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Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF TREATING DIARSENIC TRIOXIDE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/011073
Kind Code:
A1
Abstract:
In treating arsenic in the form of diarsenic trioxide, it is intended to provide a method which satisfies the elution standard (in accordance with Environmental Ministerial Announcement No.13) and by which scorodite showing a good filtration performance a high stability can be formed at a high reproducibility without resorting to any troublesome procedure. Namely, diarsenic trioxide is treated by a treatment method which comprises: the percolation step wherein water is added to diarsenic trioxide to give a slurry and then the slurry is heated and arsenic is percolated under adding an oxidizing agent to thereby give a liquid (percolate); the deoxidization step of removing the oxidizing agent remaining in the percolate to give a liquid preparation; and the crystallization step wherein arsenic in the liquid preparation is converted into scorodite crystals.

Inventors:
ABUMIYA MITSUO (JP)
SATO YUSUKE (JP)
MIKAMI HIRONOBU (JP)
OOUCHI MASAMI (JP)
FUJITA TETSUO (JP)
MATSUMOTO MASAYOSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/070847
Publication Date:
January 22, 2009
Filing Date:
October 25, 2007
Export Citation:
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Assignee:
DOWA METALS & MINING CO LTD (JP)
ABUMIYA MITSUO (JP)
SATO YUSUKE (JP)
MIKAMI HIRONOBU (JP)
OOUCHI MASAMI (JP)
FUJITA TETSUO (JP)
MATSUMOTO MASAYOSHI (JP)
International Classes:
C01G28/00; C01G49/00; C02F1/58; C22B3/44
Domestic Patent References:
WO2000078402A12000-12-28
WO2006117424A12006-11-09
Foreign References:
JP2000219920A2000-08-08
JPS4838057B11973-11-15
JP2005161123A2005-06-23
JPS6124329B21986-06-10
Attorney, Agent or Firm:
ANIYA, Setuo (6-1 Iidabashi 4-chome,Chiyoda-ku, Tokyo 72, JP)
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Claims:
 三酸化二砒素に水を加えスラリーとし、当該スラリーを加温し酸化剤を加えながら砒素を浸出して浸出液を得る浸出工程と、
 当該浸出液に残留する酸化剤を除去し、調製液を得る脱酸工程と、
 当該調整液中の砒素をスコロダイト結晶へ転換する結晶化工程とを、有することを特徴とする三酸化二砒素の処理方法。
 前記浸出工程が、酸化剤として過酸化水素を用いることを特徴とする請求項1記載の三酸化二砒素の処理方法。
 前記脱酸工程が、前記浸出液と金属銅とを接触させ、残留する過酸化水素を除去するものであることを特徴とする請求項1記載の三酸化二砒素の処理方法。
 前記結晶化工程が、前記調整液へ第一鉄(Fe 2+ )塩を添加溶解し、当該第一鉄塩を酸化させることで、前記調整液中の砒素をスコロダイト結晶へ転換させるものであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の三酸化二砒素の処理方法。
 前記第一鉄塩の酸化の為に、前記調整液へ空気又は酸素又はこれら混合ガスを吹き込むことを特徴とする請求項4に記載の三酸化二砒素の処理方法。
 前記結晶化工程が、pH1以下の領域で行われること特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の三酸化二砒素の処理方法。
 前記結晶化工程が、50℃以上で行われることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の三酸化二砒素の処理方法。
Description:
三酸化二砒素の処理方法

 本発明は、三酸化二砒素から砒素を抽出 、これを安定な砒素化合物であるスコロダ トの結晶とする三酸化二砒素の処理方法に する。

 砒素を含有する化合物の安定化について、 下の文献が存在する。
 特許文献1には、製錬煙灰に含まれる砒素を 対象としたスコロダイトの生成方法が記載さ れている。

 特許文献2には、硫化砒素の浸出法に関し 、硫化砒素を含むスラリーに空気を吹き込み ながらアルカリを添加し、pHを5~8に保持しな ら砒素の浸出を行うことが記載されている

 非特許文献1は、砒酸鉄、砒酸カルシウム 、砒酸マグネシウムの溶解度積について報告 している。当該文献によれば、砒酸カルシウ ムと砒酸マグネシウムとは、アルカリ領域で のみ安定であり、一方、砒酸鉄は中性から酸 性領域で安定であり、極少の溶解度がpH3.2で2 0mg/Lと報告されている。

 非特許文献2には、砒酸鉄とスコロダイト との溶解度が開示されている。当該文献によ れば、弱酸性領域においてスコロダイトから の砒素の溶解度は、非結質の砒酸鉄のそれよ り2桁低いことが示され、スコロダイトが安 な砒素化合物であることを開示している。

 非特許文献3では、硫酸工場排水や製錬排 水に含まれる砒素を対象としたスコロダイト の生成方法が記載されている。

特開2005-161123号公報

特公昭61-24329号公報 西村忠久・戸沢一光:東北大学選鉱製錬 究所報告第764号第34巻第1号別刷 1978.June E.Krause and V.A.Ettel,“Solubilities and Stabili ties of Ferric Arsenate Compounds”Hydrometallurgy,22,3 11-337,(1989) Dimitrios Filippou and George P.Demopoulos,“Arse nic Immobilization by Cotrolled Scorodite Precipitation ”JOM Dec.,52-55,(1997)

 近年、世界的に非鉄製錬を取り巻く鉱石原 確保の環境は、非常に厳しいものがある。
特に、銅製錬の分野においては、非鉄メジャ ーによる寡占化が進み、さらに中国等の新た な消費大国が出現したことにより、需給が逼 迫した状況にある。
 当該状況下、各国においては環境分野への 制が強化され、義務化されつつある。本発 者らは、今後は環境と共存できる鉱山・製 所が当業界を主導していくものと考えた。

 ここで、非鉄製錬において懸念される公害 は、SO 2 ガスによる大気汚染や、砒素による土壌汚染 や排水汚染が挙げられる。特に砒素に関して は、将来的に銅鉱石中の砒素含有量が増える ことになることから、今までにも増して万全 の対策が必要となる。
 従来、国内の臨海非鉄製錬所では、クリー 精鉱を処理原料とすることで問題なく操業 行ってきた。しかし、今後、銅鉱石中の砒 含有量の増加が予想されることから、砒素 製錬中間産物として系外へ抜き出し、何ら の形で安定化し管理保管することが必要と ると考えた。

 ここで、本発明者らは、上述した文献を検 した。
 しかし、いずれの特許文献および非特許文 においても、三酸化二砒素や、三酸化二砒 を含む非鉄製錬中間産物から砒素を抽出し これを安定な砒素化合物とする三酸化二砒 の処理方法については記載がなかった。

 本発明は、このような状況の下でなされ ものであり、その解決しようとする課題は 三酸化二砒素から砒素を抽出し、濾過性に れ且つ安定なスコロダイトの結晶へと処理 る三酸化二砒素の処理方法を提供すること ある。

 本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭 研究を行った。その結果、三酸化二砒素に と酸化剤とを加え、浸出液中に砒素を浸出 せる浸出工程を実施し、次に、当該浸出液 残留する酸化剤を除去し、調製液を得る液 整工程を実施し、さらに、当該調整液中の 素をスコロダイト結晶へ転換する結晶化工 とを実施することで、砒素を、濾過性に優 且つ安定なスコロダイトとして回収するこ が可能になるとの全く新規な知見を得て、 発明を完成したものである。

 即ち、上述の課題を解決するための第1の手 段は、
 三酸化二砒素に水を加えスラリーとし、当 スラリーを加温し酸化剤を加えながら砒素 浸出して浸出液を得る浸出工程と、
 当該浸出液に残留する酸化剤を除去し、調 液を得る脱酸工程と、
 当該調整液中の砒素をスコロダイト結晶へ 換する結晶化工程とを、有することを特徴 する三酸化二砒素の処理方法である。

 第2の手段は、
 前記浸出工程が、酸化剤として過酸化水素 用いることを特徴とする第1の手段に記載の 三酸化二砒素の処理方法である。

 第3の手段は、
 前記脱酸工程が、前記浸出液と金属銅とを 触させ、残留する過酸化水素を除去するも であることを特徴とする第1の手段に記載の 三酸化二砒素の処理方法である。

 第4の手段は、
 前記結晶化工程が、前記調整液へ第一鉄(Fe 2+ )塩を添加溶解し、当該第一鉄塩を酸化させ ことで、前記調整液中の砒素をスコロダイ 結晶へ転換させるものであることを特徴と る第1から第3の手段のいずれかに記載の三酸 化二砒素の処理方法である。

 第5の手段は、
 前記第一鉄塩の酸化の為に、前記調整液へ 気又は酸素又はこれら混合ガスを吹き込む とを特徴とする第4の手段に記載の三酸化二 砒素の処理方法である。

 第6の手段は、
 前記結晶化工程が、pH1以下の領域で行われ こと特徴とする第1から第5の手段のいずれ に記載の三酸化二砒素の処理方法である。

 第7の手段は、
 前記結晶化工程が、50℃以上で行われるこ を特徴とする第1から第6の手段のいずれかに 記載の三酸化二砒素の処理方法である。

 本発明によれば、三酸化二砒素から砒素 抽出し、濾過性に優れ且つ安定なスコロダ トの結晶へと処理することが出来た。

 上述したように本発明は、三酸化二砒素に 化剤を加えながら、砒素を浸出した浸出液 得る浸出工程と、当該浸出液に残留する酸 剤を除去し、調製液を得る液調整工程と、
当該調整液中の砒素をスコロダイト結晶へ転 換する結晶化工程とを有する三酸化二砒素の 処理方法である。
 以下、図1に示すフローチャートを参照しな がら、1.三酸化二砒素、2.浸出工程、3.液調整 工程、4.脱酸工程、5.調整液中の砒素をスコ ダイト結晶へ転換する結晶化工程、の順に 細に説明する。

1.三酸化二砒素
 本発明に係る三酸化二砒素(1)は、非鉄製錬 どの産業において中間物として生成する。 らに、既存の製錬工程で砒素を、三酸化二 素を含む非鉄製錬中間産物として系外排出 ている製錬所に限られず、既に、砒素を三 化二砒素として貯蔵している製錬所にとっ も、本処理方法は有効である。

2.浸出工程
 本発明に係る浸出工程(2)について説明する
 本発明に係る浸出工程(2)において、三酸化 砒素(1)が固形である場合には、三酸化二砒 へ水を加えスラリーとし、これを加温し、 化剤を加えながら、砒素を浸出する。
 三酸化二砒素(1)が水分を多く含む場合は、 加する水の量を削減する。なお、当該水は 工業用水、排水工程での中間水でもよい。 化剤はスラリー後に添加すると、反応が安 するので好ましい。
 通常、三酸化二砒素は、下記(式1)にて3価砒 素として少量が水へ溶解する。しかし、当該 3価砒素の溶解度が小さい為、高濃度の砒素 液を得ることが難しい。因みに、図2に三酸 二砒素の水への溶解度を示した。
   As 2 O 3 (三酸化二砒素)+H 2 O=2HAsO 2 ・・・・・・(式1)
 図2は、縦軸に三酸化二砒素と砒素との溶解 度の値、横軸に温度を採ったグラフに、各温 度毎の亜砒酸の水への溶解度を■で、前記三 酸化二砒素中の砒素の溶解度を●でプロット したグラフである。

 一方、本発明では、後述する結晶化工程(5) おいて、生成するスコロダイト(6)の生産性 高めるために、反応開始時の砒素濃度が高 程好ましい。具体的には浸出液(3)において4 0g/L以上の砒素濃度が求められる。
 ここで、図2より、濃度40g/L以上の3価砒素溶 液を得る為には、液温を常に80℃以上に保て 良いことが解る。ところが、実操業におい は、濾過などの操作が必要になる為、液温 低下し、亜砒酸の結晶が晶出して濾布詰ま など生じ、操業が不可能となる等の問題が った。

 上述の問題を解決する為に、本発明者らが 究を行った結果、三酸化二砒素(1)中の3価砒 素を、溶解度が大きい5価砒素として浸出を うという画期的な着想を得た。
 因みに、5価砒素化合物である五酸化二砒素 (As 2 O 5 )の溶解度は非常に大きい(例えば1例として、 日本化学会編 改定3版 化学便覧 基礎編II p .167には、その溶解度が、As 2 O 5 飽和水溶液100gに含まれるAs 2 O 5 の質量が、20℃にて39.7gであると報告されて る。)。
 そこで、三酸化二砒素(1)中の3価砒素を、溶 解度が大きい5価砒素として浸出を行うとい 構成を用いれば、結晶化工程(5)において求 られる40g/L以上の砒素濃度を有する浸出液(3) を容易に得ることが出来ることに想到した。

 具体的には、三酸化二砒素に水を加えてス リーとし、これを加温し酸化剤を加えなが 浸出を行うものである。ところが、3価砒素 の5価砒素への酸化反応が律速反応となり、 中には3価砒素が濃縮されてしまい、砒素の 出ができない。
 ここで、本発明者等は、酸化剤の好ましい として過酸化水素を用いる構成に想到した 酸化剤に過酸化水素を用いることで、3価砒 素の5価砒素への酸化反応は短時間で進行す 。さらに、後述する浸出条件によれば、砒 のほぼ全量を、5価砒素として浸出できるも である。
 尚、本発明者等は、酸化剤として過酸化水 を用いた場合の、三酸化二砒素の5価砒素と しての水への総括溶解反応を(式2)(式3)と考え ている。
   As 2 O 3 +H 2 O+2H 2 O 2 =2H 2 AsO 4 - +2H + ・・・(式2)
   As 2 O 3 +H 2 O+2H 2 O 2 =2H 3 AsO 4 ・・・・・・・(式3)
 尚、上記(式2)、(式3)のH 2 O 2 に他に、H 2 O 2 の酸化力に近いか、又は、それ以上の酸化剤 も当然に使用可能と考えられるが、これらも 本特許の範疇である。
 生成する残渣(7)は、銅製錬(8)工程へ投入す ばよい。

 次に、当該浸出反応の反応条件について説 する。
(溶解方法・時間)
 所定量の三酸化二砒素と水とを調合しパル とする。当該パルプを50℃程度に昇温し、 酸化水素の添加をおこなう。過酸化水素の 加時間は10分間~15分間で良い。当該添加終了 時、液温は後述するように80℃程度となって る。そこで、当該状態で60分間以上攪拌を 持し、当該液の酸化還元電位が80℃で、450mV( VS;Ag/AgCl)以下となったら、反応は終了したと 断される。

(過酸化水素の添加量)
 上述したパルプに添加する過酸化水素量は 当該パルプに含有される砒素を全て3価砒素 と仮定し、当該3価砒素を5価砒素へ酸化する 必要な理論量(1倍当量)で良い。
 添加する過酸化水素量を、酸化還元電位を 安として決定する場合には、添加後の酸化 元電位が80℃で500mV以上(VS;Ag/AgCl)となってい れば良い。
 尚、用いる過酸化水素は、濃度30%~35%の汎用 的に使われているもので良い。

(反応温度)
 液温は、50℃以上とすることが好ましい。 れは、最初の段階における三酸化二砒素の への溶解と、溶解した3価砒素の5価砒素への 酸化反応を促進する為である。
 尚、酸化剤として過酸化水素を用いた場合 過酸化水素添加による3価砒素の5価砒素へ 酸化反応は発熱反応である。この為、例え 、最終的に砒素濃度50g/L程度の溶液を調製し ようとした場合、装置からの放熱状況の違い はあるものの、おおよそ液温60℃前後程度で 酸化水素の添加を開始すれば、所定量添加 了時の液温は約80℃となっている。

3.脱酸工程
 脱酸工程(4)は、当該浸出液に残留する酸化 を除去する工程である。
 これは、反応後に残留する酸化剤が、次工 の結晶化工程(5)で添加する第一鉄塩(2価鉄) 一部を酸化してしまうので、スコロダイト( 6)生成に好ましくないからである。
 浸出液(3)中に残留する過酸化水素を除去す には、金、銀等の金属のコロイドを添加し これを分解する方法も考えられる。しかし ハンドリング性やロスの発生による損失を えると実操業では不適である。
 ここで、本発明者等は、残留する酸化剤(例 えば、過酸化水素)を分解するのではなく、 費により除去する構成に想到した。具体的 は、被酸化剤(例えば、金属銅)と接触させ、 (式4)に示す様に消費により除去する。
   Cu 0 +H 2 O 2 +H 2 SO 4 =CuSO 4 +2H 2 O・・・・・(式4)
 反応温度は、反応を完結させるため40℃以 が好ましい。また、反応はpHの上昇を伴うが 、pHが一定値を示した時点で終了と判断出来 。

4.結晶化工程
 結晶化工程(5)は、脱酸工程(4)で得られた調 液中の5価砒素を、スコロダイト(6)へと結晶 化する工程である。
 前記脱酸工程(4)を終えて得られる調整液の 素濃度は、スコロダイト(6)の生産性を考え 場合、20g/L以上、好ましくは30g/L以上の濃厚 液であることが好ましい。
 まず、当該調整液に対し第一鉄(Fe 2+ )塩を添加溶解し、室温にて硫酸(H 2 SO 4 )を添加しpH1に調整する。ここで、第一鉄塩 合物は種々あるが、設備の耐腐食性の観点 よび入手の容易性の観点から、硫酸第一鉄 好ましい。
 第一鉄塩の添加量は、Fe純分量として被処 砒素総モル量の1倍当量以上、好ましくは1.5 当量である。

 第一鉄塩を添加し、pH調整を終えたら、 該調整液を所定の反応温度まで昇温する。 こで反応温度は、50℃以上であればスコロダ イト(6)が析出可能である。しかし、スコロダ イトの粒径を大きくする観点からは、反応温 度が高い程、好ましい。尤も、大気雰囲気下 での反応を可能とする観点からは、反応温度 を90~100℃とすることが望ましい。

 当該調整液が、所定の反応温度に到達した 、空気または酸素またはこれら混合ガスの き込みを開始し、強攪拌を行って気液混合 態をつくり、所定の反応温度を保ちながら 温酸化反応を進める。
 当該高温酸化反応は2~3時間程度で、下記、( 式5)~(式10)の様に進行すると考えられる。
(反応の前半)
  2FeSO 4 +1/2O 2 +H 2 SO 4 =Fe 2 (SO 4 ) 3 +H 2 O・・・・(式5)
  2H 3 AsO 4 +Fe 2 (SO 4 ) 3 +4H 2 O=2FeAsO 4 ・2H 2 O+3
H 2 SO 4 ・・・・(式6)
(全反応式(式5+式6)を、下記、(式7)に示す。)
   2H 3 AsO 4 +2FeSO 4 +1/2O 2 +3H 2 O=2FeAsO 4 ・2H 2 O+2H 2 SO 4 ・・・・(式7)
(As濃度が低下した反応後半)
   2FeSO 4 +1/2O 2 +H 2 SO 4 =Fe 2 (SO 4 ) 3 +H 2 O・・・・(式8)
   2/3H 3 AsO 4 +1/3Fe 2 (SO 4 ) 3 +4/3H 2 O=2/3FeAsO 4 ・2H 2 O+H 2 SO 4 ・・・・(式9)
(全反応式(式8+式9)を、下記、(式10)に示す。)
   2/3H 3 AsO 4 +2FeSO 4 +1/2O 2 +4/3H 2 O=2/3FeAsO 4 ・2H 2 O+2/3Fe 2 (SO 4 ) 3 ・・・・(式10)

 酸化方法にもよるが、当該高温酸化反応 始後、2時間~3時間で、pH、砒素濃、Fe濃度が 急激に低下する。当該段階において、液の酸 化還元電位は95℃で400mV以上(VS;Ag/AgCl)を示す そして、含有されている砒素の90%以上がス ロダイト(6)の結晶となる。当該高温酸化反 開始後、3時間以降は、液中に残留する砒素 少量低下するのみで、pHや液電位は殆ど変 しない。尚、当該高温酸化反応を完全に平 状態で終えるには、好ましくは5時間~7時間 継続を行う。

 上述した本発明に係る結晶化工程(5)によれ 、反応操作が簡単であり、途中pH調整の必 もなく、含有される砒素を確実にスコロダ ト(6)の結晶へ変換可能である。
 生成するろ液(9)は、排水処理工程(10)にて処 理すればよい。
得られるスコロダイト(6)の結晶は、沈降性、 濾過性に優れ、濾過後の付着水分が10%前後と 低く、さらに砒素品位が30%にも及ぶので減容 化が達成され、かつ、耐溶出性に優れ安定で ある。従って、砒素を、製錬工程から安定な 形として除去し保管可能となる。

 以下に実施例を示し、本発明をより具体的 説明する。
(実施例1)
<浸出>
 表1に品位を示す非鉄製錬における中間産物 の三酸化二砒素58.0gを、1リットルビーカー(4 バッフル付き)に投入し、純水850ccを加え攪 しながら加温し温度を60℃にした。この後 当該液へ過酸化水素の添加を開始した。こ で、過酸化水素は30%濃度のものである。
 過酸化水素の添加量は、前記亜砒酸に含有 れる砒素が全て3価砒素であるとみなして、 これを5価砒素に酸化するに必要な理論量の1 当量である。具体的には、濃度30%過酸化水 の場合65.7gである。
 当該過酸化水素の添加時間は12分間とし、 加終了時の温度を80℃に調整した。
 過酸化水素の添加終了後、反応を完結させ ため、90分間80℃で攪拌維持した。
 ついで、No.5Cろ紙を用い、吸引濾過し浸出 を回収した。
 回収された浸出液の品位を表2に示す。尚、 砒素は5価砒素である。
 また、反応時の温度-pH-酸化還元電位の推移 を表3に示す。尚、酸化還元電位はAg/AgCl基準 である。

(注)表中のmg/lは、文中のmg/Lと同義である。

<脱酸>
 脱酸剤として試薬1級の銅粉末を準備した。
 得られた浸出液へ銅粉2.5gを添加し反応温度 40℃で、脱酸工程を実施し調整液を得た。
 表4に反応の推移を示す。尚、酸化還元電位 はAg/AgCl基準値である。

 尚、当該調整液中の各元素濃度は、Cu濃 が121mg/Lと上昇した以外は、表2と同様であっ た。

<結晶化>
 調整液を純水で希釈し、砒素濃度を45g/Lに 整し、2Lビーカーに800ccを移し、95%硫酸を添 してpH1.15へ調整した。
 当該希釈液へ、含有される砒素のモル量の1 .5倍モル量に相当する鉄量を有する第一鉄(Fe 2+ )塩を添加した。具体的には、試薬1級の硫酸 一鉄(FeSO 4 ・7H 2 O)を各200g各々のビーカーへ投入して溶解した 。さらに95%硫酸を添加し、30℃でpH1.0へ調整 た。
 pH調整後、加熱して95℃へ昇温し、次いでビ ーカー底部よりガラス管を用い酸素ガスを950 cc/分で吹き込み、強攪拌下、気液混合状態で 7時間高温酸化反応しスコロダイトを生成さ た。調整液に含有された砒素のスコロダイ への転換率は96.9%であった。生成したスコロ ダイトの性状と溶出値とを表5に示す。尚、 出値は、環境庁告示13号法に準拠して測定し た。

(注)表中のmg/lは、文中のmg/Lと同義である。

本発明に係る砒素の処理方法を示すフ ーチャートである。 三酸化二砒素の水への溶解度を示した ラフである。