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Patent Searching and Data


Title:
MOISTURE BARRIER LAMINATE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175454
Kind Code:
A1
Abstract:
This moisture barrier laminate, which is used to prevent moisture from permeating into a device, is characterized by having a basic layer structure in which inorganic barrier layers and moisture trap layers are alternately arranged such that a first inorganic layer, a first moisture trap layer, a second inorganic barrier layer, a second moisture trap layer, and a third inorganic barrier layer are provided in the order from a device-facing side toward the outside, wherein a moisture-permeable base plastic layer is provided on one side of these inorganic barrier layers, the distance L1a between the first moisture trap layer and the first inorganic barrier layer and the distanceL2a between the second moisture trap layer and the second barrier layer are set to satisfy conditions represented by the following expressions (1) and (2): L1a < 3 μm (1) and L2a < 3 μm (2), and the distanceL1b between the second organic barrier layer and the first moisture trap layer is set to satisfy a condition represented by the following expression (3): L1b ≧ 3 μm (3) by interposing a moisture-permeable organic layer therebetween.

Inventors:
NANGOU SHUNYA (JP)
OKUYAMA SHINPEI (JP)
YAGISAWA MISATO (JP)
TAKAYAMA KEISUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/007396
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 25, 2020
Export Citation:
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Assignee:
TOYO SEIKAN GROUP HOLDINGS LTD (JP)
International Classes:
B32B9/00; B32B7/02; H01L51/50; H05B33/04
Domestic Patent References:
WO2016006343A12016-01-14
WO2014123197A12014-08-14
Foreign References:
JP2017039315A2017-02-23
JP2017035829A2017-02-16
JP2009090633A2009-04-30
JPH11333966A1999-12-07
JP2015208960A2015-11-24
JP2000255579A2000-09-19
JP2014168949A2014-09-18
JP2014168950A2014-09-18
JP2017039315A2017-02-23
JP2015096320A2015-05-21
Other References:
See also references of EP 3932661A4
Attorney, Agent or Firm:
ONO, Hisazumi et al. (JP)
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Claims:
\¥0 2020/175454 40 卩(:17 2020 /007396 請求の範囲

[請求項 1 ] 複数の無機バリア層と複数の水分トラップ層とを有しており、 デバ イス内部への水分透過を防止するために使用される水分バリア積層体 において、

前記複数の無機バリア層は、 第 1の無機バリア層、 第 2の無機バリ ア層及び第 3の無機バリア層を含み、 前記複数の水分トラップ層は、 第 1の水分トラップ層と第 2の水分トラップ層とを含み、

前記第 1〜第 3の無機バリア層と、 前記第 1〜第 2の水分トラップ 層とは、 デバイスに対面する側から外部側に向かって順に、 第 1の無 機バリア層、 第 1の水分トラップ層、 第 2の無機バリア層、 第 2の水 分トラップ層及び第 3の無機バリア層となるように配置された基本交 互層構造を形成しており、

前記第 1〜第 3の無機バリア層の内の少なくとも 1層の一方の側に は、 水分透過性の下地プラスチック層が設けられていると共に、 前記第 1の水分トラップ層と第 1の無機バリア層との間隔 !- 1 3、 及び第 2の水分トラップ層と第 2のバリア層との間隔 !_ 2 3は、 下記 式 ( 1 ) 及び ( 2 ) :

で示される条件を満足しており、 第 2の無機バリア層と第 1の水分卜 ラップ層との間隔 1_ 1 匕は、 両者の間に水分透過性有機層を介在させ ることにより、 下記式 ( 3 ) :

( 3 )

で示される条件を満足するように設定されていることを特徴とする水 分バリア積層体。

[請求項 2] 前記間隔 1- 1 が 5 0 以下である請求項 1 に記載の水分バリア 積層体。

[請求項 3] 前記複数の無機バリア層は、 何れも 4 0 °〇、 〇 2020/175454 41 卩(:171? 2020 /007396

/〇\2/ 6 aソ以下の水分透過率を有している請求項 1 に記載の水分 バリア積層体。

[請求項 4] 前記間隔調整に使用されている水分透過性有機層が、 第 2の無機バ リア層の一方の側に存在している下地プラスチック層である請求項 1 に記載の水分バリア積層体。

[請求項 5] 第 1の水分トラップ層と第 2の無機バリア層との間に接着剤層が存 在している請求項 1 に記載の水分バリア積層体。

[請求項 6] 前記複数の無機バリア層の何れか若しくは全部が、 アルミニウム酸 化物の蒸着層である請求項 1 に記載の水分バリア積層体。

[請求項 7] 第 3の無機バリア層の外部側には、 さらに水分トラップ層を含む積 層構造が形成されている請求項 1 に記載の水分バリア積層体。

[請求項 8] 前記複数の水分トラップ層が、 吸湿性の無機粒子を含む樹脂層、 吸 湿性のイオン性ポリマー層或いは吸湿性の非イオン性ポリマー層によ り形成されている請求項 1 に記載の水分バリア積層体。

[請求項 9] 前記複数の水分トラップ層が、 何れもイオン性ポリマーからなる吸 湿性マトリックス中に、 該マトリックスよりも到達湿度が低湿度であ る吸湿剤が分散された構造を有している請求項 8に記載の水分バリア 積層体。

[請求項 10] 粘着剤によりデバイスに貼着されて使用される請求項 1 に記載の水 分バリア積層体。

Description:
\¥0 2020/175454 1 卩(:17 2020 /007396 明 細 書

発明の名称 : 水分バリア積層体

技術分野

[0001 ] 本発明は、 デバイス内部への水分透過を防止するために 使用される水分バ リア積層体に関するものである。

背景技術

[0002] 各種プラスチック基材の特性、 特にガスバリア性を改善するための手段と して、 プラスチック基材の表面に、 蒸着により、 ケイ素酸化物やアルミニウ ム酸化物などからなる無機バリア層を形成す ることが知られている (特許文 献 1) 〇

[0003] ところで、 近年において開発され、 実用されている各種のデバイス、 例え ば有機エレクトロルミネッセンス (有機巳 !_) 、 太陽電池、 タッチパネル、 電子べーパーなどの電子デバイスでは、 電荷のリークを嫌うため、 デバイス の内部は低水分雰囲気に保たれており、 その回路基板などを形成するプラス チック基材や回路基板を封止するフィルムな どに対して高い水分バリア性が 要求されている。 上記で述べた無機バリア層の形成では、 このような水分バ リア性に対する高い要求に応えることができ ないため、 水分バリア性を向上 させる種々の提案がなされている。

[0004] 例えば、 特許文献 2〜 5には、 本出願人により、 特定の粒状吸湿剤がイオ ン性ポリマーのマトリックス中に分散された 水分トラップ層がプラスチック 基材上の無機バリア層の上に形成されている ガスバリア性積層体が提案され ている。

このようなガスバリア積層体は、 水分に対して著しく優れた超バリア性を 示し、 外部からのデバイス内部への水分侵入を有効 に防止することが可能と なっている。

[0005] ところで、 上記のようなガスバリア積層体は、 通常、 粘着剤を用いてデバ イスに貼着されて使用に供されるが、 デバイスに最も近い側に位置する水分 〇 2020/175454 2 卩(:171? 2020 /007396

トラップ層の水分バリア性能が早く消失し てしまうという問題があった。 即 ち、 この位置での水分トラップ層の水分バリア性 が消失するということは、 この層が吸湿水分で飽和していることを示し 、 そうなると、 この水分トラッ プ層からデバイス側に水分が放出されてしま い、 水分バリア性が損なわれて しまう。

先行技術文献

特許文献

[0006] 特許文献 1 :特開 2 0 0 0— 2 5 5 5 7 9号公報

特許文献 2 ^ 0 2 0 1 4 / 1 2 3 1 9 7

特許文献 3 :特開 2 0 1 4 _ 1 6 8 9 4 9号公報

特許文献 4 :特開 2 0 1 4 _ 1 6 8 9 5 0号公報

特許文献 5 :特開 2 0 1 7 - 3 9 3 1 5号公報

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0007] 従って、 本発明の目的は、 デバイス内部への水分の透過を防止するため に 使用される水分バリア積層体において、 デバイス側に位置する水分トラップ 層の経時的消耗が有効に抑制され、 水分に対する超バリア性を長期にわたっ て発現させることにある。

課題を解決するための手段

[0008] 本発明によれば、 複数の無機バリア層と複数の水分トラップ層 とを有して おり、 デバイス内部への水分透過を防止するために 使用される水分バリア積 層体において、

前記複数の無機バリア層は、 第 1の無機バリア層、 第 2の無機バリア層及 び第 3の無機バリア層を含み、 前記複数の水分トラップ層は、 第 1の水分卜 ラップ層と第 2の水分トラップ層とを含み、

前記第 1〜第 3の無機バリア層と、 前記第 1〜第 2の水分トラップ層とは 、 デバイスに対面する側から外部側に向かって 順に、 第 1の無機バリア層、 〇 2020/175454 3 卩(:171? 2020 /007396

第 1の水分トラップ層、 第 2の無機バリア層、 第 2の水分トラップ層及び第 3の無機バリア層となるように配置された基 交互層構造を形成しており、 前記第 1〜第 3の無機バリア層の内の少なくとも 1層の一方の側には、 水 分透過性の下地プラスチック層が設けられて いると共に、

前記第 1の水分トラップ層と第 1の無機バリア層との間隔 !_ 1 及び第 2の水分トラップ層と第 2のバリア層との間隔 !_ 2 3 は、 下記式 (1 ) 及び

(2) :

で示される条件を満足しており、 第 2の無機バリア層と第 1の水分トラップ 層との間隔 1- 1 は、 両者の間に水分透過性有機層を介在させるこ とにより 、 下記式 (3) :

で示される条件を満足するように設定されて いることを特徴とする水分バリ ア積層体が提供される。

[0009] 本発明の水分バリア積層体においては、 以下の態様が好適に採用される。

(1 ) 前記間隔 1- 1 匕 (第 2の無機バリア層と第 1の水分トラップ層との間 隔) が 50 以下であること。

(2) 前記複数の無機バリア層は、 何れも 40 ° 〇、 で〇. 1 9 / 01 2 /〇13ソ以下の水分透過率を有しているこ と。

(3) 前記間隔調整に使用されている水分透過性有 機層が、 第 2の無機バリ ア層の一方の側に存在している下地プラスチ ック層であること。

( 4 ) 第 1の水分トラップ層と第 2の無機バリア層との間に接着剤層が存在 していること。

(5) 前記複数の無機バリア層も何れか若しくは全 部が、 アルミニウム酸化 物の蒸着層であること。

(6) 第 3の無機バリア層のデバイス外部側には、 さらに水分トラップ層を 含む積層構造が形成されていること。 〇 2020/175454 4 卩(:171? 2020 /007396

(7) 前記複数の水分トラップ層が、 吸湿性の無機粒子を含む樹脂層、 吸湿 性のイオン性ポリマー層或いは吸湿性の非イ オン性ポリマー層により形成さ れていること。

(8) 前記水分トラップ層が、 イオン性ポリマーからなる吸湿性マトリック ス中に、 該マトリックスよりも到達湿度が低湿度であ る吸湿剤が分散された 構造を有していること。

(9) 粘着剤によりデバイスに貼着されて使用され ること。

発明の効果

[0010] 本発明の水分バリア積層体は、 有機巳 !_等のデバイスに装着され、 デバイ ス内部への水分透過を防止するために使用さ れるものであり、 デバイスに対 面する側から外部側 (デバイスとは反対側) に向かって順に、 第 1の無機バ リア層、 第 1の水分トラップ層、 第 2の無機バリア層、 第 2の水分トラップ 層及び第 3の無機バリア層となるように、 無機バリア層と水分トラップ層と が交互に位置している基本層構造を有してい る。

このような基本構造において、 上記式 (1) 〜 (3) を満足するように、 第 1の無機バリア層〜第 3の無機バリア層までの間の領域での所定の 隔が 一定の範囲に設定されている点が、 本発明にとって重要な特徴である。 即ち 、 このように間隔調整された基本構造を有して いることにより、 デバイス側 に存在している水分トラップ層 (第 1の水分トラップ層) の短期でのパフォ —マンスの低下が抑制され、 この結果、 この水分バリア積層体を長期にわた って発揮させることが可能となったのである 。

[001 1 ] 上記のような間隔調整により、 デバイス側に存在している水分トラップ層

(第 1の水分トラップ層) の短期でのパフォーマンスの低下が抑制され るこ とは多くの実験により現象として見出された ものであり、 その理由は明確に 解明されるには至っていない。 しかしながら、 本発明者等は次のように推定 している。

即ち、 水分バリア積層体は、 粘着剤を用いて電子デバイスに貼着され、 こ れにより外部からデバイス内への水分の透過 が防止されるのであるが、 この 〇 2020/175454 5 卩(:171? 2020 /007396

際に使用する粘着剤に水分が含有している 場合がある。 また、 水分バリア積 層体を貼着する際において、 デバイス内の水分量はゼロではなく、 少量では あるが、 この内部に水分が存在している。 このような水分は、 水分濃度勾配 に従い、 より水分濃度が小さい水分バリア積層体中に 拡散 ·移行し、 第 1の 水分トラップ層に吸湿されることとなる。 ここで、 第 1の水分トラップ層中 に吸湿した水分が、 第 1の水分トラップ層中に堰き止められた状態 あると 、 この吸湿水分により第 1の水分トラップ層中の水分濃度が短期間で 昇し てしまい、 デバイス側との水分濃度勾配が少なくなって しまうこととなり、 結果として、 第 1の水分トラップ層のパフォーマンスが低下 てしまうこと となる。

一方、 上述した間隔調整により、 第 1の水分トラップ層の外部側 (デバイ スとは反対側) に水分透過性の有機層を厚く形成した場合、 厚みを大きく し たぶんだけ水分濃度が上昇しづらくなるため 、 水分は、 水分透過性有機層側 に移動しやすくなる。 水分透過性有機層側に移動した水分は、 第 2の水分バ リア層を透過して第 2の水分バリア層中に吸湿されるため、 第 1の水分トラ ップ層中に堰き止められてしまうという状態 には至らない。 この結果として 、 第 1の水分トラップ層中の水分濃度上昇が有効 抑制され、 第 1の水分卜 ラップ層の短期でのパフォーマンス低下が防 止され、 長期にわたって、 優れ た水分バリア性が発揮されるものと思われる 。

[0012] このような本発明の水分バリア性積層体は、 水分の侵入を嫌う各種電子デ バイス、 例えば有機エレクトロルミネッセンス (有機巳 !_) パネル、 タッチ パネルなどの各種デバイスの基板や封止層と して有用であり、 特に有機巳 !_ パネルに好適に適用される。

図面の簡単な説明

[0013] [図 1]本発明の水分バリア性積層体の代表的な 構造を示す図。

[図 2]本発明の水分バリア性積層体の他の層構 を示す図。

[図 3]本発明の水分バリア性積層体の他の層構 を示す図。

[図 4]本発明の水分バリア性積層体の要件を満 さない層構造を示す図。 〇 2020/175454 6 卩(:171? 2020 /007396

[図 5]本発明の水分バリア性積層体の要件を満 さない層構造を示す図。

[図 6]本発明の水分バリア性積層体の要件を満 さない層構造を示す図。

[図 7]水分トラップ層の代表的な構造を示す図

発明を実施するための形態

[0014] 図 1 を参照して本発明の基本的な層構造を説明す る。 全体として 1で示さ れている本発明の水分バリア性多層構造体は 、 デバイスに対面する側 (低湿 度雰囲気側) から外部側 (高湿度雰囲気側) に向かって順に、 第 1の無機バ リア層 1 3、 第 1の水分トラップ層 3 1、 第 2の無機バリア層 3 5、 第 2の 水分トラップ層 5 1及び第 3の無機バリア層 5 3となるように、 無機バリア 層と水分トラップ層とが交互に位置している 基本層構造を有している。 第 1 の無機バリア層 1 3のデバイス側には水分透過性を有する下地 ラスチック 層 1 1が位置している。

また、 第 1の無機バリア層 1 3と第 1の水分バリア層 3 1 との間には、 水 分透過性有機層 2 1が接着材層として設けられている。

さらに、 第 1の水分トラップ層 3 1 と第 2の無機バリア層 3 5との間には 、 水分透過性有機層 3 3が位置している。 この水分透過性有機層 3 3は、 第 2の無機バリア層 3 5の下地プラスチック層 (即ち、 水分透過性を有する下 地プラスチック層) となるものである。

さらにまた、 第 2の無機バリア層 3 5と第 2の水分トラップ層 5 1 との間 には、 水分透過性有機層 4 1が接着材層として設けられている。

そして、 第 3の無機バリア層 5 3の外側 (デバイス側とは反対側) には水 分透過性を有する下地プラスチック層 5 5が設けられている。

[0015] <無機バリア層の下地となるプラスチック層 >

本発明において、 無機バリア層の下地となるプラスチック層、 例えば、 図 1 において、 下地プラスチック層 1 1、 5 5、 水分透過性有機層 3 3或いは 4 1は、 それ自体公知の熱可塑性或いは熱硬化性の樹 脂により、 その形態に 応じて、 射出乃至共射出成形、 押出乃至共押出成形、 フィルム乃至シート成 形、 圧縮成形性、 注型重合等により成形される。 また、 このような熱可塑性 〇 2020/175454 7 卩(:171? 2020 /007396

或いは熱硬化性の樹脂は、 成形性やコスト等を考慮すると同時に、 該下地プ ラスチック層の位置に応じて要求される特性 を考慮して選択される。 一般的 には、 これに限定されるものではないが、 次に例示するものの中から選択さ れる。

低密度ポリエチレン、 高密度ポリエチレン、 ポリプロピレン、 ポリ 1 —ブテン、 ポリ 4—メチルー 1 —ペンテンあるいはエチレン、 プロピレン、

1 —ブテン、 4—メチルー 1 —ペンテン等の《_オレフイン同志のランダ あるいはブロック共重合体等のポリオレフィ ン、 環状オレフィン共重合体な ど。

エチレン ·酢酸ビニル共重合体、 エチレン · ビニルアルコール共重合 体、 エチレン ·塩化ビニル共重合体等のエチレン · ビニル化合物共重合体。

ポリスチレン、 アクリロニトリル ·スチレン共重合体、 八巳 3、 « - メチルスチレン ·スチレン共重合体等のスチレン系樹脂。

ポリ塩化ビニル、 ポリ塩化ビニリデン、 塩化ビニル ·塩化ビニリデン 共重合体、 ポリアクリル酸メチル、 ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル 化合物。

ナイロン 6、 ナイロン 6— 6、 ナイロン 6— 1 0、 ナイロン 1 1、 ナ イロン 1 2等のポリアミ ド。

ポリエチレンテレフタレート ( 巳丁) 、 ポリプチレンテレフタレー 卜、 ポリエチレンナフタレート ( 巳 1\1) 等の熱可塑性ポリエステル。

ポリカーボネート、 ポリフエニレンオキサイ ドや、 その他、 ポリイミ ド樹脂、 ポリアミ ドイミ ド樹脂、 ポリエーテルイミ ド樹脂、 フッ素樹脂、 ア リル樹脂、 ポリウレタン樹脂、 セルロース樹脂、 ポリスルホン樹脂、 ポリエ —テルスルホン樹脂、 ケトン樹脂、 アミノ樹脂、 或いはポリ乳酸などの生分 解性樹脂等。

上記で例示した樹脂のプレンド物や、 これら樹脂が適宜共重合により 変性されたもの (例えば、 酸変性オレフィン樹脂など) 。

[0016] 本発明において、 このような下地プラスチック層は、 水分トラップ層より 〇 2020/175454 8 卩(:171? 2020 /007396

水分透過率の高い無機バリア層と比較して もさらに水分透過率の高い層であ り、 これにより、 デバイス内の水分を第 1の水分トラップ層 3 1で捕捉する ことや、 及び第 1の水分トラップ層 3 1で捕捉された水分を外部側 (デバイ スとは反対側) に放出することが可能となる。 例えば、 無機バリア層の下地 となる下地プラスチック層の水分透過率は、 4 0 °〇9 0 % [¾ 1 ~ 1雰囲気におい て、 1 以上、 好ましくは 5 9 /〇1 2 /〇1 8ソ以上、 より 好ましくは ソ以上である。

また、 下地プラスチック層は、 エチレン · ビニルアルコール共重合体の如 き酸素バリア性に優れたガスバリア性樹脂な どにより形成されていることも 好適であり、 さらには、 このようなガスバリア性樹脂により形成され た層を 含む多層構造を有していてもよい。

[0017] 本発明においては、 特別の機能が要求されない限り、 入手のし易さ、 コス 卜、 成形性、 或いは酸素に対して多少なりともバリア性を 示し、 さらには、 後述する無機バリア層の下地として好適であ るという観点から、 ポリエチレ ンテレフタレート ( 巳丁) に代表されるポリエステル樹脂や、 ポリエチレ ン、 ポリプロピレンに代表されるオレフィン樹脂 を下地プラスチック層とし て使用することがより好適である。

[0018] <無機バリア層>

本発明の無機バリア層は、 例えば特開 2 0 1 5 - 9 6 3 2 0号公報等によ り公知であり、 スパッタリング、 真空蒸着、 イオンプレーティングなどに代 表される物理蒸着や、 原子層堆積法 (八!_ 0) やプラズマ〇 〇に代表され る化学蒸着などによって形成される無機質の 蒸着膜、 例えば酸化ケイ素膜や 酸窒化ケイ素膜、 酸化アルミニウム膜などの各種金属乃至金属 酸化物により 形成される膜であるが、 特に、 凹凸を有する面にも均一に成膜され、 水分の みならず酸素等に対しても優れたバリア性を 発揮するという点で、 化学蒸着 により形成される蒸着膜であることが好まし い。

また、 コーティングにより形成される無機バリア層 としては、 ポリ塩化ビ ニリデンなどの水蒸気バリア性の高い樹脂や 、 ポリシラザンや、 重縮合性の 〇 2020/175454 9 卩(:171? 2020 /007396

シラン化合物 (例えばアルコキシシランなど) 、 重縮合性のアルミナ化合物 (例えばアルコキシアルミニウムなど) 等の無機成膜成分として含み、 適宜 、 シリカやアルミナ等の無機微粒子が混合され た有機溶媒溶液を用い、 これ を所定の面に塗布し、 加熱して有機溶媒を揮散して成膜するものを 用いるこ とも好ましい。

[0019] 図 1 において、 第 1の無機バリア層 1 3は、 水分透過性下地プラスチック 層 1 1 を下地として、 蒸着により形成されている。

また、 第 2の無機バリア層 3 5は、 水分透過性有機層 3 3を下地プラスチ ック層としての蒸着により形成されている。

また、 第 3の無機バリア層 5 3は、 水分透過性有機層 5 5を下地プラスチ ック層としての蒸着により形成されている。

[0020] 即ち、 プラズマ<3 〇による蒸着膜は、 所定の真空度に保持されたプラズ マ処理室内に無機バリア層の下地となる基材 を配置し、 膜形成する金属若し くは該金属を含む化合物のガス (反応ガス) 及び酸化性ガス (通常酸素や 〇父のガス) を、 適宜、 アルゴン、 ヘリウム等のキヤリアガスと共に、 ガス 供給管を用いて、 金属壁でシールドされ且つ所定の真空度に減 圧されている プラズマ処理室に供給し、 この状態でマイクロ波電界や高周波電界など によ つてグロー放電を発生させ、 その電気エネルギーによりプラズマを発生さ せ 、 上記化合物の分解反応物をプラスチック基材 の表面に堆積させて成膜する ことにより得られる。

[0021 ] 上記の反応ガスとしては、 一般に、 下地の基材との界面に炭素成分を含む 柔軟な領域を有し且つその上に酸化度の高い バリア性に優れた領域を有する 膜を形成できるという観点から有機金属化合 物、 例えばトリアルキルアルミ ニウムなどの有機アルミニウム化合物や、 有機チタン化合物、 有機ジルコニ ウム化合物、 有機ケイ素化合物等のガスを用いることが好 ましく、 特に、 水 分に対するバリア性に加え、 酸素に対してもバリア性の高い無機バリア層 を 比較的容易に効率良く形成できるという点で 、 有機ケイ素化合物が最も好ま しい。 〇 2020/175454 10 卩(:171? 2020 /007396

[0022] このような有機ケイ素化合物の例としては、 ヘキサメチルジシラン、 ビニ ルトリメチルシラン、 メチルシラン、 ジメチルシラン、 トリメチルシラン、 ジエチルシラン、 プロピルシラン、 フエニルシラン、 メチルトリエトキシシ ラン、 ビニルトリエトキシシラン、 ビニルトリメ トキシシラン、 テトラメ ト キシシラン、 テトラエトキシシラン、 フエニルトリメ トキシシラン、 メチル トリメ トキシシラン、 メチルトリエトキシシラン等の有機シラン化 合物、 才 クタメチルシクロテトラシロキサン、 1 , 1 , 3 , 3—テトラメチルジシロ キサン、 ヘキサメチルジシロキサン等の有機シロキサ ン化合物等が使用され る。 また、 これら以外にも、 アミノシラン、 シラザンなどを用いることもで きる。

上述した有機金属化合物は、 単独でも或いは 2種以上の組合せでも用いる ことができる。

[0023] また、 安価さや取扱い易さという観点でいうと、 アルミニウム酸化物のガ スを用いることが好ましい。

[0024] また、 上述した無機バリア層の厚みは、 本発明の水分バリア性積層体の用 途や要求されるバリア性のレベルによっても 異なるが、 一般的には、 蒸着に 際しての下地となる基材等の特性が損なわれ ずに、 且つ 4 0 ° 〇9 0 % [¾ 1 ~ 1で

〇 以下の水蒸気透過度が確保できる程度の厚み とするのがよく、 上述した 高酸化度領域が占める割合によっても異なる が、 一般に、 4乃至 5 0 0 n 01 、 特に 3 0乃至 4 0 0 n 程度の厚みを有していればよい。 あるいは、 上述 した水蒸気透過度を確保するため、 無機バリア層を有するフィルムを複数重 ねても良い。

[0025] 上述のようにして形成された無機バリア層は 、 〇. 以下 の水分透過率を有している。 また、 好ましくは〇. 0 7以下

、 より好ましくは〇. 0 1 3ソ以下の水分透過率を有している。 すなわち、 水分透過率が上記範囲よりも大きいと、 水分が十分に遮断できず 、 水分バリア積層体としてのパフォーマンスが 低下してしまうからである。 〇 2020/175454 1 1 卩(:171? 2020 /007396

[0026] また、 上記無機バリア層は、 2層以上のバリア層から構成されていてもよ く、 例えば 1層あたりの水分透過率が必要性能を満たさ い無機バリア層を 、 接着剤層などを介して 2層以上に積層して 1つの無機バリア層として用い ることで、 水分バリア積層体としての性能を確保するこ とが出来る。

[0027] 無機バリア層と水分トラップ層との間には、 密着性の向上を目的に、 アン 力ーコート層を設けてもよい。

アンカーコート層を形成する熱硬化性樹脂、 熱可塑性樹脂などの樹脂とし ては、 溶剤性及び水性の樹脂がいずれも使用するこ とができ、 具体的には、 ポリエステル系樹脂、 ウレタン系樹脂、 アクリル系樹脂、 ニトロセルロース 系樹脂、 シリコン系樹脂、 アルコール性水酸基含有樹脂 (ビニルアルコール 系樹脂、 エチレンビニルアルコール系樹脂等) 、 ビニル系変性樹脂、 イソシ アネート基含有樹脂、 カルポジイミ ド系樹脂、 アルコキシシリル基含有樹脂 、 エポキシ系樹脂、 オキサゾリン基含有樹脂、 変性スチレン系樹脂、 変性シ リコン系樹脂、 アルキルチタネート等を単独であるいは 2種以上組み合わせ て使用することができる。

[0028] <水分トラップ層>

本発明の水分トラップ層は、 本発明の水分バリア性多層構造体に対して厚 み方向に流れる水分を遮断するものであり、 このような水分遮断性を示すも のであれば、 特に制限されず、 所定の樹脂層中にゼオライ トやシリカゲル等 の物理的乾燥剤や、 酸化カルシウム等の化学的乾燥剤を分散させ たものや、 ポリビニルアルコールや水溶性ナイロン、 ポリエチレンオキサイ ドなどの吸 湿性を有する非イオン性ポリマー等、 それ自体公知の層であってよいが、 特 に、 水分に対する高いバリア性が要求される場合 には、 例えば、 特開 2 0 1 5 - 9 6 3 2 0号等に開示されているイオン性ポリマーを トリックスとし 、 このマトリックス中にイオン性ポリマーより も到達湿度が低い吸湿剤が分 散された構造を有するものが好適である。 このようなイオン性ポリマーをマ トリックスとするものは、 水分捕捉性が優れ、 しかも水分吸収に起因する膨 潤などの変形を有効に回避することができる からである。 〇 2020/175454 12 卩(:171? 2020 /007396

[0029] 図 7には、 上記のようなイオン性ポリマーをマトリック スとした水分トラ ップ層の代表的な構造が示されており、 図 7 (3) は、 イオン性基として力 チオン性基 基など) を有するカチオン性ポリマーをマトリックス する 水分トラップ層が示されており、 図 7 (匕) には、 イオン性基としてアニオ ン性基 (〇〇〇 N 3基, 〇〇〇 1 ~ 1基など) を有しているアニオン性ポリマー をマトリックスする水分トラップ層が示され ている。

[0030] 即ち、 上記のイオン性ポリマーをマトリックスとす る水分トラップ層では 、 無機バリア層を通って流入した微量の水分が 、 このマトリックス (イオン 性ポリマー) に吸収されることとなる。 マトリックス自体が高い吸湿性を示 すため、 水分を漏れなく捕水し、 吸収するわけである。

ところで、 単に水分がマトリックスに吸収されたに過ぎ ない場合には、 温 度上昇などの環境変化により、 吸収された水分は容易に放出されてしまうこ ととなる。 また、 水分の侵入により、 マトリックスを形成するポリマー分子 の間隔を広げ、 この結果、 この水分トラップ層は膨潤してしまうことに もな る。

しかるに、 マトリックス (イオン性ポリマー) よりも到達湿度が低い吸湿 剤が分散されている場合には、 マトリックス中に吸収された水分は、 このマ トリックスよりも吸湿性の大きい (即ち、 到達湿度が低い) 吸湿剤によって さらに捕捉されることとなり、 吸収された水分子による膨潤が有効に抑制さ れるばかりか、 この水分子は、 水分トラップ層中に閉じ込められ、 この結果 、 水分トラップ層からの水分の放出も有効に防 止されることとなる。

[0031 ] このように、 イオン性ポリマー中に吸湿剤を分散させるこ とにより水分卜 ラップ層を形成した場合には、 高い吸湿能力と共に水分の捕捉と閉じ込めと の 2重の機能を有しているため、 極低湿度の雰囲気下でも水分を捕捉するこ とができ、 水分が無機バリア層を透過する速度よりも十 分速い速度で捕捉し て更に層全体で水分を補足するために外部へ 漏らすことも無く、 著しく高い 水分バリア性を実現することができる。

[0032] イオン性ポリマー (カチオン性ポリマー) ; 〇 2020/175454 13 卩(:171? 2020 /007396

本発明において、 上記のようなマトリツクスの形成に使用する イオン性ポ リマーの内、 カチオン性ポリマーは、 水中で正の電荷となり得るカチオン性 基、 例えば、 1〜 3級アミノ基、 4級アンモニウム基、 ピリジル基、 イミダ ゾール基、 4級ピリジニウムなどを分子中に有している リマーである。 こ のようなカチオン性ポリマーは、 カチオン性基が、 求核作用が強く、 かつ水 素結合により水を補足するため、 吸湿性を有するマトリツクスを形成するこ とができる。

カチオン性ポリマー中のカチオン性基量は、 一般に、 形成される吸湿性マ トリツクスの吸水率 (」 1 3 [< - 7 2 0 9 - 1 9 8 4) が湿度 8 0 % [¾ 1 ~ 1 及び 3 0 °〇雰囲気下において 2 0 %以上、 特に 3 0 %〜 4 5 %となるような 量であればよい。

[0033] また、 カチオン性ポリマーとしては、 アリルアミン、 エチレンイミン、 ビ ニルベンジルトリメチルアミン、 [ 4— (4—ビニルフエニル) ーメチル] —トリメチルアミン、 ビニルベンジルトリエチルアミン等のアミン 系単量体 ; ビニルピリジン、 ビニルイミダゾール等の含窒素複素環系単量 体;及び、 それらの塩類; に代表されるカチオン性単量体の少なくとも 1種を、 適宜、 共重合可能な他の単量体と共に、 重合乃至共重合し、 さらに必要により、 酸 処理により部分中和させて得られるものが使 用される。

尚、 共重合可能な他の単量体としては、 これに限定されるものではないが 、 スチレン、 ビニルトルエン、 ビニルキシレン、 《_メチルスチレン、 ビニ ルナフタレン、 ハロゲン化スチレン類、 アクリロニトリル、 アクロレイ ン、 メチルビニルケトン、 ビニルビフエニル等を挙げることができる。

[0034] また、 上記のカチオン性単量体を使用する代わりに 、 カチオン性官能基を 導入し得る官能基を有する単量体、 例えば、 スチレン、 ブロモブチルスチレ ン、 ビニルトルエン、 クロロメチルスチレン、 ビニルピリジン、 ビニルイミ ダゾール、 《—メチルスチレン、 ビニルナフタレン等を使用し、 重合後に、 アミノ化、 アルキル化 (第 4級アンモニウム塩化) などの処理を行ってカチ オン性ポリマーを得ることもできる。 〇 2020/175454 14 卩(:171? 2020 /007396

[0035] 本発明においては、 上記のカチオン性ポリマーの中でも、 特にアリルアミ ンが成膜性等の観点から好適である。

[0036] 本発明においては、 前述したカチオン性ポリマーを用いて形成さ れるマト リックスには、 架橋構造を導入しておくことが、 吸湿能力を低下させること なく機械的強度を確保すると同時に、 寸法安定性を向上させる上で好ましい 即ち、 吸湿性のマトリックス中に架橋構造が導入さ れていると、 該マトリ ックスが水を吸収したとき、 カチオン性ポリマーの分子が架橋によって互 い に拘束されることとなり、 膨潤 (水分吸収) による体積変化を抑制し、 機械 的強度や寸法安定性の向上がもたらされる。

上記の架橋構造は、 水分トラップ層を形成するためのコーティン グ組成物 中に架橋剤を配合しておくことにより導入す ることができる。

[0037] イオン性ポリマー (アニオン性ポリマー) ;

本発明において、 吸湿性のマトリックスの形成に使用するアニ オン性ポリ マーは、 水中で負の電荷となり得るアニオン性の官能 基、 例えば、 カルボン 酸基、 スルホン酸基、 ホスホン酸基や、 これらの基が部分的に中和された酸 性塩基を分子中に有しているポリマーである 。 このような官能基を有するア ニオン性ポリマーは、 上記官能基が水素結合により水を補足するた め、 吸湿 性マトリックスを形成することができる。

アニオン性ポリマー中のアニオン性官能基量 は、 官能基の種類によっても 異なるが、 前述したカチオン性ポリマーと同様、 形成される吸湿性マトリッ クスの吸水率 (」 丨 3 <—7 2 0 9— 1 9 8 4) が湿度 8 0 % [¾ 1 ~ 1及び 3

〇°〇雰囲気下において 2 0 %以上、 特に 3 0 %〜 4 5 %となるような量であ ればよい。

[0038] 上記のような官能基を有するアニオン性ポリ マーとしては、 例えば、 メタ クリル酸、 アクリル酸、 無水マレイン酸等のカルボン酸系単量体; ハロ ゲン化ビニルスルホン酸、 スチレンスルホン酸、 ビニルスルホン酸等のスル ホン酸系単量体; ビニルリン酸等のホスホン酸系単量体;及び これら単量体 〇 2020/175454 15 卩(:171? 2020 /007396

の塩類;などに代表されるアニオン性単量 体の少なくとも 1種を、 適宜、 共 重合可能な他の単量体と共に重合乃至共重合 させ、 さらに必要により、 アル カリ処理により部分中和させて得られるもの が使用される。

尚、 共重合可能な他の単量体としては、 これに限定されるものではないが 、 スチレン、 ビニルトルエン、 ビニルキシレン、 《_メチルスチレン、 ビニ ルナフタレン、 ハロゲン化スチレン類、 アクリロニトリル、 アクロレイ ン、 メチルビニルケトン、 ビニルビフエニル等を挙げることができる。

[0039] また、 上記のアニオン性単量体を使用する代わりに 、 上記のアニオン性単 量体のエステルや、 アニオン性官能基を導入し得る官能基を有す る単量体、 例えば、 スチレン、 ビニルトルエン、 ビニルキシレン、 《—メチルスチレン 、 ビニルナフタレン、 ハロゲン化スチレン類等を使用し、 重合後に、 加 水分解、 スルホン化、 クロルスルホン化、 ホスホニウム化などの処理を行っ てアニオン性ポリマーを得ることもできる。

[0040] 本発明において、 好適なアニオン性ポリマーは、 ポリ (メタ) アクリル酸 及びその部分中和物 (例えば一部が 3 塩であるもの) である。

[0041 ] また、 本発明においては、 前述したアニオン性ポリマーを用いて形成さ れ る吸湿性マトリックスにおいても、 架橋構造を導入しておくことが特に好ま しく、 これにより、 水分トラップ層の水分トラップ能力がさらに 高められ、 しかも、 寸法安定性のさらなる向上がもたらされてい る。

即ち、 アニオン性ポリマーの場合、 カチオン性ポリマーとは異なって、 水 素結合による水の補足のみなので、 吸湿に適した空間の網目構造 (架橋構造 ) をマトリックス中に導入することにより、 その吸湿性を大きく高めること ができる。 このような架橋構造は、 例えば、 網目構造中に脂環構造のような 疎水部位を有しているものであり、 これにより、 親水部位の吸湿効果がより 局められる。

さらに、 吸湿性マトリックス中に架橋構造を導入する ことにより、 該マト リックスが水を吸収したとき、 アニオン性ポリマーの分子が架橋によって互 いに拘束され、 膨潤 (水分吸収) による体積変化が抑制され、 寸法安定性が 〇 2020/175454 16 卩(:171? 2020 /007396

向上する。 このような寸法安定性向上効果は、 前述したカチオン性ポリマー の場合と同様である。

[0042] 上記の架橋構造は、 カチオン性ポリマーの場合と同様、 水分トラップ層を 形成するためのコーティング組成物中に架橋 剤を配合しておくことにより導 入される。

[0043] 吸湿剤;

上述したイオン性ポリマーをマトリックスと する水分トラップ層中に分散 される吸湿剤は、 上記のマトリックスを形成するイオン性ポリ マー (カチオ ン性或いはアニオン性ポリマー) よりも到達湿度が低く、 極めて高い吸湿性 能を有するものでる。 このようにマトリックスよりも高い吸湿性を 有する吸 湿剤を分散させることにより、 前述したイオン性ポリマーにより形成された マトリックスに吸収された水分が直ちに吸湿 剤に捕捉され、 吸収された水分 のマトリックス中への閉じ込めが効果的に行 われることとなり、 極めて低湿 度雰囲気でも水分の吸湿能力を有効に発揮す ることができるばかりか、 水分 の吸収による水分トラップ層の膨潤も有効に 抑制される。

[0044] 上記のような高吸湿性の吸湿剤としては、 イオン性ポリマーよりも到達湿 度が低いことを条件として、 例えば後述する実施例で示されているように 、 湿度 8 0 % [¾ 1 ~ 1及び温度 3 0 °〇の環境条件での到達湿度が 6 %以下のものが 好適に使用される。 即ち、 この吸湿剤の到達湿度がイオン性ポリマーよ りも 高いと、 マトリックスに吸収された水分の閉じ込めが 十分でなく、 水分の放 出等を生じ易くなるため、 水分バリア性の著しい向上が望めなくなって しま う。 また、 到達湿度がイオン性ポリマーよりも低い場合 であっても、 上記条 件で測定される到達湿度が上記範囲よりも高 いと、 例えば低湿度雰囲気での 水分のトラップが不十分となり、 水分バリア性を十分に発揮できないおそれ がある。

[0045] 上記のような吸湿剤は、 一般に湿度 8 0 % [¾ 1 ~ 1及び温度 3 0 °〇雰囲気下に おいて 5 0 %以上の吸水率 (」 丨 3 [<—7 2 0 9— 1 9 8 4) を有してお り、 無機系及び有機系のものがある。 〇 2020/175454 17 卩(:171? 2020 /007396

無機系の吸湿剤としては、 ゼオライ ト、 アルミナ、 活性炭、 モンモリロナ イ ト等の粘土鉱物、 シリカゲル、 酸化カルシウム、 硫酸マグネシウムなどを 挙げることができる。

有機系の吸湿剤としては、 アニオン系ポリマー若しくはその部分中和物 の 架橋物を挙げることができる。 このアニオン系ポリマーとしては、 カルボン 酸系単量体 ( (メタ) アクリル酸や無水マレイン酸など) 、 スルホン酸系単 量体 (ハロゲン化ビニルスルホン酸、 スチレンスルホン酸、 ビニルスルホン 酸など) 、 ホスホン酸系単量体 (ビニルリン酸など) 及びこれら単量体の塩 類等に代表されるアニオン性単量体の少なく とも 1種を、 重合或いは他の単 量体と共重合させて得られるものを挙げるこ とができる。 特に透明性が求め られる用途においては、 有機系の吸湿剤が有効である。 例えば、 架橋ポリ ( メタ) アクリル酸 1\1 3の微細粒子などが代表的な有機系吸湿剤で る。

[0046] 本発明においては、 比表面積が大となり、 高い吸湿性を示すという観点か ら粒径が小さな吸湿剤が好ましく (例えば、 平均一次粒子径が 1 0 0 n〇!以 下、 特に 8 0 n m以下) 、 特に粒径の小さな有機系ポリマーの吸湿剤が 最適 である。

即ち、 有機系ポリマーの吸湿剤は、 イオン性ポリマーのマトリックスに対 する分散性が極めて良好であり、 均一に分散させることができるばかりか、 これを製造するための重合法として乳化重合 や懸濁重合などを採用すること により、 その粒子形状を微細で且つ揃った球形状とす ることができ、 これを ある程度以上配合することにより、 極めて高い透明性を確保することが可能 となる。

また、 有機系の微細な吸湿剤では、 前述した到達湿度が著しく低く、 高い 吸湿性を示すばかりか、 架橋によって膨潤による体積変化も極めて少 なくす ることができ、 従って、 体積変化を抑制しながら、 環境雰囲気を絶乾状態も しくは絶乾状態に近いところまで湿度を低下 させる上で最適である。

このような有機系の吸湿剤の微粒子としては 、 例えば架橋ポリアクリル酸 N 3微粒子 (平均粒子径約 7 O n m) がコロイ ド分散液 (〇 | ~ | = 1 0 . 4) 〇 2020/175454 18 卩(:171? 2020 /007396

の形で東洋紡株式会社よりタフチック 1~1 11 _ 8 2 0巳の商品名で市販されて いる。

[0047] 本発明において、 上記のような吸湿剤の量は、 その特性を十分に発揮させ 、 水分バリア性の著しい向上及び膨潤による寸 法変化を有効に抑制させると 同時に、 無機バリア層が示すバリア性よりも高い水分 バリア性を長期間にわ たつて確保するという観点から、 イオン性ポリマーの種類に応じて設定され る。

例えば、 上述したイオン性ポリマーをマトリックスと し、 このマトリック ス中に吸湿剤が分散されている水分トラップ 層は、 特に超水分バリア性が要 求されるような用途では、 水蒸気透過度が 1 〇_ 5 3 V以下となる ような超バリア性を発揮させる程度の厚み (例えば、 1 以上、 特に 2乃 至 2 0 程度) に設定されるが、 マトリックスがカチオン性ポリマーによ り形成されている場合には、 水分トラップ層中のイオン性ポリマー 1 0 0質 量部当り、 5 0質量部以上、 特に 1 0 0乃至 9 0 0質量部の量で存在するこ とが好ましく、 更には 2 0 0乃至 6 0 0質量部の量であることがより好まし い。 また、 マトリックスがアニオン性ポリマーにより形 成されている場合に は、 水分トラップ層中のアニオン性ポリマー 1 〇〇質量部当り、 5 0質量部 以上、 特に 1 0 0乃至 1 3 0 0質量部の量で存在することが好ましく、 更に は 1 5 0乃至 1 2 0 0質量部の量であることがより好ましい。

[0048] 水分トラップ層の形成;

また、 上述した水分トラップ層は、 マトリックスとなるイオン性ポリマー に吸湿剤及び必要により架橋剤を所定の溶媒 に溶解乃至分散したコーティン グ組成物を使用し、 このコーティング組成物を、 塗布し、 乾燥して溶媒を除 去することにより形成されるが、 このような成膜後、 乾燥雰囲気中、 減圧下 に保持し、 層中に含まれる水分を放出せしめることが必 要である。 水分トラ ップ層が水分を含む状態で多層構造体が作製 された場合には、 短期間で水分 が飽和状態に達してしまうからである。

図 1では、 下地プラスチック層として設けられた水分透 過性有機層 3 3上 〇 2020/175454 19 卩(:171? 2020 /007396

にコーティング組成物を塗布することで第 1の水分トラップ層 3 1が形成さ れる。

また、 第 3の無機バリア層 5 3にコーティング組成物を塗布することで第 2の水分トラップ層 5 1が形成される。

[0049] 尚、 上記の水分トラップ層形成用のコーティング 組成物の組成は、 特開 2

0 1 5 - 9 6 3 2 0号等に記載されているとおりであり、 マトリックスが力 チオン性ポリマーにより形成されている場合 (以下、 単に 「カチオン性マト リックス」 と呼ぶ) と、 アニオン性ポリマーにより形成されている場 合 (以 下、 単に 「アニオン性マトリックス」 と呼ぶ) とで多少異なる。

[0050] カチオン性マトリックスの場合;

かかるコーティング組成物において、 カチオン性ポリマーと吸湿剤とは、 前述した量比で使用される。 即ち、 1 0 0質量部のカチオン性ポリマーに対 して、 前述した量で、 カチオン性ポリマーと共に、 吸湿剤はコーティング組 成物中に配合される。

[0051 ] また、 カチオン性ポリマーの吸湿性マトリックスに 架橋構造を導入するた めの架橋剤により、 例えば、 架橋構造にシロキサン構造または多脂環構造 を 導入することができ、 これにより、 吸湿に適した空間の網目構造を形成する

[0052] この場合の架橋剤としては、 カチオン性基と反応し得る架橋性官能基 (例 えば、 エポキシ基) と、 加水分解と脱水縮合を経て架橋構造中にシロ キサン 構造を形成し得る官能基 (例えば、 アルコシシリル基) を有している化合物 を使用することができ、 特に、 下記式 (4) :

乂 1 1 (〇 3 _„ (4)

式中、 Xは、 末端にエポキシ基を有する有機基であり、

及び は、 それぞれ、 メチル基、 ェチル基、 もしくはイソ プロピル基であり、

门は、 0、 1、 もしくは 2である、

で表されるシラン化合物が好適に使用される 。 〇 2020/175454 20 卩(:171? 2020 /007396

[0053] このようなシラン化合物は、 官能基としてエポキシ基とアルコキシシリル 基とを有しており、 エポキシ基がカチオン性ポリマーの官能基 (例えば ) と付加反応する。 一方アルコキシシリル基は、 加水分解によりシラノール 基 (3 丨 〇1 ~ 1基) を生成し、 縮合反応を経てシロキサン構造を形成して成 長 することにより、 最終的にカチオン性ポリマー鎖間に架橋構造 を形成する。 これにより、 カチオン性ポリマーのマトリックスには、 シロキサン構造を有 する架橋構造が導入されることとなる。

しかも、 このコーティング組成物は、 カチオン性ポリマーを含んでいるた め、 アルカリ性であり、 この結果、 カチオン性基とエポキシ基の付加反応や シラノール基間の脱水縮合も速やかに促進さ れることとなる。

[0054] 本発明において、 上記式 (4) 中のエポキシ基を有する有機基 Xとしては 、 グリシドキシアルキル基が代表的であり、 例えば· グリシドキシプ ロピルトリメ トキシシランや· グリシドキシプロピルメチルジメ トキシシ ランが架橋剤として好適に使用される。

また、 上記式 (4) 中のエポキシ基が、 エポキシシクロヘキシル基のよう な脂環式エポキシ基であるものも架橋剤とし て好適である。 例えば、 ( 3 , 4 -エポキシシクロヘキシル) エチルトリメ トキシシランのような脂環 式エポキシ基を有する化合物を架橋剤として 使用した場合には、 マトリック スの架橋構造中に、 シロキサン構造と共に、 脂環構造が導入される。 このよ うな脂環構造の導入は、 吸湿に適した空間の網目構造を形成するとい うマト リックスの機能を更に効果的に発揮させるこ とができる。

[0055] さらに、 架橋構造中に脂環構造を導入するために、 複数のエポキシ基と脂 環基とを有している化合物、 例えば、 下記式 (5) :

0 - 0 (0 = 0) _八_ (0 = 0) 0 - 0 (5) 式中、 ◦は、 グリシジル基であり、

八は、 脂肪族環を有する 2価の炭化水素基、 例えばシクロアルキレ ン基である、

で表されるジグリシジルエステルを、 架橋剤として使用することができる。 \¥0 2020/175454 21 卩(:17 2020 /007396

このようなジグリシジルエステルの代表的 なものは、 下記の式 (5— 1) で 表される。

[化 1 ]

[0056] 即ち、 式 (5) のジグリシジルエステルは、 アルコキシシリル基を有して いないが、 架橋構造中に脂環構造を導入するため、 マトリックス中に吸湿に 適した空間の網目構造を形成するという点で 効果的である。

[0057] このようなカチオン性マトリックスの場合に おいてのコーティング組成物 では、 上述した架橋剤は、 カチオン性ポリマー 1 〇〇質量部当り、 5乃至 6 〇質量部、 特に 1 5乃至 5 0質量部の量で使用することが望ましく、 このよ うな架橋剤の少なくとも 7 0質量%以上、 好ましくは 8 0質量%以上が、 前 述した式 (4) のシラン化合物であることが望ましい。

架橋剤の使用量が多すぎると、 機械強度的に脆くなりハンドリング性が損 なわれたり、 塗料にした際に増粘が速く有効なポッ トライフが確保できなく なるおそれがあり、 また、 少なすぎると、 これに伴い、 厳しい環境下 (例え ば高湿度下) に曝された場合の耐性 (例えば機械的強度) が確保できなくな るおそれがある。

[0058] 上述した各種成分を含むコーティング組成物 に使用される溶媒としては、 比較的低温での加熱により揮散除去し得るも のであれば特に制限されず、 例 えば、 メタノール、 エタノール、 プロピルアルコール、 ブタノール等のアル コール性溶媒、 アセトン、 メチルエチルケトン等のケトン溶媒、 或いはこれ 〇 2020/175454 22 卩(:171? 2020 /007396

ら溶媒と水との混合溶媒、 或いは水、 ベンゼン、 トルエン、 キシレン等の芳 香族炭化水素系溶媒などを使用することがで きるが、 特にコーティング組成 物中の架橋剤中のアルコキシシリル基を有す るシラン化合物の加水分解を促 進させるために、 水或いは水を含む混合溶媒を使用することが 望ましい。

[0059] 尚、 上述した溶媒は、 コーティング組成物がコーティングに適した 粘度と なるような量で使用されるが、 コーティング組成物の粘度調整のため、 或い は形成される吸湿性マトリックスの吸水率を 適宜の範囲に調整するため、 非 イオン性重合体を適宜の量で配合することも できる。

このような非イオン性重合体としては、 ポリビニルアルコール、 エチレン —プロピレン共重合体、 ポリプチレン等の飽和脂肪族炭化水素系ポリ マー、 スチレンーブタジエン共重合体等のスチレン 系ポリマー、 ポリ塩化ビニル、 或いは、 これらに、 各種のコモノマー (例えばビニルトルエン、 ビニルキシ レン、 クロロスチレン、 クロロメチルスチレン、 《—メチルスチレン、 (X ハロゲン化スチレン、 —トリハロゲン化スチレン等のスチレン 系モノマーや、 エチレン、 プチレン等のモノオレフィンや、 ブタジエン、 イ ソプレン等の共役ジオレフィンなど) を、 共重合させたものなどを挙げるこ とができる。

[0060] アニオン性マトリックスの場合;

この場合の水分トラップ層を形成するための コーティング組成物において 、 アニオン性ポリマーと吸湿剤とは、 1 0 0質量部のアニオン性ポリマーに 対しての吸湿剤の量が前述した範囲となるよ うに、 コーティング組成物中に 配合される。

[0061 ] また、 このコーティング組成物においても、 前述したカチオン性マトリッ クスの場合と同様、 適宜、 架橋剤が配合される。

この架橋剤としては、 アニオン性ポリマーが有しているイオン性基 と反応 し得る架橋性官能基 (例えばエポキシ基) を 2個以上有している化合物を使 用することができ、 カチオン性マトリックス用のコーティング組 成物でも挙 げられた式 (5) : 〇 2020/175454 23 卩(:171? 2020 /007396

0 - 0 ( 0 = 0 ) _八_ ( 0 = 0 ) 0 - 0 ( 5 ) 式中、 ◦は、 グリシジル基であり、

八は、 脂肪族環を有する 2価の炭化水素基、 例えばシクロアルキレ ン基である、

で表されるジグリシジルエステルが好適に使 用される。

[0062] 即ち、 上記式 (5) のジグリシジルエステルにおいては、 エポキシ基がア ニオン性基と反応し、 2価の基 による脂環構造を含む架橋構造がマトリッ クス中に形成される。 このような脂環構造を含む架橋構造によりさ れ、 膨潤 の抑制がもたらされる。

特に、 上記のジグリシジルエステルの中でも好適な ものは、 先にも挙げら れており、 特に、 吸湿に適した空間の網目構造を形成できると いう観点から 、 先の式 (5— 1) で表されるジグリシジルエステルが最も好適 である。

[0063] このようなアニオン性マトリックス用のコー ティング組成物において、 上 記の架橋剤は、 アニオン性ポリマー 1 〇〇質量部当り、 1乃至 5 0質量部、 特に 1 〇乃至 4 0質量部の量で使用することが望ましい。 架橋剤の使用量が 多すぎると、 機械強度的に脆くなりハンドリング性が損な われたり、 塗料に した際に増粘が速く有効なポッ トライフが確保できなくなるおそれがあり、 また、 少なすぎると、 これに伴い、 厳しい環境下 (例えば高湿度下) に曝さ れた場合の耐性 (例えば機械的強度) が確保できなくなるおそれがある。

[0064] 上述した各種成分を含むコーティング組成物 に使用される溶媒としては、 比較的低温での加熱により揮散除去し得るも のであれば特に制限されず、 力 チオンマトリックス用のコーティング組成物 でも挙げられたものと同種のも のを使用することができる。

[0065] さらに、 上述したアニオンマトリックス用のコーティ ング組成物には、

1 ~ 1調整のために、 アルカリ (例えば水酸化ナトリウムなど) を添加すること もでき、 例えば、 1 ~ 1が 8乃至 1 2程度となるようにアルカリを添加するの がよい。

[0066] 上述した溶媒は、 カチオンマトリックス用のコーティング組成 物と同様、 〇 2020/175454 24 卩(:171? 2020 /007396

コーティング組成物がコーティングに適し た粘度となるような量で使用され 、 且つコーティング組成物の粘度調整のため、 或いは形成される吸湿性マト リックスの吸水率を適宜の範囲に調整するた め、 先にも例示した非イオン性 重合体を適宜の量で配合することができる。

[0067] 上述したカチオン性マトリックス形成用或い はアニオン性マトリックス形 成用のコーティング組成物を用いての成膜は 、 上述したコーティング組成物 を、 第 1の無機バリア層 1 3に塗布し、 8 0 ~ 1 6 0 ° 〇程度の温度に加熱す ることにより行われる。 加熱時間は、 例えば加熱オーブン等の加熱装置の能 力にも依るが、 一般に、 数秒から数分間である。 この加熱により、 溶媒が除 去され、 さらに、 架橋剤がイオン性ポリマーと反応し、 架橋構造がマトリッ クス中に導入された水分トラップ層を形成す ることができる。

[0068] <水分透過性有機層>

本発明において、 水分透過性有機層とは、 無機バリア層および無機バリア 層と比較して水分透過率が高い有機層のこと を指す。 すなわち、 前述した下 地プラスチック層の項でも説明したように、 この有機層は、 1 . 〇 9 /〇1 2 / ¢1 ^ソ以上の水分透過率を有しており、 好ましくは 5 9 /〇1 2 /〇1 3ソ以上、 より好ましくは 1 0 3ソ以上の水分透過率を有する。

[0069] 基本的に、 水分透過性有機層は下地プラスチック層また は接着剤層として 形成されるが、 これらに限定されるものではなく、 原理的には、 水分トラッ プ性 (さらには水分バリア性) 以外の機能を示す材料からなる機能層であれ ばよい。 例えば、 水分トラップ層と無機バリア層とを隣接させ ないように水 分トラップ層と無機バリア層との間に、 水分トラップ層の吸湿に伴う膨潤に よる体積変動を緩和するための緩衝層、 水分トラップ層の生産工程中での吸 湿に伴う失活を防止する保護樹脂層、 バリア層を成膜するための平滑化層な どの機能を有する層であってもよく、 更にバリア性や無機層との密着性など を向上させるために、 無機フィラーやシラン系化合物が加えられた 有機層 ( 密着性向上層) であってもよい。

[0070] 水分透過性有機層と水分トラップ層との間に は、 密着性の向上を目的に、 \¥0 2020/175454 25 卩(:17 2020 /007396

アンカーコート層を設けてもよい。 アンカーコート層を形成する樹脂として は、 無機バリア層と水分トラップ層との間形成す るアンカーコート層として 列挙した樹脂を単独であるいは 2種以上組み合わせて使用することができる

[0071 ] 下地プラスチック層の場合;

下地プラスチック層としての水分透過性有機 層は、 それ自体公知の熱可塑 性或いは熱硬化性の樹脂により形成される。 熱可塑性或いは熱硬化性の樹脂 としては、 水分透過性下地プラスチック層に用いる樹脂 として列挙したもの を用いることができる。

また、 下地プラスチック層としての水分透過性有機 層は、 エチレン · ビニ ルアルコール共重合体の如き酸素バリア性に 優れたガスバリア性樹脂などに より形成されていることも好適であり、 さらには、 このようなガスバリア性 樹脂により形成された層を含む多層構造を有 していてもよい。

本発明においては、 入手のし易さ、 コスト、 成形性、 或いは酸素や酸素に 対して多少なりともバリア性を示し、 さらには無機バリア層の下地として好 適であるという観点から、 ポリエチレンテレフタレート ( 巳丁) に代表さ れるポリエステル樹脂や、 ポリエチレン、 ポリプロピレンに代表されるオレ フィン樹脂を使用することがより好適である 。

[0072] 図 1 において、 水分透過性有機層 3 3の外部側 (デバイスとは反対側) 表 面には、 蒸着により第 2の無機バリア層 3 1が形成されている。 すなわち、 水分透過性有機層 3 3は第 2の無機バリア層 3 5の下地プラスチック樹脂層 として機能している。

[0073] 接着剤層の場合;

接着剤層としての水分透過性有機層には、 感圧性接着剤や、 接着性の樹脂 成分を有機溶剤に溶解乃至分散させた所謂ド ライラミネート接着剤として知 られているもの、 例えば、 ウレタン系接着剤、 ポリエステル系接着剤、 ポリ エーテル系接着剤、 エポキシ系接着剤、 アクリル系接着剤などを用いること ができる。 本発明では、 飽和吸湿率が低く、 比較的高い水分バリア性を示す 〇 2020/175454 26 卩(:171? 2020 /007396

という観点から、 ドライラミネート接着剤のウレタン系接着剤 、 エポキシ系 接着剤が好適である。

[0074] 上述のウレタン系接着剤は、 ポリオールとポリイソシアネートとを樹脂成 分として含んでいる。

ポリオール成分としては、 これに限定されるものではないが、 エチレング リコール、 プロピレングリコール、 1 , 4—ブタンジオール、 ジエチレング リコール、 1 , 6—ヘキシレングリコール、 シクロへキサンジメタノール、 ビスフエノール八のエチレンオキサイ ド付加物等のジオールや、 トリメチロ —ルメタン、 トリメチロールエタン、 トリメチロールプロパン、 ペンタエリ スリ トール等の 3価以上のアルコール等の少なくとも 1種が使用される。 さ らに、 ポリエステルポリオール、 水酸基含有アクリレート (例えばペンタエ リスリ トールトリアクリレートなど) などもポリオール成分として使用する ことができる。

ポリイソシアネートとしては、 やはりこれに限定されるものではないが、 ジフエニルメタンジイソシアネート 丨) 、 トリレンジイソシアネート (丁〇 丨) 、 ヘキサメチレンジイソシアネート (1 ~ 1 0 丨) 、 メタキシリレン ジイソシアネート、 テトラメチレンジイソシアネート、 ペンタメチレンジイ ソシアネート、 リジンイソシアネート、 イソホロンジイソシアネート (丨 0 I) 及びこれらイソシアネートの多核縮合体など の少なくとも 1種を挙げ ることができる。

尚、 上記のポリイソシアネートの末端は、 ブロック化剤で封鎖されていて もよく、 このようなブロック化剤としては、 メタノール、 エタノール、 乳酸 エステル等のアルコール; フエノール、 サリチル酸エステル等のフエノール 性水酸基含有化合物; カプロラクタム、 2 -ピロリ ドン等のアミ ド; ア セトンオキシム、 メチルエチルケトンオキシム等のオキシム; アセト酢酸メ チル、 アセト酢酸エチル、 アセチルアセトン、 マロン酸ジメチル、 マロン酸 ジエチル等の活性メチレン化合物;などが代 表的である。

[0075] 上述のエポキシ系接着剤は、 分子内に少なくとも 2個のエポキシ基を含む 〇 2020/175454 27 卩(:171? 2020 /007396

ものが好ましい。 このような樹脂としては、 例えば、 脂肪族グリシジルェー テル、 ビスフェノール八型、 八〇型、 3型又は 型のグリシジルェーテル、 水添加ビスフェノール八型のグリシジルェー テル、 ェチレンオキシド付加体 ビスフェノール八型のグリシジルェーテル、 プロピレンオキシド付加体ビス フェノール八型のグリシジルェーテル、 フェノールノボラック樹脂のグリシ ジルェーテル、 クレゾールノボラック樹脂のグリシジルェー テル、 ビスフェ ノール八ノボラック樹脂のグリシジルェーテ ル、 ナフタレン樹脂のグリシジ ルェーテル、 3官能型 (又は 4官能型) のグリシジルェーテル、 ジシクロべ ンタジェンフェノール樹脂のグリシジルェー テル、 ジアリルビスフェノール 八ジグリシジルェーテル、 アリル化ビスフェノール八とェピクロルヒド リン の重縮合物、 ダイマー酸のグリシジルェステル、 3官能型 (又は 4官能型) のグリシジルアミン、 ナフタレン樹脂のグリシジルアミン等が挙げ られる。 これらは単独で又は 2種類以上を組み合わせて使用することがで る。 上記 ェポキシ樹脂の硬化剤としては、 例えば、 アミノ基末端のポリウレタン、 フ ェノール系化合物、 脂肪族アミン、 脂環族アミン、 芳香族ポリアミン、 ポリ アミ ド、 脂肪族酸無水物、 脂環族酸無水物、 芳香族酸無水物、 ジシアンジア ミ ド、 有機酸ジヒドラジド、 三フッ化ホウ素アミン錯体、 イミダゾール類、 第 3級アミン等が挙げられ、 これらは単独で、 又は 2種類以上を組み合わせ て使用することが出来る。

[0076] 上記感圧性接着剤としては、 例えば、 アクリル系樹脂、 ェポキシ系樹脂、 ェポキシ基含有アクリル共重合体、 フェノール系樹脂、 ェポキシ樹脂硬化剤 、 イソプチレン系樹脂、 及びェポキシ樹脂硬化剤からなる半硬化状態 のェポ キシ熱硬化系樹脂から選ばれる少なくとも一 種からなるものが挙げられる。

[0077] 図 1では、 第 1の水分トラップ層 3 1 に接着剤を塗布し、 乾燥した後、 第

1の無機バリア層 1 3に圧着することにより、 水分透過性有機層 2 1が形成 される。 すなわち、 水分透過性有機層 2 1は接着剤層として機能している。 また、 第 2の水分トラップ層 5 1 に接着剤を塗布し、 乾燥した後、 第 2の 無機バリア層 3 5に圧着することにより、 水分透過性有機層 4 1が形成され 〇 2020/175454 28 卩(:171? 2020 /007396

る。 すなわち、 水分透過性有機層 4 1は接着剤層として機能している。

[0078] <他の層構造>

本発明においては、 上記の基本層構造が確保されている限り、 デバイス側 および外部側 (デバイスとは反対側) の面に、 他の層が積層されて、 さらな る多層構造が形成されていてもよく、 これにより、 水分バリア性をより向上 させることができる。 例えば、 外部側の面に、 さらに水分トラップ層を含む 積層構造が形成され、 第 1の水分トラップ層から第 2の水分トラップ層に移 行したデバイス内部からの吸湿水分を、 さらに外部側へ移行させることで、 第 1の水分トラップ層の効果をより長期間保持 来るようになるし、 あるい はデバイス側に補助水分トラップ層を設ける ことで、 フィルムの側面から透 過する水分を吸湿し、 デバイスの失活を抑制することが可能となる 。

[0079] <水分バリア積層体の形成>

例えば、 図 1 に示した水分バリア積層体 1は以下のようにして形成するこ とができる。

[0080] まず、 下地プラスチック層 1 1の一方の面に第 1の無機バリア層 1 3を形 成してフィルム 1 0 1 を得る。

次いで、 下地プラスチック層としての水分透過性有機 層 3 3の一方の面に 第 2の無機バリア層 3 5を形成し、 もう一方の面には水分トラップ層 3 1 を 形成してフィルム 3 0 1 を得る。

続いて、 下地プラスチック層としての水分透過性有機 層 5 5の一方の面に 第 3の無機バリア層 5 3を形成し、 さらに形成した無機バリア層上に水分卜 ラップ層 5 1 を形成することで、 フィルム 5 0 1 を得る。

[0081 ] フィルム八の無機バリア層 1 3側とフィルム巳の水分トラップ層 3 1側を 、 接着剤層としての水分透過性有機層 2 1で接着する。

最後に、 フィルム巳の無機バリア層 3 5側とフィルム〇の水分トラップ層 5 1側を、 接着剤層としての水分透過性有機層 4 1で接着することで、 水分 バリア積層体 1 を得る。

[0082] <層間の間隔> 〇 2020/175454 29 卩(:171? 2020 /007396

前記第 1の水分トラップ層と第 1の無機バリア層との間隔 !- 1 3、 及び第 2の水分トラップ層と第 2のバリア層との間隔 !_ 2 3 は、 下記式 ( 1 ) 及び ( 2 ) :

で示される条件を満足しており、 第 2の無機バリア層と第 1の水分トラップ 層との間隔 !_ 2匕は、 水分透過性有機層を介在させることにより、 下記式 ( 3 ) :

で示される条件を満足するように設定される 。

[0083] 図 1では、 接着材層として形成された水分透過性有機層 2 1の厚みが !_ 1

&に対応する。

また、 接着材層として形成された水分透過性有機層 4 1の厚みが!- 2 3 に 対応する。

さらに、 下地プラスチック層として形成された水分透 過性有機層 3 3の厚 みが !_ 1 匕に対応する。

[0084] 無機バリア層が 2層以上のバリア層から構成されている場合 上述した層 間の間隔は、 該水分トラップ層に対して隣接した、 最も距離が近い無機バリ ア層との距離が上記式 ( 1 ) 〜 ( 3 ) を満たす必要がある。

[0085] !_ 1 3および !_ 2 3は、 好ましくは 2 . 5 未満、 より好ましくは 2 未満である。 すなわち、 !_ 1 3および !_ 2 3が上記範囲よりも大きいと、 透過水分のトラップ性能が低下してしまうか らである。

[0086] 図 2には、 第 1の水分トラップ層と第 2の無機バリア層が直接接触する場 合の構成を示したが、 この場合、 1- 1 8 = 0 である。 また、 図 3には、 第 1の水分トラップ層上に、 水分透過性有機層として平滑化層、 第 2の無機 バリア層、 第 2の水分トラップ層、 水分透過性有機層として平滑化層、 第 3 の無機バリア層を、 この順で形成する場合の構成を示したが、 この場合、 !- 1 = 0 であり且つ !_ 1 である。 〇 2020/175454 30 卩(:171? 2020 /007396

[0087] 1_ 1 匕は、 好ましくは 5 以上、 より好ましくは 1 〇 以上である。

すなわち、 !_ 1 匕が上記範囲よりも小さいと、 透過水分は、 外部 (デバイス とは反対側) 方向へ移動しづらくなり、 第 1の水分トラップ層中に堰き止め られ、 第 1の水分トラップ層とデバイス内部側との水 濃度勾配が小さくな り、 デバイス内部からの水分透過が少なくなって しまい、 結果として、 第 1 の水分トラップ層のパフォーマンスが低下し てしまうことになるからである

[0088] また、 !_ 1 匕は、 好ましくは 4 5 以下、 より好ましくは 4〇 以下 である。 すなわち、 !_ 1 匕が上記範囲よりも大きいと、 透過水分をデバイス 外部方向へ移動させることで第 1の水分トラップ層のパフォーマンスの低下 を防ぐという効果よりも、 !_ 1 匕を構成する層の端面からの水分流入の影響 が大きくなり、 短期間で水分トラップ性能が消失してしまう からである。

[0089] !_ 2 3 および 1_ 1 13の値は、 上述した水分透過性有機層等の厚み を調整することで、 所望の値に調整することができる。

[0090] <粘着剤>

一般的に、 本発明の水分バリア積層体は、 デバイス等に粘着剤を用いて貼 り付けることが、 保管、 搬送時等における剥離等の不都合を確実に防 止する 上で好適である。

[0091 ] このような粘着剤を用いる場合、 デバイス等と水分透過性下地プラスチッ ク層との間に粘着剤層が形成されるが、 この粘着剤層 (図 1では示されてい ない) は、 吸湿性を阻害するものであってはならず、 従って、 この粘着剤層 は、 水分透過性下地プラスチック層よりも水分透 過率が高く、 例えば 4 0 ° 〇 、 以上、 特に 6 0 2 / ^ 2

- 〇1 3ソ以上であることが必要である。

[0092] 上記の粘着剤としては、 (メタ) アクリル系粘着剤、 ウレタン系粘着剤等 の公知の粘着剤を使用することができ、 これらの粘着剤により上記のような 水分透過率が確保されるように一定厚み以下 (例えば、 3 0 以下) の粘 着剤層を形成すればよい。 〇 2020/175454 31 卩(:171? 2020 /007396

また、 エチレン ·酢酸ビニル共重合体 (巳 八) 、 軟質ポリオレフィン ( 1_ 1_ 0 巳) 、 メタロセンポリオレフィン系エラストマー等 も粘着剤として 使用することもできる。

[0093] <用途>

このような本発明の水分バリア性多層構造体 は、 各種のデバイス、 例えば 有機 E L素子、 太陽電池、 電子べーパーなどの電子回路を封止するため のフ イルムとして好適に使用することができ、 前述した水分透過性下地プラスチ ック層がデバイス内部側 (低湿度雰囲気側) となるように、 各種デバイスに 装着し、 優れた水分バリア性を発揮し、 水分による電荷のリーク等を有効に 回避することができ、 例えば、 有機 E Lの発光素子や太陽電池の光発電素子 の保護にも使用することができる。

実施例

[0094] 本発明の水分バリア性多層構造体の優れた性 能を、 以下の実験例により説 明する。

[0095] 初期水蒸気透過度 (g/m 2 /d a y) の測定;

水分バリア性多層構造体を、 高感度水蒸気透過度測定装置 (t e c h n o I o x社製 「デルタパーム」 ) を用い、 85 ° C85%R H相当の水蒸気によ る圧力をサンプルの両側で形成して、 水蒸気透過率を測定した。

[0096] トラップ性能の維持;

上記の 85 ° C 85 %の雰囲気環境での水蒸気透過率の測定値の 化により 、 トラップ性能が失活するまでの時間 (水蒸気透過率が初期値から一桁悪く なるまでの時間) を算出し、 水分トラップ性能を評価した。 この時間が短い ほど、 水分トラップ性能が短時間で焼失し、 長いほど、 長時間にわたって水 分トラップ性能が発揮される。

X : トラップ性能が失活するまでの時間が 50時間未満である。

〇: トラップ性能が失活するまでの時間が 50時間以上 200時間未 満である。

◎ : トラップ性能が失活するまでの時間が 200時間以上である。 〇 2020/175454 32 卩(:171? 2020 /007396

[0097] 封止樹脂からの水分除去効果;

ガラス板 ( 5 c m X 5 c m、 厚さ : 0. 7 m m) に、 真空蒸着装置 (日本 電子株式会社製、 J E E-400) を用いて、 真空蒸着により 300 n mの 厚みの C a薄膜 (水腐食性金属の薄膜) を形成することで試料片を作製し、 大気に暴露されないようグローブボックスへ と移した。

尚、 C a薄膜は、 金属カルシウムを蒸着源として使用し、 所定のマスクを 介しての真空蒸着により、 1 c m角の正方形部分を 1箇所形成した。

グローブボックス内にて、 上記のようにして形成された試料片上に、 封止 樹脂として市販のアクリル系 PS A (厚さ 30 Mm) を用いて水分バリア性 積層体のデバイス側面と貼り合わせた。

このようにして作製された評価用ユニッ トを、 85 ° CO %に雰囲気調整さ れた恒温恒湿槽に保管した後、 封止樹脂からの残留水分放湿による C a薄膜 の腐食状態を、 レーザー顕微鏡 (C a r l Z e i s s社製レーザスキャン 顕微鏡) を用いて観察し、 封止樹脂からの水分除去効果を、 以下の基準で評 価した。

X : 50時間以内にカルシウム薄膜の腐食が見られ (水分除去効果 無し) 。

A : 5〇〜 200時間でカルシウム薄膜の腐食が生じる

〇 : 200時間経過してもカルシウム薄膜の腐食が生 じない。

[0098] 無機バリア層被覆ポリエチレンテレフタレー ト (P ET) フイルムの作製; 厚み 5 O^mの 2軸延伸 P ETフイルムの片面に、 プラズマ CVD装置を 用いて、 酸化ケイ素の無機バリア層を形成した。 以下に、 製膜条件を示す。 周波数 27. 1 2 MH z、 最大出力 2 kWの高周波出力電源、 マッチング ボックス、 直径 300 mm、 高さ 450 m mの金属型円筒形プラズマ処理室 、 処理室を真空にする油回転真空式ポンプを有 する CVD装置を用いた。 処 理室内の並行平板にプラスチック基材を設置 し、 ヘキサメチルジシロキサン を 3 s e e m、 酸素を 45 s c c m導入後、 高周波発振器により 50 Wの出 力で高周波を発振させ、 2秒間の製膜を行い、 密着層を形成した。 次に、 高 〇 2020/175454 33 卩(:171? 2020 /007396

周波発振器により 2 0〇 の出力で高周波を発振させ、 5 0秒間の製膜を行 い、 酸化ケイ素の無機バリア層を形成し、 無機バリア層被覆 巳丁フィルム 八 1 を得た。 得られた上記無機バリア層被覆 巳丁フィルム八 1は、 4 0 °〇 9 0 % [¾ 1~1雰囲気下で測定した水蒸気透過率が、 2 X 1 0 - 2 9 / 2 / 3 ソ であった。

[0099] <実施例 1 >

イオン性ポリマーとしてポリアリルアミン (ニッ トーボーメディカル社製 、 八八_ 1 5〇、 水溶液品、 固形分 1 5 %) を、 固形分 5質量%になるよ うに水で希釈し、 ポリマー溶液を得た。 一方、 架橋剤として、 ァ_グリシド キシプロピルトリメ トキシシランを用い、 5質量%になるように水に溶かし て架橋剤溶液を調製した。 次いで、 ポリアリルアミン 1 〇〇質量部に対して アーグリシドキシプロピルトリメ トキシシランが 1 5質量部になるように、 ポリマー溶液と架橋剤溶液とを混合し、 さらに、 この混合溶液に、 吸湿剤と して、 ポリアクリル酸 3 の架橋物 (東洋紡製、 タフチック 1 ~ 1 11 - 8 2 0巳 、 水分散品、 固形分 1 3 %) を、 ポリアリルアミンに対して 4 0 0質量部に なるように加え、 更に固形分が 5 %になるよう水で調整した上で良く撹拌し 、 水分トラップ層用のコーティング液八を調製 した。

[0100] 前記で得られたコーティング液八を、 バーコーターにより、 上記無機バリ ア層被覆 巳丁フィルム八 1の、 無機バリア層が成膜されていない側に塗布 した。 塗布後の上記フィルムをボックス型の電気オ ーブンにより、 ピーク温 度 1 2 0 ° 〇、 ピーク温度保持時間 1 0秒の条件で熱処理し、 厚み 3 の水 分トラップ層を形成し、 コーティングフィルム巳 1 を得た。 同様に、 前記コ —ティング液 を、 上記無機バリア層被覆 巳丁フィルム 1の、 無機バリ ア層が成膜されている側に塗布および熱処理 を行い、 水分トラップ層が形成 されたコーティングフィルム巳 2を得た。

[0101 ] 次いで、 窒素濃度 9 9 . 9 5 %以上に調整したグローブボックス内にて、 前記コーティングフィルム巳 1の、 水分トラップ層が形成された面に、 厚さ 1 . 8 のウレタン系接着剤を介して、 前記無機バリア層被覆 巳丁フィ 〇 2020/175454 34 卩(:171? 2020 /007396

ルム八 1の無機バリア層が形成された面をドライラ ネートし、 ラミネート フィルム〇 1 を得た。 更に、 ラミネートフィルム〇 1の、 コーティングフィ ルム巳 1面側に、 厚さ 1 . 8 のウレタン系接着剤を介して、 前記コーテ ィングフィルム巳 2の、 水分トラップ層が形成された面をドライラミ ネート し、 図 1 に示した水分バリア積層体 1 を得た。

[0102] <実施例 2 >

窒素濃度 9 9 . 9 5 %以上に調整したグローブボックス内にて、 前記コー ティングフィルム巳 2の、 水分トラップ層が形成された面に、 厚さ 1 . 8 のウレタン系接着剤を介して、 前記無機バリア層被覆 巳丁フィルム八 1 の無機バリア層が形成されていない面をドラ イラミネートし、 ラミネートフ ィルム〇 2を得た。 更に、 ラミネートフィルム〇 2の、 無機バリア層被覆 巳丁フィルム面側に、 厚さ 1 . 8 のウレタン系接着剤を介して、 前記コ —ティングフィルム巳 2の、 水分トラップ層が形成された面をドライラミ ネ —卜し、 図 2に示した水分バリア積層体 2を得た。

[0103] <実施例 3 >

主材樹脂 (荒川化学社製、 口八 1 0 5) と硬化剤 (荒川化学社製、

0 0八) を、 重量比 5 : 2となるように配合し、 2—ブタノンで固形分が 3 5質量%になるように調整して、 有機層用のコーティング液口を調整した。 上記コーティング液口を、 前記コーティングフィルム巳 2の、 水分トラッ プ層が形成された面に、 バーコーターにより塗布した。 塗布後の上記フィル ムをボックス型の電気才ーブンにより、 ピーク温度 1 5 0 ° 〇、 ピーク温度保 持時間 2分の条件で熱処理し、 厚み 4 の平滑化層を形成した。 次いで、 平滑化層の上に、 八 1 と同様の条件で酸化ケイ素からなる第 2の無機バリア 層を形成した。 さらに、 第 2の無機バリア層上に、 上記と同様の条件で第 2 の水分トラップ層と平滑化層と第 3無機バリア層をこの順で形成し、 図 3に 示した水分バリア積層体 3を得た。

[0104] <実施例 4 >

実施例 1 において、 無機バリア層被覆 巳丁フィルム八 1の代わりに市販 〇 2020/175454 35 卩(:171? 2020 /007396

の 〇法により形成された蒸着 巳丁フィルム (凸版印刷社製、 口、 水蒸気透過度 0 . 1 5 9 / 0^ / 0^ 3 7) を使用する以外は、 実施例 1 と 同様の方法で、 水分バリア積層体 4を得た。

[0105] <実施例 5 >

実施例 1 において、 水分トラップ層としてコーティング液八をバ ーコータ 一で塗工する代わりに、 吸湿材の酸化カルシウム含有!- L D P巳マスターバ ッチ (近江化学工業株式会社製、 巳 6 丨 丨 _〇1\/1 1_) と、 マトリックス樹脂 層の!-〇 巳 (住友化学株式会社製、 スミカセン) を樹脂成分 7 5質量部に 対して吸湿機能成分 (ここでは酸化カルシウム) が 2 5質量部になるよう混 合し、 押出機で無機バリア層被覆 巳丁フィルム八 1上に 1 〇 の厚みで 押し出しラミネートする以外は、 実施例 1 と同様の方法で、 水分バリア積層 体 5を得た。

[0106] <実施例 6 >

市販の 〇法により形成された蒸着 巳丁フィルム (凸版印刷社製、 ◦ アルミニウム酸化物の無機バリア層) 2枚を、 水分バリア層と 基材 巳丁面を、 厚さ 1 . 8 のウレタン系接着剤によってドライラミネ —卜をし、 無機バリア層フィルム巳 1 を作成した。 次いで、 前記水分バリア フィルム積層体巳 1の基材 巳丁面と市販の 〇法により形成された蒸着 巳丁フィルムの 巳丁面を、 厚さ 1 . 8 のウレタン系接着剤によって ドライラミネートをし、 無機バリア層フィルム巳 2を作成した。

[0107] 実施例 3と同様の方法で、 無機バリア層フィルム巳 2の両面に、 コーティ ング液八を塗工して水分トラップ層を形成し 、 次いでコーティング液口を塗 エして厚さ 1 の平滑層を順次形成し、 コーティングフィルム 1 を作成 した。

[0108] 窒素濃度 9 9 . 9 5 %以上に調整したグローブボックス内にて、 前記コー ティングフィルム 1の一方の面に、 厚さ 1 . 8 のウレタン系接着剤を 介して、 前記無機バリア層フィルム巳 1の、 無機バリア層が形成されている 面をドライラミネートし、 ラミネートフィルム◦ 1 を作成した。 次いで、 前 〇 2020/175454 36 卩(:171? 2020 /007396

記コーティングフィルム 1の一方の面に、 厚さ 1 . 8 のウレタン系接 着剤を介して、 前記無機バリア層フィルム巳 1の、 無機バリア層が形成され ていない面をドライラミネートし、 ラミネートフィルム◦ 2を作成した。 更 に、 作成したラミネートフィルム◦ 1の、 水分トラップ層および平滑層が形 成された面と、 ラミネートフィルム◦ 2の、 水分トラップ層および平滑層が 形成されていない面同士を前述の接着剤でド ライラミネートし、 水分バリア 積層体 6を得た。

[0109] <実施例 7 >

実施例 6において、 無機バリア層フィルム巳 2と水分トラップ層の間に主 材樹脂 (荒川化学社製、 〇八 1 0 5) と硬化剤 (三井化学、 1 0 !\1) を 4 : 1で配合したコーティング液 1 ~ 1を塗工して、 厚さ 1 のアンカー層を 設ける以外は、 実施例 6と同様の方法で、 水分バリア積層体 7を作成した。

[01 10] <実施例 8 >

実施例 7において、 前記コーティングフィルム 1の一方の面に、 厚さ 1 . 8 のウレタン系接着剤を介して、 前記無機バリア層フィルム巳 1の代 わりに、 前記蒸着 巳丁フィルム 1枚の無機バリア層が形成されていない面 をドライラミネートする以外は、 実施例 7と同様の方法で、 水分バリア積層 体 8を作成した。

[01 1 1 ] <比較例 1 >

窒素濃度 9 9 . 9 5 %以上に調整したグローブボックス内にて、 前記コー ティングフィルム巳 2の、 水分トラップ層が形成された面に、 厚さ 1 . 8 のウレタン系接着剤を介して、 前記無機バリア層被覆 巳丁フィルム八 1 の無機バリア層が形成された面をドライラミ ネートし、 ラミネートフィルム 〇 2を得た。 更に、 ラミネートフィルム〇 2の、 コーティングフィルム巳 2 面側に、 厚さ 1 . 8 のウレタン系接着剤を介して、 前記コーティングフ ィルム巳 2の、 水分トラップ層が形成された面をドライラミ ネートし、 図 4 に示した水分バリア積層体 8を得た。 水分バリア積層体 8は、 図 4に示した 通り、 !-匕 = 0となる。 〇 2020/175454 37 卩(:171? 2020 /007396

[01 12] <比較例 2>

窒素濃度 9 9 . 9 5 %以上に調整したグローブボックス内にて、 前記コー ティングフィルム巳 1の、 水分トラップ層が形成された面に、 厚さ 1 . 8 のウレタン系接着剤を介して、 前記無機バリア層被覆 巳丁フィルム八 1 の無機バリア層が形成された面をドライラミ ネートし、 水分バリア積層体 9 を得た。

[01 13] <比較例 3>

窒素濃度 9 9 . 9 5 %以上に調整したグローブボックス内にて、 前記コー ティングフィルム巳 2の、 水分トラップ層が形成された面に、 厚さ 1 . 8 のウレタン系接着剤を介して、 前記コーティングフィルム巳 1の、 水分卜 ラップ層が形成されていない面をドライラミ ネートし、 ラミネートフィルム 〇 3を得た。 更に、 ラミネートフィルム〇 3の、 コーティングフィルム巳 2 面側に、 厚さ 1 . 8 のウレタン系接着剤を介して、 前記コーティングフ ィルム巳 2の、 水分トラップ層が形成された面をドライラミ ネートし、 図 4 に示した水分バリア積層体 8を得た。

[01 14] <評価試験>

上記で作製された試料のラミネート積層体に ついて、 前述した方法で各種 特性を測定し、 その結果を、 表 1 に示した。 また、 対照実験として、 バリア フィルムの代わりにガラス板を用いて同様の 評価を実施した。

[01 15]

\¥02020/175454 38 2020/007396

[表 1]

符号の説明

[0116] 1 :水分バリア性多層構造体 5454 39 卩(:171? 2020 /007396 1 :下地プラスチック層

3 :第 1の無機バリア層

1 :水分透過性有機層 (接着剤層)

1 :第 1の水分トラップ層

3 :水分透過性有機層 (下地プラスチック層)

5 :第 2の無機バリア層

1 :水分透過性有機層 (接着剤層)

1 :第 2の水分トラップ層

3 :第 3の無機バリア層

5 :水分透過性有機層 (下地プラスチック層)