TSURUTA HIDEYUKI
MORINO YUZURU
TAKAHASHI MIKIHIRO
ISHII AKIHIRO
TSURUTA HIDEYUKI
MORINO YUZURU
TAKAHASHI MIKIHIRO
WO2008090755A1 | 2008-07-31 |
JPS61271249A | 1986-12-01 | |||
JP2006290870A | 2006-10-26 | |||
JP2007212495A | 2007-08-23 |
式[1] |
請求項1において、前記精製に付される、式[1]で示される光学活性α-フルオロカルボン酸エステルが、式[7] |
請求項2において、前記反応を、有機塩基の存在下かつ反応溶媒の非存在下に行う、請求項2に記載の光学活性α-フルオロカルボン酸エステルの精製方法。 |
請求項1乃至請求項3において、光学活性α-フルオロカルボン酸エステルが、式[2] |
請求項4において、光学活性α-フルオロカルボン酸エステルが、式[3] |
本発明は、医農薬および光学材料の重要 間体である光学活性α-フルオロカルボン酸 ステルの精製方法に関する。
本発明で対象とする光学活性α-フルオロ ルボン酸エステルは、医農薬および光学材 の重要中間体である。本発明に関連する代 的な公知技術としては、特許文献1および特 許文献2が挙げられる。これらの公知技術は 脱ヒドロキシフッ素化の反応終了液を無機 基の水溶液に注ぎ込み、水層にフッ化物イ ンを固定化して低減除去する方法である。
また本出願人は、本出願に先立ち「光学活
α-ヒドロキシカルボン酸エステルを有機塩
の存在下かつ反応溶媒の非存在下にスルフ
ルフルオリド(SO 2
F 2
)、トリフルオロメタンスルホニルフルオリ
(CF 3
SO 2
F)またはノナフルオロブタンスルホニルフル
リド(C 4
F 9
SO 2
F)と反応させ、目的生成物である光学活性α-
ルオロカルボン酸エステルを含む反応終了
に酸を加えて蒸留することにより、フッ化
イオンが低減された光学活性α-フルオロカ
ボン酸エステルが、高い化学純度且つ光学
度で簡便に製造できること」を見出し、既
出願した[特願2007-212495号、実施例2(前半部)
実施例3(前半部)、参考例1と参考例2を参照]
本発明の目的は、医農薬および光学材料 重要中間体である光学活性α-フルオロカル ン酸エステルの大量規模での生産に適した 弗方法を提供することにある。
特許文献1および特許文献2の脱弗方法は 目的生成物の水溶性が高い場合には脱弗後 回収率が低下するという問題があった。ま フッ化物イオンを固定化するために使用す 水の量が比較的多く、大量規模での脱弗に いては廃水処理に負荷が掛かるという問題 あった。
特願2007-212495号の脱弗方法は、操作が簡 なため大量規模での脱弗には適しているが 脱弗効果が十分ではないという問題があっ 。目安として、フッ化物イオン濃度を100ppm 度に低減することはできても、10ppm未満に高 度に低減することは困難であった。
この様に、光学活性α-フルオロカルボン エステルの大量規模での生産に適した脱弗 法が強く望まれていた。
本発明者らは、上記の課題を解決するた に鋭意検討した結果、光学活性α-フルオロ ルボン酸エステルに含まれるフッ化物イオ が、有機塩基の存在下に蒸留することによ 、簡便に且つ効率良く低減除去できること 見出した。
すなわち、本発明は、光学活性α-フルオ カルボン酸エステルの大量規模での生産に した脱弗方法を提供する。
本発明に依れば、式[1]
第1方法は、前記精製に付される、式[1]で示
される光学活性α-フルオロカルボン酸エステ
ルが、式[7]
第2方法は、前記反応を、有機塩基の存在 かつ反応溶媒の非存在下に行うことを特徴 する第3方法であってもよい。
第1方法乃至第3方法のいずれか1つの方法は、
光学活性α-フルオロカルボン酸エステルが、
式[2]
第4方法は、光学活性α-フルオロカルボン酸
ステルが、式[3]
本発明の特徴および公知技術ならびに、 公開の特願2007-212495号記載の技術との比較 ついて、以下に纏める。
1)本発明の脱弗効果は極めて高く、フッ化 イオン濃度を10ppm未満に高度に低減するこ ができ、特願2007-13020号に比べて有利な点で る。また本発明の脱弗効果は、代表的な無 脱弗剤に比べて格段に優れていることも明 かにした[実施例1と、参考例2(反応終了液に 酸を加えて蒸留を行う)、比較例2(フッ化ナト リウム)、比較例3(塩化カルシウム・二水和物 )の比較]。
2)本発明の脱弗方法は、水溶性の高い化合 に対しても収率良く回収することができ、 許文献1および特許文献2に比べて有利な点 ある。式[3]で示される(R)-2-フルオロプロピ ン酸メチルは水溶性の比較的高い化合物で るが、本発明の脱弗方法を適用すると収率 く回収することができる。該化合物は農薬 重要中間体として有用性が顕著であるため 本発明の対象化合物として好適である。
3)本発明の脱弗方法は、廃水処理の負荷が殆
掛からないため大量規模での脱弗に適して
り、特許文献1および特許文献2に比べて有
な点である。
4)本発明の脱弗方法は、蒸留操作において加
条件下で有機塩基に曝すことになるが、有
塩基が有する塩基性や求核性に起因する、
位のラセミ化やフッ素原子の置換等の副反
は全く認められず、高い光学純度と化学純
を保持した状態で脱弗を行うことができる
5)本発明で使用する有機塩基は、回収再利 においても無機脱弗剤に比べて有利である 無機脱弗剤の回収再利用は一般に困難であ 、使用後は廃棄する場合が多い。一方、有 塩基の回収再利用は後述の通り容易に行う とができる。
この様に、本発明により、光学活性α-フ オロカルボン酸エステルの脱弗を大量規模 行うことができる。
本発明の光学活性α-フルオロカルボン酸 ステルの精製方法について詳細に説明する
先ず、本発明において「脱弗」とは、「 機化合物に含まれるフッ化物イオンを低減 去する」ことを指す。また本発明の光学活 α-フルオロカルボン酸エステルに含まれる ッ化物イオンの存在形態としては、特に制 はないが、通常は「フッ化水素」、「有機 基とフッ化水素からなる塩または錯体」、 無機塩基とフッ化水素からなる塩または錯 」または「光学活性α-フルオロカルボン酸 ステルとフッ化水素からなる錯体」として 在する。
式[1]で示される光学活性α-フルオロカルボ 酸エステルのR 1 としては、メチル基、エチル基、プロピル基 、ブチル基、アミル基、ヘキシル基が挙げら れ、炭素数が3以上のアルキル基は直鎖また 分枝を採ることができる。
式[1]で示される光学活性α-フルオロカルボ 酸エステルのR 2 としては、メチル基、エチル基、プロピル基 、ブチル基が挙げられ、炭素数が3以上のア キル基は直鎖または分枝を採ることができ 。またR 1 とR 2 のアルキル基同士が共有結合してラクトン環 を形成することもできる。
式[1]で示される光学活性α-フルオロカル ン酸エステルの不斉炭素の立体化学として 、R配置またはS配置を採ることができ、エ ンチオマー過剰率(%ee)としては、特に制限は ないが、90%ee以上のものを用いればよく、通 は95%ee以上が好ましく、特に97%ee以上がより 好ましい。
式[1]で示される光学活性α-フルオロカル ン酸エステルの製造方法としては、特に制 はないが、特許文献1、特許文献2、特願2007- 212495号、国際公開2006/037887号パンフレットお び特開2006-169251号公報を参考にして製造す ことができる(未公開の特願2007-212495号の製 方法については詳細に後述する)。本発明の 製方法は、その製造方法に依らず、光学活 α-フルオロカルボン酸エステルの脱沸に広 採用することができる。その中でも、得ら た該エステルの含有量が比較的高いものに して顕著な脱沸効果を示し、具体的には、 量パーセントで70%以上のものを用いればよ 、通常は80%以上が好ましく、特に90%以上が り好ましい。
有機塩基としては、特に制限はないが、代
的なものとしては、式[4]
有機塩基の使用量としては、特に制限は いが、式[1]で示される光学活性α-フルオロ ルボン酸エステルに含まれるフッ化物イオ 1モルに対して0.7~100モルを用いればよく、 常は0.8~75モルが好ましく、特に0.9~50モルが り好ましい。式[1]で示される光学活性α-フ オロカルボン酸エステルの製造方法によっ は、既に所定量以上の有機塩基を含んでい 場合もあり、この様な場合には、新たに有 塩基を加えることなく蒸留精製を行うこと できる。
本発明の精製方法においては、脱沸操作 使用した有機塩基を回収再利用することが きる。蒸留を好適な操作条件下で行うと、 用後の有機塩基は「フッ化水素との塩また 錯体(フッ化水素との混合物)」の形で、釜 (蒸留残渣)から回収することができる。該釜 残を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水 酸化カルシウム等から調製したアルカリ性水 溶液で中和し、遊離した有機塩基を分液し、 必要に応じて水洗または脱水操作を行い、蒸 留することにより、有機塩基を高い化学純度 で収率良く回収することができる。回収した 有機塩基は、脱弗効果が低下することなく再 利用できる。この様な方法で回収再利用を行 う場合には、脂溶性が高く、脱水し易い有機 塩基が好適である。当然、回収再利用の方法 は、上記の手法に限定されるものではない。
蒸留の操作条件としては、対象化合物で る式[1]で示される光学活性α-フルオロカル ン酸エステルの沸点を考慮して、当業者に って、圧力およびバス温度(釜温度)を適宜 定することができるが、減圧蒸留が、蒸留 度を適度に低減できるために、好ましい。 圧蒸留を行う場合の減圧度(蒸留時の系内の 対圧をいう。以下同じ。)としては、特に制 限はないが、大気圧未満の範囲で行えばよく 、通常は70kPa以下が好ましく、特に50kPa以下 より好ましい。但し、0.1kPaを下回ると、脱 の効率が下がり、または有機塩基との分離 率が下がり、かえって操作上、不都合にな ことがあるので、好ましくない。したがっ 、例えば0.5kPa~50kPaの範囲で蒸留を行うこと 、好ましい態様である。
また蒸留における塔頂温度は、上記減圧 に依存するが、バス温度としては、当然こ 塔頂温度よりも高い温度を設定する。バス 度も減圧度に依存することとなるが、この 度としては、200℃以下の範囲であり、通常 175℃以下が好ましく、特に150℃以下がより ましい。バス温度に下限値はないが、20℃ 上、さらに好ましくは30℃以上のバス温度で 蒸留を行うと、蒸留が安定しやすいので、有 利である。したがって、バス温度20~175℃は好 ましい温度として挙げられ、30~150℃は一層好 ましい温度である。
必要に応じて、本発明の脱弗操作を繰り すことにより、光学活性α-フルオロカルボ 酸エステルに含まれるフッ化物イオンをさ に高度に低減除去することができる。
本発明の精製方法においては、対象化合物
有用性、有機塩基の入手容易性、顕著な脱
効果、蒸留の操作性、蒸留での有機塩基と
象化合物の分離性、副反応が起こらないこ
、および有機塩基の回収再利用の容易性等
ら判断すると、「式[2]で示される光学活性2
-フルオロプロピオン酸エステルと第三級ア
ンの組み合わせによる蒸留」が好ましい態
であり、特に「式[3]で示される(R)-2-フルオ
プロピオン酸メチルとトリn-ブチルアミンの
組み合わせによる蒸留」がより好ましい態様
である。
[光学活性α-フルオロカルボン酸エステルの
造方法]
本発明において、前記精製に付される、式[
1]で示される光学活性α-フルオロカルボン酸
ステルの製造方法(合成方法)としては、式[7
]
また、大量規模での製造に適した方法とし
は、前述の中でも、特願2007-212495号記載の
法が挙げられ、次の二つの特徴を有してお
、高い生産性で且つ少ない廃棄物で製造で
るため、工業的な方法として非常に有用で
る。
1)反応溶媒を一切用いないニートの状態で目
とする反応が良好に進行し、光学活性α-フ
オロカルボン酸エステルが極めて高い光学
度(好適な場合には99%ee以上)で収率良く得ら
れること[実施例2(前半部)、実施例3(前半部)
参考例1および参考例2]。
2)さらに反応終了液を直接、蒸留精製するこ
により、光学活性α-フルオロカルボン酸エ
テルが極めて簡便に回収でき、またこの時
酸を加えて蒸留精製することにより、回収
れる光学活性α-フルオロカルボン酸エステ
中の有機塩基含量とフッ化物イオン濃度が
果的に低減できること[参考例2と、実施例2(
前半部)、実施例3(前半部)および参考例1の比
]。
よって、「光学活性α-フルオロカルボン エステルを特願2007-212495号の好適な方法で 造し、本発明の好適な脱弗方法で精製する み合わせ(例えば、実施例2および実施例3)」 極めて好ましい態様である。
特願2007-212495号の製造方法は未公開のた 、以下に説明する。
該製造方法は、下記の[製法1]から[製法7] 含み、光学活性α-フルオロカルボン酸エス ルの工業的な製造方法を提供する。
製法1は、式[7]
製法2は、製法1に記載の反応によって得 れた、光学活性α-フルオロカルボン酸エス ルを含む反応終了液に、酸を加えて蒸留精 することを特徴とする、光学活性α-フルオ カルボン酸エステルを製造する方法である
製法3は、酸が有機酸であることを特徴と する、製法2に記載の光学活性α-フルオロカ ボン酸エステルを製造する方法である。
製法4は、式[8]
製法5は、製法4に記載の反応によって得 れた、光学活性2-フルオロプロピオン酸エス テルを含む反応終了液に、有機酸を加えて減 圧蒸留精製することを特徴とする、光学活性 2-フルオロプロピオン酸エステルを製造する 法である。
製法6は、式[9]
製法7は、製法6に記載の反応によって得 れた、(R)-2-フルオロプロピオン酸メチルを む反応終了液に、安息香酸を加えて減圧蒸 精製することを特徴とする、(R)-2-フルオロ ロピオン酸メチルを製造する方法である。
上記の[製法1]から[製法7]を実施するため 最良の形態を詳細に示す。
まず、式[7]で示される光学活性α-ヒドロ シカルボン酸エステルを、有機塩基の存在 かつ反応溶媒の非存在下に、スルフリルフ オリド、トリフルオロメタンスルホニルフ オリドまたはノナフルオロブタンスルホニ フルオリドと反応させることにより、式[1] 示される光学活性α-フルオロカルボン酸エ テルを製造する「反応工程」について、説 する。
該反応工程では、目的とする光学活性α- ルオロカルボン酸エステルとは逆の立体化 を有する、光学活性α-ヒドロキシカルボン エステルを出発原料とし、ヒドロキシル基 脱離基に誘導(立体保持)し、フッ素アニオ と二分子求核置換反応(立体反転)を行う。
該反応の出発原料および目的生成物の不 炭素の立体化学としては、ヒドロキシル基 脱離基に誘導する工程は立体保持で進行し フッ素アニオンで二分子求核置換反応する 程は立体反転で進行する。よって式[7]で示 れる光学活性α-ヒドロキシカルボン酸エス ルのα位R体からは式[1]で示される光学活性 -フルオロカルボン酸エステルのα位S体が得 れ、同様にα位S体からはα位R体が得られる
式[7]で示される光学活性α-ヒドロキシカル ン酸エステルのR 1 としては、メチル基、エチル基、プロピル基 、ブチル基、アミル基、ヘキシル基が挙げら れ、炭素数3以上のアルキル基は直鎖または 枝を採ることができる。好適な例において 反応終了液を直接、蒸留することにより式[1 ]で示される光学活性α-フルオロカルボン酸 ステルが回収できるが、この時に沸点が低 方がより回収し易いため、その中でもメチ 基、エチル基およびプロピル基が好ましく 特にメチル基およびエチル基がより好まし 。
式[7]で示される光学活性α-ヒドロキシカル ン酸エステルのR 2 としては、メチル基、エチル基、プロピル基 、ブチル基が挙げられ、炭素数3以上のアル ル基は直鎖または分枝を採ることができる 上記と同様に沸点が低い方がより回収し易 ため、その中でもメチル基およびエチル基 好ましく、特にメチル基がより好ましい。 らにR 1 とR 2 のアルキル基同士が共有結合でラクトン環を 形成することもできる。
式[7]で示される光学活性α-ヒドロキシカ ボン酸エステルの不斉炭素の立体化学とし は、R配置またはS配置を採ることができ、 ナンチオマー過剰率(%ee)としては、特に制限 はないが、90%ee以上のものを用いればよく、 常は95%ee以上が好ましく、特に97%ee以上がよ り好ましい。
式[7]で示される光学活性α-ヒドロキシカ ボン酸エステルは、Synthetic Communications(米 ),1991年,第21巻,第21号,p.2165-2170を参考にして 市販されている種々の光学活性α-アミノ酸 ら同様に製造することができる。また実施 および参考例で用いた(S)-乳酸メチルは市販 を利用した。
ヒドロキシル基を脱離基に誘導する反応 としては、スルフリルフルオリド、トリフ オロメタンスルホニルフルオリドまたはノ フルオロブタンスルホニルフルオリドが挙 られる。その中でもフッ素の原子経済性、 業的な入手、後処理操作および廃棄物処理 考慮すると、スルフリルフルオリドおよび リフルオロメタンスルホニルフルオリドが ましく、特にスルフリルフルオリドがより ましい。
スルフリルフルオリド、トリフルオロメ ンスルホニルフルオリドまたはノナフルオ ブタンスルホニルフルオリドの使用量とし は、特に制限はないが、式[7]で示される光 活性α-ヒドロキシカルボン酸エステル1モル に対して0.7~7モルを用いればよく、通常は0.8~ 5モルが好ましく、特に0.9~3モルがより好まし い。
有機塩基としては、特に制限はないが、代
的なものとしては、第三級アミンおよびピ
ジン類が挙げられる。斯かる有機塩基とし
は、トリメチルアミン、トリエチルアミン
ジイソプロピルエチルアミン、トリn-プロ
ルアミン、トリn-ブチルアミン、トリn-ペン
ルアミン、トリn-ヘキシルアミン、ピリジ
、2,3-ルチジン、2,4-ルチジン、2,5-ルチジン
2,6-ルチジン、3,4-ルチジン、3,5-ルチジン、2,
3,4-コリジン、2,4,5-コリジン、2,5,6-コリジン
2,4,6-コリジン、3,4,5-コリジン、3,5,6-コリジ
等が挙げられる。その中でもトリエチルア
ン、ジイソプロピルエチルアミン、トリn-プ
ロピルアミン、トリn-ブチルアミン、トリn-
ンチルアミン、トリn-ヘキシルアミン、ピリ
ジン、2,3-ルチジン、2,4-ルチジン、2,6-ルチジ
ン、3,4-ルチジン、3,5-ルチジン、2,4,6-コリジ
および3,5,6-コリジンが好ましい。本製法は
応溶媒の非存在下に反応させるため、反応
内で副生する、有機塩基とフッ化水素の塩
たは錯体、または有機塩基とRfSO 3
H[式中、Rfはフッ素原子、トリフルオロメチ
基またはノナフルオロブチル基を表す]の塩
たは錯体が適度な流動性を有して良好に攪
できることが重要であり、斯かる有機塩基
しては、特にトリエチルアミンおよびトリn
-ブチルアミンがより好ましい[(S)-乳酸メチル
(1.0eq)、スルフリルフルオリド(1.2eq)と有機塩
(1.2eq)を用いて実施例または参考例と同様に
反応を行い、得られた反応終了液の室温にお
ける流動性を調査したところ、有機塩基にト
リエチルアミンまたはトリn-ブチルアミンを
いた場合の方が、ジイソプロピルエチルア
ンまたはトリn-プロピルアミンを用いた場
に比べて流動性が良好であった。表-1を参照
]。また、蒸留操作においては、目的化合物
ある光学活性α-フルオロカルボン酸エステ
との沸点差が、大気圧で30℃以上あるものを
用いればよく、通常は40℃以上が好ましく、
に50℃以上がより好ましく、さらに、回収
利用が容易に行える有機塩基を選定するこ
が重要である。これらの観点を考慮すると
本製法の好適な目的化合物である(R)-2-フル
ロプロピオン酸メチルの製造においては、
リn-ブチルアミンが極めて好ましい。
有機塩基の使用量としては、特に制限は いが、式[7]で示される光学活性α-ヒドロキ カルボン酸エステル1モルに対して0.7~7モル 用いればよく、通常は0.8~5モルが好ましく 特に0.9~3モルがより好ましい。
本製法の重要な態様である“反応溶媒の 存在下に反応させる”とは、上述の反応試 以外に、反応溶媒(有機溶媒、水等の液体) 系内に、実質的に存在させずに、反応を行 ことをいう。具体的には式[7]で示される光 活性α-ヒドロキシカルボン酸エステル1モル 対して0.1L(リットル)未満の状態を指し、通 は0.07L未満が好ましく、特に0.05L未満がより 好ましい。系内に反応溶媒を意図的に添加す ることなく反応を行う態様が「反応溶媒の非 存在下に反応させる」典型であり、極めて好 ましい。“反応溶媒の非存在下に反応させる ”ことにより、式[1]で示される光学活性α-フ ルオロカルボン酸エステルが高い生産性で且 つ少ない廃棄物で製造できる。
反応温度としては、本製法は反応溶媒の非 在下に反応させるため、反応系内で副生す 、有機塩基とフッ化水素の塩または錯体、 たは有機塩基とRfSO 3 H[式中、Rfはフッ素原子、トリフルオロメチ 基またはノナフルオロブチル基を表す]の塩 たは錯体が適度な流動性を有して良好に攪 できることが重要であり、斯かる反応温度 しては、通常は-20~+70℃が好ましく、特に-10 ~+50℃がより好ましい。またスルフリルフル リド、トリフルオロメタンスルホニルフル リドまたはノナフルオロブタンスルホニル ルオリドの沸点以上の反応温度で反応を行 場合には耐圧反応容器を使用することがで る。
反応圧力としては、特に制限はないが、 気圧(0.1MPa)~2MPaの範囲で行えばよく、通常は 大気圧~1.5MPaが好ましく、特に大気圧~1MPaがよ り好ましい。よってステンレス鋼(SUS)または ラス(グラスライニング)の様な材質ででき 耐圧反応容器を用いて反応を行うことが好 しい。
反応時間としては、特に制限はないが、2 4時間以内の範囲で行えばよく、出発原料、 機塩基、ヒドロキシル基を脱離基に誘導す 反応剤および反応条件等により異なるため ガスクロマトグラフィー、薄層クロマトグ フィー、液体クロマトグラフィー、核磁気 鳴(NMR)等の分析手段により、反応の進行状況 をモニターし、出発原料が殆ど消失した時点 を終点とすることが好ましい。
上記の「反応工程」で得られた光学活性 -フルオロカルボン酸エステルは、その後、 後処理工程」に付すことによって、単離す ことができる。この後処理手段としては、 に制限はない。しかし本製法においては、 応溶媒が用いられていないことから、反応 了液を直接(特段の後処理操作を行うことな く、そのまま)蒸留することができ、それが に好適である。前記の様に本製法の反応に いては、反応溶媒の存在しない条件下であ にも拘らず、分離の難しい不純物がほとん 生成しない。したがって、反応終了液をそ まま蒸留工程に付しても、高い純度で、な かつ高い光学純度で、目的とする式[1]で示 れる光学活性α-フルオロカルボン酸エステ が回収できる。以下、この蒸留工程につい 、説明する。
蒸留の条件としては、その沸点を考慮し 、当業者によって、圧力およびバス温度(釜 温度)を適宜設定することができるが、減圧 留が、蒸留温度を適度に低減できるために 好ましい。減圧蒸留を行う場合の減圧度(蒸 時の系内の絶対圧をいう。以下同じ。)とし ては、特に制限はないが、大気圧未満の範囲 で行えばよく、通常は50kPa以下が好ましく、 に25kPa以下がより好ましい。但し、0.1kPaを 回ると、蒸留の分離効率が下がり、かえっ 操作上、不都合になることがあるので、好 しくない。したがって、例えば0.3kPa~25kPaの 囲で蒸留を行うことは、好ましい態様であ 。
また蒸留における塔頂温度は、上記減圧 に依存するが、バス温度としては、当然こ 塔頂温度よりも高い温度を設定する。バス 度も減圧度に依存することとなるが、この 度としては、200℃以下の範囲であり、通常 175℃以下が好ましく、特に150℃以下がより ましい。バス温度に下限値はないが、20℃ 上、さらに好ましくは40℃以上のバス温度で 蒸留を行うと、蒸留が安定しやすいので、有 利である。したがって、バス温度20~175℃は好 ましい温度として挙げられ、40~150℃は一層好 ましい温度である。
必要に応じて、回収した留出物を分別蒸 することにより、目的生成物をより高い純 で得ることができる。
本製法においては、反応に使用した有機塩 を回収再利用することができる。反応と蒸 を好適な操作条件下で行うと、使用後の有 塩基は「RfSO 3 H[式中、Rfはフッ素原子、トリフルオロメチ 基またはノナフルオロブチル基を表す]との または錯体(RfSO 3 Hとの混合物)」または「フッ化水素との塩ま は錯体(フッ化水素との混合物)」の形で、 残(蒸留残渣)から回収することができる(大 分は前者の形)。該釜残を水酸化ナトリウム 水酸化カリウム、水酸化カルシウム等から 製したアルカリ性水溶液で中和し、遊離し 有機塩基を分液し、必要に応じて水洗また 脱水操作を行い、蒸留することにより、有 塩基を高い化学純度で収率良く回収するこ ができる。回収した有機塩基は、反応性が 下することなく再利用できる。この様な方 で回収再利用を行う場合には、脂溶性が高 、脱水し易い有機塩基が好適である。当然 回収再利用の方法は、上記の手法に限定さ るものではない。
上記蒸留工程は“反応終了液に酸を加え 行う”ことにより、一層好ましく実施でき 。すなわち、「反応終了液」に対して、酸( 好ましくは有機酸、より好ましくは安息香酸 )を添加し、その液を蒸留工程に付すことに って、反応に用いられた有機塩基や、残存 るフッ化物イオンが効果的に除去され(フッ 物イオン濃度は100ppm程度に低減できる。参 例2を参照)、式[1]で示される光学活性α-フ オロカルボン酸エステルがより高い純度、 い生産性で且つより少ない廃棄物で製造で る。
本製法において、式[8]で示される光学活性 酸エステルを、スルフリルフルオリド(SO 2 F 2 )またはトリフルオロメタンスルホニルフル リド(CF 3 SO 2 F)と、トリエチルアミン、ジイソプロピルエ ルアミン、トリn-プロピルアミン、トリn-ブ チルアミン、トリn-ペンチルアミン、トリn- キシルアミン、ピリジン、2,3-ルチジン、2,4- ルチジン、2,6-ルチジン、3,4-ルチジン、3,5-ル チジン、2,4,6-コリジンおよび3,5,6-コリジンか ら選ばれる有機塩基の存在下かつ反応溶媒の 非存在下に反応させ、式[2]で示される光学活 性2-フルオロプロピオン酸エステルを得る方 は、生成物の有用性が顕著であることや、 製法の効果が顕著であることから、特に好 しい態様である。
また、式[9]で示される(S)-乳酸メチルを、ス ルフリルフルオリド(SO 2 F 2 )と、トリエチルアミンおよびトリn-ブチルア ミンから選ばれる有機塩基の存在下かつ反応 溶媒の非存在下に反応させ、式[3]で示される (R)-2-フルオロプロピオン酸メチルを得る方法 は、生成物の有用性が顕著であること、原料 化合物の入手が特に容易であることや、本製 法の効果が顕著であること等から、極めて好 ましい態様である。
上記の「後処理工程」において、“反応 了液に酸を加えて行う蒸留”は、本願発明 実施する上では敢えて実施する必要はない すなわち、上記の「反応工程」に引き続き 反応終了液に酸を加えることなく蒸留回収 た、光学活性α-フルオロカルボン酸エステ に対して、有機塩基を加えて蒸留すること より、本発明の目的を十分に達成すること できる。但し、上記の“反応終了液に酸を えて行う蒸留”を行なうことを妨げるもの はない。
実施例により本発明の実施の形態を具体 に説明するが、本発明はこれらの実施例に 定されるものではない。
「フッ化物イオン濃度」は、「対象化合 の容量」に対する「フッ化物イオンの重量 としてppmで表示し、例えば、対象化合物1L( ットル)にフッ化物イオンが1mg含まれている ものを1ppmとする。「フッ化物イオン含有量 の算出に用いた(R)-2-フルオロプロピオン酸 チルの比重は、20℃での実測値である1.07を 用した。
また、脱弗効果を正確に見極める目的で 前述の方法で製造した(R)-2-フルオロプロピ ン酸メチルに所定量のフッ化水素を加え、 望のフッ化物イオン濃度に調整することも きる。
[実施例1]
ステンレス鋼(SUS)製蒸留装置(理論段数15段)
、下記式
[比較例1]
ステンレス鋼(SUS)製蒸留装置(理論段数15段)
、下記式
[比較例2、比較例3]
ポリエチレン製反応容器に、下記式
また、無機脱弗剤にアルミナまたはシリ ゲルを用いて同様の脱弗操作を実施したが 脱弗効果は実施例1に比べて劣っており、フ ッ化物イオン濃度を10ppm未満に低減除去する とはできなかった。
実施例1および比較例1から比較例3で得られ
知見を以下に纏める。
1)有機塩基の非存在下での蒸留は、脱弗効果
全く認められない(実施例1と比較例1の比較)
。
2)代表的な無機脱弗剤は、有機塩基の存在下
の蒸留に比べて脱沸効果が低い(実施例1と
比較例2、比較例3の比較)。
[実施例2]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記
次いで、反応終了液を、そのまま減圧蒸留(
減圧度;1.0kPa、バス温度;75℃)に付したところ
下記式
(R)-2-フルオロプロピオン酸メチルの 1 H-および 19 F-NMRスペクトルは参考例1と同じであった。
釜残(蒸留残渣)に水560kgを加え、0℃の循 式冷媒で冷却して48%水酸化ナトリウム水溶 をpHが12になるまで加え、遊離した有機層を 相分離し、回収有機層を水105kgで洗浄した 次いで、ガラス製蒸留装置(理論段数15段)を いて分別蒸留(塔頂温度79~82℃、減圧度14~16hP a)することにより、主留156kg(化学純度99.9%以 、水分0.1%未満)を回収した(回収率82%)。回収 たトリn-ブチルアミンは、反応性が低下す ことなく再利用できた。
ステンレス鋼(SUS)製蒸留装置(理論段数15 )に、上記で得られた(R)-2-フルオロプロピオ 酸メチル95.4kg(フッ化物イオン含有量2.5mol) トリn-ブチルアミン2.5kg[13.5mol、フッ化物イ ン含有量に対して5.4eq{(R)-2-フルオロプロピ ン酸メチルに含まれていたトリn-ブチルアミ ンは考慮していない}]を加え、分別蒸留(塔頂 温度47~52℃、減圧度11.2~11.7kPa)することにより 、主留85.1kg(フッ化物イオンを全く検出せず 化学純度99.9%、光学純度97.4%ee、水分379ppm)を 収した(回収率89.2%)。
[実施例3]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記
次いで、反応終了液を、そのまま減圧蒸留(
減圧度;0.4~1.5kPa、内温;75~85℃)に付したところ
、下記式
(R)-2-フルオロプロピオン酸メチルの 1 H-および 19 F-NMRスペクトルは参考例1と同じであった。
ステンレス鋼(SUS)製蒸留装置(理論段数15 )に、上記で得られた(R)-2-フルオロプロピオ 酸メチル145.1kg(トリn-ブチルアミンを21.3kg含 む)を加え(新たにトリn-ブチルアミンを加え ことなく)、分別蒸留(塔頂温度49~52℃、減圧 10.5~12.0kPa)することにより、主留113.9kg(フッ 物イオンを全く検出せず、化学純度99.9%、 学純度97.2%ee、水分275ppm)を回収した(回収率92 .0%)。
反応終了液の釜残(減圧蒸留残渣)に2.5%水 化ナトリウム水溶液2577kgを加え、内温50~60 で3時間攪拌し、室温まで冷却した後に遊離 た有機層を二相分離し、回収有機層を水117k gで洗浄した。ここで得られたトリn-ブチルア ミン231.7kgに(R)-2-フルオロプロピオン酸メチ 分別蒸留(脱弗)の釜残27.2kg(トリn-ブチルアミ ンを21.3kg含む)を加え、ステンレス鋼(SUS)製蒸 留装置(理論段数15段)を用いて分別蒸留(塔頂 度81~84℃、減圧度1.2~2.0kPa)することにより、 主留243.5kg(化学純度99.9%以上、水分410ppm)を回 した(回収率88.3%)。回収したトリn-ブチルア ンは、反応性が低下することなく再利用で た。
[参考例1]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記
次いで、反応終了液を、そのまま減圧蒸留(
減圧度;15kPa、バス温度;70℃)に付したところ
下記式
(R)-2-フルオロプロピオン酸メチルの 1
H-および 19
F-NMRスペクトルを下に示す。
1
H-NMR[基準物質;(CH 3
) 4
Si,重溶媒;CDCl 3
],δ ppm;1.59(dd,23.6Hz,6.8Hz,3H),3.81(s,3H),5.03(dq,48.6Hz
,6.9Hz,1H).
19
F-NMR(基準物質;C 6
F 6
,重溶媒;CDCl 3
),δ ppm;-22.77(dq,47.2Hz,23.8Hz,1F).
[参考例2]
ステンレス鋼(SUS)製耐圧反応容器に、下記
次いで、反応終了液に安息香酸76g(0.62mol、
剰に使用したトリエチルアミンに対して2.30e
q)を加えて減圧蒸留(減圧度;1.5kPa、バス温度;7
0℃)に付したところ、下記式
(R)-2-フルオロプロピオン酸メチルの 1 H-および 19 F-NMRスペクトルは参考例1と同じであった。
この様に参考例2では、「反応終了液に酸 を加えて蒸留を行う」ことによって、トリエ チルアミン含量、フッ化物イオン濃度を、参 考例1に比べ、さらに顕著に低減することが きた。