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Patent Searching and Data


Title:
METHOD FOR STABILIZATION OF ANTIBODY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/117646
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for stabilizing an antibody, which is characterized by allowing the antibody to exist together with serisin and/or a hydrolysate or equivalent thereof.

Inventors:
NISHIYA YOSHIAKI (JP)
OGAWA AKIKO (JP)
SASAKI MASAHIRO (JP)
YAMADA HIDEYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054062
Publication Date:
October 02, 2008
Filing Date:
March 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYO BOSEKI (JP)
SEIREN CO LTD (JP)
NISHIYA YOSHIAKI (JP)
OGAWA AKIKO (JP)
SASAKI MASAHIRO (JP)
YAMADA HIDEYUKI (JP)
International Classes:
C07K16/00; C07K17/00; G01N33/531; A61K47/42; A61K49/00
Domestic Patent References:
WO2002086133A12002-10-31
Foreign References:
JP2007151546A2007-06-21
JP2006047255A2006-02-16
JPH05279382A1993-10-26
JPH06186230A1994-07-08
Other References:
TERADA S. ET AL.: "Sericin o Riyo shita, Koritsuteki na Monoclonal Kotai Seisan", ABSTRACTS OF ANNUAL MEETING OF THE SOCIETY OF CHEMICAL ENGINEERS, JAPAN, vol. 71ST, 8 February 2006 (2006-02-08), pages 69
ITO K. ET AL.: "Sericin ni yoru Hybridoma Saibo no Kotai Sanseino no Kojo", JAPAN SOCIETY FOR BIOSCIENCE, BIOTECHNOLOGY, AND AGROCHEMISTRY TAIKAI KOEN YOSHISHU, vol. 2006, 5 March 2006 (2006-03-05), pages 284
TAKADA N. ET AL.: "Sericin o Riyo shita Dobutsu Saibo ni yoru Yuyo Busshitsu Seisan", ABSTRACTS OF ANNUAL MEETING OF THE SOCIETY OF CHEMICAL ENGINEERS, JAPAN, vol. 72ND, 19 February 2007 (2007-02-19), pages 335
"1.6 Kokessei no Bunriho to Hozonho, Bunshi Men'ekigaku III - Kogen. Kotai. Hotai -", 5 February 1992 (1992-02-05), pages 9 - 10
NISHIYA Y. ET AL.: "Sericin Hydrolysate ni yoru Koso no Anteika", JAPAN SOCIETY FOR BIOSCIENCE, BIOTECHNOLOGY, AND AGROCHEMISTRY TAIKAI KOEN YOSHISHU, vol. 2007, 5 March 2007 (2007-03-05), pages 18
HAYAKAWA K. ET AL.: "Sericin no Koso Hogo Sayo", M&T GIJUTSU JOHO, no. 211, 1995, pages 4 - 5
HAYAKAWA K. ET AL.: "Sericin no Yuko Riyo ni Kansuru Kenkyu (3rd report) Sericin no Koso Hogo Sayo", REPORT OF KYOTO PREFECTURAL TECHNOLOGY CENTER FOR SMALL AND MEDIUM ENTERPRISES, no. 21, 1993, pages 43 - 45, XP003012795
NISHIYA Y. ET AL.: "Sericin Hydrolysate ni yoru Koso Oyobi Kotai no Anteika", ABSTRACTS OF THE ANNUAL MEETING OF THE SOCIETY FOR BIOTECHNOLOGY, JAPAN, vol. 59TH, 2 August 2007 (2007-08-02), pages 58
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (IMP Building 3-7, Shiromi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 01, JP)
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Claims:
 抗体を、セリシンおよび/またはその加水分解物、もしくはその同等物と共存させることを特徴とする、抗体の安定化方法。
 抗体が液体状態であることを特徴とする、請求項1記載の抗体の安定化方法。
 抗体が乾燥状態であることを特徴とする、請求項1記載の抗体の安定化方法。
 抗体が担体に固定化されていることを特徴とする、請求項2記載の抗体の安定化方法。
 抗体が担体に固定化されていることを特徴とする、請求項3記載の抗体の安定化方法。
 セリシンおよび/またはその加水分解物が、繭糸または生糸から抽出した天然セリシンに由来するものであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項記載の抗体の安定化方法。
 セリシン同等物が遺伝子工学的手法により得られたものであることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項記載の抗体の安定化方法。
 抗体が、セリシンおよび/またはその加水分解物、もしくはその同等物と共存していることを特徴とする、組成物。
 抗体が液体状態であることを特徴とする、請求項8記載の組成物。
 抗体が乾燥状態であることを特徴とする、請求項8記載の組成物。
 抗体が担体に固定化されていることを特徴とする、請求項9記載の組成物。
 抗体が担体に固定化されていることを特徴とする、請求項10記載の組成物。
 セリシンおよび/またはその加水分解物が、繭糸または生糸から抽出した天然セリシンに由来するものであることを特徴とする、請求項8~12のいずれか1項記載の抗体の組成物。
 セリシン同等物が遺伝子工学的手法により得られたものであることを特徴とする、請求項8~12のいずれか1項記載の抗体の組成物。
 抗体を、セリシンおよび/またはその加水分解物、もしくはその同等物と共存させる工程を含むことを特徴とする、組成物の製造方法。
 請求項8~14のいずれか1項記載の組成物を含むことを特徴とする診断薬。
 請求項8~14のいずれか1項記載の組成物を含むことを特徴とするバイオセンサー。
Description:
抗体の安定化方法

 本発明は抗体の安定化方法に関する。詳 くは、抗体を、セリシンおよび/またはその 加水分解物、もしくはその同等物と共存させ ることにより、液体状態または乾燥状態で長 期間安定化することが可能な抗体の安定化方 法に関するものである。

 抗体は、その基質特異性の高さや簡便性 ら、免疫学的測定用試薬として、臨床診断 はじめ様々な用途に応用されてきた。具体 には例えば、分子生物学用途の分析試薬、 化学用途の分析試薬、体外診断薬などであ 。これら試薬に適用する抗体は、各種化合 による標識や修飾などを受けることもある そして、これら試薬は、目的や用途に応じ 、液体状態、乾燥状態、または、抗体を担 に固定化し緩衝液などに浸漬した状態、あ いは、乾燥した状態で提供される。

 上記のような抗体含有組成物の性能を長 にわたって維持するためには、言うまでも く抗体の活性を安定に維持することが重要 ある。例えば、組成物中の抗体活性が時間 過により低下する場合には、所望の組成物 有効期間と抗体の活性低下速度に合わせて 予め過剰量の抗体を添加する方策があるが 多くの場合、このような方策では問題の根 的な解決にはならず、抗体のコストが嵩む とは避けられない。

 そこで、一般のタンパク質を含む組成物 同様、抗体含有組成物中にリン酸塩、塩酸 、硫酸塩等の塩類、ラクトース、スクロー 、トレハロース等の糖類、グリセロール、 チレングリコール、エリスリトール等の多 アルコール、アルギニン、リジン、グリシ 等のアミノ酸、脂肪酸エステル、ポリオキ エチレン(20)ソルビタンモノラウレート、ポ リオキシエチレン(10)オクチルフェニルエー ル等の界面活性剤、アルブミン、カゼイン ゼラチン等のタンパク質などを共存させる とで、安定化を図る方法が多数提案されて た(例えば、特許文献1~7)。なかでも、牛血清 アルブミンは、その優れた効果から、安定化 剤として広く用いられてきた。

 しかしながら、牛血清アルブミンは、供給 に制限があり非常に高価であるため、組成 のコスト上昇を招くことになる。また、牛 清アルブミンなどの動物性タンパク質は、 イルスによる感染の危険があり、安全性が 分に確保できない虞がある。さらには、着 に対する配慮も必要となる。
 また、塩類やアミノ酸を溶液中で用いると 溶解度の低さや保存中の析出により、十分 添加することができず、所望の効果が得ら ない場合がある。また、糖類やアミノ酸を 断薬に適用すると、試薬系に共存する若し は抗体中に混在する夾雑物質と安定化剤と 意図しない反応を引き起こす場合がある。 た、多価アルコールや界面活性剤は、抗原 の反応を妨げる場合がある。
 さらに、従来提案されている安定化剤の多 は、抗体の種類により安定化効果に差があ 、汎用性を欠くものであった。

特開昭60-35263号公報

特表昭63-500562号公報

特開平6-186230号公報

特開平9-80051号公報

特開平10-279594号公報

特表2001-503781号公報

特開2003-215127号公報

 本発明はこのような現状に鑑みてなされ ものであり、その目的とするところは、液 状態であるか乾燥状態であるかを問わず広 適用することが可能であって、抗体を長期 わたって安定化する方法を提供することで る。

 本発明者らは、上記目的を達成する為に 々検討した結果、抗体を、セリシンおよび/ またはその加水分解物、もしくはその同等物 と共存させることにより、抗体を効果的に安 定化できることを見出し、本発明を完成させ るに至った。

 すなわち、本発明は以下のようなものであ 。
(1)抗体を、セリシンおよび/またはその加水 解物、もしくはその同等物と共存させるこ を特徴とする、抗体の安定化方法。
(2)抗体が液体状態であることを特徴とする、 (1)記載の抗体の安定化方法。
(3)抗体が乾燥状態であることを特徴とする、 (1)記載の抗体の安定化方法。
(4)抗体が担体に固定化されていることを特徴 とする、(2)記載の抗体の安定化方法。
(5)抗体が担体に固定化されていることを特徴 とする、(3)記載の抗体の安定化方法。
(6)セリシンおよび/またはその加水分解物が 繭糸または生糸から抽出した天然セリシン 由来するものであることを特徴とする、(1)~( 5)のいずれかに記載の抗体の安定化方法。
(7)セリシン同等物が遺伝子工学的手法により 得られたものであることを特徴とする、(1)~(5 )のいずれかに記載の抗体の安定化方法。

 本発明の別の態様によれば、安定化された 体を含む組成物が提供される。すなわち、
(8)抗体が、セリシンおよび/またはその加水 解物、もしくはその同等物と共存している とを特徴とする、組成物。
(9)抗体が液体状態であることを特徴とする、 (8)記載の組成物。
(10)抗体が乾燥状態であることを特徴とする (8)記載の組成物。
(11)抗体が担体に固定化されていることを特 とする、(9)記載の組成物。
(12)抗体が担体に固定化されていることを特 とする、(10)記載の組成物。
(13)セリシンおよび/またはその加水分解物が 繭糸または生糸から抽出した天然セリシン 由来するものであることを特徴とする、(8)~ (12)のいずれかに記載の抗体の組成物。
(14)セリシン同等物が遺伝子工学的手法によ 得られたものであることを特徴とする、(8)~( 12)のいずれかに記載の抗体の組成物。

 本発明のさらに別の態様によれば、前記組 物の製造方法が提供される。すなわち、
(15)抗体を、セリシンおよび/またはその加水 解物、もしくはその同等物と共存させる工 を含むことを特徴とする、組成物の製造方 。

 本発明のさらにまた別の態様によれば、前 組成物を含む診断薬およびバイオセンサー 提供される。すなわち、
(16)(8)~(14)記載の組成物を含むことを特徴とす る診断薬。
(17)(8)~(14)記載の組成物を含むことを特徴とす るバイオセンサー。

 本発明によれば、抗体を、セリシンおよ /またはその加水分解物、もしくはその同等 物と共存させることにより、液体状態、乾燥 状態の如何に関わらず抗体の安定性を効果的 に向上させることができる。したがって、抗 体を含む組成物の有効性を長期にわたって維 持することが可能となる。

マウスIgGに対する定量性を示すグラフ ある。 HSAに対する定量性を示すグラフである

 以下に本発明を詳細に説明する。
 本発明の抗体の安定化方法は、抗体を、セ シンおよび/またはその加水分解物、もしく はその同等物と共存させることを要旨とする ものである。

 本発明において、抗体は液体状態または 燥状態にいずれであってもよい。また、抗 は担体に固定化されていてもよい。本明細 において、「液体状態」とは、抗体が液体 に存在することをいい、抗体が液体に完全 溶解している状態、懸濁液のように液体に 散している状態、担体に固定化され、液体 浸漬された状態も包含するものとする。

 本発明において「安定化」とは、抗体があ 物質と共存した場合(a)と共存していない場 (b)において、抗体を一定期間保存した後の 抗体の保持する残存機能が(a)>(b)となるよ うな状態をいう。
 例えば、抗体が液体状態で、ある物質を共 させた場合(a)と、共存させない場合(b)で、 当な温度で一定時間保存した後の残存活性 比率が、(a)>(b)となる状態をいう。
 また、抗体が乾燥状態で、ある物質を共存 せた場合(a)と、共存させない場合(b)で、適 な温度で一定時間保存した後の残存活性の 率が、(a)>(b)となる状態をいう。
 さらに、抗体が担体に固定化され、かつ、 体に浸漬状態で、ある物質を共存させた場 (a)と、共存させない場合(b)で、適当な温度 一定時間保存した後の残存活性の比率が、( a)>(b)となる状態をいう。
 さらにまた、抗体が担体に固定化され、か 、乾燥状態で、ある物質を共存させた場合( a)と、共存させない場合(b)で、適当な温度で 定時間保存した後の残存活性の比率が、(a)& gt;(b)となる状態をいう。

 安定化の評価は、例えば、ある物質を共存 せた場合(a)と、共存させない場合(b)につい それぞれ残存活性を経時的に測定し、半減 を比較することによって行うことができる
 「適当な温度で一定時間保存」の条件は、 記(a)と(b)で残存活性に差があらわれる条件 あれば特に限定されないが、好ましくは、 断薬などでの長期保存安定性を念頭に置い 加速(苛酷)試験の条件が選択される。具体 には、「40℃で2週間保存」、「50℃で1週間 存」などが挙げられる。時間が許せば、抗 を含む診断薬などが実際に長期保存される 度として汎用される2℃~10℃の冷蔵条件下で6 ヶ月間以上の保存を選択してもよい。

 本発明の一実施態様としては、リン酸緩衝 理食塩水(pH7.2~7.5)中で、抗体を50℃で6日間 存した後の残存活性率を、セリシンを共存 せることによって、セリシンを共存させな 場合に比べて向上させる方法である。
 本発明の別の実施態様としては、抗体をポ 塩化ビニル製のアッセイプレートに固定化 、乾燥した状態で、50℃で8日間保存した後 残存活性率を、セリシンを共存させること よって、セリシンを共存させない場合に比 て向上させる方法である。
 上記実施態様において、セリシンに替えて リシン加水分解物またはセリシン同等物を
用いても良い。また、本発明が上記実施態様 に限定されないことは言うまでもない。

 ここでセリシンとは、繭糸または生糸に存 する非結晶性の天然タンパク質であり、本 細書においては特に、繭糸または生糸から 加水分解物の状態で抽出されたものをいう のとする。セリシンは、国際公開第2002/08613 3号パンフレットに開示されるアミノ酸配列 有し、38アミノ酸からなる機能性ペプチドを 反復配列として含んでなる。加水分解物とは 、該機能性ペプチドを含む天然物由来セリシ ンを、酸やアルカリなどにより加水分解した ものである。また、同等物とは、少なくとも 1以上の機能性ペプチドを含むように化学合 されたものや、遺伝子工学的手法により得 れたものをいう。さらに、これらにおいて 、本発明の安定化作用を損なわない範囲内 、あるいはその特性を改善する目的で、天 型アミノ酸配列に対して、アミノ酸残基が 失、置換、挿入、付加されたものであって よい。本発明に用いるセリシンやその加水 解物、その同等物は、国際公開第2002/086133号 パンフレットに開示される公知の方法に従っ て得ることができる。
 本発明の実施例においては、入手が容易な 水分解物を用いている。なお、加水分解物 分子量は、安定化作用を有する限り特に限 されないが、取扱い性の点から、重量平均 子量が5,000~100,000、特には10,000~50,000の範囲 あるものが好ましく用いられる。

 セリシンおよび/またはその加水分解物、 もしくはその同等物の使用量は、使用する抗 体の種類、抗体の濃度、抗体を含む組成物の 形態などによって適宜設定すればよい。例え ば、組成物が液体状態である場合、0.1~200g/L 好ましくは0.1~100g/L、より好ましくは0.2~20g/L 濃度で添加することができる。このとき、 体と、セリシンおよび/またはその加水分解 物、もしくはその同等物の重量比は、1:1~1:10, 000,000、好ましくは1:10~1:1,000,000、より好まし は1:100~1:100,000とすることができる。

 本発明の対象となる抗体は特に限定される のではないが、典型的には臨床診断に用い れる抗体である。具体的には例えば、マウ IgGや免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM、IgD、IgE) また、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス、 HTLV(成人T細胞白血病ウイルス)、HIV(エイズウ ルス)、インフルエンザウイルス、クラミジ ア、梅毒トレポネーマ、トキソプラズマ等の 各種感染症の病原体を抗原とする抗体などを 挙げることができる。抗体はポリクローナル 抗体であっても、モノクローナル抗体であっ てもよく、モノクローナル抗体の混合物であ ってもよい。また、酵素処理や遺伝子工学的 に断片化されたF(ab’)2、Fab’、Fab等の抗体フ ラグメントであってもよい。
 さらに抗体は、ペルオキシダーゼ、アミラ ゼ、カタラーゼ、グルコースオキシダーゼ グルコースデヒドロゲナーゼ、アルカリフ スファターゼ、β-ガラクトシダーゼ等の各 酵素や、蛍光色素、金属コロイド、着色ラ ックス粒子などで標識されていてもよい。
 本発明の対象となる抗体の保存状態は特に 定されるものではなく、液体状態であって 、凍結状態であっても、乾燥状態であって よく、任意の状態で保存されたものが使用 き、一度乾燥したものを液体に再溶解また 再懸濁させたものを包含するものとする。

 本発明の抗体の安定化方法によれば、安定 された抗体を含む組成物が提供される。組 物の存在状態は、液体状態であっても、乾 状態であってもよく、特に限定されない。 た、抗体が担体に固定化されていてもよく この状態で液体に浸漬した状態であっても 乾燥した状態であってもよい。なお、組成 が液体状態である場合、抗体が液体に完全 溶解している状態のみならず、懸濁液のよ に液体に分散している状態も包含するもの する。
 このような組成物は、チップ状、スリット などの形態に加工される場合もある。そし 、適当な容器に入れられたり、適当なデバ スに搭載されたりして、例えば、分子生物 用途の分析試薬、生化学用途の分析試薬、 外診断薬、バイオセンサー、医薬品などと て、またこれらを含むキットとして提供さ る。

 組成物は、安定化、形状改善などの目的で さらに他の物質を含んでいてもよい。
 液体状態の組成物は、少なくとも、目的と る抗体と、セリシンおよび/またはその加水 分解物、もしくはその同等物を、水、生理食 塩水、各種水性緩衝液などの液体に溶解また は懸濁することによって調製することができ る。このとき、抗体の濃度は特に限定される ものではないが、通常、0.001~100mg/mL、好まし は0.01~10mg/mLである。また、水性緩衝液とし 具体的には、PIPES、MES、TES、MOPS、HEPES等のGo od緩衝液、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ 緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液な 、分子生物学あるいは生化学の分野で公知 緩衝液を挙げることができる。このような 成物は硫安、燐安、食塩、塩化カリウム等 塩類を含んでいてもよい。また、グリセロ ル、エチレングリコール等の多価アルコー 類、アルキルグルコシド、ポリエチレング コールアルキルエーテル、脂肪酸アルコー エステル等の界面活性剤を含んでいてもよ 。さらに、アジ化物、1,1‘-Methylen-bis[3-(1-hyd roxymethyl-2,4-dioximidazolidin-5-yl)-urea]、2-Methyl-3(2H) -isothiazolone-hydrochloride、5-Bromo-5-nitro-1,3-dioxane 2-Hydroxypyridine-N-oxide、2-Chloroacetamide等の防腐 を含んでいてもよい。

 乾燥状態の組成物は、前記液体状態の組 物を、定法により乾燥、例えば凍結乾燥、 霧乾燥することによって調製することがで る。このような組成物は、一般的な安定剤 形状改善剤として、グルコース、フルクト ス、ガラクトース、マンノース、キシロー 、ラクトース、シュークロース、ラフィノ ス、トレハロース、シクロデキストリン、 ルラン、イヌリン、可溶性デンプン等の糖 、グルシトール、マンニトール、イノシト ル、キシリトール等の糖アルコール類、グ シン、アラニン、セリン、トレオニン、グ タミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、 スパラギン、リジン、ヒスチジン等のアミ 酸およびアミノ酸塩、グリシルグリシン、 リシルグリシルグリシン等のペプチド類、 ン酸塩、ホウ酸塩、硫酸塩、トリス塩等の 機塩類、ゼラチン、カゼイン、アルブミン のタンパク質、ポリオキシエチレンアルキ エーテル、ポリエチレングリコールアルキ エーテル等の界面活性剤などを含んでいて よく、乾燥前の液体状態の段階で添加して けばよい。

 前記液体状態および乾燥状態の組成物に いて、抗体が特に酵素標識されている場合 あっては、標識した酵素を安定化させる目 で、NAD+、NADH、NADP+、NADPH、ATP、ADP、AMP、GTP GMP、FADやFMN、ビオチン、ナイアシン、コバ ミン、PQQ等の補酵素類、ナトリウム、カリ ム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、リ ウム、銅、鉄、マンガン等の金属塩、硝酸 、リン酸塩、硫酸塩、ホウ酸塩、トリス塩 の塩類、チオール化合物、セレン化合物、 ミノ酸及びアミノ酸塩、糖および配糖体を んでいてもよい。また、フェノール系およ アニリン系の各種トリンダー試薬、カプラ である4-アミノアンチピリン、テトラゾリ ム塩類、フエナジンメトサルフェート等の 子キャリヤー、ロイコ系試薬等の色素類、 質類を含んでいてもよい。さらに、非特異 応防止剤を含んでいてもよい。非特異反応 止剤としては、特に限定されるものではな が、標識抗体と同種の抗体、標識抗体と同 の酵素を含むことができる。同種の抗体と ては、マウスIgG、マウスIgM、高分子量化さ たマウスIgG重合体、ヤギIgG、ヒツジIgG、ウ IgG、ラットIgG、ウサギIgG等を挙げることが きる。これらは、動物血清、腹水など体液 まま添加することもできるが、ウイルス不 化処理、補体非働化処理、脱脂処理などを って添加することが望ましい。同種の酵素 しては、ペルオキシダーゼ、アミラーゼ、 タラーゼ、グルコースオキシダーゼ、グル ースデヒドロゲナーゼ、アルカリフォスフ ターゼ、β-ガラクトシダーゼ等を挙げるこ ができる。

 抗体が担体に固定されている場合において 用いられる担体は特に限定されるものでは く、免疫測定用として用いられているもの ら適宜選択すればよい。例えば、ポリスチ ン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合 高分子化合物、多孔性ガラス、ガラスビー 、磁性粒子等の無機物質などを挙げること できる。またその形態としては、チューブ プレート、マイクロタイタープレート、微 子等を挙げることができる。
 担体への抗体の固定化は、公知の方法に従 て行うことができる。例えば、グルタルア デヒド、ビスジアゾベンジジン、トリレン イソシアネート、ジフロロニトロベンゼン カルボジイミド類、キノン類、塩化クロム タンニン酸等のいわゆるカップリング剤を いた化学的結合法、抗体と担体を水、生理 塩水、各種水性緩衝液などの液体中で接触 せる物理的吸着法などを挙げることができ 。いずれの方法においても、抗体を担体に 定化した後、セリシンおよび/またはその加 水分解物、もしくはその同等物を共存させる 。
 組成物は、抗体が担体に固定化されていな 組成物同様、各種添加剤を含んでいてもよ 。
 かくして、抗体が担体に固定化され、かつ 液体に浸漬状態の組成物を調製することが きる。

 抗体が担体に固定化され、かつ、乾燥状態 組成物は、前記液体に浸漬状態の組成物を 定法により乾燥、例えば自然乾燥、通気乾 、真空乾燥、凍結乾燥することによって調 することができる。このとき、セリシンお び/またはその加水分解物、もしくはその同 等物による安定化効果を有効に発揮させるた め、乾燥前に、4℃で6~24時間、好ましくは10~2 0時間、または25℃で2~8時間、好ましくは4~6時 間、さらにまたは37℃で10分間~3時間、好まし くは30分間~2時間の浸漬時間をとることが望 しい。
 組成物は、抗体が担体に固定化されていな 組成物同様、各種添加剤を含んでいてもよ 。

 以下、本発明を実施例によりさらに詳し 説明するが、本発明は以下の実施例に限定 れるものではない。

 試験例1~3において、セリシン加水分解物は 以下の方法に従って調製した。
[セリシン加水分解物の調製]
 繭(家蚕(Bombyx mori)が作ったもの)1kgを、0.2% 酸ナトリウム水溶液(pH11~12)50L中で95℃にて2 間処理し、セリシンを部分加水分解して抽 した。得られた抽出液を平均孔径0.2μmのフ ルターを用いてろ過し、凝集物を除去した 、濾液を逆浸透膜により脱塩し、0.2%濃度の 色透明の精製液を得た。この精製液をエバ レーターを用いて濃度が約2%になるまで濃 させた後、凍結乾燥処理を行って、純度90% 上で、平均分子量20,000であるセリシン加水 解物の粉体100gを得た。

[試験例1]
 溶液状抗体に対する安定化試験
(1)溶液状マウスIgGの調製および保存
 安定化剤として、セリシン加水分解物およ ウシ血清アルブミン(以下BSAと表記、ナカラ イテスク社製)を試験した。各試験物質を、13 6mM塩化ナトリウム、8mMリン酸水素二ナトリウ ム、3mM塩化カリウムおよび1mMリン酸二水素カ リウムからなるリン酸緩衝生理食塩水(以下PB Sと表記、pH7.2~7.5)で10g/L濃度に溶解した後、0. 22μmフィルターでろ過し、試験物質溶液とし 。400μg/mLのマウスIgG溶液(Santa Cruz Biotechnolo gy社製)を上記試験物質溶液で50ng/mLに希釈し 保存安定性を評価した。すなわち、調製当 (day0)、および50℃または4℃で保存して6日目 おけるマウスIgGの活性を(2)の方法に従い測 し、残存活性率を求めた。各マウスIgG希釈 液は、測定前に室温に戻して、活性測定に した。

(2)マウスIgGの活性測定方法
 96ウェルアッセイプレート(平底タイプ、フ ルコン社製)の各ウェルに、PBSで希釈した1μ g/mLのヤギ由来抗マウスIgG抗体溶液(Chemicon社 )を100μL添加し、37℃で90分間インキュベート した。インキュベート終了後、各ウェルの溶 液をデカンテーションにより除去した。そこ へ、PBSで調製した5%(w/w)のスキムミルク溶液 180μL添加し、37℃で90分間インキュベートす ことにより、ヤギ由来抗マウスIgG抗体でコ ティングされていない部分のプレートのウ ル表面をコーティングした。インキュベー 終了後、各ウェルの溶液をデカンテーショ により除去し、0.1%(w/w)のTween20を含むPBS溶液 (以下、T-PBSと表記)でプレートを3回洗浄し、 らにPBSで1回洗浄した。そこへ、(1)で調製し た各マウスIgG希釈溶液を100μL添加し、37℃で9 0分間インキュベートすることにより抗原抗 反応を行った。

 インキュベート終了後、各ウェルの溶液 デカンテーションにより除去し、T-PBSでプ ートを3回洗浄し、さらにPBSで1回洗浄した。 そこへ、PBSで希釈した1.7μg/mLの西洋わさびペ ルオキシダーゼ(以下、HRPと表記)標識ヤギ由 抗マウスIgG抗体溶液(Cappel社製)を100μL添加 、37℃で90分間インキュベートした。インキ ベート終了後、各ウェルの溶液をデカンテ ションにより除去し、T-PBSでプレートを3回 浄し、さらにPBSで1回洗浄した。そこへ、HRP の基質として2mMオルトフェニレンジアミン二 塩酸溶液を75μL添加し、25℃で40分間反応させ た。反応終了後、発色の程度を波長490nm(対照 波長600nm)で測定した。

 各試験物質ともに、試料調製当日(day0)の吸 度からブランクにおける吸光度を差し引い 値(以下、吸光度差と表記)に対する、保存6 目における吸光度差の百分率(%)を求め、残 活性率とした。
 結果を表1に示した。

(3)結果
 50℃、6日間の保存において、マウスIgGの残 活性率は、無添加では0%、BSAでは89%であっ 。一方、セリシン加水分解物では84%であり BSAと同程度の値を示した。
 これらの結果から、セリシン加水分解物は 液状抗体に対して、BSAと同等の優れた抗体 定性を持つことが示された。

[試験例2]
 乾燥状固定化抗体に対する安定化試験-マウ スIgG定量系-
(1)乾燥状固定化ヤギ由来抗マウスIgG抗体プレ ートの調製および保存
 安定化剤として、セリシン加水分解物、BSA( ナカライテスク社製)、スキムミルク(ナカラ テスク社製)およびコムギ由来タンパク加水 分解物(Quest International社製)を試験した。各 験物質をPBSで1g/L濃度に溶解した後、0.22μmフ ィルターでろ過し、試験物質溶液とした。
 96ウェルアッセイプレート(平底タイプ、フ ルコン社製)の各ウェルに、PBSで希釈した1μ g/mLのヤギ由来抗マウスIgG抗体溶液(Chemicon社 )を100μL添加し、37℃で90分間インキュベート した。インキュベート終了後、各ウェルの溶 液をデカンテーションにより除去した。そこ へ、上記試験物質溶液を180μL添加し、37℃で9 0分間インキュベートすることにより、ヤギ 来抗マウスIgG抗体でコーティングされてい い部分のプレートのウェル表面をコーティ グし、固定化ヤギ由来抗マウスIgG抗体プレ トとした(day0)。その後、50℃のインキュベー ター内で乾燥させ、保存安定性を評価した。 すなわち、調製当日(day0)、および50℃で保存 て11日目における固定化ヤギ由来抗マウスIg G抗体の活性を(2)の方法に従い測定し、残存 性率を求めた。

(2)固定化ヤギ由来抗マウスIgG抗体の活性測定 方法
 (1)で調製した固定化ヤギ由来抗マウスIgG抗 プレートのうち、day0のものは、各ウェルの 溶液をデカンテーションにより除去し、T-PBS プレートを3回洗浄し、さらにPBSで1回洗浄 て、活性測定に供した。

 まず、400μg/mLのマウスIgG(Santa Cruz Biotechn ology社製)を1%(w/w)のスキムミルク溶液で希釈 、50ng/mL、25ng/mLおよび0ng/mL溶液を調製し、固 定化ヤギ由来抗マウスIgG抗体プレートに100μL 添加し、37℃で90分間インキュベートするこ により抗原抗体反応を行った。

 インキュベート終了後、各ウェルの溶液 デカンテーションにより除去し、T-PBSでプ ートを3回洗浄し、さらにPBSで1回洗浄した。 そこへ、PBSで希釈した1.7μg/mLのHRP標識ヤギ由 来抗マウスIgG抗体溶液(Cappel社製)を100μL添加 、37℃で90分間インキュベートした。インキ ュベート終了後、各ウェルの溶液をデカンテ ーションにより除去し、T-PBSでプレートを3回 洗浄し、さらにPBSで1回洗浄した。そこへ、HR Pの基質として2mMオルトフェニレンジアミン 塩酸溶液を75μL添加し、25℃で40分間反応さ た。反応終了後、発色の程度を波長490nm(対 波長600nm)で測定した。

 各試験物質ともに、試料調製当日(day0)の 光度からブランクにおける吸光度を差し引 た値(以下、吸光度差と表記)に対する、保 11日目における吸光度差の百分率(%)を求め、 残存活性率とした。このうち、50ng/mLのマウ IgGを添加した場合の残存活性率を表2に示し 。

(3)結果
 50℃、11日間の保存において、固定化ヤギ由 来抗マウスIgG抗体の残存活性率は、無添加で は0%、BSAでは73%、スキムミルクでは76%、コム 由来タンパク加水分解物では80%であった。 方、セリシン加水分解物では93%であり、検 した安定化剤の中で最も高い値を示した。 た、図1に示すように、セリシン加水分解物 で保存した場合には、マウスIgGに対する定量 性も維持していた。
 これらの結果から、セリシン加水分解物は 定化された抗体に対して、BSA、スキムミル およびコムギ由来タンパク加水分解物より れた抗体安定性を持つことが示された。

[試験例3]
 乾燥状固定化抗体に対する安定化試験-ヒト 血清アルブミン(以下、HSAと表記)定量系-
(1)乾燥状固定化ヤギ由来抗HSA抗体プレートの 調製および保存
 安定化剤として、試験例2と同様の物質を試 験した。各試験物質をPBSで1g/L濃度に溶解し 後、0.22μmフィルターでろ過した溶液を試験 質溶液とした。
 96ウェルアッセイプレート(平底タイプ、フ ルコン社製)の各ウェルに、PBSで希釈した8μ g/mLのヤギ由来抗HSA抗体溶液(Cappel社製)を100μL 添加し、37℃で90分間インキュベートした。 ンキュベート終了後、各ウェルの溶液をデ ンテーションにより除去した。そこへ、上 試験物質溶液を180μL添加し、37℃で90分間イ キュベートすることにより、ヤギ由来抗HSA 体でコーティングされていない部分のプレ トのウェル表面をコーティングし、固相化 ギ由来抗HSA抗体プレートとした(day0)。その 、50℃のインキュベーター内で乾燥させ、 存安定性を評価した。すわなち、調製当日(d ay0)、および50℃で保存して8日目における固 化ヤギ由来抗HSA抗体の活性を(2)の方法に従 測定し、残存活性率を求めた。

(2)固定化ヤギ由来抗HSA抗体の活性測定方法
 (1)で調製した固定化ヤギ由来抗HSA抗体プレ トのうち、day0のものは、各ウェルの溶液を デカンテーションにより除去し、T-PBSでプレ トを3回洗浄し、さらにPBSで1回洗浄して、 性測定に供した。

 まず、HSA(シグマ社製)を1%(w/w)のスキムミ ク溶液で溶解し、40ng/mL、20ng/mLおよび0ng/mL 液を調製し、固定化ヤギ由来抗HSA抗体プレ トに100μL添加し、37℃で90分間インキュベー することにより抗原抗体反応を行った。

 インキュベート終了後、各ウェルの溶液 デカンテーションにより除去し、T-PBSでプ ートを3回洗浄し、さらにPBSで1回洗浄した。 そこへ、PBSで希釈した2.5μg/mLのHRP標識ヒツジ 由来抗HSA抗体溶液(Binding Site社製)を100μL添加 し、37℃で90分間インキュベートした。イン ュベート終了後、各ウェルの溶液をデカン ーションにより除去し、T-PBSでプレートを3 洗浄し、さらにPBSで1回洗浄した。そこへ、H RPの基質として2mMオルトフェニレンジアミン 塩酸溶液を75μL添加し、25℃で40分間反応さ た。反応終了後、発色の程度を波長490nm(対 波長600nm)で測定した。

 各試験物質ともに、試料調製当日(day0)の 光度からブランクにおける吸光度を差し引 た値(以下、吸光度差と表記)に対する、保 8日目における吸光度差の百分率(%)を求め、 存活性率とした。このうち、40ng/mLのHSAを添 加した場合の残存活性率を表3に示した。

(3)結果
 50℃、8日間の保存において、固定化ヤギ由 抗HSA抗体の残存活性率は、無添加では0%、BS Aでは6%、スキムミルクでは52%、コムギ由来タ ンパク加水分解物では5%であった。一方、セ シン加水分解物では66%であり、検討した安 化剤の中で最も高い値を示した。また、図2 に示すように、セリシン加水分解物で保存し た場合には、HSAに対する定量性も維持してい た。
 これらの結果から、セリシン加水分解物は 定化された抗体に対して、BSA、スキムミル およびコムギ由来タンパク加水分解物より れた抗体安定性を持つことが示された。

 本発明によれば、抗体の安定性を向上さ 、抗体を含む組成物の有効性を長期にわた て維持することが可能となる。特に臨床検 分野で用いられる診断薬用途として優れて り、産業界に寄与することが大である。