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Patent Searching and Data


Title:
NONVOLATILE STORAGE ELEMENT, NONVOLATILE STORAGE DEVICE, AND METHOD FOR WRITING DATA INTO NONVOLATILE STORAGE ELEMENT
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/136467
Kind Code:
A1
Abstract:
Provided is a nonvolatile storage element including: a first electrode (503), a second electrode (505), and a resistance-variable layer (504) arranged between the first electrode and the second electrode. The resistance value between the first electrode and the second electrode is reversibly changed by an electric signal of both positive and negative polarity applied between the first electrode and the second electrode. The resistance-variable layer contains an oxygen-deficient hafnium oxide. The first electrode and the second electrode are formed from different chemical elements. The standard electrode potential V1 of the element constituting the first electrode, the standard electrode potential V2 of the element constituting the second electrode, and the standard electrode potential VO of hafnium are in the relationship satisfying: V1 < V2 and V0 < V2.

Inventors:
MITANI SATORU
KANZAWA YOSHIHIKO
KATAYAMA KOJI
WEI ZHIQIANG
TAKAGI TAKESHI
Application Number:
PCT/JP2009/001682
Publication Date:
November 12, 2009
Filing Date:
April 13, 2009
Export Citation:
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Assignee:
PANASONIC CORP (JP)
MITANI SATORU
KANZAWA YOSHIHIKO
KATAYAMA KOJI
WEI ZHIQIANG
TAKAGI TAKESHI
International Classes:
H01L27/10; H01L45/00; H01L49/00
Domestic Patent References:
WO2008029446A12008-03-13
WO2007083362A12007-07-26
WO2009050861A12009-04-23
WO2009050833A12009-04-23
Other References:
HENG-YUAN LEE ET AL.: "Low-Power Switching of Nonvolatile Resistive Memory Using Hafnium Oxide", JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, vol. 46, no. 4B, 24 April 2007 (2007-04-24), pages 2175 - 2179
Attorney, Agent or Firm:
PATENT CORPORATE BODY ARCO PATENT OFFICE (JP)
Patent business corporation Owner old patent firm (JP)
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Claims:
 第1電極と第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在する抵抗変化層とを備え、前記第1電極および前記第2電極間に与えられる正負両極性の電気的信号によって可逆的に前記第1電極および前記第2電極間の抵抗値が変化する不揮発性記憶素子であって、
 前記抵抗変化層は、酸素不足型のハフニウム酸化物を含み、
 前記第1電極および前記第2電極は、異なる元素から構成され、
 前記第1電極を構成する元素の標準電極電位V1と、前記第2電極を構成する元素の標準電極電位V2と、ハフニウムの標準電極電位V0との関係が、V1<V2かつV0<V2を満足する、不揮発性記憶素子。
 第1電極と第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在する抵抗変化層とを備え、前記第1電極および前記第2電極間に与えられる正負両極性の電気的信号によって可逆的に前記第1電極および前記第2電極間の抵抗値が変化する不揮発性記憶素子において、
 前記抵抗変化層は、酸素不足型のハフニウム酸化物を含み、
 前記第1電極および前記第2電極は、異なる元素から構成され、
 前記第1電極を構成する元素の標準電極電位V1と、前記第2電極を構成する元素の標準電極電位V2と、ハフニウムの標準電極電位V0との関係が、V1≦V0<V2を満足することを特徴とする不揮発性記憶素子。
 前記第1電極は、Al、Ti、Hfからなる群から選択される事を特徴とし、前記第2電極はW、Cu、Ptからなる群から選択される事を特徴とする請求項2に記載の不揮発性記憶素子。
 第1電極と第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在する抵抗変化層とを備え、前記第1電極および前記第2電極間に与えられる正負両極性の電気的信号によって可逆的に前記第1電極および前記第2電極間の抵抗値が変化する不揮発性記憶素子において、
 前記抵抗変化層は、酸素不足型のハフニウム酸化物を含み、
 前記第1電極および前記第2電極は、異なる元素から構成され、
 前記第1電極を構成する元素の標準電極電位V1と、前記第2電極を構成する元素の標準電極電位V2と、ハフニウムの標準電極電位V0との関係が、V0<V1<V2を満足することを特徴とする不揮発性記憶素子。
 前記第1電極は、Wからなり、前記第2電極はCu、Ptからなる群から選択される事を特徴とする請求項4に記載の不揮発性記憶素子。
 前記酸素不足型のハフニウム酸化物がHfO X (0.9≦x≦1.6)の化学式で表されることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の不揮発性記憶素子。
 請求項1~6のいずれかに記載の不揮発性記憶素子の駆動方法であって、前記正負両極性の電気的信号は、前記第1電極を基準として前記第2電極側に与えられる振幅V+の正極性の電気的信号および振幅V-の負極性の電気的信号であり、V+とV-との関係が、V-<V+を満足し、前記正極性の電気的信号が与えられることによって前記第1電極および前記第2電極間の抵抗値が増大し、前記負極性の電気信号が与えられることによって前記第1電極および前記第2電極間の抵抗値が減少することを特徴とする不揮発性記憶素子の駆動方法。
 第1電極と第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在する抵抗変化層とを備え、前記第1電極および前記第2電極間に与えられる正負両極性の電気的信号によって可逆的に前記第1電極および前記第2電極間の抵抗値が変化し、前記抵抗変化層は、酸素不足型のハフニウム酸化物を含み、前記第1電極および前記第2電極は、異なる元素から構成され、前記第1電極を構成する元素の標準電極電位V1と、前記第2電極を構成する元素の標準電極電位V2と、ハフニウムの標準電極電位V0との関係が、V1<V2かつV0<V2を満足する、不揮発性記憶素子と、
 電気的パルス印加装置とを備え、
 前記電気的パルス印加装置は、正負両極性の電気的信号を前記不揮発性記憶素子に印加することで、前記不揮発性記憶素子の第1電極および第2電極間の抵抗値を可逆的に変化させるように構成されている、不揮発性記憶装置。
 第1電極と第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在する抵抗変化層とを備え、前記第1電極および前記第2電極間に与えられる正負両極性の電気的信号によって可逆的に前記第1電極および前記第2電極間の抵抗値が変化し、前記抵抗変化層は、酸素不足型のハフニウム酸化物を含み、前記第1電極および前記第2電極は、異なる元素から構成され、前記第1電極を構成する元素の標準電極電位V1と、前記第2電極を構成する元素の標準電極電位V2と、ハフニウムの標準電極電位V0との関係が、V1<V2かつV0<V2を満足する、不揮発性記憶素子へのデータ書込方法であって、
 正負両極性の電気的信号を前記不揮発性記憶素子の前記第1電極および前記第2電極間に印加することで、前記不揮発性記憶素子の前記第1電極および前記第2電極間の抵抗値を可逆的に変化させる、不揮発性記憶素子へのデータ書込方法。
Description:
不揮発性記憶素子、不揮発性記 装置、および不揮発性記憶素子へのデータ 込方法

 本発明は、不揮発性記憶素子に関し、特 、印加される電気的信号に応じて抵抗値が 化する抵抗変化型の不揮発性記憶素子、不 発性記憶装置、および不揮発性記憶素子へ データ書込方法に関する。

 近年、デジタル技術の進展に伴い、携帯 情報機器および情報家電などの電子機器が より一層高機能化している。そのため、不 発性記憶素子の大容量化、書き込み電力の 減、書き込み/読み出し時間の高速化、およ び長寿命化の要求が高まっている。

 こうした要求に対して、既存のフローテ ングゲートを用いたフラッシュメモリの微 化には限界があると言われている。そこで 最近、抵抗変化層を記憶部の材料として用 る新たな抵抗変化型の不揮発性記憶素子に 目が集まっている。

 この抵抗変化型の不揮発性記憶素子は、 本的には図17に示したように、抵抗変化層17 02を下部電極1701と上部電極1703でサンドイッ したような非常に単純な構造で構成される そして、この上下の電極間にある閾値以上 大きさの電圧を有する所定の電気的パルス 与えるだけで、抵抗が高抵抗もしくは低抵 状態に変化する。そして、これらの異なる 抗状態と数値を対応させ情報の記録を行う である。抵抗変化型の不揮発性記憶素子は のような構造上及び動作上の単純さから、 らなる微細化や低コスト化が可能であると 待されている。さらに、高抵抗と低抵抗の 態変化が100ns以下オーダーで起こる場合もあ る事から、高速動作という観点からも注目を 集めており、種々の提案が成されている。

 例えば、特許文献1に開示されているのは 、上部電極と下部電極に電圧を印加する事で 抵抗変化層1702内に金属イオンを出し入れし 高抵抗と低抵抗状態を作り出し、情報を記 するタイプの抵抗変化型の不揮発性記憶素 である。また、特許文献2に開示されている うな、抵抗変化層の結晶状態を電気パルス 変化させて抵抗状態を変化させるようなタ プの抵抗変化型メモリも知られている。

 さらに、上記に加えて、抵抗変化層1702に金 属酸化物を使った抵抗変化型の不揮発性記憶 素子に関する提案も多くなされている。この ような金属酸化物を使った抵抗変化型の不揮 発性記憶素子は、抵抗変化層に用いる材料で 大きく2種類に分類される。一つは、特許文 3等に開示されているペロブスカイト材料(Pr (1-x) CaXMnO 3 (PCMO)、LaSrMnO 3 (LSMO)、GdBaCo x O y (GBCO)等)を抵抗変化層として用いた抵抗変化 の不揮発性記憶素子である。

 もう一つは、2元系の遷移金属酸化物を用 いた抵抗変化型の不揮発性記憶素子である。 2元系の遷移金属酸化物は、上述のペロブス イト材料と比較しても非常に単純な組成で るため、製造時の組成制御および成膜が比 的容易である。その上、半導体製造プロセ との整合性も比較的良好であるという利点 あり、最近、特に精力的に研究がなされて る。

 例えば、特許文献4では、抵抗変化材料とし てNiO、V 2 O 5 、ZnO、Nb 2 O 5 、TiO 2 、WO 3 、CoOが開示されている。また、特許文献5や 特許文献1~3では、Ni、Nb、Ti、Zr、Hf、Co、Fe、 Cu、Cr等の遷移金属の酸化物で、特に、酸素 化学量論的組成から不足した酸化物(以下、 素不足型の酸化物と呼ぶ)を抵抗変化材料と して使った抵抗変化素子が開示されている。

 ここで酸素不足型の酸化物をもう少し説 する。例えば、Niの場合、化学量論的組成 有する酸化物として、NiOが知られている。 のNiOでは、O原子とNi原子が同数含まれてお 、酸素含有率で表現すると50at%である。この 酸素含有率50at%よりも酸素含有率が低くなっ 状態の酸化物を酸素不足型の酸化物と呼ぶ なお、この例の場合、Niの酸化物であるの 、酸素不足型のNi酸化物と表現できる。

 さらに、特許文献6や非特許文献2には、チ 化チタンの表面を酸化してナノメートルオ ダーのチタン酸化物(TiO 2 )結晶膜を形成したような構造を抵抗変化層 使う例も開示されている。

 また、抵抗変化の様式という点から見る 、上記の金属酸化物を使った不揮発性記憶 子は2種類に分類される。一つは、同一の極 性の大きさの異なる電圧を有する電気パルス で抵抗変化をさせるユニポーラ型である(例 ば+1Vと+2Vの電圧を印加して抵抗値を増減さ る)。特許文献4や5に開示されている不揮発 素子がこれにあたる。もう一つは、極性の なる電圧を有する電気パルスで抵抗変化を 御するバイポーラ型である(例えば+1Vと-1Vの 圧を印加して抵抗値を増減させる)。このよ うな様式の不揮発性記憶素子は、特許文献3 6に開示されている。

 さらに、抵抗変化層を挟んでいる上下の電 材料についても、例えば、特許文献5には、 イリジウム(Ir)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、タ ングステン(W)、Ir及びRuの酸化物、チタン(Ti) 窒化物、ポリシリコン等が開示されている さらに、特許文献6には、Pt、Ir、オスミウ (Os)、Ru、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、Ti、 バルト(Co)、W等を電極材料に使用した不揮 性記憶素子が開示されている。また、特許 献7には、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、Ptが 示され、特許文献8には、Pt、Ir、Ru、Ir酸化 、Ru酸化物が開示されている。

特開2006-40946号公報

特開2004-349689号公報

米国特許第6473332号明細書

特開2004-363604号公報

特開2005-317976号公報

特開2007-180202号公報

特開2007-88349号公報

特開2006-324447号公報 I.G.Beaket al., Tech. Digest IEDM 2004,587頁 JapaneseJournal of Applied Physics Vol45, NO11,  2006, pp.L310-L312 A.Chenet al., Tech. Digest IEDM 2005,746頁

 しかしながら、上下の電極材料の組み合 せに依存した抵抗変化現象の制御性等に関 るデータについてはこれまで開示されてい い。つまり、抵抗変化型の不揮発性記憶素 において、抵抗変化を実現しやすいと推察 れる電極の候補については、上述のように 特許文献5乃至8に開示がなされている。し しながら、抵抗変化型の不揮発性記憶素子 組み込んだメモリ装置を製造した場合に、 御性良く抵抗変化を発生させるための好適 上下電極の材料の組み合わせについては開 されていない。

 発明者らは、上下の電極に用いる好適な材 の組み合わせを考慮せずに、不揮発性記憶 子を作製し、その電気的特性を調べた。作 したのは基本構造が図17のような素子であ 、抵抗変化層1702に酸素不足型のHf酸化物を い、これをPtからなる下部電極1701と、同じ Ptからなる上部電極1703でサンドイッチした うな上下対称な構造とした。ここで、抵抗 化層1702の酸素不足型のHf酸化物の酸素含有 は56.8at%とした(HfO x と表現した時、xは1.31)。以下、この不揮発性 素子を素子Aと呼ぶ。なお、素子の名称と電 材料の関係は、下記に示す実施の形態で説 する素子も全てまとめて表2に示した。

 図14は素子Aに電気的パルスを加えた時の 抗変化を示す。ここで、図14(a)及び(b)の横 は下部電極1701と上部電極1703の間に加えた電 気的なパルスの数であり、縦軸は抵抗値であ る。

 まず、図14(a)は、下部電極1701と上部電極1 703の間には、パルス幅が100nsecで、下部電極17 01を基準として上部電極1703に+1.5Vと-1.2Vの電 を有する電気的パルスを交互に印加した時 抵抗の測定結果である。この場合、+1.5Vの電 圧の電気パルスを印加する事で抵抗値は500~70 0ω程度となり、-1.2Vの電圧の電気パルスを印 した場合は、140ω程度と変化していた。す わち、上部電極1703に下部電極1701よりも高い 電圧の電気パルスを加えた時に高抵抗化する 変化を示した。

 次に、印加する電圧のバランスを変化さ 、負の電圧を大きくした場合の結果が図14(b )である。この場合、下部電極1701を基準とし 上部電極1703に-1.5Vと+1.2Vの電圧の電気的パ スを印加した。すると、-1.5Vの電気パルスを 印加した時に、高抵抗化し、抵抗値は900~1200 程度となり、+1.2Vの電気パルスを印加した時 に低抵抗化して、抵抗値は150ω程度となって る。すなわち、上部電極1703に下部電極1701 りも高い電圧の電気パルスを加えた時に低 抗化しており、図14(a)のを測定した時と、正 反対の動作を示した。

 上記の結果は、素子Aのような素子が、バ イポーラ型の不揮発性記憶素子の動作として は非常に不適当である事を示している。バイ ポーラ型の不揮発性記憶素子は、印加する電 気的パルスの電圧の大きさで抵抗変化を制御 しているわけではなく、極性の異なる電圧を 有する電気パルスで抵抗を制御する点に特徴 がある。つまり、素子に印加する電圧の大き さが多少ばらついた場合や、製造時のばらつ き等の要因によって抵抗変化を起こす閾値の 電圧が多少ばらついても、抵抗変化の方向性 (高抵抗から低抵抗、もしくは低抵抗から高 抗への変化の方向性)は、ばらつかない点に イポーラ型の素子の特徴がある。しかしな ら上記の素子Aの場合は、上部電極に正の電 圧を加えた時に抵抗値が増加する場合と、減 少する場合が存在しており、電極に印加する 電圧の極性によって抵抗値が一意に決まらな いという課題がある。

 上記のような、不揮発性記憶素子が印加 圧の極性に対して、2つのモードで抵抗変化 する原因を調べるため、不揮発性記憶素子の どの部分が抵抗変化を起こしているかを調べ た。この目的のために作製した素子が素子B ある。なお、今回はHfと同様のメカニズムで 動作していると考えられている、酸化不足型 のTa酸化物を用いた場合の結果を示す。図15 示したのは素子Bの断面の模式図である。こ 図のように、100nmの酸素不足型のTa酸化物層 205の上下にPtで2つずつ、合計4つの電極201~電 204を形成した。そして、電極202を基準にし 電極201に100nsecのパルス幅で+2.0Vと-1.5Vの電 を印加した。すると、+2.0Vの電圧の電気パル スを印加した時に高抵抗化し、-1.5Vの電圧の 気パルスを印加した時に低抵抗化した。こ ように電極201と電極202の抵抗を変化させた 態で4つの電極間の抵抗値を測定した。具体 的には、電極201と電極202に+2.0Vを印加して電 201と電極202の間の抵抗を高抵抗化した状態 、電極201と電極203、電極201と電極204、電極2 02と電極203、電極202と電極204、電極203と電極2 04の間の抵抗値をそれぞれ測定した。次に、 極201と電極202に-1.5Vを印加して電極201と電 202の間の抵抗を低抵抗化した状態で、上述 同様に各電極間の抵抗値を測定した。

 以上のような測定を10回ずつ繰り返し、 電極間の抵抗値をまとめると、表1に示すよ な結果が得られた。

 すなわち、電極201に関連した部分だけに抵 値の変化が見られ、電極201が関与していな 場所では、抵抗値がほとんど変化していな という結果が得られた。この事から、電極2 01と電極202の間に電圧を印加した時に抵抗の 化が起こっていたのは、電極201の近傍だけ あった事が分かる。

 以上の事より、酸素不足型のTa酸化物を 抗変化層に用いた抵抗変化素子で抵抗変化 生じているのは酸素不足型のTa酸化物層の中 でも電極に近い部分だけであるといえる。ま た、高抵抗化を起こす時に、高い電位となっ ている側の電極の近傍が抵抗変化を起こして いると考えられる(この場合、高抵抗化する 、電極202に対して電極201には高電位の電圧 かかっている)。

 この現象は遷移金属の酸素不足型のHf酸 物を用いた場合であっても同様であると考 る。なぜならば、Hf酸化膜を抵抗変化膜に使 用した不揮発性記憶素子でもTaの場合と同様 電極に加えられた電界によって抵抗変化の 象が観測されるからである。

 以上の結果を考慮すると、素子Aでは、上 部電極1703と酸素不足型のHf酸化物層1702の界 近傍で抵抗変化を起こすモード(上部電極モ ド)と、下部電極1701と酸素不足型のHf酸化物 層1702の界面近傍で抵抗変化を起こすモード( 部電極モード)の2つのモードで抵抗変化が こっていたと考えられる。印加した電気パ スの極性と抵抗変化の方向性を考慮すると 図14(a)は、上部電極モードが支配的に動作し ている場合であり、図14(b)は下部電極モード 支配的に動作している時の抵抗変化特性で った事も分かる。ここで、下部電極を基準 して、上部電極に負極性の電圧を加えたと に高抵抗化し、正極性の電圧を加えたとき 低抵抗化するようなモードをAモードと定義 し、下部電極を基準に上部電極に正極性の電 圧を印加したときに高抵抗化し、負極正の電 圧を加えたときに低抵抗化するようなモード をBモードと定義する(Aモードが下部電極モー ドに対応し、Bモードが上部電極モードに対 する。)。

 以上の結果から、抵抗変化膜を金属電極 挟んだような構造を有し、電極に印加する 圧の極性によって抵抗値が一意に決まる、 想的なバイポーラ型不揮発性記憶素子を形 するためには、上下両方の電極近傍で抵抗 化が起こるような構造を取るべきではない 考えられる。

 上記のような課題の他に、素子に繰り返 抵抗変化をさせた場合に、上部電極モード 下部電極モードの混ざりあいのような現象 、頻度は少ないが発生するという課題があ 。

 図16は、素子Aと同様の図17に示すような構 を有する別の素子の抵抗変化特性で
ある。すなわち、下部電極1701と上部電極1703 共にPtによって形成し、抵抗変化層1702とし 、酸素含有率62at%の酸素不足型のHf酸化物(Hf Oxと表現した時、xは1.6)を用いた不揮発性記 素子である。また、測定時に加えた電気的 ルスは、下部電極1701を基準として上部電極1 703を+2.0Vと-1.1Vの電圧とし、パルスの幅は100ns ecとした。この図を見ると、繰返し電気パル を印加したときの素子の低抵抗状態の抵抗 ばらついているのが分かる。

 この現象は、上記のように、上部電極モ ドと下部電極モードの混ざり合いによって 生したと考えられる。つまり、加えた電気 パルスは、下部電極1701を基準として上部電 極1703を+2.0Vと-1.1Vの電圧としているので、素 の抵抗は、理想的には上部電極側が高抵抗 低抵抗に変化を繰り返すはずであるが、こ 例では、下部電極側の抵抗も変化して素子 全抵抗が不安定に変化していると考えられ 。言い換えれば、下部電極と酸素不足型のH f酸化物の界面の抵抗が意図せず大きく変化 起こしたため、図16のような抵抗変化幅のふ らつきが発生したと考えられる。

 以上のような抵抗変化幅のふらつきは、 抗の大小によって情報を記憶する素子の特 としては、ふさわしくない。

 上記目的を達成するために、本発明の不 発性素子は、第1電極と第2電極と、前記第1 極と前記第2電極との間に介在する抵抗変化 層とを備え、前記第1電極および前記第2電極 に与えられる正負両極性の電気的信号によ て可逆的に前記第1電極および前記第2電極 の抵抗値が変化する不揮発性記憶素子であ て、前記抵抗変化層は、酸素不足型のハフ ウム酸化物を含み、前記第1電極および前記 2電極は、異なる元素から構成され、前記第 1電極を構成する元素の標準電極電位V1と、前 記第2電極を構成する元素の標準電極電位V2と 、ハフニウムの標準電極電位V0との関係が、V 1<V2かつV0<V2を満足する。

 また、ある好ましい実施形態においては、 記目的を達成するために、本発明の不揮発 素子は第1電極と第2電極と、前記第1電極と 記第2電極との間に介在する抵抗変化層とを 備え、前記第1電極および前記第2電極間に与 られる正負両極性の電気的信号によって可 的に前記第1電極および前記第2電極間の抵 値が変化する不揮発性記憶素子において、
 前記抵抗変化層は、酸素不足型のハフニウ 酸化物を含み、
 前記第1電極および前記第2電極は、異なる 素から構成され、
 前記第1電極を構成する元素の標準電極電位 V1と、前記第2電極を構成する元素の標準電極 電位V2と、ハフニウムの標準電極電位V0との 係が、V1≦V0<V2を満足することを特徴とす 。

 また、ある好ましい実施形態においては 前記第1電極は、Al、Ti、Hfからなる群から選 択される事を特徴とし、前記第2電極はW、Cu Ptからなる群から選択されてもよい。

 また、ある好ましい実施形態においては、 1電極と第2電極と、前記第1電極と前記第2電 極との間に介在する抵抗変化層とを備え、前 記第1電極および前記第2電極間に与えられる 気的信号によって可逆的に前記第1電極およ び前記第2電極間の抵抗値が変化する不揮発 記憶素子において、
 前記抵抗変化層は、酸素不足型のハフニウ 酸化物を含み、
 前記第1電極および前記第2電極は、異なる 素から構成され、
 前記第1電極を構成する元素の標準電極電位 V1と、前記第2電極を構成する元素の標準電極 電位V2と、ハフニウムの標準電極電位V0との 係が、V0<V1<V2を満足することを特徴とす る。

 またある好ましい実施形態においては前 第1電極は、Wからなり、前記第2電極はCu、Pt からなる群から選択される事を特徴とする。

 また、ある好ましい実施形態においては、 記酸素不足型のハフニウム酸化物がHfO X (0.9≦x≦1.6)の化学式で表されることを特徴と する。

 また本発明の不揮発性記憶素子の駆動方 は、前記のいずれかに記載の不揮発性記憶 子の駆動方法であって、前記正負両極性の 気的信号は、前記第1電極を基準として前記 第2電極側に与えられる振幅V+の正極性の電気 的信号および振幅V-の負極性の電気的信号で り、V+とV-との関係が、V-<V+を満足し、前 正極性の電気的信号が与えられることによ て前記第1電極および前記第2電極間の抵抗 が増大し、前記負極性の電気信号が与えら ることによって前記第1電極および前記第2電 極間の抵抗値が減少することを特徴とする不 揮発性記憶素子の駆動方法である。

 また、本発明の不揮発性記憶装置は、上 不揮発性記憶素子と、電気的パルス印加装 とを備え、前記電気的パルス印加装置は、 負両極性の電気的信号を前記不揮発性記憶 子に印加することで、前記不揮発性記憶素 の第1電極および第2電極間の抵抗値を可逆 に変化させるように構成されている。

 また、本発明の不揮発性記憶素子へのデ タ書込方法は、上記不揮発性記憶素子への ータ書込方法であって、正負両極性の電気 信号を前記不揮発性記憶素子の前記第1電極 および前記第2電極間に印加することで、前 不揮発性記憶素子の前記第1電極および前記 2電極間の抵抗値を可逆的に変化させる。

 本発明の上記目的、他の目的、特徴、及 利点は、添付図面参照の下、以下の好適な 施態様の詳細な説明から明らかにされる。

 本発明によれば、可逆的に安定した書き え特性を有する不揮発性記憶素子並びにそ 不揮発性記憶素子を用いた不揮発性記憶装 が得られる。

図1は、本発明の実施の形態に係る不揮 発性記憶素子構成を示す断面図である。 図2は、不揮発性記憶素子の抵抗値と電 気パルス印加回数との関係を示す図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る不揮 発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加回数 との関係を示す図である。 図4は、本発明の実施の形態に係る不揮 発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加回数 との関係を示す図である。 図5は、本発明の実施の形態に係る不揮 発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加回数 との関係を示す図である。 図6は、本発明の実施の形態に係る不揮 発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加回数 との関係を示す図である。 図7は、本発明の実施の形態に係る不揮 発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加回数 との関係を示す図である。 図8は、本発明の実施の形態に係る不揮 発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加回数 との関係を示す図である。 図9は、本発明の実施の形態に係る不揮 発性記憶素子の抵抗値と電気パルス印加回数 との関係を示す図である。 図10は、Aモード、Bモードの抵抗変化 結果をまとめた図である。 図11は、想定される抵抗変化のメカニ ムを示す図である。 図12は、想定される抵抗変化のメカニ ムを示す図である。 図13は、作製したHf酸化物層の組成を ザフォード後方散乱法(RBS法)によって解析し た結果を示す図である。 図14は、不揮発性記憶素子の抵抗値と 気パルス印加回数との関係を示す図である 図15は、素子Bの断面の模式図である。 図16は、不揮発性記憶素子の抵抗値と 気パルス印加回数との関係を示す図である 図17は、不揮発性記憶素子の基本構造 示す図である。

符号の説明

 200  素子B
 201,202,203,204  電極
 205  Ta酸化物層
 500  抵抗変化素子
 501  単結晶シリコン基板
 502  酸化物層
 503,1501,1601  上部電極
 504,1502,1602  Hf酸化物層
 505,1503,1603  下部電極
 506  素子領域
 1504,1604  酸素イオン
 1701  下部電極層
 1702  抵抗変化膜
 1703  上部電極

 以下、本発明の実施の形態を、図面を参 して詳しく説明する。なお、図中同一また 相当部分には同一の符号を付しその説明は 略する場合がある。

 (実施の形態)
 上述のように、酸素不足型のHf酸化物を使 たバイポーラ動作する抵抗変化型の不揮発 記憶素子では、上下のどちらかの電極近傍 のみ抵抗変化が起こりやすいような動作が ましい。もし、抵抗変化現象が電極材料に って変化するならば、抵抗が変化しやすい 極材料と抵抗が変化しにくい電極材料で酸 不足型のHf酸化物を挟んだような構造を作れ ば良い。本実施の形態では、この点を検証し た結果について説明する。

 なお、この検証結果を説明する前に、酸 不足型のHf酸化物層の形成方法や、酸素含 率の好適な範囲を説明する。その後、抵抗 化の起こりやすさが電極材料に依存するか うかの確認を行うため、Al、Ti、Ta、W、Cu、Pt からなる電極でHfOx層を挟んだ構造を形成し 電気パルスによる抵抗変化現象の様子を調 た結果について述べる。そして最後に、動 しやすい電極材料と動作しにくい電極材料 酸素不足型のHf酸化物を挟み込んだ構造の抵 抗変化素子の抵抗変化の測定結果について述 べる。

 [スパッタリング時の酸素流量比とHf酸化物 の酸素含有率との関係]
 まず、本実施の形態における酸素不足型のH f酸化物層の作製条件及び酸素含有率の解析 果について述べる。酸素不足型のHf酸化物層 は、Hfターゲットを(アルゴン)ArとO 2 ガス雰囲気中でスパッタリングする、いわゆ る、反応性スパッタリングで作製した。本実 施の形態での具体的な酸素不足型のHf酸化物 作製方法は次の通りである。

 まずスパッタリング装置内に基板を設置し スパッタリング装置内を3×10 -5 Pa程度まで真空引きする。Hfをターゲットと て、パワーを300W、アルゴンガスと酸素ガス をあわせた全ガス圧力を0.9Pa、基板の設定 度を30℃にし、スパッタリングを行った。こ こでは、Arガスに対するO 2 ガスの流量比を2%から4.2%まで変化させた。ま ずは、組成を調べる事が目的であるため、基 板としては、Si上にSiO 2 を200nm堆積したものを用い、Hf酸化物層の膜 は約50nmになるようにスパッタリング時間を 整した。このようにして作製したHf酸化物 の組成をラザフォード後方散乱法(RBS法)によ って解析した結果を図13に示す。この図から 酸素流量比を2%から4.2%に変化させた場合、H f酸化物層中の酸素含有率は約37.7at%(HfO 0.6 )から約69.4at%(HfO 2.3 )へと変化していることが分かる。以上の結 より、Hf酸化物層中の酸素含有率を酸素流量 比によって制御可能である事と、Hfの化学量 的な酸化物であるHfO 2 (HfO 2 )の酸素含有率66.7at%よりも酸素が不足してい 、酸素不足型のHf酸化物から酸素が過剰に 有されていると思われるHf酸化物までが形成 されている事が明らかとなった。

 なお、本実施の形態では、Hf酸化物層の 析にラザフォード後方散乱法(RBS)を利用した が、オージェ電子分光法(AES)、蛍光X線分析法 (XPS)、電子線マイクロアナリシス法(EPMA)等の 器分析手法も利用可能である。

 [酸素不足型のHf酸化物層の抵抗変化特性]
 以上のように作製した酸素不足型のHf酸化 のうち、どの程度の酸素含有率を有する酸 不足型のHf酸化物が抵抗変化を示すのかを調 べた。ここで酸素不足型のHf酸化物層を挟む 極の材料として用いたのは、上下の電極と にPtである。上下にPtを用いた場合は、上述 のように、バイポーラ型の抵抗変化型の不揮 発性素子としては不適当である。しかしなが ら、Ptは後述するように、抵抗変化を非常に しやすい電極材料であり、ある酸素含有率 有する酸素不足型のHf酸化物が抵抗変化を すか否かの判定を行うには最も好適な材料 ある。

 以上のような理由から、図1のような不揮 発性記憶素子500を形成した。すなわち、単結 晶シリコン基板501上に、厚さ200nmの酸化物層5 02を熱酸化法により形成し、下部電極層503と ての厚さ100nmのPt薄膜を、スパッタリング法 により酸化物層502上に形成した。その後、Hf ターゲットとして、反応性スパッタリング よって酸素不足型のHf酸化物層504を形成し 。本実施の形態で検討した範囲では、上記 分析試料と同様に、酸素ガスの流量比を、2% から4.2%まで変化させて不揮発性記憶素子を 製した。酸素不足型のHf酸化物層504の膜厚は 30nmとした。

 その後、酸素不足型のHf酸化物層504の上 、上部電極層505としての厚さ150nmのPt薄膜を パッタ法により堆積した。

 最後にフォトリソグラフィー工程とドラ エッチング工程によって、素子領域506を形 した。なお、素子領域506は、直径が3μmの円 形パターンである。

 以上のように作製した不揮発性記憶素子 抵抗変化現象を測定した。その結果、図13 α点(酸素流量比約2.7%、酸素含有率約46.6at%) らβ点(酸素流量比約3.3%、酸素含有率約62at%) Hf酸化膜を使った不揮発性記憶素子では、 抵抗値が低抵抗値の4倍以上と良好であった  図2(a)と(b)は、それぞれ、α点およびβ点の 酸素含有率を有するHf酸化物層を使った不揮 性記憶素子についてのパルス印加回数に対 る抵抗変化特性を測定した結果である。α の測定時に加えた電圧は下部電極を基準に て上部電極に100nsのパルス幅で+3.5Vと-5V、β の測定時に加えた電圧は下部電極を基準と て上部電極に100nsのパルス幅で+1.0Vと-1.3Vで る。またこれらは共にAモード動作であった

 図2(a)および図2(b)によれば、α点及びβ点の 素含有率を有するHf酸化物層を使った素子 は、共に、高抵抗値が低抵抗値の4倍以上と 好であることが判る。従って、酸素含有率 46.6~62at%の組成範囲、即ち抵抗変化層をHfO x と表記した場合におけるxの範囲が0.9≦x≦1.6 範囲がより適切な抵抗変化層の範囲である 言える(酸素含有率=46.6at%がx=0.9に、酸素含 率=62at%がx=1.6にそれぞれ対応)。なお、RBS法 よる組成分析では、酸素含有量の分析値は± 5at%程度の精度である。従って、前記xの組成 囲もこの精度に起因する測定誤差を含んで り、実際には、酸素含有率が42~67at%の組成 囲までこの適切な組成範囲である可能性が る。

 組成をHfOx(0.9≦x≦1.6)とし、電圧がV-<V+ 関係を満たすように駆動(バイポーラ駆動) ることで、高速に動作(100ns程度のパルス幅 駆動)することが可能となる。

 [上下の電極材料を変化させた抵抗変化素子 の抵抗変化]
 次に、抵抗変化の起こりやすさが、電極材 に依存するかどうかの確認を行うため、Wか らなる下部電極503とAl、Ti、Ta、W、Cu、Ptから る上部電極505で酸素不足型のHf酸化物層504 挟んだ構造を作製し、電気パルスによる抵 変化の様子を調べた結果について説明する 使用した酸素不足型のHf酸化物の酸素含有率 は、好適な酸素含有率の範囲で上限に近い61a t%(HfO 1.56 )とした。素子の形成方法は、Hf酸化物の成膜 方法は上記とほぼ同じであるが、Al、Ti、Ta、 W、Cu、PtはHf酸化物を形成後、一旦大気中に し、別のスパッタ装置でスパッタリング法 よって堆積した。

 作製した試料C~Iと下部電極、上部電極の関 を表2に示す。

 上記の試料C~Iを所定の振幅でパルス幅100n secの電気パルスを与えてBモードおよびAモー で抵抗変化させた。Bモード、Aモードどち の場合においても、一部の抵抗変化しにく 場合を除き、高抵抗化させるための電圧の 幅が低抵抗化させるための電圧の振幅より 大きくなった。

 図3~9にC~Iの各試料に対して、Bモード、A ードで正負の極性の電気パルスを交互に印 したときの抵抗変化素子の抵抗値の変化の 子を示す。それぞれの図において(a)はAモー での、(b)はBモードでの測定結果を示す。

 まず、図3(a)、(b)の上部電極にAlを用いた 料C、図4(a)、(b)の上部電極にTiを用いた試料 D、図5(a)、(b)の上部電極にHfを用いた試料Eの 果を見ると、Aモードでは比較的安定して、 1桁前後の変化幅で抵抗変化が生じているが Bモードではほとんど抵抗変化しないあるい まったく抵抗変化しないのが分かる。以上 結果から、上部電極が、Al、Ti、Hfで、下部 極がWの場合、上部電極側では抵抗変化が生 じず、下部電極側でのみ抵抗変化が生じてい るといえる。

 次に、図6(a)、(b)の上部電極にTaを用いた 料Fでは、Aモードでは比較的安定して、大 な幅で抵抗変化が生じているが、Bモードで 、最初わずかであるがBモードの抵抗変化が 見られたがパルス数とともにその変化幅が減 少していき、ほとんど抵抗変化を示さなくな った。以上の結果から、上部電極が、Taで、 部電極がWの場合、上部電極側では抵抗変化 幅が小さく、繰り返しとともに抵抗変化が生 じにくくなるが、下部電極側では安定した抵 抗変化が生じているといえる。

 図7(a)、(b)の上部電極にWを用いた試料Gで 、Bモード、Aモード共に比較的安定した抵 変化が生じた。

 次に、図8(a)、(b)の上部電極にCuを用いた 料H、図9(a)、(b)の上部電極にPtを用いた試料 Iでは、Bモードでは比較的安定して、1桁前後 の変化幅で抵抗変化が生じているが、Aモー ではやや不安定で変化幅が小さな抵抗変化 示すのが分かる。以上の結果から、上部電 が、Cu、Ptで、下部電極がWの場合、上部電極 側では比較的安定した抵抗変化が生じるが、 下部電極側では不安定な抵抗変化が生じてい るといえる。

 次に上記結果についての考察を行う。ま 上部電極505の近傍での抵抗を起こさせる(B ード)事を目的に、電圧を印加した図3~図9の( b)の結果について考察する。これらの結果か 分かることは、酸素不足型のHf酸化物を用 た不揮発性記憶素子では、抵抗変化現象が じやすい(動作しやすい)材料と、生じにくい (動作しにくい)材料が存在すると言う事であ 。すなわち、少なくとも、Pt、Cu、Wを電極 用いた場合は抵抗変化が起こりやすくAl、Ti Hfを電極に用いた場合、抵抗変化は起こり くいのは明らかである。これらの材料は、 質的に抵抗変化が生じにくい性質を持って ると考えられる。

 次に図3~図6の結果について考察する。図3 ~図6では上部電極が抵抗変化が起こりにくい 料(Al、Ti、Hf、Ta)で、下部電極が抵抗変化の 起こりやすい材料(W)となっている。図3~図6の (a)の結果は上部電極をAl、Ti、Hf、Taとした場 、抵抗変化現象が非常に安定して発生して るのが見て取れる。図3~図6の(b)の結果を参 すると、Bモードではほとんど抵抗変化が起 きていないといえる。これは、片側の電極近 傍だけで抵抗変化を起こすバイポーラ動作す る抵抗変化型の不揮発性記憶素子の理想的な 動作を示しているといえる。なお、図3~図6の (a)の例では動作する側の電極としてWを用い いるが、これに限られるものではなく、Cuや 、Ptなど、抵抗変化が起こりやすい電極を用 た場合にも同様の結果が期待される。

 以上の事から、抵抗変化現象を起こしや い電極と、抵抗変化現象を起こしにくい電 で抵抗変化膜を挟んだ構造を形成する事で 意図した片側の電極側で抵抗変化させるこ ができるため、上部電極モード、下部電極 ードとが混ざり合わない安定したバイポー 動作を示す抵抗変化型の不揮発性記憶素子 作製可能である事が分かった。また、印加 圧と抵抗値の関係は、抵抗変化を起こしや い電極に正の電圧の電気パルスを印加した に、抵抗値が高くなり、負の電圧の電気パ スを印加した時に抵抗値が低くなるような 作を示した。

 次に、抵抗変化自体の起こるメカニズム 、抵抗変化の起こりやすさの材料依存性に いて若干の考察を行う。図10(a)、(b)は、そ ぞれAモード、Bモードの抵抗変化の結果をま とめたものである。横軸は電極材料、縦軸に は標準電極電位をプロットしてある。図中の ○は抵抗変化が起こりやすかった事を意味し 、△は変化の割合が小さいものの抵抗変化が 起こった事を意味し、×は抵抗変化が起こら かった事を意味する。図10(b)図を見ると、 抗変化膜の構成元素であるHfよりも標準電極 電位が高い材料では抵抗変化が起こっており 、低い材料では抵抗変化が起こりにくくなっ ている事が分かる。そして、標準電極電位の 差が大きいほど抵抗変化が起こりやすく、差 が小さくなるにつれて、抵抗変化が起こりに くくなっているのが分かる。一般に標準電極 電位は、酸化のされ易さの一つの指標であり 、この値が大きければ酸化されにくく、小さ ければ酸化されやすい事を意味する。この事 から酸化のされやすさが抵抗変化現象のメカ ニズムに大きな役割を果たしているのではな いかと推測される。

 以上の結果をもとに、抵抗変化のメカニ ムを考える。まず、抵抗変化が起こり易い 料(標準電極電位が大きく酸化されにくい材 料)によって上部電極が構成されている場合 ついて、図11を使って説明する。図11(a)のよ に、下部電極1501と、酸素不足型のHf酸化物 1502と、Hfよりも酸化されにくい材料によっ 構成されている上部電極1503からなる抵抗変 化素子に、下部電極1501に対して高い電圧を 部電極1503に印加した場合、酸素不足型のHf 化物中の酸素原子がイオンとなって、電界 よって移動し、上部電極1503の界面近傍に集 る。しかし、上部電極1503を構成する金属は Hfに比べて酸化されにくいので、酸素イオン1 504は酸素不足型のHf酸化物1502と上部電極1503 界面に滞留した状態になり、界面付近でHfと 結合し、酸素濃度の高い酸素不足型のHf酸化 を形成する。この事によって素子は高抵抗 する。次に、図11(b)のように、下部電極1501 高い電圧を印加した場合、酸素原子は再び 素イオンとなって、酸素不足型のHf酸化物15 02の内部に戻ってゆく。これにより、低抵抗 が起っていると考えられる。

 次に、Hfよりも酸化されやすい材料によ て上部電極が構成されている場合について 明したのが図12である。図12のように下部電 1601と、酸素不足型のHf酸化物層1602と、Hfよ も酸化され易い材料によって構成されてい 上部電極1603からなる抵抗変化素子に、下部 電極1601に対して高い電圧を上部電極1603に印 した場合、酸素不足型のHf酸化物中の酸素 子がイオンとなって電界によって移動し、 部電極1603の界面近傍に集まる。この場合、 部電極1603はHfよりも酸化されやすいので、 素イオン1604は上部電極1603の内部に吸いと れて、上部電極1603を形成している材料と結 を起こす。この場合、図11とは異なり、酸 不足型のHf酸化物1602と上部電極1603の界面に 抵抗層が形成されず、さらに上部電極1603を 構成する元素の数に対して酸素イオンの数は 少ないために、抵抗値はほとんど上昇しない 。逆に、図12(b)のように、下部電極1601に高い 電圧を印加した場合、上部電極1603に吸い取 れた酸素は、上部電極材との結合がより安 であるため、酸素不足型のHf酸化物1602の中 は戻りにくく、抵抗値は大きくは変化しな と考えられる。

 もし、図11及び12において、上部電極を構 成する材料の酸化のされやすさがHfと同程度 場合、上記の2つの例の中間的な変化が生じ 、微弱な抵抗変化が生じると考えられる。

 以上の結果から分かるように、酸素不足 のHf酸化物を抵抗変化膜に使用した不揮発 記憶素子では、上部と下部で異なる標準電 電位の有する材料を用いれば良い。これに り、片側の電極近傍で優勢に抵抗変化が起 って、理想的なバイポーラ型の抵抗変化を 現できる。さらに、上部電極モードと下部 極モードの混ざり合いも起こらず、安定し 抵抗変化動作が可能となる。より好適には 一方の電極材料には、Hfの標準電極電位より も大きく、かつ差の大きな材料を用い、もう 一方の電極材料には、Hfの標準電極電位より 大きく差の小さな材料を用いれば良い。さ により好適には、一方の電極材料には、Hf 標準電極電位よりも大きな材料も用い、も 一方の電極材料には、Hfの標準電極電位以下 の材料を用いればよい。

 また、上記のメカニズムからも明らかな うに、抵抗変化を起こしやすい電極に正の 圧の電気パルスを印加した時に、抵抗値が くなり、負の電圧の電気パルスを印加した に抵抗値が低くなるような動作を示す。

 なお、上述の不揮発性記憶素子は、抵抗 化膜が酸素不足型のHf酸化物で構成されて るが、抵抗変化膜の全体が酸素不足型のHf酸 化物で構成されている必要はない。主たる抵 抗変化材料が酸素不足型のHf酸化物であれば い。すなわち、不揮発性記憶素子は、抵抗 化膜が酸素不足型のHf酸化物を含んでいれ よい。ただし、この酸素不足型のHf酸化物が 前記抵抗変化に寄与するのが好ましい。別の 言い方をすれば、抵抗変化膜は、酸素不足型 のHf酸化物の抵抗変化特性を損なわない程度 、不純物や他の物質を含んでいてもよい。 考までに文献および技術常識について以下 明する。

 (抵抗変化素子に対してドーピングを行う技 術常識)
 1.国際公開2005/117021(出願人:UNITY)
 文献1には、不揮発性プログラマブルメモリ において、ペロブスカイト構造の遷移金属酸 化物を抵抗変化層として用いた例が記載され ており(段落0165)、その段落0172には次の記載 ある。

 「更に、空孔(陰イオンにしろ、陽イオンに しろ)は、電荷トラップを形成するように機 することもできる。空孔によって生じる電 の不均衡は、ドーパントの計画的追加を補 メカニズムと同じメカニズムによって補う とができる。したがって、酸素空孔1つあた を2つのCr原子によって補うと、自由キャリ は生じないが、もし完全に補えるだけのCr 存在しない場合は、酸素空孔によって自由 子が生じる。」(特表2007-536680の段落0175)
 すなわち、同文献に記載されているペロブ カイト構造は、本願発明のHf酸化物のよう 2元素からなる遷移金属酸化物とは異なるが 本願と同様に、酸素欠損(酸素空孔)のメカ ズムを利用した遷移金属酸化物からなる抵 変化材料が記載されている点で共通する。

 同文献の段落0199には次の記載がある。

 「具体的な1つの態様では、ドーピングによ って抵抗率を変化させる。例えば、電気的パ ルスの印加は、抵抗率を高い値から低い値へ と、または低い値から高い値へと可逆的に変 化させるが、材料に対するドーピングは、こ のような高い値と低い値との差の大きさを加 減することができる。」(特表2007-536680の段落 0202)
 すなわち、抵抗変化特性を有する遷移金属 化物に対して、さらにドーピングを行うこ により、抵抗値の高い値と低い値の差の大 さを調整できることが記載されている。

 また、同文献の段落0200及び段落0201には 次の記載がある。

 「もう1つの態様では、ドーピングによって 電荷トラップの量または大きさを変化させる 、または電荷トラップの電子捕獲能力を加減 することによって、メモリプラグのデータ保 持能力を向上させる。すなわち、ドーピング は、メモリの動作中に電子がメモリプラグを 通り抜けて電荷トラップを残留させる動きを 促進すると考えられる。もう1つの態様では ドーピングによって抵抗の温度感受性を更 低下させる。もう1つの態様では、ドーピン によって磁場依存性を低下させる。」(特表 2007-536680の段落0203及び段落0204)
 ここにも、抵抗変化特性を有する遷移金属 化物に対して、さらにドーピングを行うこ により、基本的な抵抗変化特性とは異なる の特性が改善されることが記載されている

 2.特表2002-537627(出願人:IBM)
 文献2には、不揮発性メモリ等の半導体メモ リにおいて、ペロブスカイトや関連化合物を 抵抗変化層として用いた例が記載されている (段落0016、段落0017)。この関連化合物の具体 として、段落0027において「x=1、y=1、z=1と、 数xまたはyが0のいずれかにより定義される 数x、y、zの組み合わせは、BeO、MgO、BaO、CaO ...NiO、MnO、CoO、ZnOのような典型的物質を示 。或いは・・・(中略)・・・n=1で指数xまた yが0のいずれかにより定義される指数x、y、 zの組み合わせは、TiO 2 、VO 2 、MnO 2 、GeO 2 、PrO 2 、SnO 2 のような物質を示す。N=2のときは、Al 2 O 3 、Ce 2 O 2 、Nd 2 O 3 、Ti 2 O 3 、Sc 2 O 3 、La 2 O 3 のような物質を示す。または、・・・(中略) ・・Nb 2 O 5 、Ta 2 O 5 等のような典型的物質を示す。」と記載され ている。

 すなわち、同文献には、ペロブスカイト 造だけでなく、本願発明と同様に2元素から なる遷移金属酸化物を用いた抵抗変化素子が 記載されている。

 また、同文献の段落0017には次の記載があ る。

 「マイクロ電子デバイスは、電極間に、化 物Ax、By、及び酸素Ozを含む物質から形成さ た、切り替え可能なオーミック抵抗のある 域が含まれるように設計することができる 領域のオーミック抵抗は、異なる電圧パル を印加することによって、異なる状態間で 転スイッチングが可能である。異なる電圧 ルスは対応する異なる状態につながる。物 のドーパント量が適切であれば、スイッチ グが改良され、よってマイクロ電子デバイ を制御できるようになり信頼性が得られる 」
 すなわち、本来の抵抗変化特性に対して、 ーピングを適切に行うことで、スイッチン が改良されることが記載されている。なお ここでいう「化合物Ax、By、及び酸素Ozを含 物質」には上記段落0027の記載を参酌すれば 、2元素からなる遷移金属酸化物を含むもの ある。この文献には、2元素からなる遷移金 酸化物を用いた抵抗変化素子において、ド ピングを適切に行うことで、スイッチング 改良されることが記載されていることにな 。

 3.特開2006-279042号公報(出願人:三星電子)
 文献3には、電圧によって可逆的に互いに異 なる二つの抵抗状態がスイッチングできる抵 抗メモリ要素を含む不揮発性メモリが記載さ れており(段落0002)、さらに段落0026には次の 載がある。

 「例えば、抵抗メモリ要素がMOxとして表示 れる際、金属MがNi、Co、ZnまたはCuである際 酸素原子Oの組成比を示すxは0.5乃至0.99の範 を有する(0.5≦x≦0.99)。これとは異なり、前 記金属MがHf、Zr、TiまたはCrである際、酸素原 子Oの組成比を示すxは1.0乃至1.98範囲を有する (1.0≦x≦1.98)。そして前記金属MがFeである際 酸素原子Oの組成比を示すxは0.75乃至1.485の範 囲を、前記金属MがNbである際、酸素原子Oの 成比を示すxは1.25乃至2.475の範囲を有する。
 すなわち、本願発明と同様に、酸素欠損を する2元素からなる遷移金属酸化物を用いた 抵抗変化素子が記載されている。

 さらに段落0016には次の記載がある。

 「前記遷移金属酸化物もリチウム、カルシ ム、またはランタンのような不純物を含む とができる。」
 すなわち、本願発明と同様の酸素欠損を有 かつ2元素からなる遷移金属酸化物を用いた 抵抗変化素子に対して、不純物を混ぜる場合 もあることを示している。

 この文献3の記載についてさらに詳しく検 討する。

 上記記載によれば抵抗メモリ要素を構成す 材料として、Fe 3 O 4 が含まれているが(X=1.33)、このFe 3 O 4 (四酸化三鉄)は、理化学辞典(第四版、岩波書 店 1987)の記載によれば下記の特長がある。
1)結晶構造 → 逆スピネル構造(ペロブスカ ト構造とは異なる。)
2)比抵抗  → 4×10 -3 ωcm(室温で半導体的であり、絶縁体とは言え い。)
 金属鉄の比抵抗は9.71×10 -6 ωcm。従って、Fe 3 O 4 の比抵抗は金属Feの1/400に相当する。

 すなわち、文献3の記載と理化学辞典の記載 によれば、それ自体が絶縁体でなく導電性を 有する非ペロブスカイト構造の(2元素からな )遷移金属酸化物が抵抗変化特性を有してい ることを示しており、これらの点は本願発明 と共通する。
先に示した文献1には、ペロブスカイト構造 遷移金属酸化物を用いる例が記載されてお 、その点で本願発明と相違する。しかしな ら文献2や文献3においては、非ペロブスカイ ト構造であり抵抗変化特性を示す導電性遷移 金属酸化物においても、さらに不純物を添加 して抵抗変化素子として用いることが開示さ れている。

 4.特開2006-165553号公報(出願人:三星電子)
 文献4には、不揮発性特性を有する相変化メ モリに関する発明が記載されており(段落0003) 、さらに段落0016には次の記載がある。

 「以上のように記述された本発明の実施例 、前記相変化物質は、複数の抵抗状態を有 る転移金属酸化物から形成されてもよい。 えば、前記相変化物質は、NiO、TiO 2 、HfO、Nb 2 O 5 、ZnO、WO 3 及びCoO、またはGST(Ge 2 Sb 2 Te 5 )、またはPCMO(Pr x Ca 1-x MnO 3 )からなる群から選択された少なくとも何れ 一つの物質から形成されてもよい。」
 すなわち、本願発明、さらに文献2や文献3 同様に、2元素からなる遷移金属酸化物を用 た抵抗変化材料を利用して抵抗変化素子を 成することが記載されている。

 さらに同文献の段落0026には次の記載がある 。
「また、前記相変化物質層の相変化ナノ粒子 の物性を調節するために準備されたナノ粒子 に、窒素、シリコンなどをドーピング処理で きる。」
 すなわち、主たる材料である遷移金属酸化 に対して、ドーピングを行うことで特性の 節を行うことが記載されている。

 上記のとおり文献1ないし文献4には、抵 変化特性を有しかつ2元素からなる遷移金属 化物、あるいは、酸素欠損を有しかつ抵抗 化特性を有する遷移金属酸化物に対して、 の遷移金属酸化物のみで抵抗変化素子を構 する例と、それ以外に当該基本構成に対し ドーピングを行う例が記載されている。

 すなわち、主たる材料(遷移金属酸化物) より抵抗変化特性を有する抵抗変化素子に して、調整、調節、改良等の目的でドーピ グを行うことは技術常識であると言える。

 (スパッタ法により意図しない不純物が混在 する技術常識)
 上述の説明においては、抵抗変化膜として Hf酸化物膜の形成方法としてスパッタ法を 載している。スパッタ法を用いれば、意図 ない不純物が混ざり込むことが技術常識で ることを以下に説明する。

 5.「SEMICONDUCTOR MATERIALS AND PROCESSTECHNOLOGY HAN DBOOK」(McGUIRE 1988年発行)
 文献5には、スパッタ法を用いると、基板や チャンバー壁などから、不要なガスが発生し てしまうことが記載されている(第333ページ 25行~第29行)。

 6.「各種薄膜作成技術における諸問題及び ラブル対策 -総合技術資料集-」(経営開発セ ンター出版部 昭和60年5月20日発行)
 文献6には、残留不純物ガスや真空容器壁か らのガス放出など、真空装置の汚染によって 、作成される膜の膜質が低下することが記載 されている(第324ページ右欄第1行~第15行)。

 7.「集積回路ハンドブック」(丸善株式会社 昭和43年11月25日発行)
 文献7には、真空蒸着は必ずしも真空で行わ れるのではなく、市販の蒸着装置を用いれば 、装置における色々な残留ガスにより、形成 される薄膜に大きな影響を及ぼすことが記述 されている(第151ページ第3行~第152ページ第3 、第153ページ第1行~第2行)。

 以上の記載から、製造過程においてスパ タ法を用いれば、意図しない不純物が混ざ 込むことは技術常識である。

 上記引用にかかる本願出願時の技術常識 示す文献には、例えば、抵抗変化特性を有 かつ酸素欠損のある遷移金属酸化物により 抗変化素子を構成する例と、さらに前記構 にドーピングを行うことにより他の材料を 加する例が併記されている。前者の例は実 例の発明と共通する例であり、かつ基本的 構成に相当する。そして後者の例が基本的 構成を利用した応用例に相当する。これは さに基本構成に対して他の材料を添加する とにより特性の調整等を行うことが遷移金 酸化物を用いた抵抗変化素子の技術分野に いて周知であることを示す。

 また製造過程において意図しない不純物 混ざり込むことも周知である。

 すなわち上記文献の記載を参酌すれば、 抗変化層の主たる構成要素に対して何らか 他の物質を追加すること、結果として他の 質が混ざり込むことは、技術常識である。

 以上に照らせば、本願発明の不揮発性記 素子は、抵抗変化膜が酸素不足型のHf酸化 を含んでいればよいことが明らかである。

 また、本発明の不揮発性記憶装置は、電 的パルス印加装置と、上述した酸素不足型 Hf酸化物を使ったバイポーラ動作する抵抗 化型の不揮発性記憶素子とを備え、電気的 ルス印加装置は、正負両極性の電気的信号 該不揮発性記憶素子に印加することで、該 揮発性記憶素子の第1電極および第2電極間の 抵抗値を可逆的に変化させるように構成され ている。すなわち電気的パルス印加装置は、 第1電極を基準として第2電極に第1極性(例え 、正極性)の電気的パルスを印加することで 1電極および第2電極間の抵抗値を第1抵抗値 し(例えば、該不揮発性記憶素子を高抵抗状 態とし)、第1電極を基準として第2電極に第2 性(例えば、負極性)の電気的パルスを印加す ることで第1電極および第2電極間の抵抗値を 2抵抗値とする(例えば、該不揮発性記憶素 を低抵抗状態とする)。

 また、本発明の不揮発性記憶素子へのデ タ書込方法は、上述した酸素不足型のHf酸 物を使ったバイポーラ動作する抵抗変化型 不揮発性記憶素子へのデータ書込方法であ て、正負両極性の電気的信号を該不揮発性 憶素子の第1電極および第2電極間に印加する ことで、該不揮発性記憶素子の第1電極およ 第2電極間の抵抗値を可逆的に変化させる。 なわち、第1電極を基準として第2電極に第1 性(例えば、正極性)の電気的パルスを印加 ることで第1電極および第2電極間の抵抗値を 第1抵抗値とし(例えば、該不揮発性記憶素子 高抵抗状態とし)、第1電極を基準として第2 極に第2極性(例えば、負極性)の電気的パル を印加することで第1電極および第2電極間 抵抗値を第2抵抗値とする(例えば、該不揮発 性記憶素子を低抵抗状態とする)。

 上記説明から、当業者にとっては、本発 の多くの改良や他の実施形態が明らかであ 。従って、上記説明は、例示としてのみ解 されるべきであり、本発明を実行する最良 態様を当業者に教示する目的で提供された のである。本発明の精神を逸脱することな 、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に 変更できる。

 本発明の不揮発性記憶素子および不揮発 記憶装置は、高速動作が可能で、しかも安 した書き換え特性を有しており、デジタル 電、メモリカード、携帯型電話機、および ーソナルコンピュータなどの種々の電子機 に用いられる不揮発性記憶素子等として有 である。