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Patent Searching and Data


Title:
NITRIDE SEMICONDUCTOR LASER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/111477
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a Fabry-Perot III nitride semiconductor laser which performs high power operation with high reliability. In an active layer in the vicinity of a light outputting end surface of such nitride semiconductor laser, regions not absorbing a laser beam are formed with a width of w(nm) along the stripe direction of a resonator to be used as a local window structure. Thus, a high initial COD level is achieved, and deterioration of the COD level with time is suppressed when high output operation is continued.

Inventors:
FUKUDA KAZUHISA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054030
Publication Date:
September 18, 2008
Filing Date:
March 06, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NEC CORP (JP)
FUKUDA KAZUHISA (JP)
International Classes:
H01S5/16; H01S5/028; H01S5/323
Foreign References:
JP2006229210A2006-08-31
JPH11238940A1999-08-31
JPS6439088A1989-02-09
JPH04144294A1992-05-18
JP2006108225A2006-04-20
Attorney, Agent or Firm:
MIYAZAKI, Teruo et al. (16th Kowa Bldg.9-20, Akasaka 1-chom, Minato-ku Tokyo 52, JP)
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Claims:
 第一の導電型の半導体層と、多重量子井戸型活性層と、第二の導電型の半導体層がこの順に積層されており、
 前記活性層を含んでなる発光層において、レーザ発振を行うストライプ状の発振領域は、ファブリ・ペロー型の共振器によって構成されており、
 該ファブリ・ペロー型の共振器の光出射端面に露呈する前記発光層に対して、端面保護膜として誘電体膜が該発光層端面を被覆するように形成されているIII族窒化物半導体レーザにおいて、
 前記活性層中に、前記端面保護膜によって規定される内部光電界強度のピーク位置を含む局所的な領域に、該窒化物半導体レーザの発振波長λの光を吸収しない非吸収領域を有している
ことを特徴とする窒化物半導体レーザ。
 前記非吸収領域が、前記端面保護膜によって被覆されている、前記発光層端面に露出していない
ことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導体レーザ。
 前記端面保護膜は、屈折率2以上の誘電体膜を含む単層または多層構造である
ことを特徴とする請求項2に記載の窒化物半導体レーザ。
 前記端面保護膜は、屈折率2以上の誘電体膜と屈折率2未満の誘電体膜を含む多層構造である
ことを特徴とする請求項3に記載の窒化物半導体レーザ。
 前記非吸収領域は、
 該窒化物半導体レーザの発振波長λと、前記発光層の実効屈折率n eff について、
 前記光電界強度のピーク位置を中心として、その中心から、±(1/16)・(λ/n eff )の領域を含むように形成されている
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の窒化物半導体レーザ。
 前記光電界強度のピーク位置と端面からの距離d peak が、
 (1/16)・(λ/n eff )<d peak <(7/16)・(λ/n eff )を満たす範囲に選択されている
ことを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の窒化物半導体レーザ。
Description:
窒化物半導体レーザ

 本発明は、III族窒化物半導体レーザに関 る。特に、ファブリ・ペロー型の端面発光I II族窒化物半導体レーザに関する。

 窒化ガリウムに代表されるIII族窒化物半 体は、高効率の青紫色発光が得られること ら、発光ダイオード(light emitting diode, LED) レーザ・ダイオード(laser diode, LD)材料とし て注目を浴びてきた。なかでも、III族窒化物 半導体を用いる青色LDは、大容量光ディスク 置の書き込み用光源として利用が期待され いる。近年では、書き込み用光源として利 可能な高出力III族窒化物LDの開発が精力的 進められている。

 図1に、ファブリ・ペロー型の端面発光窒 化物ガリウム系半導体レーザの典型的な構造 である、リッジ導波路型半導体レーザを示す 。GaN基板101上に、n型クラッド層102、光ガイ 層103、活性層104、光ガイド層105、p型クラッ 層106などのレーザ構造を積層する。その後 p型クラッド層106をドライエッチングにより リッジ状に加工し、リッジ導波路型半導体レ ーザが作製される。リッジトップは、ストラ イプ状開口部を有す絶縁膜107でカバーされ、 開口部に、p型電極108が設けられる。電流狭 は、このストライプ状電極でなされる。ま 、リッジ幅およびリッジ高さを調整するこ により、実効的な屈折率neffの差違を調節し 横モードの制御を行っている。

 ファブリ・ペロー型の共振器は、共振ミ ー109として、劈開面を利用して構成されて る。通常、半導体レーザでは、端面保護の め誘電体保護膜を形成する。その際、この 振器の二つの端面のうち、後方側端面の反 率Rrと、前方側端面の反射率Rfとは、Rr>Rf される。特に、高出力用途では、前方側端 からの出射効率を上げるため、前方側端面 、低反射(Anti-reflecting, AR)膜、後方側端面に 、高反射(High-reflecting, HR)膜を形成する。そ 結果、レーザ光出力は、ファブリ・ペロー 共振器の前方側端面から、出射される。な 、後方側端面から、僅かに出射されるレー 光は、通常、出力モニター光として、利用 れている。

 半導体レーザを高出力動作する際、その 頼性を確保するには、活性層を構成する結 内部の劣化を抑制するとともに、レーザ端 での突発的な破壊(Catastrophic Optical Damage、C OD)を抑えることが重要となる。特に、高出力 動作時の特徴的に発生するCOD劣化は、CD用のA lGaAs系780nm帯レーザやDVD用のAlInGaP系650nmレー など、短波長のファブリ・ペロー型端面発 半導体レーザの主要な劣化要因として知ら ている。ファブリ・ペロー型窒化ガリウム 半導体レーザでも、高出力動作を行う際、 の光出射端面においてCOD劣化が生じること 報告されている。

 CODの発生メカニズムは一般的に次のよう 説明される。半導体レーザの端面近傍では 表面準位や欠陥などに起因する非発光再結 電流によって温度が上昇し、活性層のバン ギャップが半導体内部に比して狭くなって るため、レーザ光を吸収しやすくなってい 。端面における光吸収は、さらなる温度上 を促すという劣化加速プロセスを生じさせ ため、臨界となる出力以上の光を出射した には瞬間的に端面温度が上昇し、ついには 性層の溶融に到る。半導体レーザの安定高 力動作のためには、その臨界光出力(以下、 CODレベル)を高めることが重要となる。

 AlGaAs系やAlInGaP系半導体レーザでは、CODレベ ルを向上させる手段として、レーザ出射端面 にレーザ光を吸収しない領域(非吸収領域)を 成する窓構造が主に利用されている。その 、端面において、電流注入を抑制する端面 注入構造、端面保護膜に用いる誘電体材料 屈折率や多層化によって半導体端面におけ 光電界強度を低減する方法等も有効である とが報告されている。特に、高出力半導体 ーザでは、端面非注入構造と窓構造を組み わせた構成がしばしば用いられる。窓構造 実現する方法としては、不純物や空孔の拡 、イオン注入後アニールなどの方法によっ 、活性層を構成するMQWを無秩序化させる方 が報告されている。これらの手法は、不純 や空孔を導入し、III族元素の相互拡散を促 することによりMQWを混晶化させるものであ 。MQWの無秩序化により、端面近傍の活性層 分の実効的なバンドギャップが増大するた 、端面での光吸収が抑制される。従って、 面での光吸収に起因する、局所的な温度上 が抑制され、CODレベルが向上する。それ以 に、端面近傍の活性層をエッチングにより 去した後、バンドギャップの大きな材料で め込むことによって、窓構造を形成する手 もある。GaN系LDにおいて窓構造を実現する 法として、レーザ照射(特許文献1:特開2006-147 815号公報)や水素イオン,ラジカル雰囲気(特許 文献2:特開2006-147814号公報)によって、端面近 のInGaN活性層のIn組成を低下させる方法が提 案されている。

特開2006-147815号公報

特開2006-147814号公報

 上述した窓構造の採用は、CODレベル向上 極めて有効である。ただし、III族窒化物系 合物半導体を用いた半導体レーザにおいて 上述したような手法で作製した窓構造によ て必ずしも安定な高出力長時間駆動が可能 なるとは限らない。拡散やイオン注入、レ ザや水素ラジカル照射処理は、結晶に対し 欠陥を導入することで、MQWの無秩序化を誘 させるプロセスである。すなわち、導入さ た欠陥を利用して、MQWを構成する井戸層と リア層との間でIII族原子の熱的な相互拡散 促進させ、MQWの無秩序化を図る手法である そのため、アニール処理を行って、III族原 の熱的な相互拡散を行うとともに、導入さ た欠陥の低減がなされる。しかし、その際 導入された欠陥の低減が十分になされてい い場合、長時間の高出力駆動を行った際に 余する欠陥を介して半導体端面とそれを被 するパシベーション膜との界面反応、例え 半導体とパシベーション膜との相互拡散等 進行する可能性がある。界面反応が進行す と、光出射側の半導体端面部分において、 らなる非発光再結合の増加や、局所的に高 光吸収率を示す反応生成物の形成を招くた 、CODレベルは低下する。さらに、界面反応 進行はさらなる発熱と界面反応の促進を引 起こすと考えられる。従って、半導体端面 欠陥低減が十分に成されていない場合には たとえ初期的には高いCODレベルを実現した しても、長時間の高出力駆動を行うことに って半導体とパシベーション膜との界面反 が緩やかに進行し、それに伴ってCODレベル 経時的に低下する可能性がある。

 AlGaAs系やAlInGaP系など、V族元素がAs、Pで るIII-V族化合物半導体と比較し、III族窒化物 系化合物半導体では、III族元素の相互拡散が 生じにくい。そのため、III族窒化物系化合物 半導体では、例えばMQWの無秩序化にも、1000 以上の高温アニール処理が必要である。ま 、MQWの無秩序化を促進するため、窓構造形 領域に高い密度で導入された欠陥の低減を 分に行うためには、高温アニール処理を長 間行う必要がある。長時間、高温アニール 理を行うと、欠陥が導入されていない領域 おいても、活性層を構成しているMQWにおい 、III族元素の相互拡散が部分的に進行する その結果、MQWを構成する井戸層とバリア層 界面に乱れが生じ、目的とする量子化レベ が達成されない懸念がある。加えてMQWで構 される活性層のみでなく、半導体レーザを 成する多層構造の結晶性の劣化が誘起され と、レーザ特性自体の劣化が引き起こされ ことも懸念される。

 本発明は、上記の課題を解決するものであ 。本発明の目的は、活性層として、Gaを構 元素として含むIII族窒化物系半導体を利用 ている、ファブリ・ペロー型の端面発光半 体レーザにおいて、CODレベルの向上と、そ 経時的な劣化の抑制を図ることが可能な、 規な窓構造を有し、更なる高出力、高信頼 作を実現可能とするIII族窒化物系半導体レ ザと、その製造方法を提供することにある
 

 上記の課題を解決するため、共振器の光 射端面側に設ける、AR膜と半導体との界面 おける、界面反応を抑制し、CODレベルの向 を図る手段を探索した。その結果、共振器 面から離れた領域に、局所的に窓構造を設 ることにより、界面反応を抑制し、CODレベ の向上が達成でき、加えて、その経時的な 化の抑制を図ることが可能であることを見 した。この知見に基づき、本発明を完成す に至った。

 すなわち、本発明にかかる窒化物半導体レ ザは、
 第一の導電型の半導体層と、多重量子井戸 活性層と、第二の導電型の半導体層がこの に積層されており、
 前記活性層を含んでなる発光層において、 ーザ発振を行うストライプ状の発振領域は ファブリ・ペロー型の共振器によって構成 れており、
 該ファブリ・ペロー型の共振器の光出射端 に露呈する前記発光層に対して、端面保護 として誘電体膜が該発光層端面を被覆する うに形成されているIII族窒化物半導体レー において、
 前記活性層中に、前記端面保護膜によって 定される内部光電界強度のピーク位置を含 局所的な領域に、該窒化物半導体レーザの 振波長λの光を吸収しない非吸収領域を有 ている
ことを特徴とする窒化物半導体レーザである 。

 その際、前記非吸収領域が、前記端面保 膜によって被覆されている、前記発光層端 に露出していない形状とすることが好まし 。前記端面保護膜は、屈折率2以上の誘電体 膜を含む単層または多層構造、特には、屈折 率2以上の誘電体膜と屈折率2未満の誘電体膜 含む多層構造であることがより好ましい。

 特には、前記非吸収領域が、該窒化物半導 レーザの発振波長λと、前記発光層の実効 折率n eff について、
前記内部光電界強度のピーク位置から、±(1/1 6)・(λ/n eff )の領域を含むように形成されていることが ましい。
同時に前記内部光電界強度のピーク位置と前 記発光層端面からの距離d peak が、
 (1/16)・(λ/n eff )<d peak <(7/16)・(λ/n eff )を満たす範囲に選択されていることが好ま い。
 

 本発明においては、窓構造を半導体端面か 離れた領域に形成することによって、それ 伴って導入された欠陥に起因するCODレベル 低下を抑制できる。その上、窓構造形成領 が極めて微小な領域に限られるため、窓構 の形成に伴うレーザ特性の劣化を抑制する とが可能となる。その結果、高いCODレベル 実現し、かつそれを維持したまま高出力長 間駆動が可能となる。
 

図1は、リッジ型導波路構造を利用する 、従来のIII族窒化物系半導体レーザの構造を 模式的に示す断面図である。 図2(a)、(b)は、本発明の一実施形態に係 る、III族窒化物系半導体レーザの構造を模式 的に示す図である。図2(a)は、リッジ型導波 構造を利用する、ファブリ・ペロー型半導 レーザにおける、共振器方向に垂直な断面 を示す。図2(b)は、リッジ型導波路構造のス ライプ中、光出射面(前方端面)近傍の共振 方向に平行な断面図を示す。 図3(a)、(b)は、本発明に係るリッジ型導 波路構造を利用する、ファブリ・ペロー型半 導体レーザにおいて、その出射端面近傍に設 ける、局所窓構造の形成位置、その形成工程 を模式的に説明する図である。図3(a)は、局 窓構造の形成のため、局所的なイオン注入 施される、p型光閉じ込め層307までの積層を えた段階のエピタキシャル成長層の構成を す断面図である。図3(b)は、リッジ型導波路 領域のストライプと、劈開予定位置に対して 、局所的なイオン注入が施される部分を模式 的に示す平面図である。 図4は、本発明に係るリッジ型導波路構 造を利用する、ファブリ・ペロー型半導体レ ーザを作製する工程中、コンタクト層までの 積層を終えた段階(a)以降、リッジ型導波路の 作製、ならびに、カバー電極を形成する一連 の工程(工程(a)~(h))を模式的に示す断面図であ る。 図5は、本発明に係るファブリ・ペロー型半 体レーザの一実施形態において、そのレー 光出射端面(前方端面)に設ける、Nb 2 O 5 /SiO 2 の二層構造からなる低反射(Anti-reflecting,AR)膜 構成を模式的に示す図である。 図6は、本発明に係るファブリ・ペロー 型半導体レーザの一実施形態において、初期 CODレベルの、そのレーザ光出射端面(前方端 )側に設ける、幅w=20nmの局所窓構造の中心位 と、劈開で形成される端面との距離d(nm)に する依存性を示す図である。 図7は、本発明に係るファブリ・ペロー 型半導体レーザの一実施形態において、初期 CODレベルの、そのレーザ光出射端面(前方端 )側、劈開で形成される端面との距離d=40nmに 心位置を有する局所窓構造の幅w(nm)に対す 依存性を示す図である。

符号の説明

 図中に示す下記の符号は、それぞれ、以下 意味を有する。
101 基板
102 nクラッド層
103 n型光ガイド層
104 活性層
105 p型光ガイド層
106 pクラッド層
107 誘電体層
108 p電極
301 基板
302 n型GaN層
303 n型Al 0.1 Ga 0.9 Nクラッド層
304 n型GaN光閉じ込め層
305 3周期InGaN多重量子井戸(MQW)活性層
306 Mgドープp型Al 0.2 Ga 0.8 Nキャップ層
307 p型GaN光閉じ込め層
308 p型Al 0.1 Ga 0.9 Nクラッド層
309 p型GaNコンタクト層
310 SiO 2
311 SiO 2 ストライプ
312 SiO 2
313 レジスト
314 Pd/Pt p電極
315 カバー電極
316 n電極
401 AR膜
401a 第一保護膜
401b 第二保護膜
501 局所窓構造
601 劈開ガイド溝
602 劈開位置
603 レジスト開口部
 

 以下、図面を参照して、本発明の実施の 態について説明する。

 本発明は、下記する作用を利用すること よって、ファブリ・ペロー型の端面発光III 窒化物半導体レーザにおいて、高いCODレベ を実現し、かつそれを維持したまま高出力 時間駆動を可能としている。

 先ず、InGaN活性層を有するレーザ出射端 に誘電体膜を端面保護膜として用いている とによって、半導体端面における光電界強 を好適に下げることが可能となる。その際 半導体端面から半導体内部にずれた位置に 電界強度のピークが生じる。一方、本発明 らは、詳細な検討の結果、窒化物半導体レ ザのCODレベルは、半導体端面における光吸 ではなく、光電界強度のピーク位置におけ 光吸収によって決定されていることに着目 た。前記のCODレベルを決定する要因を軽減 る手段として、このピーク位置を含む局所 な領域にのみ窓構造を形成することによっ 、CODレベルを改善しうることを見出した。 の際、窓構造を半導体端面から離れた領域 形成することによって、窓構造を形成する 程に伴って導入された欠陥に起因するCODレ ルの低下を抑制できる。その上、窓構造形 領域が極めて微小な領域に限られるため、 構造の形成に伴う歪み応力の発生、結晶性 低下などの、レーザ特性の劣化要因も抑制 ることが可能となる。その結果、高いCODレ ルを実現し、かつそれを維持したまま高出 長時間駆動が可能となる。

 本発明にかかる窒化物半導体レーザの一 として、リッジ導波路型半導体レーザに適 する形態について、図2を参照しつつ説明す る。

 図2(a)は、リッジ導波路型半導体レーザを 、共振器方向に垂直な断面から見た素子構造 の概略図を示す。図2(b)は、図2(a)中、x-x’の 置を共振器方向に平行な断面のレーザ出射 面近傍の構造を示す。

 このリッジ導波路型半導体レーザは、n型GaN 基板301上に、Siドープn型GaN層302(Si濃度4×10 17 cm -3 、厚さ1μm)、Siドープn型Al 0.1 Ga 0.9 N(Si濃度4×10 17 cm -3 、厚さ2μm)からなるn型クラッド層303、Siドー n型GaN(Si濃度4×10 17 cm -3 、厚さ0.1μm)からなるn型GaN光閉じ込め層304、I n 0.15 Ga 0.85 N(厚さ3nm)井戸層とSiドープIn 0.01 Ga 0.99 N(Si濃度1×10 18 cm -3 、厚さ4nm)バリア層からなる3周期多重量子井 (MQW)活性層305、Mgドープp型Al 0.2 Ga 0.8 N(Mg濃度2×10 19 cm -3 、厚さ0.01μm)からなるキャップ層306、Mgドー p型GaN(Mg濃度2×10 19 cm -3 、厚さ0.1μm)からなるp型GaN光閉じ込め層307、M gドープp型Al 0.1 Ga 0.9 N(Mg濃度2×10 19 cm -3 、厚さ0.5μm)からなるp型クラッド層308、Mgド プp型GaN(Mg濃度1×10 20 cm -3 、厚さ0.02μm)からなるp型GaNコンタクト層309が 積層した構造を有する。

 p型クラッド層308とp型コンタクト層309は ドライエッチングを用いて、加工し、リッ 構造がストライプ状に形成されている。リ ジトップのp型コンタクト層309の上面に、p型 電極314が、n型GaN基板301の下部(裏面)にn型電 316が、それぞれ設けられている。劈開によ て形成された共振器端面には、誘電体保護 が形成されている。ここで、レーザ光出射 端面(前方側端面)にはAR膜401、反対側の端面( 後方側端面)にはHR膜を形成する。

 また、レーザ光出射側端面(前方側端面) 近傍において、半導体/AR膜界面から離れた 域の活性層中に、局所的に広いバンドギャ プを有する領域(以下、局所窓構造501)を設け ている。すなわち、MQW構造で構成される活性 層においては、その量子化された電子の準位 と、量子化された正孔の準位間のエネルギー 差に相当する光学的なバンドギャップを有す る。前記の広いバンドギャップを有する領域 (以下、局所窓構造501)は、このMQW構造に起因 る光学的なバンドギャップと比較し、より いバンドギャップ(光学的なバンドギャップ )を有する領域とされている。

 局所窓構造501は、AR膜401の膜厚、屈折率、 構成、およびInGaN MQW層305の実効屈折率n eff とレーザ発振波長λによって決定される、内 光電界強度分布のピークのうち、端面に最 近いピーク位置を含み、その前後に、それ れ、(λ/n eff )の1/16以上の幅(w/2)、全体として、(λ/n eff )の1/8以上の幅(w)を有する領域に形成される 前記の配置を有する局所窓構造501を設ける とにより、半導体端面を含む広い領域に窓 造を設けた場合と同程度の十分なCOD改善効 が得られる。

 また、局所窓構造501は、そのバンドギャ プが広い領域が、半導体端面に接しないよ に形成されていることが望ましい。すなわ 、局所窓構造501は、少なくとも、半導体/AR 界面にその一端が達していない状態とする 従って、半導体/AR膜界面には、MQW構造で構 される活性層の端面とAR膜が接する状態と っている。これにより、端面の経時劣化を 制し、高出力で長時間の安定駆動が可能と る。

 AR膜401は、単層もしくは多層の誘電体膜で 製される。その際、多層の誘電体膜は、屈 率が2以上の誘電体膜を含む構成とすること 望ましい。屈折率が2以上の誘電体膜として 、例えば、Nb 2 O 5 (n=2.53)、TiO 2 (n=2.4)、Ta 2 O 5 (n=2.3)、ZrO 2 (n=2.2)等を用いることができる。例えば、劈 によって形成された共振器端面上に、屈折 が2以上の誘電体膜を被覆することによって 内部光電界強度分布のピークのうち、端面 最も近いピーク位置を半導体端面から離す とが可能となる。また、屈折率が2以上の誘 電体膜に、屈折率が2以下の誘電体膜、例え 、Al 2 O 3 (n=1.66),SiO 2 (n=1.47)等を組み合わせた多層膜とすることに って、所望の反射率R f を維持したまま、内部光電界強度分布のピー クのうち、端面に最も近いピーク位置を半導 体端面から離すように制御することが可能で ある。なお、前記多層膜で構成されるAR膜401 被覆することにより、該出射側端面(前方側 端面)の反射率R f は、1~20%の範囲の低い反射率に設定できる。

 例えば、発振波長λ=405nmにおいて、実効的 折率n eff =2.5のMQW構造活性層を用いる際、屈折率が2以 の誘電体膜としてNb 2 O 5 膜(n=2.53)、屈折率が2以下の誘電体膜としてSiO 2 膜(n=1.47)を用い、反射率R f を15%としている。このレーザ光出射側端面( 方側端面)においては、MQW構造活性層/Nb 2 O 5 膜、Nb 2 O 5 膜/SiO 2 膜、SiO 2 膜/大気(n≒1)の界面に、それぞれ、屈折率差 存在するため、反射が生じている。実効的 折率n eff =2.5のMQW構造活性層と、Nb 2 O 5 膜(n=2.53)との界面における反射率R 1 は、小さくなっている。それに対して、Nb 2 O 5 膜/SiO 2 膜の界面における反射率R 2 、SiO 2 膜/大気(n≒1)の界面における反射率R 3 は、前記R 1 よりも大きくなっている。この特徴を利用す ることで、Nb 2 O 5 膜とSiO 2 膜の膜厚を調整することによって、反射率R f を15%としている。

 一方、MQW構造活性層内の光強度は、この 射側端面(前方側端面)に入射する光成分と 前記の三つの界面において反射された反射 成分の合計となる。その活性層内の光強度 布、特に、この出射側端面(前方側端面)近傍 の光強度分布に着目する。

 出射側端面(前方側端面)に入射する光成分 関して、発振波長λ、その周波数f(角振動数 =2πf)、実効的屈折率n eff とする際、時刻t、この端面からの距離zの位 における、その電界強度を、仮に、E 1 (z,t)=E 1 exp[2πi・{(ft)-z/(λ/n eff )}]と表記する。対応させて、MQW構造活性層/Nb 2 O 5 膜界面を透過する、透過光成分の電界強度は 、E 1T (z,t)=E 1T exp[2πi・{(ft)-z/(λ/n Nb2O5 )}]と表記する。また、この界面で反射される 反射光成分の電界強度は、E 1R (z,t)=E 1R exp[2πi・{(ft)+z/(λ/n eff )}]と表記できる。

 上記のような近似を用いて、Nb 2 O 5 膜/SiO 2 膜の界面、SiO 2 膜/大気(n≒1)の界面において反射され、MQW構 活性層へと戻ってくる反射光成分、E 2R (z,t)、E 3R (z,t)も同様に、E 2R (z,t)=E 2R exp[2πi・{(ft)+z/(λ/n eff )+φ 2R }]、E 3R (z,t)=E 3R exp[2πi・{(ft)+z/(λ/n eff )+φ 3R }]と表記できる。なお、φ 2R は、Nb 2 O 5 膜/SiO 2 膜の界面で反射され、MQW構造活性層/Nb 2 O 5 膜界面に戻るまでの間の位相差、φ 3R は、SiO 2 膜/大気(n≒1)の界面で反射され、MQW構造活性 /Nb 2 O 5 膜界面に戻るまでの間の位相差に相当してい る。

 前記の表記法で表記される、MQW構造活性層/ Nb 2 O 5 膜、Nb 2 O 5 膜/SiO 2 膜、SiO 2 膜/大気(n≒1)の界面で反射される反射光成分 ならびに、出射側端面(前方側端面)に入射 る光成分を合計する。その上で、全体の光 界強度(|E| 2 )の分布を算出すると、Nb 2 O 5 膜とSiO 2 膜の膜厚を調整することによって、端面に最 も近いピーク位置と端面との距離d peak は、(λ/n eff /2)の1/8以上、7/8以下とすることができる。例 えば、発振波長λ=405nm、n eff =2.5の場合、Nb 2 O 5 膜の膜厚d 1 =35nm、SiO 2 膜の膜厚d 2 =25nmとすることによって、反射率R f =15%が得られ、また、前記のピーク位置と端 との距離d peak は、40nmとなる。

 ピーク位置と端面との距離d peak が、上記の下限値:(λ/n eff /2)の1/8よりも半導体端面に近い場合は、上記 窓構造の中心位置をピーク位置d peak とし、窓構造の幅wを(1/8)・(λ/n eff )に選択すると、窓構造の端は、活性層/Nb 2 O 5 膜の端面に達してしまう。従って、活性層/Nb 2 O 5 膜の端面に、窓構造が露呈した状態となり、 経時的なCODレベルの低下が顕著になる。一方 、ピーク位置と端面との距離d peak が、上記の上限値:(λ/n eff /2)の7/8以上の場合には、局所窓構造501の幅w 端よりも端面側に近い領域に、光電界強度 高い領域が残された状態となる。その状態 は、局所窓構造501を設けることによる、十 なCODレベルの改善効果が発揮されない。

 例えば、In 0.15 Ga 0.85 N(厚さ3nm)井戸層とSiドープIn 0.01 Ga 0.99 N(Si濃度1×10 18 cm -3 、厚さ4nm)バリア層からなる3周期多重量子井 (MQW)活性層305のように、MQW構造の活性層305 利用している際、局所窓構造501は、以下の 法で形成される。予め形成されたMQW構造の 性層305に対して、局所窓構造501を形成する 域に、選択的なイオン注入を行う。その後 アニール処理を施すことによって、イオン 入によって導入される欠陥を利用して、III 元素の相互拡散を促進し、活性層305の量子 戸構造を無秩序化する。この量子井戸構造 無秩序化に伴って、この領域のバンドギャ プ(光学的バンドギャップ)は、無秩序化され ていないMQW構造を保持している領域の光学的 なバンドギャップよりも広くなる。従って、 この量子井戸構造の無秩序化がなされた領域 は、MQW構造の活性層を利用している半導体レ ーザの発振波長λでは、光吸収を示さない領 となっている。

 なお、選択的なイオン注入に代わって、予 形成されたMQW構造の活性層305に対して、局 窓構造501を形成する領域に、選択的に高密 の光を照射することによって、その光吸収 よる加熱を利用して、III族元素の相互拡散 起こすこともできる。このIII族元素の相互 散によって、量子井戸構造の無秩序化を進 、混晶化させることもできる。この手法で 、照射される光として、キャップ層306を介 て、MQW構造の活性層305に照射した際、MQW構 の活性層305において選択的に吸収され、熱 ネルギーへと変換可能な光を使用する必要 ある。この要件を満たす照射光として、波 340nm以上、レーザ発振波長λ以下の範囲の光 を使用することが好ましい。レーザ発振波長 λにもよるが、例えば、Nd:YVO 4 レーザ(基本波:1064nm)の3倍高調波(第三高調波: 355nm)や2倍高調波(第二高調波:532nm)等を、光源 として利用することができる。場合によって は、レーザの発振波長λよりも波長の長い光 利用し、その二光子吸収を利用した加工法 適用することも可能である。

 局所窓構造501を形成する別の方法として 予め形成されたMQW構造の活性層305に対して 局所窓構造501を形成する領域に相当する部 を選択的にエッチングで除去し、その領域 、MQW構造の活性層305の光学的なバンドギャ プよりも大きなバンドギャップ(光学的なバ ンドギャップ)を示す材料を埋め込む手法を 用することもできる。微小領域に選択的な ロセスを行う手法としては、例えば、FIB(収 イオンビーム法)を利用することができる。

 上述した方法はいずれも局所窓構造501を形 後にレーザ端面を形成する必要があるが、 常、劈開によって形成されるレーザ端面の 置を前期局所窓構造の端面側の端から数10nm の精度で形成することは非常に困難であるた め、高い歩留まりを実現することは望めない 。局所窓構造501を簡便に制御性よく形成する ためには、レーザ端面、及び端面保護膜の形 成を行った後に、半導体レーザを駆動させる ことによるレーザ光の局所的な端面吸収を利 用する手法が有効である。適切な光出力が得 られる条件下で、数10~数100時間程度、連続的 に駆動させることにより、レーザ端面および 端面保護膜によって規定される光電界強度分 布の端面にもっとも近いピーク位置を中心と して、±(1/16)・(λ/n eff )の領域を含むMQW構造の混晶化が可能である なお、ここでレーザ端面および端面保護膜 よって規定される光電界強度のピーク位置 端面との距離d peak は、(λ/n eff /2)の1/8以上、7/8以下とする。上記の下限値:( /n eff /2)の1/8以下の場合は、混晶化領域の端が活性 層/保護膜の界面に達してしまう。一方、上 の上限値:(λ/n eff /2)の7/8以上の場合には、活性層/保護膜界面 光電界強度の高い領域が残された状態とな 。いずれの状態でも、窓構造形成のための ーザ駆動中に混晶化のみならず界面反応が 行するため、COD劣化が発生する。

 より短時間で、混晶化を達成するためには 半導体レーザを比較的高温かつ高出力化で 動させることが望ましいが、過度な条件下 は、半導体レーザ自体を破壊してしまう恐 がある。その点を考慮すると、窓構造形成 ために半導体レーザを駆動する際、環境温 として、60℃以上100℃未満に選択すること 好ましい。光出力については、駆動条件、 面ビーム形状、前面および後面の反射率等 依存するが、例えば、単一横モード動作の 合、光出力は、CW動作では、30mW以上、Pulse動 作(Duty50%/Pulse幅50ns)では、100mW以上が好ましい 。なお、端面光密度に換算すると、CW動作で 10MW/cm 2 以上、Pulse動作では40MW/cm 2 以上が好ましい。さらに駆動中のCOD劣化発生 を抑制するためには、光出力は平均的な初期 CODレベルの70%未満とすることが好適である。

 また少なくとも光出射端面近傍には電流を さない電流非注入構造を採用することが望 しい。端面に非注入領域を設けることで、 構造形成のためのレーザ駆動中におけるCOD 生を抑制できる。ここで非注入領域は端面 ら数~数十μm程度の領域において、活性層上 部に電極を設けないことによって形成するこ とができる。非注入領域の幅は狭すぎると注 入キャリアの横方向拡散によって非注入の効 果が低減し、広すぎると吸収が増加するため に閾値電流の上昇を招く。従って非注入領域 は、2μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μ m以下がより好ましい。
 

 以下に、具体例を挙げて、本発明にかか 窒化物半導体レーザとその製造方法に関し 、より詳しく説明する。下記の具体例に示 ファブリ・ペロー型の端面発光III族窒化物 導体レーザは、本発明の最良の実施形態の 例であるが、本発明は、かかる形態に限定 れるものではない。

 (実施例1)
 第一の実施例として、本発明にかかるリッ ・ストライプ構造のIII族窒化物系半導体レ ザの構造と、その作製工程を以下に説明す 。図3と、図4を参照しつつ、本実施例のIII 窒化物系半導体レーザ素子の製造方法を、 次工程に従って説明する。

 基板として、(0001)面n型GaN基板を用いている 。レーザ構造の作製に利用するエピキタキシ ャル膜の成長は、300hPaの減圧MOVPE装置を使用 ている。キャリアガスには、水素と窒素の 合ガスを用いている。III族有機金属原料で る、Ga,Al,Inソースとして、それぞれ、トリ チルガリウム(TMG:Ga(CH 3 ) 3 )、トリメチルアルミニウム(TMA:Al(CH 3 ) 3 )、トリメチルインジウム(TMI:In(CH 3 ) 3 )を使用している。また、n型ドーパントには シラン(SiH 4 )、p型ドーパントには、ビスシクロペンタジ ニルマグネシウム(Cp 2 Mg)を、それぞれ用いている。

 先ず、(0001)面n型GaN基板301上に、n型GaN層30 2、n型クラッド層303、n型光閉じ込め層304、活 性層305、キャップ層306、p型光閉じ込め層307 順次、エピタキシャル成長する。図3(a)に、 のエピタキシャル成長工程において形成さ る、多層構造の構成を断面図によって示す

 n型GaN基板301を、減圧MOVPE成長装置に投入後 NH 3 を供給しながら、基板を昇温する。基板温度 が、成長温度までに達した時点で、III族有機 金属原料蒸気をキャリアガスとともに、所定 の供給速度で、基板上に供給して成長を開始 する。Siドープn型GaN層302(Si濃度4×10 17 cm -3 、厚さ1μm)、Siドープn型Al 0.1 Ga 0.9 N(Si濃度 4×10 17 cm -3 、厚さ2μm)からなるn型クラッド層303、Siドー n型GaN(Si濃度4×10 17 cm -3 、厚さ0.1μm)からなるn型光閉じ込め層304、In 0.15 Ga 0.85 N(厚さ3nm)井戸層とSiドープIn 0.01 Ga 0.99 N(Si濃度1×10 18 cm -3 、厚さ4nm)バリア層からなる3周期多重量子井 (MQW)活性層305、Mgドープp型Al 0.2 Ga 0.8 N(Mg濃度2×10 19 cm -3 、厚さ0.01μm)からなるキャップ層306、ならび 、Mgドープp型GaN(Mg濃度2×10 19 cm -3 、厚さ0.1μm)からなるp型光閉じ込め層307を、 次堆積する。

 上記の層構造のエピタキシャル成長を完 した時点で、一旦、基板ウエハを減圧MOVPE 長装置から取り出し、窓構造の作製を以下 手順で行う。図3(b)は、窓構造を形成する工 を示す平面図である。

 本実施例のリッジ・ストライプ構造のIII族 化物系半導体レーザでは、共振器長を600μm 選択している。この共振器長に合わせて、 開位置602を決定する。この劈開位置601に対 て、劈開ガイド溝601を、フォトリソグラフ ーとドライエッチング(RIE法)によって形成 る。劈開ガイド溝601は、リッジ導波路形成 域を挟むように、溝の深さ;0.5μm、溝幅;5μm 、エッチング除去している。従って、図3(a) 示す層構造を有するエピタキシャル成長膜 うち、n型クラッド層303の一部までが除去さ れている。その際、RIE法では、Cl 2 をエッチング・ガスとして利用している。そ の後、エッチング・マスクに利用したフォト レジスト膜を除去する。

 その後、再び、基板ウエハ全面を、膜厚1 μmのフォトレジストにより覆う。局所窓構造 を形成する領域上のフォトレジストを、ビー ム径5nmのFIB(Focused Ion Beam)により除去し、p型 光閉じ込め層307の表面を露出させ、レジスト 開口部603を形成する。このレジスト開口部603 の中心位置と、劈開位置602との距離をd(nm)、 た、レジスト開口部603のリッジ・ストライ 構造のストライプに沿った幅をw(nm)とする

 本実施例においては、このレジスト開口部6 03として、幅w=20nmに固定して、距離dを、d=10 20、30、40、50、60nmに設定した6種類、ならび 、距離d=40nmに固定し、幅wを、w=10、20、30、4 0、60nmに設定した5種類を、それぞれ作製して いる。このレジスト開口部603を介して、図3(a )に示す層構造を有するエピタキシャル成長 に、Arイオンをイオン注入している。その際 、イオン注入の条件は、イオン加速電圧;400ke V、注入量;1×10 15 cm -2 を選択している。前記の注入条件では、注入 されたArイオン濃度の深さ方向の分布は、濃 極大は、深さ0.25μmとなっている。なお、イ オン注入マスクとして使用されている、レジ スト膜の膜厚は、1μmである。前記Arイオンの 注入によって、レジスト開口部603に位置する エピタキシャル成長膜の結晶内に選択的に欠 陥が導入される。

 イオン注入後、注入マスクに用いたレジス 膜を有機洗浄により除去する。その後、再 、基板ウエハを減圧MOVPE成長装置内に投入 て、NH 3 を供給しながら、1080℃に昇温する。この成 温度において、p型光閉じ込め層307の表面、 らびに、劈開ガイド溝601内に、Mgドープp型A l 0.1 Ga 0.9 N(Mg濃度1×10 19 cm -3 、厚さ0.5μm)からなるp型クラッド層308、Mgド プp型GaN(Mg濃度1×10 20 cm -3 、厚さ0.02μm)からなるコンタクト層309を堆積 る。

 この再成長工程は、前記イオン注入によ て、局所窓構造の形成部位に選択的に導入 れた欠陥を回復し、再結晶化ならびに、III 元素の相互拡散を引き起こすアニール処理 兼ねている。また、前記の再成長工程にお て、延べ40分間、1000℃以上の温度に保持さ る間に、MQWで構成される活性層305のうち、 択的なイオン注入によって欠陥が導入され 領域では、井戸層とバリア層との間でIII族 素の相互拡散が選択的に進行する。その結 、III族元素の相互拡散によって混晶化が進 、MQW構造と比較し、光学的なバンドギャッ が広い領域が形成される。従って、MQWレー の発振波長の光に対して、光吸収を起こさ い「非吸収領域」が形成され、この「非吸 領域」を、局所窓構造501として利用する。

 前記p型クラッド層308とコンタクト層309の 再成長を終えると、全体として、図4(a)に示 多層構造を具えたエキタキシャル成長膜が 成される。この作製されたレーザウエハに 図4(a)~(h)に示す一連の工程を施すことによっ て、リッジ導波路、及び電極の形成がなされ る。

 コンタクト層309の表面に、SiO 2 310を形成する(図4(b)を参照)。フォトリソグラ フィーにより、図2(a)に示すリッジ導波路形 領域に、幅1.3μmのSiO 2 ストライプ311を形成する(図4(c)を参照)。この SiO 2 ストライプ311を、エッチング・マスクとして 、ドライエッチングにより、コンタクト層309 ならびに、pクラッド層308を一部除去し、リ ジ構造を形成する(図4(d)を参照)。その結果 リッジ・ストライプ構造部分には、p型クラ ド層308が、幅1.3μm、厚さ0.5μmでストライプ に残されている。一方、その両側に残され 、p型クラッド層308の膜厚は、0.1μmとなって いる。従って、リッジ・ストライプ構造部分 における、MQWで構成される活性層の実効的屈 折率n eff は、2.513となっている。その両側の領域との に、活性層の実効的屈折率n eff の差違:δn eff =0.004が形成されている。

 なお、劈開ガイド溝601内に堆積されてい 、p型クラッド層308とコンタクト層309も、エ ッチング除去される。劈開ガイド溝601として 、溝の深さ;0.4μm、溝の幅;5μmの溝が形成され た状態となっている。

 引き続き、SiO 2 マスク211を除去し、新たに、膜厚300nmのSiO 2 312を基板ウエハ全面に堆積する。次に、レジ スト313を厚く塗布し、膜厚1.5μmのレジスト313 でSiO 2 312表面を被覆し、平坦化する(図4(e)を参照)。 酸素プラズマ中で、レジスト313をエッチバッ クすることによって、リッジトップを被覆す るSiO 2 312を露出させる(図4(f)を参照)。その際、リッ ジ・ストライプ部の両側には、エッチバック 後、レジスト313が、膜厚0.5μmで残余している 。

 リッジトップのSiO 2 をバッファードフッ酸で除去し、コンタクト 層309を露呈させる。その後、膜厚0.1μmのPd,膜 厚0.1μmのPtを電子ビーム蒸着法で蒸着し、Pd/P t314を全面に堆積する。次いで、有機溶剤を いて、レジスト313を除去する。その際、リ トオフにより、リッジトップのコンタクト 309上にpコンタクトが形成される(図4(g)を参 )。

 次に、窒素雰囲気中、600℃で30秒のRTAを い、pオーミック電極を形成する。この後、5 0nmのTi、100nmのPt、2μmのAuをスパッタにより堆 積し、カバー電極315とする(図4(h)を参照)。

 前記p電極の作製工程の後、ウエハの裏面 研磨を行い、100μm厚まで薄膜化する。裏面研 磨後、Ti 5nm、Al 20nm、Ti 10nm、Au 500nmをこの で真空蒸着し、n電極を形成する。n電極形 後、基板を劈開ガイド溝601に沿って劈開位 602において劈開し、共振器長600μmのレーザ ーとする。

 このレーザバーの出射端面(前方側端面)に 第一保護膜401aとしてNb 2 O 5 を、第二保護膜401bとしてSiO 2 を順にスパッタにより堆積する。このNb 2 O 5 /SiO 2 の2層構造は、反射率R f =15%以下とし、AR膜401を形成する。前記二種の 誘電体膜の波長λ=405nmの光に対する屈折率は エリプソメトリによって決定する。SiO 2 膜の屈折率n 2 (λ=405nm)は1.47、Nb 2 O 5 膜の屈折率n 1 (λ=405nm)は2.53であった。レーザの発振波長λ=4 05nmに対して、この屈折率n 1 =2.53、n 2 =1.47および活性層の実効屈折率n eff =2.5とすると、Nb 2 O 5 膜の膜厚d 1 =35nm、SiO 2 膜の膜厚d 2 =25nmとすることによって、反射率R f =15%が得られる。この膜構成のAR膜により被覆 した出射端面(前方側端面)側の光電界強度分 を、図5に示す。AR膜と活性層端面との界面 最も近い光電界強度のピークと端面からの 離d peak は40nmである。

 出射端面(前方側端面)にAR膜形成後、反対側 の端面(後方側端面)に、SiO 2 /Nb 2 O 5 多層膜からなる、反射率R r =95%のHR膜を形成する。このHR膜は、Nb 2 O 5 膜の膜厚d 3 =40nm、SiO 2 膜の膜厚d 4 =69nmで構成されている。その後、素子分離を って、素子幅300μmのレーザチップを作製す 。

 以上の工程により作製されるレーザチップ 、ヒートシンク上に融着し、性能評価用の 導体レーザ素子とする。局所窓構造の形状: 中心位置dとその幅wによって、レーザ初期特 は異なるが、d=40nm、w=20nmの場合、その典型 なレーザ初期特性は、発振閾電流密度(ith):3 .2 kA/cm 2 、閾電圧(Vth):4.0 Vであった。上記の局所窓構 造の形状:中心位置dとその幅wが異なる合計11 類の半導体レーザ素子について、周辺温度7 0℃、パルス発振(パルス幅50ns、Duty比50%)条件 レーザ光出力P out =150mW、1000hの信頼性試験、および室温CW条件 おけるCOD(初期CODレベル)評価を行った。

 図6は、局所窓構造501の幅w=20nmと固定した 際、AR膜を被覆する活性層端面(前方側端面) ら局所窓構造501の中心位置までの距離dと、 期CODレベルの関係を示す図である。縦軸は 局所窓構造を形成していない半導体レーザ 子の初期CODレベルで規格化している。局所 構造501の幅w=20nmの場合、活性層端面(前方側 端面)から局所窓構造501の中心位置までの距 dをd=40nmとする際、初期CODレベルは、最も良 な状態となっている。

 ここで、レーザの発振波長λ=405nm、活性層 実効屈折率n eff =2.5であるので、局所窓構造501の幅w=20nmは、( /n eff )=162nmに対して、w≒(1/8)・(λ/n eff )に相当する。活性層端面(前方側端面)から光 電界強度のピークとの距離dpeak=40nmは(λ/n eff )=162nmに対して、dpeak≒(1/4)・(λ/n eff )に相当し、また活性層端面から局所窓構造50 1の中心までの距離dに関しては、CODレベルの 善が認められたd=30、40、50nmはそれぞれd≒(3 /16)・(λ/n eff )、(1/4)・(λ/n eff )、(5/16)・(λ/n eff )に相当する。光電界強度のピーク位置を基 とした場合、局所窓構造の形成領域は、((d± w/2)-dpeak)で記述できるので、CODレベルの改善 認められたd値それぞれについて局所窓構造 の形成領域を求めると、d=30nm:-(1/8)・(λ/n eff )~0、d=40nm:-(1/16)・(λ/n eff )~+(1/16)・(λ/n eff )、d=50nm:0~+(1/8)・(λ/n eff )と求められる。従って、図6の結果はw=(1/8)・ (λ/n eff )の局所窓構造の中心位置を、光電界強度の ーク位置を中心とした±(1/8)・(λ/n eff )の範囲内に設定することでCODレベルを向上 せることが可能であることを示している。

 図7は、AR膜を被覆する活性層端面(前方側端 面)から局所窓構造501の中心位置までの距離d 40nm(=d peak )と固定した際、局所窓構造501の幅wと、初期C ODレベルの関係を示す図である。縦軸は、局 窓構造を形成していない半導体レーザ素子 初期CODレベルで規格化している。活性層端 (前方側端面)から局所窓構造501の中心位置 での距離dを40nm(=d peak )とする場合、局所窓構造501の幅w=20nm~60nmの範 囲では、初期CODレベルは、ほぼ同じ値となっ ている。なお、局所窓構造501の幅w=10nmにおい ても、局所窓構造を形成していない半導体レ ーザ素子の初期CODレベルと比較して、大幅に 初期CODレベルを向上させる効果が達成されて いる。

 なお、活性層端面(前方側端面)から局所窓 造501の中心位置までの距離d=40nmは、(λ/n eff )=162nmに対して、w≒(1/4)・(λ/n eff )に相当している。一方、局所窓構造501の幅w= 20nm~60nmは、(1/8)・(λ/n eff )~(3/8)・(λ/n eff )に相当している。

 一方、局所窓構造501の幅w=10nmは、(λ/n eff )=162nmに対して、w≒(1/16)・(λ/n eff )に相当している。この場合、局所窓構造を 成していない半導体レーザ素子の初期CODレ ルと比較すると、初期CODレベルは改善して るものの、w=20nm≒(1/8)・(λ/n eff )以上の範囲と比較するとその改善は十分で ない。以上に述べた結果は、端面に最も近 光電界強度のピーク位置d peak を中心としたその前後に(1/16)・(λ/n eff )未満の範囲における活性層の光吸収が、局 窓構造のない半導体レーザ素子の初期CODレ ルを支配していることを示している。

 換言するならば、MQW構造からなる活性層と 較して、混晶化がなされている活性層で構 される局所窓構造501を設けることによる効 は、少なくとも光電界強度のピーク位置か ±(1/16)・(λ/n eff )の領域を含むように局所窓構造501を形成し 際に十分に発揮されている。

 なお、局所窓構造の形状:中心位置dとその wを、d=40nm、w=20nmに選択した半導体レーザに いて、周辺温度70℃、パルス発振(パルス幅5 0ns、Duty比50%)条件、レーザ光出力P out =200mW、1000hの信頼性試験を行ったところ、1000 hの安定動作を確認した。また、この周辺温 70℃、パルス発振(パルス幅50ns、Duty比50%)条 、レーザ光出力P out =200mW、1000hの連続動作を行った後、室温CW条 におけるCODを評価した。信頼性未評価素子 CODレベル(初期CODレベル)に対して、前記の100 0h連続動作後におけるCODレベルの劣化率は、1 0%未満であった。

 (比較例1)
 局所窓構造301aの形状:中心位置dとその幅wを 、d=40nm、w=80nmとする半導体レーザを、上記の 実施例1に記載する作製手順に従って作製し 。d=40nm、w=80nmとすると、イオン注入と、そ 後のアニール処理により形成される混晶化 なされている活性層の端が、劈開位置602に いて劈開した際、その劈開端面に露出する 従って、劈開によって形成される端面に、 オン注入と、その後のアニール処理によるMQ Wの混晶化を利用して窓構造を設ける、従来 半導体レーザの構造に相当している。

 この半導体レーザについて、初期CODレベ を評価したところ、図7中破線で示すレベル であった。すなわち、初期CODレベルは、d=40nm 、w=80nmとする半導体レーザと、d=40nm、w=20nmに 選択した半導体レーザとの間で、差違が見出 されない。

 なお、窓構造の形状:中心位置dとその幅wを d=40nm、w=80nmとする半導体レーザについても 周辺温度70℃、パルス発振(パルス幅50ns、Dut y比50%)条件、レーザ光出力P out =200mW、1000hの信頼性試験を行った。試験した 素子中、約1/6において、突発的な特性の劣 が発生した。すなわち、試験した全素子中 約1/6において、レーザ発振のスロープ効率 が突発的に低下したと推定される劣化が発 した。なお、突発的な特性の劣化を起こし 半導体レーザでは、見かけの閾値電流Ithも 著に増加している。また、この周辺温度70℃ 、パルス発振(パルス幅50ns、Duty比50%)条件、 ーザ光出力P out =200mW、1000hの連続動作を行った後、1000h安定 作した素子について、室温CW条件におけるCOD を評価した。信頼性未評価素子のCODレベル( 期CODレベル)に対して、前記の1000h連続動作 におけるCODレベルは、約50%程度と低い値で った。

 d=40nm、w=80nmとする半導体レーザにおける、1 000h連続動作後におけるCODレベルが、初期COD ベルに対して、約50%低下する要因を追求す ために、出射端面近傍の断面STEM-EDX分析を行 った。その結果、イオン注入により促進され るIII族元素の相互拡散を利用して窓構造が形 成された活性層近傍において、半導体/AR膜界 面に異常が認められた。すなわち、第一保護 膜401aであるNb 2 O 5 中へ、Gaが拡散していることが確認された。

 一方、実施例1に記載する、d=40nm、w=20nmとす る半導体レーザについて、周辺温度70℃、パ ス発振(パルス幅50ns、Duty比50%)条件、レーザ 光出力P out =200mW、1000hの連続動作を行った後、出射端面 傍の断面STEM-EDX分析を行った。その結果で 、半導体/AR膜界面に異常は認められなかっ 。

 イオン注入により促進されるIII族元素の相 拡散を利用して窓構造を形成する際、III族 素の相互拡散と、導入された欠陥の修復・ 去を図るため、アニール処理を施している しかし、導入された欠陥の修復・除去は十 に達成されず、一部、導入された欠陥が残 した状態となっている。高出力動作を連続 る間に、この残余している欠陥に起因して Nb 2 O 5 膜と、混晶化した半導体との界面において、 界面反応が進行する結果、Nb 2 O 5 中へ、Gaが拡散したと推定される。

 すなわち、前記の界面反応によって、窓構 の端面とNb 2 O 5 膜との界面に、光吸収を引き起こす界面準位 が生成する結果、CODレベルの低下が引き起こ されたと推定される。

 一方、局所窓構造を採用する際には、MQWで 成される活性層の劈開面上に、AR膜が形成 れる。従って、Nb 2 O 5 膜との界面には、イオン注入により導入され る欠陥は存在していないため、高出力動作を 連続する間に、欠陥に起因する、界面反応は 進行しない。すなわち、少なくとも、界面反 応によって、窓構造の端面とNb 2 O 5 膜との界面に、光吸収を引き起こす界面準位 が生成する結果、CODレベルが大幅に低下する 現象は回避されている。

 以上説明したように、本発明の半導体レ ザは、局所的な窓構造を採用することによ て高いCODレベルを実現し、かつ200mW以上の 出力でも安定した長時間駆動が可能となる

 以上、実施形態(及び実施例)を参照して 願発明を説明したが、本願発明は上記実施 態(及び実施例)に限定されものではない。本 願発明の構成や詳細には、本願発明のスコー プ内で当業者が理解し得る様々な変更をする ことができる。

 この出願は、2007年3月9日に出願された日本 願特願2007-60408を基礎とする優先権を主張し 、引用によって、その開示の全てをここに取 り込む。
 

 本発明にかかるIII族窒化物系半導体レー は、局所的な窓構造を設けることによった 高い初期CODレベルを実現し、また、高出力 作を継続した際、CODレベルの経時的な劣化 抑制されている。その利点から、本発明に かるIII族窒化物系半導体レーザは、高出力 作において、高い信頼性を有するので、例 ば、200mW以上の高出力でも安定した長時間 動が可能であるので、大容量光ディスク装 の書き込み用光源として利用可能である。