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Patent Searching and Data


Title:
MOLDED SINTERED BODY, AND METHOD FOR PRODUCING MOLDED SINTERED BODY
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2020/175519
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a molded sintered body containing a mayenite-type compound, an inorganic binder sintered product, and a transition metal, wherein the content of the inorganic binder sintered product is 3-30 parts by mass with respect to 100 parts by mass of the molded sintered body, and in the pore diameter distribution of the molded sintered body obtained by measuring the pore diameter distribution by means of the nitrogen adsorption method, the molded sintered body has at least one pore peak in the pore diameter range of 2.5-20 nm and 20-350 nm, respectively. Also provided is a method for producing a molded sintered body, the method comprising: a step for mixing a precursor of a mayenite-type compound and a raw material of an inorganic binder sintered product and producing a mixture; a step for molding the mixture and producing a molded body of the mixture; a step for firing the molded body and producing a fired product; and a step for supporting a transition metal onto the fired product and producing a molded sintered body, wherein the step for producing a mixture includes mixing raw materials so as to satisfy said inorganic binder content, thereby obtaining a molded sintered body having high catalytic activity and high crush strength.

Inventors:
INOUE YASUNORI (JP)
ITO MUNENOBU (JP)
KISHIDA KAZUHISA (JP)
HOSONO HIDEO (JP)
KITANO MASAAKI (JP)
YOKOYAMA TOSHIHARU (JP)
Application Number:
PCT/JP2020/007620
Publication Date:
September 03, 2020
Filing Date:
February 26, 2020
Export Citation:
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Assignee:
TSUBAME BHB CO LTD (JP)
TOKYO INST TECH (JP)
International Classes:
B01J27/25; B01J35/10; B01J37/02; B01J37/08; C01C1/04; C01F7/164; C04B35/44; C04B38/00; C04B41/85
Domestic Patent References:
WO2018030394A12018-02-15
WO2016133133A12016-08-25
Other References:
RUI WANG, YANG HUI, LU YUNHAO, KANAMORI KAZUYOSHI, NAKANISHI KAZUKI, GUO XINGZHONG: "Synthesis, Reduction, and Electrical Properties of Macroporous Monolithic Mayenite Electrides with High Porosity", ACS OMEGA, vol. 2, no. 11, 20 November 2017 (2017-11-20), pages 8148 - 8155, XP055734411
H. B. BARTLT. SCHELLERN. JARHRB, MINERAL MONATCH, 1970, pages 547
S. MATUISHIY. TODAM. MIYAKAWAK. HAYASHIT. KAMIYAM. HIRANOI. TANAKAH. HOSONO, SCIENCE, vol. 301, 2003, pages 626 - 629
See also references of EP 3932547A4
Attorney, Agent or Firm:
TAGUCHI, Masahiro et al. (JP)
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Claims:
\¥02020/175519 35 卩(:17 2020 /007620

請求の範囲

[請求項 1] マイエナイ ト型化合物、 無機バインダー焼結物および遷移金属を含 む成形焼結体であって、

前記無機バインダー焼結物の含有量が前記成形焼結体 1 〇〇質量部 に対して 3〜 30質量部であり、

窒素吸着法による細孔径分布測定により得られた前記成形焼結体の 細孔径分布において、 前記成形焼結体は、 細孔径が 2. 5〜 20 n m の範囲および 2〇〜 350 n の範囲にそれぞれ細孔ピークを少なく とも 1つ有する成形焼結体。

[請求項 2] <3リ 線を使用した粉末乂線回折において、 マイエナイ ト型化合 物に帰属される 20 = 1 8. 1 3土〇. 50 69、 27. 82±0 . 50 69、 および 34. 40±0. 50 69に回折ピークを有 する請求項 1 に記載の成形焼結体。

[請求項 3] 圧壊強度が〇. 1 1< 9 チ以上である請求項 1 または 2に記載の成形 焼結体。

[請求項 4] 落下強度試験による粉化率が 1 〇質量%以下である請求項 1〜 3の いずれか 1項に記載の成形焼結体。

[請求項 5] 全細孔容積に対する 20〜 350 n の細孔の容積の割合が 2〇〜

8〇体積%である請求項 1〜 4のいずれか 1項に記載の成形焼結体。

[請求項 6] 前記無機バインダー焼結物は、 非晶質の多孔質アルミナ、 非晶質の 多孔質シリカおよび多孔質ジルコニアからなる群から選択される少な くとも 1種の多孔質物である請求項 1〜 5のいずれか 1項に記載の成 形焼結体。

[請求項 7] 前記遷移金属の含有量が、 前記成形焼結体 1 〇〇質量部に対して 2

〜 20質量部である請求項 1〜 6のいずれか 1項に記載の成形焼結体

[請求項 8] アンモニア合成用触媒である請求項 1〜 7のいずれか 1項に記載の 成形焼結体。 〇 2020/175519 36 卩(:171? 2020 /007620

[請求項 9] 還元触媒、 酸化触媒、 改質触媒および分解触媒からなる群から選択 される少なくとも 1種の触媒である請求項 1〜 7のいずれか 1項に記 載の成形焼結体。

[請求項 10] マイエナイ ト型化合物の前駆体および無機バインダー焼結物の原料 を混合して混合物を作製する工程、

前記混合物を成形して前記混合物の成形体を作製する工程、 前記成形体を焼成して焼成物を作製する工程、 および

前記焼成物に遷移金属を担持して成形焼結体を作製する工程を含み 前記混合物を作製する工程は、 前記無機バインダー焼結物の含有量 が、 前記成形焼結体 1 〇〇質量部に対して 3〜 3 0質量部になるよう に、 無機バインダー焼結物の原料を配合する、 請求項 1〜 9のいずれ か 1項に記載の成形焼結体の製造方法。

[請求項 1 1 ] 前記無機バインダー焼結物の原料は、 アルミナ水和物、 水酸化アル ミニウム、 アルミナゾル、 シリカゾルおよびジルコニアゾルからなる 群から選択される少なくとも 1種の化合物である請求項 1 〇に記載の 成形焼結体の製造方法。

[請求項 12] 前記焼成物に遷移金属を担持して成形焼結体を作製する工程は、 常 圧または減圧下で、 前記焼成物に遷移金属を担持する請求項 1 〇また は 1 1 に記載の成形焼結体の製造方法。

Description:
\¥0 2020/175519 1 卩(:17 2020 /007620 明 細 書

発明の名称 : 成形焼結体および成形焼結体の製造方法

技術分野

[0001 ] 本発明は、 マイエナイ ト型化合物、 無機バインダー焼結物および遷移金属 を含む成形焼結体およびその成形焼結体の製 造方法に関する。

背景技術

[0002] 農業生産において広く用いられる硫安や尿素 などの窒素肥料は、 アンモニ アを主原料として製造される。 そのためアンモニアは非常に重要な化学原料 として、 その製造方法が検討されている。 最も広く使用されているアンモニ ア製造技術として、 ハーバー ボッシュ法が挙げられる。 ハーバー ボッシ ュ法は、 窒素と水素を原料として、 鉄を主成分とした触媒と高温高圧下で接 触させることでアンモニアを製造する方法で ある。 ハーバー ·ボッシュ法以 外の合成方法として、 種々の担体にルテニウムを担持した担持金属 触媒を用 いた合成方法が検討されている。

[0003] —方、 〇 8〇、 八 丨 2 0 3 ' 3 I 〇 2を構成成分とするアルミノケイ酸カルシ ウムの中に、 鉱物名をマイエナイ トと呼ぶ物質があり、 その物質と同型の結 晶構造を有する化合物を 「マイエナイ ト型化合物」 という。 マイエナイ ト型 化合物は、 1 2〇 3〇 7八 丨 2 3 (以下、 「〇 1 2八 7」 と略記すること がある) なる代表組成を有し、 〇 1 2八 7結晶は、 2分子からなる単位胞に ある 6 6個の酸素イオンの内の 2個が、 結晶骨格で形成されるケージ内の空 間に 「フリー酸素イオン」 として包接されているという、 特異な結晶構造 ( [〇 3 2 4 八 I 2 8 0 6 4 ] 4 + (〇 2 _) 2 ) を持つことが報告されている (非特許 文献 1) 。

[0004] また、 マイエナイ ト型化合物中のフリー酸素イオンを種々の陰 イオンで置 換することができ、 特に強い還元雰囲気下、 高温でマイエナイ ト型化合物を 保持することで、 すべてのフリー酸素イオンを電子で置換する ことができる 。 そして、 この電子で置換されたマイエナイ ト型化合物が、 良好な電子伝導 〇 2020/175519 2 卩(:171? 2020 /007620

特性を有する導電性マイエナイ ト型化合物であることが報告されている (非 特許文献 2) 。 このように、 フリー酸素イオンを電子で置換したマイエナ イ 卜型化合物を 「〇 丨 2八 7エレクトライ ド」 と呼ぶことがある。

[0005] そして、 〇 1 2八 7エレクトライ ドを用いた触媒が、 アンモニア合成用触 媒として使用できることが報告されている (特許文献 1) 。 当該アンモニア 合成用触媒は、 具体的には、 マイエナイ ト型化合物を還元雰囲気下、 加熱す ることで、 〇 丨 2八 7エレクトライ ドを作製し、 この〇 1 2八 7エレクトラ イ ドを担体として、 ルテニウムを担持して製造することができる 。 また、 マ イエナイ ト型化合物を還元処理することで〇 1 2八 7エレクトライ ドと同程 度のアンモニア合成用触媒として機能するこ とも報告されている。 (特許文 献 2) この触媒は、 従来のアンモニア合成用触媒に比べて、 低温および低圧 下で高いアンモニア合成活性を有し、 高性能のアンモニア合成用触媒となる

先行技術文献

特許文献

[0006] 特許文献 1 :国際公開 〇 201 2/077658号

特許文献 2 :国際公開 \^/〇201 8/030394号 非特許文献

[0007] 非特許文献 1 : !!. 巳. 巳 3 「 1: 1 , 丁. 3〇 6 1 1 6 「 a n 6 1\1. 」

, r a n 〇 , 1 . \ ' a n , 301 , 626— 6

29 (2003)

発明の概要

発明が解決しようとする課題

[0008] 触媒は、 その触媒を使用する反応器の形式に合わせて 、 必要な機械的強度 〇 2020/175519 3 卩(:171? 2020 /007620

を備えている必要がある。 例えば、 触媒が反応器への触媒充填時の圧力や衝 撃に耐えるようにする必要がある。 アンモニアの製造を工業的に行う場合に は、 固定床を用いて窒素と水素を流通させながら 触媒と接触させる気相反応 を行うことが広く採用されているが、 用いる固体触媒は十分な機械的強度を 満たし、 且つ本来の触媒性能を十分に発現させる必要 がある。 このため、 非 特許文献 2、 特許文献 1および特許文献 2に記載されている触媒について、 成形方法を確立するとともに、 機械的強度を確保する必要がある。

[0009] そこで、 本発明は、 マイエナイ ト型化合物およびマイエナイ ト型化合物に 担持した遷移金属を含む、 触媒活性が高く、 かつ圧壊強度が高い成形焼結体 、 およびその成形焼結体の製造方法を提供する ことを目的とする。

課題を解決するための手段

[0010] 本発明者らは、 上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果 、 マイエナイ 卜型化合物、 無機バインダー焼結物および遷移金属を含む 成形焼結体におい て、 無機バインダー焼結物の含有量を特定の範囲 とし、 窒素吸着法による細 孔径分布測定により得られた成形焼結体の細 孔径分布において、 成形焼結体 が所定の細孔径の範囲に細孔ピークを有する ようにすることで、 触媒活性が 高く、 かつ圧壊強度が高い成形焼結体を得られるこ とを見出し、 本発明を完 成させた。

すなわち本発明は、 以下の [ 1 ] 〜 [ 1 2 ] である。

[001 1 ] [ 1 ] マイエナイ ト型化合物、 無機バインダー焼結物および遷移金属を含む 成形焼結体であって、 無機バインダー焼結物の含有量が成形焼結体 1 〇〇質 量部に対して 3〜 3 0質量部であり、 窒素吸着法による細孔径分布測定によ り得られた成形焼結体の細孔径分布において 、 成形焼結体は、 細孔径が 2 .

5〜 2 0 n の範囲および 2〇〜 3 5 0门 の範囲にそれぞれ細孔ピークを 少なくとも 1つ有する成形焼結体。

[ 2 ] 0 < «線を使用した粉末乂線回折において、 マイエナイ ト型化合物 に帰属される 2 0 = 1 8 . 1 3土〇. 5 0 6 9、 2 7 . 8 2土〇. 5 0 および 3 4 . 4 0土〇. 5 0 6 9に回折ピークを有する上記 [ 1 ] \¥0 2020/175519 4 卩(:171? 2020 /007620

に記載の成形焼結体。

[3] 圧壊強度が 0 . 1 1< 9 干以上である上記 [1] または [2] に記載の 成形焼結体。

[4] 落下強度試験による粉化率が 1 0質量%以下である上記 [1] 〜 [3 ] のいずれか 1つに記載の成形焼結体。

[5] 全細孔容積に対する 2 0〜 3 5 0 n の細孔の容積の割合が 2〇〜 8 0体積%である上記 [1] 〜 [4] のいずれか 1つに記載の成形焼結体。

[6] 無機バインダー焼結物は、 非晶質の多孔質アルミナ、 非晶質の多孔質 シリカおよび多孔質ジルコニアからなる群か ら選択される少なくとも 1種の 多孔質物である上記 [1] 〜 [5] のいずれか 1つに記載の成形焼結体。

[7] 遷移金属の含有量が、 成形焼結体 1 〇〇質量部に対して 2〜 2 0質量 部である上記 [1] 〜 [6] のいずれか 1つに記載の成形焼結体。

[8] アンモニア合成用触媒である上記 [1] 〜 [7] のいずれか 1つに記 載の成形焼結体。

[9] 還元触媒、 酸化触媒、 改質触媒および分解触媒からなる群から選択 さ れる少なくとも 1種の触媒である上記 [1] 〜 [7] のいずれか 1つに記載 の成形焼結体。

[1 0] マイエナイ ト型化合物の前駆体および無機バインダー焼 結物の原料 を混合して混合物を作製する工程、 混合物を成形して混合物の成形体を作製 する工程、 成形体を焼成して焼成物を作製する工程、 および焼成物に遷移金 属を担持して成形焼結体を作製する工程を含 み、 混合物を作製する工程は、 無機バインダー焼結物の含有量が、 成形焼結体 1 〇〇質量部に対して 3〜 3 〇質量部になるように、 無機バインダー焼結物の原料を配合する、 上記 [1 ] 〜 [9] のいずれか 1つに記載の成形焼結体の製造方法。

[1 1] 無機バインダー焼結物の原料は、 アルミナ水和物、 水酸化アルミニ ウム、 アルミナゾル、 シリカゾルおよびジルコニアゾルからなる群 から選択 される少なくとも 1種の化合物である上記 [1 0] に記載の成形焼結体の製 造方法。 〇 2020/175519 5 卩(:171? 2020 /007620

[1 2] 焼成物に遷移金属を担持して成形焼結体を作 製する工程は、 常圧ま たは減圧下で、 焼成物に遷移金属を担持する上記 [ 1 〇] または[1 1]に記 載の成形焼結体の製造方法。

発明の効果

[0012] 本発明によれば、 マイエナイ ト型化合物およびマイエナイ ト型化合物に担 持した遷移金属を含む、 触媒活性が高く、 かつ圧壊強度が高い成形焼結体、 およびその成形焼結体の製造方法を提供する ことができる。

図面の簡単な説明

[0013] [図 1]図 1は、 実施例 1〜 4および比較例 1〜 3の成形焼結体における無機バ インダー焼結物の含有量とアンモニアの生成 速度および圧壊強度との関係を 示すグラフである。

[図 2]図 2は、 実施例 1〜 4および比較例 1〜 3の成形焼結体における X線回 折パターンを示す図である。

[図 3]図 3は、 実施例 1〜 4および比較例 2 , 3の成形焼結体における細孔分 布を示す図である。

[図 4]図 4は、 実施例 2の成形焼結体断面における蛍光 X線分光法による線分 析を示すものであり、 測定距離に対する ^リの検出強度を示した図である。 [図 5]図 5は、 実施例 3の成形焼結体断面における蛍光 X線分光法による線分 析を示すものであり、 測定距離に対する ^リの検出強度を示した図である。 [図 6]図 6は、 比較例 2の成形焼結体断面における蛍光 X線分光法による線分 析を示すものであり、 測定距離に対する ^リの検出強度を示した図である。 [図 7]図 7は、 比較例 3の成形焼結体断面における蛍光 X線分光法による線分 析を示す図である。

発明を実施するための形態

[0014] 本発明の成形焼結体は、 マイエナイ ト型化合物、 無機バインダー焼結物お よび遷移金属を含む。

[0015] [マイエナイ ト型化合物]

マイエナイ ト型化合物とは、 マイエナイ トと同型の結晶構造を有する化合 〇 2020/175519 6 卩(:171? 2020 /007620

物をいう。 マイエナイ ト型化合物は、 好ましくは〇 3〇、 八 丨 2 3 、 3 I 0 を構成成分とするアルミノケイ酸カルシウム であり、 より好ましくは 1 2〇 7 丨 2 3 である。 また、 マイエナイ ト型化合物は、 複合物の触媒活 性をより高くするという観点で、 カルシウム元素又はアルミニウム元素を含 むことが好ましく、 カルシウム元素およびアルミニウム元素を含 むことがよ り好ましい。

[0016] マイエナイ ト型化合物の結晶は、 籠状の構造 (ケージ) がその壁面を共有 し、 三次元的に繫がることで構成される。 通常、 マイエナイ ト型化合物のケ —ジの内部には〇 2 -などのアニオンが含まれているが、 還元処理によってそ れらを伝導電子に置換することができる。

[0017] 本発明でマイエナイ ト型化合物として用いられる 1 2〇 3〇 7八 丨 2 3 を単に 「〇 1 2八 7」 と略記することがある。

[0018] [無機バインダー焼結物]

無機バインダー焼結物とは、 無機バインダー焼結物の原料を焼結させるこ とによって得られるものである。 無機バインダー焼結物には、 例えば、 多孔 質アルミナ、 多孔質シリカ、 多孔質ジルコニア、 多孔質マグネシア、 多孔質 チタニアなどが挙げられる。 成形焼結体の活性を高くできるとともに圧壊 強 度を高くできるという観点から、 これらの中で、 非晶質の多孔質アルミナ、 非晶質の多孔質シリカおよび多孔質ジルコニ アが好ましく、 非晶質の多孔質 アルミナおよび非晶質の多孔質シリカがより 好ましく、 非晶質の多孔質アル ミナがさらに好ましい。 これらは、 1種を単独で使用してもよく、 2種以上 を混合して使用してもよい。 なお、 非晶質の多孔質アルミナとは、 結晶が未 発達な多孔質アルミナであり、 例えば活性アルミナが挙げられる。 また、 非 晶質のシリカには、 例えばシリカゲルが挙げられる。

[0019] 無機バインダー焼結物の含有量は、 成形焼結体 1 〇〇質量部に対して 3〜

3 0質量部である。 無機バインダー焼結物の含有量が、 成形焼結体 1 0 0質 量部に対して 3質量部未満であると、 成形焼結体の圧壊強度が、 固定床方式 の反応器に用いるのに対して不十分になる場 合がある。 成形焼結体の圧壊強 〇 2020/175519 7 卩(:171? 2020 /007620

度が不足すると、 成形焼結体を反応器に投入する際に成形焼結 体が変形 ·粉 化してしまい、 反応ガスの流路を塞いでしまう可能性がある ため、 十分な触 媒反応活性を得ることができない。 また、 無機バインダー焼結物の触媒活性 に対する担体効果が低いため、 無機バインダー焼結物の含有量が、 成形焼結 体 1 〇〇質量部に対して 4 0質量部を越えると、 触媒活性が不十分になる場 合がある。 触媒活性を高くできるとともに圧壊強度を高 くできるという観点 から、 無機バインダー焼結物の含有量は、 成形焼結体 1 〇〇質量部に対して 、 好ましくは 5〜 3 0質量部であり、 より好ましくは 1 0〜 3 0質量部であ る。 なお、 無機バインダー焼結物の含有量は、 成形焼結体を定量分析し、 〇 3の含有量からマイエナイ ト型化合物の含有量を算出し、 遷移金属元素の含 有量から遷移金属の含有量を算出し、 残りの含有量を無機バインダー焼結物 の含有量とすることにより、 測定することができる。 〇 3などの成形体焼結 体を構成する元素は成形体焼結体を酸性の溶 液に溶解させて 丨 分析 (プ ラズマ発光分析) を行うことにより定量できる。 また、 成形焼結体を (蛍光 X線分光分析) により分析することで遷移金属元素の含有量 も定量す ることが可能である。

[0020] [遷移金属]

遷移金属は、 触媒の活性種となる物質であり、 マイエナイ ト型化合物およ び無機バインダー焼結物を含む焼成物に担持 されている。 また、 遷移金属は 、 触媒活性を有していれば特に限定されない。 遷移金属は、 例えば活性金属 であり、 活性金属には、 例えば、 ルテニウム、 コバルト、 マンガン、 モリブ デン、 タングステン、 オスミウム、 ニッケル、 ロジウム、 イリジウムおよび 鉄などが挙げられる。 これらは、 1種を単独で使用してもよく、 2種以上を 混合して使用してもよい。 マイエナイ ト型化合物の担体効果により触媒活性 をより高めることができるという観点から、 遷移金属は、 好ましくはルテニ ウムである。

[0021 ] また、 成形焼結体は、 使用中に活性化していればよいので、 使用前は活性 化していなくてもよい。 このような観点から、 遷移金属は、 活性化処理によ 〇 2020/175519 8 卩(:171? 2020 /007620

って触媒活性を有することが可能である形 態であってもよい。 例えば、 遷移 金属は、 上記活性金属の前駆体であってもよい。 なお、 活性金属の前駆体と は、 加熱処理、 還元処理などの活性化処理により活性金属に なり得る化合物 である。 例えば、 活性金属がルテニウムである場合、 遷移金属として使用し 得る活性金属の前駆体には、 例えばルテニウム塩およびルテニウム錯体な ど が挙げられる。 これらは、 1種を単独で使用してもよく、 2種以上を混合し て使用してもよい。 ルテニウム塩およびルテニウム錯体のうち、 遷移金属と して用いる活性金属の前駆体にはルテニウム 塩が好ましい。

[0022] 遷移金属として用いるルテニウム塩には、 例えば、 塩化ルテニウム ([¾リ

〇 丨 3) 、 塩化ルテニウム水和物 リ〇 I 3 - 酢酸ルテニウム (

(〇1 ~ 1 3 〇〇 2 ) 〇 、 硝酸ルテニウム、 ヨウ化ルテニウム水和物 ([^リ I 3 n 1 ~ 1 2 〇) 、 ニトロシル硝酸ルテニウム ([¾リ (N0) (1\1〇 3 3 ) 、 二 トロシル塩化ルテニウム水和物 ([¾リ (N0) 〇 1 3 . 门 1 ~ 1 2 〇) 、 三硝酸ル テニウム ([¾リ (1\1〇 3 3 ) 、 塩化へキサアンミンルテニウム ([¾リ ) 6 〇 I 3 ) などが挙げられる。 これらの中で、 活性化処理によってマイェナ イ ト型化合物の構造を壊さずに高い触媒活性を 得られるという観点から、 酢 酸ルテニウム、 硝酸ルテニウム、 ニトロシル硝酸ルテニウムおよび塩化ルテ ニウムが好ましい。 これらは、 1種を単独で使用してもよく、 2種以上を混 合して使用してもよい。

[0023] 遷移金属として用いるルテニウム錯体には、 トリルテニウムドデカカルボ ニル ([¾リ 3 (〇〇) 12 ) 、 ジクロロテトラキス (トリフェニルホスフイン) ルテニウム ( I I) ([¾リ〇 12 3 4 ) 、 ジクロロトリス (トリフェ ニルホスフイン) ルテニウム ( I I) ([¾リ〇 12 3 3 ) 、 トリス ( アセチルアセトナト) ルテニウム (丨 丨 丨) ([¾リ (3030) 3 ) 、 ルテノ セン ([¾リ (〇 5 1 ~ 1 5 2 ) 、 ジクロロ (ベンゼン) ルテニウム (丨 丨) ダイマ — (〇 5 1 ~ 1 5 ) ] 2 ) 、 ジクロロ (メシチレン) ルテニウム ( I I ) ダイマー ( [[¾ 1 <1 12 (11163 I ソ I 6116) ] 2 ) 、 ジクロロ ( ーシ メン) ルテニウム ( I I) ダイマ _ ( [[¾ 1 <1 12 ( 一〇 ] 2 〇 2020/175519 9 卩(:171? 2020 /007620

) 、 カルボニルクロロヒドリ ドトリス (トリフエニルホスフイン) ルテニウ ム ( I I) ( [[¾リ 1 ~ 1〇 I (0 0) ( 3 3 ] ) 、 トリス (ジピバロイ ルメタナト) ルテニウム (丨 丨 丨) ( [[¾リ ( ) 3 ] ) 、 などが挙げら れる。 これらの中で、 活性化処理によって高い触媒活性が得られる という観 点から、 トリルテニウムドデカカルボニル ([¾リ 3 (〇〇) 1 2 ) 、 トリス (ア セチルアセトナト) ルテニウム (丨 丨 丨) ([¾リ (3 0 3 0) 3 X ルテノセ ン ([¾リ (〇 5 1 ~ 1 5 ) 2)、 などが好ましい。 これらは、 1種を単独で使用して もよく、 2種以上を混合して使用してもよい。

[0024] 遷移金属は、 上述の活性金属の促進剤を含んでもよい。 促進剤としては、 例えば、 アルカリ金属、 アルカリ土類金属および希土類金属からなる 群から 選択される少なくとも 1種の元素を含む化合物が挙げられる。 上記化合物に は、 例えば、 酸化物および水酸化物の少なくとも 1種の化合物が挙げられる 。 促進剤のアルカリ金属は、 特に限定はされないが、 例えば、 リチウム、 ナ トリウム、 カリウム、 セシウム、 ルビジウムなどが挙げられる。 促進剤のア ルカリ土類金属は、 特に限定されないが、 例えば、 マグネシウム、 カルシウ ム、 ストロンチウムおよびバリウムなどが挙げら れる。 促進剤の希土類金属 は、 特に限定はされないが、 例えば、 ランタン、 セリウム、 プラセオジウム 、 ネオジウム、 サマリウム、 ガドリニウム、 ジスプロシウムなどが挙げられ る。 これらは、 1種を単独で使用してもよく、 2種以上を混合して使用して もよい。 好ましい促進剤はカリウム化合物、 セシウム化合物およびバリウム 化合物である。

[0025] なお、 マイエナイ ト型化合物および無機バインダー焼結物を含 む焼成物が 遷移金属の触媒活性を促進する元素の化合物 を含み、 かつ遷移金属が活性金 属の促進剤を含んでもよいし、 マイエナイ ト型化合物および無機バインダー 焼結物を含む焼成物が遷移金属の触媒活性を 促進する元素の化合物を含むが 、 遷移金属が活性金属の促進剤を含まなくても よい。 また、 遷移金属が活性 金属の促進剤を含むが、 マイエナイ ト型化合物および無機バインダー焼結物 を含む焼成物は遷移金属の触媒活性を促進す る元素の化合物を含まなくても 〇 2020/175519 10 卩(:171? 2020 /007620

よい。

[0026] 遷移金属の含有量は、 特に限定はされないが、 成形焼結体 1 0 0質量部に 対して好ましくは 2〜 2 0質量部であり、 より好ましくは 2〜 1 5質量部で あり、 さらに好ましくは 2〜 1 0質量部である。 遷移金属の含有量が上記範 囲内であることで、 十分な活性点を有する成形焼結体を得ること ができ、 高 活性の成形焼結体を得ることができ、 さらに、 コスト面で好ましい成形焼結 体を得ることができる。

[0027] <その他の成分>

本発明の成形焼結体は、 本発明の効果を阻害しない範囲で、 マイエナイ ト 型化合物、 無機バインダー焼結物および遷移金属以外の 化合物を含むことが できる。 例えば、 本発明の成形焼結体は、 遷移金属の触媒活性を促進する元 素を含む化合物をさらに含んでもよい。 遷移金属の触媒活性を促進する元素 には、 例えば、 アルカリ金属元素、 アルカリ土類金属元素および希土類金属 元素などが挙げられる。 アルカリ金属元素は、 特に限定はされないが、 例え ば、 リチウム、 ナトリウム、 カリウム、 セシウム、 ルビジウムなどが挙げら れる。 アルカリ土類金属元素は、 特に限定されないが、 例えば、 マグネシウ ム、 カルシウム、 ストロンチウムおよびバリウムなどが挙げら れる。 希土類 金属元素は、 特に限定はされないが、 例えば、 ランタン、 セリウム、 プラセ オジウム、 ネオジウム、 サマリウム、 ガドリニウム、 ジスプロシウムなどが 挙げられる。 上記元素の化合物には、 上記元素の酸化物、 水酸化物などが挙 げられる。 これらは、 1種を単独で使用してもよく、 2種以上を混合して使 用してもよい。 遷移金属がルテニウムを含む場合、 ルテニウムの触媒活性を より大きく高められるという観点から、 成形焼結体はカリウム化合物、 セシ ウム化合物およびバリウム化合物からなる群 から選択される少なくとも 1種 の化合物を含むことが好ましい。

[0028] 遷移金属の触媒活性を促進する元素の含有量 は、 特に限定はされないが、 遷移金属中の触媒の活性種となる元素に対し て、 モル比 (触媒活性を促進す る元素/触媒の活性種となる元素) で、 好ましくは 3 0〜 0 . 0 1 であり、 〇 2020/175519 11 卩(:171? 2020 /007620

より好ましくは 20〜〇. 1であり、 さらに好ましくは 5〜〇. 5である。 遷移金属の触媒活性を促進する元素の含有量 が上記範囲内であると、 遷移金 属の触媒活性を十分に促進できるとともに、 コスト面で好ましい成形焼結体 を得ることができる。

[0029] [成形焼結体の特性]

<細孔径>

本発明の成形焼結体は、 窒素吸着法による細孔径分布測定により得ら れた 成形焼結体の細孔径分布において、 細孔径が 2. 5〜 20 n の範囲および の範囲にそれぞれ細孔ピークを少なくとも 1つ有する。 こ の細孔ピークは成形体焼結体の粒子間隙に起 因するものであるので、 細孔径 が 2. の範囲および 20〜 350 n の範囲に成形焼結体が細 孔ピークを有さないと、 成形焼結体の圧壊強度が不十分となる場合が ある。 また、 遷移金属の成形焼結体の深さ方向の分布をよ り均一にするために、 全 細孔容積に対する 2〇〜 350 n の細孔の容積の割合は、 好ましくは 20 〜 80体積%であり、 より好ましくは 30〜 75体積%であり、 さらに好ま しくは 30〜 70体積%である。 なお、 成形焼結体の細孔分布は窒素ガスの ガス吸着法により求めることができ、 具体的には、 後述の実施例に記載の方 法により求めることができる。

[0030] <粉末乂線回折のピ _ク>

本発明の成形焼結体は、 〇リ 《線を使用した粉末乂線回折において、 マ イエナイ ト型化合物に帰属される 20 = 1 8. 1 3±0. 50 6 9 、 27 . 82±0. 50 69、 および 34. 40±0. 50 6 に回折ピーク を有することが好ましく、 マイエナイ ト型化合物に帰属される 20= 1 8.

1 3±0. 50 69、 23. 45±0. 50 69、 27. 82±0. 5 0 69、 29. 77 ±0. 50 69、 34. 40±0. 50 69、 3 5. 08±0. 50 69、 36. 69±0. 50 69、 38. 26±0 . 50 69および 4 1. 20±0. 50 69に回折ピークを有すること がより好ましい。 成形焼結体が上記回折ピークを有すると、 触媒活性が十分 〇 2020/175519 12 卩(:171? 2020 /007620

高くなる。 なお、 1番目および 2番目に強度の高いピークが 2 0 = 1 8 . 1 3 ± 0 . 5 0 6 9のピークおよび 2 0 = 3 4 . 4 0 ± 0 . 5 0 6 9のピ —クであることが好ましい。 1番目および 2番目に強度の高いピークが上記 ピークであると、 籠状の構造 (ケージ) が形成され、 触媒反応時に電子が成 形焼結体の表面に存在する確率が高くなると 考えられる。 これによりアンモ ニア生成速度の向上が見込まれる。

[0031 ] <圧壊強度>

成形焼結体が、 固定床方式の反応器に用いるのに十分な強度 を有するとい う観点から、 本発明の成形焼結体の圧壊強度は、 好ましくは〇. 1 1< 9 干以 上であり、 より好ましくは〇. 〇 〇 干以上であり、 さらに好ましくは 1 .

以上である。 なお、 成形焼結体の圧壊強度は、 例えば、 後述の実施 例に記載の方法で測定することができる。 また、 成形焼結体の圧壊強度が固 定床方式の反応器に用いるのに対して十分で あるか否かは、 想定する反応器 容積に応じて最下部の成形焼結体が受ける負 荷に基づいて判断する。

[0032] <粉化率>

成形焼結体が、 固定床方式の反応器に用いるのに十分な耐摩 耗性を有する という観点から、 本発明の成形焼結体の落下強度試験による粉 化率は、 好ま しくは 1 0質量%以下であり、 より好ましくは 1 . 0質量%以下である。 な お、 成形焼結体の粉化率は、 例えば、 後述の実施例に記載の方法で測定する ことができる。

[0033] <形状>

本発明の成形焼結体の形状は、 固定床方式の反応器に用いることができれ ば、 特に限定されないが、 例えば、 円柱状、 異形円柱状、 タブレッ ト状、 リ ング状、 球状、 粒状、 顆粒状、 塊状、 フレーク状、 マカロニ状、 四葉状、 サ イコロ状、 ハニカム状などが挙げられる。 高い生産性が期待でき、 成形費用 を安価にできるという観点から、 成形焼結体の形状は粒状もしくは円柱状で あることが好ましい。

[0034] <粒子サイズ> 〇 2020/175519 13 卩(:171? 2020 /007620

本発明の成形焼結体の平均粒子サイズは、 特に限定されないが、 固定床方 式の反応器に用いるという観点から、 〇. 8〜 2 0 01 01程度が好ましい。 例 えば、 成形焼結体の形状が球状の場合、 成形焼結体の粒子サイズは成形焼結 体の直径となる。 また、 成形焼結体の形状が円柱状の場合、 成形焼結体のサ イズは、 直径 (口) と長さ (1_) との比 (!_ / 0) は反応器内径に応じて適 切なサイズを選択する。 なお、 成形焼結体の粒子サイズは、 例えばノギスを 用いて測定することができる。

[0035] <比表面積>

本発明の成形焼結体の比表面積は、 特に限定はされないが、 巳日丁法に基 づく比表面積で、 好ましくは 5〜 5 0 0 2 / 9であり、 より好ましくは 2 0 であり、 さらに好ましくは 2 0〜 7 0 2 / 9である。

[0036] <嵩密度>

本発明の成形焼結体の嵩密度は、 特に限定はされないが、 好ましくは〇. 1 ~ 5 . 〇 9 / 1_であり、 より好ましくは〇. 5 ~ 3 . 〇 9 / 1_である 。 なお、 成形焼結体の嵩密度は、 例えば、 後述の実施例に記載の方法で測定 することができる。

[0037] <成形焼結体の用途>

本発明の成形焼結体は、 アンモニア合成用触媒として用いることがで きる 。 しかし、 本発明の成形焼結体の用途は、 アンモニア合成に限定されない。 例えば、 本発明の成形焼結体は、 還元触媒、 酸化触媒、 改質触媒、 分解触媒 等に使用することができる。 具体的には、 本発明の成形焼結体は、 脂肪族力 ルボニル化合物の水素化、 芳香族環の水素化、 カルボン酸の水素化、 不飽和 アルデヒドの水素化による不飽和アルコール 合成、 メタンの水蒸気改質、 ア ルケン類などの水素化、 〇〇もしくは(3〇 2 と水素との反応によるメタン化、 フィッシャー—トロプッシュ合成反応、 置換芳香族の核水素化、 アルコール 類のカルボニル化合物への酸化、 リグニンのガス化などに使用できる。

[0038] [成形焼結体の製造方法]

本発明の成形焼結体の製造方法は、 マイエナイ ト型化合物の前駆体および 〇 2020/175519 14 卩(:171? 2020 /007620

無機バインダーを混合して混合物を作製す る工程 、 混合物を成形して混合 物の成形体を作製する工程巳、 成形体を焼成して焼成物を作製する工程〇、 および焼成物に遷移金属を担持して成形焼結 体を作製する工程口を含む。

[0039] (工程八)

工程 では、 マイェナイ ト型化合物の前駆体および無機バインダーを 混合 して混合物を作製する。

[0040] <マイェナイ ト型化合物の前駆体>

工程八で使用するマイェナイ ト型化合物の前駆体は、 焼成によりマイェナ イ ト型化合物に変わるものであれば、 特に限定されない。 成形が容易な粉末 が得られるという観点から、 マイェナイ ト型化合物の前駆体は、 好ましくは 〇 3 3 八 丨 2 (〇1 ~ 1) 1 2 である。 〇 3 3 八 丨 2 (〇1 ~ 1) 1 2 は、 例えば、 水熱合成 法により作製することができる。

[0041 ] 水熱合成法は、 具体的には、 まず水やアルコールなどの溶媒と、 無機酸化 物の原料を耐圧容器に入れて、 溶媒の沸点以上の温度で数時間〜数日加熱す ることで無機酸化物の前駆体を得る。 引き続き、 得られた前駆体をさらに加 熱し、 無機酸化物を得る方法である。

[0042] 水熱合成法で用いられるカルシウム源は、 特に限定はされないが、 通常、 水酸化カルシウム、 酸化カルシウム、 カルシウム塩が用いられ、 好ましくは 水酸化カルシウムが用いられる。 また、 アルミニウム源は、 特に限定はされ ないが、 通常、 水酸化アルミニウム、 酸化アルミニウム、 アルミニウム塩が 用いられ、 好ましくは水酸化アルミニウムが用いられる 。 カルシウム源およ びアルミニウム源の混合比率は特に限定され ず、 所望の組成に合わせて適宜 調製可能であるが、 通常は、 目的とする<3 1 2八 7の化学量論組成で混合す る。

[0043] アルミニウム源およびカルシウム源を耐圧容 器中に投入した後、 これらを 水の沸点以上の温度で加熱することで、 〇 3 3 八 1 2 (〇1 ~ 1) 1 2 を合成するこ とができる。 水熱合成における耐熱容器中での加熱温度は 特に限定はされず 、 十分な収量の〇 3 3 2 (〇1 ~ 1) 1 2 が得られる加熱温度を適宜選択するこ 〇 2020/175519 15 卩(:171? 2020 /007620

とができるが、 通常 1 0 0 °〇以上、 好ましくは 1 3 0 °〇以上、 通常、 2 0 0 °〇以下である。 加熱時間は特に限定はされず、 十分な収量の〇 3 3 八 I 2 (〇 1 ~ 1) 1 2 が得られる加熱時間を適宜選択すること ができるが、 通常、 2時間以 上、 好ましくは 5時間以上、 通常、 1 0 0時間以下である。

[0044] <無機バインダー>

マイエナイ ト型化合物の前駆体のみを成形し、 焼結して得られた焼結体は 、 保形成に乏しく、 固定床形式の反応器に用いる成形焼結体とし ては強度が 不十分となる場合がある。 このため、 工程八では、 マイエナイ ト型化合物の 前駆体に無機バインダー焼結物の原料を混合 する。 無機バインダー焼結物の 原料はは、 無機バインダー焼結物がマイエナイ ト型化合物の強度を高められ るものであれば、 特に限定されない。 マイエナイ ト型化合物が有する細孔を ある程度維持し、 かつ成形焼結体の圧壊強度を高めるという観 点から、 無機 バインダー焼結物の原料は、 ジブサイ ト、 ベーマイ ト、 擬ベーマイ ト、 ダイ アスポアなどのアルミナ水和物、 ギブサイ ト、 バイヤーライ ト、 ノルトスト ランダイ トなどの水酸化アルミニウム、 アルミナゾル、 シリカゾル、 オキシ 水酸化ジルコニウムおよびジルコニアゾルか らなる群から選択される少なく とも 1種の化合物であることが好ましい。

[0045] 無機バインダー焼結物の原料の配合量は、 無機バインダー焼結物の含有量 が、 成形焼結体 1 〇〇質量部に対して、 好ましくは 3〜 3 0質量部、 より好 ましくは 5〜 3 0質量部、 さらに好ましくは 1 〇〜 3 0質量部となる配合量 であれば、 特に限定されない。

[0046] <その他の成分>

本発明の効果を阻害しない範囲で、 工程八では、 マイエナイ ト型化合物の 前駆体および無機/《インダー焼結物の原料 加えて、 他の化合物を混合して もよい。 例えば、 以下の化合物を混合することができる。

[0047] (遷移金属の触媒活性を促進する元素の化合 物)

工程 では、 後述の遷移金属の触媒活性を促進する元素の 化合物をさらに 含んでもよい。 遷移金属の触媒活性を促進する元素には、 例えば、 アルカリ 〇 2020/175519 16 卩(:171? 2020 /007620

金属元素、 アルカリ土類金属元素および希土類金属元素 などが挙げられる。 アルカリ金属元素は、 特に限定はされないが、 例えば、 リチウム、 ナトリウ ム、 カリウム、 セシウム、 ルビジウムなどが挙げられる。 アルカリ土類金属 元素は、 特に限定されないが、 例えば、 マグネシウム、 カルシウム、 ストロ ンチウムおよびバリウムなどが挙げられる。 希土類金属元素は、 特に限定は されないが、 例えば、 ランタン、 セリウム、 プラセオジウム、 ネオジウム、 サマリウム、 ガドリニウム、 ジスプロシウムなどが挙げられる。 これらの元 素の化合物には、 例えば、 水酸化物;炭酸塩、 酸化物、 硝酸塩などの無機酸 塩;酢酸塩、 ギ酸塩などのカルボン酸塩;エトキシドなど のアルコキシド; その他の有機化合物;金属アセチルアセトナ ート錯体などの金属錯体などが 挙げられる。 これらは、 1種を単独で使用してもよく、 2種以上を混合して 使用してもよい。 遷移金属がルテニウムを含む場合、 ルテニウムの触媒活性 をより大きく高められるという観点から、 遷移金属の触媒活性を促進する元 素の化合物はカリウム化合物、 セシウム化合物およびバリウム化合物が好ま しく、 炭酸カリウム、 硝酸カリウム、 酸化カリウム、 硝酸セシウム、 炭酸セ シウム、 酸化セシウム、 酸化バリウム、 炭酸バリウム、 硝酸バリウムなどが より好ましい。

[0048] (水)

マイエナイ ト型化合物の前駆体および無機バインダー焼 結物の原料の混合 物に、 成形に適した物性を付与するために、 工程 では、 水をさらに混合し てもよい。 工程八で使用できる水には、 たとえば、 イオン交換水、 純水、 蒸 留水、 水道水などが挙げられる。

[0049] (有機系添加剤)

成形体の可塑性、 保形性、 均質性などを向上させるために、 工程 では、 有機系添加剤をさらに混合してもよい。 有機系添加剤には、 例えば、 結合剤 、 可塑剤、 湿潤剤、 潤滑 ·離型剤などが挙げられる。 結合剤には、 例えば微 結晶セルロース、 メチルセルロース、 カルボキシメチルセルロース、 デンプ ン、 ポリエチレンオキシド、 ポリビニルアルコール、 ヒドロキシエチルセル 〇 2020/175519 17 卩(:171? 2020 /007620

ロースなどが挙げられる。 可塑剤には、 例えば、 ポリエチレングリコール、 グリセリン、 プロピレングリコールなどが挙げられる。 湿潤剤には、 例えば 、 非イオン界面活性剤、 アルコール類などが挙げられる。 潤滑 ·離型剤には 、 例えば、 低分子ポリアルケン、 パラフィンワックス、 ラウリン酉愛、 ステア リン酸、 オレイン酸などの脂肪酸および脂肪酸エステ ル、 アミ ド、 エマルジ ョンなどが挙げられる。 これらの添加剤の配合割合は、 通常、 マイエナイ ト 型化合物の前駆体および無機バインダー焼結 物の配合量の合計 1 〇〇質量部 に対して〇. 1〜 2 0質量部、 好ましくは〇. 5〜 1 0質量部、 さらに好ま しくは〇. 5〜 8質量部である。 なお、 無機バインダー焼結物の原料を添加 しなくても、 有機系添加剤を添加することで圧壊強度が〇 . 1 以上で ある成形焼結体が得られる場合、 上記混合物は無機バインダー焼結物の原料 を含まなくてもよい。 この場合、 有機系添加剤が必須成分となる。

[0050] <混合>

マイエナイ ト型化合物の前駆体および無機バインダー焼 結物の原料を混合 して得られた混合物に対して、 成形に適した物性を付与するために、 混練に よりマイエナイ ト型化合物の前駆体および無機バインダー焼 結物の原料を混 合することが好ましい。 マイエナイ ト型化合物の前駆体および無機バインダ —焼結物の原料の混練には、 密閉式二ーダー、 1軸もしくは 2軸の押出機、 オープンロール型混練機などの混練機を用い ることができる。 特に混練機の 様式に制限はなく、 円筒、 V型、 二重円錐型などの容器を回転させる容器回 転型、 固定された回転軸により粉体を混練すること を可能とする固定容器型 、 水平軸回転方式、 垂直軸回転方式、 振動回転方式などの混練機が使用でき る。 加えて、 ジェッ トポンプを使用した流動化型ミキサー、 重力の流れを利 用した重力流動型混合装置なども使用するこ とが可能である。 また、 予め、 ヘンシェルミキサー、 ボールミルなどの混合機を用いてマイエナイ ト型化合 物の前駆体および無機バインダーを混合した 後、 混合物を混練機に供給して 混練してもよい。

[0051 ] (工程巳) 〇 2020/175519 18 卩(:171? 2020 /007620

工程巳では、 混合物を成形して混合物の成形体を作製する 。

混合物の成形方法は、 固定床形式の反応器に好適な形状に成形焼結 体を成 形できる成形方法であれば特に限定されない 。 混合物の成形方法には、 例え ば、 圧縮成形法、 押し出し成形法、 錶込み成形法、 テープ成形法、 射出成形 法、 打錠成形法、 噴霧造粒法、 流動層造粒法、 転動造粒法などが挙げられる 。 これらの中で、 細孔容積が高い成形体が得られ、 高い生産性が期待でき、 かつ成形費用を安価にできるという観点から 、 押し出し成形法が好ましい。 混合物の押し出し成形には、 例えば、 スクリュー型成形機、 口ール型成形機 、 ピストン型成形機などが使用される。 なお、 成形体の長さをそろえるため に、 ダイ付近に備え付けられたカッターで、 成形機より押し出された成形物 を切断してもよい。 また、 マルメライザーを用いて、 切断された成形物を球 形に近い形に整粒してもよい。

[0052] (工程〇)

工程 0では、 成形体を焼成して焼成物を作製する。

成形体は、 通常は大気中で焼成する。 また、 焼成温度は特に限定はされな いが、 通常 4 0 0 °〇以上、 好ましくは 4 5 0 °〇以上、 通常 1 0 0 0 °〇以下で ある。 成形体を焼成すると、 マイエナイ ト型化合物の前駆体からマイエナイ 卜型化合物が生成し、 無機バインダー焼結物の原料から無機バイン ダー焼結 物が生成する。

[0053] (工程口)

工程口では、 焼成物に遷移金属を担持して成形焼結体を作 製する。

<遷移金属>

遷移金属は、 触媒の活性種となる物質またはその前駆体で あれば、 特に限 定されない。 遷移金属は、 例えば活性金属の化合物であり、 活性金属の化合 物には、 例えば、 ルテニウム、 コバルト、 マンガン、 モリブデン、 タングス テン、 オスミウム、 ニッケル、 ロジウム、 イリジウムおよび鉄などの活性金 属の化合物が挙げられる。 これらは、 1種を単独で使用してもよく、 2種以 上を混合して使用してもよい。 マイエナイ ト型化合物との組み合わせで触媒 〇 2020/175519 19 卩(:171? 2020 /007620

活性をより高めることができるという観点 から、 遷移金属はルテニウム化合 物であることが好ましい。

[0054] 遷移金属として用いるルテニウム化合物は、 還元処理によって金属ルテニ ウムに変換できるものであれば特に限定され ない。 遷移金属として用いるル テニウム化合物には、 例えばルテニウム塩およびルテニウム錯体な どが挙げ られる。 これらは、 1種を単独で使用してもよく、 2種以上を混合して使用 してもよい。 ルテニウム塩およびルテニウム錯体のうち、 遷移金属として用 いるルテニウム化合物にはルテニウム塩が好 ましい。

[0055] 遷移金属として用いるルテニウム塩には、 例えば、 上記成形焼結体に含ま れる遷移金属のルテニウム塩として列挙され たものが挙げられる。 これらの 中で、 活性化処理によってマイエナイ ト型化合物の構造を壊さずに高い触媒 活性を得られるという観点から、 酢酸ルテニウム、 硝酸ルテニウム、 ニトロ シル硝酸ルテニウムおよび塩化ルテニウムが 好ましい。 これらは、 1種を単 独で使用してもよく、 2種以上を混合して使用してもよい。

[0056] 遷移金属として用いるルテニウム錯体には、 例えば、 上記成形焼結体に含 まれる遷移金属のルテニウム錯体として列挙 されたものが挙げられる。 これ らの中で、 活性化処理によって高い触媒活性が得られる という観点から、 卜 リルテニウムドデカカルボニル ([¾リ 3 (〇〇) 1 2 ) 、 トリス (アセチルアセ トナト) ルテニウム ( 1 1 1) ([¾リ (3 0 3 0) 3 ) 、 ルテノセン ([¾リ (

5 1 ~ 1 5 ) 2) 、 などが好ましい。 これらは、 1種を単独で使用してもよく、 2 種以上を混合して使用してもよい。

[0057] 以上の化合物は容易に熱分解する。 このため、 これらの化合物を上記焼成 物に担持させた後、 活性化処理、 すなわち熱処理を伴う還元処理を行うこと により、 成形焼結体上にルテニウムを金属の状態で析 出させることができる 。 これにより、 高い触媒活性を成形焼結体に付与できる。 また、 上記ルテニ ウム化合物は、 加熱下、 水素ガスにより容易に還元されるので、 アンモニア 合成のときに、 成形焼結体上にルテニウムを金属の状態で析 出させることが できる。 〇 2020/175519 20 卩(:171? 2020 /007620

[0058] 工程 0では、 遷移金属は上記活性金属の触媒活性を促進す る元素の化合物 をさらに含んでもよい。 活性金属の触媒活性を促進する元素には、 例えば、 アルカリ金属、 アルカリ土類金属および希土類金属などが挙 げられる。 アル カリ金属は、 特に限定はされないが、 例えば、 リチウム、 ナトリウム、 カリ ウム、 セシウム、 ルビジウムなどが挙げられる。 アルカリ土類金属は、 特に 限定されないが、 例えば、 マグネシウム、 カルシウム、 ストロンチウムおよ びバリウムなどが挙げられる。 希土類金属は、 特に限定はされないが、 例え ば、 ランタン、 セリウム、 プラセオジウム、 ネオジウム、 サマリウム、 ガド リニウム、 ジスプロシウムなどが挙げられる。 これらの元素の化合物には、 例えば、 水酸化物;炭酸塩、 酸化物、 硝酸塩などの無機酸塩;酢酸塩、 ギ酸 塩などのカルボン酸塩;エトキシドなどのア ルコキシド;その他の有機化合 物;金属アセチルアセトナート錯体などの金 属錯体などが挙げられる。 これ らは、 1種を単独で使用してもよく、 2種以上を混合して使用してもよい。 遷移金属がルテニウムを含む場合、 ルテニウムの触媒活性をより大きく高め られるという観点から、 活性金属の触媒活性を促進する元素の化合物 はカリ ウム化合物、 セシウム化合物、 バリウム化合物が好ましく炭酸カリウム、 硝 酸カリウム、 酸化カリウム、 炭酸セシウム、 酸化セシウム、 酸化バリウム、 炭酸バリウムまたは硝酸バリウムなどがより 好ましい。

[0059] <担持>

上記焼成物に遷移金属を担持させる方法は、 特に限定はされない。 焼成物 に遷移金属を担持させる方法には、 例えば、 含浸法、 熱分解法、 液相法、 ス パッタリング法、 蒸着法などが挙げられる。 これらの中で、 遷移金属を焼成 物に均一に分散させることができるという観 点から含浸法または蒸着法が好 ましく、 粒径が均一な活性金属粒子を形成しやすい点 で含浸法がより好まし い。 また、 含浸法には、 平衡吸着法および蒸発乾固法があるが、 これらの中 で、 担持量を多くできるという観点から、 蒸発乾固法が好ましい。

[0060] 具体的に含浸法は、 蒸発乾固法では、 成形焼結体を、 遷移金属を含む溶液 に浸潰させ、 引き続き遷移金属を含む溶液の溶媒を蒸発お よび乾固させ、 遷 〇 2020/175519 21 卩(:171? 2020 /007620

移金属が担持した成形焼結体を作製する。 _方、 平衡吸着法では、 遷移金属 を含む溶液に成形焼結体を浸潰させ、 遷移金属を含む溶液から成形焼結体を 取り出し、 洗浄し、 乾燥して、 遷移金属が担持した成形焼結体を作製する。 なお、 含浸法で使用する溶媒は、 例えば、 水、 メタノール、 エタノール、 1 —プロパノール、 2—プロパノール、 ブタノール、 ジメチルスルホキシド、 1\1 , 1\1 _ジメチルホルムアミ ド、 アセトニトリル、 アセトン、 メチルイソブ チルケトン、 メチルエチルケトン、 シクロへキサノン、 シクロペンタノン、 テトラヒドロフラン、 塩化メチレン、 酢酸エチル、 クロロホルム、 ジエチル エーテル、 トルエン、 ヘキサンなどが挙げられる。 これらは、 1種を単独で 使用してもよく、 2種以上を混合して使用してもよい。

また具体的に蒸着法は、 マイエナイ ト型化合物を、 活性金属化合物と物理 混合し、 真空雰囲気下で加熱し、 活性金属化合物の熱分解に伴い活性金属が マイエナイ ト型化合物上に蒸着されることで、 活性金属担持マイエナイ ト型 化合物を得る。

[0061 ] 大気圧下で焼成物に遷移金属を担持してもよ いが、 減圧下で焼成物に遷移 金属を担持することが好ましい。 減圧下で焼成物に遷移金属を担持すること で、 焼成物に遷移金属を、 より均一に分散させることができる。 例えば、 コ ニカルブレンダー、 エバポレーターなどの減圧装置を用いること で、 減圧下 で焼成物に遷移金属を担持することができる 。 焼成物に遷移金属を、 より均 一に分散させるという観点から、 減圧下で焼成物に遷移金属を担持するとき の圧力は、 好ましくは 5 0 0〜 2 0 3であり、 より好ましくは 3 0 0〜 である。

[0062] 工程 0において、 焼成物に遷移金属を担持する含浸処理を複数 回繰り返し てもよい。 これにより、 焼成物に遷移金属を、 より均一に分散させることが できる。 ここで、 含浸処理とは、 焼成物を、 遷移金属を含む溶液に浸潰させ 、 引き続き遷移金属を含む溶液の溶媒を蒸発お よび乾固させるまでの処理を いう。 工程口において実施する含浸処理の回数は、 好ましくは 2〜 2 0回で あり、 より好ましくは 3〜 1 0回である。 なお、 焼成物に遷移金属を、 より 〇 2020/175519 22 卩(:171? 2020 /007620

均一に分散させることができるという観点 から、 工程口において繰り返す含 浸処理も減圧下で実施することが好ましい。

[0063] (その他の工程)

本発明の成形焼結体の製造方法は、 工程〇で作製した成形焼結体を還元処 理する工程をさらに含んでもよい。

[0064] 還元処理の条件は、 本発明の目的を阻害しない限りにおいて特に 限定され ないが、 例えば、 還元性ガスを含む雰囲気下で行なう方法や、 遷移金属を含 む溶液に、 3 巳 1 ~ 1 4 、 又は、 ホルマリンなどの還元剤を加えて、 成形体の焼成のときに焼成物の表面に活性金 属を析出させる方法が挙げられ る。 還元処理は還元性ガスを含む雰囲気下で行な うことが好ましい。 還元性 ガスとしては水素、 アンモニア、 メタノール (蒸気) 、 エタノール (蒸気)

、 メタン、 エタンなどが挙げられる。 また還元処理の際に、 アンモニア合成 反応を阻害しない、 還元性ガス以外の成分が反応系を共存してい てもよい。 具体的には、 還元処理の際に、 水素などの還元性ガスの他に反応を阻害しな いアルゴンや窒素といったガスを共存させて もよく、 窒素を共存させてもよ い。

[0065] 還元処理の温度は、 特に限定はされないが、 通常 2 0 0 ° 〇以上であり、 好 ましくは 3 0 0 °〇以上、 通常 1 0 0 0 °〇以下であり、 好ましくは 8 0 0 °〇以 下で行なう。 目標の還元温度までの昇温速度は、 特に限定はされないが、 0 . 0 5。〇/分以上であり、 好ましくは 0 . 5。〇/分以上、 通常 1 0 0。〇/分 以下であり、 好ましくは 5 0 ° 〇/分以下で行う。 還元処理を上記温度範囲内 と昇温速度で行なうことで、 活性金属粒子を好ましい平均粒子径の範囲に 成 長させることができる。 還元処理の圧力は、 特に限定はされないが、 通常、 〇. 以上、 1 以下である。 還元処理の時間は、 特に限定さ れないが、 通常 1時間以上であり、 還元処理の温度は、 好ましくは 3 0 0 ° 〇 以上、 より好ましくは 3 5 0 °〇以上、 好ましくは 8 0 0 °〇以下である。

[0066] なお、 成形焼結体を製造後、 成形焼結体を使用する前に、 成形焼結体を還 元処理してもよい。 また、 アンモニア合成の条件においても、 成形焼結体を 〇 2020/175519 23 卩(:171? 2020 /007620

還元処理することができる。 還元後の成形焼結体は大気に慕露しても上記 の 還元温度範囲内と昇温速度の範囲内において 再び還元処理を行うことで再使 用が可能となる。

[0067] [アンモニアの製造方法]

本発明の成形焼結体を用いてアンモニアを製 造することができる。 アンモ ニアを製造する方法は、 本発明の成形焼結体に窒素と水素を含むガス を接触 させてアンモニアを製造する工程を含む。 これにより、 アンモニアを効率的 に製造することができる。

[0068] 本発明の成形焼結体に窒素と水素を含むガス を接触させる際、 最初に水素 のみを本発明の成形焼結体に接触させて成形 焼結体を還元処理してから、 本 発明の成形焼結体に窒素と水素を含むガスを 接触させてもよい。 また、 当初 より本発明の成形焼結体に水素と窒素を含む 混合ガスを接触させてもよい。 さらにこのとき反応器から回収した未反応ガ スを反応器にリサイクルして使 用することもできる。

[0069] 本発明の成形焼結体を用いたアンモニアの製 造方法は、 特に限定はされな いが、 窒素と水素を含むガスを、 上記成形焼結体に接触させる際、 通常、 成 形焼結体を加熱することによりアンモニア合 成を行う。

本発明の成形焼結体を用いたアンモニアの製 造方法によれば、 低温および 低圧の条件下でアンモニアを製造することが できる。 その反応温度は、 好ま しくは 2 0 0〜 6 0 0 °〇であり、 より好ましくは 2 5 0〜 5 5 0 °〇であり、 さらに好ましくは 3 0 0〜 5 5 0 ° 〇である。 アンモニア合成は発熱反応であ ることから、 低温領域のほうが化学平衡論的にアンモニア 生成に有利である が、 十分なアンモニア生成速度を得るためには上 記の温度範囲が好ましい。

[0070] 製造コストの観点から低温および低圧の条件 下でアンモニアを製造する場 合、 本発明のアンモニアの製造方法においてアン モニア合成反応を行う際の 反応圧力は、 絶対圧で、 好ましくは〇. 0 1〜3 0 1\/1 ? 3であり、 より好ま しくは〇. 3〜 2 0 1\/1 3であり、 さらに好ましくは〇.

ある。 〇 2020/175519 24 卩(:171? 2020 /007620

[0071 ] この場合、 成形焼結体に接触させる窒素に対する水素の モル比 ( 1 ~ 1 2 / 1\1 2 ) は、 好ましくは〇. 2 5〜 1 5であり、 より好ましくは〇. 5〜 1 2であ り、 さらに好ましくは 1 . 〇〜 1 0である。

[0072] より良好なアンモニア収率を得るという観点 から、 窒素と水素の混合ガス 中の総水分含有量は、 通常 1 0 0 以下、 好ましくは 5 0 以下で ある。

[0073] 反応容器の形式は特に限定されず、 アンモニア合成反応に通常用いること ができる反応容器を用いることができる。 具体的な反応形式としては、 例え ばバッチ式反応形式、 閉鎖循環系反応形式、 流通系反応形式などを用いるこ とができる。 このうち実用的な観点からは流通系反応形式 が好ましい。 また 成形焼結体を充填した一種類の反応器、 又は複数の反応器を連結させる方法 や、 同一反応器内に複数の反応層を有する反応器 の何れの方法も使用するこ とができる。

[0074] 水素と窒素混合ガスからのアンモニア合成反 応は体積収縮型の発熱反応で あることから、 アンモニア収率を上げるために工業的には反 応熱を除去する ために通常用いられる反応装置を用いてもよ い。 例えば具体的には成形焼結 体が充填された反応器を直列に複数個連結し 、 各反応器の出口にインターク —ラーを設置して除熱する方法などを用いて もよい。

[0075] また、 本発明の成形焼結体を用いたアンモニアの製 造方法は、 前述の通り 、 低温および低圧の条件下でアンモニアを製造 できる点に特徴を有するが、 反応速度をさらに向上させるために、 中温および中圧の条件下で、 アンモニ アを製造してもよい。 この場合、 反応温度は、 例えば好ましくは 2 5 0〜 7 0 0 °〇であり、 より好ましくは 2 5 0〜 5 5 0 °〇であり、 更に好ましくは 3 0 0〜 5 5 0 ° 〇である。 また、 この場合、 反応圧力は、 絶対圧で、 好ましく は〇. より好ましくは〇. 3〜 2 0 1\/1 3であり、 さらに好ましくは〇. である。

実施例

[0076] 以下に、 実施例に基づいて、 本発明をより詳細に説明する。 なお、 実施例 〇 2020/175519 25 卩(:171? 2020 /007620

は本発明を限定するものではない。

[0077] 実施例および比較例の成形焼結体を用いたに 対して以下の分析および評価 を行った。

(細孔径分布)

細孔径分布測定装置 (マイクロトラック ·ベル株式会社製、 型番: 巳巳 1_ S〇R P_m i n i 丨 丨) を用いて、 試料の 1\1 2 吸着等温線を測定し、 1\1 2 吸 着等温線より得られる脱離曲線から巳 (B a r r & t, J o y n a r,

1 ~ 1 3 I e n d a) 法により解析して、 試料の全細孔容積および細孔径分布を 求めた。

[0078] (比表面積)

比表面積測定装置 (マイクロトラック ·ベル株式会社製、 型番: 巳巳 1_ 3 0 R I n I I I) を用いて、 巳巳丁法により試料の比表面積を求めた

[0079] (嵩密度)

成形焼結体の嵩密度は、 ビーズ置換法にて求めた。 具体的には、 予め重量 を測定した石英砂 (〇. 3〜〇. 5 ) を体積測量器に入れ、 その後、 成 形焼結体を測量器に投入し、 測量器重量と体積の増加分から嵩密度を見積 も った。

[0080] (遷移金属の成形焼結体表面からの深さ方向 の分布)

円柱状の成形焼結体の長さ方向のほぼ中心を 切断して、 遷移金属の成形焼 結体の深さ方向の分布を、 走査型電子顕微鏡 (日本電子株式会社製、 型番:

」 I 6 1 〇 ) を使用して成形焼結体断面を観察しながら蛍 光 X線分 光法による線分析を行い、 遷移金属の検出強度の分布を以下の基準で評 価し た。 なお、 成形焼結体中の遷移金属が分布している領域 は、 変色しているの で、 遷移金属の分布の領域は目視することもでき た。

八 :遷移金属の蛍光 X線強度が成形焼結体表面から中心部にかけ の分析線 に沿って一定以上の強度が検出されることで 遷移金属が成形焼結体中に均一 に分布していると判断。 〇 2020/175519 26 卩(:171? 2020 /007620

巳 :遷移金属の蛍光 X線強度が焼結成形体表面層に分布し、 焼結成形体表面 から中心部にかけての分析線に沿って遷移金 属の蛍光 X線強度が減衰もしく は局在して検出される、 または検出されないことで不均一に分布して いると 判断。

[0081] (粉末 X線回折)

乳鉢を使用して成形焼結体を粉砕して粉末の 試料を作製し、 X線回折装置 (株式会社リガク製、 型番: IV! 丨 n 丨 丨 6 父) を使用し、 〇リ< «線を使 用して試料の X線回折パターンを測定した。 走査速度は 2 ° /分であった。

[0082] (圧壊強度)

木屋式硬度計 (株式会社藤原製作所製、 型番: 0 4 3 0 1 9 _巳) を使用 して、 成形焼結体の圧壊強度を測定した。 具体的には、 直径約 2 および 長さ 4 の円柱状の試料を試料台にのせ、 加圧アタッチメントが試料の側 面に接するように、 木屋式硬度計のハンドルを回して加圧アタッ チメントを 徐々におろした。 加圧アタッチメントが試料の側面に接した後 も加圧アタッ チメントを徐々におろし、 試料が圧砕するまで加圧アタッチメントを徐 々に おろした。 そして、 試料が圧砕するまでに加圧アタッチメントに 作用した最 大加圧重を圧壊強度とした。

[0083] (粉化率)

成形焼結体を反応器に充填する際の衝撃を想 定して 2 0!の高さの位置から 硬質面にむけて自由落下させて落下強度試験 を行った。 そして落下強度試験 の際の衝突の衝撃で一部が欠けたサンプルの 質量を測定して落下前の成形焼 結体の重量との重量比を粉化率とした。

[0084] (アンモニアの生成速度の分析)

以下の実施例および比較例のアンモニア生成 速度は、 生成したアンモニア ガスをガスクロマトグラフおよびイオンクロ マトグラフ分析により、 絶対検 量線法を用いて求めた。 アンモニア合成条件および分析条件は以下の 通りで ある。

[アンモニアの合成条件] 〇 2020/175519 27 卩(:171? 2020 /007620

合成温度: 400 ° 0

合成圧力: 〇 . 9MP a

原料ガス中の!· 1 2 /1\1 2 比: 3

原料ガスの流量: 60 !_/分

触媒量: 〇 . 1 8 9

[イオンクロマトグラフ分析条件]

装置:株式会社島津製作所製 ? 1^〇01 丨 11611〇 6 カラム:株式会社島津製作所製 0 04 長さ : 1 5001111、 内径 4. 6111111

溶離液:シュウ酸 (2. 5 IV!) 、 1 8 -クラウンー6 -エーテル (2.

0^1 IV!) 混合水溶液

カラム温度: 40°〇

[0085] (ルテニウム担持量)

焼成物に担持しているルテニウムの担持量は 、 エネルギー分散型蛍光 X線 分光分析装置 (株式会社リガク製、 巳乂 0 £) を用いて絶対検量線法に より測定した。 ルテニウム化合物を担持している成形焼結体 を粉末状にし、 この粉末を〇. 059秤量して 1 00の測定径のサンプルホルダーに入れた 。 測定は 3回行い、 3回の測定値平均をルテニウム担持量として 用した。 [0086] [焼成物の作製]

(焼成物 1の作製)

<〇 3 3 八 丨 2 (〇! ~ 1) 12 の作製>

水酸化カルシウム (〇1 ~ 1) 2 :株式会社高純度化学研究所製、 純度 9 9. 9%、 7. 1 8 9 ) と水酸化アルミニウム (八 I (〇1 ~ 1) 3 :株式会社高 純度化学研究所製、 純度 99. 9%、 8. 82 9 ) を、 0 3 と八 丨のモル比 が、 03 ^ 1 = 1 2 : 1 4となるように秤量、 混合し、 混合粉体を得た。 上記混合粉体に、 上記混合粉体が 1 〇質量%となるように蒸留水を加え、 合 計質量 1 609の混合溶液とした後、 この混合溶液を遊星型ボールミルにて 〇 2020/175519 28 卩(:171? 2020 /007620

、 常温下、 4時間攪拌 ·混合した。 得られた混合溶液を耐圧密閉容器に入れ 、 攪拌しながら 1 50 ° 〇にて、 6時間加熱 (水熱処理) した。

上記水熱処理により得られた沈殿物を濾別し 、 乾燥後粉砕して、 マイェナ イ ト型化合物の前駆体である〇 丨 2 (〇! ~ 1) 12 および 丨 〇〇1 ~ 1の混合 物を約 1 69作製した。

[0087] <成形体の作製>

焼成物に 5質量%のルテニウムが担持すると想定し、 3 a/R〇 (モル比 ) (N0 3 2 (関東化学株式会社製、 型番: 201 3 1 5_3 ) を秤量した。 また、 無機バインダー焼結物の含有量が成形焼結 体 1 〇〇質量部に対して 6.3質量部になるようにべーマイ ト微粒子 (平均粒 子径 200 n m) (無機バインダー焼結物の原料) を秤量した。 そして、 作 製した〇 3 3 八 I 2 (〇!!) と、 秤量した巳 3 (1\1〇 3 2 およびべーマイ ト 微粒子と、 水とを混合してスラリーを作製した。 なお、 水の配合量は、 スラ リー中の水の含有量が 25〜 28質量%となるような配合量にした。 作製し たスラリーを、 ラボプラストミル (小型二軸セグメント押出機、 東洋精機株 式会社製、 型番: 201 5 ) に投入した。 そして、 混合物を 1 0 「 の 回転速度で 30分混練した後、 押し出し成形を行い、 直径 2 および長さ 4 の円柱状の成形体を作製した。

[0088] <焼成物の作製>

卓上電気炉 (日陶科学株式会社製、 型番: 70) を用いて、 得 られた成形体を焼成した。 卓上電気炉に成形体を配置した後、 卓上電気炉の 温度を 5 °〇/分の昇温速度で 600°〇まで昇温し、 600°〇の焼成温度で成 形体を 5時間焼成して、 焼成物 1 を作製した。

[0089] (焼成物 2の作製)

無機バインダー焼結物の含有量が成形焼結体 1 〇〇質量部に対して 1 2.4 質量部になるようにべーマイ ト微粒子を秤量した以外は、 焼成物 1 と同様な 方法で焼成物 2を作製した。

[0090] (焼成物 3の作製) 〇 2020/175519 29 卩(:171? 2020 /007620

無機バインダー焼結物の含有量が成形焼結 体 1 〇〇質量部に対して 1 9.

7質量部になるようにべーマイ ト微粒子を秤量した以外は、 焼成物 1 と同様 な方法で焼成物 3を作製した。

[0091] (焼成物 4の作製)

無機バインダー焼結物の含有量が成形焼結体 1 〇〇質量部に対して 25.

9質量部になるようにべーマイ ト微粒子を秤量した以外は、 焼成物 1 と同様 な方法で焼成物 4を作製した。

[0092] (焼成物 5の作製)

無機バインダーを使用しなかった以外は、 焼成物 1 と同様な方法で焼成物 5を作製した。

[0093] (焼成物 6の作製)

無機バインダー焼結物の含有量が成形焼結体 1 〇〇質量部に対して 37.

7質量部になるようにべーマイ ト微粒子を秤量した以外は、 焼成物 1 と同様 な方法で焼成物 6を作製した。

[0094] (焼成物 7の作製)

無機バインダー焼結物の含有量が成形焼結体 1 〇〇質量部に対して 49.

2質量部になるようにべーマイ ト微粒子を秤量した以外は、 焼成物 1 と同様 な方法で焼成物 7を作製した。

[0095] [成形焼結体の作製]

(実施例 1)

<含浸処理 1 >

1. 569の[¾リ (1\1〇) (1\1〇 3 3 (八 1 干 3八633 「社製、 型番: 01 2 1 75) および 50 !_のエタノール (関東化学株式会社製、 型番: 1 4033-00) を口ータリーエバポレーター (東京理化器械株式会社製 、 型番: N— 1 300 ー ) の回転フラスコに投入して (N0) ( 〇 3 3 をエタノールに溶解させ、 含浸液を作製した。 次いで、 9. 59の焼 成物 1 を回転フラスコ内の含浸液に浸潰させ、 回転フラスコを回転させた。

1 0分かけて回転フラスコ内の圧力が 2〇〜 30 II 3になるまで回転フラ 〇 2020/175519 30 卩(:171? 2020 /007620

スコ内を減圧した。 そして、 回転フラスコを回転させ、 回転フラスコ内圧を 1 5 0 11 に変更し、 減圧しながら回転フラスコの内容物を 4 0 °〇で加熱 し、 焼成物 (N 0) (N 0 3 3 を含浸させた。 エタノールの蒸発が ほぼ終わり、 回転フラスコ内の圧力が 2 5 3になるまで加熱を続け、 回 転フラスコ内の圧力が 2 5 II 3になった時点で含浸の処理 (含浸処理 1) を終了した。

[0096] <含浸処理 2>

次に口ータリーエバポレーターの回転フラス コに 1 0 しのエタノ ルを 投入した。 焼成物 1 に含浸しないで残留している (N 0) (1\1〇 3 3 は このエタノールに溶解し、 回転フラスコ内に含浸液が再び作製された。 回転 フラスコを回転させながら 1 0分かけて回転フラスコ内の圧力が 2〇〜 3 0 II 3になるまで回転フラスコ内を減圧した。 そして、 回転フラスコを回転 させ、 回転フラスコ内を減圧しながら回転フラスコ の内容物を 4 0 °〇で加熱 し、 焼成物 (N 0) (1\1〇 3 3 をさらに含浸させた。 エタノールの 蒸発がほぼ終わり、 回転フラスコ内の圧力が 2 5 II 3になるまで加熱を続 け、 回転フラスコ内の圧力が 2 5 II 3になった時点で含浸の処理 (含浸処 理 2) を終了した。 この含浸処理 2をさらに 2回繰り返した。

[0097] <乾燥処理>

上述の含浸処理 1 を 1回および上述の含浸処理 2を 3回実施した焼成物 1 を、 真空および室温の条件下で 1時間乾燥して、 実施例 1の成形焼結体を作 製した。

[0098] (実施例 2)

焼成物 1の代わりに焼成物 2を使用した以外は、 実施例 1の成形焼結体と 同様な方法で実施例 2の成形焼結体を作製した。

[0099] (実施例 3)

焼成物 1の代わりに焼成物 3を使用した以外は、 実施例 1の成形焼結体と 同様な方法で実施例 3の成形焼結体を作製した。

[0100] (実施例 4) 焼成物 1の代わりに焼成物 4を使用した以外は、 実施例 1の成形焼結体と 同様な方法で実施例 4の成形焼結体を作製した。

[0101 ] (比較例 1)

焼成物 1の代わりに焼成物 5を使用した以外は、 実施例 1の成形焼結体と 同様な方法で比較例 1の成形焼結体を作製した。

[0102] (比較例 2)

焼成物 1の代わりに焼成物 6を使用した以外は、 実施例 1の成形焼結体と 同様な方法で比較例 2の成形焼結体を作製した。

[0103] (比較例 3)

焼成物 1の代わりに焼成物 7を使用した以外は、 実施例 1の成形焼結体と 同様な方法で比較例 3の成形焼結体を作製した。

[0104] 実施例 1〜 4および比較例 1〜 3の成形焼結体における無機バインダー焼 結物の含有量、 ルテニウムの担持量、 遷移金属の分布、 圧壊強度、 粉化率、 比表面積、 嵩密度およびアンモニアの生成速度の結果を 表 1 に示す。

また、 実施例 1〜 4および比較例 1〜 3の成形焼結体におけるアンモニア の生成速度および圧壊強度の関係を図 1 に示す。

さらに、 実施例 1〜 4および比較例 1〜 3の成形焼結体における X線回折 パターンの結果を図 2に示す。

また、 実施例 2 , 3および比較例 2 , 3の成形焼結体断面における蛍光 X 線分光法による線分析の結果および測定距離 に対する I·!の検出強度の結果 をそれぞれ図 4〜 7に示す。

さらに、 実施例 1〜 4および比較例 1〜 3の成形焼結体における細孔分布 の結果を表 2および図 3に示す。

[0105] 〇 2020/175519 32 卩(:171? 2020 /007620

[表 1]

表 1

¾ 比較例 1の成形焼結体は保形成能力が低ぐ圧壊強度 測定は不可能だった。

[0106] [表 2]

表 2

[0107] [評価結果]

以上の実施例および比較例の結果から、 成形焼結体中の無機バインダー焼 結物の含有量を成形焼結体 1 〇〇質量部に対して 3〜 30質量部とし、 窒素 吸着法による細孔径分布測定により得られた 前記成形焼結体の細孔径分布に おいて、 成形焼結体が、 細孔径が 2. 5〜 20 n の範囲および 20〜 35 0 n の範囲にそれぞれ細孔ピークを少なくとも 1つ有するようにすること によって、 触媒活性が高く、 かつ圧壊強度が高い成形焼結体が得られるこ と がわかった。

[0108] なお、 図 1 より、 成形焼結体中の無機バインダー焼結物の含有 量を成形焼 結体 1 00質量部に対して 3質量部以上とすることにより、 固定床方式の反 応器に用いるのに対して十分な圧壊強度を有 する成形焼結体が得られること がわかった。 また、 成形焼結体中の無機バインダー焼結物の含有 量が成形焼 結体 1 00質量部に対して 30質量部を超えると、 圧壊強度は高くなるもの の、 触媒活性が著しく低下することがわかった。

[0109] 図 2より、 実施例 1〜 4および比較例 1の成形焼結体は、 マイエナイ ト型 化合物に帰属される 20 = 1 8. 1 3±0. 50 6 9 、 27. 82±0. 〇 2020/175519 33 卩(:171? 2020 /007620

50 69、 および 34. 40±0. 50 69に回折ピークを有している ことがわかった。 一方、 比較例 2の成形焼結体は、 20= 1 8. 1 3±0.

50 69に解析ピークを有しているものの、 20 = 27. 82±0. 50 6 9 、 および 34. 40±0. 50 69には回折ピークを有していない ことがわかった。 また、 比較例 3の成形焼結体は、 20= 1 8. 1 3±0. 50 69、 27. 82±0. 50 69、 および 34. 40±0. 50 には、 回折ピークを有していないことがわかった。 これらの結果と、 実 施例 1〜 4および比較例 1の成形焼結体の触媒活性が高いこととから マイ エナイ ト型化合物に帰属される 20 = 1 8. 1 3±0. 50 6 9 、 27. 82±0. 50 69、 および 34. 40±0. 50 6 に回折ピークを 有していると触媒活性が高いことがわかった 。

[0110] 図 3より、 実施例 1〜 4および比較例 2 , 3の成形焼結体は 2. 5〜 20 の範囲および 20〜 3501^ 111の範囲にそれぞれ細孔ピークを有するこ とがわかった。 これらの結果と、 実施例 1〜 4および比較例 2 , 3の成形焼 結体が固定床方式の反応器に用いるのに対し て十分な圧壊強度を有している ことから、 成形焼結体は、 2. 5〜 20 n の範囲および 20〜 350门 の範囲にそれぞれ細孔ピークを少なくとも 1つ有していると、 固定床方式の 反応器に用いるのに対して十分な圧壊強度を 有することがわかった。

[0111] 図 4より、 実施例 2の成形焼結体では、 ルテニウムが成形焼結体の中心ま で分布していることがわかった。 また、 図 5より、 実施例 3の成形焼結体は 、 ルテニウムが成形焼結体の深さ方向に深く分 布していることがわかった。 図示しないが、 実施例 1および実施例 4の成形焼結体についてもルテニウム が成形焼結体の深さ方向に深く分布している ことがわかった。 一方、 図 6よ り、 比較例 2の成形焼結体では、 ルテニウムは成形焼結体の表面付近に分布 しており、 深くまでは分布していないがわかった。 また、 図 7より、 比較例 3の成形焼結体では、 ルテニウムは検出されず、 成形焼結体の内部に分布し ていないことがわかった。 これらの結果と、 図 1の結果とから、 成形焼結体 中の無機バインダー焼結物の含有量が触媒 1 〇〇質量部に対して 30質量部 \¥0 2020/175519 34 卩(:17 2020 /007620 を超えると、 ルテニウムが成形焼結体に深く分布できなく なり、 このため、 触媒活性が著しく低下したものと推察される 。