Login| Sign Up| Help| Contact|

Patent Searching and Data


Title:
MONOFLUOROPHOSPHORYLATED POLYMERIC COMPOUND
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054492
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a monofluorophosphorylated polymeric compound produced by substituting each of a part or all of hydrogen atoms in hydroxy groups in a polymeric compound selected from the group consisting of the compounds (A) and (B) mentioned below by a monofluorophosphate group: (A) a (co)polymer having an acrylamide derivative having a hydroxy group as a constituent unit; and (B) a polysaccharide. The monofluorophosphorylated polymeric compound contains a large number of fluorine atoms in its molecule, and therefore can slowly release and accumulate fluorine in an oral cavity when applied to the oral cavity. Further, the monofluorophosphorylated polymeric compound has excellent stability against hydrolysis.

Inventors:
OGUMA TOMOKAZU (JP)
SUGIYAMA TAKASHI (JP)
TOKI IKUKO (JP)
KOIDE MICHIKO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/069328
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
October 24, 2008
Export Citation:
Click for automatic bibliography generation   Help
Assignee:
LION CORP (JP)
OGUMA TOMOKAZU (JP)
SUGIYAMA TAKASHI (JP)
TOKI IKUKO (JP)
KOIDE MICHIKO (JP)
International Classes:
C08F8/40; C08B5/00; C08B31/06; C08F20/58; A61K8/73; A61K8/81; A61Q11/00
Domestic Patent References:
WO2007125980A12007-11-08
Foreign References:
US3882600A1975-05-13
JPH1161032A1999-03-05
JPS60166363A1985-08-29
JPS59129278A1984-07-25
JPH04348101A1992-12-03
JPH1180201A1999-03-26
Attorney, Agent or Firm:
KOJIMA, Takashi (16-12 Ginza 2-chome, Chuo-k, Tokyo 61, JP)
Download PDF:
Claims:
 下記(A)及び(B)からなる群から選ばれる高分子化合物中における水酸基の水素原子の一部又は全部が、モノフルオロリン酸基で置換されたモノフルオロリン酸化高分子化合物。
(A)水酸基を有するアクリルアミド誘導体を構成単位として含む(共)重合体
(B)多糖類
 上記(A)の水酸基を有するアクリルアミド誘導体が、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N-(ポリエチレングリコール)(メタ)アクリルアミド及びN-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクリルアミドから選ばれるアクリルアミド誘導体である請求項1記載のモノフルオロリン酸化高分子化合物。
 上記(A)が、水酸基を有するアクリルアミド誘導体と、カチオン性モノマー及び/又は疎水性非イオンモノマーとを構成単位として含む共重合体である請求項1又は2記載のモノフルオロリン酸化高分子化合物。
 モノフルオロリン酸化高分子化合物が、モノフルオロリン酸基を有するモノマーと、カチオン性モノマー及び/又は疎水性非イオンモノマーとを構成単位として含む共重合体である請求項3記載のモノフルオロリン酸化高分子化合物。
 モノフルオロリン酸化高分子化合物中におけるカチオン性モノマーの割合が65質量%以下である請求項3又は4記載のモノフルオロリン酸化高分子化合物。
 カチオン性モノマーが、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド)、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル等及びこれらのアンモニウム4級化物から選ばれるモノマーである請求項3~5のいずれか1項記載のモノフルオロリン酸化高分子化合物。
 モノフルオロリン酸化高分子化合物中における疎水性非イオンモノマーの割合が40質量%以下である請求項3~6のいずれか1項記載のモノフルオロリン酸化高分子化合物。
 疎水性非イオンモノマーが、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル及びスチレンから選ばれるモノマーである請求項3~7のいずれか1項記載のモノフルオロリン酸化高分子化合物。
 モノフルオロリン酸化高分子化合物が、モノフルオロリン酸基を有するモノマー10~30質量%、水酸基を有するアクリルアミド誘導体15~45質量%、カチオン性モノマー20~40質量%、及び疎水性非イオンモノマー10~35質量%を構成単位として含む共重合体である請求項3~8のいずれか1項記載のモノフルオロリン酸化高分子化合物。
 上記(B)が、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、セルロース、カチオン化セルロース、ヒドロキシデンプン又はヒドロキシプロピルデンプンである請求項1記載のモノフルオロリン酸化高分子化合物。
Description:
モノフルオロリン酸化高分子化 物

 本発明は、モノフルオロリン酸化高分子 合物に関するものである。

 従来から、口腔の疾患の一つであるう蝕 防を目的に、フッ素化合物配合歯磨剤の使 が日常のセルフケア行動として推奨されて る。フッ素化合物のう蝕予防機構は、初期 虫歯部位を再石灰化により修復し、元の健 な歯質に回復させることである。

 これらのフッ素化合物の効果をさらに発 するために、フッ素を口腔内で徐放させる 術が求められていた。このような技術とし は、カチオン性高分子化合物のフッ化物を 合し、う蝕予防効果を高める技術(例えば、 特許文献1:特開平3-5417号公報)、フッ素化合物 とカチオン化セルロースに特定の香料成分を 配合することで、フッ素化合物の口腔内滞留 性、歯磨剤の使用感、安定性を向上させる技 術(例えば、特許文献2:特開2001-163743号公報)が 提案されている。しかしながら、これらの技 術では、徐放性が不十分であった。また、歯 磨等の水系製剤に配合した場合の、水分によ る分解抑制の点から、加水分解に対して安定 性を有することが求められていた。

特開平3-5417号公報

特開2001-163743号公報

 本発明は上記事情に鑑みなされたもので フッ素を分子中に多く有し、口腔内に適用 ることにより、フッ素を口腔内で徐放させ ことができ、加水分解安定性に優れるモノ ルオロリン酸化高分子化合物を提供するこ を目的とする。

 本発明者らは、上記目的を達成するため 意検討した結果、(A)水酸基を有するアクリ アミド誘導体を構成単位として含有する(共 )重合体又は(B)多糖類をモノフルオロリン酸 して得られる高分子化合物を口腔内に適用 ることにより、口腔内に存在する酵素の酵 反応によってフッ素が放出・徐放されると に、高分子化合物の側鎖が加水分解するこ に対して安定であること、また口腔内へ付 性があり、この付着性によりフッ素を滞留 せることができることを知見し、本発明を すに至ったものである。

 従って、本発明は下記モノフルオロリン酸 高分子化合物を提供する。
[1].下記(A)及び(B)からなる群から選ばれる高 子化合物中における水酸基の水素原子の一 又は全部が、モノフルオロリン酸基で置換 れたモノフルオロリン酸化高分子化合物。
(A)水酸基を有するアクリルアミド誘導体を構 成単位として含む(共)重合体
(B)多糖類
[2].上記(A)の水酸基を有するアクリルアミド 導体が、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリ ルアミド、N-(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリ ルアミド、N-(ポリエチレングリコール)(メタ) アクリルアミド及びN-[トリス(ヒドロキシメ ル)メチル]アクリルアミドから選ばれるアク リルアミド誘導体である[1]記載のモノフルオ ロリン酸化高分子化合物。
[3].上記(A)が、水酸基を有するアクリルアミ 誘導体と、カチオン性モノマー及び/又は疎 性非イオンモノマーとを構成単位として含 共重合体である[1]又は[2]記載のモノフルオ リン酸化高分子化合物。
[4].モノフルオロリン酸化高分子化合物が、 ノフルオロリン酸基を有するモノマーと、 チオン性モノマー及び/又は疎水性非イオン ノマーとを構成単位として含む共重合体で る[3]記載のモノフルオロリン酸化高分子化 物。
[5].モノフルオロリン酸化高分子化合物中に けるカチオン性モノマーの割合が65質量%以 である[3]又は[4]記載のモノフルオロリン酸 高分子化合物。
[6].カチオン性モノマーが、N,N-ジメチル(メタ )アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピ (メタ)アクリルアミド)、(メタ)アクリル酸N, N-ジメチルアミノエチル等及びこれらのアン ニウム4級化物から選ばれるモノマーである [3]~[5]のいずれかに記載のモノフルオロリン 化高分子化合物。
[7].モノフルオロリン酸化高分子化合物中に ける疎水性非イオンモノマーの割合が40質量 %以下である[3]~[6]のいずれかに記載のモノフ オロリン酸化高分子化合物。
[8].疎水性非イオンモノマーが、(メタ)アクリ ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ )アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチ ル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アク ル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘ シル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)ア クリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ステア ル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メ )アクリル酸ベンジル及びスチレンから選ば れるモノマーである[3]~[7]のいずれかに記載 モノフルオロリン酸化高分子化合物。
[9].モノフルオロリン酸化高分子化合物が、 ノフルオロリン酸基を有するモノマー10~30質 量%、水酸基を有するアクリルアミド誘導体15 ~45質量%、カチオン性モノマー20~40質量%、及 疎水性非イオンモノマー10~35質量%を構成単 として含む共重合体である[3]~[8]のいずれか 記載のモノフルオロリン酸化高分子化合物
[10].上記(B)が、ヒドロキシプロピルセルロー 、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、 ドロキシエチルセルロース、メチルセルロ ス、エチルセルロース、セルロース、カチ ン化セルロース、ヒドロキシデンプン又は ドロキシプロピルデンプンである[1]記載の ノフルオロリン酸化高分子化合物。
 なお、「(共)重合体」とは、単独重合体(ホ ポリマー)又は共重合体を示す。

 本発明のモノフルオロリン酸化高分子化 物によれば、フッ素を分子中に多く有し、 腔内に適用することにより、口腔内フッ素 放出・徐放することができると共に、加水 解に対する安定を図ることができる。

調製例1で得られたN-(2-ヒドロキシエチル)ア リルアミド重合体の 1 H-NMRスペクトルチャートである。 実施例1で得られた高分子化合物の 1 H-NMRスペクトルチャートである。

 本発明のモノフルオロリン酸化高分子化合 は、(A)水酸基を有するアクリルアミド誘導 を構成単位として含有する(共)重合体又は(B )多糖類中における水酸基の水素原子の一部 は全部が、モノフルオロリン酸基で置換さ 、(A)(共)重合体又は(B)多糖類にモノフルオロ リン酸基が導入され、モノフルオロリン酸化 されたものである。モノフルオロリン酸は酸 型、中和型、部分中和型のいずれでもよい。 具体的には、下記式(1)
(式中、Mは水素原子、アルカリ金属、アンモ ウム、モノエタノールアミン、ジエタノー アミン、トリエタノールアミン又はトリエ ルアミンを示す。)
で表されるモノフルオロリン酸基で置換され 、これを分子中に有する高分子化合物をいう 。上記(A)(共)重合体及び(B)の多糖類をモノフ オロリン酸化することによって得ることが きる。このように、共有結合を介してモノ ルオロリン酸基を有するため、例えば、単 高分子化合物とモノフルオロリン酸とが、 オン結合で結合していると、容易にモノフ オロリン酸イオンが容易に脱離してしまい フッ素イオンの徐放性効果が不十分となる

(A)水酸基を有するアクリルアミド誘導体を構 成単位として含有する(共)重合体
 水酸基を有するアクリルアミド誘導体とし は、分子中に、ビニル基、-C(=O)-NH-基と、水 酸基を有するものであれば特に限定されず、 1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用 ることができる。具体的には、N-(2-ヒドロ シエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(ヒドロ シメチル)(メタ)アクリルアミド、N-(ポリエ レングリコール)(メタ)アクリルアミド、N-(2, 2-ジメトキシ-1-ヒドロキシエチル)(メタ)アク ルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ) クリルアミド、N-[トリス(ヒドロキシメチル) メチル](メタ)アクリルアミド、N,N’-ジヒド キシエチレン-ビス(メタ)アクリルアミド等 挙げられる。ここで、N-(ポリエチレングリ ール)(メタ)アクリルアミドとしては、N-(ジ チレングリコール)(メタ)アクリルアミド、N- (トリエチレングリコール)(メタ)アクリルア ド、N-(テトラエチレングリコール)(メタ)ア リルアミド等が挙げられる。

 水酸基を有するアクリルアミド誘導体とし は、下記一般式(2)で表されるものが好まし 。
(式中、R 1 は水素原子又はメチル基、R 2 は炭素数1~6の2価炭化水素基、ポリエチレン キサイド基(エチレンオキサイド基の繰り返 数:1~5)、ポリプロピレンオキサイド基(プロ レンオキサイド基の繰り返し数:1~5)、ポリ チレンオキサイド基(エチレンオキサイド基 繰り返し数:1~5)及びポリプロピレンオキサ ド基(プロピレンオキサイド基の繰り返し数: 1~5)を含むポリアルキレンオキサイド又はジ トキシエチル基である。)

 上記一般式(2)で表されるものとしては、N -(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド N-(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド N-(ポリエチレングリコール)(メタ)アクリル ミド、N-(2,2-ジメトキシ-1-ヒドロキシエチル) (メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロ ル)(メタ)アクリルアミド、N-(ジエチレング コール)(メタ)アクリルアミド、N-(トリエチ ングリコール)(メタ)アクリルアミド、N-(テ ラエチレングリコール)(メタ)アクリルアミ 等のN-(ポリエチレングリコール)(メタ)アク ルアミド等が挙げられる。

 また、好ましい例としては、N-[トリス(ヒ ドロキシメチル)メチル](メタ)アクリルアミ 、N,N’-ジヒドロキシエチレン-ビス(メタ)ア リルアミド)メチル](メタ)アクリルアミド、 N,N’-ジヒドロキシエチレン-ビス(メタ)アク ルアミド等が挙げられる。

 好ましい例の中でも、N-(2-ヒドロキシエ ル)(メタ)アクリルアミド、N-(ヒドロキシメ ル)(メタ)アクリルアミド、N-(ジエチレング コール)(メタ)アクリルアミド及びN-[トリス( ドロキシメチル)メチル]アクリルアミドが に好ましく、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)ア クリルアミドが最も好ましい。なお、本発明 において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリ 酸とメタクリル酸の一方又は両方を示し、 (メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミ とメタクリルアミドの一方又は両方を示す

 水酸基を有するアクリルアミド誘導体を 成単位として含有する(共)重合体の全モノ ーからなる構成単位に対する、水酸基を有 るアクリルアミド誘導体の割合は、所望す モノフルオロリン酸構造を有する構成単位 割合により適宜選定されるが、5質量%以上が 好ましく、より好ましくは10~90質量%、さらに 好ましくは35~50質量%である。上限はこのモノ マー以外の構成単位の割合に応じて適宜選択 される。

 水酸基を有するアクリルアミド誘導体以 のモノマーとしては、任意のものを用いる とができる。例えば、粘膜への吸着性を向 させるためのイオン性モノマー、水溶性を 上させるための親水性(水溶性)非イオンモ マー、滞留性を向上させるための疎水性非 オンモノマー等が挙げられる。なお、上記(A )水酸基を有するアクリルアミド誘導体は除 れる。

 イオン性モノマーとしては、カチオン性 ノマーや、アニオン性モノマー、両性モノ ーが挙げられる。カチオン性モノマーとし は、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ アミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ) クリルアミド、N,N-ジエチルアミノプロピル (メタ)アクリルアミド、ジアルキルアミノア キル(メタ)アクリルアミド等のジアルキル ミノアルキル(メタ)アクリルアミド(ジアル ル(炭素数1~3)アミノアルキル(炭素数1~3)(メタ )アクリルアミド、(メタ)アクリル酸N,N-ジメ ルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジエ ルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジプ ピルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸ジア ルキルアミノアルキル((メタ)アクリル酸ジア ルキル(炭素数1~3)アミノアルキル(炭素数1~3) N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメ ルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、 はこれらのアンモニウム4級化物等が挙げら る。また、アンモニウム4級化物として、具 体的には、トリメチルアンモニウムクロライ ド、エチルジメチルクロライド等が挙げられ る。この中でも、ジアルキルアミノアルキル (メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジ ルキルアミノアルキル、及びこれらのアン ニウム4級化物が好ましく、ジアルキルアミ アルキル(メタ)アクリルアミド及びそのア モニウム4級化物がより好ましく、N,N-ジメチ ルアミノプロピルアクリルアミド メチルク ライドがさらに好ましい。

 アニオン性モノマーとしては、アシッド スホオキシエチル(メタ)アクリレート、3-ク ロロ-2-アシッドホスホオキシプロピル(メタ) クリレート、アシッドホスホオキシポリオ シエチレングリコールモノ(メタ)アクリレ ト等のリン酸基を有するモノマー、(メタ)ア クリル酸、マレイン酸等のカルボン酸基を有 するモノマー、2-アクリルアミド-2-メチルプ パンスルホン酸等のスルホン酸基を有する ノマーが挙げられる。

 両性モノマーとしては、3-ジメチル((メタ )アクリロイルオキシエチル)アンモニウムエ ンホスフェート等のリン酸基を有するモノ ー、3-ジメチル(メタクリロイルオキシエチ )アンモニウムエタンカルボキシレート等の カルボン酸基を有するモノマー、3-ジメチル( メタクリロイルオキシエチル)アンモニウム ロパンスルホネート等のスルホン酸基を有 るモノマー等が挙げられる。

 モノフルオロリン化高分子化合物の全モ マーからなる構成単位に対する、イオン性 ノマーからなる構成単位の割合の下限は0質 量%でもよく、上限は50質量%でもよい。好ま くは0.5~30質量%であり、より好ましくは1~20質 量%である。50質量%を超えると、フッ素含有 の低下をもたらすおそれがある。

 親水性非イオンモノマーとしては、(メタ )アクリル酸メトキシポリエチレングリコー (p=2~50;EO(エチレンオキサイド)付加モル数が2~ 50個)等が挙げられる。モノフルオロリン化高 分子化合物の全モノマーからなる構成単位に 対する、水溶性モノマーからなる構成単位の 割合の下限は0質量%でもよく、0.5~50質量%が好 ましく、さらに好ましくは1~30質量%である。5 0質量%を超えると、フッ素含有率の低下をも らすおそれがある。

 疎水性非イオンモノマーとしては、(メタ )アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル 、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリ 酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メ )アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エ チルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、( メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸 ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシ 、(メタ)アクリル酸ベンジル、スチレン等 挙げられる。この中でも、(メタ)アクリル酸 ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシ 、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリ 酸オクチル、(メタ)アクリル酸ステアリル が好ましく、(メタ)アクリル酸ラウリル、( タ)アクリル酸ステアリルがより好ましい。 だし、疎水性非イオンモノマーはモノフル ロリン酸構造を有する高分子化合物の水溶 を損ねない程度の比率で共重合させるのが ましい。モノフルオロリン化高分子化合物 全モノマーからなる構成単位に対する、疎 性非イオンモノマーからなる構成単位の割 の下限は0質量%でもよく、0.05~50質量%が好ま しく、より好ましくは0.1~40質量%であり、5~40 量%がさらに好ましい。50質量%を超えると、 フッ素導入率の低下と溶解性の低下をもたら すおそれがある。

(B)多糖類
 多糖類は水酸基を有する高分子化合物であ 、具体的には、デンプン、ヒドロキシメチ デンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒ ロキシプロピルデンプン、グリコーゲン、 ヌリン、リケニン、ヘミセルロース、アミ ペクチン、ヘパリン、ヘパリチン硫酸、コ ドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ケラト硫 、キチン、キトサン、寒天、カラギーナン アルギン酸、ファーセレラン、ローカスト ーンガム、ガラクトマンナン、グアガム、 イリュウガム、タマリンドガム、アラビア ム、トラガカントガム、カラヤガム、ペク ン、アラビノガラクタン、キサンタンガム ジェランガム、プルラン、デキストラン、 ルロース、ヒドロキシエチルセルロース、 ドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ ロピルメチルセルロース、カルボキシメチ セルロース、メチルセルロース、エチルセ ロース、カチオン化セルロース等が挙げら る。これらの中でも、デンプン、ヒドロキ メチルデンプン、ヒドロキシエチルデンプ 、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキ デンプン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロ 酸、キチン、キトサン、カラギーナン、ア ギン酸、グアガム、タマリンドガム、キサ タンガム、デキストラン、セルロース、ヒ ロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロ ルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル ルロース、カルボキシメチルセルロース、 チルセルロース、エチルセルロース、カチ ン化セルロースが好ましく、ヒドロキシプ ピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ セルロース、ヒドロキシエチルセルロース メチルセルロース、エチルセルロース、セ ロース、カチオン化セルロース、ヒドロキ デンプン又はヒドロキシプロピルデンプン より好ましく、ヒドロキシプロピルセルロ ス、ヒドロキシエチルセルロース、カチオ 化セルロースがさらに好ましい。尚、ヒド キシプロピルセルロースは低置換度のもの もよい。なお、フッ素滞留性の点からは、 チオン化セルロースが特に好ましい。この でも、カチオン化度0.1~2.5質量%のものが好 しく、0.4~2.0質量%のものがより好ましい。本 発明におけるカチオン化度とは、カチオン化 セルロース成分のグルコース環単位当たりの 窒素原子の割合(質量%)を意味する。

 モノフルオロリン酸化高分子化合物は、下 工程により調製することができる。
(i)モノフルオロリン酸化前の(A)(共)重合体又 (B)多糖類を調製する。
(ii)(i)の(A)(共)重合体又は(B)多糖類をモノフル オロリン酸化する。
 この場合、モノフルオロリン酸化高分子化 物と、他の低分子共存物との分離を、透析 により容易にできる点で好ましい。

 (i)モノフルオロリン酸化前の(A)(共)重合 又は(B)多糖類の調製は、市販のものを用い もよく、(A)(共)重合体は、水酸基を有するア クリルアミド誘導体又は水酸基を有するアク リルアミド誘導体と、上記これ以外のモノマ ーを含むモノマーを(共)重合してもよい。

 モノマーを重合させる重合方法は、特に 定されるものではなく、溶液重合法、乳化 合法、懸濁重合法、固相重合法等が用いら る。溶液重合法によって重合する場合、溶 としては、例えば水、メタノール、エタノ ル、イソプロピルアルコール等の低級アル ール、ベンゼン、トルエン、キシレン、シ ロヘキサン、ヘキサン、テトラヒドロフラ 等の芳香族、脂肪族又は複素環式化合物、 酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン の各種有機溶剤が使用できる。重合濃度は に制限されないが、通常溶媒中のモノマー 計濃度が10~50質量%で重合するのがよい。な 、共重合はランダム共重合であってもブロ ク共重合であってもよい。

 モノマー重合の際に用いる重合開始剤と ては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸 トリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、 ンゾイルパーオキサイド、ラウロリルパー キサイド等のパーオキサイド、クメンハイ ロパーオキサイド、ハイドロパーオキサイ 等のハイドロパーオキサイド、アゾビスイ ブチロニトリル等のアゾ化合物等が挙げら る。重合開始剤濃度は、通常、使用するモ マー合計量に対して0.1~10モル%が好ましい。 さらに、分子量を規制するためにアルキルメ ルカプタンのような連鎖移動剤、ルイス酸化 合物等の重合促進剤、リン酸、クエン酸、酒 石酸、乳酸等のpH調整剤を使用してもよい。 合温度は、用いられる溶媒、重合開始剤に り適宜定められるが、通常、室温(25℃)~150 がよい。重合時間は、1~10時間である。なお 本発明の高分子化合物は、使用する開始剤 量、重合溶媒の種類、重合時のモノマー濃 等の重合条件を調整することで、分子量を 御することができる。なお、モノフルオロ ン酸構造を、共有結合を介して有するモノ ーを重合させる場合も同様の重合方法によ て得ることができる。

(ii)(i)の(A)(共)重合体又は(B)多糖類をモノフル オロリン酸化する。
 (A)(共)重合体又は(B)多糖類をモノフルオロ ン酸化する方法としては、特に限定されな が、(A)(共)重合体又は(B)多糖類と、ジフルオ ロリン酸又はその塩とを反応させる方法が挙 げられる。モノフルオロリン酸構造を有する モノマーを重合させる方法では、重合反応中 にモノフルオロリン酸が加水分解を受けて脱 離するおそれがあるため、モノフルオロリン 酸の導入量を高くさせるためには、(A)(共)重 体又は(B)多糖類と、ジフルオロリン酸又は の塩とを反応させる方法が好ましい。

 (A)(共)重合体又は(B)多糖類と、ジフルオ リン酸又はその塩とを反応させることによ 、(A)(共)重合体又は(B)多糖類中の水酸基の水 素原子の一部又は全部が、上記モノフルオロ リン酸基で置換され、(A)(共)重合体又は(B)多 類にモノフルオロリン酸基が導入され、モ フルオロリン酸化される。

 (A)(共)重合体又は(B)多糖類と、ジフルオ リン酸又はその塩とを反応させるにあたり 上記高分子化合物から、水、エタノール等 プロトン供与性溶剤を除去することが望ま い。十分に除去されない場合、ジフルオロ ン酸が加水分解を受けて、上記高分子化合 と効果的に反応できなくなる。プロトン供 性溶剤の除去の方法としては、減圧下又は 空下へ放置することによる除去、シリカゲ 、モレキュラーシーブ等の乾燥剤、脱水剤 用いた除去等が挙げられる。また、反応の 一性、操作の安全性の点から、上記(A)(共)重 合体又は(B)多糖類を各種非プロトン性溶媒に 溶解する場合は、溶解させて反応させること が好ましい。非プロトン性溶媒としては、ジ エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4- オキサン等のエーテル類、酢酸エチル等の ステル類、ジメチルスルホキシド、アセト トリル、アセトン等が挙げられ、この中で ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1, 4-ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル等 エステル類、ジメチルスルホキシド、アセ ニトリルが好ましい。また、上記非プロト 性溶媒に混入している、水、エタノール等 プロトン供与性溶剤を除去することが望ま い。

 (A)(共)重合体又は(B)多糖類と、ジフルオ リン酸又はその塩との反応は、外界からの 、エタノール等のプロトン供与性溶剤の混 を防止するため、窒素又はアルゴン等不活 雰囲気下で行うことが好ましい。また、水 基とジフルオロリン酸との反応は発熱を伴 ため、反応温度-20~50℃、好適には-10~40℃で ジフルオロリン酸と高分子化合物溶液のい れか、又は両方を徐々に滴下しながら混合 ることが好ましい。高分子化合物溶解液と (B)ジフルオロリン酸又はその塩とを混合し 得られた反応液中のジフルオロリン酸の割 は、30~95質量%が好ましく、より好ましくは35 ~90質量%である。この範囲とすることで、反 液中のジフルオロリン酸濃度増大による、 ノフルオロリン酸構造を有する高分子化合 中のフッ素含有率の向上をより図ることが きる。高分子化合物中の水酸基と、ジフル ロリン酸又はその塩とのモル比率は、目的 する高分子化合物中のモノフルオロリン酸 造の割合に応じて適宜変更できるが、水酸 :ジフルオロリン酸又はその塩(モル比)=1:1~10 好ましく、より好ましくは1:1~3である。

 なお、(A)(共)重合体又は(B)多糖類を、ジ チルスルホキシド、リン酸トリメチル、リ 酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン トリブチル及びリン酸トリフェニルから選 れる1種又は2種以上の溶媒からなる非プロト ン性溶媒に溶解させて反応させる場合、水酸 基に対するジフルオロリン酸又はその塩(モ 比)を5以上とすることが好ましく、より好ま しくは7~100、さらに好ましくは11~60である。 た、水酸基とジフルオロリン酸との反応温 は、特にジメチルスルホキシド等、融点が0 以上の溶媒の場合は、融点以上の反応温度 することが好ましく、ジメチルスルホキシ の場合、具体的には20~50℃、好適には25~40℃ である。反応時間は1~72時間が好ましい。

 反応物には、未反応のジフルオロリン酸 残存しているため、減圧乾燥によって除く 又は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等 塩基性水溶液等の添加によってモノフルオ リン酸塩へと反応させることが好ましい。 た、反応液は、ろ過しても、ろ過しなくて よいが、微量不溶分を除去するためにろ過 ることは好ましい。ろ過を行う手順は、モ フルオロリン酸化高分子化合物を、透析後 ろ過した後に中和してもよいし、透析し中 した後にろ過してもよい。

 本発明のモノフルオロリン酸化高分子化 物は、(A)(共)重合体又は(B)多糖類中におけ 水酸基の水素原子の一部又は全部が、上記 ノフルオロリン酸基で置換され、(A)(共)重合 体又は(B)多糖類にモノフルオロリン酸基が導 入され、モノフルオロリン酸化されたもので ある。例えば、(A)(共)重合体の場合、水酸基 有するアクリルアミド誘導体の水酸基の水 原子の一部又は全部が、上記モノフルオロ ン酸基で置換され、(2)の構成単位を有する 合は、下記式(3)のようにモノフルオロリン 基で置換される。

(式中、R 1 、R 2 及びMは上記と同じ。)

 (A)(共)重合体又は(B)多糖類中における水 基の水素原子の一部又は全部が、上記モノ ルオロリン酸基で置換されたモノフルオロ ン酸化高分子化合物の場合、全構成単位に するモノフルオロリン酸基(構造)を有する構 成単位の割合は、5質量%以上が好ましく、よ 好ましくは5~50質量%、さらに好ましくは10~30 質量%である。上限は100質量%であってもよく このモノマー以外の構成単位の割合に応じ 適宜選択され、例えば、上限は95質量%、80 量%等に適宜選択される。

 (A)(共)重合体の場合、得られるモノフル ロリン酸化高分子化合物中の各構成単位の 合は、モノフルオロリン酸化に用いる(A)(共) 重合体中の各構成単位の割合により調整する ことができる。例えば、(A)(共)重合体は、水 基を有するアクリルアミド誘導体5~100質量% 好適には30~95質量%、カチオン性モノマー0~95 質量%、好適には0~65質量%、及び疎水性非イオ ンモノマー0~95質量%、好適には0~40質量%を構 単位として含む(共)重合体を用いることがで きる。なお、上記範囲はアクリルアミド誘導 体の重合体(ホモポリマー)を含む範囲を含む のであり、その構成単位の割合は、上記及 下記の範囲から適宜選ばれる。本発明にお るモノフルオロリン酸化高分子化合物は、 えば、モノフルオロリン酸基を有するモノ ー5~100質量%、水酸基を有するアクリルアミ 誘導体0~95質量%、カチオン性モノマー0~65質 %、及び疎水性非イオンモノマー0~40質量%を 成単位として含む(共)重合体と表すことが きる。

 この中でも、口腔内におけるフッ素滞留 をより向上させる点から、(A)(共)重合体と て、水酸基を有するアクリルアミド誘導体 、カチオン性モノマー及び/又は疎水性非イ ンモノマーとを構成単位として含む共重合 を用いて、モノフルオロリン酸基を有する ノマーと、カチオン性モノマー及び/又は疎 水性非イオンモノマーとを構成単位として含 む共重合体であるモノフルオロリン酸化高分 子化合物とするとよい。また、滞留性をさら に向上させる点から、カチオン性モノマー及 び疎水性非イオンモノマーとを併用し、(A)( )重合体として、水酸基を有するアクリルア ド誘導体と、カチオン性モノマーと、疎水 非イオンモノマーとを構成単位として含む 重合体を用いて、モノフルオロリン酸基を するモノマーと、カチオン性モノマーと、 水性非イオンモノマーとを構成単位として む共重合体であるモノフルオロリン酸化高 子化合物とするとよい。

 モノフルオロリン酸化高分子化合物は、 要に応じて水酸基を有するアクリルアミド 導体を構成単位として含む共重合体であっ もよい。なお、「必要に応じて」とは、水 基を有するアクリルアミド誘導体の全てが 酸基の水素原子がモノフルオロリン酸基に 換された場合と、一部が置換された場合を むものである。モノフルオロリン酸基を有 るモノマーには、水酸基の水素原子がモノ ルオロリン酸基に置換されたアクリルアミ 誘導体、これ以外のモノフルオロリン酸基 有するモノマーが含まれる。

 (A)共重合体及びモノフルオロリン酸化高 子化合物におけるカチオン性モノマーの割 は、フッ素導入率の低下を防止する点から6 5質量%以下が好ましく、滞留性をさらに向上 せる点から10~65質量%がより好ましく、20~40 量%がさらに好ましく、25~35質量%が特に好ま い。また、(A)(共)重合体及びモノフルオロ ン酸化高分子化合物における疎水性非イオ モノマーの割合は、モノフルオロリン酸化 分子化合物の溶解性の低下を防止する点か 、40質量%以下が好ましく、滞留性を向上さ る点から、5~40質量%がより好ましく、10~35質 %がさらに好ましく、15~30質量%が特に好まし い。疎水性非イオンモノマーの割合が40質量% を超えると、溶解性の低下をもたらすおそれ がある。但し、(A)共重合体及びモノフルオロ リン酸化高分子化合物が、カチオン性モノマ ー及び/又は疎水性非イオンモノマーとを構 単位として含む共重合体の場合、カチオン モノマー及び疎水性非イオンモノマーの割 が同時に0となることはない。

 (A)共重合体が、水酸基を有するアクリル ミド誘導体と、カチオン性モノマー及び/又 は疎水性非イオンモノマーとを構成単位とし て含む共重合体の場合、(A)共重合体中におけ る水酸基を有するアクリルアミド誘導体の割 合は、口腔内におけるフッ素滞留性向上、フ ッ素導入率の低下防止、及びモノフルオロリ ン酸化高分子化合物の溶解性の低下防止等の 総合的観点から、30~95質量%が好ましく、30~60 量%がより好ましく、35~50質量%がさらに好ま しい。

 また、口腔内におけるフッ素滞留性向上、 ッ素導入率の低下防止、及びモノフルオロ ン酸化高分子化合物の溶解性の低下防止等 総合的観点から、モノフルオロリン酸化高 子化合物は、モノフルオロリン酸基を有す モノマー、水酸基を有するアクリルアミド 導体、カチオン性モノマー及び疎水性非イ ンモノマーを下記割合で含む共重合体が好 しい。
モノフルオロリン酸基を有するモノマー5~50 量%、好適には10~30質量%、より好適には12~29 量%、
水酸基を有するアクリルアミド誘導体0~77質 %、より好適には10~70質量%、さらに好適には0 ~60質量%、特に好適には15~45質量%、最も好適 は19~35質量%。
カチオン性モノマー10~65質量%、好適には20~40 量%、より好適には25~35質量%
疎水性非イオンモノマー5~40質量%、好適には1 0~35質量%、より好適には15~30質量%
 なお、水酸基を有するアクリルアミド誘導 0質量%の場合とは、水酸基を有するアクリ アミド誘導体の全てが水酸基の水素原子が ノフルオロリン酸基に置換された場合をい 。

 モノフルオロリン酸化高分子化合物のフ 素導入率(質量%)は、0.1~15質量%が好ましく、 より好ましくは0.5~5質量%である。0.1質量%未 の場合、十分なフッ素放出量が得られない 合がある。モノフルオロリン酸化高分子化 物の導入率は、反応溶媒の種類、ジフルオ リン酸の量、反応時間、反応温度を選定す ことで、適宜調整することができる。なお 本発明におけるフッ素導入率(質量%)は、下 測定方法による。

<フッ素導入率>
 高分子化合物0.1質量%水溶液1.6gに、1mol/L過 素酸水溶液2.4gを添加し、密封したPE製蓋付 ューブ中に入れて、105℃で10分加熱する。そ の後、液0.4gを採取し、1.6gの1mol/Lクエン酸カ ウム緩衝液(pH5.5)と混合した後、フッ素電極 計によりフッ素量:X p (ppm)を定量する。高分子化合物全質量に対す フッ素の質量濃度(フッ素導入率:F(質量%))を 、以下の式により算出する。
F=[Xp(ppm)×(0.4+1.6)/0.4×(1.6+2.4)/1.6/10000](Fの質量%) /0.1(モノフルオロリン酸化高分子化合物の質 %)×100
 =Xp×1.25
 より具体的には、実施例の「フッ素導入率 測定方法による。

 本発明におけるモノフルオロリン酸化高 子化合物の重量平均分子量(Mw)は、モノフル オロリン酸基の口腔内酵素によるフッ素の放 出・徐放の観点から、1,000~100万が好ましく、 5,000~50万がより好ましく、1万~30万がさらに好 ましい。分子量が1,000未満の場合は、口腔内 の滞留性が不足するおそれがある。なお、 量平均分子量の測定方法は、ゲルパーミエ ションクロマトグラフィーにより、モノフ オロリン酸化反応後の水溶性高分子化合物 試料とし、10mM硝酸ナトリウム、20vol%アセト ニトリルを含む水を溶離液とし、プルラン標 準にて換算して分子量を算出する。具体的に は、後述する実施例の記載による。なお、本 発明のモノフルオロリン酸化高分子化合物は 、使用する開始剤の量、重合溶媒の種類、重 合時のモノマー濃度等の重合条件を調整する ことで、分子量を制御することができる。

 本発明のモノフルオロリン酸化高分子化合 は、簡便に処理ができる点から、水溶性で ることが好ましい。なお、本発明において 水溶性」とは、下記水溶性評価方法におい 、80%以上の数値を示すものをいう。また、 記ろ過は、水溶性高分子化合物を得るため 好適な手段として用いられる。
<水溶性>
 高分子化合物0.5gと水10gとの混合液(a)を調製 し、これをガラス容器に入れて25℃で24時間 とうさせた後、遠心分離操作(3000G(29419.95m/s 2 )、15分)を行い、高分子化合物溶液部分(b)と 不溶部分(c)とに分ける。高分子化合物溶液 分(b)の質量M[g]を測定する。高分子化合物溶 部分(b)適量約2gを、赤外線水分計に移し、 度110℃で2分間の水分(質量%)変動幅が0.1質量% 以下になった時を終点(高分子化合物溶液部 (b)中の水分が失われ、高分子化合物のみと った状態)とするという条件で、高分子化合 溶液部分(b)中の高分子化合物質量を測定し 赤外線水分計に使用した高分子化合物溶液 分(b)の質量から、高分子化合物溶液部分(b) の高分子化合物濃度D[%]を算出する。この赤 外線水分計を用いた測定においては、測定開 始時の高分子化合物溶液部分(b)の質量を100と して、測定終了後の高分子化合物溶液部分(b) 中の水分が失われ、高分子化合物のみとなっ た質量を相対値で表示する。従って、例えば この相対値で表示された値が「1」であれば 高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化合物 度D[%]は1質量%となる。
 このようにして得られた高分子化合物溶液 分(b)中の高分子化合物濃度D[%]に、高分子化 合物溶液部分(b)の質量M[g]を掛け合わせるこ によって、高分子化合物溶液部分(b)中の溶 している高分子化合物の質量W d [g]を求める。
 W d [g]=M[g]×D[%]
 得られたW d [g]の値から、高分子化合物0.5gの水10gに対す 溶解率Rを下記式で算出する。
 R=W d /0.5×100

 本発明のモノフルオロリン酸化高分子化 物はフッ素を多く有し、口腔内に適用する とにより、酵素反応によってフッ素が放出 徐放されると共に、加水分解に対して安定 あることから、口腔用組成物に配合するこ が好ましい。また、モノフルオロリン酸化 分子化合物の口腔内への付着性によって、 ッ素を滞留させることもできる。

 口腔用組成物中のモノフルオロリン酸化 分子化合物の含有量は、0.01~20質量%が好ま く、より好ましくは0.1~10質量%である。モノ ルオロリン酸化高分子化合物の含有量が0.01 質量%未満の場合、満足な配合効果が得られ い場合があり、20質量%を超えると組成物の 用性が劣るおそれがある。

 本発明の口腔用組成物としては、歯磨剤 洗口剤、歯面コーティング剤、貼付剤、義 洗浄剤等、チューインガム、トローチ等が げられる。その剤型に応じて、任意成分と てその他の添加剤を配合できる。

 任意の成分としては、例えば、界面活性 、洗浄剤、湿潤剤、増粘剤、研磨剤、粘結 、粘稠剤、油分、本発明の水溶性高分子化 物以外の高分子化合物、防腐剤、包接化合 、酸化防止剤・抗酸化剤、キレート剤、無 粉体、ガムベース、酸味料、軟化剤、着色 、光沢剤、乳化剤、甘味剤、pH調整剤、香 、色素、生薬、糖類、塩類、アミノ酸類、 記以外の薬効成分、抗菌剤、さらに水、エ ノール、イソプロピルアルコール、エチレ グリコール、グリセリン等の溶媒等が挙げ れる。

 以下、調製例、実施例及び比較例を示し 本発明を具体的に説明するが、本発明は下 の実施例に制限されるものではない。

  [調製例1]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)重合体の調製
 撹拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エ ノール85gを入れ、撹拌しながら窒素導入管 り窒素ガスを導入した。次いで、90℃のオ ルバスで加温しながら、ここにN-(2-ヒドロキ シエチル)アクリルアミド(興人製)30gをエタノ ール50gに混合したモノマー溶液と、2,2’-ア ビス(2-メチルブチロニトリル)(商品名V-59:和 純薬製)0.50gをエタノール35gに溶解した重合 始剤溶液とを、それぞれ1時間かけて連続的 に滴下して重合反応を行った。
 滴下終了後、窒素を導入しながら5時間加温 を続けた後、その反応液を3日間流水中で透 し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式 社製)、最後に、水をエバポレータおよび凍 結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除く ことによって、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリ ルアミド(HEAA)重合体25gを得た。

  [調製例2]N-(2-ヒドロキシエチル)メタクリ アミド(HEMAA)重合体の調製
 調製例1において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)をN-(2-ヒドロキシエチ )メタクリルアミド(ABCR製)とし、2,2’-アゾビ ス(2-メチルブチロニトリル)(商品名V-59:和光 薬製)の量を0.45gとした以外は、同様にして N-(2-ヒドロキシエチル)メタクリルアミド(HEMA A)重合体26gを得た。

  [調製例3]N-(ヒドロキシメチル)アクリルア ド(HMAA)重合体の調製
 調製例1において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)をN-(ヒドロキシメチル) アクリルアミド(東京化成製)とし、2,2’-アゾ ビス(2-メチルブチロニトリル)(商品名V-59:和 純薬製)の量を0.57gとした以外は、同様にし N-(ヒドロキシメチル)アクリルアミド(HMAA)重 体25gを得た。

  [調製例4]N-(ヒドロキシメチル)メタクリル ミド(HMMAA)重合体の調製
 調製例1において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)をN-(ヒドロキシメチル) メタクリルアミド(ABCR製)とした以外は、同様 にしてN-(ヒドロキシメチル)メタクリルアミ (HMMAA)重合体24gを得た。

  [調製例5]N-(ジエチレングリコール)アクリ アミド(DEGAA)重合体の調製
 調製例1において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)をN-(ジエチレングリコ ル)アクリルアミド(東京化成製)とし、2,2’- アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(商品名V-59 :和光純薬製)の量を0.36gとした以外は、同様 してN-(ジエチレングリコール)アクリルアミ (DEGAA)重合体25gを得た。

  [調製例6]N-(ジエチレングリコール)メタク ルアミド(DEGMAA)重合体の調製
 調製例1において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)をN-(ジエチレングリコ ル)メタクリルアミド(東京化成製)とし、2,2 -アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(商品名V -59:和光純薬製)の量を0.33gとした以外は、同 にしてN-(ジエチレングリコール)メタクリル ミド(DEGMAA)重合体24gを得た。

  [調製例7]N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチ ル]アクリルアミド(THMMAA)重合体の調製
 調製例1において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)をN-[トリス(ヒドロキシ メチル)メチル]アクリルアミド(関東化学製) し、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル) (商品名V-59:和光純薬製)の量を0.33gとした以外 は、同様にしてN-[トリス(ヒドロキシメチル) チル]アクリルアミド(THMMAA)重合体22gを得た

  [比較調製例8]アクリル酸ヒドロキシエチ (HEA)重合体の調製
 調製例1において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)をヒドロキシエチルア リレート(興人製)とした以外は、同様にし ヒドロキシエチルアクリレート重合体(HEA)26g を得た。

  [調製例9]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/N,N-ジメチルアミノプロピルアクリ ルアミド メチルクロライド(DMAPAA-Q)=90/10共重 合体の調製
 撹拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エ ノール85gを入れ、撹拌しながら窒素導入管 り窒素ガスを導入した。次いで、90℃のオ ルバスで加温しながら、ここにN-(2-ヒドロキ シエチル)アクリルアミド(興人製)27g、N,N-ジ チルアミノプロピルアクリルアミド メチル クロライド(DMAPAA-Q)(興人製)3gをエタノール50g 混合したモノマー溶液と、2,2’-アゾビス(2- メチルブチロニトリル)(商品名V-59:和光純薬 )0.47gをエタノール35gに溶解した重合開始剤 液とを、それぞれ1時間かけて連続的に滴下 て重合反応を行った。
 滴下終了後、窒素を導入しながら5時間加温 を続けた後、その反応液を3日間流水中で透 し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式 社製)、最後に、水をエバポレータおよび凍 結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除く ことによって、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリ ルアミド(HEAA)/N,N-ジメチルアミノプロピルア リルアミド メチルクロライド(DMAPAA-Q)=90/10 重合体25gを得た。

  [調製例10]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/N,N-ジメチルアミノプロピルアク ルアミド メチルクロライド(DMAPAA-Q)=60/40共 合体の調製
 調製例9において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)の量を18g、N,N-ジメチル アミノプロピルアクリルアミド メチルクロ イド(DMAPAA-Q) (興人製)の量を12gとし、2,2’- ゾビス(2-メチルブチロニトリル)(商品名V-59: 和光純薬製)の量を0.48gとした以外は、同様に して、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド (HEAA)/N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルア ド メチルクロライド(DMAPAA-Q)=60/40共重合体2 4gを得た。

  [調製例11]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/ N、N-ジメチルアミノプロピルア リルアミド メチルクロライド(DMAPAA-Q)=35/65 重合体の調製
 調製例9において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)の量を10.5g、N、N-ジメ ルアミノプロピルアクリルアミド メチルク ロライド(DMAPAA-Q) (興人製)の量を19.5gとし、2, 2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(商品 V-59:和光純薬製)の量を0.36gとした以外は、同 様にして、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルア ミド(HEAA)/ N、N-ジメチルアミノプロピルアク リルアミド メチルクロライド(DMAPAA-Q)=35/65共 重合体23gを得た。

  [調製例12]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/N,N-ジメチルアミノプロピルアク ルアミド (DMAPAA)=60/40共重合体の調製
 調製例9において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)の量を18g、N,N-ジメチル アミノプロピルアクリルアミド メチルクロ イド(DMAPAA-Q) (興人製)をN,N-ジメチルアミノ ロピルアクリルアミド(DMAPAA) (興人製)12gと 、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)( 品名V-59:和光純薬製)の量を0.45gとした以外 、同様にして、N-(2-ヒドロキシエチル)アク ルアミド(HEAA)/N,N-ジメチルアミノプロピルア クリルアミド(DMAPAA)=60/40共重合体26gを得た。

  [調製例13]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/メタクリル酸N,N-ジメチルアミノ チルメチルクロライド(DMC)=60/40共重合体の調 製
 調製例9において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)の量を18g、N,N-ジメチル アミノプロピルアクリルアミド メチルクロ イド(DMAPAA-Q) (興人製)をメタクリル酸N,N-ジ チルアミノエチル メチルクロライド(DMC)( 菱瓦斯化学製)12gとし、2,2’-アゾビス(2-メチ ルブチロニトリル)(商品名V-59:和光純薬製)の を0.46gとした以外は、同様にして、N-(2-ヒド ロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)/メタクリ 酸N,N-ジメチルアミノエチル メチルクロラ ド(DMC)=60/40共重合体25gを得た。

  [調製例14]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/メタクリル酸N,N-ジメチルアミノ チル(DM)=60/40共重合体の調製
 調製例9において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)の量を18g、N,N-ジメチル アミノプロピルアクリルアミド メチルクロ イド(DMAPAA-Q) (興人製)をメタクリル酸N,N-ジ チルアミノエチル(DM)(東京化成製)12gとし、2 ,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(商品 V-59:和光純薬製)の量を0.49gとした以外は、 様にして、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエ チル(DM)=60/40共重合体27gを得た。

  [調製例15]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/メタクリル酸ラウリル(LMA)=95/5共 合体の調製
 調製例9において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)の量を28.5g、N,N-ジメチ アミノプロピルアクリルアミド メチルク ライド(DMAPAA-Q) (興人製)をアクリル酸ラウリ ル(LMA)(東京化成製)1.5gとし、2,2’-アゾビス(2- メチルブチロニトリル)(商品名V-59:和光純薬 )の量を0.47gとした以外は、同様にして、N-(2- ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)/メタ リル酸ラウリル(LMA)=95/5共重合体25gを得た。

  [調製例16]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/メタクリル酸ラウリル(LMA)=90/10共 合体の調製
 調製例9において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)の量を27g、N,N-ジメチル アミノプロピルアクリルアミド メチルクロ イド(DMAPAA-Q) (興人製)をアクリル酸ラウリ (LMA)(東京化成製)3gとし、2,2’-アゾビス(2-メ ルブチロニトリル)(商品名V-59:和光純薬製) 量を0.44gとした以外は、同様にして、N-(2-ヒ ロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)/メタク ル酸ラウリル(LMA)=90/10共重合体23gを得た。

  [調製例17]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/メタクリル酸ラウリル(LMA)=80/20共 合体の調製
 調製例9において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)の量を24g、N,N-ジメチル アミノプロピルアクリルアミド メチルクロ イド(DMAPAA-Q) (興人製)をアクリル酸ラウリ (LMA)(東京化成製)6gとし、2,2’-アゾビス(2-メ ルブチロニトリル)(商品名V-59:和光純薬製) 量を0.44gとした以外は、同様にして、N-(2-ヒ ロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)/メタク ル酸ラウリル(LMA)=80/20共重合体25gを得た。

  [調製例18]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/メタクリル酸ステアリル(StMA)=90/10 共重合体の調製
 調製例9において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)の量を27g、N,N-ジメチル アミノプロピルアクリルアミド メチルクロ イド(DMAPAA-Q)(興人製)をメタクリル酸ステア ル(StMA)(東京化成製)3gとし、2,2’-アゾビス(2 -メチルブチロニトリル)(商品名V-59:和光純薬 )の量を0.43gとした以外は、同様にして、N-(2 -ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)/メタ クリル酸ステアリル(StMA))=90/10共重合体25gを た。

  [調製例19]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/メタクリル酸ヘキシル(HMA)=90/10共 合体の調製
 調製例9において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)の量を27g、N,N-ジメチル アミノプロピルアクリルアミド メチルクロ イド(DMAPAA-Q) (興人製)をメタクリル酸ヘキ ル(HMA)(東京化成製)3gとし、2,2’-アゾビス(2- チルブチロニトリル)(商品名V-59:和光純薬製 )の量を0.47gとした以外は、同様にして、N-(2- ドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)/メタ リル酸ヘキシル(HMA)=90/10共重合体23gを得た。

  [調製例20]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/メタクリル酸ブチル(BMA)=90/10共重 体の調製
 調製例9において、N-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド(興人製)の量を27g、N,N-ジメチル アミノプロピルアクリルアミド メチルクロ イド(DMAPAA-Q)(興人製)をメタクリル酸ブチル( BMA)(東京化成製)3gとし、2,2’-アゾビス(2-メチ ルブチロニトリル)(商品名V-59:和光純薬製)の を0.48gとした以外は、同様にして、N-(2-ヒド ロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)/メタクリ 酸ブチル(BMA)=90/10共重合体23gを得た。

  [調製例21]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/N,N-ジメチルアミノプロピルアク ルアミド メチルクロライド(DMAPAA-Q)/メタク ル酸ラウリル(LMA)=35/35/30共重合体の調製
 撹拌機、環流冷却器及び窒素導入管を取り けた300mLの4つ口セパラブルフラスコに、エ ノール85gを入れ、撹拌しながら窒素導入管 り窒素ガスを導入した。次いで、90℃のオ ルバスで加温しながら、ここにN-(2-ヒドロキ シエチル)アクリルアミド(興人製)10.5g、N,N-ジ メチルアミノプロピルアクリルアミド メチ クロライド(DMAPAA-Q)(興人製)10.5g、メタクリ 酸ラウリル(LMA)(東京化成製)9gをエタノール50 gに混合したモノマー溶液と、2,2’-アゾビス( 2-メチルブチロニトリル)(商品名V-59:和光純薬 製)0.45gをエタノール35gに溶解した重合開始剤 溶液とを、それぞれ1時間かけて連続的に滴 して重合反応を行った。
 滴下終了後、窒素を導入しながら5時間加温 を続けた後、その反応液を3日間流水中で透 し(透析膜の分画分子量14,000、三光純薬株式 社製)、最後に、水をエバポレータおよび凍 結乾燥(NEOCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除く ことによって、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリ ルアミド(HEAA)/N,N-ジメチルアミノプロピルア リルアミド メチルクロライド(DMAPAA-Q) /  タリル酸ラウリル(LMA)=35/35/30共重合体26gを得 た。

  [調製例22]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/N,N-ジメチルアミノプロピルアク ルアミドメチルクロライド(DMAPAA-Q)/メタリル 酸ラウリル(LMA)=50/25/25共重合体の調製
 調製例20において、N-(2-ヒドロキシエチル) クリルアミド(興人製)、N,N-ジメチルアミノ ロピルアクリルアミド メチルクロライド(DM APAA-Q)(興人製)、メタクリル酸ラウリル(LMA)(東 京化成製)の量をそれぞれ15g、7.5g、7.5gとし、 2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(商品 名V-59:和光純薬製)の量を0.38gとした以外は、 様にして、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/N,N-ジメチルアミノプロピルアク ルアミド メチルクロライド(DMAPAA-Q)/メタク ル酸ラウリル(LMA)=50/25/25共重合体22gを得た

  [調製例23]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/メタクリル酸N,N-ジメチルアミノ チル メチルクロライド(DMC)/アクリル酸ステ アリル(StA)=50/35/15共重合体の調製
 調製例20において、N-(2-ヒドロキシエチル) クリルアミド(興人製)の量を15g、N,N-ジメチ アミノプロピルアクリルアミド メチルクロ ライド(DMAPAA-Q)(興人製)をメタクリル酸N,N-ジ チルアミノエチル メチルクロライド(DMC)(三 菱瓦斯化学製)10.5g、メタクリル酸ラウリル(LM A)(東京化成製)をアクリル酸ステアリル(StA)( 京化成製)4.5gとし、2,2’-アゾビス(2-メチル チロニトリル)(商品名V-59:和光純薬製)の量を 0.39gとした以外は、同様にして、N-(2-ヒドロ シエチル)アクリルアミド(HEAA)/メタクリル酸 N,N-ジメチルアミノエチル メチルクロライド (DMC)/アクリル酸ステアリル(StA)=50/35/15共重合 23gを得た。

  [調製例24]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/N,N-ジメチルアミノプロピルアク ルアミド(DMAPAA)/メタクリル酸ヘキシル(HMA)=45 /35/20共重合体の調製
 調製例20において、N-(2-ヒドロキシエチル) クリルアミド(興人製)の量を13.5g、N,N-ジメチ ルアミノプロピルアクリルアミド メチルク ライド(DMAPAA-Q)(興人製)をN,N-ジメチルアミノ プロピルアクリルアミド(DMAPAA)(興人製)10.5g、 メタクリル酸ラウリル(LMA)(東京化成製)をメ クリル酸ヘキシル(HMA)(東京化成製)6gとし、2, 2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)(商品 V-59:和光純薬製)の量を0.40gとした以外は、同 様にして、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルア ミド(HEAA)/N,N-ジメチルアミノプロピルアクリ アミド (DMAPAA) / メタクリル酸ヘキシル(HMA )=45/35/20共重合体26gを得た。

  [調製例25]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド(HEAA)/N,N-ジメチルアミノプロピルアク ルアミド メチルクロライド(DMAPAA-Q)/メタク ル酸ブチル(BMA)=35/35/30共重合体の調製
 調製例20において、N-(2-ヒドロキシエチル) クリルアミド(興人製)の量を10.5g、N,N-ジメチ ルアミノプロピルアクリルアミド メチルク ライド(DMAPAA-Q)(興人製)を10.5g、メタクリル ラウリル(LMA)(東京化成製)をメタクリル酸ブ ル(BMA)(東京化成製)9gとし、2,2’-アゾビス(2- メチルブチロニトリル)(商品名V-59:和光純薬 )の量を0.41gとした以外は、同様にして、N-(2- ヒドロキシエチル)アクリルアミド(HEAA)/N,N-ジ メチルアミノプロピルアクリルアミド メチ クロライド(DMAPAA-Q)/メタクリル酸ブチル(BMA) =35/35/30共重合体26gを得た。

  [実施例1]
 上記調製例により調製したN-(2-ヒドロキシ チル)アクリルアミド(HEAA)重合体1gをジメチ スルホキシド(ドライ:MERCK製)9gに溶解させて ら、50mLの2つ口ナスフラスコに入れ、窒素 スを導入した。25℃の水浴中にフラスコを浸 漬しながら、ジフルオロリン酸(0.5水和物、 ンクエスト製、比重1.58)8mLを徐々に滴下した (HEAA重合体の水酸基とジフルオロリン酸との ル比は、水酸基:ジフルオロリン酸=1:14.3)。5 時間撹拌したのち、25質量%水酸化ナトリウム 水溶液を滴下しpH7に中和した。反応液を72時 流水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、 三光純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテ ク東洋株式会社製)を用いてろ過した後、水 酸化ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。 最後に、水をエバポレータ、及び凍結乾燥(NE OCOOL、ヤマト科学株式会社製)で除くことによ って、モノフルオロリン酸ナトリウム化N-(2- ドロキシエチル)アクリルアミド重合体0.8g 得た。

 実施例1のモノフルオロリン酸ナトリウム化 HEAA重合体は下記式(4),(5)の構成単位を有する のである。式中、Mは水素原子又はナトリウ ム原子を示す。全構成単位に対する(4)の構成 単位の割合は27質量%であり、(5)の割合は73質 %であった。

  [実施例2~7]
 N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合 を表1中に記載の反応前高分子化合物に変更 した以外は、実施例1と同様に調製し、上記 製例で得られた高分子化合物から、モノフ オロリン酸ナトリウム化N-(2-ヒドロキシエチ ル)メタクリルアミド共重合体(反応前高分子 合物の水酸基:ジフルオロリン酸=1:16.0)、モ フルオロリン酸ナトリウム化N-(ヒドロキシ チル)アクリルアミド共重合体(反応前高分 化合物の水酸基:ジフルオロリン酸=1:12.5)、 ノフルオロリン酸ナトリウム化N-(ヒドロキ メチル)メタクリルアミド共重合体(反応前高 分子化合物の水酸基:ジフルオロリン酸=1:14.3) 、モノフルオロリン酸ナトリウム化N-(ジエチ レングリコール)アクリルアミド共重合体(反 前高分子化合物の水酸基:ジフルオロリン酸 =1:19.8)、モノフルオロリン酸ナトリウム化N-( エチレングリコール)メタクリルアミド共重 合体(反応前高分子化合物の水酸基:ジフルオ リン酸=1:21.5)、モノフルオロリン酸ナトリ ム化N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]ア リルアミド共重合体(反応前高分子化合物の 酸基:ジフルオロリン酸=1:21.7)を、各0.8g得た 。

 実施例2~6において、全構成単位に対する ノフルオロリン酸基(構造)を有する構成単 (モノマー)の割合(質量%):水酸基を有するア リルアミド誘導体の構成単位(質量%)は、そ ぞれ実施例2 23質量%:77質量%、実施例3 25質 %:75質量%、実施例4 23質量%:77質量%、実施例5 29質量%:71質量%、実施例6 26質量%:74質量%であ った。なお、上記結果に基づき、モノフルオ ロリン酸化高分子化合物中の各構成単位の割 合を表中に示す。なお、「F-」とは、水酸基 水素原子がモノフルオロリン酸基に置換さ たことを示し、F-HEAAとは、水酸基の水素原 がモノフルオロリン酸基に置換されたN-(2- ドロキシエチル)アクリルアミドをいう。

  [実施例8~13]
 N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合 を表2,3中に記載の反応前高分子化合物に変 した以外は、実施例1と同様に調製し、N-(2- ドロキシエチル)アクリルアミド/N,N-ジメチ アミノプロピルアクリルアミド メチルク ライド共重合体(反応前高分子化合物の水酸 :ジフルオロリン酸=1:14.8)、モノフルオロリ 酸ナトリウム化N-(2-ヒドロキシエチル)アク ルアミド/N,N-ジメチルアミノプロピルアク ルアミド メチルクロライド共重合体(反応 高分子化合物の水酸基:ジフルオロリン酸=1:1 7.7)、モノフルオロリン酸ナトリウム化N-(2-ヒ ドロキシエチル)アクリルアミド/N,N-ジメチル アミノプロピルアクリルアミド メチルクロ イド共重合体(反応前高分子化合物の水酸基 :ジフルオロリン酸=1:19.9)、モノフルオロリン 酸ナトリウム化N-(2-ヒドロキシエチル)アクリ ルアミド/N,N-ジメチルアミノプロピルアクリ アミド共重合体(反応前高分子化合物の水酸 基:ジフルオロリン酸=1:15.8)、モノフルオロリ ン酸ナトリウム化N-(2-ヒドロキシエチル)アク リルアミド/メタクリル酸N,N-ジメチルアミノ チルメチルクロライド共重合体(反応前高分 子化合物の水酸基:ジフルオロリン酸=1:17.3)、 モノフルオロリン酸ナトリウム化N-(2-ヒドロ シエチル)アクリルアミド/メタクリル酸N,N- メチルアミノエチル共重合体(反応前高分子 化合物の水酸基:ジフルオロリン酸=1:15.5)を各 0.8g得た。

  [実施例14~19]
 N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合 を表4中に記載の反応前高分子化合物に変更 した以外は、実施例1と同様に調製し、モノ ルオロリン酸ナトリウム化N-(2-ヒドロキシエ チル)アクリルアミド/メタクリル酸ラウリル 重合体(反応前高分子化合物の水酸基:ジフ オロリン酸=1:14.7)、モノフルオロリン酸ナト リウム化N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミ ド/メタクリル酸ラウリル共重合体(反応前高 子化合物の水酸基:ジフルオロリン酸=1:15.5) モノフルオロリン酸ナトリウム化N-(2-ヒド キシエチル)アクリルアミド/メタクリル酸ラ ウリル共重合体(反応前高分子化合物の水酸 :ジフルオロリン酸=1:16.5)、モノフルオロリ 酸ナトリウム化N-(2-ヒドロキシエチル)アク ルアミド/メタクリル酸ステアリル共重合体( 反応前高分子化合物の水酸基:ジフルオロリ 酸=1:16.6)、モノフルオロリン酸ナトリウム化 N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド/メタ リル酸ヘキシル共重合体(反応前高分子化合 の水酸基:ジフルオロリン酸=1:14.7)、モノフ オロリン酸ナトリウム化N-(2-ヒドロキシエ ル)アクリルアミド/メタクリル酸ブチル共重 合体(反応前高分子化合物の水酸基:ジフルオ リン酸=1:14.5)を各0.8g得た。

 [実施例20~24]
 N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合 を表5,6中に記載の反応前高分子化合物に変 した以外は、実施例1と同様に調製し、モノ フルオロリン酸ナトリウム化N-(2-ヒドロキシ チル)アクリルアミド/N,N-ジメチルアミノプ ピルアクリルアミド メチルクロライド/メ クリル酸ラウリル共重合体(反応前高分子化 合物の水酸基:ジフルオロリン酸=1:21.1)、モノ フルオロリン酸ナトリウム化N-(2-ヒドロキシ チル)アクリルアミド/N,N-ジメチルアミノプ ピルアクリルアミド メチルクロライド/メ クリル酸ラウリル共重合体(反応前高分子化 合物の水酸基:ジフルオロリン酸=1:19.1)、モノ フルオロリン酸ナトリウム化N-(2-ヒドロキシ チル)アクリルアミド/メタクリル酸N,N-ジメ ルアミノエチルメチルクロライド/メタクリ ル酸ステアリル共重合体(反応前高分子化合 の水酸基:ジフルオロリン酸=1:18.8)、モノフ オロリン酸ナトリウム化N-(2-ヒドロキシエチ ル)アクリルアミド/N,N-ジメチルアミノプロピ ルアクリルアミド/メタクリル酸ヘキシル共 合体(反応前高分子化合物の水酸基:ジフルオ ロリン酸=1:17.9)、モノフルオロリン酸ナトリ ム化N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド/ N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド  メチルクロライド/メタクリル酸ブチル共重 体(反応前高分子化合物の水酸基:ジフルオロ リン酸=1:18.9)を各0.8g得た。

 実施例8~24における、モノフルオロリン酸 化高分子化合物中の各構成単位の割合を表2~6 中に示す。

  [実施例25]
 ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-L、日本 達製)1gをテトラヒドロフラン(脱水:関東化 製)9gに溶解させてから、50mLの2つ口ナスフラ スコに入れ、窒素ガスを導入した。25℃の水 中にフラスコを浸漬しながら、ジフルオロ ン酸(0.5水和物、シンクエスト製、比重1.58)4 mLを徐々に滴下した(ヒドロキシプロピルセル ロースの水酸基とジフルオロリン酸とのモル 比は、水酸基:ジフルオロリン酸=1:27.2)。5時 撹拌したのち、25質量%水酸化ナトリウム水 液を滴下しpH7に中和した。反応液を72時間流 水中で透析し(透析膜の分画分子量14,000、三 純薬株式会社製)、ろ紙(101、アドバンテック 東洋株式会社製)を用いてろ過した後、水酸 ナトリウム水溶液によりpH7に調整した。最 に、水をエバポレータ、及び凍結乾燥(NEOCOOL 、ヤマト科学株式会社製)で除くことによっ 、モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロ シプロピルセルロース0.8gを得た。

 実施例25のモノフルオロリン酸ナトリウム ヒドロキシプロピルセルロースは下記構造 ある。

  [実施例26]
 ヒドロキシプロピルセルロースを、ヒドロ シプロピルセルロース(HPC-SSL、日本曹達製 変更した以外は、実施例1と同様に調製し、 ノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキシ ロピルセルロース0.8gを得た。

  [実施例27]
 ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC 2208、信越化学工業製)1gを、そのまま50mLの2 口ナスフラスコに入れ、窒素ガスを導入し 。室温の水浴中にフラスコを浸漬しながら ジフルオロリン酸4mLを徐々に滴下した。4時 撹拌したのち、25質量%水酸化ナトリウム水 液を滴下しpH7に中和した。反応液を72時間 水中で透析し、ろ紙(101、ADVANTEC製)を用いて 過した後、水酸化ナトリウム水溶液によりp H7に調整した。最後に、水をエバポレータ、 び凍結乾燥で除くことによって、モノフル ロリン酸ナトリウム化ヒドロキシプロピル チルセルロースを得た。

  [実施例28~33]
 ヒドロキシプロピルメチルセルロースを、 ドロキシエチルセルロース(CF-G、住友精化 )、エチルセルロース(N-10、HERCULES製)、メチ セルロース(MC、METOLOSE-SM、信越化学工業製) セルロース(セルフィア、旭化成工業製)、ヒ ドロキシプロピルデンプン(HPS-101(W)、フロイ ト産業製)、カチオン化セルロース(ライオ 社製)に代えた以外は、実施例27と同様に調 し、モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒド キシエチルセルロース、モノフルオロリン ナトリウム化エチルセルロース、モノフル ロリン酸ナトリウム化メチルセルロース、 ノフルオロリン酸ナトリウム化セルロース モノフルオロリン酸ナトリウム化ヒドロキ プロピルデンプン、モノフルオロリン酸ナ リウム化カチオン化セルロースを得た。

 調製例1で得られたN-(2-ヒドロキシエチル)ア クリルアミド重合体、実施例1で得られたモ フルオロリン酸ナトリウム化N-(2-ヒドロキシ エチル)アクリルアミド重合体を、重水に0.1 量%溶解させ、プロトン核磁気共鳴分光法( 1 H-NMR;270MHz)による測定を行った。結果を図1,2 示す。分子中に水酸基を有する高分子化合 は、ジフルオロリン酸との反応によりモノ ルオロリン酸エステルを形成した場合、水 基隣接メチレンのプロトンのピークがシフ するため、 1 H-NMR測定により共有結合形成を判定すること 可能である。

 「N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド重 体」の場合、水酸基隣接メチレンのプロト ピークは、3.5~3.7ppmに現れたが(ピーク面積 対値:2.00)、ジフルオロリン酸との反応物で る「モノフルオロリン酸ナトリウム化N-(2-ヒ ドロキシエチル)アクリルアミド重合体」に 、3.5~3.7ppmのピークが減少し(ピーク面積相対 値:1.23)、代わりに、3.7~4.1ppmにピークが出現 た(ピーク面積相対値:0.57)。そして、他のピ クはシフトしなかった。
 この結果から、実施例1で得られたモノフル オロリン酸ナトリウム化N-(2-ヒドロキシエチ )アクリルアミド重合体は、N-(2-ヒドロキシ チル)アクリルアミド重合体の水酸基が、モ ノフルオロリン酸と共有結合を形成している ことが確認された。

  [比較例1]
 N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合 をアクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)重合体 に変更した以外は、実施例1と同様に調製し( 酸基:ジフルオロリン酸=1:14.4)、モノフルオ リン酸ナトリウム化アクリル酸2-ヒドロキ エチル0.8gを得た。

  [比較例2]N-(2-ヒドロキシエチル)アクリル ミド重合体とモノフルオロリン酸の混合物
 上記調製例1により得られたN-(2-ヒドロキシ チル)アクリルアミド重合体8.26gとモノフル ロリン酸2ナトリウム(SMFP、ローディア日華 )1.74gを均一に混合し、比較例2とした。(比 例2のフッ素濃度:2.3質量%)

 実施例で得られたモノフルオロリン酸化高 子化合物について、下記測定及び評価(1~4) 行った。
1.重量平均分子量(Mw)
 10mM硝酸ナトリウム、20vol%アセトニトリルを 含む水を溶離液とし、ゲルパーミエーション クロマトグラフィーにより測定、分子量5,800~ 853,000のプルラン標準(P-82、昭和電工製)にて 算して重量平均分子量を算出した。具体的 は、乾燥物を10mM硝酸ナトリウム、20vol%アセ ニトリルを含む水に溶解させ、0.5質量%溶液 を調製した。カラムには東ソー(株)製TSK-GelG25 00PWXLとTSK-GelGMPWXLを連結して設置し、カラム ーブン設定温度40℃、溶離液は10mM硝酸ナト ウムと20vol%アセトニトリルを含む水を用い 流速0.5mL/min、検出はRIにて行った。

2.フッ素導入率
 高分子化合物0.1質量%水溶液1.6gに、1mol/L過 素酸水溶液2.4gを添加し、密封したPE製蓋付 ューブ中に入れて、105℃で10分加熱した。そ の後、液0.4gを採取し、1.6gの1mol/Lクエン酸カ ウム緩衝液(pH5.5)と混合した後、フッ素電極 計(Expandable Ion Analyzer EA920,Orion社製)により ッ素量:X p (ppm)を定量した。高分子化合物全質量に対す フッ素の質量濃度(フッ素導入率:F(質量%))を 、以下の式により算出した。
 F=X p ×1.25

3.水溶性
 高分子化合物0.5gと水10gとの混合液(a)を調製 し、これをガラス容器に入れて25℃で24時間 とうさせた後、遠心分離操作(3000G(29419.95m/s 2 )、15分)を行い、高分子化合物溶液部分(b)と 不溶部分(c)とに分けた。高分子化合物溶液 分(b)の質量M[g]を測定した。高分子化合物溶 部分(b)適量約2gを、赤外線水分計((株)ケッ エレクトリックラボラトリー製、FD-620)に移 、温度110℃で2分間の水分(質量%)変動幅が0.1 質量%以下になった時を終点(高分子化合物溶 部分(b)中の水分が失われ、高分子化合物の となった状態)とするという条件で、高分子 化合物溶液部分(b)中の高分子化合物質量を測 定し、赤外線水分計に使用した高分子化合物 溶液部分(b)の質量から、高分子化合物溶液部 分(b)中の高分子化合物濃度D[%]を算出した。 の赤外線水分計を用いた測定においては、 定開始時の高分子化合物溶液部分(b)の質量 100として、測定終了後の高分子化合物溶液 分(b)中の水分が失われ、高分子化合物のみ なった質量を相対値で表示する。従って、 えばこの相対値で表示された値が「1」であ ば、高分子化合物溶液部分(b)中の高分子化 物濃度D[%]は1質量%となる。
 このようにして得られた高分子化合物溶液 分(b)中の高分子化合物濃度D[%]に、高分子化 合物溶液部分(b)の質量M[g]を掛け合わせるこ によって、高分子化合物溶液部分(b)中の溶 している高分子化合物の質量W d [g]を求めた。
 W d [g]=M[g]×D[%]
 得られたW d [g]の値から、高分子化合物0.5gの水10gに対す 溶解率Rを下記式で算出した。R=80%以上のも を「○」とする。
 R=W d /0.5×100

4.加水分解安定性
 (i)高分子化合物を下記pH1.2塩酸バッファー に、0.1質量%で溶解させた。塩酸バッファー は、0.2mol/L塩酸322.5mL及び0.2mol/L塩化カリウ 水溶液250mLを純水で1Lに希釈して調製した。 れを40℃で24時間保存した後、サンプル液4g 、ナノピュア水で5回濯ぎ処理した分画分子 量10,000の限外ろ過膜(Amicon Ultra-4、MILLIPORE製) 入れ、3000G(29419.95m/s 2 )で15分間遠心ろ過操作を行った。ろ液1gを採 し、ナノピュア水で20gに希釈して、全有機 素計により、保存処理後の分解有機分量:C 1 を測定した。
 (ii)次に、これとは別に、高分子化合物をナ ノピュア水に、0.1質量%で充分溶解させた直 に、上記操作と同様に、サンプル液4gを、ナ ノピュア水で5回濯ぎ処理した分画分子量10,00 0の限外ろ過膜に入れ、3000G(29419.95m/s 2 )で15分間遠心ろ過操作を行った。ろ液1gを採 し、ナノピュア水で20gに希釈して、全有機 素計により、保存処理なしの場合(ブランク )の分解有機分量:C 0 を測定した。
 (iii)最後に、ナノピュア水で調製した0.1質 %高分子化合物水溶液0.2gを、更にナノピュア 水で20gに希釈して、全有機炭素計により高分 子化合物水溶液の全有機分量:C t を測定した。
 (i)~(iii)より、保存処理による炭素分解率:T 下記の式により算出した。
T(%)=[(C 1 -C 0 )×20(20倍希釈)/(C t ×100(100倍希釈))]×100
評価基準
○:Tが0.5%以下
△:Tが0.5%より大きく、1%以下
×:Tが1%より大きい

5.フッ素滞留性-1
 高分子化合物を純水にフッ素濃度が950ppmに るように溶解させ、1N-水酸化ナトリウム水 液(関東化学)にてpH=7~8に調整した。この高 子化合物溶液(フッ素濃度950ppm、pH=7~8)を、プ ライマリアコート6穴シャーレ(MULTIWELL TM PRIMARIA TM 6well(wellの表面積9.2cm 2 、日本ベクトン・ディッキンソン製; well表 が陰性及び陽性な表面に処理されたもの)に1 g加え、3分間室温で静置した。その後、処理 を可能な限り吸引除去した後、1gの純水を え、シャーレ底面に純水が広がるのを確認 た後、可能な限り吸引除去した。さらにも 一度1gの純水を加え、同様な操作を行った。
 その後、シャーレに1mol/L過塩素酸水溶液1g え、蒸発防止シールを添付して105℃、10分過 熱した。その後、フッ素電極計(Expandable Ion  Analyzer EA920,Orion社製)により、フッ素量F(ppm) 測定した。得られたフッ素量F(ppm)により、 記式に基づいて、シャーレ(表面積9.2cm 2 )に滞留したフッ素量F´(μg/9.2cm 2 )を求めた。
 F´(μg/9.2cm 2 )=1×10 6 (μg)×F(ppm)/10 6

 以下、表中において、DMSO:ジメチルスルホ シド,THF:テトラヒドロフランを示す。

 実施例1,9,15,20,25及び33について、下記5.フ ッ素放出性の評価を行った。結果を表8に併 する。

5.フッ素放出性
 0.1質量%高分子化合物の水溶液4.9gに、70units/ g酸性ホスファターゼ(イモ由来)リン酸緩衝液 (pH7)0.1gを添加し、24時間・37℃で振とうしな ら保存した。その後、液0.4gを採取し、1.6gの 1mol/Lクエン酸カリウム緩衝液(pH5.5)と混合し 後、フッ素電極計(Expandable Ion Analyzer EA920,O rion社製)により液中のフッ素量:X e (ppm)を測定した。また、これとは別に、0.1質 %高分子化合物水溶液0.4gを採取し、1.6gの1mol /Lクエン酸カリウム緩衝液(pH5.5)と混合した後 、フッ素電極計により液中のフッ素量:X 0 (ppm)を測定した。フッ素放出性を下記評価基 に従って評価した。
評価基準
◎:X e -X 0 が0.3ppmを超える
○:X e -X 0 が0.1ppmを超えて0.3ppm以下
△:X e -X 0 が0.05ppmを超えて0.1ppm以下
×:X e -X 0 が0.05ppm以下

 実施例1,9,15,20,25及び33及び比較例1,2につ て、下記6.フッ素徐放性の評価を行った。結 果を表9に示す。

6.フッ素徐放出性の評価
 0.1質量%高分子化合物の水溶液4.9gに、70units/ g酸性ホスファターゼ(イモ由来)リン酸緩衝液 (pH7)0.1gを添加し(2つ作製)、1つは12時間、もう 1つは24時間、37℃で振とうしながら保存した その後、それぞれ液0.4gを採取し、1.6gの1mol/ Lクエン酸カリウム緩衝液(pH5.5)と混合した後 フッ素電極計(Expandable Ion Analyzer EA920,Orion 製)により液中のフッ素量(12時間後:X 12 、24時間後X 24 (ppm))を測定した。また、これとは別に、0.1質 量%高分子化合物水溶液0.4gを採取し、1.6gの1mo l/Lクエン酸カリウム緩衝液(pH5.5)と混合した 、フッ素電極計により液中のフッ素量:X 0 (ppm)を測定した。フッ素徐放出性:Sを下記評 基準に従って評価した。
S(%)=(X 12 -X 0 )/(X 24 -X 0 )×100
評価基準
○:Sが50%以上90%未満であり、フッ素放出は24 間にわたり比較的均一に起こる(徐放出性が い)。
△:Sが90%以上95%未満であり、フッ素放出は24 間にわたり比較的やや不均一に起こる(徐放 性が低い)。
×:Sが95%以上100%以下であり、フッ素放出は24 間にわたり比較的不均一に起こる(徐放出性 ほぼ見られない)。

  [実施例34]
<洗口剤>
 下記組成の洗口剤を下記方法で調製した。
 スリーワンモーターと回転羽根を有する撹 機を装着したステンレス製容器に、規定量 精製水を投入し、実施例1で得られたモノフ ルオロリン酸ナトリウム化N-(2-ヒドロキシエ ル)アクリルアミド重合体、界面活性剤、pH 整剤等水溶性成分を撹拌しながら投入、溶 させA相を得た。一方、スリーワンモーター と回転羽根を有する撹拌機を装着した別のス テンレス製容器に、規定量のプロピレングリ コール、グリセリン等の有機溶剤を投入し、 配合成分のうち香料等の油溶性成分を撹拌し ながら投入、溶解させB相を得た。さらに、A にB相を加え、30分間撹拌し、均一溶液とし 口剤100gを得た。

  [実施例35]
<歯磨剤>
 下記組成の歯磨剤を下記方法で調製した。
 精製水中に水溶成分(実施例25で調製したモ フルオロリン酸化ヒドロキシプロピルセル ース、非イオン性界面活性剤、サッカリン トリウム、70%ソルビット液等)を常温で混合 溶解させたA相を調製した。一方、プロピレ グリコール中に、カルボキシメチルセルロ スナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム 常温で溶解・分散させたB相を調製した。次 、撹拌中のA相の中にB相を添加混合し、C相 調製した。
さらに、小型真空擂潰機(石山工作所製)を用 C相と、ラウリル硫酸ナトリウム、香料、無 水ケイ酸等とを常温で混合し、4kPaまで減圧 脱泡を行い、歯磨剤100gを得た。
 実施例34,35で得られた口腔用組成物につい 、下記評価7を行った。結果を表12に示す。

7.フッ素滞留性-2
 実施例34,35に記載の製剤を定法により調製 、歯磨剤の場合(実施例35)は、その5gに10gの 工唾液(CaCl 2 =1.5mmol/L、KH 2 PO 4 =5.0mmol/L、酢酸=100mmol/L、NaCl=100mmol/L、残部=水; pH7.0)を混合し撹拌した(口腔内で3倍希釈され 歯磨剤を想定)。撹拌後、遠心分離機(Centrifu ge 5804R,Hamburg,Germany)にて遠心分離(3000rpm,10分) 、得られた上清液を処置液とした。洗口剤 場合(実施例16)は、剤5gに0.5gの人工唾液を混 合し、撹拌した(口腔内で若干希釈される洗 剤を想定)ものを処置液とした。それぞれの 置液5gをプライマリアコートされた100mmのス タンダードディッシュ(日本ベクトン・ディ キンソン)に注入し、歯磨剤の場合は5分間保 持後に処置液を廃棄し、2gの超純水で洗浄を った。洗口剤の場合は30秒間保持後に処置 を廃棄し、洗浄は行わなかった。それぞれ 置終了後、5単位/mLの酸性フォスファターゼ( イモ由来;シグマ社)を含有する1mLのリン酸緩 液(pH5)をディッシュに注入し、24時間静置す ることで、ディッシュに滞留したモノフルオ ロリン酸化ポリマーからフッ化物イオンを放 出させた。リン酸緩衝液中のフッ化物イオン 濃度をイオンクロマトグラフ(ICS-2000;ダイオ クス社)にて測定した。測定はN=2で行ない、 定はそれらの平均値を用いた。
<イオンクロマトグラフの測定条件>
分離カラム:IonPac AS20,
ガードカラム:NG-1,カラム温度:30℃,検出器温 :35℃,
溶離液:55mM水酸化カリウム,流速:1.2mL/分,導入 :20μL
<判定基準>
◎:フッ化物イオン濃度が0.5ppm以上1.0ppm未満
○:フッ化物イオン濃度が0.1ppm以上0.5ppm未満
×:フッ化物イオン濃度が0.1ppm未満