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Patent Searching and Data


Title:
MULTI-WIRE SAW AND METHOD OF CUTTING INGOT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/001453
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a multi-wire saw that can prevent wires from being displaced in guide roller grooves due to the lifting of the wires when the cutting of an ingot is started. Wires (11) are wound around wire guide rollers (14a, 14b, 41), and positioned in the feeding direction of an ingot (32). In such a state, restraining members (42) comprising rotary bodies which are brought into contact with the wires (11), thereby restraining the lifting of the wires are disposed near the wire guide rollers (14a, 14b, 41).

Inventors:
KAWASAKI TAKAFUMI (JP)
MIMURA SEIICHI (JP)
NISHIDA HIROKAZU (JP)
Application Number:
PCT/JP2007/062931
Publication Date:
December 31, 2008
Filing Date:
June 27, 2007
Export Citation:
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Assignee:
MITSUBISHI ELECTRIC CORP (JP)
KAWASAKI TAKAFUMI (JP)
MIMURA SEIICHI (JP)
NISHIDA HIROKAZU (JP)
International Classes:
B24B27/06; B28D5/04; H01L21/304
Foreign References:
JPH0811047A1996-01-16
JPH07276218A1995-10-24
JP2001079748A2001-03-27
JP2004243509A2004-09-02
JP3083232B22000-09-04
Other References:
See also references of EP 2165805A4
Attorney, Agent or Firm:
SAKAI, Hiroaki (Kasumigaseki Building2-5, Kasumigaseki 3-chom, Chiyoda-ku Tokyo 20, JP)
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Claims:
 回転軸が水平面内で互いに平行な複数のワイヤガイドローラの表面に所定のピッチで形成されたガイド溝にワイヤを巻きつけ、最も外側に位置するワイヤガイドローラ間で前記ワイヤを複数回往復させ、前記ワイヤガイドローラの上側に複数並行して走行するワイヤに対して被加工物を下方に送りながら切断するマルチワイヤソーにおいて、
 前記ワイヤの走行方向に対して前記被加工物の後方に配置され、前記上側に複数並行して走行するワイヤにスラリを供給するスラリ供給手段と、
 円筒形状の回転体からなり、前記被加工物の加工開始時に、前記ワイヤガイドローラの近傍で、かつワイヤの走行方向に対して前記スラリ供給手段の後方に、前記上側に複数並行して走行するワイヤのすべてに接して配置されるワイヤ浮き上がり規制部材と、
 を備えることを特徴とするマルチワイヤソー。
 前記被加工物に形成された切断溝の深さが前記ワイヤの半径以上の深さの位置における前記上側のワイヤの撓みを示すワイヤ撓みプロファイルを算出するワイヤ撓みプロファイル算出機能と、
 前記ワイヤガイドローラと、前記被加工物を保持する被加工物保持部材との駆動制御を行って、前記被加工物の切断を行う加工制御機能と、
 を有する制御手段をさらに備え、
 前記加工制御機能は、加工開始時に、前記ワイヤ撓みプロファイル算出機能で算出されたワイヤ撓みプロファイルに一致するように前記ワイヤ浮き上がり規制部材を配置するように制御することを特徴とする請求項1に記載のマルチワイヤソー。
 前記ワイヤ浮き上がり規制部材は、その表面に、前記ワイヤガイドローラに形成された前記ガイド溝のピッチと同じピッチのガイド溝を有することを特徴とする請求項1に記載のマルチワイヤソー。
 回転軸が水平面内で互いに平行な複数のワイヤガイドローラの表面に所定のピッチで形成されたガイド溝にワイヤを巻きつけ、最も外側に位置するワイヤガイドローラ間で前記ワイヤを複数回往復させ、前記ワイヤガイドローラの上側に複数並行して走行するワイヤにスラリ供給手段からスラリを供給し、前記上側のワイヤに対してインゴットを下方に送りながら切断するマルチワイヤソーにおけるインゴットの切断方法において、
 前記インゴットの切断開始時に、円筒形状の回転体からなるワイヤ浮き上がり規制部材を、前記ワイヤガイドローラの近傍で、かつワイヤの走行方向に対して前記スラリ供給手段の後方に、前記上側に複数並行して走行するワイヤのすべてに前記回転体の下部で接するように配置することを特徴とするインゴットの切断方法。
 前記インゴットの加工開始前に、前記インゴットに形成された切断溝の深さが前記ワイヤの半径以上の深さの位置における前記上側のワイヤの撓みを示すワイヤ撓みプロファイルを算出し、前記インゴットの加工開始時に、算出された前記ワイヤ撓みプロファイルに一致するように前記ワイヤ浮き上がり規制部材を配置することを特徴とする請求項4に記載のインゴットの切断方法。
 前記ワイヤ浮き上がり規制部材は、その表面に、前記ワイヤガイドローラに形成された前記ガイド溝のピッチと同じピッチのガイド溝を有することを特徴とする請求項4に記載のインゴットの切断方法。
Description:
マルチワイヤソーおよびインゴ トの切断方法

 この発明は、ウェハを製造するためにイ ゴットの切断を行うマルチワイヤソーとイ ゴットの切断方法に関するものである。 

 従来、シリコンインゴットの切断には、 較的小さい切断代で一度に多数枚のウェハ 切断することができるマルチワイヤソーが いられている。このようなマルチワイヤソ は、ワイヤ送り出し機構から送り出された イヤを、2本のワイヤガイドローラ間に0.3~0. 4mm程度のピッチで巻き掛け、ワイヤ巻き取り 機構でワイヤを巻き取るように構成される。 また、ワイヤ送り出し機構とワイヤガイドロ ーラとの間と、ワイヤガイドローラとワイヤ 巻き取り機構との間には、ワイヤに常に所定 の張力を与えるテンションローラが設けられ る。このような構成のマルチワイヤソーでは 、ワイヤ送り出し機構と、2本のワイヤガイ ローラと、ワイヤ巻き取り機構を同期制御 て駆動するとともにテンションローラの位 を制御して、ワイヤを600m/min前後の速度で送 り、ワイヤにスラリを塗布する。この状態で ワークプレートに接着固定したインゴットを 下方に送る。このとき、ワイヤで砥粒をイン ゴットに押し付けるとともに転動させてイン ゴット表層にマイクロクラックを発生させて シリコン微粉として削り取ることによって、 シリコンインゴットの切断が行われる。この ようなシリコンインゴットの切断において、 ウェハ収率を高め、ウェハの材料コスト低減 を図るために切断代の縮小やウェハの薄切り が求められている。

 切断代を縮小するには、ワイヤの径を小 くすればよいが、その分ワイヤの破断強度 低下するためワイヤに印加する張力を小さ する必要がある。この張力を小さくすると イヤガイドローラにワイヤを巻き付ける力 弱くなり、ワイヤガイドローラに形成され ワイヤを納めるためのガイド溝内でワイヤ 変位してしまい、インゴットから切り取る ェハの板厚をばらつかせる原因となる。

 また、太陽電池セルの製造工程ではウェ の端部に位置決め部材を押し付けてウェハ 位置を決めて所定の処理を行い、つぎの処 工程まで搬送して同様にウェハの端部に位 決め部材を押し付けてウェハの位置を決め ことを数多く繰り返す。そのため、ウェハ 部の厚さが薄いと、この繰り返し加えられ 押し付け力に耐えられず、ウェハ端部に割 や欠けを生じて不良品となってしまう。

 また、ウェハの薄切りをするには、ワイ の間隔を小さくする必要があるが、その分 イヤガイドローラに形成されたガイド溝が くなり、ワイヤがこのガイド溝から離脱す 確率が高くなる。ワイヤがガイド溝から離 すると、その周辺のウェハを切り取ること できなかったり、最悪の場合では、ワイヤ 絡んでワイヤ破断を起こして良品のウェハ 一つも取れなくなったりしてしまう。

 このようなワイヤガイドローラのガイド からのワイヤの変位や離脱の問題は、シリ ンインゴットの切断終了後に顕著である。 とえば、シリコンインゴットの切断終了後 インゴットをワイヤから離脱させる(ワイヤ をインゴットから引き抜く)際に、ワイヤが ンゴットに引っ掛かって随伴し、ワイヤガ ドローラのガイド溝からワイヤが浮き上が て離脱してしまう。そこで、このようなワ ヤのガイド溝からのワイヤの変位や離脱を 止するために、シリコンインゴットの切断 了後にインゴットのワイヤ出入口近傍にワ ヤを押さえる規制手段を設けることが提案 れている(たとえば、特許文献1参照)。この 制手段は一対で構成され、インゴットの外 変化やインゴットの移動に応じて、ワイヤ き抜き時には常にワイヤ出入口近傍に配置 きるように動き、スラリの供給手段も兼ね とされている。

特許第3083232号公報

 上述した特許文献1に示されるように、シ リコンインゴットの切断終了後に、インゴッ トからワイヤを離脱させる際のワイヤガイド ローラのガイド溝からのワイヤの離脱防止に ついては従来提案されている。しかし、太陽 電池用ウェハ製造に関係するシリコンインゴ ット切断開始時においても、切断開始部(ウ ハ端部)の厚さばらつきやワイヤのワイヤガ ドローラのガイド溝からの離脱も生じてい 。そのため、このシリコンインゴット切断 始時における切断開始部の厚さばらつきや イヤのガイド溝からの離脱の防止について 対策が採られる必要があるが、従来提案さ ていなかった。

 この発明は上記に鑑みてなされたもので シリコンインゴット切断開始時において、 イヤのワイヤガイドローラのガイド溝内で 変位やガイド溝からの離脱を防止し、切り すウェハの端部の板厚ばらつきを小さくす ことができるマルチワイヤソーおよびイン ットの切断方法を得ることを目的とする。

 上記目的を達成するため、この発明にか るマルチワイヤソーは、回転軸が水平面内 互いに平行な複数のワイヤガイドローラの 面に所定のピッチで形成されたガイド溝に イヤを巻きつけ、最も外側に位置するワイ ガイドローラ間で前記ワイヤを複数回往復 せ、前記ワイヤガイドローラの上側に複数 行して走行するワイヤに対して被加工物を 方に送りながら切断するマルチワイヤソー おいて、前記ワイヤの走行方向に対して前 被加工物の後方に配置され、前記上側に複 並行して走行するワイヤにスラリを供給す スラリ供給手段と、円筒形状の回転体から り、前記被加工物の加工開始時に、前記ワ ヤガイドローラの近傍で、かつワイヤの走 方向に対して前記スラリ供給手段の後方に 前記上側に複数並行して走行するワイヤの べてに接して配置されるワイヤ浮き上がり 制部材と、を備えることを特徴とする。

 この発明によれば、被加工物の切断開始 のワイヤの浮き上がりを規制して、ワイヤ イドローラのガイド溝内でのワイヤの変位 ガイド溝からのワイヤの離脱を防ぐことに って、被加工物から切り出したウェハの端 の板厚ばらつきを小さくし、良品ウェハの 率を向上させることができるという効果を する。

図1は、この発明にかかるマルチワイヤ ソーの要部の構成を示す斜視図である。 図2は、ワイヤガイドローラ付近の構造 をワイヤガイドローラの回転軸の方向から見 た側面図である。 図3は、ワイヤ規制部とワイヤガイドロ ーラとの関係を模式的に示す図である。 図4は、マルチワイヤソーの制御部の機 能構成を示すブロック図である。 図5は、インゴット切断開始時にインゴ ットを深さeだけ切り込んだ状態を模式的に す断面図である。 図6は、切断開始時におけるワイヤガイ ドローラの回転軸の方向から見たマルチワイ ヤソーの状態を模式的に示す図である。 図7は、従来のマルチワイヤソーの要部 の構成を示す斜視図である。 図8は、インゴット切断開始時における インゴットとワイヤとの関係を模式的に示す 図である。 図9は、ワイヤガイドローラでのワイヤ の状態を模式的に示す図である。

符号の説明

 10 マルチワイヤソー
 11 ワイヤ
 12 ワイヤ送り出し機構
 13 ワイヤ巻き取り機構
 14a,14b,41 ワイヤガイドローラ
 15,43 ガイド溝
 16 ガイドローラ
 17 テンションローラ
 21 スラリ撹拌・供給タンク
 22 スラリ塗布ヘッド
 23 砥粒
 31 ワークプレート
 32 インゴット
 42 ワイヤ浮き上がり規制部材
 50 制御部
 51 ワイヤ撓みプロファイル算出部
 52 加工制御部

 以下に添付図面を参照して、この発明に かるマルチワイヤソーおよびインゴットの 断方法の好適な実施の形態を詳細に説明す 。なお、これらの実施の形態によりこの発 が限定されるものではない。また、以下で 、従来のマルチワイヤソーにおけるインゴ ト切断開始時における問題点について図面 参照して説明した後に、この発明の実施の 態について説明する。

(従来のマルチワイヤソーの問題点)
 図7は、従来のマルチワイヤソーの要部の構 成を示す斜視図であり、図8は、インゴット 断開始時におけるインゴットとワイヤとの 係を模式的に示す図であり、図9は、ワイヤ イドローラでのワイヤの状態を模式的に示 図である。図7に示されるように、マルチワ イヤソー210は、ワイヤ211を送り出すワイヤ送 り出し機構212と、送り出されたワイヤ211を巻 き取るワイヤ巻き取り機構213と、ワイヤ送り 出し機構212とワイヤ巻き取り機構213との間に 配置される2本のワイヤガイドローラ214a,214b 、ワイヤ送り出し機構212からワイヤガイド ーラ214aまで送り出されるワイヤ211とワイヤ イドローラ214bからワイヤ巻き取り機構213ま で戻されるワイヤ211とを走行案内する複数の ガイドローラ216と、ガイドローラ216で案内さ れるワイヤ211の張力を制御するテンションロ ーラ217と、を備える。ワイヤ211は、一般に直 径0.16mmのピアノ線が用いられる。また、2本 ワイヤガイドローラ214a,214bの間では、0.3~0.4m m程度のピッチでワイヤ211が巻き掛けられて る。

 また、マルチワイヤソー210は、スラリを 蔵し、撹拌するスラリ撹拌・供給タンク221 、被加工物であるシリコンインゴット232と2 本のワイヤガイドローラ214a,214b間のワイヤ211 との切断界面にスラリ撹拌・供給タンク221か らのスラリを供給するスラリ塗布ヘッド222と 、を備える。スラリ塗布ヘッド222は、2つの イヤガイドローラ214a,214b間の上位に位置す ワイヤ211の上部に、複数のワイヤ211を横切 ように配置される。この図7の例では、2本の ワイヤガイドローラ214a,214b間に3本のスラリ 布ヘッド222が所定の間隔を置いて配置され いる。そして、互いに隣接する2本のスラリ 布ヘッド222間の位置には、切断するシリコ インゴット232を固定するワークプレート231 、上下方向に移動可能に配置される。この ークプレート231には、口径150mm角前後で長 が400mm前後のシリコンインゴット232が接着固 定され、切断される。

 このようなマルチワイヤソー210でシリコ インゴット232を切断する場合には、ワイヤ り出し機構212、2本のワイヤガイドローラ214 a,214b、およびワイヤ巻き取り機構213を同期制 御して駆動するとともに、テンションローラ 217の位置を制御してワイヤ211に常に所定の張 力を与えながら600m/min前後の速度で送り、ス リ撹拌・供給タンク221からスラリ塗布ヘッ 222を介してワイヤ211にスラリを供給する。 の状態でシリコンインゴット232を接着固定 たワークプレート231を下方に送り、シリコ インゴット232の切断を行う。なお、シリコ インゴット232の切断が終了し、ワイヤ211を き抜いた後のワイヤ離脱は、シリコンイン ット232のマルチワイヤソー210からのリワー 時やマルチワイヤソー210へのセッティング に作業者が目視確認することによって検出 対策できるものである。

 ところで、このようなマルチワイヤソー2 10でのシリコンインゴット232の切断における 断開始部(ウェハ端部)の厚さばらつきやワ ヤ211のワイヤガイドローラ214a,214bに形成さ たガイド溝215からの離脱について、実験に って詳細に考察した。その結果、図8に示さ るように、シリコンインゴット232がワイヤ2 11に0.3mm程度近づいたところで、ワイヤ211が リコンインゴット232に吸いつけられるよう 浮き上がることを見出した。これはワイヤ21 1の移動に随伴してスラリが図中の矢印bに示 ように流れているところに、シリコンイン ット232の端面が近づき、スラリとシリコン ンゴット232端面の隙間の空気がスラリに随 して隙間から排出されることによって負圧 生じ、スラリがシリコンインゴット232の端 に吸い付けられるとともにスラリの粘性に ってワイヤ211が図中の矢印cに示すように持 ち上げられたためであると考えられる。なお 、図8の2点鎖線は、ガイドローラ216にワイヤ2 11を巻き付けた初期のワイヤ211走行位置を示 。また、ワイヤ径を縮小してワイヤ張力を 減すると、この現象はより顕著になった。 して、このワイヤ211の浮き上がりによって 図9に示されるように、ガイド溝215内でワイ ヤ211の変位301が起こったり、最悪の場合には ワイヤ211のガイド溝215からの離脱302が起こっ たりすることが分かった。

 そこで、以下の実施の形態では、シリコ インゴットなどのインゴット切断開始時の イヤのガイド溝内での変位や溝からの離脱 防止し、切り出すウェハの端部の板厚ばら きを小さくするマルチワイヤソーおよびイ ゴットの切断方法について説明する。

実施の形態1.
 図1は、この発明にかかるマルチワイヤソー の要部の構成を示す斜視図であり、図2は、 イヤガイドローラ付近の構造をワイヤガイ ローラの回転軸の方向から見た側面図であ 、図3は、ワイヤ規制部とワイヤガイドロー との関係を模式的に示す図である。

 図1に示されるように、マルチワイヤソー 10は、ワイヤ11と、ワイヤ11を送り出すワイヤ 送り出し機構12と、送り出されたワイヤ11を き取るワイヤ巻き取り機構13と、ワイヤ送り 出し機構12とワイヤ巻き取り機構13との間に 転軸が互いに平行となるように配置される2 のワイヤガイドローラ14a,14bと、ワイヤ送り 出し機構12からワイヤガイドローラ14aまでの と、ワイヤガイドローラ14bからワイヤ巻き り機構13までの間とでそれぞれワイヤ11を走 行案内する複数のガイドローラ16と、ガイド ーラ16で案内されるワイヤ11の張力を制御す るテンションローラ17と、を備える。ここで ワイヤ11は、従来のマルチワイヤソー210で 明したものよりも径の細い(直径0.16mmよりも い)ピアノ線が用いられ、ワイヤ11の走行方 は、図中の矢印dの方向であるものとする。 また、2本のワイヤガイドローラ14a,14bには、 定のピッチでガイド溝15が形成されており このガイド溝15にワイヤ11が巻きかけられ、 の2本のワイヤガイドローラ14a,14bの間で、 ぼ並行に複数のワイヤ11が整列している。

 また、マルチワイヤソー10は、スラリを 蔵し、撹拌するスラリ撹拌・供給タンク21と 、被加工物であるインゴット32と2本のワイヤ ガイドローラ14a,14b間のワイヤ11との切断界面 にスラリ撹拌・供給タンク21からのスラリを 給するスラリ塗布ヘッド22と、を備える。 ラリ塗布ヘッド22は、2つのワイヤガイドロ ラ14a,14b間の上側に位置するワイヤ11の上部 、複数の並行したワイヤ11を横切るように配 置される。この図1の例では、ワイヤガイド ーラ14a,14b間の上部のワイヤ11上に2本のスラ 塗布ヘッド22が所定の間隔で配置されてい 。そして、2本のワイヤガイドローラ14a,14b間 の上部の所定の位置には、切断するインゴッ ト32を固定するワークプレート31が、上下方 に移動可能に配置される。このワークプレ ト31には、たとえば口径150mm角前後で長さが4 00mm前後のシリコンインゴットなどがインゴ ト32として接着固定される。

 この実施の形態1では、2本のワイヤガイ ローラ14a,14bの間の上側のワイヤ11に下側か 接するように、円筒形状のワイヤガイドロ ラ41がさらに備えられる。このワイヤガイド ローラ41の回転軸が2本のワイヤガイドローラ 14a,14bの回転軸と平行となるように、ワイヤ イドローラ41は配設される。このワイヤガイ ドローラ41にも、その表面に2本のワイヤガイ ドローラ14a,14bと同様に所定のピッチでガイ 溝15が形成されている。ワイヤ径を縮小する と、ワイヤ11に印加する張力を低減する必要 あるが、張力低下によってワイヤ振れが起 易くなり、切断に関与する上側のワイヤ11 支持するスパンを短くする必要がある。そ ために、このワイヤガイドローラ41は設けら れる。この図1の例では、2本のワイヤガイド ーラ14a,14bの間のほぼ中心にワイヤガイドロ ーラ41が配設されるが、もし、2本のワイヤガ イドローラ14a,14bの間隔が張力低下によるワ ヤ振れが起き難い間隔である場合には、こ ワイヤガイドローラ41を設ける必要はない。

 また、この実施の形態1では、2本のワイ ガイドローラ14a,14bの間の上側のワイヤ11に 側から接するように配設されるワイヤ浮き がり規制部材42が設けられている。この図1 例では、2本のワイヤガイドローラ14a,14bの間 に、3本のワイヤ浮き上がり規制部材42が、等 間隔に、並行するワイヤをほぼ直角に横切る 方向に延在して配置されている。このワイヤ 浮き上がり規制部材42は、ワイヤガイドロー 14a,14b,41と同じ方向に回転可能な円筒形状の 回転体からなる。また、図1や図2に示される うに、このワイヤ浮き上がり規制部材42は ワイヤガイドローラ14a,14b,41の近傍でかつイ ゴット32の切断溝へのスラリの流れを妨げ いように、ワイヤ11の走行方向dに対してス リ塗布ヘッド22よりも後方に配設される。

 つぎに、このような構成を有するマルチ イヤソー10によるインゴット32の切断方法に ついて説明する。まず、インゴット切断準備 として、ワイヤガイドローラ14a,14b,41にワイ 11を巻きつけてインゴット32の送り方向にワ ヤ11を位置決めする。この段階で、図1や図2 に示されるように、ワイヤガイドローラ14a,14 b,41の近傍で、かつ図3に示されるように上部 ワイヤ11の上側の位置に、ワイヤ浮き上が 規制部材42の下側が接するように、ワイヤ浮 き上がり規制部材42を配設する。このとき、 イヤ浮き上がり規制部材42は、全てのワイ 11に接触させる。この接触作業は、自動化機 構を用いてもよいし、手作業にて行ってもよ い。ここで、ワイヤガイドローラ14a,14b,41に けられたガイド溝15,43の位置とワイヤ径とに よって、幾何学的に回転体であるワイヤ浮き 上がり規制部材42の位置が決まる。しかし、 際には、ワイヤガイドローラ14a,14b,41のガイ ド溝15,43の深さやワイヤ径、そしてワイヤ浮 上がり規制部材42を構成する回転体の直径 はばらつきがあるので、全てのワイヤ11に回 転体(ワイヤ浮き上がり規制部材42)を接触さ るためには僅かにワイヤ11を撓ませることが 必要になる場合がある。

 この状態で、スラリ塗布ヘッド22からワ ヤ11に向けてスラリを塗布しながら、ワイヤ 送り出し機構12、ワイヤ巻き取り機構13、ワ ヤガイドローラ14a,14bを図示しない駆動機構 よって同期を取りながら駆動制御してワイ 11を矢印dの方向に走行させて、さらにイン ット32を接着固定したワークプレート31を下 方に移動させてインゴット32の切断を開始す 。このとき、インゴット32とワイヤ11との距 離が、0.3mm程度に近づいた状態では、スラリ インゴット32の端面の隙間の空気がスラリ 随伴して隙間から排出されることによって じる負圧で、スラリがインゴット32の端面に 吸い付けられるとともに、このスラリの粘性 によってワイヤ11がインゴット32側に持ち上 られる作用を受ける。しかし、ワークプレ ト31(インゴット32)近傍のワイヤ11の上側に、 ワイヤ11をワイヤガイドローラ14a,14b,41のガイ ド溝15,43に押し付けるように設けられたワイ 浮き上がり規制部材42によって、ワイヤ11の 上方への持ち上がりが防止される。その結果 、インゴット32の切断開始位置のばらつきが えられる。

 その後は、従来のマルチワイヤソーと同 に、ワイヤ11を矢印dの方向に走行させなが 、ワークプレート31を下方に移動させて、 ンゴット32の切断を行う。

 この実施の形態1によれば、ワイヤ浮き上 がり規制部材42によって、インゴット32の切 開始時にワイヤ11をワイヤガイドローラ14a,14 b,41のガイド溝15,43に押し付けるようにしてワ イヤ11の浮き上がりを規制したので、ガイド 15,43内でワイヤ11の変位やワイヤ11のガイド 15,43からの離脱を防ぎ、インゴット32から切 り出すウェハの端部の板厚のばらつきを小さ くすることができる。その結果、インゴット 32からの良品ウェハの収率を向上させること できるという効果を有する。

実施の形態2.
 図4は、この発明にかかるマルチワイヤソー の制御部の機能構成を示すブロック図である 。この制御部50は、ワイヤ撓みプロファイル 出部51と、加工制御部52と、を備える。なお 、この制御部50によって制御されるマルチワ ヤソー10の構成は、実施の形態1の図1に示し たものと同一であるので、その説明は省略す る。

 ワイヤ撓みプロファイル算出部51は、イ ゴット32の切断開始時に形成される切断溝の 深さが少なくともワイヤ11の半径と同じかそ よりも深くなる時点での、所定の切断位置 のワイヤ11の撓みを導出する。図5は、イン ット切断開始時にインゴットを深さeだけ切 り込んだ状態を模式的に示す断面図であり、 図6は、切断開始時におけるワイヤガイドロ ラの回転軸の方向から見たマルチワイヤソ の状態を模式的に示す図である。図5では、 イヤ11による切断で、インゴット32が深さe け切り込まれた状態を示している。ここで ワイヤ11とインゴット32との間にはスラリ中 砥粒23が挟まれている。また、図6では、所 の切断条件で、インゴット32が切断深さeだ 切り込まれている状態でのワイヤ11の撓みy 示している。

 これらの図に示されるように、ワイヤ撓 プロファイル算出部51は、所定のインゴッ 切断条件におけるワイヤ11の撓み、ワイヤガ イドローラ14a,14b,41の配設位置、ワイヤガイ ローラ14a,14b,41のガイド溝15,43の形状と寸法 ワイヤ11の直径を含むワイヤソー構造情報か ら幾何学的に、切断深さeが図5に示されるよ な少なくともワイヤの半径と同一かまたは れよりも深くなる時点における、図6に示さ れるようなワイヤ撓みプロファイルを算出す る。

 加工制御部52は、マルチワイヤソー10の加 工時におけるワイヤ送り出し機構12やワイヤ き取り機構13、ワイヤガイドローラ14a,14b、 ンションローラ17、ワイヤ浮き上がり規制 材42について、図示しないモータなどの駆動 手段を介して制御を行う。また、スラリ塗布 ヘッド22からのスラリの吐出量も制御する。 お、加工制御部52は、加工開始時において ワイヤ撓みプロファイル算出部51によって算 出されたワイヤ撓みプロファイルに基づいて 、より具体的には切断に関係するワイヤ11の 置がワイヤ撓みプロファイルに重なるよう ワイヤ浮き上がり規制部材42を配置する。

 つぎに、このようなマルチワイヤソー10 切断方法について説明する。まず、制御部50 のワイヤ撓みプロファイル算出部51は、所定 インゴット切断条件とマルチワイヤソー構 情報とから、図5に示されるインゴット切断 開始時に形成される切断溝の深さeでの、図6 示されるような所定の切断位置のワイヤ11 撓みyの関係、すなわちワイヤ撓みプロファ ルを導出する。

 その後、インゴット切断準備として、ワ ヤガイドローラ14a,14b,41にワイヤ11を巻きつ てインゴット32の送り方向に対してワイヤ11 の位置決めを行う。この段階で、制御部50の 工制御部52は、ワイヤガイドローラ14a,14b,41 近傍で、上部のワイヤ11に、円筒形状の回 体からなるワイヤ浮き上がり規制部材42の下 側を、先に算出したワイヤ撓みプロファイル に一致する地点に配設する。つまり、インゴ ット32の切断処理を行う前に、既に図6に示さ れるようなワイヤ撓みプロファイルを有する ように、ワイヤ浮き上がり規制部材42を配置 る。

 この状態で、スラリ塗布ヘッド22からワ ヤ11に向けてスラリを塗布しながら、ワイヤ 送り出し機構12、ワイヤ巻き取り機構13、ワ ヤガイドローラ14a,14bを図示しない駆動機構 よって同期を取りながら駆動制御してワイ 11を矢印dの方向に走行させて、さらに、イ ゴット32を接着固定したワークプレート31を 下方に移動させてインゴット32の切断を開始 る。このとき、ワイヤ浮き上がり規制部材4 2を構成する回転体が、ワイヤ11をワイヤガイ ドローラ14a,14b,41のガイド溝15,43に押し付けて インゴット32の端面がワイヤ11に近づいた際 ワイヤ11の浮き上がりを防止する。

 さらに、加工が進み、インゴット32の表 に切断溝が形成された状態では、ワイヤ浮 上がり規制部材42を構成する回転体によるワ イヤガイドローラ14a,14b,41のガイド溝15,43への ワイヤ11の押し付けとともに、インゴット32 形成された切断溝によって、ワイヤ11の横振 れが抑制される。その結果、ワイヤ11の位置 規制される。これによって、ウェハ端部の 厚ばらつきをさらに小さくすることができ 。

 その後は、従来のマルチワイヤソーと同 に、ワイヤ11を矢印dの方向に走行させなが 、ワークプレート31を下方に移動させて、 ンゴット32の切断を行う。なお、上述した説 明で、ワイヤ撓みプロファイルを求める際の 切断溝深さeは、ワイヤ11の半径ではなく、ワ イヤ11の半径以上に深くしてもよい。

 この実施の形態2によれば、所定の加工条 件とマルチワイヤソー構造条件とから、イン ゴット32表面の切断溝の深さが、少なくとも イヤ11の半径以上となった場合のワイヤ11の 撓み具合を示すワイヤ撓みプロファイルを求 め、切断開始時にワイヤ11の形状がワイヤ撓 プロファイルと一致するようにワイヤ浮き がり規制部材42を配置するようにしたので インゴット32にワイヤ11の半径程度の切断溝 形成されると、この切断溝がワイヤ11の横 れを抑制し、ガイド溝15,43内でのワイヤ11の 位やワイヤ11のガイド溝15,43からの離脱を防 ぐことができる。その結果、ウェハ端部の板 厚ばらつきをさらに小さくすることが可能と なる。これによって、たとえばインゴット32 してシリコンインゴットを用いた場合に、 陽光発電セルの製造工程におけるウェハの れ、欠け不良を大幅に低減できるという効 を有する。

実施の形態3.
 上述した実施の形態1,2において、ワイヤ11 浮き上がりを防止するワイヤ浮き上がり規 部材42を、ワイヤガイドローラ14a,14b,41に形 されたガイド溝15,43と同一のピッチの溝を円 筒面に設けた円筒形状の回転体としてもよい 。

 この実施の形態3によれば、ワイヤ浮き上 がり規制部材42の表面にガイド溝を形成する とによって、何も形成しない円筒形状の回 体を形成する場合に比して、切断開始する 間のワイヤの横振れをさらに抑制でき、ウ ハ端部の板厚ばらつきを一層小さくするこ ができるという効果を有する。

 以下に、上述した実施の形態1~3のマルチ イヤソー10でインゴットを切断した場合の 果について説明する。実施の形態1~3のワイ 浮き上がり規制部材42を備えるマルチワイヤ ソー10と、ワイヤ浮き上がり規制部材42を有 ないマルチワイヤソー10と、を用いて、それ ぞれ3回切断実験を行った。切断条件は、下 に示す条件で行った。

<切断条件>
切断装置:マルチワイヤソー(装置構成は図1に 示すとおりである)
ワイヤ直径:0.1mm(JFEスチール社製、型式SRH)
砥粒:炭化ケイ素(フジミインコーポレーテッ 社製、GC#1500、平均粒子径約8μm)
シリコンインゴット:口径150mm角、長さ250mmの 結晶シリコンを2個配置
切断ピッチ:0.33mm(切断代0.13mm、ウェハ厚さ0.2m m)
切断速度:0.35mm/分(インゴット送り速度)
ワイヤ走行速度:600m/分
ワイヤ張力:14N
スラリタンク温度設定:25℃ 

 また、スラリとして、グリセリンが40質 %であり、水が56質量%であり、水酸化ナトリ ムが4質量%である混合液を作製した後、同 質量の砥粒(SiC砥粒)を加えて撹拌して作製し たものを用いた。スラリの粘度は、ずり速度 57.6[1/秒]、スラリ温度25℃において、50~130mPa sとなるようにした。この粘度範囲は予備実 において、シリコンインゴットをマルチワ ヤソー10と、砥粒を混合した水系スラリを いて切断するに際して適正な粘度範囲とし 求めたものである。

 各条件でシリコンインゴットを切断した 、各条件の中の最も切断状態が悪い回にお て切断した2個のシリコンインゴットの両端 部と中央部の計6箇所からウェハを各10枚抜き 取り、それぞれのウェハの切断開始端から5mm の地点のウェハ板厚をワイヤ走行方向に3箇 測定した。そして、板厚の範囲を求めて、 厚ばらつきとした。また、その際のワイヤ11 のガイド溝15,43からの離脱についてもカウン した。表1に、この実験結果を示す。

 表1に示されるように、ワイヤ浮き上がり 規制部材42がないマルチワイヤソー10で切断 行った場合には、3回の切断実験のいずれも イヤガイドローラ14a,14b,41のガイド溝15,43か のワイヤ離脱が見られた。最も状態の悪い で数十箇所のワイヤ離脱があった。また、 イヤ11の離脱がない部分からウェハを抜き りウェハ端部の板厚を測定した結果、±50μm 板厚ばらつきが認められた。なお、ワイヤ 脱はワイヤガイドローラ41で多く発生した これは、ワイヤ11が折り返す2つのワイヤガ ドローラ14a,14bに比べて、ワイヤガイドロー 41へのワイヤ11の巻き付け角が小さく、ワイ ヤガイドローラ41がワイヤ11を摩擦保持する が小さいためであると考えられる。

 一方、実施の形態1~3で示した構成を有す ワイヤ浮き上がり規制部材42を有するマル ワイヤソー10で切断を行った場合には、いず れもワイヤガイドローラ14a,14b,41からのワイ 離脱が無く、ウェハ端部の板厚ばらつきも さかった。さらに、実施の形態1,2,3の順に、 ウェハ端部の板厚ばらつきが小さくなってい くことが確認された。

 以上のように、この発明にかかるマルチ イヤソーは、太陽電池用のウェハを製造す ためのシリコンインゴットを、ウェハ端部 板厚のばらつきを抑えて切断する場合に有 である。