竹島 伸一 (〒71 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内 Aichi, 4718571, JP)
トヨタ自動車株式会社 (〒71 愛知県豊田市トヨタ町1番地 Aichi, 4718571, JP)
TAKESHIMA, Shinichi (1 Toyota-cho, Toyota-sh, Aichi 71, 4718571, JP)
| 擬融解状態のクラスター酸触媒を用いて、植物系繊維材料に含まれるセルロースを加水分解し、グルコースを主とする糖を生成させる加水分解工程と、 前記加水分解工程において生成した糖の少なくとも一部が溶解した糖水溶液、前記クラスター酸触媒が溶解したクラスター酸有機溶媒溶液及び残渣を含む混合物を、残渣を含む固形分と、糖水溶液及びクラスター酸有機溶媒溶液を含む液分とに分離する第一の分離工程と、 前記第一の分離工程において分離された前記糖水溶液及び前記クラスター酸有機溶媒溶液を含む液体から、化学吸着により水を吸着可能な脱水手段により脱水し、前記糖水溶液の糖を析出させ、前記糖を含む固形分と、前記クラスター酸触媒及び有機溶媒を含む液分とを分離する第二の分離工程と、 を備えることを特徴とする、植物系繊維材料の糖化分離方法。 |
| 前記加水分解工程において、反応系内の水分量を、(1)反応系内の前記クラスター酸触媒の全量が該加水分解工程の温度条件において擬融解状態になるために必要な結晶水と、(2)反応系内の前記セルロースの全量がグルコースへ加水分解されるのに要する水と、の合計量以上とする、請求の範囲第1項に記載の糖化分離方法。 |
| 前記糖水溶液は、前記セルロースから生成された前記糖の全量を溶解している、請求の範囲第1項に記載の糖化分離方法。 |
| 前記糖水溶液を構成する水の少なくとも一部が、前記加水分解工程の反応系に含まれている、請求の範囲第1項に記載の糖化分離方法。 |
| 前記糖水溶液を構成する水の全量が、前記加水分解工程の反応系に含まれている、請求の範囲第4項に記載の糖化分離方法。 |
| 前記脱水手段が乾燥剤の添加である、請求の範囲第1項に記載の糖化分離方法。 |
| 前記乾燥剤としてシリカゲルを用いる、請求の範囲第6項に記載の糖化分離方法。 |
| 前記加水分解工程を、常圧~1MPaの条件下、140℃以下で行う、請求の範囲第1項に記載の糖化分離方法。 |
| 前記クラスター酸触媒がヘテロポリ酸である、請求の範囲第1項に記載の糖化分離方法。 |
| 前記有機溶媒は、該有機溶媒に対する前記糖の溶解度が0.6g/100ml以下である、請求の範囲第1項に記載の糖化分離方法。 |
| 前記有機溶媒としてエーテル類及びアルコール類から選ばれる少なくとも1種を用いる、請求の範囲第1項に記載の糖化分離方法。 |
| 前記第二の分離工程において、前記糖及び乾燥剤を含む固形分と、前記クラスター酸触媒及び有機溶媒を含む液分とを分離し、 さらに、該第二の分離工程において分離された前記固形分に水を添加し、該固形分中の糖を溶解した糖水溶液と、前記乾燥剤とを分離する第三の分離工程を備える、請求の範囲第6項に記載の糖化分離方法。 |
本発明は、植物系繊維材料の糖化により ルコースを主とする糖を生成し、得られた を分離する方法に関する。
バイオマスである植物繊維、例えば、サト
キビの絞りかす(バガス)や木材片等を分解
てセルロースやヘミロースからグルコース
キシロースを主とする糖を生成し、得られ
糖を食料又は燃料として有効利用すること
提案され、実用化されている。特に、植物
維を分解することにより得られた糖を発酵
せ、燃料となるエタノール等のアルコール
生成させる技術が注目されている。
従来、セルロースやヘミセルロースを分解
てグルコース等の糖を生成する種々の方法
提案されており(例えば、特許文献1~4等)、
般的な方法としては、希硫酸や濃硫酸等の
酸、塩酸を用いてセルロースを加水分解す
方法(特許文献1等)が挙げられる。また、セ
ラーゼ酵素を用いる方法(特許文献2等)、活
炭やゼオライト等の固体触媒を用いる方法(
許文献3等)、加圧熱水を用いる方法(特許文
4等)もある。
しかしながら、硫酸等の酸を用いてセル ースを分解する方法は、酸と糖の分離が困 であるという問題がある。分解生成物の主 分であるグルコースと酸が共に水溶性であ ためである。中和やイオン交換などによる 除去は、手間とコストがかかるだけでなく 完全に酸を除去することが難しく、エタノ ル発酵工程にも酸が残留してしまうことが い。その結果、エタノール発酵工程におい 、酵母の活性に最適なpHに調整しても、塩 濃度が高くなることで酵母の活性が低下し 発酵効率の低下を招いていた。
特に濃硫酸を用いる場合には、酵母を失活
せない程度まで硫酸を除去するのが非常に
難であり、多大なエネルギーを要する。こ
に対して、希硫酸を用いる場合には、比較
容易に硫酸を除去することができるが、高
条件下でセルロースを分解させなければな
ず、エネルギーを要する。
さらに、硫酸や塩酸等の酸は、分離、回収
て再利用することが非常に困難である。そ
ため、これら酸をグルコース生成の触媒と
て用いることは、バイオエタノールのコス
を引き上げる原因の一つとなっている。
また、加圧熱水を用いた方法では、条件 整が難しく、安定した収率でグルコースを 成することが困難である。グルコースまで 分解し、グルコース収率が低下するだけで く、分解成分により酵母の働きが低下し、 酵が抑制されることも懸念されている。し も、反応装置(超臨界装置)が高価であり、 つ、耐久性も低いため、コスト面での問題 ある。
本発明者らは、セルロースの糖化について
意検討した結果、擬融解状態のクラスター
が、セルロースの加水分解に対して優れた
媒活性を有すると共に、生成した糖との分
が容易であることを見出し、既に特許出願
行っている(特願2007-115407)。本方法によれば
、従来の濃硫酸法や希硫酸法と異なり、加水
分解触媒を回収、再利用することが可能であ
ると共に、セルロースの加水分解から糖水溶
液の回収、加水分解触媒の回収までのプロセ
スのエネルギー効率を向上させることができ
る。
また、上記特許出願においては、植物系繊
材料の加水分解により生成した糖と、クラ
ター酸触媒の分離方法についても提案して
る。具体的には、加水分解後、生成した糖
、クラスター酸触媒と、残渣を含む反応混
物に、有機溶媒を添加することで、クラス
ー酸を溶解する一方、糖は固形分として、
渣と共に該クラスター酸有機溶媒と分離さ
る方法が記載されている。
本発明者らは、さらに上記クラスター酸 媒を用いたセルロースの糖化について研究 進め、生成する糖とクラスター酸触媒の分 性を高め、高純度の糖水溶液を得ることに 功した。すなわち、本発明は、上記研究の 緯を経て成し遂げられたものであり、上記 ルロースの加水分解触媒であるクラスター の回収率を高め、純度の高い糖水溶液を提 することを目的とするものである。
本発明の植物系繊維材料の糖化分離方法 、擬融解状態のクラスター酸触媒を用いて 植物系繊維材料に含まれるセルロースを加 分解し、グルコースを主とする糖を生成さ る加水分解工程と、前記加水分解工程にお て生成した糖の少なくとも一部が溶解した 水溶液、前記クラスター酸触媒が溶解した ラスター酸有機溶媒溶液及び残渣を含む混 物を、残渣を含む固形分と、糖水溶液及び ラスター酸有機溶媒溶液を含む液分とに分 する第一の分離工程と、前記第一の分離工 において分離された前記糖水溶液及び前記 ラスター酸有機溶媒溶液を含む液体から、 学吸着により水を吸着可能な脱水手段によ 脱水し、前記糖水溶液の糖を析出させ、前 糖を含む固形分と、前記クラスター酸触媒 び有機溶媒を含む液分とを分離する第二の 離工程と、を備えることを特徴とする。
本発明者らは、セルロースの加水分解触 として用いられるクラスター酸と、該クラ ター酸の触媒作用によるセルロースの加水 解により生成した糖とを分離する際、クラ ター酸触媒を糖の貧溶媒である有機溶媒に 解し、生成した糖の少なくとも一部は水に 解し、これら各溶液(クラスター酸有機溶媒 溶液と糖水溶液)が混合された状態とするこ によって、分離して得られる糖にクラスタ 酸が混入することを抑制することができる とを見出した。本発明によれば、クラスタ 酸触媒の回収率を高め、また、純度の高い を得ることが可能である。すなわち、本発 によれば、アルコール発酵における不純物 入による酵母の失活が抑制可能であると共 、クラスター酸触媒の再利用率を高めるこ ができる。
クラスター酸触媒は、擬融解状態となるこ
で、セルロースやヘミセルロースの加水分
反応に対する触媒活性を発現する。クラス
ー酸の擬融解状態は、温度と、クラスター
触媒が有する結晶水の量によって変わって
るため、クラスター酸の結晶水量と反応温
をコントロールし、クラスター酸を擬融解
態とする必要がある。一方で、グルコース
β-1,4-グリコシド結合した高分子であるセル
ロースをグルコースやキシロース等の糖に加
水分解するためには、水が必要である。
このような観点から、前記加水分解工程に
ける反応系内の水分量は、(1)反応系内の前
クラスター酸触媒の全量が該加水分解工程
温度条件において擬融解状態になるために
要な結晶水と、(2)反応系内の前記セルロー
の全量がグルコースへ加水分解されるのに
する水、の合計量以上とすることが好まし
。
加水分解工程における反応系内の水分量を
記のようにすることで、反応系内の水分が
ルロースの加水分解に使用され減少しても
クラスター酸触媒は擬融解状態を保持する
とができ、触媒活性を維持することができ
。
クラスター酸触媒の回収率を高め、より 度の高い糖を得るためには、前記第一の分 工程において、前記糖水溶液には前記セル ースから生成された前記糖の全量が溶解し いることが好ましい。
前記糖水溶液において糖を溶解している の添加時期は特に限定されないが、生成す 糖の溶解効率が高く、また、加水分解工程 おける植物系繊維材料、クラスター酸触媒 混合性が高まることから、前記糖水溶液を 成する水の少なくとも一部は、前記加水分 工程の反応系に含まれていることが好まし 、特に、前記糖水溶液を構成する水の全量 、前記加水分解工程の反応系に含まれてい ことが好ましい。
前記糖水溶液の水を化学吸着により吸着 、脱水する前記脱水手段は、特に限定され 、例えば、乾燥剤の添加が挙げられ、具体 な乾燥剤としては、シリカゲルが挙げられ 。
本発明において、前記加水分解工程は、常
~1MPaの条件下、140℃以下という比較的穏や
な反応条件で行うことが可能であり、エネ
ギー効率に優れるものである。 前記クラス
ター酸触媒の代表的なものとしては、ヘテロ
ポリ酸が挙げられる。
前記クラスター酸触媒を溶解する有機溶媒
しては、糖とクラスター酸触媒との分離性
観点から、該有機溶媒に対する前記糖の溶
度が0.6g/100ml以下であるであることが好まし
い。具体的な有機溶媒としては、エーテル類
及びアルコール類から選ばれる少なくとも1
が挙げられる。
前記脱水手段として、乾燥剤を用いる場 、前記第二の分離工程において、析出した と共に乾燥剤を含む固形分と、前記クラス ー酸触媒及び有機溶媒を含む液分とを分離 、さらに、該第二の分離工程において分離 れた前記固形分に水を添加し、該固形分中 糖を溶解した糖水溶液と、前記乾燥剤とを 離する第三の分離工程を備えることによっ 、該乾燥剤と糖とを分離することができる
本発明によれば、植物系繊維材料の加水 解により生成した糖と該加水分解反応の触 であるクラスター酸との分離において、ク スター酸触媒の回収率を高め、純度の高い を得ることが可能である。従って、アルコ ル発酵におけるクラスター酸の混入による 母活性の低下を抑制することが可能であり 且つ、クラスター酸触媒の再利用率を高め ことができる。
本発明の植物系繊維材料の糖化分離方法は
擬融解状態のクラスター酸触媒を用いて、
物系繊維材料に含まれるセルロースを加水
解し、グルコースを主とする糖を生成させ
加水分解工程と、
前記加水分解工程において生成した糖の少
くとも一部が溶解した糖水溶液、前記クラ
ター酸触媒が溶解したクラスター酸有機溶
溶液及び残渣を含む混合物を、残渣を含む
形分と、糖水溶液及びクラスター酸有機溶
溶液を含む液分とに分離する第一の分離工
と、
前記第一の分離工程において分離された前
糖水溶液及び前記クラスター酸有機溶媒溶
を含む液体から、化学吸着により水を吸着
能な脱水手段により脱水し、前記糖水溶液
糖を析出させ、前記糖を含む固形分と、前
クラスター酸触媒及び有機溶媒を含む液分
を分離する第二の分離工程と、
を備えることを特徴とする。
本発明者らは、上記特許出願(特願2007-115407)
において、グルコースを主とする糖とクラス
ター酸は共に水溶性であるが、糖が難溶乃至
不溶である有機溶媒に対してクラスター酸が
溶解性を示すことを見出し、この溶解特性の
違いを利用することによって、クラスター酸
と糖が分離可能であることを報告している。
すなわち、植物系繊維材料をクラスター酸触
媒を用いて加水分解した後、生成物である糖
、クラスター酸触媒、及び未反応セルロース
等の残渣を含む加水分解混合物(以下、単に
水分解混合物ということがある)に、上記特
の有機溶媒を添加すると、クラスター酸触
が該有機溶媒に溶解する。一方、糖は該有
溶媒に溶解しないため、加水分解混合物中
固体状態で存在する糖は該有機溶媒に溶解
ず、ろ過等の固液分離方法によりクラスタ
酸有機溶媒溶液と分離することができる。
本発明者らはさらに鋭意検討したところ、
水分解工程において生成した糖が、析出し
結晶成長する過程において、或いは、他の
出した糖と凝集する際に、クラスター酸触
が糖に混入してしまうことが見出された。
そして、加水分解混合物中の糖を一度水に
解し、且つ、加水分解混合物中のクラスタ
酸触媒を有機溶媒に溶解し、これら糖水溶
とクラスター酸有機溶媒溶液が混合された
態で、該混合物から有機溶媒は残したまま
水を行うことによって、クラスター酸触媒
有機溶媒中に溶解させたまま、糖のみを析
させることに成功した。
すなわち、植物系繊維材料の加水分解よっ
生成した糖と、該加水分解の触媒として用
たクラスター酸とを分離する際に、糖の少
くとも一部が水に溶解した糖水溶液と、ク
スター酸触媒が有機溶媒に溶解したクラス
ー酸有機溶媒溶液とが共存することによっ
、糖とクラスター酸触媒との分離性を高め
糖の高純度化と共に、クラスター酸触媒の
収率の向上が可能であることを見出した。
さらには、本発明の糖化分離方法によれば
加水分解工程において過反応の結果生じた
機酸などを含むカラメル成分(又は黒化物と
もいう)やリグニンと、糖とを分離すること
可能であり、さらなる糖の高純度化とアル
ール発酵の高効率化が可能であることがわ
った。
本発明の糖化分離方法では、前記第一の分
工程において、前記糖水溶液には加水分解
程で生成した糖の一部が溶解していれば、
来の方法と比較してクラスター酸の回収率
高めることが可能ではあるが、クラスター
触媒と糖の分離性の高さから、前記糖水溶
には前記セルロースの加水分解により生成
れた前記糖の全量が溶解していることが好
しい。
上記糖水溶液とクラスター酸有機溶媒溶液
残渣とを含む混合物から、糖水溶液及びク
スター酸有機溶媒溶液を含む液分と、残渣
含む固形分とを分離する第一の分離工程に
いて、糖水溶液とクラスター酸有機溶媒溶
とが混合されれば、糖水溶液の水及びクラ
ター酸有機溶媒溶液の有機溶媒、それぞれ
添加時期は特に限定されない。例えば、植
系繊維材料とクラスター酸触媒と共に加水
解工程時から反応系に添加してもよいし、
一の分離工程時に添加してもよいし、或い
、加水分解工程と第一の分離工程において
割して添加してもよい。
そこで、以下では、本発明の糖化分離方法
おけるセルロースの加水分解工程から上記
一の分離工程を含む各工程を説明しながら
上記水及び有機溶媒の添加時期について説
する。
まず、植物系繊維材料に含まれるセルロー
を加水分解し、グルコースを主とする糖を
成させる加水分解工程について説明する。
尚、ここでは、主としてセルロースからグ
コースを生成させる工程を中心に説明して
るが、植物系繊維材料にはセルロース以外
ヘミセルロースも含まれ、また、生成物も
ルコース以外にキシロースもあり、これら
場合も本発明の範囲に含まれる。
植物系繊維材料としては、セルロースやヘ
セルロースを含むものであれば特に限定さ
ず、例えば、広葉樹、竹、針葉樹、ケナフ
家具の廃材、稲わら、麦わら、籾殻、バガ
、サトウキビの絞りかす等のセルロース系
イオマスが挙げられる。また、上記バイオ
スから分離されたセルロースやヘミセルロ
ス或いは人工的に合成されたセルロースや
ミセルロースそのものでもよい。
これら繊維材料は、反応系における分散 の観点から、通常、粉末状にしたものを用 る。粉末状にする方法としては、一般的な 法に準じればよい。クラスター酸触媒との 合性、反応機会向上の観点から、数μm~200μm 程度の直径を有する粉末状とすることが好ま しい。
本発明において、植物系繊維材料の加水 解の触媒として用いられるクラスター酸と 、複数のオキソ酸が縮合したもの、すなわ 、いわゆるポリ酸である。ポリ酸の多くは 中心元素が複数の酸素原子が結合している め最高酸化数まで酸化された状態であるこ が多く、酸化触媒として優れた特性を示し また、強酸であることが知られている。例 ば、ヘテロポリ酸であるリンタングステン の酸強度(pKa=-13.16)は、硫酸の酸強度(pKa=-11.9 3)より強い。すなわち、例えば、50℃のよう 温和な条件でも、セルロースやヘミセルロ スを、グルコース、キシロースなどの単糖 でに分解することができる。
本発明において用いるクラスター酸とし は、ホモポリ酸でも、ヘテロポリ酸でもよ が、酸化力及び酸強度が強いことからヘテ ポリ酸が好ましい。ヘテロポリ酸としては に限定されず、HwAxByOz(A:ヘテロ原子、B:ポリ 酸の骨格となるポリ原子、w:水素原子の組成 、x:ヘテロ原子の組成比、y:ポリ原子の組成 比、z:酸素原子の組成比)の一般式で表される ものが挙げられる。ポリ原子Bとしては、ポ 酸を形成することができるW、Mo、V、Nb等の 子が挙げられる。ヘテロ原子Aとしては、ヘ ロポリ酸を形成することができるP、Si、Ge As、B等の原子が挙げられる。ヘテロポリ酸 分子内に含有されるポリ原子及びヘテロ原 は1種でもあっても2種以上であってもよい。
酸強度の強さと、酸化力のバランスから、 ングステン酸塩であるリンタングステン酸 H 3 [PW 12 O 40 ]、珪タングステン酸 H 4 [SiW 12 O 40 ]が好ましい。次いで、モリブデン酸塩であ リンモリブデン酸 H 3 [PMo 12 O 40 ]等を好適に用いることができる。
ここで、ケギン型[X n+
M 12
O 40
:X=P、Si、Ge、As等、M=Mo、W等]のヘテロポリ酸(
ンタングステン酸)の構造を図1に示す。八
体MO 6
単位からなる多面体の中心に四面体XO 4
が存在し、この構造の周囲に結晶水を多くも
つ。尚、クラスター酸の構造は特に限定され
ず、上記ケギン型の他、例えば、ドーソン型
等でもよい。
尚、クラスター酸触媒は、本来結晶ではな
が、ここではクラスター酸触媒に一定量比
配位する水を一般的に使用される「結晶水
という用語で代用する。また、一般的に結
水とはクラスター酸触媒が結晶状態になっ
ときに含まれる水であるが、ここではクラ
ター酸触媒1分子1分子が遊離している擬融
状態又は有機溶媒中にクラスター酸触媒が
解(この場合も溶解しているのではなくコロ
ド状)した時に、クラスター酸触媒に配位す
る水分子を結晶水と呼ぶ。
上記したようなクラスター酸触媒は、常 では固体状であるが、加熱し、温度が上が と擬融解状態となり、セルロースやヘミセ ロースの加水分解反応に対する触媒活性を 現する。ここで、擬融解状態とは、見かけ 、融解しているようであるが、完全に融解 た液体状態ではなく、クラスター酸が液中 分散しているコロイド(ゾル)に近い状態で り、流動性を示している状態である。ただ 、粘性が高く、高密度である。クラスター が擬融解状態であるかどうかは、目視によ 確認したり、或いは、均一系の場合、DTC(示 走査熱量計)等でも確認することができる。
クラスター酸は、上記したように、その 強度の強さから低温でもセルロースの加水 解反応に対する高い触媒活性を示す。また クラスター酸の大きさは、径が2nm程度であ ため、原料である植物系繊維材料との混合 にも優れ、効率よくセルロースの加水分解 促進することができる。従って、温和な条 でのセルロースの加水分解が可能であり、 ネルギー効率が高く、環境負荷が小さい。 らに、硫酸等の酸を用いる従来のセルロー の加水分解法と異なり、クラスター酸を触 として用いる本発明の方法は、糖と触媒の 離効率が高く、容易に分離可能である。
しかも、クラスター酸は温度によっては 形状態となるため、生成物である糖類との 離が可能である。従って、分離したクラス ー酸を回収し、再利用することも可能であ 。また、擬融解状態のクラスター酸触媒は 反応溶媒としても機能するため、従来の方 と比較して、反応溶媒としての溶剤量を大 に減少させることができる。これは、クラ ター酸と生成物である糖との分離、クラス ー酸の回収の高効率化が可能であることを 味している。すなわち、クラスター酸をセ ロースの加水分解触媒として利用する本発 は、低コスト化が可能であり、且つ、環境 荷も小さい。
クラスター酸触媒と植物系繊維材料は、加
する前に、予め、混合攪拌しておくことが
ましい。クラスター酸触媒が擬融解状態と
る前にある程度混合しておくことによって
ラスター酸と植物系繊維材料との接触性を
めることができる。
上記したように、加水分解工程において、
ラスター酸触媒は擬融解状態となり、反応
媒としても機能するため、本発明において
、植物系繊維材料の形態(大きさ、繊維の状
態等)、クラスター酸触媒と植物系繊維材料
混合比及び体積比等にもよるが、加水分解
程において、反応溶媒としての水や有機溶
等を用いなくてもよい。
クラスター酸の擬融解状態は、温度と、 ラスター酸触媒が含有する結晶水の量によ て変わってくる(図2参照)。具体的には、ク スター酸であるリンタングステン酸は、含 する結晶水が多くなると擬融解状態を発現 る温度が低下する。すなわち、結晶水を多 含むクラスター酸触媒は、相対的に結晶水 が少ないクラスター酸触媒よりも低い温度 セルロースの加水分解反応に対する触媒作 を発現する。つまり、加水分解工程の反応 におけるクラスター酸触媒が含有する結晶 の量をコントロールすることで、目的とす 加水分解反応温度においてクラスター酸触 を擬融解状態とすることができる。例えば リンタグステン酸をクラスター酸触媒とし 用いる場合は、クラスター酸の結晶水量に って加水分解反応温度を110℃~40℃の範囲内 制御可能である(図2参照)。
尚、図2は、代表的なクラスター酸触媒で あるヘテロポリ酸(リンタングステン酸)の結 水率と、擬融解状態を発現し始める温度(見 かけ上の融解温度)との関係を示すものであ 、クラスター酸触媒は、曲線より下の領域 は凝固状態であり、曲線より上の領域では 融解状態である。また、図2において、水分 (結晶水率)(%)とは、クラスター酸(リンタン ステン酸)の標準結晶水量n(n=30)を100%とした である。結晶水の量は、クラスター酸触媒 800℃のような高温であっても熱分解して揮 する成分がないため、熱分解法(TG測定)によ って特定することができる。
ここで、標準結晶水量とは、室温で固体結 状態のクラスター酸1分子が含有する結晶水 の量(分子数)であり、クラスター酸の種類に って異なる。例えば、リンタングステン酸 約30〔H 3 [PW 12 O 40 ]・nH 2 O(n≒30)〕、珪タングステン酸は約24〔H 4 [SiW 12 O 40 ]・nH 2 O(n≒24)〕、リンモリブデン酸は約30〔H 3 [PMo 12 O 40 ]・nH 2 O(n≒30)〕である。
クラスター酸触媒が含有する結晶水量は 加水分解反応系内に存在する水分量をコン ロールすることで調節することができる。 体的には、クラスター酸触媒の結晶水量を くしたい、つまり、反応温度を低くしたい 合には、例えば、植物系繊維材料とクラス ー酸触媒を含む混合物に水を添加したり、 応系の雰囲気の相対湿度を高くする等して 加水分解の反応系に水を追加すればよい。 の結果、クラスター酸が結晶水として追加 れた水を取り込み、クラスター酸触媒の見 け上の融解温度は低下する。
一方、クラスター酸触媒の結晶水量を少な
したい場合には、つまり、反応温度を高く
たい場合には、加水分解の反応系から水を
去、例えば、反応系を加熱して水を蒸発さ
たり、植物系繊維材料とクラスター酸触媒
含む混合物に乾燥剤を添加する等すること
、クラスター酸触媒の結晶水を減少させる
とができる。その結果、クラスター酸触媒
見かけ上の融解温度は高くなる。
以上のように、クラスター酸の結晶水量は
易にコントロールが可能であり、結晶水量
制御によりセルロースの加水分解反応温度
容易に調整可能である。
尚、加水分解工程において、加熱により反
系の相対湿度が低下しても、クラスター酸
媒の結晶水が所望量確保できるようにして
くことが好ましい。具体的には、予定の反
温度で反応系の雰囲気が飽和蒸気圧となる
うに、例えば、予め密閉された反応容器内
、加水分解反応温度で飽和蒸気圧状態を作
、密閉状態を保持したまま温度を下げて蒸
を凝縮させ、該凝縮水を植物系繊維材料及
クラスター酸触媒に添加する方法が挙げら
る。
また、植物系繊維材料として、乾燥状態の
のを用いる場合には、特に考慮する必要が
いが、水分を含む植物系繊維材料を用いる
合には、反応系内に存在する水分量として
該植物系繊維材料が含有する水分量も考慮
ることが好ましい。
加水分解工程における反応温度の低下は、
ネルギー効率を向上させることができると
う利点がある。
また、加水分解工程の温度によって、植物
繊維材料に含まれるセルロースの加水分解
グルコース生成の選択性が変化する。反応
度が高くなると反応率が高くなることは一
的なことであり、例えば、特願2007-115407に
報告したように、結晶水率160%のリンタング
テン酸(見かけ上の融解温度約40℃:図2参照)
用いたセルロースの加水分解反応において
、50℃~90℃における反応率Rは温度が高くに
るにつれて上昇し、80℃位ではほぼ全ての
ルロースが反応する。一方、グルコースの
率ηは、50℃~60℃にかけてはセルロースの反
率と同様の増加傾向を示すが、70℃をピー
に減少する。すなわち、50~60℃において高選
択的にグルコースが生成するのに対して、70~
90℃においてグルコース生成以外の反応、例
ば、キシロース等のその他の糖生成や分解
生成等が進行する。
従って、加水分解の反応温度は、セルロー
の反応率とグルコース生成の選択性を左右
る重要な要素であり、エネルギー効率の観
から加水分解反応の温度は低いことが好ま
い旨を述べたが、セルロースの反応率やグ
コース生成の選択性等も考慮して加水分解
応の温度を決定することが好ましい。尚、
ルロースの反応率R、グルコースの収率ηは
施例1に示す式によって算出することができ
る。
また、加水分解工程においては、n個のグ ルコースが重合したセルロースをn個のグル ースに分解するためには、(n-1)個の水分子が 必要である。従って、反応系内に、クラスタ ー酸触媒が反応温度において擬融解状態とな るのに必要な結晶水量分の水分と、仕込まれ たセルロース全量がグルコースに加水分解さ れるのに必要な水分の合計量が存在しない場 合、クラスター酸触媒の結晶水がセルロース の加水分解に使用され、クラスター酸触媒の 結晶水が減少し、クラスター酸が凝固状態と なってしまう。すなわち、クラスター酸触媒 のセルロースの加水分解に対する触媒作用が 低下するばかりか、植物系繊維材料とクラス ター酸触媒の混合物の粘度が増加し、該混合 物を充分に混合できなくなってしまう。
従って、加水分解工程において、反応温 におけるクラスター酸触媒の触媒活性や反 溶媒としての機能を確保するため、つまり クラスター酸触媒が擬融解状態を保持でき ようにするためには、反応系内の水分量を 記のようにすることが好ましい。すなわち (A)反応系内に存在するクラスター酸触媒の てが加水分解工程における反応温度におい 擬融解状態になるために必要な結晶水と、( B)反応系内に存在するセルロースの全量がグ コースに加水分解されるのに必要な水分と の合計量以上とすることが好ましい。
ここで、(A)のクラスター酸触媒の全てが擬
解状態になるために必要な結晶水とは、全
ラスター酸触媒が加水分解工程温度におい
擬融解状態になるために必要な結晶水を結
格子内に含有している状態の他、一部の水
子は結晶格子外に存在しているような状態
含む。
尚、加水分解工程において、反応系内の水
が減少し、クラスター酸触媒の結晶水量も
少することによって、クラスター酸触媒が
形状となりその触媒活性が低下する場合に
、クラスター酸触媒が擬融解状態となるよ
に加水分解温度を上げることによって、ク
スター酸触媒の触媒活性の低下等を回避す
こともできる。
加水分解工程において生成する糖を溶解し
なる上記糖水溶液の水分は、その一部を加
分解工程時に添加してもよい。加水分解工
時、水を添加することによって、セルロー
の加水分解により生成する糖が、析出し、
の結晶が成長或いは凝集する前に溶解され
ため、糖内にクラスター酸触媒が混入する
を効率良く防止することができる。すなわ
、加水分解工程の反応系が、(A)上記クラス
ー酸触媒が擬融解状態となるために必要な
晶水と、(B)セルロースがグルコースに加水
解されるために必要な水分の合計量に加え
、(C)生成する糖の少なくとも一部が溶解す
ための水分、を含有することによって、さ
なる高純度の糖の製造とクラスター酸触媒
回収率の向上が可能となる(図3参照)。また
加水分解工程において、生成する糖の少な
とも一部が溶解可能な水(C)を添加すること
よって、クラスター酸触媒と植物系繊維材
の攪拌性が高くなるという利点もある。こ
ような観点から、糖水溶液の水は、その全
を加水分解工程時から反応系に添加してい
ことが好ましく、特に、植物系繊維材料の
水分解によって生じる糖全量を溶解可能な
分を加水分解工程時から添加することが好
しい。
一方で、添加した水(C)の分、植物系繊維材
とクラスター酸触媒との接触性が低下する
め、反応性を高めるためには、反応温度を
くすることが好ましく、その結果、エネル
ー効率が低下するおそれがある。
従って、糖を溶解するための水は、仕込 だ全植物系繊維材料から生成される糖を飽 溶解量として溶解し、飽和水溶液となる量( 以下、グルコース飽和溶解水量ということが ある。)とすることが好ましい。過剰の水分 添加することは、加水分解工程におけるエ ルギー効率の低下だけでなく、後続する分 工程における分離効率低下や、得られる糖 溶液の濃度低下等のデメリットがある。こ ような観点から、糖水溶液のための水の量 、その添加時期に関わらず、グルコース飽 溶解水量であることが好ましい。
尚、植物系繊維材料から生成する糖の全 を溶解可能な水量は、生成するグルコース キシロース等の糖類の水に対する溶解度か 算出することが可能であるが、上記したよ に加水分解工程における反応温度や時間に って変化するため、製造バッチ毎にほぼ同 条件になるように、温度、時間を調整する 要がある。これにより最適な添加水量を常 一定にすることができる。
加水分解工程における温度条件は、上記 たようにいくつかの要素(例えば、反応選択 率、エネルギー効率、セルロースの反応率、 等)を考慮して適宜決定すればよいが、エネ ギー効率、セルロースの反応率、グルコー 収率のバランスから、通常、140℃以下、と ることが好ましく、特に120℃以下とするこ が好ましい。植物系繊維材料の形態によっ は、100℃以下のような低温でも可能であり その場合には、特に高エネルギー効率でグ コースを生成させることができる。
また、加水分解工程における圧力は、特 限定されないが、クラスター酸触媒のセル ースの加水分解反応に対する触媒活性が高 ことから、常圧(大気圧)~1MPaのような温和な 圧力条件下でも効率よくセルロースの加水分 解を進行させることができる。
また、植物系繊維材料とクラスター酸触媒
の比率は、用いる植物系繊維材料の性状(例
えば、サイズ等)、加水分解工程における攪
方法や混合方法等によって異なる。そのた
、実施条件に応じて、適宜決定すればよい
、クラスター酸触媒:植物系繊維材料(重量比
)=1:1~4:1の範囲内であることが好ましく、通常
は、1:1程度でよい。
加水分解工程におけるクラスター酸触媒と
物系繊維材料を含む混合物は粘度が高いた
、その攪拌方法は、例えば、加熱ボールミ
等が有利であるが、一般的な攪拌器でもよ
。
加水分解工程の時間は特に限定されず、 いる植物系繊維材料の形状、植物系繊維材 とクラスター酸触媒の比率、クラスター酸 媒の触媒能、反応温度、反応圧力等によっ 、適宜設定すればよい。
加水分解終了後、反応系の温度を下げる 、加水分解工程において生成した糖は、残 (未反応セルロース等)やクラスター酸触媒 含む加水分解混合物中、糖を溶解する水が 在する場合には糖水溶液として、溶解する がない場合には析出して固体状態で含有さ る。生成した糖のうち一部は糖水溶液、残 は固体状態で上記混合物中に含有されるこ もある。尚、クラスター酸触媒もまた、水 性を有するため、加水分解工程後の混合物 含水量によってはクラスター酸触媒も水に 解している。
次に、加水分解工程で生成した糖(主にグ ルコース)と、クラスター酸触媒とを分離す 分離工程について説明する。分離工程には (1)残渣を含む固形分と、糖水溶液及びクラ ター酸有機溶媒溶液を含む液分とを分離す 第一の分離工程、(2)第一の分離工程におい 分離された液分から、糖を含む固形分と、 ラスター酸有機溶媒溶液とを分離する第二 分離工程、の少なくとも2工程がある。以下 各分離工程について順に説明していく。
第一の分離工程(1)は、前記加水分解工程に
いて生成した糖の少なくとも一部が溶解し
糖水溶液と、前記クラスター酸触媒が溶解
たクラスター酸有機溶媒溶液と、残渣とを
む混合物を、残渣を含む固形分と、糖水溶
及びクラスター酸有機溶媒溶液を含む液分
に分離する工程である。
上述したように、固体化した糖にクラスタ
酸触媒が混入し、該糖がクラスター酸触媒
混入した状態でクラスター酸触媒と分離さ
ると、得られる糖の純度が低下すると共に
クラスター酸触媒の回収率が低下する。
そこで、生成した糖の少なくとも一部、好
しくは生成した糖の全量が水に溶解した糖
溶液と、クラスター酸触媒が有機溶媒に溶
したクラスター酸有機溶媒溶液とを混合し
状態とすることで、クラスター酸触媒の糖
(糖水溶液)への混入を抑制し、クラスター
触媒と糖の分離性を高めることができる。
第一の分離工程において、クラスター酸触
を溶解する上記有機溶媒としては、クラス
ー酸触媒にとっては良溶媒であるが、糖に
っては貧溶媒であるという溶解特性を有す
ものであれば特に限定されないが、糖を効
よく析出させるためには、該有機溶媒に対
る糖の溶解度が0.6g/100ml以下であることが好
ましく、特に、0.06g/100ml以下であることが好
しい。このとき、糖のみを効率よく析出さ
るためには、該有機溶媒に対するクラスタ
酸の溶解度が20g/100ml以上、特に、40g/100ml以
であることが好ましい。
上記有機溶媒として、具体的には、例えば
エタノール、メタノール、n-プロパノール
のアルコール類、ジエチルエーテル、ジイ
プロピルエーテル等のエーテル類などが挙
られる。アルコール類及びエーテル類は好
に用いることができ、中でもエタノール及
ジエチルエーテルが好適である。ジエチル
ーテルは、グルコース等の糖が不溶であり
且つ、クラスター酸の溶解性が高いため、
とクラスター酸触媒を分離する溶媒として
適なものの一つである。一方、エタノール
グルコース等の糖が難溶であり、且つ、ク
スター酸触媒の溶解性が高いため最適な溶
の一つである。ジエチルエーテルはエタノ
ルと比較して蒸留において有利であり、エ
ノールは、ジエチルエーテルよりも入手し
すく、また、クラスター酸触媒の溶解性が
常に高いという利点を有している。
上記有機溶媒の使用量は、その有機溶媒 糖及びクラスター酸触媒に対する溶解特性 、加水分解混合物に含有される水分の量な によって異なってくるため、クラスター酸 効率よく回収できるように、適宜適当な量 決定すればよい。
第一の分離工程において、上述したように
糖水溶液には、生成した糖のうち少なくと
一部が糖水溶液に溶解していればよく、生
した糖の全量が溶解していることが好まし
。すなわち、糖水溶液には、植物系繊維材
に含有されるセルロースから生成される糖
全量を溶解可能な量の水が含有されること
好ましい。
また、第一の分離工程において糖を溶解し
いる水分は、その添加時期が限定されず、
記したように加水分解工程において一部又
全量が添加されてもよいし、第一の分離工
において不足分又は全量が添加されてもよ
。
分離工程における温度は、上記有機溶媒 沸点等にもよるが、通常は、室温~60℃の範 であることが好ましい。また、分離工程に いて、糖水溶液とクラスター酸有機溶媒溶 は充分に攪拌混合されることが好ましい。 体的な攪拌方法は特に限定されず、一般的 方法でよい。クラスター酸の回収効率の観 から、攪拌方法としては、ボールミル等固 分の粉砕が可能な攪拌方法が好適である。
第一の分離工程においては、上記有機溶媒
よってクラスター酸触媒が溶解されたクラ
ター酸有機溶媒溶液と、水によって糖が溶
された糖水溶液とを含む液分、並びに、植
系繊維材料の残渣等を含む固形分とを分離
る。具体的な分離方法は特に限定されず、
般的な固液分離方法、例えば、ろ過、デカ
テーション等を採用することができる。尚
クラスター酸触媒は水溶性を有するため、
水溶液にはクラスター酸触媒の一部が溶解
ている場合もある。
加水分解工程において生成した糖の一部が
解されずに固形分として残渣等ともに分離
れた場合には、糖の水溶性と残渣の水不溶
を利用して、該固形分に水を添加すること
、さらに残渣等の固形分と糖水溶液とに分
することができる。
第二の分離工程においては、第一の分離 程において分離された糖水溶液及びクラス ー酸有機溶媒溶液を含む液分から、化学吸 により水を吸着可能な脱水手段により水を 択的に除去することで、糖を析出させ、ク スター酸触媒が溶解したクラスター酸有機 媒溶液と分離する。糖はクラスター酸有機 媒溶液の溶媒に対する溶解性が非常に低い めに溶解せず、脱水されると析出する。糖 溶液にクラスター酸触媒が溶解していた場 も、糖水溶液に溶解していたクラスター酸 媒は、有機溶媒に溶解できるため、脱水し もクラスター酸有機溶媒溶液に溶解し、回 することができる。
ここで、化学吸着により水を吸着可能な 水手段としては、水を選択的に化学吸着し 除去できるものであれば特に限定されず、 えば、シリカゲルや無水塩化カルシウム等 乾燥剤を添加する他、イオン交換樹脂、特 陰イオン交換樹脂を上記糖水溶液とクラス ー酸有機溶媒溶液を含む液分と接触させる 法が利用できる。化学吸着水量の観点から 乾燥剤の添加により脱水することが好まし 、中でも、乾燥剤としてシリカゲルを用い ことが好ましい。
乾燥剤の添加量は、上記液分に含有される
水分を除去できればよく、該乾燥剤の化学
着による脱水能によって異なるため、適宜
定すればよい。例えば、シリカゲルを乾燥
として用いる場合、シリカゲルの化学吸着
量は、以下のようにして算出することがで
る。
すなわち、予め乾燥状態の重量を測定した
リカゲルを室温の飽和水蒸気中で放置し、
の後、温度一定条件下、真空ポンプで約0.1t
orrへ減圧し、放置する。このとき、シリカゲ
ルは、飽和水蒸気中で放置されて蒸留水が細
孔内に満たされた状態から、減圧によって毛
管凝縮した物理吸着水が除去され、化学吸着
水のみが吸着された状態になると考えられる
。つまり、飽和水蒸気中の放置はシリカゲル
の細孔内を蒸留水で充分満たせるまで、減圧
下の放置はシリカゲルの物理吸着水が除去さ
れるまで、行われる。
シリカゲルの細孔内が蒸留水で満たされ かどうか、シリカゲルの物理吸着水が除去 れたかどうかは、シリカゲルの重量を測定 ることで判断することができる。つまり、 和水蒸気中に放置し、水の吸着による重量 加が停止して重量が安定したらシリカゲル 細孔内が蒸留水で満たされたと判断するこ ができ、減圧条件下に放置し、重量減少が 止して重量が安定したら、シリカゲルの物 吸着水が除去されたと判断することができ 。目安としては、重量変化率が1%未満にな ば、シリカゲルの湿乾状態は安定したと考 られる。そして、物理吸着水が除去された リカゲルの安定重量と上記乾燥重量との差 シリカゲルの化学吸着水量と考えることが きる。
例えば、飽和水蒸気中で放置したシリカゲ を、減圧条件下に放置すると、重量が減少 、図4に示すようにその吸着水量(H 2 O-g/SiO 2 -g)[(含水シリカゲルの重量-シリカゲルの乾燥 重量)/シリカゲルの乾燥重量]は減少し、漸近 線的に安定する。この吸着水量が安定したと ころが化学吸着水量と考えることができる。
乾燥剤の添加量は、上記したように糖水溶
を脱水し、糖を析出させることができれば
特に限定されないが、シリカゲルの場合、
去したい水分の1.5倍量を化学吸着可能な量
上を用いることが好ましい。
乾燥剤としてシリカゲル、有機溶媒として
タノールを用いた場合、クラスター酸触媒
エタノールへの溶解性の高さから、シリカ
ルを過剰に添加したとしても、クラスター
触媒がシリカゲルに吸着されない。しかし
がら、乾燥剤と有機溶媒の組み合わせによ
ては、過剰の乾燥剤の添加により、有機溶
に溶解しているクラスター酸触媒が乾燥剤
吸着されるおそれがあるため、クラスター
触媒の回収率、糖の純度の観点から、乾燥
を過量に用いない方がよい場合もある。
また、本発明者らは、シリカゲルの細孔 積が、グルコースの回収率(実際に生成した グルコース量に対して、回収できたグルコー ス量の割合)に影響することを見出した(図5及 び参考実験参照)。すなわち、単位重量当り 化学吸着水量は同等であるが、細孔容積が なるシリカゲルを比較すると、細孔容積の きなシリカゲルの方が、グルコースの回収 が高くなることが見出された。これは、シ カゲルのような多孔質構造を有する乾燥剤 用いた脱水によるグルコースの析出には、 燥剤の水の化学吸着量だけでなく、グルコ スが該乾燥剤表面に析出するための容積が 要であることを示唆している。
脱水手段による水分の除去により析出し 糖は、デカンテーション、濾過等の一般的 固液分離方法によってクラスター酸有機溶 溶液と分離できる。分離した糖を含む固形 は、水で洗浄することで糖水溶液として得 ことができる。具体的には、乾燥剤を用い 脱水した場合には、乾燥剤と糖を含む固形 をデカンテーション、ろ過等の一般的な方 によって分離でき、分離した固形分は、水 添加、洗浄し、糖水溶液と乾燥剤を含む固 分とを分離することで糖を回収することが きる。(第三の分離工程)。
一方、クラスター酸触媒を含有する有機 媒溶液は、蒸留等の一般的な分離方法によ て、クラスター酸触媒と有機溶媒とに分離 ることができる。このように、クラスター 触媒は、セルロースの加水分解触媒として 用した後、生成物や残渣等と分離し、回収 ることができ、さらには、再び、セルロー を含む植物系繊維材料の加加水分解触媒と て利用することも可能である
本発明によれば、セルロースを加水分解す
ことによって生成、回収した糖にクラスタ
酸触媒が混入することを抑制し、純度の高
糖を得ることが可能である。具体的には、
に混入するクラスター酸触媒の量を、加水
解触媒として用いたクラスター酸触媒の1%
満、さらには、0.1%未満とすることができる
しかも、本発明によれば、リグニンの他、
機酸等のカラメル成分のような加水分解工
における副生成物の糖への混入も抑制する
とが可能である。クラスター酸触媒や上記
生成物が糖に混入すると、該糖のアルコー
発酵時に、酵母の発酵作用を阻害すること
知られているが、本発明の糖化分離により
られる糖を用いることで、アルコール発酵
率を向上させることができる。
さらに、クラスター酸触媒の糖への混入を
制することによって、クラスター酸触媒の
収率向上が実現できる。その結果、クラス
ー酸触媒の再利用率を高め、植物系繊維材
の糖化分離をより効率的に行うことが可能
なる。
以下、D-(+)-グルコース及びD-(+)-キシロー の定量は、高速液体クロマトグラフ(HPCL)ポ トラベル蛍光検出法により行った。また、 ラスター酸はICP(Inductively Coupled Plasma)によ 同定、定量を行った。
[実施例1]
密閉容器内に、予め蒸留水を入れ、予定の
応温度(70℃)まで昇温し、容器内を飽和蒸気
圧状態とし、容器内面に水蒸気を付着させた
。
次に、予め結晶水量を測定したリンタング
テン酸1kgとセルロース0.5kg(乾燥重量)とを混
合し、上記密閉容器に入れた。さらに、反応
温度60℃でリンタングステン酸が擬融解状態
なるのに必要な水分(158g)とセルロースが加
分解してグルコースになるのに必要な水分(
55.6g)との合計量からの不足分(上記70℃での飽
和蒸気圧分の水分は除く)の蒸留水(55.6g)、並
に、セルロース0.5kg全量がグルコース化し
際に生成するグルコースを飽和溶解量とし
溶解する水(55.6g)を添加した。
続いて、上記密閉容器内を加熱すると、50
付近からリンタングステン酸が擬融解状態
なり、60℃付近で容器内の混合物が攪拌でき
る状態となった。さらに加熱して70℃とし、1
.5時間攪拌を続けた。
その後、加熱をやめ、40℃程度まで冷まし
後、エタノール6Lを添加し、60分間攪拌し、
ンタングステン酸及び糖類を完全に溶解さ
た。残渣(繊維質:未反応セルロース)は沈殿
た。
次に、沈殿物を濾過し、得られた濾液にシ
カゲルを添加して30分間攪拌した。シリカ
ルの添加量は、上記グルコース溶解用の水(
ルコース飽和溶解水量55.6g)の1.5倍量を化学
着により吸着可能な量とした。尚、シリカ
ルの化学吸着による水の吸着量は、以下の
法により求められた値とした。
<シリカゲルの化学吸着による水の吸着量
>
予め乾燥重量を測定したシリカゲルを室温
飽和水蒸気中で1時間放置し、その後、真空
ポンプで約0.1torrに減圧し、放置した。シリ
ゲルの重量減少はおおよそ6時間で完了した(
図4参照)。シリカゲルを取り出して、重量(安
定重量)を測定し、安定重量と乾燥重量の差
(安定重量-乾燥重量)をシリカゲルの乾燥重
で除し、シリカゲルの単位重量当りの水の
学吸着量とした。
続いて、シリカゲル及び該シリカゲルの脱
により析出した糖を含む固形分と、リンタ
グステン酸及びエタノールを含む液体とを
ろ過により分離した。得られた固形分を1000
vol%の水で洗浄し、これをさらにろ過し、糖
溶液とシリカゲルを分離した。
一方、エタノール溶液は蒸留し、エタノー
とリンタングステン酸に分離した。
実施例1について、以下の項目を測定した。
結果を表1に示す。
尚、下記各項目は以下に示す式に従って求
た。また、糖水溶液中のリンタングステン
残留量は、糖水溶液中のリン及びタングス
ンの量をICP測定(n=4)することにより算出し
その平均値とした。
・セルロース反応率R(%) : セルロースの仕
み量に対して、実際に加水分解したセルロ
スの割合
・グルコース収率η(%) : 仕込んだセルロー
ス全量がグルコース化したときに生成する理
論グルコース生成量に対して、実際に回収さ
れたグルコースの割合
・糖水溶液におけるリンタングステン酸の
留率r(%) : リンタングステン酸の仕込み量
対して、糖水溶液に残留したリンタングス
ン酸の割合
・グルコースの回収率C(%) : 実際に加水分
したセルロース全量がグルコース化したと
に生成する理論グルコース生成量に対して
実際に回収されたグルコースの割合
[実施例2]
実施例1において、シリカゲルの添加量を、
物理吸着及び化学吸着により、グルコース溶
解用の水(55.6g)の1.5倍量を吸着可能な量とし
以外は同様にして、セルロースを加水分解
て糖水溶液を得た。尚、シリカゲルの物理
着及び化学吸着による水の吸着量は、以下
方法により求められた値とした。実施例2に
ける反応率R、グルコース収率η、リンタン
ステン酸の残存率r、グルコース回収率Cを
1に示す。
<シリカゲルの化学吸着及び物理吸着によ
る水の吸着量>
予め乾燥重量を測定したシリカゲルを室温
飽和水蒸気中で1時間放置し、その後、重量
(吸水重量)を測定し、吸水重量と乾燥重量の
分(吸水重量-乾燥重量)をシリカゲルの乾燥
量で除し、シリカゲルの単位重量当りの化
吸着及び物理吸着による水の吸着量とした
[比較例1]
密閉容器内に、予め蒸留水を入れ、予定の
応温度(60℃)まで昇温し、容器内を飽和蒸気
圧状態とし、容器内面に水蒸気を付着させた
。
次に、予め結晶水量を測定したリンタング
テン酸1kgとセルロース0.5kg(乾燥重量)とを混
合し、上記密閉容器に入れた。さらに、反応
温度60℃でリンタングステン酸が擬融解状態
なるのに必要な水分(158g)とセルロースが加
分解してグルコースになるのに必要な水分(
55.6g)との合計量からの不足分(上記70℃での飽
和蒸気圧分の水分は除く)の蒸留水(55.6g)を添
した。
続いて、上記密閉容器内を加熱すると、40
付近からリンタングステン酸が擬融解状態
なり、50℃付近で容器内の混合物が攪拌でき
る状態となった。さらに加熱して60℃とし、6
0℃で1.5時間攪拌を続けた。
その後、加熱をやめ、40℃程度まで冷まし
後、エタノール6Lを添加し、60分間攪拌し、
タノールにリンタングステン酸を溶解させ
糖を繊維質(未反応セルロース)と共に沈殿
せた。
次に、沈殿物を濾過し、分離した沈殿物に
留水1Lを加えて15分間攪拌し、糖を溶解させ
た。これをさらに濾過して、糖水溶液と繊維
質を分離した。
一方、濾液として回収したエタノール溶液
蒸留し、エタノールとリンタングステン酸
分離した。
比較例1における反応率R、グルコース収率η
、リンタングステン酸の残存率r、グルコー
回収率Cを表1に示す。
[比較例2]
比較例1において、セルロースの加水分解工
程後、40℃程度まで冷ました反応後固形物(生
成した糖、リンタングステン酸、未反応セル
ロース等の残渣)を粉砕機によりすり潰して
砕し、該粉砕物にエタノールを6L添加して分
離工程を行った以外は、比較例1と同様にし
、セルロースを加水分解して糖水溶液を得
。
比較例2における反応率R、グルコース収率η
、リンタングステン酸の残存率r、グルコー
回収率Cを表1に示す。
[結果]
表1に示すように、比較例1及び比較例2では
得られた糖水溶液中にそれぞれ8.3%、4.2%の
ンタングステン酸(クラスター酸)が残留した
。
これに対して、本発明の糖化分離方法によ
セルロースの糖化分離を行った実施例1及び
実施例2では、リンタングステン酸の糖水溶
における残留率rがそれぞれ0.05%、0.04%であり
、比較例1及び比較例2と比較して大幅に低減
ることができた。すなわち、本発明の糖化
離方法によれば、クラスター酸触媒の回収
を大幅に向上させ、純度の高い糖水溶液の
造及びクラスター酸触媒の再利用率の向上
可能であることがわかる。
さらに、実施例1及び実施例2で得られた糖
溶液は、比較例1及び比較例2で得られた糖水
溶液が若干黒味を帯びていたのに対し、極め
て透明性の高いものだった。これは、加水分
解工程における副生成物、例えば、過反応の
結果生じた有機酸などを含むカラメル成分や
リグニンが、実施例1及び実施例2では、リン
ングステン酸のエタノール溶液に溶解した
めと考えられる。
尚、比較例2は、上記粉砕処理により、加水
分解工程において生成、析出した固形の糖に
混入したリンタングステン酸と、エタノール
との接触機会を高めることによって、エタノ
ールへのリンタングステン酸の溶解性を高め
た。その結果、リンタングステン酸の残留率
rを比較例1の約半分に低減することができた
また、実施例1及び実施例2を比較すると リンタングステン酸の残留率rの値に大差は いものの、グルコースの収率η及び回収率C おいては、実施例1が収率η59%、回収率C98.6% あるのに対して、実施例2は収率η45%、回収 C67.5%と収率η及び回収率C共に低くなった。 れは、実施例2において、脱水剤であるシリ カゲルの添加量を、シリカゲルの物理吸着に よる水の吸着量も含めて算出したために、添 加したシリカゲル量では、化学吸着により吸 着できる水分量が少なく、グルコース飽和溶 解水量全量を吸着することができなかったと 推測される。すなわち、実施例2ではシリカ ルによる脱水作用が、生成したグルコース 析出させるのに不十分であり、リンタング テン酸エタノール溶液に糖水溶液が残留し しまったと考えられる。この結果から、乾 剤としてシリカゲルを用いる場合、シリカ ルの物理吸着能は脱水作用に有効ではなく シリカゲルの化学吸着量のみからシリカゲ の使用量を算出することによって、グルコ スを効率的に回収できることがわかる。
[参考実験]
表2に示すような比表面積及び細孔容積の異
なるシリカゲルA(富士シリシア化学(株)製 923
AR)、シリカゲルB(AGCエスアイテック(株)製 D-3
50-120A)それぞれを用い、実施例1同様、セルロ
ースの糖化分離を行った。実施例1と同様に
て算出した各シリカゲルA、Bの水の化学吸着
量を表2に示す。
各シリカゲルの使用量を変えて(図5参照)、 ルロースの糖化分離を行い、グルコースの 率ηを算出した。また、仕込んだセルロー 全量がグルコース化した際に生成するグル ースの飽和溶解水量(Q H2O-G )に対する、使用したシリカゲルの化学吸着 よる水の吸着量(Q H2O-Si )の割合[(Q H2O-Si /Q H2O-G )×100(%)]を算出した。図5に(Q H2O-Si /Q H2O-G )×100(%)に対するグルコース収率ηを示す。
図5に示すように、(Q H2O-Si
/Q H2O-G
)×100の値が同等、すなわち、添加したシリカ
ゲルの化学吸着による水の吸着量が同等であ
っても、グルコース収率ηはシリカゲルBの方
が高くなった。すなわち、シリカゲルAは、
リカゲルBと化学吸着による水の吸着量が同
となる量を用いても、シリカゲルBよりも少
ない量のグルコースしか析出させることがで
きず、また、図5に示す(Q H2O-Si
/Q H2O-G
)とグルコース収率ηの関係を示す曲線が、下
に凸の形状を有しており、グルコース収率100
%とするためには、使用量を非常に多くする
要があった。これに対して、シリカゲルAと
較して細孔容積が大きいシリカゲルBは、シ
リカゲルAよりも少量で多くのグルコースを
出させることが可能であった。
この結果から、シリカゲルのような多孔質
造を有する乾燥剤を用いた脱水によるグル
ースの析出には、乾燥剤の化学吸着による
水作用だけでなく、該脱水作用によりグル
ースが析出する乾燥剤の細孔容積が重要で
ることがわかる。
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