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Patent Searching and Data


Title:
MOLD RECTIFIER AND RECTIFIER MOTOR USING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/102524
Kind Code:
A1
Abstract:
A mold rectifier includes: a plurality of rectifier pieces formed from copper or a copper alloy and arranged on a circumference; a disc-shaped spark absorption element having an identical number of front surface electrodes and rear surface electrodes on the front surface and the rear surface of the disc shape; and a resin mold unit which forms them into a unitary block. The rectifier pieces have front surface junction rectifier pieces and rear surface junction rectifier pieces which are alternately arranged in the circumferential direction, so that spark voltage generated in the rectifier pieces is absorbed by current flowing between the front surface electrodes and the rear surface electrodes of the spark absorption element.

Inventors:
MAEDA NORITERU
MIZUKAMI HIROFUMI
KUROZUMI SEIJI
YAMAGATA YOSHIKAZU
Application Number:
PCT/JP2008/000195
Publication Date:
August 28, 2008
Filing Date:
February 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MATSUSHITA ELECTRIC IND CO LTD (JP)
MAEDA NORITERU
MIZUKAMI HIROFUMI
KUROZUMI SEIJI
YAMAGATA YOSHIKAZU
International Classes:
H02K13/00; H01R39/04
Foreign References:
JPS55132885U1980-09-20
JP2006197754A2006-07-27
JPS5749347A1982-03-23
JPH1098854A1998-04-14
JPH02266853A1990-10-31
Attorney, Agent or Firm:
IWAHASHI, Fumio et al. (1006, Oaza Kadoma, Kadoma-sh, Osaka 01, JP)
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Claims:
銅または銅合金からなり円周上に配置された複数の整流子片と、表面及び裏面に電極を形成した円盤形状のスパーク吸収素子と、前記整流子片と前記スパーク吸収素子とを一体的に成形する樹脂モールド部とを備え、
前記スパーク吸収素子は、表面と裏面にそれぞれ同数の表面電極と裏面電極とを有し、
前記整流子片は、前記表面電極と電気的に接続される表面接合整流子片と前記裏面電極と電気的に接合される裏面接合整流子片とを有し、
前記表面接合整流子片と前記裏面接合整流子片とは円周方向に交互に配置され、
前記整流子片に発生するスパーク電圧は、前記表面電極と前記裏面電極との間に流れる電流により吸収されることを特徴とするモールド整流子。
前記表面接合整流子片は表面接合端子部を有し、前記裏面接合整流子片は裏面接合端子部を有することを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
前記表面電極と前記裏面電極とは円周方向に電極重ね代を有し、前記電極重ね代の円周方向距離は、前記表面電極の中央と前記裏面電極の中央との円周方向距離の1/2以下であることを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
前記スパーク吸収素子は、非直線性抵抗特性を有する素子であることを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
前記スパーク吸収素子は、酸化亜鉛系バリスタであることを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
前記スパーク吸収素子は、厚みが0.5mm以上1.5mm以下であることを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
前記樹脂モールド部は冷却穴を有し、前記スパーク吸収素子は、前記冷却穴を介して外部に露出することを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
前記冷却穴は円周方向に複数備えられ、前記冷却穴の総面積は、前記スパーク吸収素子の円盤形状の10%以上、40%以下であることを特徴とする請求項7記載のモールド整流子。
前記表面接合整流子片と前記裏面接合整流子片とに係合するセラミックピンを備え、前記セラミックピンは前記スパーク吸収素子と接触するよう配設されることを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
前記樹脂モールド部はさらに放熱板を有し、前記放熱板は前記スパーク吸収素子に接触して外部に露出するよう配設されることを特徴とする請求項1記載のモールド整流子。
前記放熱板は、前記スパーク吸収素子の表面に接触する表面放熱板と前記スパーク吸収素子の裏面に接触する裏面放熱板との少なくとも一方を有することを特徴とする請求項10記載のモールド整流子。
前記整流子片は、前記放熱板と係合する係合溝を有することを特徴とする請求項10記載のモールド整流子。
前記放熱板は、高熱伝導性のセラミックにより形成されることを特徴とする請求項10記載のモールド整流子。
前記放熱板は、高熱伝導性の樹脂により形成されることを特徴とする請求項10記載のモールド整流子。
前記樹脂は、酸化アルミニウム、炭化珪素、及びガラス繊維の少なくとも一つを添加材料として含有することを特徴とする請求項14記載のモールド整流子。
請求項1から15のいずれか一項に記載のモールド整流子を組込んだことを特徴とする整流子モータ。
Description:
モールド整流子、及びそれを組 んだ整流子モータ

 本発明は、掃除機や電動工具などに使用 れる整流子モータの整流機能を行うモール 整流子、及びそれを組込んだ整流子モータ 関する。

 掃除機など家電機器に使用される整流子 ータは、モータの小型軽量化、性能向上、 入力化に伴い、モータ回転中にブラシと整 子片間に生ずる火花放電(以下、スパークと 記載する)が大きくなり、ブラシ寿命が確保 きなくなる課題がある。

 この課題を解決するためには、スパーク 圧を小さくする必要があり、ブラシの比抵 を高く設定し、電機子の巻線回数を少なく るなどの対策を行うことによって、ブラシ 命を確保している。しかしながら、この対 は、モータの効率を低下させるため、最良 対策ではないのが現状である。

 一方、情報機器などに使用される低電圧( 3~20V)駆動の整流子モータには、ブラシ寿命を 確保するために、一般的に、整流子片と巻線 間に円盤状のバリスタ特性を有するスパーク 吸収素子が外付けされている。

 スパーク吸収素子として一般的に使用さ ているバリスタは、ある電圧以上になると 抗値が急減して電流を流し始める特性を有 ているものであり、一般的に1mAの電流が流 たときの電圧をバリスタ電圧と呼んでいる

 前述の情報機器などに使用される整流子 ータに使用されるバリスタは、チタン酸ス ロンチウム系で、バリスタ電圧は、3V/mA~20V/ mA程度のものである。

 このスパーク吸収素子を巻線と整流子片 に電気的接合した場合、整流切り替わり時 発生する起電力を吸収する効果が得られる とにより、スパーク発生時のスパークエネ ギーが抑えられ、ブラシ寿命の長寿命化が 能となる。このようなスパーク吸収素子を ってブラシ寿命の長寿命化を図る例として 例えば特許文献1、特許文献2が開示されて る。

 図17は従来のスパーク吸収素子の斜視図 図18は従来のスパーク吸収素子と整流子片の 接合状態を示す説明図、図19は従来のモール 整流子の断面図である。これらの図に見ら るように、スパーク吸収素子80は、薄板状 リング形状をなすスパーク吸収素子81本体の 片面に、整流子片90と同数の電極82を備えて る。そして、この電極82に整流子片90の端子 94が接合される。この整流子片90とスパーク 吸収素子80とを樹脂モールド部98にて一体的 モールド成形してモールド整流子が完成す 。整流子モータが回転したときのスパーク 圧は、図18の矢印85に示す電流によって吸収 れる。

 しかしながら、このスパーク吸収電流85は スパーク吸収素子81本体の表面的に流れるた め、スパーク吸収効果が十分とは言えなかっ た。また、掃除機などに使用される整流子モ ータは、高電圧(100V~350V)であり、バリスタ電 の低いスパーク吸収素子80を使用すると、 流子片間短絡を引き起こす危険性があった また、高電圧モータに使用した場合、漏れ 流が大きくなることによって、自己発熱が きくなり、素子の劣化や破壊が起こる危険 もあった。さらに、掃除機などに使用され 整流子モータの整流子片は数が多くなるた 、電気的接合箇所が小さくなるうえ、接合 所も増加することから、その製造は極めて 難であった。

特開平8-237913号公報

特開平10-257739号公報

 本発明のモールド整流子は、銅または銅 金からなり円周上に配置された複数の整流 片と、表面及び裏面に電極を形成した円盤 状のスパーク吸収素子と、整流子片とスパ ク吸収素子とを一体的に成形する樹脂モー ド部とを備える。この前記スパーク吸収素 は、表面と裏面にそれぞれ同数の表面電極 裏面電極とを有し、整流子片は、この表面 極と電気的に接続される表面接合整流子片 裏面電極と電気的に接合される裏面接合整 子片とを有する。

 これら表面接合整流子片と裏面接合整流 片とは円周方向に交互に配置され、整流子 に発生するスパーク電圧は、スパーク吸収 子の表面電極と裏面電極との間に流れる電 により吸収されるように構成される。本発 は、さらにこのモールド整流子を組込んだ 流子モータを含む。

 本発明は、この構成により、スパーク吸 素子の厚み方向に電流を流すことができる さらに、それぞれの電極面積を最大限に大 くすることが可能であるとともに、電流を 短距離に流すことができるため、スパーク 吸収性を向上させることができる。したが て、高電圧モータに使用する際、整流子片 電圧も高くなることから、漏れ電流を抑え ことができ、発熱などを最小限に抑えるこ ができる。簡単な構成で高信頼性、長寿命 モールド整流子、及び整流子モータを提供 ることができる。

図1は本発明の実施の形態1における整 子モータの外観図である。 図2は本発明の実施の形態1における電 子及び整流子部分の外観図である。 図3は本発明の実施の形態1における整 子をフック側から見た外観図である。 図4は図3における4-4断面図である。 図5は図3における5-5断面図である。 図6は本発明の実施の形態1における整 子の軸水平断面図である。 図7は本発明の実施の形態1におけるス ーク吸収素子の斜視図である。 図8は本発明の実施の形態1におけるス ーク吸収素子と整流子片の接合状態を示す 明図である。 図9は同上の接合状態をフック側から見 た説明図である。 図10は本発明の実施の形態2における整 流子をフック側から見た斜視図である。 図11は図10の11-O-11断面図である。 図12は本発明の実施の形態2における整 流子に使用されるセラミックピンの斜視図で ある。 図13は本発明の実施の形態3における整 流子をフック側から見た斜視図である。 図14は図13の14-O-14断面図である。 図15は本発明の実施の形態3におけるパ ルス電圧の印加回数とスパーク吸収素子の表 面温度との関係を示すグラフである。 図16は本発明の実施の形態3におけるス パーク吸収素子に流れる電流値とスパーク吸 収素子にかかる電圧値との関係を示すグラフ である。 図17は従来のスパーク吸収素子の斜視 である。 図18は従来のスパーク吸収素子と整流 片の接合状態を示す説明図である。 図19は従来のモールド整流子の断面図 ある。

符号の説明

 1  界磁
 2  界磁コア
 3  界磁巻線
 5  軸受
 10  電機子
 11  回転軸
 12  電機子コア
 13  電機子巻線
 17  回転ファン
 18  エアガイド
 22  ブラケット
 23  ブラシ保持器
 24  ネジ
 25  吸気口
 26  排気口
 31  渡り線部
 40  整流子
 41  整流子片
 41a  表面接合整流子片
 41b  裏面接合整流子片
 42a  表面接合端子部
 42b  裏面接合端子部
 48  フック
 49  アンダーカット
 50  スパーク吸収素子
 51  スパーク吸収素子本体
 52a  表面電極
 52b  裏面電極
 55a  表面電極の中心線
 55b  裏面電極の中心線
 56  スパーク吸収素子の電流の流れ
 60,61,62  樹脂モールド部
 64  冷却穴
 65  セラミックピン
 66  溝部
 67  表面放熱板
 68  裏面放熱板
 Ed  電極重ね代
 Dd  表面電極の中心線と裏面電極の中心線 の周方向距離

 以下、本発明の実施の形態について、図 を用いて説明する。

 (実施の形態1)
 まず、本発明のモールド整流子が組込まれ 整流子モータの外観図を示す図1にしたがっ て説明を行う。図1において、界磁1は、界磁 ア2に界磁巻線3を施して構成されている。 機子10は、回転軸11に固着された電機子コア1 2に電機子巻線13を施し、整流子40を同軸上に 置して、回転軸11の両端に設けられた軸受5 よって回転自在に支承されている。

 界磁1は、ブラケット22に固定され、ブラ ット22に一対のカーボンブラシ(図示せず)が 、ブラシ保持器23を介してネジ24にて固定さ ている。また、回転軸11には回転ファン17が えられ、その外周部及び下部に通風路を形 するエアガイド18が配されている。

 上記構成において、電力が供給されると 磁巻線3を伝導した電流がカーボンブラシ( 示せず)を通って整流子40に伝わり、界磁コ 2で発生した磁束と電機子巻線13を通る電流 の間で力が発生し、電機子10が回転する。電 機子10が回転することにより、回転ファン17 回転し、吸気口25より吸い込んだ空気は、矢 印の経路を通って電機子10、界磁1、カーボン ブラシを冷却しながら、ブラケット22の排気 26より排出される。

 図2は、上記図1にて説明した本発明の電 子10の詳細を示したものである。電機子コア 12と整流子40が、回転軸11に圧入、焼バメなど の方法で接合されている。電機子コア12には 機子巻線13が巻回されている。巻回された 機子巻線13は、渡り線部31を経て整流子40の ック48に接合されている。

 次に、本発明の実施の形態1における整流 子40の具体的構成について説明を行う。図3は 本発明の実施の形態1における整流子をフッ 48側から見た外観図、図4は図3における4-4断 図、図5は図3における5-5断面図である。

 本実施の形態における整流子40の整流子 41は、これらの図に示すように、2種類の形 の異なる整流子片、即ち、表面接合整流子 41aと裏面接合整流子片41bとより成る。そし 表面接合整流子片41aは表面接合端子部42aを し、裏面接合整流子片41bは裏面接合端子部42 bを有し、これら両整流子片41a、42bは、円周 に交互に配置されている。

 これら表面接合整流子片41aと裏面接合整 子片41bは、導電性が良好な電気銅に耐加工 を向上するため約0.07wt%の銀が添加された銅 合金を使用している。整流子片形状は異形ダ イスを使用し、連続的に引き抜いた状態で長 手方向の整流子片形状を作り、その後プレス 加工にて最終形状に加工される。なお、この 整流子片の材料は、銅合金に限定されるもの ではなく、例えば銅であってもよい。

 次に、図6は本発明の実施の形態1におけ 整流子の軸水平断面図である。図6において セラミックピン65は、整流子片41a、41bの回 方向両側端面の溝部と合致する形状の円筒 のピンであり、アルミナセラミックで作製 れている。本実施の形態では、表面接合整 子片41aが12個、裏面接合整流子片41bが12個、 ち合計24個の整流子片と24本のセラミックピ ン65を交互に組み合せ仮組みし、モールド成 用リングに圧入される。これにより整流子 41a、41bによりセラミックピン65が押圧保持 れた状態となっている。これは、高速回転 に整流子片41a、41bにかかる遠心力に対し、 ラミックピン65によって補強する役割をする ものである。

 次に、図7は本実施の形態におけるスパー ク吸収素子50の斜視図、図8はスパーク吸収素 子50と整流子片41a、41bの接合状態を示す説明 、図9は同上の接合状態をフック48側から見 説明図である。

 スパーク吸収素子50は、図7に示すように 厚さが0.5mm以上、1.5mm以下の薄板状の円盤形 状としてリング形状をなしている。そして表 裏に表面電極52aと裏面電極52bを備える構成と なっている。表面電極52aの中心線55aと裏面電 極52bの中心線55bとの円周方向距離Ddは、全て しくなるように、表裏互い違いに配置され いる。さらに、表面電極52aと裏面電極52bと 、円周方向に電極重ね代Edを有し、Ed≦0.5Dd 設定されている。

 次に、このスパーク吸収素子50の電極と 流子片との電気的な接合方法を説明する。 面接合整流子片41aの表面接合端子部42aが、 パーク吸収素子50の表面電極52aと接合され、 同様に裏面接合整流子片41bの裏面接合端子部 42bが、スパーク吸収素子50の裏面電極52bと接 される。接合方法としては、圧接、導電性 着剤、はんだ付けなど、適切な方法が選択 れる。

 以上のように整流子片41とスパーク吸収 子50の電極とを接合することにより、整流子 片41に発生するスパーク電圧は、表面電極52a 裏面電極52bとの間に図8に示す矢印56のよう 流れる電流により吸収される。この電流は スパーク吸収素子50の厚み方向に流れるこ により、従来例に示す片面のみの電極の場 と比較して、スパーク電圧の吸収性能を向 させることが可能となる。

 このスパーク吸収素子50として、非直線 抵抗特性を有するいわゆるバリスタ素子が いられる。そして、バリスタ電圧は、この パーク吸収素子50に1mAの電流を流した時の電 圧値として定義される。非直線係数αは、1mA 100μAにおける各電流を流した時の電圧値か 下記式により算出する。

 α=(logI1―logI2)/(logV1―logV2)
 ただし、I1=1mA、I2=100μAであり、V1、V2はI1、I 2における電圧値である。

 非直線係数αは、高いほど安定してバリ タ素子間に電流(スパーク電流)を流すことが 可能となり、さらにスパーク電圧除去効果も 高くなる。チタン酸ストロンチウム系バリス タのα値は2~10程度のものであるのに対して、 酸化亜鉛系バリスタは20~60程度のα値を有す ことが可能であり、スパーク吸収効果には 常に有用である。

 次に、このスパーク吸収素子50の物性的内 を説明する。このスパーク吸収素子50は、酸 化亜鉛を主成分としたいわゆるバリスタであ る。より具体的には、酸化亜鉛(ZnO)粉末に酸 ビスマス(Bi 2 O 3 )、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸 マンガン(MnO)、酸化クロム(Cr 2 O 3 )、酸化アルミニウム(Al 2 O 3 )、酸化ケイ素(SiO 2 )、酸化スズ(SnO 2 )、酸化アンチモン(Sb 2 O 3 )の酸化物を添加し混合した粉末を使用して る。この粉末にバインダーとしてポリビニ アルコールを添加し、組成の均質化のため スプレードライヤーにて造粒する。その後 所定のリング状にプレス成形を行う。

 なお、酸化亜鉛粉末の平均粒径は0.6μm~3μ mを使用し、焼成温度は900℃~1200℃、焼成時間 は3時間~30時間、昇温速度は20℃/時間~100℃/時 間の条件にて実施することで、酸化亜鉛の結 晶粒径を調整し、所定のバリスタ電圧になる よう調整を行う。

 その後、リング状の表裏両面にマスク印 により、銀電極(表面電極52a、裏面電極52b) 形成し、スパーク吸収素子50が完成する。

 さらに、図4、図5に示す樹脂モールド部60 は、ガラス繊維や無機充填剤が添加されたフ ェノール樹脂を使用して、整流子片41とスパ ク吸収素子50、及びセラミックピン65とを一 体的に成形する。その後、各整流子片を絶縁 するために、各子片間にアンダーカット49を すことにより切り離し、本発明のモールド 流子である整流子40が完成する。

 本実施の形態によれば、整流子片41の円 上における内側部の一部と、スパーク吸収 子50の表面電極52aまたは裏面電極52bとが電気 的に接合されることから、隣り合う整流子片 間に発生するスパークを吸収する際、スパー ク吸収素子50の厚み方向に電流を流すことが きる。このため、エネルギー耐量を同一平 電極時より高くすることができる。また、 ータ回転時に整流子間に発生するスパーク 圧をスパーク吸収素子50の厚み方向で吸収 ることから、整流子片間のバリスタ特性を み調整することにより設定が可能となる。 のため、モータ仕様が変わっても対応が可 となり汎用性が非常に高くなる。これによ 、高電圧モータや様々なモータ仕様への適 が可能となる。また、スパーク吸収素子50の 表面電極52aに接合される整流子片に隣接する 整流子片は、スパーク吸収素子50の裏面電極5 2bに接合されることから、効率よくスパーク 収素子の厚み方向に電流を流すことができ 。

 また、整流子片41は、表面接合整流子片41 aと裏面接合整流子片41bとを有し、それぞれ 子部42a、42bを備えているので、簡易な構成 ありながら、スパーク吸収素子50の表面電極 52aに接合される整流子片に隣接する整流子片 を、スパーク吸収素子50の裏面電極52bに接合 せることができる。

 また、電極重ね代Edと、表面電極52aの中 線55aと裏面電極52bの中心線55bとの周方向距 Ddとの関係をEd≦0.5Ddとすることで、スパー 吸収素子の電極に電極重ね代Edを設けること になり、スパーク吸収素子の厚み方向に電流 を流すことができる。さらに、それぞれの電 極面積を最大限に大きくすることが可能であ るとともに、電流を最短距離に流すことがで きるため、スパークの吸収性を向上させるこ とができる。したがって、高電圧モータに使 用する際、整流子片間電圧も高くなることか ら、漏れ電流を抑えることができ、発熱など を最小限に抑えることができる。

 次に、本実施の形態の構成のモールド整 子を試作し、従来例との比較実験を行った で、その結果を表1に示す。ここで試作した スパーク吸収素子は電極重ね代の違いによっ て2種類であり、Ed=0.5Ddの場合、及びEd=0の場 である。また、スパーク吸収素子は、酸化 鉛粉末の平均粒径、焼成温度、焼成時間を 討し、子片間のバリスタ電圧を60V/mmに調整 た。

 モータは、無負荷の状態で240Vの交流電圧 を印加し、オリフィス径16mm、37000r/minの回転 、10分ON-2分OFFの条件でブラシ(モータ)寿命 測定した。ブラシ長は、摩耗代30mmとした。

 また、従来例に示したスパーク吸収素子 、図17にて説明した片面電極の構成である 図19に示すように整流子片90のアンカー溝部9 2にスパーク吸収素子81を埋設し、整流子片と スパーク吸収素子を接合した以外は、実施の 形態1と同様にしてモールド整流子を作製し 実施の形態1と同一条件にてブラシ(モータ) 命を測定した。

 実験結果としては、表1に示すように、従 来例に示す片側面のみに電極を配置したスパ ーク吸収素子を使用したモールド整流子と比 較して、本実施の形態のスパーク吸収素子を 使用した場合は、いずれの仕様においても、 長寿命化の効果があることが確認された。

 次に、本実施の形態の構成のモールド整 子において、スパーク吸収素子の厚みの検 を行い、その結果を表2に示す。

 適正なバリスタ電圧の設定方法としては 従来、整流子の子片間に印加される電圧と 片間距離により決定されていた。しかしな ら、高電圧モータでは、整流子片数が多く るため、子片間距離を十分に得ることがで なかった。そこで、本実施の形態のように 裏面に互い違いに電極を配置する構造にす ことにより、厚みを調整することができ、 リスタ特性を最適化することができるため 汎用性が高くなる。しかしながら、厚みが いとバリスタ電圧を低電圧化することが難 いことから、1.5mm以下にする必要がある。 た、スパーク吸収素子の厚みが薄いとモー ド時の成形圧力によりスパーク吸収素子が れるため、0.5mm以上の厚みが必要となる。

 表2に示すように、本実施の形態のスパー ク吸収素子において、リング形状の厚みを変 化させたものを作成し、各整流子片の接合端 子部と接合した状態でモールド整流子を作製 した。スパーク吸収素子は酸化亜鉛粉末の平 均粒径、焼成温度、焼成時間を検討し、子片 間のバリスタ電圧は42、52、60、80、150V/mAとし た。

 実験結果としては、0.3mmの厚みでは、成 圧力に耐え切れず、スパーク吸収素子が割 てしまい、2mm以上ではバリスタ電圧が高く りすぎ効果が無くなってしまう結果となっ 。スパーク吸収素子は、その厚みが、0.5mm以 上1.5mm以下が最適値であることが確認された

 (実施の形態2)
 図10は本発明の実施の形態2における整流子 フック側から見た斜視図、図11は図10の11-O-1 1断面図、図12はセラミックピン65の斜視図で る。実施の形態1と同一要素には同一参照符 号を付し、説明を省略する。

 本実施の形態における樹脂モールド部61 、円周方向等間隔に8個の冷却穴64を備えて る。そして、この冷却穴64の直径は、スパー ク吸収素子50の平面方向の片側の幅より小さ 設定されている。スパーク吸収素子50は、 の冷却穴64を介してモールド整流子の外部に 露出している。これにより、モールド整流子 が高速で回転したとき、スパーク吸収素子50 直接冷却風を当てることが可能となり、ス ーク吸収素子50の発熱によるバリスタ特性 劣化を防ぐことができる。

 表面接合整流子片41aと裏面接合整流子片4 1bとともに回転軸方向に係合溝としての溝部( 図示しない)が設けられており、これら溝部 間に円筒状のセラミックピン65が係合してい る。そして、このセラミックピン65は、その 端がスパーク吸収素子50と接触するように 置されている。これにより、セラミックピ 65は、スパーク吸収素子50の補強材としての 割を果たすことができ、さらに、成形時に パーク吸収素子50の位置ずれを防止し、成 時の割れ欠けなどを防止することができる

 また、セラミック素材は一般的に熱伝導 が高いことから、このセラミックピン65は スパーク吸収素子50の熱を吸収することが可 能となり、上記冷却穴64と相まってスパーク 収素子50の発熱によるバリスタ特性の劣化 防ぐことができる。

 スパーク吸収素子50は、温度上昇が大き 場合に非直線係数α値が低下するという特性 を持っている。このようにα値が低下すれば スパークの吸収性能の低下、素子の劣化や 壊に至り、信頼性を著しく低下させること なる。したがって、上記2つの冷却手段によ って、スパーク吸収素子50の高信頼性と長寿 化を実現することができる。

 (実施の形態3)
 図13は本発明の実施の形態3における整流子 フック側から見た斜視図、図14は図13の14-O-1 4断面図である。実施の形態1、及び実施の形 2と同一要素には同一参照符号を付し、説明 を省略する。

 本実施の形態におけるモールド整流子は 表面放熱板67と裏面放熱板68とを備える点で 、実施の形態2のモールド整流子とは異なる

 表面放熱板67は、スパーク吸収素子50の表 面側リング平面に接触するように配置される 。そして、表面接合整流子片41aと裏面接合整 流子片41bのスパーク吸収素子50と対向する面 形成される溝部66に係合する。これにより 回転時にかかる遠心力による表面接合整流 片41aと裏面接合整流子片41bのずれを低減す ことができる。これにより、表面接合整流 片41aと裏面接合整流子片41bの配置のずれに るブラシの異常摩耗を防止することができ 。

 本実施の形態においては、表面放熱板67 、スパーク吸収素子50と接触しており、スパ ーク吸収素子50を補強する。これにより、セ ミックピン65をスパーク吸収素子50に接触さ せる必要がない。

 また、裏面放熱板68は、スパーク吸収素 50の裏面側リング平面に接触し、モールド整 流子の外部に露出するように配置される。

 これらの表面放熱板67と裏面放熱板68は、 高熱伝導性のセラミック材、もしくは高熱伝 導樹脂により構成されることが好ましい。こ れにより、スパーク吸収素子50の放熱性を向 させることができる。

 なお、高熱伝導樹脂としては、フィラー して酸化アルミニウムや炭化珪素、ガラス 維などを樹脂に配合し、配合量を40%以上と たものを用いたものである。加材料として 化アルミニウム、炭化珪素、ガラス繊維な を含有した放熱樹脂を用いたものが好まし 。

 また、表面放熱板67及び裏面放熱板68とス パーク吸収素子50との間に、高熱伝導性樹脂 接着剤を挿入して、表面放熱板67及び裏面 熱板68とスパーク吸収素子50とを貼り合わせ もよい。これにより、熱伝導性をさらに向 させることができるので、さらに放熱性が 上する。ただし、表面放熱板67及び裏面放 板68は、熱伝導率の高い材料であればよく、 以上の構成に限定するものではない。また、 本実施の形態では、表面放熱板67と裏面放熱 68との両方を備える構成で説明したが、必 しも両方を備える必要はなく、いずれか一 であってもよい。

 次に、実験結果を示す表3について説明す る。この表3は、実施の形態2の場合と実施の 態3の場合と両方を示している。

 まず、モールド整流子を50000r/min、220℃で 15分間回転させる高速スピンテストを行って る。表3の実施の形態2の欄に示すように、 却穴64の個数として、3種類を実験している 即ち、スパーク吸収素子50の円盤平面の面積 の30%を露出させるように形成した(円周上に 間隔に8個形成した)場合、円盤平面の面積の 40%を露出させるように形成した(同10個)場合 円盤平面の面積の50%を露出させるように形 した(同12個)場合である。

 この結果、冷却穴64を円盤平面の面積の40 %を露出させるように形成した(10個)場合、及 、円盤平面の面積の50%を露出させるように 成した(12個)場合には、スパーク吸収素子50 破壊するという結果になっている。これは 樹脂モールド部61の樹脂量が足りず、モー ド整流子の強度が低下したためであると考 られる。この結果から、冷却穴64を円盤平面 の面積の40%以下を露出させるように形成する 必要があることがわかる。

 また、表3に示すように、冷却穴64を円盤 面の面積の30%を露出させるように形成した( 8個)場合、この冷却穴のない従来例と比較す と、スパーク吸収素子50の温度上昇値は、 来例では20degであるのに対し、実施の形態2 は17degとなっている。これにより、樹脂モー ルド部61にスパーク吸収素子50を冷却するた の冷却穴64を形成することにより、スパーク 吸収素子50の放熱性を向上させていることが かる。

 また、実施の形態3と従来例とを比較する と、スパーク吸収素子50の温度上昇値は、従 例では20degであるのに対し、この実施の形 3では11degとなっている。これにより、放熱 67、68を備えることにより、スパーク吸収素 50の放熱性を向上させていることがわかる

 次に、図15は、パルス電圧の印加回数と パーク吸収素子50の表面温度との関係を示す グラフである。このグラフでは、表3におい 示した実施の形態2(冷却穴8個)と実施の形態3 と従来例の場合について、モールド整流子に 内蔵したスパーク吸収素子50に対して、直接 電対を付けて実験した。整流子片間に300V/ms のパルス電圧を繰り返し印加してスパーク吸 収素子50の温度を測定したものである。従来 の測定結果を太線(A)、実施の形態2の無風状 態の測定結果を点線(B)、実施の形態2のフッ 側からの冷却風をあてた状態(以下、有風状 という。)の測定結果を細線(C)、実施の形態 3の無風状態の測定結果を一点鎖線(D)、実施 形態3の有風状態の測定結果を二点鎖線(E)で れぞれ示す。

 実施の形態2の無風状態の測定結果(B)と従来 例の測定結果(A)とを比較すると、実施の形態 2の無風状態(B)の方がスパーク吸収素子50の温 度をより低く保っていることがわかる。両者 は、印加回数10回以上で温度差が開き始めて る。そして、印加回数10 6 回の時点では、実施の形態2の無風状態(B)の 定結果が75℃、従来例の測定結果(A)が82℃で り、約7℃の温度差が生じている。

 また、実施の形態2の無風状態の測定結果(B) と実施の形態2の有風状態の測定結果(C)とを 較すると、有風状態(C)の方がスパーク吸収 子50の温度をより低く保っていることがわか る。両者は、印加回数10回以上で温度差が開 始めている。そして、印加回数10 6 回の時点では、無風状態の測定結果(B)が75℃ 有風状態の測定結果(C)が55℃であり、約20℃ の温度差が生じている。

 また、実施の形態3の無風状態の測定結果(D) と従来例の測定結果(A)とを比較すると、実施 の形態3の無風状態(D)のほうがスパーク吸収 子50の温度をより低く保っていることがわか る。実施の形態3の無風状態(D)では、印加回 10回の時点でほとんど温度上昇がなく、両者 は10回で既に10℃程度の温度差が開いている そして、印加回数10 6 回の時点では、実施の形態3の無風状態(D)の 定結果が40℃、従来例の測定結果(A)が82℃で り、約42℃の温度差が生じている。

 また、実施の形態3の無風状態の測定結果(D) と実施の形態3の有風状態の測定結果(E)とを 較すると、有風状態の方(E)がスパーク吸収 子50の温度をより低く保っていることがわか る。両者は、印加回数10回以上で温度差が開 始めている。そして、印加回数10 6 回の時点では、無風状態の測定結果(D)が40℃ 有風状態の測定結果(E)が19℃であり、約21℃ の温度差が生じている。

 以上から、スパーク吸収素子50の温度は 実施の形態2、実施の形態3に係るモールド整 流子はともに、従来例におけるモールド整流 子に比べて低く保たれていることがわかる。 また、フック側から冷却風をあてることによ り、さらにスパーク吸収素子50の温度を低く つことがわかる。

 次に、図16は、スパーク吸収素子50に流れ る電流値とスパーク吸収素子50にかかる電圧 との関係を示すグラフである。

 そして、試験初期の段階での劣化のない パーク吸収素子50の測定結果を実線(F)、従 例の測定結果を点線(G)、実施の形態2の測定 果を一点鎖線(H)、実施の形態3の測定結果を 二点鎖線(I)でそれぞれ示す。

 従来例と実施の形態2とを比較すると、従 来例(G)よりも実施の形態2(H)のスパーク吸収 子50の方が、試験初期(F)とのずれが小さいこ とがわかる。両者は、ともに比例直線を描い ており、電流値1Aにおいては試験初期ともほ 同電圧値、即ち75(V)~78(V)を得ている。しか 、電流値0.01Aにおいては、従来例(G)の試験初 期(F)とのずれは約17Vであるのに対し、実施の 形態2(H)は約9Vである。また、電流値10Aにおい ては、従来例(G)の試験初期(F)とのずれは約6V あるのに対し、実施の形態2は約2Vである。

 また、従来例と実施の形態3とを比較する と、従来例(G)よりも実施の形態3(I)のスパー 吸収素子50の方が、試験初期とのずれが小さ いことがわかる。両者は、ともに比例直線を 描いており、電流値1Aにおいては試験初期と ぼ同一電圧、即ち75V~78Vを得ている。しかし 、電流値0.01Aにおいては、従来例(G)の試験初 (F)とのずれは約17Vであるのに対し、実施の 態3(I)は約2Vである。また、電流値10Aにおい は、従来例(G)の試験初期(F)とのずれは約6V あるのに対し、実施の形態3(I)は約0Vである

 このため、このような実施の形態2または 実施の形態3のモールド整流子は、高回転数(5 000r/min以上)の環境下で使用されることの多い 掃除機などの製品に利用しても、スパーク吸 収素子50の劣化を低減することができ、長寿 にすることができる。

 なお、上述した実施の形態においては、 パーク吸収素子50としてバリスタ素子を利 しているが、バリスタ素子に代えてコンデ サ素子及び抵抗素子を組み合わせたものを 用してもよい。このようにコンデンサ素子 抵抗素子とを組み合わせた場合には、バリ タ素子と同様の効果を奏することができる

 また、上述した実施の形態においては、 ラミックピン65を備える構成を採用してい が、セラミックピン65を備えない構成として もよい。

 本発明のモールド整流子及びそれを組込 だ整流子モータによると、スパーク吸収素 の厚み方向に電流を流すことによって、整 子片に発生するスパークの吸収性を向上さ ることができる。これにより、掃除機や電 工具などに使用される高電圧モータとして 簡単な構成で高信頼性、長寿命のモールド 流子、及び整流子モータを提供することが きる。