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Patent Searching and Data


Title:
MULTI-LAYER PLASTIC CONTAINER FOR NON-OILY CONTENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111603
Kind Code:
A1
Abstract:
[PROBLEMS] To provide a polyethylene container which enables a non-oily, viscous content (e.g. ketchup) to run down well in the container when the container is inverted. [MEANS FOR SOLVING PROBLEMS] Disclosed is a polyethylene container having at least a polyethylene resin layer on the inside thereof, wherein the polyethylene resin layer on the inside of the container contains an aliphatic amide in an amount of not less than 500 ppm and less than 4000 ppm.

Inventors:
AKUTSU YOSUKE (JP)
KIKUCHI ATSUSHI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054455
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
March 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
TOYO SEIKAN KAISHA LTD (JP)
AKUTSU YOSUKE (JP)
KIKUCHI ATSUSHI (JP)
International Classes:
B65D65/40; B65D1/00; B65D1/02; B65D1/32; B65D35/08
Foreign References:
JPH0672422A1994-03-15
JPH02140249A1990-05-29
JP2001305698A2001-11-02
JPH0699481A1994-04-12
JP2627127B21997-07-02
Other References:
See also references of EP 2123571A4
Attorney, Agent or Firm:
ONO, Hisazumi et al. (1-21 Nishi-shimbash, 1-chome Minato-ku Tokyo 03, JP)
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Claims:
 少なくともポリオレフィン系樹脂層を内面に備え且つ非油性内容物が充填される多層プラスチック容器であって、容器内面のポリオレフィン系樹脂層は、脂肪族アミドを500ppm以上、4000ppm未満の量で含有していることを特徴とする非油性内容物用多層プラスチック容器。
 前記脂肪族アミドの少なくとも一部が不飽和脂肪族アミドである請求項1に記載の多層プラスチック容器。
 前記不飽和脂肪族アミドが、炭素数14~24の範囲のものである請求項2に記載の多層プラスチック容器。
 前記不飽和脂肪族アミドが、オレイン酸アミドである請求項3に記載の多層プラスチック容器。
 前記ポリオレフィン系樹脂層には、さらに有機過酸化物がブレンドされている請求項1に記載の多層プラスチック容器。
 前記ポリオレフィン系樹脂層には、前記脂肪族アミドとして、不飽和脂肪族アミドと飽和脂肪族アミドとが配合されている請求項2に記載の多層プラスチック容器。
 前記不飽和脂肪族アミドと飽和脂肪族アミドとが1:0.1乃至1:4の重量比で配合されている請求項6に記載の多層プラスチック容器。
 前記不飽和脂肪族アミドとして、オレイン酸アミドとエルカ酸アミドとの少なくとも2種を含む請求項6に記載の多層プラスチック容器。
 前記飽和脂肪族アミドがステアリン酸アミドである請求項6に記載の多層プラスチック容器。
 容器内面のポリオレフィン系樹脂層がポリエチレン樹脂層である請求項1に記載の多層プラスチック容器。
 請求項1の多層プラスチック容器に非油性内容物が熱間充填されて密封されている包装体。
 前記非油性内容物が粘稠性食品である請求項11に記載の包装体。
 前記粘稠性食品がケチャップである請求項12に記載の包装体。
Description:
非油性内容物用多層プラスチッ 容器

 本発明は、非油性内容物、特に粘稠な非 性内容物(例えばケチャップ)に適用される 層プラスチック容器に関するものである。

 プラスチック容器は、成形が容易であり 安価に製造でき、しかも多層構造とするこ により容易に種々の特性を向上させること できることなどから、各種の用途に広く使 されており、例えば、容器壁の内面がポリ チレンなどのポリオレフィン系樹脂層で形 されている多層プラスチック容器は、粘稠 スラリー状或いはペースト状の内容物を収 するための容器としても使用されている。

 ところで、粘稠な内容物を収容するため プラスチック容器では、容器内に充填され いる粘稠な内容物を速やかに排出するため 或いは容器内に残存させることなくきれい 最後まで使いきるために、容器を倒立状態 保存しておかれる場合が多い。従って、容 を倒立させたときには、内容物が容器内壁 に付着残存せず、例えば粘稠な内容物が速 かに落下するという特性が望まれている。

 内容物の容器内壁面への付着が抑制され プラスチック容器については、種々の提案 なされており、例えば、特許文献1には、界 面活性剤を主成分とするシャンプーや液体洗 剤に使用される多層ポリエチレン製容器であ って、内表面のポリエチレン層に4000ppm以上 エルカ酸アミド或いは1~5重量%のシリコーン イルを容器内面への付着防止剤として配合 ることが提案されている。

 上記特許文献1による提案からも理解され るように、内容物が容器壁面に付着せず、内 容物のほぼ全量を速やかに容器外に排出でき るようにする検討は、多くは、シャンプーや 液体洗剤などのように油分によるべたつき感 のある内容物についてであり、例えば粘稠で はあるが油分によるべたつき感のないケチャ ップなどの非油性物質については、あまり検 討されていないのが現状である。例えば、特 許文献2には、ケチャップやマヨネーズなど 食品が充填されるポリオレフィン系樹脂ボ ルについて、ポリオレフィンからなる樹脂 に二種以上の脂肪酸アミドを添加すること 提案されているが、かかる提案は、容器の 表面層に二種の脂肪酸アミドを添加するこ により、ボトルに滑り性を付与してボトル 耐ブロッキング性を向上させ、ボトル生産 インでのボトル同士の接触やボトルと他の 材との接触による不都合を防止するという のであって、内容物の容器内壁面の付着を 止するというものではない。

特開平6-99481号公報

特許2627127号

 従って、本発明の目的は、非油性の粘稠な 容物に対して内容物の倒立落下性が、該内 物が熱間充填された場合も良好であり、し も安価に且つ容易に製造することが可能な 油性内容物用多層プラスチック容器を提供 ることにある。
 本発明の他の目的は、非油性内容物が熱間 填されているにもかかわらず、熱による性 低下がなく、優れた内容物の倒立落下性を す包装体を提供することにある。

 本発明によれば、少なくともポリオレフ ン系樹脂層を内面に備え且つ非油性内容物 充填される多層プラスチック容器であって 容器内面のポリオレフィン系樹脂層は、脂 族アミドを500ppm以上、4000ppm未満の量で含有 していることを特徴とする非油性内容物用多 層プラスチック容器が提供される。

 本発明の多層プラスチック容器においては 好適な態様は以下の通りである。
(1)前記脂肪族アミドの少なくとも一部が不飽 和脂肪族アミドであること。
(2)前記不飽和脂肪族アミドが、炭素数14~24の 囲のものであること。
(3)前記不飽和脂肪族アミドが、オレイン酸ア ミドであること。
(4)前記ポリオレフィン系樹脂層には、さらに 有機過酸化物がブレンドされていること。
(5)前記ポリオレフィン系樹脂層には、前記脂 肪族アミドとして、不飽和脂肪族アミドと飽 和脂肪族アミドとが配合されていること。
(6)前記不飽和脂肪族アミドと飽和脂肪族アミ ドとが1:0.1乃至1:4の重量比で配合されている と。
(7)前記不飽和脂肪族アミドとして、オレイン 酸アミドとエルカ酸アミドとの少なくとも2 を含むこと。
(8)前記飽和脂肪族アミドがステアリン酸アミ ドであること。
(9)容器内面のポリオレフィン系樹脂層がポリ エチレン樹脂層であること。

 本発明によれば、また、上記の多層プラ チック容器に非油性内容物が熱間充填され 密封されている包装容器が提供される。

 上記の包装体においては、
(1)前記非油性内容物が粘稠性食品であること 、
(2)前記粘稠性食品がケチャップであること、
が好適である。

 本発明の多層プラスチック容器は、容器 面に存在するポリオレフィン系樹脂層(例え ばポリエチレン樹脂層)に500ppm以上、4000ppm未 の脂肪族アミド、特にオレイン酸等の不飽 脂肪族アミドが配合されていることにより 非油性内容物に対して優れた倒立落下性を す。具体的には、倒立保存したとき、ケチ ップに代表される粘稠な非油性内容物は容 内壁面に付着残存せず、速やかに下方に落 し、この結果、粘稠な非油性内容物を、容 の底部などに残すことなく、きれいに容器 に排出することが可能となる。

 例えば、後述する実験例1は、種々の添加剤 が配合されたポリエチレン樹脂からなる基板 を作成し、この基板上に一定量のケチャップ を載せ、これを85度に傾けた状態でケチャッ の転落速度を測定したものである(詳細な条 件は、実験例1参照)。この転落速度が速いほ 、倒立落下性に優れている。
 この実験結果を示す表1(後記実験例1参照)に よると、滑剤として代表的な高級脂肪酸やそ の塩、或いは流動パラフィンやパラフィンワ ックスなどが配合されたものでは、その転落 速度は、添加剤が全く配合されていないブラ ンクのポリエチレン樹脂製基板よりも僅かに 向上しているに過ぎないが、本発明にしたが って、脂肪族アミドが配合されているポリエ チレン樹脂基板では、その転落速度が著しく 増大していることが判る。かかる実験結果か ら、本発明の多層プラスチック容器は、非油 性内容物、特に粘稠な内容物に対しても優れ た倒立落下性を示すことが理解されよう。

 また、上記の実験例1から理解されるよう に、本発明においては、脂肪族アミドの中で も特に不飽和脂肪族アミドを用いることによ り、倒立落下性を著しく向上することができ る。例えば、ステアリン酸アミドを用いた時 のケチャップの転落速度は、1.9mm/minであるが 、不飽和脂肪族アミドを用いた場合のケチャ ップ転落速度は、2mm/minを超えており、オレ ン酸アミドは20mm/minよりも速い転落速度を示 している。従って、倒立落下性に最も寄与す るのは脂肪族アミド、特に不飽和脂肪族アミ ドであり、中でもオレイン酸アミドは、最も 大きな倒立落下性を発現させることが判る。

 本発明において、脂肪族アミドの配合に り倒立落下性が向上し、特に不飽和脂肪族 ミドを配合した場合には、倒立落下性の著 い向上がもたらされる理由は明確に解明さ ているわけではないが、本発明者等は次の うに推定している。

 脂肪族アミド分子は、極性基(アミド基) 非極性基(炭化水素基)とを有する両親媒性分 子であり、特にアミド基中の酸素原子と水素 原子との間で水素結合が形成可能となってい る。従って、図1の模式図に示すように、ポ エチレン樹脂層の表面にブリーディングし 脂肪族アミド分子は、水素結合力による極 基間の引力と非極性基間に作用するファン ルワールス力(水素結合力よりもかなり弱い) による引力とにより多分子層を形成するもの と考えられる。このため、粘稠な内容物は、 このような多分子層上を転落していくことと なるが、この場合、非油性の内容物は、脂肪 族アミドの極性基に対して親和性が高いため 、内容物の転落に際しては、多分子層内にお ける結合力の弱い非極性基間の部分でへき開 を生じることとなる。即ち、本発明では、脂 肪族アミドの多分子層中でへき開を生じ、多 分子層上部の脂肪族アミド分子を剥離させな がら転落していくものとなり、この結果とし て、転落速度が速く、従って、優れた倒立落 下性を示すものと信じられる。例えば、ステ アリン酸などの脂肪酸やパラフィンワックス などは、このような多分子層を形成せず、し かもへき開性を示さないため、転落速度が遅 く、倒立落下性が不満足なものとなってしま うのである。

 また、不飽和脂肪族アミドは、脂肪鎖中 不飽和結合を有しているため、ポリエチレ 樹脂層の表面にブリーディングして多分子 を形成したとき、不飽和結合を有していな 飽和脂肪族アミドに比して、分子の秩序性 低く、高い分子運動性を示す。このため、 記のような非油性内容物の転落に際して、 極性基間でのへき開を生じ易く、この結果 転落速度が著しく速く、極めて優れた倒立 下性を示すものと考えられる。実際、上記 も述べたように、ステアリン酸アミドの転 速度が1.9mm/min程度であるのに対して、これ 同じ炭素数を有するオレイン酸アミドの転 速度は約20mm/minと著しく速い。

 ところで、上記のような脂肪族アミドが内 のポリオレフィン系樹脂層に配合されてい 多層プラスチック容器では、非油性内容物 熱間充填されている場合には、上記のよう 倒立落下性が十分に発揮されないことがあ 。例えば、後述する実験例3では、不飽和脂 肪族アミドや飽和脂肪族アミドが配合された 試料基板について、この基板を、一旦85℃の チャップ中に5秒間保持した後、取り出し、 そして室温に戻し、基板表面に付着したケチ ャップをイオン交換水で洗浄、乾燥した後に 、上記と同様に室温(23℃)で転落速度の測定 行われている。この実験結果によれば、不 和脂肪族アミド、特にオレイン酸アミドで 、転落速度の値が大きく低下していること 判った。
 種々の滑剤の中でも脂肪族アミド、特に不 和脂肪族アミドは、図1に示すような多分子 層を形成する結果、優れた倒立落下性を示す のであるが、例えば80℃以上の熱間充填によ 容器が熱履歴を受けた場合には、このよう 多分子層が破壊もしくは脱離されてしまい この結果、倒立落下性が損なわれてしまう のと考えられる。即ち、熱履歴により、上 した多分子構造が破壊もしくは脱離され、 飽和脂肪族アミド等の多層分子構造は、高 倒立落下性を示すために十分ではない状態 容器内表面に存在することとなってしまう である。

 即ち、上記のような熱履歴による倒立落 性の低下は、脂肪族アミドが単にプラスチ ク成形体表面に滑剤成分がブリードして発 するものではなく、図1に示すような多分子 構造を採る事によって生じるものであること を物語っている。単に表面にブリードして発 生するものであれば、脂肪族アミド以外の滑 剤でも、高い倒立落下性を示すものがあるで あろうし、また、熱履歴を受けたとしても、 室温に復帰させた場合には、ブリードした成 分の性質は熱履歴を受ける前とほとんど変わ らないため、熱履歴により倒立落下性が低下 するとは考えられないからである。

 しかるに本発明では、脂肪族アミドとし 、不飽和脂肪族アミドと飽和脂肪族アミド を併用することによって、熱履歴による倒 落下性の低下を回避することができる。後 する実験例に示されているように、不飽和 肪族アミドと飽和脂肪族アミドとの併用に り、例えばオレイン酸アミド等の転落速度 、熱履歴を受けていないものと同程度にな 、この結果、非油性内容物が熱間充填され 場合にも、優れた倒立落下性を実現するこ ができる。

 不飽和脂肪族アミドと飽和脂肪族アミド の併用により熱履歴による倒立落下性の低 が効果的に防止される理由は、おそらく、 和脂肪族アミド自体も上述した多層分子構 を形成しやすいことに加え、不飽和脂肪族 ミドに比して融点が高く、このため、不飽 脂肪族アミドと一体となって多層分子構造 形成し、且つ熱履歴を受けたときに、不飽 脂肪族アミドの熱運動を抑制するように作 し、この結果、多層分子構造が熱履歴によ て破壊もしくは脱離されず、そのまま維持 れるためではないかと推定される。

 また、本発明においては、脂肪族アミド 共に、有機過酸化物を配合することにより 上記のような倒立落下性が安定的に維持さ るばかりか、内容物の熱間充填などによっ 熱履歴を受けた場合にも、優れた倒立落下 を維持することができる。即ち、脂肪族ア ドの多分子層は、ポリオレフィン系樹脂層 表面に対する密着性に欠しく、このため、 動などによる外力や熱履歴によって、ポリ レフィン系樹脂層表面から離脱してしまう それがある。有機過酸化物を配合しておく 、有機過酸化物が脂肪族アミド及び基材で るポリオレフィン系樹脂と反応し、この結 、ブリーディングした脂肪族アミドがポリ レフィン系樹脂層表面に強固に固定され、 のようなアンカー効果によって、優れた倒 落下性が安定的に維持され、また熱間充填 どによる熱履歴を受けた場合にも、優れた 立落下性を維持することが可能となるので る。

 例えば、後述する実験例6は、ポリエチレ ン樹脂製基板を25℃の水中に保持し、1分間の 超音波処理を行った後に、実験例1と同様に てケチャップの転落速度を測定したもので るが、かかる実験によれば、脂肪族アミド みが配合されているポリエチレン樹脂製基 では、超音波処理後では明らかに転落速度 低下が認められるが、有機過酸化物が配合 れたポリエチレン樹脂製基板では、このよ な転落速度の低下は全く認められない。

 同様に、後述する実験例7は、ポリエチレ ン樹脂製基板を85℃の熱水中に30秒間浸漬し 後、実験例1と同様にしてケチャップの転落 度を測定したものであるが、かかる実験に れば、脂肪族アミドのみが配合されている リエチレン樹脂製基板では、熱水中に浸漬 では明らかに転落速度の低下が認められる 、有機過酸化物が配合されたポリエチレン 脂製基板では、実験例6と同様、このような 転落速度の低下は全く認められない。

 このように、有機過酸化物が併用された 願発明のポリエチレン製容器は、有機過酸 物由来のアンカー効果により、倒立落下性 耐久性にも優れている。特にケチャップな の粘稠な食品は、容器に熱間充填されるた 、このような倒立落下性の耐久性が優れて ることは、きわめて大きな利点である。

本発明の原理を説明するための説明図 ある。 本発明のポリエチレン製容器をキャッ と共に示す図である。 脂肪族アミドの添加量とケチャップ転 速度との関係を示す図である。 実験例4での実験結果(表3の実験結果)を 示すグラフである。 実験例5での実験結果(表4の実験結果)を 示すグラフである。

発明が実施しようとする最良の形態

<非油性内容物>
 本発明の多層プラスチック容器は、非油性 容物の収容に適用されるものである。かか 非油性内容物としては、これに限定される のではないが、ケチャップが代表的であり これ以外にも、各種のソース、液状糊など 例示することができる。また、このような 油性内容物の中でも、特に粘稠なペースト 至スラリー状のもの(例えば25℃での粘度が1 00cps以上)が好適である。このような粘稠な内 容物は、特に容器壁に付着残存することなく 、容器外に排出し得るような特性が望まれる からである。さらに、本発明では、このよう な粘稠な非油性内容物の中でも、ケチャップ やソースなどの食品類に好適に適用される。 このような食品類は、殺菌を兼ねて、熱間充 填(通常、80乃至90℃)されるが、前述したよう に、本発明のポリエチレン製容器は、このよ うな熱履歴を受けた場合にも、優れた内容物 の倒立落下性を維持することができるからで ある。

<容器の構造>
 上記のような非油性内容物が充填される本 明の多層プラスチック容器は、容器内表面 形成する内層がポリオレフィン系樹脂層で 成されているものである。即ち、ポリオレ ィン系樹脂は、耐湿性に優れているため、 器の内層をポリオレフィン系樹脂により形 することにより、非油性内容物中に含まれ 水分が放出されないように長期間にわたっ 安定に保持させ、非油性内容物の品質低下 防止することが可能となるばかりか、水分 よる膨潤等による容器の性能低下も有効に 避することができ、しかもコストの点でも 利となる。

 上記のようなポリオレフィン系樹脂とし は、特に限定されるものではなく、例えば 低密度ポリエチレン、直鎖低密度ポリエチ ン、中或いは高密度ポリエチレン、ポリプ ピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペン テンなどを挙げることができる。勿論、エチ レン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペ テン等のα-オレフィン同志のランダムある はブロック共重合体等であってもよい。ま 、このようなポリオレフィン系樹脂のメル フローレート(MFR,JIS K-6728)は、一般に0.1乃至 3g/10min程度の範囲にある。本発明において、 に好適に使用されるポリオレフィン系樹脂 、ポリエチレン、ポリプロピレンであり、 リエチレンが最適である。

 本発明のプラスチック容器は、容器内表 に存在しているポリオレフィン系樹脂層(内 層)に倒立落下性を向上させるために脂肪族 ミドが配合されるものであるが、このポリ レフィン系樹脂内層の外側には、それ自体 知の各種の樹脂層が設けられ、多層構造と れる。即ち、このような多層構造とするこ により、ポリオレフィン系樹脂層に配合さ た脂肪族アミドが容器の外表面にブリーデ ングせず、容器の内表面に選択的にブリー ィングし、この結果として、十分な倒立落 性を示すに十分な多分子層が容器内表面に 成されることとなる。

 上記のような多層構造の例としては、内 層(ポリオレフィン系樹脂層)/接着剤層/酸素 バリア層/接着剤層/外表面層の5層構造が代表 的である。このような層構造において、接着 剤層は、例えば酸変性オレフィン系樹脂など の接着剤樹脂から形成されるものであり、酸 素バリア層は、エチレンビニルアルコール共 重合体などの酸素バリア性樹脂から形成され る。さらに、外表面層は、内面層と同じポリ オレフィン系樹脂で形成することが一般的で あるが、他の熱可塑性樹脂層、例えばポリエ チレンテレフタレートなどのポリエステル樹 脂で形成することもできる。尚、本発明にお いて、脂肪族アミドは、内面層にのみ設けれ ばよく、他の層に設ける必要は無い。倒立落 下性の向上に寄与するのは内面層に配合され た不飽和及び飽和の脂肪族アミドのみであり 、他の層に配合されたものは倒立落下性の向 上に寄与せず、コストの増大をもたらすに過 ぎないからである。

 また、多層構造は、上記の5層構造に限定 されるものではなく、例えば、酸素バリア層 及び接着剤層を用いて、外表面層をさらに多 層構造とすることもできる。さらに、不飽和 及び飽和の脂肪族アミドが配合される内面層 を低密度ポリエチレンや直鎖低密度ポリエチ レンなどから形成し、外面側に印刷適正の高 い高密度ポリエチレンの層を設けた2層構造 することもできる。

 本発明において、容器壁を構成する各種 層の厚みは、その機能に応じた適宜の厚み すればよく、例えば脂肪族アミドが配合さ る内面層の厚みは、少なくとも50μm以上と るのがよい。この厚みがあまり薄いと、多 子層を形成するに十分な量のアミドがブリ ディングせず、この結果、倒立落下性が不 足なものとなってしまう。さらに、接着剤 は、十分な接着力が確保できる程度の厚み すればよく、酸素バリア層は、良好な酸素 リア性を示し、酸素透過による内容物の劣 が有効に防止できる程度の厚みとすればよ 。

 上記のような層構成を有する本発明の多 プラスチック容器は、各層を構成する樹脂( 或いは樹脂組成物)を使用し、例えば、共押 成形により、多層ダイヘッドから溶融パリ ンを押出し、公知のダイレクトブロー成形 行うことや、共射出成形により、試験管状 容器形成用プリフォームを作成し、このプ フォームを、それ自体公知のブロー成形に することにより製造される。

 このようにして形成される多層プラスチ ク容器は、例えば図2に示されているような ボトル形状を有するものであり、螺条を備え た首部1、肩部3を介して首部に連なる胴部5及 び胴部の下端を閉じている底部7を有してお 、このような容器に非油性の内容物を充填 た後、首部1の上端開口部にアルミ箔等の金 箔9をヒートシールにより施し、所定のキャ ップ10を装着することにより、包装容器とし 使用に供される。かかる包装容器では、キ ップ10を開封し、シール材が塗布された金 箔9を引き剥がし、容器を傾倒乃至倒立させ ことにより、内容物の取り出しが行われる

 尚、本発明の多層プラスチック容器は、 記のようなボトル形状に限定されるもので なく、例えばシート或いは皿状の容器用プ フォームを用い、これらを用いてのプラグ シスト成形などによって、カップ状の形態 することも可能である。このような容器は 非油性内容物を容器を傾倒させて取り出す のではないが、容器壁への非油性内容物の 着が有効に抑制されているため、非油性内 物を容器内に残さずに取り出すことができ 本発明を有効に適用することができる。

<アミドの種類及び配合量>
 上述した多層構造のプラスチック容器にお て、本発明では、少なくとも容器内面に位 するポリオレフィン系樹脂層に、脂肪族ア ドが配合され、これにより、非油性内容物 倒立落下性を向上せしめ、粘稠な内容物で っても、容器壁の内面に内容物を付着残存 せることなく、速やかに且つきれいに容器 に排出することが可能となる。

 本発明において、上記のような脂肪族ア ドは、ポリオレフィン系樹脂層中に500ppm以 で且つ4000ppm未満、さらに、500ppm以上で且つ 3000ppm以下の量で配合されているべきである 即ち、脂肪族アミド(オレイン酸アミド)の配 合量と転落速度との関係を示す図3(実験例2の 実験結果)から理解されるように、脂肪族ア ドの配合量が上記範囲よりも少ない場合に 、ブリーディング量が少なく、十分な多分 層が形成されず、この結果、転落速度が遅 、倒立落下性が不満足となってしまう。一 、図3に示されているように、転落速度は、3 000ppm前後で飽和に達してしまい、例えば4000pp m以上の量で脂肪族アミドを配合したとして 、それ以上の転落速度の向上は得られない 即ち、脂肪族アミドの配合量は、転落速度 向上に寄与し得る程度の多分子層が形成さ る程度とすればよいのであり、必要量以上 脂肪族アミドの配合は、技術的に意味がな ばかりか、むしろコストの増大を招いたり ブリーディングした脂肪酸アミドの容器内 面からの離脱を生じ易くなり、特に内容物 食品類である場合には、フレーバー性の低 などを引き起こすおそれも生じてしまう。 た、倒立落下性の耐久性の観点からは、脂 族アミドの配合量は500ppm以上であることが 適である。即ち、500ppm以上の量の脂肪族ア ドが配合されている場合には、熱履歴や振 などの物理的外力が作用して一部の脂肪族 ミドがポリエチレン樹脂層表面から脱落し 場合にも、該表面に、十分な量の多分子層 確保することができるからである。

 尚、前述した特許文献1では、ポリエチレ ン製容器内面への内容物の付着を防止するた めに、4000ppm以上もの多量のエルカ酸アミド 配合することが提案されているが、この技 では、内容物がシャンプーなどの界面活性 を主成分として含む物質であるものに限定 れるものであるため、本発明に比して多量 エルカ酸アミドの配合が必要となるものと われる。即ち、特許文献1では、界面活性剤 有の内容物がエルカ酸アミドに付着し難い いう原理によるものであり、内容物とエル 酸アミドとの非親和性を利用しているに過 ず、多分子層中のへき開を利用している本 明とは、原理的に全く異なっているものと われる。

 本発明において、脂肪族アミドとしては 種々のものを使用することができるが、少 くとも不飽和脂肪族アミドを用いることが 適である。このような不飽和脂肪族アミド しては、アクリルアミド、メタクリルアミ 、クロトンアミド、イソクロトンアミド、 ンデシレン酸アミド、セトレイン酸アミド オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、エチ ンビスオレイン酸アミド、オレイルパルミ アミド、ステアリルエルカミド、リノール アミド、リノレン酸アミド、アラキドン酸 ミド等を例示することができ、これらの何 も1種単独または2種以上の組み合わせで使 することができる。また、へき開性の高い 分子層を形成し得るためには、適度な鎖長 有するものがよく、このような観点から、 素数が14~24の範囲にあるもの、例えばセトレ イン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸 アミド、リノール酸アミド、リノレン酸アミ ド、アラキドン酸アミド等が好ましく、中で もオレイン酸アミドは最も高い倒立落下性を 示す。

 さらに、本発明においては、上述した不飽 脂肪族アミドに加えて飽和脂肪族アミドを ることが、熱履歴による倒立落下性の低下 有効に回避する上で好ましいが、特に飽和 肪族アミドを併用する場合には、不飽和脂 族アミドとして、オレイン酸とエルカ酸ア ドを組み合わせで使用することが好ましい 即ち、後述する実験例からも示されるよう 、オレイン酸とエルカ酸アミドとの組み合 せに飽和脂肪族アミドを併用することによ 、熱履歴による倒立落下性の低下を最も有 に回避することができるのであるが、おそ く、エルカ酸アミドが、不飽和脂肪族アミ と併用する飽和脂肪族アミド(例えばステア リン酸アミド)との相溶性が高いため、オレ ン酸アミドが形成する多分子層中に分布し いる飽和脂肪族アミドの分子とオレイン酸 ミド分子との相互作用が高められ、この結 、熱履歴による多分子層の崩壊が最も効果 に抑制されるためではないかと思われる。
 この場合において、オレイン酸アミドとエ カ酸アミドとは、9:1乃至1:9、特に8:2乃至2:8 重量比で使用することが好適である。

 また、不飽和脂肪族アミドと併用する飽 脂肪族アミドとしては、ブチルアミド、ヘ シルアミド、デシルアミド、ラウリン酸ア ド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸ア ド、ステアリン酸アミド等を例示すること でき、これらの飽和脂肪族アミドは、単独 も2種以上を併用することもできる。また、 これらの飽和脂肪族アミドの中では、ステア リン酸アミドが最も好適である。ステアリン 酸アミドは、最も好適に使用されるオレイン 酸アミドと同じ炭素数であり、オレイン酸ア ミドが形成する多分子層中に最も安定に分布 し得るためであると考えられる。

 本発明において、不飽和脂肪族アミドと 和脂肪族アミドとは、その合計量が前述し 範囲、具体的には、500ppm以上、且つ4000ppm未 満、特に500乃至3000ppm以下の量で、容器の内 層であるポリオレフィン樹脂中に配合され 。

 また、不飽和脂肪族アミドと飽和脂肪族 ミドとは、1:0.1乃至1:4、特に1:0.2乃至1:4の重 量比で使用されることが好適である。即ち、 このような量比で両者を使用することにより 、不飽和脂肪族アミドが形成するへき開性の 高い多分子層中に飽和脂肪族アミドの分子が 均等に分布し、この結果、飽和脂肪族アミド による熱安定効果が最大限に発揮されるので ある。

 上述した説明から理解されるように、本 明においては、不飽和脂肪族アミドとして オレイン酸アミドとエルカ酸アミドとを使 し、飽和脂肪族アミドとしてステアリン酸 ミドを用いることが、最も効果的に、熱履 による倒立落下性の低下を回避することが きる。

<有機過酸化物>
 また、本発明においては、上述した脂肪族 ミドと共に、有機過酸化物を配合すること よっても、熱履歴による倒立落下性の低下 回避することができる。既に述べたように このような有機過酸化物の配合により、ア カー効果が発現し、脂肪族アミドの多分子 が部分的に強固にポリオレフィン系樹脂層 面に固定され、熱履歴等による多分子層の 離が有効に抑制され、安定して優れた倒立 下性を維持することが可能となるわけであ 。

 このような有機過酸化物としては、これ 限定されるものではないが、例えばベンゾ ルパーオキサイド、p-クロロベンゾイルパ オキサイド、デカノイルパーオキサイド、 ウロイルパーキサイド、アセチルパーキサ ド等のジアシルパーキサイド、t-ブチルパー オキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパ オキシジカーボネート、クミルパーオキシ オデカノエート、t-ブチルパーオキシベン エート等のパーオキシエーテル、ジイソプ ピルパーオキシジカーボネート、ジ-2-エチ ヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ-sec- ブチルオキシパーカーボネート等のパーカー ボネート等を例示することができ、これらの 有機過酸化物は、1種単独で使用することも きるし、2種以上を組み合わせて使用するこ もできる。

 本発明において、上記の有機過酸化物は 前述した脂肪族アミドに対して10乃至70重量 %、特に10乃至30重量%の量で使用することが好 ましい。この量が少ないと、アンカー効果が 不満足となり、倒立落下性の耐久性を十分に 向上させることが困難となり、また必要以上 に多量に配合しても、コスト的に不利となる に過ぎない。

 上記のような多層プラスチック容器に非 性内容物が充填された包装容器は、倒立落 性が優れており、非油性内容物が粘稠なも であっても、これを倒立保持しておくこと より、内容物が容器壁内面に付着せず、首 側に速やかに落下するため、容器を傾けて 内容物の取り出し迅速に行うことができ、 容物を容器内に残すことなく、きれいに取 出すことができる。

 特に、容器内容物が熱間充填される粘稠な 品類、例えばケチャップ等について本発明 著効を有し、本発明の効果を最大限に発揮 せることができる。
 尚、脂肪族アミドと共に有機過酸化物を配 したときには、倒立落下性の耐久性維持効 が発現する。

 本発明を次の実験例で説明する。
 尚、以下の実験例で内容物の転落速度は、 のようにして測定した。
[転落速度の測定]
 ポリエチレン樹脂(低密度ポリエチレン、MFR =22)を基材樹脂とし、各実験例に示す処方に たがって各種の添加剤が基材樹脂に配合さ た樹脂組成物を用い、該樹脂組成物を射出 形して、92mm(縦)×92mm(横)×1.5mm(厚み)の形状の 試料基板を作製した。この試料基板の一方側 の端部に70mgのケチャップ(23℃での粘度;1740cps )を載せてこれを85度の角度に傾斜させ、ケチ ャップ(温度:23℃)を転落させた。この時のケ ャップの転落挙動をカメラで測定し、その 落挙動を解析し、移動距離-時間のプロット から転落速度を算出して倒立落下性の指標と した。この転落速度の値が大きければ、内容 物の倒立落下性が優れている。

<実験例1>
 表1に示すように、各種の添加剤をポリエチ レン樹脂に添加し、2軸押出機を用いて溶融 練し、該溶融混練物を射出成形して試料基 を作製した。この試料基板に熱履歴を加え ことなく、ケチャップについての転落速度 測定した。その結果を表1に示す。

 表1の結果から、熱履歴を加えていないと きには、脂肪族アミド、特に不飽和脂肪族ア ミドを配合することにより、倒立落下性が向 上していることが判る。

<実験例2>
 添加剤としてオレイン酸アミドを使用し、 リエチレン樹脂当りの添加量を種々変更し 試料基板を作製した。この試料基板につい 、熱履歴を加えずに、転落速度を測定した 添加量と転落速度との関係を図3に示した。
 図3の結果から、添加量としては、500ppm以上 で且つ4000ppm未満の範囲で転落速度の十分な 上が発現することが判る。また、3000ppm程度 添加量で、転落速度がほぼ飽和に達してい ことが判る。

<実験例3>
 各種のアミドを使用し、ポリエチレン樹脂 りの添加量を1000ppmとし、試料基板を作製し 、この試料基板を85℃の温度のケチャップ中 5秒間保持した後、取り出して室温に戻し、 表面をイオン交換水で洗浄、乾燥した後、上 記の転落速度を測定した。その結果を表2に す。

 上記の結果より、熱履歴により転落速度 低下し、特に不飽和脂肪族アミドでは、転 速度の低下が顕著であることが判る。

<実験例4>
 不飽和脂肪族アミドとしてオレイン酸アミ とエルカ酸アミドとの何れかを使用し、飽 脂肪族アミドとしてステアリルアミド(ステ アリン酸アミド)を使用し、表3に示す配合量 ポリエチレン樹脂に配合し、各種の試料基 (1~10)を実験例1と同様にして作成した。
 各試料基板について、熱履歴を加えず、そ まま実験例1と同様に転落速度を測定し、さ らに、実験例3と同様に85℃の温度のケチャッ プ中に5秒間保持して熱履歴を加えた後、取 出して室温に戻し、表面をイオン交換水で 浄,乾燥を行い,転落速度を測定し、その結果 を表3、図4(a)及び(b)のグラフに示した。

 上記の結果から、不飽和脂肪族アミドに えて飽和脂肪族アミドを用いることにより 熱履歴後の転落速度が向上し、熱履歴によ 転落速度の低下を回避できることが判る。 お、表3の試料4、5に示すオレイン酸アミド ステアリルアミドをそれぞれ添加した熱履 後の転落速度が、表2に示すオレイン酸アミ ドを1000ppm添加した熱履歴後の転落速度より 小さくなっているが、オレイン酸アミドに えてステアリルアミドを用いることにより 落速度の落ち幅が小さくなっていることが る。

<実験例5>
 不飽和脂肪族アミドとしてオレイン酸アミ とエルカ酸アミドとを併用し、飽和脂肪族 ミドとしてステアリルアミド(ステアリン酸 アミド)を使用し、表4に示す配合量でポリエ レン樹脂に配合し、各種の試料基板(1~9)を 験例1と同様にして作成した。
 各試料基板について、熱履歴を加えず、そ まま実験例1と同様に転落速度を測定し、さ らに、実験例3と同様に85℃の温度のケチャッ プ中に5秒間保持して熱履歴を加えた後、取 出して室温に戻し、表面をイオン交換水で 浄、乾燥を行い、転落速度を測定し、その 果を表4及び図5のグラフに示した。

 上記の結果から、不飽和脂肪族アミドと てオレイン酸アミドとエルカ酸アミドとを 用し、これを飽和脂肪族アミドと組み合わ た3成分系のものが、最も安定して熱履歴後 の転落速度が向上し、熱履歴による転落速度 の低下を回避するのに最も効果的であること が判る。

<実験例6>
 基材のポリエチレン樹脂当り、表5に示す量 でオレイン酸アミド及び有機過酸化物(パー キシン25B-40,日本油脂(株)製)を配合し、試料 板を作製した。この基板を85℃の熱水中に30 秒間浸漬保持した後、転落速度を測定し、こ のような熱水処理前の転落速度と比較した。 その結果を表5に示した。

 上記の結果から、有機過酸化物が配合さ ていないときには熱水処理により転落速度 低下するが、有機過酸化物の配合により、 水処理による転落速度の低下を回避、或い 向上することが判る。すなわち、高温に曝 れた場合においても、有機過酸化物を配合 ることで、ブリーディングにより形成され 脂肪族アミドの多分子層が安定に維持され いることが確認できる。