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Title:
NONAQUEOUS ELECTROLYTE SECONDARY BATTERY AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/087731
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a nonaqueous electrolyte secondary battery wherein an electrode having a mixture layer formed on a collector by using an aqueous slurry is used. The nonaqueous electrolyte secondary battery can be efficiently produced, while exhibiting high adhesion strength within the electrode. In addition, the nonaqueous electrolyte secondary battery has improved battery performance. Specifically disclosed is a nonaqueous electrolyte secondary battery having a positive electrode, a negative electrode and a nonaqueous electrolyte. The nonaqueous electrolyte secondary battery is characterized in that at least one of the positive electrode and the negative electrode is obtained by forming a precoat layer (6), which is composed of a latex binder and an aqueous dispersant, on a collector (1), then forming a mixture layer (2) on the precoat layer (6) by applying thereto an aqueous slurry containing an active material, a latex binder and an aqueous dispersant, and then drying the mixture layer (2).

Inventors:
SAKITANI NOBUHIRO (JP)
IMACHI NAOKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/003929
Publication Date:
July 16, 2009
Filing Date:
December 24, 2008
Export Citation:
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Assignee:
SANYO ELECTRIC CO (JP)
SAKITANI NOBUHIRO (JP)
IMACHI NAOKI (JP)
International Classes:
H01M4/13; H01M4/139; H01M4/62
Foreign References:
JP2006019309A2006-01-19
JP2000011997A2000-01-14
JPH07201362A1995-08-04
JPH10149810A1998-06-02
JP2003151536A2003-05-23
JP2005135826A2005-05-26
JP2008300302A2008-12-11
Attorney, Agent or Firm:
METSUGI, Makoto (5-4 Tanimachi 1-chome,Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 12, JP)
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Claims:
 正極と、負極と、非水電解質とを有する非水電解質二次電池であって、
 前記正極及び前記負極のうちの少なくとも一方の電極が、集電体上にラテックス系結着剤及び水系分散剤からなるプレコート層を形成し、該プレコート層の上に、活物質、ラテックス系結着剤及び水系分散剤を含む水系スラリーを塗布して合剤層を形成した後乾燥して得られる電極であることを特徴とする非水電解質二次電池。
 前記プレコート層のラテックス系結着剤が、前記合剤層のラテックス系結着剤と同じものであることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
 前記プレコート層の水系分散剤が、前記合剤層の水系分散剤と同じものであることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
 前記プレコート層におけるラテックス系結着剤と水系分散剤との重量比が1:1~5:1であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
 前記水系分散剤が、カルボキシメチルセルロースであることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
 前記水系分散剤が、カルボキシメチルセルロースであることを特徴とする請求項3に記載の非水電解質二次電池。
 前記カルボキシメチルセルロースのエーテル化度が0.5~0.8の範囲であることを特徴とする請求項6に記載の非水電解質二次電池。
 前記プレコート層の厚みは、前記合剤層の厚みよりも薄いことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
 前記プレコート層の厚みが1μm以下であることを特徴とする請求項8に記載の非水電解質二次電池。
 前記電極が負極であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
 前記合剤層の上層における前記ラテックス系結着剤の濃度は、前記合剤層の前記上層以外の部分における前記ラテックス系結着剤の濃度よりも高いことを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池。
 請求項1~11のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池を製造する方法であって、
 前記集電体の上に前記プレコート層を形成する工程と、
 前記プレコート層の上に前記水系スラリーを塗布して前記合剤層を形成した後乾燥させる工程とを備えることを特徴とする非水電解質二次電池の製造方法。
 前記プレコート層を形成する工程は、前記プレコート層を形成するためのラテックス系結着剤と前記水系分散剤とを含む水溶液を前記集電体に塗布した後に乾燥させる工程を含むことを特徴とする請求項12に記載の非水電解質二次電池の製造方法。
 
 
Description:
非水電解質二次電池及びその製 方法

 本発明は、リチウム二次電池などの非水 解質二次電池及びその製造方法に関するも である。

 小型・軽量という特徴から、リチウムイ ン二次電池は、携帯機器の駆動電源として く普及している。近年では、電動工具やア スト自転車、さらにはHEV等の用途への展開 期待されており、リチウムイオン二次電池 需要は高まる一方である。しかしながら、 量の伸び以上に価格低下は年々厳しさを増 ており、コストダウンや市場の需要に応え ため生産体制を構築することが電池メーカ の責務となっている。

 電池の作製工程は、電極作製工程、電極 取り工程、注液工程、検査工程に分類され 。電極作製工程においては、集電体へのス リーの塗工及び乾燥をどのように速めるか 重要である。乾燥を速めるためには、乾燥 度を高くすることが好ましい。しかしなが 、電極を作製するためのスラリーには、複 の成分が混合して含まれており、電極の品 を高めるためには、電極の厚さ方向に均質 組成の電極を作製することが必要である。 極の組成が均質でなくなると、(1)電気抵抗 ばらつき、(2)電極接着密度のばらつきなど 生じるおそれがある。乾燥温度を高くする 、電極の厚さ方向の組成が不均一になると うおそれがある。

 特に、近年においては、環境衛生面から、 極を作製するスラリーとして、有機溶剤を いない水系スラリーが要望されている。こ ような水系スラリーを用いて電極を作製す 場合、乾燥温度を高くすると、合剤層の集 体に対する密着強度が大きく低下するとい 課題があることを、本発明者らは見出した 合剤層と集電体との密着性を改善する方法 して、特許文献1においては、集電体表面に 負極合剤層と同一成分の薄膜を予め塗布して 形成し、密着性を改善することが提案されて いる。また、特許文献2及び特許文献3におい は、負極活物質層と集電体の間に、電子伝 性を有する高分子化合物層を形成すること 提案されている。しかしながら、これらの 来技術は、溶剤系スラリーを用いて電極を 製する場合における密着性の改善や、接触 抗の低減を図ろうとするものであり、水系 ラリーを用いた場合において、乾燥温度を くすることにより生じる密着強度の低下を 善するものではなかった。

特開平11-86850号公報

特開平5-135759号公報

特開平3-165458号公報

 本発明の目的は、水系スラリーを用いて 電体上に合剤層を形成した電極を用いた非 電解質二次電池において、効率良く生産す ことができ、電極内での密着強度が高く、 池性能を高めることができる非水電解質二 電池及びその製造方法を提供することにあ 。

 本発明の非水電解質二次電池は、正極と 負極と、非水電解質とを有する非水電解質 次電池であって、正極及び負極のうちの少 くとも一方の電極が、集電体上にラテック 系結着剤及び水系分散剤からなるプレコー 層を形成し、該プレコート層の上に、活物 、ラテックス系接着剤及び水系分散剤を含 水系スラリーを塗布して合剤層を形成した 乾燥して得られる電極であることを特徴と ている。

 本発明者らは、水系スラリーを用いて集 体上に合剤層を形成した電極において、乾 温度を高くした場合に密着強度が低下する 因について検討した結果、合剤層中に含有 れる結着剤が、乾燥の際、合剤層内に生じ 熱的対流により移動し、合剤層の表面に偏 するためであることを見出した。

 図2は、合剤層内における対流による結着 剤の移動を説明するための断面図である。図 2(a)に示すように、集電体1の上に、合剤層2が 設けられており、合剤層2中の結着剤3は、熱 4を当てて乾燥する際、合剤層2内に生じた 流5により上方へ移動する。この結果、図2(b) に示すように、合剤層2の表面に結着剤3が偏 し、集電体1と合剤層2の界面における結着 の量が減少するため、集電体1に対する合剤 2の密着強度が低下することがわかった。

 図1に示すように、本発明によれば、集電 体1上にラテックス系結着剤及び水系分散剤 らなるプレコート層6を形成し、該プレコー 層6の上に、活物質、ラテックス系結着剤及 び水系分散剤を含む水系スラリーを塗布して 合剤層2を形成した後、これらを乾燥して電 を作製する。本発明では、このようにして られる電極を、正極及び負極のうちの少な とも一方の電極として用いている。

 本発明によれば、集電体と合剤層の間に テックス系結着剤及び水系分散剤からなる レコート層を形成しているので、合剤層を 燥する際に、合剤層中のラテックス系結着 が合剤層の表面に移動しても、集電体と合 層の界面におけるラテックス系結着剤の濃 を高く保持することができる。このため、 着強度を高めることができる。また、乾燥 度を高めることができるので、電極の作製 効率良く行うことができる。

 また、電極における密着強度を高めるこ ができるので、電池性能を向上させること でき、高い信頼性を得ることができる。活 質材料は、充放電時に伴う膨張収縮の変化 大きく、電極に応力がかかり易い。このよ な充放電を繰り返すことにより、電極から 物質が剥離したりする場合があるが、本発 によれば、密着強度を高めることができる で、このような活物質の剥離等を抑制する とができる。このため、電池性能を向上さ ることができ、長期における信頼性を高め ことができる。

 本発明において、プレコート層のラテッ ス系結着剤は、必ずしも合剤層のラテック 系結着剤と同じものである必要はないが、 剤層のラテックス系結着剤と同じラテック 系結着剤を用いることにより、電極内の組 をより均一にすることができ、より密着強 を高めることができる。具体的には、プレ ート層のラテックス系結着剤と合剤層のラ ックス系結着剤とが、同じ組成及び組成比 有することが好ましく、同じ組成、組成比 び重合度を有することがさらに好ましい。

 また、本発明において、プレコート層の水 分散剤は、合剤層の水系分散剤と同じもの ある必要はないが、合剤層の水系分散剤と じ水系分散剤を用いることにより、電極内 組成をより均一にすることができ、より密 強度を高めることができる。具体的には、 レコート層の水系分散剤と合剤層の水系分 剤とが、同じ組成及び組成比を有すること 好ましく、同じ組成、組成比及び重合度を することがさらに好ましい。
 具体的には、例えば、プレコート層の水系 散剤と合剤層の水系分散剤との両方を、カ ボキシメチルセルロースとすることが好ま く、同じ重合度のカルボキシメチルセルロ スとすることがより好ましく、同じ重合度 びエーテル化度のカルボキシメチルセルロ スとすることがさらに好ましい。

 本発明において用いるラテックス系結着 は、特に限定されるものではなく、活物質 含む水系スラリーにおいて、結着剤として いることができるものであればよい。具体 な例としては、スチレン-ブタジエンエラテ ックス、アクリロニトリル-ブタジエンラテ クス、アクリル酸エステル系ラテックス、 酸ビニル系ラテックス、メチルメタクリレ ト-ブタジエンラテックス、及びこれらのカ ボキシ変性体などが挙げられる。

 本発明において用いる水系分散剤としては 活物質を含む水系スラリーに含有させるこ ができる水系分散剤であれば、特に制限さ ることなく用いることができる。具体的な としては、カルボキシメチルセルロース等 挙げられる。
 水系分散剤として用いられるカルボキシメ ルセルロースのエーテル化度は、0.5~0.8の範 囲であることが好ましく、0.6~0.8の範囲であ ことがより好ましく、0.65~0.75の範囲である とがさらに好ましい。カルボキシメチルセ ロースのエーテル化度を0.8以下とすること よって電極の密着強度をより高めることが きる。カルボキシメチルセルロースのエー ル化度が0.5を下回ると、カルボキシメチル ルロースの水に対する溶解度が低下する傾 にある。

 プレコート層におけるラテックス系結着 と水系分散剤の重量比(ラテックス系結着剤 :水系分散剤)は、0.5:1~10:1の範囲内であること が好ましく、さらに好ましくは、1:1~5:1の範 内である。プレコート層中のラテックス系 着剤の比率を高めると合剤層の密着強度が まる傾向にあるが、プレコート層の表面に ける粘着性も高まる傾向にあるため、その の合剤層作製工程において問題が生じやす なる傾向にある。また、プレコート層中の テックス系結着剤の比率が少なくなると密 強度が低下する傾向にある。従って、ラテ クス系結着剤とカルボキシメチルセルロー の重量比は0.5:1~10:1の範囲内であることが好 しく、さらに好ましくは、1:1~5:1の範囲内で ある。

 本発明において、プレコート層の厚みは 1μm以下であることが好ましい。プレコート 層の厚みが1μmを超えると、その上に合剤層 形成した後乾燥して得られる電極において 合剤層中の活物質と集電体との接触が不十 となり、良好な集電性が得られない場合が る。プレコート層の厚みの下限値は、特に 定されるものではないが、一般には0.01μm以 とすることが好ましい。プレコート層の厚 が薄くなりすぎると、密着強度が高められ という本発明の効果が十分に得られない場 がある。従って、プレコート層の厚みは、0 .01~1μmの範囲であることが好ましくは、さら 好ましくは、0.1~1μmの範囲である。

 本発明において、プレコート層を塗布す 方法は、特に限定されるものではないが、 えば、グラビアコート法が挙げられる。グ ビアコート法を用いて塗布することにより 厚みが薄くても均一なプレコート層を形成 ることができる。

 本発明に従い、プレコート層を形成する 極は、正極及び負極のいずれであってもよ 。近年、負極の作製において、水系スラリ を用いることが検討されており、このよう 水系スラリーを用いる負極の形成において 本発明を適用することができる。しかしな ら、水系スラリーを用いて正極を作製する 合も、本発明を適用することができるもの ある。

 負極活物質としては、特に限定されるも ではなく、リチウムイオン二次電池におい 負極活物質として用いることができるもの あればいずれのものでもよい。例えば、グ ファイト(黒鉛)、コークス、酸化スズ、金 リチウム、珪素、及びこれらの混合物など 挙げられる。

 また、正極活物質についても、リチウム オン二次電池に用いることができる正極活 質であれば特に限定されるものではなく、 バルト酸リチウムなどのリチウム含有遷移 属酸化物を挙げることができる。コバルト リチウム以外の具体例としては、Ni-Co-Mn系 リチウム複合酸化物、Ni-Mn-Al系のリチウム複 合酸化物、Ni-Co-Al系のリチウム複合酸化物な のニッケルを含むリチウム複合酸化物や、 ピネル型マンガン酸リチウム、オリビン型 酸鉄リチウムなどが挙げられる。

 本発明において、プレコート層を形成す ための水溶液におけるラテックス系結着剤 び水系分散剤の合計の濃度は、使用するラ ックス系結着剤及び水系分散剤の種類など より適宜調製されるものであるが、一般に 、0.2~15重量%となるように調製することがで きる。

 本発明における非水電解質は、特に限定 れるものではなく、リチウムイオン二次電 に用いることができる非水電解質を用いる とができる。

 非水電解質の溶質としては、例えば、LiBF 4 、LiPF 6 、LiN(SO 2 CF 3 ) 2 、LiN(SO 2 C 2 F 5 ) 2 、LiPF 6-x (C n F 2n+1 ) x (但し、1<x<6、n=1または2)などが挙げられ 。これらは1種単独で、または2種以上を混 して用いることができる。

 また、非水電解質二次電池の溶媒として 、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカ ーボネート(PC)、γ-ブチロラクトン(GBL)、ジエ チルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボ ート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)などを 用いることができる。好ましくは、環状カー ボネートと、鎖状カーボネートとを組合せて 用いられる。

 非水電解質中における溶質の濃度として 、特に限定されるものではないが、0.8~1.8モ ル/リットルの濃度が挙げられる。

 本発明の製造方法は、上記本発明の非水 解質二次電池を製造することができる方法 あり、集電体の上にプレコート層を形成す 工程と、プレコート層の上に、活物質、ラ ックス系結着剤及び水系分散剤を含む水系 ラリーを塗布して合剤層を形成した後乾燥 せる工程とを備えることを特徴としている

 本発明の非水電解質二次電池の製造方法 、上記の電極の製造方法を含むことを特徴 するものである。従って、上記の製造方法 より得られた電極は、電極内の密着強度が く、電池性能を高めることができる。また 水系スラリーを塗布した後、高い乾燥温度 乾燥することができるので、効率良く電極 生産することができる。

 水系スラリーを塗布した後、乾燥する際 乾燥温度は、特に限定されるものではない 、40~150℃の範囲の温度が挙げられる。

 上記のようにしてプレコート層の上に合剤 を形成した後、通常の電極作製工程と同様 、電極を圧延することが好ましい。このよ な圧延工程により、合剤層中の活物質を集 体に効率良く接触させ、集電性を高めるこ ができる。
(発明の効果)

 本発明によれば、水系スラリーを用いて 電体上に合剤層を形成した電極を用いた非 電解質二次電池において、効率良く生産す ことができ、電極内の密着強度が高く、電 性能を高めることができる非水電解質二次 池とすることができる。

図1は、本発明に従い、集電体の上にプ レコート層を形成し、プレコート層の上に合 剤層を形成した状態を示す断面図である。 図2は、従来の電極において、乾燥工程 により結着剤が合剤層表面に移動する状態を 説明するための断面図である。 図3は、電極の断面を示す電子顕微鏡写 真である。

符号の説明

 1…集電体
 2…合剤層
 3…結着剤
 4…熱風
 5…対流
 6…プレコート層
 10…界面
 11…下層
 12…中層
 13…上層

 以下、本発明をさらに詳細に説明するが 本発明は以下の実施例に何ら限定されるも ではなく、その要旨を変更しない範囲にお て適宜変更して実施することが可能なもの ある。

 (実施例1)
 [負極の作製]
 カルボキシメチルセルロース(CMC:品番「1380 :ダイセル化学工業株式会社製:エーテル化 1.0~1.5)を、純水に1重量%となるように溶解さ 、このCMC水溶液中に、スチレンブタジエン ム(SBR)ラテックスを固形分重量比(CMC:SBR)で1: 1となるように添加し、混合した。

 このように作製したCMC-SBR水溶液を、集電体 である銅箔の両面に、150メッシュのグラビア ロールを用いて、1.0m/分の速度で塗布し、第1 乾燥室(70℃)と、第2乾燥室(105℃)に通して乾 し、プレコート層を形成した。プレコート の両面における塗布量は、0.5mg/10cm 2 であり、片面におけるプレコート層の厚みは 、0.2μmとした。

 次に負極活物質としての人造黒鉛と、上 と同じCMC:1380及びSBRを重量比(活物質:CMC:SBR) 、98:1:1となるように純水中でこれらを混合 、水系スラリーを作製した。次に、プレコ ト層を両面に形成した銅箔の両面上に水系 ラリーを塗布し、合剤層を形成した。形成 た合剤層は、長さ4mの連続乾燥室を用いて 燥した。第1乾燥室(長さ2m)の温度を115℃とし 、第2乾燥室(長さ2m)の乾燥温度を120℃に設定 、1.5m/分の速度でこれらの乾燥室を通過さ 、合剤層を乾燥させた。その後、充填密度1. 60g/mlとなるように圧延した。得られた電極を 、本発明負極tとする。

 [正極の作製]
 正極活物質としてのコバルト酸リチウムと 炭素導電剤であるアセチレンブラックと、 着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、 量比(活物質:導電剤:結着剤)で、95:2.5:2.5と るようにN-メチルピロリドン(NMP)中に混合し 正極作製用スラリーを調製した。

 上記の正極作製用スラリーを、アルミニ ム箔の両面上に塗布し、乾燥した後、充填 度が3.60g/mlとなるように圧延した。

 [非水電解液の調製]
 エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボ ネート(DEC)の3:7の容積比の混合溶媒に、LiPF 6 を1.0モル/リットルとなるように溶解し、非 電解液として用いた。

 [電池の組立]
 正極及び負極のそれぞれにリード端子を取 付け、セパレータ(ポリエチレン製:膜厚16μm 、空孔率47%)を介して、正極及び負極を重ね せ、これを渦巻き状に巻き取ったものをプ スして、扁平状に押し潰した電極体を作製 た。この電極体を電池外装体としてのアル ニウムラミネートに入れ、その後上記非水 解液を注入し、注入後封止して、リチウム オン二次電池(本発明電池T)を作製した。こ 電池の設計容量は750mAhである。なお、電池 設計容量は、4.20Vまでの充電終止電圧を基準 にして設計を行った。

 (実施例2)
 カルボキシメチルセルロース(CMC:1380)とスチ レンブタジエンゴム(SBR)とを固形分重量比(CMC :SBR
)で1:3となるように混合し、プレコート層を 成した以外は、上記実施例1と同様にして負 を作製した。この負極を、本発明負極t2と た。この本発明負極t2を用いる以外は、上記 実施例1と同様にして本発明電池T2を作製した 。

 (実施例3)
 カルボキシメチルセルロース(CMC:1380)とスチ レンブタジエンゴム(SBR)とを固形分重量比(CMC :SBR
)で1:5となるように混合し、プレコート層を 成した以外は、上記実施例1と同様にして負 を作製した。この負極を、本発明負極t3と た。この本発明負極t3を用いる以外は、上記 実施例1と同様にして本発明電池T3を作製した 。

 (実施例4)
 カルボキシメチルセルロース(CMC:品種「BSH-1 2」:第一工業製薬株式会社社製:エーテル化度 0.65~0.75)を、純水に0.5重量%となるように溶解 せ、このCMC水溶液中に、スチレンブタジエ ゴム(SBR)ラテックスを固形分重量比(CMC:SBR) 1:3となるように添加し、混合して得られたCM C-SBR水溶液を用いてプレコート層を形成した 外は、上記実施例1と同様にして負極を作製 した。この負極を、本発明負極t4とした。

 (実施例5)
 合剤層の形成に用いた水系スラリーの作製 カルボキシメチルセルロース(CMC:品種「BSH-1 2」:第一工業製薬株式会社社製:エーテル化度 0.65~0.75)を用いたこと以外は、上記実施例2と 様にして負極を作製した。この負極を、本 明負極t5とした。

 (実施例6)
 カルボキシメチルセルロース(CMC:品種「BSH-1 2」:第一工業製薬株式会社社製:エーテル化度 0.65~0.75)を、純水に0.5重量%となるように溶解 せ、このCMC水溶液中に、スチレンブタジエ ゴム(SBR)ラテックスを固形分重量比(CMC:SBR) 1:3となるように添加し、混合して得られたCM C-SBR水溶液を用いてプレコート層を形成した 外は、上記実施例5と同様にして負極を作製 した。この負極を、本発明負極t6とした。

 (比較例1)
 プレコート層を形成しない以外は、上記実 例1と同様にして負極を作製した。この負極 を、比較負極r1とした。この比較負極r1を用 る以外は、上記実施例と同様にして比較電 R1を作製した。

 (比較例2)
 プレコート層を、CMC:1380のみを含む1重量%の CMC水溶液で形成すること以外は、上記実施例 1と同様にして負極を作製した。この負極を 較負極r2とした。

 (比較例3)
 プレコート層を、SBRのみを含む1重量%のSBR 溶液で形成すること以外は、上記実施例1と 様にして負極を作製した。この負極を比較 極r3とした。

 (比較例4)
 第1乾燥室(長さ2m)の乾燥温度を60℃とし、第 2乾燥室(長さ2m)の乾燥温度を110℃とし、1m/分 速度でこれらの乾燥室を通過させて乾燥す 以外は、上記比較例1と同様にして負極を作 製した。従って、ここでは、プレコート層を 形成せずに負極を作製した。この負極を、比 較負極r4とした。

 (比較例5)
 プレコート層を形成しないこと以外は、上 実施例5と同様にして負極を作製した。この 負極を比較負極r5とした。

 [結着剤の分布状態の観測]
 比較負極r1の合剤層中の結着剤の分布状態 、以下のようにして観測した。

 圧延後の比較負極r1について、クロスセク ョンポリッシャー(「SM-09010」、JEOL社製)で断 面を切り出した。2重量%のOsO 4 水溶液0.3mlを、シャーレに滴下し、その近傍 直接触れないように、断面を切り出した負 を設置した。その後シャーレの蓋を閉め、2 時間放置することによって、負極の合剤層中 に含有されている結着剤が有する二重結合部 にOsを吸着させた。すなわち、二重結合がOs よって酸化されることを利用し、Osの分布を 測定することにより、間接的に電極内部にお ける結着剤の分布を測定した。測定は、EDX( JSM-6500F」、JEOL社製)を用いて行った。

 図3は、負極の断面を示す電子顕微鏡写真 である。集電体1と合剤層2の界面10より上の 分について、二重結合の分布を測定した。 剤層2の上層13、中層12、及び下層11のそれぞ の部分における二重結合の割合(%)を測定し 表1にその結果を示した。

 表1に示すように、結着剤の存在割合は、 合剤層全体において均一ではなく、下層より 中層が高く、中層より上層のほうが高くなっ ており、結着剤が合剤層の表面近傍に偏在し ていることが確認された。

 〔プレコート層厚み測定〕
 なお、実施例1~3において、以下の方法でプ コート層の厚みを測定した。負極集電体上 プレコート層を形成した後、その表面にVG  Microtech製SPUTTER COATER(SC7640)で金コート層を形 した。JEOL製クロスセクションポリッシャー (SM-09010)で断面を切り出し、JEOL製SEM(JSM-6500F) 集電体層と金コート層のギャップを測定す ことによってプレコート層の厚みを測定し 。実施例1~3におけるプレコート層の厚みの 定結果を表3に示す。表3に示すように、実施 例1~3の全てにおいて、厚み0.2μmのプレコート 層が形成されていることを確認した。

 [負極の密着強度の評価]
 本発明負極t、及び比較負極r1~r4の負極につ て、密着強度を以下のようにして評価した 引張圧縮試験機(「SV-5」及び「DRS-5R」、今 製作所製)を用い、負極の合剤層表面に、3cm 2 の粘着テープ(3M製:Scotch Double-coatedtape 666)を り付けた円形試験片を押し当て、一定の速 (300mm/分)で上方に引っ張り、剥離時の最大 度を測定した。測定結果を表2に示す。

 表2に示すように、本発明に従い、プレコ ート層を形成した後、その上に合剤層を形成 して作製した本発明負極tは、プレコート層 形成せずに作製した比較負極r1に比べ、高い 密着強度が得られている。また、低温で乾燥 した比較負極r4と比較負極r1を比べると、低 で乾燥させた比較負極r4の方が高い密着強度 が得られている。このことから、高温で乾燥 させることにより、結着剤が合剤層中でマイ グレーションし、密着強度が低下することが わかる。また、CMCのみをプレコート層に用い た比較負極r2では、密着強度が著しく低下し いる。また、プレコート層にSBRのみを用い 比較負極r3は、合剤層表面に粘着性があり 良好な塗布面を形成することができなかっ 。このため、密着強度の測定をすることが きなかった。

 同様に本発明負極t2及びt3の密着強度につい ても上記方法で測定した。
 また、上記した180度剥離試験方法による負 の密着強度評価とは別に、以下の90度剥離 験方法を用いて本発明負極t2及びt3、並びに 較負極r1の密着強度を評価した。

 120mm×30mmサイズのアクリル板上に100mm×25mm サイズの負極を70mm×20mmサイズの両面テープ( チバン株式会社社製「ナイスタック NW-20」 )を用いて貼り付け、貼り付けられた負極の 部を日本電産シンポ株式会社社製小型卓上 験機(「FGS-TV」及び「FGP-5」)で負極合剤層表 に対して90度の方向に、一定速度(100mm/min)で 上方に50mm引っ張り、剥離時の平均強度を測 した。測定結果を表2に示した結果と共に表3 に示す。

 表3に示すように、180度剥離試験と90度剥 試験とのいずれの評価結果においても同様 傾向がみられ、本発明に従い、プレコート を形成し後、その上に合剤層を形成して作 した本発明負極t,t2及びt3は、プレコート層 形成せずに作製した比較負極r1に比べ、高 密着強度が得られている。また、本発明負 t,t2及びt3の測定結果から、プレコート層中 含まれるSBRの割合が増加するにつれて密着 度が高くなることがわかった。

 これらのことから、プレコート層中のラ ックス系結着剤の比率を高めると負極合剤 の密着強度が高まる傾向にあるが、プレコ ト層の表面における粘着性も高まるため、 の後の合剤層作製工程において問題が生じ すくなる傾向にあることがわかる。密着強 を高めつつ、プレコート層の表面における 着性を低くおさえる観点から、ラテックス 結着剤とカルボキシメチルセルロースの重 比は1:1~5:1の範囲にあることが特に好ましい ことがわかる。

 また、同様に、本発明負極t4~t6及び比較 極r5についても、上記90度剥離試験方法を用 て密着強度を評価した。結果を他の本発明 極及び比較負極の結果と合わせて下記表4に 示す。

 表4に示すように、合剤層とプレコート層 とで異なるカルボキシメチルセルロースを用 いた本発明負極t4における密着強度は、プレ ート層を形成しない比較負極r1の密着強度 りは高かったものの、合剤層とプレコート とで同じカルボキシメチルセルロースを用 た本発明負極t2の密着強度よりは低かった。 同様に、合剤層とプレコート層とで異なるカ ルボキシメチルセルロースを用いた本発明負 極t5における密着強度は、プレコート層を形 しない比較負極r5の密着強度よりは高かっ ものの、合剤層とプレコート層とで同じカ ボキシメチルセルロースを用いた本発明負 t6の密着強度よりは低かった。以上の結果か ら、合剤層とプレコート層とで異なるCMCを用 いた場合でも電極の密着性を高めることがで きるが、合剤層とプレコート層とで同じカル ボキシメチルセルロースを水系分散剤として 用いることにより電極の密着性をより高くす ることができることがわかる。

 また、水系分散剤として、エーテル化度 0.65~0.75であるCMC:BSH12を用いた本発明負極t6 密着強度は、水系分散剤として、エーテル 度が1.0~1.5であるCMC:1380を用いた本発明負極t2 の密着強度よりも高かった。この結果から、 水系分散剤としてエーテル化度の低いCMCを用 いることにより、電極の密着強度を高くする ことができることがわかる。

 [負極合剤層と集電体の界面の結着剤及び活 物質の割合]
 本発明負極t及び比較負極r1について、負極 剤層と集電体の界面における結着剤と活物 の割合を測定した。上記の[結着剤の分布状 態の観測]と同様にして、結着剤が有する二 結合部にOsを吸着させ、EDXでOsと炭素の量を れぞれ測定することにより、結着剤と活物 の割合を求めた。炭素の量には、結着剤の 素も含まれているので、Osの量から求めた 着剤の量に相当する炭素の量を差し引いて 活物質の量を算出した。

 結果を表5に示す。

 水系スラリー中における結着剤と活物質 固形分重量比(結着剤/活物質)は、1/98であり 、1.02重量%である。本発明負極tにおいては、 1.70重量%となっており、スラリー固形分濃度 よりも高くなっている。これに対し、比較 極r1においては、0.4重量%となっており、ス リー固形分濃度比よりも著しく低くなって る。これらのことから、本発明に従い、プ コート層を形成することにより、負極集電 と合剤層の界面における結着剤の濃度を高 ることができることがわかる。また、この うに界面における結着剤の濃度を高めるこ により、表2に示すように、密着強度を高め ることができることがわかる。

 [放電負荷試験]
 本発明電池T及び比較電池R1について、以下 充放電条件で、充放電サイクルを1回行い、 再度1Cで充電を行った後、3C(2250mA)で2.75Vまで 電流放電を行った。

 ・充電条件
 1C(750mA)の電流で4.20Vまで定電流充電を行い 4.20Vの定電圧で電流C/20(37.5mA)になるまで充電 した。

 ・放電条件
 1C(750mA)の電流で2.75Vまで定電流放電を行っ 。

 ・休止
 充電と放電の間の間隔を10分とした。

 以上の充放電試験で測定された3Cでの放 容量及び1Cでの放電容量から、以下の計算式 により、3C負荷特性を求め、結果を表6に示し た。

 3C負荷特性(%)=(3Cでの放電容量/1Cでの放電 量)×100

 表6に示すように、本発明電池Tと比較電 R1の負荷特性は、同等レベルであった。この ことから、本発明に従い、集電体の上にプレ コート層を形成し、このプレコート層の上に 合剤層を形成した場合であっても、集電性が 低下しないことがわかる。

 また、本発明電池T2及びT3についても同様 に、上記の方法で放電負荷試験を行った。結 果を、表6に示す結果と共に表7に示す。

 表7に示すように、本発明電池T2及びT3の 荷特性も、比較電池R1の負荷特性と同等レベ ルであることから、表7に示す結果からも、 発明に従い、集電体上のプレコート層を形 し、このプレコート層の上に合剤層を形成 た場合であっても、集電性が低下しないこ がわかる。

 本発明によれば、電極内で高い密着強度 得ることができる。従って、このような高 密着強度により、充放電サイクルの繰り返 により生じると考えられる活物質の剥離等 抑制することができ、電池性能を高めるこ ができる。

 また、本発明によれば、上述のように、 い乾燥温度で電極を作製することができる で、電池を効率良く生産することができる

 上記の実施例においては、負極に本発明 適用したが、正極について本発明を適用し も、本発明の効果を得ることができる。




 
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