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Title:
METHOD FOR PRODUCTION OF OPTICALLY ACTIVE CARBOXYLIC ACID ESTER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/140074
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing an optically active carboxylic acid ester directly from a racemic secondary alcohol and a carboxylic acid. Also disclosed is a method for optically resolving a racemic secondary alcohol in the same method as the above-mentioned method. One of the enantiomers of a racemic secondary alcohol and a carboxylic acid are subjected to the dehydrative condensation in the presence of benzoic anhydride or a derivative thereof by using (-)-tetramisole, (+)-tetramisole, (-)-benzotetramisole, (+)-benzotetramisole or the like as an asymmetric esterification catalyst, thereby producing an optically active carboxylic acid ester; and the other of the enantiomers, which is unreacted, is optically resolved.

Inventors:
SHIINA ISAMU (JP)
NAKATA KENYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058743
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
May 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNIV TOKYO SCI EDUC FOUND (JP)
SHIINA ISAMU (JP)
NAKATA KENYA (JP)
International Classes:
C07C67/08; B01J31/02; C07C69/24; C07C69/612; C07C69/76; C07C69/92; C07B53/00; C07B57/00; C07B61/00
Other References:
SHIINA I. ET AL.: "The first asymmetric esterification of free carboxylic acids with racemic alcohols using benzoic anhydrides and tetramisole derivatives: an application to the kinetic resolution of secondary benzylic alcohols", TETRAHEDRON LETTERS, vol. 48, no. 47, 24 October 2007 (2007-10-24), pages 8314 - 8317, XP022313021
BIRMAN V.B. ET AL., ORGANIC LETTERS, vol. 8, no. 21, 2006, pages 4859 - 4861
BIRMAN V.B., ORGANIC LETTERS, vol. 8, no. 7, 2006, pages 1351 - 1354
SHIINA I.: "Chikan Ansoku Kosan Musuibutsu o Mochiiru Daiinkan Oyobi Chuinkan Lacton-rui no Kosoku Gosei Hanno no Kaihatsu", JOURNAL OF SYNTHETIC ORGANIC CHEMISTRY, vol. 63, no. 1, 2005, pages 2 - 17
Attorney, Agent or Firm:
SHOBAYASHI, Masayuki (25-8 Higashi-ikebukuro 1-chome, Toshima-k, Tokyo 13, JP)
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Claims:
 不斉エステル化触媒として、下記一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示される化合物を用い、安息香酸無水物又はその誘導体の存在下で、ラセミの2級アルコールのいずれか一方のエナンチオマーとカルボン酸とを脱水縮合反応させて、光学活性カルボン酸エステルを製造する方法。
 上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される置換基のいずれかである。
(式中、Rは保護基である。)
 前記ラセミの2級アルコールの不斉炭素原子に隣接する炭素原子の1つが、多重結合により他の原子と結合している請求項1記載の光学活性カルボン酸エステルを製造する方法。
 前記ラセミの2級アルコールの不斉炭素原子に隣接する炭素原子のうち、一の原子が3重結合により他の原子と結合している原子であり、別の原子が2重結合により別の他の原子と結合している原子であって、前記3重結合にコバルト錯体が結合している請求項1に記載の光学活性カルボン酸エステルを製造する方法。
 前記安息香酸無水物の誘導体は、フェニル環に電子供与性基が置換されたものである請求項1記載の光学活性カルボン酸エステルを製造する方法。
 不斉エステル化触媒として、一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示される化合物を用い、安息香酸無水物又はその誘導体の存在下で、ラセミの2級アルコールのいずれか一方のエナンチオマーとカルボン酸とを選択的に反応させることによって、ラセミの2級アルコールを光学分割する、ラセミの2級アルコールの光学分割法。
 上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される置換基のいずれかである。
(式中、Rは保護基である。)
 不斉エステル化触媒として、一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示される化合物を用い、安息香酸無水物又はその誘導体の存在下で、第2級水酸基を有するラセミのヒドロキシカルボン酸のいずれか一方のエナンチオマーの前記第2級水酸基を、分子内に存在するカルボン酸基と選択的に反応させることによって、光学活性ラクトンを製造する方法。
 上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される置換基のいずれかである。
(式中、Rは保護基である。)
Description:
光学活性カルボン酸エステルを 造する方法

 本発明は、ラセミの2級アルコールとカル ボン酸から光学活性カルボン酸エステルを製 造する方法、ラセミの2級アルコールを光学 割する方法、及び第2級水酸基を有するラセ のヒドロキシカルボン酸から光学活性ラク ンを製造する方法に関する。

 光学活性カルボン酸エステル及び2級アル コールは、医薬品、生理活性物質の中間体、 天然物合成の中間体等として、様々な分野に 使用されている。

 光学活性カルボン酸エステルを製造する 法として、不斉アシル化触媒を用いて、ラ ミの2級アルコールと、酸塩化物又は酸無水 物とを反応させることによって、ラセミの2 アルコールから対応するエステルを製造す 方法が知られている。また、特許文献1には 特定の不斉アシル化触媒を用いて、ラセミ 2級アルコールのうち一方のエナンチオマー を選択的にアシル化して光学分割する方法が 記載されている。

 非特許文献1には、テトラミソール又はベ ンゾテトラミソールを触媒として用い、酸無 水物の存在下で、ラセミの2級ベンジル性ア コールから光学活性エステルを製造すると に、もう一方の2級アルコールのエナンチオ ーを得る方法が記載されている。非特許文 2には、ベンゾテトラミソールを触媒として 用いて、酸無水物の存在下でラセミのプロパ ルギル性アルコールを同様に光学分割する方 法が記載されている。

 しかし、これらの方法では、アシル化剤と て用いる酸塩化物や酸無水物の構造が極め 限定されているため、基質一般性に乏しい いう問題があった。アルコールとカルボン から直接、エステルを製造することができ ば、この問題は解決されるが、これまでに アルコールとカルボン酸から、直接、光学 性カルボン酸エステルを製造する方法は知 れていなかった。

特開2006-15255号公報 Org.Lett.,(2006)Vol.8,No.7,p.1351-1354 Org.Lett.,(2006)Vol.8,No.21,p.4859-4861

 本発明の目的は、ラセミの2級アルコール とカルボン酸から光学活性カルボン酸エステ ルを直接、製造する方法を提供することであ る。

 本発明の他の目的は、前記方法と同じ手 によって、ラセミの2級アルコールを光学分 割する方法を提供することである。

 本発明の別の目的は、第2級水酸基を有す るラセミのヒドロキシカルボン酸から光学活 性ラクトンを直接、製造する方法を提供する ことである。

 本発明者らは、先に、置換安息香酸無水 を脱水縮合剤として用いるカルボン酸とア コールとの効率的な脱水縮合反応方法を開 した。この反応によると、塩基触媒である4 -ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下で、 合剤として2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物 を用いることで、カルボン酸とアルコールを 基質とした場合には対応するエステルを製造 することができる。

 一方、非特許文献1及び2には、市販品で るテトラミソール及びその誘導体であるベ ゾテトラミソールが、2級アルコールの速度 的光学分割に効果的な触媒であることが報 されていた。そこで、上記の置換安息香酸 水物法に対して、塩基触媒であるDMAPの代わ りに、テトラミソール等を適用する可能性に ついて鋭意、研究した結果、本発明を完成さ せるに至った。

 すなわち、本発明は、以下のものを提供 る。

 (1)不斉エステル化触媒として、下記一般式( 1)、(2)、(3)又は(4)で示される化合物を用い、 息香酸無水物又はその誘導体の存在下で、 セミの2級アルコールのいずれか一方のエナ ンチオマーとカルボン酸とを脱水縮合反応さ せて、光学活性カルボン酸エステルを製造す る方法。
 上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される 置換基のいずれかである。
(式中、Rは保護基である。)

 なお、上記(1)及び(2)で表される化合物の ち、XがPhであるものが、テトラミソールで り、上記(3)及び(4)で表される化合物のうち XがPhであるものが、ベンゾテトラミソール ある。

 (2)前記ラセミの2級アルコールの不斉炭素 原子に隣接する炭素原子の少なくとも1つが 多重結合により他の原子と結合している(1) 記載の光学活性カルボン酸エステルを製造 る方法。

 (3)前記ラセミの2級アルコールの不斉炭素 原子に隣接する炭素原子のうち、一の原子が 3重結合により他の原子と結合している原子 あり、別の原子が2重結合により別の他の原 と結合している原子であって、前記3重結合 にコバルト錯体が結合している(1)に記載の光 学活性カルボン酸エステルを製造する方法。

 (4)前記安息香酸無水物の誘導体は、フェ ル環に電子供与性基が置換されたものであ (1)に記載の光学活性カルボン酸エステルを 造する方法。

 (5)不斉エステル化触媒として、一般式(1)、( 2)、(3)又は(4)で示される化合物を用い、安息 酸無水物又はその誘導体の存在下で、ラセ の2級アルコールのいずれか一方のエナンチ オマーとカルボン酸とを選択的に反応させる ことによって、ラセミの2級アルコールを光 分割する、ラセミの2級アルコールの光学分 法。
 上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される 置換基のいずれかである。
(式中、Rは保護基である。)

 (6) 不斉エステル化触媒として、一般式(1) (2)、(3)又は(4)で示される化合物を用い、安 香酸無水物又はその誘導体の存在下で、第2 水酸基を有するラセミのヒドロキシカルボ 酸のいずれか一方のエナンチオマーの前記 2級水酸基を、分子内に存在するカルボン酸 基と選択的に反応させることによって、光学 活性ラクトンを製造する方法。
 上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される 置換基のいずれかである。
(式中、Rは保護基である。)

 本発明によると、ラセミの2級アルコール とカルボン酸から光学活性カルボン酸エステ ルを直接、製造することができる。

 また、本発明によると、前記方法と同じ 段によって、ラセミの2級アルコールを容易 に光学分割することができる。

 更に、本発明によれば、第2級水酸基を有 するラセミのヒドロキシカルボン酸から光学 活性カルボン酸エステルを直接、製造するこ とができる。

発明を実施するための形態

<第一の実施形態>
 以下、本発明の第一の実施形態について詳 に説明する。

 本発明の第一の実施形態は、ラセミの2級ア ルコールとカルボン酸から、光学活性エステ ルを製造するに際して、不斉エステル化触媒 として、一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示される 化合物を用い、脱水縮合剤として、安息香酸 無水物又はその誘導体を使用する点に特徴が ある。
 上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される 置換基のいずれかである。
(式中、Rは保護基である。)

 なお、上記(1)及び(2)で表される化合物の ち、XがPhであるものが、テトラミソールで り、上記(3)及び(4)で表される化合物のうち XがPhであるものが、ベンゾテトラミソール ある。

 保護基Rは、通常の化学合成に用いられる 保護基であり、例えば、アルキル基等が挙げ られる。これらの化合物は、市販品として入 手するか、これらの置換基を側鎖として有す るアミノ酸から合成することができる。

 高いエナンチオ選択率(ee)及び高い相対反 応速度比(s)を得る上で、一般式(3)又は(4)で示 される化合物が好ましい。

 本発明において、安息香酸無水物及びそ 誘導体は、脱水縮合剤として作用する。安 香酸無水物中のフェニル環は置換基を有し もよい。高いエナンチオ選択率(ee)及び高い 相対反応速度比(s)を得る上で、無置換の安息 香酸無水物及びフェニル環が電子供与性基、 例えば、アルキル基、アルコキシ基、アミノ 基、ヒドロキシル基等で置換された安息香酸 無水物が好ましい。中でも、フェニル環が、 炭素数1~3のモノ、ジ又はトリ-アルキル基及 アルコキシ基で置換された安息香酸無水物 好ましく、モノ又はジ-メチル基及びメトキ 基で置換された安息香酸無水物がより好ま い。

 2級アルコールとしては、任意のものを用い ることができる。ただし、2級アルコールを(R 1 )(R 2 )CHOHで示した場合、R 1 及びR 2 は異なる置換基である。R 1 及びR 2 としては、例えば、アルキル基、シクロアル キル基、アリールアルキル基、アリール基、 ヘテロアリール基及びヘテロ環基等が挙げら れる。これらの基は、置換基を有してもよい 。分子中には二重結合又は三重結合が含まれ ていてもよく、中でも、2級アルコールの不 炭素原子と隣接する炭素原子の1つが、化学 (6)、(7)、及び(7a)に示すように、二重結合、 三重結合といった多重結合により他の原子と 結合していることが好ましい。このような2 アルコールの例を以下に示す。

 また、2級アルコールとしては、ラセミの 2級アルコールの不斉炭素原子に隣接する炭 原子のうち、一の原子が3重結合により他の 子と結合している原子であり、別の原子が2 重結合により別の他の原子と結合している原 子である2級アルコールも用いることができ 。このような2級アルコールとしては、例え 、化学式(7b)に示される化合物を挙げること ができる。

 一分子中に2重結合と3重結合とを有する 記2級アルコールを用いる場合、3重結合にコ バルト錯体が結合することにより、3重結合 保護されていることが好ましい(例えば、化 物(7c))。本発明において、不斉炭素原子に 接する炭素原子が有する多重結合は、エス ル生成反応の立体選択性に寄与するが、同 分子内の2重結合と3重結合の両者が立体選択 性に寄与した場合、結果として当該分子全体 における立体選択性が失われる傾向にある一 方で、3重結合を保護している場合には、残 2重結合のみが立体選択性に寄与する結果、 子全体における立体選択性が向上するため ある。

 3重結合の保護のために用いられるコバル ト錯体としては、一酸化炭素を配位子とする コバルト錯体、トリフェニルホスフィンを配 位子とするコバルト錯体を挙げることができ る。これらのコバルト錯体の調製は、従来公 知の調製方法により行えばよい。

 ラセミ2級アルコールとのエステル化反応に 用いられるカルボン酸も、任意のものを用い ることができる。例えば、R 3 COOHで示されるカルボン酸において、R 3 として、アルキル基、シクロアルキル基、ア リールアルキル基、アリール基、ヘテロアリ ール基、ヘテロ環基等を有するカルボン酸が 挙げられる。これらの基は、置換基を有して もよく、分子中に二重結合又は三重結合が含 まれていてもよい。具体的には、R 3 として、C 2 H 5 、CH 3 CH(CH 2 ) 2 、Ph(CH 2 ) 2 、Ph(CH 2 ) 3 、CH 2 CH(CH 2 ) 2 、CH 3 OCH 2 、c-C 6 H 11 等を有する上記カルボン酸が挙げられる。

 本発明によると、ラセミの2級アルコール の一方のエナンチオマーが、不斉エステル化 触媒と脱水縮合剤の存在下で、選択的にカル ボン酸と反応して光学活性エステルを生成す る結果、未反応の2級アルコールが光学活性 持った2級アルコールとして光学分割される

 本発明の反応は、溶媒中に不斉エステル 触媒、脱水縮合剤、ラセミアルコール及び ルボン酸を投入することによって行われる 溶媒中への投入方法は任意であり、これら 順次投入してもよいし、同時に投入しても い。溶媒は制限されないが、ジクロロメタ 、クロロベンゼンが好ましい。反応温度は0 ℃~50℃、反応時間は1時間~12時間が好ましい

 限定されるものではないが、通常、2級ア ルコール1当量に対して、それぞれカルボン 0.5当量~0.75当量、触媒1モル%~10モル%が用いら れる。脱水縮合剤は、カルボン酸に対して1.0 当量~1.2当量用いられる。また、反応促進剤 して、ジイソプロピルエチルアミンをカル ン酸に対して2.0当量~2.4当量用いることがで る。

 飽和重曹水で反応を停止させた後、有機 を分取し、水層をジエチルエーテルで抽出 て有機層と混合し、無水硫酸ナトリウムで 燥する。溶液をろ過し、減圧濃縮してシリ ゲル薄層クロマトグラフィーを用いて分取 ることにより、対応する光学活性エステル び未反応の光学活性アルコールが得られる

<第二の実施形態>
 以下、本発明の第二の実施形態について説 するが、下記説明においては、第一の実施 態と同一の語句には同一の記号を付し、第 の実施形態と同一の構成についてはその説 を省略する。

 本発明の第二の実施形態は、不斉エステル 触媒として、一般式(1)、(2)、(3)又は(4)で示 れる化合物を用い、安息香酸無水物又はそ 誘導体の存在下で、第2級水酸基を有するラ セミのヒドロキシカルボン酸のいずれか一方 のエナンチオマーの第2級水酸基を、分子内 存在するカルボン酸基と選択的に反応させ ことによって、光学活性ラクトンを製造す ことに特徴を有する。
 上記の式中、Xは、下記化学式(5)で表される 置換基のいずれかである。
(式中、Rは保護基である。)

 第2級水酸基を有するヒドロキシカルボン 酸としては、当該第2級水酸基が結合した炭 原子を不斉中心とする不斉ヒドロキシカル ン酸であれば、任意のものを用いることが きるが、第2級アルコールが結合する不斉炭 原子に隣接する炭素原子の少なくとも一つ 二重結合や三重結合などの多重結合を有し いるものが好ましい。このようなヒドロキ カルボン酸としては、例えば、化学式(7d)で 表される化合物を挙げることができ、具体的 には、12-ヒドロキシ-12-フェニルドデカン酸 15-ヒドロキシ-15-フェニルペンタデカン酸、1 6-ヒドロキシ-16-フェニルヘキサデカン酸を挙 げることができる。

(式中、nは正の整数である。)

 以下、本発明を実施例により説明する。

[実施例1 安息香酸無水物の置換基の効果(1)]
 不斉エステル化触媒として(-)-テトラミソー ルを用いて、安息香酸無水物及びその誘導体 の効果を検討した。

 ジクロロメタン0.2モル中に、1-フェニル-1 -プロパノール1当量に対して、3-フェニルプ ピオン酸0.75当量を、表1に示す安息香酸無水 物及びその誘導体0.90当量、(-)-テトラミソー 5モル%、ジイソプロピルエチルアミン1.8当 を加え、反応式(8)に従って室温で12時間反応 させた。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥 した後、減圧濃縮した。生成した光学活性エ ステル及び未反応の光学活性アルコールをシ リカゲル薄層クロマトグラフィーにより分離 し、それぞれの化合物を得た。

 エナンチオ選択率(ee)は、キラルカラムによ るHPLC分析法により決定した。
 s値は、Kaganらの方法(Top.Stereochem.,1988,vol18,p24 9-330)によって、以下のように算出した。
 s=[ln(1-C)(1-回収アルコールのee)]/[ln(1-C)(1+回 アルコールのee)]。
 変換率C(%)=[回収アルコールのee]/[(回収アル ールのee)+(生成したエステルのee)]

 得られた結果を表1に示す。

 この表から、高いエナンチオ選択率で(S)- 1-フェニルプロピル 3-フェニルプロパノエー トが得られ、高いエナンチオ選択率で光学活 性(R)-1-フェニル-1-プロパノールが光学分割さ れたことがわかる。

(S)-1-フェニルプロピル 3-フェニルプロパノ ート(1a)
 HPLC(CHIRALCEL AS-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in);t R =10.5min(4.9%),t R =11.1min(95.1%);
 IR(neat):3031,1741,1604,1496,752,700cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.27-7.14(m,7H,Ph),7.13-7.07(m,3H,Ph),5.59(t,J=7.0Hz,1H, 1-H),2.87(t,J=8.0Hz,2H,2’-H),2.61(ddd,J=16.0,9.0,9.0Hz,1H, 3’-H),2.57(ddd,J=16.0,9.6,9.0Hz,1H,3’-H),1.86-1.66(m,2H, 2-H),0.76(t,J=7.5Hz,3H,3-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ172.2,140.48,140.46,128.4,128.3,128.2,127.7,126.5,126.2, 77.4,36.1,30.9,29.3,9.8;
 HR MS:calcd for C 18 H 20 O 2 Na(M+Na + )291.1356,found 291.1344.

(R)-1-フェニル-1-プロパノール(2)
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in);t R =25.9min(86.6%),t R =29.6min(13.4%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.12-6.96(m,5H,Ph),4.31(dt,J=3.0,6.6Hz,1H,1-H),1.79(d,J= 3.0Hz,1H,OH),1.64-1.38(m,2H,2-H),0.65(t,J=7.5Hz,3H,3-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ144.5,128.3,127.4,125.9,75.9,31.8,10.1.

[実施例2 安息香酸無水物の置換基の効果(2)]
 不斉エステル化触媒として、(+)-ベンゾテト ラミソールを用いて、一般式(9)に示す安息香 酸無水物及びその誘導体を用い、実施例1と 様に、反応式(10)に従って反応させた。

                                            (10)

 結果を表2に示す。

 表2から、(+)-ベンゾテトラミソールは、 いエナンチオ選択率を有し、(-)-テトラミソ ルよりも高い反応速度が得られることがわ る。

[実施例3 2級アルコール及びカルボン酸の効 ]
 不斉エステル化触媒として(+)-ベンゾテトラ ミソールを用いて、各種のラセミの2級アル ール及びカルボン酸とを、反応式(11)に従っ 、実施例1と同様の条件で反応させた。

 

 その結果を表3に示す。

(S)-1-フェニル-1-プロパノール
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in);t R =26.6min(2.1%),t R =30.6min(97.9%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.12-6.96(m,5H,Ph),4.31(dt,J=3.0,6.6Hz,1H,1-H),1.79(d,J= 3.0Hz,1H,OH),1.64-1.38(m,2H,2-H),0.65(t,J=7.5Hz,3H,3-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ144.5,128.3,127.4,125.9,75.9,31.8,10.1.

(S)-2-メチル-1-フェニル-1-プロパノール
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in);t R =25.7min(95.5%),t R =30.0min(4.5%);
 IR(neat):3398,3029,1604,1492,760,701cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.31-7.15(m,5H,Ph),4.27(dd,J=6.6,3.0Hz,1H,1-H),1.95-1.79 (m,2H,2-H,OH),

(S)-2,2-ジメチル-1-フェニル-1-プロパノール
 HPLC(CHIRALCEL OD-H, i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL /min);t R =20.3min(79.1%),t R =29.6min(20.9%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):d 7.26-7.13(m,5H,Ph),4.30(d,J=2.7Hz,1H,1-H),1.78(br s,1H ,OH),0.83(s,9H,t-Bu);
  13 C NMR(CDCl 3 ):d142.1,127.6,127.5,127.2,82.4,35.6,25.9.

(R)-1-フェニルプロピル プロパノエート
 HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in);t R =17.4min(94.7%),t R =22.0min(5.3%);
 IR(neat):3034,1734,1604,1495,756,700cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.30-7.16(m,5H,Ph),5.60(dd,J=7.5,6.6Hz,1H,1-H),2.34-2.22 (m,2H,2’-H),1.93-1.65(m,2H,2-H),1.06(t,J=7.5Hz,3H,3’-H), 0.81(t,J=7.5Hz,3H,3-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ173.8,140.7,128.3,127.7,126.5,77.1,29.4,27.8,9.9,9.1;
 HRMS:calcd for C 12 H 16 O 2 Na(M+Na + )215.1043,found 215.1049.

(R)-1-フェニルプロピル 3-フェニルプロパノ ート
 HPLC(CHIRALCEL AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in);t R =14.5min(95.1%),t R =20.3min(4.9%);
 IR(neat):3031,1741,1604,1496,752,700cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.27-7.14(m,7H,Ph),7.13-7.07(m,3H,Ph),5.59(t,J=7.0Hz,1H, 1-H),2.87(t,J=8.0Hz,2H,2’-H),2.61(ddd,J=16.0,9.0,9.0Hz,1H, 3’-H),2.57(ddd,J=16.0,9.6,9.0Hz,1H,3’-H),1.86-1.66(m,2H, 2-H),0.76(t,J=7.5Hz,3H,3-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ172.2,140.48,140.46,128.4,128.3,128.2,127.7,126.5,126.2, 77.4,36.1,30.9,29.3,9.8;
 HR MS:calcd for C 18 H 20 O 2 Na(M+Na + )291.1356,found 291.1344.

(R)-1-フェニルプロピル 4-フェニルブタノエ ト
 HPLC(CHIRALCEL AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in);t R =12.4min(94.9%),t R =16.5min(5.1%);
 IR(neat):3030,1734,1603,1496,749,700cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):d7.23-6.99(m,10H,Ph),5.60(t,J=7.0Hz,1H,1-H),2.53(t,J=7.5Hz ,2H,2’-H),2.29(dt,J=16.2,7.5Hz,1H,4’-H),2.24(dt,J=16.2,6 .6Hz,1H,4’-H),1.93-1.65(m,4H,2-H,3’-H),0.80(t,J=7.5Hz,3H ,3-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):d172.7,141.4,140.6,128.4,128.3,128.3,127.7,126.5,125.9,77. 2,35.0,33.8,29.3,26.5,9.9;
 HR MS:calcd for C 19 H 22 O 2 Na(M+Na + )305.1512,found 305.1507.

(R)-1-フェニルプロピル 4-メチルペンタノエ ト
 HPLC (CHIRALCEL AD-H, i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5 mL/min);t R =10.0min(91.4%),t R =12.0min(8.6%);
 IR(neat):3033,1742,1604,1495,757,700cm -1 ; 1 H NMR(CDCl 3 ):d 7.31-7.13(m,5H,Ph),5.59(t,J=7.5Hz,1H, 1-H),2.33-2.17(m ,2H,2’-H),1.93-1.63(m,2H,2-H),1.52-1.36(m,3H,3’-H,4’-H ),0.88-0.73(m,9H,3-H,Me,Me);
  13 C NMR(CDCl 3 ):d 173.3,140.7,128.3,127.7,126.5,77.0,33.7,32.6,29.3,27.6, 22.19,22.15,9.9;
 HR MS:calcd for C 15 H 22 O 2 Na (M+Na + ) 257.1512,found 257.1509.

(R)-2-メチル-1-フェニルプロピル プロパノエ ト
 HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=1.0mL/m in);t R =7.3min(95.0%),t R =9.1min(5.0%);
 IR(neat):3033,1739,1605,1495,739,701cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.39-7.13(m,5H,Ph),5.40(d,J=7.5Hz,1H,1-H),2.37-2.18(m,2H ,2’-H)2.09-1.93(m,1H,2-H),1.06(t,J=7.5Hz,1H,3’-H),0.89(d ,J=6.6Hz,3H,Me)0.72(d,J=6.6Hz,3H,Me);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ173.6,139.8,128.1,127.6,126.9,80.6,33.5,27.8,18.7,18.4,9 .1;
 HR MS:calcd for C 13 H 18 O 2 Na(M+Na + )229.1199,found 229.12000.

(R)-2-メチル-1-1フェニルプロピル 3-フェニル ロパノエート
 HPLC(CHIRALCEL AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in);t R =12.4min(96.0%),t R =18.3min(4.0%);
 IR (neat):3030,1734,1604,1496,751,699cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):d7.28-7.02(m,10H,Ph),5.41(d,J=7.5Hz,1H,1-H),2.88(t,J=7.5Hz ,2H,2’-H),2.65-2.53(m,2H,3’-H),2.07-1.83(m,1H,2-H),0.85( d,J=7.0Hz,3H,Me),0.70(d,J=7.0Hz,3H,Me);
  13 C NMR(CDCl 3 ):d172.1,140.4,139.6,128.4,128.2,128.1,127.6,127.0,126.2,81. 0,36.0,33.4,30.9,18.6,18.4;
 HR MS:calcd for C 19 H 22 O 2 Na(M+Na + )305.1512,found 305.1520.

(R)-2,2-ジメチル-1-フェニルプロピル プロパ エート
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/1000,flow rate=0.5mL /min);t R =11.1min(96.4%),t R =13.2min(3.6%);
 IR(neat):3033,1740,1495,738,702cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):d 7.37-7.23(m,5H,Ph),5.51(s,1H,1-H),2.56-2.30(m,2H,2’-H ),1.17(t,J=7.5Hz,3H,3’-H),0.94(s,9H,t-Bu);
  13 C NMR(CDCl 3 ):d 173.4,138.6,127.7,127.5,127.4,82.5,35.0,27.9,26.0,9.2;
 HR MS:calcd for C 14 H 20 O 2 Na(M+Na + )234.1356,found 234.1354.

(R)-2,2-ジメチル-1-フェニルプロピル 3-フェニ ルプロパノエート
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in);t R =11.9min(97.9%),t R =12.9min(2.1%);
 IR(neat):3030,1737,1604,1496,740,702cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.40-7.17(m,10H,Ph),5.53(s,1H,1-H),3.00(t,J=7.5Hz,2H,2 -H),2.79-2.68(m,2H,3’-H),0.93(s,9H,t-Bu);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ172.0,14.04,138.4,128.5,128.2,127.7,127.6,127.4,126.2,82 .9,36.0,35.0,30.9,26.0;
 HR MS:calcd for C 20 H 24 O 2 Na(M+Na + )319.1669,found 319.1660.

[実施例4 反応溶媒の効果]
 不斉エステル化触媒として(+)-ベンゾテトラ ミソールを用いて、溶媒を変更させて、反応 式(12)に従って、実施例1と同様の条件で反応 せた。

 

 その結果を表4に示す。

[実施例5 カルボン酸上の置換基がエステル 成反応に及ぼす効果]
 不斉エステル化触媒として(+)-ベンゾテトラ ミソールを用い、反応式(13)に従って、実施 1と同様の条件で反応させた。なお、2級アル コールと反応させるカルボン酸については、 反応式(13)中、R 1 で示される官能基を、表5の通り変更した。

 その結果を表5に示す。

(R)-1-フェニルプロピル シクロヘキサンカル キシレート
 HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in);t R =11.2min(88.0%),t R =13.6min(12.0%);
 IR(neat):3033,1742,1452,757,700cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.29-7.12(m,5H,Ph),5.59(t,J=7.5Hz,1H,1-H),2.32-2.17(m,1H ,2’-H),1.92-1.05(m,12H,2-H,3’-H,4’-H,5’-H),0.81(t,J= 7.5Hz,3H,3-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ175.3,140.9,128.3,127.6,126.3,76.6,43.3,29.5,29.0,28.9,2 5.7,25.43,25.40,9.9;
 HR MS:calcd for C 16 H 22 O 2 Na (M+Na + )269.1512,found 269.1509.

[実施例6 2級アルコール上の置換基がエステ 生成反応に及ぼす影響]
 不斉エステル化触媒として(+)-ベンゾテトラ ミソールを用い、反応式(14)に従って、実施 1と同様に反応させた。なお、反応式(14)に示 した2級アルコールの有するベンゼン環上の 換基は、表6の通り変更した。

 その結果を表6に示す。

(S)-1-フェニルエタノール
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in):t R =30.5min(9.8%),t R =37.8min(90.2%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.41-7.31(m,3H,Ph),7.28(tt,J=6.7,1.9Hz,2H,Ph),4.94-4.85( m,1H,1-H),1.86-1.74(br s,1H,OH),1.51(dd,J=6.4,0.9Hz,3H,2-H) .

(S)-1-(4-フルオロフェニル)エタノール
 HPLC(CHIRALPAK AS-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in):t R =33.4min(16.3%),t R =37.6min(83.7%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.20-7.13(m,2H,Ph),6.92-6.85(m,2H,Ph),4.68(q,J=6.5Hz,1H, 1-H),3.18(br s,1H,OH),1.31(d,J=6.5Hz,3H,2-H).

(S)-1-(4-ニトロフェニル)エタノール
 HPLC(CHIRALPAK AS-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=1.0mL/mi n):t R =23.2min(11.5%),t R =29.2min(88.5%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ8.15(d,J=8.7Hz,2H,Ph),7.51(d,J=8.7Hz,2H,Ph),5.05-4.94(m, 1H,1-H),2.34-2.15(m,1H,OH),1.49(d,J=6.3Hz,3H,2-H).

(S)-1-(4-シアノフェニル)エタノール
 HPLC(CHIRALPAK AS-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=1.0mL/mi n):t R =29.2min(14.7%),t R =42.9min(85.3%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.55-7.48(m,2H,Ph),7.42-7.36(m,2H,Ph),4.85(q,J=6.6Hz,1H, 1-H),2.71-2.56(m,1H,OH),1.39(d,J=6.3Hz,3H,2-H).

(S)-1-(4-トリル)エタノール
 HPLC(CHIRALPAK AS-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in):t R =27.6min(10.1%),t R =31.0min(89.9%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.34(d,J=8.1Hz,2H,Ph),7.25(d,J=8.1Hz,2H,Ph),4.91(dq,J=6. 3,3.2Hz,1H,1-H),2.62-2.53(m,1H,OH),2.46(s,3H,Me),1.56(d,J=6. 3Hz,3H,2-H).

(S)-1-(4-メトキシフェニル)エタノール
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in):t R =48.6min(38.3%),t R =58.6min(61.7%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.18-7.10(m,2H,Ph),6.78-6.69(m,2H,Ph),4.66(qd,J=6.3,2.4H z,1H,1-H),3.65(s,3H,OMe),2.63(brs,1H,OH),1.32(d,J=6.3Hz,3H,2 -H).

(S)-1-(2-トリル)エタノール
 HPLC(CHIRALPAK IA,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/min ):t R =23.4min(9.6%),t R =25.9min(90.4%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.45(dd,J=7.8,1.5Hz,1H,Ph),7.22-7.06(m,3H,Ph),5.03(q,J=6 .0Hz,1H,1-H),2.38-2.34(br s,1H,OH),2.29(s,3H,Me),1.39(d,J=7 .0Hz,3H,2-H).

(R)-1-フェニルエチル 3-フェニルプロパノエ ト
 HPLC(CHIRALPAK AS-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.3mL/m in):t R =18.3min(94.6%),t R =20.0min(5.4%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.28-7.05(m,10H,Ph),5.80(q,J=6.6Hz,1H,1-H),2.86(t,J=7.5H z,2H,2’-H),2.67-2.48(m,2H,3’-H),1.41(d,J=6.6Hz,3H,2-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ172.1,141.6,140.4,128.4,127.8,126.2,126.0,72.3,36.1,30.9 ,22.1.

(R)-1-(4-フルオロフェニル)エチル 3-フェニル ロパノエート
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in):t R =13.4min(7.5%),t R =16.0min(92.5%);
 IR(neat):3029,1733,1605,1513,835,750,700cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.25-7.05(m,7H,Ph),6.97-6.83(m,2H,Ph),5.78(q,J=7.0Hz,1H, 1-H),2.86(t,J=7.5Hz,2H,2’-H),2.64-2.51(m,2H,3’-H),1.40(d ,J=7.0Hz,3H,2-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ172.1,162.3(d,J=246.0Hz),140.3,137.4,128.5,128.3,127.9(d ,J=8.3Hz),126.2,115.3(d,J=21.7Hz),71.7,36.1,30.9,22.1;
 HR MS:calcd for C 17 H 17 FO 2 Na (M+Na + )295.1105,found 295.1093.

(R)-1-(4-ニトロフェニル)エチル 3-フェニルプ パノエート
 HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/mi n):t R =16.9min(91.5%),t R =36.1min(8.5%);
 IR(neat):3029,1734,1605,1522,1348,855,752,699cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ8.10-8.02(m,2H,Ph),7.33-7.25(m,2H,Ph),7.22-7.05(m,5H,Ph) ,5.81(q,J=6.6Hz,1H,1-H),2.87(t,J=7.5Hz,2H,2’-H),2.71-2.53( m,2H,3’-H),1.42(d,J=6.6Hz,3H,2-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ171.9,148.9,147.3,140.0,128.4,128.2,126.6,126.3,123.7,71 .2,35.8,30.8,22.1;
 HR MS:calcd for C 17 H 17 NO 4 Na (M+Na + )322.1050,found 322.1054.

(R)-1-(4-シアノフェニル)エチル 3-フェニルプ パノエート
 HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/mi n):t R =16.9min(91.4%),t R =25.6min(8.6%);
 IR(neat):3029,2229,1736,1609,1497,838,753,700cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.54-7.46(m,2H,Ph),7.28-7.04(m,7H,Ph),5.77(q,J=6.6Hz,1H, 1-H),2.87(t,J=7.5Hz,2H,2-H),2.69-2.52(m,2H,3’-H),1.40(d,J= 6.6Hz,3H,2-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ171.8,146.8,140.0,132.3,128.4,128.2,126.4,126.2,118.5,11 1.4,71.4,35.8,30.7,22.0;
 HR MS:calcd for C 18 H 17 NO 2 Na (M+Na + )302.1151,found 302.1165.

(R)-1-(4-トリル)エチル 3-フェニルプロパノエ ト
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in):t R =11.3min(5.4%),t R =12.6min(94.6%);
 IR(neat):3028,1738,1604,1517,817,750,700cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.20-7.02(m,9H,Ph),5.77(q,J=6.7Hz,1H,1-H),2.85(t, J=7.6 Hz,2H,2’-H),2.60-2.49(m,2H,3’-H),2.25(s,3H,Me),1.40(dd,J =6.7,1.5Hz,3H,2-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ172.1,140.5,138.6,137.5,129.1,128.4,128.3,126.1,126.0,72 .2,36.1,30.9,22.0,21.1;
 HR MS:calcd for C 18 H 20 O 2 Na (M+Na + )291.1356,found 291.1364.

(R)-1-(4-メトキシフェニル)エチル 3-フェニル ロパノエート
 HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/4,flow rate=0.5mL/mi n):t R =27.3min(4.0%),t R =31.6min(96.0%);
 IR(neat):3029,1730,1612,1516,831,751,700cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.22-7.04(m,7H,Ph),6.82-6.73(m,2H,Ph),5.77(q,J=6.6Hz,1H, 1-H),3.71(s,3H,OMe),2.85(t,J=7.7Hz,2H,2’-H),2.63-2.45(m,2H ,3’-H),1.40(d,J=6.6Hz,3H,2-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ172.1,159.2,140.4,133.6,128.4,128.3,127.5,126.1,113.7,72 .0,55.2,36.1,30.9,21.9;
 HR MS:calcd for C 18 H 20 O 3 Na (M+Na + ) 307.1305,found 307.1317.

(R)-1-(2-トリル)エチル 3-フェニルプロパノエ ト
 HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in):t R =26.7min(4.4%),t R =32.8min(95.6%);
 IR(neat):3028,1733,1604,1494,761,699cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.26-7.21(m,1H,Ph),7.20-7.14(m,2H,Ph),7.12-7.01(m,6H,Ph) ,5.99(q,J=6.7Hz,1H,1-H),2.62-2.50(m,2H,3’-H),2.26(s,3H,3-H ),1.38(d,J=6.4Hz,3H,2-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ172.0,140.4,140.0,134.7,130.3,128.4,128.2,127.5,126.21,1 26.16,125.2,69.3,36.0,30.9,21.3,19.0;
 HR MS:calcd for C 18 H 20 O 2 Na (M+Na + )291.1356,found 291.1362.

[実施例7 2級アルコールの有する芳香族環を 化させた場合のエステル生成反応への影響]
 ジクロロメタン0.2モル中に、1-(2-ナフチル)- 1-エタノール1当量に対して、3-フェニルプロ オン酸0.5当量、安息香酸無水物(Bz 2 O)又はパラメトキシ安息香酸無水物(PMBA)0.60当 量、(+)-ベンゾテトラミソール5モル%、ジイソ プロピルエチルアミン1.2当量を加え、反応式 (15)に従って室温で12時間反応させた。有機層 を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃 縮した。生成した光学活性エステル及び未反 応の光学活性アルコールをシリカゲル薄層ク ロマトグラフィーにより得た。

 また、2級アルコールである1-(2-ナフチル)-1- エタノールを、1-(1-ナフチル)-1-エタノールに 変更して同様の反応を行った。以上の結果を 表7に示す。

(S)-1-(2-ナフチル)エタノール
 HPLC(CHIRALCEL OB-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/mi n):t R =17.1min(90.3%),t R =19.3min(9.7%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.79-7.69(m,4H,Ph),7.46-7.33(m,3H,Ph),4.98(q,J=6.4Hz,1H, 1-H),2.00(br s,1H,OH),1.50(d,J=6.4Hz,3H,2-H).

(S)-1-(1-ナフチル)エタノール
 HPLC(CHIRALCEL OB-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/mi n):t R =18.1min(94.3%),t R =21.8min(5.7%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ8.08-8.00(m,1H,Ph),7.84-7.75(m,1H,Ph),7.70(d,J=8.3Hz,1H, Ph),7.60(d,J=7.2Hz,1H,Ph),7.50-7.36(m,3H,Ph),5.60(q,J=6.4Hz, 1H,1-H),1.88(br s,1H,OH),1.60(d,J=6.4Hz,3H,2-H).

(R)-1-(2-ナフチル)エチル 3-フェニルプロパノ ート
 HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in):t R =17.0min(96.3%),t R =26.3min(3.7%);
 IR(neat):3027,1732,1603,1497,818,748,699cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.80-7.65(m,4H,Ph),7.45-7.32(m,3H,Ph),7.22-7.05(m,5H,Ph) ,5.97(q,J=6.6Hz,1H,1-H),2.88(t,J=7.7Hz,2H,2’-H),2.69-2.52( m,2H,3’-H),1.51(d,J=6.6Hz,3H,2-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ172.2,140.4,138.9,133.1,133.0,128.4,128.31,128.28,128.0, 127.6,126.21,126.19,126.0,125.0,124.1,72.5,36.1,30.9,22.1;
 HR MS:calcd for C 21 H 20 O 2 Na (M+Na + )327.1356,found 327.1368.

(R)-1-(1-ナフチル)エチル 3-フェニルプロパノ ート
 HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in):t R =16.0min(95.7%),t R =21.2min(4.3%);
 IR(neat):3027,1732,1598,1496,800,778,699cm -1 ;
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ8.01-7.93(m,1H,Ph),7.82-7.68(m,2H,Ph),7.51-7.30(m,4H,Ph) ,7.24-7.05(m,5H,Ph),6.57(q,J=6.6Hz,1H,1-H),2.90(t,J=7.8Hz,2H ,2’-H),2.71-2.54(m,2H,3’-H),1.59(d,J=6.6Hz,3H,2-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ172.2,140.4,137.3,133.8,130.2,128.9,128.43,128.39,128.28 ,126.3,126.2,125.3,123.2,123.1,69.5,36.1,30.9,21.6;
 HR MS:calcd for C 21 H 20 O 2 Na (M+Na + )327.1356,found 327.1365.

[実施例8 三重結合を有する2級アルコールを いたエステル生成反応(1)]
 不斉エステル化触媒として、(+)-ベンゾテト ラミソールを用い、反応式(16)に従って、実 例1と同様に反応させた。なお、酸無水物と ては、安息香酸無水物(Bz 2 O)又は4-メチル安息香酸無水物(TolBA)を用いた

 その結果を表8に示す。

(S)-4-フェニル-3-ブチン-2-オール
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in):t R =14.7min(12.6%),t R =17.0min(87.4%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.24-6.97(m,5H,Ph),4.50(q,J=6.6Hz,1H,1-H),1.82(br s,1H, OH),1.30(d,J=6.6Hz,3H,2-H).

(R)-2-(4-フェニルブタ-3-イン)イル 3-フェニル ロパノエート
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in):t R =19.4min(89.2%),t R =22.4min(10.8%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.40-7.06(m,10H,Ph),5.62(q,J=6.6Hz,1H,1-H),2.91(t,J=7.5H z,2H,2’-H),2.70-2.51(m,2H,3’-H),1.47(d,J=6.6Hz,3H,2-H).

[実施例9 三重結合を有する2級アルコールを いたエステル生成反応(2)]
 不斉エステル化触媒として、(+)-ベンゾテト ラミソールを用い、2級アルコールとして1-フ ェニル-2-ヘプチン-1-オールを用いて、反応式 (17)に従って実施例1と同様に反応させた。な 、(+)-ベンゾテトラミソールの添加量は5モ %とし、ジイソプロピルエチルアミンの添加 は1.35当量とした。

 また、2級アルコールの三重結合を、カル ボニルコバルト錯体で保護した化合物につい ても、以下の要領に従って同様にエステル生 成反応を行った。

 (アルキニルアルコールのコバルト錯体化)
 1-フェニル-2-ヘプチン-1-オール295.8mg(1.571mmol )のジエチルエーテル溶液16mLに対し、オクタ ルボニルジコバルト590.9mg(1.728mmol)を室温で 加した。反応混合液を1時間室温で攪拌した 後に減圧濃縮し、得られた混合物を、シリカ ゲル薄層クロマトグラフィーを用いて分取す ることにより、対応するコバルト錯体化アル コール(678.0mg、91%)が得られた。

 (アルキニルアルコール-コバルト錯体の不 エステル化)
 コバルト錯体化アルコール44.8mg(0.0945mmol、1. 0当量)、安息香酸無水物19.2mg(0.0850mmol、0.90当 )及び3-フェニルプロピオン酸10.6mg(0.0709mmol 0.75当量)のジクロロメタン溶液(0.9mL)に対し ジイソプロピルエチルアミン0.022mL(0.128mmol、 1.35当量)及び(+)-ベンゾテトラミソール2.4mg(9.4 5μmol、10モル%)をそれぞれ室温で順番に加え 。反応混合液を12時間攪拌した後、飽和重曹 水で反応を停止した。有機層を分取した後、 水槽をジクロロメタンで3回抽出した。有機 を混合した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥 た。溶液を濾過した後に減圧濃縮し、得ら た混合物をシリカゲル薄層クロマトグラフ ーを用いて分取することにより、対応する 学活性なコバルト錯体化エステル20.9mg(収率3 7%、97%ee)ならびに未反応の光学活性なコバル 錯体化アルコール15.1mg(収率34%、80%ee)が得ら れた。s=181であった。

 (脱錯体化による光学活性アルキニルエステ ルの合成)
 コバルト錯体化エステル20.9mg(0.0345mmol)のメ ノール溶液0.3mLに対し、セリウムアンモニ ムニトレート75.6mg(0.138mmol)を0℃で加えた。 応混合液を1時間攪拌した後、水で反応を停 した。有機層を分取した後、水槽を酢酸エ ルで3回抽出した。有機層を混合した後、無 水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過し た後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリカ ゲル薄層クロマトグラフィーを用いて分取す ることによりアルキニルエステル9.1mg(収率83% 、97%ee)が得られた。

 (脱錯体化による光学活性アルキニルアルコ ールの合成)
 コバルト錯体化アルコール15.1mg(0.0318mmol)の タノール溶液0.3mLに対し、セリウムアンモ ウムニトレート69.8mg(0.127mmol)を0℃で加えた 反応混合液を1時間攪拌した後、水で反応を 止した。有機層を分取した後、水槽を酢酸 チルで3回抽出した。有機層を混合した後、 無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾過 した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシリ カゲル薄層クロマトグラフィーを用いて分取 することによりアルキニルアルコール4.5mg(収 率75%、79%ee)が得られた。

 以上の結果を表9に示す。

 表9より、2級アルコールの不斉炭素に隣 する両方の炭素が多重結合を有している場 、エステル生成反応の立体選択性が低下す ことが分かる。その一方で、片方の多重結 である三重結合をコバルト錯体により保護 ることにより、立体選択性が回復し、高い ナンチオ選択率で反応が進行することが分 る。

(R)-1-フェニル-2-ヘプチン-1-オール
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/mi n);t R =12.6min(10.6%),t R =16.6min(89.4%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.55(d,J=7.2Hz,2H,Ph),7.41-7.23(m,3H,Ph),5.47-5.45(m,1H, 1-H),2.28(dt,J=6.9,2.1Hz,2H,4-H),2.07(d,J=6.0Hz,1H,OH),1.58- 1.39(m,4H,5-H,6-H),0.92(t,J=6.9Hz,3H,7-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ141.2,128.5,128.2,126.6,87.7,79.8,64.8,30.6,21.9,18.5,13 .6.

(R)-1-フェニル-2-ヘプチン-1-オール-コバルト 体
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in);t R =22.5min(10.1%),t R =27.3min(89.9%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.45-7.29(m,5H,Ph),5.91(d,J=3.3Hz,1H,1-H),2.70(dt,J=9.0, 5.7Hz,2H,4-H),2.29(d,J=3.3Hz,1H,OH),1.66-1.41(m,4H,5-H,6-H), 0.67(t,J=6.9Hz,3H,7-H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ199.6,143.8,128.5,128.1,125.3,101.7,99.1,74.2,34.0,33.2, 22.7,13.8.

(S)-1-(1-フェニルヘプタ-2-イン)イル 3-フェニ プロパノエート
 HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=0.5mL/m in);t R =21.8min(1.6%),t R =24.0min(98.4%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.49-7.15(m,10H,Ph),6.47(t,J=2.1Hz,1H,1-H),2.96(t,J=7.8H z,2H,3’-H),2.69(dd,J=7.8,3.9Hz,2H,2’-H),2.27(dt,J=7.2,2. 1Hz,2H,4’-H),1.58-1.35(m,4H,5-H,6-H),0.91(t,J=6.9Hz,3H,7-H ).

(S)-1-(1-フェニルヘプタ-2-イン)イル 3-フェニ プロパノエート-コバルト錯体
 HPLC(CHIRALPAK AD-H,i-PrOH/hexane=1/300,flow rate=0.5mL/ min);t R =15.2min(98.7%),t R =22.8min(1.3%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.39-7.17(m,10H,Ph),7.00(s,1H,1-H),3.00(t,J=7.6Hz,2H,3 -H),2.77(t,J=7.6Hz,1H,2’-H),2.73-2.57(m,2H,4-H),1.59-1.41 (m,4H,5-H,6-H),0.96(t,J=7.2Hz,3H,7-H).

[実施例10 ベンゼン環以外の二重結合がエス ル生成反応に与える影響(1)]
 不斉エステル化触媒として、(+)-ベンゾテト ラミソールを用い、反応式(18)に従って、実 例1と同様に反応させた。

 収率は、(S)-2-(3-フェニルプロピルオキシ) プロパノエートが39%、ベンジル(R)-2-ヒドロキ シプロパノエートが46%、エナンチオ選択率は 、(S)-2-(3-フェニルプロピルオキシ)プロパノ ートが77%、(R)-2-ヒドロキシプロパノエート 47%、sは12であった。

ベンジル(R)-2-ヒドロキシプロパノエート
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/50,flow rate=1.0mL/m in):t R =19.4min(87.5%),t R =21.9min(12.5%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ6.91-6.87(m,5H,Ph),4.69(s,2H,2’-H),3.80(qd,J=7.2,5.3Hz ,1H,1-H),2.28(d,J=5.3Hz,1H,OH),0.92(d,J=7.2Hz,3H,2-H).

ベンジル(S)-2-(3-フェニルプロピルオキシ)プ パノエート
 HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/1,flow rate=0.5mL/mi n):t R =24.4min(11.3%),t R =29.9min(88.7%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.58-7.31(m,10H,Ph),5.39-5.25 (m,3H),3.12(t,J=7.8Hz,2H) ,2.96-2.77(m,2H),1.64(d,J=7.2Hz,3H).

[実施例11 ベンゼン環以外の二重結合がエス ル生成反応に与える影響(2)]
 不斉エステル化触媒として、(+)-ベンゾテト ラミソールを用い、2級アルコールとして、 記(A)、又は(B)で示される化合物を用いて、 応式(19)に従って、実施例1と同様に反応させ た。

 その結果を表10に示す。

(S)-1-(2-チエニル)エタノール
 HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/mi n):t R =17.1min(58.4%),t R =20.4min(41.6%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.16(dd,J=4.7,2.1Hz,1H,thienyl 5-H),6.98-6.86(m,2H,thie nyl 3,4-H),5.13-4.99(m,1H,1-H),1.93(br s,1H,OH),1.53(d,J=6 .6Hz,3H,2-H).

(S)-1-(2-フリル)エタノール
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/100,flow rate=0.5mL/ min):t R =14.9min(58.2%),t R =17.2min(41.8%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.30(dd,J=2.4,1.8Hz,1H,furyl 5-H),6.25(dd,J=2.4,1.8Hz,1 H,furyl 4-H),6.18-6.13(m,1H,furyl 3-H),4.81(dq,J=10.5,6.6H z,1H,1-H),1.89(br s,1H,OH),1.47(d,J=6.6Hz,3H,2-H).

(R)-1-(2-チエニル)エチル 3-フェニルプロパノ ート
 HPLC(CHIRALCEL OJ-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/mi n):t R =20.7min(15.7%),t R =23.9min(84.3%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.24-7.06(m,6H,Ph,thienyl 5-H),6.97-6.93(m,1H,thienyl  4-H),6.88(dd,J=5.0,3.5Hz,thienyl 3-H),6.10(q,J=6.6Hz,1H,1-H ),2.87(t,J=7.2Hz,2H,2’-H),2.61-2.53(m,2H,3’-H),1.53(d,J= 6.6Hz,3H,2-H).

(R)-1-(2-フリル)エチル 3-フェニルプロパノエ ト
 HPLC(CHIRALCEL OD-H,i-PrOH/hexane=1/100,flow rate=0.5mL/ min):t R =14.5min(23.5%),t R =16.3min(76.5%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.54-7.50(m,1H,furyl 5-H),7.45-7.28(m,5H,Ph),6.50-6.41( m,J=6.6Hz,furyl 3,4-H),6.10(q,J=6.6Hz,1H,1-H),3.08(t,J=7.8H z,2H,2’-H),2.82-2.72(m,2H,3’-H),1.74-1.66(m,3H,2-H).

[実施例12 ヒドロキシカルボン酸を用いた光 活性ラクトンの合成反応]
 安息香酸無水物15.0mg(0.0663mmol)及び(+)-ベンゾ テトラミソール1.1mg(0.0044mmol)のジクロロメタ 溶液4.3mLに対し、ジイソプロピルエチルア ン27.0μL(0.155mmol)及び16-フェニルヘキサデカ 酸30.3mg(0.0869mmol)をそれぞれ室温で順番に加 た。反応混合液を12時間室温で攪拌した後、 飽和塩化アンモニウム水溶液で反応を停止し た。有機層を分取した後、水層をジエチルエ ーテルで3回抽出した。有機層を混合した後 無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶液を濾 した後に減圧濃縮し、得られた混合物をシ カゲル薄層クロマトグラフィーを用いて分 することにより、対応する光学活性ラクト 4.2mg(収率15%、100%ee)ならびに未反応の光学活 ヒドロキシカルボン酸9.3mg(収率31%、66%ee)が れぞれ得られた。

 ジクロロメタンの添加量、及び添加する 無水物の種類(パラメトキシ無水安息香酸(PM BA)、又は3,4,5-トリメトキシ安息香酸無水物(TM BA)を変化させて、同様の試験を行った。

 その結果を表11に示す。

 表11より、ヒドロキシカルボン酸を基質 して不斉エステル生成反応を行った場合、 ドロキシカルボン酸のヒドロキシル基とカ ボキシル基とが立体選択性をもって縮合し 光学活性なラクトンを生成することが分か た。

(S)-16-ヒドロキシ-16-フェニルヘキサデカン酸
 HPLC of the corresponding diol derived from the hy droxycarboxylic acid(CHIRALCEL OB-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow  rate=0.5mL/min);t R =16.2min(82.8%),t R =25.8min(17.2%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.35-7.15(m,5H,Ph),4.59(dd,J=7.4,6.0Hz,1H),2.26(t,J=7.5H z,2H),1.80-1.06(m,26H).

(R)-16-フェニルヘキサデカノライド
 HPLC of the corresponding diol derived from the la ctone(CHIRALCEL OB-H,i-PrOH/hexane=1/9,flow rate=0.5mL/min );t R =16.2min(<0.1%),t R =25.8min(>99.9%);
  1 H NMR(CDCl 3 ):δ7.41-7.13(m,5H,Ph),5.78(dd,J=9.6,3.6Hz,1H),2.42-2.17(m,2 H),1.97-1.02(m,26H);
  13 C NMR(CDCl 3 ):δ173.3,141.3,128.4,127.6,126.2,75.5,36.8,34.7,28.3,28.0,2 7.8,27.7,27.0,27.0,26.9,26.8,26.7,25.1,25.0;
 HR MS:calcd for C 22 H 34 O 2 Na (M+Na + )353.2456,found 353.2584.

 本発明によると、ラセミの2級アルコール とカルボン酸から光学活性カルボン酸エステ ルを直接、製造できる。

 得られた光学活性エステル及び分離され 光学活性2級アルコールは、医薬品、生理活 性物質の中間体、天然物合成の中間体等とし て、様々な分野に使用される。