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Title:
METHOD OF SEPARATING ISOMERS OF CHIRAL SUBSTANCES AND APPARATUS THEREFOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/075359
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to achieve a method of separating isomers of chiral substances which is non-contact and does not use a chemical reaction by irradiating chiral substances C with light such as circular polarized light and separating isomers (C1, C2) based on a difference in acceleration thereof, and an apparatus therefor. Separation of isomers of chiral substances of the invention is constituted by including a circular polarized light irradiator (3) which irradiates chiral substances (C) being a mixture of different isomers (C1, C2) released from a molecular beam generator (2) in a vacuum chamber (1) with circular polarized light, and isomer inlets (1a, 1b) which separate the different isomers (C1, C2) of the chiral substances C based on a difference in acceleration thereof.

Inventors:
ISHIHARA, Hajime (())
石原 一 (())
IIDA, Takuya (())
Application Number:
JP2008/072680
Publication Date:
June 18, 2009
Filing Date:
December 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
Public University Corporation Osaka Prefecture University (1-1 Gakuen-cho, Naka-ku Sakai-city Osaka, 31, 5998531, JP)
公立大学法人大阪府立大学 (〒31 大阪府堺市中区学園町1番1号 Osaka, 5998531, JP)
JAPAN SCIENCE AND TECHNOLOGY AGENCY (1-8 Hon-cho 4-chome, Kawaguchi-shi Saitama, 12, 3320012, JP)
独立行政法人科学技術振興機構 (〒12 埼玉県川口市本町四丁目1番8号 Saitama, 3320012, JP)
ISHIHARA, Hajime (())
International Classes:
C07B57/00; B01D57/00; B82B3/00; C07D519/00; C09B47/00
Foreign References:
JP2001131093A
JP2003200399A
JP2003200399A
JPH0587654A
JP2001131093A
Other References:
See also references of EP 2218705A1
K. INABA; K. IMAIZUMI; K. KATAYAMA; M. ICHIMIYA; M. ASHIDA; T. IIDA; H. ISHIHARA; T. ITOH PHYSICA STATUS SOLIDI (B) vol. 243, 2006, pages 3829 - 3833
T. MORI; T. YAMAMURA J. COMPUT. CHEM. JPN. vol. 4, no. 3, 2005, pages 107 - 118
A. SANCHEZ-CASTILLO; C.E. ROMAN-VELAZQUEZ; CECILIA NOGUEZ PHYSICAL REVIEW B vol. 73, no. 1-7, 2006, page 045401
S. GEREMIA; L. DI COSTANZO; G. NARDIN; L. RANDACCIO; R. PURRELLO; D. SCIOTTO; R. LAUCERI; F. PICHIERRI INORG. CHEM. vol. 43, 2004, pages 7579 - 7581
N. DOKI; M. YOKOTA; S. SASAKI; N. KUBOTA CRYST. GROWTH & DES. vol. 4, 2004, pages 1359 - 1363
S. ITO; H. YOSHIKAWA; H. MASUHARA APPL. PHYS. LETT. vol. 80, 2002, pages 482 - 484
Attorney, Agent or Firm:
HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK (Daiwa Minamimorimachi Building, 2-6 Tenjinbashi 2-chome Kita, Kita-k, Osaka-shi Osaka 41, 5300041, JP)
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Claims:
 異なる異性体が混合されたキラル物質に円偏光又は楕円偏光の光を照射することにより、異性体ごとに加速度の相違を生じさせ、この加速度の相違に基づいて異性体を分離することを特徴とするキラル物質の異性体分離方法。
 前記キラル物質が、真空中又はガスを含める流動性媒質中に存在することを特徴とする請求の範囲1に記載のキラル物質の異性体分離方法。
 前記円偏光又は楕円偏光の光が、キラル物質に含まれる異性体のうち何れか1つの電子的励起準位に共鳴する周波数の光であることを特徴とする請求の範囲1又は2に記載のキラル物質の異性体分離方法。
 前記キラル物質に対し、偏光の回転方向が異なる2つの円偏光又は楕円偏光の光を照射し、
 前記2つの円偏光又は楕円偏光の光のうち一方の光を特定の方向から照射するとともに、他方の光を前記特定の方向とは異なる方向から照射することを特徴とする請求の範囲1~3のいずれか1項に記載のキラル物質の異性体分離方法。
 異なる異性体が混合されたキラル物質に、円偏光又は楕円偏光の光を照射する円偏光照射手段と、
 キラル物質の異なる異性体ごとの加速度の相違に基づいて、少なくともいずれかの異性体を分離する異性体分離手段とを備えたことを特徴とするキラル物質の異性体分離装置。
 前記キラル物質が、真空中又はガス中を含む流動性媒質中に存在することを特徴とする請求の範囲5に記載のキラル物質の異性体分離装置。
 前記円偏光照射手段が照射する光が、キラル物質に含まれる異性体のうち何れか1つの電子的励起準位に共鳴する周波数の光であることを特徴とする請求の範囲5又は6に記載のキラル物質の異性体分離装置。
 前記円偏光照射手段は、前記キラル物質に対し、偏光の回転方向が異なる2つの円偏光又は楕円偏光の光を照射するものであり、前記2つの円偏光又は楕円偏光の光のうち一方の光を特定の方向から照射するとともに、他方の光を前記特定の方向とは異なる方向から照射するようになっていることを特徴とする請求の範囲5~7のいずれか1項に記載のキラル物質の異性体分離装置。
 前記キラル物質を媒質中の一方向に向けて放出するキラル物質放出手段を備え、
 前記円偏光照射手段が、前記キラル物質の放出方向と交差する方向から光を照射するものであることを特徴とする請求の範囲5~8のいずれか1項に記載のキラル物質の異性体分離装置。
 前記キラル物質を含む流動性媒質を回転させる媒質回転手段を備え、
 前記円偏光照射手段が、この媒質回転手段による回転の動径回転面に交差する方向から、キラル物質に光を照射するものであることを特徴とする請求の範囲5~9のいずれか1項に記載のキラル物質の異性体分離装置。
 前記異性体分離手段は、各異性体を検出するための異性体検出部を備え、
 前記異性検出部それぞれは、前記加速度の相違により時間の経過に伴って差が生じる変位量に応じた位置に配されたことを特徴とする請求の範囲5~10のいずれか1項に記載のキラル物質の異性体分離装置。
 前記異性体分離手段は、各異性体を取り込むための異性体取入口を備え、
 前記異性体取入口それぞれは、前記加速度の相違により時間の経過に伴って差が生じる変位量に応じた位置に配されたことを特徴とする請求の範囲5~10のいずれか1項に記載のキラル物質の異性体分離装置。
 前記異性体取入口それぞれの近傍に、異性体を検出する異性体検出部を備えていることを特徴とする請求の範囲12に記載のキラル物質の異性体分離装置。
Description:
キラル物質の異性体分離方法及 その装置

 本発明は、キラル物質に円偏光等の光を 射することにより、異性体ごとに輻射力に 異を生じせしめて、それぞれの加速度の相 に基づいてこれらの異性体を分離するキラ 物質の異性体分離方法及びその装置に関す ものである。

 ある物質の実像と鏡像が重なり得ないと 、その物質はキラルであると言い、その性 をキラリティーと言う。多くの有機分子や せん状構造を持つ物質は、その非対称な立 構造に起因するキラリティーを有しており 鏡像関係にある異性体が存在している。

 また、天然に存在しているタンパク質、 類、核酸などの高分子の多くは一方の異性 から構成されており、それらは生命活動の 持において重要な機能と役割を担っている 生体内の反応を触媒する酵素や、匂いや味 感じるレセプター(受容体)の本体もキラリ ィーを有するタンパク質であり、それらと ラルな物質が反応を起こすと、その異性体 種類により異なる生理活性を示す場合があ 。しかし、通常の化学合成ではほとんどの ラルな生成物はラセミ体として合成されて まうので、一方の異性体を選択的に得るこ は医薬品開発や化学工業などの観点から重 なこととなっている。

 このため、一方の異性体のみを得るため は、反応における活性化エネルギーや分子 力学的運動状態、分子間距離などが重要な 素となる。これらを制御したり、もしくは らかの方法で異性体の一方のみに選択的に を印加して目的の場所まで輸送して抽出し りするなどの方法が考えられるが、多くの 合ナノスケールな分子のためその制御は難 い。

 他方で、レーザー光を物質に照射した時 生じる輻射力(放射力,光圧)を利用し、微小 質の力学的運動状態や空間的配置を非接触 制御する光マニピュレーションという技術 ある。従来のこの技術の適用範囲としては 原子のレーザー冷却・トラップやマイクロ ーター領域の物質に対する光ピンセットを 用した研究などの両極端なサイズを持つ対 物質に対する応用に限られていた。

 しかし、近年、その中間であるナノ物質 電子的共鳴光を照射した時に生じる輻射力 個々のナノ物質のサイズ、形状、内部構造 に依存する量子力学的個性を反映して変化 ることを利用して、その選別を可能とする 規な光マニピュレーションの原理が理論的 究により示された(例えば、特許文献1参照 )。特に最近、上記の理論的提案を受け、共 効果が顕著となる極低温の媒質である超流 ヘリウム4中での半導体微粒子の電子的(励 子)共鳴条件に対応するレーザー光による操 が試みられ、数十ナノメートル程度の微粒 が数センチメートルオーダーというマクロ 距離輸送できたことを示唆する実験データ 得られている(例えば、特許文献2、参考文 1参照。)。上記の理論的研究に影響され、他 グループにおいても、近共鳴条件の集光ビー ムによる勾配力を利用して、常温液体中に分 散するナノサイズ有機高分子のビームの集光 点付近での滞在時間を非共鳴の場合よりも長 くできたという実験報告もあり、共鳴光照射 下で誘起される輻射力がナノ物質の力学的操 作において有用であることを裏付けている。

 ここで、異性体の物理的・化学的性質は 光学的性質を除いてほとんど同じである場 が多い。特に、異性体が2つしか存在しない エナンチオマー間の性質の違いというのは、 旋光性や円偏光二色性等の光学的性質以外見 当たらない。このことは、一方のエナンチオ マーのみを選択的に得るということを非常に 困難にしている。

 しかし、上記のように一方の光学異性体 みを得るということは、医薬・化学的な見 などから重要なこととなっているので、こ までにも様々な手法が開発されてきた。そ 代表的な手法としては、キラルな触媒を用 て有益な一方の異性体のみを選択的に合成 る不斉合成法や、ラセミ体を生成してから れぞれの異性体に分離する光学分割法、純 な形で入手容易な一方の異性体を出発原料 して化学的な変換により他のキラル化合物 と導くキラルプール法などが挙げられる。

 ところが、近年産業界で最も有効な手法 して用いられている不斉合成法は、条件の う触媒が見つからない、用いる触媒が有毒 高価である、反応生成物と触媒を分離する 業が技術的に困難である場合が多い等の問 を抱えている。中には、それらの問題が無 不斉合成法として、不斉自己触媒反応、円 光を不斉源とした絶対不斉合成(例えば、特 許文献3参照。)というものもあるが、両不斉 成法ともその用途は限られている。また、 晶化法、化学的なクロマトグラフィーを用 る方法、酵素法などの光学分割法にも対象 質により手法が異なるため手法の確立が難 いことや、ルーペとピンセットによる選別 どの人為的な作業が必要な場合があるなど 問題があり、キラルプール法に関しても適 な出発物質の入手が必要なことやステップ が長くなる場合がある等の問題がある。

 これらの手法を概観してみると、いずれ 手法も汎用性が無い・操作が繁雑といった たような問題を抱えていることが分かる。 して、以上のような現状を鑑みれば、高い 用性を有し、かつ簡単な操作で通常の化学 成等から作成した異性体混合物から、キラ 物質の生理活性等の評価と並行して異性体 離が行えるような新しい光学異性体分離手 の開発の必要性がある。

 特許文献1:日本国公開特許公報「特開2003-200 399号公報(2003年 7月15日公開)」
 特許文献2:国際公開特許公報「国際公開第05 /087654号パンフレット(2005年 9月22日国際公開) 」
 特許文献3:日本国公開特許公報「特開2001-131 093号公報(2001年 5月15日公開)」

 本発明は、上記の問題点に鑑みてなされ ものであり、その目的は、キラル物質に円 光等の光を照射して異性体を分離すること より、非接触で化学反応を用いないキラル 質の異性体分離方法及びその装置を提供す ことにある。

 本発明のキラル物質の異性体分離方法は 上記の課題を解決するため、異なる異性体 混合されたキラル物質に円偏光又は楕円偏 の光を照射することにより、異性体ごとに 速度の相違を生じさせ、この加速度の相違 基づいて異性体を分離することを特徴とし いる。

 上記の構成によれば、上記円偏光又は楕 偏光の光をキラル物質に照射すると、この を吸収する際の吸光度や散乱の仕方が異性 ごとに異なる。そして、この吸光度や散乱 仕方が異なることにより、フォトンから異 体に移る運動量に差が生じる。それゆえ、 異性体に働く輻射力も、異性体ごとに異な ようになる。その結果、これらの異性体自 の加速度にも相違が生じる。

 そして、各異性体における加速度の相違 基づき、異性体を分離することにより、非 触で化学反応を用いないキラル物質の異性 分離方法を実現することができる。

 また、本発明のキラル物質の異性体分離 置は、上記の課題を解決するために、異な 異性体が混合したキラル物質に、円偏光又 楕円偏光の光を照射する円偏光照射手段と キラル物質の異なる異性体ごとの加速度の 違に基づいて、少なくともいずれかの異性 を分離する異性体分離手段とを備えたこと 特徴としている。

 これにより、非接触で化学反応を用いな キラル物質の異性体分離装置を実現するこ ができる。

 本発明のさらに他の目的、特徴、および れた点は、以下に示す記載によって十分わ るであろう。

本発明の第1実施形態を示すものであっ て、キラル物質の異性体分離装置の構成を示 す縦断面正面図である。 本発明の第2実施形態を示すものであっ て、キラル物質の異性体分離装置の構成を示 す縦断面正面図である。 本発明の第3実施形態を示すものであっ て、キラル物質の異性体分離装置の構成を示 す部分省略斜視図である。 本発明の実施例を示すものであって、C oupled-oscillator modelを示す図である。 本発明の実施例を示すものであって、T roger’s base型ポルフィリンダイマーの立体構 造を示す図である。 本発明の実施例を示すものであって、 デル化したポルフィリンダイマーを示す図 ある。 本発明の実施例を示すものであって ポルフィリンダイマーを想定した場合の各 ナンチオマーに加わる加速度の光エネルギ 依存性(z軸方向)を示すグラフである。 本発明の実施例を示すものであって ポルフィリンダイマーを想定した場合の各 ナンチオマーに加わる加速度の差(z軸方向) 示すグラフである。 本発明の実施例を示すものであって 図6の場合と入射円偏光の回転方向が逆向き である場合の、各エナンチオマーに加わる加 速度の光エネルギー依存性(z軸方向)を示すグ ラフである。 本発明の実施例を示すものであって 図6の場合と入射円偏光の回転方向が逆向き である場合の、(b)各エナンチオマーに加わる 加速度の差(z軸方向)を示すグラフである。 本発明の実施例を示すものであって、 ナンチオマー分離装置の原理の一例を示す 式図である。 本発明の実施例を示すものであって 、エナンチオマー分離実験モデルに対する数 値計算結果(飛行距離1mで円偏光を等間隔で250 回照射、レーザーのスポット径:1mm、分子ビ ムの初速度:10m/s)を示し、各エナンチオマー おけるx軸及びz軸の飛行距離を示すグラフ ある。 本発明の実施例を示すものであって 、エナンチオマー分離実験モデルに対する数 値計算結果(飛行距離1mで円偏光を等間隔で250 回照射、レーザーのスポット径:1mm、分子ビ ムの初速度:10m/s)を示し、各エナンチオマー ついて、x軸の飛行距離に対するz軸の飛行 離差を算出した結果を示すグラフである。 本発明の実施例を示すものであって、 らせん状微小物体の双極子配列モデルを示す 図である。 本発明の実施例を示すものであって 、らせん状微小物体の双極子配列モデル(1,5,1 0回転)に対する計算結果(極低温条件を想定) 示し、(+)エナンチオマーに加わる加速度の エネルギー依存性を示すグラフである。 本発明の実施例を示すものであって 、らせん状微小物体の双極子配列モデル(1,5,1 0回転)に対する計算結果(極低温条件を想定) 示し、(+),(-)エナンチオマーに加わる加速度 差を示すグラフである。 本発明の実施例を示すものであって 、らせん状微小物体の双極子配列モデル(1,5,1 0回転)に対する計算結果(室温付近の条件を想 定)を示し、(+)エナンチオマーに加わる加速 の光エネルギー依存性を示すグラフである 本発明の実施例を示すものであって 、らせん状微小物体の双極子配列モデル(1,5,1 0回転)に対する計算結果(室温付近の条件を想 定)を示し、(+),(-)エナンチオマーに加わる加 度の差を示すグラフである。 本発明の実施例を示すものであって、 エナンチオマー分離装置の原理の他の一例で あって、光学異性体混合物の両側から偏光の 回転方向の異なる円偏光を入射し、各エナン チオマーに加わる輻射力差のみを生かして分 離する場合の模式図である。

符号の説明

 1  真空チャンバー
 1a 異性体取入口
 1b 異性体取入口
 2  分子ビーム発生装置
 3  円偏光照射装置
 4  円筒状容器
 C  キラル物質
 C 1  異性体
 C 2  異性体

 以下、本発明の最良の実施形態について 1~図14を参照して説明する。

 本発明のキラル物質の異性体分離方法は キラル物質に円偏光等の光を照射すること より、キラル物質の異なる異性体ごとに加 度の相違を生じさせ、この加速度の相違に づいて異性体を分離するものである。また キラル物質の異性体分離装置では、円偏光 射手段がこの円偏光等の光を照射し、異性 分離手段が異性体を分離する。

 キラル物質とは、キラリティー(chirality) 有する物質をいい、主に分子構造に起因す 化学物質であるが、カーボンナノチューブ のように分子以外の構造に起因する物質も む。このキラル物質は、異性体の分離が目 であるため、異なる異性体の混合したもの 用いられる。ここで、キラル物質の異性体 、構造が鏡像関係にある2つの異性体からな エナンチオマーだけでなく、複数の異性体 らなるジアステレオマーも含む。

 このキラル物質は、運動が可能なように、 空中又は気体(ガス)や液体等の流動性媒質 に配置されることが好ましい。また、真空 圧力については10 -3 Pa以下であることが好ましい。また、このキ ル物質は、真空中又は流動性媒質中で静止 ていてもよいし、移動していてもよい。そ て、キラル物質が流動性媒質中にある場合 、この流動性媒質と共に移動していてもよ 。ただし、キラル物質が移動する場合の速 は、円偏光等の光の照射方向に沿った成分 できるだけ0又は一定値であることが好まし い。

 上記キラル物質に照射する光は、異性体 とに大きな加速度の相違を生じさせるため 、円偏光であることが好ましい。また、こ 円偏光と直線偏光の重ね合わせで表わすこ ができる楕円偏光であっても、異性体ごと 大きな加速度の相違を生じさせることが可 である。

 この円偏光等の光は、特定の方向から照 される。また、移動するキラル物質に対し は、移動方向に沿った異なる場所の同一の 定方向から繰り返し又は連続的に照射され もよい。また、このキラル物質には、異な 複数の特定方向から円偏光等の光を照射し もよい。ただし、同一の特定方向から照射 る光は、左右いずれか一方の円偏光又は楕 偏光の光であることが好ましい。また、左 の異なる円偏光又は楕円偏光の光を別の特 方向から照射することはできるが、これら 特定方向は、異性体ごとの加速度の相違を きく拡大させるために、できるだけ逆方向 あることが好ましい。なお、ここでいう特 方向は、キラル物質の移動方向を基準とし ものであるため、例えばキラル物質が回転 動する場合には、内向きの動径方向は全て 一の特定方向であり、外向きの動径方向は てこれとは逆向きの同一の特定方向となる

 上記円偏光等の光をキラル物質に照射す と、この光を吸収する際の吸光度や散乱の 方が異性体ごとに異なる。そして、この吸 度や散乱の仕方が異なることにより、フォ ンから異性体に移る運動量に差が生じるの 、輻射力も異性体ごとに異なるようになる その結果、これらの異性体自身の加速度に 相違が生じる。

 この円偏光等の光は、特に周波数の制限 ないが、いずれかの異性体の電子的励起準 に共鳴する周波数の光を用いれば、異性体 との輻射力の相違が増強されるので、より ましい。異性体の電子的励起準位に共鳴す 周波数の光とは、少なくともこの共鳴周波 をスペクトル中に含む光であればよいが、 ペクトルの最大ピークがこの共鳴周波数に 致することが好ましく、また、この最大ピ ク部分の半値全幅内に共鳴周波数が含まれ ような光であっても、この共鳴周波数での 度は最大ピーク値の半値以上となるので十 に有用なものとなる。なお、電子的励起準 とは、ナノ物質が有する電子系の量子力学 なエネルギー準位をいい、ナノ物質では、 の励起準位が離散化されている。また、そ 固有エネルギーは、物質のサイズ、形状、 部構造等によって異なる。

 この円偏光等の光は、異性体の分離が目 である以上、キラル物質が破壊されない程 の強度と時間で照射されるべきである。ま 、円偏光等の光は、可干渉性(コヒーレンス )は不要であるため、レーザー光である必要 ないが、十分な強度と集光性が得やすいレ ザー光が適切である。従って、円偏光照射 段は、どのような光源を用いてもよいが、 えば、Ti-Sapphireレーザーや半導体レーザー等 を用いることができる。Ti-Sapphireレーザーや 導体レーザーから出射されるレーザー光は 偏光子等の光学素子を用いて円偏光又は楕 偏光に変換して用いることが好ましい。

 具体的には、例えば、操作対象となるキラ 物質がポルフィリンダイマーである場合、 ルフィリンダイマーの励起状態が存在する 紫外領域の波長の光(2.9eV(波長換算427nm)付近 )を照射するレーザー光源を用いればよい。 記レーザー光源としては、例えば、波長可 のレーザー光源としてのモードロックTi-Sapph ireレーザー(基本波:波長720nm-900nm、筐体のサ ズ:812.8×310.9×192.0mm)が挙げられる。この場合 、該レーザーにLBOやLiO 3 等の非線形光学結晶を用いると、第2高調波 長360nm~450nmに設定することができる。他にも 、上記レーザー光源として、半導体レーザー (中心波長:808nm、波長域:780-980nm、筐体のサイ :44.2×40×25.6mm)を用い、2倍高調波(中心波長:4 04nm、波長域:390-490nm)に設定することができる 。特に、上記半導体レーザーを用いれば装置 の小型化を実現することができる。

 キラル物質の異性体を加速度の相違に基 いて分離するには、例えばこの加速度の相 により速度が相違することによって時間の 過に伴って差が生じる変位量を利用するこ ができる。キラル物質が静止している場合 、円偏光等の光を照射することにより移動 開始するが、異性体ごとに移動速度が異な ので、一定時間後の移動距離(変位量)に差 生じる。また、キラル物質が直線運動をし いる場合に、この直線運動の方向に交差す 方向(直交方向を含む)から円偏光等の光を照 射すると、直線運動を行いながら照射方向に 沿って変位を開始し、この変位の速度が異性 体ごとに異なるので、一定時間後の変位量に も差が生じる。さらに、キラル物質が直線運 動をしている場合に、この直線運動に沿った 方向から円偏光等の光を照射すると、直線運 動の速度が変化し、この速度の変化が異性体 ごとに異なるので、一定時間後の位置(変位 )にも差が生じる。しかも、これらの変位量 差が生じるのは、キラル物質が等速直線運 をしている場合に限らない。さらに、キラ 物質が回転運動をしている場合に、この回 の動径回転面に交差する方向(回転軸方向で ある直交方向を含む)から円偏光等の光を照 すると、回転運動を行いながら照射方向に って変位を開始し、この変位の速度が異性 ごとに異なるので、一定時間後の変位量、 ち回転軸方向に沿った移動距離にも差が生 る。

 上記のようにして異性体ごとに変位量に が生じると、例えば異性体ごとの変位量に じた位置に異性体取入口を開口しておくこ により、この異性体取入口から特定の異性 のみを取り込んで、他の異性体と分離する とができる。この異性体取入口は1つ以上備 えていれば特に限定されるものではない。ま た、このような異性体取入口に代えて、異性 体を吸収する装置や物質を配置しておいたり 、異性体を吸着する物質や異性体と化学反応 する物質を配置しておき、これらの物質から 異性体を回収することもできる。さらに、本 発明においては、このような異性体取入口に 代えて、異性体を検出するための物質(異性 検出手段)を備えておき、これらの物質から 性体の特性やその空間位置を検出すること できる。本明細書でいう各異性体の「分離 は、分離された各異性体の測定、計測、検 等といった動作を包含するものである。す わち、異性体分離手段は、これらの異性体 入口や異性体の吸収装置や異性体検出装置( 異性体検出部)、および吸収や吸着等を行う 質が該当する。

 特に、異性体検出装置を備えた構成では 検出対象となるキラル物質について、異性 の組成や特性、特定の異性体の存在の有無 を割り出すことが可能になる。

 ただし、キラル物質の直線運動の速度の が変化する場合には、異性体取入口やその の装置、物質の配置位置のみによって異性 を分離することはできない。このため、例 ば異性体取入口を用いる場合は、開口のタ ミングを制御して目的の異性体が到達する 間にのみ開口させ、その他の時間には閉じ いるようにすればよい。この場合は、異性 ごとの加速度の相違による速度の変化の違 を利用することになる。また、異性体の通 位置に例えば電気的な障壁を設け、一定速 以上や一定加速度以上の異性体のみがこの 壁を超えることができるようにすれば、加 度が相違する異性体を分離することができ 。

 上記構成により、異なる異性体が混合し キラル物質から各異性体を分離することが きる。しかも、少なくとも分離過程では、 接触であり、化学反応を用いることもない なお、キラル物質は、必ずしも全ての異性 を分離する必要はなく、1つ又は2つ以上の 部の異性体のみを分離してもよい。

 なお、円偏光の光をキラル物質に照射す と、この光を吸収する際の吸光度や散乱の 方が異性体ごとに異なることは従来から知 れている(円偏光二色性等)。しかしながら この吸光度や散乱の仕方が異なることによ 異性体ごとの加速度の相違を利用するとい 発想は、従来は存在しなかったか、加速度 相違が生じることは認識していたとしても ごく僅かなものであるため、実質的には利 不可能なものであると考えられていた。し しながら、本発明は、例えば電子的励起準 に共鳴する周波数の光を用いたり、左右の 偏光等の光を逆方向から照射する等の工夫 加えれば、加速度の相違が十分に有為なも であることを見出し、この加速度の相違に づいて異性体の分離を行おうとするもので る。

 〔第1実施形態〕
 図1に、キラル物質の異性体分離装置の第1 施形態を示す。真空チャンバー1内には、分 ビーム発生装置2と円偏光照射装置3とが配 されている。分子ビーム発生装置2は、キラ 物質Cの分子をビーム状に放出する装置であ る。このキラル物質Cは、エナンチオマーの2 の異性体C 1 ,C 2 が混合された物質のである。分子ビーム発生 装置2から放出されたキラル物質Cは、真空チ ンバー1内を、図1における左側から右側へ かって、等速直線運動するようになってい 。

 円偏光照射装置3は、半導体レーザーから出 射されるレーザー光を偏光子で右円偏光に変 換して照射する装置である。このレーザー光 の周波数は、キラル物質Cの異性体C 1 の電子的励起準位に共鳴する周波数になって いる。円偏光照射装置3から照射された右円 光の光は、分子ビーム発生装置2から放出さ たキラル物質Cに向けて、等速直線運動の方 向に直交する図1における下方から照射する うになっている。

 真空チャンバー1は、内部を真空にした容 器であり、図1における右側の側壁の上部に 下2箇所の異性体取入口1a及び1bが開口されて いる。分子ビーム発生装置2から放出される ラル物質Cが等速直線運動し真空チャンバー1 の側壁に衝突する点(図1の破線と右側の側壁 の交点)を衝突点とすると、異性体取入口1a び1bは、この衝突点よりも上側に形成され いる。

 分子ビーム発生装置2から放出されたキラ ル物質Cは、円偏光照射装置3から右円偏光の が照射されなかったとすると、一点鎖線の 印に示すように、真空チャンバー1内を右側 に向けて等速直線運動して、右側の側壁に衝 突することになる。

 しかしながら、このキラル物質Cは、等速直 線運動の途中で円偏光照射装置3によって右 偏光の光が下方から照射されると、図1にお る垂直上向きの輻射力を受けて、この上向 の加速度が生じる。しかも、キラル物質Cの 2つの異性体C 1 ,C 2 は、右円偏光の光による輻射力に相違がある ので、この上向きの加速度にも相違が生じる 。また、この右円偏光の光は、一方の異性体 C 1 の共鳴周波数の光であるため、輻射力がさら に大きくなるので、2つの異性体C 1 ,C 2 の加速度の相違が増強される。

 このため、一方の異性体C 1 は、共鳴周波数の右円偏光の光の照射によっ て、運動方向を上向きに大きく変化させるの で、右側に移動するに従って上方に大きく変 位するようになる。その結果、異性体C 1 は、異性体取入口1a及び1bのうち、真空チャ バー1の側壁のより上方側に開口された異性 取入口1aから、外部に飛び出して、ここで 集される。また、他方の異性体C 2 は、右円偏光の光の照射によって、運動方向 を上向きに少し変化させるので、右側に移動 するに従って上方に少しずつ変位するように なる。その結果、異性体取入口1a及び1bのう 、真空チャンバー1の側壁のより下方側に開 された異性体取入口1bから外部に飛び出し 、ここで収集される。

 この結果、本実施形態のキラル物質の異性 分離装置によれば、真空チャンバー1の上部 の上側と下側に開口する異性体取入口1a及び1 bからそれぞれ、キラル物質Cの異性体C 1 及びC 2 を分離して取り出すことができる。

 〔第2実施形態〕
 図2にキラル物質の異性体分離装置の第2実 形態を示す。真空チャンバー1内には、分子 ーム発生装置2と円偏光照射装置3とが配置 れている。分子ビーム発生装置2は、第1実施 形態で用いたものと同じであるので、説明を 省略する。

 本実施形態のキラル物質の異性体分離装置 は、円偏光照射装置3が、真空チャンバー1 の上下に複数個ずつ配置されている。即ち 真空チャンバー1の下方には、第1実施形態と 同じ円偏光を出射する円偏光照射装置3が複 個左右に並べて配置され、真空チャンバー1 上方には、第1実施形態と異なる円偏光を出 射する複数個の円偏光照射装置3’が複数個 右に並べて配置されている。そして、真空 ャンバー1の上方に配置された円偏光照射装 3’は、下方の円偏光照射装置3と互い違い 位置関係になっている。真空チャンバー1の 方の複数個の円偏光照射装置3’は、半導体 レーザーから出射されるレーザー光を偏光子 で左円偏光に変換して照射する装置であり、 このレーザー光の周波数は、キラル物質Cの 性体C 2 の電子的励起準位に共鳴する周波数になって いる。そして、これらの円偏光照射装置3’ ら照射された左円偏光の光は、分子ビーム 生装置2から放出されたキラル物質Cに向けて 、等速直線運動の方向に直交する図2におけ 上方から照射するようになっている。

 真空チャンバー1’は、第1実施形態とほ 同じものであるが、第1実施形態のものに比 て天井が低い点で異なる。また、図2におけ る右側の側壁には、上部と下部との2箇所に 性体取入口1a及び1bが開口されている。分子 ーム発生装置2から放出されるキラル物質C 等速直線運動し真空チャンバー1’の側壁に 突する点(図2の破線と右側の側壁との交点) 衝突点とすると、異性体取入口1a及び1bは、 この衝突点を挟むように形成されている。

 分子ビーム発生装置2から放出されたキラ ル物質Cは、円偏光照射装置3及び3’からそれ ぞれ、右円偏光及び左円偏光の光が照射され なかったとすると、一点鎖線の矢印に示すよ うに、真空チャンバー1内を右側に向けて等 直線運動して、右側の側壁における上下の 性体取入口1a,1bの中間部分に衝突することに なる。

 本実施形態の異性体分離装置では、このキ ル物質Cは、等速直線運動の途中で上下の円 偏光照射装置3及び3’によって、右円偏光の が下方から照射されると共に左円偏光の光 上方から照射される。このため、一方の異 体C 1 は、右円偏光の光による上向きの大きな輻射 力と左円偏光の光による下向きの小さな輻射 力とを受ける。そして、一方の異性体C 1 は、これらの輻射力の差により上向きの加速 度が生じる。しかも、右円偏光の光は一方の 異性体C 1 の共鳴周波数の光であるため、この上向きの 加速度がさらに増強される。また、他方の異 性体C 2 は、右円偏光の光による上向きの小さな輻射 力と左円偏光の光による下向きの大きな輻射 力を受ける。そして、一方の異性体C 2 は、これらの輻射力の差により下向きの加速 度が生じる。しかも、左円偏光の光は他方の 異性体C 2 の共鳴周波数の光であるため、この下向きの 加速度がさらに増強される。さらに、上下の 円偏光照射装置3及び3’は、複数個ずつ配置 れている。それゆえ、キラル物質Cは、等速 直線運動の途中で繰り返し右円偏光及び左円 偏光の光を照射される。このため、異性体C 1 ,C 2 に生じる、上向き及び下向きの加速度がそれ ぞれ複数倍になり、これらの加速度の相違が 極めて大きくなる。

 このため、一方の異性体C 1 は、運動方向を上向きに大きく変化させるの で、右側に移動するに従って上方に大きく変 位するようになり、真空チャンバー1の側壁 上部に開口する異性体取入口1aから外部に飛 び出して、ここで収集される。また、他方の 異性体C 2 は、運動方向を下向きに大きく変化させるの で、右側に移動するに従って下方に大きく変 位するようになり、真空チャンバー1の側壁 下部に開口する異性体取入口1bから外部に飛 び出して、ここで収集される。

 この結果、本実施形態のキラル物質の異性 分離装置によれば、真空チャンバー1の上部 と下部に開口する異性体取入口1a,1bから、キ ル物質Cの異性体C 1 ,C 2 を分離して取り出すことができる。しかも、 キラル物質Cに上下から右円偏光と左円偏光 光を照射することにより、異性体C 1 及びC 2 の変位の方向を上下に分けるので、大型の真 空チャンバー1を用いる必要がなくなる。さ に、キラル物質Cに複数個の円偏光照射装置3 及び3’から円偏光の光を照射するので、個 の円偏光照射装置3及び3’の光強度を大きく することなく、異性体C 1 ,C 2 の変位量の差を大きくすることができる。

 〔第3実施形態〕
 図3にキラル物質の異性体分離装置の第3実 形態を示す。円筒容器4内には流動性媒質が たされており、この流動性媒質が、等角速 で回転するようになっている。また、この 動性媒質中には、第1~2実施形態と同じキラ 物質Cの分子が浮遊して一緒に回転している 。

 円筒容器4の蓋板の周縁部には等角度間隔 で複数個の円偏光照射装置3’が配置される 共に、この円筒容器4の底板の周縁部には、 角度間隔で複数個の円偏光照射装置3が配置 されている。そして、円偏光照射装置3は、 板の円偏光照射装置3’と互い違いの位置関 になっている。蓋板に配置された円偏光照 装置3’は、第2実施形態における上方の円 光照射装置3’と同じであり、底板に配置さ た円偏光照射装置3は、第2実施形態におけ 下方の円偏光照射装置3と同じである。

 円筒容器4内で回転するキラル物質Cは、上 の円偏光照射装置3及び3’によって、右円偏 光の光が下方から繰り返し照射されると共に 左円偏光の光が上方から繰り返し照射される 。このため、第2実施形態の場合と同様に、 方の異性体C 1 には上向きの大きな加速度が生じ、他方の異 性体C 2 には下向きの大きな加速度が生じる(なお、 3では異性体C 1 ,C 2 の図示は省略している)。しかも、キラル物 Cは、回転のたびに、円偏光の光が繰り返し 射されるので、異性体C 1 ,C 2 の加速度がさらに大きくなり、これらの加速 度の相違が極めて大きくなる。

 このため、一方の異性体C 1 は、回転しながら上方に大きく変位して、円 筒容器4の蓋板付近に移動し、他方の異性体C 2 は、回転しながら下方に大きく変位して、円 筒容器4の底板付近に移動する。このため、 筒容器4内の流動性媒質を上下に分けて取り すことができれば、異性体C 1 と異性体C 2 とを分離することができる。また、円筒容器 4の蓋板や底板に異性体取入口を設けること より、これらの異性体取入口から溢れだし 流動性媒質と共に異性体C 1 と異性体C 2 とを分離して取り出すことができる。

 この結果、本実施形態のキラル物質の異性 分離装置によれば、円筒容器4内の上部の流 動性媒質と下部の流動性媒質からキラル物質 Cの異性体C 1 ,C 2 を分離して取り出すことができる。

 以下に、上記キラル物質の異性体分離方 の原理の考察と数値的な評価を示す。

 キラル物質に含まれる各異性体は、左円偏 及び右円偏光に対して、屈折率や吸収度が なるため、旋光性や円偏光二色性などの光 的性質を有している。通常、この現象が生 る原因は、物質の分極率テンソルの非対角 分が含まれるために空間反転対称性の破れ ら生じると理解されてきた。この空間反転 称性の破れが生じる仕組みを古典的取り扱 で理論的に説明したものに、KuhnのCoupled-osci llator modelがある。この理論は、図4に示され 配置で、矢印の方向に振動し、相互作用す 2つの点状振動子(振動子1及び振動子2)を想 している。そして、この2つの振動子の結合 を2つのモノマーが結合して形成された1つ キラル分子とみなして、下記数式(1)のよう 誘起分極Pと入射電場E b との関係式を求め、分極率テンソルに非対角 成分が現れることを示している。

 数式(1)から、E b として異なる円偏光を入射すれば分極Pの表 はそれぞれ異なり、また図4で想定している ラル分子のzx平面を鏡像面とした場合の異 体は同じ円偏光を照射した場合でも分極の 態が異なることを示すことができる。この とに着目し、上述のような共鳴光マニピュ ーションの原理を利用すれば、角運動量を つ光を用いることでキラリティーを有する 小物体の量子力学的性質を反映した共鳴輻 力による新しいタイプの光操作、更には上 のような課題を解決できる異性体分離に繋 るのではないかと着想した。発明者のグル プによる研究においては、特定のサイズ、 状、内部構造等の違いによる量子力学的特 を活かした共鳴輻射力によるナノ物質の選 ・操作に関する研究や発明がなされてきた しかし、この研究では、主に対称性の良い ノ物質を操作の対象とした理論研究を基に ていたため、キラリティーを有する物質の うに非対称な幾何学的構造を有するナノ物 に関する議論は今後の課題として残されて た。

 また、上記の特許文献3は、円偏光に着目 した技術を開示している。しかしながら、こ の技術は、あくまで化学的な不斉合成法の不 斉源として用いているのであり、光励起下で のキラリティーを有する物質の力学的運動制 御による分離という点には着目していない。 また、上記の特許文献3には、円偏光照射に ってキラリティーを有するナノ物質に輻射 を及ぼして力学的に操作可能であることは 示されていない。このような状況に着目し キラリティーを有する微小物体に円偏光な の角運動量を有する共鳴光を照射した場合 生じる輻射力の偏光・キラリティーの種類 光エネルギー依存性を微視的非局所応答理 とローレンツ力の方程式に基づいて鋭意検 した結果、本発明の完成に至った。

 微視的非局所応答理論によってキラル分 に対する共鳴輻射力を評価する際に必要と る、誘起分極及び応答電場の計算方法の概 を以下に述べる。まず、分極と電場との相 作用を遅延効果も含めて摂動項とするハミ トニアンを含むシュレディンガー方程式か 導いた誘起分極Pを源とするマクスウェル方 程式を自己無撞着に解くことにより力の評価 に必要な誘起分極を下記数式(2)のように決定 する。

 ここで、添え字iはサイトの番号、X i は分極の複素振幅、下記数式(3)は遷移双極子 密度を表し、

ρ i (r)はその振幅、数式(3)中の下記ベクトル(4)は 方向を示す単位ベクトルである。

 また、SはX i を決定するための連立方程式の係数行列であ り、E i はi番目のサイトの固有エネルギー、数式(2) の下記エネルギー(5)は入射光のエネルギー( 波数)、γは非輻射幅、δ ij はクロネッカーデルタ、A ij は電磁場を介した分極間相互作用、Xはiを行 号とするX i の縦ベクトル、X b はiを行番号とする誘起分極と入射場の相互 用X i b の縦ベクトルである。

 また、本理論の適用例として、図4と同様 の配置に同じ大きさの遷移双極子を有する直 交する2つの有限サイズの双極子がある場合 想定し、数式(2)におけるXについての連立方 式を解き、数式(1)に対応するような誘起分 Pを下記数式(6)に与えた。

ここで、下記数式(7)はi番目のサイトの自 相互作用を含む固有エネルギー、

下記数式(8)は非輻射幅と輻射幅の和を表す 。

 数式(1)と数式(6)とを比較すると、数式(1)で 振動子強度や自己相互作用係数などの現象 的な物理量に基づいてキラリティーの機構 説明していたが、数式(6)に現れる諸量はシ レディンガー方程式とマクスウェル方程式 ら自己無撞着に決定されており、微視的な 味付けも明確である。更に、数式(1)では、 動子それぞれを点双極子と考える近似を用 ていたが、数式(6)は任意のサイズ・形状の ラル分子やナノ構造体に適用可能であり物 の量子力学的な情報も含めることができる め、本理論は数式(1)の場合よりも一般的な 式になっていると言える。また、数式(6)か 、A ij がキラリティーの決定において重要であり、 キラル分子を構成するモノマーの幾何学的構 造や電磁場の空間構造の情報を反映した量に なっている。

 そして、図4のモデルにかかわらず、対象 とするキラル分子のモデルを与えた後、数式 (2)より得られた誘起分極Pと下記数式(9)で表 れる応答電場とを、

ローレンツ力の方程式から導出される輻射 力の解析的表式の数式(10)に代入すれば、

対象物質の微視的空間構造を反映した共鳴 輻射力を数値的に評価することができる。

 以下では、具体的な計算モデルとして、 極子で表された2個のポルフィリンがキラル な配置を保って結合しているTroger’s base型 ルフィリンダイマー(図5)に円偏光平面波を 射した場合を想定し、上記数式(2)、数式(9) 及び数式(10)を用いて輻射力を評価した。

 ここで用いたポルフィリンダイマーを含 ポルフィリン集積系は、錯体化学、超分子 学の中心的な研究対象物質の1つであり、紫 外可視領域で光の吸収や発光を起こす色素と なる。このため、上記のポルフィリン集積系 は、太陽電池や有機EL発光素子等様々な分野 応用が期待されている汎用的な有機物質で る。また、キラリティーが生じる幾何学的 造を有するポルフィリン集積系についても 多数報告されており、対象としたポルフィ ンダイマーは、その中の具体例の一つであ 。特に、分子内の遷移双極子モーメントの 細が明らかであり、その形状がKuhnのCoupled-o scillator modelに近いシンプルな形をしている とや、UV-vis.スペクトルと円偏光二色性スペ トルが明らかであり(例えば、参考文献2)、 学的特性と輻射力を明瞭に関連付けできる の理由から、Troger’s base型ポルフィリンダ イマーを用いた。特に、左右円偏光の一方を 照射した時の各エナンチオマーでの輻射力差 が円偏光二色性スペクトルに比例することを 確認している。

 図6に示されるように、原点にあるTroger’ s base結合部から等距離に2つのポルフィリン あり、結合部と窒素原子とを結ぶ軸上の電 双極子モーメントは、下記数式(11)で表わさ れる。(実際には直交する方向にも遷移双極 が生じるが、共鳴波長が少し異なると考え れる。ここでは計算モデルを簡単化する意 込めて、それらは無視した。)

 xz平面を鏡像面とし、ポルフィリン1とポ フィリン2のペアを(+)エナンチオマー、ポル フィリン1とポルフィリン2’のペアを(-)エナ チオマーとする。

 まず、z軸方向(すなわち、図6に示す方向)に 伝播する円偏光を入射した時の(+)エナンチオ マー及び(-)エナンチオマーそれぞれの分子に 働く輻射力を調べた。その結果を図7(a)及び(b )に示す。図7(a)は、各エナンチオマーに加わ 加速度の光エネルギー依存性(z軸方向)を示 グラフである。図7(b)は、各エナンチオマー に加わる加速度の差(z軸方向)を示すグラフで ある。ここで、分子のパラメーターとして、 φ=81°、φ=45°、ポルフィリン中心間距離8.38[ ]、電気双極子モーメントの大きさ|d|=8.06[Deby e]、自己相互作用を含む単体の励起エネルギ 2.89[eV]、ポルフィリンダイマー1分子の質量2 .66×10 -24 [kg]を用いた。また、非輻射幅と輻射幅の和γ i は、参考文献1に記載の実験のような、超流 ヘリウム中などで得られる極低温条件を想 し、0.2[meV]とした。入射光強度としては、原 子のレーザー冷却などで利用されるのと同じ オーダーである8.44[W/cm 2 ]を想定した。線形応答領域では輻射力は入 光強度に比例する。図7(b)は両者に加わる輻 力による加速度の差を表している。図7(a)を 見る限り、両者に加わる輻射力には、ほとん ど差が無いように思われる。しかし、図7(b) 示されるように、ダイマーを構成するモノ ー中の分極間の相互作用によりスプリット た2つの共鳴エネルギー付近では、想定して る条件下で重力加速度よりもおよそ2桁ほど 大きな加速度の差があることが分かる。この 結果は、異性体混合物(キラル物質)に対しあ 方向の円偏光を当て続けるという単純な操 により、異性体の変位距離を稼ぐことがで れば、異性体分離を実現することができる とを示している。

 次に、図6に示した円偏光の向きと逆向き の偏光の回転方向の円偏光を入射したときの 、(+)エナンチオマー及び(-)エナンチオマーそ れぞれの分子に働く輻射力を調べた。その計 算結果を図8(a)及び(b)に示す。図8(a)は、各エ ンチオマーに加わる加速度の光エネルギー 存性(z軸方向)を示すグラフである。図8(b)は 、各エナンチオマーに加わる加速度の差(z軸 向)を示すグラフである。図8(a)は、図7(a)と ぼ同じようなスペクトルを示している一方 図8(b)は図7(a)の加速度差の符号を逆にした うなスペクトル構造を示している。このこ から、各エナンチオマーにおける、それぞ の共鳴位置と左右円偏光との間には、それ の組み合わせによる差異が存在しているこ が分かる。この原理を利用したエナンチオ ー分離技術の一例について、以下に説明す 。図9は、図7(a)・(b)及び図8(a)・(b)に示す計 結果を利用したエナンチオマー分離技術の 例を示す模式図である。図9に示すエナンチ マー分離技術では、まず、エナンチオマー 合物の分子ビームをx軸に飛ばして、それと 垂直な方向(z軸方向)からある一定の向きの円 偏光を何回か照射する。分子ビーム中にエナ ンチオマー混合物に円偏光が照射されると、 円偏光の向きとキラル分子との相性により、 (+)エナンチオマーと(-)エナンチオマーとの間 にz軸方向の加速度差が生まれる。そして、 終的には、各エナンチオマーがz軸方向に分 した形で所定の位置に到着する。このよう エナンチオマー分離を実際に数値計算した 果を図10(a)及び(b)に示す。図10(a)は、各エナ ンチオマーについて、x軸の飛行距離に対す z軸の飛行距離差を算出した結果を示すグラ である。図10(b)は、各エナンチオマーにつ て、x軸の飛行距離に対するz軸の飛行距離差 を算出した結果を示すグラフである。図10(a) び(b)の結果より、最終的に各分子の位置関 が、分子の大きさと比べてマクロな距離離 ていることが分かる。ただし、z軸方向に各 分子が飛びすぎてしまうという危険性がある 。このため、z軸方向からある特定の向きの 偏光を図9のモデルと同様に入射し、-z軸方 からもそれとは逆向きの円偏光を交互に入 してやることにより、各分子に対する輻射 差のみを生かせる実験系が構築できる。ま 、流動性媒質中でも流路を準備し、異性体 合物を長距離に渡って流れに乗せ、図3に示 たように円偏光を流れと直交する方向から 数回照射することで経路にマクロな差を付 ることができ、分離が可能になる。

 これらの結果はCoupled-oscillator modelに基づ いた計算であるが、対象物質としてポルフィ リンダイマーに限定されるものでは無く、左 右円偏光に対して吸収の差(円偏光二色性)が られるキラル物質であれば輻射力の差が生 ることを開示した一般的な内容であり、汎 的に適用させることができる。

 例えば、参考文献3によればカーボンナノ チューブの鏡像異性体も左右円偏光に対して 吸収の差が見られ、円偏光二色性を示すので 本発明を利用することができる。

 次に、Coupled-oscillator modelを拡張させ、図11 ようなz軸方向に回転角θでn個の双極子(原 ・分子)がらせん状に配置している微小物体 考える。このような、らせん状の微小物体 しては特に限定されるものではないがDNAな の核酸や、参考文献4に見られるようなポル フィリンのらせん状構造重合体が挙げられる 。図11は、θ=90°のらせん状双極子を表してお り、このような配置(入射光の方向から見て 巻き)の微小物体を(+)エナンチオマーとし、x z平面を鏡像面とした上記微小物体の異性体 (-)エナンチオマー(入射光の方向から見て左 き)として取り扱う。図11に示された双極子 配置では、双極子4個でちょうど一周するの で、双極子4個のセットを1回転と呼ぶことに る。このようなモデルに対して、z軸方向か ら図11に示す向きの円偏光平面波を照射した に生じる共鳴輻射力を、先ほどと同じよう 極低温条件において数値計算で評価したも が図12になる。双極子1個のパラメータとし 、Zn-ポルフィリンの遷移双極子を想定し、 気双極子モーメントの大きさ|d|=8[Debye]、自 相互作用を含む励起エネルギー2.89[eV]、質 1.33×10 -24 [kg]を用いた。また、図11における微小物体の パラメータとして、l x =l y =4[Å]、l z =1[nm]を用いた。計算手法としては、上記数式 (2)よりn個の双極子の場合における応答場を め、それらを数式(10)に代入することにより 価した。図12(a)より、回転数が増加すると 小物体全体に加わる加速度のピーク値はほ 同じであるが、その共鳴周波数位置は敏感 変化しているということが分かる。この結 は、入射光の周波数を調整することで特定 サイズや回転数の微小物体のみに有効的な 射力を与えることができ、微小物体のサイ ・回転数選別ができることを示している。 方で、図12(b)に示されるように、加速度差の ピーク値は、回転数に比例して増加している 。この結果は、単体のキラル分子よりも、該 キラル分子をナノ結晶化する、もしくは重合 させたものの方が、円偏光によるキラリティ ーの共鳴輻射力差が増強されるということを 示している。通常、キラル分子の異性体混合 物を結晶化させると物質によってラセミ化合 物(エナンチオマー同士が対になって結晶化) ラセミ固溶体(両エナンチオマーが無秩序に 配列し結晶化)、ラセミ混合物(各エナンチオ ーのみで結晶化したものの混合物)の3つの 態の何れかを取る。今回の場合、該キラル 子をナノ結晶化したものとはラセミ混合物 ナノ結晶を示す。また、参考文献5ではラセ 化合物として結晶成長するアスパラギン(ア ミノ酸の一種)を、添加物を用いることによ ラセミ混合物として結晶成長させた報告が されており、このような手法と組み合わせ ことでナノ結晶化による分離の適用範囲は げられる。さらに、アキラル分子から構成 れるキラル結晶についても適用可能である ゆえに、図12(a)及び(b)の結果から、キラリテ ィーを有するナノ結晶又は重合体に対し円偏 光を照射する操作を行っても、有効な異性体 分離が可能になることが分かる。また、それ と同時に微小物体のサイズ・回転数選別を行 うことも可能となる。

 一方で、これらの原理に基づき、分離後 異性体の存在やその空間位置を検出するこ で、該異性体の円偏光二色性や重合度、サ ズ等の分布測定技術やキラル物質の分極構 解析に応用することも可能である。

 最後に、室温の熱エネルギーと同程度の非 射幅と輻射幅の和(γ i =12.5meV:半値半幅なので2倍すると室温の熱エ ルギーと比較できる値となる)を想定した場 について、図12と同様にして計算を行った その計算結果を図13に示す。常温では共鳴効 果が極低温条件の場合よりも鈍るため、各エ ナンチオマーに加わる加速度差が有効に得ら れないのではという危惧もあった。しかし、 図13(b)から、各エナンチオマーに加わる加速 の差、及びトータルの加速度の比は、輻射 非輻射幅の輪和にそれほど依存せず、加速 の数十分の1程度のオーダーとなることが分 かる。さらに、この場合においても、らせん の回転数が増えることで加速度差が増強され るという傾向が見られる。一定のレーザー強 度を用いた計算では、加速度は非輻射幅と輻 射幅の和が増大すると小さくなってしまうが 、レーザー光の強度を増加させれば加速度を 増大し、同時に加速度差も増強することがで きる。例えば、光ピンセットでは、レーザー 光を集光することによりMW/cm 2 (10 6 W/cm 2 )級の強い入射光を利用している(参考文献6) このような光源を利用すれば常温流体中で 、加速度差を増大させ、エナンチオマー分 が可能になる。また、図14に示されるように 、異性体混合物を挟んで、相対する方向から 円偏光を照射し、両円偏光の向きを互いに反 対向きにすることにより、両エナンチオマー に加わる輻射力の差を有効に活かして分離を 行うことも可能である。
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 参考文献5:N. Doki, M. Yokota, S. Sasaki and N. Kubota, Cryst. Growth & Des. Vol.4 pp.1359-1363  (2004).
参考文献6:S. Ito, H. Yoshikawa, and H. Masuhara,  Appl. Phys. Lett. Vol.80, pp.482-484 (2002).
 また、本明細書中に記載された学術文献お び特許文献の全てが、本明細書中において 考として援用される。

 本発明のキラル物質の異性体分離方法は 以上のように、異なる異性体が混合された ラル物質に円偏光又は楕円偏光の光を照射 ることにより、キラル物質の異なる異性体 とに加速度の相違を生じさせ、この加速度 相違に基づいて少なくともいずれかの異性 を分離する構成である。

 また、本発明のキラル物質の異性体分離 置は、以上のように、異なる異性体が混合 たキラル物質に、円偏光又は楕円偏光の光 照射する円偏光照射手段と、キラル物質の なる異性体ごとの加速度の相違に基づいて 少なくともいずれかの異性体を分離する異 体分離手段とを備えた構成である。

 それゆえ、非接触で化学反応も用いない ラル物質の異性体分離方法及びその装置を 現することができる。

 本発明のキラル物質の異性体分離方法で 、キラル物質は、真空中又は気体(ガス)や 体等の流動性媒質中に配置されることが好 しい。

 本発明のキラル物質の異性体分離方法で 、前記円偏光又は楕円偏光の光が、キラル 質に含まれる異性体のうち何れか1つの電子 的励起準位に共鳴する周波数の光であること が好ましい。

 このような円偏光又は楕円偏光をキラル 質に照射することにより、異性体ごとの輻 力の相違が増強されるので、異性体の分離 より正確なものにすることができる。

 本発明のキラル物質の異性体分離方法で 、前記キラル物質に対し、偏光の回転方向 異なる2つの円偏光又は楕円偏光の光を照射 し、前記2つの円偏光又は楕円偏光の光のう 一方の光を特定の方向から照射するととも 、他方の光を前記特定の方向とは異なる方 から照射することが好ましい。

 これにより、異性体ごとの加速度の相違 大きく拡大させることができる。

 本発明のキラル物質の異性体分離装置で 、前記円偏光照射手段が照射する光が、キ ル物質に含まれる異性体のうち何れか1つの 電子的励起準位に共鳴する周波数の光である ことが好ましい。

 これにより、異性体ごとの輻射力の相違 増強されるので、異性体の分離をより正確 ものにすることができる。

 本発明のキラル物質の異性体分離装置で 、前記円偏光照射手段は、前記キラル物質 対し、偏光の回転方向が異なる2つの円偏光 又は楕円偏光の光を照射するものであり、前 記2つの円偏光又は楕円偏光の光のうち一方 光を特定の方向から照射するとともに、他 の光を前記特定の方向とは異なる方向から 射するようになっていることが好ましい。

 これにより、異性体ごとの加速度の相違 大きく拡大させることができる。

 発明のキラル物質の異性体分離装置では 前記キラル物質を媒質中の一方向に向けて 出するキラル物質放出手段を備え、前記円 光照射手段が、前記キラル物質の放出方向 交差する方向から光を照射するものである とが好ましい。

 これにより、異性体ごとの加速度の相違 大きく拡大させることができる。

 本発明のキラル物質の異性体分離装置で 、前記キラル物質を含む流動性媒質を回転 せる媒質回転手段を備え、前記円偏光照射 段が、この媒質回転手段による回転の動径 転面に交差する方向から、キラル物質に光 照射するものであることが好ましい。

 本発明のキラル物質の異性体分離装置で 、前記異性体分離手段は、各異性体を取り むための異性体取入口を備え、前記異性体 入口それぞれは、前記加速度の相違により 間の経過に伴って差が生じる変位量に応じ 位置に配されたことが好ましい。前記異性 分離手段としては特に限定されるものでは いが、異性体の吸収装置や異性体検出装置( 異性体検出部)、および吸収や吸着等を行う 質を用いても構わない。

 前記のように、前記異性体取入口それぞ は、前記加速度の相違により時間の経過に って差が生じる変位量に応じた位置に配さ た構成であるため、より簡素な構成で、異 体を分離することができる。

 尚、発明を実施するための最良の形態の においてなした具体的な実施態様または実 例は、あくまでも、本発明の技術内容を明 かにするものであって、そのような具体例 のみ限定して狭義に解釈されるべきもので なく、本発明の精神と次に記載する特許請 の範囲内で、異なる実施形態にそれぞれ開 された技術的手段を適宜組み合わせて得ら る実施形態についても本発明の技術的範囲 含まれる。

 本発明は、以上のように、非接触で化学 応を用いずに、異性体を分離することがで る。