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Title:
METHOD FOR ROLLING CU-GA ALLOY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/123059
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a method for rolling a Cu-Ga alloy whereby even a Cu-Ga alloy having a relatively large composition ratio of Ga can be rolled (machined) to a desired thickness without causing cracking, breaking or chipping. A rolling step is performed a plurality of times stepwise from thickness (a) to thickness b(a>b) such that a Cu-Ga alloy plate becomes thinner gradually while regulate the surface temperature of the Cu-Ga alloy plate to within a range of 380°C-520°C. Rolling pass (distance between rolling rollers (10, 10)) is preferably set such that a reduction in thickness represented by (((thickness before rolling minus thickness after rolling) / thickness before rolling) × 100) falls within a range of 2%-9% in single-time rolling step. A step for reheating a Cu-Ga alloy plate or a step for unwarping a Cu-Ga alloy plate may be performed between some rolling step and the next rolling step.

Inventors:
KUMAGAI TOSHIAKI
IMAMAKI TSUNEHISA
Application Number:
PCT/JP2009/056313
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
March 27, 2009
Export Citation:
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Assignee:
SUMITOMO CHEMICAL CO (JP)
KUMAGAI TOSHIAKI
IMAMAKI TSUNEHISA
International Classes:
B21B3/00; C22C9/00; C22F1/08; C22F1/00
Domestic Patent References:
WO2006104028A12006-10-05
Foreign References:
JPS61289608A1986-12-19
JP2004351484A2004-12-16
JP2003320402A2003-11-11
JP2001205307A2001-07-31
JP2000073163A2000-03-07
Attorney, Agent or Firm:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK (JP)
Patent business corporation Hara [Kenzo] international patent firm (JP)
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Claims:
 Cu-Ga合金板の表面温度を380℃以上、520℃以下の範囲内に調節しながら、当該Cu-Ga合金板の厚さが徐々に薄くなるように、厚さaから厚さb(a>b)まで段階的に複数回、圧延工程を行うことを含むCu-Ga合金の圧延方法。
 1回の圧延工程における、「{(圧延前の厚さ-圧延後の厚さ)/圧延前の厚さ}×100」で表される圧下率(%)が、2%以上、9%以下の範囲内になるように圧延パスが設定される請求項1に記載の方法。
 或る圧延工程と次の圧延工程との間に、Cu-Ga合金板を再加熱する再加熱工程が行われる請求項1または2に記載の方法。
 或る圧延工程と次の圧延工程との間に、Cu-Ga合金板の反りを除去する反り除去工程が行われる請求項1から3の何れか1項に記載の方法。
 Cu-Ga合金中のGaの組成比が、10モル%以上、25モル%以下である請求項1から4の何れか1項に記載の方法。
 得られるCu-Ga合金板の用途が、スパッタリングターゲットである請求項1から5の何れか1項に記載の方法。
 Cu-Ga合金板が、溶解鋳造によって製造されたものである請求項1から6の何れか1項に記載の方法。
Description:
Cu-Ga合金の圧延方法

 本発明は、Cu-Ga合金の圧延方法に関する のであり、より詳しくは、例えば溶解鋳造 よって製造されたGaの組成比が比較的大きい Cu-Ga合金板であっても、ヒビが入ったり、割 たり欠けたりすることなく所望の厚さに圧 (加工)することができるCu-Ga合金の圧延方法 に関するものである。

 一般に、金属板の圧延は、当該金属板を 熱した後、1,2回の圧延工程を行うことによ て行われている。具体的には、例えば、特 2006-77310号公報には、アルミニウム合金板を 温度が450~500℃の範囲内となるように加熱し 後、熱間圧延を開始し、温度が310℃以上の きに熱間圧延を終了し、次いで、焼き鈍し 理を行うこと無く、冷間圧延を行う方法が 示されている。つまり、一般的な圧延加工 は、金属板の温度を一定の範囲内となるよ に制御しておらず、また、加熱した後、1,2 の圧延工程を行うだけであるので、圧延工 1回当たりの圧下率(圧延率と同義)が大きい

 一方、従来、アルミニウム系スパッタリ グターゲットは、例えば300mm×400mm×1000mmの きさに溶解鋳造された直方体形状の合金(イ ゴット)を、旋盤や丸鋸を用いて幾つかに切 断し、切断された合金片(スラブ)を圧延、切 することにより製造している。より具体的 は、合金板(スラブ)を熱処理炉に入れて均 化処理を施した後、一対の圧延ローラを備 た圧延機を用いて当該合金板を1,2回圧延し 圧延板に加工し、次いでホットプレス機を いて当該圧延板の反りを除去した後、さら 当該圧延板を熱処理炉に入れて熱処理(焼き し処理・歪み取り処理)を施すことにより、 目的物であるスパッタリングターゲットを製 造している。

 そして、近年、薄膜型太陽電池を構成する 吸収層の薄膜形成用スパッタリングターゲ トとして、Gaの組成比が比較的大きいCu-Ga合 金が使用されている。

 ところが、Gaの組成比が比較的大きいCu-Ga合 金は、延性や展性が乏しく、硬度が高くて割 れ易い(脆い)。このため、例えば直方体形状 Cu-Ga合金板に一般的な圧延加工を施すと、 工後の当該Cu-Ga合金板にヒビが入ったり、割 れたり欠けたりする。このような不都合が生 じたCu-Ga合金板を製品化するには、例えばヒ が入った部分等を切削して除去しなければ らない。しかしながら、この切削によって 生した切削クズには切削時に不純物が混入 るため、当該切削クズを再利用することが きない。それゆえ、Cu-Ga合金の製品の歩留 が悪くなる。 また、溶解鋳造によるスパッ タリングターゲット用のCu-Ga合金の製造方法 提案されている(例えば、特開2000-73163号公 )が、この方法では、所望するCu-Ga合金の大 さに合わせたモールドをその都度用意しな ればならないので、生産性が極めて低い。 らに、この方法で得られたCu-Ga合金において も、一般的な圧延加工を施すと、加工後の当 該Cu-Ga合金にヒビが入ったり、割れたり欠け りする。

 一般的な溶解鋳造によって製造されたCu-G a合金をスパッタリングターゲットとして用 る場合には、当該Cu-Ga合金に圧延加工を施す 必要が生じるが、従来の加工方法では加工後 の当該Cu-Ga合金にヒビが入ったり、割れたり けたりする。従って、Cu-Ga合金を製品化す には、例えばヒビが入った部分等を切削し 除去しなければならないので、再利用でき い多量の切削クズが発生してCu-Ga合金の製品 の歩留りが悪くなるという問題点を有してい る。

 それゆえ、溶解鋳造によって製造されたG aの組成比が比較的大きいCu-Ga合金板であって も、ヒビが入ったり、割れたり欠けたりする ことなく所望の厚さに圧延(加工)することが きるCu-Ga合金の圧延方法が望まれている。

 本発明は上記問題点に鑑みてなされたも であり、その主たる目的は、例えば溶解鋳 によって製造されたGaの組成比が比較的大 いCu-Ga合金板であっても、ヒビが入ったり、 割れたり欠けたりすることなく所望の厚さに 圧延(加工)することができるCu-Ga合金の圧延 法を提供することにある。

 本発明に係るCu-Ga合金の圧延方法は、上 の課題を解決するために、Cu-Ga合金板の表面 温度を380℃以上、520℃以下の範囲内に調節し ながら、当該Cu-Ga合金板の厚さが徐々に薄く るように、厚さaから厚さb(a>b)まで段階的 に複数回、圧延工程を行うことを含む。

 圧延工程は、Cu-Ga合金板の表面温度を一 の範囲内となるように調節しながら、当該Cu -Ga合金板の厚さが徐々に薄くなるように、厚 さaから厚さb(a>b)まで段階的に複数回行わ る。従って、上記の方法によれば、Gaの組成 比が比較的大きいCu-Ga合金板であっても、ヒ が入ったり、割れたり欠けたりすることな 所望の厚さに圧延(加工)することができる また、Cu-Ga合金板にヒビが入ったり、割れた り欠けたりしないので、従来は必要であった 切削工程が不要となる。従って、再利用でき ない多量の切削クズが発生することが無いの で、Cu-Ga合金の製品の歩留りが良好となる。 って、Cu-Ga合金の製品の生産性を向上させ ことができる。

 また、本発明に係るCu-Ga合金の圧延方法 おいては、1回の圧延工程における、「{(圧 前の厚さ-圧延後の厚さ)/圧延前の厚さ}×100 で表される圧下率(%)が、2%以上、9%以下の範 内になるように圧延パスが設定されること より好ましい。さらに、本発明に係るCu-Ga 金の圧延方法においては、或る圧延工程と の圧延工程との間に、Cu-Ga合金板を再加熱す る再加熱工程が行われることがより好ましい 。本発明に係るCu-Ga合金の圧延方法において 、或る圧延工程と次の圧延工程との間に、C u-Ga合金板の反りを除去する反り除去工程が われることがより好ましい。本発明に係るCu -Ga合金の圧延方法においては、Cu-Ga合金中のG aの組成比が、10モル%以上、25モル%以下であ ことがより好ましい。本発明に係るCu-Ga合金 の圧延方法においては、得られる圧延板であ るCu-Ga合金の用途が、スパッタリングターゲ トであることがより好ましい。本発明に係 Cu-Ga合金の圧延方法においては、Cu-Ga合金板 が、溶解鋳造によって製造されたものである ことがより好ましい。

 本発明に係るCu-Ga合金の圧延方法は、Cu-Ga 合金板の表面温度を380℃以上、520℃以下の範 囲内に調節しながら、当該Cu-Ga合金板の厚さ 徐々に薄くなるように、厚さaから厚さb(a> ;b)まで段階的に複数回、圧延工程を行う方法 である。

 これにより、Gaの組成比が比較的大きいCu -Ga合金であっても、ヒビが入ったり、割れた り欠けたりすることなく所望の厚さに圧延( 工)することができるCu-Ga合金の圧延方法を 供することができるという効果を奏する。

本発明に係る圧延方法の手順の一例を すものであり、概略の工程を示すブロック である。

符号の説明

10 圧延ローラ

 本発明に係るCu-Ga合金の圧延方法の好適 実施形態の一例について、以下に説明する 先ず、本発明に係るCu-Ga合金の圧延方法の圧 延対象物であるCu-Ga合金板について説明する

 <Cu-Ga合金>
 本発明に係るCu-Ga合金の圧延方法の圧延対 物であるCu-Ga合金板は、溶解鋳造によって製 造されていることが好ましい。溶解鋳造によ って製造することにより、Cu-Ga合金中のGaが 析し難いので、得られる圧延板であるCu-Ga合 金をスパッタリングターゲットとしてスパッ タリングに用いたときに得られる薄膜の性能 を維持することができる。尚、溶解鋳造の具 体的な方法は、一般的な方法を採用すること ができ、特に限定されるものではない。また 、Cu-Ga合金の用途は、スパッタリングターゲ トに限定されるものではない。

 Cu-Ga合金中のGaの組成比は、任意の値とすれ ばよいが、10モル%以上、25モル%以下であるこ とが好ましい。係る組成比であれば、当該Cu- Ga合金板を、薄膜型太陽電池を構成する光吸 層の薄膜形成用スパッタリングターゲット として使用することができる。尚、本発明 おいては、「モル%」を「atomic%」と同義と て扱うこととする。

 また、Cu-Ga合金中のGaができるだけ偏析しな いようにするには、Cu-Ga合金全体がより均一 冷却されることが望ましい。従って、特に 限はされないものの、例えば溶解鋳造され Cu-Ga合金板は、直方体形状が好ましい。具 的には、Cu-Ga合金板は、溶解鋳造の条件にも よるが、溶解鋳造時における厚さを50mm程度 して、ゆっくり冷却して、縦横が250mm×500mm 度のインゴット(塊)を鋳造した後、超鋼合金 製の帯鋸で切断して250mm×150mm×50mm程度のスラ ブ(板)とし、これを圧延用材料として使用す ばよい。 <圧延方法>
 上記Cu-Ga合金に対して行う本発明に係る圧 方法の好適な実施形態の一例を説明する。 発明に係る圧延方法は、Cu-Ga合金板の表面温 度を380℃以上、520℃以下の範囲内に調節しな がら、当該Cu-Ga合金板の厚さが徐々に薄くな ように、厚さaから厚さb(a>b)まで段階的に 複数回、圧延工程を行う方法である。

 より具体的には、図1に示すように、例え ば溶解鋳造された直方体形状のCu-Ga合金塊(イ ンゴット)から切断されたCu-Ga合金板(スラブ) 熱処理炉に入れて均質化処理を施した後、C u-Ga合金板の表面温度が380℃以上、520℃以下 範囲内となるように調節しながら、一対の 延ローラ10・10を備えた圧延機を用いて当該C u-Ga合金板の厚さが徐々に薄くなるように、 さaから厚さb(a>b)まで段階的に複数回、圧 工程(熱間圧延)を行うことによって圧延板 加工し、次いでホットプレス機を用いて当 圧延板の反りを除去した後、さらに当該圧 板を熱処理炉に入れて熱処理(焼き鈍し処理 歪み取り処理)を施すことにより、目的の圧 延板である圧延後の厚さbのCu-Ga合金を製造す る。Cu-Ga合金板の表面温度は、例えば接触式 度計で測定すればよい。尚、Cu-Ga合金板は 伝導率が高いので、Cu-Ga合金板における表面 温度の測定箇所は、特に限定されるものでは ない。

 上記圧延工程を、その前後の工程も含め 、手順を追ってさらに詳細に説明する。

 先ず、例えば溶解鋳造された直方体形状 Cu-Ga合金塊(インゴット)から、Cu-Ga合金板(ス ラブ)を切断する(切断工程)。当該Cu-Ga合金板( スラブ)の厚さ(厚さa)は、圧延工程全般にわ る圧下率(後段にて詳述する)にもよるが、例 えば、20~50mm程度にすればよい。また、Cu-Ga合 金板(スラブ)の大きさ(幅および長さ)は、目 の圧延板である圧延後のCu-Ga合金の大きさに 応じて適宜設定すればよい。

 次に、Cu-Ga合金板を熱処理炉に入れて、 の表面温度が380℃以上、520℃以下の範囲内 なるように充分に加熱し、Cu-Ga合金板全体に わたって均質化処理を施す(均質化工程)。熱 理炉の構成は、特に限定されるものではな 。Cu-Ga合金板の加熱温度は、380℃以上、520 以下の範囲内で、当該Cu-Ga合金板中における Gaの組成比に応じて適宜設定すればよい。そ て、上記均質化処理(均質化工程)は、1回目 圧延工程を行う前の加熱処理(加熱工程)を ねている。

 上記加熱温度(表面温度)が380℃未満にな と、充分な圧延処理を行うことができない で、Cu-Ga合金板にヒビが入ったり、割れたり 欠けたりするおそれがあり、耳率が上昇する 。尚、「耳率」とは、最終的な目的物(例え 、スパッタリングターゲット)に有効に加工 ることができない割合(全体から歩留りを除 いた残り)のことを指す。従って、加熱温度 低いと、耳率は上昇し、歩留りが悪化する

 一方、上記加熱温度(表面温度)が520℃を えると、Cu-Ga合金中のGaが偏析し易くなる。

 但し、本発明において「ヒビ」とは、長 (表面方向)が16mm以上、或いは、深さ(厚さ方 向)が3mm以上の亀裂を指すこととする。尚、 裂の深さは、Cu-Ga合金板を切削することによ って確認することができる。

 均質化処理を行ったCu-Ga合金板、即ち、 熱処理を行った上記Cu-Ga合金板を、その表面 温度が380℃以上、520℃以下の範囲内となるよ うに調節しながら、一対の圧延ローラ10・10 備えた圧延機を用いて当該Cu-Ga合金板の厚さ が徐々に薄くなるように、厚さaから厚さb(a&g t;b)まで段階的に複数回、圧延処理(熱間圧延) を行う(圧延工程)。圧延機の構成は、特に限 されるものではないが、上記圧延ローラの 質は、例えば、JIS-SUJ-2等が好適であり、圧 ローラの直径は、例えば、500mm以上、700mm以 下が好適である。さらに、圧延ローラの回転 速度、即ち、Cu-Ga合金板の圧延速度は、3m/分 上、5m/分以下であることが好ましい。

 各圧延工程における圧延ローラ間の圧延 スの大きさは、Cu-Ga合金中におけるGaの組成 比に応じて制御すればよいが、より具体的に は、当該圧延パスは、1回の圧延工程におけ 、「{(圧延前の厚さ-圧延後の厚さ)/圧延前の 厚さ}×100」で表される圧下率(%)が、2%以上、9 %以下の範囲内、より好ましくは4%以上、6%以 の範囲内になるように設定すればよい。本 明において「圧延パス」とは、Cu-Ga合金板 通過させる一対の圧延ローラ間の距離(ロー ギャップ)を指す。1回の圧延工程における 下率が上記範囲を上回ると、圧延工程を行 たときにCu-Ga合金板にヒビが入ったり、割れ たり欠けたりするおそれがある。一方、1回 圧延工程における圧下率が上記範囲を下回 と、ヒビ、割れ、欠け等の影響は無いもの 、圧下効率が悪くなるため、経済的ではな 。

 従って、例えば、厚さaが50mm、厚さbが18mm である場合には、圧延工程全般にわたる圧下 率(%)は{(50-18)/50}×100=64%であるので、17回~20回 度、圧延工程を繰り返せばよい。つまり、 望する圧延後のCu-Ga合金板の厚さに応じて 段階的に圧延パスを狭くしながら、圧延工 を繰り返し行えばよい。これにより、直方 形状のCu-Ga合金板から、所望の厚さの圧延板 であるCu-Ga合金を得ることができる。尚、圧 条件、即ち、圧下率や加熱温度等の組み合 せは、本発明における範囲内において、Cu-G a合金中におけるGaの組成比等に応じて具体的 に設定すればよい。

 また、圧延工程を行っている間に冷却さ て、Cu-Ga合金板の表面温度が380℃未満にな 場合には、或る圧延工程と次の圧延工程と 間に、当該Cu-Ga合金板を再加熱する再加熱工 程が行われる。これにより、圧延工程全般に わたって、Cu-Ga合金板の表面温度を380℃以上 520℃以下の範囲内に調節(維持)することが きる。Cu-Ga合金板の表面温度が380℃未満にな ると、圧延工程を繰り返し行ったときにCu-Ga 金板にヒビが入ったり、割れたり欠けたり るおそれがある。尚、再加熱工程の回数は 特に制限されるものではない。

 さらに、複数回の圧延工程を行うことに ってCu-Ga合金板に反りが生じる場合には、 要に応じて、或る圧延工程と次の圧延工程 の間に、当該Cu-Ga合金板の反りを除去する反 り除去工程が行われる。反り除去工程では、 圧延工程におけるCu-Ga合金板の圧延方向(圧延 ローラ間を通過する通過方向)とは直交する 向になるように、圧延ローラ間に当該Cu-Ga合 金板を通過させる。反り除去工程では、圧延 処理は行わない。これにより、Cu-Ga合金板の りを無くすことができる。尚、反り除去工 の回数は、特に制限されるものではない。

 次に、上記圧延工程を繰り返し行うこと よって得られた厚さbのCu-Ga合金板である圧 板の反りを、ホットプレス機を用いて、保 しながら除去する(最終反り除去工程)。

 その後、当該圧延板を熱処理炉に入れて熱 理(焼き鈍し処理・歪み取り処理)を施す(熱 理工程)。当該熱処理の時間は、特に制限さ れるものではない。これにより、目的の厚さ bを有する圧延板を製造する。

 上記圧延工程全般の、より具体的な一実施 を、以下に説明する。尚、実施例および比 例において、圧延機は株式会社大野ロール 作所製,24型圧延機を用いた。

 圧延加工を行うCu-Ga合金として、溶解鋳 によって製造されたGaの組成比が21モル%であ る直方体形状のCu-Ga合金板を用いた。当該Cu-G a合金板の大きさは、縦170mm×横250mm×厚さ(厚 a)50mmとした。

 上記のCu-Ga合金板に対して、圧延工程終 後の厚さbが18mmとなるように、圧延加工を行 った。即ち、各圧延工程における圧下率(%)が 2%以上、9%以下の範囲内になるように圧延パ を設定して、17回の圧延工程を行うと共に、 3回の反り除去工程を行った。反り除去工程 、6回目の圧延工程と7回目の圧延工程との間 、13回目の圧延工程と14回目の圧延工程との 、および、15回目の圧延工程と16回目の圧延 程との間に行った。また、再加熱工程は、4 ,6,7,9,11,13,14,17回目の圧延工程開始前、および 、3回目の反り除去工程開始前に行った(合計9 回)。結果を表1に示す。

 表1の結果から明らかなように、17回の圧延 程を行っても、ヒビが入ったり、割れたり けたりすることなくCu-Ga合金板を圧延する とができ、圧延板を製造することができた
[比較例1]
 上記実施例1と同じ組成および大きさのCu-Ga 金板を用い、圧延工程終了後の厚さbが21mm なるように、実施例1と同様の圧延加工を行 た。結果を表2に示す。

 表2の結果から明らかなように、本比較例で は12回目の圧延工程で、Cu-Ga合金板の表面温 が380℃よりも低くなったため、当該Cu-Ga合金 板にヒビが入り、所望する圧延板を製造する ことができなかった。
[比較例2]
 上記実施例1と同じ組成のCu-Ga合金板を用い 50℃以下の温度で22回、圧延工程(冷間圧延) 行った。但し、当該Cu-Ga合金板の大きさは 縦100mm×横20mm×厚さ7.7mmとした。結果を表3に す。尚、表3中の「パススケジュール」は「 圧延パス」と同義である。

[比較例3]
 上記実施例1と同じ組成のCu-Ga合金を用い、 圧延工程における圧下率(%)が9%を上回るよ に圧延パスを設定して、8回の圧延工程(熱間 圧延)を行った。但し、当該Cu-Ga合金板の大き さは、縦150mm×横240mm×厚さ46mmとした。結果を 表4に示す。尚、表4中の「パススケジュール は「圧延パス」と同義である。

 表3,4の結果から明らかなように、本発明 係る圧延方法ではない圧延方法(冷間圧延, 間圧延)を採用した場合には、Cu-Ga合金板を 延することができなかった。

 本発明は上述した各実施形態に限定され ものではなく、請求項に示した範囲で種々 変更が可能であり、異なる実施形態にそれ れ開示された技術的手段を適宜組み合わせ 得られる実施形態についても本発明の技術 範囲に含まれる。

産業上の利用の可能性

 本発明によれば、硬度が高くて割れ易い( 脆い)Cu-Ga合金板を所望の厚さに圧延(加工)す ことができる。即ち、例えば溶解鋳造によ て製造されたGaの組成比が比較的大きいCu-Ga 合金板であっても、ヒビが入ったり、割れた り欠けたりすることなく所望の厚さに圧延( 工)することができるので、例えばスパッタ ングターゲットの製造等の、幅広い産業上 利用が可能である。




 
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