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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR RECOVERING PLATINUM GROUP METAL FROM WASTE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/099747
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for recovering a platinum group metal from a waste containing a platinum group metal such as iridium. This method comprises a step wherein an easily water-soluble chloride of a platinum group metal is obtained by reacting a platinum group metal contained in a waste with chlorine in a molten salt composed of sodium chloride or in a molten salt composed of sodium chloride and potassium chloride, and then an aqueous solution of the platinum group metal is obtained by mixing the molten salt after the reaction with water for solid-liquid separation. In this connection, the molten salt is preferably composed of sodium chloride and potassium chloride, while containing not less than 50 mol% of sodium chloride. More preferably, the molten salt is composed of 75-90 mol% of sodium chloride and 10-25 mol% of potassium chloride.

Inventors:
YARITA SOMEI (JP)
GOTO KENJI (JP)
OTA TAKATOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/052012
Publication Date:
August 21, 2008
Filing Date:
February 07, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TANAKA PRECIOUS METAL IND (JP)
YARITA SOMEI (JP)
GOTO KENJI (JP)
OTA TAKATOSHI (JP)
International Classes:
C22B11/02; B09B3/00; C01G55/00; C22B5/12; C22B7/00; C22B11/00
Foreign References:
JP2005240170A2005-09-08
JPS58194745A1983-11-12
JPH09227966A1997-09-02
JPH0257642A1990-02-27
JP2002088494A2002-03-27
JPS5168493A1976-06-14
JPS6092433A1985-05-24
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA AND OKAZAKI (30-10 Hongo 3-chome, Bunkyo-ku, Tokyo 33, JP)
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Claims:
イリジウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウムの少なくともいずれかの白金族金属を含む廃棄物より、前記白金族金属を回収する方法であって、
 塩化ナトリウムからなる溶融塩中、又は、塩化ナトリウムと塩化カリウムとからなる溶融塩中で、前記廃棄物に含まれる前記白金族金属と塩素とを反応させ、水に易溶性の白金族金属の塩化物を生成した後、
 反応後の前記溶融塩を水に混合し、固液分離して前記白金族金属の水溶液を得る工程を含む白金族金属の回収方法。
溶融塩は、塩化ナトリウムと塩化カリウムとからなる溶融塩であり、50mol%以上の塩化ナトリウムを含む請求項1記載の白金族金属の回収方法。
溶融塩は、塩化ナトリウムと塩化カリウムとからなる溶融塩であり、75~90mol%の塩化ナトリウムと、10~25mol%の塩化カリウムからなる請求項1記載の白金族金属の回収方法。
溶融塩の温度を750~850℃とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の白金族金属の回収方法。
塩素を塩素ガスとして供給し、塩素ガスと廃棄物とが直接接触するようにする請求項1~請求項4のいずれかに記載の白金族金属の回収方法。
固液分離して得られた白金族金属の水溶液を濃縮及び乾固した後、水素還元して白金族金属とする請求項1~請求項5のいずれかに記載の白金族金属の回収方法。
Description:
廃棄物からの白金族金属の回収 法

 本発明は、ルテニウム、イリジウム等の 金族金属を含むスクラップ等の廃棄物から 白金族金属を再利用可能な状態で回収する めの方法に関する。

 ルテニウム、イリジウム等の白金族金属 、高耐熱性、高耐食性を有することから各 無機材料融解用のるつぼ等の構造材料の他 電気的特性にも優れることから電子部品の 極材料等にも使用されている。

 一方、これら白金族金属は、希少性が高く 価な金属であることから、無駄のない有効 利用・消費が必要であり、リサイクル技術 発展が求められる。白金族金属を含む固体 態の廃棄物からのルテニウム等の回収方法 しては種々の工夫されたものが知られてい 。その中で本願出願人は、溶融塩による処 技術を利用し、下記リサイクル方法を開示 ている。

特開2004-99975号公報

 本出願人による、上記廃棄物からの白金 金属リサイクル法は、白金族金属(ルテニウ ム、イリジウム)を含む廃棄物を、少なくと セシウム塩を含むアルカリ金属塩化物とか なる溶融塩中に溶解させ、廃棄物中の白金 金属を、水に難溶性の塩化イリジウム酸塩 シウム(塩化ルテニウム酸塩セシウム)とし、 反応後の溶融塩と水とを混合して塩化イリジ ウム酸塩セシウム(塩化ルテニウム酸塩セシ ム)を分離回収する工程を含むものである。 の溶融塩を用いた技術は、比較的少工程で 金族金属を回収することができる。

 ところで、白金族金属を含む廃棄物には その使用履歴により種々の元素が含まれて る。そして、各種廃棄物から白金族金属を 収するためには、それに含まれている不純 元素に応じたプロセスを適用させることが ましい。

 この観点からみると、上記従来のリサイ ル方法は、Fe、Ni、Co等の金属元素を不純物 する廃棄物のリサイクルに好適である。こ ら金属は、溶融塩中で塩化物を生成し易く また、これらの塩化物は水溶性を有するこ から、反応後の溶融塩を水に混合すること 回収目的の白金族金属化合物と容易に分離 ることができるからである。

 しかし、廃棄物中には上記の金属だけが まれているわけではない。これは、白金族 属がるつぼ材料や電子部品の電極材料とし 使用されていることから当然に予測され、 のような使用履歴を有する廃棄物は、C、Si の半金属を含むことが多い。そして、C、Si 、溶融塩中においても、塩化物を生成し難 、上記方法では分離回収が困難である。

 本発明は、以上のような背景の下になさ たものであり、イリジウム、ルテニウム等 白金族金属を含有する廃棄物から白金族金 を回収する方法について、従来法では除去 困難であったC、Si等の半金属又は水溶性の 化物を生成し難い元素を不純物として含む 棄物を処理対象とすることができるものを 供することを目的とする。

 上記課題を解決する本発明は、イリジウ 、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オ ミウムの少なくともいずれかの白金族金属 含む廃棄物より、前記白金族金属を回収す 方法であって、塩化ナトリウムからなる溶 塩中、又は、塩化ナトリウムと塩化カリウ とからなる溶融塩中で、前記廃棄物に含ま る前記白金族金属と塩素とを反応させ、水 易溶性の白金族金属の塩化物を生成した後 反応後の前記溶融塩を水に混合し、固液分 して前記白金族金属の水溶液を得る工程を む白金族金属の回収方法である。

 本発明は、従来の回収法が溶融塩中で白 族金属を難溶性の塩化物にするのとは逆に 廃棄物中の白金族金属を水に易溶性の塩化 とする。そして、反応後の溶融塩と水とを 合することで、C、Si等のような不溶性の不 物を固体状態で分離し、回収目的の白金族 属を水溶液の状態で回収するものである。 のために本発明では、廃棄物の溶媒となる 融塩の構成として、セシウムを含まないア カリ金属塩を適用している。これは、従来 術についての検討から、セシウムは溶融塩 で白金族金属と反応すると難溶性のセシウ 塩を生成するため、白金族金属とC、Si等の 溶性の不純物との分離を困難とするからで る。

 以下、本発明について詳細に説明する。 発明においては、まず、溶融塩を溶媒とし この溶媒中で処理対象となる廃棄物を塩素 反応させつつ溶解させる。処理対象となる 棄物は、回収目的となる白金族金属を含む クラップ等となるが、その含有量は特に限 されない。但し、後述のように、溶融塩中 白金族金属量は、反応速度に影響を与える

 溶融塩による塩素との反応工程において 溶媒となる溶融塩は、塩化ナトリウムから る溶融塩、又は、塩化カリウムと塩化ナト ウムの2種のアルカリ金属塩化物を混合した 溶融塩とする。特許文献1記載の溶融塩は、 化カリウムと塩化ナトリウムに加えて塩化 シウムを含む、K-Na-Cs系3種混合塩が適用され ているが、上記のように、セシウムは白金族 金属に対し難溶性の塩化物を生成することか ら、本発明においてはセシウム塩の適用は除 外される。

 溶融塩を構成するカリウム、ナトリウム 、処理対象となる白金族金属に対し、それ れ別種の塩化物を生成することとなる。ナ リウムは、ナトリウム塩化物(塩化イリジウ ム酸ナトリウム、塩化ルテニウム酸ナトリウ ム等)を生成し、カリウムは、カリウム塩化 (塩化イリジウム酸カリウム、塩化ルテニウ 酸カリウム等)を生成する。各アルカリ金属 を含む白金族金属塩化物は、その生成速度( 金族貴金属との反応速度)及び水に対する溶 度が異なる。本発明者等によれば、生成速 については、カリウム塩化物がナトリウム 化物よりも生成速度が高い一方、水溶性に していえば、ナトリウム塩化物の方がカリ ム塩よりも溶解度が高い。

 特に、塩化ナトリウムと塩化カリウムと 混合した溶融塩を適用する場合、その組成 、廃棄物中の白金族金属の溶解速度と、反 後の溶融塩の水溶性に影響を及ぼす。例え 、カリウム塩の割合を増加させると、白金 金属の溶解速度を高くすることができるも の、反応後の溶融塩(中の白金族金属塩)の 解度を低下させることとなる。この点につ て、作業効率(溶解速度)と、白金族金属回収 率(溶解度)との観点からみれば、溶融塩の組 は、塩化ナトリウム濃度が50mol%以上のもの 好ましく、75~90mol%の塩化ナトリウムと、10~2 5mol%の塩化カリウムからなる溶融塩がより好 しい。

 また、同じ組成の溶融塩中においては、 金族金属の反応速度は、溶融塩中の白金族 属量(廃棄物中の白金族金属量)によっても 化し、白金族金属量の増大により反応速度 上昇する。これは、反応面積の増大に伴う のと考えられる。そこで、反応させる白金 金属のモル量を、溶媒となる溶融塩のモル に対して、15~80モル%とすることが好ましく 30~60モル%が特に好ましい。この範囲未満の 金族金属では反応速度が低下し、十分に経 的な量の白金族金属を溶解するための時間 要し、この範囲を超える白金族金属を溶解 ようとしても、実際には反応に寄与しない 金族金属を過剰に保有することになり、経 的に不利であるからである。尚、ここで好 しいとする範囲は白金族金属の重量であっ 、廃棄物全体の重量ではない。従って、白 族金属濃度の推測が容易でない廃棄物につ ては、処理前にICP等で白金族金属濃度を分 し濃度既知の状態にしておくことが好まし 。

 そして、溶融塩中で白金族金属塩を反応 せる温度は、溶融塩を構成する塩化ナトリ ムと塩化カリウムとの混合塩を溶融させる とを前提としてその設定が必要である。こ 点、塩化ナトリウムの融点は、約800℃であ 、塩化カリウムの融点は約776℃であり、両 の比率が等しい(50%:50%)混合塩の融点は約658 となるが、この組成から外れると融点が上 する。本発明者等によれば、溶融塩の温度 、750~850℃とすることが好ましい。かかる温 度範囲を好ましい範囲とするのは、この温度 範囲において溶融塩の流動性が十分に得られ 、塩素ガスを吹き込んだ場合にその気泡によ る攪拌効果を期待できるからである。また、 溶融塩中での反応速度、及び、生成した白金 族金属塩化物の溶解速度が十分なものとなる からである。

 本発明においては、溶融塩にできるだけ くの(高濃度の)白金族金属を溶解させるこ が好ましいといえる。本発明では、その後 処理において、溶融塩を水に混合し白金族 属塩水溶液を得るものであるが、効率的に 金族金属を回収するには、白金族金属塩水 液の濃度、つまり、溶融塩中の白金族金属 が多いことが好ましいからである。この反 後の溶融塩中の白金族金属濃度の目標値と ては、投入時のアルカリ金属溶融塩モル量 溶解した白金族金属モル量との合計モル量 基準として、5~30モル%に設定するのが好まし い。5%未満では回収効率が悪化し処理コスト 低下の要因となる。また、30%を超える白金 金属を含む溶融塩を製造するのは理論的に 困難であり、溶融塩中の白金族金属の溶解 度も低下し経済的に不利である。

 そして、この目標値に対する反応時間は 8~40時間、好ましくは10~35時間、より好まし は14~24時間とするのが好ましい。

 尚、本発明では、溶融塩中で白金族金属 塩素を反応させることから、反応中、溶融 に塩素を供給する必要がある。この塩素の 給は、溶融塩に塩素ガスを吹き込むことに るのが好ましい。そして、塩素ガスの吹き みは、塩素ガスが廃棄物に直接接触するよ に行なうのが好ましい。具体的には、塩素 ス供給のためのノズルを、その先端部が廃 物表面近傍に位置するように設置するのが ましい。また、塩素ガスの供給量としては 0.5~10L/minとするのが好ましい。

 以上説明した溶融塩中における白金族金 と塩素との反応により、溶融塩中には水溶 の白金族金属塩(塩化イリジウム酸カリウム 、塩化ルテニウム酸ナトリウム等)が生成さ る。そして、この溶融塩を冷却後、水に混 することで、白金族金属塩は水溶液となる 方、不溶性のC、Si等の不純物が固体として 溶液中に分散・沈澱する。水溶液の固液分 は、ろ過によるのが好ましい。

 溶融塩と水との混合においては、溶液中 白金族金属濃度が10~100g/L、好ましくは20~80g/ Lとなるように、水の量を調整して混合する とが好ましい。白金族金属濃度が薄すぎる 回収効率が悪化し、濃すぎると沈澱(溶解残 )の発生が懸念されるからである。尚、前記 のように、水溶液化における水の混合量は、 製造後の水溶液の白金族貴金属濃度を目安・ 目標にすることから、水溶液化の前において 、溶融塩中の白金族金属量、又は、濃度を測 定しておくことが好ましい。

 以上の工程により得られる水溶液中の白 族金属塩(塩化イリジウム酸ナトリウム、塩 化イリジウム酸カリウム等)は、それ自体、 用価値がある。この水溶液は、イオン交換 電解、濃縮等を行なうことで、より高純度 白金族金属塩溶液又は白金族金属塩結晶と ることができ、そのまま利用可能な状態と ることができる。

 また、この水溶液から白金族金属を純金 の形態で回収することも可能である。純金 回収の方法としては、水溶液を濃縮して得 れる白金族金属塩を水素雰囲気で還元する とによるのが好ましい。この水素還元の温 条件としては、300~650℃の範囲とするのが好 ましい。尚、水素還元後の白金族金属は、純 水で洗浄して塩化ナトリウム、塩化カリウム を除去し、再度、水素還元(二次水素還元処 )することで更に高純度のものとすることが きる。

本実施形態で使用した溶融塩処理装置 構造を示す図。

第1実施形態 :ここでは、イリジウムの溶融塩処理、水溶 化、水素還元を行い、廃棄物から金属イリ ウムを回収した。

A:溶融塩による処理
 図1は、本実施形態で使用した溶融塩処理装 置の概略図である。この溶融塩処理装置は、 溶融塩100の容器となるグラファイト製のるつ ぼ10と、るつぼ10を収容する蓋付チャンバー( 体21は石英製、蓋22はテフロン(登録商標)製) 、るつぼから蓋にかけて設置される複数枚の 遮蔽版30(グラファイト製、石英製、パイレッ クス(登録商標)製)、そして、塩素を導入する ためのノズル40を備える。ノズル40の先端部 、るつぼ10内の廃棄物50の表面に近接するよ になっており、廃棄物50に塩素ガスが直接 触するようになっている。

 この溶融塩処理装置1を使用し、イリジウ ムの回収・精製を行った。まず、溶媒塩とな る塩化ナトリウム1989g、塩化カリウム2537gを 英製の容器に入れた。更に、イリジウム含 量2001gのカーボン混在スクラップを投入した 。

 そして、混合塩を820℃まで加熱し溶融さ た。次に、この溶融塩に100%塩素ガスを2L/min の流量で吹き込み、14.2時間(851分間)反応させ た。反応後の溶融塩を一部採取し、ICP分析を 行なったところ、溶融塩中のイリジウム濃度 は26.5重量%であった。

 上記と同様の工程にて、組成を変化させ 溶融塩での処理を行った結果を表1に示す。 ここでは、比較として塩化ナトリウムのみか らなる溶融塩による処理の結果も示している 。

 各実施例の結果から以下の点がわかる。 ず、溶媒となる溶融塩の組成に関して、Ir 入量と反応時間が近似している実施例1と実 例2との比較から、溶媒塩の塩化カリウム濃 度が上昇することで、反応速度が上昇するこ とがわかる。また、溶融塩組成と反応時間が 同じ、実施例2と実施例4との対比から、投入 るイリジウム量が多いほど反応速度が高く る傾向がある。尚、塩化ナトリウムのみか なる溶融塩(実施例6)を用いても、イリジウ の回収は可能ではあるが、反応速度が他の 成の場合よりも低いことから、反応速度の を重視するのであれば、溶媒塩に塩化カリ ムを添加・混合するのがより好ましいこと わかる。

B:白金族金属塩水溶液の生成
 次に、実施例1,3,5,6の反応終了後の溶融塩を 水に混合し、溶融塩からイリジウムをイリジ ウム塩水溶液の形態で回収した。ここでは、 溶融塩中のイリジウム濃度を基に、水溶液中 のイリジウム濃度が20~80%になるように水の量 を変化させて混合した。そして、水を混合し た後の水溶液の分析を行ない、イリジウム等 の濃度を測定すると共に、溶解残物の有無を 検討した。表2にその結果を示す。

 基本的に、溶液中イリジウム濃度の目標 によらず、高純度のイリジウム塩水溶液が 造できた。但し、全体的な傾向として、目 値が高くなると溶解残物が生じ、実際の水 液中の濃度とのズレが大きくなる傾向も見 れる。この点について、塩化カリウムを50% した実施例1では、溶融塩処理の段階では好 適な結果(溶解速度等)を示していたが、水溶 化の段階で溶解残物が比較的多く、また、 溶液の目標濃度と実際の濃度とのズレが大 くなる傾向がある。一方、実施例6の塩化ナ トリウムのみからなる溶融塩を適用した場合 においては、溶解残物や濃度値のズレが少な くなっている。これは、上記で述べたように 、塩化カリウムは、塩化ナトリウムと比して イリジウム塩の生成速度は高いものの、その 水に対する溶解度が低いことによるものと考 えられる。

第2実施形態 :ここでは、本発明に係る方法について、廃 物中の白金の分離操作への適用可能性を検 した。上記第1実施形態の実施例5、6におい 、水溶液化した後の水溶液中の白金濃度を 析したときの結果を表3に示す。

 表3から、実施例5においては、目標イリ ウム濃度を80g/Lとすることで、溶液中の白金 濃度を検出限界以下とし、白金を分離するこ とができたことがわかる。これは、溶液化の 目標濃度を高くすると、溶解残渣が発生し易 くなるものの、白金がイリジウムよりも溶解 残渣中に残留する傾向にあるため、溶液中へ の白金の同伴が抑制されたためと予測される 。

 尚、実施例6(溶融塩組成を塩化ナトリウ 100%とする)において、目標イリジウム濃度20g /Lの溶液中の白金濃度が検出限界以下となっ いるのは、白金濃度が低いというよりも、 リジウムを含めた貴金属全体の重量が少な ぎたことによると考えられる。これは、実 例6において、目標イリジウム濃度を高くし ても白金濃度(白金重量/(イリジウム重量+白 重量))が殆ど変化していないことから予測さ れる。そして、実施例5と実施例6との対比か 、本実施形態においては、白金を完全に分 することを主題とする場合には、溶融塩組 として、塩化カリウムを混合させることが ましいと考えられる。

 次に、この検討結果を確認するため、白 を5.0%含有するスクラップ金属について、第 1実施形態と同様の装置、条件により、溶融 への溶解及び水溶液化を行った。

 この実施例7においても、イリジウム塩水 溶液中の白金濃度は極めて低くなっており、 イリジウム回収と同時に白金との分離を効率 的に行なうことができることが確認できた。

第3実施形態 :ここでは、ルテニウムを含むスクラップを 象に、溶融塩による処理を行なった。第1実 形態と同じ溶融塩処理装置を用い、溶融塩 組成を変えて処理を行なった。ここでの処 条件は、溶融塩温度を820℃とし、塩素を流 2L/minで吹き込んだ。尚、処理対象であるス ラップは、3%のカーボンを含むルテニウム スクラップである。表5はその結果を示す。

 この結果、ルテニウムを含むスクラップ 対しても、ルテニウムの回収が可能である とが確認された。また、本実施形態でも、 化カリウムを比較的多く(45mol%)含む実施例8 溶解速度等において優れていた。

 上記実施例9でルテニウムを溶解させた溶 融塩を水溶液化し(水溶液化の際の目標Ru濃度 は、50g/Lとした)、得られたルテニウム塩水溶 液をエバポレーターで濃縮してルテニウム塩 とし、これを水素雰囲気下で加熱して還元処 理した。この還元処理は、まず一次処理とし てルテニウム塩を600℃で6時間加熱した。そ て、得られた金属ルテニウムを純水で洗浄 、700℃で6時間加熱する二次水素還元処理を なった。処理後のルテニウム粉末の純度は 99.97%と高純度のものであった。

 以上説明したように本発明によれば、ル ニウム、イリジウム等の白金族金属を含む クラップ等の廃棄物から白金族金属を効率 に回収することができる。本発明に係る方 は、不純物としてC、Si等の半金属を含む廃 物のリサイクル処理を可能とする。本発明 中心としたリサイクルシステムによれば、 源の有効利用を図ると共に白金族金属を使 する製品のコスト低下を図ることができる

 本発明は、ルテニウム、イリジウムの回 において特に有用である。白金については 塩化ナトリウムと塩化カリウムの混合塩を いた場合において、溶融塩中に白金を反応 せこれを水溶液中に溶解させて回収するこ が困難となる。白金は塩化カリウムとの反 において溶融塩に溶解し難い塩化物を生成 るからである。但し、このことは白金と他 白金族金属(ルテニウム、イリジウム等)を む廃棄物から、白金を分離する技術として 効なものとなる。とりわけ、近年では、各 の白金合金(白金-イリジウム合金、白金-ロ ウム合金等)が使用されることが多いことか 、これらの合金を含む廃棄物から白金を分 しつつ、イリジウム等を回収する場合にお て本発明は有用である。