SAISHO KEIJI (JP)
MOGI RYO (JP)
OMAE OSAMU (JP)
KANTO DENKA KOGYO KK (JP)
CHIGA TAKANOBU (JP)
SAISHO KEIJI (JP)
MOGI RYO (JP)
OMAE OSAMU (JP)
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非水系溶媒に電解質のリチウム塩が含有され、上記の非水系溶媒に、下記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルと、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準として+1.0~3.0Vの範囲で分解される被膜形成化合物とを含む二次電池用非水電解液。 R1-CH 2 -COO-R2 (1) (式中、R1は水素又はアルキル基、R2はアルキル基を表し、R1とR2とにおける炭素数の和が3以内であり、R1が水素である場合には、R2における水素の少なくとも一部がフッ素で置換され、R1がアルキル基である場合には、R1及び/又はR2における水素の少なくとも一部がフッ素で置換されている。) |
請求項1に記載の二次電池用非水電解液において、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルが、3,3,3-トリフルオロプロピオン酸メチルCF 3
CH 2
COOCH 3
と酢酸2 ,2,2-トリフルオロエチルCH 3 COOCH 2 CF 3 とから選択される少なくとも1種である二次電池用非水電解液。 |
請求項2に記載の二次電池用非水電解液において、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルが、3,3,3-トリフルオロプロピオン酸メチルCF 3
CH 2
COOCH 3
である二 次電池用非水電解液。 |
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の二次電池用非水電解液において、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルが、非水系溶媒全体に対して20~80体積%の範囲で含有されている二次電池用非水電解液。 |
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の二次電池用非水電解液において、上記の被膜形成化合物が、4-フルオロエチレンカーボネート及びその誘導体、エチレンサルファイト及びその誘導体、ビニルエチレンカーボネート及びその誘導体、LiB(C 2 O 4 ) 2 、LiBF 2 (C 2 O 4 )から選択される少なくとも1種である二次電池用非水電解液。 |
請求項5に記載の二次電池用非水電解液において、上記の被膜形成化合物が、4-フルオロエチレンカーボネートである二次電池用非水電解液。 |
請求項6に記載の二次電池用非水電解液において、上記の4-フルオロエチレンカーボネートが、非水系溶媒全体に対して5~30体積%の範囲で含有されている二次電池用非水電解液。 |
請求項1~請求項7の何れか1項に記載の二次電池用非水電解液において、上記の非水系溶媒に、CH 3
COOCH 3
、C 2
H 5
COOCH 3
、CH 3
COOC 2
H 5
、CH 3
OCOO CH 3 から選択される少なくとも1種の低粘度溶媒が含まれている二次電池用非水電解液。 |
正極と負極とセパレータと非水電解液とを備え、その非水電解液に請求項1~請求項8の何れか1項に記載の二次電池用非水電解液を用いた非水電解液二次電池。 |
請求項9に記載の非水電解液二次電池において、上記の正極の電位が金属リチウム基準で4.35V以上まで充電される非水電解液二次電池。 |
本発明は、二次電池用非水電解液及びこ ような非水電解液を用いた非水電解液二次 池に係り、特に、非水電解液が電極と反応 るのを抑制し、高温条件下においても電池 量が低下するのを抑制して、長期にわたっ 良好な電池特性が得られるようにした点に 徴を有するものである。
近年、高出力,高エネルギー密度の新型二 次電池として、非水電解液を用い、リチウム イオンを正極と負極との間で移動させて充放 電を行うようにした非水電解液二次電池が広 く利用されている。
そして、このような非水電解液二次電池に いて、良好な充放電特性が得られるように るため、従来においては、上記の非水電解 として、非水系溶媒に、エチレンカーボネ ト等の環状炭酸エステルと、ジエチルカー ネート,エチルメチルカーボネート,ジメチ カーボネート等の鎖状炭酸エステルとを混 させた混合溶媒を用い、この混合溶媒にLiPF 6 やLiBF 4 等のリチウム塩からなる電解質を溶解したも のが使用されている。
しかし、上記のような非水電解液を用い 非水電解液二次電池の耐久性等を評価する めに、このような非水電解液二次電池を充 状態で高温条件下に放置させる充電保存試 を行った場合、上記の非水電解液が正極や 極と副反応を起こし、電池容量が低下する いう問題があった。
そこで、近年においては、各種のフッ素 鎖状カルボン酸エステルを、非水電解液の 水系溶媒として用いたり、非水電解液に添 させたりすることが提案されている。(例え ば、特許文献1~5参照。)
ここで、一般的に溶媒分子構造中にフッ を導入すると、耐酸化性が向上することか 、正極と非水電解液との反応を抑制するこ ができる。しかし、フッ素を導入すると非 電解液の粘度の増加が起こり、また、耐還 性が低下することから負極との反応性が増 してしまう。特に、フッ素を導入する位置 、負極との反応性を大きく左右する。
しかし、これらの特許文献においては、 のような種類のフッ素化鎖状カルボン酸エ テルを用いるかは様々であり、フッ素が置 される炭素の位置について、特許文献1,2に いては、α炭素における水素がフッ素で置 されたものが示されているだけであり、ま 特許文献3,4においては、α炭素とそれ以外の 炭素の何れであってもよいとされており、ま た特許文献5においては、α炭素における水素 がフッ素で置換されたものが好ましいと記載 されている。
そして、非水電解液の非水系溶媒として、 炭素における水素がフッ素で置換されたフ 素化鎖状カルボン酸エステルを用いた場合 例えば、トリフルオロ酢酸エチルCF 3 COOCH 2 CH 3 を用いた場合には、電解質として用いるLiPF 6 等のリチウム塩が適切に溶解されなくなると いう問題があった。また、ジフルオロ酢酸エ チルCHF 2 COOCH 2 CH 3 を用いた場合には、電解質として用いるLiPF 6 等のリチウム塩が溶解されるが、負極との反 応性が高くなり、この非水電解液二次電池を 充電状態で高温条件下に放置させると、電池 容量や電池特性が大きく低下するという問題 があった。このように、α炭素における水素 フッ素で置換されたフッ素化鎖状カルボン エステルでは、十分な電池特性が得られな った。
さらに、非水系溶媒として、α炭素以外 炭素における水素がフッ素で置換されたフ 素化鎖状カルボン酸エステルを用いた場合 おいては、負極との反応性を低減させるこ ができるが、依然として、この非水電解液 次電池を充電状態で高温条件下において放 させた場合に、電池容量や電池特性が低下 るという問題があり、またこのようなフッ 化鎖状カルボン酸エステルを他の非水系溶 と組み合わせて使用する場合においても、 み合わせる他の溶媒が適切でないと、この 水電解液二次電池における初期容量が低下 、また高温条件下に放置させた場合に、電 容量や電池特性が低下するという問題があ た。
このように、非水系溶媒のフッ素化により
正極との反応を抑制することができても、
極との反応性が増大することから、良好な
池特性を得ることはできなかった。
本発明は、非水電解液を用いた非水電解 二次電池における上記のような問題を解決 ることを課題とするものであり、非水電解 が電極と反応するのが抑制されて、高温条 下においても電池容量が低下するのが抑制 れ、長期にわたって良好な電池特性が得ら るようにすることを課題とするものである
本発明においては、上記のような課題を解
するため、非水系溶媒に電解質のリチウム
が含有された二次電池用非水電解液におい
、上記の非水系溶媒に、下記の式(1)に示し
フッ素化鎖状カルボン酸エステルと、金属
チウムとリチウムイオンとの平衡電位を基
として+1.0~3.0Vの範囲で分解される被膜形成
合物とを含むようにした。
R1-CH 2
-COO-R2 (1)
(式中、R1は水素又はアルキル基、R2はアルキ
基を表し、R1とR2とにおける炭素数の和が3
内であり、R1が水素である場合には、R2にお
る水素の少なくとも一部がフッ素で置換さ
、R1がアルキル基である場合には、R1及び/
はR2における水素の少なくとも一部がフッ素
で置換されている。)
このように、フッ素化鎖状カルボン酸エ テルとして、上記のようにR1とR2とにおける 炭素数の和が3以内のものを用いると、非水 解液の粘度が上昇して負荷特性が低下する が防止されることを見出したのである。ま 、R1が水素である場合に、R2における水素の なくとも一部がフッ素で置換され、R1がア キル基である場合に、R1及び/又はR2における 水素の少なくとも一部がフッ素で置換された ものを用いるようにすると、α炭素における 素がフッ素で置換されたフッ素化鎖状カル ン酸エステルを用いた場合における前記の うな問題が生じないようになることを見出 たのである。
そして、このようなフッ素化鎖状カルボン エステルとしては、3,3,3-トリフルオロプロ オン酸メチルCF 3 CH 2 COOCH 3 と酢酸2,2,2-トリフルオロエチルCH 3 COOCH 2 CF 3 とから選択される少なくとも1種を用いるこ が好ましい。特に、正極の電位が金属リチ ム基準で4.35V以上になるようにし、負極活物 質に黒鉛系材料を用いた場合において、電池 電圧が4.25V以上になるまで充電させる場合に 、フッ素化鎖状カルボン酸エステルとして 3,3,3-トリフルオロプロピオン酸メチルCF 3 CH 2 COOCH 3 を用いることがより好ましい。
ここで、非水系溶媒中における上記のフ 素化鎖状カルボン酸エステルの量が少ない 、高温条件下における上記のような特性を 分に向上させることが困難になる一方、そ 量が多くなりすぎると、非水電解液中に含 させる上記の被膜形成化合物の量が減少し 、負極に十分な被膜が形成されなくなるた 、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステル 量を、非水系溶媒全体に対して5~90体積%の 囲にすることが好ましく、特に、20~80体積% 範囲にすることがより好ましい。
また、上記のように金属リチウムとリチ ムイオンとの平衡電位を基準として、+1.0~3. 0Vの範囲で分解される被膜形成化合物を含有 せると、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エ テルが負極と反応して分解するのが抑制さ 、或いはこのフッ素化鎖状カルボン酸エス ルが負極の被膜形成に部分的に関与し、過 に分解するのが抑制される。
例えば、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エ テルであるCF 3 CH 2 COOCH 3 やCH 3 COOCH 2 CF 3 に対して1mol/lとなるようLiPF 6 を溶解させ、黒鉛負極を作用電極として用い 、走査速度1mV/secの測定条件にてCV測定した場 合、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡 電位に対して、CF 3 CH 2 COOCH 3 の場合には+0.8V程度、CH 3 COOCH 2 CF 3 の場合には+1.2V程度で還元分解される。この め、+1.0V以上で分解する被膜形成化合物を 有させることで、上記のフッ素化鎖状カル ン酸エステルが負極と反応して分解するの 抑制することができ、或いはこのフッ素化 状カルボン酸エステルが負極の被膜形成に 分的に関与し、過大に分解するのを抑制す ことができる。また、非水電解液を注液し 時の黒鉛負極の電位は+3.0V程度であるため、 +3.0V以下で分解する被膜形成化合物を含有さ る必要がある。
そして、上記のような被膜形成化合物を 有させることにより、フッ素化鎖状カルボ 酸エステルと負極との反応を抑制でき、ま フッ素化鎖状カルボン酸エステルを溶媒に いることで正極との反応を抑制でき、良好 電池特性を得ることができる。
そして、上記のような被膜形成化合物とし は、例えば、4-フルオロエチレンカーボネ ト及びその誘導体、エチレンサルファイト びその誘導体、ビニルエチレンカーボネー 及びその誘導体、LiB(C 2 O 4 ) 2 、LiBF 2 (C 2 O 4 )から選択される少なくとも1種を用いること でき、特に、負極に適切な被膜を形成する 共に非水系溶媒として有効に機能する4-フ オロエチレンカーボネートを用いることが ましい。ここで、金属リチウムとリチウム オンとの平衡電位を基準として分解される 位は、4-フルオロエチレンカーボネートでは 約1.2V、エチレンサルファイトでは約1.1V、ビ ルエチレンカーボネートでは約1.3V、LiB(C 2 O 4 ) 2 では約2.0V、LiBF 2 (C 2 O 4 )では約1.7Vである。また、4-フルオロエチレ カーボネートの誘導体、エチレンサルファ トの誘導体、ビニルエチレンカーボネート 誘導体としても、金属リチウムとリチウム オンとの平衡電位を基準として分解される 位が+1.0~3.0Vの範囲のものを用い、好ましく +1.1~2.0Vの範囲のものを用いるようにする。
そして、上記の被膜形成化合物として4- ルオロエチレンカーボネートを非水系溶媒 含有させる場合、4-フルオロエチレンカーボ ネートの量が少ないと、負極に十分な被膜が 形成されず、フッ素化鎖状カルボン酸エステ ルが還元分解されて、非水電解液二次電池を 充電状態で高温条件下において放置させた場 合における保存特性が低下する。一方、4-フ オロエチレンカーボネートの量が多くなり ぎると、非水電解液の粘度が上昇して負荷 性が低下する。このため、4-フルオロエチ ンカーボネートの量を非水系溶媒全体に対 て2~40体積%の範囲にすることが好ましく、特 に、5~30体積%の範囲にすることがより好まし 。
また、被膜形成化合物として、エチレンサ ファイト及びその誘導体、ビニルエチレン ーボネート及びその誘導体を用いる場合に 、その含有量が電解質を含めた非水電解液 総量に対して0.1~10重量%、特に0.2~5重量%の範 囲になるようにすることが好ましい。また、 LiB(C 2 O 4 ) 2 やLiBF 2 (C 2 O 4 )からなるLi塩を被膜形成化合物として用いる 場合には、その含有量が非水系溶媒に対して 0.01~0.4mol/l、特に0.05~0.2mol/lの範囲になるよう することが好ましい。これは、これらの被 形成化合物の量が、上記の範囲より少なく ると、負極に十分な被膜が形成されず、フ 素化鎖状カルボン酸エステルが還元分解さ て、良好な高温充電保存特性が得られなく る一方、上記の範囲より多くなると、これ の被膜形成化合物の分解が顕著に起こり、 部抵抗の増加やガス発生を引き起こすおそ があるためである。
また、上記の二次電池用非水電解液におい は、上記の非水系溶媒に、上記のフッ素化 状カルボン酸エステルと被膜形成化合物と 他に、他の非水系溶媒を加えることも可能 あり、このような非水系溶媒としては、例 ば、ジメチルカーボネートCH 3 OCOOCH 3 、エチルメチルカーボネートCH 3 OCOOC 2 H 5 、ジエチルカーボネートC 2 H 5 OCOOC 2 H 5 、酢酸メチルCH 3 COOCH 3 、プロピオン酸メチルC 2 H 5 COOCH 3 、酢酸エチルCH 3 COOC 2 H 5 等を用いることが好ましく、特に、非水電解 液の粘度を低減させて負荷特性を向上させる ためには、酢酸メチル、プロピオン酸メチル 、酢酸エチル、ジメチルカーボネートから選 択される少なくとも1種の低粘度溶媒を加え ことが好ましい。さらに、非水電解液の導 率を高めるために、高誘電率溶媒であるエ レンカーボート、プロピレンカーボネート γ-ブチロラクトン等を混合させることも可 である。
また、上記の二次電池用非水電解液におい 、上記の非水系溶媒に溶解させるリチウム からなる電解質としては、上記の被膜形成 合物として用いるLiB(C 2 O 4 ) 2 やLiBF 2 (C 2 O 4 )に加えて、非水電解液二次電池において一 に使用されているリチウム塩を用いること できる。そして、上記のリチウム塩として 、例えば、LiPF 6 ,LiBF 4 ,LiCF 3 SO 3 ,LiClO 4 ,LiN(CF 3 SO 2 ) 2 ,LiN(C 2 F 5 SO 2 ) 2 ,LiN(CF 3 SO 2 )(C 4 F 9 SO 2 ),LiC(CF 3 SO 2 ) 3 ,LiC(C 2 F 5 SO 2 ) 3 等を用いることができ、特にLiPF 6 ,LiBF 4 ,LiN(CF 3 SO 2 ) 2 を用いることが好ましい。
また、本発明における非水電解液二次電 においては、非水電解液として、上記のよ な二次電池用非水電解液を用いるようにし 。
ここで、この非水電解液二次電池の正極 用いる正極活物質としては、リチウムを吸 、放出することができ、その電位が貴な材 であれば特に限定されず、一般に使用され いる公知の正極活物質を用いることができ 例えば、層状構造や、スピネル型構造や、 リビン型構造を有するリチウム遷移金属複 酸化物を単独又は複数組み合わせて使用す ことができる。特に、高エネルギー密度の 水電解液二次電池を得るためには、層状構 を有するリチウム遷移金属複合酸化物を用 ることが好ましく、具体的には、リチウム コバルト複合酸化物、リチウム・コバルト ニッケル・マンガン複合酸化物、リチウム コバルト・ニッケル・アルミニウム複合酸 物からなるリチウム遷移金属複合酸化物を いることが好ましい。特に、結晶構造の安 性の観点からは、Al或いはMgが結晶内部に固 溶され、かつZrが粒子表面に固着したコバル 酸リチウムを用いることが好ましい。
また、この非水電解液二次電池の負極に用 る負極活物質としては、リチウムを吸蔵、 出することができる材料であれば特に限定 れず、一般に使用されている公知の負極活 質を用いることができ、例えば、金属リチ ム、リチウム-アルミニウム合金,リチウム- 合金,リチウム-シリコン合金,リチウム-スズ 合金等のリチウム合金、黒鉛,コークス,有機 焼成体等の炭素材料、SnO 2 、SnO、TiO 2 等の電位が正極活物質に比べて卑な金属酸化 物を用いることができ、特に、リチウムの吸 蔵、放出に伴う体積変化が少なくて可逆性に 優れる黒鉛系の炭素材料を用いることが好ま しい。
本発明においては、非水系溶媒に電解質 リチウム塩が含有された二次電池用非水電 液に、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カ ボン酸エステルと、金属リチウムとリチウ イオンとの平衡電位を基準として+1.0~3.0Vの 囲で分解される被膜形成化合物とを含む非 系溶媒を用いるようにした。
この結果、このような非水電解液を用い 非水電解液二次電池においては、上記の被 形成化合物により負極に適切な被膜が形成 れて、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エス ルが分解するのが抑制され、高温条件下に いても電池容量が低下するのが抑制されて 良好な電池特性が得られるようになった。
次に、本発明に係る二次電池用非水電解 を用いた非水電解液二次電池について実施 を挙げて具体的に説明すると共に、本発明 非水電解液二次電池は、高容量化させた場 においても高温での保存特性が向上するこ を、比較例を挙げて明らかにする。
(実施例1)
実施例1においては、下記のようにして作製
した正極と負極と非水電解液とを用い、図1
示すような円筒型で、充電終止電圧が4.2V、
計容量が2300mAhの非水電解液二次電池を作製
した。
[正極の作製]
正極を作製するにあたっては、正極活物質
して、コバルト酸リチウムLiCoO 2
に
AlとMgとがそれぞれ1.0mol%固溶されると共にそ
固溶体の粒子表面にZrが0.05mol%付与されたも
のを用いた。
そして、この正極活物質と、導電剤の炭 と、結着剤のポリフッ化ビニリデンとが95:2 .5:2.5の重量比になるようにして、これらをN- チル-2-ピロリドン溶液中で混練して正極合 スラリーを作製した。次いで、この正極合 スラリーをアルミニウム箔からなる正極集 体の両面に塗布し、これを乾燥させた後、 延させて正極を作製した。
[負極の作製]
負極を作製するにあたっては、負極活物質
黒鉛と、結着剤のスチレン・ブタジエンゴ
と、増粘剤のカルボキシメチルセルロース
を97.5:1.5:1の重量比になるようにして、これ
らを水溶液中において混練して負極合剤スラ
リーを作製した。そして、この負極合剤スラ
リーを銅箔からなる負極集電体の両面に塗布
させ、これを乾燥させた後、圧延させて負極
を作製した。
[非水電解液の作製]
非水電解液を作製するにあたっては、非水
溶媒として、金属リチウムとリチウムイオ
との平衡電位を基準とした分解電位が1.0~3.0
Vの範囲にある被膜形成化合物の4-フルオロエ
チレンカーボネート(4-FEC)と、上記の式(1)に
したフッ素化鎖状カルボン酸エステルであ
CF 3
CH 2
COOCH 3
とを2:8の体積比で混合させた
混合溶媒を用いた。そして、この混合溶媒に
電解質としてヘキサフルオロリン酸リチウム
LiPF 6
を1mol/lの割合で溶解させて、非水電解液を作
製した。
ここで、フッ素化鎖状カルボン酸エステル
して用いた上記のCF 3
CH 2
COOCH 3
(3,3,3-トリフルオロプロピオン酸メチル)の合
方法を下記に示す。
1リットルのナス型フラスコに、ジイソプ ロピルアミン35g(350mmol)とテトラヒドロフラン 300mlとを仕込み、氷冷、攪拌しながら、1.6Mノ ルマルブチルリチウム/ヘキサン219ml(350mmol)を 徐々に滴下し、更に室温で30分間攪拌してリ ウムジイソプロピルアミドを調製した。次 で、このリチウムジイソプロピルアミド溶 を-80℃に冷却し、メチルアセテート26g(350mmo l)を徐々に滴下して、15分間熟成した後に、 ロロトリメチルシラン28g(350mmol)を加えてク ンチし、室温で一晩攪拌した。そして、生 した固体を濾別した後、溶媒を留去して得 黄色のオイルをノルマルヘキサン200mlに溶解 し、-78℃に冷却し、攪拌しながらヨードトリ フルオロメタン70g(360mmol)を加えた。そして、 1Mトリエチルボラン/ヘキサン10ml(10mmol)を加え 、約2時間で室温まで昇温した。次いで、水20 0mlを加えてクエンチした後、分液ロートによ り有機層を分離し、硝酸マグネシウムで乾燥 させた。その後、蒸留により精製を行い、3,3 ,3-トリフルオロプロピオン酸メチルを10g(収 20%)得た。
そして、この実施例の非水電解液二次電 を作製するにあたっては、図1に示すように 、上記のようにして作製した正極1と負極2と 間に、セパレータ3としてリチウムイオン透 過性のポリエチレン製の微多孔膜を介在させ 、これらをスパイラル状に巻いて電池缶4内 収容させた後、この電池缶4内に上記の非水 解液を注液して封口し、上記の正極1を正極 タブ5により、正極蓋6に取り付けられた正極 部端子9に接続させると共に、上記の負極2 負極タブ7により電池缶4に接続させ、電池缶 4と正極蓋6とを絶縁パッキン8により電気的に 分離させた。
(実施例2)
実施例2においては、上記の実施例1におけ
非水電解液の作製において、非水系溶媒と
て、実施例1と同じ被膜形成化合物の4-フル
ロエチレンカーボネート(4-FEC)と、上記の式(
1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステル
あるCH 3
COOCH 2
CF 3
とを2:8の体積比で混合させた混合溶媒を用い
、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様
して非水電解液二次電池を作製した。
ここで、フッ素化鎖状カルボン酸エステル
して用いた上記のCH 3
COOCH 2
CF 3
(酢酸2,2,2-トリフルオロエチル)の合成方法を
記に示す。
1リットルのセパラブルフラスコに、トリ フルオロエタノール85g(0.85mmol)とジエチルエ テル80mlとを仕込み、さらにトリエチルアミ 129g(1.27mmol/1.5eq)を加えた。そして、これを 冷、攪拌しながら、アセチルクロリド100g(1.2 7mmol/1.5eq)をジエチルエーテル80mlで希釈した を、滴下ロートにて滴下した。反応液の温 が27~35℃になるように滴下し、20分間で終了 た。その後、室温で1.5時間攪拌した後、水3 50mlを加えて反応を終了した。次いで、分液 ートにより有機層を分離し、硝酸マグネシ ムで乾燥させた後、蒸留により精製を行い 酢酸2,2,2-トリフルオロエチルを88g(収率73%)得 た。
(実施例3)
実施例3においては、上記の実施例1におけ
非水電解液の作製において、非水系溶媒と
て、実施例1と同じ被膜形成化合物の4-フル
ロエチレンカーボネート(4-FEC)と、上記の式(
1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステル
あるCF 3
CH 2
COOCH 3
とを1:9の体積比で混合させた混合溶媒を用い
、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様
して非水電解液二次電池を作製した。
(実施例4)
実施例4においては、上記の実施例1におけ
非水電解液の作製において、非水系溶媒と
て、実施例1と同じ被膜形成化合物の4-フル
ロエチレンカーボネート(4-FEC)と、上記の式(
1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステル
あるCF 3
CH 2
COOCH 3
とを3:7の体積比で混合させた混合溶媒を用い
、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様
して非水電解液二次電池を作製した。
(実施例5)
実施例5においては、上記の実施例1におけ
非水電解液の作製において、非水系溶媒と
て、実施例1と同じ被膜形成化合物の4-フル
ロエチレンカーボネート(4-FEC)と、上記の式(
1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステル
あるCF 3
CH 2
COOCH 3
と、ジメチルカーボネート(DMC)を2:4:4の体積
で混合させた混合溶
媒を用い、それ以外は、上記の実施例1の場
と同様にして非水電解液二次電池を作製し
。
(実施例6)
実施例6においては、上記の実施例1におけ
非水電解液の作製において、非水系溶媒と
て、実施例1と同じ被膜形成化合物の4-フル
ロエチレンカーボネート(4-FEC)と、上記の式(
1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステル
あるCF 3
CH 2
COOCH 3
と、フッ素化されていない鎖状カルボン酸エ
ステルであるプロピオン酸メチルCH 3
CH 2
COOCH 3
を2:4:4の体積比で混合させた混合溶媒を用い
それ以外は、上記の実施例1の場合と同様に
して非水電解液二次電池を作製した。
(比較例1)
比較例1においては、非水系溶媒として、エ
チレンカーボネート(EC)とエチルメチルカー
ネート(EMC)とを3:7の体積比で混合させた混合
溶媒を用い、この混合溶媒に電解質としてヘ
キサフルオロリン酸リチウムLiPF 6
を1mol/lの割合で溶解させ、これに対してビニ
レンカーボネート(VC)を2重量%の割合で添加し
た非水電解液を用いた。そして、それ以外は
、上記の実施例1の場合と同様にして非水電
液二次電池を作製した。
(比較例2)
比較例2においては、上記の実施例1におけ
非水電解液の作製において、非水系溶媒と
て、実施例1と同じ被膜形成化合物の4-フル
ロエチレンカーボネート(4-FEC)と、フッ素化
れていない鎖状カルボン酸エステルである
ロピオン酸メチルCH 3
CH 2
COOCH 3
とを2:8の体積比で混合させた混合溶媒を用い
、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様
して非水電解液二次電池を作製した。
(比較例3)
比較例3においては、上記の実施例1におけ
非水電解液の作製において、非水系溶媒と
て、実施例1と同じ被膜形成化合物の4-フル
ロエチレンカーボネート(4-FEC)と、フッ素化
行っていない鎖状カルボン酸エステルであ
CH 3
COOCH 2
CH 3
とを2:8の体積比で混合させた混合溶媒を用い
、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様
して非水電解液二次電池を作製した。
(比較例4)
比較例4においては、上記の実施例1におけ
非水電解液の作製において、非水系溶媒と
て、実施例1と同じ被膜形成化合物の4-フル
ロエチレンカーボネート(4-FEC)と、α炭素に
ける水素がフッ素で置換されたフッ素化鎖
カルボン酸エステルであるCHF 2
COOCH 2
CH 3
とを2:8の体積比で混合させた混合溶媒を用い
、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様
して非水電解液二次電池を作製した。
(比較例5)
比較例5においては、上記の実施例1におけ
非水電解液の作製において、非水系溶媒と
て、実施例1と同じ被膜形成化合物の4-フル
ロエチレンカーボネート(4-FEC)と、α炭素に
ける水素がフッ素で置換されたフッ素化鎖
カルボン酸エステルであるCHF 2
COOCH 3
とを2:8の体積比で混合させた混合溶媒を用い
、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様
して非水電解液二次電池を作製した。
(比較例6)
比較例6においては、上記の実施例1におけ
非水電解液の作製において、非水系溶媒と
て、金属リチウムとリチウムイオンとの平
電位を基準とした分解電位が1.0~3.0Vの範囲外
の0.6Vであるエチレンカーボネートと、上記
式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エス
ルであるCF 3
CH 2
COOCH 3
とを2:8の体積比で混合さ
せた混合溶媒を用い、それ以外は、上記の実
施例1の場合と同様にして非水電解液二次電
を作製した。
(比較例7)
比較例7においては、上記の実施例1におけ
非水電解液の作製において、非水系溶媒と
て、金属リチウムとリチウムイオンとの平
電位を基準とした分解電位が1.0~3.0Vの範囲外
の0.6Vであるエチレンカーボネートと、上記
式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エス
ルであるCH 3
COOCH 2
CF 3
とを2:8の体積比で混合さ
せた混合溶媒を用い、それ以外は、上記の実
施例1の場合と同様にして非水電解液二次電
を作製した。
そして、上記のように作製した実施例1~6 び比較例1~7の各非水電解液二次電池を、そ ぞれ25℃において、460mAの定電流で4.2Vにな まで充電し、さらに4.2Vの定電圧で電流値が4 6mAになるまで定電圧充電させた後、460mAの定 流で2.75Vになるまで放電させて、各非水電 液二次電池の初期放電容量を測定した。そ て、比較例1の非水電解液二次電池における 期放電容量を100として、各非水電解液二次 池の初期放電容量を算出し、その結果を下 の表1に示した。なお、表1においては、4-フ ルオロエチレンカーボネートを4-FEC、ジメチ カーボネートDMC、エチレンカーボネートをE C、エチルメチルカーボネートをEMC、ビニレ カーボネートをVCとして示した。
この結果、非水系溶媒として、上記の式(1) 示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルで るCF 3 CH 2 COOCH 3 やCH 3 COOCH 2 CF 3 と、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡 電位を基準として分解される電位が+1.0~3.0Vの 範囲から外れたエチレンカーボネートとの混 合溶媒を用いた比較例6,7の各非水電解液二次 電池は、実施例1~6及び比較例1~5の各非水電解 液二次電池に比べて、初期放電容量が大きく 低下していた。
次に、上記の実施例1~6及び比較例1~7の各非 電解液二次電池について、それぞれ25℃に いて、460mAの定電流で4.2Vになるまで充電し さらに4.2Vの定電圧で電流値が46mAになるまで 定電圧充電させた後、460mAの定電流で2.75Vに るまで放電させて保存前の放電容量D 1 を測定した。
次いで、上記の各非水電解液二次電池を、 れぞれ25℃において、2300mAの定電流で4.2Vに るまで充電し、さらに4.2Vの定電圧で電流値 が46mAになるまで定電圧充電させ、この状態 各非水電解液二次電池を恒温槽内において60 ℃で10日間保存した後、保存後の各非水電解 二次電池について、それぞれ25℃において 460mAの定電流で2.75Vになるまで放電させて保 後の残存容量D 2 を求めた。
その後、上記の各非水電解液二次電池を、 れぞれ25℃において、460mAの定電流で4.2Vに るまで充電し、さらに4.2Vの定電圧で電流値 46mAになるまで定電圧充電させた後、460mAの 電流で2.75Vになるまで放電させて保存後の 帰容量D 3 を測定した。
そして、上記のように測定した保存前の放 容量D 1 、保存後の残存容量D 2 及び保存後の復帰容量D 3 に基づき、下記の式により実施例1~6及び比較 例1~7の各非水電解液二次電池の保存後におけ る容量残存率(%)及び容量復帰率(%)を求め、そ の結果を下記の表2に示した。
容量残存率(%)=(D 2
/D 1
)×100
容量復帰率(%)=(D 3
/D 1
)×100
この結果、非水系溶媒として、金属リチ ムとリチウムイオンとの平衡電位を基準と た分解電位が+1.0~3.0Vの範囲にある被膜形成 合物の4-フルオロエチレンカーボネートと 上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン エステルとの混合溶媒を用いた実施例1~6の 非水電解液二次電池は、フッ素化を行って ない鎖状カルボン酸エステルを用いた比較 2,3の非水電解液二次電池や、金属リチウム リチウムイオンとの平衡電位を基準として 解される電位が+1.0~3.0Vの範囲から外れたエ レンカーボネートを用いた比較例6,7の非水 解液二次電池や、従来より一般に用いられ いるエチレンカーボネートとエチルメチル ーボネートとの混合溶媒にビニレンカーボ ートを添加させたものを用いた比較例1の非 電解液二次電池に比べて、保存後の容量残 率が明らかに向上していると共に、保存後 容量復帰率も向上していた。
また、α炭素における水素がフッ素で置換 れたフッ素化鎖状カルボン酸エステルであ CHF 2 COOCH 2 CH 3 やCHF 2 COOCH 3 を用いた比較例4,5の非水電解液二次電池にお いては、保存後の容量残存率及び容量復帰率 が大きく低下していた。これは、α炭素に電 吸引性の高いフッ素が結合することで、隣 するカルボニル炭素の電子密度が低下して 非水電解液が負極と反応したためであると えられる。
(実施例7)
実施例7においては、上記の実施例1におけ
非水電解液の作製において、非水系溶媒と
て、実施例1と同じ被膜形成化合物の4-フル
ロエチレンカーボネート(4-FEC)と、プロピレ
カーボネート(PC)と、上記の式(1)に示したフ
ッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCF 3
CH 2
COOCH 3
とを20:5:75の体積比で混合させた混合溶媒を
い、この混合溶媒に電解質としてヘキサフ
オロリン酸リチウムLiPF 6
を1.1mol/lの割合で溶解させ、それ以外は、上
の実施例1の場合と同様にして、図1に示す
うな円筒型で、充電終止電圧が4.3V、設計容
が2700mAhの非水電解液二次電池を作製した。
(実施例8)
実施例8においては、上記の実施例1におけ
非水電解液の作製において、非水系溶媒と
て、実施例1と同じ被膜形成化合物の4-フル
ロエチレンカーボネート(4-FEC)と、プロピレ
カーボネート(PC)と、上記の式(1)に示したフ
ッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCH 3
COOCH 2
CF 3
とを20:5:75の体積比で混合させた
混合溶媒を用い、この混合溶媒に電解質とし
てヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF 6
を1.1mol/lの割合で溶解させ、それ以外は、上
の実施例1の場合と同様にして、実施例7の
合と同様の円筒型で、充電終止電圧が4.3V、
計容量が2700mAhの非水電解液二次電池を作製
した。
(比較例8)
比較例8においては、上記の実施例1におけ
非水電解液の作製において、非水系溶媒と
て、実施例1と同じ被膜形成化合物の4-フル
ロエチレンカーボネート(4-FEC)と、プロピレ
カーボネート(PC)と、エチルメチルカーボネ
ート(EMC)とを20:5:75の体積比で混合させた混合
溶媒を用い、この混合溶媒に電解質としてヘ
キサフルオロリン酸リチウムLiPF 6
を1.1mol/lの割合で溶解させ、それ以外は、上
の実施例1の場合と同様にして、実施例7,8の
場合と同様の円筒型で、充電終止電圧が4.3V
設計容量が2700mAhの非水電解液二次電池を作
した。
そして、上記のように作製した実施例7,8 び比較例8の各非水電解液二次電池を、それ ぞれ25℃において、1000mAの定電流で4.3Vになる まで充電し、さらに4.3Vの定電圧で電流値が54 mAになるまで定電圧充電させた後、540mAの定 流で3.0Vになるまで放電させて、各非水電解 二次電池の初期放電容量を測定した。そし 、比較例8の非水電解液二次電池における初 期放電容量を100として、各非水電解液二次電 池の初期放電容量を算出し、その結果を下記 の表3に示した。
この結果、実施例7,8及び比較例8の各非水 電解液二次電池においては、略同じ初期放電 容量が得られた。
次に、上記の実施例7,8及び比較例8の各非水 電解液二次電池について、それぞれ25℃にお て、1000mAの定電流で4.3Vになるまで充電し、 さらに4.3Vの定電圧で電流値が54mAになるまで 電圧充電させた後、2700mAの定電流で3.0Vにな るまで放電させて保存前の放電容量D 1 を測定した。
次いで、上記の各非水電解液二次電池を それぞれ25℃において、1000mAの定電流で4.3V なるまで充電し、さらに4.3Vの定電圧で電流 値が54mAになるまで定電圧充電させ、この状 で各非水電解液二次電池を恒温槽内におい 60℃で20日間保存した。
そして、保存前と保存後とにおける各非 電解液二次電池の電池電圧を測定し、電圧 化の結果を下記の表4に示した。
また、保存後の各非水電解液二次電池につ て、それぞれ25℃において、2700mAの定電流 3.0Vになるまで放電させて保存後の残存容量D 2 を求めた。
その後、上記の各非水電解液二次電池を、 れぞれ25℃において、1000mAの定電流で4.3Vに るまで充電し、さらに4.3Vの定電圧で電流値 が54mAになるまで定電圧充電させた後、2700mA 定電流で3.0Vになるまで放電させて保存後の 帰容量D 3 を測定した。
そして、上記のように測定した保存前の放 容量D 1 、保存後の残存容量D 2 及び保存後の復帰容量D 3 に基づき、実施例1~6及び比較例1~7の各非水電 解液二次電池の場合と同じ前記の式により、 保存後における容量残存率(%)及び容量復帰率 (%)を求め、その結果を下記の表4に示した。
この結果、非水系溶媒として、金属リチ ムとリチウムイオンとの平衡電位を基準と た分解電位が+1.0~3.0Vの範囲にある被膜形成 合物の4-フルオロエチレンカーボネートと 上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン エステルとを含む混合溶媒を用いた実施例7, 8の各非水電解液二次電池は、上記の式(1)に したフッ素化鎖状カルボン酸エステルに代 てエチルメチルカーボネート(EMC)を用いた比 較例8の非水電解液二次電池に比べ、保存後 電池電圧及び容量残存率が向上していた。
特に、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カ
ボン酸エステルとして、3,3,3-トリフルオロ
ロピオン酸メチルCF 3
CH 2
COOCH 3
を用いた実施例7の非水電解液
二次電池においては、保存後の容量残存率及
び容量復帰率がさらに向上していた。
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 電池缶
5 正極タブ
6 正極蓋
7 負極タブ
8 絶縁パッキン
9 正極外部端子