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Patent Searching and Data


Title:
MULTISTAGE TRANSMISSION
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/122817
Kind Code:
A1
Abstract:
A constant-mesh multistage transmission smoothly operated with a small force, requiring no clutch for gear shift, producing no loss of changeover time for gear shift, eliminating the loss of driving force, and generating less shock due to gear shift. Gears (n1, n2...n5) are disengageably supported on the outer periphery of a hollow gear shaft (12) through the hollow gear shaft (12) and swing claw members (24, 25). The multistage transmission comprises the first swing claw member (25) so engaged that the first gear (n1) and the gear shaft (12) are rotated in synchronism with each other and a second swing claw member (25) so engaged that the second gear (n2) having a reduction ratio smaller one stage than that of the first gear (n1) and the gear shaft (12) are rotated in synchronism with each other. When the transmission is shifted up by shifting the engagement of the swing claw member (25) from the first gear (n1) to the second gear (n2), while the first gear (n1) is engaged with the gear shaft (12) by the first swing claw member (25), the second gear (n2) is engaged with the gear shaft (12) by the second swing claw member (25) for gear shifting.

Inventors:
MATSUMOTO SHINYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2009/053178
Publication Date:
October 08, 2009
Filing Date:
February 23, 2009
Export Citation:
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Assignee:
HONDA MOTOR CO LTD (JP)
MATSUMOTO SHINYA (JP)
International Classes:
F16H3/083; F16H3/089; F16H61/04; F16H61/16; F16H61/28; F16H63/18; F16H63/30; F16H59/14; F16H59/56; F16H59/74; F16H61/682
Foreign References:
JPS54108169A1979-08-24
JP3838494B22006-10-25
JPS5637748U1981-04-10
JPS346713Y11959-05-06
JPS4535687B11970-11-14
JPS4535687B11970-11-14
Other References:
See also references of EP 2258965A4
Attorney, Agent or Firm:
EHARA, Nozomu et al. (JP)
Nozomu Ehara (JP)
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Claims:
互いに平行な駆動歯車軸および被動歯車軸に、それぞれ、複数の駆動歯車および複数の被動歯車が変速段毎に常時噛み合い状態で支持され、
 前記駆動歯車および被動歯車の一方の歯車は、それを支持する歯車軸に固定され、前記駆動歯車および被動歯車の他方の歯車を支持する歯車軸は中空歯車軸で、前記他方の歯車は、前記中空歯車軸に、係合手段を介して係合、離脱可能に支持され、係合手段が変速駆動手段により切り換え駆動されて変速が行われる多段変速機において、
 前記他方の歯車の第1の歯車と前記中空歯車軸を歯車の回転方向で当接させて前記第1の歯車と前記中空歯車軸とが同期して回転するように係合動作を行う第1の係合手段と、
 前記第1の歯車より減速比の1段小さい第2の歯車と前記中空歯車軸を歯車の回転方向で当接させて前記第2の歯車と前記中空歯車軸とが同期して回転するように係合動作を行う第2の係合手段とを備え、
 前記変速駆動手段が、前記第1の歯車から前記第2の歯車に前記係合手段の係合動作を切り換えてシフトアップする際に、前記第1の係合手段により前記第1の歯車が前記中空歯車軸に係合している状態で、前記第2の係合手段により前記第2の歯車を前記中空歯車軸に係合させて変速が行なわれることを特徴とする多段変速機。
前記第1の歯車と中空歯車軸を歯車の逆回転方向で当接して前記第1の歯車と中空歯車軸とが同期して回転するように係合する第3の係合手段と、
 前記第2の歯車と中空歯車軸を歯車の逆回転方向で当接して前記第2の歯車と中空歯車軸とが同期して回転するように係合する第4の係合手段とを備え、
 被駆動側からの駆動力を受けて前記変速駆動手段が前記第2の歯車から前記第1の歯車に前記係合手段の係合を切り換えてシフトダウンする際に、前記第4の係合手段により前記第2の歯車が中空歯車軸に係合している状態で、前記第3の係合手段により前記第1の歯車を同中空歯車軸に係合させて変速が行われることを特徴とする請求項1記載の多段変速機。
前記第1の歯車が中空歯車軸に前記第1の係合手段により係合されているときには、前記第3の係合手段が前記第1の歯車との係合可能状態に保持され、前記第1の歯車から前記第2の歯車にシフトアップする際には、前記第2の係合手段により前記第2の歯車が係合される前に前記第3の係合手段により前記第1の歯車との係合可能状態が解除され、
 前記第2の歯車が歯車軸に前記第4の係合手段により係合されているときには、前記第2の係合手段が前記第2の歯車との係合可能状態に保持され、前記第2の歯車から前記第1の歯車にシフトダウンする際には、前記第3の係合手段により前記第1の歯車が係合される前に前記第2の係合手段により前記第2の歯車との係合可能状態が解除されることを特徴とする請求項2記載の多段変速機。
前記係合手段は、
 前記他方の歯車の内周面の周方向所要位置に突出して形成された係合凸部と、
 前記中空歯車軸の中空内部に軸方向に摺動自在に挿入され、複数のカム溝が軸方向所要箇所に形成された摺接面を有する複数のカムロッドと、
 前記中空歯車軸の所要箇所に径方向に貫通した貫通孔に嵌合し前記軸方向に移動するカムロッドの摺接面と前記カム溝に交互に接して進退するピン部材と、
 前記中空歯車軸に軸支され前記ピン部材の進退で揺動して前記係合凸部と係合および係合解除を行う揺動爪部材とを備え、
 前記変速駆動手段により前記カムロッドを移動して変速を行うことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の多段変速機。
駆動源回転減速手段を備え、
 駆動源から駆動力をうけてシフトダウンするときには、前記駆動源回転減速手段により減速後シフトダウン操作が行われることを特徴とする請求項2記載の多段変速機
前記駆動源回転減速手段として点火時期制御、燃料噴射量制御またはクラッチの切断による動力伝達制御のいずれかが用いられることを特徴とする請求項5記載の多段変速機。
被駆動側からの駆動力を受けているときに、前記変速駆動手段が前記第1の歯車から前記第2の歯車に前記係合手段の係合を切り換えてシフトアップすることを禁止する手段が設けられることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の多段変速機。
Description:
多段変速機

 本発明は、互いに平行な駆動歯車軸と被 歯車軸にそれぞれ複数の駆動歯車と被動歯 が変速段毎に常時噛み合い状態で軸支され 多段変速機に関する。

 この常時噛合い式の多段変速機は、駆動歯 と被動歯車の一方が歯車軸の一方に固定さ 、他方が他方の歯車軸に回転自在に支持さ 、係合手段により回転自在の歯車のうち他 の歯車軸に係合する歯車を切り換えること 変速を行う。
 通常、被動歯車が被動歯車軸に回転自在に 持され、被動歯車を被動歯車軸に係合する 々の係合手段が提案されている(例えば、特 許文献1参照)。

特公昭45-35687号公報

 同特許文献1に開示された常時噛合い式の多 段変速機の係合手段は、軸方向に長尺の長溝 とその中央箇所に周方向に拡開した拡開孔と が形成された筒体が、被動歯車軸に軸方向に 移動自在に外装され、この筒体の周上に複数 の被動歯車が回転自在に支持されている。
 そして、被動歯車軸の各被動歯車に対応す 部分に平坦に切り欠くように形成された切 溝にそれぞれ装入されたローラが筒体の長 に拡開孔を除いて一列に遊嵌されている。

 駆動歯車と常時噛み合って回転する被動歯 のうち、長溝内のローラは被動歯車の内周 と接することなく回転が伝達されず、拡開 内のローラのみが被動歯車の内周面と接し それに係合し回転が伝達される。
 すなわち、拡開孔が位置した被動歯車が被 歯車軸に回転を伝達するので、筒体を軸方 に移動することにより変速することができ 。

 上記多段変速機の係合手段では、ローラ 被動歯車に係合させる拡開孔は、内側縁に 斜面を形成して筒体の移動時にローラが傾 面に沿って周方向に動き易くしているが、 ーラは切込溝と被動歯車の内周面との間に 密に抑えられて定着されるので、この係合 外すのは相当程度の力を要し、筒体を円滑 移動することが容易ではなく、場合によっ は変速用のクラッチを必要とする。

 そして、変速時に、筒体を移動して拡開孔 被動歯車からローラの係合を外してから隣 のローラに至り、同ローラが周方向に移動 て隣りの被動歯車に係合するまでの切換え 要する時間のロスがある。
 また、変速時、ローラの被動歯車との係合 外れたときに駆動力の抜けが生じ、隣りの 動歯車に係合するときに大きな変速ショッ が発生するので、滑らかな変速が難しい。

 本発明は、かかる点に鑑みなされたもの 、その目的とする処は、小さい力で円滑に 動し変速用のクラッチを要せず、変速時の 換え時間のロスがなく、駆動力の抜けがな とともに変速ショックが小さい多段変速機 供する点にある。

 上記目的を達成するために、本発明によれ 、互いに平行な駆動歯車軸および被動歯車 に、それぞれ、複数の駆動歯車および複数 被動歯車が変速段毎に常時噛み合い状態で 持され、前記駆動歯車および被動歯車の一 の歯車は、それを支持する歯車軸に固定さ 、前記駆動歯車および被動歯車の他方の歯 を支持する歯車軸は中空歯車軸で、前記他 の歯車は、前記中空歯車軸に、係合手段を して係合、離脱可能に支持され、係合手段 変速駆動手段により切り換え駆動されて変 が行われる多段変速機において、
 前記他方の歯車の第1の歯車と前記中空歯車 軸を歯車の回転方向で当接させて前記第1の 車と前記中空歯車軸とが同期して回転する うに係合動作を行う第1の係合手段と、
 前記第1の歯車より減速比の1段小さい第2の 車と前記中空歯車軸を歯車の回転方向で当 させて前記第2の歯車と前記中空歯車軸とが 同期して回転するように係合動作を行う第2 係合手段とを備え、
 前記変速駆動手段が、前記第1の歯車から前 記第2の歯車に前記係合手段の係合動作を切 換えてシフトアップする際に、前記第1の係 手段により前記第1の歯車が前記中空歯車軸 に係合している状態で、前記第2の係合手段 より前記第2の歯車を前記中空歯車軸に係合 せて変速が行なわれる。

 本発明の好適な実施形態は、前記第1の歯車 と中空歯車軸を歯車の逆回転方向で当接して 前記第1の歯車と中空歯車軸とが同期して回 するように係合する第3の係合手段と、
 前記第2の歯車と中空歯車軸を歯車の逆回転 方向で当接して前記第2の歯車と中空歯車軸 が同期して回転するように係合する第4の係 手段とを備え、
 被駆動側からの駆動力を受けて前記変速駆 手段が前記第2の歯車から前記第1の歯車に 記係合手段の係合を切り換えてシフトダウ する際に、前記第4の係合手段により前記第2 の歯車が中空歯車軸に係合している状態で、 前記第3の係合手段により前記第1の歯車を同 空歯車軸に係合させて変速が行われる。

 本発明の好適な実施形態では、前記第1の 歯車が歯車軸に前記第1の係合手段により係 されているときには、前記第3の係合手段が 記第1の歯車との係合可能状態に保持され、 前記第1の歯車から前記第2の歯車にシフトア プする際には、前記第2の係合手段により前 記第2の歯車が係合される前に前記第3の係合 段により前記第1の歯車との係合可能状態が 解除され、前記第2の歯車が歯車軸に前記第4 係合手段により係合されているときには、 記第2の係合手段が前記第2の歯車との係合 能状態に保持され、前記第2の歯車から前記 1の歯車にシフトダウンする際には、前記第 3の係合手段により前記第1の歯車が係合され 前に前記第2の係合手段により前記第2の歯 との係合可能状態が解除される。

 本発明の実施形態では、前記係合手段は、
 前記他方の歯車の内周面の周方向所要位置 突出して形成された係合凸部と、
 前記中空歯車軸の中空内部に軸方向に摺動 在に挿入され、複数のカム溝が軸方向所要 所に形成された摺接面を有する複数のカム ッドと、
 前記中空歯車軸の所要箇所に径方向に貫通 た貫通孔に嵌合し前記軸方向に移動するカ ロッドの摺接面と前記カム溝に交互に接し 進退するピン部材と、
 前記中空歯車軸に軸支され前記ピン部材の 退で揺動して前記係合凸部と係合および係 解除を行う揺動爪部材とを備え、
 前記変速駆動手段により前記カムロッドを 動して変速が行われる。

 好適には、多段変速機は、駆動源回転減 手段を備え、駆動源から駆動力をうけてシ トダウンするときには、前記駆動源回転減 手段により減速後シフトダウン操作が行わ る。

前記駆動源回転減速手段としては、点火時 期制御、燃料噴射量制御またはクラッチの切 断による動力伝達制御のいずれかが用いられ る。

 好適には、被駆動側からの駆動力を受け いるときに、前記変速駆動手段が前記第1の 歯車から前記第2の歯車に前記係合手段の係 を切り換えてシフトアップすることを禁止 る手段が設けられる。

 本発明の多段変速機によれば、常時噛合 式の多段変速機において、変速駆動手段が 1の歯車から第2の歯車に係合手段の係合を り換えてシフトアップする際に、第1の係合 段により第1の歯車が中空歯車軸に係合して いる状態で、第2の係合手段により第2の歯車 同中空歯車軸に係合して変速するので、そ 時互いの歯車の回転速度差により第2の係合 手段による第2の歯車の中空歯車軸への係合 第1の係合手段による第1の歯車の中空歯車軸 への係合が円滑に解除される。したがって、 係合解除に力を要せず滑らかに作動して変速 用のクラッチを必要とせず、かつシフトアッ プ時の切換え時間に全くロスがなく、駆動力 の抜けがないとともに変速ショックも小さく 、滑らかなシフトアップを行うことができる 。

 被駆動側からの駆動力を受けて変速駆動 段が第2の歯車から第1の歯車に前記係合手 の係合を切り換えてシフトダウンする際に 第4の係合手段により第2の歯車が歯車軸に係 合している状態で、第3の係合手段により第1 歯車を同歯車軸に係合して変速するように ることによって、その時互いの歯車の回転 度差により第3の係合手段による第1の歯車 歯車軸への係合で第4の係合手段による第2の 歯車の歯車軸への係合が円滑に解除される。 このため、係合解除に力を要せず滑らかに作 動して変速用のクラッチを必要とせず、かつ シフトダウン時も切換え時間に全くロスがな く、駆動力の抜けがないとともに変速ショッ クも小さく、滑らかなシフトダウンを行うこ とができる。

 第1の歯車が歯車軸に第1の係合手段によ 係合されているときには、第3の係合手段が 1の歯車との係合可能状態に保持されるよう にすることにより、駆動力の方向が変化した 時にも係合可能状態にあった第3の係合手段 第1の歯車と速やかに係合して歯車軸との係 が滑らかに引き継がれて維持され、さらに 1の歯車から第2の歯車にシフトアップする には、第2の係合手段により第2の歯車が係合 される前に第3の係合手段により第1の歯車と 係合可能状態が解除されるようにすること より、第3の係合手段が妨げとなることなく 円滑で確実な係合および係合解除が実行され てシフトアップができる。

 また、第2の歯車が歯車軸に第4の係合手 により係合されているときには、第2の係合 段が第2の歯車との係合可能状態に保持され るので、駆動力の方向が変化した時にも係合 可能状態にあった第2の係合手段が第2の歯車 速やかに係合して歯車軸との係合が滑らか 引き継がれて維持され、さらに第2の歯車か ら第1の歯車にシフトダウンする際には、第3 係合手段により第1の歯車が係合される前に 第2の係合手段により第2の歯車との係合可能 態が解除されるので、第2の係合手段が妨げ となることなく円滑で確実な係合および係合 解除が実行されてシフトダウンができる。

 中空歯車軸の中空内部に軸方向に移動自 に挿入され、かつ複数のカム溝が軸方向所 箇所に形成された摺接面を有するカムロッ を軸方向に移動することで、歯車軸の所要 所に嵌合したピン部材を進退して揺動爪部 を揺動し、歯車の係合凸部との係合および 合解除を行うことにより、カムロッドの小 い移動量で所要のピン部材を進退させて係 を切り換えて変速を行うことができ、中空 車軸に軸支される隣り合う歯車間を近づけ 構造が可能で、変速機の軸方向幅を小さく きる。

 駆動源から駆動力をうけてシフトダウン るときに、駆動源回転減速手段により減速 シフトダウン作動を行うようにすると、変 時に減速により第2の係合手段による第2の 車との係合を解除することができ、第1の係 手段による第1の歯車との係合に容易に引き 継ぐことができ、加速時にもシフトダウンを 行うことができる。

 駆動源回転減速手段として点火時期制御 燃料噴射量制御またはクラッチの切断によ 動力伝達制御のいずれかを用いることで、 易に加速時にもシフトダウンを行うことが きる。

 被駆動側からの駆動力を受けているとき 、変速駆動手段が第1の歯車から第2の歯車 係合手段の係合を切り換えてシフトアップ ることを禁止することで、シフトアップし ことにより加速したときに、第2の歯車が係 手段により係合するときに生じる変速ショ クを未然に防止することができる。

本発明の一実施の形態に係る多段変速 の断面図である。 変速駆動手段のゼネバ・ストップ機構 示す図である。 別の状態のゼネバ・ストップ機構を示 図である。 シフトドラムの外周面の展開図である カウンタ歯車軸およびその周りの構造 示す断面図である。 図5のVI-VI線断面図である。 図5のVII-VII線断面図である。 図5のVIII-VIII線断面図である。 コントロールロッドの斜視図である。 カムロッドとロストモーション機構の 分解斜視図である。 コントロールロッドにカムロッドとロ ストモーション機構を組み付けた状態を示す 斜視図である。 カウンタ歯車軸とピン部材の分解斜視 図である。 揺動爪部材と支軸ピンの分解斜視図で ある。 カウンタ歯車軸に揺動爪部材、支軸ピ ン、カムロッド、コントロールロッド等を組 み付けた状態を示す斜視図である。 図14に示す状態のカウンタ歯車軸に1軸 受カラー部材を外装した状態を示す斜視図で ある。 シフトアップ開始時の1速状態を示す 明図である。 シフトアップ作業途中の1過程を示す 明図である。 次の過程を示す説明図である。 次の過程を示す説明図である。 次の過程を示す説明図である。 シフトアップ完了時の2速状態を示す 明図である。 シフトダウン開始時の2速状態を示す 明図である。 シフトダウン作業途中の1過程を示す 明図である。 シフトダウン完了時の1速状態を示す 明図である。

符号の説明

 m…駆動変速歯車、m1~m5…第1~第5駆動変速歯 、n…被動変速歯車、n1~n5…第1~第5被動変速 車、5…摩擦クラッチ、
 10…多段変速機、11…メイン歯車軸、12…カ ンタ歯車軸、20…係合手段、21…第1カムロ ド,22…第2カムロッド、23…ピン部材、24,25… 揺動爪部材、25c…係合爪部、24p,25p…ピン受 、26…支軸ピン、27…ねじりコイルスプリン 、31…係合凸部、50…変速駆動手段、51…コ トロールロッド。

 以下、本発明に係る一実施の形態について 1ないし図24に基づいて説明する。
 本実施の形態に係る多段変速機10は、自動 輪車に搭載される内燃機関に組み合わされ 構成されている。
 図1は、該多段変速機10の断面図であり、同 1に示すように、該多段変速機10は、内燃機 と共通の機関ケース1に設けられている。
 左右割りの左機関ケース1Lと右機関ケース1R が合体して構成された機関ケース1は、変速 2を形成しており、同変速室2にメイン歯車軸 11とカウンタ歯車軸12が互いに平行に左右方 に指向して回転自在に軸支されている。

 メイン歯車軸11は、左機関ケース1Lと右機関 ケース1Rの各側壁にベアリング3L,3Rを介して 転自在に軸支され、右ベアリング3Rを貫通し て変速室2から突出した右端部には多板式の 擦クラッチ5が設けられている。
 摩擦クラッチ5の左側には、図示されないク ランク軸の回転が伝達されるプライマリ被動 ギヤ4がメイン歯車軸11に回転自在に軸支され ている。

 摩擦クラッチ5は、そのクラッチインナ5iが イン歯車軸11の右端部にスプライン嵌合し ナット7で固定され、クラッチインナ5iと同 ラッチインナ5iに組み合わされたプレッシャ プレート5pを収容する椀状をした大径のクラ チアウタ5oがプライマリ被動ギヤ4に連結具6 により連結される。
 したがって、内燃機関のクランク軸の回転 プライマリ被動ギヤ4から係合状態の摩擦ク ラッチ5を介してメイン歯車軸11に伝達される 。

 他方、カウンタ歯車軸12も、左機関ケース1L と右機関ケース1Rの各側壁にベアリング7L,7R 介して回転自在に軸支され、左ベアリング7L を貫通して変速室2から突出した左端部には 力スプロケット8がスプライン嵌合して固定 れている。
 出力スプロケット8に巻き掛けられた駆動チ ェーン9が後方の図示されない後輪を駆動す スプロケットに巻き掛けられ、カウンタ歯 軸12の回転動力が後輪に伝達され、車両が走 行する。

 メイン歯車軸11には、左右のベアリング3L,3R の間に駆動変速歯車m群がメイン歯車軸11と一 体に回転可能に構成されている。
 右ベアリング3Rに沿って第1駆動変速歯車m1 メイン歯車軸11に一体に形成され、メイン歯 車軸11の同第1駆動変速歯車m1と左ベアリング3 Lとの間に形成されたスプラインに右から左 順に第3,第5,第4,第2駆動変速歯車m3,m5,m4,m2が プライン嵌合されている。

 他方、カウンタ歯車軸12には、左右のベア ング7L,7Rの間に被動変速歯車n群が環状の軸 カラー部材13を介してメイン歯車軸11と相対 転自在に軸支されている。
 カウンタ歯車軸12において、右ベアリング7R の左に介装されたカラー部材14Rを介して外装 された右端の軸受カラー部材13と、左ベアリ グ7Lの右に介装されたカラー部材14Lを介し 外装された左端の軸受カラー部材13との間に 、等間隔に4つの軸受カラー部材13が外装され 、この全部で6つの軸受カラー部材13の隣り合 う軸受カラー部材13,13間に跨るようにして右 ら左へ順に第1,第3,第5,第4,第2被動変速歯車n 1,n3,n5,n4,n2が回転自在に軸支されている。

 メイン歯車軸11と一体に回転する第1,第3,第5 ,第4,第2駆動変速歯車m1,m3,m5,m4,m2は、カウンタ 歯車軸12に回転自在に軸支される対応する第1 ,第3,第5,第4,第2被動変速歯車n1,n3,n5,n4,n2にそ ぞれ常時噛み合っている。
 第1駆動変速歯車m1と第1被動変速歯車n1の噛 が、最も減速比の大きい1速を構成し、第5 動変速歯車m5と第5被動変速歯車n5の噛合が、 最も減速比の小さい5速を構成し、その間順 減速比が小さくなって2速、3速、4速が構成 れる。

 中空筒状をなすカウンタ歯車軸12は、各被 変速歯車nと係合可能な係合手段20が後記す ように組み込まれ、後記するように係合手 20(図13参照)の1構成要素である4本の第1,第2カ ムロッド21,21,22,22がカウンタ歯車軸12の中空 周面に嵌合して軸方向に移動自在に摺接さ る。
 図10に示すように、4本の第1,第2カムロッド2 1,21,22,22は、概ね円筒を周方向に4分割された 状をなし、第1カムロッド21と第2カムロッド 22の2種類に分けられ対称位置に同種のカムロ ッドが位置する。

 第1,第2カムロッド21,22は、カウンタ歯車 12の内周面との摺接面がカム面をなすカム部 材であり、軸方向所要箇所5箇所に周方向に 向して円弧状をなすカム溝21v,22vが形成され いる。

 この第1,第2カムロッド21,22を駆動して変 する変速駆動手段50の1構成要素であるコン ロールロッド51が、カウンタ歯車軸12の中空 心軸に上記4本の第1,第2カムロッド21,21,22,22 内側に摺接して挿入されており、コントロ ルロッド51の軸方向の移動は、ロストモー ョン機構52,53を介して連動して第1,第2カムロ ッド21,21,22,22を軸方向に移動する。

 このコントロールロッド51を軸方向に移動 る機構が、左機関ケース1Lの左側に設けられ ている。
 左機関ケース1Lの左側には出力スプロケッ 8を覆うように伝動ケース80が設けられ、さ に伝動ケース80の左側をケースカバー81が覆 て、伝動ケース80とケースカバー81との間に 変速駆動室82が形成されている。

 前記カウンタ歯車軸12の左端は、伝動ケ ス80の開口にシール部材83を介して嵌合され 変速駆動室82に臨んでおり、カウンタ歯車 12内のコントロールロッド51は、カウンタ歯 軸12の左端よりさらに左方へ変速駆動室82内 に突出している。

 伝動ケース80の上方には、変速駆動モータ60 が駆動軸60aを左方変速駆動室82内に突出させ 固着されている。
 伝動ケース80とケースカバー81とに架設され 、ベアリング61,61を介して、ゼネバ原動歯車6 2が一体の回転軸62aと共に回転自在に軸支さ 、その被動ギヤ歯62gが変速駆動モータ60の駆 動軸60aに形成された駆動ギヤ歯60gに噛合して いる。

 ゼネバ原動歯車62は、その回転中心から 定距離偏心した位置に作動ピン62pが左方に 設されており、回転中心に関して作動ピン62 pの反対側に所定径の円弧形状の凸面62sが形 されている(図1,図2,図3参照)。

 また、変速駆動室82内で、このゼネバ原動 車62と前記コントロールロッド51の左端部と 間には、伝動ケース80とケースカバー81とに 架設されベアリング64,64を介してシフトドラ 65の回転軸65aが回転自在に軸支されている
 シフトドラム65は、ドラム本体の外周面に 内溝65vが形成されている。

 図4は、該シフトドラム65の外周面の展開 であり、案内溝65vは左寄りのニュートラルN 位置から周方向に60度回転した1速位置がさら に軸方向左に変位した位置にあり、1速位置 らは60度回転するごとに順次軸方向右に変位 して2速、3速、4速、5速位置が連続して形成 れている。

 このシフトドラム65の回転軸65aにはゼネバ 動歯車63が前記ゼネバ原動歯車62に対応して 着されている。
 ゼネバ被動歯車63は、図2、図3に示すように 、周方向に60度間隔に6本放射状溝63pが放射方 向に指向して形成されるとともに、隣り合う 放射状溝63p,63pとの間に円弧凹面63sが形成さ ている。

 ゼネバ原動歯車62とゼネバ被動歯車63により 6分の1回転ゼネバ・ストップ機構が構成され 。
 すなわち、図2に示すように、ゼネバ原動歯 車62の回転により旋回する作動ピン62pがゼネ 被動歯車63の1放射状溝63pに入って出るまで 、ゼネバ被動歯車63を6分の1回転し、作動ピ ン62pが放射状溝63pを出たところでゼネバ原動 歯車62の円弧凸面62sがゼネバ被動歯車63の円 凹面63sに係合して、図3に示すように、ゼネ 被動歯車63を鎖錠し固定する。
 したがって、ゼネバ原動歯車62の1回転で、 ネバ被動歯車63がシフトドラム65と一体に確 実に6分の1回転する。

 図1を参照して、前記コントロールロッド 51の左端部には、2個のボールベアリング71,71 ナット72によりインナレースが固着され、 ボールベアリング71,71のアウタレースにコン トロールロッド操作子70が嵌着されている。

 コントロールロッド操作子70に突設された 合ピン75が、伝動ケース80に左右方向に指向 て形成された長溝80vに摺動自在に係合して る。
 また、コントロールロッド操作子70には別 案内ピン76が、シフトドラム65に向けて突設 れ、シフトドラム65の案内溝65vに摺動自在 係合している。

 したがって、コントロールロッド操作子70 、係合ピン75と長溝80vの係合により自身回転 を規制されてコントロールロッド51の左端部 回転自在に保持する。
 そして、前記したようにシフトドラム65が 欠回転すると、コントロールロッド操作子70 は、シフトドラム65の案内溝65vに係合した案 ピン76を介して軸方向に左右に移動し、よ てコントロールロッド操作子70の移動は、2 のボールベアリング71,71を介してコントロー ルロッド51を軸方向に所要量ずつ移動する。

 コントロールロッド51の軸方向の移動は ロストモーション機構52,53を介してカムロッ ド21,22を軸方向に連動し、このカムロッド21,2 2の移動がカウンタ歯車軸12に組み込まれた係 合手段20により各被動変速歯車nを選択的にカ ウンタ歯車軸12と係合して変速を行う。

 以下、この係合手段20の構造を、図5ないし 15に基づき説明する。
 まず、変速駆動手段50のコントロールロッ 51について、図9を参照して説明する。
 コントロールロッド51は、4本のカムロッド2 1,21,22,22の内側に摺接する外径の長尺の中央 柱部51aが形成され、その左右両側が縮径部51 bb,51ccを経て左側にスプライン歯51ssが形成さ たスプライン部51sを経て左端円柱部51bが形 され、右側に軸方向に指向した係合溝51vを 設した右端円柱部51cが形成されている。
 スプライン部51sのスプライン歯51ssの最大径 は、カウンタ歯車軸12の内径に略等しい。

 このコントロールロッド51の中央円柱部51a 回りに摺接される4本の第1,第2カムロッド21,2 1,22,22は、図10を参照して、前記したように概 ね円筒を周方向に4分割された形状をなし、 ウンタ歯車軸12の内周面との摺接面である外 周面には、軸方向所要5箇所に周方向に指向 て円弧状をなすカム溝21v,22vが形成される。
 カム溝21v,22vは、溝底面の両側の側面が互い に外側が開くように適度に傾斜している。
 なお、第1,第2カムロッド21,22の外周面の互 に接する両端縁は切欠かれて、互いに接す と断面がV字状の切欠きvが構成される(図11参 照)。

 そして、対称位置にある同種の2本の第1 ムロッド21,21は、右端を若干延出させて係止 爪21c,21cを形成しており、他の2本の第2カムロ ッド22,22は、左端を若干延出させて係止爪22c, 22cを形成している。

 右側のロストモーション機構52は、コント ールロッド51の右側の縮径部51cc辺りに摺動 在に嵌合される円筒状のスプリングホルダ52 hの内周凹部と縮径部51cc間に、図5に示すスプ リング52sが収納されたもので、スプリング52s は内周凹部と縮径部51ccの双方に嵌合する両 の割りコッタ52c,52cに挟まれている。
 このスプリングホルダ52hの左端面の2本の第 1カムロッド21,21に対向する対称部分が突出し て、第1カムロッド21,21の係止爪21c,21cに互い 係止する係止爪52hc,52hcが形成されている。

 同様に、図5に示すように、左側のロストモ ーション機構53は、コントロールロッド51の 側の縮径部51bb辺りに摺動自在に嵌合される 筒状のスプリングホルダ53hの内周凹部と縮 部51bb間にスプリング53sが収納されたもので 、スプリング53sは内周凹部と縮径部51bbの双 に嵌合する両側の割りコッタ53cとワッシャ53 wに挟まれている。
 このスプリングホルダ53hの右端面の2本の第 2カムロッド22,22に対向する対称部分が突出し て、第2カムロッド22,22の係止爪22c,22cに互い 係止する係止爪53hc,53hcが形成されている。
 なお、図10および図11に示すように、スプリ ングホルダ52h,53hの外周面には、第1,第2カム ッド21,22の外周面の切欠きに対応して周方向 に4本等間隔に断面V字状の切欠き溝52hv,53hvが 成されている。

 図11に示すように、コントロールロッド51の 左右の縮径部51bb,51ccにロストモーション機構 53,52が装着され、スプリングホルダ52h,53h間の 中央円柱部51aの外周に4本の第1,第2カムロッ 21,21,22,22が摺接される。
 このとき、同種のカムロッドが互いに対称 置になるように異種の第1,第2カムロッド21,2 2が交互に配置され、第1カムロッド21,21は右 の係止爪21c,21cを右側のスプリングホルダ52h 係止爪52hc,52hcに係止させ、第2カムロッド22, 22は左端の係止爪22c,22cを左側のスプリングホ ルダ53hの係止爪53hc,53hcに係止させる。

 こうしてコントロールロッド51の周囲に ストモーション機構52,53とともに4本の第1,第 2カムロッド21,21,22,22が、組付けられた状態で 、中空筒状をなすカウンタ歯車軸12の中空内 嵌挿される。

 カウンタ歯車軸12の内周面は、第1,第2カ ロッド21,21,22,22およびスプリングホルダ52h,53 hに対応する部分に軸方向に指向して僅かに 出した突条が周方向に4本等間隔に形成され 第1,第2カムロッド21,21,22,22、スプリングホ ダ52h,53hは、そのV字状の切欠きvおよび切欠 溝52hv,53hvをカウンタ歯車軸12の内周面の突条 に嵌合して周方向の位置決めがなされ相対的 回転が規制されて軸方向にみ移動自在にカウ ンタ歯車軸12の内周面に摺接する。

 また、図5,図6に示すように、コントロー ロッド51のスプライン部51sに対応する、カ ンタ歯車軸12の内周面には、コントロールロ ッド51側のスプライン歯51ssに噛み合うスプラ イン歯12ssが形成されていて、コントロール ッド51はカウンタ歯車軸12に対して相対的回 が規制されて軸方向に移動自在に摺接する

 なお、コントロールロッド51側のスプラ ン歯51ssは8本あるのに対してカウンタ歯車軸 12側のスプライン歯12ssは4本しかなく、欠損 たスプライン歯の部分は連通孔となり潤滑 通路51oとされる。

 さらに、図5に示すように、カウンタ歯車軸 12の右端開口に圧入された環状のカラー部材5 4がコントロールロッド51の右端円柱部51cを保 持するとともに、カラー部材54から中心に向 って突設された係合ピン55が右端円柱部51c 軸方向に指向して刻設された係合溝51vに係 する。
 したがって、コントロールロッド51は、上 回り止め機構によりカウンタ歯車軸12に対し て回転方向において両端で互いに係合して相 対回転を規制され、軸方向のみ移動可能に支 持される。

 このように、カウンタ歯車軸12の中空内 コントロールロッド51とロストモーション機 構52,53と4本の第1,第2カムロッド21,21,22,22が組 込まれると、これら全てが一緒に回転し、 ントロールロッド51が軸方向に移動すると ロストモーション機構52のスプリング52sを介 して第1カムロッド21,21がカウンタ歯車軸12に して軸方向に移動し、ロストモーション機 53のスプリング53sを介して第2カムロッド22,2 2がカウンタ歯車軸12に対して軸方向に移動す る。

 中空筒状をなすカウンタ歯車軸12は、図12に 斜視図で示すように、第1,第2カムロッド21,21, 22,22に対応するとともに被動変速歯車nが軸支 される中央円筒部12aの左右両側に外径が縮径 された左側円筒部12bと右側円筒部12cが形成さ れている。
 左側円筒部12bにはワッシャ56(図5参照)を介 てベアリング7Lが嵌合されるとともに、一部 スプライン12bbが形成されて前記出力スプロ ット8がスプライン嵌合される。
 また、右側円筒部12cにはワッシャ57を介し ベアリング7Rが嵌合される(図5参照)。

 図12に示すように、カウンタ歯車軸12の中 央円筒部12aは、外径が大きく肉厚に構成され ており、この肉厚の外周部に周方向に一周す る周方向溝12cvが軸方向に等間隔に5本形成さ るとともに、軸方向に指向した軸方向溝12av が周方向に等間隔に4本形成されている。

 さらに、カウンタ歯車軸12の中央円筒部12 aの外周部には、5本の周方向溝12cvと4本の軸 向溝12avで区画された複数の区画のうち所要 画に、略矩形状の凹部12dが形成されている

 周方向溝12cvで区画された各環状部分が、4 の軸方向溝12avで4つに区画されているが、そ のうち対称な2区画に凹部12dが形成され、同 部12dはその左側の周方向溝12cvと共通の空間 形成している。
 図12に示すように、軸方向に関して左側2つ 凹部12dと右側3つの凹部12dが互いに周方向に 90度ずれて一列に配列している。

 周方向溝12cvの底部の所要4箇所にピン孔12h 径方向に穿孔されており、同ピン孔12hにピ 部材23が進退自在に嵌挿される。
 ピン孔12hはカウンタ歯車軸12の中空内周面 周方向溝12cvの底面とを径方向に貫通してお 、同ピン孔12hに嵌挿されたピン部材23は、 ウンタ歯車軸12の中空側に出没でき、周方向 溝12cv側に突出して進退できる。

 カウンタ歯車軸12の中空内周面には、第1, 第2カムロッド21,22が摺接されるので、第1,第2 カムロッド21,22の摺接面に形成されたカム溝2 1v,22vがピン孔12hに対向した位置に移動すると 、ピン部材23はカム溝21v,22vに落ちて周方向溝 12cv側への突出量は小さくなり、摺接面がピ 孔12hに対向した位置になると、ピン部材23は カム溝21v,22vから抜けて周方向溝12cv側への突 量は大きくなる。

 以上のような構造のカウンタ歯車軸12の 部12dと周方向溝12cvには、図17、図18に示すよ うに、2種類の揺動爪部材24,25が収容され、軸 方向溝12avに揺動爪部材24,25を揺動自在に軸支 する支軸ピン26が設けられる。

 図13には、最も右側の周方向溝12cvとその 側の凹部12dに収容される4個の揺動爪部材24, 24,25,25およびその各支軸ピン26と、最も左側 周方向溝12cvとその右側の凹部12dに収容され 4個の揺動爪部材24,24,25,25およびその各支軸 ン26の分解斜視図が示されている。

 揺動爪部材24,25は、軸方向視で略円弧状 なし、中央に支軸ピン26が貫通する貫通孔の 外周部が欠損して軸受凹部24d,25dが形成され おり、同軸受凹部24d,25dの揺動中心に関して 方の側にピン受部24p,25pが延出し、他方の側 に係合爪部24c,25cが延出している。

 ピン受部24p,25pは、周方向溝12cvに揺動自在 嵌合する狭い軸方向幅を有し、内周面にピ 部材24p,25pを受けるピン受け凹部24pp,25ppが形 されており、他方の係合爪部24c,25cは、凹部 12dに揺動自在に嵌合する広い軸方向幅を有し 、軸方向視で先細に形成されている。
 幅広の係合爪部24c,25cは、幅狭のピン受部24p ,25pより重く、旋回において重錘として作用 て遠心力により揺動爪部材24,25を揺動させる 。
 2種類の揺動爪部材24,25は、互いに面対称の 状をなす。

 支軸ピン26は、軸受凹部24d,25dに嵌合して揺 爪部材24,25を揺動自在に軸支する。
 揺動爪部材24,25は、カウンタ歯車軸12の凹部 12dと周方向溝12cvに収容され、支軸ピン26は揺 動爪部材24,25の軸受凹部24d,25dに嵌合されると ともに軸方向溝12av内に嵌合保持される。
 カウンタ歯車軸12の1つの凹部12dには、図7、 図8に示すように、周方向に隣り合う揺動爪 材24,25の係合爪部24c,25cが互いの先端を所定 間隔を存して対向させて埋設される。

 図13に一部のねじりコイルスプリング27が 図示されるように、支軸ピン26にはねじりコ ルスプリング27が巻回され、同ねじりコイ スプリング27の一端は揺動爪部材24,25の係合 部24c,25c側に内側から係止され、他端は凹部 12dの底面に接するようにして組み付けて揺動 爪部材24,25を係合爪部24c,25cが外側に揺動する ように付勢する。

 前記ピン部材23は揺動爪部材24,25の一方の ピン受部24p,25pを内側から押し上げて作用す ので、ねじりコイルスプリング27による付勢 力に抗して揺動爪部材24,25を揺動することに る。

 以上の係合手段20をカウンタ歯車軸12に組み 付ける手順について説明する。
 まず、前記したように、コントロールロッ 51の周囲にロストモーション機構52,53ととも に4本の第1,第2カムロッド21,21,22,22を組み付け て図11に示す組付け状態として、それをカウ タ歯車軸12の中空内に嵌挿する。
 その際、各第1,第2カムロッド21,21,22,22が、 ウンタ歯車軸12の軸方向溝12avに対応する周 向位置になるように位置決めされ、ピン孔12 hは各第1,第2カムロッド21,21,22,22の摺接面にそ れぞれ対向する(図7,図8参照)。

 4本の第1,第2カムロッド21,21,22,22のカウンタ 車軸12に対する左右移動位置は、ニュート ル位置になるように設定しておく。
 この状態で、カウンタ歯車軸12の周方向溝12 cvに形成されたピン孔12hにピン部材23を嵌挿 ると、全てのピン部材23は第1,第2カムロッド 21,21,22,22の摺接面に当接して周方向溝12cvから の突出量が大きく設定されている。

 そして、揺動爪部材24,25の軸受凹部24d,25dに ねじりコイルスプリング27を巻回した支軸 ン26を嵌合した状態で、その組立て体をカウ ンタ歯車軸12の外周に形成された凹部12d,周方 向溝12cv,軸方向溝12av等の凹部に装入する。
 揺動爪部材24,25は、大きく突出したピン部 23によりねじりコイルスプリング27の付勢力 抗して一方のピン受部24p,25pが内側から押し 上げられて他方の係合爪部24c,25cを内側に引 込めており、図14に示すように、カウンタ歯 車軸12の中央円筒部12aの外周面より外側に突 するものはない。

 なお、ピン部材23が第1,第2カムロッド21,22 のカム溝21v,22vに落ち込んでねじりコイルス リング27の付勢力およびピン受部24p,25pより い係合爪部24c,25cの遠心力により揺動爪部材2 4,25が支軸ピン26を中心に径方向外方へ揺動す ると、係合爪部24c,25cがカウンタ歯車軸12の中 央円筒部12aの外周面より外側に突出する。

 図14に示すカウンタ歯車軸12に係合手段20を み込み、中央円筒部12aの外周面より外側に 出するものがない状態で、図15に示すよう 、軸受カラー部材13を嵌め込んで外装してい く。
 軸受カラー部材13は、中央円筒部12aの凹部12 d以外の軸方向位置に外装され、それは軸方 溝12avに一列に連続して埋設される支軸ピン2 6の隣り合う支軸ピン26,26に跨って配置され、 支軸ピン26および揺動爪部材24,25の脱落を防 する。
 カウンタ歯車軸12の中央円筒部12aの軸方向 12avに埋設される支軸ピン26は、中央円筒部12 aの外周面に接する深さに埋設されるので、 受カラー部材13が外装されると、ガタなく固 定される。

 6個の軸受カラー部材13がカウンタ歯車軸12 等間隔に外装され、隣り合う軸受カラー部 13,13間に跨るようにして被動変速歯車nが回 自在に軸支される。
 各被動変速歯車nは、左右内周縁部(内周面 左右周縁部)に切欠きが形成されて左右切欠 の間に薄肉環状の突条30が形成されており この突条30を挟むように左右の軸受カラー部 材13,13が切欠きに滑動自在に係合する(図5,図7 ,図8参照)。

 この各被動変速歯車nの内周面の突条30に係 凸部31が周方向に等間隔に6箇所形成されて る。
 係合凸部31は、側面視(図7,図8に示す軸方向 )で薄肉円弧状をなし、その周方向の両端面 が前記揺動爪部材24,25の係合爪部24c,25cと係合 する係合面をなす。

 揺動爪部材24と揺動爪部材25は、互いに対向 する側に係合爪部24c,25cを延出しており、揺 爪部材24は被動変速歯車n(およびカウンタ歯 軸12)の回転方向で係合凸部31に当接して係 し、揺動爪部材25は被動変速歯車nの逆の回 方向で、係合凸部31に当接して係合する。
 なお、揺動爪部材24は被動変速歯車nの逆の 転方向では係合爪部24cが外側に突出してい もそれに係合せず、同様に、揺動爪部材25 被動変速歯車nの回転方向では係合爪部25cが 側に突出していてもそれに係合しない。

 実際に、カウンタ歯車軸12に係合手段20等を 組み込み、5個の被動変速歯車nを組み付ける 合は、以下のようにする。
 まず、カウンタ歯車軸12に、図11に示す状態 に組み付けたコントロールロッド51、カムロ ド21,22およびロストモーション機構52,53を前 記したように挿入し、ピン部材23をピン孔12h 挿入しておき、左を上にして立てた状態に る。

 そして、まず図15に実線で示すように中央 筒部12aの下端(右端)に右端の軸受カラー部材 13を外装してから、第1被動変速歯車n1用の係 手段20(揺動爪部材24,25、支軸ピン26、ねじり コイルスプリング27)を組み付け、次いで第1 動変速歯車n1を上から嵌挿して軸受カラー部 材13に第1被動変速歯車n1の突条30を当接し切 きを係合して組み付け、次に第2の軸受カラ 部材13を上から嵌挿し第1被動変速歯車n1の 欠きに係合してカウンタ歯車軸12の所定位置 に外装して第1被動変速歯車n1を軸方向に位置 決めして取り付ける。
 次に、第3被動変速歯車n3用の係合手段20を み付け、第3被動変速歯車n3を取り付け、以 、この作業を繰り返して残りの第5,第4,第2被 動変速歯車n5,n4,n2が順次組み付けられ、最後 第6の軸受カラー部材13を外装する。

 こうして5個の被動変速歯車nがカウンタ歯 軸12に組み付けられた状態で、図1に示すよ に、カウンタ歯車軸12が左機関ケース1Lと右 関ケース1Rの各側壁に嵌着される左右のベ リング7L,7Rにカラー部材14L,14Rを介して挟ま るようにして回転自在に軸支されると、5個 被動変速歯車nと6個の軸受カラー部材13が交 互に組み合わされて左右から挟まれ、軸方向 の位置決めがなされる。
 軸受カラー部材13は、各被動変速歯車nの軸 向の力を支え、軸方向の位置決めとスラス 力を受けることができる。

 このようにしてカウンタ歯車軸12に軸受カ ー部材13を介して第1,第3,第5,第4,第2被動変速 歯車n1,n3,n5,n4,n2が回転自在に軸支される。
 第1,第2カムロッド21,22がニュートラル位置 あるので、全ての被動変速歯車nは、それぞ 対応する係合手段20の第1,第2カムロッド21,22 の移動位置によりピン部材23が突出して揺動 部材24,25のピン受部24p,25pを内側から押し上 係合爪部24c,25cを内側に引っ込めた係合解除 状態にあって、カウンタ歯車軸12に対して自 に回転する。

 一方、係合手段20のカムロッド21,22のニュ ートラル位置以外の移動位置によりピン部材 23がカム溝21v,22vに入り揺動爪部材24,25が揺動 て係合爪部24c,25cを外側に突出した係合可能 状態となれば、対応する被動変速歯車nの係 凸部31が係合爪部24c,25cに当接して、該被動 速歯車nの回転がカウンタ歯車軸12に伝達さ るか、またはカウンタ歯車軸12の回転が該被 動変速歯車nに伝達される。

 前記変速駆動手段50において、変速駆動モ タ60が駆動され、ゼネバ原動歯車62が1回転す ると、6分の1回転ゼネバ・ストップ機構によ シフトドラム65が60度回転し、シフトドラム 65の案内溝65vに係合する案内ピン76が案内さ て案内ピン76と一体のコントロールロッド操 作子70を軸方向に所定量移動する。
 コントロールロッド操作子70は、2個のボー ベアリング71,71を介してコントロールロッ 51を一緒に軸方向に所定量移動し、コントロ ールロッド51の軸方向の移動は、ロストモー ョン機構52,53のスプリング52s,53sを介して第1 ,第2カムロッド21,22を連動して軸方向に移動 る。

 第1,第2カムロッド21,22が軸方向に移動す ことで、係合手段20の第1,第2カムロッド21,22 摺接するピン部材23がカム溝21v,22vに入った 抜けたりして進退し、揺動爪部材24,25を揺 して、被動変速歯車nとの係合を解除し、他 被動変速歯車nと係合してカウンタ歯車軸12 係合する被動変速歯車nを変えることで変速 が行われる。

 なお、変速駆動手段として、変速駆動モ タ60を駆動して変速を行うようにしている 、運転者が変速操作レバー等を操作してケ ブルを進退させ、ケーブルの進退によりゼ バ・ストップ機構等を介してシフトドラム 回転させるようにして変速を行うようにし もよい。

 以下、内燃機関の駆動による加速時に、1速 状態から減速比が1段小さい2速状態にシフト ップする過程を、図16ないし図21に従って説 明する。
 図16ないし図21は、経時的変化を示しており 、各図において、(a)は、カウンタ歯車軸12お びその周りの構造を示す断面図であり、(b) (a)のb-b線断面図(第2被動変速歯車n2の断面図 )、(c)は(a)のc-c線断面図(第1被動変速歯車n1の 面図)である。

 内燃機関の動力は、摩擦クラッチ5を介し てメイン歯車軸11に伝達されて、第1,第3,第5, 4,第2駆動変速歯車m1,m3,m5,m4,m2を一体に回転 ており、これらにそれぞれ常時噛合する第1, 第3,第5,第4,第2被動変速歯車n1,n3,n5,n4,n2をそれ ぞれの回転速度で回転させている。

 図16は、1速状態を示しており、図16(b)で 第2被動変速歯車n2が矢印方向に回転し、図16 (c)では第1被動変速歯車n1が矢印方向に回転し ており、第1被動変速歯車n1よりも第2被動変 歯車n2が高速で回転している。

 第1被動変速歯車n1に対応する係合手段20の ン部材23のみが第1,第2カムロッド21,22のカム 21v,22vに入っており、したがって該係合手段 20の揺動爪部材24,25が係合爪部24c,25cを外側に 出して、回転する第1被動変速歯車n1の係合 部31が揺動爪部材25の係合爪部25cに係合して (図16(c)参照)、カウンタ歯車軸12を第1被動変 歯車n1とともに第1被動変速歯車n1と同じ回転 速度で回転している。
 なお、図16ないし図24において、有効に動力 伝達している揺動爪部材24,25と係合凸部31に 格子ハッチを施している。

 この1速状態では、第2被動変速歯車n2は、対 応する係合手段20のピン部材23が第1,第2カム ッド21,22のカム溝21v,22vから出て突出し、該 合手段20の揺動爪部材24,25が係合爪部24c,25cを 内側に引っ込めているので、空回りしている 。
 他の第3,第4,第5被動変速歯車n3,n4,n5も同様で 空回りしている(図16(b)参照)。

 ここで、2速に変速すべく変速駆動モータ 60が駆動され、コントロールロッド操作子70 軸方向右方に移動し始めると、ロストモー ョン機構52,53のスプリング52s,53sを介して第1, 第2カムロッド21,22を連動して軸方向右方に移 動しようとする。

 図17を参照して、一方の第1カムロッド21 ピン部材23を介して作動する揺動爪部材24が 1被動変速歯車n1の係合凸部31と係合してい いので、あまり抵抗なく移動してそのカム 21vに入っていたピン部材23を抜け出させて突 出し、揺動爪部材24を揺動してその係合爪部2 4cを内側に引っ込めていく(図17(c)参照)。

 これに対して、他方の第2カムロッド22は ピン部材23を介して作動する揺動爪部材25が 第1被動変速歯車n1の係合凸部31と係合して第1 被動変速歯車n1から動力を受けているので、 動爪部材25を揺動して係合を解除するのに 当大きな摩擦抵抗があり、よってロストモ ション機構53のスプリング53sの力により第2 ムロッド22が移動してピン部材23をカム溝22v 傾斜した側面に沿って突出させようとして 揺動爪部材25を押し上げて揺動させること できず、カム溝22vの傾斜した側面をピン部 23が上がりかけたところでカムロッド22は停 されて、係合を解除できないままとなる(図 17(c)参照)。

 図17に示す状態では、第2被動変速歯車n2 おいては、第1カムロッド21のカム溝21vにピ 部材23は入っておらず、揺動爪部材25に変化 なく、揺動爪部材24も第2カムロッド22が停 しているので変化がない(図17(b)参照)。

 第2カムロッド22が停止した状態で、さら コントロールロッド操作子70が右方に移動 ると、第1カムロッド21も右方に移動し、図18 を参照して、第1被動変速歯車n1において第1 ムロッド21のカム溝21vからピン部材23が抜け て突出し、揺動爪部材24を揺動してその係 爪部24cを内側に完全に引っ込める(図18(c)参 )とともに、第2被動変速歯車n2においては第1 カムロッド21のカム溝21vにピン部材23が入り 揺動爪部材25がねじりコイルスプリング27の 勢力および係合爪部25cの遠心力により揺動 て係合爪部25cを外側に突出する(図18(b)参照) 。

 すると、第1被動変速歯車n1とともに回転す カウンタ歯車軸12より高速で回転する第2被 変速歯車n2の係合凸部31が揺動爪部材25の外 に突出した係合爪部25cに追いつき当接する( 図19(b)参照)。
 この瞬間、図19(b)と図19(c)を参照して、第2 動変速歯車n2の係合凸部31と第1被動変速歯車 n1の係合凸部31がそれぞれの揺動爪部材25,25の 係合爪部25c,25cに同時に当接する瞬間がある

 したがって、この直後から、より高速で 転する第2被動変速歯車n2によりカウンタ歯 軸12が第2被動変速歯車n2と同じ回転速度で 転し始め(図20(b)参照)、第1被動変速歯車n1の 合凸部31から揺動爪部材25の係合爪部25cが離 れて行き(図20(c)参照)、実際の1速から2速への シフトアップが実行される。

 コントロールロッド操作子70の移動はこ で終了するが、変速作業の方は、まだ続き 第1被動変速歯車n1の係合凸部31から揺動爪部 材25の係合爪部25cが離れることで、揺動爪部 25を固定する摩擦抵抗が無くなり、ロスト ーション機構53のスプリング53sにより付勢さ れていた第2カムロッド22が右方に移動してカ ム溝22vに入っていたピン部材23が抜け出し、 動爪部材25を揺動してその係合爪部25cを内 に引っ込めていく(図20(c)参照)。

 そして、さらに第2カムロッド22が右方に移 することで、第1被動変速歯車n1におけるピ 部材23はカム溝22vから抜け、揺動爪部材25の 係合爪部25cを内側に完全に引っ込める(図21(c) 参照)とともに、第2被動変速歯車n2において ム溝22vにピン部材23が入り、揺動爪部材24が じりコイルスプリング27の付勢力および係 爪部24cの遠心力により揺動して係合爪部24c 外側に突出する(図21(b)参照)。
 この状態で1速から2速への変速作業は完了 る。

 以上のように、1速状態から減速比が1段 さい2速状態にシフトアップする際に、図19 示すように、第1被動変速歯車n1の係合凸部31 が揺動爪部材25の係合爪部25cに当接して係合 カウンタ歯車軸12を第1被動変速歯車n1と同 度で回転させている状態で、より高速で回 する第2被動変速歯車n2の係合凸部31が揺動爪 部材25の係合爪部25cに追いつき当接してカウ タ歯車軸12を第2被動変速歯車n2とともによ 高速度で回転させて変速するので、第1被動 速歯車n1の係合凸部31から揺動爪部材25の係 爪部25cは自然と離れていき係合が円滑に解 されるため、係合解除に力を要せず滑らか 作動して滑らかなシフトアップを行うこと できる。

 2速から3速、3速から4速、4速から5速の各 フトアップも同様に、被動変速歯車nが揺動 爪部材24に係合している状態で、減速比が1段 小さい被動変速歯車nが揺動爪部材24に係合し てシフトアップがなされるので、係合解除に 力を要せず滑らかに作動して変速用のクラッ チを必要とせず、かつシフトアップ時の切換 え時間に全くロスがなく、駆動力の抜けがな いとともに変速ショックも小さく、滑らかな シフトアップを行うことができる。

 例えば、1速状態にあるとき、図16(c)に示す うに、第1被動変速歯車n1の係合凸部31に揺 爪部材25が係合していると同時に、他方の揺 動爪部材24の係合爪部24cが係合凸部31に間近 係合可能状態にある。
 したがって、車速が減速されて後輪からカ ンタ歯車軸12への駆動力が働き、駆動力の 向が変化した時には、第1被動変速歯車n1の 合凸部31が揺動爪部材25から揺動爪部材24に 合が速やかに切り換わり、係合が滑らかに き継がれて維持されることができる。

 そして、1速から2速にシフトアップする には、第2被動変速歯車n2の係合凸部31が揺動 爪部材25に係合する前に、第1被動変速歯車n1 おける揺動爪部材24の係合爪部24cは係合可 状態から内側に引っ込んで揺動爪部材24が変 速の妨げになることはなく(図19(c)参照)、円 で確実な係合および係合解除が実行される

 次に、車速を減速している時に、2速状態か ら減速比が1段大きい1速状態にシフトダウン る過程を、図22ないし図24に従って説明する 。
 図22は、変速段が2速状態で、減速した直後 状態を示している。
 減速により後輪からカウンタ歯車軸12への 動力が働き、図22(b)に示すように、回転速度 が低下した第2被動変速歯車n2の係合凸部31に 係合可能状態にあった揺動爪部材24の係合 部24cが係合してカウンタ歯車軸12の回転動力 を第2被動変速歯車n2に伝達する所謂エンジン ブレーキが働いている。

 この状態で、1速にシフトダウンするため に、変速駆動モータ60の駆動によりコントロ ルロッド操作子70が軸方向左方に移動する 、ロストモーション機構52,53のスプリング52s ,53sを介して第1,第2カムロッド21,22を連動して 軸方向左方に移動しようとするが、第2カム ッド22は、ピン部材23を介して作動する揺動 部材24が第2被動変速歯車n2の係合凸部31と係 合して第2被動変速歯車n2から動力を受けてい るので、揺動爪部材24を揺動して係合を解除 るのに相当大きな摩擦抵抗があり、カム溝2 2vの傾斜した側面をピン部材23が上がりかけ ところで第2カムロッド22は停止されて、係 を解除できないままとなる。

 他方、第1カムロッド21はピン部材23を介 て作動する揺動爪部材25が第2被動変速歯車n2 の係合凸部31と係合していないので、あまり 抗なく左方に移動してそのカム溝21vに入っ いたピン部材23を抜けださせて突出し、揺 爪部材25を揺動してその係合爪部25cを内側に 引っ込める(図23(b)参照)。

 また、第1被動変速歯車n1においては、第1カ ムロッド21の左方への移動により、第1カムロ ッド21のカム溝21vにピン部材23が入り、揺動 部材24がねじりコイルスプリング27の付勢力 よび係合爪部24cの遠心力により揺動して係 爪部24cを外側に突出する(図23(c)参照)。
 そして、カウンタ歯車軸12とともに揺動爪 材24が回転して第1被動変速歯車n1の係合凸部 31に追いつき当接すると、図23(b)と図23(c)に示 すように、第2被動変速歯車n2の係合凸部31と 1被動変速歯車n1の係合凸部31がそれぞれの 動爪部材24,24の係合爪部24c,24cに同時に当接 る瞬間がある。
 この直後から、より低速で回転する第1被動 変速歯車n1との係合が有効になり、第2被動変 速歯車n2との係合は解除され、2速から1速へ シフトダウンが実行される。

 コントロールロッド操作子70の移動はここ 終了するが、変速作業の方は、まだ続き、 2被動変速歯車n2の係合凸部31と揺動爪部材24 の係合が解除されることで、揺動爪部材24 固定する摩擦抵抗が無くなり、ロストモー ョン機構53のスプリング53sにより付勢されて いた第2カムロッド22が左方に移動して、第2 動変速歯車n2においてカム溝22vに入っていた ピン部材23が抜け出し、揺動爪部材24を揺動 てその係合爪部24cを内側に引っ込め(図24(b) 照)、第1被動変速歯車n1においてはカム溝22v ピン部材23が入り、揺動爪部材25がねじりコ イルスプリング27の付勢力および係合爪部25c 遠心力により揺動して係合爪部25cを外側に 出する(図24(c)参照)。
 この状態で2速から1速への変速作業は完了 る。

 以上のように、2速状態から減速比が1段 きい1速状態にシフトダウンする際に、図23 示すように、第2被動変速歯車n2の係合凸部31 に揺動爪部材24の係合爪部24cが当接して係合 ている状態で、より低速で回転する第1被動 変速歯車n1の係合凸部31に揺動爪部材24の係合 爪部24cが追いつき当接して係合を切り換える ので、第2被動変速歯車n2の係合凸部31と揺動 部材24の係合爪部24cとの係合が円滑に解除 れるため、係合解除に力を要せず滑らかに 動して滑らかなシフトダウンを行うことが きる。

 5速から4速、4速から3速、3速から2速の各 フトダウンも同様に、被動変速歯車nが揺動 爪部材24に係合している状態で、減速比が1段 大きい被動変速歯車nに揺動爪部材24が係合し てシフトダウンがなされるので、係合解除に 力を要せず滑らかに作動して変速用のクラッ チを必要とせず、かつシフトダウン時の切換 え時間に全くロスがなく、駆動力の抜けがな いとともに変速ショックも小さく、滑らかな シフトダウンを行うことができる。

 例えば、2速状態にあるとき、図22(b)に示す うに、第2被動変速歯車n2の係合凸部31に揺 爪部材24が係合していると同時に、他方の揺 動爪部材25の係合爪部25cが係合凸部31に間近 係合可能状態にある。
 したがって、車速が加速されて内燃機関か 第2被動変速歯車n2へ駆動力が働き、駆動力 方向が変化した時には、第2被動変速歯車n2 係合凸部31が揺動爪部材24から揺動爪部材25 係合が速やかに切り換わり、係合が滑らか 引き継がれて維持されることができる。

 そして、2速から1速にシフトダウンする には、第1被動変速歯車n1の係合凸部31に揺動 爪部材24が係合する前に、第2被動変速歯車n2 おける揺動爪部材25の係合爪部25cは係合可 状態から内側に引っ込んで揺動爪部材25が変 速の妨げになることはなく(図23(b)参照)、円 で確実な係合および係合解除が実行される

 カウンタ歯車軸12の中空内周面に軸方向 移動自在に摺接され摺接面に複数のカム溝21 v,22vが軸方向所要箇所に形成されたカムロッ 21,22を軸方向に移動することで、カウンタ 車軸12の所要箇所に嵌合したピン部材23を進 して揺動爪部材24,25を揺動し、被動変速歯 nの係合凸部31との係合および係合解除を行 ので、カムロッド21,22の小さい移動量で所要 のピン部材23を進退させて係合を切り換えて 速を行うことができ、図1に示すようにカウ ンタ歯車軸12に軸支される隣り合う被動変速 車n間を接近させた構造が可能で、多段変速 機10の軸方向幅を小さくできる。

 内燃機関の駆動による加速時は、シフト ウンしようとしてコントロールロッド51を 方向右方に移動したとしても、そのままで 動力を伝達している被動変速歯車nと揺動爪 材25との係合状態を解除することができな ので、加速時にシフトダウンするときは、 速操作をする前に摩擦クラッチ5を一時切断 て減速させた状態で変速操作を行うことで1 段減速比の大きい被動変速歯車nと揺動爪部 25の係合に円滑に切り換え、それから摩擦ク ラッチ5を係合して加速する。

 なお、前記摩擦クラッチ5を採用していな い場合は、別途点火時期制御や燃料噴射量制 御などの駆動源回転減速手段により一時的に 被動変速歯車nの回転速度を低下させること 、加速時でもシフトダウンを円滑に実行す ことができる。

 車速を減速して後輪からカウンタ歯車軸1 2へ駆動力が働いるときに、シフトアップし うとしてコントロールロッド51を軸方向左方 に移動すると、その後加速したときに、1段 速比の小さい被動変速歯車nが揺動爪部材25 係合するときに、変速ショックを生じるの 、減速時のシフトアップ作業は禁止するこ で、変速ショックの生じるのを未然に防止 ることができる。




 
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