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Title:
NEGATIVE ELECTRODE FOR RECHARGEABLE BATTERY WITH NONAQUEOUS ELECTROLYE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/054158
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention relates to a negative electrode for a rechargeable battery with a nonaqueous electrolyte, which can prevent fracture. The negative electrode is characterized in that it comprises an active material layer containing active material-containing first particles and second particles not reactive with Li and not having electron conductivity, at least a part of the surface of the first particles is covered with a metallic material having a low level of lithium compound forming capability, spaces are provided among the first particles covered with the metallic material, and at least a part of the surface of the second particles is covered with the metallic material in such a state that the particle can be separated from the metallic material by the action of external force.

Inventors:
SAKAGUCHI YOSHIKI (JP)
TODOROV YANKO MARINOV (JP)
SHINZAWA KAYOKO (JP)
INOUE DAISUKE (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058704
Publication Date:
April 30, 2009
Filing Date:
May 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUI MINING & SMELTING CO (JP)
SAKAGUCHI YOSHIKI (JP)
TODOROV YANKO MARINOV (JP)
SHINZAWA KAYOKO (JP)
INOUE DAISUKE (JP)
International Classes:
B22F1/00; B22F1/02; B22F5/00; H01M4/134; H01M4/36; H01M4/38; H01M4/62
Domestic Patent References:
WO2007055198A12007-05-18
Foreign References:
JPH10255807A1998-09-25
JP2005011801A2005-01-13
JP2005026157A2005-01-27
Attorney, Agent or Firm:
HATORI, Osamu (8-6 Akasaka 1-chome,Minato-k, Tokyo 52, JP)
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Claims:
 活物質を含む第1の粒子、及びLiと反応せずかつ電子伝導性を有しない第2の粒子を含む活物質層を備え、
 第1の粒子の表面の少なくとも一部がリチウム化合物の形成能の低い金属材料で被覆されていると共に、該金属材料で被覆された第1の粒子どうしの間に空隙が形成されており、
 第2の粒子の表面の少なくとも一部が、外力の作用によって前記金属材料と剥離可能な状態で該金属材料によって被覆されていることを特徴とする非水電解液二次電池用負極。
 第2の粒子はその粒径が、前記金属材料の被覆の厚みと同等か又はそれよりも小さいものである請求の範囲第1項記載の非水電解液二次電池用負極。
 第2の粒子はその粒径が、前記金属材料の被覆の厚みよりも大きく、かつ前記活物質層の厚みよりも小さいものである請求の範囲第1項の非水電解液二次電池用負極。
 第2の粒子が、アルミナ、アルミン酸リチウム、アルカリ金属酸化物及びアルカリ土類金属酸化物からなる群から選択される少なくとも一種である請求の範囲第1項記載の非水電解液二次電池用負極。
 前記活物質層の空隙率が3~40%である請求の範囲第1項記載の非水電解液二次電池用負極。
 第1の粒子が、活物質としてシリコン又はスズを含む材料からなる請求の範囲第1項記載の非水電解液二次電池用負極。
Description:
非水電解液二次電池用負極

 本発明は、リチウム二次電池等の非水電 液二次電池に用いられる負極に関する。

 本出願人は先に、電池作製時の電極等の き上げ操作における電極の断裂を防止し得 非水電解液二次電池の製造方法を提案した( 特許文献1参照)。この製造方法においては、 れぞれ長尺帯状の形状である、正極と、第1 のセパレータと、厚膜導電体を有していない 第1の負極と、導電性芯材と、厚膜導電体を していない第2の負極とをこの順で重ね合わ 、更に正極の外側又は第2の負極の外側に第 2のセパレータを配し、次いで第2のセパレー が内側となるようにこれらを捲回すること 、これらの部材の捲回体を得る。この製造 法によれば、得られた捲回体をその軸線と 交する方向から加圧して、扁平な角型電池 得る場合にも、電極の断裂が効果的に防止 れる。また、仮に電極の断裂が起こったと ても、導電性芯材による導通が維持される で、電極の断裂に起因する容量低下の問題 生じない。

 しかしながら前記の技術においては、厚 導電体を有していない負極と、導電性芯材 をそれぞれ別個に用意する必要があるので 部材の点数が多くなる。したがって、導電 芯材、すなわち集電体を備えた負極を採用 て、部材の点数を少なくできれば一層好都 である。

 ところで、上述の技術とは別に、リチウム 次電池に無機充填剤を含有させる技術が知 れている。例えば、特許文献2及び3には、 リマー電解質中にAl 2 O 3 、CaO、MgOなどを含有させることが記載されて いる。特許文献4には、活物質層中に酸化チ ンを含有させることが記載されている。特 文献5には、負極とセパレータとの界面、又 正極とセパレータとの界面に、Al 2 O 3 やTiO 2 を含有させることが記載されている。しかし 、これらの無機充填剤の使用によって、電極 作製時の断裂を防止することについては、こ れらの文献には何らの記載もない。

JP2006-253095A

US6335123B1

CA2347177A1

JP2006-134781A

JP2007-87690A

 本発明の目的は、前述した従来技術より 性能が一層向上した非水電解液二次電池用 極を提供することにある。

 本発明は、活物質を含む第1の粒子、及びLi 反応せずかつ電子伝導性を有しない第2の粒 子を含む活物質層を備え、
 第1の粒子の表面の少なくとも一部がリチウ ム化合物の形成能の低い金属材料で被覆され ていると共に、該金属材料で被覆された第1 粒子どうしの間に空隙が形成されており、
 第2の粒子の表面の少なくとも一部が、外力 の作用によって前記金属材料と剥離可能な状 態で該金属材料によって被覆されていること を特徴とする非水電解液二次電池用負極を提 供するものである。

本発明の負極の一実施形態の断面構造 示す模式図である。 図1に示す負極の活物質層の要部を拡大 して示す模式図である。 図1に示す負極の活物質層の要部を拡大 して示す模式図である。

 以下本発明を、その好ましい実施形態に づき図面を参照しながら説明する。図1には 、本発明の負極の一実施形態の構造が示され ている。実施形態の負極10は、集電体11と、 の少なくとも一面に形成された活物質層12を 備えている。なお図1においては、便宜的に 電体11の片面にのみ活物質層12が形成されて る状態が示されているが、活物質層は集電 の両面に形成されていてもよい。

 活物質層12は、第1の粒子12a及び第2の粒子 12bを含んでいる。図1においては便宜上、第1 粒子12aは白抜きの不定形で示されている。 2の粒子12bは黒丸で示されている。第1の粒 12a及び第2の粒子12bは、活物質層12内に均一 分布している。なお図1における第1の粒子12a 及び第2の粒子12bの大きさは、本発明の理解 助けるための便宜的なものであり、必ずし 実際の大きさと一致しているわけではない

 第1の粒子12aは活物質を含んでいる。活物 質としては、リチウムイオンの吸蔵放出が可 能な材料が用いられる。そのような材料とし ては、例えばシリコンを含む材料やスズを含 む材料、アルミニウムを含む材料、ゲルマニ ウムを含む材料が挙げられる。スズを含む材 料としては、例えばスズと、コバルトと、炭 素と、ニッケル及びクロムのうちの少なくと も一方とを含む合金が好ましく用いられる。 負極重量あたりの容量密度を向上させる上で は、特にシリコンを含む材料が好ましい。

 シリコンを含む材料としては、リチウム 吸蔵が可能でかつシリコンを含有する材料 例えばシリコン単体、シリコンと金属との 金、シリコン酸化物などを用いることがで る。これらの材料はそれぞれ単独で、或い これらを混合して用いることができる。前 の金属としては、例えばCu、Ni、Co、Cr、Fe、 Ti、Pt、W、Mo及びAuからなる群から選択される 1種類以上の元素が挙げられる。これらの金 のうち、Cu、Ni、Coが好ましい。特に電子伝 性に優れる点、及びリチウム化合物の形成 の低さの点から、Cu、Niを用いることが望ま い。また、負極を電池に組み込む前に、又 組み込んだ後に、シリコンを含む材料から る活物質に対してリチウムを吸蔵させても い。特に好ましいシリコンを含む材料は、 チウムの吸蔵量の高さの点からシリコン単 又はシリコン酸化物である。

 活物質層12においては、第1の粒子12aの表 の少なくとも一部が、リチウム化合物の形 能の低い金属材料で被覆されている。この 属材料13は、第1の粒子12aの構成材料と異な 材料である。該金属材料で被覆された該粒 12aの間には空隙が形成されている。つまり 金属材料は、リチウムイオンを含む非水電 液が粒子12aへ到達可能なような隙間を確保 た状態で第1の粒子12aの表面を被覆している 。図1中、金属材料13は、第1の粒子12aの周囲 取り囲む太線として便宜的に表されている なお同図は活物質層12の断面構造を二次元的 にみた模式図であり、実際は、第1の粒子12a 他の粒子12aと直接ないし金属材料13を介して 接触している。「リチウム化合物の形成能の 低い」とは、リチウムと金属間化合物若しく は固溶体を形成しないか、又は形成したとし てもリチウムが微量であるか若しくは非常に 不安定であることを意味する。

 金属材料13は導電性を有するものであり その例としては銅、ニッケル、鉄、コバル 又はこれらの金属の合金などが挙げられる 特に金属材料13は、活物質を含む第1の粒子12 aが膨張収縮しても該粒子12aの表面の被覆が 壊されにくい延性の高い材料であることが ましい。そのような材料としては銅を用い ことが好ましい。

 金属材料13は、活物質層12の厚み方向全域 にわたって第1の粒子12aの表面に存在してい ことが好ましい。そして金属材料13のマトリ ックス中に第1の粒子12aが存在していること 好ましい。これによって、充放電によって 1の粒子12aが膨張収縮することに起因して微 化しても、その脱落が起こりづらくなる。 た、金属材料13を通じて活物質層12全体の電 子伝導性が確保されるので、電気的に孤立し た第1の粒子12aが生成すること、特に活物質 12の深部に電気的に孤立した第1の粒子12aが 成することが効果的に防止される。このこ は、活物質として半導体であり電子伝導性 乏しい材料、例えばシリコンを含む材料を いる場合に特に有利である。金属材料13が活 物質層12の厚み方向全域にわたって第1の粒子 12aの表面に存在していることは、該材料13を 定対象とした電子顕微鏡マッピングによっ 確認できる。

 金属材料13は、第1の粒子12aの表面を連続 又は不連続に被覆している。金属材料13が 1の粒子12aの表面を連続に被覆している場合 は、金属材料13の被覆に、非水電解液の流 が可能な微細な空隙を形成することが好ま い。金属材料13が第1の粒子12aの表面を不連 に被覆している場合には、粒子12aの表面の ち、金属材料13で被覆されていない部位を通 じて該粒子12aへ非水電解液が供給される。こ のような構造の金属材料13の被覆を形成する めには、例えば後述する条件に従う電解め きによって金属材料13を第1の粒子12aの表面 析出させればよい。

 活物質の粒子12aの表面を被覆している金 材料13は、その厚みの平均が好ましくは0.05~ 2μm、更に好ましくは0.1~0.25μmという薄いもの である。つまり金属材料13は最低限の厚みで て第1の粒子12aの表面を被覆している。これ によって、エネルギー密度を高めつつ、充放 電によって第1の粒子12aが膨張収縮して微粉 することに起因する脱落を防止している。 こで言う「厚みの平均」とは、第1の粒子12a 表面のうち、実際に金属材料13が被覆して る部分に基づき計算された値である。した って第1の粒子12aの表面のうち金属材料13で 覆されていない部分は、平均値の算出の基 にはされない。

 金属材料13で被覆された第1の粒子12a間に 成された空隙は、リチウムイオンを含む非 電解液の流通の経路としての働きを有して る。この空隙の存在によって非水電解液が 物質層12の厚み方向へ円滑に流通するので サイクル特性を向上させることができる。 に、第1の粒子12a間に形成されている空隙は 充放電で活物質の第1の粒子12aが体積変化す ることに起因する応力を緩和するための空間 としての働きも有する。充電によって体積が 増加した活物質の第1の粒子12aの体積の増加 は、この空隙に吸収される。その結果、該 子12aの微粉化が起こりづらくなり、また負 10の著しい変形が効果的に防止される。

 活物質を含む第1の粒子12aとともに活物質 層12に含まれている第2の粒子12bには、活物質 は含まれていない。第2の粒子12bは、Liと反応 せずかつ電子伝導性を有しない材料から構成 されている。活物質層12に第2の粒子12bを含有 させることで、負極10のフレキシビリティが 上し、負極10を捲回したり、その後に加圧 たりしても、その裂断が生じることを効果 に防止できる。この理由については後述す 。

 第2の粒子12bが電子伝導性を有していると 、負極10を電池に組み込み充放電を行ったと に、意図しない酸化反応又は還元反応が生 、電池の性能に影響を及ぼす場合がある。 た、上述した金属材料13は、好適には電解 っきによって第1の粒子12aの表面に被覆され ところ、第2の粒子12bが電子伝導性を有して いると、該粒子12bの表面で金属材料13の析出 生じてしまう。これらの理由によって、第2 の粒子12bとして、電子伝導性を有していない 材料からなるものを用いる。本発明において 、電子伝導性を有していない材料とは、完全 な不導体の材料のみならず、電池の充放電に 影響を与えない範囲で僅かに電子伝導性を有 している材料も包含する。

 第2の粒子12bがLiと反応しない点に関して 、該粒子12bがLiと反応すると、その分だけ 池の容量が減少してしまい、電池の高容量 の点から不利な方向に作用する。したがっ 第2の粒子12bとして、Liと反応しない材料か なるものを用いる。本発明において、Liと反 応しない材料とは、電池の保存中又は充放電 中に、金属リチウム又はリチウムイオンと反 応しない材料を言う。

 以上の観点から、第2の粒子12bは、アルミ ナ、アルミン酸リチウム、アルカリ金属酸化 物及びアルカリ土類金属酸化物からなる群か ら選択される少なくとも一種であることが好 ましい。アルカリ金属酸化物としては、例え ば酸化リチウム等が挙げられる。アルカリ土 類金属酸化物としては、例えば酸化カルシウ ムや酸化マグネシウムが挙げられる。

 特に第2の粒子12bは、アルミナ又はアルミ ン酸リチウムからなることが好ましい。これ らの材料はリチウムイオン伝導性を有してい るので、電池の充電時にこれらの材料がリチ ウムイオンの活物質層12内への拡散を促進さ 、活物質層12内におけるリチウムイオンの 布が均質化するからである。

 図2には、負極10の活物質層12の要部を拡 した状態が模式的に示されている。第1の粒 12aの表面は、金属材料13で被覆されており 該金属材料13は、粒子12aの表面に強固に結合 している。また、隣り合う2つの第1の粒子12a 、金属材料13によって形成された橋渡し構 14で電気的な導通が確保されている。一方、 第2の粒子12bは、金属材料13中に包埋された状 態になっており、その表面の少なくとも一部 が金属材料13によって被覆されている。しか 、第2の粒子12bの表面は金属材料13によって 着しておらず、第2の粒子12bと金属材料13と 間には微小空間15が存在している。この理 は、上述のとおり、該粒子12bが電子伝導性 有していないこと、及び金属材料13の被覆が 電解めっきによって好適に形成されることに 起因している。その結果、第2の粒子12bの表 は、外力の作用によって金属材料13と剥離可 能な状態で、金属材料13によって被覆されて る。したがって、負極10に曲げの応力が外 から加わると、その応力によって第2の粒子1 2bと金属材料13の被覆との間で剥離が生じる しかし、第1の粒子12aと金属材料13とは密着 ているので、両者間では剥離はほとんど起 らない。第2の粒子12bと金属材料13の被覆と 間でひとたび剥離が生じると、その剥離は として第2の粒子12bと金属材料13の被覆との で次々と伝播し、それによって応力が吸収 れる。その結果、活物質層12に、これを厚さ 方向にわたって分断する断裂が生じることは あっても、負極12に加わった応力は集電体11 で伝播しづらくなり、集電体11の断裂が防止 される。このようなメカニズムによって負極 10のフレキシビリティが向上する。これによ て、負極10の導電性が確保される。

 なお、第1の粒子12aが電子伝導性の低い材 料、例えばシリコンやシリコンを含む材料か らなる場合には、該粒子12aの表面を金属材料 13で被覆するときに、アルカリ条件で電解め きを行うことで、金属材料13を第1の粒子12a 表面に強固に結合させることができる。ア カリ条件で電解めっきを行うことで、粒子1 2aの表面のシリコンがめっき種と置換される 応が、めっき時に生じるからである。

 以上のメカニズムによって負極10に断裂 生じることを効果的に防止する観点から、 2の粒子12bはその粒径が、金属材料13の被覆 厚みと同等であるか、又はそれよりも小さ ことが好ましい。具体的には、第2の粒子12b 平均粒径は、金属材料13の被覆の厚みと同 であるか、又はそれよりも小さいことを条 として、0.05~2μm、特に0.1~1.5μmであることが ましい。

 図3には、図2に示すメカニズムとは異な メカニズムによって負極10に断裂が生じるこ とを防止するための構造が示されている。同 図において、第1の粒子12aの表面は、金属材 13で覆われている。また、隣り合う2つの第1 粒子12aは、金属材料13によって形成された 渡し構造14で電気的な導通が確保されている か、又は金属材料13の被覆どうしが直接結合 ることで電気的な導通が確保されている。 れによって活物質層12内には、金属材料13に よるネットワーク構造16が形成されている。 らに、金属材料13で被覆された第1の粒子12a うしの間に空隙17が形成されている。一方 第2の粒子12bは、その粒径が、金属材料13の 覆の厚みよりも大きく、隣り合う2つのネッ ワーク構造16を隔てるように存在している また、第2の粒子12bの表面は金属材料13によ て密着しておらず、第2の粒子12bと金属材料1 3との間には微小空間15が存在している。つま り、第2の粒子12bは、その表面の少なくとも 部が、外力の作用によって金属材料13の被覆 と剥離可能な状態で該金属材料13によって被 されている。したがって、負極10に曲げの 力が外部から加わると、その応力によって 2の粒子12bと金属材料13の被覆との間で剥離 生じる。しかし、第1の粒子12aと金属材料13 は密着しているので、両者間では剥離はほ んど起こらない。第2の粒子12bと金属材料13 被覆との間でひとたび剥離が生じると、そ 剥離は隣り合う2つのネットワーク構造16を 活物質層12の厚み方向に分断するように伝播 していき(図3中、太点線で示す。)、それによ って応力が吸収される。その結果、活物質層 12に、これを厚さ方向にわたって分断する断 が生じることはあっても、負極12に加わっ 応力は集電体11まで伝播しづらくなり、集電 体11の断裂が防止される。これによって、負 10の導電性が確保される。

 以上のメカニズムによって負極10に断裂 生じることを効果的に防止する観点から、 2の粒子12bはその粒径が、金属材料13の被覆 厚みよりも大きく、かつ活物質層12の厚みよ りも小さいことが好ましい。具体的には、第 2の粒子12bの平均粒径は、金属材料13の被覆の 厚みよりも大きく、かつ活物質層12の厚みよ も小さいことを条件として、2~6μm、特に2~4 mであることが好ましい。

 図2及び図3に示すメカニズムの何れを採 する場合であっても、第2の粒子12bの形状に に制限はない。該粒子12bと金属材料13の被 との間での剥離が円滑に生じるようにする 点からは、球形などの異方性のない形状で ることが好ましい。

 また、図2及び図3に示すメカニズムの何 を採用する場合であっても、活物質層12に含 まれる第1の粒子12aの量に対する第2の粒子12b 量の割合は、0.5~20重量%、特に2~10重量%であ ことが、上述のメカニズムによって負極10 フレキシビリティを向上させる点、及び負 の容量を向上させる点から好ましい。

 活物質層12においては、金属材料13で被覆 された第1の粒子12aどうしの間に空隙が形成 れていることは上述のとおりであるところ 活物質層12の体積に占める空隙の体積の総和 の割合(以下、空隙率という)は、3~40%、特に20 ~35%であることが好ましい。この空隙率の値 大きいほど、活物質を含む第1の粒子12aの膨 収縮に起因する体積変化を空隙で吸収しや くなり、該粒子12aの微粉化を防止できると ろ、本実施形態の負極においては、空隙率 下限値を小さくしても、前記の微粉化を防 できる点に特徴がある。この理由は、上述 とおり、第2の粒子12bは、外力の作用によっ て剥離可能な状態で金属材料13によって被覆 れているので、第1の粒子12aの体積変化によ って生じる応力が、第2の粒子12bが金属材料13 から剥離することによって吸収されるからで ある。

 活物質層12の空隙量は、水銀圧入法(JIS R 1655)で測定される。水銀圧入法は、固体中の 細孔の大きさやその容積を測定することによ って、その固体の物理的形状の情報を得るた めの手法である。水銀圧入法の原理は、水銀 に圧力を加えて測定対象物の細孔中へ圧入し 、その時に加えた圧力と、押し込まれた(浸 した)水銀体積の関係を測定することにある この場合、水銀は活物質層12内に存在する きな空隙から順に浸入していく。本発明に いては、圧力90MPaで測定した空隙量を全体の 空隙量とみなしている。本発明において、活 物質層12の空隙率(%)は、前記の方法で測定さ た単位面積当たりの空隙量を、単位面積当 りの活物質層12の見かけの体積で除し、そ に100を乗じることにより求める。

 上述の空隙率を達成するためには、第1の粒 子12a及び第2の粒子12bの粒径、及びそれらの 用割合を適切に選択すればよい。第2の粒子1 2bの粒径に関しては既に説明してあるところ 第1の粒子12aの粒径は、平均粒径D 50 で表して0.1~5μmであることが好ましく、第1の 粒子12aの酸化防止、及び活物質層12を塗工に り形成するときの厚さの安定性を加味すれ 、1~3μmであることが更に好ましい。なお、 1の粒子12aの粒径と第2の粒子12bの粒径との に、大小関係は特に存在しない。

 本実施形態の負極10は、第1の粒子12a、第2 の粒子12b及び結着剤並びに必要に応じてアセ チレンブラックやグラファイトなどの導電性 炭素材料の粒子を含むスラリーを用いて集電 体11上に塗膜を形成し、次いでその塗膜に対 て電解めっきを行うことで好適に製造され 。結着剤としてはスチレンブタジエンラバ (SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエ レン(PE)、エチレンプロピレンジエンモノマ (EPDM)などが用いられる。希釈溶媒としてはN -メチルピロリドン、シクロヘキサンなどが いられる。スラリー中における粒子12a及び 子12bの合計量は30~70重量%程度とすることが ましい。結着剤の量は0.4~4重量%程度とする とが好ましい。これらに希釈溶媒を加えて ラリーとする。

 前記のスラリーは集電体11上に塗布され 。これによって塗膜が形成される。形成さ た塗膜は、粒子12a,12b間に多数の微小空間を する。塗膜が形成された集電体を、リチウ 化合物の形成能の低い金属材料を含むめっ 浴中に浸漬する。めっき浴への浸漬によっ 、めっき液が塗膜内の前記微小空間に浸入 て、塗膜と集電体との界面にまで達する。 の状態下に電解めっきを行い、めっき金属 を粒子12aの表面に析出させる(以下、このめ っきを浸透めっきとも言う)。浸透めっきは 集電体をカソードとして用い、めっき浴中 アノードとしての対極を浸漬し、両極を電 に接続して行う。

 浸透めっきによって、第1の粒子12aの表面 には、金属材料13の被覆が密着形成される。 の被覆は、粒子12aの表面と強固に結合する また、第1の粒子12aの表面で発生した金属材 料13のめっき核が成長することで、これが第2 の粒子12bの表面をも被覆する。したがって、 金属材料13は、第2の粒子12bの表面を単に被覆 しているに過ぎず、両者間に強固な結合は生 じていない。このような状態となるように金 属材料13を析出させるための浸透めっきの条 には、めっき浴の組成、めっき浴のpH、電 の電流密度などがある。具体的には次のと りである。

 めっきの金属材料13として銅を用いる場合 は、ピロリン酸銅浴を用いることが好まし 。また該金属材料としてニッケルを用いる 合には、例えばアルカリ性のニッケル浴を いることが好ましい。特に、ピロリン酸銅 を用いると、活物質層12を厚くした場合であ っても、該層の厚み方向全域にわたって、前 記の空隙を容易に形成し得るので好ましい。 また、第1の粒子12aの表面には金属材料13が析 出し、かつ該粒子12a間では金属材料13の析出 起こりづらくなるので、該粒子12a間の空隙 首尾良く形成されるという点でも好ましい ピロリン酸銅浴を用いる場合、その浴組成 電解条件及びpHは次のとおりであることが ましい。
・ピロリン酸銅三水和物:85~120g/l
・ピロリン酸カリウム:300~600g/l
・硝酸カリウム:15~65g/l
・浴温度:45~60℃
・電流密度:1~7A/dm 2
・pH:アンモニア水とポリリン酸を添加してpH7 .1~9.5になるように調整する。

 アルカリ性のニッケル浴を用いる場合には その浴組成、電解条件及びpHは次のとおり あることが好ましい。
・硫酸ニッケル:100~250g/l
・塩化アンモニウム:15~30g/l
・ホウ酸:15~45g/l
・浴温度:45~60℃
・電流密度:1~7A/dm 2
・pH:25重量%アンモニア水:100~300g/lの範囲でpH8~ 11となるように調整する。

 前記の塗膜と集電体との界面から塗膜の 面に向けて金属材料13の析出が進行するよ にめっきを行うと、析出反応の最前面部に いては、ほぼ一定の厚みで金属材料13のめっ き核からなる微小粒子が層状に存在している 。金属材料13の析出が進行すると、隣り合う 小粒子13aどうしが結合して更に大きな粒子 なり、更に析出が進行すると、該粒子どう が結合して粒子12a,12bの表面を連続的に被覆 するようになる。

 浸透めっきは、塗膜の厚み方向全域に金 材料13が析出した時点で終了させる。この うにして、目的とする負極10が得られる。浸 透めっき後、負極10を防錆処理することも好 しい。防錆処理としては、例えばベンゾト アゾール、カルボキシベンゾトリアゾール トリルトリアゾール等のトリアゾール系化 物及びイミダゾール等を用いる有機防錆や コバルト、ニッケル、クロメート等を用い 無機防錆を採用できる。

 このようにして得られた負極10は、例え リチウム二次電池等の非水電解液二次電池 の負極として好適に用いられる。この場合 電池の正極は、正極活物質並びに必要によ 導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、 極合剤を作製し、これを集電体に塗布、乾 した後、ロール圧延、プレスし、更に裁断 打ち抜きすることにより得られる。正極活 質としては、リチウムニッケル複合酸化物 リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコ ルト複合酸化物等の含リチウム金属複合酸 物を始めとする従来公知の正極活物質が用 られる。

 電池のセパレータとしては、合成樹脂製 織布、ポリエチレンやポリプロピレン等の リオレフィン、又はポリテトラフルオロエ レンの多孔質フィルム等が好ましく用いら る。電池の過充電時に生じる電極の発熱を 制する観点からは、ポリオレフィン微多孔 の片面又は両面にフェロセン誘導体の薄膜 形成されてなるセパレータを用いることが ましい。セパレータは、突刺強度が0.2N/μm 以上0.49N/μm厚以下であり、捲回軸方向の引 強度が40MPa以上150MPa以下であることが好まし い。充放電に伴い大きく膨張・収縮する負極 活物質を用いても、セパレータの損傷を抑制 することができ、内部短絡の発生を抑制する ことができるからである。

 非水電解液は、支持電解質であるリチウム を有機溶媒に溶解した溶液からなる。リチ ム塩としては、CF 3 SO 3 Li、(CF 3 SO 2 )NLi、(C 2 F 5 SO 2 ) 2 NLi、LiClO 4 、LiA1Cl 4 、LiPF 6 、LiAsF 6 、LiSbF 6 、LiCl、LiBr、LiI、LiC 4 F 9 SO 3 等が例示される。これらは単独で又は2種以 を組み合わせて用いることができる。これ のリチウム塩のうち、耐水分解性が優れて る点から、CF 3 SO 3 Li、(CF 3 SO 2 )NLi、(C 2 F 5 SO 2 ) 2 NLiを用いることが好ましい。有機溶媒として は、例えばエチレンカーボネート、ジエチル カーボネート、ジメチルカーボネート、プロ ピレンカーボネート、ブチレンカーボネート 等が挙げられる。特に、非水電解液全体に対 し0.5~5重量%のビニレンカーボネート及び0.1~1 量%のジビニルスルホン、0.1~1.5重量%の1,4-ブ タンジオールジメタンスルホネートを含有さ せることが充放電サイクル特性を更に向上す る観点から好ましい。

 以下、実施例により本発明を更に詳細に 明する。しかしながら本発明の範囲はかか 実施例に制限されるものではない。

  〔実施例1〕
 厚さ18μmの電解銅箔からなる集電体を室温 30秒間酸洗浄した。処理後、15秒間純水洗浄 た。第1の粒子として表1に示す粒径を有す Si単体の粒子を用いた。第2の粒子としては 表1に示すものを用いた。第1の粒子の量に対 する第2の粒子の量は表1に示すとおりとした 第1の粒子及び第2の粒子の合計重量100部に して、結着剤としてのスチレンブタジエン バーを1.7部用いた。また導電材としてのア チレンブラックを表1に示す量で用いた。こ らをN-メチルピロリドンに分散させてスラ ーとなした。このスラリーを、膜厚15μmにな るように集電体の各面に塗布し塗膜を形成し た。

 塗膜が形成された集電体を、以下の浴組成 有するピロリン酸銅浴に浸漬させ、電解に り、塗膜に対して銅の浸透めっきを行い、 物質層を形成した。電解の条件は以下のと りとした。陽極にはDSEを用いた。電源は直 電源を用いた。
・ピロリン酸銅三水和物:105g/l
・ピロリン酸カリウム:450g/l
・硝酸カリウム:30g/l
・浴温度:50℃
・電流密度:3A/dm 2
・pH:アンモニア水とポリリン酸を添加してpH8 .2になるように調整した。

 浸透めっきは、塗膜の厚み方向全域にわ って銅が析出した時点で終了させ、水洗、 ンゾトリアゾール(BTA)による防錆処理を施 て目的とする負極を得た。第1の粒子の表面 被覆する銅の厚みは、電子顕微鏡観察の結 、表1に示すとおりであった。また水銀圧入 法によって測定された活物質層の空隙率は同 表に示すとおりであった。

  〔実施例2ないし22及び比較例1〕
 第1及び第2の粒子として表1に示すものを同 に示す割合で用いる以外は実施例1と同様に して負極を得た。

  〔性能評価〕
 得られた負極について、以下の方法で折り げ試験を行い、断裂が起こるまでの回数を 定した。また、得られた負極を用いてリチ ム二次電池を製造し、この電池について300 イクル容量維持率を以下の方法で測定した これらの結果を表1に示す。

  〔折り曲げ試験〕
 負極を、厚さ200μmの2枚のニッケル板で挟ん だ、この状態下に負極を180度折り曲げた。そ の上から15kgのおもりを載せた。10秒経過後に おもりを取り除き、負極を平らに広げた。こ の操作を折り曲げ回数1回とカウントする。 極に断裂が生じるまでの折り曲げ回数を測 した。なお、2枚のニッケル板に負極を挟み 折り曲げた時点で断裂が生じた場合は0.5回 カウントした。

  〔300サイクル容量維持率〕
 正極活物質としてLi(Li 0.2 Mn 0.4 Co 0.4 )O 2 を用いた。これを、アセチレンブラック及び ポリフッ化ビニリデンとともに、溶媒である N-メチルピロリドンに懸濁させ正極合剤を得 。配合の重量比は、正極活物質:アセチレン ブラック:ポリフッ化ビニリデン=88:6:6とした この正極合剤をアルミニウム箔(厚さ20μm)か らなる集電体にアプリケータを用いて塗布し 、120℃で乾燥した後、荷重0.5ton/cmのロールプ レスを行い、正極を得た。電解液として、エ チレンカーボネートとジエチルカーボネート の1:1体積比の混合溶媒に1mol/lのLiPF 6 を溶解した溶液に対して、ビニレンカーボネ ートを2体積%外添したものを用いた。セパレ タとして、ポリプロピレン製多孔質フィル を用いた。これらを用いて得られた二次電 について300サイクル目の放電容量を測定し その値を13サイクル目の放電容量で除し、10 0を乗じて容量維持率を算出した。充電条件 初回0.05C、4.5Vで、定電流・定電圧とした。 電条件は初回0.05C、2.7Vで、定電流とした。2 イクル目以降の充電条件は0.5C、4.2Vで、定 流・定電圧とした。2サイクル目以降の放電 件は0.5C、2.7Vで、定電流とした。

 表1に示す結果から明らかなように、各実 施例の負極は断裂までの折り曲げ回数が、比 較例の負極に比べて多いことが判る。また、 容量維持率は、比較例と同レベル又はそれ以 上であることが判る。

 本発明によれば、各部材を捲回して電池 作製するときや、捲回によって得られた捲 体を扁平にプレスするときの負極の断裂を 止することができる。