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Patent Searching and Data


Title:
NEOVASCULARIZATION-PROMOTING FACTOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/096425
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a neovascularization promoter comprising a polypeptide selected from the following polypeptides (A) and (B): (A) a polypeptide comprising an amino acid sequence selected from the amino acid sequences depicted in SEQ ID NOs:2, 4, 6, 8 and 10; and (B) a polypeptide which comprises an amino acid sequence having the deletion, substitution or addition of one or several amino acid residues in the amino acid sequence for the polypeptide (A), and which has a neovascularization-promoting activity. A therapeutic agent comprising a variant 1, 2, 3, 4 or 5 can be used suitably, for example, for the treatment of diseases for which a neovascularization-promoting activity is required.

Inventors:
SATO YASUFUMI
SONODA HIKARU
Application Number:
PCT/JP2009/051359
Publication Date:
August 06, 2009
Filing Date:
January 28, 2009
Export Citation:
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Assignee:
UNIV TOHOKU (JP)
SHIONOGI & CO (JP)
SATO YASUFUMI
SONODA HIKARU
International Classes:
A61K38/00; A61K31/7088; A61K35/76; A61K35/761; A61K48/00; A61P9/00; A61P9/08; A61P9/10; C07K14/47; C12N15/09
Domestic Patent References:
WO2006073052A12006-07-13
Other References:
WATANABE K.: "Vasohibin as an endothelium- derived negative feedback regulator of angiogenesis", J. CLIN. INVEST., vol. 114, no. 7, 2004, pages 898 - 907
Attorney, Agent or Firm:
HOSODA, Yoshinori (P.O. Box 26 OMM Building 5th Floor, 7-31, Otemae 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 91, JP)
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Claims:
以下の(A)又は(B)のポリペプチドからなる血管新生促進剤。
(A)配列番号2、4、6、8及び10からなる群より選ばれるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(B)(A)のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ血管新生促進作用を有するポリペプチド
以下の(A)又は(B)のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含有してなるベクターからなる血管新生促進剤。
(A)配列番号2、4、6、8及び10からなる群より選ばれるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(B)(A)のアミノ酸配列において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換もしくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ血管新生促進作用を有するポリペプチド
以下の(C)又は(D)のポリヌクレオチドを含有してなるベクターからなる血管新生促進剤。
(C)配列番号1の351番目のAから1223番目のGで表される塩基配列、配列番号3の311番目のAから1246番目のGで表される塩基配列、配列番号5の327番目のAから836番目のAで表される塩基配列、配列番号7の300番目のAから770番目のAで表される塩基配列及び配列番号9で表される塩基配列からなる群より選ばれる塩基配列からなるポリヌクレオチド
(D)(C)の塩基配列からなるポリヌクレオチドと相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ血管新生促進作用を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド
ベクターがウイルスベクターである、請求項2又は3記載の血管新生促進剤。
ウイルスベクターがアデノウイルスベクターである請求項4記載の血管新生促進剤。
静脈内に投与されることを特徴とする、請求項1~5いずれか記載の血管新生促進剤。
請求項1~6いずれか記載の血管新生促進剤を含有してなる、血管新生促進作用を要する疾患の治療用医薬組成物。
血管新生促進作用を要する疾患の治療剤の製造のための、請求項1に規定のポリペプチドの使用。
血管新生促進作用を要する疾患の治療剤の製造のための、請求項2又は3に規定のポリヌクレオチドの使用。
請求項1~6いずれか記載の血管新生促進剤を投与する工程を含む、血管新生促進作用を要する疾患の治療方法。
血管新生促進作用を要する疾患の治療または予防に使用するための、請求項1に規定のポリペプチド。
血管新生促進作用を要する疾患の治療または予防に使用するための、請求項2又は3に規定のポリヌクレオチド。
Description:
血管新生促進因子

 本発明は、血管新生促進剤に関する。さ に詳しくは、バソヒビンの特定のスプライ ングバリアントからなる血管新生促進剤、 促進剤を含有した血管新生促進作用を要す 疾患の治療用医薬組成物に関する。

 血管新生とは、動物の組織又は器官にお て既存の細静脈、毛細血管からの血管内皮 胞の遊走、増殖及び管腔形成により新しい 管脈が形成される現象をいう。かかる現象 、動物の形態形成期や成長期のみならず、 織等の損傷の治癒、炎症の修復過程や月経 期に伴って生じるものである。血管新生は 例えば、VEGFのような血管新生を促進させる 作用を持つ内因性因子や、トロンボスポンジ ンのような血管新生を抑制させる作用を持つ 因子の双方の発現バランスによって制御され ている。一方、血管新生調節機構のバランス が崩れることによって異常な血管新生を伴う 疾患も存在する。したがって、近年、それら の血管新生調節因子を制御することにより種 々の疾患の治療への適用が期待されている。

 血管新生を制御する因子としては、FGF、V EGF、HGF等が知られており、例えば、心筋梗塞 などの虚血性心疾患や閉塞性動脈硬化症、バ ージャー病などの末梢性血管疾患には、前記 因子を用いた血管新生を促進する治療が報告 されている(非特許文献1~3参照)。一方、糖尿 や悪性腫瘍においては、血管増殖が重篤な 状を招くことから、前記因子を用いた血管 生を抑制する治療が報告されている(非特許 文献4参照)。

 また、本発明者らは、非特許文献5及び特許 文献1において、血管新生抑制因子の新規物 として、AK022567タンパク質、ならびに該タン パク質のスプライシングバリアントである、 BC051856タンパク質、BC053836タンパク質、BC028194 タンパク質、及びAY834202タンパク質を報告し いる。
青木 元邦ら、日本臨床、64巻、4号、2006 年4月 牧野 寛史ら、日本臨床、63巻、3号、2005 年3月 牧野 寛史ら、日本臨床、61巻、増刊号4 2003年 渋谷 正史、生化学、76巻、12号、2004年 Shibuya T.ら、Arterioscler Thromb Vasc Biol.、2 巻、5号、1051-1057頁、2006年

WO2006/073052号パンフレット

 本発明の課題は、配列番号2、4、6、8又は 10のアミノ酸配列で表されるAK022567タンパク のスプライシングバリアントからなる血管 生促進剤、該促進剤を含有する血管新生制 作用を要する疾患の治療用医薬組成物に関 る。

 本発明者らは、これまで、VasohibinがVEGFの ような血管新生促進因子等と共存している状 況下では、血管新生抑制因子として作用する ことを明らかにしてきた。しかしながら、前 記Vasohibinの特定のスプライシングバリアント 、即ち、配列番号2、4、6、8又は10のアミノ酸 配列で表されるスプライシングバリアントが 、癌や脳血管障害等の病態でもある低酸素状 態に存在する場合には、驚くべきことに、血 管新生促進効果を有することを見出し、本発 明を完成するに至った。

 即ち、本発明は、
〔1〕以下の(A)又は(B)のポリペプチドからな 血管新生促進剤、
(A)配列番号2、4、6、8及び10からなる群より選 ばれるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(B)(A)のアミノ酸配列において1もしくは数個 アミノ酸が欠失、置換もしくは付加された ミノ酸配列からなり、かつ血管新生促進作 を有するポリペプチド
〔2〕以下の(A)又は(B)のポリペプチドをコー するポリヌクレオチドを含有してなるベク ーからなる血管新生促進剤、
(A)配列番号2、4、6、8及び10からなる群より選 ばれるアミノ酸配列からなるポリペプチド
(B)(A)のアミノ酸配列において1もしくは数個 アミノ酸が欠失、置換もしくは付加された ミノ酸配列からなり、かつ血管新生促進作 を有するポリペプチド
〔3〕以下の(C)又は(D)のポリヌクレオチドを 有してなるベクターからなる血管新生促進 、
(C)配列番号1の351番目のAから1223番目のGで表 れる塩基配列、配列番号3の311番目のAから124 6番目のGで表される塩基配列、配列番号5の327 番目のAから836番目のAで表される塩基配列、 列番号7の300番目のAから770番目のAで表され 塩基配列及び配列番号9で表される塩基配列 からなる群より選ばれる塩基配列からなるポ リヌクレオチド
(D)(C)の塩基配列からなるポリヌクレオチドと 相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチド とストリンジェントな条件下でハイブリダイ ズし、かつ血管新生促進作用を有するポリペ プチドをコードするポリヌクレオチド
〔4〕ベクターがウイルスベクターである、 記〔2〕又は〔3〕記載の血管新生促進剤、
〔5〕ウイルスベクターがアデノウイルスベ ターである前記〔4〕記載の血管新生促進剤
〔6〕静脈内に投与されることを特徴とする 前記〔1〕~〔5〕いずれか記載の血管新生促 剤、
〔7〕前記〔1〕~〔6〕いずれか記載の促進剤 含有してなる、血管新生促進作用を要する 患の治療用医薬組成物、
〔8〕血管新生促進作用を要する疾患の治療 の製造のための、前記〔1〕に規定のポリペ チドの使用、
〔9〕血管新生促進作用を要する疾患の治療 の製造のための、前記〔2〕又は〔3〕に規定 のポリヌクレオチドの使用、
〔10〕前記〔1〕~〔6〕いずれか記載の血管新 促進剤を投与する工程を含む、血管新生促 作用を要する疾患の治療方法、
〔11〕血管新生促進作用を要する疾患の治療 たは予防に使用するための、前記〔1〕に規 定のポリペプチド、ならびに
〔12〕血管新生促進作用を要する疾患の治療 たは予防に使用するための、前記〔2〕又は 〔3〕に規定のポリヌクレオチド
に関する。

 本発明の促進剤により、血管新生を促進 ることが可能となる。

図1は、マウス皮下における低酸素血管 新生モデルにおいて血管新生を評価する際に 行った施術の写真(図1A)、施術箇所の拡大写 (図1B)、各切片写真(図1C)、及び血管新生によ る血管増幅(図1D)を示す図である。 図2は、マウス皮下における低酸素血管 新生モデルの血管新生部位において、バリア ント5の発現を示す図(図2A)、及びバリアント5 の由来細胞を示す図(図2B)である。 図3は、ヒトVasohibin-1又はバリアント5を 高発現させたマウスの低酸素血管新生モデル における、血管新生による血管増幅を示す図 である。 図4は、バリアント5遺伝子欠損マウス バリアント5(+/-):ヘテロ欠損マウス、バリア ト5(-/-):ホモ欠損マウス〕の低酸素血管新生 モデルにおける、血管新生による血管増幅を 示す図である。 図5は、バリアント5遺伝子導入細胞の ソヒビン発現量比較(図5A)、親細胞とバリア ト5遺伝子導入細胞群(bulk)の内皮細胞増殖ア ッセイの結果(図5B)、親細胞とバリアント5遺 子高発現細胞の内皮細胞増殖アッセイの結 (図5C)を示す図である。

 本発明は、血管新生の促進において配列 号2、4、6、8又は10のアミノ酸配列で表され タンパク質を用いることに大きな特徴を有 、本発明の血管新生促進剤としては、配列 号2、4、6、8及び10からなる群より選ばれる ミノ酸配列で表されるポリペプチドからな 促進剤(態様1)と配列番号2、4、6、8及び10か なる群より選ばれるアミノ酸配列で表され ポリペプチドをコードするポリヌクレオチ 、即ち、配列番号1、3、5、7及び9からなる より選ばれる塩基配列で表されるポリヌク オチドを含有してなるベクターからなる促 剤(態様2)が例示され、共に血管新生を促進 る観点から使用される。なお、配列番号2の ミノ酸配列で表されるポリペプチドは、WO20 06/073052において、バソヒビン(Vasohibin)のバリ ントとして報告されているAK022567タンパク (バリアント1)である。配列番号4、6、8及び10 のアミノ酸配列で表されるポリペプチドは、 WO2006/073052において、前記バリアント1の4つの スプライシングバリアントであり、それぞれ 、バリアント2、3、4及び5として報告されて る。これらのバリアントはバソヒビンと相 性が高いものであることが既に知られてい 。また、バソヒビンは、腫瘍細胞や間質細 、マクロファージなどから分泌される血管 生促進因子(VEGF、FGF-2等)により血管内皮細胞 に発現し、内皮細胞自身にオートクライン的 に作用して、血管新生を抑制する物質である 。従って、バリアント1~5は、バソヒビンと相 同性が高いことから血管新生抑制に関して優 れた効果を奏するものと期待されたが、驚く べきことに、低酸素状態のマウス血管新生モ デルに該バリアントのポリヌクレオチドを尾 静脈より投与して発現させると逆に血管新生 が促進されることが見出され、かかるバリア ントあるいは該遺伝子を体外より投与するこ とにより、さらに強く血管新生を促進するこ とができると考えられた。

 バソヒビンにはバソヒビン1及びバソヒビ ン2が存在し、WO02/090546、WO2006/073052等に開示 れているように、バソヒビン1とバソヒビン2 は、異なる染色体上に存在する別の遺伝子で あるが、それらの遺伝子がコードするタンパ ク質のアミノ酸配列は58%の相同性を有してお り、共に血管新生に対する抑制活性を有する 。本発明における配列番号2、4、6、8又は10の アミノ酸配列で表されるポリペプチド、及び 配列番号1、3、5、7又は9の塩基配列で表され ポリヌクレオチドによりコードされるタン ク質はバソヒビン2のバリアントに含まれる 。

 本発明におけるポリペプチドとしては、 列番号2、4、6、8又は10のアミノ酸配列から るポリペプチド(以下、それぞれ、バリアン ト1、2、3、4、5ともいう)、前記アミノ酸配列 において1もしくは数個のアミノ酸が欠失、 換もしくは付加されたアミノ酸配列からな 、かつ血管新生促進作用を有するポリペプ ド、及びそれらの誘導体、ならびにそれら 塩が例示される。

 本明細書中において、「ポリペプチドの 導体」とは、例えば、ポリペプチドをアセ ル化、パルミトイル化、ミリスチル化、ア ド化、アクリル化、ダンシル化、ビオチン 、リン酸化、サクシニル化、アニリド化、 ンジルオキシカルボニル化、ホルミル化、 トロ化、スルフォン化、アルデヒド化、環 化、グリコシル化、モノメチル化、ジメチ 化、トリメチル化、グアニジル化、アミジ 化、マレイル化、トリフルオロアセチル化 カルバミル化、トリニトロフェニル化、ニ ロトロポニル化、ポリエチレングリコール 又はアセトアセチル化した誘導体等をいう これらの中でもN末端のアセチル化、C末端 アミド化、C末端のメチル化は、末端からポ ペプチドを分解するエキソペプチダーゼに する抵抗性が付与され、また、グリコシル またはポリエチレングリコール化によって 生体中における安定性が高くなることが期 されるので好ましい。

 本明細書において、「塩」とは、ポリペ チド又はそれらの誘導体の薬理学的に許容 れる任意の塩(無機塩及び有機塩を含む)を い、例えば、ポリペプチド又はそれらの誘 体のナトリウム塩、カリウム塩、カルシウ 塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩、塩 塩、硫酸塩、硝酸塩、燐酸塩、有機酸塩(酢 塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、リンゴ酸 、シュウ酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、フマ 酸塩、プロピオン酸塩、蟻酸塩、安息香酸 、ピクリン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩等) 等が挙げられる。これらの中でも、好ましく は、ナトリウム塩、カリウム塩、燐酸塩が望 ましい。

 上記ポリペプチドは、公知の方法に準じ 調製することができ、例えば、WO02/090546、WO 2006/073052等に開示された方法に従って調製す ことができる。

 また、上記ポリペプチドの誘導体は、当 分野で公知の方法により、作製され得る。 た、上記ポリペプチドの塩も、当該分野で 知の任意の方法により、当業者によって容 に作製され得る。

 本発明におけるポリヌクレオチドとして 、配列番号1、3、5、7又は9の塩基配列から るポリヌクレオチド、より詳細には、配列 号1の351番目のAから1223番目のGで表される塩 配列、配列番号3の311番目のAから1246番目のG で表される塩基配列、配列番号5の327番目のA ら836番目のAで表される塩基配列、配列番号 7の300番目のAから770番目のAで表される塩基配 列又は配列番号9で表される塩基配列からな ポリヌクレオチド、及び前記ポリヌクレオ ド又はそれらの相補鎖とストリンジェント 条件下にハイブリダイズしうるポリヌクレ チドであって、かつ、血管新生促進作用を するポリペプチドをコードするポリヌクレ チドが、例示される。

 ここでいう「ストリンジェントな条件下 ハイブリダイズしうるポリヌクレオチド」 は、ポリヌクレオチドの断片をプローブと て、当該分野において周知慣用な手法、例 ば、コロニーハイブリダイゼーション法、 ラークハイブリダイゼーション法あるいは ザンブロットハイブリダイゼーション法な を用いることにより得られるポリヌクレオ ドを意味し、具体的には、コロニーあるい プラーク由来のポリヌクレオチドを固定化 たメンブランを用いて、0.7~1.0MのNaCl存在下 65℃でハイブリダイゼーションを行った後 0.1~2倍濃度のSSC(Saline Sodium Citrate:150mM 塩化 トリウム、15mM クエン酸ナトリウム)溶液を 用い、65℃でメンブランを洗浄することによ 同定できるポリヌクレオチドを意味する。 イブリダイゼーションは、Molecular Cloning:A  Laboratory Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbo r Laboratory Press)、Current Protocols in Molecular B iology(1994)(Wiley-Interscience)、DNA Cloning 1:A Practi cal Approach Core Techniques,Second Edition(1995)(Oxford  University Press)などに記載されている方法に じて行うことができる。ここで、ストリン ェントな条件でハイブリダイズする配列か は、好ましくは、アデニン(A)又はチミン(T) みからなる配列は除外される。

 本明細書において「ハイブリダイズしう ポリヌクレオチド」とは、上記ハイブリダ ズ条件で別のポリヌクレオチドにハイブリ イズすることができるポリヌクレオチドを う。そのようなポリヌクレオチドとして、 体的には、配列番号2の塩基配列で表される ポリヌクレオチドと少なくとも60%以上、好ま しくは80%以上、より好ましくは95%以上の相同 性を有するポリヌクレオチドを挙げることが できる。なお、本明細書において、相同性は 、例えば、Altschulら(The Journal of Molecular Biol ogy,215,403-410(1990))の開発したアルゴリズムを 用した検索プログラムBLASTを用いることによ り、スコアで類似度が示される。

 上記ポリヌクレオチドは、公知の方法に じて調製することができ、例えば、WO02/09054 6に開示された方法に従って調製することが きる。また、アミノ酸配列に基づいて、該 リペプチドやポリペプチドをコードするDNA 化学合成することによっても調製すること できる。DNAの化学合成は、チオホスファイ 法を利用した島津製作所社製のDNA合成機、 ォスフォアミダイト法を利用したパーキン エルマー社製のDNA合成機model392などを用いて 行うことができる。

 態様1の促進剤は、実質的に、前記バリア ント1、2、3、4又は5により構成され、態様2の 促進剤は前記バリアント1、2、3、4又は5をコ ドするポリヌクレオチドを含有してなるベ ターにより構成される。

 ベクターは、宿主細胞において自立複製 能であると同時に、プロモーター、リボソ ム結合配列、バリアント1、2、3、4又は5を ードする遺伝子、転写終結配列により構成 れていることが好ましい。また、プロモー ーを制御する遺伝子が含まれていてもよい 本発明に用いられる好適なベクターとして 、後述するベクターが挙げられる。

 上記ベクターは、公知の方法に準じて調 することができ、例えば、WO02/090546、WO2006/0 73052等に開示された方法に従って調製するこ ができる。

 本発明の促進剤は、バリアント1、2、3、4 又は5が循環血中を介して送達された部位に 血管新生の促進作用を奏することから、静 内に投与されることが好ましい。

 本発明はまた、前記本発明の促進剤を含 してなる、血管新生促進作用を要する疾患 治療用医薬組成物、即ち、治療剤を提供す 。

 本発明において、治療に血管新生促進作 を要する疾患としては、血管新生を促進す ことにより治療効果がみられる疾患であれ 特に限定はないが、例えば、閉塞性末梢血 疾患、虚血性心疾患、閉塞性動脈硬化症、 ージャー病、脳血管障害、間歇性跛行等が 示される。なかでも、閉塞性動脈硬化症に 本発明の治療剤の適用が期待される。

 本発明の治療剤としては、本発明の促進 を公知の医薬用担体と組み合わせて製剤化 たものが挙げられる。また、本発明の治療 としては、バリアント1、2、3、4又は5を前 バリアントと同じ用途に使用可能な他の成 、例えば公知の血管新生を促進する作用を する成分、例えばVEGFなどと配合することも きる。

 本発明の治療剤の製造は、前記バリアン が循環血中を介して血管新生促進作用を要 る部位に到達できるような剤型を製造でき のであれば、通常、本発明の促進剤を薬学 に許容できる液状又は固体状の担体と配合 ることにより行われ、所望により溶剤、分 剤、乳化剤、緩衝剤、安定剤、賦形剤、結 剤、崩壊剤、滑沢剤等を加えて、錠剤、顆 剤、散剤、粉末剤、カプセル剤等の固形剤 、通常液剤、懸濁剤、乳剤等の液剤とする とができる。また、使用前に適当な担体の 加によって液状となし得る乾燥品や、その 、外用剤とすることもできる。なお、医薬 担体は、治療剤の投与形態及び製剤形態に じて選択することができ、特に限定はない 本明細書において、血管新生促進作用を要 る部位とは、上記血管新生促進作用を要す 疾患の発症部位を意味する。

 上記のような各種製剤形態での治療剤は それぞれ公知の医薬用担体などを利用して 適宜、常法により製造することができる。 た、かかる治療剤における本発明の促進剤 含有量は、その投与形態、投与方法などを 慮し、本発明の所望の効果の発現が得られ るような量であればよく、特に限定される のではない。本発明の治療剤中の本発明の 進剤の含有量としては通常1~100重量%程度で る。

 本発明の治療剤は、製剤形態に応じた適 な投与方法で投与される。投与方法も前記 リアントを循環血中を介して送達できるの あれば特に限定はなく、例えば内用、外用 び注射により投与することができる。本発 の治療剤を注射により投与する場合は、た えば静脈内、筋肉内、皮下、皮内などに投 し得、外用により投与する場合は、たとえ 、座剤等の外用剤として、その適する投与 法により投与すればよい。

 本発明の治療剤の投与量は、その製剤形 、投与方法、使用目的及び当該治療剤の投 対象である患者の年齢、体重、症状によっ 適宜設定され一定ではない。また、投与は 所望の投与量範囲内において、1日内におい て単回で、又は数回に分けて行ってもよい。 投与期間も任意である。

 本発明はまた、血管新生促進作用を要す 疾患の治療剤の製造のための、バリアント1 、2、3、4又は5の使用、及び該バリアントを ードするポリヌクレオチドの使用を提供す 。ならびに、本発明は、血管新生促進作用 要する疾患の治療又は予防に使用するため バリアント1、2、3、4又は5、及び該バリアン トをコードするポリヌクレオチドを提供する 。

 本発明はまた、被験体に、バリアント1、 2、3、4又は5を投与する工程を含む、血管新 促進作用を要する疾患の治療方法を提供す 。

 本明細書中において被験体とは、好まし は血管新生促進作用を必要とするヒトであ が、ペット動物等であってもよい。

 また、本明細書中において有効量とは、 リアント1、2、3、4又は5を上記被験体に投 した場合に、かかるバリアントを投与して ない被験体と比較して、血管新生促進作用 発揮する前記バリアントの量である。具体 な有効量としては、投与形態、投与方法、 用目的及び被験体の年齢、体重、症状等に って適宜設定され一定ではない。

 本発明の血管新生促進作用を要する疾患 治療方法においては、有効量のバリアント1 、2、3、4又は5をそのまま上記被験体に投与 てもよく、また、上記のような治療剤等の 薬として投与してもよい。また、投与方法 も限定はなく、例えば、上記の医薬と同様 、経口投与や注射等により投与すればよい

 本発明の治療方法によれば、前記の本発 の治療剤の対象となる疾患を治療すること でき、例えば、血管新生促進作用を要する 患の治療を行う効果が発揮され得る。

 また、本発明のバリアント1、2、3、4又は 5をコードするポリヌクレオチドを含有して るベクターからなる血管新生促進剤は、血 新生促進作用を要する疾患の患者における 伝子治療に使用することができる。

 本発明のベクターからなる促進剤の患者 の導入方法としては、該促進剤を直接体内 導入するin vivo法及びヒトからある種の細 を取り出して体外でDNAを該細胞に導入し、 の細胞を体内に戻すex vivo法がある[日経サ エンス、4月号、20-45(1994)、月間薬事、36、23- 48(1994)、実験医学増刊、12、15(1994)]。本発明 は、in vivo法が好ましい。

 in vivo法により投与する場合は、治療目 の疾患、標的臓器などに応じた適当な投与 路により投与される。例えば、病変の認め れる組織に直接局所投与するか又は静脈、 脈、皮下、筋肉内、腹腔内、内視鏡的、エ ロゾル的等により投与することも可能であ 。投与方法としては静脈内又は腹腔内投与 好ましい。また、病変の見られる組織の直 注射も好ましい。核磁気共鳴撮像又はコン ューター断層撮影等の当該技術分野で利用 きる任意のものを使用して病変の見られる 織を撮影し、例えば、定位注射により本発 のベクターからなる促進剤を投与すること できる。

 本発明のベクターからなる促進剤を遺伝 治療用ベクターとして用いる場合、前記促 剤の形態としては、上記の各投与形態にあ た種々の製剤形態をとることができる。例 ば、有効成分であるバリアント1、2、3、4又 は5をコードするDNAを含有する注射剤とした 合、当該注射剤は常法により調製すること できる。遺伝子治療剤に用いる基剤として 、通常注射剤に用いる基剤であれば、特に 限されず、蒸留水、塩化ナトリウム、又は 化ナトリウムと無機塩等との混合物の塩溶 、マンニトール、ラクトース、デキストラ 、グルコース等の溶液、グリシン、アルギ ン等のアミノ酸溶液、有機酸溶液又は塩溶 とグルコース溶液との混合溶液等が挙げら 得る。また、常法に従い、これらの基剤に 透圧調整剤、pH調整剤、ゴマ油、ダイズ油等 の植物油又はレシチン若しくは非イオン性界 面活性剤等の界面活性剤等の助剤を用いて、 溶液、懸濁液、分散液として注射剤を調製し てもよい。これらの注射剤を粉末化、凍結乾 燥等の操作により用事溶解用製剤とすること もできる。

 前記製剤中のバリアント1、2、3、4又は5 コードするDNAの含有量は、治療目的の疾患 投与部位、投与回数、所望治療期間、患者 年齢、体重等により異なり、適宜調整する とができるが、通常患者(体重60kgとして)に いては、一般に、前記バリアントをコード るDNAの重量にして約0.01~2000mg、好ましくは0.1 ~100mgである。

 以下に、バリアント1~5の作製方法および 伝子治療用ベクターの作成方法等を具体的 記載する。

(1)バリアント1~5の作製方法
 バリアント1~5は、Molecular Cloning:A Laboratory  Manual,Second Edition(1989)(Cold Spring Harbor Laborator y Press)、Current Protocols in Molecular Biology(1994) (Wiley-Interscience)等に記載された方法等を用い 例えば、以下の方法により、バリアント1、 2、3、4又は5の遺伝子を宿主細胞中で発現さ 、作製することができる。

 バリアント1、2、3、4又は5のタンパク質 コードする全長DNAを基にして、必要に応じ 、該タンパク質をコードする部分を含む適 な長さのDNA断片を調製する。また、該タン ク質をコードする部分の塩基配列を、宿主 発現に最適なコドンとなるように、塩基を 換したDNAを調製する。該DNAは該タンパク質 生産率を向上させるうえで有用である。該DN A断片、又は全長DNAを適当な発現ベクターの ロモーターの下流に挿入することにより、 換え体DNA(発現用プラスミド)を作製する。該 発現用プラスミドを、該発現ベクターに適合 した宿主細胞に導入することにより、バリア ント1、2、3、4又は5を生産する形質転換体を ることができる。

 宿主細胞としては、原核細胞、動物細胞 昆虫細胞等、目的とする遺伝子を発現でき ものであればいずれも用いることができる 発現ベクターとしては、上記宿主細胞にお て自立複製が可能、又は染色体中への組込 が可能で、バリアント1、2、3、4又は5をコ ドする遺伝子の転写に適した位置にプロモ ターを含有しているものが用いられる。

(i)原核生物を宿主として用いる場合
 バリアント1、2、3、4又は5タンパク質の発 ベクターは、原核生物中で自立複製可能で ると同時に、プロモーター、リボソーム結 配列、前記バリアントをコードする遺伝子 転写終結配列より構成されていることが好 しい。プロモーターを制御する遺伝子が含 れていてもよい。

 発現ベクターとしては、例えば、pBTrp2、p BTac1、pBTac2(ロシュダイアグノスティックス社 製)、Bluescript II SK(+)、pBluescript II SK(-)(スト ラタジーン社製)、pSTV28、pUC118、pUC19(宝酒造 製)、pKK233-2(アマシャムバイオサイエンス社 )、pSE280、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pTrxFus(イ ビトロジェン社製)、pGEMEX-1(プロメガ社製) pQE-8(キアゲン社製)、pGEX(ファルマシア社製) pETシステム(ノバジェン社製)、pMAL-c2(New Engl and Biolabs社製)、pKYP10(特開昭58-110600)、pKYP200(A gricultural Biological Chemistry,48,669(1984))、pLSA1(Agr icultural Biological Chemistry,53,277(1989))、pGEL1(Proce eding of the National Academy of Sciences USA,82,4306 (1985))、pEG400(Journal of Bacteriology,172,2392(1990)) pTrs30(FERM BP-5407)、pTrs32(FERM BP-5408)、pGHA2(FERM BP-400)、pGKA2(FERM B-6798)、pPA1(特開昭63-233798)、 pTerm2(特開平3-22979、US4686191、US4939094、US5160735) 等を例示することができる。

 プロモーターとしては、大腸菌等の宿主 胞中で発現できるものであればいかなるも でもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、l acプロモーター(Plac)、PLプロモーター、PRプロ モーター、PSEプロモーター等の、大腸菌やフ ァージ等に由来するプロモーター、SPO1プロ ーター、SPO2プロモーター、penPプロモーター 等をあげることができる。またPtrpを2つ直列 せたプロモーター(Ptrpx2)、tacプロモーター lacT7プロモーター、letIプロモーターのよう 人為的に設計改変されたプロモーター等も いることができる。

 また、リボソーム結合配列であるシャイ -ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンと 間を適当な距離、例えば、6~18塩基に調節し プラスミドを用いることが好ましい。バリ ント1~5の遺伝子の発現において転写終結配 は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子直 に転写終結配列を配置することが好ましい

 宿主細胞としては、Escherichia属、Serratia属 、Bacillus属、Brevibacterium属、Corynebacterium属、Mi crobacterium属、Pseudomonas属等の原核生物が挙げ れ、Escherichia属としてE.coliのXL1-Blue株、XL2-Bl ue株、DH1株、MC1000株、KY3276株、W1485株、JM109株 、HB101株、No.49株、W3110株、NY49株、BL21(DE3)株 BL21(DE3)pLysS株、HMS174(DE3)株及びHMS174(DE3)pLysS株 等が、Serratia属として、S.ficaria株、S.fonticola 、S.liquefaciens、S.marcescens株等が、Bacillus属と て、B.subtilis株、B.amyloliquefaciens株等が、Brevi bacterium属として、B.ammoniagenes株、B.Immariophilum( ATCC:14068)株、B.saccharolyticum(ATCC:14066)株等が、Co rynebacterium属として、C.glutamicum(ATCC:13032)株、C. glutamicum(ATCC:14067)株、C.gulutamicum(ATCC:13869)株、C .acetoacidophilum(ATCC:13870)株等が、Microbacterium属 して、M.ammoniaphilum(ATCC:15354)株等が、Pseudomonas 属として、S.mephitica株等が例示される。

 発現用プラスミドの導入方法としては、 記宿主細胞へDNAを導入する方法であればい れも用いることができ、例えば、エレクト ポレーション法(Nucleic Acids Research,16,6127(198 8))、リン酸カルシウム法(Proceedings of the Nati onal Academy of Sciences,USA,69,2110(1972))、プロト ラスト法〔特開昭63-2483942、Gene,17,107(1982)やMo lecular & General Genetics,168,111(1979)〕に記載 方法等が挙げられる。

(ii)動物細胞を宿主として用いる場合
 宿主として動物細胞を用いる場合、発現ベ ターとして、例えば、pcDNA1/Amp、pcDNA1、pCDM8 pREP4(インビトロジェン社製)、pHM6(ロシュダ アグノスティクス社製)、pKK223-3、pGEX(アマ ャムバイオサイエンス社製)、pAGE107(Cytotechnol ogy,3,133(1990))、pAGE103(The Journal of Biochemistry,10 1,1307(1987))、pAMo、pAMoA(pAMoPRSA)(The Journal of Bio logical Chemistry,268,22782-22787(1993))、pAS3-3(特開平 2-22705)等を用いることができる。

 プロモーターとしては、宿主中で発現で るものであればいずれも用いることができ 例えば、ヒトサイトメガロウイルス(hCMV)のI E(Immediate-early)遺伝子のプロモーター、SV40の 期プロモーター、モロニー株マウス白血病 イルス(Moloney Murine Leulemia Virus)のロング・ ーミナル・リピート・プロモーター(Long Ter minal Repeat Promoter)、レトロウイルスのプロモ ーター、HSPプロモーター、SRαプロモーター びメタロチオネインのプロモーター等を挙 ることができる。また、hCMVのIE遺伝子のエ ハンサーをプロモーターと共に用いてもよ 。

 宿主に用いる動物細胞としては、ヒト由 株細胞のHEK293(ヒト胎児腎細胞、ATCC:CRL-1573) Namalwa(バーキットリンパ腫、ATCC:CRL-1432)、HeL a(子宮頚部癌細胞、ATCC:CCL-2)、HBT5637(白血病細 胞、特開昭63-299)、BALL-1(白血病細胞)及びHCT-15 (大腸癌細胞);マウス由来株細胞のSp2/0-Ag14(マ ス骨髄種細胞、ATCC:CRL-1581)及びNSO(マウス骨 種細胞);サル由来株細胞のCOS-1(アフリカミ リザル腎細胞(SV40形質転換細胞)、ATCC:CRL-1650) 及びCOS-7(アフリカミドリザル腎細胞(SV40形質 換細胞)、ATCC:CRL-1651);ハムスター由来株細胞 のCHO-K1(チャイニーズハムスター卵巣細胞、AT CC:CCL-61)及びBHK-21(C-13)(シシリアンハムスター 腎細胞、ATCC:CCL-10);ラット由来株細胞のPC12( 腎褐色細胞腫、ATCC:CRL-1721)及びYB2/0(ラット 髄種細胞、ATCC:CRL-1662)等を例示することがで きる。

 発現用プラスミドの導入方法としては、 主にDNAを導入する方法であればいずれも用 ることができ、例えば、エレクトロポレー ョン法(Cytotechnology,3,133,(1990))、リン酸カル ウム法(特開平2-22705)、リポフェクション法(P roceedings of the National Academy of Sciences,USA,84, 7413(1987)、Virology,52,456(1973))が挙げられる。

(iii)昆虫細胞を宿主として用いる場合
 宿主として昆虫細胞を用いる場合、発現ベ ターとしては、例えば、pVL1392、pVL1393、pBlue BacIII、pFASTBac1(インビトロジェン社製)等が、 染用ウイルスとしては、例えば、ヨトウガ 昆虫に感染するバキュロウイルス(Vaculovirus) Autographa california nuclear polyhedrosis virus(AcMNPV) Bac-N-Blue DNA等が挙げられる。昆虫細胞の形質 転換の方法は、例えば、Baculovirus Expression Ve ctor:A Laboratory Manual(1992)(W.H.Freeman and Company) Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Second Edition(1 989)(Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Current Pro tocols in Molecular Biology(1994)(Wiley-Interscience)、B iotechnology,6,47(1988)等に記載の方法が用いられ 。

 昆虫細胞培養液に目的遺伝子を含む発現 クター及び昆虫細胞への感染用のバキュロ イルスDNAを添加し、組換えにより作製され 目的遺伝子を発現するウイルスが昆虫細胞 感染することによりバリアント1、2、3、4又 は5を発現することができる。

 宿主に用いる昆虫細胞としては、Spodoptera  frugiperda(ヨトウガ)由来株細胞、Trichoplusia ni (イラクサキンウワバ)由来株細胞等が挙げら 、具体的には、S.frugiperda由来細胞としては Sf9(ATCC:CRL-1711、卵巣細胞)、Sf21(卵巣細胞)等 、T.ni由来細胞株としては、High Five、BTI-TN-5 B1-4(卵細胞、インビトロジェン社製)等が例示 される。

 発現用プラスミドの導入方法としては、 主に導入できる方法であればいずれも用い ことができ、例えば、リン酸カルシウム法( 特開平2-22705)、リポフェクション法(Proceedings of the National Academy of Sciences USA,84,7413(1987) )等を挙げることができる。リポフェクショ 法では、CELLFECTIN試薬(インビトロジェン社) 用いることができる。また、動物細胞と同 に、エレクトロポレーション法(Cytotechnology,3 ,133(1990))等も用いることができる。

(iv)形質転換体の培養方法
 バリアント1、2、3、4又は5をコードするDNA 組み込んだ発現用プラスミドを保有する形 転換体が、大腸菌、動物細胞等の細胞の場 、各種宿主に適した通常の培養方法に従っ 培養し、該タンパク質を産生・蓄積させ、 質転換体又は培養液より該タンパク質を回 することにより、該タンパク質を作製する とができる。形質転換体が、動物個体又は 物個体の場合、各種宿主に適した通常の生 方法に従って飼育又は栽培し、該タンパク を産生・蓄積させ、該動物個体又は植物個 より該タンパク質を回収することにより、 タンパク質を作製することができる。

 宿主が動物個体の場合、例えば、バリア ト1、2、3、4又は5をコードする遺伝子を保 する非ヒトトランスジェニック動物を飼育 、該プラスミドのコードするバリアントを 動物中に産生・蓄積させ、該動物個体中か 該タンパク質を回収することにより、バリ ント1、2、3、4又は5を作製することができる 。動物個体中の産生・蓄積場所としては、例 えば、該動物のミルク、唾液、卵等を挙げる ことができる。

 宿主が大腸菌等の原核生物である場合、 えば、バリアント1、2、3、4又は5をコード る遺伝子を保有する形質転換体を培地中で 養し、該プラスミドのコードするバリアン を培養液に産生・蓄積させ、該培養液から タンパク質を回収することにより、バリア ト1、2、3、4又は5を作製することができる。

 バリアント1、2、3、4又は5の形質転換体 培地で培養する方法は、宿主の培養に用い れる通常の方法に従って行うことができる

 得られた形質転換体を培養する培地とし は、該生物が資化し得る炭素源、窒素源、 機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効 的に行える培地であれば天然培地、合成培 のいずれを用いてもよい。

 炭素源としては、それぞれの微生物が資 し得るものであればよく、グルコース、フ クトース、スクロース、これらを含有する 蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物 の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機 、エタノール、プロパノール等のアルコー 類を用いることができる。

 窒素源としては、アンモニア、塩化アン ニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニ ム、リン酸アンモニウム等の各種無機酸や 機酸のアンモニウム塩、その他含窒素物質 並びに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス コーンスチープリカー、カゼイン加水分解 、大豆粕及び大豆粕加水分解物、各種発酵 体及びその消化物等を用いることができる

 無機塩としては、リン酸第一カリウム、 ン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、 酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第 鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウ 等を用いることができる。培養は、振盪培 又は深部通気攪拌培養等の好気的条件下で う。

 形質転換体が大腸菌等の原核生物である 合、かかる培地としては、例えば、バクト リプトン、イーストエクストラクト及び塩 ナトリウムを含むYT培地が好ましい。

 培養温度は15~40℃がよく、培養時間は、 常5時間~7日間である。培養中pHは、3.0~9.0に 持する。pHの調整は、無機あるいは有機の酸 、アルカリ溶液、尿素、炭酸カルシウム、ア ンモニア等を用いて行う。また培養中必要に 応じて、アンピシリンやテトラサイクリン等 の抗生物質を培地に添加してもよい。

 プロモーターとして誘導性のプロモータ を用いた発現ベクターで形質転換した微生 を培養するときには、必要に応じてインデ ーサーを培地に添加してもよい。例えば、l acプロモーターを用いた発現ベクターで形質 換した形質転換体を培養するときにはイソ ロピル-β-D-チオガラクトピラノシド等を、t rpプロモーターを用いた発現ベクターで形質 換した形質転換体を培養するときにはイン ールアクリル酸等を培地に添加してもよい

 バリアント1、2、3、4又は5作製用形質転 体が動物細胞である場合、該細胞を培養す 培地は、一般に使用されているRPMI1640培地(Th e Journal of the American Medical Association,199,519( 1967))、MEM培地(Science,130,432(1959))、D-MEM培地(Viro logy,8,396(1959))、199培地(Proceedings of the Society for the Biological Medicine,73,1(1950))又はこれら 地に牛胎児血清(FCS)等を添加した培地等が用 いられる。

 培養は、通常pH6~8、25~40℃、5% CO 2 存在下等の条件で1~7日間行う。また培養中必 要に応じて、カナマイシン、ペニシリン、ス トレプトマイシン等の抗生物質を培地に添加 してもよい。

 形質転換体が昆虫細胞である場合、培養 る培地としては、一般に使用されているTNM- FH培地(ファーミンジェン社製)、Sf-900II SFM培 (インビトロジェン社製)、ExCell400、ExCell405(J RHバイオサイエンシーズ社製)、Grace’s InsectM edium(Nature,195,788(1962))等を用いることができる 。

(v)作製方法
 バリアント1、2、3、4又は5は、形質転換体 培養し、培養液から前記バリアントを単離 精製することにより作製することができる バリアントの単離・精製方法は、当該分野 おいて周知慣用の常法により行うことがで 、例えば、酵素の単離・精製方法やSandlerら 糖転移酵素の精製方法(Methods in Enzymology,83, 458)を用いることができる。

 バリアント1、2、3、4又は5が溶解性ポリ プチドとして産生・蓄積される場合、上記 ように形質転換体を培養した培養液を、例 ば、遠心分離等の方法で細胞又は菌体と培 に分離する。バリアント1、2、3、4又は5が宿 主細胞内に存在する場合、採取した細胞又は 菌体をSTE溶液等の適当な緩衝液で洗浄した後 、超音波、フレンチプレス、マントンガウリ ンホモジナイザー、ダイノミル等で細胞又は 菌体を破砕し、遠心分離やろ過により無細胞 溶液として得ることができる。

 バリアント1、2、3、4又は5の分離・精製 用いる緩衝液には界面活性剤が適量含まれ いてもよく、例えば、ラウリル硫酸ナトリ ム(SDS)やN-ラウロイルサルコシンナトリウム( サルコシル)等を含んでいてもよい。

 得られた粗精製物に含まれる目的タンパ 質の分離・精製方法は自体公知の各種分離 精製方法を組み合わせて行うことができる これらの公知の方法としては、例えば、溶 抽出法、硫酸アンモニウム等による塩析法 透析法、有機溶媒による沈殿法、限外濾過 、ゲル濾過、ジエチルアミノエチル(DEAE)-セ ファロースクロマトグラフィー、DIAION HPA-75( 三菱化学社製)等のリジンを用いた陰イオン ロマトグラフィーやイオン交換クロマトグ フィー、S-Sepharose FF(GE Healthcare社製)等のリ ンを用いた陽イオンクロマトグラフィー、 チルセファロース等の疎水性クロマトグラ ィーやアフィニティークロマトグラフィー の各種クロマトグラフィー法、SDS-ポリアク リルアミドゲル電気泳動法や等電点電気泳動 法等の各種電気泳動法等が例示される。アフ ィニティークロマトグラフィーは、バリアン ト1、2、3、4又は5に対する抗体を用いること よっても行うことができる。

 バリアント1、2、3、4又は5が不溶性ポリ プチドとして産生・蓄積される場合、上記 様に細胞又は菌体を分離し、適当な方法に り破砕後、該ポリペプチドを含む分画を回 する。回収した試料は、ラウリル硫酸ナト ウム(SDS)やN-ラウロイルサルコシンナトリウ (サルコシル)等の界面活性剤等の可溶化剤 可溶化する。該可溶化液は、可溶化剤を含 ないか殆ど含まれない濃度にまで希釈又は 析し、該ポリペプチドを正常な立体構造に 成させた後、上記と同様の分離・精製方法 より精製標品を得ることができる。

 また、バリアント1、2、3、4又は5を他の ンパク質との融合タンパク質として生産し 融合したタンパク質に親和性をもつ物質を いたアフィニティークロマトグラフィーを 用して精製することもできる(山川彰夫,実験 医学,13,469-474(1995))。融合タンパク質に使用す る付加タンパク質としてはプロテインA、FLAG が例示される(Proceedings of the National Academy  of Sciences,USA,86,8227(1989)、Genes Development,4,1288 (1990)、特開平5-336963、特開平6-823021)。プロテ ンAを使用する場合、バリアント1、2、3、4 は5とプロテインAの融合タンパク質を生産し 、イムノグロブリンGを用いてアフィニティ クロマトグラフィーを行うことにより精製 ることができる。FLAGペプチドを使用する場 、バリアント1、2、3、4又は5とFLAGの融合タ パク質を生産し、抗FLAG抗体を用いてアフィ ニティークロマトグラフィーを行うことによ り精製することができる。

 上記の形質転換体により作製する方法以 には、バリアント1、2、3、4又は5は、公知 方法に準じて、in vitro転写・翻訳系を用い も生産することができる(Journal of Biomolecular  NMR,6,129-134(1995)、Science,242,1162-1164(1988)、The J ournal of Biochemistry,110,166-168(1991))。

 また、バリアント1、2、3、4又は5は、そ アミノ酸配列を基に、Fmoc法(フルオレニルメ チルオキシカルボニル法)、tBoc法(t-ブチルオ シカルボニル法)等の化学合成法や市販され ているペプチド合成機器、例えば、APEX396(ア バンストケムテック社製)、433A(アプライド イオシステムズ社製)、PS3(プロテインテク ロジーズ社製)、9050(パーセプティブ社製)、P SSM-8(島津製作所製)等のペプチド合成機器に り化学合成することができる。

(2)遺伝子治療用ベクターの作製方法
 遺伝子治療用ベクターの作製方法、細胞に ける発現方法等は上記「バリアント1~5の作 方法」に記載の発現ベクターと同様である

 発現ベクターは安全で低毒性であるので 例えば、哺乳動物(例えば、ヒト、ラット、 マウス、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ 、イヌ、サル等)に対して投与することがで る。遺伝子治療に用いる際には、ヒトを含 哺乳動物の細胞内でタンパク質を発現でき かつ、安全性の高いDNA若しくはRNAウイルス クター又はプラスミドベクターを用いるの 好ましい。遺伝子治療に好ましいウイルス クターとしては,アデノウイルス、アデノ随 ウイルス(AAV)、レトロウイルス、ポックス イルス、ヘルペスウイルス、単純ヘルペス イルス、レンチウイルス(HIV)、センダイウイ ルス、エプスタイン-バールウイルス(EBV)、ワ クシニアウイルス、ポリオウイルス、シンビ スウイルス、SV40等に由来するベクターが挙 られる。遺伝子治療に好ましいプラスミド しては、pCAGGS(Gene,108,193-200(1991))、pBK-CMV、pcDN A3.1、pZeoSV(インビトロゲン社、ストラジーン )等が挙げられる。

 なお、バリアント1、2、3、4又は5をコー するDNAにシグナル配列を付加することによ 、分泌タンパク質となり、局所投与する必 は必ずしもなく、細胞内で産生、分泌され タンパク質が遠く離れた標的臓器に作用し リンパ管新生抑制作用を生ずる。従って、 理組織以外の正常組織内又は正常細胞内へ 投与も可能である。なお、ヒトに投与する 合は静脈内投与又は筋肉内投与が好ましい

 以下、実施例を示して本発明を具体的に 明するが、本発明は下記実施例に制限され ものではない。なお、遺伝子操作的手法と て、特に断らない限り、Molecular Cloning:A Lab oratory Manual,2nd Edition(Cold Spring Harbor Laborator y)に記載されている方法を用いた。

バリアント5タンパク質の作製例1
 ヒト臍帯静脈血管内皮細胞よりISOGEN(ニッポ ンジーン社製)を用いて調製した全RNAを鋳型 して1st Strand cDNA Synthesis Kit(Roche Diagnostics 製)により一本鎖cDNAを合成した。これにプ イマー・ペア、5’-GCAGCCATGAAGCCAACCGT-3’及び5 -CCATACCGGCCAGCAAGAG-3’を加え、RT-PCR反応を行っ た。合成されたDNA断片はプラスミドpCR2.1TOPO クローニングし、シーケンス反応によりイ サートの塩基配列を確認した。次に、この ラスミドを鋳型として、プライマー・ペア 5’-TAGCGGCCGCCACCATGACCGGCTCCGCG-3’及び5’-TGTCTAGAC TCAATTCGGATTTGATAGCCCA-3’を用いてPCR反応を行い、 得られたDNA断片をプラスミドp3xFLAG-CMV14にク ーニングして、3’末端にFLAGタグを接続させ 、さらにこのDNA断片をバキュロウイルス系用 の発現ベクターpFastBac1(インビトロジェン社 )に挿入した。昆虫細胞での発現にはBac-To-Bac  Baculovirus Expression System(インビトロジェン 製)を使用し、操作なども付属のマニュアル 従った。すなわち、構築したプラスミドに り大腸菌DH10Bacを形質転換し、組換えBacmid D NAを得た。次に、このBacmid DNAをCELLFECTIN試薬( インビトロジェン社製)によってSf9細胞に導 し、組換えバキュロウイルス溶液を得た。 のウイルス溶液0.5mLを1.5×10 6 個/mL濃度に調整後、50mLのSf9細胞に感染させ という割合で使用することとした。感染後76 時間培養し、遠心によって細胞を回収した。

 バリアント5タンパク質の昆虫細胞におけ る発現確認は、このSf9細胞の抽出液とHRP標識 した抗FLAGモノクローナル抗体(シグマ社製)を 利用したウエスタンブロットによって行った 。細胞抽出液は、細胞を5mLのりん酸緩衝生理 食塩水(PBS)にて1回洗浄した後、5mLのLysis溶液( 0.15M NaCl、0.1mM EDTA、0.1M EGTA、1mM DTT、0.1mM a micinophenyl methansulfonyl fluride hydrochloride、及 0.1% NP40を含む50mM Tris-HCl、pH7.4)にて懸濁後 MICROCON(HEART SYSTEMS社製)にて超音波処理(15秒 )を氷冷しながら4回行った後、14500xgにて20分 間遠心し、上清に等量のLysis溶液を加えたも をライセート溶液とした。タンパク質の精 はライセート溶液を0.05% Tween20を含むトリ 緩衝生理食塩水(TBS)にて平衡化した抗FLAG抗 カラムに添加後、同溶液にて洗浄を行い、 出液(0.02% Tween20を含む6mM HCl、pH2.2)(0.5mL/画 )にて溶出し、ただちに1M Tris-HCl、pH8.0にて 和(溶出液0.5mLに対し、7μL)することによって 行った。各画分のSDS-PAGE後のBio-Safe Coomassie( イオラッド社製)による染色によりバリアン 5タンパク質のバンドが確認された。

試験例1〔マウス皮下における低酸素による 管新生誘導モデル〕
 Tepperらにより既に報告されている(Blood 105 p.1068-1077、2005)方法に従い、マウス皮下にお る低酸素による血管新生モデルをin vivoに けるバリアント5タンパク質の発現および機 解析に用いる妥当性を評価した。

 即ち、麻酔を施したC57BL6マウスの背部2ヶ 所を並行に切開し、皮下を剥離後2.5cm×1.25cm 領域に亘りシリコン・シートを埋めて縫合 た(図1A)。その後、剥離された皮膚はシリコ ・シートによる血管の遮断のため7日後には 低酸素状態になり中央部から壊死が生じてお り(図1B)、皮膚の繋がった両端からこの低酸 状態の中央部に向かって血管新生が生じて た。壊死組織の末端から8mmまでの領域を2mm つ4つに区切り各領域で切片を調製し(図1C)、 抗CD31抗体で免疫染色することにより血管面 を測定したところ、壊死組織の末端から2~4mm の領域で最も血管面積が広く(図1D)、この領 で最も血管新生が活性化されていることが され、かかる血管新生誘導モデルにより血 新生の評価を行えることが判明した。

試験例2〔in vivoにおけるバリアント5タンパ 質の発現部位〕
 試験例1で示した低酸素モデルの皮下組織に おけるバリアント5タンパク質の発現を免疫 色により検討した。壊死末端より2mm以内の 域において抗バリアント5抗体、抗CD31(血管 皮細胞マーカー)抗体、抗CD11b抗体で染色し ところ、バリアント5タンパク質の染色像は 球・マクロファージなど骨髄由来細胞のマ カーであるCD11bの染色像とよく一致してい (図2A)。

 次に、全身的にgreen fluorescent protein (GFP)を 発現させたマウス(GFPマウス)の骨髄細胞を採 し、Ficoll-paque PLUS(GE Healthcare社製)を用いた 密度勾配遠心法により精製した後、ガンマ線 (9Gy)を照射した野生型マウス1匹あたり5×10 6 個の割合で移植した。この移植マウスを6週 飼育することにより骨髄細胞をGFPマウス由 の細胞と置換させた。試験例1と同様の手法 よりこの骨髄移植マウスの背部皮下を低酸 状態にし、壊死末端から2mm以内の領域にお てバリアント5タンパク質の免疫染色を行っ たところ、その染色像は骨髄細胞由来と考え られるGFP染色細胞と一致していた(図2B)。以 の結果より、バリアント5タンパク質はin viv oの血管新生部位において骨髄由来細胞から 現していることが示唆された。

試験例3〔in vivoにおけるVasohibin-1及びバリア ト5タンパク質の強制発現による効果〕
 ヒトVasohibin-1及びバリアント5をin vivoで発 させる目的で、それぞれのcDNAを組み込んだ デノウイルスベクターを作成し、293細胞株 導入することによりこれらの遺伝子を持っ アデノウイルスを調製した。また陰性対照 にβ-ガラクトシダーゼ遺伝子を持ったアデ ウイルスを調製した。これらのウイルス(10 9 pfu)をマウス尾静脈より注射し、肝臓におい β-ガラクトシダーゼ、Vasohibin-1、バリアント 5をそれぞれ大量に発現している状態で、試 例1と同様にして低酸素モデルを作成した。 死末端より0~2、2~4、4~6、6~8mmの領域で切片 作成し、それぞれ抗CD31抗体および抗α平滑 アクチン(α-SMA)抗体で染色した。その結果、 Vasohibin-1を高発現させたマウスにおいては、 死末端から0~2、2~4mmの本来血管新生の活発 領域における血管新生が強く抑制されてい 。それに対して、バリアント5を高発現させ マウスにおいては、壊死末端から0~2、2~4mm 領域ではα-SMA陽性の壁細胞に囲まれた成熟 管の数が著しく減少しており、全領域にお て壁細胞を伴わない未熟な血管の数が増加 ていた(図3)。

試験例4〔バリアント5遺伝子欠損マウスにお る血管新生の抑制〕
 米国inGenious Targeting Laboratory社により作成 れたバリアント5遺伝子欠損マウス(C57BL6マウ ス)において、試験例1と同様にして低酸素モ ルを作成し血管新生を観察した。また陰性 照用にはC57BL6マウスの野生型を用いた。試 例3と同様に、壊死末端より0~2、2~4、4~6、6~8 mmの領域で切片を作成し、それぞれ抗CD31抗体 および抗α-SMA抗体で染色した。その結果、バ リアント5遺伝子欠損マウスにおける全血管 および成熟血管数のいずれもが有意に減少 ていた。しかも、壊死組織の末端から2~4mmの 領域では、その効果はヘテロ欠損マウスに比 べホモ欠損マウスにおいて顕著であった(図4) 。従って、バリアント5は血管の増殖および 熟化を促進する活性を有することが示唆さ た。

試験例5〔バリアント5遺伝子導入細胞の細胞 殖アッセイ〕
 バリアント5遺伝子を導入する細胞として、 マウス膵臓の内皮細胞をSV40 large T抗原によ て不死化して得られるMS1細胞を選択し、Amer ican Type Culture Collection(Manassas,VA,USA)より購入 した。MS1細胞は、αMEM(インビトロジェン社製 )に10%fetal bovine serum(FBS,JRHBiosciences,San Antonio, TX,USA)を添加した細胞培地で培養を行った。

 先ず、発現効率を改善するために、pcDNA3. 1/Hygroプラスミド(インビトロジェン社製)のCMV プロモーターを、pCALL2ベクター由来のchicken  β-actinプロモーターに置換えたpCALL2-pcDNA3.1/Hyg roベクターを作成した。次に、バリアント5発 現ベクターを作製するために、バリアント5 cDNAを上記で得られたpCALL2-pcDNA3.1/Hygroのマル クローニングサイトに挿入した。得られた リアント5発現ベクターは、MS1細胞に、Effect ene transfection reagent(Qiagen,Valencia,CA,USA)を用い 、当該試薬に添付のマニュアルに従って遺 子導入された。遺伝子導入後、MS1細胞はhygr omycin(500μg/mL)(インビトロジェン社製)で薬剤 択が行われ、バリアント5遺伝子導入細胞群( bulk)が得られた。得られたbulk細胞は、96ウェ プレートに1ウェル当り0.3個の細胞と100μLの 細胞培地が入るように分注され培養された。 細胞の増殖が認められたウェルは、より大き なウェルへ移され、さらに培養を継続され、 バリアント5遺伝子高発現細胞のクローン(ク ーン3、クローン11、クローン14)が得られた バリアント5遺伝子を特異的に増幅するプラ イマーを用いたRT-PCR法を行った結果、バリア ント5遺伝子導入細胞群(bulk)がバリアント5遺 子を発現していること、及び、クローン3、 11、14はbulk細胞に比べてバリアント5遺伝子の 発現が強いことを確認した(図5A)。

 bulk細胞、クローン3、11、14及び親細胞で るMS1(mock)を、それぞれ10%FBS/αMEMに懸濁し、9 6ウェルプレートに1ウェル当り2×103個を加え 72時間培養を行った。その後、10μLのTetraColo r ONE(Seikagaku,Tokyo,Japan)を各ウェルに加え、マ チプレートリーダー(Tosoh,Tokyo,Japan)を用いて 450nmの吸光度を測定した。その結果、bulk細胞 は、MS1(mock)に比べて1%未満の有意差で増殖が 進されている事が分かった(図5B)。一方、bul k細胞に比べてバリアント5遺伝子が高発現で るクローン3、11、14はいずれもMS1(mock)に比 て1%未満の有意差で増殖が抑制されることが 分かった(図5C)。これらより、バソヒビン2の 現が弱いと内皮細胞(MS1)の細胞増殖が促進 、バソヒビン2の発現が強いと内皮細胞(MS1) 細胞増殖が抑制され、バソヒビン2の発現の 弱で内皮細胞の細胞増殖への影響が、正反 になることが判明した。

 以上の結果より、バソヒビンの血管新生 制作用と血管新生促進作用について考察を った。WO2006/073052において、バソヒビン2の リアントの一つであるバリアント1が、ラッ の角膜アッセイにおいて血管新生抑制作用 示すが、角膜アッセイでは角膜に直接バリ ント1が投与されていることから、投与箇所 においてバリアント1は高濃度であると考え れる。一方、上記試験例3で示されるように マウスの背部皮下における低酸素による血 新生モデルの系において、バソヒビン2のバ リアントの一つであるバリアント5は血管新 促進作用を示すが、上記試験例3では静脈へ 与されたバリアント5発現アデノウイルスは 肝臓に集積し、そこで発現したバソヒビン2 血流に乗って背部皮下へ到達すると考えら 、その濃度は比較的低濃度であると考えら る。すなわち、バソヒビン2の発現が弱くバ ヒビン2の濃度が低い場合には、内皮細胞の 増殖が促され、その結果血管新生促進作用が 発揮され、バソヒビン2の発現が強くバソヒ ン2の濃度が高い場合には、内皮細胞の増殖 抑制され、その結果血管新生抑制作用が発 されると推定され、バソヒビン2の相反する 生理作用が矛盾なく説明できると考えられる 。

 本発明のバリアント1、2、3、4又は5を含 する治療剤は、例えば、血管新生促進作用 要する疾患の治療などに好適に用いられる

配列表の配列番号1は、AK022567のポリヌクレオ チドである。
配列表の配列番号2は、AK022567のポリペプチド である。
配列表の配列番号3は、BC051856のポリヌクレオ チドである。
配列表の配列番号4は、BC051856のポリペプチド である。
配列表の配列番号5は、BC053836のポリヌクレオ チドである。
配列表の配列番号6は、BC053836のポリペプチド である。
配列表の配列番号7は、BC028194のポリヌクレオ チドである。
配列表の配列番号8は、BC028194のポリペプチド である。
配列表の配列番号9は、AY834202のポリヌクレオ チドである。
配列表の配列番号10は、AY834202のポリペプチ である。