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Title:
NEGATIVE ELECTRODE FOR RECHARGEABLE BATTERY WITH NONAQUEOUS ELECTROLYTE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/087791
Kind Code:
A1
Abstract:
This invention provides a negative electrode (10) for a rechargeable battery with a nonaqueous electrolyte, comprising an active material layer (12) containing Si- or Sn-containing active material particles (12a). A layer (14) containing inorganic oxide particles is formed on the outermost surface of the negative electrode (10). The inorganic oxide is preferably a material which does not inhibit the occlusion and release of lithium ions by the active material and is electrically insulative. The roughness of the outermost surface is preferably 0.1 to 3 μm in terms of arithmetical mean roughness (Ra) specified in JIS B 0601.

Inventors:
IDE HITOHIKO (JP)
YASUDA KIYOTAKA (JP)
KOYAMA TOSHIHIRO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/065119
Publication Date:
July 16, 2009
Filing Date:
August 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
MITSUI MINING & SMELTING CO (JP)
IDE HITOHIKO (JP)
YASUDA KIYOTAKA (JP)
KOYAMA TOSHIHIRO (JP)
International Classes:
H01M4/13; H01M4/134; H01M4/139; H01M4/1395; H01M4/36; H01M4/38; H01M4/62; H01M10/052; H01M10/0566
Domestic Patent References:
WO2005029614A12005-03-31
Foreign References:
JP2006019309A2006-01-19
JP2005044672A2005-02-17
JPH07220759A1995-08-18
JPH09147916A1997-06-06
JPH1154147A1999-02-26
Attorney, Agent or Firm:
HATORI, Osamu (8-6 Akasaka 1-chom, Minato-ku Tokyo 52, JP)
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Claims:
 Si又はSnを含有する活物質の粒子を含む活物質層を備え、最表面に無機酸化物の粒子を含む層が形成されている非水電解液二次電池用負極であって、該活物質の粒子の表面の少なくとも一部がリチウム化合物の形成能の低い金属材料で被覆されていると共に、該金属材料で被覆された該活物質の粒子どうしの間に空隙が形成されていることを特徴とする非水電解液二次電池用負極。
 前記最表面の粗さが、JIS B0601に規定される算術平均粗さRaで表して0.1~3μmである請求の範囲第1項記載の非水電解液二次電池用負極。
 前記無機酸化物が、前記活物質がリチウムイオンを吸蔵放出することを妨げない材料であって、かつ電気絶縁性の材料からなる請求の範囲第1項記載の非水電解液二次電池用負極。
 前記無機酸化物の粒子の平均粒径D 50 が0.1~5μmであり、前記活物質の粒子の平均粒径D 50 が0.1~5μmである請求の範囲第1項記載の非水電解液二次電池用負極。
 前記活物質層の空隙率が15~45%である請求の範囲第1項記載の非水電解液二次電池用負極。
 前記活物質層中に導電性炭素材料を前記活物質の粒子の重量に対して1~3重量%含む請求の範囲第5項記載の非水電解液二次電池用負極。
 前記金属材料が、前記活物質層の厚み方向全域にわたって前記活物質の粒子の表面に存在している請求の範囲第6項記載の非水電解液二次電池用負極。
 正極、負極及びこれらの間に介在配置されたセパレータを有し、該負極がSi又はSnを含有する活物質の粒子を含む活物質層を備え、該活物質の粒子の表面の少なくとも一部がリチウム化合物の形成能の低い金属材料で被覆されていると共に、該金属材料で被覆された該活物質の粒子どうしの間に空隙が形成されている非水電解液二次電池において、該負極と該セパレータとの間に無機酸化物の粒子を含む層を有することを特徴とする非水電解液二次電池。
 前記活物質の粒子に予めリチウムが吸蔵されており、リチウムは、電池内において、前記セパレータと前記無機酸化物の粒子を含む層との間に金属リチウム層を介在させ、この状態下に所定時間エージングを行って該粒子に吸蔵されたものである請求の範囲第8項記載の非水電解液二次電池。
Description:
非水電解液二次電池用負極

 本発明は、リチウム二次電池などの非水 解液二次電池に用いられる負極及び該負極 備えた非水電解液二次電池に関する。

 本出願人は先に、表面が電解液と接する 対の集電用表面層と、該表面層間に介在配 された、リチウム化合物の形成能の高い活 質の粒子を含む活物質層とを備えた非水電 液二次電池用負極を提案した(特許文献1参 )。この負極の活物質層には、リチウム化合 の形成能の低い金属材料が浸透しており、 透した該金属材料中に活物質の粒子が存在 ている。活物質層がこのような構造になっ いるので、この負極においては、充放電に って該粒子が膨張収縮することに起因して 粉化しても、その脱落が起こりづらくなる その結果、この負極を用いると、電池のサ クル寿命が長くなるという利点がある。

 前記の構造の負極において、リチウム化 物の形成能の低い金属材料を活物質層中に 透させるには、電解めっき法を用いること できる。しかし電解めっき法を用いた場合 電極の中央部と端部とで、めっきの程度に いが生じる場合がある。この理由は、電極 中心部に比べて端部の電流密度が高くなり ちであるからである。その結果、電極の表 に、めっきによって生じた金属粒による凸 が形成されることがある。この凸部は、電 の充放電時における電流集中の原因になり またセパレータ破損の原因にもなる。

 ところで、上述の技術とは別に、負極の 物質層の表面に、多孔性保護膜として、ア ミナ粉末を含有するコーティング膜を形成 る技術が提案されている(特許文献2参照)。 の技術においては、アルミナ粉末を含有す コーティング膜によって、電池の製造過程 おける電極からの活物質の脱落を防止し、 池内部でのショートの発生の防止を図って る。しかし、黒鉛よりも高容量の活物質で るSi系の材料やSn系の材料を用いた負極にお ける活物質層中で電解液を円滑に流通させる ことや、活物質の粒子の表面に電解めっきを 首尾良く行うことについては、同文献では何 ら検討されていない。

US2006/0115735A1

JP7-220759A

 本発明は、Si又はSnを含有する活物質の粒 子を含む活物質層を備え、最表面に無機酸化 物の粒子を含む層が形成されている非水電解 液二次電池用負極であって、該活物質の粒子 の表面の少なくとも一部がリチウム化合物の 形成能の低い金属材料で被覆されていると共 に、該金属材料で被覆された該活物質の粒子 どうしの間に空隙が形成されていることを特 徴とする非水電解液二次電池用負極を提供す るものである。

 また本発明は、正極、負極及びこれらの に介在配置されたセパレータを有し、該負 がSi又はSnを含有する活物質の粒子を含む活 物質層を備え、該活物質の粒子の表面の少な くとも一部がリチウム化合物の形成能の低い 金属材料で被覆されていると共に、該金属材 料で被覆された該活物質の粒子どうしの間に 空隙が形成されている非水電解液二次電池に おいて、該負極と該セパレータとの間に無機 酸化物の粒子を含む層を有することを特徴と する非水電解液二次電池を提供するものであ る。

図1は、本発明の非水電解液二次電池用 負極の一実施形態の断面構造を示す模式図で ある。 図2(a)ないし図2(d)は、図1に示す負極に ける活物質層の製造方法を示す工程図であ 。

 以下本発明を、その好ましい実施形態に づき図面を参照しながら説明する。図1には 本発明の非水電解液二次電池用負極の一実施 形態の断面構造の模式図が示されている。本 実施形態の負極10は、集電体11と、その少な とも一面に形成された活物質層12を備えてい る。なお図1においては、便宜的に集電体11の 片面にのみ活物質層12が形成されている状態 示されているが、活物質層は集電体の両面 形成されていてもよい。

 活物質層12は、活物質の粒子12aを含んで る。活物質としては、Si又はSnを含み、リチ ムイオンの吸蔵放出が可能な材料が用いら る。Siを含む負極活物質の例としては、シ コン単体、シリコンと金属との合金、シリ ン酸化物、シリコン窒化物、シリコンホウ 物などを用いることができる。これらの材 はそれぞれ単独で、あるいはこれらを混合 て用いることができる。前記の合金に用い れる金属としては、例えばCu、Ni、Co、Cr、Fe Ti、Pt、W、Mo及びAuからなる群から選択され 1種類以上の元素が挙げられる。これらの金 属のうち、Cu、Ni、Coが好ましく、特に電子伝 導性に優れる点、及びリチウム化合物の形成 能の低さの点から、Cu、Niを用いることが望 しい。また、負極を電池に組み込む前に、 は組み込んだ後に、Siを含む負極活物質に対 してリチウムを吸蔵させてもよい。特に好ま しいSiを含む負極活物質は、リチウムの吸蔵 の高さの点からシリコン単体又はシリコン 化物である。

 一方、Snを含む負極活物質の例としては スズ単体、スズと金属との合金などを用い ことができる。これらの材料はそれぞれ単 で、あるいはこれらを混合して用いること できる。スズと合金を形成する前記の金属 しては、例えばCu、Ni、Co、Cr、Fe、Ti、Pt、W Mo及びAuからなる群から選択される1種類以上 の元素が挙げられる。これらの金属のうち、 Cu、Ni、Coが好ましい。合金の一例として、Sn- Co-C合金が挙げられる。また、Snと、Coと、Cと 、Ni及びCrのうちの少なくとも一方とを含む 金も好ましく用いられる。

 活物質層12においては、粒子12a間に金属 料13が存在している。この金属材料13は、粒 12aの構成材料と異なる材料であり、リチウ 化合物の形成能の低い金属材料である。金 材料13は粒子12aの表面の少なくとも一部を 覆している。金属材料13で被覆された粒子12a の間には空隙が形成されている。つまり金属 材料13は、リチウムイオンを含む非水電解液 粒子12aへ到達可能なような隙間を確保した 態で粒子12a間に析出している。図1中、金属 材料13は、粒子12aの周囲を取り囲む太線とし 便宜的に表されている。なお同図は活物質 12を二次元的にみた模式図であり、実際は 粒子は他の粒子と直接ないし金属材料13を介 して接触している。「リチウム化合物の形成 能の低い」とは、リチウムと金属間化合物若 しくは固溶体を形成しないか、又は形成した としてもリチウムが微量であるか若しくは非 常に不安定であることを意味する。

 金属材料13は、活物質層12の厚み方向全域 にわたって活物質の粒子12aの表面に存在して いることが好ましい。そして金属材料13のマ リックス中に活物質の粒子12aが存在してい ことが好ましい。これによって、充放電に って該粒子12aが膨張収縮することに起因し 微粉化しても、その脱落が起こりづらくな 。また、金属材料13を通じて活物質層12全体 の電子伝導性が確保されるので、電気的に孤 立した活物質の粒子12aが生成すること、特に 活物質層12の深部に電気的に孤立した活物質 粒子12aが生成することが効果的に防止され 。このことは、活物質として半導体であり 子伝導性の乏しい材料、例えばSiを含む材 を用いる場合に特に有利である。金属材料13 が活物質層12の厚み方向全域にわたって活物 の粒子12aの表面に析出していることは、該 料13を測定対象とした電子顕微鏡マッピン によって確認できる。

 金属材料13は、粒子12aの表面を連続に又 不連続に被覆している。金属材料13が粒子12a の表面を連続に被覆している場合には、金属 材料13の被覆に、非水電解液の流通が可能な 細な空隙を形成することが好ましい。金属 料13が粒子12aの表面を不連続に被覆してい 場合には、粒子12aの表面のうち、金属材料13 で被覆されていない部位を通じて該粒子12aへ 非水電解液が供給される。

 活物質の粒子12aの表面を被覆している金 材料13は、その厚みの平均が好ましくは0.05~ 2μm、更に好ましくは0.1~0.25μmという薄いもの である。つまり金属材料13は最低限の厚みで て活物質の粒子12aの表面を被覆している。 れによって、エネルギー密度を高めつつ、 放電によって粒子12aが膨張収縮して微粉化 ることに起因する脱落を防止している。こ でいう「厚みの平均」とは、活物質の粒子1 2aの表面のうち、実際に金属材料13が被覆し いる部分に基づき計算された値である。し がって活物質の粒子12aの表面のうち金属材 13で被覆されていない部分は、平均値の算出 の基礎にはされない。

 金属材料13で被覆された粒子12a間に形成 れた空隙は、リチウムイオンを含む非水電 液の流通の経路としての働きを有している この空隙の存在によって非水電解液が活物 層12の厚み方向へ円滑に流通するので、サイ クル特性を向上させることができる。更に、 粒子12a間に形成されている空隙は、充放電で 活物質の粒子12aが体積変化することに起因す る応力を緩和するための空間としての働きも 有する。充電によって体積が増加した活物質 の粒子12aの体積の増加分は、この空隙に吸収 される。その結果、該粒子12aの微粉化が起こ りづらくなり、また負極10の著しい変形が効 的に防止される。

 活物質層12に形成されている空隙につい 本発明者らが検討したところ、活物質層12の 空隙率を好ましくは15~45%、更に好ましくは20~ 40%、一層好ましくは25~35%に設定すると、活物 質層12内における非水電解液の流通が極めて 好になり、また活物質の粒子12aの膨張収縮 伴う応力緩和に極めて有効であることが判 した。詳細には、活物質層12の空隙率を15% 上とすることで、充放電によって活物質の 子12aが体積変化することに起因する応力を 分に緩和でき、また活物質層12内における非 水電解液の流通を十分に円滑なものとするこ とができる。また活物質層12の空隙率を45%以 とすることで、活物質層の強度が十分に確 され、またエネルギー密度の低下が抑えら る。特に、上限を35%とすることで活物質層 の導電性の向上と強度維持に極めて効果的 あり、下限を25%とすることで電解液の選択 幅を広げることができる。このような高空 率の活物質層を備えた負極10を用いること 、従来は用いることが困難であると考えら てきた高粘度の非水電解液を用いることが 能になる。

 活物質層12の空隙量は、水銀圧入法(JIS R 1655)で測定される。水銀圧入法は、固体中の 細孔の大きさやその容積を測定することによ って、その固体の物理的形状の情報を得るた めの手法である。水銀圧入法の原理は、水銀 に圧力を加えて測定対象物の細孔中へ圧入し 、その時に加えた圧力と、押し込まれた(浸 した)水銀体積の関係を測定することにある この場合、水銀は活物質層12内に存在する きな空隙から順に浸入していく。

 本発明においては、圧力90MPaで測定した 隙量を全体の空隙量とみなしている。本発 において、活物質層12の空隙率(%)は、前記の 方法で測定された単位面積当たりの空隙量を 、単位面積当たりの活物質層12の見かけの体 で除し、それに100を乗じることにより求め 。

 活物質層12は、好適には粒子12a及び結着剤 含むスラリーを集電体上に塗布し乾燥させ 得られた塗膜に対し、所定のめっき浴を用 た電解めっきを行い、粒子12a間に金属材料13 を析出させることで形成される。金属材料13 析出の程度は、活物質層12の空隙率の値に 響を及ぼす。所望の空隙率を達成するため は、前記の塗膜中に、めっき液の浸透が可 な空間が形成されている必要がある。めっ 液の浸透が可能な空間を塗膜内に必要かつ 分に形成するためには、活物質の粒子12aの 度分布が大きな要因となっていることが本 明者らの検討の結果判明した。詳細には、 物質の粒子12aとしてD 10 /D 90 で表される粒度分布が好ましくは0.05~0.5、更 好ましくは0.1~0.3であるものを採用すること で、塗膜内に所望とする程度の空間が形成さ れ、めっき液の浸透が十分となることが判明 した。また電解めっき時に塗膜の剥がれ落ち を効果的に防止し得ることが判明した。D 10 /D 90 が1に近ければ近いほど、粒子12aの粒径が単 散に近くなるから、前記の範囲の粒度分布 シャープなものであることが判る。つまり 実施形態においては粒度分布がシャープな 子12aを用いることが好ましい。粒度分布が ャープな粒子12aを用いることで、該粒子12a 高密度充填した場合に、粒子間の空隙を大 くすることができる。逆に粒度分布がブロ ドな粒子を用いると、大きな粒子間に小さ 粒子が入り込み易くなり、粒子間の空隙を きくすることが容易でない。また、粒度分 がシャープな粒子12aを用いると、反応にば つきが生じにくくなるという利点もある。

 サイクル特性に優れた負極を得るためには 活物質の粒子12aの粒度分布が上述の範囲内 あることに加えて該粒子12a自体の粒径も重 である。活物質の粒子12aの粒径が過度に大 い場合には、粒子12aが膨張収縮を繰り返す とで微粉化しやすくなり、それによって電 的に孤立した粒子12aの生成が頻発する。ま 活物質の粒子12aの粒径が小さすぎる場合に 、該粒子12a間の空隙が小さくなりすぎて、 述する浸透めっきによって空隙が埋められ しまうおそれがある。このことはサイクル 性の向上の点からはマイナスに作用する。 こで本実施形態においては、活物質の粒子1 2aとしてその平均粒径がD 50 で表して0.1~5μm、特に0.2~3μmであることが好 しい。

 活物質の粒子12aの粒度分布D 10 /D 90 及び平均粒径D 50 の値は、レーザー回折散乱式粒度分布測定や 、電子顕微鏡観察(SEM観察)によって測定され 。

 活物質層12の空隙率を前記の範囲内とす ためには、前記の塗膜内にめっき液を十分 透させることが好ましい。これに加えて、 めっき液を用いた電解めっきによって金属 料13を析出させるための条件を適切なものと することが好ましい。めっきの条件にはめっ き浴の組成、めっき浴のpH、電解の電流密度 どがある。めっき浴のpHに関しては、これ 7超11以下、特に7.1以上11以下に調整すること が好ましい。pHをこの範囲内とすることで、 物質の粒子12aの溶解が抑制されつつ、該粒 12aの表面が清浄化されて、粒子表面へのめ きが促進され、同時に粒子12a間に適度な空 が形成される。pHの値は、めっき時の温度 おいて測定されたものである。

 めっきの金属材料13として銅を用いる場合 は、ピロリン酸銅浴を用いることが好まし 。また該金属材料としてニッケルを用いる 合には、例えばアルカリ性のニッケル浴を いることが好ましい。特に、ピロリン酸銅 を用いると、活物質層12を厚くした場合であ っても、該層の厚み方向全域にわたって、前 記の空隙を容易に形成し得るので好ましい。 また、活物質の粒子12aの表面には金属材料13 析出し、かつ該粒子12a間では金属材料13の 出が起こりづらくなるので、該粒子12a間の 隙が首尾良く形成されるという点でも好ま い。ピロリン酸銅浴を用いる場合、その浴 成、電解条件及びpHは次のとおりであること が好ましい。
・ピロリン酸銅三水和物:85~120g/l
・ピロリン酸カリウム:300~600g/l
・硝酸カリウム:15~65g/l
・浴温度:45~60℃
・電流密度:1~7A/dm 2
・pH:アンモニア水とポリリン酸を添加してpH7 .1~9.5になるように調整する。

 ピロリン酸銅浴を用いる場合には特に、P 2 O 7 の重量とCuの重量との比(P 2 O 7 /Cu)で定義されるP比が5~12であるものを用いる ことが好ましい。P比が5未満のものを用いる 、活物質の粒子12aを被覆する金属材料13が くなる傾向となり、粒子12a間に所望の空隙 形成させづらい場合がある。また、P比が12 超えるものを用いると、電流効率が悪くな 、ガス発生などが生じやすくなることから 産安定性が低下する場合がある。更に好ま いピロリン酸銅浴として、P比が6.5~10.5であ ものを用いると、活物質の粒子12a間に形成 れる空隙のサイズ及び数が、活物質層12内で の非水電解液の流通に非常に有利になる。

 アルカリ性のニッケル浴を用いる場合には その浴組成、電解条件及びpHは次のとおり あることが好ましい。
・硫酸ニッケル:100~250g/l
・塩化アンモニウム:15~30g/l
・ホウ酸:15~45g/l
・浴温度:45~60℃
・電流密度:1~7A/dm 2
・pH:25重量%アンモニア水:100~300g/lの範囲でpH8~ 11となるように調整する。
 このアルカリ性のニッケル浴と前述のピロ ン酸銅浴とを比べると、ピロリン酸銅浴を いた場合の方が活物質層12内に適度な空隙 形成される傾向があり、負極の長寿命化を りやすいので好ましい。

 前記の各種めっき浴に、タンパク質、活 硫黄化合物、セルロース等の銅箔製造用電 液に用いられる各種添加剤を加えることに り、金属材料13の特性を適宜調整すること 可能である。

 本実施形態の負極10においては、水銀圧 法で測定された活物質層12の空隙量から算出 された空隙率が前記の範囲内であることに加 えて、10MPaにおいて水銀圧入法で測定された 物質層12の空隙量から算出された空隙率が10 ~40%であることが好ましい。また、1MPaにおい 水銀圧入法で測定された活物質層12の空隙 から算出された空隙率が0.5~15%であることが ましい。更に、5MPaにおいて水銀圧入法で測 定された活物質層12の空隙量から算出された 隙率が1~35%であることが好ましい。上述し とおり、水銀圧入法による測定では、水銀 圧入条件を次第に高くしていく。そして低 の条件下では大きな空隙に水銀が圧入され 高圧の条件下では小さな空隙に水銀が圧入 れる。したがって圧力1MPaにおいて測定され 空隙率は、主として大きな空隙に由来する のである。一方、圧力10MPaにおいて測定さ た空隙率は、小さな空隙の存在も反映され ものである。

 先に述べたとおり、活物質層12は、好適 は粒子12a及び結着剤を含むスラリーを塗布 乾燥させて得られた塗膜に対し、所定のめ き浴を用いた電解めっきを行い、粒子12a間 金属材料13を析出させることで形成されるも のである。したがって、上述した大きな空隙 は、主として粒子12a間の空間に由来するもの であり、一方、上述した小さな空隙は、主と して粒子12aの表面に析出する金属材料13の結 粒間の空間に由来するものであると考えら る。大きな空隙は、主として粒子12aの膨張 縮に起因する応力を緩和するための空間と ての働きを有している。一方、小さな空隙 、主として非水電解液を粒子12aに供給する 路としての働きを有している。これら大き 空隙と小さな空隙の存在量をバランスさせ ことで、サイクル特性が一層向上する。

 負極全体に対する活物質の量が少なすぎ と電池のエネルギー密度を十分に向上させ くく、逆に多すぎると強度が低下し活物質 脱落が起こりやすくなる傾向にある。これ を勘案すると、活物質層12の厚みは好まし は10~40μm、更に好ましくは15~30μm、一層好ま くは18~25μmである。

 負極10においては、活物質層12の表面に薄 い表面層(図示せず)が形成されていてもよい また負極10はそのような表面層を有してい くてもよい。表面層の厚みは、0.25μm以下、 ましくは0.1μm以下という薄いものである。 面層の厚みの下限値に制限はない。表面層 、リチウム化合物の形成能の低い金属材料 ら構成されている。表面層を形成すること 、微粉化した活物質の粒子12aの脱落を一層 止することができる。尤も、本実施形態に いては、後述するように、活物質層12の空 率を特定の範囲内に設定することによって 表面層を用いなくても微粉化した活物質の 子12aの脱落を十分に防止することが可能で る。

 負極10が前記の厚みの薄い表面層を有す か又は該表面層を有していないことによっ 、負極10を用いて二次電池を組み立て、当該 電池の初期充電を行うときの過電圧を低くす ることができる。このことは、二次電池の充 電時に負極10の表面でリチウムが還元するこ を防止できることを意味する。リチウムの 元は、両極の短絡の原因となるデンドライ の発生につながる。

 負極10が表面層を有している場合、該表 層は活物質層12の表面を連続又は不連続に被 覆している。表面層が活物質層12の表面を連 に被覆している場合、該表面層は、その表 において開孔し且つ活物質層12と通ずる多 の微細空隙(図示せず)を有していることが好 ましい。微細空隙は表面層の厚さ方向へ延び るように表面層中に存在していることが好ま しい。微細空隙は非水電解液の流通が可能な ものである。微細空隙の役割は、活物質層12 に非水電解液を供給することにある。微細 隙は、負極10の表面を電子顕微鏡観察によ 平面視したとき、金属材料13で被覆されてい る面積の割合、即ち被覆率が95%以下、特に80% 以下、とりわけ60%以下となるような大きさで あることが好ましい。被覆率が95%を超えると 、高粘度な非水電解液が浸入しづらくなり、 非水電解液の選択の幅が狭くなるおそれがあ る。

 前記の表面層を構成する金属材料及び活 質の粒子12aの表面を被覆する金属材料とし は、銅、ニッケル、鉄、コバルト又はこれ の金属の合金などが挙げられる。これら以 の金属として銀を用いることもできる。特 金属材料は、延性の高い材料であることが ましい。そのような材料としては銅を用い ことが好ましい。表面層を構成する金属材 及び活物質の粒子12aの表面を被覆する金属 料は、同種のものでもよく、或いは異種の のでもよい。負極10の製造の容易さを考慮 ると、活物質層12中に存在している金属材料 13と、表面層を構成する金属材料とは同種で ることが好ましい。また、表面層は、異な 2種以上の金属材料からなる2層以上の構造 あってもよい。

 以上のとおり、本実施形態の負極10にお ては、活物質層12の表面部分に、前記の表面 層に由来するリチウム化合物の形成能の低い 金属材料、又は、該表面層が存在しない場合 には、活物質の粒子12aの表面を被覆する材料 に由来するリチウム化合物の形成能の低い金 属材料が、連続に又は不連続に存在している 。そして、このリチウム化合物の形成能の低 い金属材料の表面に、負極10の最表層として 無機酸化物の粒子を含む層(以下、無機酸化 物含有層とも言う)14が形成されている。

 無機酸化物含有層14は、活物質層12の表面 部分に存在するリチウム形成能の低い金属材 料の凹凸を平滑化する目的で用いられるもの である。負極10の最表面に無機酸化物含有層1 4を形成することで、負極10の最表面は平滑な ものとなり、電池の充放電時、特に充電時に おける電流集中が防止される。またセパレー タの損傷、ひいては電池短絡の発生が防止さ れる。

 無機酸化物として、活物質の粒子12aがリチ ムイオンを吸蔵放出することを妨げない材 からなることが好ましい。また無機酸化物 電気絶縁性の材料であることも好ましい。 れらの観点から、無機酸化物としては、金 の酸化物、例えば酸化アルミニウム、酸化 タン、酸化ニオブ、酸化セリウム、酸化ラ タン、酸化バナジウムなどを用いることが ましい。これらの無機酸化物のうち、特に 化アルミニウムを用いることが好ましい。 お本明細書に言う電気絶縁性の材料とは、 抵抗が10 10 ω・cm以上の材料を言う。

 無機酸化物は粒子の状態で用いられるとこ 、負極10の最表面を平滑化するためには、 粒子の大きさは、活物質の粒子12aの大きさ の関係で決定されることが好ましい。具体 には、無機酸化物の粒子の平均粒径D 50 は0.1~5μm、特に0.1~1μmであることが好ましい 一方、活物質の粒子12aの平均粒径D 50 は0.1~5μm、特に0.2~3μmであることが好ましい 両者の粒径がこのような範囲であることに って、活物質の粒子12aの間に無機酸化物の 子が入り込んで、負極10の最表面が平滑化さ れやすくなる。これらの粒子の平均粒径D 50 はレーザー回折散乱式粒度分布測定装置や電 子顕微鏡観察(SEM観察)によって測定される。

 無機酸化物の粒子の形状としては、例え 球形、多面体(六面体、八面体等)、紡錘形 板形、不定形などが挙げられる。これらの 状のうち、負極10の最表面を平滑化し、セパ レータ損傷などの影響を回避する観点から、 球形又は多面体の形状を有する粒子を用いる ことが好ましい。

 無機酸化物含有層14は、負極10の最表面を 平滑化し得るに足る最低限の厚みで形成され ていればよい。この観点から、無機酸化物含 有層14の平均厚みは、0.1~50μm、特に1~25μmであ ることが好ましい。本実施形態においては、 負極10の最表面の粗さが、JIS B0601に規定され る算術平均粗さRaで表して0.1~3μm、特に0.5~2μm であれば、負極10の最表面が平滑化されてい と言うことができる。

 無機酸化物含有層14は、無機酸化物の粒 を含み、更にスチレンブタジエンラバー等 結着剤を含んで構成されている。無機酸化 含有層14においては、無機酸化物の粒子間に 空隙が存在しているので、該無機酸化物含有 層14を通じての活物質層12への非水電解液の 通は円滑に行われる。

 負極10における集電体11としては、非水電 解液二次電池用負極の集電体として従来用い られているものと同様のものを用いることが できる。集電体11は、先に述べたリチウム化 物の形成能の低い金属材料から構成されて ることが好ましい。そのような金属材料の は既に述べたとおりである。特に、銅、ニ ケル、ステンレス等からなることが好まし 。また、コルソン合金箔に代表されるよう 銅合金箔の使用も可能である。集電体11の みは、負極10の強度維持と、エネルギー密度 向上とのバランスを考慮すると、9~35μmであ ことが好ましい。なお、集電体11として銅箔 を使用する場合には、クロメート処理や、ト リアゾール系化合物及びイミダゾール系化合 物などの有機化合物を用いた防錆処理を施し ておくことが好ましい。

 次に、本実施形態の負極10の好ましい製 方法について説明する。本製造方法では、 物質の粒子及び結着剤を含むスラリーを用 て集電体11上に塗膜を形成し、次いでその塗 膜に対して電解めっきを行い、活物質層を形 成する。そして形成された活物質層上に、無 機酸化物含有層を形成する。

 先ず図2(a)に示すように集電体11を用意す 。そして集電体11上に、活物質の粒子12aを むスラリーを塗布して塗膜15を形成する。集 電体11における塗膜形成面の表面粗さは、輪 曲線の最大高さで0.5~4μmであることが好ま い。最大高さが4μmを超えると塗膜15の形成 度が低下する上、凸部に浸透めっきの電流 中が起こりやすい。最大高さが0.5μmを下回 と、活物質層12の密着性が低下しやすい。活 物質の粒子12aとしては、好適に上述した粒度 分布及び平均粒径を有するものを用いる。

 スラリーは、活物質の粒子の他に、結着 及び希釈溶媒などを含んでいる。またスラ ーはアセチレンブラックやグラファイトな の導電性炭素材料の粒子を少量含んでいて よい。特に、活物質の粒子12aの重量に対し 導電性炭素材料を1~3重量%含有することが好 ましい。導電性炭素材料の含有量が1重量%未 であると、スラリーの粘度が低下して活物 の粒子12aの沈降が促進されるため、良好な 膜及び均一な空隙を形成しにくくなる。ま 導電性炭素材料の含有量が3重量%を超える 、該導電性炭素材料の表面にめっき核が集 し、良好な被覆を形成しにくくなる。

 結着剤としてはスチレンブタジエンラバ (SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエ レン(PE)、エチレンプロピレンジエンモノマ (EPDM)などが用いられる。希釈溶媒としてはN -メチルピロリドン、シクロヘキサンなどが いられる。スラリー中における活物質の粒 12aの量は30~70重量%程度とすることが好まし 。結着剤の量は0.4~4重量%程度とすることが ましい。これらに希釈溶媒を加えてスラリ とする。

 形成された塗膜15は、粒子12a間に多数の 小空間を有する。塗膜15が形成された集電体 11を、リチウム化合物の形成能の低い金属材 を含むめっき浴中に浸漬する。めっき浴へ 浸漬によって、めっき液が塗膜15内の前記 小空間に浸入して、塗膜15と集電体11との界 にまで達する。その状態下に電解めっきを い、めっき金属種を粒子12aの表面に析出さ る(以下、このめっきを浸透めっきともいう )。浸透めっきは、集電体11をカソードとして 用い、めっき浴中にアノードとしての対極を 浸漬し、両極を電源に接続して行う。

 電解めっきに用いられるめっき液として 、析出させる金属として銅を用いる場合に 、例えばピロリン酸銅浴を用いることがで る。析出させる金属としてニッケルを用い 場合には、例えばアルカリ性のニッケル浴 用いることができる。これらのめっき液を いることで、粒子12aの表面に均一な微小め き核を形成することが可能となる。

 浸透めっきによる金属材料の析出は、塗 15の一方の側から他方の側に向かって進行 せることが好ましい。具体的には、図2(b)な し(d)に示すように、塗膜15と集電体11との界 面から塗膜の表面に向けて金属材料13の析出 進行するように電解めっきを行う。金属材 13をこのように析出させることで、活物質 粒子12aの表面を金属材料13で首尾よく被覆す ることができると共に、金属材料13で被覆さ た粒子12a間に空隙を首尾よく形成すること できる。しかも、該空隙の空隙率を前述し 好ましい範囲にすることが容易となる。

 前述のように金属材料13を析出させるた の浸透めっきの条件には、めっき浴の組成 めっき浴のpH、電解の電流密度などがある。 このような条件については既に述べたとおり である。

 図2(b)ないし(d)に示されているように、塗 膜15と集電体11との界面から塗膜の表面に向 て金属材料13の析出が進行するようにめっき を行うと、析出反応の最前面部においては、 ほぼ一定の厚みで金属材料13のめっき核から る微小粒子13aが層状に存在している。金属 料13の析出が進行すると、隣り合う微小粒 13aどうしが結合して更に大きな粒子となり 更に析出が進行すると、該粒子どうしが結 して活物質の粒子12aの表面を連続的に被覆 るようになる。

 浸透めっきは、塗膜15の厚み方向全域に 属材料13が析出した時点で終了させる。めっ きの終了時点を調節することで、活物質層12 上面に表面層(図示せず)を形成することが きる。活物質の粒子12aの表面を被覆する金 材料13と、表面層を構成する材料が相違する 場合には、塗膜15の厚み方向全域に金属材料1 3が析出した時点で、浸透めっきを一旦終了 る。そして、金属材料13とは異なる金属材料 を含むめっき液を用いて再び浸透めっきを行 い、表面層を形成する。このようにして、図 2(d)に示すように、目的とする活物質層12が得 られる。次いで活物質層12に対して防錆処理 施すことも好ましい。防錆処理としては、 えばベンゾトリアゾール、カルボキシベン トリアゾール、トリルトリアゾール等のト アゾール系化合物及びイミダゾール等を用 る有機防錆や、コバルト、ニッケル、クロ ート等を用いる無機防錆を採用できる。

 最後に、負極の最表層としての無機酸化 含有層14を形成する。無機酸化物含有層14は 、無機酸化物の粒子、結着剤及び希釈溶媒等 を含むスラリーを、活物質層又は表面層(形 されている場合)上に塗布し、乾燥させるこ で形成される。このようにして、図1に示す 、目的とする負極が得られる。表面が平滑な 無機酸化物含有層14を形成するために、前記 スラリーの塗布には、例えば当該技術分野 通常用いられているアプリケータを用いる とができる。なお結着剤及び希釈溶媒とし は、活物質層12の形成に用いるスラリーに まれる結着剤及び希釈溶媒と同種のものを いることができる。

 無機酸化物含有層14を形成するために用 られるスラリー中に含まれる無機酸化物の 子の量は50~95重量%程度とすることが好まし 。結着剤の量は0.5~10重量%程度とすることが ましい。これらに希釈溶媒を加えてスラリ となす。

 本発明によれば、これまでに説明してき 負極10に加えて、非水電解液二次電池も提 される。以下、この二次電池の実施形態に いて説明する。なお、以下に述べる二次電 に関し、特に説明しない点については、こ までに説明してきた負極10に関する説明が適 宜適用される。

 本実施形態の二次電池は、正極、負極及 これらの間に介在配置されたセパレータを する。負極は、Si又はSnを含有する活物質の 粒子を含む活物質層を備えている。また活物 質層の表面部分には、リチウム化合物の形成 能の低い金属材料13又は表面層が存在してい 。そして、負極とセパレータとの間に無機 化物含有層を有している。このような形態 二次電池は、例えば、負極として、先に述 た図1に示す実施形態の負極10を用いること 製造できる。あるいは、無機酸化物含有層 形成する前の状態の負極10を、二次電池の 料の部材として用い、二次電池の製造時に 該負極の最表面に無機酸化物含有層を形成 、二次電池を製造してもよい。

 特に本実施形態の二次電池が、活物質の 子に予め(即ち電池の使用前から)リチウム 吸蔵されているものであって、かつリチウ が、電池内において、セパレータと無機酸 物含有層との間に金属リチウム層を介在さ 、この状態下に所定時間エージングを行っ 該粒子に吸蔵されたものである場合には以 の利点がある。即ち、電池内において、前 のエージングを行ってリチウムを活物質の 子に吸蔵させる場合、エージングの初期に いては、活物質とリチウムとの間に著しい 応が生じる。この反応は、非水電解液の分 を引き起こす原因となり、ひいては負極内 に非水電解液の分解物からなる堆積物が蓄 する原因となる。これに対して、セパレー と金属リチウム層との間に無機酸化物含有 を介在させることで、前記の著しい反応を 制でき、非水電解液の分解が抑えられる。 た非水電解液の分解物からなる堆積物の蓄 も抑制される。

 前記のエージングにより活物質の粒子に チウムを吸蔵させる方法は、本出願人の先 出願に係るJP2006-324020Aに記載されている。 えば正極、セパレータ、及び図1に示す実施 態の負極10をこの順で重ね合わせると共に セパレータと負極10との間に金属リチウム層 を介在配置する。これらを巻回して巻回体と なし、該巻回体を電池缶内に入れる。更に電 池缶内に非水電解液を充填した後、電池缶を 密閉する。この状態下に放置することによっ て、金属リチウム層のリチウムが活物質の粒 子12a中へ拡散する。それによって該粒子12aが リチウムを吸蔵する。エージング時間は0.1~12 0時間、特に0.5~80時間であることが好ましい エージング温度は、10~80℃、特に20~60℃であ ことが好ましい。

 リチウムの吸蔵量は、活物質の初期充電理 容量に対して好ましくは5~50%、更に好まし は10~40%、一層好ましくは20~40%、最も好まし は25~40%に設定する。また、本実施形態の二 電池における正極がリチウム含有の正極活 質を有する場合、以下の式(1)を満たすよう リチウムの吸蔵を行うことも好ましい。
 4.4A-B≧C
 式中、Aは、負極におけるSiのモル数を表し Bは、リチウム含有の正極活物質におけるリ チウムのモル数を表し、Cは吸蔵されるリチ ムのモル数を表す。

 二次電池における正極は、正極活物質並 に必要により導電剤及び結着剤を適当な溶 に懸濁し、正極合剤を作製し、これを集電 の片面又は両面に塗布、乾燥した後、ロー 圧延、プレスし、更に裁断、打ち抜きする とにより得られる。正極活物質としては、 チウムニッケル複合酸化物、リチウムマン ン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化 等のリチウム遷移金属複合酸化物を始めと る従来公知の正極活物質が用いられる。

 セパレータとしては、合成樹脂製不織布 ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオ フィン、又はポリテトラフルオロエチレン 多孔質フィルム等が好ましく用いられる。

 非水電解液は、支持電解質であるリチウム を有機溶媒に溶解した溶液からなる。リチ ム塩としては、CF 3 SO 3 Li、(CF 3 SO 2 )NLi、(C 2 F 5 SO 2 ) 2 NLi、LiClO 4 、LiA1Cl 4 、LiPF 6 、LiAsF 6 、LiSbF 6 、LiCl、LiBr、LiI、LiC 4 F 9 SO 3 等が例示される。これらは単独で又は2種以 を組み合わせて用いることができる。これ のリチウム塩のうち、耐水分解性が優れて る点から、CF 3 SO 3 Li、(CF 3 SO 2 )NLi、(C 2 F 5 SO 2 ) 2 NLiを用いることが好ましい。有機溶媒として は、例えばエチレンカーボネート、ジエチル カーボネート、ジメチルカーボネート、プロ ピレンカーボネート、ブチレンカーボネート 等が挙げられる。特に、非水電解液全体に対 し0.5~5重量%のビニレンカーボネート及び0.1~1 量%のジビニルスルホン、0.1~1.5重量%の1,4-ブ タンジオールジメタンスルホネートを含有さ せることが充放電サイクル特性を更に向上す る観点から好ましい。

 本実施形態の二次電池は、例えばコイン やジェリーロール型の電池とすることがで る。ジェリーロール型の場合、円筒形や角 の形態とすることができる。

 以下、実施例により本発明を更に詳細に 明する。しかしながら本発明の範囲はかか 実施例に制限されるものではない。

  〔実施例1〕
 先ず、図2に示す方法に従い活物質層を形成 した。厚さ18μmで幅280mmの長尺状の電解銅箔 らなる集電体を室温で30秒間酸洗浄した。処 理後、15秒間純水洗浄した。集電体の片面上 Siの粒子を含むスラリーを膜厚15μmになるよ うに塗布し塗膜を形成した。スラリーの組成 は、粒子:スチレンブタジエンラバー(結着剤) :アセチレンブラック=100:1.7:2(重量比)であっ 。Siの粒子の平均粒径D 50 は2μmであった。粒度分布D 10 /D 90 は0.07であった。平均粒径D 50 及び粒度分布D 10 /D 90 は、日機装(株)製のマイクロトラック粒度分 測定装置(No.9320-X100)を使用して測定した。

 塗膜が形成された集電体を、以下の浴組成 有するピロリン酸銅浴に浸漬させ、電解に り、塗膜に対して銅の浸透めっきを行い、 物質層を形成した。電解の条件は以下のと りとした。陽極にはDSEを用いた。電源は直 電源を用いた。
・ピロリン酸銅三水和物:105g/l
・ピロリン酸カリウム:450g/l
・硝酸カリウム:30g/l
・P比:7.7
・浴温度:50℃
・電流密度:3A/dm 2
・pH:25重量%アンモニア水15g/lと、10重量%ポリ ン酸を添加してpH8.2になるように調整した

 浸透めっきは、塗膜の厚み方向全域にわ って銅が析出した時点で終了させた。この うにして目的とする活物質層を得た。活物 層の縦断面のSEM観察によって、該活物質層 おいては、活物質の粒子は平均厚み300nmの の被膜で被覆されていたことを確認した。 た、先に述べた方法で測定した活物質層全 の空隙率は17%であり、10MPa下での空隙率は16% であり、1MPa下での空隙率は0.8%であった。

 活物質層の表面に、酸化アルミニウムの粒 を含むスラリーをアプリケータよって厚さ5 μmになるように塗工し、80℃で乾燥した。こ によって無機酸化物含有層を形成した。ス リーの組成は、酸化アルミニウム100gに対し て、ポリエチレン-スチレンブタジエン系結 剤を2.3g、N-メチルピロリドンを10g含むもの あった。酸化アルミニウムの粒子は球形の のであり、その平均粒径D 50 は0.3μmであった。

 得られた負極を用いて2032型コイン電池を製 造した。正極としては厚さ20μmのアルミニウ 箔の片面に、正極活物質としてLiCo 1/3 Ni 1/3 Mn 1/3 O 2 を塗布したものを用いた。塗布には、正極活 物質をアセチレンブラック及びポリフッ化ビ ニリデンと共に、溶媒であるN-メチルピロリ ンに懸濁させて得られたスラリーを用いた 電解液としては、エチレンカーボネートと エチルカーボネートの1:1体積%混合溶媒に1mo l/lのLiPF 6 を溶解した溶液に対して、ビニレンカーボネ ートを2体積%外添したものを用いた。セパレ タとしては、20μm厚のポリプロピレン製多 質フィルムを用いた。

  〔実施例2〕
 実施例1において、無機酸化物含有層の厚み を10μmとする以外は実施例1と同様にして負極 及び二次電池を得た。

  〔実施例3〕
 実施例1において、酸化アルミニウムの粒子 として平均粒径D 50 が1.0μmのものを用い、且つ無機酸化物含有層 の厚みを10μmとする以外は実施例1と同様にし て負極及び二次電池を得た。

  〔比較例1〕
 実施例1において、活物質層の表面に無機酸 化物含有層を形成しなかった以外は実施例1 同様にして負極及び二次電池を得た。

  〔評価〕
 実施例及び比較例で得られた負極について 幅方向の中央部及び側縁部における短絡率 以下の方法で測定した。また、負極の最表 における側縁部の算術平均粗さRa(JIS B0601) 株式会社小坂研究所の表面粗さ・輪郭形状 定機SEF-30Dを用いて測定した。それらの結果 以下の表1に示す。

  〔短絡率の測定方法〕
 上述の負極を用いて2032コインセルを作製し た。280mm幅の負極の側縁部及び中央部を円形 打ち抜き、コインセル用の電極となした。 た、コインセルの対極としてリチウム金属 を用い、電解液としてエチレンカーボネー (EC)とジエチルカーボネート(DEC)の50:50体積 混合溶媒に1mol/lのLiPF 6 を溶解した溶液を用いた。このようにして、 側縁部から打ち抜いた負極を用いたコインセ ル20個及び中央部から打ち抜いた負極を用い コインセル20個を作製した。これらのコイ セルを2Cレートで充放電した。このときの充 放電電位曲線が不安定であったものや、0Vに したものを、短絡が発生したセルと判断し 。短絡が発生したセルの数を20で除し、100 乗じて短絡率を算出した。

 表1に示す結果から明らかなとおり、各実 施例で得られた負極は最表面の粗さが比較例 で得られた負極よりも小さく、それによって 短絡率が低くなることが判る。また、表には 示していないが、各実施例の負極を備えた電 池は、サイクル特性が良好なものであった。

 以上詳述したとおり、本発明によれば、 池の充放電時、特に充電時に電流集中が起 ることが防止され、またセパレータの損傷 ひいては電池短絡の発生が防止される。特 、活物質層の空隙率を特定の範囲に設定し 場合には、リチウムイオンを含む非水電解 の流通が可能な経路が活物質層内に必要か 十分に形成され、非水電解液が活物質層へ 易に到達するので、活物質層の厚み方向全 が電極反応に利用される。その結果、サイ ル特性が向上する。その上、充放電によっ 該粒子が膨張収縮することに起因して微粉 しても、その脱落が起こりづらくなる。更 、高粘度の非水電解液を用いることも可能 なる。