Pa以下の条件で作られた箸28Aは、その使用時 不用意に撓み、物を挟み取る力を指から箸2 8Aに十分に伝えることができない。この箸製 方法は、前記条件を有するポリプロピレン1 4を使用することで、優れた曲げ弾性率を有 る箸28Aを作ることができ、剛性が高く、不 意に撓むことがない箸28Aを作ることができ 。

 ポリプロピレン14のメルトフローレート(M FR)が50g/10分未満では、射出成形機21から射出 れる溶融混合物の流動性が著しく低下し、 出成形法によって箸28Aを製造するときに、 融混合物が射出成形機21のゲートから箸成 金型22に円滑に流入しなかったり、溶融混合 物が箸成形金型22の内部でショートモールド 起こし易く、箸成形金型22を利用して箸28A 作ることができない場合がある。この箸製 方法は、ポリプロピレン14のメルトフローレ ートが前記範囲にあるから、ポリプロピレン 14に紙粉末15やゼオライト粉末16、銀粉末17を 合した溶融混合物の流動性が低下すること なく、溶融混合物が箸成形金型22内でショ トモールドを起こすことはなく、箸成形金 22を利用して箸28Aを確実に作ることができる 。

 ペレット状成形材料13の全重量に対する 粉末15の割合(重量比)は、40重量%以上60重量% 下の範囲にある。ペレット状成形材料13に する紙粉末15の割合が40重量%未満では、耐熱 温度が高い箸28Aを作ることができず、繰り返 しの使用が可能な箸28Aを作ることができない 。紙粉末15の割合が40重量%未満の条件で作ら た箸28Aは、耐熱温度が低く、箸28Aを自動食 洗浄機で洗浄したときに箸28Aの前端部にひ 割れが生じてしまう場合があり、電子レン で加熱したときに箸28Aに不規則な変形が生 てしまう場合がある。

 ペレット状成形材料13に対する紙粉末15の 割合が60重量%を超過すると、過熱しても流動 性を示さない紙粉末15が溶融混合物の流動性 著しく低下させるから、射出成形法によっ 箸28Aを製造するときに、溶融混合物が射出 形機21のゲートから箸成形金型22に円滑に流 入しなかったり、溶融混合物が箸成形金型22 内部でショートモールドを起こし易く、箸 形金型22を利用して箸28Aを作ることができ い場合がある。また、ペレット状成形材料13 に対する紙粉末15の量が必要以上に増加する ら、紙粉末15が溶融混合物の中で分散不良 起こし、紙粉末15をポリプロピレン14中に均 に分散混入させることができず、成形され 箸28Aに紙粉末15の塊部分が形成される場合 あり、紙粉末15の塊部分が存在する部位にお ける箸28Aの強度が著しく低下し、箸28Aが部位 において容易に折損してしまう場合がある。

 この箸製造方法は、ペレット状成形材料13 全重量に対する紙粉末15の割合が前記範囲に あるから、強度が高く、耐熱性に優れた箸28A を作ることができ、繰り返しの使用が可能な 箸28Aを作ることができる。また、焼却処理時 に煤煙の発生がなく、大気を汚染することが ないのみならず、焼却処理時におけるCO 2 の排出量が少ない箸28Aを作ることができる。 さらに、燃焼カロリーが低く、低い焼却温度 で完全燃焼する箸28Aを作ることができる。

 紙粉末15は、その平均粒径が30μm以上200μm 以下の範囲、好ましくは、50μm以上150μm以下 範囲にある。紙粉末15の平均粒径が30μm未満 では、紙やパルプを30μm未満の平均粒径に加 するために複数の粉砕工程を必要とするか 、紙粉末15の生産コストが上昇し、その結 、箸28Aの生産コストも上昇してしまい、箸28 Aを廉価に製造することができない。紙粉末15 の平均粒径が200μmを超過すると、紙粉末15が 融混合物の流動性を著しく低下させるから 射出成形法によって箸28Aを製造するときに 溶融混合物が射出成形機21のゲートから箸 形金型22に円滑に流入しなかったり、溶融混 合物が箸成形金型22の内部でショートモール を起こし易く、箸成形金型22を利用して箸28 Aを作ることができない場合がある。また、 粉末15が溶融混合物の中で分散不良を起こし 、紙粉末15をポリプロピレン14中に均一に分 混入させることができず、成形された箸28A 紙粉末15の塊部分が形成される場合があり、 紙粉末15の塊部分が存在する部位における箸2 8Aの強度が著しく低下し、箸28Aが部位におい 容易に折損してしまう場合がある。紙粉末1 5の平均粒径は、ふるい分け法によって測定 た値である。

 ペレット状成形材料13の全重量に対する オライト粉末16の割合(重量比)は、5重量%以 10重量%以下の範囲にある。ペレット状成形 料13に対するゼオライト粉末16の割合が5重量 %未満では、ゼオライト粉末16の脱臭機能を十 分に利用することができず、紙粉末15から発 する臭いをゼオライト粉末16に吸着させる とができない。また、ゼオライト粉末16の吸 湿機能を十分に利用することができず、紙粉 末15の湿気をゼオライト粉末16に吸湿させる とができない。ペレット状成形材料13に対す るゼオライト粉末16の割合が10重量%を超過す と、過熱しても流動性を示さないゼオライ 粉末16が溶融混合物の流動性を著しく低下 せるから、射出成形法によって箸28Aを製造 るときに、溶融混合物が射出成形機21のゲー トから箸成形金型22に円滑に流入しなかった 、溶融混合物が箸成形金型22の内部でショ トモールドを起こし易く、箸成形金型22を利 用して箸28Aを作ることができない場合がある 。この箸製造方法は、ペレット状成形材料13 全重量に対するゼオライト粉末16の割合が 記範囲にあるから、ゼオライト粉末16の脱臭 機能や吸湿機能を十分に利用することができ るとともに、箸成形金型22を利用して箸28Aを 実に作ることができる。

 ゼオライト粉末16は、その平均粒径が5μm 上50μm以下の範囲にある。ゼオライト粉末16 の平均粒径が5μm未満では、ゼオライトを5μm 満の平均粒径に加工するために複数の粉砕 程を必要とするから、ゼオライト粉末16の 産コストが上昇し、その結果、箸28Aの生産 ストも上昇してしまい、箸28Aを廉価に製造 ることができない。ゼオライト粉末16の平均 粒径が50μmを超過すると、過熱しても流動性 示さないゼオライト粉末16が溶融混合物の 動性を著しく低下させるから、射出成形法 よって箸28Aを製造するときに、溶融混合物 射出成形機21のゲートから箸成形金型22に円 に流入しなかったり、溶融混合物が箸成形 型22の内部でショートモールドを起こし易 、箸成形金型22を利用して箸28Aを作ることが できない場合がある。また、ゼオライト粉末 16が溶融混合物の中で分散不良を起こし、ゼ ライト粉末16をポリプロピレン14中に均一に 分散混入させることができず、成形された箸 28Aにゼオライト粉末16の塊部分が形成される 合があり、ゼオライト粉末16の塊部分が存 する部位における箸28Aの強度が著しく低下 、箸28Aが部位において容易に折損してしま 場合がある。ゼオライト粉末16の平均粒径は 、ふるい分け法によって測定した値である。

 ペレット状成形材料13の全重量に対する 粉末17の割合(重量比)は、5重量%以上10重量% 下の範囲にある。ペレット状成形材料13に対 する銀粉末17の割合が5重量%未満では、銀粉 17の殺菌作用を十分に利用することができず 、バクテリアや雑菌を除去可能な箸28Aを作る ことができないのみならず、カビの発生や繁 殖を防ぐことが可能な箸28Aを作ることができ ない。ペレット状成形材料13に対する銀粉末1 7の割合が10重量%を超過すると、過熱しても 動性を示さない銀粉末17が溶融混合物の流動 性を著しく低下させるから、射出成形法によ って箸28Aを製造するときに、溶融混合物が射 出成形機21のゲートから箸成形金型22に円滑 流入しなかったり、溶融混合物が箸成形金 22の内部でショートモールドを起こし易く、 箸成形金型22を利用して箸28Aを作ることがで ない場合がある。また、銀粉末17が溶融混 物の中で分散不良を起こし、銀粉末17をポリ プロピレン14中に均一に分散混入させること できず、成形された箸28Aに銀粉末17の塊部 が形成される場合があり、銀粉末17の塊部分 が存在する部位における箸28Aの強度が著しく 低下し、箸28Aが部位において容易に折損して しまう場合がある。この箸製造方法は、ペレ ット状成形材料13の全重量に対する銀粉末17 割合が前記範囲にあるから、銀粉末17の殺菌 作用を十分に利用することができ、常に衛生 的に使用することができる箸28Aを作ることが できる。

 銀粉末17は、その平均粒径が1μm以上10μm 下の範囲にある。銀粉末17の平均粒径が10μm 超過すると、銀粉末17が溶融ポリプロピレ の中で分散不良を起こし、溶融混合物の内 に銀粉末17の塊部分が形成される場合があり 、銀粉末17の塊部分が存在する部位における 28Aの強度が著しく低下し、箸28Aが部位にお て容易に折損してしまう場合がある。銀粉 17の平均粒径は、ふるい分け法によって測 した値である。

 図3は、図1,2に示す箸製造方法によって作 られた紙粉末含有箸28Aの斜視図であり、図4 、図3の4-4線矢視断面図である。図5は、図3 5-5線矢視断面図であり、図6は、後端部31に 成された凹部32を上から見た図である。図3 は、長さ方向を矢印L1で示し、横方向を矢印 L2で示す。なお、図3では箸28Aを1本のみ図示 ているが、図示の箸28Aと同形同大の他の1本 箸と対で販売される。

 紙粉末含有箸28Aでは、ポリプロピレン14 紙粉末15やゼオライト粉末16、銀粉末17が略 一に分散している。箸28Aは、長さ方向の寸 を三等分したときに、物を挟み取る前端部29 と、使用者が指をかける後端部31と、前後端 29,31の間に位置する中間部30とに区分される 。箸28Aの後端部31には、箸28Aの周面から周方 内方へ凹む、扁平な凹部32が形成されてい 。凹部32には、店名や料理名、ロゴマーク等 の宣伝表示33が刻印されている。

 箸28Aでは、中間部30と後端部31とが長さ方 向へ長い四角柱状を呈し、前端部29が長さ方 へ長い円柱状または四角柱状を呈する。箸2 8Aは、中間部30の略中央部分から前端部29の前 端34に向かって太さが次第に細くなる先細り 形成されている。なお、箸28Aの前端部29の 状を円柱状または四角柱状に限定するもの はなく、円柱状または四角柱状の他に、箸 形溝の形状によって三角柱状や多角柱状の のを作ることもできる。また、箸28Aの中間 30と後端部31との形状を四角柱状に限定する のではなく、四角柱状の他に、箸成形溝の 状によって円柱状や三角柱状、多角柱状の のを作ることもできる。

 箸28Aでは、その後端部31から中間部30の略中 央部分までの太さが同一であり、横方向の断 面積が65~80mm 2 の範囲、好ましくは、55~65mm 2 の範囲にある。箸28Aでは、その長さ方向の全 長を100%としたときに、その後端35から前端34 向かう65~85%の範囲の太さが同一であり、そ から前端34に向かって先細りに形成されて ればよい(この場合、前端34から後端35に向か う15~35%の範囲を前端部29とし、残余の部分を 等分して中間部30と後端部31とする)。

 図7は、他の一例として示す箸成型工程の 模式図であり、図8は、一例として示す層形 工程の模式図である。図9は、図7,8に示す箸 造方法によって作られた紙粉末含有箸28Bの 4と同様の矢視断面図である。図7,8に示す箸 製造方法によって作られた箸28Bの全体形状等 は、図3,図5,図6を援用することで、その図示 省略する。この紙粉末含有箸製造方法は、 レット状成型材料13を作るペレット成形工 と、ペレット状成形材料13を箸28Bに成形する 箸成形工程と、箸28Bの少なくとも前端部30の 面全域にポリプロピレン14のみの層39を形成 する層形成工程とから形成されている。なお 、図7,8の箸製造方法におけるペレット成形工 程は図1に示すそれと同一であるから、図1を 用し、その説明は省略する。

 図7,8の箸製造方法に使用するペレット状 形材料13を形成するポリプロピレン14、紙粉 末15、ゼオライト粉末16、銀粉末17は、図1の 形材料13のそれらと同一であり、ペレット状 成形材料13の全重量に対するそれらの割合(重 量比)は、図1の成形材料13のそれらと同一で る。また、ポリプロピレン14のグレードや紙 粉末15、ゼオライト粉末16、銀粉末17の平均粒 径は、図1の成形材料13のそれらと同一である 。

 箸成形工程では、アルコール容器36と射 成形機21と箸成形金型22とを使用して紙粉末 有箸28Bを製造する。アルコール容器36には アルコールとL-アスコルビン酸ナトリウムと 水とから形成された消毒液37(アルコール水溶 液)が入っている。アルコールには、エチル ルコール(エタノール)が使用されている。消 毒液37では、その全重量に対するエチルアル ールの割合が55.0重量%以上59.5重量%以下の範 囲、その全重量に対するL-アスコルビン酸ナ リウムの割合が0.01重量%以上0.05重量%以下の 範囲にあり、その全重量に対する水の割合が 40.0重量%以上44.5重量%以下の範囲にある。ア コールには、エチルアルコールの他に、メ ルアルコール(メタノール)、イソプロピルア ルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチル ルコール、2-ブチルアルコール、イソブチル アルコール、活性アルミアルコールのうちの 少なくとも一つを使用することもできる。箸 成形工程では、水分吸湿量が5%以下に管理さ たペレット状成形材料13が保管場所から取 出され、成形材料13をアルコール容器36の中 消毒液37に浸けた後、成形材料13が容器36か 取り出され、射出成形機21のホッパ23に投入 される。

 射出成形機21の内部では、スクリュによ てペレット状成形材料13が混練されつつ、ヒ ーターによって成形材料13が加熱され、成形 料13のうちのポリプロピレン14が溶融温度以 上に加熱されて溶融し、溶融混合物になる。 アルコール37は、射出成形機21の内部で気化 る。溶融混合物は、スクリュの回転によっ 射出成形機21の後端部24から先端部25に向か て次第に移動する。射出成形機21の先端部25 は、箸成形金型22が取り付けられている。 成形金型22は、図2に示すそれと同一である ら、その説明は省略する。溶融混合物は、 出成形機21から箸成形金型22に射出される。

 射出成形機21から射出された溶融混合物 、射出成形機21のゲートから箸成形金型22の 入口を通って金型22内部に流入し、連絡路 通って箸成形溝に流入する。箸成形溝では 溶融混合物が溝の後溝部から中間溝部を通 、前溝部に向かって次第に流動する。箸成 金型22では、箸成形溝に流入した溶融混合物 が溝において冷却固化することで、図3に示 箸28Bが作られる。

 なお、ペレット成形工程と箸成形工程と おける成形条件は、図1,2のそれと同様に、 出機10や射出成形機21における成形温度が160 ℃以上195℃以下、かつ、箸成形金型22の温度 50℃以上95℃以下である。箸製造方法は、ペ レット状成形材料13を射出成形機21に投入す 以前に、成形材料13を消毒液37に浸けるから 成形材料13に付着したバクテリアや雑菌、 ビ菌を除去することができ、バクテリアや 菌の繁殖がなく、カビの発生がない箸28Bを ることができる。

 層形成工程では、樹脂容器38を使用して 28Bの前端部29に層39を形成する。樹脂容器38 、所定の温度に加熱されている。樹脂容器38 にはポリプロピレン14が収容され、ポリプロ レン14が加熱されて溶融状態にある。層形 工程では、箸成形工程で造られた箸28Bが樹 容器38の上方に搬送され、容器38の上方に位 した箸28Bが矢印L3で示すように下降し、箸28 Bの前端部29が溶融状態にあるポリプロピレン 14に浸けられた後、箸28Bが矢印L4で示す容器38 の上方へ引き上げられる。箸28Bが容器38の上 へ引き上げられると、溶融状態のポリプロ レン14が冷却固化し、箸28Bの前端部29の表面 にポリプロピレン14のみから作られた層39が 成される。層39を形成するポリプロピレン14 、ペレット状成形材料13を形成するそれと 一のものが使用されている。なお、溶融状 のポリプロピレン14に浸けられる部位は箸28B の前端部29であるが、箸28B全体をポリプロピ ン14に浸け、箸28B全体の表面全域に層39を形 成してもよい。

 層39は、その厚みが10μm以上50μm以下の範 、好ましくは、その厚みが20μm以上30μm以下 の範囲にある。層39の厚みが10μm未満では、 28Bの使用時に層39が容易に剥がれ、箸28Bの前 端部29において紙粉末15が表面に露出し、前 部29に水分や油分が容易に滲入してしまう。 箸製造方法は、箸28Bの前端部29にポリプロピ ン14から形成された層39が作られるから、水 分や油分を含むことによる箸28Bの脆弱化がな く、一定の強度を保持した箸28Bを作ることが できる。また、層39に包被された前端部29に いて食物に紙粉末15やゼオライト粉末16、銀 末17が付着することはなく、紙粉末15やゼオ ライト粉末16、銀粉末17が体内に取り込まれ ことがない箸28Bを作ることができる。なお 層39は、箸28Bの全長を100%としたときの箸28B 前端34から後端35に向かう少なくとも20~35%の 囲に形成されていればよい。

 図1,2に示す製造方法では、図7,8に示す製 方法と同様に、箸成形工程において、成形 料13をアルコール容器36の中の消毒液37に浸 た後、成形材料13が容器36から取り出され、 射出成形機21のホッパ23に投入されてもよい 図1,2や図7,8に示す製造方法によって作られ 紙粉末含有箸28A,28Bは、それが紙粉末15や銀 末17を含むから、プラスチック材料のみ作ら れた箸と比較し、その耐熱温度が高い。箸28A ,28Bは、その耐熱温度が100~190℃である。箸28A, 28Bは、その焼却カロリーが4000~6000Kcal/kgの範 にある。また、箸28A,28Bは、それが紙粉末15 含むから、プラスチック材料のみ作られた と比較し、その剛性が高い。箸28A,28Bは、そ 曲げ弾性率が4000MPa以上6000MPa以下の範囲に る。さらに、箸28A,28Bは、それが紙粉末15を むから、耐薬品性に優れている。

 それら製造方法によって作られた紙粉末含 箸28A,28Bは、プラスチック材料のみから作ら れた箸と比較し、それを使用したときに使用 者に冷感を与えることがない。箸28A,28Bは、 れを形成する紙成分15が抵抗要素となり、手 に持ったときに滑り難く、手から滑って不用 意に落としてしまうことはない。箸28A,28Bは 紙粉末15やゼオライト粉末16、銀粉末17がそ に略均一に分散しているから、箸28A,28Bの強 が部分的に低下することはなく、優れた強 を有し、繰り返しの使用に耐えることがで 、資源の無駄が生じることはない。箸28A,28B は、ポリプロピレン14に紙粉末15やゼオライ 粉末16、銀粉末17を混入した混合物から作ら ているから、箸28A,28Bの焼却処理時に煤煙の 発生がなく、焼却処理時に大気を汚染するこ とはないのみならず、それが紙粉末15を含む とで、プラスチック材料のみから作られた と比較し、その焼却処理時のCO 2 の排出量を極端に少なくすることができる。 さらに、プラスチック材料のみから作られた 箸と比較してその燃焼カロリーが低く、低い 焼却温度で完全燃焼させることができる。

 箸28A,28Bは、その後端部31から中間部30の略 央部分までの太さが同一であり、または、 の長さ方向の全長を100%としたときに、その 端35から前端34に向かう65~85%の範囲の太さが 同一であり、それら範囲の太さが55~80mm 2 の範囲にあるから、中間部30と後端部31との 性が高く、かつ、後端部31から中間部30に向 って先細りに形成されている場合と比較し 後端部31から中間部30に向かって箸28の剛性 次第に低くなることはない。箸28A,28Bは、そ の使用時に中間部30と後端部31とが不用意に むことはなく、物を挟み取る力を指から前 部29に確実に伝えることができる。箸28A,28B 、中間部30や後端部31において物を挟み取る が分散することはなく、その使用時に物を 実に挟み取ることができる。

 それら図示の紙粉末含有箸製造方法は、 リプロピレン14と紙粉末15とゼオライト粉末 16と銀粉末17とを混合したペレット状成形材 13を使用しているが、成形材料13として、ポ プロピレン14に紙粉末15のみを混入したもの 、ポリプロピレン14に紙粉末15とゼオライト 末16とを混入したもの、ポリプロピレン14に 粉末15と銀粉末17とを混入したもののうちの 、いずれかの成形材料13を使用して箸28A,28Bを 作ることもできる。また、箸製造方法は、射 出成形法の他に、圧縮成形法、キャスト成形 法のいずれかの技術を利用することもできる 。

 図10は、図1とは異なる他の一例として示 ペレット成型工程の模式図であり、図11は 図2や図7とは異なる他の一例として示す箸成 型工程の模式図である。図10,11に示す箸製造 法によって作られた箸28Cの全体形状等は、 3,図5,図6を援用することで、その図示は省 する。また、箸28Cの前端部29における断面図 は、図9の矢視断面図を援用することで、そ 図示は省略する。図10,11に示す箸製造方法の 一例を射出成形法を例として説明すると、以 下のとおりである。箸製造方法は、ペレット 状成型材料13を作るペレット成形工程と、ペ ット状成形材料13を箸28C(図3参照)に成形す 箸成形工程と、箸28の少なくとも前端部30の 面全域にポリプロピレン14のみの層39を形成 する層形成工程(図8援用)とから形成されてい る。

 ペレット成形工程では、押出機10とダイ11 (金型)とカッター12とを使用してペレット状 形材料13を製造する。ペレット成形工程では 、ポリプロピレン14、紙粉末15、石灰質から 成された動物体の外甲を焼成した外甲粉末40 を用意する。ポリプロピレン14や紙粉末15は 図1の成形材料13のそれらと同一である。紙 末15は、それが湿気を含むことがないように 、ビニール袋に入れられ、かつ、除湿機能を 備えた保管場所に保管されることで、その水 分吸湿量が3%以上15%以下、好ましくは3%以上10 %以下に管理されている。外甲粉末40は、天然 素材であり、薬品処理や化学処理をせず、外 甲を1200~1300℃の高温で長時間焼き(焼成)、焼 た外甲をボールミルや媒体攪拌ミル、ロー ミル等の微粉砕機を使用して微粉砕するこ で作られている。外甲粉末40は、人体に悪 響を与えることなく、優れた殺菌作用を有 る。

 ペレット成形工程において押出機10のホ パ18には、ポリプロピレン14、紙粉末15、外 粉末40が投入される。押出機10の内部では、 ーターによってポリプロピレン14と紙粉末15 と外甲粉末40とが加熱されるとともに、スク ュによってそれらが混練される。ポリプロ レン14は、溶融温度以上に加熱され、高温 溶融ポリプロピレンになる。紙粉末15や外甲 粉末40は、ポリプロピレン14とともに押出機10 のスクリュによって混練されることで、溶融 ポリプロピレンの中にほぼ均一に分散混入す る。ポリプロピレン15や紙粉末15、外甲粉末40 は、押出機10の内部で溶融混合物になる。

 溶融混合物は、スクリュの回転によって 出機10の後端部19から先端部20に向かって次 に移動する。押出機10の先端部20には、溶融 混合物をヌードル状に成形するダイ11(金型) 、ヌードル状に成形された溶融混合物を所 の長さにカットするカッター12とが取り付け られている。押出機10の先端部20から押し出 れた溶融混合物は、ダイ11を通って複数のヌ ードル状に成形され、ヌードル状に成形され た混合物がダイ11から排出された直後、カッ ー12によって所定長さにカットされ、ペレ ト状成形材料13に成形される。ペレット状成 形材料13は、冷却固化し、その形態を維持す 。

 ペレット状成形材料13では、ポリプロピ ン14の中に紙粉末15や外甲粉末40が略均一に 散している。なお、紙粉末15は、その水分吸 湿量が3%以上15%以下の範囲、好ましくは3%以 10%以下の範囲にある。水分吸湿量が15%を超 すると、紙粉末15が必要以上の水分を含有し 、ポリプロピレン20と混合したときに、ポリ ロピレン20の温度を低下させるから、ポリ ロピレン20に紙粉末15を均一に分散混入させ ことができない。また、ペレット状成形材 13は、それに含まれる紙粉末15が湿気を含む ことがないように、複数のそれらがビニール 袋に入れられ、かつ、除湿機能を備えた保管 場所に保管されることで、成形材料13におけ 水分吸湿量が5%以下、好ましくは3%以下に管 理されている。

 箸成形工程では、アルコール容器36と射 成形機21と箸成形金型22とを使用して紙粉末 有箸28Cを製造する。アルコール容器36には 図7のそれと同様に、アルコールとL-アスコ ビン酸ナトリウムと水とから形成された消 液37(アルコール水溶液)が入っている。アル ールには、エチルアルコール(エタノール) 使用されている。消毒液37の全重量に対する エチルアルコールの割合は、図7のそれと同 である。箸成形工程では、水分吸湿量が5%以 下に管理されたペレット状成形材料13が保管 所から取り出され、さらに、箸28Cを所定の に着色するカラーマスターバッチ41が管場 から取り出される。箸成形工程では、成形 料13をアルコール容器36の中の消毒液37に浸 た後、成形材料13が容器36から取り出され、 形材料13とカラーマスターバッチ41とが射出 成形機21のホッパ23に投入される。

 射出成形機21の内部では、スクリュによ てペレット状成形材料13とカラーマスターバ ッチ41とが混練されつつ、ヒーターによって 形材料13とマスターバッチ41とが加熱され、 成形材料13のうちのポリプロピレン14が溶融 度以上に加熱されて溶融しつつ、マスター ッチ41が溶融温度以上に加熱されて溶融し、 溶融混合物になる。溶融混合物は、カラーマ スターバッチ41によって所定の色に着色され 。アルコール37は、射出成形機21の内部で気 化する。溶融混合物は、スクリュの回転によ って射出成形機21の後端部24から先端部25に向 かって次第に移動する。射出成形機21の先端 25には、箸成形金型22が取り付けられている 。箸成形金型22は、互いに重なり合う第1金型 26と第2金型27とから形成されている。第1およ び第2金型26,27は、図2に示すそれと同一であ から、その説明は省略する。溶融混合物は 射出成形機21から箸成形金型22に射出される

 射出成形機21から射出された溶融混合物 、射出成形機21のゲートから箸成形金型22の 入口を通って金型22内部に流入し、連絡路 通って箸成形溝に流入する。箸成形溝では 溶融混合物が溝の後溝部から中間溝部を通 、前溝部に向かって次第に流動する。箸成 金型22では、箸成形溝に流入した溶融混合物 が溝において冷却固化することで、図3に示 箸28Cが作られる。成形された箸28Cを箸成形 型22から取り出すには、第1金型26と第2金型27 とを離間させ、成形された箸28Cを箸成形溝か ら取り出す。射出成形では、溶融混合物が高 温のまま外気に触れることなく箸成形金型22 注入されるから、ペレット状成形材料13に 菌やウイルスが混入していたとしても、そ らを確実に死滅させることができ、衛生的 箸28Cを作ることができる。また、ペレット 成形材料13にカビ菌が混入したとしても、カ ビ菌を確実に死滅させることができ、箸28Cに おけるカビの発生を防ぐことができる。

 層形成工程では、樹脂容器38を使用して 28Cの前端部29にポリプロピレン14のみの層39 形成する(図8参照)。樹脂容器38は、所定の温 度に加熱されている。樹脂容器38にはポリプ ピレン14が収容され、ポリプロピレン14が加 熱されて溶融状態にある。層形成工程では、 箸成形工程で造られた箸28Cが樹脂容器38の上 に搬送され、容器38の上方に位置した箸28C 矢印L3で示すように下降し、箸28Cの前端部29 溶融状態にあるポリプロピレン14に浸けら た後、箸28Cが矢印L4で示す容器38の上方へ引 上げられる。箸28Cが容器38の上方へ引き上 られると、溶融状態のポリプロピレン14が冷 却固化し、箸28Cの前端部29の表面にポリプロ レン14のみから作られた層39が形成される。 層39を形成するポリプロピレン14は、ペレッ 状成形材料13を形成するそれと同一のものが 使用されている。なお、溶融状態のポリプロ ピレン14に浸けられる部位は箸28Cの前端部29 あるが、箸28C全体をポリプロピレン14に浸け 、箸28C全体の表面に層39を形成してもよい。 た、箸28Cに層39を形成しない場合は、ペレ ト成形工程および箸成形工程から箸28Cが作 れ、層形成工程が省略される。

 ペレット成形工程と箸成形工程とにおけ 成形条件は、図1,2のそれらと同一であり、 出機10や射出成形機21における成形温度が160 ℃以上195℃以下、かつ、箸成形金型22の温度 50℃以上95℃以下である。成形温度が195℃を 超過し、箸成形金型30の温度が95℃を超過す と、紙粉末15が炭化して箸28Cの強度が低下す るとともに、紙粉末15が黄ばんで箸28Cが変色 まう場合がある。なお、この箸製造方法は ペレット状成形材料13を射出成形機21に投入 する以前に、成形材料13を消毒液37に浸ける ら、成形材料13に付着したバクテリアや雑菌 、カビ菌を除去することができ、バクテリア や雑菌の繁殖がなく、カビの発生がない箸28C を作ることができる。

 ペレット成形材料13は、その水分吸湿量 5%以下、好ましくは3%以下である。ペレット 成形材料13の水分吸湿量が5%を超過すると、 成形材料13が射出成形機21内において溶融混 物になり難く、成形材料13を溶融混合物にす るために成形温度を195℃より高くしなければ ならない場合がある。しかし、成形温度を195 ℃より高くすると、紙粉末15が炭化したり、 粉末15が黄ばんでしまう。この製造方法で 、ペレット状成形材料13の水分吸湿量が5%以 であるから、前記成形温度でペレット状成 材料13が確実に溶融し、紙粉末15の炭化や紙 粉末15の黄ばみを防ぐことができ、強度低下 なく、変色のおそれがない箸28Cを作ること できる。

 層39は、その厚みが10μm以上50μm以下の範 、好ましくは、その厚みが20μm以上30μm以下 の範囲にある。層39の厚みが10μm未満では、 28Cの使用時に層39が容易に剥がれ、箸28Cの前 端部29において紙粉末15が表面に露出し、前 部29に水分や油分が容易に滲入してしまう。 箸製造方法は、箸28Cの前端部29にポリプロピ ン14から形成された層39が作られるから、水 分や油分を含むことによる箸28Cの脆弱化がな く、一定の強度を保持した箸28Cを作ることが できる。また、層39に包被された前端部29に いて食物に紙粉末15や外甲粉末40が付着する とはなく、紙粉末15や外甲粉末40が体内に取 り込まれることがない箸28Cを作ることができ る。なお、層39は、箸28Cの全長を100%としたと きの箸28Cの前端34から後端35に向かう少なく も20~35%の範囲に形成されていればよい。

 ペレット状成形材料13の全重量に対する リプロピレン14の割合(重量比)は、図1の製造 方法におけるポリプロピレン14のそれと同一 あり、30重量%以上50重量%未満の範囲にある ペレット状成形材料13に対するポリプロピ ン14の割合が30重量%未満では、加熱しても流 動性を示さない紙粉末15、外甲粉末40をポリ ロピレン14中に均一に分散混入させることが できず、成形された箸28Cに紙粉末15や外甲粉 40の塊部分が形成されてしまう場合がある 紙粉末15や外甲粉末40の塊部分が形成された 位では箸28Cの強度が著しく低下し、箸28Cが 位において容易に破損してしまう場合があ 。また、溶融混合物の流動性が著しく低下 、射出成形法によって箸28Cを製造するとき 、溶融混合物が射出成形機21のゲートから 成形金型22に円滑に流入しなかったり、溶融 混合物が箸成形金型22の内部でショートモー ドを起こし易く、箸成形金型22を利用して 28Cを作ることができない場合がある。

 ペレット状成形材料13に対するポリプロピ ン14の割合が50重量%を超過すると、耐熱温度 の高い箸28Cを作ることができず、繰り返しの 使用が可能な箸28Cを作ることができない。ポ リプロピレン14の割合が50重量%を超過した条 で作られた箸28Cは、耐熱温度が低く、箸28C 自動食器洗浄機で洗浄したときに箸28Cの前 部にひび割れが生じてしまう場合があり、 子レンジで加熱したときに箸28Cに不規則な 形が生じてしまう場合がある。この箸製造 法は、ペレット状成形材料13の全重量に対 るポリプロピレン14の割合が前記範囲にある から、強度が高く、耐熱性に優れた箸28Cを作 ることができ、繰り返しの使用が可能な箸28C を作ることができる。また、焼却処理時に煤 煙の発生がなく、大気を汚染することがない のみならず、焼却処理時におけるCO 2 の排出量が少ない箸28Cを作ることができる。 さらに、燃焼カロリーが低く、低い焼却温度 で完全燃焼する箸28Cを作ることができる。

 ポリプロピレン14には、曲げ弾性率が1500M Pa以上2000MPa以下、メルトフローレート(MFR)が( 230℃、2,16kg、1φオリフィス)で50g/10分以上100g/ 10分以下のグレードが使用されている。ポリ ロピレン14の曲げ弾性率が1500MPa未満では、 28Cの曲げ弾性率が低下し、高い曲げ弾性率 有する箸28Cを作ることができない。ポリプ ピレン14の曲げ弾性率が1500MPa以下の条件で られた箸28Cは、その使用時に不用意に撓み 物を挟み取る力を指から箸28Cに十分に伝え ことができない。この箸製造方法は、前記 件を有するポリプロピレン14を使用するこ で、優れた曲げ弾性率を有する箸28Cを作る とができ、剛性が高く、不用意に撓むこと ない箸28Cを作ることができる。

 ポリプロピレン14のメルトフローレート(M FR)が50g/10分未満では、射出成形機21から射出 れる溶融混合物の流動性が著しく低下し、 出成形法によって箸28Cを製造するときに、 融混合物が射出成形機21のゲートから箸成 金型22に円滑に流入しなかったり、溶融混合 物が箸成形金型22の内部でショートモールド 起こし易く、箸成形金型22を利用して箸28C 作ることができない場合がある。この箸製 方法は、ポリプロピレン14のメルトフローレ ートが前記範囲にあるから、ポリプロピレン 14に紙粉末15や外甲粉末40を混合した溶融混合 物の流動性が低下することはなく、溶融混合 物が箸成形金型22内でショートモールドを起 すことはなく、箸成形金型22を利用して箸28 Cを確実に作ることができる。

 ペレット状成形材料13の全重量に対する 粉末15の割合(重量比)は、図1の製造方法にお ける紙粉末15のそれと同一であり、40重量%以 60重量%以下の範囲にある。ペレット状成形 料13に対する紙粉末15の割合が40重量%未満で は、耐熱温度が高い箸28Cを作ることができず 、繰り返しの使用が可能な箸28Cを作ることが できない。紙粉末15の割合が40重量%未満の条 で作られた箸28Cは、耐熱温度が低く、箸28C 自動食器洗浄機で洗浄したときに箸28Cの前 部にひび割れが生じてしまう場合があり、 子レンジで加熱したときに箸28Cに不規則な 形が生じてしまう場合がある。

 ペレット状成形材料13に対する紙粉末15の 割合が60重量%を超過すると、過熱しても流動 性を示さない紙粉末15が溶融混合物の流動性 著しく低下させるから、射出成形法によっ 箸28Cを製造するときに、溶融混合物が射出 形機21のゲートから箸成形金型22に円滑に流 入しなかったり、溶融混合物が箸成形金型22 内部でショートモールドを起こし易く、箸 形金型22を利用して箸28Cを作ることができ い場合がある。また、ペレット状成形材料13 に対する紙粉末15の量が必要以上に増加する ら、紙粉末15が溶融混合物の中で分散不良 起こし、紙粉末15をポリプロピレン14中に均 に分散混入させることができず、成形され 箸28Cに紙粉末15の塊部分が形成される場合 あり、紙粉末15の塊部分が存在する部位にお ける箸28Cの強度が著しく低下し、箸28Cが部位 において容易に折損してしまう場合がある。

 この箸製造方法は、ペレット状成形材料13 全重量に対する紙粉末15の割合が前記範囲に あるから、強度が高く、耐熱性に優れた箸28C を作ることができ、繰り返しの使用が可能な 箸28Cを作ることができる。また、焼却処理時 に煤煙の発生がなく、大気を汚染することが ないのみならず、焼却処理時におけるCO 2 の排出量が少ない箸28Cを作ることができる。 さらに、燃焼カロリーが低く、低い焼却温度 で完全燃焼する箸28Cを作ることができる。

 紙粉末15は、その平均粒径が30μm以上200μm 以下の範囲、好ましくは、50μm以上150μm以下 範囲にある。紙粉末15の平均粒径が30μm未満 では、紙やパルプを30μm未満の平均粒径に加 するために複数の粉砕工程を必要とするか 、紙粉末15の生産コストが上昇し、その結 、箸28Cの生産コストも上昇してしまい、箸28 Cを廉価に製造することができない。紙粉末15 の平均粒径が200μmを超過すると、紙粉末15が 融混合物の流動性を著しく低下させるから 射出成形法によって箸28Cを製造するときに 溶融混合物が射出成形機21のゲートから箸 形金型22に円滑に流入しなかったり、溶融混 合物が箸成形金型22の内部でショートモール を起こし易く、箸成形金型22を利用して箸28 Cを作ることができない場合がある。また、 粉末15が溶融混合物の中で分散不良を起こし 、紙粉末15をポリプロピレン14中に均一に分 混入させることができず、成形された箸28C 紙粉末15の塊部分が形成される場合があり、 紙粉末15の塊部分が存在する部位における箸2 8Cの強度が著しく低下し、箸28Cが部位におい 容易に折損してしまう場合がある。紙粉末1 5の平均粒径は、ふるい分け法によって測定 た値である。

 ペレット状混合物25の全重量に対する外 粉末29の割合(重量比)は、0.5重量%以上10重量% 以下の範囲にある。外甲粉末29の割合が0.5重 %未満では、その殺菌力を十分に利用するこ とができず、箸10Bにおける雑菌やウイルスの 繁殖を防ぐことができない。また、箸10Bの繰 り返しの使用においてカビが発生し易くなる 。外甲粉末29は、その平均粒径が5μm以上100μm 以下の範囲にある。外甲粉末29の平均粒径が5 μm未満では、外甲粉末29を5μm未満の平均粒径 に加工するために複数の粉砕工程を必要とす るから、外甲粉末29の生産コストが上昇し、 の結果、箸10Bの生産コストも上昇してしま 、箸10Bを廉価に製造することができない。 甲粉末29の平均粒径が100μmを超過すると、 甲粉末29が溶融ポリプロピレンの中で分散不 良を起こし、溶融混合物の内部に外甲粉末29 塊部分が形成される場合があり、外甲粉末2 9の塊部分が存在する部位における箸10Bの強 が著しく低下し、箸10Bが部位において容易 折損してしまう場合がある。外甲粉末29の平 均粒径は、ふるい分け法によって測定した値 である。

 図10,11の製造方法によって作られた紙粉 含有箸28Cでは、ポリプロピレン14に紙粉末15 外甲粉末40が略均一に分散している。箸28C 、長さ方向の寸法を三等分したときに、物 挟み取る前端部29と、使用者が指をかける後 端部31と、前後端部29,31の間に位置する中間 30とに区分される。箸28Cの後端部31には、箸2 8Cの周面から周方向内方へ凹む、扁平な凹部3 2が形成されている。凹部32には、店名や料理 名、ロゴマーク等の宣伝表示33が刻印されて る。

 箸28Cでは、中間部30と後端部31とが長さ方 向へ長い四角柱状を呈し、前端部29が長さ方 へ長い円柱状または四角柱状を呈する。箸2 8Cは、中間部30の略中央部分から前端部29の前 端34に向かって太さが次第に細くなる先細り 形成されている。なお、箸28Cの前端部29の 状を円柱状または四角柱状に限定するもの はなく、円柱状または四角柱状の他に、箸 形溝の形状によって三角柱状や多角柱状の のを作ることもできる。また、箸28Cの中間 30と後端部31との形状を四角柱状に限定する のではなく、四角柱状の他に、箸成形溝の 状によって円柱状や三角柱状、多角柱状の のを作ることもできる。

 箸28Cでは、その後端部31から中間部30の略中 央部分までの太さが同一であり、横方向の断 面積が65~80mm 2 の範囲、好ましくは、55~65mm 2 の範囲にある。箸28Cでは、その長さ方向の全 長を100%としたときに、その後端35から前端34 向かう65~85%の範囲の太さが同一であり、そ から前端34に向かって先細りに形成されて ればよい(この場合、前端34から後端35に向か う15~35%の範囲を前端部29とし、残余の部分を 等分して中間部30と後端部31とする)。

 図10,11の製造方法によって作られた紙粉 含有箸28Cは、それが紙粉末15や外甲粉末40を むから、プラスチック材料のみ作られた箸 比較し、その耐熱温度が高い。箸28Cは、そ 耐熱温度が100~190℃である。箸28Cは、その焼 却カロリーが4000~6000Kcal/kgの範囲にある。ま 、箸28Cは、それが紙粉末15や外甲粉末40を含 から、プラスチック材料のみ作られた箸と 較し、その剛性が高い。箸28Cは、その曲げ 性率が4000MPa以上6000MPa以下の範囲にある。 らに、箸28Cは、それが紙粉末15や外甲粉末40 含むから、耐薬品性に優れ、外甲粉末40の 菌作用によって、その表面に付着した雑菌 ウイルス、カビを死滅除去することができ 。

 紙粉末含有箸28Cは、プラスチック材料のみ ら作られた箸と比較し、それを使用したと に使用者に冷感を与えることがない。箸28C 、それを形成する紙粉末15や外甲粉末40が抵 抗要素となり、手に持ったときに滑り難く、 手から滑って不用意に落としてしまうことは ない。箸28Cは、紙粉末15や外甲粉末40がそれ 略均一に分散しているから、箸28Cの強度が 分的に低下することはなく、優れた強度を し、繰り返しの使用に耐えることができ、 源の無駄が生じることはない。箸28Cは、ポ プロピレン14に紙粉末15や外甲粉末40を混入 た成形材料13から作られているから、箸28Cの 焼却処理時に煤煙の発生がなく、焼却処理時 に大気を汚染することはないのみならず、そ れが紙粉末15や外甲粉末40を含むことで、プ スチック材料のみから作られた箸と比較し その焼却処理時のCO 2 の排出量を極端に少なくすることができる。 さらに、プラスチック材料のみから作られた 箸と比較してその燃焼カロリーが低く、低い 焼却温度で完全燃焼させることができる。

 箸28Cは、その後端部31から中間部30の略中央 部分までの太さが同一であり、または、その 長さ方向の全長を100%としたときに、その後 35から前端34に向かう65~85%の範囲の太さが同 であり、それら範囲の太さが55~80mm 2 の範囲にあるから、中間部30と後端部31との 性が高く、かつ、後端部31から中間部30に向 って先細りに形成されている場合と比較し 後端部31から中間部30に向かって箸28Cの剛性 が次第に低くなることはない。箸28Cは、その 使用時に中間部30と後端部31とが不用意に撓 ことはなく、物を挟み取る力を指から前端 29に確実に伝えることができる。箸28Cは、中 間部30や後端部31において物を挟み取る力が 散することはなく、その使用時に物を確実 挟み取ることができる。