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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR PRODUCTION OF TONER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/031403
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a toner by employing a pulverization process using a binder resin comprising a polyester resin, which enables to produce a toner having a high transfer ratio and a high charging property while reducing the amount of a charge control agent used in the pulverization process. Specifically disclosed is a method for producing a positively chargeable toner for static charge image development by using a raw material comprising a binder resin comprising a polyester resin, a wax, a charge control agent and a coloring agent, which comprises: a heating/mixing step of heating and kneading the binder resin, the wax, the charge control agent and the coloring agent to produce a kneaded material; a pulverizing step of pulverizing the kneaded material to produce a pulverized material; and a spheroidizing step of heating the pulverized material in a fluidized state in the stream of air to spheroidize the heated material, wherein the charge control agent comprises a copolymer having a specified quaternary ammonium salt group, and wherein the flow tester 4mm-descent temperature (as defined in the description) of the polyester resin (T4r; °C) and the flow tester 4mm-descent temperature of the charge control agent (T4c;°C) meet the following formula: T4c < T4r+10°C.

Inventors:
OKAMURA KAZUMA (JP)
AKIYAMA SATORU (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/064756
Publication Date:
March 12, 2009
Filing Date:
August 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
IMEX CO LTD (JP)
OKAMURA KAZUMA (JP)
AKIYAMA SATORU (JP)
International Classes:
G03G9/087; G03G9/08; G03G9/097
Foreign References:
JP2001312100A2001-11-09
JPH05188645A1993-07-30
JPS6360458A1988-03-16
JPH0380259A1991-04-05
JPH11295929A1999-10-29
JPS60134248A1985-07-17
Attorney, Agent or Firm:
AIKAWA, Toshihiko (12-5 Minami Ikebukuro 2-chom, Toshima-ku Tokyo 22, JP)
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Claims:
 ポリエステル樹脂を含有するバインダー樹脂と、ワックスと、荷電制御剤と、着色剤と、を少なくとも含有する原料を用い正帯電性静電荷像現像用トナーを製造する製造方法であって、
 少なくともバインダー樹脂とワックスと荷電制御剤と着色剤とを加熱及び混練し混練物とする加熱混合ステップと、
 加熱混合ステップにて調製された混練物を粉砕して粉砕物とする粉砕ステップと、
 粉砕ステップにて得られた粉砕物を気流中で流動状態にて加熱処理し球形化する球形化処理ステップと、
を少なくとも含んでなり、
 荷電制御剤が、少なくとも以下の式(I)及び式(II)にて示される繰り返し単位を含む第4級アンモニウム塩基含有共重合体を含み、
(但し、式I中、R1は水素原子又はメチル基である。)
(但し、式II中、R2は水素原子又はメチル基であり、R3はアルキレン基であり、R4、R5及びR6はそれぞれ異なっても同一でもよいアルキル基である。)
 該ポリエステル樹脂のフローテスター4mm降下温度(T4r:単位℃)と、荷電制御剤のフローテスター4mm降下温度(T4c:単位℃)と、が、次の(式1)を満たすものである、正帯電性静電荷像現像用トナーの製造方法。
  T4c<T4r+10℃ (式1)
 バインダー樹脂中の前記ポリエステル樹脂の含有率が、80重量%以上である、請求項1に記載の正帯電性静電荷像現像用トナーの製造方法。
 ワックスのフローテスター4mm降下温度(T4w:単位℃)が、荷電制御剤のフローテスター4mm降下温度(T4c:単位℃)よりも高いものである、請求項1又は2に記載の正帯電性静電荷像現像用トナーの製造方法。
 ワックスの融点(Tmw:単位℃)が、荷電制御剤のフローテスター4mm降下温度(T4c:単位℃)と次の(式2)又は(式3)を満たすものである、請求項1又は2に記載の正帯電性静電荷像現像用トナーの製造方法。
  Tmw>T4c-10℃ (式2)
  Tmw=T4c-10℃ (式3)
 前記混練物中の荷電制御剤の含有量が1~15重量%であり、かつ前記混練物中のワックスの含有量が1~10重量%である、請求項1乃至4のいずれか1に記載の正帯電性静電荷像現像用トナーの製造方法。
 請求項1乃至5のいずれか1に記載の正帯電性静電荷像現像用トナーの製造方法により製造され得るトナー。
Description:
トナーの製造方法

 本発明は、トナーの製造方法に関し、よ 詳細には、ポリエステル樹脂を含有するバ ンダー樹脂を用いた粉砕法(原料を加熱混練 した後に粉砕する粉砕ステップを含む製造方 法)において、トナーを製造する際に用いる 電制御剤の使用量を抑えつつ、高い転写率 高い帯電性能を有するトナーを製造するこ ができるトナーの製造方法に関する。

 電子写真方式を利用した画像形成方法にお ては、感光体を一様に帯電させ、次いで感 体を露光して露光部分の電荷を消散させる とにより静電荷的な潜像を形成し、静電荷 にトナーを付着させることにより可視化し 現像し、可視化像を紙などの材料に転写し 転写された像を加熱等の手段により定着さ る。現像方式には磁性又は非磁性のトナー1 種類のみを用いる1成分方式と、トナーとキ リアとの2種類の粉体等を用いる2成分方式と が知られている。
 かかるトナーは、電子写真方式を利用した 写機(コピー装置)やプリンター等において に多くのものが用いられている(例えば、特 文献1参照)。特許文献1においては、「電子 真は、光学像を静電荷電のような電子性の 像に変換したのち、この静電潜像上に着色 た帯電性トナー粒子を現像させて可視画像 し、さらにトナーを紙上に転写させたのち 加熱、圧力などにより定着させて複写物を る記録技術であって、操作性、迅速性、最 画像の安定性に優れるために、複写機のほ 、レーザープリンター、ファクシミリなど 広く応用されている。トナー粒子としては 熱可塑性樹脂に磁性粉を分散した磁性トナ が広く用いられている。磁性トナーは、熱 塑性樹脂に、磁性粉、ワックス、帯電制御 などを配合し、加熱混合機を用いて溶融混 し、磁性粉を分散させたのち、室温まで冷 した材料を粉砕機で粉砕し、さらに分級す ことによりサイズを揃えて使用される。さ に、トナーの流動性、耐久性を高める目的 、シリカなどの無機微粉末を添加されるこ が多い。磁性トナーは、含有される磁性粉 粒径、樹脂との混合割合、分散状態により 電特性、磁化特性が大きく変化する。加熱 合機として押出機を用いると、粒径が細か 、凝集力の強い磁性粉を使用したとき、磁 粉の分散が不良となりやすく、トナー粒子 帯電量分布がブロードになり、ブローオフ 電量値が低くなる。画像性においても、印 枚数の増加に伴って画像濃度が低下すると う問題が生じていた。また、ワックスは、 ナーの紙上への定着過程において、定着機 備えられた熱ローラーからの離型剤として ナー中に添加され、ワックス含有量を多く るほど耐オフセット性が向上する。加熱混 機としてバッチ式密閉混練機を用いると、 ックスの含有量を増やしたとき、ワックス 分散が不良となりやすく、磁性トナーの流 性、耐ブロッキング性、耐環境安定性が低 したり、トナー製造装置内及び電子写真プ セス内のトナー付着など数々の問題が生じ いた」(特許文献1中の段落番号0002)ものが開 示されている。また、本出願人もこれまでト ナーに関し特許出願を行っている(特許文献2~ 5)。

 上記した1成分方式及び2成分方式の別を問 ず、用いるトナーには、静電荷的な潜像が 成される前の感光体表面の正又は負の帯電 性に対応して、正又は負いずれかの極性の 電を付与し、保持させる必要がある。
 即ち、かかるトナーは、良好な画像を得る めには静電気力によって静電潜像上にトナ 粒子がうまく現像される必要があり、これ 実現するにはトナーが十分な荷電量を有す と共にその荷電を所定の時間内保持するこ が必要とされる。このような高荷電量かつ 荷電保持性といった高い帯電性能をトナー 付与するには、トナーを構成する構成成分 るバインダー樹脂、着色剤、外添剤等の材 固有の摩擦荷電性を利用することも考えら るが、一般的には、かかる材料固有の摩擦 電性により得られる帯電性能(荷電量及び荷 電持続性)のみでは良好な画像形成が達成で ないこともある(具体的には、このような材 固有の摩擦荷電性により得られる帯電性能 みでは、画像に白地カブリが生じたり、画 が不鮮明になる傾向がある。)。

 このため良好な画像形成に必要な帯電性能( 荷電量及び荷電持続性)をトナーに付与する め、トナーに高い帯電性能(荷電量及び荷電 続性)を付与することができる物質である所 謂荷電制御剤をトナーに添加することが行わ れている。このような荷電制御剤には、それ ぞれ正と負の極性の荷電付与能を有するもの が種々知られている。
 従来から用いられてきた正荷電制御剤とし は、ニグロシン系染料、各種のアジン化合 、トリフェニルメタン系染料、フタロシア ン系顔料などの色素や、第4級アンモニウム 塩化合物などが挙げられる。一方、従来から トナーに用いられてきたバインダー樹脂の多 くは、その材料固有の摩擦荷電性が負極性で あるものが多いため、正帯電性トナーとする ためには荷電制御剤を多量に配合する必要が あり、原料が高価になり、また充分に分散さ せることが難しく、さらにこれら低分子の荷 電制御剤は加熱により昇華したり分解・劣化 することがあるため、トナー粒子の帯電性が 充分かつ安定とはいえず、印字中に白地カブ リや転写メモリなどの問題が発生する場合も あった。

 トナーのバインダー樹脂として様々な高 子材料が用いられているが、近年では特に リエステル樹脂が低温定着において有利で るため多用されている。ところが、ポリエ テル樹脂は材料固有の摩擦荷電性が負極性 強く偏っており、正帯電性トナーに適用す には多量の荷電制御剤が必要となっていた このため特許文献6には、「オイルレス定着 システムを採用してのフルカラー現像に有効 に使用されるフルカラー現像用トナーを提供 する」(要約中の課題)ためになされた、「ポ エステル樹脂中に、着色剤、離型剤、正電 制御剤及び正電荷制御補強剤が分散された 帯電性フルカラー現像用トナーにおいて、 記離型剤は、ポリエステル樹脂100重量部当 5乃至15重量部の量で分散され、前記正電荷 御剤は、ポリエステル樹脂100重量部当り1乃 至3重量部の量で分散され、前記正電荷補強 は、スチレン系単位とアクリル系単位と第4 アンモニウム塩単位とから成り、第4級アン モニウム塩単位を9乃至20重量%の量で含有す 共重合樹脂であり、該正電荷補強剤は、ポ エステル樹脂100重量部当り、1乃至5重量部の 量で分散されていることを特徴とする。」( 約中の解決手段)ものが開示されている。

 一方、特許文献7には、「懸濁重合法により 得られる重合トナーであって、安定した帯電 性を有し、初期の印字品質が良好で、かつ、 連続印字での画質の安定性に優れた重合トナ ーを提供する」(要約中の課題)ためになされ 、「少なくとも重合性単量体、着色剤、及 帯電制御剤を含有する重合性単量体組成物 水系分散媒体中で懸濁重合して得られる重 トナーにおいて、帯電制御剤として、重合 単量体100重量部を基準にして、トリフェニ メタン誘導体0.01~0.45重量部と、化学式(I)(式 は省略する)(式中、R1は、炭素原子数1~8のア キル基、R2及びR3は、それぞれ独立に炭素原 数1~18のアルキル基、R4は、炭素原子数1~8の ルキル基またはベンジル基である。)で表さ れる4級アンモニウム塩0.01~0.50重量部とを含 することを特徴とする重合トナー。」(要約 の解決手段)が開示されている。

特開2000-284536号公報(例えば、発明の詳細 な説明中の段落番号0002等)

特開2006-119413号公報

特開2002-311647号公報

特開2002-107999号公報

特開2001-249488号公報

特開2002-139868号公報(例えば、要約等)

特開平10-123763号(例えば、要約等)

 上述した特許文献6に開示されている荷電制 御樹脂を使うことで、バインダー樹脂として ポリエステル樹脂を用い正帯電性のトナーを 作ることができる。しかし、荷電制御樹脂( 許文献6中、正電荷補強剤)は単位重量当たり の帯電性付加能力が弱いため、この方法では 荷電制御樹脂だけでは充分な帯電量が得られ ず、従来の低分子荷電制御剤(特許文献6中、 電荷制御剤)を特許文献6には併用するとし おり、従来の低分子荷電制御剤は製造工程 おける昇華や劣化の問題があり、荷電制御 脂と低分子荷電制御剤とを含めた荷電制御 の総量は多い。
 また、特許文献7に開示されている懸濁重合 法における荷電制御剤(帯電制御剤)の親水性 整によって、高帯電の正帯電性トナーが得 れる。しかしながら、この方法は水中で造 を行う懸濁重合法に特有の方法であり粉砕 に応用できない。

 そこで、本発明においては、ポリエステ 樹脂を含有するバインダー樹脂を用いた粉 法(原料を加熱混練した後に粉砕する粉砕ス テップを含む製造方法)において、荷電制御 の使用量を抑えつつ、高い転写率と高い帯 性能を有するトナーを製造することができ トナーの製造方法を提供することを目的と る。

 本発明者らは、鋭意研究を行った結果、 リエステル樹脂を含有するバインダー樹脂 、ワックスと、荷電制御剤と、着色剤と、 少なくとも含有する原料を用い、加熱混練 粉砕及び加熱球形化して正帯電性静電荷像 像用トナーを製造する製造方法において、 電制御剤が所定の第4級アンモニウム塩基含 有共重合体であって、ポリエステル樹脂のフ ローテスター4mm降下温度(T4r:単位℃)と荷電制 御剤のフローテスター4mm降下温度(T4c:単位℃) とが次の(式1:T4c<T4r+10℃)を満たすことによ 、ポリエステル樹脂を含有するバインダー 脂を用いた粉砕法(原料を加熱混練した後に 粉砕する粉砕ステップを含む製造方法)にお て、荷電制御剤の使用量を抑えつつ、高い 写率と高い帯電性能を有するトナーを製造 ることができることを見出し本発明を完成 るに至った。

 即ち、本発明のトナーを製造する製造方法( 以下、「本方法」という。)は、ポリエステ 樹脂を含有するバインダー樹脂と、ワック と、荷電制御剤と、着色剤と、を少なくと 含有する原料を用い正帯電性静電荷像現像 トナーを製造する製造方法であって、少な ともバインダー樹脂とワックスと荷電制御 と着色剤とを加熱及び混練し混練物とする 熱混合ステップと、加熱混合ステップにて 製された混練物を粉砕して粉砕物とする粉 ステップと、粉砕ステップにて得られた粉 物を気流中で流動状態にて加熱処理し球形 する球形化処理ステップと、を少なくとも んでなり、荷電制御剤が、少なくとも以下 式(I)及び式(II)にて示される繰り返し単位を む第4級アンモニウム塩基含有共重合体を含 み、
(但し、式I中、R1は水素原子又はメチル基で る。)
(但し、式II中、R2は水素原子又はメチル基で り、R3はアルキレン基であり、R4、R5及びR6 それぞれ異なっても同一でもよいアルキル である。)
 該ポリエステル樹脂のフローテスター4mm降 温度(T4r:単位℃)と、荷電制御剤のフローテ ター4mm降下温度(T4c:単位℃)と、が、次の(式 1)を満たすものである、正帯電性静電荷像現 用トナーの製造方法である。
  T4c<T4r+10℃ (式1)

 また、本方法には、以下(1)~(4)の態様が含ま れる。
(1)バインダー樹脂中の前記ポリエステル樹脂 の含有率が、80重量%以上である、上記製造方 法。
(2)ワックスのフローテスター4mm降下温度(T4w: 位℃)が、荷電制御剤のフローテスター4mm降 下温度(T4c:単位℃)よりも高いものである、上 記製造方法。
(3)ワックスの融点(Tmw:単位℃)が、荷電制御剤 のフローテスター4mm降下温度(T4c:単位℃)と次 の(式2)又は(式3)を満たすものである、上記製 造方法。
  Tmw>T4c-10℃ (式2)
  Tmw=T4c-10℃ (式3)
(4)前記混練物中の荷電制御剤の含有量が1~15 量%であり、かつ前記混練物中のワックスの 有量が1~10重量%である、上記製造方法。

 そして、本発明はトナー(以下、「本トナ ー」という。)を提供する。即ち、本トナー 、上記製造方法(本方法)により製造され得る トナーであり、ポリエステル樹脂を含有する バインダー樹脂を用いた粉砕法において、荷 電制御剤の使用量を抑えつつ、高い転写率と 高い帯電性能を保持することができるトナー である。

実施例1~3と比較例1~4との合計7例につい てのトナーの製造条件をまとめた図である。 実施例1~3と比較例1~4との合計7例につい てのトナーの評価結果をまとめた図である。

 上述したように、本方法は、ポリエステル 脂を含有するバインダー樹脂と、ワックス 、荷電制御剤と、着色剤と、を少なくとも 有する原料を用い正帯電性静電荷像現像用 ナーを製造する製造方法であって、少なく もバインダー樹脂とワックスと荷電制御剤 着色剤とを加熱及び混練し混練物とする加 混合ステップと、加熱混合ステップにて調 された混練物を粉砕して粉砕物とする粉砕 テップと、粉砕ステップにて得られた粉砕 を気流中で流動状態にて加熱処理し球形化 る球形化処理ステップと、を少なくとも含 でなり、荷電制御剤が、少なくとも以下の (I)及び式(II)にて示される繰り返し単位を含 む第4級アンモニウム塩基含有共重合体を含 、
(但し、式I中、R1は水素原子又はメチル基で る。)
(但し、式II中、R2は水素原子又はメチル基で り、R3はアルキレン基であり、R4、R5及びR6 それぞれ異なっても同一でもよいアルキル である。)
 該ポリエステル樹脂のフローテスター4mm降 温度(T4r:単位℃)と、荷電制御剤のフローテ ター4mm降下温度(T4c:単位℃)と、が、次の(式 1)を満たすものである、正帯電性静電荷像現 用トナーの製造方法である。
  T4c<T4r+10℃ (式1)

 本方法は、ポリエステル樹脂を含有する インダー樹脂と、ワックスと、荷電制御剤 、着色剤と、を少なくとも含有する原料を い正帯電性静電荷像現像用トナーを製造す 製造方法である。

 バインダー樹脂中のポリエステル樹脂は、 来からトナーのバインダー樹脂に用いられ きたポリエステル樹脂を含め種々のポリエ テル樹脂を用いることができ何ら制限され ものではないが、例えば、多価カルボン酸 と多価アルコールとが脱水縮合することで 造されるポリエステル樹脂を好適に用いる とができる。
 該多価カルボン酸類としては、例えば、テ フタル酸、イソフタル酸、フタル酸、トリ リット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジ ルボン酸のごとき芳香族カルボン酸類、マ イン酸、フマール酸、コハク酸、アジピン などの脂肪族カルボン酸類、シクロヘキサ ジカルボン酸などの脂環式カルボン酸類な のそれぞれのカルボン酸、カルボン酸無水 、カルボン酸の低級アルキルエステルなど 化合物が挙げられる。これらの多価カルボ 酸類は、単独で用いることもでき、2種類以 上を併用して用いることもできる。これらの 多価カルボン酸類の中でも芳香族カルボン酸 ないしその無水物、低級アルキルエステルを 使用することが好ましい。
 多価アルコールとしては、例えば、エチレ グリコール、ジエチレングリコール、トリ チレングリコール、プロピレングリコール ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオ ンチルグリコール、グリセリン、トリメチ ールプロパン、ペンタエリスリトールのご き脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジオ ル、シクロヘキサンジメタノール、水添ビ フェノールAのごとき脂環式ジオール類、ビ スフェノールAのエチレンオキサイド付加物 ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付 物のごとき芳香族ジオール類などが挙げら る。これらの多価アルコールは、単独で用 ることもでき、2種類以上を併用して用いる こともできる。なお、多価カルボン酸と多価 アルコールとの縮重合によって得られたポリ エステル樹脂に、さらにモノカルボン酸、そ の無水物やエステル、モノアルコールなどの 中から選ばれる少なくとも1種の化合物を加 て、重合末端のヒドロキシル基、及び/又は ルボキシル基をエステル化し、ポリエステ 樹脂の酸価を調整することができる。
 ポリエステル樹脂は、上記多価アルコール 多価カルボン酸類とを通常の方法に従って 合反応させることにより、製造することが きる。例えば、上記多価アルコールと多価 ルボン酸類とを、窒素等の不活性ガスの存 下で150~250℃程度の温度で加熱し、副生する 低分子化合物を連続的に反応系外に除去し、 所定の物性値に達した時点で反応を停止させ 、冷却することにより、目的とする反応物を 得ることができる。このようなポリエステル 樹脂の合成は、触媒を添加して行うこともで きる。使用するエステル化触媒としては、例 えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫 オキサイドのごとき有機金属や、テトラブチ ルチタネートのごとき金属アルコキシドなど が挙げられる。また、使用するカルボン酸成 分が低級アルキルエステルである場合には、 エステル交換触媒を使用することができる。 エステル交換触媒としては、例えば、酢酸亜 鉛、酢酸鉛、酢酸マグネシウムのごとき金属 酢酸塩、酸化亜鉛、酸化アンチモンのごとき 金属酸化物、テトラブチルチタネートのごと き金属アルコキシド、などが挙げられる。触 媒の添加量については、原材料の総量に対し て0.01~1重量%の範囲とするのが好ましい。な 、このような縮重合反応において、特に分 、または架橋ポリエステル樹脂を製造する めには、1分子中に3個以上のカルボキシル基 を有する多価カルボン酸類またはその無水物 、及び/又は、1分子中に3個以上の水酸基を有 する多価アルコールを必須の合成原料として 用いればよい。
 また、用いるポリエステル樹脂のガラス転 点Tgは40~75℃であることが好ましい(ただし ここのTgの測定条件は、島津製作所製の型番 DSC-60を用い、樹脂サンプル約10mgをメルトク ンチ後、加熱速度毎分15℃にて加熱して得ら れたDSC曲線のショルダーオンセット値として 測定したものをいう。)。そして、用いるポ エステル樹脂の酸価(樹脂1gを中和するため 必要な水酸化カリウムKOHのmg数であり、単位 はmgKOH/gであり、ここでは滴定法により測定 た。)は、あまり高いとトナーの正帯電性を なうことから、好ましくは10以下であり、 り好ましくは5以下である(酸価の下限は特に ないが、通常、0以上である。)。

 バインダー樹脂中のポリエステル樹脂の含 率(バインダー樹脂100重量部中に含まれる該 ポリエステル樹脂の重量部である。)は、あ り低いと荷電制御剤との相溶性が変わって まうので80重量%以上であることが好ましく より好ましくは90重量%以上であり、最も好 しくは95重量%以上である(なお、上限は100重 %である。)。
 バインダー樹脂中のポリエステル樹脂以外 他の樹脂としては、例えば、ポリアミド系 脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂 エチレン-ノルボルネン共重合体などの環状 オレフィン共重合体、ジエン系樹脂、シリコ ーン系樹脂、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、 クマロン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹 脂、テルペン樹脂、石油樹脂、ポリスチレン 、スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン- レイン酸共重合体、スチレン-(メタ)アクリ 酸エステル共重合体などのスチレン系樹脂 ポリ(メタ)アクリル酸ブチル、ポリビニル チラールなどを挙げることができる。該他 樹脂を該ポリエステル樹脂と併用する場合 バインダー樹脂のT4温度が110~180℃の範囲、 インダー樹脂の流出終了温度Tendが130~210℃の 範囲、バインダー樹脂のガラス転移温度が40~ 75℃の範囲になるようにされるのが好ましい なお、これらバインダー樹脂のT4温度は、 述するポリエステル樹脂のフローテスター4m m降下温度(T4r:単位℃)と同様に測定すればよ 、流出終了温度Tendは、バインダー樹脂のT4 度を測定するフローテスター4mm降下温度測 においてピストンが下がりきった時の温度 ある。そして、バインダー樹脂のガラス転 温度は、上述したポリエステル樹脂のガラ 転移点Tgと同様に測定すればよい(具体的に 、島津製作所製の型番DSC-60を用い、サンプ 約10mgをメルトクエンチ後、加熱速度毎分15 にて加熱して得られたDSC曲線のショルダー ンセット値として測定すればよい。)。

 ワックスは、オイルレス定着における離型 として従来からトナーの原料に用いられて たワックスを含め種々のワックスを用いる とができ何ら制限されるものではないが、 えば、カルナウバワックス、ライスワック 、キャンデリラワックス等の植物ワックス パラフィンワックス、マイクロクリスタン ワックス等の石油ワックス、モンタンワッ ス等の鉱物ワックス、カーボワックス、ポ エチレンワックス、ポリプロピレンワック 、塩素化ナフタレンワックス等の合成ワッ ス、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸 の高級脂肪酸、セリルアルコール、メリシ アルコール等の高級アルコール、ステアリ 酸アミド、ベヘン酸アミド等のアミド系ワ クス、脂肪酸エステル、グリセリンモノス アレート、グリセリンジステアレート等の 価アルコールエステル、シリコーンワニス を挙げることができる。これらのワックス 、1種を単独で用いても、また2種以上を組 合わせて用いてもよい。これらのワックス 中でも、本発明においては、とりわけポリ ロピレンワックスが好ましい。
 ワックスの融点(Tmw:単位℃)は、あまり低い トナーの保存性が低下する可能性があり、 にあまり高いと定着離型剤としての効果が 下する可能性があるので、これらを両立す 範囲とされることが好ましく、具体的には 好ましくは60~160℃であり、より好ましくは1 00~150℃である。

 着色剤は、画像の可視化を目的として従 からトナーの原料に用いられてきた着色剤 含め種々の着色剤を用いることができ何ら 限されるものではないが、例えば、無機又 有機の各種の顔料、染料などを用いること できる。黒色顔料としては、例えば、カー ンブラック、酸化銅、四三酸化鉄、二酸化 ンガン、アニリンブラック等を挙げること できる。黄色顔料としては、例えば、パー ネントイエロー、クロムイエロー、キノリ イエロー、ベンジジンイエロー、黄色酸化 、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメン ト・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー180 、C.I.ソルベント・イエロー162等を挙げるこ ができる。赤色顔料としては、例えば、ベ ガラ、レーキレッド、ローダミン6B、キナク リドン、カーミン6B、C.I.ピグメント・レッド 48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメン ト・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184等 挙げることができる。青色顔料としては、 えば、紺青、コバルトブルー、フタロシア ンブルー、アニリンブルー、C.I.ピグメント ・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等を 挙げることができる。

 荷電制御剤は、上記した式(I)及び式(II)にて 示される繰り返し単位を少なくとも含む第4 アンモニウム塩基含有共重合体(特開昭63-6045 8号に開示された第4級アンモニウム塩基含有 重合体(共重合体(B))と同様のものである。) 含む。
 但し、式(I)中、R1は水素原子又はメチル基 ある。
 そして、式(II)中、R2は水素原子又はメチル であり、R3はアルキレン基であり、R4、R5及 R6はそれぞれ異なっても同一でもよいアル ル基である。R3が示す「アルキレン基」と、 R4、R5及びR6が示すそれぞれ異なっても同一で もよい「アルキル基」とは、次の通りである 。即ち、ここの「アルキル基」及び「アルキ レン基」はそれぞれ、直鎖状、分岐鎖状もし くは環式の脂肪族炭化水素基であり、アルキ ル基の例にはメチル、エチル、n-もしくはiso- プロピル、n-,sec-,iso-もしくはtert-ブチル、n-,s ec-,iso-もしくはtert-アミル、n-,sec-,iso-もしく tert-ヘキシル、n-,sec-,iso-もしくはtert-オクチ 、n-,sec-,iso-もしくはtert-ノニル等炭素原子 1~10個のものが包含され、中でも低級アルキ 基(炭素原子数が10個以下、好ましくは5個以 下である。)が好適であり、アルキレン基と ては例えばエチレン、プロピレン等炭素原 数2~3個の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキ ン基が挙げられる。

 第4級アンモニウム塩基含有共重合体中の 式(I)にて示される繰り返し単位の好ましい質 量割合は65~97重量%(100×(式(I)にて示される繰 返し単位の質量)/(第4級アンモニウム塩基含 共重合体の質量))であり、第4級アンモニウ 塩基含有共重合体中の式(II)にて示される繰 り返し単位の好ましい質量割合は3~35重量%(100 ×(式(II)にて示される繰り返し単位の質量)/( 4級アンモニウム塩基含有共重合体の質量)) ある。式(I)の繰り返し単位は第4級アンモニ ム塩基含有共重合体をバインダー樹脂中に 明性を保持したままでうまく相溶させるこ に寄与するので、式(I)の繰り返し単位が第4 級アンモニウム塩基含有共重合体中で97重量% より多くなると相溶性は良くなるが、トナー 粒子として必要な正帯電特性を得るためにバ インダー樹脂に混合する量を多くしなければ ならず、定着性へ悪影響を及ぼし、また65重 %よりも少なくなるとバインダー樹脂との相 溶性が悪化し、トナー粒子自体の耐湿性も悪 化する。このため第4級アンモニウム塩基含 共重合体中では式(I)の繰返し単位は、65~97重 量%、好ましくは73~97重量%、さらに好ましく 78~95重量%であり、第4級アンモニウム塩基含 共重合体中では式(II)の繰返し単位は、3~35 量%、好ましくは3~27重量%、さらに好ましく 5~22重量%である。

 そして、第4級アンモニウム塩基含有共重合 体の重量平均分子量は、あまり小さいとトナ ーの保存性や耐久性を悪化させる可能性があ り、あまり大きいと混練や球形化ステップに おいて充分に溶融しない可能性があるので、 通常、2000~50000程度のものを好適に使用する とができる。
 なお、ここにいう第4級アンモニウム塩基含 有共重合体の重量平均分子量は、ゲル・パー ミエーション・クロマトグラフ法により、試 料をテトラヒドロフランに溶解し、ポリスチ レンスタンダードを用いて作成した検量線に よって測定された値をいう。

 上記したように荷電制御剤には前記第4級ア ンモニウム塩基含有共重合体が含まれるが、 荷電制御剤中の前記第4級アンモニウム塩基 有共重合体の重量割合(即ち、荷電制御剤100 量部中に含まれる前記第4級アンモニウム塩 基含有共重合体の重量部)はあまり低いと熱 理によって帯電量が向上する効果が充分表 ないので、40重量%以上が好ましく、70重量% 上がより好ましく、80重量%以上が最も好ま い(上限は100重量%である。)。
 なお、荷電制御剤中の前記第4級アンモニウ ム塩基含有共重合体以外の成分としては、例 えば、トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒ ドロキシ-4-ナフトスルホン酸塩、ニグロシン 、グアニジン化合物、トリフェニルメタン染 料、第四級アンモニウム塩等を挙げることが できる。

 本方法では、これらバインダー樹脂、ワッ ス、荷電制御剤及び着色剤を少なくとも含 する原料を用いて正帯電性静電荷像現像用 ナーを製造する。
 製造工程は、原料を加熱及び混練し混練物 する加熱混合ステップと、加熱混合ステッ にて調製された混練物を粉砕して粉砕物と る粉砕ステップと、粉砕ステップにて得ら た粉砕物を気流中で流動状態にて加熱処理 球形化する球形化処理ステップと、を少な とも含む。
 これら加熱混合ステップと粉砕ステップと 形化処理ステップとは、従来からトナーを 造する際に行われてきたものである。

 加熱混合ステップにおいては、少なくとも インダー樹脂とワックスと荷電制御剤と着 剤とを加熱及び混練し混練物とする。
 バインダー樹脂、ワックス、荷電制御剤及 着色剤は本方法において用いる原料の必須 分であるので、少なくともこれらバインダ 樹脂、ワックス、荷電制御剤及び着色剤を 合し原料とする。該原料は加熱及び混練さ 混練物とされる。なお、該混練物中の荷電 御剤の含有量は1~15重量%とされることが好 しく、該混練物中のワックスの含有量は1~10 量%とされることが好ましい。荷電制御剤の 混練物中の含有量が1重量%未満の場合は、製 されるトナーが十分な帯電量を有さず(荷電 制御剤がトナー表面を覆いきれないものと考 えられる。)、15重量%を超えると十分な分散 得られずトナー耐久性が悪化(多くの枚数に 刷した場合の印刷品質が低下する。)するた めである。また、ワックスの混練物中の含有 量が1重量%未満の場合は定着時にホットオフ ットの問題が生じ得、10重量%を超えると十 な分散が得られず、ワックスがトナー表面 しみだす問題が生じ得る。また、これらバ ンダー樹脂、ワックス、荷電制御剤及び着 剤以外のものも原料に配合されてもよい。
 原料を加熱及び混練する際は、原料が十分 一になるように混練すればよい。
 このような原料を加熱及び混練し混練物と る方法は、いかなる方法が用いられてもよ 何ら制限されるものではないが、例えば、 ンバリーミキサーや二軸混練押出機を加熱 合ステップを実施する装置として例示する とができる。

 粉砕ステップにおいては、加熱混合ステッ にて得られた混練物を粉砕して粉砕物とす 。
 混練物を粉砕し粉砕物とする方法は、いか る方法が用いられてもよく何ら制限される のではないが、例えば、インパクトクラッ ャー、ハンマークラッシャー等の衝撃式粉 機、ロッドミル、ボールミル等の打撃式粉 機、カウンタージェットミル、衝突板式ミ 等の圧縮空気源を利用したジェット式粉砕 等を粉砕ステップを実施する装置として例 することができる。粉砕ステップは、粉砕 の粒径や粒度分布が体積基準中位径(ベック マン・コールター社製、精密粒度分布測定装 置、Multisizer3にて測定した値)が5~10μm程度に るように行われる。
 また、加熱混合ステップにて加熱混練され 混練物は、そのままでは粉砕しにくいこと 多いので、通常、加熱混合ステップの後、 練物を粉砕しやすくするため、混練物を冷 (混練物が脆性破壊を起こすようにするため 、例えば、室温下にて冷却する。)する冷却 テップを、粉砕ステップの前に設ける(即ち 加熱混合ステップと粉砕ステップとの間に 却ステップを設ける。)ことが多い。

 球形化処理ステップにおいては、粉砕ステ プにて得られた粉砕物を気流中で流動状態 て加熱処理し球形化する。
 粉砕物は、通常、粉砕時に生じた粒子(通常 、脆性破壊によって粉砕されるので粒子は角 が尖っていたり、歪な形状をしている。)を 流中で流動状態にて加熱処理することで球 化(球に近い形状にする)する。即ち、粒子を 気流中で流動状態にて加熱処理すると、粒子 の少なくとも一部が融解することで表面張力 によって球に近い形状に変化する。従って、 球形化処理ステップにおける加熱温度及び加 熱時間は、加熱温度が高くなると円形度が高 くなり(1に近づく)、加熱時間が長くなると円 形度が高くなる(1に近づく)。なお、円形度と は、粒子が球形にどの程度近いかを示す指標 であり、具体的には、トナー粒子の平面への 投影像において、粒子の投影像の周囲長Lrと 粒子の投影像の投影面積Sと、を測定し、粒 子の投影像の投影面積Sと同じ面積を有する の周囲長Li(=(4πS) 0.5 )を算出し、(円形度)=(Li/Lr)にて算出され、円 度が1に近いほど粒子が球形に近いことを示 す。また、平均円形度とは、複数のトナー粒 子に関し各粒子の円形度を合計し粒子数で除 した算術平均値であり、本発明において球形 化処理ステップ後の粒子の平均円形度は好ま しくは0.940~0.980であり、より好ましくは0.950~0 .980であり、最も好ましくは0.960~0.980である( お、平均円形度を0.940以上にするには、通常 、球形化処理ステップにおける加熱温度が200 ℃以上を必要とすることが多い。なお、粉砕 ステップで得られ未球形化の粉砕物の円形度 は、粉砕ステップの条件等に応じて変化する が、通常、0.890~0.930程度である。)。このよう に球形化処理ステップにより加熱処理し球形 化されたトナーの体積基準中位径は、5~10μm 度である。
 なお、粉砕ステップにて得られた粉砕物を のまま球形化処理ステップに供してもよい 、球形化処理ステップ後の粒子の粒度分布 狭くしたり(粒度をそろえる)、球形化処理 テップにて効果的に球形化させるため等に 粉砕ステップにて得られた粉砕物を分級(粉 物のうち所望の粒径を有するものだけ選別 る)する分級ステップにかけた後、球形化処 理ステップに供する(即ち、粉砕ステップと 形化処理ステップとの間に分級ステップを ける。)ようにしてもよい。
 球形化処理ステップに供される装置として 、粉砕物を気流中で流動状態にて加熱処理 球形化することができれば何ら制限される のではなく種々のものを使用することがで るが、例えば、容器内部において下方から 方に向けて所定温度の熱風を流通させ、該 器内部にて粉砕物を気流(熱風)中で流動状 にて加熱し球形化させるものを例示するこ ができる。

 そして、本方法では、該ポリエステル樹脂 フローテスター4mm降下温度(T4r:単位℃)と、 電制御剤のフローテスター4mm降下温度(T4c: 位℃)と、が、上記した(式1:T4c<T4r+10℃)を たすことに特徴がある。
 ここにフローテスター4mm降下温度(T4:単位℃ )とは、JIS K7199に規定するキャピラリレオメ ターを用い、シリンダ内径11.329mm、キャピ リーダイの内径1mm及び長さ10mmとし、シリン ー内に測定する試料(樹脂)を1.0g充填し、ピ トンに加重196Nを加え、80℃から6℃/分で昇 し、オフセット法にてピストンが4mm降下し ときの温度(℃)をいう。
 本方法において、バインダー樹脂に用いる リエステル樹脂のフローテスター4mm降下温 (T4r:単位℃)と、荷電制御剤のフローテスタ 4mm降下温度(T4c:単位℃)と、が、式1(T4c<T4r+ 10℃)を満たすことによって、本方法により、 従来から用いられている荷電制御剤(本方法 用いる前記荷電制御剤は、前述のように特 昭63-60458号に開示された第4級アンモニウム 基含有共重合体(共重合体(B))と同様のものを 用いる従来から用いられている荷電制御剤で ある。)を使用し、ポリエステル樹脂を含有 るバインダー樹脂を用いた粉砕法において 荷電制御剤の使用量を抑えつつ、高い転写 と高い帯電性能を有するトナーを製造する とができる。また、高い帯電性能をトナー 与えることは、帯電量を増大させると共に 電時間を延長することができるので、転写 を向上させカブリを減少させることができ 。
 なお、荷電制御剤のフローテスター4mm降下 度(T4c:単位℃)は、通常、110~145℃であり、ポ リエステル樹脂のフローテスター4mm降下温度 (T4r:単位℃)は、通常、115~165℃であることが い。このT4cを高くするには、荷電制御剤を 成する分子の分岐を増加させたり、分子量 増加させるようにすればよい。また、T4rを くするには、ポリエステル樹脂の分子の分 を増加させたり、分子量を増加させるよう すればよい。

 このように本方法の効果(ポリエステル樹脂 を含有するバインダー樹脂を用いた粉砕法に おいて、荷電制御剤の使用量を抑えつつ高い 転写率と高い帯電性能を有するトナーを製造 することを可能ならしめること)が奏される 由は必ずしも明らかではないが、本発明者 、次のように推測する。なお、以下述べる 測は、本発明者の推測であり、本発明がこ 推測された理由により限定されるものでは い。
 球形化ステップを行うことにより、トナー 形状を球形に近づけることで、転写率を向 すると同時に、トナー粒子の表面近傍にお る分散状態の変化をもたらし、球形化ステ プを経たあとのトナー粒子表面近傍の各材 分散状態は、球形化ステップにおける高温 での各材料の粘性の大小関係と、各材料間 相溶性、親和性によって決まるものと本発 者は推測する。
 式1を満たすことでポリエステル樹脂よりも 荷電制御剤の方が、球形化処理ステップにお ける高温下では粘性が低いため、球形化処理 ステップにおいてトナー粒子の表面に荷電制 御剤がしみだして該表面を覆うと本発明者は 推測する。荷電制御剤は、トナー粒子の表面 においてとりわけ効果的に機能するので、ト ナー表面を覆うように該表面に高濃度で存在 する本発明における荷電制御剤は、高い帯電 性能をトナーに与えることができ、換言すれ ば、ポリエステル樹脂を含有するバインダー 樹脂を用いた粉砕法に比し、荷電制御剤の使 用量を抑えても高い帯電性能を有するトナー を本方法では製造することができるものと考 えられる(本方法では、荷電制御剤をそれが まく機能するトナー粒子表面に局在化させ ことで、少量の荷電制御剤を使用しても高 帯電性能をトナーに与えることができるも と考えられる。)。また、バインダー樹脂に いるポリエステル樹脂と、前記荷電制御剤 含まれる第4級アンモニウム塩基含有共重合 体と、の作用としては、バインダー樹脂に用 いるポリエステル樹脂と荷電制御剤に含まれ る第4級アンモニウム塩基含有共重合体とが 全には相溶せず、適度に細かく島状の分散 態となり、熱処理時に適度に分離して表面 覆いやすいものと推測され、式1を満たすこ と相俟って、荷電制御剤として有効な第4級 アンモニウム塩基含有共重合体を、ポリエス テル樹脂を含むバインダー樹脂にて形成され たトナーの粒子表面にうまくしみださせて該 表面を荷電制御剤が覆うことを促進するもの と考えられる。

 本方法においては、ワックスのフローテス ー4mm降下温度(T4w:単位℃)が、荷電制御剤の ローテスター4mm降下温度(T4c:単位℃)よりも いものであってもよい。
 なお、ワックスのフローテスター4mm降下温 (T4w:単位℃)も、前述したフローテスター4mm 下温度(T4:単位℃)に従って測定したものを う。ワックスのフローテスター4mm降下温度(T 4w:単位℃)と、荷電制御剤のフローテスター4m m降下温度(T4c:単位℃)と、が、式:T4w>T4cを満 たすことで、荷電制御剤の使用量を抑えつつ 高い帯電性能を有するトナーを一層うまく製 造することができる。
 式:T4w>T4cを満たすことで荷電制御剤の使 量を抑えつつ高い帯電性能を有するトナー うまく製造することができる理由は必ずし 明らかではないが、本発明者は、式:T4w>T4c を満たすことでワックスが荷電制御剤よりも 球形化処理ステップにおける高温下では流動 性が低いため、球形化処理ステップにおいて ワックスがトナー粒子の表面にしみださない ので(トナー表面を覆うように該表面に存在 る荷電制御剤の外面をワックスが覆わない め)、ワックスによる荷電制御剤の機能阻害 生じないか又は減少するためではないかと 測する。なお、これは本発明者の推測であ 、本発明がこの推測された理由により限定 れるものではない。
 なお、T4wは、通常、110~160℃程度であり、種 々のT4wを有するワックスが市販されているの で適宜それらを選択使用するようにしてよい が、通常、T4wを高くするにはワックスの分子 量を大きくすればよく、T4wを低くするにはワ ックスの分子量を小さくすればよい。

 本方法においては、ワックスの融点(Tmw:単 ℃)が、荷電制御剤のフローテスター4mm降下 度(T4c:単位℃)と次の(式2)又は(式3)を満たす のであってもよい。
  ・Tmw>T4c-10℃ (式2)
  ・Tmw=T4c-10℃ (式3)
 ここにワックスの融点(Tmw:単位℃)は、島津 作所製の型番DSC-60を用い、ワックスサンプ 約10mgをメルトクエンチ後、加熱速度毎分15 にて加熱して得られたDSC曲線の吸熱ピーク して測定したものをいう。
 上記のようにTmwが(T4c-10℃)以上であれば((式 2)又は(式3)を満たす)、荷電制御剤の使用量を 抑えつつ高い帯電性能を有するトナーを一層 うまく製造することができる。
 Tmwが(T4c-10℃)以上であれば荷電制御剤の使 量を抑えつつ高い帯電性能を有するトナー うまく製造することができる理由は必ずし 明らかではないが、本発明者は、Tmwが(T4c-10 )以上であればワックスが荷電制御剤よりも 球形化処理ステップにおける高温下では流動 性が低いため、球形化処理ステップにおいて ワックスがトナー粒子の表面にしみださない ので(トナー表面を覆うように該表面に存在 る荷電制御剤の外面をワックスが覆わない め)、ワックスによる荷電制御剤の機能阻害 生じないか又は減少するためではないかと 測する。なお、これは本発明者の推測であ 、本発明がこの推測された理由により限定 れるものではない。
 なお、Tmwは、通常、70℃~160℃程度であり、 々のTmwを有するワックスが市販されている で適宜それらを選択使用するようにしてよ が、通常、Tmwを高くするにはワックスの分 量を大きくすればよく、Tmwを低くするには ックスの分子量を小さくすればよい。

 本トナーは、本方法により製造され得るト ーである。
 本方法により製造され得る本トナーにおい は、上述の如く、ポリエステル樹脂を含有 るバインダー樹脂を用いた粉砕法によって 造された従来のトナーに比し、荷電制御剤 、トナー表面を覆うように該表面に高濃度 存在するものと推測される(なお、上述と同 様、これは本発明者の推測であり、本発明が この推測された理由により限定されるもので はない。)。トナー表面を覆うように表面に 濃度で存在する本トナーにおける荷電制御 は、高い帯電性能をトナーに与えることが き、換言すれば、本トナーは、従来のトナ に比して同量の荷電制御剤を有していても 帯電性能を有する。なお、荷電制御剤がト ー表面を覆うように存在することは、本ト ー(具体的には、後述の実施例1により得られ たトナー)を球形化処理ステップの後、(外添 しで)画像評価すると、コピー機の感光ドラ ム表面にトナー由来の成分が少量融着する( ィルミング)が、この融着した成分をFT-IR(フ リエ変換型赤外分光)にて分析測定したとこ ろ、荷電制御剤が主成分であることが明らか になったことから強く示唆される。

 本方法により製造されるトナー及び本ト ーは、従来のトナーと同様に種々の電子写 において紙上に転写された後に定着させて 視画像を得るために用いることができ、一 を挙げれば、複写機(コピー装置)、プリン ー、ファクシミリ受信機等において好適に いられることができる。

 以下、本発明を具体的に説明するために 実施例を挙げる。しかしながら、これら実 例によって、本発明は何ら制限されるもの はない。

(バインダー樹脂として用いるポリエステル 脂の合成例)
(ポリエステル樹脂Aの合成)
 無水トリメリット酸45モル、テレフタル酸22 5モル、イソフタル酸30モル、ネオペンチルグ リコール153モル、ビスフェノールAプロピレ オキシド誘導体(以下、「BPPO」という。)60モ ル、エチレングリコール96モルを蒸留浴を有 るオートクレーブに仕込み、エステル化反 せしめた後、酸成分に対し500ppmの三酸化ア チモンを加え、3トルの真空化でグリコール を系外へ除去しながら縮合反応を行いポリエ ステル樹脂Aを得た。
 ポリエステル樹脂Aを分析したところ、ガラ ス転移点Tg=63℃、フローテスター4mm降下温度T 4r=135℃、酸価=3.8mgKOH/gであった。
(ポリエステル樹脂Bの合成)
 無水トリメリット酸15モル、3-メチルグルタ ル酸30モル、テレフタル酸135モル、イソフタ 酸120モル、BPPO210モル、エチレングリコール 93モルを蒸留浴を有するオートクレーブに仕 み、エステル化反応せしめた後、酸成分に し500ppmの三酸化アンチモンを加え、3トルの 真空化でグリコールを系外へ除去しながら縮 合反応を行いポリエステル樹脂Bを得た。
 ポリエステル樹脂Bを分析したところ、ガラ ス転移点Tg=64℃、フローテスター4mm降下温度T 4r=125℃、酸価=1.2mgKOH/gであった。
 なお、ポリエステル樹脂A及びポリエステル 樹脂Bのいずれに関しても、ガラス転移点Tgは 島津製作所製の型番DSC-60によって樹脂サンプ ル約10mgをメルトクエンチ後、加熱速度毎分15 ℃にて加熱して得られたDSC曲線のショルダー オンセット値として測定し、酸価は樹脂1gを 和するために必要な水酸化カリウムKOHのmg を滴定法により測定し、フローテスター4mm 下温度T4rはJISK7199に規定するキャピラリレオ メーターを用いて後で詳述するようにして測 定した。

(原料の準備)
 原料としては、以下のa~dを混合し調製した
a)バインダー樹脂
 後述の実施例1~3及び比較例1、2においては 上記のようにして合成したポリエステル樹 をバインダー樹脂(該ポリエステル樹脂100重 %)として用いた(結着樹脂:PEs)。なお、実施 1~3及び比較例1については、上記のポリエス ル樹脂Aを用い、そして比較例2については 上記のポリエステル樹脂Bを用いた。
 また、比較例3及び比較例4については、三 化学社製の型番CPR-200として市販されている チレン-ブチルアクリレート共重合樹脂(St-Ac )を用いた(結着樹脂:St-Ac)。このスチレン-ブ ルアクリレート共重合樹脂(St-Ac)のガラス転 点温度Tg=54℃であり、フローテスター4mm降 温度(T4:単位℃)は135℃であった。なお、スチ レン-ブチルアクリレート共重合樹脂(St-Ac)の ラス転移点温度Tgの測定条件は、島津製作 製の型番DSC-60を用い、樹脂サンプル約10mgを ルトクエンチ後、加熱速度毎分15℃にて加 して得られたDSC曲線のショルダーオンセッ 値として測定した。

b)ワックス
 三井化学株式会社製の商品名「三井HI-WAX」( 型番:NP-055)を用いた。
c)荷電制御剤(CCR)
 特開昭63-60458号に開示された第4級アンモニ ム塩基含有共重合体(共重合体(B))と同様の のであるので、ここでは詳細な説明は省略 る。
 なお、実施例1、比較例1、比較例3及び比較 4においてはフローテスター4mm降下温度T4c=11 0℃の同一の荷電制御剤(以下、「CCR110」とい 。)を用い、実施例2においてはフローテス ー4mm降下温度T4c=130℃の荷電制御剤(以下、「 CCR130」という。)を用い、そして実施例3及び 較例2においてはフローテスター4mm降下温度 T4c=140℃の同一の荷電制御剤(以下、「CCR140」 いう。)を用いた。CCR110、CCR130及びCCR140のい ずれも、第4級アンモニウム塩基含有共重合 の繰り返し単位を示す上記の式(I)及び式(II) おけるR1(式(I)中)は水素原子であり、R2(式(II )中)はメチル基(CH 3 )であり、R3(式(II)中)はエチレン基(C 2 H 4 )であり、R4、R5及びR6(3者いずれも式(II)中)は チル基(CH 3 )である。また、いずれの実施例及び比較例 、荷電制御剤は、上記の式(I)及び式(II)にて される繰り返し単位を含む第4級アンモニウ ム塩基含有共重合体CCR(CCR110、CCR130及びCCR140 別はあるが、いずれも第4級アンモニウム塩 含有共重合体CCRである。)のみを含む(ここ は荷電制御剤は第4級アンモニウム塩基含有 重合体CCR100%である。)。これらCCR110、CCR130 びCCR140それぞれの調製方法は、次の通りで る。
・CCR110:攪拌機、コンデンサー、温度計、窒 導入管を付した容量2リットルのフラスコに チルエチルケトン400gを仕込み、さらにスチ レン420g、アクリル酸ブチル(以下、「BA」と う。)120g、メタクリロイルオキシトリメチル アンモニウムサルフェイト(以下、「MTAS」と う。)60gのモノマー混合物及びアゾビスイソ ブチロニトリル12gを仕込み、攪拌、窒素導入 下80℃で10時間溶液重合を行い、重合反応終 後に減圧加熱炉に移してメチルエチルケト を脱溶剤して共重合体(CCR110)を得た。該共重 合体の分子量を測定したところ約18000であっ 。また、得られたCCR110が構成する第4級アン モニウム塩基含有共重合体(質量M)中の上記式 (I)にて示される繰り返し単位の質量(質量m1) 割合(m1/M)は0.7であり、得られたCCR110が構成 る第4級アンモニウム塩基含有共重合体(質量 M)中の上記式(II)にて示される繰り返し単位の 質量(質量m2)の割合(m2/M)は0.1である。
・CCR130:攪拌機、コンデンサー、温度計、窒 導入管を付した容量2リットルのフラスコに チルエチルケトン400gを仕込み、さらにスチ レン450g、BA90g、MTAS60gのモノマー混合物及び ゾビスイソブチロニトリル12gを仕込み、攪 、窒素導入下80℃で10時間溶液重合を行い、 合反応終了後に減圧加熱炉に移してメチル チルケトンを脱溶剤して共重合体(CCR130)を た。該共重合体の分子量を測定したところ 24000であった。また、得られたCCR130が構成す る第4級アンモニウム塩基含有共重合体(質量M )中の上記式(I)にて示される繰り返し単位の 量(質量m1)の割合(m1/M)は0.5であり、得られたC CR130が構成する第4級アンモニウム塩基含有共 重合体(質量M)中の上記式(II)にて示される繰 返し単位の質量(質量m2)の割合(m2/M)は0.1であ 。
・CCR140:攪拌機、コンデンサー、温度計、窒 導入管を付した容量2リットルのフラスコに チルエチルケトン400gを仕込み、さらにスチ レン480g、BA60g、MTAS60gのモノマー混合物及び ゾビスイソブチロニトリル12gを仕込み、攪 、窒素導入下80℃で10時間溶液重合を行い、 合反応終了後に減圧加熱炉に移してメチル チルケトンを脱溶剤して共重合体(CCR140)を た。該共重合体の分子量を測定したところ 32000であった。また、得られたCCR140が構成す る第4級アンモニウム塩基含有共重合体(質量M )中の上記式(I)にて示される繰り返し単位の 量(質量m1)の割合(m1/M)は0.8であり、得られたC CR140が構成する第4級アンモニウム塩基含有共 重合体(質量M)中の上記式(II)にて示される繰 返し単位の質量(質量m2)の割合(m2/M)は0.1であ 。
d)着色剤
 キャボット社(キャボット・スペシャリティ ・ケミカルズ・インク)製の商品名カーボン ラック「Regal-330」を用いた。

(フローテスター4mm降下温度T4測定方法)
 バインダー樹脂として各実施例及び比較例1 、2にて用いたポリエステル樹脂と、バイン ー樹脂として比較例3、4で使用したSt-Acと、 電制御剤(CCR)と、ワックスと、のフローテ ター4mm降下温度(T4:単位℃)はいずれも次のよ うにして測定した。
 JIS K7199に規定するキャピラリレオメーター を用い、シリンダー内径11.329mm、キャピラリ ダイの内径1mm及び長さ10mmとし、シリンダー 内に測定する試料を1.0g充填し、ピストンに 重196Nを加え、80℃から6℃/分で昇温し、オフ セット法にてピストンが4mm降下したときの温 度をT4とした。

(ワックスの融点Tmw測定方法)
 用いたワックス(三井化学株式会社製の商品 名「三井HI-WAX」(型番:NP-055))の融点Tmwは、島 製作所製の型番DSC-60を用い、ワックスサン ル約10mgをメルトクエンチ後、加熱速度毎分1 5℃にて加熱して得られたDSC曲線の吸熱ピー として測定した。その結果、融点Tmw=141℃で った。

(トナーの製造例)
 ここでは図1に示すように、実施例1~3と、比 較例1~4と、の合計7例を行った。
 実施例1~3と、比較例2、3と、の計5例につい は、次のような工程を行った。
 (原料)→予備混合→溶融混練→冷却→一次 砕→二次粉砕→前分級
     →前処理外添→球形化処理→後処理 添→篩い→(トナー)→評価
 また、比較例1及び比較例4においては、前 理外添及び球形化処理を行っておらず、こ らでは、次のような手順にて行った。
 (原料)→予備混合→溶融混練→冷却→一次 砕→二次粉砕→前分級
     →後処理外添→篩い→(トナー)→評価
 なお、上記した「溶融混練」が本発明にい 加熱混合ステップに該当し、上記した「一 粉砕」及び「二次粉砕」が本発明にいう粉 ステップに該当し、上記した「球形化処理 が本発明にいう球形化処理ステップに該当 る。
 実施例1~3と比較例1~4との合計7例について、 製造条件を図1にまとめた。図1は、各例それ れに応じ、用いたバインダー樹脂の種類及 T4r(単位:℃)、用いた荷電制御剤の種類及びT 4c(単位:℃)、球形化処理ステップの有無、(T4r +10)(単位:℃)、T4w(単位:℃)、Tmw(単位:℃)、(T4c- 10)(単位:℃)についてまとめたものである。具 体的には、図1中のバインダー樹脂の種類に いて「A」と記載されている例はバインダー 脂としてポリエステル樹脂Aを用い(ポリエ テル樹脂Aが100%)、図1中のバインダー樹脂の 類において「B」と記載されている例はバイ ンダー樹脂としてポリエステル樹脂Bを用い( リエステル樹脂Bが100%)、そして図1中のバイ ンダー樹脂の種類において「St-Ac」と記載さ ている例はバインダー樹脂として上記のス レン-ブチルアクリレート共重合樹脂(三井 学社製、型番CPR-200)を用いたことを示してい る。図1中、バインダー樹脂のT4rは、各例に 用いたバインダー樹脂のフローテスター4mm 下温度(T4:単位℃)を示している。図1中、荷 制御剤の種類において「CCR110」と記載され いる例は荷電制御剤として上記のCCR110を用 (CCR110が100%)、荷電制御剤の種類において「CC R130」と記載されている例は荷電制御剤とし 上記のCCR130を用い(CCR130が100%)、そして荷電 御剤の種類において「CCR140」と記載されて る例は荷電制御剤として上記のCCR140を用い (CCR140が100%)ことをそれぞれ示している。図1 、荷電制御剤のT4cは、各例にて用いた荷電 御剤のフローテスター4mm降下温度(T4:単位℃ )を示している。加えて、図1中、球形化処理 テップの有無は、球形化処理(球形化処理ス テップ)を行ったか否かを示しており、「有 は球形化処理(球形化処理ステップ)を行った ことを示し、「無」は球形化処理(球形化処 ステップ)を行っていないことを示している 図1中、(T4r+10)は、上述のバインダー樹脂の ローテスター4mm降下温度(T4:単位℃)に10℃を 加えた値を示し、T4w(=142℃)は用いたワックス のフローテスター4mm降下温度(T4:単位℃)を示 、Tmwは用いたワックスの融点を示し、そし (T4c-10)は、上述の荷電制御剤のフローテス ー4mm降下温度(T4:単位℃)から10℃を減じた値 示している。

(1)予備混合
 実施例及び比較例の具体的な配合は、実施 1~3と比較例1~4との合計7例のいずれも次の通 りであった。
   ・バインダー樹脂:35.2kg(88重量部)
   ・ワックス:0.8kg(2重量部)
   ・荷電制御剤:2.0kg(5重量部)
   ・着色剤:2.0kg(5重量部)
 三井鉱山株式会社製のヘンシェルミキサ(内 容量150リットル)の(150リットルヘンシェルミ サ)型番FM-150L/Iを用い、これらバインダー樹 脂、ワックス、荷電制御剤及び着色剤を毎分 1200回転にて3分間混合した。
 このように実施例及び比較例のいずれも、 述の(2)溶融混練における混練物は40.0kg(35.2+0 .8+2.0+2.0)となり、その中の荷電制御剤2.0kgの 有量は5.0重量%(2.0×100/40.0)(1~15重量%)であり、 かつその混練物中のワックスの含有量は2.0重 量%(0.8×100/40.0)(1~10重量%)であった。

(2)溶融混練
 株式会社池貝の二軸押し出し混練機(型番:PC M-43)を用い、溶融混練し混練物とした。
(3)冷却
 押し出された溶融混練物は、ただちに三井 山株式会社製のベルトドラムフレーカー(型 番:MDB40-50)で急冷した。

(4)一次粉砕
 冷却された混練物は、ホソカワミクロン社 の商品名「ロートプレックス」にて3mmの網 を通過するまで粗粉砕された。
(5)二次粉砕
 一次粉砕された粗粉砕物は、ホソカワミク ン社製の商品名「カウンタージェットミルA FG-200」を用い、体積平均粒径7.5μm程度まで微 粉砕した。なお、体積平均粒径は、ベックマ ン・コールター社製の商品名「マルチサイザ ー3(Multisizer3)」によって測定した。

(6)前分級
 二次粉砕された微粉砕物は、富士産業株式 社の商品名「風力分級機ミクロプレックス を用い、体積平均粒径8.0μm(±0.2μm)(なお、± 0.2は、個々の実施例又は比較例の間での分級 スペックの許容誤差を示す。)かつ5μm以下の 子数が12個数%以下になるよう分級し、分級 粉砕物とした。
(7)前処理外添
 ここでの前処理外添は、後述する球形化処 (熱処理球形化)時における生産性を向上さ るため、前分級された分級微粉砕物100重量 に対し、1重量部の日本アエロジル社製の商 名「アエロジル NA-50Y」を、三井鉱山株式 社製のヘンシェルミキサ(内容量20リットル) 用い毎分2400回転にて5分間混合し添加した なお、比較例1及び比較例4においては、前述 したように前処理外添を行っていない。

(8)球形化処理
 実施例1~3及び比較例2、3においては、前処 外添されたものを日本ニューマチック工業 式会社製の型番SFS-3にて温度350℃の気流中で 加熱し、平均円形度が0.960になるように球形 (熱処理球形化)した。なお、比較例1及び比 例4においては、前述したように球形化処理 を行っていない。
(9)後処理外添
 球形化処理されたトナー予備体は、後処理 添に付された。後処理外添は、流動性向上 帯電量調整を目的として、トナー予備体(実 施例1~3及び比較例2、3においては球形化処理 れたものであり、比較例1及び比較例4にお ては前分球されたもの)に対して0.5重量%のキ ャボット社(キャボット・スペシャリティ・ ミカルズ・インク)製の商品名「Cabo-Sil TG-820 」(外添剤)を、株式会社カワタ製の商品名「 ーパーミキサー Piccolo」を用い、毎分3000回 転にて5分間混合し添加した。
(10)篩い
 後処理外添されたトナー予備体は、後処理 添にて生じた外添剤凝集物や混入した異物 を取り除くため、150meshの篩いにかけて、篩 い下(篩い通過分)を評価用のトナーとした。

(11)評価
 各実施例及び比較例により得られた評価用 トナーは、次の各評価をした。
 イ)円形度
 測定機としてシスメックス株式会社製の商 名「フロー式粒子像分析装置」(型番FPIA-2100 )を用い、分散媒としてシスメックス株式会 製の商品名「セルシース」(水系)(シスメッ ス株式会社製の標準分散媒)を使用し、統計 数約5000個で評価用トナーの平均円形度を測 定した。
 ロ)帯電量(ブローオフ測定法)
 評価用トナー4gと同和鉄粉社製の「フェラ トキャリアDFC-150」96gとを手混合した現像剤1 00g(トナー比濃度4%)を100mlのポリ瓶(樹脂製瓶) 装入し、該瓶を回転数毎分280回転にて1分間 回転させた後の現像剤を約0.20g採取及び秤量( この秤量値をN1(g)とする。)し、東芝ケミカル 株式会社製の商品名「粉体帯電量測定装置 T B-200」を用いて電荷量を測定(測定した電荷量 をQ1(単位μC)とする。)し、得られた電荷量Q1 、測定した純トナー重量(秤量した現像剤の 量N1(g)にトナー比濃度4%を乗じた値)にて除 て、質量当たりの1分値の比荷電量(単位μC/g) を求めた。
 さらに、該瓶を回転数毎分280回転にて29分 (上記の回転時間1分と合わせて30分間)回転さ せた後の現像剤を約0.20g採取及び秤量(この秤 量値をN30(g)とする。)し、上記と同様に電荷 を測定(測定した電荷量をQ30(単位μC)とする )し、得られた電荷量Q30を、測定した純トナ 重量(秤量した現像剤の重量N30(g)にトナー比 濃度4%を乗じた値)にて除して、質量当たりの 30分値の比荷電量(単位μC/g)を求めた。

 ハ)転写残
 市販の正帯電感光体ドラムを搭載したプリ ターを用い、黒ベタ(真っ黒の全面黒の原稿 )を印字途中にプリンターを停止させ、感光 ラムの転写後の表面に粘着テープを貼着す 。該粘着テープをドラム表面から剥離し、 写されていない残トナーを該粘着テープに ぎ取る。このドラム表面から剥離した粘着 ープを白紙に貼着したものを評価サンプル し、この粘着テープと同じ新品の粘着テー を白紙に貼着したものを対照サンプルとし これら評価サンプルと対照サンプルとを、 ノルタカメラ株式会社製の商品名「色彩色 計」の型番CR-200によって測定した。CR-200の 定条件は、反射・散乱光をYxyモードにてY値 測定し、転写残=Y値(対照サンプル)-Y値(評価 サンプル)として転写残(Y値差)を算出した。 写残が小さいことは、転写率が高いことを す。
 なお、転写残の数値範囲は、通常、次のよ な現象に対応するので、それぞれ○、△及 ×を付し評価した。
   ・転写残1.0未満:○(外部要因で転写が悪 しても問題なし)
   ・転写残1.0~3.0:△(極端に不利な条件(厚 、低湿環境)で画像メモリの可能性あり)
   ・転写残3.0より大:×(画像メモリが通常 件で発生する)

 ニ)白地カブリ
 市販の正帯電感光体ドラムを搭載したプリ ターを用い、白紙(全面印字部分なしの真っ 白の原稿)を印字させ、プリンタ通過後の紙 印字面を評価サンプルとし、この紙と同じ 品の紙の表面を対照サンプルとし、これら 価サンプルと対照サンプルとを、ミノルタ メラ株式会社製の商品名「色彩色差計」の 番CR-200によって測定した。CR-200の測定条件 、反射・散乱光をYxyモードにてY値を測定し カブリ=Y値(対照サンプル)-Y値(評価サンプル )としてカブリ値(Y値差)を算出した。また、 のカブリは、印刷開始した最初の一枚(Ini)と 、印刷を開始し5000枚目(5K)と、の両方で測定 た。なお、カブリとは、本来白紙になる部 がトナーで汚れてグレーになってしまう現 をいう。
 また、カブリの数値範囲は、通常、次のよ な現象に対応するので、それぞれ○、△及 ×を付し評価した。
   ・白地カブリ1.0未満:○(肉眼では真っ白 見え、カブリがあることを認識できない)
   ・白地カブリ1.0~1.5:△(ルーペ等で白地カ ブリのトナーを確認可能であるが、実用上問 題なし。)
   ・白地カブリ1.5より大:×(新品の紙と比 すればグレーに見え、肉眼で容易に認識で る。)

 実施例1~3と比較例1~4との合計7例について 、トナーの評価結果を図2にまとめた。図2は 各例それぞれに応じ、円形度(トナーの平均 円形度)、比荷電量(質量当たりの比荷電量:単 位μC/g)、転写残、白地カブリについて評価し た結果をまとめたものである。なお、比荷電 量については、上述のように質量当たりの1 値の比荷電量(図2中、1分値)と、質量当たり 30分値の比荷電量(図2中、30分値)と、を記載 している。転写残は、上記のようにY値によ 評価(Y値差)と、○△×による評価と、を記載 している。白地カブリは、印刷開始した最初 の一枚(図2中、Ini)と、印刷を開始し5000枚目( 2中、5K)と、のそれぞれに関し、Y値による 価(Y値差)と、○△×による評価と、を記載し ている。なお、比較例1の白地カブリ5000枚目( 図2中、5K)については、ひどいカブリが生じ ため評価を中止した。

 図2から、実施例1~3については、いずれも 転写率が高く(転写残が小さい)、多数枚に印 しても画像の質の低下が少なく(5000枚目(5K) ときの白地カブリが少なく高耐久性である )、帯電性が高くかつ持続し(比荷電量Q/Mが1 値と30分値とのいずれも高い)、白地カブリ 印刷開始した最初の一枚(Ini)と印刷を開始 5000枚目(5K)とのいずれも小さいことから、実 施例1~3のトナーの製造方法によれば、ポリエ ステル樹脂を含有するバインダー樹脂を用い た粉砕法において、荷電制御剤の使用量を抑 えつつ、高い転写率(転写残が小さい)と高い 電性能を有するトナーを製造することがで (通常、球形化ステップは帯電性能を低下さ せるが、本発明では球形化ステップを行いつ つ高い帯電性能を付与できる。)、印刷開始 ら多数枚に印刷しても印刷品質を高く保持 ることができることが明らかになった。

 以上のように、実施例1においては、ポリエ ステル樹脂Aを含有するバインダー樹脂(ここ は全部がポリエステル樹脂Aである。)と、 ックス(三井化学株式会社製の商品名「三井H I-WAX」(型番:NP-055))と、荷電制御剤たるCCR110と 、着色剤(キャボット社製のカーボンブラッ :Regal-330)と、を少なくとも含有する原料を用 い正帯電性静電荷像現像用トナーを製造する 製造方法であって、少なくともバインダー樹 脂(ポリエステル樹脂A)とワックスと荷電制御 剤(CCR110)と着色剤とを加熱及び混練し混練物 する加熱混合ステップと、加熱混合ステッ にて調製された混練物を粉砕して粉砕物と る粉砕ステップと、粉砕ステップにて得ら た粉砕物を気流中で流動状態にて加熱処理 球形化する球形化処理ステップと、を少な とも含んでなり、荷電制御剤(CCR110)が、少 くとも上記式(I)及び式(II)にて示される繰り し単位を含む第4級アンモニウム塩基含有共 重合体を含み、ポリエステル樹脂(ポリエス ル樹脂A)のフローテスター4mm降下温度(T4r:単 ℃)135℃と、荷電制御剤(CCR110)のフローテス ー4mm降下温度(T4c:単位℃)110℃と、が、(式1)T 4c<T4r+10℃を満たすものである、正帯電性静 電荷像現像用トナーの製造方法である。
 実施例2においては、ポリエステル樹脂Aを 有するバインダー樹脂(ここでは全部がポリ ステル樹脂Aである。)と、ワックス(三井化 株式会社製の商品名「三井HI-WAX」(型番:NP-05 5))と、荷電制御剤たるCCR130と、着色剤(キャ ット社製のカーボンブラック:Regal-330)と、を 少なくとも含有する原料を用い正帯電性静電 荷像現像用トナーを製造する製造方法であっ て、少なくともバインダー樹脂(ポリエステ 樹脂A)とワックスと荷電制御剤(CCR130)と着色 とを加熱及び混練し混練物とする加熱混合 テップと、加熱混合ステップにて調製され 混練物を粉砕して粉砕物とする粉砕ステッ と、粉砕ステップにて得られた粉砕物を気 中で流動状態にて加熱処理し球形化する球 化処理ステップと、を少なくとも含んでな 、荷電制御剤(CCR130)が、少なくとも上記式(I )及び式(II)にて示される繰り返し単位を含む 4級アンモニウム塩基含有共重合体を含み、 ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂A)のフロ ーテスター4mm降下温度(T4r:単位℃)135℃と、荷 電制御剤(CCR130)のフローテスター4mm降下温度( T4c:単位℃)130℃と、が、(式1)T4c<T4r+10℃を満 たすものである、正帯電性静電荷像現像用ト ナーの製造方法である。
 実施例3においては、ポリエステル樹脂Aを 有するバインダー樹脂(ここでは全部がポリ ステル樹脂Aである。)と、ワックス(三井化 株式会社製の商品名「三井HI-WAX」(型番:NP-05 5))と、荷電制御剤たるCCR140と、着色剤(キャ ット社製のカーボンブラック:Regal-330)と、を 少なくとも含有する原料を用い正帯電性静電 荷像現像用トナーを製造する製造方法であっ て、少なくともバインダー樹脂(ポリエステ 樹脂A)とワックスと荷電制御剤(CCR140)と着色 とを加熱及び混練し混練物とする加熱混合 テップと、加熱混合ステップにて調製され 混練物を粉砕して粉砕物とする粉砕ステッ と、粉砕ステップにて得られた粉砕物を気 中で流動状態にて加熱処理し球形化する球 化処理ステップと、を少なくとも含んでな 、荷電制御剤(CCR140)が、少なくとも上記式(I )及び式(II)にて示される繰り返し単位を含む 4級アンモニウム塩基含有共重合体を含み、 ポリエステル樹脂(ポリエステル樹脂A)のフロ ーテスター4mm降下温度(T4r:単位℃)135℃と、荷 電制御剤(CCR140)のフローテスター4mm降下温度( T4c:単位℃)140℃と、が、(式1)T4c<T4r+10℃を満 たすものである、正帯電性静電荷像現像用ト ナーの製造方法である。

 また、実施例1乃至3のいずれにおいても、 (I)及び式(II)中のR1は水素原子であり、R2はメ チル基(CH 3 )であり、R3はエチレン基(C 2 H 4 )であり、R4、R5及びR6いずれもメチル基(CH 3 )である。
 実施例1乃至3のいずれにおいても、バイン ー樹脂中の前記ポリエステル樹脂(ポリエス ル樹脂A)の含有率が、80重量%以上(ここでは 100重量%)である。
 実施例1乃至3のいずれにおいても、ワック のフローテスター4mm降下温度(T4w:単位℃)が 荷電制御剤のフローテスター4mm降下温度(T4c: 単位℃)よりも高いものである。
 実施例1乃至3のいずれにおいても、ワック の融点(Tmw:単位℃)が、荷電制御剤のフロー スター4mm降下温度(T4c:単位℃)と(式2)Tmw>T4c- 10℃又は(式3)Tmw=T4c-10℃を満たすものである( こではTmw>T4c-10℃を満たす。)。
 実施例1乃至3のいずれにおいても、前記混 物(バインダー樹脂とワックスと荷電制御剤 着色剤とを混合し溶融混練した混練物)中の 荷電制御剤(CCR)の含有量が1~15重量%(ここでは5 .0重量%)であり、かつ前記混練物中のワック の含有量が1~10重量%(ここでは2.0重量%)である 。

 上述した実施例1乃至3に示した本方法は、 来から知られていた技術に比して種々の利 を有し、従来から知られていた技術が有す 問題を防止又は減少させることができる。
 例えば、特許文献7(特開平10-123763号)では、 述のように、懸濁重合法における荷電制御 (帯電制御剤)の親水性調整によって、高帯 の正帯電性トナーが得られる。しかしなが 、この方法は水中で造粒を行う懸濁重合法 特有の方法であり粉砕法に応用できないう 、荷電制御剤の性質上環境安定性に欠き、 続印字によるトナー劣化に対する耐久性が 足する。このため、連続印字を行った後、 温状態で帯電性が下がると、ボタ落ちなど 画像不良が発生することがある。

 また、トナーの形状は、転写性やクリー ング性などに大きな影響を及ぼすため、粉 トナーを熱的な処理で球形に変形して転写 を向上させる提案もなされている(前述の特 許文献2:特開2006-119413号公報、特許文献3:特開 2002-311647号公報等)。しかし、これらの方法で は通常の粉砕トナーよりも余計に加熱するこ とになり、正帯電性トナーに適用するにはよ り一層帯電制御剤の耐熱性が重要になる。さ らに、加熱により形状を変化させると、トナ ー表面に露出していた荷電制御剤がバインダ ー樹脂によって融着され被覆されることによ り荷電付与能力が低下してしまう。この問題 に鑑み、特許公開公報:特開2004-157365号には、 「帯電特性が安定し、かぶり、転写不良が生 じることがなく、転写効率に優れたトナーを 提供する」(要約中の課題)ためになされた、 感光体上に形成した静電潜像を現像したト ー像を、記録媒体上に転写した後に定着す 画像形成装置に用いるトナーにおいて、ウ タン樹脂を結着樹脂とし、帯電制御剤を含 するトナー粒子が熱的な整形処理が施され ものであるトナー」(要約中の解決手段)が 示されている。特開2004-157365号に開示された ポリウレタン樹脂を使用したトナーに熱処理 球形化を加えることで、加熱量を少なくする 方法により、荷電制御剤の劣化を防ぐことが できる。しかし、この方法は結着樹脂(バイ ダー樹脂)を制限するため原料コストが高く る。また、バインダー樹脂の種類が制限さ るため、プリンターの定着条件などが制限 れ、様々な機種に適応することが困難にな 。

 トナーの形状の球形化による転写率の向 と荷電制御剤の保護を両立させるため、高 子荷電制御樹脂と熱処理球形化を併用する とが特許公開公報:特開2004-191934号に開示さ ている。具体的には、特許公開公報:特開200 4-191934号には、「混練粉砕分級後のトナーを 風気流中での粒子表面の溶融により球状化 せても、荷電調整剤が被覆されてその帯電 を低下させることなく、良好な画像形成に 要な摩擦荷電能を有し、転写効率に優れ、 電立ち上がり性能および連続印字後の帯電 定性に優れた電子写真用正荷電トナーおよ その製造方法の提供」(要約中の課題)のた になされた、「結着樹脂、ワックス、着色 、荷電調整剤を主成分材料とし熱処理によ 球形化処理が施されてなるコアトナーと、 添剤として少なくともシリカ微粒子とを含 電子写真用正荷電トナーにおいて、前記荷 調整剤が第4級アンモニウム塩基を官能基と て有する樹脂とニグロシン系染料とを含有 る電子写真用正荷電トナーとする」(要約中 の解決手段)ことが開示されている。特開2004- 191934号に記載の荷電制御樹脂とニグロシン染 料を併用し加熱処理を行う方法により、熱処 理による形状制御と劣化せずに残る荷電制御 剤の両立ができる。しかしこの方法では荷電 制御樹脂と結着樹脂(バインダー樹脂)がよく 溶するため、「従来の乾式粉砕法において 混練粉砕分級後のトナーを熱風気流中に導 し、粒子表面を溶融させて球状化させるこ により、前記流動性低下等の問題点を解決 ようとする方法も既に知られているが、こ 方法の問題点はトナー表面の前記溶融によ 球状化に伴うトナー帯電量の低下である。 なわち、トナー粒子の表面溶融化により、 面に存在し露出している荷電調整剤が溶融 脂で融着され被覆されることにより荷電能 低下してしまうことにある。・・・・・混 粉砕分級後のトナーを熱風気流中での粒子 面の溶融により球状化させても、荷電調整 が被覆されてその帯電能を低下させること 」(特開2004-191934号の段落番号0010~段落番号00 11前半)い効果は充分ではなく、多量の荷電制 御樹脂を添加する必要が生じ、トナーの耐久 性を損なう。また、ニグロシン系染料を併用 すると、熱処理球形化時にニグロシンが分解 して、トナー粒子の帯電性を損ない、カブリ などが発生する。

 特許公開公報:特開平6-51561号には、「正 電非磁性一成分現像方式の現像に使用され トナーにおいて、長期使用時においても画 濃度が高く現像特性の安定した正帯電非磁 一成分トナーを提供することを目的とする (要約中の目的)のためになされた、「正帯電 非磁性一成分トナーは結着樹脂、着色剤、電 荷制御剤、流動性付与剤を必須成分とし、結 着樹脂が少なくとも下式(式は省略)等で表わ れる単量体を共重合してなる共重合体で、 荷制御剤が少なくとも第4級アンモニウム塩 で構成され、トナー粒子は熱処理を施され、 流動性付与剤が少なくとも特定の処理剤で処 理された疎水性シリカで構成される正帯電非 磁性一成分トナー及びそれを用いる現像方法 。」(要約中の構成)ことが開示されている。 開平6-51561号に開示された正極性の摩擦荷電 性をもつバインダー樹脂を使用する方法によ り、正帯電性の長期使用時の安定性を満足す ることはできるが、このような特殊な樹脂の 原材料費が非常に高コストとなってしまう。 また、バインダー樹脂の種類が制限されるた め、プリンターの定着条件などが制限され、 様々な機種に適応することが困難になる。

 以上説明したように、これら特開平10-123763 、特開2002-139868号、特開2004-157365号、特開200 4-191934号及び特開平6-51561号に開示の従来技術 では、(1)高くかつ安定した帯電性能を持ち、 白地カブリやボタ落ちなどの問題が発生せず 、(2)転写性、クリーニング性の調整のための 形状制御が可能で画像メモリなどの問題が発 生せず、(3)定着性が良好かつ汎用的な結着樹 脂(バインダー樹脂)を用いており低温定着が 能で、(4)安価な材料を用いている、といっ (1)乃至(4)の全てを満たすことはできなかっ 。
 これに対し、上述した実施例1乃至3に示し 本方法によれば、結着樹脂(バインダー樹脂) としてプリンターの定着条件などに対して汎 用性が高いポリエステル樹脂、荷電制御剤と して従来の材料(上記式(I)及び式(II)にて示さ る繰り返し単位を含む第4級アンモニウム塩 基含有共重合体)を用いた正帯電性静電荷像 像用トナーを、加熱処理して形状を制御し つ、高くかつ安定し持続する帯電性能を付 し製造することができる。