Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF RECYCLING USEFUL METAL
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/087908
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of recycling useful metals is provided. The method enables useful metals including indium, zinc, yttrium, europium, lanthanum, terbium, gadolinium, antimony, lead, copper, tin, and silver to be recovered from wastes, such as abandoned flat panel displays, and recycled economically with small energy consumption. The method of recycling useful metals includes: a step in which wastes comprising various flat panel displays, e.g., liquid-crystal panels, are crushed/powdered; a step in which the resultant particles are dissolved in an aqueous hydrofluoric acid solution; and a step in which various metal oxides and various metal fluorides which remain undissolved are filtered off and the aqueous hydrofluoric acid solution containing various metal ions is electrolyzed to deposit and recover metals for transparent-electrode oxides, such as indium and zinc, and other useful metals.

Inventors:
HOMMA TETSUYA (JP)
UBUSAWA TOMOYUKI (JP)
FURUYAMA TOMOYUKI (JP)
MORIKAKU AKIHIRO (JP)
TANAKA KUMPEI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/073572
Publication Date:
July 16, 2009
Filing Date:
December 25, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
SHIBAURA INST TECHNOLOGY (JP)
HOMMA TETSUYA (JP)
UBUSAWA TOMOYUKI (JP)
FURUYAMA TOMOYUKI (JP)
MORIKAKU AKIHIRO (JP)
TANAKA KUMPEI (JP)
International Classes:
B09B3/00; C22B1/00; C22B3/04; C22B3/46; C22B7/00; C22B15/00; C22B19/30; C22B58/00; C25C7/06
Foreign References:
JP2007270311A2007-10-18
JP2005334838A2005-12-08
JP2000203841A2000-07-25
JPH11192475A1999-07-21
JPH07508927A1995-10-05
JP2005334838A2005-12-08
JP2001296508A2001-10-26
JP2001305502A2001-10-31
JP2001305501A2001-10-31
JP2001337305A2001-12-07
JP2008103217A2008-05-01
JPH095514A1997-01-10
JP2000335915A2000-12-05
JP2001274116A2001-10-05
JP2004323931A2004-11-18
JP2000017464A2000-01-18
JP2003293048A2003-10-15
JP2000348698A2000-12-15
JPH09157767A1997-06-17
JP2000335915A2000-12-05
Other References:
KEN NARA; HIDEMITSU SASAKI; DAISUKE YAMAGUCHI; MICHIRU SUGAWARA; YU NISHIMURA; TETSUYA HOMMA; HIDEO TAKAHASHI: "Evaluation of Metal Element Separation Performance from Wasted Silicate Glass Materials", ABSTRACT FOR SPEECH OF THE 65TH ACADEMIC LECTURE OF THE JAPAN SOCIETY OF APPLIED PHYSICS, 3 September 2004 (2004-09-03), pages 354
HIDEMITSU SASAKI; DAISUKE YAMAGUCHI; YU NISHIMURA; KEN NARA; TETSUYA HOMMA: "Evaluation of Metal Element Separation Performance from Wasted Silicate Glass Materials (2)", ABSTRACT FOR SPEECH OF THE 52"D MEETING OF THE JAPAN SOCIETY OF APPLIED PHYSICS AND RELATED SOCIETIES, 30 March 2005 (2005-03-30), pages 498
See also references of EP 2241381A4
Attorney, Agent or Firm:
KUDO, Ichiro (7-1 Yurakucho 1-chome, Chiyoda-ku Tokyo 06, JP)
Download PDF:
Claims:
 液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル、プラズマディスプレイ等の各種フラットパネルディスプレイの廃棄品、廃棄ブラウン管、廃棄蛍光管ガラス、廃棄太陽電池パネルのいずれか一以上を同時に粉砕し、粉末化せしめる第一粉末化工程と、
 粉末化した材料をフッ化水素酸水溶液にて少なくともガラスがとけてなくなる程度まで溶解せしめる第一溶解工程と、
 前記溶液をろ過し、不溶の各種金属酸化物、各種金属フッ化物、各種金属などを取り除く第一ろ過工程と、
 各種金属イオンを含有するろ液を電気分解して各種第一有用金属を析出、回収せしめる第一有用金属回収工程と、
を有することを特徴とする有用金属のリサイクル方法。
 第一ろ過工程で取り除いたろ物に含まれる不溶の沈殿物を純水に溶解せしめる第二溶解工程と、
 第二溶解工程で生成した水溶液を電気分解して各種第二有用金属を析出、回収せしめる第二有用金属回収工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の有用金属のリサイクル方法。
 第一ろ過工程で取り除いたろ物に含まれる不溶の沈殿物を純水に溶解せしめる第二溶解工程と、
 第二溶解工程で生成した水溶液をろ過し、不溶の沈殿物を取り除く第二ろ過工程と、
 第二ろ過工程で取り除いたろ物に含まれる不溶の沈殿物をヨウ化水素酸水溶液に溶解せしめる第三溶解工程と、
 第三溶解工程で生成した水溶液を電気分解して各種第三有用金属を析出、回収せしめる第三有用金属回収工程をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の有用金属のリサイクル方法。
 第一ろ過工程で取り除いたろ物に含まれる不溶の各種金属酸化物、各種金属フッ化物を硝酸水溶液、及び/又は塩酸水溶液、及び/又は硫酸水溶液に溶解せしめる第四溶解工程と、
 第四溶解工程で生成した水溶液を電気分解して各種第四有用金属を析出、回収せしめる第四有用金属回収工程を有することを特徴とする請求項1に記載の有用金属のリサイクル方法。
 第一ろ過工程で取り除いたろ物に含まれる銅をフッ化水素酸と過酸化水素を含有する水溶液に溶解せしめる第五溶解工程と、
 シリコン基板、又はアルミニウム板、又はアルミニウム線等を前記水溶液に浸漬して金属薄膜を析出、回収せしめる第五有用金属回収工程を有することを特徴とする請求項1に記載の有用金属のリサイクル方法。
 液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル、プラズマディスプレイ等の各種フラットパネルディスプレイの廃棄品、廃棄ブラウン管、廃棄蛍光管ガラスのいずれか一以上を同時に粉砕し、粉末化せしめる第一粉末化工程と、
 粉末化した材料をフッ化水素酸水溶液にて少なくともガラスがとけてなくなる程度まで溶解せしめる第一溶解工程と、
 前記溶液をろ過し、不溶の各種金属酸化物、各種金属フッ化物、各種金属などを取り除く第一ろ過工程と、
 第一ろ過工程で取り除いた不溶の各種金属酸化物、各種金属フッ化物、各種金属などを含むろ物を硝酸水溶液、及び/又は塩酸水溶液、及び/又は硫酸水溶液に溶解せしめる第四溶解工程と、
 第四溶解工程で生成した水溶液を電気分解して各種第四有用金属を析出、回収せしめる第四有用金属回収工程と、
を有することを特徴とする有用金属のリサイクル方法。
 第四溶解工程で生成した水溶液を加熱した後、冷却して金属塩を析出させる析出工程と、
 前記金属塩を純水に溶解せしめる第六溶解工程と、
 第六溶解工程で生成した水溶液を電気分解して各種第六有用金属を析出、回収せしめる第六有用金属回収工程を有することを特徴とする請求項4又は6に記載の有用金属のリサイクル方法。
 液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル、プラズマディスプレイ等の各種フラットパネルディスプレイの廃棄品、廃棄集積回路、廃棄プリント基板、あるいは、車載用銅配線ハーネス、電力ケーブル、送配電線、同軸ケーブル、平行二線形給電線、その他銅配線等の廃棄品のいずれか一以上を同時に粉砕する粉砕工程と、
 必要に応じて粉末化せしめる第二粉末化工程と、
 フッ化水素酸と過酸化水素を含有する水溶液に溶解せしめる第七溶解工程と、
 シリコン基板、又はアルミニウム板、又はアルミニウム線等を前記水溶液に浸漬して金属薄膜を析出、回収せしめる第七有用金属回収工程と、
を有することを特徴とする有用金属のリサイクル方法。
 前記第五有用金属回収工程又は第七有用金属回収工程の前、又は、後に、電気分解によりイオン化している金属を析出、回収せしめる第八有用金属回収工程をさらに有することを特徴とする請求項5又は8に記載の有用金属のリサイクル方法。
 前記第五有用金属回収工程又は第七有用金属回収工程の前、又は、後に、第五溶解工程又は第七溶解工程で生成した水溶液をろ過し、不溶の沈殿物を取り除く第三ろ過工程と、
 第三ろ過工程で得られた沈殿物を、硝酸水溶液等の酸水溶液に溶解する第八溶解工程と、
 第八溶解工程で生成した水溶液を電気分解し、イオン化している金属を析出、回収せしめる第九有用金属回収工程をさらに有することを特徴とする、請求項5又は8に記載の有用金属のリサイクル方法。
 第八溶解工程で生成した水溶液をろ過し、不溶の沈殿物を取り除く第四ろ過工程と、
 第四ろ過工程で得られた沈殿物をヨウ化水素酸水溶液に溶解せしめる第九溶解工程と、
 第九溶解工程で生成した水溶液を電気分解して各種第十有用金属を析出、回収せしめる第十有用金属回収工程をさらに有することを特徴とする請求項10に記載の有用金属のリサイクル方法。
 第一有用金属および第二有用金属が、インジウム、亜鉛、銀等であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有用金属のリサイクル方法。
 第三有用金属が、スズであることを特徴とする、請求項3に記載の有用金属のリサイクル方法。
 第四有用金属が、イットリウム、ユーロピウム、ランタン、テルビウム、ガドリニウム等の希土類金属、アンチモン、鉛であることを特徴とする、請求項4又は6に記載の有用金属のリサイクル方法。
 第六有用金属が、イットリウム、ユーロピウム、ランタン、テルビウム、ガドリニウム等の希土類金属であることを特徴とする、請求項7に記載の有用金属のリサイクル方法。
 第五有用金属および第七有用金属が、銅であることを特徴とする、請求項5又は8に記載の有用金属のリサイクル方法。
 第八有用金属が、亜鉛、銀、銅であることを特徴とする、請求項9に記載の有用金属のリサイクル方法。
 第九有用金属が、鉛、銀、銅であることを特徴とする、請求項10に記載の有用金属のリサイクル方法。
 第十有用金属が、スズであることを特徴とする、請求項11に記載の有用金属のリサイクル方法。
Description:
有用金属のリサイクル方法

 本発明は、廃棄フラットパネルディスプ イ、廃棄ブラウン管、廃棄蛍光管、廃棄集 回路、廃棄プリント基板等の廃棄物からの 用金属のリサイクル方法に関するものであ 。

 近年、画像等の表示装置としてブラウン管 ら液晶パネルやプラズマディスプレイパネ への移行が進み、また、日本国内でのブラ ン管製造は実施されていない。そのため、 棄ブラウン管が増加している。また、蛍光 については、照明機器の省エネルギーのた のリニューアルや、今後は発光ダイオード の移行などで、廃棄蛍光管が増加すると推 できる。併せて、電子機器に用いる集積回 やプリント基板などの廃棄物も増加してい 。これらの廃棄物には、酸化インジウム(In 2 O 3 )と酸化スズ(SnO 2 )の化合物からなる透明電極(ITO:Indium Tin Oxide )にインジウムなどの高価な希少金属が用い れている。また、紫外光や電子線のエネル ーを可視光に変換する蛍光材料には希土類 属の酸化物が多用されている。

 さらに、ブラウン管や蛍光管には鉛(Pb)や アンチモン(Sb)が含まれており、プラズマデ スプレイパネルの電磁波遮蔽用のメッシュ は多量の銀(Ag)が用いられている。さらにま 、従来の半田には、鉛(Pb)や亜鉛(Zn)が含ま ており、近年の鉛を含まない半田(鉛フリー 田)には、銀(Ag)、スズ(Sn)、銅(Cu)等が含まれ ている。

 近年、これらの希少金属をはじめとする 用金属は投機目的や、資源産出国の輸出制 などで、入手が困難となっており、政府備 の必要性が高まっている。したがって、こ らの希少金属の回収リサイクルの重要性が まっている。また、中国をはじめとする発 途上国での金属類の需要の増加により、鉄 銅などの有用金属の価格が高騰している。 に、フラットパネルディスプレイの需要増 に伴って、インジウム(In)の需要増加が必至 であり、可採埋蔵量を6,000トンと多めに見積 っても2019年に枯渇するという計算結果があ る。酸化亜鉛など、ITO代替材料の研究開発が 進んではいるが、早急にリサイクルによるIn 源の延命化を図る必要がある。インジウム 替金属として亜鉛(Zn)を酸化亜鉛(ZnO)として 明電極材料の成分の一つとして用いる検討 行われている。さらに、鉛(Pb)は鉛蓄電池( 次電池)の電極に多用され、アンチモン(Sb)は 、アルミ合金添加物、軸受合金、半導体用添 加物などに多用されている。

 従来のインジウム、イットリウム、ユーロ ウム、ランタン、テルビウム、ガドリニウ 等の希少金属や、鉛、アンチモン、亜鉛、 、銅等の有用金属のリサイクルについて、 行特許文献を参照して以下に述べる。

特開2005-334838号公報

 この特許文献1に記載の発明は、液晶表示 パネルやプラズマディスプレイ等のフラット パネルディスプレイの廃棄品から電極材料と してパネル表面に付着した有価金属であるIn( インジウム)及びAg(銀)を回収し、再使用する 価金属のリサイクルシステムに関するもの ある。

 この特許文献1では、図1に示すように、 砕又は解体された廃棄フラットパネルディ プレイをHCl溶液に浸漬し、溶液を濾過して Inを含む溶液と、Agを含む残渣とに分離して Inを抽出し、In含有溶液を濃縮して、所定の In濃度になるように溶液を調製し、この溶液 基板にスプレー塗布することにより、透明 膜を基板上に形成している。また、抽出し In含有溶液を電解することにより、Inを回収 している。

 Agの回収については、Ag含有残渣を、HNO 3 又は加熱H 2 SO 4 溶液に浸漬して溶解・濾過して、Agを含む溶 を得、Ag含有溶液にKCl又はNaClを添加して、A gClを溶液として回収し、このAgCl溶液を燃焼 て、Agとして回収している。また、Agを含む 渣を、HNO 3 又は加熱H 2 SO 4 溶液に浸漬して溶解・濾過して形成したAg含 溶液を電解してAgを回収している。さらに Ag含有残渣を、Na 2 S 2 O 3 溶液に浸漬して溶解・濾過して形成したAg含 溶液を電気分解や、静置して、Ag 2 Sとして回収している。

 特許文献1では、さらに、粉砕又は解体され た廃棄フラットパネルディスプレイをHNO 3 溶液に浸漬・濾過して、In及びAgを含む溶液 、残渣とに分離して、In及びAgを抽出し、KCl はNaClを添加して、In含有溶液を得ている。 た、同時にAgCl沈殿物を回収している。抽出 したIn含有溶液を濃縮して、所定のIn濃度に るように溶液を調製し、基板にスプレー塗 して透明皮膜を基板上に形成している。さ に、抽出したIn含有溶液を電解してInを回収 ている。回収したAgClは燃焼して、Agとして 収している。

特開2001-296508号公報

 この特許文献2に記載の発明は、殆ど廃棄 物を出さない理想的なリサイクルが可能で、 簡便かつ処理能力が大きい経済的な廃液晶パ ネルの処理方法に関するものである。

 この特許文献2では、液晶パネルのガラス基 板を蛍光X線を用いてガラスの種類別に選別 、液晶パネルに含まれる有機物を燃焼させ 除去し、上記ガラス基板上に形成されてい 膜を機械的に金属粉として除去・回収して る。また、膜除去工程の前工程として、ガ ス基板を破砕しており、ガラス片を、ガラ 材料として再使用している。

特開2001-305502号公報

 この特許文献3に記載の発明は、殆ど廃棄 物を出さない理想的なリサイクルが可能で、 経済的な廃液晶パネルの処理方法に関するも のである。

 この特許文献3では、偏光板を有する状態 で液晶パネルを切断して液晶を回収している 。また、液晶パネルから偏光板を除去した後 、該液晶パネルを切断して液晶を回収してい る。このとき、液晶を封入しているシール材 を切断することなく液晶パネルのガラス基板 を切断している。液晶は、溶剤を用いて溶解 ・回収する方法や、液晶を掻き取って回収す る方法が開示されている。

 切断されたガラス基板上に形成されてい 膜の回収は、機械的に剥離する方法や、切 されたガラス基板を濃硫酸に浸漬する方法 用いている。

 さらに、ガラスの種類の選別には、蛍光X線 を用いており、選別されたガラス基板を破砕 している。

特開2001-305501号公報

 この特許文献4に記載の発明は、殆ど廃棄 物を出さない理想的なリサイクルが可能で、 経済的な廃液晶パネルの処理方法に関する。

 この特許文献4では、液晶パネルから偏光板 を剥離し、液晶パネルのガラス基板を切断し た後、液晶を回収し、切断されたガラス基板 をガラスの種類別に選別している。上記ガラ ス基板上に形成されている薄膜については、 機械的に除去・回収している。また、パネル 切断工程では、液晶を封入しているシール材 を切断することなくガラス基板を切断してい る。さらに、偏光板剥離後に、パネル切断工 程を行う方法も開示されている。液晶回収に は、溶剤を用いる方法や、液晶を掻き取る方 法を用いている。ガラスの種類の選別には蛍 光X線を用い、薄膜除去工程の前工程として ガラスの種類別に選別されたガラス基板を 砕する方法を用いている。ガラス基板上の 膜を機械的に剥離して回収し、薄膜からは インジウムやクロム等の金属を回収してい 。

特開2001-337305号公報

 この特許文献5に記載の発明は、ガラス基 板並びに液晶等を回収して再使用し、殆ど廃 棄物を出さない理想的なリサイクルが可能で 、経済的な廃液晶パネルの処理方法に関する ものである。

 この特許文献5では、液晶パネルから偏光板 を剥離し、液晶パネルのガラス基板を切断し た後、切断されたガラス基板の面取りを行い 、切断されたガラス基板をガラスの種類別に 選別し、切断されたガラス基板上に形成され ている薄膜を除去、回収している。また、偏 光板剥離を行った後、パネル切断工程を行う 方法も開示されている。さらに、パネル切断 工程では、液晶を封入しているシール材を切 断することなくガラス基板を切断する方法も 用いている。ガラス基板の選別には蛍光X線 用いており、薄膜除去には、薄膜をエッチ グ及び/又は研磨して除去し、切断されたガ ス基板に含まれる有機物を除去する方法も 示されている。残留有機物除去には、ガラ 基板を濃硫酸又は強アルカリ溶液に浸漬す 方法が開示されている。液晶回収には、パ ル切断後に、液晶を回収する方法も開示さ ており、液晶を溶解する溶剤を用いる方法 、液晶を掻き取る方法を用いている。さら 、薄膜からはインジウムやクロム等の金属 回収することができるとしている。

特開2008-103217号公報

 この特許文献6に記載の発明は、ITO代替材 料で透明電極を構成し、低コストで環境にや さしいプラズマディスプレイパネルに関する ものである。

 この特許文献6に記載の発明は、プラズマデ ィスプレイパネルの表示電極を構成する透明 電極を、酸化亜鉛を主体とする材料で構成し 、かつ透明電極を覆うように形成された誘電 体層の成分の一つに酸化亜鉛を用いることが 開示されている。

特開平9-5514号公報

 この特許文献7に記載の発明は、液晶駆動 用透明電極にクラックや剥離が生じにくい液 晶ディスプレイ用カラーフィルタに関するも のである。

 この特許文献7に記載の発明は、液晶ディス プレイの液晶駆動用透明電極の主要なカチオ ン元素として、亜鉛元素およびインジウム元 素を含有する非晶質酸化物からなり、亜鉛元 素とインジウム元素の原子比Zn/(Zn+In)が0.1以 0.2未満にすることが開示されている。

特開2000-335915号公報

 この特許文献8に記載の発明は、低消費エ ネルギーで、金属、金属酸化物などの不純物 を含まないガラス材料を低コストで回収する 方法とそのシステムに関するものである。

 この特許文献8は、本発明の発明者の一人に よる発明であり、酸化シリコンを主成分とし 、金属及び/又は金属酸化物を不純物として む廃棄ガラス材料を、フッ化水素酸水溶液 飽和状態にないケイフッ化水素酸水溶液又 これらの混合物等のフッ素イオンを含む溶 に溶解し、飽和状態、過飽和状態を経て、 ラス材料が溶解した溶液に過飽和添加剤を 加して酸化シリコンを析出せしめている。 た、得られた酸化シリコンを、不活性ガス 還元性ガス、水蒸気、不活性ガスと還元性 スとの混合ガス、不活性ガスと水蒸気との 合ガスから選択される何れかの雰囲気中で 処理する方法が開示されている。さらに、 棄ガラスからのガラス材料の回収システム 開示されている。

特開2001-274116号公報

 この特許文献9に記載の発明は、特別な還 元剤を必要とせず、高純度の銅薄膜を形成す るための銅メッキ溶液に関するものである。 また、該銅メッキ溶液を用いた銅多層配線構 造体の形成方法に関するものである。

 この特許文献9は、本発明の発明者の一人に よる発明であり、酸化銅や水酸化銅等の銅イ オン源を、フッ化水素酸及び/又はケイフッ 水素酸に溶解形成した水溶液からなる銅メ キ溶液を用いて、半導体集積回路基板上又 、多層プリント配線基板上に、銅多層配線 造体を形成する方法が開示されている。

特開2004-323931号公報

 この特許文献10に掲載の発明は、銅種層 成が不要で、直接TaNバリア膜上に銅メッキ を形成するための銅メッキ溶液と、酸性硫 銅メッキ溶液を用いる電解銅メッキ法にお る前処理溶液に関するものである。また、 れらのメッキ溶液、前処理溶液を用いて銅 層配線構造体を形成する方法に関するもの ある。

 この特許文献10は、本発明の発明者の一人 含まれる発明であり、銅メッキ溶液、及び 銅メッキ前処理溶液は、銅イオンを含むフ 化水素酸、及び/又はケイフッ化水素酸を主 分とし、添加物としてチタン化合物、多価 ルコールのうちの少なくとも一つが添加さ ている。また、無電解メッキ法及び/又は電 解メッキ法により、各種基板上もしくはTaN膜 やTiN膜からなるバリア金属膜上に、予め銅シ ード層を形成させること無く直接銅メッキ膜 を形成する方法が開示されている。また、前 記銅メッキ前処理溶液を用いて無電解銅メッ キ前処理、及び/又は、電解銅メッキ前処理 行う方法が開示されている。

特開2000-17464号公報

 この特許文献11に記載の発明は、エッチ グタンクで生じた塩化銅エッチング廃液を 収・再生反応させた後、再びメッキ作業に 給使用し、原料コストを節減できると共に 境保全の公害問題を低減できるエッチング 液のリサイクル方法とその装置に関するも である。

 この特許文献11では、エッチングタンク で生じる塩化銅エッチング廃液を回収し、 酸化ナトリウムと反応させ水酸化銅を生じ せ、80℃以上の温度で熱分解して固体酸化銅 を造る。次に、この固体酸化銅を脱水・乾燥 した後、硫酸により溶解して銅イオン含有電 解液を形成し、これをメッキタンク内に輸送 してチタン金属電極を用いて電気メッキを行 なうというエッチング廃液のリサイクル方法 が開示されている。

 また、この特許文献11では、塩化銅エッチ グ廃液回収ユニット、水酸化ナトリウムの 給ユニット、塩化銅エッチング廃液と水酸 ナトリウムとの反応ユニット、脱水ユニッ 、乾燥した酸化銅の格納空間、解離ユニッ 、電解液入口及び電気メッキ残液出口、電 メッキユニット、などで構成するエッチン 廃液のリサイクル装置について開示してい 。

特開2003-293048号公報

 この特許文献12に記載の発明は、銅メッ 膜とニッケルメッキ膜とが混在する樹脂メ キ廃材から、銅成分を分離除去することな 大量にかつ安価に銅とニッケルとをリサイ ルする方法に関するものである。

 この特許文献12では、樹脂基材表面に形成 れた銅メッキ膜と、ニッケルメッキ膜とを する樹脂メッキ廃材のメッキ膜成分の存在 合を高める金属成分富化混合物形成工程と その後に該混合物を加熱溶解して銅とニッ ルとを含む合金を得る金属成分回収工程と 有する樹脂メッキ廃材の金属成分回収方法 開示している。金属成分富化混合物形成工 は、前記樹脂基材成分を減量する方法、前 金属成分を増量する方法、あるいは、前記 脂基材成分を減量しかつ前記金属成分を増 する方法、のいずれかを用いる方法が開示 れている。この特許文献12では、金属成分回 収工程では、Cu-Ni合金、Al-Cu-Ni-Cr合金、など 合金が得られている。

特開2000-348698号公報

 この特許文献13に記載の発明は、組立て の工数を低減し、リサイクル時の分別回収 に優れた密閉形鉛蓄電池とその製造方法に するものである。

 この特許文献13に記載の発明は、ボルト鋳 体表面にシランカップリング剤水溶液を塗 ・乾燥し、このボルト鋳造体を樹脂材料に 入成形して蓋を作製し、密閉形鉛蓄電池を 造するという方法を開示している。

特開平9-157767号公報

 この特許文献14に記載の発明は、鉛が付 している試料から、鉛を分離して試料の廃 ・リサイクル処理を容易にする鉛分離方法 関するものである。

 この特許文献14に記載の発明は、塩酸、酢 等の酸と、メタノール、エタノール、エチ ングリコール等の溶媒と、ヨウ素を溶解し 調製した鉛分離液を用いて、鉛半田の鉛を 離して、部品を非破壊で分離・回収する方 を開示している。
奈良賢、佐々木秀光、山口大輔、菅原美 智瑠、西村優、本間哲哉、高橋英郎、第65回 用物理学会学術講演会 講演予稿集、「廃 シリカ系ガラス材料からの金属元素分離性 の評価」、講演番号 3p-E-8、p.354、2004年9月3

 この非特許文献1は、本発明の発明者の一人 が含まれる学会発表であり、サイクリックボ ルタンメトリー法により金属元素ごとの分離 の可能性を調べた結果を開示している。酸化 鉛(PbO)、 酸化鉄(III)(Fe 2 O 3 )を個別にフッ化水素酸(HF)水溶液に溶解し、 極に白金(Pt)を用い、サイクリックボルタン メトリー法を用いて電流-電圧特性を調べた 果を開示している。廃棄シリカ系ガラスをHF 水溶液に溶かしケイフッ化水素酸を調製する 場合、Pb及びFeはそれぞれPbF 2 とFe 2 O 3 として分離できる可能性が高いとしている。
佐々木秀光、山口大輔、西村優、奈良賢 、本間哲哉、第52回応用物理学関係連合講演  講演予稿集、「廃棄シリカ系ガラス材料 らの金属元素分離性能の評価 (2)」、講演番 号30a-YA-2、p.498、2005年3月30日

 この非特許文献2は、本発明の発明者の一人 が含まれる学会発表であり、CRTガラスと同組 成のガラス粉末をフッ化水素酸(HF)水溶液に 解させた水溶液を用いてフッ素添加酸化シ コン(SiOF)薄膜を形成し、特性評価を行なっ 結果が開示されている。シリカ(SiO 2 )、酸化鉛(PbO)、酸化バリウム(BaO)、酸化スト ンチウム(SrO)等をCRTガラスと同組成に調製 、HF水溶液に溶解させ、ケイフッ化水素酸(H 2 SiF 6 )水溶液を調製し、過飽和添加剤Alを添加し、 シリコン基板を浸漬させ、SiOF薄膜を堆積さ ている。

 しかしながら、特許文献1では、銀が用いら れているプラズマディスプレイパネルに限ら れており、他のディスプレイパネルなどとの 混合や、プリント基板に用いられる鉛フリー 半田などからの銀(Ag)のリサイクルについて 、開示されていない。また、ITOの溶解や加 に一般に用いられているHClとHNO 3 を主成分とする王水を用いずに、HClが用いら れている。酸化インジウム(In 2 O 3 )などの金属酸化物はHClへの溶解速度が遅い いう問題がある。また、配線等に用いる他 金属が溶解してしまうという問題もある。

 また、特許文献2~5では、ガラス基板のリ イクルに主眼を置いており、インジウム等 金属の分離・回収方法が具体的に開示され いない。

 さらに、特許文献6、7では、酸化亜鉛の 途が開示されているが、亜鉛をリサイクル る方法は開示されていない。

 特許文献8では、シリカガラスと金属酸化 物や金属フッ化物とを分離して、シリカガラ スをリサイクルする方法が開示されているが 、金属酸化物や金属フッ化物から金属をリサ イクルする方法は開示されていない。

 特許文献9では、酸化銅や水酸化銅をフッ 化水素酸水溶液やケイフッ化水素酸水溶液に 溶解しているが、金属銅はこれらの水溶液に は不溶であるという問題がある。

 特許文献10では、特許文献9と同様に、酸 銅や水酸化銅をフッ化水素酸水溶液やケイ ッ化水素酸水溶液に溶解しているが、金属 はこれらの水溶液には不溶であるという問 がある。

 特許文献11では、塩化銅めっき用のめっ 液のリサイクルと、再度、銅めっきを施す 法に関するもので、本出願の発明の目的、 法とは全く異なるものである。

 特許文献12では、Cu-Ni合金、Al-Cu-Ni-Cr合金 などの合金が得られるが、Cu単体での回収 難しいという問題がある。

 特許文献13では、リサイクル時の分別回 性に優れた密閉形鉛蓄電池とその製造方法 提供するものであり、特許文献14では、鉛を 分離して試料の廃棄・リサイクル処理を容易 にする鉛分離方法を提供するものである。い ずれも鉛そのもののリサイクルについては開 示されていない。

 非特許文献1及び非特許文献2では、有用 属元素の分離・回収については可能性を示 しているに過ぎず、具体的には全く開示さ ていない。

 以上の従来技術の課題に加えて、複数種 フラットパネルディスプレイや、ブラウン 、廃棄蛍光管ガラス、廃棄太陽電池パネル 廃棄集積回路、廃棄プリント基板、あるい 、車載用銅配線ハーネス、電力ケーブル、 配電線、同軸ケーブル、平行二線形給電線 の廃棄品の同時処理ができないという問題 あった。

 本発明の目的は、上記の従来技術の問題 解決し、廃棄フラットパネルディスプレイ 廃棄ブラウン管、廃棄蛍光管、廃棄集積回 、廃棄プリント基板等の廃棄物、あるいは 車載用銅配線ハーネス、電力ケーブル、送 電線、同軸ケーブル、平行二線形給電線等 廃棄物うちの1種類、又は、複数種から同時 にインジウム、亜鉛等の透明電極酸化物用の 金属、イットリウム、ユーロピウム、テルビ ウム、ガドリニウム等の蛍光材料酸化物用の 希土類金属、鉛、アンチモン、銀、スズ、電 極用銅等の有用金属を経済的、かつ低エネル ギーで回収・リサイクルすることが可能な、 有用金属のリサイクル方法を提供することに ある。

 本発明の有用金属のリサイクル方法は、 棄フラットパネルディスプレイ、廃棄ブラ ン管、廃棄蛍光管、廃棄集積回路、廃棄プ ント基板、廃棄太陽電池パネル、あるいは 車載用銅配線ハーネス、電力ケーブル、送 電線、同軸ケーブル、平行二線形給電線、 の他銅配線等の廃棄品のうちの1種類、又は 、複数種を分別することなく同時に粉砕・粉 末化して、HFを主成分とする水溶液に同時に かつ室温程度の温度で溶解せしめることが 能となる。このとき、プラスチック等の有 物や、紙ラベル等はHF水溶液に不溶のもの 多く、これらの分別も不要であるという利 も有している。また、HF水溶液に不溶の物質 を分離して、リサイクル目的の金属種に応じ て溶解する水溶液を、室温程度の温度で調製 することが可能となる。従って、低エネルギ ー、かつ経済的な有用金属のリサイクルが可 能となるという効果がある。

 また、参照電極としてAg/AgClを用いたとき のIn、Sn、Zn、Eu、Tb、Gd、Sb、Pb、Agの酸化還元 電位は、それぞれ-0.534V、-0.336V、-0.959V、-2.186 V、-2.496V、-2.486V、0.014V、-0.322V、0.603Vと異な ことから、電気分解時の電圧を制御するこ により、金属別に分離・回収が可能となる さらに、電気分解によってこれらの有用金 の合金として析出させた後、硝酸、塩酸等 酸性溶液に再度溶解した後、再び電気分解 て金属別に分離・回収することや、高純度 が可能となるという効果を有している。YとL aの酸化還元電位が、いずれも-2.566Vであるた 、YとLaを電気分解時の電位差を利用して同 に分離することは困難であるが、実施形態3 で述べたように、電気分解に用いる溶液の調 製方法を変えることにより、分離可能である 。

 さらにまた、参照電極としてAg/AgClを用いた ときのCuの酸化還元電位は、Cu + /Cu、Cu 2+ /Cuで、それぞれ、0.325V、0.141Vであり、Agの酸 還元電位(0.603V)よりも小さいこと、また、 記の他の金属の酸化還元電位よりも大きい とから、電気分解により、CuとAg等他の金属 の分離・回収も可能である。

 InやAgのリサイクルについては、従来のHClを 用いないため、酸化インジウム(In 2 O 3 )等の溶解速度が向上するという効果がある また、HF水溶液を用いるため、配線等に用い る銅等の金属が溶解し難く、主に、SiO 2 やIn 2 O 3 等の金属酸化物を溶解しやすく、室温程度の 温度での溶液調製が容易になり、低エネルギ ー、かつ、経済的にIn等の希少金属、Ag等の 金属、あるいは、工業的に多用されるZn、Sn の金属のリサイクルが可能となるという効 がある。

 Y、Eu、La、Tb等の希土類金属については、こ れらの酸化物が上述のHF水溶液に不溶である め、分離が容易となり、その後のHNO 3 水溶液などの酸性水溶液を用いた調製が室温 程度の温度で可能となるという効果がある。

 さらにまた、HF水溶液にH 2 O 2 を添加することにより、室温程度の温度で酸 化銅(Cu 2 O、CuO)や水酸化銅(Cu(OH) 2 )とCuを同時に溶解せしめることが可能となり 、室温程度の温度で電気分解することなく金 属銅を回収することが可能となる。

 したがって、低エネルギー、かつ経済的 金属銅のリサイクルが可能となるという多 な効果がある。また、化学反応のみを利用 ているため、高純度の金属銅としてリサイ ルが可能という効果も合わせ持っている。 らに、鉛含有半田を用いたプリント基板等 同時に溶解した場合、金属銅の析出後に、 気分解により鉛を回収することも可能とな 。

 さらにまた、鉛含有半田と同様に、鉛フ ー半田を用いた廃棄銅配線プリント基板か のAg、Sn、Cu等の分離・回収が容易となると う効果もある。

 本発明の銅のリサイクルでは電気分解に る析出の必要は無いが、電気分解によって を析出、回収することも可能である。

 本発明では、ガラス基板上等に形成した 属薄膜、金属酸化物薄膜から金属を分離・ 収する方法としても適しており、本発明の 施形態で述べた金属に限るものではなく、 れ以外の金属にも適用可能である。

 本発明の有用金属のリサイクル方法では、 にHF水溶液を用いているが、半導体工場で 廃棄HF水溶液や、それをリサイクルしたHF水 液を用いることが可能であり、室温程度の 度での溶液調製・析出が可能となるため、 済性や、二酸化炭素(CO 2 )発生が少ない等、環境負荷低減での効果が る。

 また、本発明の有用金属リサイクル方法 、従来技術の特許文献8(特開2000-335915号公報 )で開示されているシリカ系ガラスのリサイ ルを行った後に実施することも可能である

 以上のことから、本発明は、金属リサイ ルへの多大な効果をもたらすものである。

 上記の目的を達成するため、以下のよう 発明を提供する。

 第一発明では、液晶パネル、有機エレク ロルミネッセンスパネル、プラズマディス レイ等の各種フラットパネルディスプレイ 廃棄品、廃棄ブラウン管、廃棄蛍光管ガラ 、廃棄太陽電池パネルのいずれか一以上を 時に粉砕し、粉末化せしめる第一粉末化工 と、粉末化した材料をフッ化水素酸水溶液 て少なくともガラスがとけてなくなる程度 で溶解せしめる第一溶解工程と、前記溶液 ろ過し、不溶の各種金属酸化物、各種金属 ッ化物、各種金属などを取り除く第一ろ過 程と、各種金属イオンを含有するろ液を電 分解して各種第一有用金属を析出、回収せ める第一有用金属回収工程と、を有するこ を特徴とする有用金属のリサイクル方法を 供する。

 第二発明では、第一発明を基本とし、さ に、第一ろ過工程で取り除いたろ物に含ま る不溶の沈殿物を純水に溶解せしめる第二 解工程と、第二溶解工程で生成した水溶液 電気分解して各種第二有用金属を析出、回 せしめる第二有用金属回収工程をさらに有 ることを特徴とする有用金属のリサイクル 法を提供する。

 第三発明では、第一発明を基本とし、さ に、第一ろ過工程で取り除いたろ物に含ま る不溶の沈殿物を純水に溶解せしめる第二 解工程と、第二溶解工程で生成した水溶液 ろ過し、不溶の沈殿物を取り除く第二ろ過 程と、第二ろ過工程で取り除いたろ物に含 れる不溶の沈殿物をヨウ化水素酸水溶液に 解せしめる第三溶解工程と、第三溶解工程 生成した水溶液を電気分解して各種第三有 金属を析出、回収せしめる第三有用金属回 工程を有することを特徴とする有用金属の サイクル方法を提供する。

 第四発明では、第一発明を基本とし、さ に、第一ろ過工程で取り除いたろ物に含ま る不溶の各種金属酸化物、各種金属フッ化 を硝酸水溶液、及び/又は塩酸水溶液、及び /又は硫酸水溶液に溶解せしめる第四溶解工 と、第四溶解工程で生成した水溶液を電気 解して各種第四有用金属を析出、回収せし る第四有用金属回収工程を有することを特 とする有用金属のリサイクル方法を提供す 。

 第五発明では、第一発明を基本とし、さ に、第一ろ過工程で取り除いたろ物に含ま る銅をフッ化水素酸と過酸化水素を含有す 水溶液に溶解せしめる第五溶解工程と、シ コン基板、又はアルミニウム板、又はアル ニウム線等を前記水溶液に浸漬して金属薄 を析出、回収せしめる第五有用金属回収工 を有することを特徴とする有用金属のリサ クル方法を提供する。

 第六発明では、液晶パネル、有機エレク ロルミネッセンスパネル、プラズマディス レイ等の各種フラットパネルディスプレイ 廃棄品、廃棄ブラウン管、廃棄蛍光管ガラ のいずれか一以上を同時に粉砕し、粉末化 しめる第一粉末化工程と、粉末化した材料 フッ化水素酸水溶液にて少なくともガラス とけてなくなる程度まで溶解せしめる第一 解工程と、前記溶液をろ過し、不溶の各種 属酸化物、各種金属フッ化物、各種金属な を取り除く第一ろ過工程と、第一ろ過工程 取り除いた不溶の各種金属酸化物、各種金 フッ化物、各種金属などを含むろ物を硝酸 溶液、及び/又は塩酸水溶液、及び/又は硫 水溶液に溶解せしめる第四溶解工程と、第 溶解工程で生成した水溶液を電気分解して 種第四有用金属を析出、回収せしめる第四 用金属回収工程を有することを特徴とする 用金属のリサイクル方法を提供する。

 第七発明では、第四発明又は第六発明を 本とし、さらに、第四溶解工程で生成した 溶液を加熱した後、冷却して金属塩を析出 せる析出工程と、前記金属塩を純水に溶解 しめる第六溶解工程と、第六溶解工程で生 した水溶液を電気分解して各種第六有用金 を析出、回収せしめる第六有用金属回収工 を有することを特徴とする有用金属のリサ クル方法を提供する。

 第八発明では、液晶パネル、有機エレク ロルミネッセンスパネル、プラズマディス レイ等の各種フラットパネルディスプレイ 廃棄品、廃棄集積回路、廃棄プリント基板 あるいは、車載用銅配線ハーネス、電力ケ ブル、送配電線、同軸ケーブル、平行二線 給電線、その他銅配線等の廃棄品のいずれ 一以上を同時に粉砕する粉砕工程と、必要 応じて粉末化せしめる第二粉末化工程と、 ッ化水素酸と過酸化水素を含有する水溶液 溶解せしめる第七溶解工程と、シリコン基 、又はアルミニウム板、又はアルミニウム 等を前記水溶液に浸漬して金属薄膜を析出 回収せしめる第七有用金属回収工程を有す ことを特徴とする有用金属のリサイクル方 を提供する。

 第九発明では、第五発明又は第八発明を 本とし、さらに、前記第五有用金属回収工 又は第七有用金属回収工程の前、又は、後 、電気分解によりイオン化している金属を 出、回収せしめる第八有用金属回収工程を することを特徴とする有用金属のリサイク 方法を提供する。

 第十発明では、第五発明又は第八発明を 本とし、さらに、前記第五有用金属回収工 又は第七有用金属回収工程の前、又は、後 、第五溶解工程又は第七溶解工程で生成し 水溶液をろ過し、不溶の沈殿物を取り除く 三ろ過工程と、第三ろ過工程で得られた沈 物を、硝酸水溶液等の酸水溶液に溶解する 八溶解工程と、第八溶解工程で生成した水 液を電気分解し、イオン化している金属を 出、回収せしめる第九有用金属回収工程を らに有することを特徴とする有用金属のリ イクル方法を提供する。

 第十一発明では、第十発明を基本とし、 らに、第八溶解工程で生成した水溶液をろ し、不溶の沈殿物を取り除く第四ろ過工程 、第四ろ過工程で得られた沈殿物をヨウ化 素酸水溶液に溶解せしめる第九溶解工程と 第九溶解工程で生成した水溶液を電気分解 て各種第十有用金属を析出、回収せしめる 十有用金属回収工程をさらに有することを 徴とする有用金属のリサイクル方法を提供 る。

 第十二発明では、第一発明又は第二発明 基本とし、第一有用金属および第二有用金 が、インジウム、亜鉛、銀等であることを 徴とする有用金属のリサイクル方法を提供 る。

 第十三発明では、第三発明を基本とし、 三有用金属が、スズであることを特徴とす 有用金属のリサイクル方法を提供する。

 第十四発明では、第四発明又は第六発明 基本とし、第四有用金属が、イットリウム ユーロピウム、ランタン、テルビウム、ガ リニウム等の希土類金属、アンチモン、鉛 あることを特徴とする有用金属のリサイク 方法を提供する。

 第十五発明では、第七発明を基本とし、 六有用金属が、イットリウム、ユーロピウ 、ランタン、テルビウム、ガドリニウム等 希土類金属であることを特徴とする有用金 のリサイクル方法を提供する。

 第十六発明では、第五発明又は第八発明 基本とし、第五有用金属および第七有用金 が、銅であることを特徴とする有用金属の サイクル方法を提供する。

 第十七発明では、第九発明を基本とし、 八有用金属が、亜鉛、銀、銅であることを 徴とする有用金属のリサイクル方法を提供 る。

 第十八発明では、第十発明を基本とし、 九有用金属が、鉛、銀、銅であることを特 とする有用金属のリサイクル方法を提供す 。

 第十九発明では、第十一発明を基本とし 第十有用金属が、スズであることを特徴と る有用金属のリサイクル方法を提供する。

 以下、本発明の実施の形態についてさら 詳細に説明するが、本発明はこれらの形態 場合のみに限定されるものではない。

 なお、各実施形態の請求項の対応関係に いては以下の通りである。実施形態1、2は 主に、請求項1、2、3などに関する。実施形 3は、主に、請求項4、6、7などに関する。実 形態4は、主に、請求項4、6、10、11などに関 する。実施形態5は、主に、請求項5、8などに 関する。実施形態6は、主に、請求項2、9など に関する。

 ここで、図2、及び図3に、本発明の有用 属のリサイクル方法の実施形態の工程フロ チャートを示す。又、図25、及び26に、請求 に従い表した本発明の有用金属のリサイク 方法の工程フローチャートを示す。

 以下に、図2、図3、図25(A)(B)、図26に従って 発明の実施の形態について説明する。なお 図25(A)中「Bへ」の続きは、図25(B)中の「B」 繋がる。
実施形態1.透明電極(ITO)からのイ ジウム、スズ回収(図2、25)

 本実施形態は、主に、請求項1、2、3などに する。
<第一溶解工程の予備実験1(SiO 2 を含有しない場合)>

 本実施形態では、透明電極(ITO)にはIn 2 O 3 と酸化スズ(SnO 2 )を含有していることを考慮し、In 2 O 3 とSnO 2 のフッ化水素酸(HF)水溶液に対する溶解度を べた。

 まず、半導体用フッ化水素酸(HF)に酸化イン ジウム(In 2 O )粉末を溶解せしめたときの溶解度を調べた 濃度49重量%のHF水溶液に純水を加えてHF濃度 10重量%~49重量%の範囲で調製し、純度99.99%の In 2 O 3 粉末を100gのHF水溶液に溶解し、温度24℃のと の溶解度を調べた結果を図4に示す。In 2 O 3 膜の加工には、一般にHClとHNO 3 を主成分とする王水が用いられているが、HF 溶液に可溶であることが判明した。また、 4から、HF濃度が10重量%で極大となり、それ 上ではIn 2 O 3 の溶解度が減少し、HF濃度が30重量%以上で飽 する傾向があった。すなわち、図4より、本 実施形態のHF濃度としては、5重量%から15重量 %程度であることが望ましい。さらに望まし は、10重量%であることが望ましい。

 次に、SnO 2 の溶解度については、純度98.0%のSnO 2 粉末1.0gを濃度10重量%のHF水溶液100gに添加し 24時間攪拌したが、全く溶解せず、沈殿物を 分離・乾燥後、重量を測定したところ、約1.0 gであった。この結果から、SnO 2 はHF水溶液に溶解しないことが判明した。
<第一有用金属回収工程の予備実験1(SiO 2 を含有しない場合)>

 In 2 O 3 の溶解度が大きい濃度10重量%のHF水溶液100gに In 2 O 3 粉末3gを溶解した溶液を用いて、図5に示す装 置構成で、直流印加電圧3.0V、平均電流25mA、 温24℃で20時間の電気分解を行った。電極に はHF水溶液に溶解しない白金(Pt)板を用いた。 陰極側の白金電極に白色に近い物質の析出が 観察され、X線回折分析により、図6に示すX線 回折チャートが得られた。回折角2θが、33.1 、36.55度、39.35度、54.55度、63.45度、69.2度に それぞれ、結晶面方位(101)、(002)、(110)、(112) 、(103)、(202)の回折ピークが得られ、得られ 物質がインジウム(In)結晶であることが判明 た。

 以上の予備実験において、In 2 O 3 がHF水溶液に可溶であり、In 2 O 3 を溶解したHF水溶液を電気分解することによ 、Inの回収が可能であることが判明した。
<第一溶解工程の予備実験2(SiO 2 を含有する場合)>

 次に、本方法を実際の廃棄フラットパネル ィスプレイに適用するために、模擬的に濃 49重量%の半導体用HF水溶液を純水で濃度10重 量%に希釈したHF水溶液100gに、高純度シリカ ル粉末5.8gを溶解・飽和させた溶液を生成し 。そして、前記溶液に、純度99.99%のIn 2 O 3 粉末1.0gを溶解し、溶液を調製した。このと 、ゲル状の沈殿物が生成されたので、フィ タでろ過した。
<第一有用金属回収工程の予備実験2(SiO 2 を含有する場合)>

 次に、前記ろ過後の水溶液を用いて、図5に 示す装置構成で、平均直流印加電圧3.7V、平 電流21mA、液温24℃で3.5時間の電気分解を行 た。電極にはHF水溶液に溶解しない白金(Pt) を用いた。その結果、上述したと同様に、Si O 2 を溶解した場合でも、陰極側の白金電極に重 量0.46gの白色に近い物質の析出が観察され、X 線回折分析により、図7に示すX線回折チャー が得られた。回折角2θが、32.90度、54.40度、 56.55度、63.20度、90.05度に、それぞれ、結晶面 方位(101)、(112)、(200)、(103)、(213)の回折ピー が得られ、得られた物質がインジウム(In)結 であることが判明した。
<第二溶解工程及び第二有用金属回収工程 予備実験>

 次に、前記「第一溶解工程の予備実験2」 で得られた「ゲル状の沈殿物」0.41gを、超音 を印加しながら純水100gに溶解し、前記と同 様に、図5に示す装置構成で、平均直流印加 圧5.0V、平均電流1mA、液温24度で5時間の電気 解を行った。電極にはHF水溶液に溶解しな 白金(Pt)板を用いた。

 上述したと同様に、陰極側の白金電極に重 0.01gの白色に近い物質の析出が観察され、X 回折分析により、図8に示すX線回折チャー が得られた。回折角2θが、33.05度、36.45度に それぞれ、結晶面方位(101)、(002)の回折ピー クが得られ、得られた物質がインジウム(In) 晶であることが判明した。
<本実験>

 続いて、パーソナルコンピュータ用の液 ディスプレイパネルの廃棄品の液晶パネル 利用し、実際に本発明を適用した。

 まず、パーソナルコンピュータ用の14イ チ液晶ディスプレイパネルの廃棄品の液晶 ネルを分解し、液晶を回収した後、ガラス 板を中性洗剤で洗浄して液晶を完全に除去 た。そして、このガラス基板を破砕後、ミ サーにより粉末化した(第一粉末化工程)。

 次に、第一粉末化工程で得た前記粉末100g を、濃度49重量%の半導体用HF水溶液を純水で 度10重量%に希釈したHF水溶液に溶解した(第 溶解工程)。そして、第一溶解工程で生成し た水溶液をろ過し、不溶の沈殿物とろ液に分 離した(第一ろ過工程)。

 その後、第一ろ過工程で得たろ液50gを用い 、図5に示す装置構成で、平均直流印加電圧 4.18V、平均電流21mA、液温24℃で48時間の電気 解を行った。電極にはHF水溶液に溶解しない 白金(Pt)板を用いた(第一有用金属回収工程)。 前記電気分解により、上述したIn 2 O 3 とSiO 2 をHF水溶液に溶解した場合と同様に、陰極側 白金電極に重さ0.02gの白色に近い物質の析 が観察され、X線回折分析により、図9に示す X線回折チャートが得られた。図に示すよう 、回折角2θが、33.05度に、結晶面方位(101)の 折ピークが得られ、得られた物質がインジ ム(In)結晶であることが判明した。

 次に、第一ろ過工程で得られたろ物(ゲル 状の沈殿物)を純水に溶解した(第二溶解工程) 。そして、第二溶解工程で生成した水溶液を 用いて、図5に示す装置構成で、白金(Pt)電極 用いて平均直流印加電圧5V、平均電流1mA、 温24℃で5時間の電気分解を行った結果、上 したと同様に、インジウム(In)結晶が得られ 。

 以上の結果から、本方法を用いて廃棄液 ディスプレイパネルのガラス基板からInの 収が可能であることが判明した。なお、本 施の形態では、液晶ディスプレイパネルの ラス基板を用いているが、有機エレクトロ ミネッセンスパネル、プラズマディスプレ 等の各種フラットパネルディスプレイの廃 品や、太陽電池パネルにも同様に適用でき ものである。

 また、上述したように、フラットパネルデ スプレイ等の廃棄品を粉砕・微粉化したも や、太陽電池パネルの廃棄品をHF水溶液に 解した際に、酸化スズ(SnO 2 )がHF水溶液に不溶であることから、沈殿する ため、ろ過による分離・回収が可能である。 このSnO 2 は、ヨウ化水素酸(HI)に可溶であることを利 して、SnO 2 をHI水溶液に溶解した後、電気分解等の方法 金属スズとして回収が可能である(第三溶解 工程、第三有用金属回収工程)。
実施形態2.透明電極用酸化亜鉛か の亜鉛の回収

 本実施形態は、主に、請求項1、2、3などに し、透明電極用のインジウムの代替金属と て検討されている酸化亜鉛(ZnO)から亜鉛(Zn) 回収する方法を述べる。
<第一溶解工程の予備実験1(SiO 2 を含有しない場合)>

 まず、HF水溶液へのZnOの溶解度を調べた。 度49重量%の半導体用フッ化水素酸(HF)水溶液 純水を加えてHF濃度を調整し、温度24℃のと きのZnO(純度:99%)粉末を100gのHF水溶液に溶解し たときの溶解度を調べた結果を図10に示す。 10から、ZnOはHF水溶液に可溶であることが判 明し、HF濃度の増加につれてZnOの溶解度が増 し、HF濃度が40重量%で最大となり、さらにHF 濃度を増加すると、溶解度が減少する傾向が あった。すなわち、図10より、本実施形態のH F濃度としては、30重量%から45重量%程度であ ことが望ましい。さらに望ましくは、40重量 %であることが望ましい。
<第二溶解工程及び第二有用金属回収工程 予備実験1(SiO 2 を含有しない場合)>

 次に、濃度30重量%のHF水溶液100gに純度99.0 %のZnO粉末9.5gを溶解し、沈殿物を得た。この 殿物をフィルタでろ過して乾燥し5.86gの白 物を得た。この白色物1.6gを純水に溶解した 、図5に示す装置構成で、平均直流印加電圧 3.6V、平均電流3.0mA、液温24℃で1時間の電気分 解を行った。陽極、陰極には、それぞれ白金 (Pt)板、銅(Cu)板を用いた。なお、白金板、銅 ともに、HFに不溶である。陰極側の銅電極 灰色に近い物質の析出が観察され、X線回折 析により、図11に示すX線回折チャートが得 れた。回折角2θが、36.45度、39.15度、43.40度 54.50度、70.25度、70.80度、82.25度、86.70度、90. 10度に、それぞれ、結晶面方位(002)、(100)、(10 1)、(102)、(103)、(110)、(112)、(201)、(104)の回折 ークが得られ、得られた物質が亜鉛(Zn)結晶 であることが判明した。

 なお、本実施形態の「第一溶解工程の予備 験1」で生成した水溶液を用いて、前記と同 様に電気分解を行った場合においても(第一 用金属回収工程)、図11と同様のX線解析チャ トが得られた。すなわち、亜鉛(Zn)結晶が得 られた。
<第一溶解工程及び第二溶解工程及び第二 用金属回収工程の予備実験2(SiO 2 を含有する場合)>

 さらに、本方法を実際の廃棄フラットパネ ディスプレイに適用するため、実施形態1と 同様に、模擬的に高純度シリカゲル(SiO 2 )粉末を溶解して水溶液を調製した。濃度49重 量%の半導体用HF水溶液100gに高純度シリカゲ (SiO 2 )粉末6.0gを溶解・飽和させた後に、SiO 2 とZnOの重量比が10:1となるように、純度99.0%の ZnO粉末0.6gを溶解し、溶液を調製した。前記 同様に、ゲル状の沈殿物が生成された。こ 沈殿物をフィルタでろ過して乾燥して得た0. 92gの白色物を純水に溶解した後、図5に示す 置構成で、平均直流印加電圧4.0V、平均電流0 .9mA、液温24℃で1.25時間の電気分解を行った 陽極、陰極には、それぞれ白金(Pt)板、銅(Cu) 板を用いた。なお、白金板、銅板ともに、HF 不溶である。陰極側の銅電極に灰色に近い 質の析出が観察され、X線回折分析により、 図12に示すX線回折チャートが得られた。回折 角2θが、36.20度、38.85度、43.15度、54.20度、70.0 0度、89.90度に、それぞれ、結晶面方位(002)、( 100)、(101)、(102)、(103)、(104)の回折ピークが得 られ、前記と同様に、得られた物質が亜鉛(Zn )結晶であることが判明した。

 以上の結果から、将来、発生すると予想 れるZnO系透明電極を用いた廃棄液晶ディス レイパネルのガラス基板から、Znの回収が 能であることが判明した。なお、本実施の 態では、液晶ディスプレイパネルのガラス 板を用いているが、有機エレクトロルミネ センスパネル、プラズマディスプレイ等の 種フラットパネルディスプレイの廃棄品や 太陽電池パネルにも同様に適用できるもの ある。

 以上で述べたように、HF水溶液は前記の うな廃棄品に含まれるガラスを溶かす性質 有する。よって、廃棄品をHF水溶液で溶解す る工程を、廃棄品に含まれるガラスが溶けて なくなるまで行うことで、ガラスに付着して いる有用金属などをもれなく溶解することが 可能となる。その結果、その後の電気分解( 一有用金属回収工程など)による有用金属の 収率が向上する。また、HF水溶液に溶解し い以下で説明する有用金属を、ガラスから 全に分離することが可能となり、以下で説 するその後の処理(第四有用金属回収工程な )により、効率的に有用金属を回収すること が可能となる。

 その他、HF水溶液の溶解性により、前記の うな廃棄品のいずれか一以上を粉砕、粉末 したものを、同時に溶解することが可能と る。その結果、工業的生産過程において、 業効率が格段に向上することが期待される
実施形態3.蛍光材料からのイット ウム、ユーロピウム、ランタン、テルビウ 等の希土類金属の回収

 本実施形態は、主に、請求項4、6、7などに する。
<第一溶解工程及び第四溶解工程の予備実 >

 本実施の形態では、まず、蛍光材料として 用されている酸化イットリウム(Y 2 O 3 )、酸化ユーロピウム(Eu 2 O 3 )、酸化ランタン(La 2 O 3 )、酸化テルビウム(Tb 4 O 7 )の各種酸性水溶液への溶解度を調べた。

 酸性水溶液として、濃度49%の半導体用HF水 液、濃度10%の硝酸(HNO 3 )水溶液、濃度10%の硫酸(H 2 SO 4 )水溶液、濃度10%の塩酸(HCl)水溶液を用い、そ れぞれの水溶液100gに、純度99.99%のY 2 O 3 粉末、純度99.9%のEu 2 O 3 粉末、純度98.0%のLa 2 O 3 粉末、純度99.95%のTb 4 O 7 粉末を温度24℃で溶解したときの溶解度を表1 に示す。

 Y 2 O 3 、Eu 2 O 3 、La 2 O 3 、Tb 4 O 7 ともにHF水溶液には不溶であること、HNO 3 水溶液、H 2 SO 4 水溶液に対する溶解度がHCl水溶液に対する溶 解度よりも大きいことが判明した。なお、前 記結果は、実施形態1に記載の第一溶解工程 第一ろ過工程を経ることにより、Y 2 O 3 、Eu 2 O 3 、La 2 O 3 、Tb 4 O 7 を沈殿物(ろ物)として分離・回収が可能であ ことを示している。
<第四有用金属回収工程の予備実験(イット ウム回収)>

 次に、一度、濃度49%のHF水溶液100gにY 2 O 3 粉末7.4gを添加した飽和水溶液から不溶のY 2 O 3 を分離・回収し、10分間で2回の純水洗浄を行 った後、濃度10重量%のHNO 3 水溶液50gに溶解した。そして、図5に示す装 構成で、直流印加電圧3.33V、平均電流1.91mA、 液温24℃で20時間の電気分解を行った。実施 態1と同様に、電極には白金(Pt)板を用いた。 陰極側の白金電極に白色に近い物質の析出が 観察され、X線回折分析により、図13に示すX 回折チャートが得られた。回折角2θが、28.05 度、50.15度、58.35度、60.02度に、それぞれ、結 晶面方位(100)、(110)、(200)、(112)の回折ピーク 得られ、この物質がイットリウム(Y)結晶で ることが判明した。

 以上の結果から、イットリウムを分離・回 することが可能であることが判明した。
<本実験>

 次に、廃棄蛍光管ガラスを利用し、実際 本発明を適用して、イットリウム(Y)を回収 た。

 まず、FL型廃棄蛍光管(40W)の電極部分を切 除してガラス部分のみを切り出すと同時に、 廃棄蛍光管内の水銀(Hg)を回収した。切り出 たガラス部分を粉砕し、ミキサーで粉末化 た(第一粉末化工程)。

 続いて濃度49重量%の半導体用HF水溶液100cc に廃棄蛍光管ガラス粉末100gを添加し、24時間 攪拌し溶解した。このとき、主にシリカガラ ス成分が溶解するため、それ以外は、水溶液 中に金属イオンなどのイオンとして存在する か、不溶の金属酸化物や金属フッ化物などと して沈殿する(第一溶解工程)。そして、第一 解工程で生成した水溶液をろ過し、不溶の 殿物とろ液に分離した(第一ろ過工程)。

 その後、第一ろ過工程で分離・回収したろ (不溶の沈殿物)を、10分間で2回の純水洗浄 行った後、濃度10重量%のHNO 3 水溶液50ccに溶解した(第四溶解工程)。その後 、図5に示す装置構成で、直流印加電圧3.3V、 均電流1.85mA、液温24℃で20時間の電気分解を 行った(第四有用金属回収工程)。

 そして、第四有用金属回収工程で得られた 出物をX線回折で分析すると、上述したY 2 O 3 からイットリウムを回収した場合と同様なX 回折チャートが得られた。すなわち、イッ リウムを得られた。

 以上の結果から、廃棄蛍光管ガラスから、 光材料に用いられているイットリウムの回 が可能であることが判明した。なお、本実 の形態では、廃棄蛍光管ガラスを用いてい が、液晶ディスプレイパネルのバックライ 用冷陰極蛍光管、有機エレクトロルミネッ ンスパネル、プラズマディスプレイパネル ブラウン管等の廃棄品を用いても同様な結 が得られるものである。
<析出工程及び第六溶解工程及び第六有用 属回収工程の予備実験1(ユーロピウム回収)&g t;

 次に、Eu 2 O 3 粉末12.7gを濃度10重量%のHNO 3 水溶液50gに溶解し、この溶液20gをホットスタ ーラを用いて、温度約50℃で溶液を約4時間、 加熱した。その後、温度4℃の冷蔵庫内で21時 間、冷却し、重さ8.40gの白色凝固物を得た。

 この白色凝固物を純水100gに溶解し、図5に す装置構成で、直流印加電圧3.00V、平均電流 2.35mA、液温24℃で16.5時間の電気分解を行った 。電極には白金(Pt)板を用いた。陰極側の白 電極に茶褐色の物質の析出が観察され、X線 折分析により、図14に示すX線回折チャート 得られた。回折角2θが、27.85度、49.60度に、 それぞれ、結晶面方位(110)、(211)の回折ピー が得られ、この物質がユーロピウム(Eu)結晶 あることが判明した。
<析出工程及び第六溶解工程及び第六有用 属回収工程の予備実験2(ランタン回収)>

 次に、La 2 O 3 粉末18.0gを濃度10重量%のHCl水溶液50gに溶解し この溶液20gをホットスターラを用いて、温 約50℃で溶液を約4時間、加熱した。その後 温度4℃の冷蔵庫内で18時間、冷却し、重さ5 .48gの白色凝固物を得た。

 この白色凝固物を純水100gに溶解し、図5に す装置構成で、直流印加電圧2.60V、平均電流 1.77mA、液温24℃で18時間の電気分解を行った 電極には白金(Pt)板を用いた。陰極側の白金 極に灰色の物質の析出が観察され、X線回折 分析により、図15に示すX線回折チャートが得 られた。回折角2θが、26.40度、28.40度、46.85度 、48.05度に、それぞれ、結晶面方位(100)、(101) 、(105)、(110)の回折ピークが得られ、この物 がランタン(La)結晶であることが判明した。
<析出工程及び第六溶解工程及び第六有用 属回収工程の予備実験3(テルビウム回収)>

 次に、TbE 4 O 7 粉末11.8gを濃度10重量%のHNO 3 水溶液100gに溶解し、この溶液10gをホットス ーラを用いて、温度約50℃で溶液を約4時間 加熱した。その後、温度4℃の冷蔵庫内で18 間、冷却し、重さ3.25gの白色凝固物を得た。

 この白色凝固物を純水100gに溶解し、図5 示す装置構成で、直流印加電圧2.48V、平均電 流1.77mA、液温24℃で18時間の電気分解を行っ 。電極には白金(Pt)板を用いた。陰極側の白 電極に重さ0.02gの銀白色物質の析出が観察 れ、X線回折分析により、この物質がテルビ ム(Tb)結晶であることが判明した。

 以上の結果から、ユーロピウム(Eu)、ラン タン(La)、テルビウム(Tb)の分離・回収が可能 あることが判明した。なお、析出工程及び 六溶解工程及び第六有用金属回収工程によ 、イットリウム(Y)、ガドリニウム(Gd)等の希 土類金属についても分離・回収が可能である 。

 本実施の形態では、廃棄蛍光管ガラス、液 ディスプレイパネルのバックライト用冷陰 蛍光管、有機エレクトロルミネッセンスパ ル、プラズマディスプレイパネル、ブラウ 管等の廃棄品を用いても同様な結果が得ら るものである。
実施形態4.アンチモン、鉛、スズ 回収

 本実施形態は、主に、請求項4、6、10、11な に関し、蛍光管ガラスや、ブラウン管ガラ などに酸化物として含有するアンチモン、 や、半田に含まれるスズ、鉛を回収する方 を述べる。
<第一溶解工程の予備実験>

 まず、純度98.0%の酸化アンチモン(Sb 2 O 3 )粉末を、濃度49重量%のHF水溶液100gに温度24℃ で溶解し、溶解度を調べた結果、83gであった 。また、純度99.0%の酸化鉛(PbO)粉末を、濃度49 重量%のHF水溶液100gに温度24℃で溶解した結果 、鉛のフッ化物らしい沈殿物が得られ、溶解 度は不明であった。
<第四有用金属回収工程の予備実験1(アンチ モン回収)>

 次に、純度98.0%の酸化アンチモン(Sb 2 O 3 )粉末10gを、濃度49重量%のHF水溶液100gに溶解 、図5に示す装置構成で、直流印加電圧2.30V 平均電流100mA、液温24℃で24時間の電気分解 行った。電極には白金(Pt)板を用いた。陰極 の白金電極に重さ3.63g、厚さ約1.0mmの灰色物 質の析出物が観察された。この析出物をX線 折分析したところ、図16に示すX線回折チャ トが得られた。回折角2θが、23.65度、25.3度 28.8度、40.15度、42.15度、47.25度、48.5度、51.7 、59.55度、63.1度、66.15度、68.9度、71.75度、76. 05度、76.65度、91.5度、98.6度に、それぞれ、結 晶面方位(003)、(101)、(012)、(104)、(110)、(015)、 (006)、(202)、(024)、(107)、(116)、(122)、(108)、(214 )、(300)、(119)、(312)の回折ピークが得られ、 の物質がアンチモン(Sb)結晶であることが判 した。なお、析出したSbが1mmと厚かったの 、白金電極の回折ピークは観測できなかっ 。
<本実験>

 次に、廃棄蛍光管ガラスを利用し、実際 本発明を適用して、アンチモン(Sb)を回収し た。

 まず、FL型廃棄蛍光管(40W)の電極部分を切 除してガラス部分のみを切り出すと同時に、 廃棄蛍光管内の水銀(Hg)を回収した。切り出 たガラス部分を粉砕し、ミキサーで粉末化 た(第一粉末化工程)。

 続いて濃度49重量%の半導体用HF水溶液2.5kgに 廃棄蛍光管ガラス粉末2.5kgを添加し、24時間 拌し溶解した(第一溶解工程)。そして、第一 溶解工程で生成した水溶液を、図5に示す装 構成で、直流印加電圧2.50V、平均電流50mA、 温24℃で60時間の電気分解を行った(第一有用 金属回収工程)。電極には白金(Pt)板を用いた 陰極側の白金電極に約0.2gの黒色の物質の析 出物を得た。この析出物をX線回折分析した ころ、回折ピークは観測されなかった。こ は、蛍光管ガラスに含まれるSiO 2 のネットワークにSbがSi-O-Sbの化学結合で存在 しており、HF水溶液からの電気分解では完全 結晶として分離できないためと考えられる

 そこで、この析出物を10重量%のHNO 3 水溶液100gに溶解し(第四溶解工程)、図5に示 装置構成で、直流印加電圧1.0V、平均電流200m A、液温24℃で60時間の電気分解を行った結果( 第四有用金属回収工程)、陰極側の白金電極 重さ0.05gの灰色物質の析出物が得られた。こ の析出物をX線回折分析したところ、図17に示 すX線回折チャートが得られた。回折角2θが 28.15度、41.50度、51.25度、58.95度、68.20度に、 れぞれ、結晶面方位(012)、(110)、(202)、(024) (122)の回折ピークが得られ、この物質がアン チモン(Sb)結晶であることが判明した。
<第四有用金属回収工程の予備実験2(鉛回収 )>

 次に、純度98.0%の酸化鉛(PbO)粉末1.0gを、濃 49重量%のHF水溶液100gに溶解したところ、フ 化鉛(PbF 2 )と考えられる沈殿物が得られた。この沈殿 を10重量%のHNO 3 水溶液100gに溶解し、図5に示す装置構成で、 流印加電圧2.0V、平均電流200mA、液温24℃で24 時間の電気分解を行った。電極には白金(Pt) を用いた。陰極側の白金電極に重さ0.03gの灰 色物質の析出物が観察され、この析出物をX 回折分析したところ、図18に示すX線回折チ ートが得られた。回折角2θが、31.25度、36.2 、52.3度、62.3度、65.25度、85.80度に、それぞ 、結晶面方位(111)、(200)、(220)、(311)、(222)、( 331)の回折ピークが得られ、この物質が鉛(Pb) 晶であることが判明した。
<本実験>

 次に、廃棄ブラウン管ガラスを利用し、 際に本発明を適用して、鉛(Pb)を回収した。

 まず、廃棄ブラウン管のパネル部分とフ ンネル部分に分割し、鉛を多く含むファン ルガラスを粉砕し、ミキサーで粉末化した( 第一粉末化工程)。

 続いて濃度49重量%の半導体用HF水溶液2.5kg にファンネルガラス粉末2.5 kgを添加し、24時 間攪拌し溶解し(第一溶解工程)、ろ過により 色の沈殿物が得られた(第一ろ過工程)。

 第一ろ過工程で得られた沈殿物(ろ物)には ファンネルガラスに含まれる鉛以外の金属 残留しているため、それらを分離するため HCl水溶液に溶解した。沈殿物5gを10重量%のHCl 水溶液100gに溶解したところ、白色沈殿物が られた(第四溶解工程)。続いて、この白色沈 殿物1gを10重量%のHNO 3 水溶液100gに溶解し、図5に示す装置構成で、 流印加電圧2.5V、平均電流100mA、液温24℃で24 時間の電気分解を行った。電極には白金(Pt) を用いた(第四有用金属回収工程)。前記電気 分解により、陰極側の白金電極に重さ0.02gの 色物質の析出物が観察され、この析出物をX 線回折分析したところ、図19に示すX線回折チ ャートが得られた。回折角2θが、31.30度、36.3 0度、52.20度、62.25度、65.30度、85.85度、88.25度 、それぞれ、結晶面方位(111)、(200)、(220)、( 311)、(222)、(331)、(420)の回折ピークが得られ この物質が鉛(Pb)結晶であることが判明した

 本実施の形態では、廃棄蛍光管ガラスと廃 ブラウン管ガラスを別々に処理したが、こ らを混合したガラス粉末を用いて、同様な 験を行ったところ、アンチモン、鉛を分離 回収することができた。
<第九有用金属回収工程の予備実験(鉛回収) >

 本実施の形態では、さらに、鉛を多く含むP b-Sn-Zn系半田からの鉛の分離・回収を行った ます、濃度49重量%の半導体用HF水溶液100gに 度30重量%の過酸化水素水(H 2 O 2 )20gを添加して調製したHF/H 2 O 2 混合水溶液120gに、重さ5gの半田を浸漬・溶解 したところ、重さ1.75gの白色の沈殿物が得ら た。この沈殿物を濃度10重量%のHNO 3 水溶液100gに溶解したところ、さらに白色の 殿物が得られた。この沈殿物をフィルタで 過して得た水溶液を、図5に示す装置構成で 直流印加電圧2.4V、平均電流100mA、液温24℃ 60時間の電気分解を行った。電極には白金(Pt )板を用いた。陰極側の白金電極に重さ0.08gの 灰色物質の析出物が観察され、この析出物を X線回折分析したところ、図20に示すX線回折 ャートが得られた。回折角2θが、31.15度、36. 10度、52.20度、62.05度に、それぞれ、結晶面方 位(111)、(200)、(220)、(311)の回折ピークが得ら 、この物質が鉛(Pb)結晶であることが判明し た。
<本実験>

 次に、廃棄銅配線プリント基板を利用し 実際に本発明を適用して、鉛(Pb)を回収した 。

 濃度49重量%の半導体用HF水溶液100gに純水を え、濃度20重量%のHF水溶液を調製し、このHF 水溶液100gに濃度30重量%の過酸化水素水(H 2 O 2 )20gを添加して調製したHF/H 2 O 2 混合水溶液120gに、約2cm角のプリント基板片 温度24℃で浸漬し、24時間放置した(第五溶解 工程又は第七溶解工程)。このとき、HF/H 2 O 2 混合水溶液は、無色から青色に変化し、約1.0 gの沈殿物が得られた。また、プリント基板 銅配線以外の部分や集積回路部品には外観 の変化は認められなかった。沈殿物をろ過 て得た水溶液から、実施形態5で述べる銅(Cu) を回収した(第五有用金属回収工程又は第七 用金属回収工程)。一方、ろ過(第三ろ過工程 )して得た沈殿物を濃度10重量%のHNO 3 水溶液100gに溶解し(第八溶解工程)、図5に示 装置構成で、直流印加電圧2.4V、平均電流100m A、液温24℃で60時間の電気分解を行ったとこ (第九有用金属回収工程)、陰極側の白金電 に灰色物質の析出物が観察され、この析出 をX線回折分析したところ、前記と同様なX線 回折チャートが得られた。

 以上の結果から、鉛を多く含む半田、あ いは、廃棄プリント基板の半田から、鉛を 離・回収することができた。

 また、HF/H 2 O 2 水溶液にPb-Sn-Zn系半田を溶解した際に、合金 しているスズ(Sn)が酸化されSnO 2 になり、このSnO 2 はHNO 3 水溶液に不溶であることから沈殿するため、 ろ過による分離・回収が可能である。実施の 形態1でも述べたように、このSnO 2 は、ヨウ化水素酸(HI)に可溶であることを利 して、SnO 2 をHI水溶液に溶解した後、電気分解等の方法 金属スズとして回収が可能である(第四ろ過 工程及び第九溶解工程及び第十有用金属回収 工程)。さらに、亜鉛(Zn)についても、実施形 2で述べたのと同様に分離、回収が可能であ る。さらにまた、Sn-Cu-Ag系の鉛フリー半田か のスズの回収も同様に可能である。
実施形態5.銅の回収

 本実施形態は、主に、請求項5、8などに関 る。
<第五溶解工程及び第七溶解工程の予備実 >

 本実施形態では、主に配線材料に用いられ いる銅のHF水溶液への溶解度を調べた。ま 、濃度49重量%の半導体用HF水溶液に純水を加 え、濃度20重量%のHF水溶液を調製した。次に このHF水溶液に濃度30重量%の過酸化水素水(H 2 O 2 )をその濃度を変えて添加し、濃度の異なるHF /H 2 O 2 混合水溶液100gに純度99.85%の銅(Cu)粉末6gを温 24℃で溶解した。この水溶液は、銅添加前の 無色から青色に変化した。ここで、金属銅は HF水溶液に不溶であるため、H 2 O 2 を添加することによって、以下の反応で溶解 し、四フッ化銅錯イオンとなっていると考え られる。
Cu+H 2 O 2 →Cu(OH) 2                 -(1)
Cu(OH) 2 +4HF→H 2 CuF 4 +2H 2 O        -(2)
H 2 CuF 4 →2H + +[CuF 4 ] 2-              -(3)

  図21に、銅粉末をHF/H 2 O 2 混合水溶液に溶解したときの、過酸化水素(H 2 O 2 )濃度に対する銅の溶解度を示す。過酸化水 濃度が20~60重量%でほぼ一定の溶解度が得ら た。
<第五有用金属回収工程及び第八有用金属 収工程の予備実験1(Si基板片利用)>

 次に、上述した銅粉末を過酸化水素濃度50 量%のHF/H 2 O 2 混合水溶液に溶解した水溶液100gに、温度24℃ で2cm角のシリコン(Si)基板片を浸漬したとこ 、その直後からSi基板表面に金属光沢の析出 物が付着し始めた。24時間放置したところ、 出物の厚さが増加し、水溶液は青色から無 に変化した。

 得られた析出物をX線回折により分析した 結果、図22に示すX線回折チャートが得られた 。回折角2θが、43.3度、50.5度、74.2度、90.0度 95.2度に、それぞれ、結晶面方位(111)、(200)、 (220)、(311)、(222)の回折ピークが得られ、この 物質が銅(Cu)結晶であることが判明した。

 この銅の析出反応は、式 (3) から、
[CuF 4 ] 2- +2H +
→[Cu 2 + +2e - ]+[F 4 4- -2e - ]+2H +
→Cu+2HF+F                    -(4)
と推定できる。

 以上の結果から、銅を溶解したHF/H 2 O 2 水溶液から金属銅を回収することが可能であ ることが判明した。
<第五有用金属回収工程及び第八有用金属 収工程の予備実験2(Al線利用)>

 本予備実験では、前記予備実験1で利用し た「Si基板片」に代えて、「Al線」を利用し 。

 前記と同様に、濃度49重量%の半導体用HF水 液に純水を加え、濃度20重量%のHF水溶液を調 製し、このHF水溶液50gに、濃度30重量%の過酸 水素水(H 2 O 2 )50gを添加して調製したHF/H 2 O 2 混合水溶液100gに、純度99.85%の銅(Cu)粉末3gを 度24℃で溶解し、24時間放置した。Cuを溶解 たHF/H 2 O 2 混合水溶液に、温度24℃で、前記のSi基板に えて、直径1mmのAl線を浸漬したところ、その 直後からAl線表面に金属銅が析出し、時間経 とともに銅被覆線の直径が増加し、24時間 過後には、直径約3mmになった。また、水溶 は青色から無色に変化した。
<本実験>

 次に、廃棄銅配線プリント基板を利用し 実際に本発明を適用して、銅(Cu)を回収した 。

 濃度49重量%の半導体用HF水溶液に純水を加 、濃度20重量%のHF水溶液を調製し、このHF水 液50gに、濃度30重量%の過酸化水素水(H 2 O 2 )50gを添加して調製したHF/H 2 O 2 混合水溶液100gに、約2cm角のプリント基板片 温度24℃で浸漬し、24時間放置した(第五溶解 工程又は第七溶解工程)。このとき、HF/H 2 O 2 混合水溶液は、無色から青色に変化した。ま た、プリント基板の銅配線以外の部分や電子 部品には外観上の変化は認められなかった。

 次に、上述したHF/H 2 O 2 混合水溶液からプリント基板片を取り出し、 温度24℃で2cm角のシリコン(Si)基板片を浸漬し たところ、その直後からSi基板表面に金属光 の析出物が付着し、時間経過とともに析出 の厚さが増加し、24時間経過後には、水溶 は青色から無色に変化した(第五有用金属回 工程又は第八有用金属回収工程)。

 得られた析出物をX線回折により分析した 結果、図23に示すX線回折チャートが得られた 。回折角2θが、43.3度、50.5度、74.2度、90.0度 95.2度に、それぞれ、結晶面方位(111)、(200)、 (220)、(311)、(222)の回折ピークが得られ、この 物質が銅(Cu)結晶であることが判明した。

 本実施形態では、金属銅を析出させる基 としてSi基板を用いているが、アルミニウ (Al)板やアルミニウム(Al)線等を用いても同様 に、金属銅を析出、回収せしめることが可能 であることを確認している。

 以上の結果から、廃棄銅配線プリント基 から、金属銅の回収が可能であることが判 した。なお、本実施形態では、廃棄銅配線 リント基板を用いているが、液晶パネル、 機エレクトロルミネッセンスパネル、プラ マディスプレイ等の各種フラットパネルデ スプレイの廃棄品、廃棄集積回路等の銅配 を使用している電子機器、部品の廃棄品に 適用可能である。また、これら以外に金属 を用いる配線材料、例えば、車載用ハーネ 、電力ケーブル、送配電線、同軸ケーブル 平行二線形給電線等の廃棄品にも適用可能 ある。

 また、本実施形態では、Cu粉末を溶解したHF /H 2 O 2 混合水溶液から銅被覆線(Al新)を作製してい が、Cu粉末に替えて廃棄プリント基板など、 Cuを含むものであれば、同様に再生でき、ハ ネス、被覆銅線、同軸ケーブルなど各種配 に再生し、応用が可能である。

 なお、本実施形態の有用金属(銅)の回収 法は、廃棄蛍光管ガラスなどを粉砕、必要 応じて粉末化する工程から行ってもよいし 実施形態1、2、3、又は4に記載の有用金属の 収方法において取り除かれたろ物を利用し 行うことも可能である。

 さらに、本実施の形態では、廃棄銅配線 リント基板片を用いているが、カレット状 あるいは、ミキサーなどで微粉化したもの 用いてもよい。

 さらにまた、本実施の形態では、銅(Cu)の析 出には電界を印加していないが、電気分解法 によるリサイクルも可能である。
実施形態6.銀の回収

 本実施形態は、主に、請求項2、9などに関 、プラズマディスプレイパネルや、鉛フリ 半田を用いる廃棄銅配線プリント基板から 銀(Ag)を分離・回収する方法について述べる
<第八有用金属回収工程の予備実験>

 まず、実施形態4のPb-Sn-Zn系半田からのPb、Sn の回収で述べたように、濃度49重量%のHF水溶 100gと濃度30重量%のH 2 O 2 水溶液20gを混合して調製したHF/H 2 O 2 水溶液120gから100gを取り分け、Sn-Cu-Ag系半田( 分:Sn-96.5重量%、Ag-3重量%、Cu-0.5重量%)10gを溶 解した(第五溶解工程又は第七溶解工程)。そ 際、スズが酸化物やフッ化物の沈殿物とし 得られる。

 次に、この沈殿物をろ過し、ろ物を除去 て得た水溶液にSi基板を浸漬し、Cuを析出、 回収した後(第五有用金属回収工程又は第七 用金属回収工程)、図5に示す装置構成で、直 流印加電圧2.5V、平均電流320mA、液温24℃で4時 間の電気分解を行った(第八有用金属回収工 )。電極には白金(Pt)板を用いた。陰極側の白 金電極に重さ0.29gの銀色物質の析出物が観察 れ、この析出物をX線回折分析したところ、 図24に示すX線回折チャートが得られた。回折 角2θが、38.05度、44.25度、64.50度、77.55度に、 れぞれ、結晶面方位(111)、(200)、(220)、(311) 回折ピークが得られ、この物質が銀(Ag)結晶 あることが判明した。この鉛フリー半田に 有するAg濃度から、最大0.3gのAgの回収が可 であり、本実験では約97%の回収率となった

 上記の結果から、実施形態4で述べたと同様 に、鉛フリー半田を用いた廃棄銅配線プリン ト基板から銀(Ag)の分離・回収が可能となる
<第二有用金属回収工程の予備実験>

 まず、プラズマディスプレイパネルの廃 品を粉砕し、このガラス基板を破砕後、ミ サーにより粉末化した(第一粉末化工程、又 は粉砕工程及び第二粉末化工程)。

 そして、前記粉末を、濃度49重量%の半導 用HF水溶液に溶解し、不溶の沈殿物を得る( 一溶解工程)。この不溶の沈殿物をろ過によ り、溶液から分離した後(第一ろ過工程)、さ に、ろ物を純水に溶解して電解液とする(第 二溶解工程)。次に、実施形態1で述べたよう 、図5に示す装置構成で、電気分解によりイ ンジウムを析出、回収した後に、AgとInの酸 還元電位の差(1.1371V)以上の電圧分を昇圧し 電気分解することにより、銀(Ag)を析出、回 することが可能である(第二有用金属回収工 程)。

 以上の実施形態1から6で述べたように、 気分解の際に、白金板電極を用いているが これは、析出、回収する金属種に応じて、 素電極その他の電極、あるいは、白金等の 属、炭素等をガラス等の基板上に形成した 膜電極を用いてもよい。

従来の有用金属のリサイクル方法の工 を示すフローチャート 本発明の有用金属のリサイクル方法の 程を示すフローチャートの一例1 本発明の有用金属のリサイクル方法の 程を示すフローチャートの一例2 本発明の実施形態の一例の酸化インジウム(In 2 O )粉末をHF水溶液に溶解せしめたときの溶解度 のHF濃度依存性 本発明の実施形態である電気分解に用 る装置の構成 本発明の実施形態の一例であるリサイ ルしたInのX線回折チャート1 本発明の実施形態の一例であるリサイ ルしたInのX線回折チャート2 本発明の実施形態の一例であるリサイ ルしたInのX線回折チャート3 本発明の実施形態の一例である液晶パ ルのガラス基板からリサイクルしたInのX線 折チャート 本発明の実施形態の一例の酸化亜鉛(Zn O)粉末をHF水溶液に溶解せしめたときの溶解 のHF濃度依存性 本発明の実施形態の一例であるリサイ クルしたZnのX線回折チャート1 本発明の実施形態の一例であるリサイ クルしたZnのX線回折チャート2 本発明の実施形態の一例であるリサイ クルしたYのX線回折チャート 本発明の実施形態の一例であるリサイ クルしたEuのX線回折チャート 本発明の実施形態の一例であるリサイ クルしたLaのX線回折チャート 本発明の実施形態の一例であるリサイ クルしたSbのX線回折チャート1 本発明の実施形態の一例であるリサイ クルしたSbのX線回折チャート2 本発明の実施形態の一例であるリサイ クルしたPbのX線回折チャート1 本発明の実施形態の一例であるリサイ クルしたPbのX線回折チャート2 本発明の実施形態の一例である鉛含有 半田からリサイクルしたPbのX線回折チャート 本発明の実施形態の一例である、銅粉末をHF/ H 2 O 2 混合水溶液に溶解せしめたときの溶解度の過 酸化水素(H 2 O 2 )濃度依存性 本発明の実施形態の一例であるリサイ クルしたCuのX線回折チャート1 本発明の実施形態の一例であるリサイ クルしたCuのX線回折チャート2 本発明の実施形態の一例であるリサイ クルしたAgのX線回折チャート 本発明の有用金属のリサイクル方法 工程を示すフローチャートの一例3 本発明の有用金属のリサイクル方法 工程を示すフローチャートの一例4 本発明の有用金属のリサイクル方法の 工程を示すフローチャートの一例5

符号の説明

1・・・ 陽極、 2・・・ 陰極、 3・・・  フロン(登録商標)容器、
4・・・ 処理水溶液、 5・・・ 直流電圧計  6・・・ 直流電流計、
7・・・ 直流安定化電源