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Patent Searching and Data


Title:
MULTILAYER ELECTRODE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/093675
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a low-cost multilayer electrode having high corrosion resistance, low resistivity and catalytic characteristics, which is used as an electrode member for dye-sensitized solar cells, fuel cells, electrolysis of electrolyte solutions and the like. Specifically disclosed is a multilayer electrode having a metal thin film formed on a substrate and composed of at least one metal selected from the group consisting of chromium and titanium, and a platinum thin film formed on the metal thin film. This multilayer electrode is characterized in that the metal thin film has a thickness of 300 nm to 1 μm and the platinum thin film has a thickness of 10 nm to 50 nm.

Inventors:
KANEKO SHOJI (JP)
MURAKAMI KENJI (JP)
BOATENG ONWONA-AGYEMAN (JP)
KAWASAKI SHUNJI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051310
Publication Date:
August 07, 2008
Filing Date:
January 29, 2008
Export Citation:
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Assignee:
HAMAMATSU FOUND SCI & TECH PRO (JP)
SPD LAB INC (JP)
KANEKO SHOJI (JP)
MURAKAMI KENJI (JP)
BOATENG ONWONA-AGYEMAN (JP)
KAWASAKI SHUNJI (JP)
International Classes:
H01M14/00; C25B11/04; H01L31/04; H01M4/86; H01M4/92
Foreign References:
JP2006164697A2006-06-22
JP2005346971A2005-12-15
JP2003123855A2003-04-25
Attorney, Agent or Firm:
ASAHINA, Sohta (2-22Tanimachi 2-chome,Chuo-ku, Osaka-shi, Osaka 12, JP)
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Claims:
 基板上に形成されたクロムおよびチタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属からなる金属薄膜、および該金属薄膜上に形成された白金薄膜を有する積層電極であって、
前記金属薄膜の厚さは300nm~1μmであり、前記白金薄膜の厚さは10nm~50nmであることを特徴とする積層電極。
 基板上に形成されたクロムおよびチタンからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属からなる金属薄膜、および該金属薄膜上に白金粒子を分散させた分散層を有する積層電極であって、
前記金属薄膜の厚さは300nm~1μmであり、前記分散層の厚さは3nm~10nmであり、前記分散層における白金粒子の平均粒子径は10nm以下であることを特徴とする積層電極。
 基板上に形成されたクロム、アルミニウムおよび銅からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属からなる金属薄膜、該金属薄膜上に形成されたチタン薄膜、および該チタン薄膜上に形成された白金薄膜を有する積層電極であって、
前記金属薄膜の厚さは300nm~1μmであり、前記チタン薄膜の厚さは100nm~300nmであり、前記白金薄膜の厚さは10nm~50nmであることを特徴とする積層電極。
 基板上に形成されたクロム、アルミニウムおよび銅からなる群より選ばれた少なくとも1種の金属からなる金属薄膜、該金属薄膜上に形成されたチタン薄膜、および該チタン薄膜上に白金粒子が分散した分散層を有する積層電極であって、
前記金属薄膜の厚さは300nm~1μmであり、前記チタン薄膜の厚さは100nm~300nmであり、前記分散層の厚さは3nm~10nmであり、前記分散層における白金粒子の平均粒子径は10nm以下であることを特徴とする積層電極。
Description:
積層電極

 本発明は、積層電極に関する。さらに詳 くは、色素増感太陽電池、燃料電池、電解 溶液を電気分解する際に用いられる電極な に好適に使用し得る積層電極に関する。

 無尽蔵でクリーンな太陽エネルギーを利 する太陽電池において、シリコン太陽電池 代わる新しいタイプの太陽電池として、製 コストが低く、豊富な原料を使用する色素 感太陽電池が提案されている(例えば、特表 平5-504023号公報およびO'Regan, Brian, Graetzel, Mi chael著、Nature Vol. 353 (1991年)、737頁(Nature Pub lishing Group社発行)参照)。この色素増感太陽 池では、ガラスやプラスチックなどからな 基板の一面に透明導電膜を形成し、この透 導電膜上に酸化チタンなどの酸化物半導体 子からなる多孔質半導体膜を形成し、さら その上に有機色素を担持することにより、 電極が構成されている。一方、この光電極 対向して配置される基板上の光電極側には 白金などの金属膜からなる対向電極が設け れ、この対向電極と前記光電極との間にヨ 素/ヨウ素系イオンなどのレドックス対を含 電解質溶液が封入されている。

 また、次世代のクリーンな発電システム して、燃料電池が各方面で研究され、本格 実用化が待たれている。この燃料電池は、 素と接している白金や炭素などからなる燃 極を負極とし、酸素と接している白金や炭 などからなる空気極を正極とし、この正極 負極との間にリン酸や炭酸リチウム・カリ ムまたは陽イオン交換膜などの電解質が挟 れたものであり、この電解質の中で燃料極 ら空気極の方に水素イオンが移動すること より、電流が流れる。

 さらに、電解質溶液の電気分解は、電子 放出する陽極と電子を受ける陰極とを酸性 溶液、塩基性水溶液または金属塩などの水 液からなる電解質溶液に浸漬し、この陽極 陰極とをそれぞれ電池の正極と負極につな で電気分解することにより、電極に発生し 化合物を化学薬品などの製造に応用するも である。

 このように、色素増感太陽電池、燃料電 または電解質溶液の電気分解などに用いら る電解質溶液には、酸性溶液、塩基性溶液 金属塩溶液、有機溶媒などの腐食性の電解 が含まれている。したがって、これらに用 られる金属電極には、これらの電解質の影 を受けにくい耐食性に優れたものであるこ 、抵抗率が低い材料であること、および電 での電子の授受を促進する触媒活性を示す とが望まれている。

 一般に、電極材料には、電気抵抗が小さ 、安価であることから、銅、アルミニウム どが広く用いられている。しかし、これら 金属材料は、酸性溶液、塩基性溶液、金属 溶液、有機溶媒などに対して腐食しやすい め、その用途は、腐食などが生じない条件 での使用に限られている。また、抵抗が小 い金属材料として、銀、金などがあるが、 れらはいずれも高価であることから、多量 用いることは実用的でない。

 本発明者らは、酸化還元電解質をヨウ化 (CuI)の固体電解質を使用することにより、 陽電池としての機械的強度および電池特性 高められた実用可能な全固体型の色素増感 陽電池を提案している(例えば、特開2003-33193 8号公報参照)。本発明者らは、さらにSPD法を 用した多孔質酸化チタン薄膜の製造方法、 化チタン薄膜を太陽電池用に応用した高効 の色素増感太陽電池用電極およびその製造 法を提案している(例えば、特開2003-176130号 報および特開2004-079610号公報参照)。これら 方法によって製造された色素増感太陽電池 対向電極は、ガラス基板上またはガラス基 上で形成されたフッ素がドープされた酸化 の薄膜上に、耐食性に優れ、電気抵抗が小 く、触媒活性を示す白金薄膜を形成するこ によって形成されている。

 また、酸素イオン導電性固体電解質が用 られた電気化学素子の電極として、貴金属 白金を主成分として含む金属材料からなる 極を用いることにより、高感度でかつ長寿 を有するNOxセンサが提案されている(例えば 、特開平06-258283号公報参照)。また、色素増 太陽電池においては、その対向電極として 板上に形成されたニッケル膜と、該ニッケ 膜上に形成された白金膜とからなる積層構 を有する電極が提案されている(例えば、特 2005-56613号公報参照)。

 以上のように、色素増感太陽電池をはじ 、燃料電池や電解質溶液の電気分解などに 用される電極材料には、高耐食性、低抵抗 および高触媒活性が必要とされ、これらの べての性質を保有する白金が単層または他 金属と積層することによって使用されてい 。

 しかしながら、白金は極めて高価である とから、色素増感太陽電池などには、白金 使用量を少なくした電極が求められている 、高耐食性、低抵抗率および触媒活性を有 る新たな電極の開発が待ち望まれている。 た、電極を白金と他の金属との積層構造と ることにより、白金の使用量を少なくした 極では、白金と組み合わせて使用される金 も高価であることから、安価で高性能を有 る電極の開発が望まれている。

 本発明は、前記従来技術に鑑みてなされ ものであり、種々の電極材料、例えば、色 増感太陽電池、燃料電池および電解質溶液 電気分解などの際に用いられる電極として 高耐食性、低抵抗率および触媒特性を有し 安価な積層電極を提供することを課題とす 。

 本発明は、
(1)基板上に形成されたクロムおよびチタンか らなる群より選ばれた少なくとも1種の金属 らなる金属薄膜、および該金属薄膜上に形 された白金薄膜を有し、金属薄膜の厚さは30 0nm~1μmであり、白金薄膜の厚さは10nm~50nmであ ことを特徴とする積層電極(以下、第1発明 いう)、
(2)基板上に形成されたクロムおよびチタンか らなる群より選ばれた少なくとも1種の金属 らなる金属薄膜、および該金属薄膜上に白 粒子を分散させた分散層を有し、金属薄膜 厚さは300nm~1μmであり、分散層の厚さは3nm~10n mであり、分散層における白金粒子の平均粒 径は10nm以下であることを特徴とする積層電 (以下、第2発明という)、
(3)基板上に形成されたクロム、アルミニウム および銅からなる群より選ばれた少なくとも 1種の金属からなる金属薄膜、該金属薄膜上 形成されたチタン薄膜、および該チタン薄 上に形成された白金薄膜を有し、金属薄膜 厚さは300nm~1μmであり、チタン薄膜の厚さは1 00nm~300nmであり、白金薄膜の厚さは10nm~50nmで ることを特徴とする積層電極(以下、第3発明 という)、ならびに
(4)基板上に形成されたクロム、アルミニウム および銅からなる群より選ばれた少なくとも 1種の金属からなる金属薄膜、該金属薄膜上 形成されたチタン薄膜、および該チタン薄 上に白金粒子が分散した分散層を有し、金 薄膜の厚さは300nm~1μmであり、チタン薄膜の さは100nm~300nmであり、分散層の厚さは3nm~10nm であり、分散層における白金粒子の平均粒子 径は10nm以下であることを特徴とする積層電 (以下、第4発明という)
に関する。

第1発明の一実施形態を示す積層電極の 概略断面図である。 第2発明の一実施形態を示す積層電極の 概略断面図である。 第3発明の一実施形態を示す積層電極の 概略断面図である。 第4発明の一実施形態を示す積層電極の 概略断面図である。 従来の色素増感太陽電池の対向電極の 略断面図である。

符号の説明

 1  基板
 2  金属薄膜
 3  白金薄膜
 4  白金分散層
 5  金属薄膜
 6  チタン薄膜

 第1発明~第4発明に用いられる基板として 、とくに限定がなく、例えば、ガラスなど 材質からなる基板があげられる。第2発明~ 4発明でも、第1発明と同様の基板を用いるこ とができる。

 第1発明は、基板上に形成されたクロムお よびチタンからなる群より選ばれた少なくと も1種の金属からなる金属薄膜、および該金 薄膜上に形成された白金薄膜を有する積層 極である。第1発明は、このような積層構造 有することから、高耐食性、低抵抗率およ 触媒特性を有する。

 基板上には、クロムおよびチタンからなる より選ばれた少なくとも1種の金属からなる 金属薄膜が形成される。これらの金属の抵抗 率は、いずれも、5~13×10 -8 ωmであり、白金の抵抗値(11×10 -8 ωm)とほぼ同等であることから、これらの金 は、白金と同等の導電性を有している。さ に、これらの金属は、酸性溶液、塩基性溶 、金属塩溶液、有機溶剤などに対する耐腐 性に優れ、白金とほぼ同等の抵抗率および 食性を有することから、低効率が低く、耐 性に優れている。

 金属薄膜は、例えば、スパッタリング法 どによって基板上に形成することができる 形成される金属薄膜の厚さは、低い抵抗率 確保する観点から、好ましくは300nm~1μm、よ り好ましくは500~900nmである。

 形成された金属薄膜上には、白金薄膜が 成される。白金薄膜は、例えば、スパッタ ング法などによって金属薄膜上に形成する とができる。形成される白金薄膜の厚さは 経済性を高めるとともに触媒活性を充分に 現させる観点から、好ましくは10~50nm、より 好ましくは10~30nmである。

 第2発明は、第1発明で用いられている白 薄膜の代わりに、白金粒子を分散させた分 層が金属薄膜上に形成された積層電極であ 。この分散層では、白金粒子が個々に分離 、金属薄膜上で島状に分散しているので、 触媒作用を呈する。したがって、第2発明は 第1発明よりもさらに白金の消費量を少なく することができるという利点がある。

 白金粒子の平均粒子径は、電極での電子 授受を促進する触媒作用を効率よく機能さ る観点から、好ましくは10nm以下、より好ま しくは5~10nmである。

 白金粒子を分散させた分散層は、白金粒 が金属薄膜の面積の20%以上を占有するよう 形成させることが、触媒作用を十分に発現 せる観点から好ましいが、白金粒子が金属 膜の面積の80%以下を占有するように形成さ ることが白金の使用量を低減させる観点か 好ましい。

 白金粒子を分散させた分散層は、例えば、 パッタリング法などにより、製膜時間を短 制御することによって形成させることがで る。形成した分散層の厚さは、触媒作用が 率よく機能させる観点およびその使用量を 要最少量に抑える観点から、好ましくは3~10 nm、より好ましくは5~8nmである。また、分散 における白金粒子の密度は、触媒作用が効 よく機能させる観点およびその使用量を必 最少量に抑える観点から、好ましくは1.7×10 -6 ~6.7×10 -6 g/cm 3 、より好ましくは2.5×10 -6 ~5.0×10 -6 g/cm 3 である。

 第3発明は、基板上に形成されたクロム、 アルミニウムおよび銅からなる群より選ばれ た少なくとも1種の金属からなる金属薄膜、 金属薄膜上に形成されたチタン薄膜、およ 該チタン薄膜上に形成された白金薄膜を有 る積層電極である。

 本発明者らは、低コスト化を可能とする 極材料について鋭意研究を重ねた結果、第3 発明の積層電極が、高耐食性、低抵抗率およ び高触媒作用に優れていることを見出した。 第3発明は、かかる知見に基づいて完成され ものである。

 基板上には、クロム、アルミニウムおよ 銅からなる群より選ばれた少なくとも1種の 金属からなる金属薄膜が形成される。

 金属薄膜は、例えば、スパッタリング法 どによって基板上に形成することができる 形成される金属薄膜の厚さは、低い抵抗率 確保する観点から、好ましくは300nm~1μm、よ り好ましくは500~900nmである。

 形成された金属薄膜上には、チタン薄膜 形成される。チタン薄膜は、例えば、スパ タリング法などによって金属薄膜上に形成 ることができる。形成されるチタン薄膜の さは、耐食性を付与するとともに経済性を める観点から、好ましくは100~300nm、より好 しくは150~250nmである。

 つぎに、形成されたチタン薄膜上には、 金薄膜が形成される。白金薄膜は、例えば スパッタリング法などによってチタン薄膜 に形成することができる。形成される白金 膜の厚さは、耐食性を付与するとともに経 性を高める観点から、好ましくは10~50nm、よ り好ましくは10~30nmである。

 第4発明は、第3発明で用いられている白 薄膜の代わりに、白金粒子を分散させた分 層が金属薄膜上に形成された積層電極であ 。

 白金粒子の平均粒子径は、電極での電子 授受を促進する触媒作用を効率よく機能さ る観点から、好ましくは10nm以下、より好ま しくは5~10nmである。

 白金粒子を分散させた分散層は、白金粒 が金属薄膜の面積の20%以上を占有するよう 形成させることが、触媒作用を十分に発現 せる観点から好ましいが、白金粒子が金属 膜の面積の80%以下を占有するように形成さ ることが白金の使用量を低減させる観点か 好ましい。

 白金粒子を分散させた分散層は、例えば、 パッタリング法などにより、製膜時間を短 制御することによって形成させることがで る。形成した分散層の厚さは、触媒作用が 率よく機能させる観点およびその使用量を 要最少量に抑える観点から、好ましくは3~10 nm、より好ましくは5~8nmである。また、分散 における白金粒子の密度は、触媒作用が効 よく機能させる観点およびその使用量を必 最少量に抑える観点から、好ましくは1.7×10 -6 ~6.7×10 -6 g/cm 3 、より好ましくは2.5×10 -6 ~5.0×10 -6 g/cm 3 である。

 つぎに、本発明の積層電極を図面に基づ て説明する。

 図1は、第1発明の積層電極の一実施態様 示す概略断面図である。図1に示された積層 極は、基板1上に形成されたクロムおよびチ タンからなる群より選ばれた少なくとも1種 金属からなる金属薄膜2と、その金属薄膜2の 表面上に形成された白金薄膜3によって構成 れている。

 図2は、第2発明の積層電極の一実施態様 示す概略断面図である。図2に示された積層 極は、基板1上に形成されたクロムおよびチ タンからなる群より選ばれた少なくとも1種 金属からなる金属薄膜2と、その金属薄膜2上 に形成された白金粒子を分散させた分散層4 よって構成されている。

 図3は、第3発明の積層電極の一実施態様 示す概略断面図である。図3に示された積層 極は、基板1上に形成されたクロム、アルミ ニウムおよび銅からなる群より選ばれた少な くとも1種の金属からなる金属薄膜5と、その 属膜上に形成されたチタン薄膜6と、そのチ タン薄膜6上に形成された白金薄膜3によって 成されている。

 図4は、第4発明の積層電極の一実施態様 示す概略断面図である。図4に示された積層 極は、基板1上に形成されたクロム、アルミ ニウムおよび銅からなる群より選ばれた少な くとも1種の金属からなる金属薄膜5と、その 属膜上に形成されたチタン薄膜6と、そのチ タン薄膜6上に形成された白金粒子を分散さ た分散層4によって構成されている。

 第1発明~第4発明の積層電極は、いずれも 図5に示される従来の基板1および白金膜3か なる白金電極よりも白金の使用量が非常に なく、また白金電極とほぼ同等の抵抗率、 食性および触媒特性を有するので、白金電 に代わる安価な電極として、色素増感太陽 池、燃料電池、電解質の電気分解用電極な に好適に使用することができる。

 つぎに本発明を実施例に基づいてさらに 細に説明するが、本発明は、かかる実施例 みに限定されるものではない。

実施例1
 ガラス基板(コーニング社製、品番:コーニ グ#1737)上に、スパッタリング法によって厚 700nmのクロム薄膜を形成させた。スパッタリ ング法によるクロム薄膜の形成は、RFマグネ ロンスパッタ装置〔アネルバ(株)製〕を用 、RF電力200W、アルゴンガス圧力0.2Pa、製膜時 間60分間の条件で行った。

 つぎに、形成されたクロム薄膜の上に、 パッタリング法によって厚さ10nmの白金薄膜 を形成させることにより、第1発明の積層電 を得た。なお、スパッタリング法によるク ム薄膜の形成は、RFマグネトロンスパッタ装 置〔アネルバ(株)製〕を用い、RF電力200W、ア ゴンガス圧力0.2Pa、製膜時間1分20秒間の条 で行った。

実施例2
 実施例1と同様にしてガラス基板上に、スパ ッタリング法によって厚さ700nmのクロム薄膜 形成させた。

 つぎに、形成されたクロム薄膜の上に、ス ッタリング法によって平均粒径が
8nmである白金粒子の分散層(厚さ5nm)を形成さ ることにより、第2発明の積層電極を得た。 なお、スパッタリング法によるクロム薄膜の 形成は、RFマグネトロンスパッタ装置〔アネ バ(株)製〕を用い、RF電力200W、アルゴンガ 圧力0.2Pa、製膜時間40秒間の条件で行った。

実施例3
 実施例1で用いたガラス基板と同じ種類のガ ラス基板上に、スパッタリング法によって厚 さ800nmの銅薄膜を形成させた。スパッタリン 法による銅薄膜の形成は、RFマグネトロン パッタ装置〔アネルバ(株)製〕を用い、RF電 300W、アルゴンガス圧力0.2Pa、製膜時間80分 の条件で行った。

 つぎに、形成された銅薄膜上に、スパッ リング法によって厚さ200nmのチタン薄膜を 成させた。チタン薄膜の形成は、RFマグネト ロンスパッタ装置〔アネルバ(株)製〕を用い RF電力200W、アルゴンガス圧力0.2Pa、製膜時 30分間の条件で行った。

 つぎに、形成されたチタン薄膜上に、ス ッタリング法によって厚さ20nmの白金薄膜を 形成させることにより、第3発明の積層電極 得た。なお、白金薄膜の形成は、RFマグネト ロンスパッタ装置〔アネルバ(株)製〕を用い RF電力200W、アルゴンガス圧力0.2Pa、製膜時 2分40秒間の条件で行った。

実施例4
 実施例1で用いたガラス基板と同じ種類のガ ラス基板上に、実施例3と同様にしてスパッ リング法によって厚さ800nmの銅薄膜を形成さ せた。

 つぎに、形成された銅薄膜上に、実施例3 と同様にしてスパッタリング法によって厚さ 200nmのチタン薄膜を形成させた。

 つぎに、形成されたチタン薄膜上に、ス ッタリング法によって平均粒径が6nmである 金粒子の分散層(厚さ5nm)を形成させること より、第4発明の積層電極を得た。なお、白 薄膜の形成は、RFマグネトロンスパッタ装 〔アネルバ(株)製〕を用い、RF電力200W、アル ゴンガス圧力0.2Pa、製膜時間40秒間の条件で った。

比較例1
 実施例1で用いたガラス基板と同じ種類のガ ラス基板上に、スパッタリング法によって厚 さ20nmの白金薄膜を形成させることにより、 来の積層電極を得た。スパッタリング法に る白金薄膜の形成は、RFマグネトロンスパッ タ装置〔アネルバ(株)製〕を用い、RF電力200W アルゴンガス圧力0.2Pa、製膜時間2分40分間 条件で行った。

比較例2
 比較例1において、白金薄膜を形成させると きの製膜条件をRF電力200W、アルゴンガス圧力 0.2Pa、製膜時間80分間に変更したこと以外は 比較例1と同様の操作を行うことにより、白 薄膜の厚さが600nmである従来の積層電極を た。

比較例3
 実施例1で用いたガラス基板と同じ種類のガ ラス基板上に、スパッタリング法によって厚 さ700nmのクロム薄膜を形成させることにより 従来の積層電極を得た。スパッタリング法 よるクロム薄膜の形成は、RFマグネトロン パッタ装置〔アネルバ(株)製〕を用い、RF電 200W、アルゴンガス圧力0.2Pa、製膜時間60分 の条件で行った。

比較例4
 実施例1で用いたガラス基板と同じ種類のガ ラス基板上に、スパッタリング法によって厚 さ800nmの銅薄膜を形成させることにより、従 の積層電極を得た。スパッタリング法によ 銅薄膜の形成は、RFマグネトロンスパッタ 置〔アネルバ(株)製〕を用い、RF電力200W、ア ルゴンガス圧力0.2Pa、製膜時間80分間の条件 行った。

 なお、各金属の薄膜の膜厚は、電子顕微 による観察および薄膜の製膜速度によって 出した。

 つぎに、各実施例および各比較例で得ら た積層電極の物性を以下の方法に基づいて 価した。その結果を表1に示す。

〔物性の評価方法〕
(1)積層電極の薄膜が形成された面の表面抵抗
 積層電極の薄膜が形成された面の表面抵抗 、シート抵抗測定器〔三菱化学(株)製〕に る四端子法によって測定した。

(2)耐食性
 色素増感太陽電池の電解質溶液(0.1mol/Lのヨ 化リチウム、0.05mol/Lのヨウ素、0.6mol/Lのヨ 化ジメチルプロピルイミダゾリウムおよび0. 5mol/Lのブチルピリジンを含むメトキシアセト ニトリル溶液)中に、各実施例または各比較 で得られた積層電極を1週間浸漬した後、薄 が形成された面を電子顕微鏡で観察し、腐 状況を調べ、以下の評価基準に基づいて評 した。

〔評価基準〕
○:ほとんど変化がなく、腐食が浸漬面の10% 満である。
△:腐食が浸漬面の10%以上80%未満まで進行し いる。
×:腐食が浸漬面の80%以上進行している。

(3)光電変換効率
 実施例1で用いたガラス基板と同じ種類のガ ラス基板上に、FTO透明導電膜(膜厚:600nm)と酸 チタン膜(膜厚:15μm)を順次積層し、その酸 チタン膜にルテニウム色素〔ソーラロニッ ス(Solaronix)社製、品番:N719〕を担持すること よって作用電極を作製した。

 得られた作用電極と、各実施例または各比 例で得られた積層電極を対向電極として貼 合わせ、これに耐食性を調べるときに用い 電解質溶液と同じ組成からなる電解質溶液0 .5mLを貼り合わせ面より注入し、表面張力に り漏れのない状態で作用電極と積層電極と 電極クリップで挟み、光電極部の有効面積 0.25cm 2 の色素増感太陽電池セルを作製した。

 得られた色素増感太陽電池セルの光電変 効率を、太陽光シュミレータ〔英弘精機(株 )製〕を用いてAM1.5の光照射下で評価した。

 表1に示された結果から、各実施例で得ら れた積層電極は、白金の膜厚が比較例2で得 れた従来の白金単層電極の30分の1以下であ にもかかわらず、比較例2で得られた白金単 電極とほぼ同等のシート抵抗、耐食性およ 光電変換効率を有することがわかる。

 したがって、各実施例で得られた積層電 は、従来の白金単層電極よりも白金の使用 を少なくしても、これと十分に代替するこ ができることがわかる。

 本発明によれば、種々の電極材料、例え 、色素増感太陽電池、燃料電池および電解 溶液の電気分解などの際に用いられる電極 して、高耐食性、低抵抗率および触媒特性 有し、安価な積層電極が提供される。