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Patent Searching and Data


Title:
METHOD OF VACUUM-ASSISTED RTM
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/114809
Kind Code:
A1
Abstract:
A method of vacuum-assisted RTM which comprises disposing a resin-diffusing medium over one side of a reinforcing-fiber base, covering the whole with a bag material, reducing the pressure inside the bag material, and injecting a resin into the resin-diffusing medium to diffuse the resin substantially in in-plane directions and then infiltrate the resin into the reinforcing-fiber base in the thickness direction. The method is characterized in that the resin-diffusing medium itself is changed in flow resistance in in-plane directions for the reinforcing-fiber base during the resin diffusion according to a plane-direction difference in basis weight or density between resin-impregnated parts of the reinforcing-fiber base or according to a plane-direction difference in distance from a resin impregnation initiation part to a resin impregnation completion part between resin-impregnated parts of the reinforcing-fiber base. When in-plane-direction resin flowability in the reinforcing-fiber base changes, the change can be relieved by the resin-diffusing medium. It is hence possible to stably obtain a desired molded article without fail.

Inventors:
NISHIYAMA SHIGERU (JP)
TAKEDA FUMIHITO (JP)
ODANI HIROSHI (JP)
MIZOBATA MASUMI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/055039
Publication Date:
September 25, 2008
Filing Date:
March 19, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI HEAVY IND LTD (JP)
TORAY INDUSTRIES (JP)
NISHIYAMA SHIGERU (JP)
TAKEDA FUMIHITO (JP)
ODANI HIROSHI (JP)
MIZOBATA MASUMI (JP)
International Classes:
B29C43/12; B29B15/10; B29C43/34; B29C48/76; B29C43/36; B29K105/06; B29K105/08
Domestic Patent References:
WO2005095079A12005-10-13
Foreign References:
JP2003025347A2003-01-29
JP2002192535A2002-07-10
JP2003039455A2003-02-13
JP2006159457A2006-06-22
JP2007015203A2007-01-25
JP2004188750A2004-07-08
JP2003011136A2003-01-15
JP2004249527A2004-09-09
Other References:
See also references of EP 2149441A4
Attorney, Agent or Firm:
BAN, Toshimitsu (Shinko Bldg.1-9, Nishishinjuku 8-chom, Shinjuku-ku Tokyo 23, JP)
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Claims:
 強化繊維基材の一面上に樹脂拡散媒体を配置し、全体をバッグ材で覆ってバッグ材内部を減圧し、樹脂を前記樹脂拡散媒体に注入して実質的に面内方向に拡散させた後前記強化繊維基材の厚み方向に含浸させる真空RTM成形方法において、前記強化繊維基材の一面に沿う方向における強化繊維基材の各樹脂含浸部間の目付または密度の差に対応させて、あるいは、前記強化繊維基材の各樹脂含浸部間の、前記強化繊維基材の一面に沿う方向における樹脂含浸開始部から樹脂含浸完了部までの長さの差に対応させて、前記樹脂拡散媒体自体の樹脂拡散の際の流動抵抗を、前記強化繊維基材の面内方向に変化させることを特徴とする真空RTM成形方法。
  前記樹脂拡散媒体を、複数の樹脂拡散媒体を積層して形成し、前記流動抵抗を、前記樹脂拡散媒体の積層枚数を強化繊維基材の面内方向に変化させることにより変化させる、請求項1に記載の真空RTM成形方法。
  前記流動抵抗を、前記樹脂拡散媒体の空隙率を強化繊維基材の面内方向に変化させることにより変化させる、請求項1に記載の真空RTM成形方法。
  前記流動抵抗の最大値と最小値の間に1.2倍以上の差を持たせる、請求項1~3のいずれかに記載の真空RTM成形方法。
  前記強化繊維基材の厚みが該強化繊維基材の面内方向に変化している、請求項1~4のいずれかに記載の真空RTM成形方法。
 前記強化繊維基材の厚みの最大値が最小値の1.5倍以上である、請求項5に記載の真空RTM成形方法。
  前記強化繊維基材の密度が該強化繊維基材の面内方向に変化している、請求項1~4のいずれかに記載の真空RTM成形方法。
 前記強化繊維基材が、炭素繊維からなる強化繊維糸条群と、該強化繊維糸条群と交差する方向の補助繊維糸条群から構成されている一方向性の織物である、請求項1~7のいずれかに記載の真空RTM成形方法。
  樹脂が前記樹脂拡散媒体に樹脂注入ラインを介して注入され、該樹脂注入ラインに対して垂直方向の前記強化繊維基材の長さが該強化繊維基材の面内方向に変化している、請求項1~4のいずれかに記載の真空RTM成形方法。
 請求項1~9のいずれかに記載の真空RTM成形方法により強化繊維基材に樹脂を含浸させる工程を有する、繊維強化樹脂成形品の製造方法。
Description:
真空RTM成形方法

  本発明は、真空RTM(Resin Transfer Molding)成 形方法に関し、とくに、強化繊維基材全体に わたって均一に樹脂を含浸させることができ 、安定して優れた品質の繊維強化樹脂(FRP)成 品を得ることが可能な真空RTM成形方法に関 る。

  強化繊維基材(通常、プリフォームとし 賦形された強化繊維基材)の一面全面にわた って樹脂拡散媒体を配置し、全体をバッグ材 で覆ってバッグ材内部を減圧し、樹脂を樹脂 拡散媒体に向けて注入し、注入樹脂を先ず実 質的に樹脂拡散媒体の面内方向に拡散させた 後、樹脂拡散媒体から強化繊維基材の厚み方 向に含浸させるようにした真空RTM成形方法が 知られている。このような真空RTM成形方法に おいては、プリフォームの樹脂流動性が不均 一な場合、プリフォームに含浸される樹脂の プリフォーム内での流動時間に差が出るため 、未含浸部が生じたり、先に含浸した樹脂が 、減圧吸引口とプリフォームとの間の吸気経 路を遮断することがあり、後の樹脂含浸を阻 害したりする問題が生じる場合がある。例え ば、プリフォームに厚みが異なる部分が存在 する場合や、プリフォームの長手方向におい て樹脂を含浸させるべき長さや幅の異なる部 分(樹脂含浸長の異なる部分)が存在する場合 これらの部分によって樹脂のプリフォーム での流動時間に差が出るため、未含浸部が じたり、先に含浸した樹脂が後の樹脂含浸 阻害したりする問題が生じる場合がある。

  真空RTM成形方法において樹脂拡散媒体 よる樹脂の拡散性を向上し、成形品の表面 性を改善するために、配置する樹脂拡散媒 の枚数を増加させる技術が知られているが( えば、特許文献1)、単に全面にわたって樹 拡散媒体の枚数を増加させるだけでは、樹 拡散媒体自体の内部流動性は改善できるも の、樹脂拡散媒体から強化繊維基材に樹脂 含浸させる際に、強化繊維基材の樹脂流動 に変化が存在する場合の、上記のような問 に対応することはできない。また、樹脂拡 媒体部分で多量の樹脂が拡散されるため、 脂の無駄が多くなるおそれがある。

  また、大型の面状体を真空RTM成形する 際し、樹脂注入ポートを多数設ける提案も されているが(例えば、特許文献2)、樹脂拡 媒体への樹脂注入は改善されても、樹脂拡 媒体から強化繊維基材に樹脂を含浸させる に、強化繊維基材の樹脂流動性に変化が存 する場合の、前記のような問題に対応する とはできない。

  さらに、網状立体構造の樹脂拡散媒体を 用する技術も提案されているが(例えば、特 文献3)、強化繊維基材の樹脂流動性に変化 の対応に関する言及はない。

特開2004-188750号公報

特開2003-011136号公報

特開2004-249527号公報

  そこで本発明の課題は、真空RTM成形方 において強化繊維基材に面内方向に樹脂流 性の変化が存在する場合に、その変化を樹 拡散媒体側で吸収できるようにし、製品ま は製品の主要構成部分となる樹脂含浸強化 維基材について、未含浸部が生じたり、先 含浸した樹脂が後の樹脂含浸を阻害したり る問題の発生を防止し、安定して確実に所 の成形品を得ることが可能な、真空RTM成形 法を提供することにある。

  上記課題を解決するために、本発明に る真空RTM成形方法は、強化繊維基材の一面 に、好ましくは全面にわたって、樹脂拡散 体を配置し、全体をバッグ材で覆ってバッ 材内部を減圧し、樹脂を前記樹脂拡散媒体 注入して実質的に面内方向に拡散させた後 記強化繊維基材の厚み方向に含浸させる真 RTM成形方法において、前記強化繊維基材の 面に沿う方向における強化繊維基材の各樹 含浸部間の目付または密度の差に対応させ 、あるいは、前記強化繊維基材の各樹脂含 部間の、前記強化繊維基材の一面に沿う方 における樹脂含浸開始部から樹脂含浸完了 までの長さの差に対応させて、前記樹脂拡 媒体自体の樹脂拡散の際の流動抵抗を、前 強化繊維基材の面内方向に変化させること 特徴とする方法からなる。流動抵抗は、本 明では後述の方法によって測定できる。

  すなわち、強化繊維基材側の面内方向 樹脂流動性の変化、とくに強化繊維基材の 脂拡散媒体が配置された面に沿う方向にお る強化繊維基材の各樹脂含浸部の目付また 密度の差(変化)による樹脂流動性の変化、あ るいは、強化繊維基材の各樹脂含浸部間の、 強化繊維基材の樹脂拡散媒体が配置された面 に沿う方向における樹脂含浸開始部から樹脂 含浸完了部までの長さの差(変化)による樹脂 動性の変化に対応させて、樹脂拡散媒体自 の樹脂拡散の際の流動抵抗を変化させ、強 繊維基材側の樹脂流動性の変化を樹脂拡散 体側で吸収(調整)できるようにしたもので る。その結果、強化繊維基材の各樹脂含浸 においては、樹脂が、樹脂拡散媒体からの 脂含浸開始部から、強化繊維基材内を流動 て樹脂含浸完了部に至るまでの時間が均一 され、強化繊維基材に対しては、未含浸部 生じたり、先に含浸した樹脂が後の樹脂含 を阻害したりする問題の発生が防止される したがって、強化繊維基材全体にわたって 一に樹脂が含浸された成形品が得られるこ になる。

  上記本発明に係る真空RTM成形方法にお ては、樹脂拡散媒体を、複数の樹脂拡散媒 を積層して形成し、上記流動抵抗を、樹脂 散媒体の積層枚数を強化繊維基材の面内方 に変化させることにより変化させることが きる。あるいは、流動抵抗を、樹脂拡散媒 の空隙率(空隙量)を強化繊維基材の面内方向 に変化させることにより変化させることもで きる(つまり、樹脂拡散媒体の嵩密度を面内 向に変化させる)。

  この本発明に係る真空RTM成形方法にお ては、上記流動抵抗の最大値と最小値の間 1.2倍以上の差を持たせることが好ましく、 れによって従来技術に対して明確な有意差 持たせることができ、樹脂拡散媒体の単な 製造上の誤差(厚みのばらつき等)に対して明 確に区別できる。

  このように、本発明に係る真空RTM成形 法では、強化繊維基材側の樹脂流動性の変 を樹脂拡散媒体側にて適切に吸収できる。 たがって、本発明に係る方法は、強化繊維 材の厚みが該強化繊維基材の面内方向に変 している場合や、強化繊維基材の密度が該 化繊維基材の面内方向に変化している場合 に、有効なものである。

 上記本発明に係る方法において、強化繊 基材の厚みの最大値が最小値の1.5倍以上で る場合、最大厚みと最小厚みにおいて、樹 が強化繊維基材の厚み方向に完全に含浸す 時間の差が明確に大きくなるため、本発明 よる効果がより明確になる。

 また、該強化繊維基材が、炭素繊維から る強化繊維糸条群と、該強化繊維糸条群と 差する方向の補助繊維糸条群から構成され いる一方向織物である場合、炭素繊維は単 径が細く、かつ、一方向織物は強化繊維糸 間の空隙が小さい形態であるため、強化繊 基材の厚み方向の樹脂含浸速度が低く、本 明の効果がより明確となる。

 さらに、本発明に係る真空RTM成形方法で 、樹脂が樹脂拡散媒体に樹脂注入ラインを して注入され、該樹脂注入ラインに対して 直方向の強化繊維基材の長さが該強化繊維 材の面内方向に変化している場合等にも、 効である。

  本発明は、上記のような本発明に係る 空RTM成形方法により強化繊維基材に樹脂を 浸させる工程を有する、繊維強化樹脂成形 の製造方法も提供する。

  本発明に係る真空RTM成形方法によれば 強化繊維基材側に面内方向の樹脂流動性の 化がある場合、それに対応させて樹脂拡散 体自体の樹脂拡散の際の流動抵抗を強化繊 基材の面内方向に変化させることにより吸 できるようにしたので、強化繊維基材への 脂含浸開始部から、強化繊維基材内を流動 て樹脂含浸完了部に至るまでの樹脂含浸時 を、強化繊維基材の全体にわたって均一化 ることが可能となり、樹脂の未含浸部の発 や、先に含浸した樹脂が後の樹脂含浸を阻 したりする問題の発生を防止して、肉厚変 や幅変化のある製品に対しても、欠陥のな 均一な品質の成形品を得ることが可能にな 。

本発明が適用される真空RTM成形方法の 例を示す概略構成図である。 本発明に係る真空RTM成形方法の適用対 の一例を示す強化繊維基材のプリフォーム 樹脂拡散媒体の部分斜視図である。 本発明に係る真空RTM成形方法の適用対 の別の例を示す強化繊維基材のプリフォー の平面図である。 本発明に係る真空RTM成形方法における 脂拡散媒体の流動抵抗の測定方法を示す測 装置の概略構成図である。 図4の測定装置の概略平面図である。

符号の説明

1  成形型
2  強化繊維基材のプリフォーム
3  ピールプライ
4  樹脂拡散媒体
5  バッグ材としてのバッグフィルム
6  シール材
7  吸引口
8  樹脂注入口
11  強化繊維基材のプリフォーム
12  樹脂拡散媒体
13 吸引口
14 樹脂注入口
21  強化繊維基材のプリフォーム
22  樹脂注入ライン
23  減圧吸引ライン

  以下に、本発明の望ましい実施の形態に いて、図面を参照して説明する。
  本発明に係る真空RTM成形方法は、例えば 1に示すように行われる。図1に示す方法にお いては、成形型1上に、強化繊維基材が所定 形状に賦形されたプリフォーム2が配置され その一面上に全面にわたって、本実施態様 は離型用のピールプライ3を介して樹脂拡散 媒体4が配置される。樹脂拡散媒体4には、強 繊維基材よりも樹脂流動抵抗の低い材料が 択される。これら全体が、バッグ材として バッグフィルム5で覆われ、周囲がシール材 6を介してシールされる。バッグフィルム5で われた内部が、吸引口7を介しての真空吸引 により減圧され、減圧後に、樹脂注入口8を して樹脂が注入される。注入された樹脂は 先ず、実質的に流動抵抗の低い材料からな 樹脂拡散媒体4の面内方向に拡散され、しか 後に、樹脂拡散媒体4から強化繊維基材のプ リフォーム2の厚み方向に含浸されていく。 論、樹脂拡散媒体4内での拡散中にも、多少 樹脂はプリフォーム2に含浸されていくが、 樹脂拡散媒体4内での拡散速度の方がプリフ ーム2への含浸速度に比べてはるかに高いた 、実質的にこのような樹脂流動形態となる

  このような真空RTM成形において、強化 維基材のプリフォームに、面内方向におい 樹脂流動抵抗に変化が存在する場合、前述 たような問題が生じる。例えば、図2に示す うに、プリフォーム11に樹脂拡散媒体12が配 置された面に沿う方向において厚みの変化、 したがって目付の変化が存在する場合、例え ば、樹脂注入口14側から吸引口13側に向かっ 樹脂が樹脂拡散媒体12内を矢印A方向に拡散 れ、拡散されてきた樹脂がプリフォーム11に 含浸されるとき、プリフォーム11の各樹脂含 部に厚み差があるため、各樹脂含浸部にお る厚みの全体にわたって含浸する時間にば つきが生じる。つまり、厚みの厚い部位で 含浸時間が長くなり、厚みの薄い部位では くなって早く含浸が完了する。したがって 厚みの厚い部位では未含浸部が生じやすく る。また、厚みの薄い部位では樹脂が早く 浸するため、含浸した樹脂が吸引口13とプ フォーム11間の吸引経路を絶って、厚みの厚 い部位の樹脂の含浸を阻害する可能性がある 。

  しかし本発明では、この強化繊維基材 プリフォーム11側の厚みの変化に起因する樹 脂流動性の変化に対応させて、樹脂拡散媒体 12自体の樹脂拡散の際の流動抵抗が、プリフ ーム11の面内方向に変化される。つまり、 脂の含浸時間が長くかかる部分に対しては 流動性が高い樹脂拡散媒体を配置し、樹脂 含浸時間が短い部分には流動性の低い樹脂 散媒体を配置する。具体的には、例えば、 リフォーム11の厚みの厚い部分に対しては、 樹脂拡散媒体の積層枚数を増加して流動性の 高い樹脂拡散媒体構成とし、プリフォーム11 厚みの薄い部分に対しては、樹脂拡散媒体 積層枚数を減らして流動性の低い樹脂拡散 体構成とする。この構成によって、プリフ ーム11の厚みの厚い部分と薄い部分とにつ て樹脂含浸完了時間を揃えることが可能に り、上述の問題を一挙に解消することが可 になる。この場合、樹脂拡散媒体12の流動抵 抗の変化は、上記積層枚数の変化に代えて、 あるいは上記積層枚数の変化とともに、樹脂 拡散媒体12の空隙率を変化させることによっ も達成可能である。

 なお、図2に示した形態では、矢印Aで示 れる樹脂拡散媒体12内の樹脂拡散方向と交差 する方向にプリフォーム11の厚み差がある場 、そのプリフォーム11の厚みの厚い部分と い部分に対応させて、樹脂拡散媒体12自体の 樹脂拡散の際の流動抵抗を変化させるように したが、例えば、樹脂注入口14を図2における 右側に設け、吸引口13を図2における左側に設 けて、樹脂拡散媒体12中を図2の右側から左側 に向けて矢印Aとは直交する方向に樹脂を拡 させる場合においても、プリフォーム11の厚 みの厚い部分に対しては、樹脂拡散媒体の積 層枚数を増加して流動性の高い樹脂拡散媒体 構成とし、プリフォーム11の厚みの薄い部分 対しては、樹脂拡散媒体の積層枚数を減ら て流動性の低い樹脂拡散媒体構成とするこ により、プリフォーム11の厚みの厚い部分 薄い部分とについて樹脂含浸完了時間を揃 ることが可能になる。

 本発明では、プリフォーム11の厚みの最 値が最小値の1.5倍以上である場合、プリフ ーム11の最大厚みと最小厚みにおいて、樹脂 が強化繊維基材の厚み方向に完全含浸する時 間に、理論上2倍以上の差が生じるため、樹 拡散の際の流動抵抗が均一な樹脂拡散媒体 たのでは、最小厚みの部位では樹脂が早く 浸し、含浸した樹脂が吸引口13とプリフォー ム11間の吸引経路を絶って、最大厚みの部位 樹脂の含浸を阻害する可能性がある。しか 、本発明により、上記の如くプリフォーム1 1の厚みの変化に対応させて樹脂拡散媒体12自 体の樹脂拡散の際の流動抵抗を変化させるこ とにより、このような樹脂含浸阻害のおそれ を除去できる。したがって、プリフォーム11 厚みの最大値が最小値の1.5倍以上である場 には、本発明の効果がより明確になる。さ に、プリフォーム11の厚みの最大値が5mm以 の場合、樹脂がプリフォーム11の厚み方向に 完全に含浸する時間が長くなるため、本発明 の効果がより明確となる。

 また、本発明に係るプリフォームの強化 維の種類や基材の形態は、特に限定される のではないが、樹脂の浸透性が悪いプリフ ームの場合、樹脂がプリフォームの厚み方 に完全に含浸する時間が長くなるため、本 明の効果がより明確となる。強化繊維とし は、単糸径が細い炭素繊維は樹脂の浸透性 悪く、また、強化繊維基材の形態としては 一方向織物は、例えば二方向織物などと比 して、強化繊維糸条間の空隙が小さく、樹 の浸透性が悪いため、本発明の効果がより 確になる。

  また、強化繊維基材のプリフォーム11が 、厚みの変化ではなく、プリフォーム11を構 する強化繊維基材の密度の変化によって樹 含浸時間が変化している場合にも(例えば、 プリフォーム11を構成する強化繊維基材の積 構成や基材の種類が変化しているような場 にも)、上記同様に、樹脂拡散媒体12側の流 抵抗を変化させることにより、プリフォー 11の全体にわたって樹脂含浸完了時間を揃 ることが可能になる。

  さらに、図3に強化繊維基材のプリフォ ム21を平面的に見た場合を示すように、矢 Bで示される樹脂の流動方向の長さがプリフ ーム21の長手方向に変化している場合、図 例では、樹脂が樹脂拡散媒体(プリフォーム2 1の上側に配置される。図示略)に樹脂注入ラ ン22を介して注入され(23は減圧吸引ライン) 該樹脂注入ライン22に対して垂直方向の強 繊維基材からなるプリフォーム21の長さが該 プリフォーム21の面内方向に変化している場 にも、樹脂の流動方向の長さがプリフォー 21の長手方向に不均一であるため、全面に じ樹脂拡散媒体を配置した場合には、流動 離が短い方が先に樹脂が含浸するため、上 したのと同じ理由で、先の含浸樹脂が後の 脂の含浸を阻害する可能性がある。

  しかし本発明の適用により、強化繊維 材の各樹脂含浸部間の、強化繊維基材の樹 拡散媒体が配置された面に沿う方向におけ 樹脂含浸開始部から樹脂含浸完了部までの さの差による樹脂流動性の変化に対応させ 、樹脂拡散媒体自体の樹脂拡散の際の流動 抗を変化させることにより、強化繊維基材 の樹脂流動性の変化を樹脂拡散媒体側で吸 させることができる。すなわち、図3に示し 形態では、上記プリフォーム21の長手方向 おける流動距離の長さの変化に対応させて 脂拡散媒体側の流動抵抗を変化させること より、プリフォーム21の全体にわたって樹脂 含浸完了時間を揃えることが可能になる。す なわち、プリフォーム21の長手方向における 動距離の長さの長い部分に対しては流動性 高い(流動抵抗の低い)樹脂拡散媒体を配置 、流動距離の長さの短い部分に対しては流 性の低い(流動抵抗の高い)樹脂拡散媒体を配 置することで、プリフォーム21の全体にわた て樹脂含浸完了時間を揃えることが可能に る。

  上記のような本発明に係る真空RTM成形 法における樹脂拡散媒体の流動抵抗は、次 ような方法によって測定できる。すなわち 本発明に係る流動抵抗Rとは、樹脂を樹脂拡 媒体に流動させた時の媒体の抵抗の大きさ 表し、減圧下で液体を媒体に流動させるこ によって、計測することができる。流動抵 Rの測定では、図4、図5に示す通り、金型31 に、幅150mm、任意の長さ(約1000mm)の樹脂拡散 体32を配置し、一方に注入口33、他方に減圧 口34を設置し、全体をバッグ材35で覆って周 をシール材36でシールし、バッグ材35の内部 真空ポンプ37で吸引して5torr以下まで減圧し 、注入口33から粘度μの液体38(粘度変化の無 樹脂など)を注入し、樹脂拡散媒体32の内部 液体38を拡散させる。所定の時間T秒間、液 38を樹脂拡散媒体32に流動させた後、注入口3 3から液体のフローフロント39(図5)までの距離 Lを測定する。この距離Lが長いほど、樹脂拡 媒体32の流動性が高い、すなわち、流動抵 が低いことを意味する。

  定量的には、本発明における流動抵抗Rは 以下の式(1)、(2)の通り、定義される。
    L=√(2・K・T・P/μ)          (1)
    R=√(1/K)                       (2)
ここで、
  T:所定時間(sec.)
  L:所定時間に樹脂が流動した距離(mm)
  K:流動係数(mm 2 )
  μ:液体の粘度(Pa・sec.)
  P:バッグ材内部と樹脂圧の差圧(Pa)
  R:流動抵抗(mm -1 )
である。

  以上の如く、本発明では、樹脂拡散媒 の流動性を面内方向で変えることによって 具体的には、厚みの厚い部分や、プリフォ ムの流動抵抗が大きい部分や、流動距離の い部分に、流動性の高い樹脂拡散媒体を配 して、部分的に樹脂を早く拡散させること より、樹脂がプリフォーム全体に含浸する 間が均一になり、成形品の品質が安定化で るようになった。また、樹脂が吸引経路を ぐことなく、プリフォーム全体に確実に樹 含浸できるようになった。

実施例1
 東レ株式会社製炭素繊維T700S(PAN系炭素繊維) で構成される1方向強化繊維層2層をステッチ みした多軸織物(東レ株式会社製、品名:MK826 0-JN、1層当たりの目付:300g/m )を、幅400mm×長さ800mmの大きさに8枚切断し、 らに、幅400mm×長さ400mmの大きさに8枚切断し た。次に、金型の上に、400mm×800mmの炭素繊維 織物を8枚積層した後、400mm×400mmの炭素繊維 物を8枚積層して、図2の如く、厚みが異なる 部分が存在する、強化繊維プリフォーム11を 意した。

 次に、樹脂拡散媒体12として、幅400mm×長 800mmの大きさと、幅400mm×長さ400mmの大きさ ポリプロピレン製のメッシュ材(東京ポリマ 社製TSX-400P)を各1枚準備した。

 次に、図1に示したように、スチール製の 平板状金型1の上に、前記強化繊維プリフォ ム2(図2における強化繊維プリフォーム11)を 吸引口7と同一方向に厚みが変化するように 置し、その上面全面に幅400mm×長さ800mmの樹 拡散媒体4(図2における樹脂拡散媒体12)を配 した後、さらに、厚みが厚い部分(炭素繊維 織物を16枚積層している部分)には幅400mm×長 400mmの樹脂拡散媒体を配置した。

 次に、樹脂注入口8と吸引口7を配設した に、強化繊維プリフォーム2全体をバッグフ ルム5(ナイロン製フィルム)で覆い、シーラ ト6(RICHMOND社製、SM5126)で周囲を密閉し、吸 口7と連通された真空ポンプにより、バッグ ィルム5の内部を減圧した。

 次に、成形装置全体を20℃の雰囲気下に き、熱硬化性ビニルエステル樹脂(粘度200mPa s、昭和高分子株式会社製R-7070)を準備し、 入口8から、樹脂の注入を開始した。樹脂は 脂拡散媒体12内を、速度差を持って拡散し 注入開始2分後に、樹脂拡散媒体を2枚重ねた 部分(強化繊維プリフォームの厚い部分の表 )で先に樹脂の拡散が完了し、注入開始4分後 に、樹脂拡散媒体内全体に樹脂が拡散した。 さらに、樹脂は樹脂拡散媒体からプリフォー ムに含浸し、注入開始8分後に、強化繊維プ フォーム全体に樹脂が含浸し、樹脂が強化 維プリフォーム11全体から同時に吸引口に流 出した。

 最後に、樹脂注入を停止して、樹脂を硬 させ、金型から繊維強化樹脂成形品を脱型 た。成形品を外観検査した結果、表面には 脂の未含浸部が無く、さらに、超音波探傷 (PANAMETRICS社製EPOCH4)で、FRP成形品内部の欠陥 を検査した結果、FRPの全面で底面のエコーが 確認され、FRP全体に樹脂の未含浸部が無い、 品質に優れる繊維強化樹脂成形品を得ること ができた。

比較例1
 実施例1と同じように、図2の如く、厚みが なる部分が存在する、強化繊維プリフォー 11を用意した。次に、樹脂拡散媒体12として 幅400mm×長さ800mmの大きさのポリプロピレン のメッシュ材(東京ポリマー社製TSX-400P)を1 準備した。

 図1に示したように、スチール製の平板状 金型1の上に、前記強化繊維プリフォーム2(11) を、吸引口7延設方向と同一方向に厚みが変 するように配置し、その上面全面に幅400mm× さ800mmの樹脂拡散媒体4(12)を1枚のみ配置し 。

 次に、実施例1と同じ手順で成形装置を構 成し、樹脂の注入を開始した。樹脂は樹脂拡 散媒体内を同じ速度で拡散し、開始4分後に 樹脂拡散媒体全面に樹脂が拡散した。樹脂 樹脂拡散媒体からプリフォームに含浸し、 入開始8分後に、強化繊維基材の厚みの薄い 分から吸引口に樹脂が流出し、流出した樹 は、吸引口7とプリフォームの厚みの厚い部 分との間の吸気経路を遮断する状態となった 、

 注入開始30分後に注入を停止して、樹脂 硬化させ、金型から繊維強化樹脂成形品を 型した。成形品を外観検査した結果、繊維 化樹脂成形品の厚板部において、成形型側 表面に、樹脂の未含浸部分が確認された。

  本発明は、あらゆる真空RTM成形に適用 き、とくに、複雑な形状の成形品や、幅が 化するような成形品の成形に好適なもので る。