MATSUDA TSUYOSHI (JP)
NAKUI HIROYUKI (JP)
WATANABE GOU (JP)
MATSUDA TSUYOSHI (JP)
NAKUI HIROYUKI (JP)
JPH10153591A | 1998-06-09 | |||
JP2004093496A | 2004-03-25 | |||
JP2002090359A | 2002-03-27 | |||
JP2004156970A | 2004-06-03 | |||
JP2005214816A | 2005-08-11 | |||
JP2001033433A | 2001-02-09 |
See also references of EP 2107371A4
被測定ガスを吸着剤に吸着温度50~200℃で接触させて、被測定ガス中に含まれる有機ハロゲン類のうち、低揮発性有機ハロゲン類を選択的に吸着し、ついで低揮発性有機ハロゲン類を吸着剤から脱着する有機ハロゲン類の分離方法。 |
低揮発性有機ハロゲン類は、その沸点が100℃以上である請求項1記載の有機ハロゲン類の分離方法。 |
脱着温度を300℃以上とする請求項1記載の有機ハロゲン類の分離方法。 |
吸着剤の表面積が10~240m 2 /gである請求項1記載の有機ハロゲン類の分離方法。 |
請求項1に記載の分離方法によって得られた低揮発性有機ハロゲン類の濃度を定量する低揮発性有機ハロゲン類濃度の測定方法。 |
請求項5記載の測定方法によって得られた低揮発性有機ハロゲン類濃度と、別途測定された被測定ガス中のダイオキシン類濃度との相関関係を求めておき、この相関関係に基づいて前記低揮発性有機ハロゲン類濃度から被測定ガス中のダイオキシン類濃度を推定するダイオキシン類濃度の測定方法。 |
この発明は、燃焼炉などからの排ガスや大
などの被測定ガスに含まれる低揮発性有機
ロゲン類を選択的に分離し、この低揮発性
機ハロゲン類濃度を測定し、さらにこの濃
から被測定ガス中のダイオキシン類濃度を
速、簡便に求める方法に関する。
本願は、2007年1月25日に、日本に出願された
特願2007-014937号に基づき優先権を主張し、そ
内容をここに援用する。
廃棄物等の焼却排ガス中の未燃分から、3 00~500℃の温度域において煤塵中の鉄や銅が触 媒となり、ダイオキシン類が生成する反応を デノボ合成という。このデノボ合成プロセス が廃棄物焼却過程から排出されるダイオキシ ン類の主な生成プロセスであると考えられて いる。
その生成プロセスの例を図5に示す。クロ ロメタン等の低分子未燃分が重合を繰り返し て高分子化していき、2,3,7,8-TeCDD(2,3,7,8-tetrachl orodibenzo-dioxin)等のダイオキシン類となると考 えられている。ダイオキシン類に至るまでの 物質は前駆体と呼ばれており、その大部分は 有機ハロゲン類(主に塩素化物)である。
排ガス中のダイオキシン類濃度を測定す 公定方法は、JIS K0311に規定されているが、 この測定方法では、測定結果が求まるまでに 1ヶ月程度の時間を要し、排ガス中のダイオ シン類濃度の瞬時の測定や連続的な測定に 全く役に立たない。
このため、このような問題点を解決するた
のダイオキシン類濃度の迅速な測定方法が
討されており、排ガス中の有機ハロゲン類
度とダイオキシン類濃度の相関関係を求め
この相関関係に従ってダイオキシン類濃度
迅速に測定する方法が検討されている。
本出願人は、このような測定方法として、
に特許第3458076号(特開2001-33433)を提案してい
る。この方法は、全有機ハロゲン類を採取、
定量して、その値からダイオキシン類濃度を
推定できるようにしたものである。
一方、渡辺らは、有機ハロゲン類の測定に いて、表面積の小さい吸着剤(10m 2 /g)を用いて低揮発性有機ハロゲン類を選択的 に採取することにより、低揮発性有機ハロゲ ン類とダイオキシン類との相関性が高まるこ とを見出した(第13回廃棄物学会研究発表会講 演論文集 2002,pp772-774)。この研究での低揮発 有機ハロゲン類とは、炭素数が12から20の化 合物である。
しかしながら、渡辺らの研究方法では、低
発性有機ハロゲン類濃度とダイオキシン類
度との相関性は、その相関係数が0.4~0.6程度
で低く、低揮発性有機ハロゲン類濃度からダ
イオキシン類濃度を十分な正確度で推定する
ことができない不具合がある。
よって、本発明における課題は、被測定 ス中のダイオキシン類濃度と高い濃度相関 を示す有機ハロゲン類を選択的に分離でき ようにし、被測定ガス中の前記有機ハロゲ 類濃度を測定して、ダイオキシン類濃度を 確に求めることができるようすることにあ 。
かかる課題を解決するために、本願発明者
は以下の発明をした。
[1]被測定ガスを吸着剤に吸着温度50~200℃で
触させて、被測定ガス中に含まれる有機ハ
ゲン類のうち、低揮発性有機ハロゲン類を
択的に吸着し、ついで低揮発性有機ハロゲ
類を吸着剤から脱着する有機ハロゲン類の
離方法。
[2]前記低揮発性有機ハロゲン類は、その 点が100℃以上である[1]に記載の有機ハロゲ 類の分離方法。
[3]脱着温度を300℃以上とする[1]又は[2]に 載の有機ハロゲン類の分離方法。
[4]前記吸着剤の表面積が10~240m 2 /gである[1]~[3]の何れかに記載の有機ハロゲン 類の分離方法である。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の分離方法によ って得られた低揮発性有機ハロゲン類の濃度 を定量する低揮発性有機ハロゲン類濃度の測 定方法。
[6][5]に記載の測定方法によって得られた 揮発性有機ハロゲン類濃度と、別途測定さ た被測定ガス中のダイオキシン類濃度との 関関係を求めておき、この相関関係に基づ て前記低揮発性有機ハロゲン類濃度から被 定ガス中のダイオキシン類濃度を推定する イオキシン類濃度の測定方法。
本発明によれば、吸着温度を50~200℃とする
とで、被測定ガス中の沸点が100℃以上の低
発性有機ハロゲン類が選択的に吸着される
この吸着された低揮発性有機ハロゲン類は
その濃度と被測定ガス中のダイオキシン類
度との相関性が高く、相関係数が0.99程度と
なる。このため、被測定ガス中の低揮発性有
機ハロゲン類濃度を計測することで、ダイオ
キシン類濃度を正確に知ることができる。
したがって、被測定ガス中のダイオキシン
濃度を迅速にかつ正確に求めることができ
。
1・・測定装置、2・・無機ハロゲン類除去 置、3・・第1の切替弁、4・・第1の吸着筒、 5・・第2の吸着筒、6・・第2の切替弁、7・・ 着用ガス源、8・・熱分解装置、9・・分析 置、10・・データ処理装置
図1は、本発明に分離方法および測定方法に
用いられる測定装置の一例を示すものである
。
この測定装置1では、予めダスト、水分を除
去した被測定ガスが無機ハロゲン類除去装置
2に送られ、ここで被測定ガス中の無機ハロ
ン類、例えば塩化水素、塩素ガス等が除去
れる。
無機ハロゲン類除去装置2には、粒径0.4~1mm
度の銀等の金属粒子や金属銀を担持したプ
スチック、セラミックからなる粒子あるい
フィルターを充填した除去筒などが用いら
る。
無機ハロゲン類除去装置2から導出された被
測定ガスは、第1の切替弁3を介して第1の吸着
筒4または第2の吸着筒5に送られる。
第1の切替弁3は、被測定ガスの流路を切り
えて第1の吸着筒4または第2の吸着筒5に被測
ガスを流すとともに、後述する脱着用ガス
流路を切り替えて第1の吸着筒4または第2の
着筒5に流すためのものである。
第1の吸着筒4または第2の吸着筒5内には、表 面積(BET法による測定値)が、好ましくは10~240m 2 /g、より好ましくは90~110m 2 /gの炭素系、好ましくはグラファイト系の吸 剤が充填されている。吸着剤の表面積が10m 2 /g未満では低揮発性有機ハロゲン類の吸着が 難であり、240m 2 /gを越えると吸着した低揮発性有機ハロゲン の脱着が困難となる。吸着剤が活性炭やゼ ライトでは表面積が大き過ぎ、樹脂系では 熱に弱い。
被測定ガスは、第1の吸着筒4に導入され、
着剤に吸着されるが、その際の吸着温度は
50~200℃、好ましくは90~110℃、さらに好まし
は100℃とされる。
吸着温度をこの温度範囲にするには、吸着
4、5の外側に温度調節用のヒータを設けて
熱し、吸着剤をこの温度範囲内に保ち、被
定ガスをこの温度範囲内に加温して導入す
方法などがある。
このような吸着温度条件においては、被測
ガス中の有機ハロゲン類のうち、低揮発性
機ハロゲン類が選択的に吸着され、高揮発
有機ハロゲン類が吸着されずにそのまま第1
の吸着筒4から第2の切替弁6を経て系外に排出
される。
この発明において、低揮発性有機ハロゲン
とは、その沸点が100℃以上、450℃以下であ
有機ハロゲン類を呼称し、高揮発性有機ハ
ゲン類とは、その沸点が-24℃以上、100℃未
である有機ハロゲン類を呼称するものとす
。
図2は、ダイオキシン類およびその前駆体 の分子量と沸点との関係を示したものである 。上述の図5に示したデノボ合成が進行する 、鎖状の有機ハロゲン類はベンゼン環を形 し、それに伴って分子量が大きくなり、沸 が高くなって100℃を越える。
吸着温度が50℃未満では、高揮発性有機ハ
ゲン類が気化せずに吸着剤に吸着してしま
、さらには被測定ガス中に残留する水分が
縮して吸着剤に吸着する可能性がある。
吸着温度が200℃を越えると低揮発性有機ハ
ゲン類が気化してしまい、十分に吸着剤に
着されず、回収率が低下する。
第1の吸着筒4の吸着剤が破過する寸前に 第1および第2の切替弁3、6を切り替えて、第2 の吸着筒5に被測定ガスを流し、第1の吸着筒4 には、脱着用ガス源7からの窒素、アルゴン ヘリウムなどの脱着用ガスを第1の切替弁3を 介して送り込み、ここに吸着されている低揮 発性有機ハロゲン類を吸着剤から脱着する。
この際の脱着温度は、300℃以上、好まし は300℃~500℃、更に好ましくは400~450℃とさ る。300℃未満の場合、低揮発性有機ハロゲ 類の脱着が不十分となり、500℃を越えると 着剤が劣化する。また、ダイオキシン類の 点もおよそこの温度域であり、吸着した低 発性有機ハロゲン類のほとんどが気化する 度でもある。
第1の吸着筒4からの脱着ガスは熱分解装置8
送られ、ここで、酸素ガス、空気などの酸
含有ガスが添加されて加熱分解される。
熱分解装置8は、石英などからなる燃焼チュ
ーブを備え、この燃焼チューブの外側に配さ
れたヒータにより、チューブ内に送り込まれ
た脱着ガスと酸素含有ガスとの混合ガスを700
~1000℃程度に加熱して燃焼させ、脱着ガス中
低揮発性有機ハロゲン類を分解して、ハロ
ン化水素、二酸化炭素、水等とするもので
る。
熱分解装置8からの熱分解ガスは、分析装置
9に送られ、ここで熱分解ガス中のハロゲン
水素濃度が定量分析される。
分析装置9には、ガスクロマトグラフ、液体
クロマトグラフ、電量滴定分析装置、電気伝
導度測定装置、イオン電極分析装置、赤外分
光分析装置、プラズマ発光分析装置などが用
いられるが、なかでもASTM D5808に準拠してい
電量滴定分析装置が好ましい。
また、電量滴定分析装置では、分析の度に
量線を作成する必要がなく、簡易、迅速に
動的に高精度で定量が可能である。
分析装置9によって計測されたハロゲン化 水素濃度の測定値は、データ処理装置10に送 れ、ここでハロゲン化水素濃度に基づいて 揮発性有機ハロゲン類濃度が演算され、さ にダイオキシン類濃度が演算される。
第2の吸着筒5の吸着剤が破過寸前になると
第1および第2の切替弁3、6を切り替えて、第2
の吸着筒5に脱着用ガスを流し、同様の操作
行い、第1の吸着筒4に再び被測定ガスを流す
。
以下、同様の操作を繰り返すことで、被測
ガス中のダイオキシン類濃度を連続的に測
できる。
このような分離測定方法では、被測定ガス
ら分離された低揮発性有機ハロゲン類濃度
被測定ガス中のダイオキシン類濃度との相
性が極めて高いものとなる。
図3は、被測定ガスを吸着温度25℃と100℃と
、吸着、分離して定量した低揮発性有機ハ
ゲン類濃度と、同じ被測定ガス中のJIS K0311
に定めた公定法によるダイオキシン類濃度と
の相関関係を示すものである。図3において
TEQとは、測定されたダイオキシン類の量を
最も毒性が強い2,3,7,8-TeCDDの毒性に換算して
したものである。また、Clは塩素を表し、N
標準状態を表す。
ここで、被測定ガスには一般廃棄物焼却施
からの排ガスを用い、吸着剤には表面積100m
2
/gのグラファイト系吸着剤を使用し、吸着用
スには窒素を用い、脱着温度は450℃で行っ
。
図3のグラフから、どちらの吸着温度条件に
おいても、低揮発性有機ハロゲン類とダイオ
キシン類濃度とは正の相関が見られたが、相
関性のバラツキは25℃よりも100℃の方が小さ
った。
また、低揮発性有機ハロゲン類に対する イオキシン類濃度は25℃での吸着よりも100 での吸着の方が10倍以上大きかった。これは 、有機ハロゲン類に占めるダイオキシン類の 割合が、25℃で吸着した場合よりも100℃で吸 した場合の方が10倍以上高いことを示して る。
図3に示した結果を回帰分析し、相関係数 (R)を求めた結果を図4に示す。図4において、T EQ_ダイオキシンとは、測定されたダイオキシ ン類の量を、最も毒性が強い2,3,7,8-TeCDDの毒 に換算した場合を表す。図4から、25℃で吸 した有機ハロゲン類とダイオキシン類とのR 0.68~0.73であったが、100℃で吸着した相関係 は0.99であった。これは、100℃での吸着の方 が25℃での吸着よりも相関性が高いことを示 ており、ダイオキシン類の代替指標として り有効であることを意味している。
以上のように、この分離測定方法によって
被測定ガス中の低揮発性有機ハロゲン類を
離してその濃度を定量することで、被測定
ス中のダイオキシン類濃度を正確に推定す
ことができる。
さらに、この方法では、短時間で簡単な操
によって、現行の公定法によらずともそれ
匹敵する精度でダイオキシン類濃度を知る
とができる。
本発明によれば、吸着温度を50~200℃とする
とで、被測定ガス中の沸点が100℃以上の低
発性有機ハロゲン類が選択的に吸着される
この吸着された低揮発性有機ハロゲン類は
その濃度と被測定ガス中のダイオキシン類
度との相関性が高く、被測定ガス中の低揮
性有機ハロゲン類濃度を計測することで、
イオキシン類濃度を正確に知ることができ
。
したがって、被測定ガス中のダイオキシン
濃度を迅速にかつ正確に求めることができ
ため、産業上極めて有用である。