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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCTION OF DIARYL CARBONATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/114750
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for continuously producing a diaryl carbonate having excellent safety by using a reaction column. Specifically disclosed is a method for continuously producing a diaryl carbonate by supplying an aromatic hydroxy compound and a halogenated carbonyl into a reactor to cause the reaction between the two components in the reactor, wherein a reaction column is used as the reactor, and wherein the following relationship is satisfied: 0.01≤G/A≤0.10 [m/sec] (wherein G represents a flow rate of the halogenated carbonyl supplied to the reaction column expressed in the unit [m3/sec]; and A represents a cross-sectional area taken in the horizontal direction of the reaction column expressed in the unit [m2]).

Inventors:
KUMA KIYOJI (JP)
URASHIMA HIDETOSHI (JP)
NISHIHARA RYOUHEI (JP)
YOSHINO TAKAFUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054805
Publication Date:
September 25, 2008
Filing Date:
March 14, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI CHEM CORP (JP)
KUMA KIYOJI (JP)
URASHIMA HIDETOSHI (JP)
NISHIHARA RYOUHEI (JP)
YOSHINO TAKAFUMI (JP)
International Classes:
C07C68/02; C07C69/96
Foreign References:
JP2001058974A2001-03-06
JPH09202751A1997-08-05
JPH09202750A1997-08-05
JPH06293708A1994-10-21
Attorney, Agent or Firm:
SANADA, Tamotsu (10-31 Kichijoji-honcho 1-chom, Musashino-shi Tokyo 04, JP)
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Claims:
 芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルとを反応器に供給して反応させることにより、ジアリールカーボネートを連続的に製造する方法であって、
 該反応器が反応塔であり、
 該反応塔に供給する該ハロゲン化カルボニルの流量をG[m 3 /秒]、該反応塔の水平方向の塔内断面積をA[m 2 ]とした場合に、0.01≦G/A≦0.10[m/秒]である
ことを特徴とする、ジアリールカーボネートの製造方法。
 該反応塔内部の反応系の少なくとも一部が液状であるとともに、
 該反応塔内の底部から該反応系の液面までの高さをH、該反応塔の内径をDとした場合に、H/D≧10である
ことを特徴とする、請求項1記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 該芳香族ヒドロキシ化合物を液体状態で、かつ、該ハロゲン化カルボニルを気体状態で、それぞれ該反応塔に供給する
ことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 該芳香族ヒドロキシ化合物と該ハロゲン化カルボニルとを該反応塔の下部に供給し、該下部から上方に並流させて反応させる
ことを特徴とする、請求項1~3の何れか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 該反応塔が、その上部にオーバーフロー管を有し、該オーバーフロー管によって液相と気相とを分離するように構成されるとともに、
 該オーバーフロー管の該反応塔における接触下端と、該反応塔内の頂上部との距離をL、該反応塔の内径をDとした場合に、L/D≧1である
ことを特徴とする、請求項1~4の何れか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 該反応塔内の気相体積をV g 、該反応塔内の空間体積をV V とした場合に、0.05≦V g /V V ≦0.50である
ことを特徴とする、請求項1~5の何れか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 該反応塔内部の少なくとも一部に充填物を充填した状態で上記反応を行なう
ことを特徴とする、請求項1~6の何れか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 該充填物が不規則充填物である
ことを特徴とする、請求項7記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 該反応塔内部の少なくとも一部において、該芳香族ヒドロキシ化合物が連続相を形成する
ことを特徴とする、請求項1~8の何れか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 該芳香族ヒドロキシ化合物の該反応塔内における滞留時間が、0.5時間以上、4時間以内である
ことを特徴とする、請求項1~9の何れか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 該反応塔に供給される該芳香族ヒドロキシ化合物の温度を130℃以上とする
ことを特徴とする、請求項1~10の何れか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 該ハロゲン化カルボニルが、ホスゲンである
ことを特徴とする、請求項1~11の何れか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 反応系に均一触媒を存在させる
ことを特徴とする、請求項1~12の何れか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 該均一触媒が、芳香族複素環式含窒素塩基性化合物もしくはその塩である
ことを特徴とする、請求項13記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルとを反応器に供給して反応させることにより、ジアリールカーボネートを連続的に製造する方法であって、
 該反応器は、充填物を少なくとも一部に充填した反応塔であり、
 該反応塔内部の該充填物を充填した部分における空間率が50%以上、
 且つ該充填物の単位体積あたりの表面積が200m 2 /m 3 以上である
ことを特徴とするジアリールカーボネートの製造方法。
 該空間率が65%以上である
ことを特徴とする請求項15記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 該充填物の単位体積あたりの表面積が300m 2 /m 3 以上である
ことを特徴とする請求項15又は請求項16に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 該充填物がセラミックからなる
ことを特徴とする請求項15~17の何れか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
 該充填物が酸性液により洗浄したものである
ことを特徴とする請求項15~18の何れか一項に記載のジアリールカーボネートの製造方法。
Description:
ジアリールカーボネートの製造 法

 本発明は、容器や光ディスク基板等の素 樹脂の材料である、ポリカーボネートの原 となるジアリールカーボネートの製造方法 関する。

 芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カル ニルとの反応により、ジアリールカーボネ トが得られることは、従来から知られてい (非特許文献1)。
 例えば、溶媒を用いて、水酸化ナトリウム 液存在下、芳香族ヒドロキシ化合物と、ハ ゲン化カルボニルであるホスゲンとの反応 行なうことにより、ジアリールカーボネー を得られることが知られている。この反応 は溶媒と水酸化ナトリウム溶液とを使用す が、副生物として塩化ナトリウムを大量に 成すること、溶媒を回収しなければならな こと等の課題を有していた。

 このような課題に対して、触媒存在下で 芳香族ヒドロキシ化合物と、ハロゲン化カ ボニルとを、直接反応させる方法が提案さ ている。この方法では、溶媒を使用しない め溶媒回収の必要はない。例えば、芳香族 ドロキシ化合物と、ホスゲンとを直接反応 せると、上述の塩化ナトリウムの代わりに ロゲン化水素(塩化水素)を副生する。その め、別途化学プラント内で塩化水素を再利 すること等により、塩化物をプラント外に 出する必要がなく、廃水処理の負担も低減 れた。

 このように芳香族ヒドロキシ化合物とハ ゲン化カルボニルとを直接反応させる方法 しては、気相-気相での反応(気相反応)が提 されている。しかしながら、気相反応は、 い反応温度と高真空度での反応となる傾向 あった。

 一方、芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン カルボニルとを直接反応させる別の方法と ては、気相-液相での反応(気液反応)が提案 れている(特許文献1)。
 ここで、上述の反応を気液反応で行なった 合、通常、芳香族ヒドロキシ化合物が液相 なる。このとき、原料を効率的に利用する めには、ハロゲン化カルボニルをほぼ完全 反応させることが望ましい。そのため芳香 ヒドロキシ化合物を、ハロゲン化カルボニ に対して大過剰に用いて、反応させること 考えられる。しかしながらこの場合、未反 の芳香族ヒドロキシ化合物を回収する負担 大きくなる傾向があった。
 そこで、ほぼ化学量論的な比率で、芳香族 ドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルと 反応させることが望ましい。しかしながら 上述の反応では、ハロゲン化水素が副生す ため、反応後半では気相中のハロゲン化カ ボニルの濃度が、著しく低下する傾向があ た。そのため、気相と液相とを十分な時間 触させ、さらに気相と液相との接触界面を きくするために、可動部を有する反応器を いて、強攪拌下にて気泡を小さく砕くとい 手法が用いられてきた。このような気液反 では、気相と液相との接触界面を大きくす ため、通常、攪拌装置による気-液回分反応 方式、又は、連続反応方式にて反応が行われ ていた。

 また、不均一触媒を用いて、上述の反応 行なうことも提案されている(特許文献2)。 かしながら、粉末状の不均一触媒を用いた 合、濾過、沈降もしくは遠心分離等の分離 程が必要であった。また、固定床の不均一 媒を用いた場合、触媒効率が低くなり、反 器が大きくなる傾向があった。

特公昭58-50977号公報

特開平9-40617号公報 「ポリカーボネート樹脂ハンドブック」 ,日刊工業新聞社,1992年,P47

 以上のことから、ジアリールカーボネート 工業的に有利に製造するにあたり、芳香族 ドロキシ化合物とハロゲン化カルボニルと 、直接反応させる方法が考えられる。
 しかしながら、上述のように芳香族ヒドロ シ化合物とハロゲン化カルボニルとを直接 応させる場合、気相反応であっても、気液 応であっても、例えばホスゲンや塩化水素 ような有毒ガスを多量に扱うことになる。 のため、可動部を有する反応器では、有毒 ス漏洩の可能性があり、安全性の面で課題 有していた。

 本発明は、上述の課題に鑑みてなされた のである。即ち、本発明の目的は、反応塔 用いて安全性に優れ、経済的にも有利なジ リールカーボネートの連続的な製造方法を 供することにある。

 本発明者らは前述の課題を解決するため 鋭意研究を重ねた結果、芳香族ヒドロキシ 合物とハロゲン化カルボニルとの反応を、 応器として反応塔を用い、一定条件の下で ロゲン化カルボニルを供給しながら行なう とにより、ジアリールカーボネートを効率 く連続的に製造できることを見いだし、本 明に到達した。

 即ち、本発明の要旨は、芳香族ヒドロキシ 合物とハロゲン化カルボニルとを反応器に 給して反応させることにより、ジアリール ーボネートを連続的に製造する方法であっ 、該反応器が反応塔であり、該反応塔に供 する該ハロゲン化カルボニルの流量をG[m 3 /秒]、該反応塔の水平方向の塔内断面積をA[m 2 ]とした場合に、0.01≦G/A≦0.10[m/秒]であるこ を特徴とする、ジアリールカーボネートの 造方法に存する。

 このとき、該反応塔内部の反応系の少な とも一部が液状であるとともに、該反応塔 の底部から該反応系の液面までの高さをH、 該反応塔の直径をDとした場合に、H/D≧10であ ることが好ましい。

 また、該芳香族ヒドロキシ化合物を液体 態で、かつ、該ハロゲン化カルボニルを気 状態で、それぞれ該反応塔に供給すること 好ましい。

 さらに、該芳香族ヒドロキシ化合物と該 ロゲン化カルボニルとを該反応塔の下部に 給し、該下部から上方に並流させて反応さ ることも好ましい。

 また、該反応塔が、その上部にオーバー ロー管を有し、該オーバーフロー管によっ 液相と気相とを分離するように構成される ともに、該オーバーフロー管の該反応塔に ける接触下端と、該反応塔内の頂上部との 離をL、該反応塔の内径をDとした場合に、L/ D≧1であることも好ましい。

 さらに、該反応塔内の気相体積をV g 、該反応塔内の空間体積をV V とした場合に、0.05≦V g /V V ≦0.50であることが好ましい。

 また、該反応塔内部の少なくとも一部に 填物を充填した状態で上記反応を行なうこ が好ましい。

 該充填物が不規則充填物であることが好 しい。

 また、該反応塔内部の少なくとも一部に いて、該芳香族ヒドロキシ化合物が連続相 形成することが好ましい。

 さらに、該芳香族ヒドロキシ化合物の該 応塔内における滞留時間が、0.5時間以上、4 時間以内であることが好ましい。

 該反応塔に供給される該芳香族ヒドロキ 化合物の温度を130℃以上とすることも好ま い。

 また該ハロゲン化カルボニルが、ホスゲ であることが好ましい。

 反応系に均一触媒を共存させることが好ま い。

また、該均一触媒が、芳香族複素環式含窒素 塩基性化合物もしくはその塩であることが好 ましい。

 本発明の別の要旨は、芳香族ヒドロキシ化 物とハロゲン化カルボニルとを反応器に供 して反応させることにより、ジアリールカ ボネートを連続的に製造する方法であって 該反応器は、充填物を少なくとも一部に充 した反応塔であり、該反応塔内部の該充填 を充填した部分における空間率が50%以上、 つ該充填物の単位体積あたりの表面積が200m 2 /m 3 以上であることを特徴とするジアリールカー ボネートの製造方法に存する。

 この際、空間率が65%以上であることが好 しい

 また、該充填物の単位体積あたりの表面積 300m 2 /m 3 以上であることが好ましい。

 さらに、該充填物がセラミックからなる とが好ましい。また、該充填物が酸性液に り洗浄したものであることが好ましい。

 本発明のジアリールカーボネートの製造 法によれば、可動部を有さない反応器を用 ることができ、経済的に有利で、安全かつ 率的な条件で、連続的にジアリールカーボ ートを効率的に製造することができる。

本発明のジアリールカーボネートの製 方法で使用される反応塔ユニットの一態様 模式的に示す側面図である。 本発明のジアリールカーボネートの製 方法で使用される反応塔ユニットの別の態 を模式的に示す側面図である。

符号の説明

 1,1’ 反応塔
 2 供給管(芳香族ヒドロキシ化合物の供給管 )
 3 供給管(ハロゲン化カルボニルの供給管)
 4 オーバーフロー管
 5 気相管
 6,6’ ジャケット
 7 液相管
 2a,3a,4a,5a,7a 調節機構
 10,10’ 反応塔ユニット
 D 反応塔の内径
 L オーバーフロー管の反応塔における接触 端と、反応塔内の頂上部との距離
 H 反応塔内の底部から反応系の液面までの さ

 以下、本発明を詳細に説明するが、本発 は以下の説明に限定されるものではなく、 の要旨の範囲内において種々に変更して実 することができる。

 以下の記載では、まず、本発明のジアリ ルカーボネートの製造方法(単に「本発明の 製造方法」という場合がある。)に使用され 原料及び反応器について順に説明し、その で本発明の製造方法の説明に移るものとす 。

  [1.原料]
 本発明のジアリールカーボネートの製造方 においては、芳香族ヒドロキシ化合物とハ ゲン化カルボニルを原料として、それらを 応させることによりジアリールカーボネー を製造する。以下、これらの原料について 明する。

  [1-1.芳香族ヒドロキシ化合物]
 本発明に用いられる芳香族ヒドロキシ化合 は、芳香環とヒドロキシル基とを有する化 物であればよく、本発明の効果を著しく損 わない限り、他に制限はない。
 芳香環としては、π電子が非局在化してい 環であれば、その種類は制限されず、芳香 炭化水素環でも芳香族複素環でもよい。個 の環を構成する原子数は、通常4以上、好ま くは5以上、また、通常7以下、好ましくは6 下である。芳香族複素環の場合、環を構成 る炭素以外の原子(ヘテロ原子)としては、 えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が げられる。また、芳香族ヒドロキシ化合物 分子あたりの環の数も制限されず、単一の 香環を有していてもよく、一の芳香環に他 一又は二以上の環が縮合してなる縮合環を していてもよい。縮合環の場合、芳香環に 合する環の数は制限されないが、通常は2以 、好ましくは1である。
 また、ヒドロキシル基は、芳香族ヒドロキ 化合物の一分子中に少なくとも1つ存在すれ ばよく、その上限は制限されないが、好まし くは1つである。また、ヒドロキシル基は通 は上述の芳香環に結合するが、その結合位 も任意である。

 本発明に用いられる芳香族ヒドロキシ化 物は、上述の芳香環及びヒドロキシル基に えて、他の置換基を有していてもよい。他 置換基としては、例えば、フッ素原子、塩 原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基 、プロピル基、イソプロピル基等のアルキル 基;メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ ;等が挙げられる。本発明に用いられる芳香 ヒドロキシ化合物がこれらの置換基を有す 場合、これらの置換基を1つのみ有していて も良いし、2つ以上の置換基を任意の組み合 せ、及び比率で有していても良い。また、 れらの置換基は通常は上述の芳香環に結合 るが、その結合位置も任意である。

 また、本発明に用いられる芳香族ヒドロ シ化合物に複数の立体異性体が存在する場 、いずれの立体構造を有していてもよい。 た、複数の立体異性体の混合物であっても い。

 本発明に用いられる芳香族ヒドロキシ化合 の例としては、フェノール及びその誘導体 、その他の芳香族ヒドロキシ化合物とが挙 られる。
 フェノール及びその誘導体の具体例として 、フェノール;クレゾール、イソプロピルフ ェノール等のアルキルフェノール;クロロフ ノール等のハロゲン化フェノール;メトキシ ェノール等のアルコキシフェノール;等が挙 げられる。
 その他の芳香族ヒドロキシ化合物の例とし は、ナフトール等の芳香族炭化水素多環式 ドロキシ化合物;4-ヒドロキシキノリン等の 香族複素単環式又は多環式ヒドロキシ化合 ;等が挙げられる。
 芳香族ヒドロキシ化合物としては、フェノ ル及びその誘導体が好ましく、中でも、フ ノールが好ましい。
 なお、本発明の製造方法において、芳香族 ドロキシ化合物としては、何れか一種を単 で使用してもよく、二種以上を任意の組み わせ及び比率で併用してもよい。

 本発明に用いられる芳香族ヒドロキシ化 物は、本発明の効果を著しく損なわない限 、不純物を混有していても良い。ただし、 応効率の向上や、ジアリールカーボネート の不純物の持ち込みを極力低減する観点か 、芳香族ヒドロキシ化合物の純度は、通常8 0重量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに ましくは99重量%以上である。

 また、芳香族ヒドロキシ化合物は、本発 の製造方法に用いる際に、触媒を混合した 態で用いても良い。これらについては、後 する。

  [1-2.ハロゲン化カルボニル]
 本発明に用いられるハロゲン化カルボニル 、カルボニル基とハロゲン原子とが結合し 化合物であれば、本発明の効果を著しく損 わない限り、他に制限はない。
 本発明に用いられるハロゲン化カルボニル しては、例えば、ホスゲン、ブロムカルボ ル等が挙げられる。中でもホスゲンが特に ましい。
 なお、本発明の製造方法において、ハロゲ 化カルボニルとしては、何れか一種を単独 使用してもよく、二種以上を任意の組み合 せ及び比率で併用してもよい。

 本発明に用いられるハロゲン化カルボニ は、本発明の効果を著しく損なわない限り 不純物を混有していても良い。また、窒素 スやアルゴンガス等の不活性ガスなどで希 した状態で用いても良い。ただし、反応効 の向上や、ジアリールカーボネートへの不 物の持ち込みを極力低減する観点から、ハ ゲン化カルボニルの純度は、通常90重量%以 、好ましくは95重量%以上、さらに好ましく 99重量%以上である。

  [1-3.原料の存在状態]
 本発明のジアリールカーボネートの製造方 では、上述の原料(芳香族ヒドロキシ化合物 及びハロゲン化カルボニル)を反応器に供給 る際の存在状態は任意であるが、通常は、 方の原料を共に気体の状態で反応器に供給 て直接反応させる(即ち、気相反応させる)か 、何れか一方の原料を気体の状態で、他方を 液体の状態で反応器に供給して直接反応させ る(即ち、気液反応させる)。

 しかし、芳香族ヒドロキシ化合物を気体状 で供給するためには、高い反応温度と高真 度での反応となる傾向があり、工業的に不 となる可能性がある。
 従って、本発明のジアリールカーボネート 製造方法においては、芳香族ヒドロキシ化 物を液体状態にて、ハロゲン化カルボニル 気体状態にて、反応器に供給して直接反応 せる(即ち、気液反応させる)ことが好まし 。

 以下の記載では、芳香族ヒドロキシ化合 を液体状態にて、ハロゲン化カルボニルを 体状態にて、反応器に供給して直接反応さ る場合(即ち、気液反応の場合)を中心に説 する。但し、本発明の製造方法は気液反応 せる場合に制限されるものではない。

 [2.反応器]
 本発明の製造方法においては、反応器とし 反応塔を用いることを特徴としている。こ で、本発明において「反応塔」とは、可動 分を有さない反応器のことをいう。ここで 可動部分」とは、反応器を貫通して反応器 備えられている駆動部のことをいう。駆動 の例としては、攬件装置が挙げられる。具 的な「反応塔」としては、円筒型の反応管 直立型の気泡塔、充填塔、濡れ壁塔等が挙 られる。
 以下、本発明の製造方法で使用される反応 及びその周辺部品(これらを総称して「反応 塔ユニット」という場合がある。)の構成を 代表的な3つの態様を挙げて説明する。但し 本発明の製造方法で使用可能な反応塔ユニ トの構成は、以下に挙げる3つの態様に制限 されるものではなく、任意の構成とすること ができる。

 [2-1.第1の態様]
 図1は、本発明の製造方法で使用される反応 塔ユニットの一態様を模式的に示す側面図で ある。具体的に、図1に示す反応塔ユニット10 は、反応塔1と、供給管2,3と、オーバーフロ 管4と、気相管5と、ジャケット6と、調節機 2a,3a,4a,5aとを備えてなる。そして、原料であ る芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲン化カル ボニルとを、共に反応塔1の下部から供給す ように構成されている。

(反応塔)
 図1において、符号1は、反応塔を示す。反 塔1の内部に上述の原料が供給されることで 反応が進行し、ジアリールカーボネートが 造される。なお、反応時において反応塔1の 内部に存在する成分を、本明細書では適宜「 反応系」という場合がある。また、反応時に 反応系の液相が存在する主な部分を、図1で 模式的に斜線を付している。

 反応塔1の材質は、本発明のジアリールカ ーボネートの製造方法を実施できれば、特に 制限はない。例としては、ステンレス、ハス テロイ等の金属、及びガラス等の材料を用い ることができる。また、原料や反応生成物の 接触する部分が、前記金属等で保護された材 料を用いることもできる。例えば、前記金属 でメッキや溶射の処理を行なった材料や、グ ラスライニング、テフロン(登録商標)ライニ グ等の処理を行なった材料を用いることも きる。これらの中でも好ましくは、ガラス グラスライニング処理を施した材料である なお、反応塔1の材質は、上記の各種の材料 (各種処理を行なった材料を含む)のうち、1種 を単独で使用してもよく、2種以上を任意の み合わせ、及び、比率で使用してもよい。

 反応塔1の壁の厚みは任意であり、反応塔1 材質や、本発明の製造方法の実施時におけ 温度や圧力等の条件を考慮して設定すれば いが、通常1mm以上であり、また通常40mm以下 ある。なお、反応塔1の壁の厚みは、反応塔 の全域に亘って均一であってもよく、不均一 であってもよいが、反応塔1の壁の厚みが不 一である場合も、反応塔1の壁の通常90%以上 好ましくは99%の厚みが、上記範囲に入って ることが望ましい。
 なお、図1においては表記の簡便のため、反 応塔1の壁の厚みをないものと見做して、後 のL、H、G等の寸法を表示している。但し、 れらはあくまでも模式的な表示であり、実 には反応塔1の壁は厚みを有するため、後述 L、H、G等の寸法はその壁の厚みを考慮して められることになる。

 反応塔1の高さ及び内径は、目的とする生 産量や設置場所などの条件により、本発明の 効果を著しく損なわない範囲で、任意に設定 することができる。

 反応塔1内部の高さ(図1のL+Hで表わされる距 )とは、反応塔1内の底部と頂上部との距離 いう。なお、「反応塔1内の底部」とは、反 塔1の内部で最も低い部分をいい、「反応塔 1内の頂上部」とは、反応塔1の内部で最も高 部分をいう。
 反応塔1内部の高さは、本発明の効果を著し く損なわない限り制限はないが、通常1m以上 好ましくは3m以上、より好ましくは5m以上、 また、通常30m以下、好ましくは20m以下、より 好ましくは18m以下である。上記範囲よりも大 きすぎると反応塔のサイズが大きくなり、強 度等の点でコスト高になる可能性があり、小 さすぎると反応が十分に進行しない可能性が ある。

 反応塔1の内径(図1のD)とは、反応塔1の内径 平均値をいう。
 反応塔1の内径は、本発明の効果を著しく損 なわない限り制限はないが、通常0.05m以上、 ましくは0.1m以上、より好ましくは0.2m以上 また、通常10m以下、好ましくは5m以下、より 好ましくは4m以下である。上記範囲よりも大 すぎると反応塔のサイズが大きくなり、気 が反応系に均一に分散しづらくなる傾向が り、小さすぎると内壁の反応系に及ぼす影 が大きくなる傾向がある。

(管)
 図1において、符号2~5は、反応塔1に原料な を供給したり、又は生成物などを取り出し りするための管を示す。これらの管2~5には 図示するように、開閉する量を調整するこ 等によって流通量を調節する機構2a~5a(以下 「調節機構」という)を備えていてもよい。 節機構の例としては、バルブ、流量計等が げられる。また、この調節機構2a~5aは、管2~ 5を流通する物質の様態(気体、液体、等)や、 物理的性質(粘性、圧力、温度、等)、化学的 質(酸化還元性、pH、等)によって最適なもの を選択すればよい。また、管2~5の材質は、上 述の反応塔の材質と同様のものを用いること ができる。
 以下、管2~5の詳細について説明する。

(芳香族ヒドロキシ化合物の供給管)
 図1の管2は、芳香族ヒドロキシ化合物を供 する供給口となる管(以下、反応塔1の内部に 原料や触媒等の成分を供給する供給口となる 管を、適宜「供給管」ということがある)で る。供給管2は、反応塔1の下部に備えられる 。具体的には、供給管2の反応塔1における接 下端が、反応塔1の下部になるように備えら れる。ここで、「反応塔の下部」とは、反応 塔1内の底部から、反応塔1内部の高さの2分の 1までの間の部分をいうものとする。図1中の 給管2に向けられた矢印は、芳香族ヒドロキ シ化合物の供給方向を示している。
 図1において、供給管2には、芳香族ヒドロ シ化合物の供給量を調節できる調節機構2aが 備えられている。なお、供給管2は、この調 機構2aを備えていなくてもよい。但し、供給 管2が調節機構2aを備えていないときは、予め 供給量を調整された芳香族ヒドロキシ化合物 を、供給管2に供給することが好ましい。

(ハロゲン化カルボニルの供給管)
 図1の管3は、ハロゲン化カルボニルを供給 る供給管である。供給管3は、反応塔1の下部 に備えられる。図1中の供給管3に向けられた 印は、ハロゲン化カルボニルの供給方向を している。
 図1において、供給管3には、ハロゲン化カ ボニルの供給量を調節できる調節機構3aが備 えられている。なお、供給管3は、この調節 構3aを備えていなくてもよい。但し、供給管 3が調節機構3aを備えていないときは、予め供 給量を調整されたハロゲン化カルボニルを、 供給管3に供給することが好ましい。

(オーバーフロー管)
 図1の管4は、反応塔1の内部の成分について 気相と液相との分離(本明細書ではこれを「 気液分離」という場合がある。)を行なった の、液相を排出するための管(以下、反応塔1 の内部の成分の液相を排出するための管を、 適宜「オーバーフロー管」ということがある )である。液体状態の芳香族ヒドロキシ化合 と、気体状態のハロゲン化カルボニルとを 応させると、反応後の反応系には液相と気 とが存在する。液相には、反応により主生 したジアリールカーボネートが存在する。 た、気相には、反応により副生成したハロ ン化水素が存在し、さらに、過剰に加えら たハロゲン化カルボニルや未反応のハロゲ 化カルボニルも存在する。
 ここで、芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲ 化カルボニルとを反応塔1の下部に供給し、 該下部から上方に並流させて反応させ、反応 塔1の上部(この定義については後述する。)に 存在する反応後の液相のみをオーバーフロー 管4から溢れ出させることによって、液相と 相との分離(気液分離)を行なうことができる 。反応後の液相には、主に主生成物であるジ アリールカーボネートが存在するため、各原 料を反応塔1の下部から供給管2,3を通じて連 的に供給し、反応後の反応系を反応塔1の上 でオーバーフロー管4により気液分離するこ とで、主生成物のみを連続的に得ることがで きる。

 オーバーフロー管4は、反応塔1の上部に備 られる。具体的には、オーバーフロー管4の 応塔1における接触下端が、反応塔1の上部 位置するように、オーバーフロー管4が反応 1に備えられる。ここで、「反応塔1の上部 とは、反応塔1内の頂上部から、反応塔1内部 の高さの2分の1までの間の部分をいう。
 なお、オーバーフロー管4の反応塔1におけ 接触下端と、反応塔1内の頂上部との距離をL 、反応塔1の内径をDとした場合に、L/Dの値が 常1以上、好ましくは1.1以上、さらに好まし くは1.2以上、また、通常10以下、好ましくは5 以下、さらに好ましくは2以下、となる位置 オーバーフロー管4を備えることが好ましい L/Dの値が大きすぎると、反応塔が大きくな 、コスト高になる傾向がある。また、L/Dの が小さすぎると、反応液が泡立つために、 液分離が困難になる傾向がある。
 さらに、反応塔1内の底部から反応時におけ る反応系の液相の液面(これを以下「反応系 液面」という場合がある。反応系の液面は 即ち、オーバーフロー管4の反応塔1における 接触下端と概ね等しくなる。)までの高さをH 該反応塔1の直径をDとした場合に、H/Dの値 通常10以上、好ましくは20以上、さらに好ま くは40以上、また、通常100以下、好ましく 70以下、さらに好ましくは50以下となる位置 オーバーフロー管4を備えることが好ましい 。

 図1において、オーバーフロー管4には、例 ばバルブのような、オーバーフロー管4の開 量を調節できる調節機構4aが備えられてい 。但し、オーバーフロー管4は、この調節機 4aを有していなくてもよい。
 また、図中のオーバーフロー管4から伸びて いる矢印は、液相の排出方向を示している。

(気相管)
 図1の管5は、気液分離された気相を排出す 管(以下、反応塔1の内部の成分の気相を排出 するための管を、適宜「気相管」ということ がある)である。気相管5は、反応塔1の上部に 備えられる。なお、図中の気相管5から伸び いる矢印は、気相の排出方向を示している
 図1において、気相管5には、例えばバルブ ような、気相管5の開閉量を調節できる調節 構5aが備えられている。但し、気相管5は、 の調節機構5aを有していなくてもよい。

(ジャケット)
 図1において、符号6は、ジャケットを示す ジャケット6は、反応塔1の外側面の少なくと も一部を覆うように設けられ、反応塔1を保 、加熱、又は、冷却等することにより、反 塔1内部の温度を制御するものである。
 なお、図1では図示の明確化のため、反応塔 1の図中手前側に存在するジャケット6の一部 一点鎖線で透視して示している。また、図1 の反応塔ユニット10では反応塔1がオーバーフ ロー管4を有しているため、ジャケット6はそ オーバーフロー管4の反応塔1に対する取り け部を避けて設けられている。
 ジャケット6の例としては、電熱線式ジャケ ット、熱媒体循環式ジャケット等が挙げられ るが、熱媒体循環式ジャケットが好ましい。 熱媒体としては、オイル、水、水蒸気などの 使用が可能であるが、中でもオイルが好まし い。高温でも使用可能だからである。

 液体状態の芳香族ヒドロキシ化合物と、 体状態のハロゲン化カルボニルとの反応を う場合、ジャケット6の温度(惹いては、ジ ケット6によって制御される反応塔1内部の温 度)は、通常80℃以上、好ましくは100℃以上、 さらに好ましくは150℃以上、また、通常500℃ 以下、好ましくは180℃以下、さらに好ましく は170℃以下である。温度が高すぎるとジアリ ールカーボネートの品質に影響を与える可能 性がある。また、低すぎると内液が固化、閉 塞し、反応率が低下する傾向がある。

(充填物)
 なお、反応塔1内部の少なくとも一部に、充 填物(図1に図示しない)を充填することが好ま しい。液体状態の芳香族ヒドロキシ化合物と 、気体状態のハロゲン化カルボニルとを反応 させるには、反応塔1内において反応系をよ 混合し、液相と気相との接触面積を大きく ることが重要である。そのために、反応塔1 充填物を充填し、それにより混合性を高め より小さな反応塔1で高反応率を達成するこ とができる。以下、充填物について説明する 。

 充填物は、規則充填物であってもよく、不 則充填物であってもよいが、不規則充填物 あることが好ましい。
 充填物の材料としては、本発明の効果を著 く損なわない限り制限はないが、例えば、 ラス、セラミック、プラスチック、等を用 ることができる。中でも、ガラス、セラミ ク、等が好ましい。なお、充填物は一種の を用いてもよく、二種以上を任意の組み合 せ及び比率で併用してもよい。

 反応塔1内部の容積に対する、反応塔1内 の充填物を充填した部分の体積の割合が、 常50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ま くは80%以上である。この割合が低すぎると 気相が十分に反応系に分散しづらくなる傾 がある。

 また、反応塔1内部の充填物を充填した部 分の体積に対する、充填物の存在しない間隙 部分の割合(空間率)が、通常40%以上、好まし は50%以上、さらに好ましくは65%以上、また 通常90%以下、好ましくは80%以下である。割 が高すぎると気相滞留時間が短くなる傾向 ある。また、割合が低すぎると気相及び液 の滞留時間が短くなる傾向がある。なお、 填物が多孔性の場合、充填物内の空隙も「 填物の存在しない間隙部分」に含まれるも とする。

(その他)
 本発明における、反応器は、上述の構成の 、例えばコンデンサー、ガススパージャー 目皿等のその他の構成を備えていてもよい

 [2-2.第2の態様]
 図2は、本発明の製造方法で使用される反応 塔ユニットの別の態様を模式的に示す側面図 である。なお、図2において、図1と共通の機 を有する構成要素は、同じ符号を用いて示 ている。
 具体的に、図2に示す反応塔ユニット10’は 反応塔1’と、供給管2,3と、気相管5と、ジ ケット6’と、液相管7と、調節機構2a,3a,5a,7a を備えてなる。そして、原料である芳香族 ドロキシ化合物を反応塔1’の上部に、ハロ ゲン化カルボニルを反応塔1’の下部に供給 るように構成されている。
 以下、図1を用いて説明した、第1の態様に かる反応塔ユニット10の構成との相違点につ いて説明する。

 反応塔ユニット10’は、図1の反応塔ユニッ 10と異なり、反応塔1’の上部から芳香族ヒ ロキシ化合物を供給する構成を有する。こ で、反応塔1’は、管2~5,7の設けられる位置 異なる他は、図1の反応塔1と同様である。 た、反応時に反応系の液相が存在する主な 分を、図2では模式的に斜線を付している。
 芳香族ヒドロキシ化合物を供給する供給管2 は、反応塔1’の上部に備えられる以外は、 1の供給管2と同様である。供給管2から供給 れる芳香族ヒドロキシ化合物の供給の速度 、後述する液相管7から排出される液相の排 の速度とを調整することによって、反応塔1 ’内の底部から該反応系の液面までの高さ(H) を調整し、H/Dの値を上述の範囲とすることが できる。

 また、反応塔ユニット10’は、図1の反応塔 ニット10とは異なり、液相を反応塔1’の下 から排出する構成を有する。具体的には、 応塔1’の下部に液相管7を備える。したが て、反応塔1’の上部に備えられた供給管2か ら供給された芳香族ヒドロキシ化合物が、反 応塔1’の下部に流れていくにつれてハロゲ 化カルボニルと反応し、その反応の主生成 であるジアリールカーボネートが、反応塔1 の下部に備えられた液相管7から排出される 。なお、液相管7としては、オーバーフロー 4等と同様の材料を用いることができる。
 また、図2において、液相管7は、液相管7の 閉量を調節できる調節機構7aを有している 但し、液相管7は、この調節機構7aを有して なくてもよい。

 また、反応塔ユニット10’は、図1の反応 ユニット10とは異なり、反応塔1’にオーバ フロー管4が設けられていない。そして、ジ ャケット6’が、反応塔1’の側方全周に亘っ 設けられている。なお、ジャケット6’は、 その形状以外については、図1の反応塔ユニ ト10が有するジャケット6と同様である。

 [2-3.第3の態様]
 第3の態様における反応塔ユニットは、第1 態様における反応塔ユニットと、充填物以 については、同様とすることができる。具 的には、例えば図1に示すように、反応塔ユ ット10は、反応塔1と、供給管2,3と、オーバ フロー管4と、気相管5と、ジャケット6と、 節機構2a,3a,4a,5aとを備えてなる。そして、 料である芳香族ヒドロキシ化合物とハロゲ 化カルボニルとを、共に反応塔1の下部から 給するように構成されている。
 本態様では、反応塔1内部の少なくとも一部 に、充填物(図1に図示しない)を充填する。液 体状態の芳香族ヒドロキシ化合物と、気体状 態のハロゲン化カルボニルとを反応させるに は、反応塔1内において反応系をよく混合し 液相と気相との接触面積を大きくすること 好ましい。そのために、反応塔1に充填物を 填し、それにより混合性を高め、より小さ 反応塔1で高反応率を達成することができる 。以下、充填物について説明する。

 充填物は、規則充填物であってもよく、不 則充填物であってもよいが、不規則充填物 あることが好ましい。
 充填物の材料としては、本発明の効果を著 く損なわない限り制限はないが、例えば、 ラス、セラミック、プラスチック等を用い ことができる。中でも、セラミックが好ま い。

 また、反応塔1内部の充填物を充填した部分 の体積に対する、充填物の存在しない間隙部 分の割合(空間率)は通常40%以上、好ましくは5 0%以上、さらに好ましくは65%以上、また、通 90%以下、好ましくは80%以下である。また充 物の単位体積当りの表面積は、通常200m 2 /m 3 以上とされ、好ましくは300m 2 /m 3 以上、さらに好ましくは500m 2 /m 3 以上、特に好ましくは600m 2 /m 3 以上である。
 上記空間率は、反応塔の充填物を充填する 分の体積から、充填物の体積を引いて空間 体積を計算し、それを充填物を充填する部 の体積で割り、算出される値である。なお 充填物の体積は、例えば反応塔の充填物非 填時に満液まで満たした水の体積から、充 物充填時に満液まで満たした水の体積を引 ことによって求めることができる。

 また上記表面積は、充填物一個あたりの表 積を実際の形状から計算し、この表面積を 位体積あたりの充填物個数にかけて算出さ る。単位体積あたりの充填物個数は、反応 に充填された単位体積あたりにおける充填 重量を充填物一個あたりの重量で割り、算 される。
 なお、充填物が多孔性の場合、充填物内の 隙も「充填物の存在しない間隙部分」に含 れるものとする。

 充填物は上記反応を行う前に酸性液で処 することが好ましい。酸性液としては、硫 、塩酸、硝酸、りん酸等が挙げられ、その でも特に塩酸、りん酸が好ましい。また酸 液の濃度は限定されるものではないが、通 5%以上、好ましくは10%以上、さらに好まし は15%以上である。酸性液で処理しないと反 初期に充填物から金属分等の不純物が溶出 れ、得られるジアリールカーボネートの品 に重大な影響を及ぼし、初期生成物を廃棄 なければならない場合がある。上記酸性液 よる処理は、充填物を反応塔に充填する前 行ってもよく、また充填物を充填した後に ってもよい。

[3.ジアリールカーボネートの製造方法]
 本発明のジアリールカーボネートの製造方 では、上述した反応器(反応塔)に芳香族ヒ ロキシ化合物と、ハロゲン化カルボニルと 供給することで、ジアリールカーボネート 連続的に製造することができる。以下、上 の原料の供給方法、触媒等、ジアリールカ ボネートの製造方法について説明する。

(芳香族ヒドロキシ化合物の供給方法)
 本発明の製造方法では、反応器内における 続相が、芳香族ヒドロキシ化合物であるこ が好ましい。ここで、連続相とは、反応塔 において一連の相を形成している相のこと いう。
 これは、未反応芳香族ヒドロキシ化合物は 原料としてリサイクルすることが可能であ が、未反応ハロゲン化カルボニルは、副生 たハロゲン化水素と混合して回収が困難と るためである。そのため、可能な限りハロ ン化カルボニルの反応率を向上させること 好ましく、このとき、芳香族ヒドロキシ化 物がハロゲン化カルボニルよりモル当量以 過剰に用いられてもよい。

 なお、反応後の液相には、主に主生成物 あるジアリールカーボネートが存在するた 、材料を反応塔下部から連続的に供給し、 応後の反応系を気液分離することで、主生 物のみを連続的に得ることができる。その め、芳香族ヒドロキシ化合物を、オーバー ロー管に至るまでに反応が完了する速度で 連続的に供給することが好ましい。

 反応器に供給する芳香族ヒドロキシ化合 の温度は、通常40℃以上、好ましくは80℃以 上、より好ましくは130℃以上、さらに好まし くは140℃以上、また、好ましくは180℃以下、 さらに好ましくは170℃以下である。温度が高 すぎると沸点に近く、取り扱いが困難になる 傾向がある。また、低すぎると固化する傾向 がある。

 芳香族ヒドロキシ化合物の反応塔内におけ 滞留時間は、好ましくは0.5時間以上、さら 好ましくは1時間以上、また、好ましくは4 間以下、さらに好ましくは3時間以下である
 滞留時間は、反応器に供給する芳香族ヒド キシ化合物の流量や、該反応塔の底部から 応系の液面までの高さを調整することによ 、調整できる。

(ハロゲン化カルボニルの供給方法)
 反応器に供給するハロゲン化カルボニルの 量(G[m 3 /秒])と、反応器の水平方向の塔内断面積(A[m 2 ])との比(G/A[m/秒])の値は、通常0.01m/秒以上、 ましくは0.015m/秒以上、さらに好ましくは0.0 2m/秒以上、また、通常0.10m/秒以下、好ましく は0.05m/秒以下、さらに好ましくは0.03m/秒以下 である。G/A[m/秒]の値が大きすぎると、フラ ティングに似た現象が起こる可能性がある また、上述の範囲を下回るには、反応塔が きくなる傾向がある。なお、本発明におい 、反応器に供給するハロゲン化カルボニル 流量(G[m 3 /秒])とは、特に断り書きのない限り、気体の 標準状態(273.15K,10 5 Pa)に換算した値をいうものとする。

 反応塔内の気相体積(V g )に対する、反応塔内の空間体積(V V )の比率(V g /V V )の値は、通常0.01以上、好ましくは0.05以上、 さらに好ましくは0.10以上、また、通常0.70以 、好ましくは0.50以下、さらに好ましくは0.3 0以下である。この比率の値が大きすぎると 相滞留時間が短くなる傾向がある。また、 さすぎると反応効率が低下する傾向がある
 ここで、「反応塔内の空間体積」とは、反 塔の液体部分の容積を意味する。図1を例に 説明すると、高さHで表わされる部分の容積 意味する。なお、反応塔に充填物が充填さ ている場合には、反応塔の液体部分の容積 ら充填物の体積を除いた値とする。また、 孔性の充填物の場合、充填物の空隙は充填 の体積には含まない。
 また、「反応塔の気相体積」とは、反応塔 液相部分に存在する気体の体積をいう。図1 を例に説明すると、高さHで表わされる部分 容積のうち、気泡として存在する気体の体 である。

(並流形式)
 本発明のジアリールカーボネートの製造方 では、反応塔に材料が供給されれば、その 給方法に制限はない。例えば、芳香族ヒド キシ化合物を反応塔上部から供給し、ハロ ン化カルボニルを反応塔下部から供給する とができる。また、両方の材料を、反応塔 下部から供給することもできる。中でも、 者の方が好ましく、芳香族ヒドロキシ化合 とハロゲン化カルボニルを反応器の下部に 給し、下部から上部に並流させて反応させ ことが好ましい。

(触媒)
 本発明において、反応を触媒の存在下で行 ことが好ましい。本発明に用いられる触媒 、本発明の効果を著しく損なわない限り制 はないが、均一触媒を用いることが好まし 。
 このような触媒としては、例えば、芳香族 窒素複素環化合物及びその塩、第3級窒素塩 基、アルカリ金属塩、等が挙げられる。中で も芳香族含窒素複素環化合物及びその塩が好 ましい。

 芳香族含窒素複素環化合物は、窒素原子 含有する芳香族複素環(これを「芳香族含窒 素複素環」という。)を有する化合物である 芳香族含窒素複素環の員数は制限されない 、通常は6員環または5員環である。また、芳 香族含窒素複素環の中に含まれる窒素原子の 数は一つでもよく、二つ以上でもよい。更に は、環の中に窒素原子以外のヘテロ原子(例 ばイオウ原子、酸素原子等)を含んでいても い。また、芳香族含窒素複素環化合物一分 あたりの環の数も制限されず、単一の芳香 含窒素複素環からなっていてもよいが、芳 族含窒素複素環が他の一又は二以上の環と 合して縮合環を形成していてもよい。縮合 の場合、環の数は制限されない。また、芳 族含窒素複素環化合物は、その触媒とし一 は二以上の任意の置換基を有していてもよ 。置換基としてはアルキル基、アルコキシ 、水酸基、ハロゲン原子、等が挙げられる 、アルキル基、アルコキシ基が好ましい。

 このような芳香族含窒素複素環化合物及 その塩としては、例えば、ピリジン、キノ ン、イソキノリン、ピコリン、アクリジン ピラジン、ピリミジン、イミダゾール、2- チルイミダゾール、2-メトキシピリジン、2- ドロキシピリジン、等が挙げられる。中で 、ピリジン、α-ピコリン、β,γ-混合ピコリ 、イソキノリン、2-ヒドロキシピリジン、 ミダゾールが好ましく、その中でも、ピリ ンが特に好ましい。

 また、例えば、ポリビニルピリジンのよう 、ポリマー状に成形した上記化合物も同様 触媒として使用できる。
 なお、本発明の製造方法において、これら 触媒は、何れか一種を単独で使用してもよ 、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で 用してもよい。

 本発明の製造方法において触媒を使用す 場合、その供給方式は特に制限されない。 常は反応前又は反応中に反応塔内に供給す ばよいが、中でも芳香族ヒドロキシ化合物 液体状態で反応塔内に供給する場合であっ 、触媒として芳香族含窒素複素環化合物を 用する場合等には、芳香族ヒドロキシ化合 と芳香族含窒素複素環化合物とを混合し、 液又は分散液の状態として反応塔内に供給 ることが好ましい。

 この場合、芳香族ヒドロキシ化合物と芳 族含窒素複素環化合物との混合比は、所望 反応効率が得られれば制限されないが、芳 族ヒドロキシ化合物に対する芳香族含窒素 素環化合物の割合を通常1重量%以上、好ま くは2重量%以上、また、通常10重量%以下、好 ましくは5重量%以下の範囲とすることが望ま い。芳香族含窒素複素環化合物の割合が低 ぎると反応効率が低下する傾向がある。ま 、芳香族含窒素複素環化合物の割合を高く ても反応効率が頭打ちになったり、触媒回 を行なう場合には触媒回収に負荷がかかっ りする場合がある。

(反応条件)
 上述の条件を満たす限り、本発明の製造方 におけるその他の反応条件は制限されない 、代表的な条件は以下の通りである。

 反応塔内の温度は、通常120℃以上、好ま くは140℃以上、より好ましくは150℃以上、 た、通常200℃以下、好ましくは180℃以下、 り好ましくは170℃以下とすることが望まし 。反応塔内の温度が高すぎると、芳香族ヒ ロキシ化合物の沸点に近くなり、取り扱い 難しくなる傾向がある。また、反応塔内の 度が低すぎると、反応効率が低下する傾向 ある。

 また、各原料、特に液体状態で供給され 芳香族ヒドロキシ化合物については、その 給前に窒素ガスやアルゴンガス等の不活性 スでバブリングし、残存する酸素等の活性 体等を概ね除去した状態としてから、反応 に供給することが好ましい。

(後処理)
 本発明の製造方法により主生成物として得 れるジアリールカーボネートは、通常は、 応後の反応系の液相中に液体の状態で含ま ることになる。よって、反応後の反応系の 相を回収することにより、ジアリールカー ネートを得ることができる。
 回収後の液相に含まれるジアリールカーボ ートを、その状態のまま目的とする用途に いてもよいが、必要に応じて単離・精製等 後処理を加えてもよい。

(本発明の利点)
 本発明のジアリールカーボネートの製造方 によれば、可動部を有さない反応器を用い ことができるため、毒性の高い原料が漏出 る可能性が低まり、また作業者が可動部に る負傷すること等が防げるため、安全性が い。
 また、効率的な条件で連続的にジアリール ーボネートを製造することができるため、 留まりが高く、経済的に有利である。

 以下、本発明について、実施例を用いて らに詳細に説明するが、本発明はその要旨 逸脱しない限り、以下の実施例に限定され ものではない。

 [測定方法]
(塩化カルボニル未反応率)
 反応器から抜き出された気相を、容量既知 ガラス製容器に充分な時間供給させ、密閉 た後、30容量%アニリン/アセトニトリル溶液 を50mL加えて、塩化カルボニルとアニリンと 反応させ、未反応の残存塩化カルボニルを 量ジフェニルウレアへと変換した。この溶 を液体クロマトグラフィー(島津製作所社製 型番LC6A;カラムはGLサイエンス社製、型番MCI  GEL ODS-1HU;移動相は50%アセトニトリル/水(0.1m ol/l酢酸アンモニウム含有))で定量分析し、ジ フェニルウレアの量を測定した。得られた測 定値から、未反応の塩化カルボニルの量を算 出した。
 この算出された未反応の塩化カルボニルの から、以下式を用いて塩化カルボニル未反 率(%)を求めた。

<実施例1>
 反応器として、反応塔の内径(D)が0.05m(水平 向の塔内断面積(A)が0.00196m 2 )のオイル循環式ジャケット付きガラス製反 塔を、160℃のオイルを循環させ、充填物と て35%塩酸にて30分間浸漬処理したラシヒリン グ(磁製、外径6mm×6mm、中空部径3mm、充填物を 充填した部分における空間率(以下、単に「 填部空間率」という場合がある。)58%、単位 積当りの充填物の表面積712m 2 /m 3 )1989gを、反応塔の底部から0.1m~1.1mの部分に充 填した状態で使用した。

 次に、均一触媒としてピリジンを3.0モル%含 有するフェノールを、150℃に加熱した状態で 、該反応塔の塔上部より、1177g/時で連続的に 供給した。
 そこへ、塩化カルボニルを、該反応塔の塔 部より、555g/時(G=0.000035m 3 /秒、該フェノールに対して0.46モル当量)で連 続的に供給し、反応液を塔下部より抜き出し た。このときのG/Aは0.018であった。
 なお、塔下部より反応液を抜き出す速度を 整し、該ガラス製反応塔の底部から反応系 液面までの高さ(H)を1.1mになるようにした。 このときのH/Dは22であった。反応液の色調は 黄色透明であった。
 連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率 、上述の測定方法に従って分析し、算出す と15.67%であった。

<実施例2>
 反応器として、オーバーフロー管を備える は、実施例1と同様の構成のガラス製反応塔 を用いた。
 該オーバーフロー管は、反応塔との接触下 と反応塔頂との距離(L)が0.1mであ
って、反応塔との接触下端と反応塔の底部と の距離が1.1mである位置に備えられた。なお 該反応塔のL/Dは2であった。
 該反応塔に実施例1と同じラシヒリング427g 、反応塔の底部から0.1m~0.32mの部分(塔下部の み)に充填した。

 そこへ、ピリジン3.0モル%含有フェノールを 塔下部より供給し、該オーバーフロー管から オーバーフローさせて気液を分離した以外は 、実施例1と同様の条件で操作を行った。な 、反応塔の底部から反応系の液面までの高 (H)は、該オーバーフロー管によって気液を 離したため、1.1mであった。ゆえに該反応塔 H/Dは22であった。反応液の色調は薄黄色透 であった。
 連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率 、上述の測定方法に従って分析し、算出す と6.93%であった。

<実施例3>
 反応器として、実施例2と同様のオーバーフ ロー管を備えるガラス製反応塔を用いた。
 該ガラス製反応塔に、実施例1と同様のラシ ヒリング1989gを、反応塔の底部から
0.1m~1.1mの部分に充填した状態で使用した。
 そこへ、ピリジン3.0モル%含有フェノールを 塔下部より供給し、該オーバーフロー管から オーバーフローさせて気液を分離した以外は 、実施例1と同様の条件で操作を行った。反 液の色調は薄黄色透明であった。
 連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率 、上述の測定方法に従って分析し、算出す と1.95%であった。

<実施例4>
 ピリジン3.0モル%含有フェノールを589g/時、 化カルボニルを277g/時(G=0.000018m 3 /秒、該フェノールに対して0.46モル当量)供給 した以外は、実施例3と同様の条件で操作を った。なお、このときのG/Aは0.01であった。 応液の色調は薄黄色透明であった。
 連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率 、上述の測定方法に従って分析し、算出す と0.12%であった。

<実施例5>
 ピリジン3.0モル%含有フェノールを1720g/時、 塩化カルボニルを830g/時(G=0.000052m 3 /秒)、該フェノールに対して0.46モル当量)で 給した以外は、実施例3と同様にして実施し 。このときのG/Aは0.027であった。反応液の 調は薄黄色透明であった。
 連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率 、上述の測定方法に従って分析し、算出す と11.2%であった。

<実施例6>
 充填物として35%塩酸にて30分間浸漬処理し インタロックスサドル1/4インチ(セラミック 、充填部空間率57%、単位体積当りの充填物 表面積980m 2 /m 3 )1881gを用いた以外は実施例5と同様にして実 した。反応液の色調は薄黄色透明であった
 連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率 、上述の測定方法に従って分析し、算出す と9.1%であった。

<実施例7>
 反応器として、反応塔の内径(D)が0.05m(水平 向の反応塔内の断面積(A)が0.00196m 2 )で、さらに、オーバーフロー管を備える、 イル循環式ジャケット付きガラス製反応塔 、160℃のオイルを循環させ、インクロック サドル1/4インチ、(セラミック製、充填部の 間率57%、単位体積当りの充填物の表面積980m 2 /m 3 )3957gを、反応塔の底部から0.1m~2.1mの部分に充 填した状態で使用した。
 該オーバーフロー管は、該反応塔との接触 端と反応塔頂との距離(L)が0.1mであって、反 応塔との接触下端と反応塔の底部との距離が 2.1mである位置に備えられた。なお、該反応 のL/Dは2であった。

 次に、ピリジン3.0モル%含有フェノールを150 ℃に加熱した状態で、該反応塔の塔下部より 、1471g/時で連続的に供給した。
 そこへ、塩化カルボニルを、該反応塔の塔 部より、694g/時(G=0.000044m 3 /秒、該フェノールに対して0.46モル当量)で連 続的に供給し、該オーバー
フロー管からオーバーフローさせて気液を分 離した。このときのG/Aは0.0024であった。なお 、反応塔の底部から反応系の液面までの高さ (H)は、該オーバーフロー管によって気液を分 離したため、2.1mであった。ゆえに該反応塔 H/Dは42であった。反応液の色調は薄黄色透明 であった。
 連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率 、上述の測定方法に従って分析し、算出す と0.28%であった。

<実施例8>
 充填物として35%塩酸にて30分間浸漬処理し インタロックスサドル1/2インチ(セラミック 、充填部における空間率75%、単位体積当り 充填物の表面積623m 2 /m 3 )1078gを使用した以外は、実施例5と同様にし 実施した。反応液の色調は薄黄色透明であ た。
 連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率 、上述の測定方法に従って分析し、算出す と6.9%であった。

<実施例9>
 充填物として35%塩酸にて30分間浸漬処理し インタロックスサドル1インチ(セラミック製 、充填部空間率80%、単位体積当りの充填物の 表面積256m 2 /m 3 )890gを用いた以外は実施例5と同様にして実施 した。
 連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率 、上述の測定方法に従って分析し、算出す と13.5%であった。

<比較例1>
 反応器として、塔径(D)が0.085m(水平方向の断 面積(A)が0.00567m 2 )で、さらに、オーバーフロー管、及び、オ ル循環式ジャケットを備える、ディスクタ ビン型攬仲翼付きガラス製反応器を、160℃ オイルを循環させた状態で使用した。
 該オーバーフロー管は、反応塔との接触下 と反応塔頂との距離(L)が0.0757mであって、反 応塔との接触下端と反応塔の底部との距離が 0.085mである位置に備えられた。なお、該反応 塔のL/Dは0.89であった。
 該反応塔のディスクタービン型撹絆翼を、 絆動力0.56kW/m 3 で混合しながら、ピリジン3.0モル%含有フェ ールを150℃に加熱した状態で、該反応塔の 下部より、470g/時で連続的に供給した。
 そこへ、塩化カルボニルを、該反応塔の塔 部より、223g/時(G=0.000014m 3 /秒、該フェノールに対して0.46モル当量)で連 続的に供給し、該オーバーフロー管からオー バーフローさせて気液を分離した。このとき のG/Aは0.0024であった。なお、反応塔の底部か ら反応系の液面までの高さ(H)は、該オーバー フロー管によって気液を分離したため、0.085m であった。ゆえに該反応塔のH/Dは1であった
 連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率 、上述の測定方法に従って分析し、算出す と29.61%であった。

<比較例2>
 攬拝動力を1.05kW/m 3 とした以外は、比較例1と同様の条件で操作 行った。
 連続式の反応中の塩化カルボニル未反応率 、上述の測定方法に従って分析し、算出す と16.64%であった。

<比較例3>
 実施例3において、塩化カルボニルを供給す る前に、窒素ガスを0.0004m 3 /秒で供給した以外は、実施例3と同様にして 施しようとしたところ、塔上部にて気液分 が十分なされないことが判明したので、塩 カルボニルによる反応は不可能であると判 し、実験を中止した。

 <実施例10>
 充填物を酸処理を実施しなかった以外は実 例5と同様にして実施したところ、塩化カル ボニル未反応率は実施例5と同様であったが 初期の反応液の色調が黄土色透明であった 30分以上連続的に反応を実施すると、実施例 5と同様の薄黄色透明の反応液となった。

 以下、実施例1~9、及び比較例1~3の結果につ て、表1に示す。
 表中、G/Aは、(ハロゲン化カルボニルの流量 G[m 3 /秒])/(反応塔の水平方向の塔内断面積A[m 2 ])を示す。なお、比較例3についてのみは、( 素ガスの流量G[m 3 /秒])/(反応塔の水平方向の塔内断面積A[m 2 ])を示す。
 H/Dは、(反応塔の底部から反応系の液面まで の高さH)/(反応塔の直径D)を示す。
 L/Dは、(オーバーフロー管の該反応塔におけ る接触下端と、該反応塔内の頂上部との距離 L)/(反応塔の直径D)を示す。
 V g /V v は、(反応塔内の気相体積V g )/(反応塔内の空間体積をV V )を示す。

 以上の結果から、以下のことが分かる。
 まず、実施例1~9と比較例1~2の塩化カルボニ 未反応率を比較すると、本発明に係る反応 の様に、可動部(ディスククービン型攪拌翼 )を有さない反応器であっても、ジアリール ーボネートが効率よく生産できていること 分かった。また、比較例3において、G/Aの値 0.10を超える窒素ガスを供給すると、気液分 離が塔上部で十分なされないことが分かった 。従って、仮に窒素ガスの代わりに塩化カル ボニルを反応塔に供給したとしても、反応生 成物であるジアリールカーボネートを、未反 応の塩化カルボニルや副生成物と、十分分離 できないと判断した。

 次に、実施例1及び実施例3の塩化カルボ ル未反応率を比較すると、芳香族ヒドロキ 化合物とハロゲン化カルボニルとを反応塔 下部から供給し、該下部から上方に並流さ て反応させる方が、ジアリールカーボネー を効率よく生産できることが分かった。

 さらに、実施例2と実施例3の塩化カルボ ル未反応率を比較すると、充填剤が反応塔 部全体に充填されている方が、ジアリール ーボネートを効率よく生産できることが分 った。充填剤により気相と液相との接触が くなるためと推測される。

 さらに、実施例8と実施例5と、実施例9との 化カルボニル未反応率を比較すると、充填 の空間率を65%以上とし、且つ該充填物の単 体積あたりの表面積を300m 2 /m 3 以上とすることにより効率的に塩化カルボニ ルが生成されることが分かった。実施例9で されるように、空間率のみを大きくしても 応率は向上せず、また、実施例5で示される うに充填物の表面積のみを大きくしても反 率は向上しない。実施例8に示すように、こ れら両条件を適切に選定することにより、最 も効率的な製造が可能となった。また実施例 5と実施例10の比較により、酸性液により処理 した充填物を使用することによって定常的に 製造した場合と同じ品質が反応開始初期から 製造できることを見出し、より効率的なジア リールカーボネートの製造が可能となった。

 本発明は、容器や光ディスク基板等の素材 脂の材料である、ポリカーボネートの原料 なるジアリールカーボネートの製造方法に 用に用いられる。
















 以上、本発明を特定の態様を用いて詳細に 明したが、本発明の意図と範囲を離れるこ なく様々な変更が可能であることは、当業 に明らかである。
 なお、本出願は2007年3月16日付けで出願され た日本語特許出願(特願2007-68375)及び、2007年10 月23日付で出願された日本語特許出願(特願200 7-274719)に基づいており、その全体が引用によ り援用される。