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Title:
MOTOR DEVICE DIAGNOSIS METHOD
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/050828
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a motor dev ice diagnosis method capable of obtaining an accurate and reliable diagnosis result A motor diagnosis is performed according to an electric signal corresponding to correlation between the electric amount inputted to a motor device and other physical amount obtained by the motor device. Thus, a diagnosis is performed according to correlation between the electric signal corresponding to the electric amount inputted to the motor device and other physical amount obtained by the motor device side. For example, when the motor device is an electric valve driven by a rotation force of a motor, a diagnosis can be performed according to an electric signal corresponding to the electric amount inputted to the motor and a yoke stress generated in a yoke of the electric valve. Moreover, when the motor device is an atomic reactor control rod driven by a magnetic drive force of an electromagnetic coil, a diagnosis of the motor device can be performed according to the correlation between the electric signal corresponding to the electric amount inputted to the electromagnetic coil and an oscillation sensor during operation of the control rod drive device. Thus, it is possible to easily and rapidly perform the diagnosis work with a high accuracy.

Inventors:
NOGAMI TAKEKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/071389
Publication Date:
April 23, 2009
Filing Date:
November 02, 2007
Export Citation:
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Assignee:
SHIKOKU RESEARCH INST INC (JP)
NOGAMI TAKEKI (JP)
International Classes:
G01M99/00; F16K37/00; G01M13/00; H02K15/00
Domestic Patent References:
WO2006022408A12006-03-02
Foreign References:
JP2002130531A2002-05-09
JPH01187432A1989-07-26
JPH02307033A1990-12-20
JPH11326147A1999-11-26
Attorney, Agent or Firm:
UEDA, Kimitomo (6-12-3 SUZURANDAIMINAMI-MACHI, KITA-KU, KOUBE-SH, Hyogo 13, JP)
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Claims:
 電動機器に入力される電気量に対応する電気信号と、該電動機器側において得られる他の物理量との相関に基づいて電動機器の診断を行うことを特徴とする電動機器の診断方法。
 請求項1において、
 上記電気信号を、上記電動機器に給電する電力線を収納した電線管における上記電力線との幾何学的な相対位置が変化しない部位に配置された複数の磁場センサにより取得される基準磁気信号と該基準磁気信号に対応する基準電気信号の相関データベースを参照して、測定により取得される磁気信号に対応する電気信号として取得することを特徴とする電動機器の診断方法。
 請求項2において、
 予め上記電線管内における上記電力線の各電線の位置を上記電線管内で変化させたときの各位置での上記各磁場センサの磁気信号相互間の基準出力パターンを取得しておき、該基準出力パターンと測定により取得される上記各磁場センサの磁気信号相互間の実出力パターンを対比することで、該実出力パターンに対応する基準出力パターンから上記電線管内における上記各電線の位置情報を取得し、この位置情報を診断に反映させることを特徴とする電動機器の診断方法。
 請求項2において、
 測定により取得される上記磁気信号と上記他の物理量の相関を示す実相関パターンと、予め取得した基準状態における磁気信号と他の物理量の基準相関パターンを対比し、これら両パターンの相違状態に基づいて電動機器の診断を行うことを特徴とする電動機器の診断方法。
 請求項1又は2において、
 上記電気信号と上記他の物理量をそれぞれ波形信号として表示し、これら各波形信号相互間における発生タイミングの適否、又は繰り返して表示される各波形信号と該各波形信号の全繰り返し期間における平均値との偏差に基づいて、上記電動機器の診断を行うことを特徴とする電動機器の診断方法。
 請求項1又は2において、
 上記電動機器が複数の電動部で構成され且つ該各電動部のそれぞれに対応する電力線毎に上記電気信号が取得されるものであって、
 上記各電気信号と上記他の物理量をそれぞれ波形信号として表示し、上記各電動部毎に、上記各波形信号相互間における発生タイミングの適否、又は繰り返して表示される各波形信号と該各波形信号の全繰り返し期間における平均値との偏差に基づいて、上記電動機器の診断を行うことを特徴とする電動機器の診断方法。
 請求項6において、
 上記各電気信号に基づく各波形信号のうちの何れか一つの波形信号を基準波形として選択し、
 該基準波形の特定の波形点を基準として、上記各波形信号及び上記他の物理量に基づいて上記各電動部の作動諸元を取得し、該作動諸元を分析処理することで上記電動機器の診断を行うことを特徴とする電動機器の診断方法。
Description:
電動機器の診断方法

 本願発明は、電動弁等の電動機器の診断 行うための診断方法に関するものである。

 例えば、電動機の回転力とか電磁コイル 磁気駆動力により駆動される電動機器の診 を行う場合、その前提として、電動機器に 力される電気量を正確に知ることが重要で る。

 このような電動機器に入力される電気量を 得する手法としては、例えば、電動機への 電用に設けられた電気箱の蓋を開放し、該 気箱内に収納された電線に電気量測定器を 付けて電流値等を計測する手法とか、特許 献1に示されるように、電動機の電源ケーブ ルに給電電流を検出するクランプ式の電流セ ンサを取付けて電流値を計測する手法等が知 られている。

特開平2-307033号公報。

 ところが、電気箱内の電線に電気量測定 を取付けて電流値等を計測する前者の手法 は、測定の度に電気箱の蓋を開放する必要 あることから測定器の取付作業が煩雑で作 性が悪いとか、測定器の取付作業時あるい 該測定器を使用しての測定作業時に作業者 感電するとか、電流の地絡・短絡が発生す 恐れがある、等の問題がある。

 また、上記測定器が設置される電気箱は 電動機及びこれにより駆動される電動機器 ら距離的に離れているため、上記測定器に って取得した取得情報のみを用いて電動機 の診断を行うような場合にはさほど問題は いが、例えば、上記取得情報と電動機器側 他の情報とを相関させて診断を行う必要が るような場合には、問題となる。

 一方、クランプ式の電流センサを用いる 法では、電源ケーブルが収容された電線管 外側から電流センサを取付けて計測を行う とができず、例えば、電気箱を開放して電 ケーブルの電線に直接電流センサを取付け 必要があり、計測作業が煩雑になるという 題があった。

 そこで本願発明は、電動機器に入力され 電気量を簡便且つ安全に、しかも正確に取 し、この取得情報に基づいて電動機器の各 診断を行い得るようにした電動機器の診断 法を提案することを目的としてなされたも である。

 本願発明ではかかる課題を解決するため 具体的手段として以下のような特有の構成 採用している。

 本願の第1の発明では、電動機器に入力さ れる電気量に対応する電気信号と、該電動機 器側において得られる他の物理量との相関に 基づいて電動機器の診断を行うことを特徴と している。

 ここで、上記「電動機器側における他の物 量」とは、電動機器の動作に伴って生じる 理量であって、電動機器が、例えば、電動 の回転力により駆動される電動弁である場
合には、そのヨークに発生するヨーク応力と か、弁棒に発生する弁棒応力等がこれに該当 し、また、電磁コイルの磁気駆動力によって 駆動される原子炉の制御棒駆動装置である場 合には、制御棒の移動に伴う振動(音)がこれ 該当する。

 本願の第2の発明では、上記第1の発明に る電動機器の診断方法において、上記電気 号を、上記電動機器に給電する電力線を収 した電線管における上記電力線との幾何学 な相対位置が変化しない部位に配置された 数の磁場センサにより取得される基準磁気 号と該基準磁気信号に対応する基準電気信 の相関データベースを参照して、測定によ 取得される磁気信号に対応する電気信号と て取得することを特徴としている。

 ここで、電源が三相交流であれば、電力 は三本の電線(U相電線、V相電線、W相電線) 備え、これら各電線のそれぞれによって磁 が形成され、この磁場の大きさが上記磁場 ンサで感知され、その大きさに対応した信 が出力される。この場合、上記磁場センサ 感知される磁場の大きさは、各電線からの 離が長くなるほど小さくなることから、例 ば、単一の磁場センサでの測定では、該磁 センサの電線管に対する取付位置(換言すれ 、電力線の各電線UVWに対する磁場センサの 付位置)によっては、各電線を流れる電気量 に対応した磁気信号の取得が困難となる場合 もある。

 一方、電力線(各電線UVW)の電線管内にお る配置位置(電線管の管軸に直交する面内位 における配置位置)が不明であり、しかも各 電線に対する上記磁場センサの感度が異なる 場合でも、この電線管と電力線との幾何学的 な相対位置が変化しない部位に複数の磁場セ ンサを配置し、これら各磁場センサによって 得られる磁気信号の総和を磁気信号として採 用することで、確実に磁気信号が得られるこ とも知られている(後述する)。

 上記「磁場センサ」としては、例えば、 記電線管内の電力線から発せられる磁力線 感知して磁場の大きさに対応した信号(磁気 信号)を出力するホール素子とかアモルファ 素子を用いた磁場センサが採用される。

 また、上記磁場センサにより取得される 磁気信号」は、磁気信号そのものは勿論、 れに限らず、これを積算した積算磁気信号 の磁気信号に基づく信号をも含む概念であ 。ここで、「基準磁気信号」とは、電動機 基準電流を流したときに上記磁場センサに って取得される磁気信号である。また、こ 際の基準電流に対応する電気量が「基準電 信号」であり、この「電気信号」は、電流 びこれを積算した積算電流のみならず、こ らに基づく電気信号を含む概念である。

 さらに、磁場の大きさ「H」は、電力線を 流れる電流「I」に比例し、電力線からの距 (r)に反比例することが知られている(HはI/2πr に比例する)。従って、磁場の大きさに対応 て出力される磁気信号「G」と電力線を流れ 電流「I」は比例関係にあり、このため磁気 信号「G」と電流「I」の相関をデータベース して取得しておけば、このデータベースに づいて、測定により取得される磁気信号「G 」に対応する現時点の電流「I」を取得する とができる。また、このような磁気信号「G と電流「I」の比例関係から、磁気信号の積 算値「Gの積算値」と電流値の積算値「Iの積 値」も比例関係「Gの積算値はIの積算値に 例する」にあるといえる。

 以上のことから、電線管における電力線 の幾何学的な相対位置が変化しない部位に 置した複数の磁場センサにより取得される 準磁気信号と該基準磁気信号に対応する基 電気信号の相関データベースを取得してお ば、次回以降は上記相関データベースを参 して、測定により取得される磁気信号に対 する電気信号を取得することができる。

 本願の第3の発明では、上記第2の発明に係 電動機器の診断方法において、予め上記
電線管内における上記電力線の各電線の位置 を上記電線管内で変化させたときの各位置で の上記各磁場センサの磁気信号相互間の基準 出力パターンを取得しておき、該基準出力パ ターンと測定により取得される上記各磁場セ ンサの磁気信号相互間の実出力パターンを対 比することで、該実出力パターンに対応する 基準出力パターンから上記電線管内における 上記各電線の位置情報を取得し、この位置情 報を診断に反映させることを特徴としている 。

 ここで、上記のように複数の磁場センサ 、電線管における電力線との幾何学的な相 位置が変化しない部位に配置したとしても これは絶対的なものではなく、何等かの原 によって上記幾何学的な相対位置が変化す ことも有り得る。係る場合において、上記 準出力パターンを予め取得しておけば、適 、この基準出力パターンと上記実出力パタ ンを対比し、該実出力パターンが上記基準 力パターンの中の何れのパターンに近似し いるかを調べることで、上記幾何学的な相 位置が変化しているかいないか、さらにど ように変化しているか、等の位置情報を容 に取得することができる。

 従って、この位置情報を電動機器の診断 反映させることで、例えば、上記相関デー ベースを新たに取得し直し、この相関デー ベースを電動機器の診断に用いることで、 頼性のより高い診断結果を得ることができ 。

 本願の第4の発明では、上記第2の発明に る電動機器の診断方法において、測定によ 取得される上記磁気信号と上記他の物理量 相関を示す実相関パターンと、予め取得し 基準状態における磁気信号と他の物理量の 準相関パターンを対比し、これら両パター の相違状態に基づいて電動機器の診断を行 ことを特徴としている。

 ここで、上記磁気信号は電動機器への入 信号として把握される。また、上記他の物 量は、上述のように電動機器の動作に伴っ 生じる物理量であって、例えば、電動機器 電動弁である場合には、そのヨークに発生 るヨーク応力とか、弁棒に発生する弁棒応 等がこれに該当し、上記電動機器側の出力 号として把握されるものである。

 従って、上記基準相関パターンは基準時( 例えば、電動機器の初期設置時、あるいは先 の診断時)における入力信号と出力信号の対 関係を示し、上記実相関パターンは今回の 定時における入力信号と出力信号の対応関 を示すことから、これら基準相関パターン 実相関パターンを対比することで、例えば 電動機器の作動状態の変化とか変化傾向を 易に確認することができる。

 本願の第5の発明に係る電動機器の診断方 法では、上記第1又は第2の発明に係る電動機 の診断方法において、上記電気信号と上記 の物理量をそれぞれ波形信号として表示し これら各波形信号相互間における発生タイ ングの適否、又は繰り返して表示される各 形信号と該各波形信号の全繰り返し期間に ける平均値との偏差に基づいて、上記電動 器の診断を行うことを特徴としている。

 ここで上記電気信号に対応する波形信号 、上記電動機器への入力電気量に対応する 態量であり、また上記他の物理量に対応す 波形信号は、上記電動機器側の出力に対応 る状態量であることから、これら波形信号 互間における発生タイミングを確認するこ で、上記電動機器が適正な作動タイミング 作動しているかどうかを容易に診断するこ ができる。

 また、繰り返して表示される各波形信号 該各波形信号の全繰り返し期間における平 値との偏差を確認することで、電動機器の 作期間中において不適正な作動が発生した どうかを容易に診断することができる。

 本願の第6の発明に係る電動機器の診断方 法では、上記第1又は第2の発明に係る電動機 の診断方法において、上記各電気信号と上 他の物理量をそれぞれ波形信号として表示 、上記各電動部毎に、上記各波形信号相互 における発生タイミングの適否、又は繰り して表示される各波形信号と該各波形信号 全繰り返し期間における平均値との偏差に づいて、上記電動機器の診断を行うことを 徴としている。

 ここで、入力側の波形信号として上記電 機器の複数の電動部のそれぞれへの入力電 量に対応する複数の波形信号が表示され、 た出力側の波形信号として上記他の物理量 対応する波形信号が表示される。このため これら波形信号相互間における発生タイミ グを確認することで、上記電動機器の各電 部がそれぞれ適正な作動タイミングで作動 ているかどうかを容易に診断することがで る。

 また、繰り返して表示される各波形信号 該各波形信号の全繰り返し期間における平 値との偏差を確認することで、電動機器の 記各電動部のそれぞれにおいて、その動作 間中において不適正な作動が発生したかど かを容易に診断することができる。

 本願の第7の発明に係る電動機器の診断方 法では、上記第6の発明に係る電動機器の診 方法において、上記各電気信号に基づく各 形信号のうちの何れか一つの波形信号を基 波形として選択し、該基準波形の特定の波 点を基準として、上記各波形信号及び上記 の物理量に基づいて上記各電動部の作動諸 を取得し、該作動諸元を分析処理すること 上記電動機器の診断を行うことを特徴とし いる。

 ここで、電動部の作動諸元とは、例えば 上記電動機器の複数の電動部それぞれの作 継続時間とか、複数の電動部相互の作動の なり期間等であり、従って、これらの作動 元を分析処理することで、上記電動機器全 としての作動特性をより容易且つ正確に把 することができる。

(1) 本願の第1の発明に係る電動機器の診断方 法によれば、電動機器に入力される電気量に 対応する電気信号と、該電動機器側において 得られる他の物理量との相関に基づいて診断 が行われるものであり、電動機器が電動機の 回転力により駆動される電動弁である場合に は、該電動機に入力される電気量に対応する 電気信号と、例えば、電動弁のヨークに発生 するヨーク応力との相関に基づいて、また電 動機器が電磁コイルの磁気駆動力によって駆 動される原子炉の制御棒駆動装置である場合 には、上記電磁コイルに入力される電気量に 対応する電気信号と上記制御棒駆動装置の作 動時の振動(加速度)センサとの相関に基づい 、それぞれ電動機器の診断を行うことがで 、その診断作業がより簡易且つ迅速に精度 く行われる。
(2) 本願の第2の発明に係る電動機器の診断方 法によれば、上記複数の磁場センサを電線管 に配置するという簡単な手段によって、基準 磁気信号とこれに対応する基準電気信号の相 関データベースを取得でき、次回以降はこの 相関データベースに基づいて、測定により取 得される磁気信号に対応する電気信号を取得 するものであることから、以下のような効果 が得られる。

 (2-1) 例えば、電気箱内の電線に電気量測 定器を取付けて電流値等を計測する従来の方 法のように、電気箱の改造を必要とするとか 、作業中の感電、地絡あるいは短絡等の危険 性を伴うこともなく、簡易・迅速に且つ安全 に電気信号を取得することができる。

 (2-2) 上記複数の磁場センサを、電線管にお ける電力線との幾何学的な相対位置が変化し ない部位に配置しているので、該磁場センサ と電力線の位置関係が一定に維持さ
れ、安定した信頼性の高い測定結果を得るこ とができる。

 (2-3) 上記磁場センサでの測定に基づく電 気信号の取得と、電動機器側における他の物 理量の取得が該電動機器の近傍で共に行え、 且つこれら両者の対比及び確認が容易である ことから、例えば、電気信号は電気盤部分で 、他の物理量は電動機器部分で、それぞれ個 別に行う構成の場合に比して、上記電気信号 と他の物理量の収集、及びこれらの対比確認 が容易であり、延いては、上記電気信号と上 記他の物理量との相関に基づく診断、例えば 、電動機器における駆動力の伝達効率の適否 とか、該伝達効率の変化傾向等の診断を容易 且つ迅速に、しかも高い信頼性をもって行う ことができる。

 (3) 本願の第3の発明に係る電動機器の診 方法によれば、上記(2)に記載の効果に加え 、以下のような特有の効果が得られる。即 、この発明では、予め上記電線管内におけ 上記電力線の各電線の位置を上記電線管内 変化させたときの各位置での上記各磁場セ サの磁気信号相互間の基準出力パターンを 得しておき、該基準出力パターンと測定に り取得される上記各磁場センサの磁気信号 互間の実出力パターンを対比することで、 実出力パターンに対応する基準出力パター から上記電線管内における上記各電線の位 情報を取得し、この位置情報を診断に反映 せるようにしているので、上記基準出力パ ーンを予め取得しておき、適時、この基準 力パターンと上記実出力パターンを対比し 該実出力パターンが上記基準出力パターン 中の何れのパターンに近似しているかを調 ることで、上記幾何学的な相対位置が変化 ているかいないか、さらにどのように変化 ているか、等の位置情報を容易に取得する とができ、この位置情報を電動機器の診断 反映させる、例えば、上記相関データベー を新たに取得し直し、この相関データベー を電動機器の診断に用いることで、信頼性 より高い診断結果を得ることができる。

 (4) 本願の第4の発明に係る電動機器の診 方法によれば、上記(2)に記載の効果に加え 、以下のような特有の効果が得られる。即 、この発明では、測定により取得される上 磁気信号と上記他の物理量の相関を示す実 関パターンと、予め取得した基準状態にお る磁気信号と他の物理量の基準相関パター を対比し、これら両パターンの相違状態に づいて電動機器の診断を行うようにしてい ので、これら両パターンの相違状態から、 動機器の作動状態の変化とか変化傾向を容 に確認することができ、例えば、電動機器 メンテナンス時期を的確に判断することが き、延いては電動機器の保守管理性が向上 る。

 (5) 本願の第5の発明に係る電動機器の診 方法によれば、上記電気信号と上記他の物 量をそれぞれ波形信号として表示し、これ 各波形信号相互間における発生タイミング 適否を確認することで、上記電動機器が適 な作動タイミングで作動しているかどうか 容易に診断することができ、診断の迅速化 び診断精度の向上が図れる。

 また、繰り返して表示される各波形信号 該各波形信号の全繰り返し期間における平 値との偏差を確認することで、電動機器の 作期間中において不適正な作動が発生した どうかを容易に診断することができ、診断 迅速化及び診断精度の向上が図れる。

 従って、この診断方法は、特に電動機器 、電磁コイルを用いた電動部によって多ス ップで段階的に駆動される原子炉の制御棒 動装置であって、各ステップにおける電動 の作動タイミングの適正、不適正を目視等 よって判断するとか、繰り返されるステッ の全範囲内において電動部が適正に作動し いるかどうかを目視等によって判断する「 テッピング試検」における診断方法として 用する場合に好適である。

 (6) 本願の第6の発明に係る電動機器の診断 法によれば、上記(1)又は(2)
に記載の効果に加えて、以下のような特有の 効果が得られる。即ち、この発明では、上記 電動機器が複数の電動部で構成され且つ該各 電動部のそれぞれに対応する電力線毎に上記 電気信号が取得されるものにおいて、上記各 電気信号と上記他の物理量をそれぞれ波形信 号として表示し、上記各電動部毎に、上記各 波形信号相互間における発生タイミングを確 認することで、上記電動機器の各電動部がそ れぞれ適正な作動タイミングで作動している かどうかを容易に診断することができる。

 また、繰り返して表示される各波形信号 該各波形信号の全繰り返し期間における平 値との偏差に基づいて上記電動機器の診断 行うことで、電動機器の上記各電動部のそ ぞれにおいて、その動作期間中において不 正な作動が発生したかどうかを容易に診断 ることができ、これらの結果、上記電動機 の診断の精度及び信頼性のより一層の向上 図られる。

 従って、この診断方法は、特に電動機器 、電磁コイルを用いた電動部によって多ス ップで段階的に駆動される原子炉の制御棒 動装置であって、各ステップにおける電動 の作動タイミングの適正、不適正を目視に って判断するとか、繰り返されるステップ 全範囲内において電動部が適正に作動して るかどうかを目視によって判断する「ステ ピング試検」における診断方法として採用 る場合に好適である。

 本願の第7の発明に係る電動機器の診断方 法によれば、上記(6)に記載の効果に加えて、 以下のような特有の効果が得られる。即ち、 この発明では、上記各電気信号に基づく各波 形信号のうちの何れか一つの波形信号を基準 波形として選択し、該基準波形の特定の波形 点を基準として、上記各波形信号及び上記他 の物理量に基づいて上記各電動部の作動諸元 を取得し、該作動諸元を分析処理することで 上記電動機器の診断を行うものであることか ら、これらの作動諸元を分析処理することで 、上記電動機器全体としての作動特性をより 容易且つ正確に把握することができ、それだ け電動機器の診断の精度及び信頼性が向上す ることになる。

 以下、本発明を好適な実施形態に基づい 具体的に説明する。

 I:第1の実施形態
 図1には、本願発明に係る診断方法を、電動 機器としての電動弁10の診断に適用した第1の 実施形態を示している。

 上記電動弁10は、弁本体部11と弁駆動部16 、ヨーク15を介して連結一体化して構成さ る。上記弁本体部11内には、弁座部12を開閉 る弁体13が収容されている。上記弁体13には 、上記ヨーク15を上下方向に貫通して上記弁 動部16の上部に至る弁棒14が連結されており 、該弁棒14を上記弁駆動部16によって上下方 へ昇降駆動することで上記弁体13が上記弁座 部12に着座あるいは離座し、上記電動弁10が 閉される。

 上記弁駆動部16は、ウォーム22を備え電動 機5によって回転駆動されるウォーム軸21と、 上記ウォーム22と噛合し該ウォーム22側から 転力が伝達されるウォームホイール23と、上 記弁棒14のネジ部に噛合するステムナット(図 示省略)を内蔵し上記ウォームホイール23から の回転力を受けて上記ステムナットを回転駆 動するドライブスリーブ26を備える。また、 記ウォーム軸21の軸端側には、上記弁棒14の トルク調整を行うスプリングカートリッジ24 配置されている。

 そして、この実施形態においては、究極的 は上記電動弁10の電流に関する各種の診
断を行うものであるが、その前作業として、 該電動弁10に入力される電気量を、簡単な構 で安全且つ容易に、しかも高精度で取得す とともに、該電気量に関連する各種データ ースを作成するようにしている。そして、 記電動弁10の診断を行うに際して、予め取 された電気量及び各種データベースを活用 ることで、信頼性の高い診断を実現するも である。

 従って、以下においては、先ず、上記電動 10に入力される電気量の取得手法等につい 説明し、しかる後、その電気量を用いた上 電動弁10の診断手法について説明する。
A:電気量の取得手法
 この実施形態では、上記電動弁10に入力さ る電気量(特に、この実施形態では電流)を、 磁場センサにより検出される磁気信号に基づ いて取得するとともに、この磁気信号と電気 信号の相関をデータベースとして取得するこ とで、次回以降の電気信号の取得の容易化及 び迅速化を図っている。

 A-1:磁場センサ8による磁気信号の取得
 この実施形態では、より簡易に且つ安全に しかも高精度で磁気信号を取得するために 三個の磁場センサ8を組み合わせて磁気信号 を取得するようにしている。

 具体的には、上記電動機5に接続されたフ レキシブル管部4の上流端に接続される鋼管 の電線管1の外周面で且つ該電線管1の軸方向 の同一位置に、その周方向に略同一ピッチで 三個の磁場センサ8A,8B,8Cを配置し、これら三 の磁場センサ8A,8B,8Cによって、上記電線管1 に配置された電力線2の各電線U,V,Wのそれぞ から発せられる磁力線を感知して磁場の大 さに対応した信号を出力するようになって る。

 上記磁場センサ8としては、例えば、ホー ル素子とかアモルファス素子を用いた磁場セ ンサが採用される。また、上記電線管1の上 各磁場センサ8A,8B,8Cが配置された部位は、該 電線管1と電力線2(即ち、各電線U,V,W)との幾何 学的な相対位置が変化しない部位として選定 されたものである。係る部位での測定であれ ば、原則として、何度測定しても上記各磁場 センサ8A,8B,8Cのそれぞれからの出力信号の相 関係が一定に保持されると考えられ、安定 た信頼性のより高い信号データが取得され 。しかし、突発的な何らかの理由によって 上記部位においても電線管1と電力線2との 対位置が変化することも有り得ることから 係る場合の対応についても考慮している(後 する)。

 A-2:磁気信号の演算手法
 ここで、図2を参照して、上記各磁場センサ 8A,8B,8Cを用いた磁気信号の演算手法について 明する。

 この磁気信号の演算手法は、本件出願人 開発し既に特許出願(特願2003-419062、特開2005 -180989)を行っているところであるが、これを 単に説明すると以下の通りである。

 図2において、上記電線管1内に電力線2が 容されている。この電力線2は三相ケーブル であって、三本の電線U,V,Wを有しており、上 のように、該電力線2の上記電線管1内にお る幾何学的な相対位置が変化しないものと れる。また、上記電線管1の外周には、上記 磁場センサ8A,8B,8Cが周方向にそれぞれ120度 位相をもって配置されている。

 ここで、上記各磁場センサ8A,8B,8Cは、各電 U,V,Wのそれぞれから発せ
られる磁力線を感知して磁場の大きさに対応 した信号を出力する特性をもつものであるが 、感知される磁場の大きさは、各電線U,V,Wの 心から各磁場センサ8A,8B,8Cまでの距離に反 例することが知られている。従って、上記 各磁場センサ8A,8B,8Cのそれぞれにおいて、上 記各電線U,V,Wからの距離が異なることから、 電線U,V,Wからの磁力線から感知される信号 異なる。例えば、磁場センサ8Aにおいては、 距離Aru,Arwが小さい電線U,Wから感知される信 は大きいが、距離Arvが大きい電線Vから感知 れる信号は小さいものとなる。

 従って、例えば、上記電線管1に1個の磁 センサを配置し、この磁場センサによって 気信号を検出する構成とした場合には、上 電線管1内での上記電力線2の配置位置と、該 電線管1に対する上記磁場センサの配置位置 よっては、上記電力線2から感知される信号 小さく、精度の高い磁気信号を取得できな 場合も有り得る。

 一方、上記電線管1内における上記電力線 2の配置位置は不明であっても、上記電線管1 複数の磁場センサを配置すれば、磁力線か 感知される信号が大きいものと小さいもの が存在することになるため、例えば、感知 れる信号が大きい磁場センサの出力を磁気 号として採用するとか、感知される信号が きい磁場センサの出力と感知される信号が さい磁場センサの出力の総和を演算にて求 、これを磁気信号として採用することが考 られ、上掲の先行技術では後者の手法を採 し、その具体的な演算方法を開示している 具体的には、各磁場センサ8A,8B,8Cの検知信 を、絶対値で加算、減算等することで、判 し易い大きな信号値として取得し、これを 記電力線2の磁場に対応する磁気信号として 用するものである。

 以上のことから、この実施形態においては 上掲の先行技術で示された磁気信号取得手 を採用し、上記磁場センサ8A,8B,8Cで検出さ た信号値をそれぞれ磁気信号演算手段31に取 り込み、これを該磁気信号演算手段31で演算 理をし、磁気信号として後述の各種の処理 るいは診断に用いるようにしている。
B:診断装置30
 次に、上述の磁気信号の取得手法を踏まえ 上で、図1を参照して、診断装置30の構成及 これによる診断方法について説明する。

 B-1:診断装置30の構成
 上記診断装置30は、上述の上記電線管1に配 された三個の磁場センサ8A,8B,8Cのほかに、 気信号演算手段31、電気信号演算手段32、磁 -電気信号データベース33、磁気信号-物理量 データベース34、出力パターンデータベース3 5、診断手段36、出力手段37及び物理量信号演 手段40を備えて構成される。

 上記磁気信号演算手段31は、上記各磁場 ンサ8A,8B,8Cの検出値に基づいて磁気信号を演 算にて取得し、これを磁気信号Saとして、磁 -電気信号データベース33と磁気信号-物理量 データベース34と出力パターンデータベース3 5と診断手段36へそれぞれ出力する。なお、こ の磁気信号Saは、磁気信号そのもののみなら 、これを積算等の所要の演算処理をして得 れる信号も含まれる。

 
 上記電気信号演算手段32は、例えば、電気 御盤29において電流センサ(図示省略)により 出される検出値に基づいて電気信号を演算 て取得し、これを電気信号Sbとして、磁気- 気信号データベース33と磁気信号-物理量デ タベース34及び診断手段36へそれぞれ出力す る。なお、この電気信号Sbは、電流信号のほ 、これを積算等の演算処理をして得られる 号も含まれる。

 B-1-2:磁気-電気信号データベース33
 上記磁気-電気信号データベース33では、基 状態(例えば、初回の測定時)において、上 磁気信号演算手段31から入力される磁気信号 (基準磁気信号)と上記電気信号演算手段32か 入力される電気信号(基準電気信号)との相関 を求め、これをデータベースとして保有する 。従って、次回以降の測定においては、上記 磁気信号演算手段31から入力される磁気信号S aに対応する電気信号を上記磁気-電気信号デ タベース33から読み出し、これを電気信号Sc として診断手段36へ出力する。

 なお、上記診断手段36には、上記電気信 演算手段32からの電気信号Sbと上記磁気-電気 信号データベース33からの電気信号Scとが入 されるようになっているが、これは計測に って電気信号を得ることができるときには この計測に基づく上記電気信号演算手段32か らの電気信号Sbを診断に用い、計測をしない 合、あるいは計測できない場合には、上記 気-電気信号データベース33からの電気信号S cを診断に用いるためである。

 B-1-3:磁気信号-物理量データベース34
 上記磁気信号-物理量データベース34は、上 磁気信号演算手段31から入力される基準状 における磁気信号Saと、後述する物理量信号 演算手段40から入力される物理量信号Seとを けてこれらの相関を求め、これをデータベ スとして保有する。従って、次回以降の測 では、上記磁気信号演算手段31から入力され る磁気信号Saに対応する物理量信号を上記磁 信号-物理量データベース34から読み出して れを上記診断手段36における診断に用いる とができる。

 尚、ここでは、上記磁気信号-物理量デー タベース34に上記磁気信号演算手段31からの 気信号Saを入力するようにしているが、これ に代えて、上記電気信号演算手段32からの電 信号Sbを入力するように構成することもで る。

 B-1-4:出力パターンデータベース35
 上記出力パターンデータベース35は、上記 線管1内で上記電力線2の位置を変化させた場 合における上記各磁場センサ8A,8B,8Cの出力パ ーン(基準出力パターン)をデータベースと て保有し、この基準出力パターンと、実際 測定における上記各磁場センサ8A,8B,8Cの出力 パターンである実出力パターンとを対比し、 その対比結果を出力パターン信号Sfとして上 診断手段36に出力し、該診断手段36での診断 に反映させるものである。

 ここで、上記電線管1内で上記電力線2の 置が変化する場合としては、二つのケース 考えられる。その一つは、電線管1内におい 上記電力線2が該電線管1との回転方向の相 関係を維持したまま平行移動する場合(以下 第1の場合」という)であり、他の一つは上 電線管1内において上記電力線2が捩れて、又 は上記第1の場合のような平行移動と同時に れて、該電線管1との相対関係が変化する場 (以下「第2の場合」という)である。

 上記第1の場合について、これを具体的に説 明すると、図8に示すように、上記電線管1内 おいて上記電力線2の位置を順次変化させた 場合(例えば、電力線2A→2B→2C→2D→・・・の 順で位置を変化させた場合)における各位置 の各磁場センサ8A,8B,8Cの出力パターンを、図 9に示すような「位置1→位置2→位置3→位置4 ・・・」についての基準出力パターンとし 保有する。そして、この基準出力パターン 、図10に示すような測定で得られた上記各 場センサ8A,8B,8Cの実出力パターンとを対比し 、この実出力パターンが最も近似する基準出 力パターンを抽出し、この抽出された基準出 力パターンに対応する位置を、現在の上記電 線管1内における上記電力線2の
配置位置であるとして、これを後述の診断手 段36へ出力し、該診断手段36における診断に 映させるものである。

 また、第2の場合で、特に平行移動に加え て捩れが生じた場合は、上記電線管1内にお て上記電力線2を平行移動とともに回転させ 、各回転位置における各磁場センサ8A,8B,8C 出力パターンを基準出力パターンとして保 する(図9参照)。そして、この基準出力パタ ンと、測定で得られた上記各磁場センサ8A,8B ,8Cの実出力パターン(図10参照)とを対比し、 の実出力パターンが最も近似する基準出力 ターンを抽出し、この抽出された基準出力 ターンに対応する位置を、現在の上記電線 1内における上記電力線2の回転位置であると して、これを後述の診断手段36へ出力し、該 断手段36における診断に反映させるもので る。

 B-1-5:物理量信号演算手段40
 上記物理量信号演算手段40には、上記ヨー 応力センサ25によって検出されるヨーク応力 信号が入力される。この物理量信号演算手段 40には、図示しないが、ヨーク応力と該ヨー 応力と対応関係にある弁軸力の基準状態に ける相関データベースが備えられている。 して、上記物理量信号演算手段40は、上記 ーク応力センサ25からヨーク応力信号が入力 されると、これを受けて、例えば、該ヨーク 応力信号そのものを物理量信号Seとして、又 入力されたヨーク応力信号に対応する弁軸 を上記相関データベースから読み出してこ を物理量信号Seとして、上記磁気信号-物理 データベース34と上記診断手段36へ出力する 。

 なお、ここでは、物理量として、ヨーク 力と弁軸力を想定しているが、これらヨー 応力と弁軸力は共に電動弁10における「出 トルク」に対応するものであり、従って、 れらと同様に「トルク」に対応する上記ス リングカートリッジ24の圧縮力や圧縮量も上 記物理量として採用することができる。例え ば、上記ウォーム軸21の軸方向変位を、該ウ ーム軸21の軸方向変位に追従して回転する 転子の回転角として非接触状態で検出する 転角センサで検出される回転角信号を上記 理量信号演算手段40に物理量信号Seとして入 することもできる。

 ここで、この回転角センサによる非接触 態での物理量の検出手法の一例として、ス リングカートリッジの圧縮量の検出手法を 明する。

 図18において、符号70は、ウォーム軸の軸 方向変位に追従して回転する回転軸71を備え トルクスイッチであり、該回転軸71の端面 中心位置には磁石72が取付けられている。従 って、上記磁石72は、上記ウォーム軸と一体 に回転することになる。

 一方、上記磁石72から上記回転軸71の端面 の径方向へ適宜離間した位置には回転角セン サ73が配置されている。ここでは、上記回転 センサとして、磁力線を感知して磁場の大 さに対応した信号を出力するアモルファス 子を用いた磁場センサを採用している。

 係る構成において、ウォーム軸の軸方向 位に追従して上記トルクスイッチ70の回転 71が回転変位すると、この回転軸71の回転変 と一体的に上記磁石72が回転し、その結果 上記磁石72から生じている磁力線の上記磁場 センサ73に対する方向が変化し、該磁場セン 73によって感知される上記磁石72からの信号 の大きさが変化する。従って、この磁気信号 の変化に基づいて上記トルクスイッチ70の回 軸71の回転角、さらにこの回転角の大きさ 比例するウォーム軸の軸方向変位量、上記 プリングカートリッジ24の圧縮量、及び上記 電動弁10の駆動部(ウォーム部)トルクを取得 ることができるものである。

 このように非接触状態での検出手法を採 すれば、上記トルクスイッチ70の動作時の 位には何等影響を与えないため、該トルク イッチ70の作動上の信頼性及び検出精度が向 上することになる。

 B-1-6:診断手段36
 上記診断手段36は、上記磁気信号演算手段31 から入力される磁気信号Saと、上記電気信号 算手段32から入力される電気信号Sbと、上記 磁気-電気信号データベース33から入力される 電気信号Scと、上記磁気信号-物理量データベ ース34から入力される物理量信号Sdと、上記 理量信号演算手段40から入力される物理量信 号Seと、上記出力パターンデータベース35か 入力される出力パターン信号Sfとを受けて、 上記電動弁10の各種の診断を行う。この診断 段36における具体的な診断については、後 する。

 B-1-7:出力手段37
 上記出力手段37は、上記診断手段36から出力 される診断結果を受けて、表示手段38にその 断結果を表示させるとともに、警報手段39 おいて所要の警報を発生させる。

 B-2:診断手段36における診断内容等
 ここで、上記診断手段36におけるいくつか 診断例を、図3~図7を参照して説明する。

 B-2-1:電動弁10の設定トルクに関する診断
 図3には、電流とヨーク応力との相関図を示 している。ここで、電動弁10においては、ヨ ク応力は出力トルクに対応し、また電流値 その積算値が入力に対応することから、上 相関図は上記電動弁10の入出力曲線に相当 る。そして、基準時における入出力曲線は ヨーク応力(即ち、出力トルク)が変化せずに 電流(積算値)のみが上昇変化する状態を示す 分L1と、ヨーク応力と電流の双方が所定の 昇率で上昇変化する状態を示す線分L2で規定 される。

 また、基準状態における最大出力トルクa は、電動弁10の設定トルクスイッチ動作時の 力トルクに対応するものであり、基準状態 は上記電動弁10はスプリングカートリッジ24 の設定トルクに基づいて弁開閉時のトルク制 御がなされる。

 ここで、次回以降の測定によれば、基準 態における入出力曲線を略維持しているも の、上記最大出力トルクが、上記線分L2上 基準状態時の最大出力トルク「a」よりも高 ルク側の「c」へ変化していた場合(第1の場 )と、上記線分L2上で基準状態時の最大出力 ルク「a」よりも低トルク側の「b」へ変化 ていた場合(第2の場合)を想定する。

 これらの変化のうち、上記第1の場合は、 設定トルク値が基準状態時よりも上昇してい る状態であって、このような状態の発生原因 としては、上記電動弁10のスプリングカート ッジ24に充填されたグリスの硬化に伴う皿 ネの圧縮抵抗の増加とか、上記ウォーム22の スライド抵抗の増加とか、トルクスイッチの 高トルク側への位置ズレ等が考えられる。

 上記第2の場合は、設定トルク値が基準状 態時よりも低下している状態であって、この ような状態の発生原因としては、上記スプリ ングカートリッジ24の皿バネの劣化とか、ト クスイッチの低トルク側への位置ズレ等が えられる。

 尚、上記のような設定トルクの変化状態 、上記磁場センサ8A,8B,8Cで測定された磁気 号に対応して上記磁気-電気信号データベー 33から読み出される電気信号Scと、上記ヨー ク応力センサ25からのヨーク応力信号Seを図 化することで、即座に且つ明確に判断する とができる。

 係る診断結果が上記表示手段38において 示され、また上記警報手段39によって警報が 発せられることで、適切な対応を迅速にとる ことができ、電動弁10の運転上における信頼 が向上する。また、上記設定トルクの変化 態から部品交換等のメンテナンス時期を予 することもできる。

 B-2-2:電動弁10の上下流間における駆動損失 関する診断
 図4には、実線で示す基準状態における入出 力曲線に対して、次回以降の測定においては 基準状態における線分L2が破線で示す線分L21, L22のように変化した例を示している。第1の 合は、線分L21で示すように、最大出力トル (設定トルクスイッチの動作時の出力トルク) は変化することなく、基準状態における線分 L2がそのまま高電流側へ変化した場合である 第2の場合は、線分L22で示すように、最高出 力トルク(設定トルクスイッチの動作時の出 トルク)が低トルク側へ変化するとともに、 準状態における線分L2が高電流側へ変化し 場合である。

 ここで、上記第1の場合も第2の場合も、 に電流が基準状態時よりも増加しており、 動力伝達系において駆動損失が発生したと 断できる。

 そして、上記第1の場合は、設定トルクス イッチの動作時の出力トルクに変化がないが 、同じ出力トルクを得るためには基準状態よ りも大きな電流値を必要としていることから 、上記電動弁10の上流側(入力側)における駆 力の伝達効率が低下し駆動損失が発生して ると判断することができる。係る上流側に ける駆動損失の発生原因としては、例えば 上記電動機5とウォーム軸21の間での噛合状 の悪化が考えられる。

 これに対して、上記第2の場合は、設定ト ルクスイッチの動作時の電流は同じであるが 、低トルク側へ変化していることから、上記 電動弁10の下流側(出力側)における駆動力の 達効率が低下して駆動損失が発生したもの 判断することができる。係る下流側におけ 駆動損失の発生原因としては、例えば、上 弁棒14と上記ドライブスリーブ26に内蔵され 該弁棒14と噛合するステムナットの間の潤 不良が考えられる。

 このような診断結果が上記表示手段38に いて表示され、また上記警報手段39によって 警報が発せられることで、適切な対応を迅速 にとることができ、電動弁10の運転上におけ 信頼性が向上する。また、上記出力トルク 変化状態から部品交換等のメンテナンス時 を予測することもできる。

 B-2-3:電動弁10の弁棒摺動抵抗に関する診断
 図5には、実線で示す基準状態における入出 力曲線が、次回以降の測定では破線で示すよ うに変化した例を示している。第1の場合は 基準状態における線分L1が線分L11で示すよう に高トルク側へ変化するとともに、基準状態 における線分L2が線分L21で示すように高電流 へ変化し、しかも設定トルクスイッチの動 時の出力トルクには変化が無い場合である 第2の場合は、基準状態における線分L1が線 L12で示すように低トルク側へ変化するとと に、基準状態における線分L2が線分L22で示 ように低電流側へ変化し、しかも設定トル には変化が無い場合である。

 ここで、上記第1の場合は、上記弁棒14部分 装着されたグランドパッキンの摩擦抵
抗が高くなり過ぎたことが発生原因として挙 げられ、また、第2の場合は、逆に、上記グ ンドパッキンの摩擦抵抗が低くなり過ぎた とが発生原因として挙げられる。

 このような診断結果が上記表示手段38に いて表示され、また上記警報手段39によって 警報が発せられることで、適切な対応を迅速 にとることができ、電動弁10の運転上におけ 信頼性が向上する。

 B-2-4:ヨーク応力センサ25の感度に関する診
 図6には、実線で示す基準状態における入出 力曲線が、次回以降の測定では、破線で示す ように、設定トルクスイッチの動作時の出力 トルクに対応する電流「G1」、及び弁タッチ の電流「G2」を維持したまま、全体として トルク側へ所定量だけ平行移動するように 化した場合を示している。

 このような変化状態は、上記ヨーク応力 ンサ25の感度の劣化が原因と考えられる。 って、係る場合の対応措置としては、上記 ーク応力センサ25を交換する他に、例えば、 上記ヨーク応力センサ25の出力値を、基準状 における最低トルク値「t1」と変化後の最 トルク値「t2」の比率によって補正し、補正 後のヨーク応力を以降の診断に用いることが 考えられる。

 係る診断結果が上記表示手段38において 示され、また上記警報手段39によって警報が 発せられることで、適切な対応を迅速にとる ことができ、電動弁10の運転上における信頼 が向上する。

 B-2-5:磁場センサ8の感度に関する診断
 図7には、実線で示す基準状態における入出 力曲線の線分L2が、次回以降の測定では、破 で示す線分L21のように、最小出力トルク及 最大出力トルク(設定トルクスイッチの動作 時の出力トルク)を維持したまま、低電流側 変化した場合を示している。

 このような変化状態は、上記磁場センサ8 A,8B,8Cの感度の劣化が原因と考えられる。従 て、係る場合の対応措置としては、上記磁 センサ8A,8B,8Cのうち劣化している磁場センサ を交換する他に、例えば、上記磁場センサ8A, 8B,8Cでの測定に基づいて得られた電流を、基 状態時の最大電流「la」と変化後の最大電 「lb」の比率によって補正、補正後の電流を 以降の診断に用いることが考えられる。

 ここで、上記磁場センサ8A,8B,8Cのうち、 化している磁場センサを特定する必要があ が、この特定の手法としては、例えば、基 状態において上記各磁場センサ8A,8B,8Cのそれ ぞれから得られる磁気信号を上記磁気信号演 算手段31に保有しておき、次回以降において 記各磁場センサ8A,8B,8Cのそれぞれから得ら る磁気信号を、基準状態時の各磁気信号と 比することで容易に特定することができる

 ところで、上記ヨーク応力センサ25の校 であるが、この校正は、該ヨーク応力セン 25を上記電動弁10のヨーク15に取付けたまま うことができる。

 即ち、図11には、電動弁10の開作動時にお けるヨーク応力の変化状態を示している。こ こで、点aは弁棒14の圧縮が完全に開放された 位置であり、点bは弁棒14が作動を開始した位 置であり、この点aと点bの範囲では該弁棒14 フリー状態とされ、上記ヨーク15には外力が 作用しない。このように上記ヨーク15に外力 作用しない位置を「0点位置」と規定するが 、この「0点位置」は上記電動弁10の開作動時 及び閉作動時には必ず生じるものである。

 一方、点cから以降の領域は、弁体13が開 向へ安定的に移動している領域であって、 の領域では弁棒14には主としてグランドパ キンの締付力による摺動抵抗が作用してお 、且つこの摺動抵抗は安定していることか 、上記領域(安定域)では上記ヨーク15には略 定の張力(ヨーク応力)Pが作用しており、そ 値は上記「0点位置」からの大きさとなる。 また、ヨーク応力と弁軸力の間には一定の相 関(直線関係)がある。従って、上記「0点位置 」と(安定域)が存在することと、上記ヨーク 力と弁軸力の間の直線関係を利用すること 、上記ヨーク応力センサ25の校正を簡易に なうことができる。具体的には以下の通り ある。

 先ず、上記ヨーク応力センサ25の他に、 記弁棒14に弁軸力センサ(歪センサ)を仮設す 。そして、上記電動弁10を開作動させ、上 「0点位置」と上記弁体13が安定的に移動し いる領域、即ち、図11の点c以降の所定の一 の双方で、ヨーク応力と弁軸力をそれぞれ 定し、この2点の測定値に基づいてヨーク応 と弁軸力の相関データベースを取得する。 お、上記弁軸力センサは、相関データベー 取得後は取外す。そして、上記ヨーク応力 ンサ25の校正に際しては、上記相関データ ース取得時と同様に、上記ヨーク応力セン 25の他に、上記弁棒14に弁軸力センサ(歪セン サ)を仮設し、上記電動弁10の開作動時におけ る上記「0点位置」と上記安定域で、上記ヨ ク応力センサ25と弁軸力センサによってヨー ク応力と弁軸力をそれぞれ測定する。この測 定値を上記相関データベースと対比し、該相 関データベースを更新することで上記ヨーク 応力センサ25の校正が行なわれる。

 この校正手法によれば、上記弁棒14をフ ストーロークさせることなく、その一部、 ち、上記安定域で作動させることで上記ヨ ク応力センサ25の校正を行なうことができ、 また上記「0点位置」と上記グランドパッキ の締付力によって生じる上記安定期を利用 ることで、特別の装置を備えることなく上 ヨーク応力センサ25の校正を行なうことがで きるものであり、これらの相乗効果として、 上記ヨーク応力センサ25の校正を簡易且つ迅 に行なうことができるものである。

 また、上記弁棒14に弁軸力センサを常設 ると、該弁棒14のストローク中に摺動部分に 食い込まれる恐れがあるが、上記ヨーク応力 センサ25を上記ヨーク15に常設してもこのよ な恐れは無いことから、上記ヨーク応力セ サ25を上記ヨーク15に常設し、基準の相関デ タベースの取得時と上記ヨーク応力センサ2 5の校正時にのみに上記弁軸力センサを仮設 ることで、上記ヨーク応力センサ25の校正を 行うことができ、校正作業の簡易化が可能と なる。

 II:第2の実施形態
 図12には、本願発明に係る診断方法を、電 機器としての制御棒駆動装置50の診断に適用 した第2の実施形態を示している。

 上記制御棒駆動装置50は、周知の構造を つもので、ハウジング55内に、昇降駆動され る駆動軸56と、該駆動軸56を磁気駆動力によ て軸方向へ駆動する第1の電磁コイル51(以下 「LIFTコイル51」という)と、該駆動軸56を把 して昇降させる可動グリッパ用の第2の電磁 コイル52(以下、「MGコイル52」という)と、該 動軸56を固定位置で把持する固定グリッパ の第3の電磁コイル53(以下、「SGコイル53」と いう)を収容して構成され、上記LIFTコイル51 MGコイル52及びSGコイル53が所定タイミングで それぞれ一回作動することで上記駆動軸56が1 ステップだけ上昇又は降下されるものである 。

 そして、この1ステップの作動が多数回繰り 返されることで、上記駆動軸56の下端側に連 された制御棒の炉心からの引抜又は炉心へ 挿入が実現されるものである。なお、
上記LIFTコイル51,MGコイル52及びSGコイル53は、 特許請求の範囲中の「複数の駆動部」に該当 する。

 そして、係る制御棒の引抜操作又は挿入 作は、上記各コイル51~53がそれぞれ電力ケ ブル2からの給電を受けて順次所定タイミン で励磁又は消磁されることで行われる。ま 、この場合における上記各コイル51~53への 給電流は、それぞれLIFT信号(図12では「LIFT」 と略記する)、MG信号(図12では「MG」と略記す )及びSG信号(図12では「SG」と略記する)とし 、後述する診断装置41側へ入力される。

 ここで、これらLIFT信号とMG信号及びSG信 の取得手法について説明する。図12に示すよ うに、電気制御盤29から電力線2を通して給電 される。この場合、上記各電力線2は、それ れ専用の電線管1A~1Cに収容されている。この ような配線構造に着目して、ここでは、上記 第1の実施形態に適用されていた電流取得手 を採用している。

 即ち、上記各電線管1A~1Cにおける上記電 ケーブル2との幾何学的な相対位置が変化し いような部位の外周面に三個の磁場センサ8 A,8B,8Cを周方向に所定間隔で取付け、該各磁 センサ8A,8B,8Cによって上記電力ケーブル2へ 通電によって発せられる磁気信号を取得す 。そして、各電線管1A~1Cのそれぞれに備えた 上記各磁場センサ8A,8B,8Cの検出信号(磁気信号 )をそれぞれ磁気信号演算手段31に入力する。

 上記磁気信号演算手段31では、予め上記 電力ケーブル2のそれぞれに基準電流を流し ときに上記各磁場センサ8A,8B,8Cで検出され 基準磁気信号を求め、この基準電流と基準 気信号の相関を上記電線管1A~1C毎にデータベ ースとして保有する。従って、上記磁気信号 演算手段31では、上記各電線管1A~1Cに取付け 上記各磁場センサ8A,8B,8Cから磁気信号が入力 されたとき、この計測された磁気信号に対応 する電流を上記各データベースから読み出し 、ここで読み出された電流を、それぞれLIFT 号、MG信号及びSG信号として上記診断装置41 出力するものである。なお、上記磁場セン 8A,8B,8Cのそれぞれで検出された磁気信号は、 例えば、これらを加算して上記磁気信号演算 手段31に入力される。

 従って、係る電流取得手法を採用するこ で、上記第1の実施形態の場合と同様に、原 子力設備の稼働中であっても、上記電気制御 盤29を開いたりすることなく、安全に且つ容 に電流を取得することができるものである

 一方、上記制御棒駆動装置50には、振動 ンサ(加速度計)54が備えられている。この振 センサ54は、上記制御棒駆動装置50の作動に 伴って発生する作動音を検知し、これを振動 信号(加速度信号)(以下、「ACC信号」という。 図12では「ACC」と略記する)として、後述の診 断装置41へ出力するようになっている。

 続いて、診断装置41の構成等について説 する。

 上記制御棒駆動装置50は、上述のように 上記各コイル51~53の磁気駆動力によって作動 されるものであって、その作動の的確性ある いは作動上の信頼性は、これら各コイル51~53 作動タイミングあるいは作動時間等の作動 態が適正に維持されていることが必須要件 なる。従って、制御棒駆動装置50の作動の 確性あるいは作動上の信頼性を確保するた には、これら各コイル51~53の作動状態を定期 的に診断することが必要であり、係る診断に 供せられるのが上記診断装置41である。

 上記診断装置41は、二種類の診断、即ち 上記制御棒駆動装置50の各スッテプにおける 上記各コイル51~53の作動タイミングの適否を 視にて簡易且つ迅速に診断する「ステッピ グ試験」と、さらに上記ACC信号と各電気信 、即ち、LIFT信号、MG信号及びSG信号の作動 元を分析処理する「詳細分析」を同時に並 して行うことができるようになっており、 12に示すように、上記「ステッピング試検」 を実施するための第1診断部42と上記「詳細分 析」を実施するための第2診断部43を備えてい る。

 なお、上記「ステッピング試験」として 、上記制御棒駆動装置50の1ステップ毎の作 状態を確認する「個別ステッピング試験」 、全ステップを通して作動状態を確認する 連続ステッピング試験」とがある。

 上記第1診断部42は、それぞれ後述する第1 演算部44と第2演算部45と表示部46及び第1出力 47を備えて構成される。一方、上記第2診断 43は、上記第1演算部44と上記第2演算部45の に、後述する第3演算部48及び第2出力部49を えて構成される。そして、これら何れの診 部42,43においても、上記磁気信号演算手段31 らの各電気信号、即ち、上記LIFT信号とMG信 及びSG信号と、上記ACC信号、共に波形信号 して用いるようにしている。

 上記第1演算部44は、上記磁気信号演算手 31から出力されるLIFT信号とMG信号とSG信号を 波形信号としてそれぞれ収録するとともに、 上記振動センサ54からのACC信号も波形信号と て収録し、これらを次述の第2演算部45へ出 する。なお、この実施形態では、説明の便 上、上記制御棒駆動装置50が単一の場合、 ち、電気信号としての上記LIFT信号とMG信号 SG信号がそれぞれ一つである場合を例示して いるが、実際的には、後述するように、例え ば、四つの制御棒駆動装置50を一組とし(即ち 、4ロット分を一組とし)、これら四つの制御 駆動装置50側からそれぞれ入力される各四 のLIFT信号とMG信号とSG信号を同時に収録し、 これら4ロット分の波形信号を、ACC信号とと に第2演算部45へ同時に出力するようにして る(図15参照)。

 ここで、連続ステッピング試験において 振動センサ54からのACC信号を上記第1演算部4 4に取り込む場合の手法を、図17を参照して説 明する。

 振動センサ54からのACC信号は、周波数の い(主に2~5kHz)交流信号である。このACC信号の 波形についてステップ毎の平均値算出や比較 をする時には、図17(イ)に示すように、交流 形そのものではなく、交流波形の振幅変化 形状を扱うことになる。

 ここで、この交流波形の振幅変化の形状を めるためには、交流波形を全波整流し、そ 結果の包絡線(エンベロープ)を求める方法 一般的である。この時、元の交流波形をで るだけ詳細に測定しておく必要があるが、2~ 5kHzの交流を測定するためには、10kHz以上の高 い周波数(短い周期)でサンプリングしなけれ ならない。しかし、連続ステッピング試験 は、連続して長時間サンプリングを行うの 、高いサンプリング周波数ではデータ量が 大になってしまい、後の演算処理に不都合 ある(なお、他のLIFT信号,MG信号,SG信号では 1kHzのサンプリング周波数で充分である。)
 そこで、この実施形態では、次のような手 を採用した。即ち、図17(ロ)に示すように、 ACC信号をサンプリングする前段に、エンベロ ープ処理器60を設置する。そして、このエン ロープ処理器60では、振動センサ54から入力 されたACC信号を、アナログ式の全波整流回路 61において全波整流をし、さらに平滑回路62 おいて平滑処理をして、第1演算部44へ出力 る。この場合、上記エンベロープ処理器60か らの出
力は比較的周波数が低くなっているので、他 のLIFT信号,MG信号,SG信号と同様に、1kHzのサン リング周波数で充分に測定できることにな 。

 上記第2演算部45は、個別ステッピング試 においては、上記第1演算部44から入力され 4ロット分のLIFT信号とMG信号とSG信号を1ロッ ト分ずつ、上記ACC信号とともに順次上記第1 断部42側の上記表示部46と上記第2診断部43側 上記第3演算部48へそれぞれ出力する。また 連続ステッピング試験においては、全ステ プを通して上記第1演算部44から入力された4 ロット分のLIFT信号とMG信号とSG信号を1ロット 分ずつ、上記ACC信号とともに順次上記第1診 部42側の上記表示部46と上記第2診断部43側の 記第3演算部48へそれぞれ出力する。

 上記表示部46は、個別ステッピング試験 おいては、上記第2演算部45から入力される1 ット毎の各波形信号をモニタに順次表示し( 図13参照)、ここに表示された波形信号を目視 することによる診断を可能とする。

 また、連続ステッピング試験においては 上記第2演算部45から入力される1ロット毎の 各波形信号をモニタに連続的表示し(図16参照 )、ここに表示された波形信号を目視するこ 、あるいは自動的に評価することによる診 を可能とする。

 なお、図16に連続ステッピング試験にお る波形表示を示している。ここで、連続ス ッピング試験における評価手法を説明する この例では、1ステップ毎に繰り返して表示 れるLIFT信号が、適正状態であれば全ステッ プを通して同一波形となるところ、途中のス テップにおいて、部位aで示すように他のス ップの波形とは異なった波形が表示されて る。このように本来同一波形が繰り返され べきところ、異なる波形が現れたことで、 記LIFTコイル51側において故障あるいは作動 良が生じたことを、目視によって知ること できる。

 一方、係る評価をソフト上において自動 に行う場合には、先ず、各ステップにおい 繰り返して表示される各波形信号と該各波 信号の全繰り返し期間(全ステップ)の波形 号の平均値との偏差を求め、該偏差が所定 閾値を越えた波形信号が存在する場合には この閾値を越えた波形信号が属するステッ における作動は「注意を要する」あるいは 異常である」と評価するものである。図16に 示す例の場合には、上記部位aが属するステ プにおける作動は要注意あるいは異常であ と評価される。この評価手法によれば、信 性の高い高精度の評価をより迅速に得るこ ができる。

 なお、上記評価は、特定の電気信号に基 く波形信号、例えば、上記LIFT信号について の連続ステッピング試験であるが、係る手法 を用いた連続ステッピング試験としてはこの 他に、例えば、複数の電気信号に基づく波形 信号、例えば、上記LIFT信号とMG信号とSG信号 三者間、あるいは適宜選択された二者間に いても適用できる。例えば、全ステップの ち、あるステップではLIFT信号とMG信号に基 く波形信号は共に正常であるが、SG信号に づく波形信号は異常であり、当該ステップ 体としてみた場合には「異常」であると評 するものである。

 さらに、個別、連続の何れのステッピン 試験においても、必要に応じて、上記表示 46に表示された波形信号を上記第1出力部47 おいてプリントアウトし、紙面での確認あ いは保存が可能である。

 
 一方、上記第2診断部43側の上記第3演算部48 おいては、上記第2演算部45から1ロット毎に 出力される電流に関するLIFT信号とMG信号とSG 号と、作動音に
関するACC信号を受けて、これら各波形信号を モニタに1ロットずつ表示するとともに、こ らLIFT信号とMG信号とSG信号の何れか一つ、例 えば、LIFT信号を基準として、上記ACC信号と 電気信号の作動諸元を詳細に分析処理し、 の分析結果をデータ化して表示する(図13、 14参照)。

 また、必要に応じて、第3演算部48での表 内容及び分析結果を第2出力部49においてプ ントアウトし、紙面での確認あるいは保存 可能とする。

 ここで、上記診断装置41における診断の 体的な内容を、個別ステッピング試験を例 とり、図13及び図14を参照して説明する。

 図13(イ)は、制御棒駆動装置50による制御 の引抜操作時の1ステップにおけるLIFT信号 MG信号とSG信号及びACC信号を表示している。 た、図13(ロ)は、制御棒駆動装置50による制 棒の挿入操作時の1ステップにおけるLIFT信 とMG信号とSG信号及びACC信号を表示している

 上記第1診断部42の上記表示部46での表示 あっては、図13(イ)、(ロ)における波形信号 みが表示される。この第1診断部42でのステ ピング試験にあっては、上記LIFT信号とMG信 とSG信号及びACC信号の各信号間の時間的な発 生タイミング、即ち、上記LIFTコイル51,MGコイ ル52及びSGコイル53の動作順序(ON-OFF)が目視に り確認できれば足りることから、波形信号 表示のみで十分だからである。

 これに対して、上記第2診断部43の第3演算 部48においては、図13(イ)、(ロ)のように、LIFT 信号とMG信号とSG信号及びACC信号の波形表示 ともに、分析処理の結果が付され、さらに 14(イ)、(ロ)に示すようなデータ表示がなさ る。

 ここで、上記分析処理において分析対象 なる諸元としては、図13及び図14に示すよう に、上記LIFTコイル51とMGコイル52及びSGコイル 53のそれぞれについて規定されている。

 上記LIFTコイル51の動作に関しては、引抜操 においては可動グリッパによって駆動軸56 掴んだ状態でこれを引抜く時間であり、挿 操作においては駆動軸56を掴まない状態で上 記可動グリッパが上昇する時間である時間「 TLin」と、引抜操作においては引抜動作の完 後に上記可動グリッパが初期位置まで復帰 る時間であり、挿入操作においては可動グ ッパによって駆動軸56を掴んだ状態でこれを 挿入する時間である「TLout」が規定され、
 上記MGコイル52の動作に関しては、該MGコイ 52の励磁開始時点から駆動軸56に対するグリ ップ動作が完了するまでの時間「TMin」と、 記MGコイル52の消磁開始時点から駆動軸56に するグリップ開放が終了するまでの時間「TM out」が規定され、
 上記SGコイル53の動作に関しては、該SGコイ 53の消磁開始時点から駆動軸56に対するグリ ップ開放が完了するまでの時間「TSout」と、 記SGコイル53の励磁開始時点から駆動軸56に するグリップ動作が完了するまでの時間「T Sin」が規定されている。

 また、これらLIFTコイル51とMGコイル52及びSG イル53の三者間における動作に関しては、
 「TMin」の到達時点から「TSout」の開始時点 での時間「dTMS」と、
 「TSin」の到達時点から「TMout」の開始時点 での時間「dTSM」と、
 「TMout」の到達時点から「TLout」の到達時点 までの時間「dTLM」である。

 なお、「TMin」の到達時点と、「TSout」の 達時点と、「TLin」の到達時点と、「TSin」 到達時点と、「TMout」の到達時点と、「TLout の到達時点については、全て上記ACC信号の 上り時点で判断する。

 ところで、このような各諸元を分析処理 その適否を診断するに際しては、上記制御 駆動装置50側からのデータを収集するが、 常、該制御棒駆動装置50を数ステップ連続し て運転させるとともに、その連続運転期間に おけるデータの全部を連続して収拾するよう にしているため、分析の準備として、連続し た数ステップ分のデータをステップ毎に切り 分ける必要がある。また、このステップ毎の 切り分けを行うためには、ステップ毎の収集 開始時点を設定する必要がある。

 係る場合、一つの方法として、制御系全 を一括する制御信号を用いることが知られ いるが、この制御信号は制御の信頼性の確 等の観点からして極めて重要な信号である め、あるいは測定回路をシンプルにし信頼 の向上と低コスト化のために、この制御信 を用いることなく上述のステップ毎の切り けを行うことができれば好都合である。

 そこで、この実施形態では、上記LIFT信号 とMG信号とSG信号の何れかを、切り分けのた の基準信号として利用するようにしたもの ある。この場合、図13に示すように、これら LIFT信号とMG信号及びSG信号を対比すると、LIFT 信号の立上り形状は、他の信号に比して明確 で極めて判定がし易い点に着目し、このLIFT 号を基準信号として利用するようにしてい 。

 具体的には、図13に示すようにLIFT信号に ける上記LIFTコイル51の励磁開始時点(「TLin の開始点)から時間「ts」だけ遡った時点を り分けの基準位置として設定する。そして この基準位置から、該基準位置における各 号の状態が再度繰り返される位置までの範 を、1ステップの信号切り分け範囲としてい 。なお、この実施形態では上記LIFTコイル51 励磁開始時点が特許請求の範囲における「 定の波形点」に該当する。また、切り分け 基準位置を制御回路から求める(例えば、操 作員による操作レバーのON操作から一定時間 経過時点を切り分けの基準位置とする等)こ とも考えられる。

 このように各ステップの信号を順次収集 、これを上記第3演算部48において演算によ 分析する。そして、この分析結果が、図13 示すように数値が付された波形信号として また図14に示すように数ステップの分析デー タとして表示される。

 従って、試験者は、表示される波形信号 びデータを目視してここに記載された各諸 及びその良否を確認し、これによって上記 御棒駆動装置50の診断を容易に且つ精度良 行うことができるものである。

 III:第3の実施形態
 図15には、電動機器として複数の制御棒駆 装置50A~50Dが備えられ且つこれら複数の制御 駆動装置50A~50Dを、それぞれ4本を一組とし 同時にデータの収集を行い、さらに該デー に基づく各種の諸元を分析して上記各制御 駆動装置50A~50Dの診断を行うものを示してい 。

 そして、この例では、上記4本の制御棒駆動 装置50の各三個のコイル51,52,5
3のそれぞれに接続された12本の電力線2、即 、各制御棒駆動装置50の上記各LIFTコイル51に それぞれ接続された電力線2A1、2B1、2C1,2D1、 記各MGコイル52にそれぞれ接続された電力線2 A2、2B2、2C2,2D2、及び上記SGコイル53にそれぞ 接続された電力線2A3、2B3、2C3,2D3を、同じコ ルに接続された4本の電力線同士に区分けし て一纏めとし、それぞれ電線管1A~1Cに収容し いる。

 そして、これら同種の4本の電力線が収容 された上記各電線管1A~1Cのそれぞれに磁場セ サ8A,8B,8C等を取付け、該各磁場センサ8A,8B,8C 等によって検出される磁気信号に基づいて、 上記各制御棒駆動装置50A~50Dの各コイル51~53に 供給される電流を取得し、これを上記診断装 置41に入力して上記各制御棒駆動装置50A~50Dの 診断を行うようになっている。

 なお、上記診断装置41における診断手法 については、上記第2の実施形態における場 と同様であるので、該第2の実施形態の該当 説明を援用し、ここでの説明は省略する。

 ところで、上述のように、各電線管1A~1C それぞれに上記各制御棒駆動装置50A~50Dの同 コイルに接続された電力線2A1~2D1,2A2~2D2,2A3~2D 3を収容した状態で、上記磁場センサ8A,8B,8C等 によって電磁信号を検出する場合、どの信号 がどの制御棒駆動装置からの信号であるかを 正確に判断することは難しいが、この実施形 態では以下のような手法を採用することで、 これを解決している。

 即ち、上記電線管1Cについて説明すると 図15に拡大図示するように、該電線管1Cの外 に所定間隔で複数(この実施形態では6個)の 場センサ8A~8Fと取付ける。そして、この状 で、上記各制御棒駆動装置50A~50Dのそれぞれ 所要の時間差をもって基準電流を流すとと に、上記電線管1Cに設けられた上記各磁場 ンサ8A~8Fによって磁気信号を検出する。この 場合、上記各磁場センサ8A~8Fのそれぞれにお て、上記各電力線2A3~2D3から発生する磁気信 号が検出される。しかし、同一の磁場センサ で、該磁場センサからの距離が異なる電力線 2から発生する複数の磁気信号を検出した場 、その距離が近い電力線2から発生した磁気 号ほど検出される信号レベル(電圧値)が高 なることは周知である。

 そこで、一つの制御棒駆動装置50のSGコイ ル53に基準電流を流したとき、上記各磁場セ サ8A~8Fのうち、最も高いレベルの信号を検 した磁場センサを選定する。これによって その磁場センサ8で検出されるのは上記一つ 制御棒駆動装置50のSGコイル53からの影響が も大きい磁気信号であることが特定される このようにして、上記各制御棒駆動装置50A~ 50DのSGコイル53と、該SGコイル53からの磁気信 を検出する磁場センサ8の組み合わせを、上 記各制御棒駆動装置50A~50Dのすべてについて 定し、これをデータベース化して保有する

 また、この制御棒駆動装置50A~50Dとこれに 対応する磁場センサ8の組み合わせを特定す と同時に、基準電流とそれに基づく磁気信 との対応関係を求め、これもデータデース して保有すれば良い。

 このような二つのデータベースを保有す ば、次回以降は、上記磁場センサ8のみによ って、複数の制御棒駆動装置50A~50Dの各コイ 51~53に供給される電流を簡単且つ高精度で取 得することができるものである。そして、こ の電気信号を用いることで、4本の制御棒駆 装置50A~50Dの診断を上記診断装置41において 時に行うことができ、診断作業の効率化が 進される。

本願発明に係る診断方法を電動弁の診 に適用した第1の実施形態における全体シス テム図である。 磁場センサを用いた磁気信号測定手法 説明図である。 磁気(電流)信号とヨーク応力の第1の相 図である。 磁気(電流)信号とヨーク応力の第2の相 図である。 磁気(電流)信号とヨーク応力の第3の相 図である。 磁気(電流)信号とヨーク応力の第4の相 図である。 磁気(電流)信号とヨーク応力の第5の相 図である。 磁場センサによる出力パターンの取得 法の説明図である。 磁場センサ信号の電線位置との関係に ける出力パターン図である。 磁場センサ信号の実出力パターン図で ある。 電動弁の開作動時におけるヨーク応力 の変化状態説明図である。 本願発明に係る診断方法を制御棒駆動 装置の診断に適用した第2の実施形態におけ 全体システム図である。 制御棒駆動装置の制御棒引抜操作と挿 入操作における波形信号の表示画面である。 制御棒駆動装置の制御棒引抜操作と挿 入操作における波形信号の分析データである 。 本願発明に係る診断方法を制御棒駆動 装置の診断に適用した第3の実施形態におけ 全体システム図である。 連続ステッピング試験における波形例 を示す波形図である。 連続ステッピング試験におけるACC信号 の取込み手法の説明図である。 非接触状態での回転角検出手法の説明 図である。

符号の説明

 1    ・・電線管
 1A~1C・・電線管
 2    ・・電力線
 4    ・・フレキシブル管部
 5    ・・電動機
 6    ・・電気箱
 7    ・・電源線
 8    ・・磁場センサ
 10   ・・電動弁
 11   ・・弁本体部
 12   ・・弁座部
 13   ・・弁体
 14   ・・弁棒
 15   ・・ヨーク
 16   ・・弁駆動部
 21   ・・ウォーム軸
 22   ・・ウォーム
 23   ・・ウォームホイール
 24   ・・スプリングカートリッジ
 25   ・・ヨーク応力センサ
 26   ・・ドライブスリーブ
 29   ・・電気制御盤
 30   ・・診断装置
 31   ・・磁気信号演算手段
 32   ・・電気信号演算手段
 33   ・・磁気-電気信号データベース
 34   ・・磁気信号-物理量データベース
 35   ・・出力パターンデータベース
 36   ・・診断手段
 37   ・・出力手段
 38   ・・表示手段
 39   ・・警報手段
 40   ・・物理量信号演算手段
 41   ・・診断装置
 42   ・・第1診断部
 43   ・・第2診断部
 44   ・・第1演算部
 45   ・・第2演算部
 46   ・・表示部
 47   ・・第1出力部
 48   ・・第3演算部
 49   ・・第2出力部
 50   ・・制御棒駆動装置
 51   ・・第1の電磁コイル(LIFTコイル)
 52   ・・第2の電磁コイル(MGコイル)
 53   ・・第3の電磁コイル(SGコイル)
 54   ・・振動センサ(加速度計)
 60   ・・エンベロープ処理器
 61   ・・全波整流回路
 62   ・・平滑回路
 70   ・・トルクスイッチ
 71   ・・回転軸
 72   ・・磁石
 73   ・・回転角センサ(磁場センサ)
U,V,W ・・電線




 
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