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Title:
NONWOVEN FABRIC AND PROCESS FOR PRODUCING THE SAME
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/001590
Kind Code:
A1
Abstract:
A liquid-permeable nonwoven fabric which enables a body fluid to permeate the fabric without spreading beyond a spot area. The nonwoven fabric (1) comprises 100-30 wt.% essential composite fibers (2) of the core-sheath structure which each is constituted of a high-melting resin as a core component and a low-melting resin as a sheath component. In a section parallel to the machine direction (MD) for the nonwoven fabric (1), the essential composite fibers (2) extend in the machine direction (MD) while waving in the thickness direction (TD) for the nonwoven fabric (1). In a section parallel to the cross direction (CD), the composite fibers (2) extend in the thickness direction (TD) and have an average fiber angle of 75 degrees or smaller. The essential composite fibers (2) crossing each other are bonded to each other by melting the low-melting resin as the sheath component.

Inventors:
OBA TORU (JP)
MIZUTANI SATOSHI (JP)
ISHIKAWA HIDEYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/054990
Publication Date:
December 31, 2008
Filing Date:
March 18, 2008
Export Citation:
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Assignee:
UNI CHARM CORP (JP)
OBA TORU (JP)
MIZUTANI SATOSHI (JP)
ISHIKAWA HIDEYUKI (JP)
International Classes:
A61F13/15; A61F13/49; A61F13/511; B32B5/26; D01F8/04; D02G1/12; D04H1/541; D04H1/74
Foreign References:
JP2002249965A2002-09-06
JP2006233345A2006-09-07
JP2002030557A2002-01-31
JP2006124903A2006-05-18
JPH105275A1998-01-13
Other References:
See also references of EP 2161361A4
Attorney, Agent or Firm:
SHIRAHAMA, Yoshiharu et al. (13-8 Shimbashi 2-chom, Minato-ku Tokyo, JP)
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Claims:
 互いに直交する機械方向と交差方向と厚さ方向とを有し、互いに同心の関係にある芯成分と鞘成分とを含んでいて前記鞘成分を形成する熱可塑性合成樹脂が前記芯成分を形成する熱可塑性合成樹脂よりも融点の低い低融点樹脂である芯鞘型の複合繊維を必須複合繊維として100~30重量%含み、前記必須複合繊維に対して混合される熱可塑性合成繊維を混合用繊維として0~70重量%含む坪量が10~200g/m 2 の透液性の不織布であって、
 前記必須複合繊維が、1~17dtexの繊度と10~150mmの繊維長とを有し、前記不織布の前記機械方向に平行な断面では前記厚さ方向における屈曲を繰り返しながら前記機械方向へ延びていて、前記不織布の前記交差方向に平行な断面では前記厚さ方向へ延びており、互いに交差する前記必須複合繊維どうしおよび前記必須複合繊維と前記混合用繊維とは前記低融点樹脂が溶融することによって互いに交差する部位において溶着しており、
 前記不織布を水平面に置いたときの前記交差方向に平行な断面に現れる前記必須複合繊維のそれぞれと前記混合用繊維のそれぞれとが前記水平面に対する垂線と交差して作る90度を含む鋭角の交差角度と90度よりも大きい鈍角の交差角度とのうちの前記鋭角の交差角度の平均値である平均繊維角度が75度以下であることを特徴とする前記不織布。
 前記必須複合繊維の複数条の間には、前記混合用繊維としてスパイラル状に捲縮した熱可塑性合成繊維が介在し、前記スパイラル状に捲縮した熱可塑性合成繊維の含有量が最大で50重量%である請求項1記載の不織布。
 親水性の混合用天然繊維および親水性の混合用半合成繊維の少なくとも一方が前記不織布の重量に対して最大で10重量%含まれている請求項1または2記載の不織布。
 前記必須複合繊維および前記混合用熱可塑性合成繊維のいずれかが表面を親水化処理されている請求項1~3のいずれかに記載の不織布。
 前記不織布が前記厚さ方向において向かい合う上面と下面とを有し、前記上面には前記機械方向へ平行して延びる複数条の隆起部と、隣り合う前記隆起部どうしの間において前記機械方向へ延びる複数条の谷部とが形成されている請求項1~4のいずれかに記載の不織布。
 前記不織布の前記下面を水平面に置いたときの前記水平面に対する垂線のうちで前記隆起部の頂部を通る垂線と前記必須複合繊維および前記混合用繊維とが作る前記平均繊維角度が75度以下である請求項5記載の不織布。
 生理用ナプキンの表面シートとして使用されている請求項1~6のいずれかに記載の不織布。
 互いに同心の関係にある芯成分と鞘成分とからなっていて前記鞘成分を形成する熱可塑性合成樹脂が前記芯成分を形成する熱可塑性合成樹脂よりも融点の低い低融点樹脂である芯鞘型の複合繊維であって、繊維長10~150mmのものを必須複合繊維として100~30重量%を含み、互いに直交する機械方向と交差方向とを有し、坪量が10~200g/m 2 である透液性の不織布の製造方法に下記工程が含まれることを特徴とする前記製造方法;
 a.前記芯鞘型の複合繊維を紡糸し、しかる後に複数条の前記芯鞘型の複合繊維で形成されたトウを得て、前記トウを延伸する工程;
 b.延伸した前記トウにその長さ方向において屈曲を繰り返す機械的な捲縮を付与する工程;
 c.捲縮を付与した前記トウにアニーリング処理を施す工程;
 d.前記アニーリング処理を施した前記トウを10~150mmの長さにカットして前記トウからステープル状の前記必須複合繊維の集合体を得る工程;
 e.前記必須複合繊維の集合体をカード機に通して開繊し、所要坪量の前記必須複合繊維からなるウエブを得る工程;
 f.前記ウエブを加熱して前記必須複合繊維における前記低融点樹脂を溶融することによって、前記ウエブにおける前記必須複合繊維どうしを互いに交差している部位において溶着させる工程;
 g.前記工程fの後に前記ウエブを冷却する工程。
 複数の前記カード機を前記機械方向に並べ、前記カード機それぞれから得られる個別の前記ウエブを重ね合わせてウエブ積層体を作り、前記ウエブ積層体を前記ウエブとして前記工程f以降の工程で処理する請求項8記載の製造方法。
 前記工程eと前記工程fとの間には、前記必須複合繊維どうしを予備的に溶着させてから前記ウエブを前記工程fへ搬送するための前記ウエブに対する予備的加熱工程が含まれる請求項8または9記載の製造方法。
 前記工程fは、加圧空気および機械的手段のいずれかによって前記ウエブを前記厚さ方向において圧縮して前記ウエブの密度を高くする工程と、密度を高くした前記ウエブにおける前記必須複合繊維どうしを互いに交差している部位において溶着させる工程とを含んでいる請求項8~10のいずれかに記載の製造方法。
 請求項10における予備的加熱工程は、前記ウエブを前記機械方向へ搬送するための支持体に載せてある前記ウエブに対して、前記交差方向に並ぶ複数の単体ノズルから加熱加圧空気を噴出し、前記ウエブに前記機械方向へ平行して延びる複数条の隆起部と、隣り合う前記隆起部と隆起部との間において前記機械方向へ延びる複数条の谷部とを形成する作業を含んでいる請求項10または11記載の製造方法。
 前記工程eには、前記必須複合繊維に対する混合用繊維として、前記不織布の重量の0~50重量%を占めるように潜在捲縮性の熱可塑性合成繊維を混合する作業が含まれる請求項8~12のいずれかに記載の製造方法。
 前記交差方向に平行な断面において、前記隆起部の頂部を含む部位での前記不織布の厚さTと、前記厚さTの1/2の厚さにおける前記隆起部の幅Wとの比が0.55~1.00の範囲にある請求項12または13記載の製造方法。
 前記工程bは、前記トウをボックス型クリンパに進入させ、前記必須複合繊維に捲縮数が10~35/25mmのジグザグ状の機械的な捲縮を付与する工程である請求項8~14のいずれかに記載の製造方法。
 前記工程cにおけるアニーリング処理が前記鞘成分を形成する前記低融点樹脂の溶融温度から前記溶融温度よりも20℃低い温度までの間で行われる請求項8~15のいずれかに記載の製造方法。
 前記交差方向に平行な断面における前記必須複合繊維は、前記水平面に対する垂線と交差して作る90度を含む鋭角の交差角度と90度よりも大きい鈍角の交差角度とのうちの前記鋭角の交差角度の平均値である平均繊維角度が75度以下となるものである請求項8~12,14~16のいずれかに記載の製造方法。
 水平面に置いた前記不織布の前記交差方向に平行な断面における前記必須複合繊維および前記混合用繊維としての前記熱可塑性合成繊維は、前記水平面に対する垂線と交差して作る90度を含む鋭角の交差角度と90度よりも大きい鈍角の交差角度とのうちの前記鋭角の交差角度の平均値である平均繊維角度が75度以下となるものである請求項13~16のいずれかに記載の製造方法。
 前記工程eには、前記不織布の重量に対して0~10重量%となる親水性の天然繊維および親水性の半合成繊維の少なくとも一方を混合する作業が含まれる請求項8~18のいずれかに記載の製造方法。
Description:
不織布およびその製造方法

 この発明は、透液性不織布に関し、より しくは、使い捨ておむつや生理用ナプキン の液吸収性物品の透液性表面シートとして 用するのに好適な前記不織布およびその製 方法に関する。

 従来、液吸収性の芯材、例えば使い捨てお つ等の体液吸収性の芯材を被覆する透液性 表面シートには、体液の拡散を抑えて体液 スポット状に捉え、これを速やかに芯材に かって透過させることが求められている。 えば、特開平10-5275号公報(特許文献1)に開示 された透水性能の優れた衛生材料に係る発明 は、この種の表面シートを提供するものであ る。この発明による表面シートは、例えばポ リプロピレンのスパンボンド不織布や捲縮し たポリプロピレンのスパンボンド不織布にポ リエーテル化合物とポリエーテル変成シリコ ーンの混合物とからなる親水性改良剤の水溶 液を噴霧することによって得ることができる もので、0.25秒以下の初期スポット透水速さ 有する。

特開平10-5275号公報

 特開平10-5275号公報に開示の表面シートの 典型的な例は、ポリプロピレンのスパンボン ド不織布に親水性改良剤を塗布するものであ って、繊維の多くは、不織布の表面と裏面と の間の上下方向において互いに重なり合い、 これらの面と平行となるように平面的に広が っているから、排泄された体液が少ないとき にはその体液をスポット状に捉えることが可 能であっても、体液が多いときにはその体液 が平面的に広がってしまい、体液をスポット 状に捉えることが難しくなることを避け難い 。また、この種の表面シートでは、体液の粘 度が高くなるにつれて体液が表面シートを透 過するのに要する時間が著しく長くなる傾向 にある。

 そこで、この発明は、従来技術のこのよ な問題を解消することが可能な不織布とそ 製造方法との提供を課題にしている。

 前記課題を解決するためのこの発明は、 液性の不織布に係る第1発明と、その不織布 の製造方法に係る第2発明とを含んでいる。

 前記第1発明が対象とするのは、互いに直交 する機械方向と交差方向と厚さ方向とを有し 、互いに同心の関係にある芯成分と鞘成分と を含んでいて前記鞘成分を形成する熱可塑性 合成樹脂が前記芯成分を形成する熱可塑性合 成樹脂よりも融点の低い低融点樹脂である芯 鞘型の複合繊維を必須複合繊維として100~30重 量%含み、前記必須複合繊維に対して混合さ る熱可塑性合成繊維を混合用繊維として0~70 量%含む坪量が10~200g/m 2 の透液性の不織布である。

 かかる不織布において、前記第1発明が特 徴とするところは、次のとおりである。前記 必須複合繊維が、1~17dtexの繊度と10~150mmの繊 長とを有し、前記不織布の前記機械方向に 行な断面では前記厚さ方向における屈曲を り返しながら前記機械方向へ延びていて、 記不織布の前記交差方向に平行な断面では 記厚さ方向へ延びている。互いに交差する 記必須複合繊維どうしおよび前記必須複合 維と前記混合用繊維とは、前記低融点樹脂 溶融することによって互いに交差する部位 おいて溶着している。前記不織布を水平面 置いたときの前記交差方向に平行な断面に れる前記必須複合繊維のそれぞれと前記混 用繊維のそれぞれとは、前記水平面に対す 垂線と交差して作る90度を含む鋭角の交差角 度と90度よりも大きい鈍角の交差角度とのう の前記鋭角の交差角度の平均値である平均 維角度が75度以下である。

 第1発明の好ましい実施形態の一つにおい て、前記必須複合繊維の複数条の間には、前 記混合用繊維としてスパイラル状に捲縮した 熱可塑性合成繊維が介在し、前記スパイラル 状に捲縮した熱可塑性合成繊維の含有量が最 大で50重量%である。

 第1発明の好ましい実施形態の他の一つに おいて、親水性の混合用天然繊維および親水 性の混合用半合成繊維の少なくとも一方が前 記不織布の重量に対して最大で10重量%含まれ ている。

 第1発明の好ましい実施形態の他の一つに おいて、前記必須複合繊維および前記熱可塑 性合成繊維のいずれかが表面を親水化処理さ れている。

 第1発明の好ましい実施形態の他の一つに おいて、前記不織布が前記厚さ方向において 向かい合う上面と下面とを有し、前記上面に は前記機械方向へ平行して延びる複数条の隆 起部と、隣り合う前記隆起部どうしの間にお いて前記機械方向へ延びる複数条の谷部とが 形成されている。

 第1発明の好ましい実施形態の他の一つに おいて、前記不織布の前記下面を水平面に置 いたときの前記水平面に対する垂線のうちで 前記隆起部の頂部を通る垂線と前記必須複合 繊維および前記混合用繊維とが作る前記平均 繊維角度が75度以下である。

 第1発明の好ましい実施形態の他の一つに おいて、生理用ナプキンの表面シートとして 使用されている。

 次に、前記第2発明が対象とするのは、互い に同心の関係にある芯成分と鞘成分とからな っていて前記鞘成分を形成する熱可塑性合成 樹脂が前記芯成分を形成する熱可塑性合成樹 脂よりも融点の低い低融点樹脂である芯鞘型 の複合繊維であって、繊維長10~150mmのものを 須複合繊維として100~30重量%を含み、互いに 直交する機械方向と交差方向とを有し、坪量 が10~200g/m 2 である透液性の不織布の製造方法であり、か かる第2発明が特徴とするところは、前記製 方法に下記工程が含まれることにある。

 a.前記芯鞘型の複合繊維を紡糸し、しかる に複数条の前記芯鞘型の複合繊維で形成さ たトウを得て、前記トウを延伸する工程;
 b.延伸した前記トウにその長さ方向におい 屈曲を繰り返す機械的な捲縮を付与する工 ;
 c.捲縮を付与した前記トウにアニーリング 理を施す工程;
 d.前記アニーリング処理を施した前記トウ 10~150mmの長さにカットして前記トウからステ ープル状の前記必須複合繊維の集合体を得る 工程;
 e.前記必須複合繊維の集合体をカード機に して開繊し、所要坪量の前記必須複合繊維 らなるウエブを得る工程;
 f.前記ウエブを加熱して前記必須複合繊維 おける前記低融点樹脂を溶融することによ て、前記ウエブにおける前記必須複合繊維 うしを互いに交差している部位において溶 させる工程;
 g.前記工程fの後に前記ウエブを冷却する工 。

 第2発明の好ましい実施態様の一つにおい て、複数の前記カード機を前記機械方向に並 べ、前記カード機それぞれから得られる個別 の前記ウエブを重ね合わせてウエブ積層体を 作り、前記ウエブ積層体を前記ウエブとして 前記工程f以降の工程で処理する。

 第2発明の好ましい実施形態の他の一つに おいて、前記工程eと前記工程fとの間には、 記必須複合繊維どうしを予備的に溶着させ から前記ウエブを前記工程fへ搬送するため の前記ウエブに対する予備的加熱工程が含ま れる。

 第2発明の好ましい実施形態の他の一つに おいて、前記工程fは、加圧空気および機械 手段のいずれかによって前記ウエブを前記 さ方向において圧縮して前記ウエブの密度 高くする工程と、密度を高くした前記ウエ における前記必須複合繊維どうしを互いに 差している部位において溶着させる工程と 含んでいる。

 第2発明の好ましい実施形態の他の一つに おいて、前記予備的加熱工程は、前記ウエブ を前記機械方向へ搬送するための支持体に載 せてある前記ウエブに対して、前記交差方向 に並ぶ複数の単体ノズルから加熱加圧空気を 噴出し、前記ウエブに前記機械方向へ平行し て延びる複数条の隆起部と、隣り合う前記隆 起部と隆起部との間において前記機械方向へ 延びる複数条の谷部とを形成する作業を含ん でいる。

 第2発明の好ましい実施形態の一つにおい て、前記工程eには、前記必須複合繊維に対 る混合用繊維として、前記不織布の重量の0~ 50重量%を占めるように潜在捲縮性の熱可塑性 合成繊維を混合する作業が含まれる。

 第2発明の好ましい実施形態の他の一つに おいて、前記交差方向に平行な断面において 、前記隆起部の頂部を含む部位での前記不織 布の厚さTと、前記厚さTの1/2の厚さにおける 記隆起部の幅Wとの比が0.55~1.00の範囲にある 。

 第2発明の好ましい実施形態の他の一つに おいて、前記工程bは、前記トウをボックス クリンパに進入させ、前記必須複合繊維に 縮数が10~35/25mmのジグザグ状の機械的な捲縮 付与する工程である。

 第2発明の好ましい実施形態の他の一つに おいて、前記工程cにおけるアニーリング処 が前記鞘成分を形成する前記低融点樹脂の 融温度から前記溶融温度よりも20℃低い温度 までの間で行われる。

 第2発明の好ましい実施形態の他の一つに おいて、前記交差方向に平行な断面における 前記必須複合繊維は、前記水平面に対する垂 線と交差して作る90度を含む鋭角の交差角度 90度よりも大きい鈍角の交差角度とのうち 前記鋭角の交差角度の平均値である平均繊 角度が75度以下となるものである。

 第2発明の好ましい実施形態の他の一つに おいて、水平面に置いた前記不織布の前記交 差方向に平行な断面における前記必須複合繊 維および前記混合用繊維としての前記熱可塑 性合成繊維は、前記水平面に対する垂線と交 差して作る90度を含む鋭角の交差角度と90度 りも大きい鈍角の交差角度とのうちの前記 角の交差角度の平均値である平均繊維角度 75度以下となるものである。

 第2発明の好ましい実施形態の他の一つに おいて、前記工程eには、前記不織布の重量 対して0~10重量%となる親水性の天然繊維およ び親水性の半合成繊維の少なくとも一方を混 合する作業が含まれる。

 この発明のうちの第1発明に係る不織布は 、芯鞘型の必須複合繊維を含み、その必須複 合繊維は、鞘成分を形成している低融点樹脂 を溶融させて互いに接合することによって、 高い強度を有するものになる。その必須複合 繊維はまた、不織布の交差方向に平行な断面 において測定される平均繊維角度が75度以下 あって、主として厚さ方向へ延びているか 、不織布の表面上の体液をその必須複合繊 に沿って厚さ方向の上方から下方へと速や に移動させて体液のスポット状の透過を可 にする。

 この発明のうちの第2発明に係る不織布の 製造方法によれば、トウに機械的な捲縮を付 与した後に得られる必須複合繊維は、長さ方 向において屈曲を繰り返すものになる。その 必須複合繊維をカード機で処理して得られる ウエブは、必須複合繊維が機械方向へ延びる とともに、ウエブの厚さ方向において屈曲を 繰り返すものになる。そのウエブから得られ る不織布は、必須複合繊維の鞘成分を溶融し て必須複合繊維どうしを接合させることによ って、引っ張り強度を向上させることができ る。必須複合繊維は、鞘成分を溶融させても 芯成分を溶融させることがなければ、鞘成分 を溶融する過程においてウエブの嵩は変化す ることが少なく、その必須複合繊維で形成さ れた不織布は嵩の高いものになる。

不織布の斜視図。 製造工程の一例を示す図。 図2とは異なる一例を示す製造工程の部 分図。 図1とは異なる形態の不織布の斜視図。 図2,3とは異なる形態の製造工程の一例 示す図。 サクションドラムで使用される部品の 分図。 図2,3,5とは異なる形態の製造工程の部 図。 単体ノズルの配置例を示す図。 隆起部の高さと幅とを示す不織布の断 図。 不織布の使用例を示す生理用ナプキン の部分破断斜視図。 実施例の不織布の平均繊維角度の測定 方法を示す図。 図11の不織布の平均繊維角度の測定方 を示す図。 図11の不織布の機械方向に平行な断面 一例を示す図。 図11とは異なる実施例の不織布につい の平均繊維角度の測定方法を示す図。 図14の不織布の平均繊維角度の測定方 を示す図。 図14の不織布の機械方向に平行な断面 一例を示す図。 比較例の不織布の平均繊維角度の測定 方法を示す図。 図17の不織布の平均繊維角度の測定方 を示す図。 図17の不織布の機械方向に平行な断面 一例を示す図。 温度変化速度の測定結果を示す図。 T/Wと平均繊維角度との関係を示す図。

符号の説明

 1  不織布
 2  必須複合繊維
 104,105,106,107  工程f
 112  混合用繊維
 201  不織布
 202  隆起部
 203  谷部
 210  予備的加熱工程(成形手段)
 211  支持部材(サクションドラム)
 MD  機械方向
 CD  交差方向
 TD  厚さ方向

 添付の図面を参照して、この発明に係る 織布とその製造方法との詳細を説明すると 以下のとおりである。

 図1は、不織布1の斜視図と、不織布1の製造 程図である。不織布1は、図2の工程の進行 向に平行な機械方向MDと、機械方向MDに直交 て工程の幅方向へ延びる交差方向CDと、こ ら両方向MD,CDに直交する厚さ方向TDとを有し 厚さ方向TDにおける上面と下面とがAとBとで 示されている。不織布1は、芯鞘型の必須複 繊維2を100~30重量%含み、10~200g/m 2 の坪量と、0.3~15mmの厚さとを有し、透液性に れている。その透液性は、不織布1の交差方 向CDに平行な断面において、必須複合繊維2が 上面Aや下面Bと平行に延びるのではなくて、 さ方向TDに向かって延びる傾向が強いこと よって得られる。この発明において、透液 は後記する透液時間として評価され、必須 合繊維2が厚さ方向TDに向かって延びる傾向 平均繊維角度θとして評価される。

 必須複合繊維2は、1~17dtexの繊度と、10~150mm 繊維長とを有する。必須複合繊維2はまた、 成分と鞘成分とを有し、鞘成分を形成する 可塑性合成樹脂には、その融点が芯成分を 成する熱可塑性合成樹脂の融点よりも低い のが選ばれていて、互いに交差する必須複 繊維2は、それらの鞘成分を形成する熱可塑 性合成樹脂が溶融することによって接合して いる。必須複合繊維2は、好ましくは芯成分 鞘成分との中心位置が一致しているもので って、加熱されても加熱に起因するスパイ ル状の捲縮を発現することのないものであ 。しかし、芯成分と鞘成分との中心位置が ぼ一致しているという程度であって、加熱 れたときに程度の低い潜在捲縮性を示す場 の複合繊維をこの発明の必須複合繊維2とし 使用することもできる。複合繊維が程度の い潜在捲縮性を有しているとは、鞘成分が リエチレンである複合繊維で形成されてい 200g/m 2 の坪量を有する250×250mmの大きさのウエブ切 を145℃で5分間加熱したときのそのウエブ切 における機械方向MDの収縮率が5%以下である ことを意味している。この発明では、ウエブ 切片においてこのような挙動を示す複合繊維 を総称して、芯成分と鞘成分とがほぼ同心を 成しているものという。また、この発明にお いて捲縮数というときには、JIS L 1015のセク ション8.12に規定される方法に基づいて測定 れる値を意味している。

 かような不織布1は、使い捨ておむつや生 理用ナプキン、パンティライナー、タンポン 等の体液吸収性物品における透液性シートと して使用したり、ペットの排泄物処理用シー トにおける透液性シートとして使用したりす るのに好適である。不織布1はまた、人体や 器を清浄するためのワイプスとして使用す こともできる。ただし、不織布1を体液吸収 物品の吸液性芯材を被覆する透液性シート して使用するときには、必須複合繊維2とし て2.6~4.4dtexの繊度と、38~51mmの繊維長とを有す るものを使用して、不織布1の肌触りを柔軟 ものにすることが好ましい。また、そのと の必須複合繊維2は、不織布1の透液性を向上 させるために、界面活性剤を塗布したり、プ ラズマ加工を施したりすることによって、繊 維表面を親水性にすることが好ましい。なお 、不織布1は、コットン等の親水性の天然繊 やレーヨン繊維等の親水性の半合成繊維を 合用繊維として10重量%を限度に必須複合繊 2と混合して使用することによって、吸水性 持たせることもできる。必須複合繊維2の芯 成分と鞘成分とを形成する熱可塑性合成樹脂 は、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレ フィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹 脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリロニト リル系樹脂等から選ぶことができるが、必須 複合繊維2どうしを比較的低い温度でしかも 固に接合するうえにおいて、鞘成分にはポ エチレンを使用することが好ましい。溶融 たポリエチレンを介して必須複合繊維2どう が接合している不織布1は、鞘成分が溶融状 態にあっても芯成分は溶融することがないよ うに、芯成分にはポリエチレンとの溶融温度 差が大きいポリプロピレンやポリエステルを 使用することが好ましい。芯成分および/ま は鞘成分に使用する熱可塑性合成樹脂には 充填剤として酸化チタン等の無機物粒子を むものを使用することができる。充填剤の 径は0.05~0.5μmであることが好ましく、必須複 合繊維2はその充填剤によって表面光沢や透 性を調整することができる。充填剤を含む 須複合繊維2で形成されている不織布1は、吸 液性芯材を被覆する透液性シートとして使用 したときに、体液による芯材の汚れを隠蔽す ることができる。

 図2は、必須複合繊維2を使用して不織布1 得るための製造工程を示すものであるが、 2には、その必須複合繊維2を得る工程も含 れている。図2の工程Iでは、必須複合繊維2 芯成分を形成する高融点樹脂と鞘成分を形 する低融点樹脂とを溶融押出して、必須複 繊維2を得るためのフィラメント状の複合繊 2aを紡糸する。このときの高融点樹脂およ /または低融点樹脂は、複合繊維2aの紡糸や の後の工程IIIにおける複合繊維2aの延伸処理 の妨げにならない程度において酸化チタン等 の無機物充填剤を含むことができる。

 工程IIでは、その複合繊維2aを引き揃えて トウ2bを得る。

 工程IIIでは、複合繊維2aの繊度や強度を 整するために、トウ2bを所要温度に加熱して 、一次延伸および二次延伸の処理を施す。

 工程IVでは、油剤を塗布したトウ2bをボッ クス型クリンパに供給して、トウ2bに機械的 捲縮を付与する。

 工程Vでは、トウ2bにアニーリング処理を す。すなわち、トウ2bを弛緩状態で加熱し 捲縮を固定するとともに、熱収縮させてト の形状を安定した状態にする。

 工程VIでは、トウ2bを所要の長さにカット して、ステープル状の必須複合繊維2の集合 を得る。

 工程VIIでは、必須複合繊維2の集合体を開 繊するためにカード機101に通し、必須複合繊 維2からなるウエブ102を得る。

 工程VIIIでは、ウエブ102を、これを機械方 向MDへ搬送するための支持体である無端ベル 103に載せる。

 工程IXでは、前処理室104においてウエブ10 2に圧縮用の加圧エアを上方から吹き付けて ウエブ102を形成している必須複合繊維2を厚 方向TDの上方から下方へと移動させてウエ 102を高密度のものにする。加圧エアは、そ 温度が鞘成分を溶融させることのないもの ある。前処理室104ではまた、ウエブ102の下 から加圧エアに対するサクションを作用さ る。

 工程Xでは、前処理室104に続く処理室105,10 6,107において、ウエブ102に加熱エアを上方か 吹き付けて、必須複合繊維2の鞘成分を形成 している低融点樹脂を溶融し、その溶融した 樹脂を使用して必須複合繊維2どうしを互い 交差する部位において溶着する。各処理室10 5,106,107では、加熱エアに対するサクションを ウエブ102の下方から作用させる。処理室105,10 6,107の加熱エアの温度と風量とは調節するこ ができるが、加熱エアは低融点樹脂の溶融 度以上の温度に加熱されて使用される。

 工程XIでは、処理室107を出たウエブ102を 却して不織布1とし、これを巻き取る。

 図2において、工程IIIでのトウ2bの延伸は 一次延伸だけにして、二次延伸を省くこと できる。不織布1が必須複合繊維2の他に、 れと混合される熱可塑性合成繊維や親水性 維等の混合用繊維112を含むものであるとき は、必須複合繊維2の集合体を開繊する工程V IIにおいてその混合用繊維112を投入して混合 繊維112もカード機101を通過させる。混合用 維112は、カード機101の通過と必須複合繊維2 との混合とが容易となるように、機械的な捲 縮を付与されていることが好ましい。工程IX 、必要に応じて使用される工程であり、工 X以前においてウエブ102の密度を高める必要 がないときには、省くことができる。また、 工程IXでは、加圧エアに代えてエンボスロー 等の機械的手段によってウエブ102を厚さ方 TDにおいて圧縮し、密度を高めることがで る。エンボスロールには、加熱されたエン スロールや超音波振動するエンボスロール 使用して、ウエブ102を部分的に圧縮すると もに圧縮した部分における必須複合繊維2を いに溶着させることもできる。

 図2の製造工程の具体例として、芯成分が ポリエステルであり鞘成分がポリエチレンで ある必須複合繊維2を使用して不織布1を得る 合を示せば次のとおりである。

 工程Iでは、高融点樹脂にポリエステルを使 用し、低融点樹脂にポリエチレンを使用して 、芯成分と鞘成分とがほぼ同心を成している 芯鞘型のフィラメントである複合繊維2aを紡 する。ポリエチレンには、高密度ポリエチ ンや低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポ エチレン、これらポリエチレンの混合物を 用することができるが、好ましくは密度が0 .95~0.97g/cm 3 であって、JIS K 7210に規定のメルトフローレ ートが10~30g/10分である高密度ポリエチレンを 使用する。

 工程IIでは、複合繊維2aを引き揃えてトウ 2bを得る。

 工程IIIでは、トウ2bを70~110℃で130~400%延伸 して、トウ2bを形成している複合繊維2aを繊 が1~17dtex、より好ましくは2~10dtexのフィラメ トにする。

 工程IVでは、延伸後のトウ2bをオーバーフ ィードとなるようにしながらボックス型クリ ンパに供給して複合繊維2aに10~35/25mm、より好 ましくは13~20/25mmの割合でジグザグ状の屈曲 反復する機械的捲縮を付与する。

 工程Vでは、捲縮したトウ2bをアニーリン 処理するために120℃で5~8分間加熱する。

 工程VIでは、アニーリング処理後のトウ2b をカットして、実寸が10~150mm、より好ましく 25~65mmのステープルである必須複合繊維2の 合体を得る。

 工程VIIでは、必須複合繊維2の集合体を開 繊してウエブ102を得るが、必須複合繊維2に して、混合用繊維112を混合してウエブ102を ることもできる。混合用繊維112としては、 維長が10~55mmであって潜在捲縮性を有する複 繊維等の熱可塑性合成繊維やコットンやレ ヨン等の親水性の天然繊維や半合成繊維を 用することができる。不織布1において、混 合用繊維112として使用する熱可塑性合成繊維 の量は50重量%以下であることが好ましく、混 合用繊維112として使用する天然繊維や半合成 繊維の量は10重量%以下であることが好ましい 。混合用繊維112として使用する潜在捲縮性を 有する複合繊維とは、工程Xにおける加熱で 在的な捲縮が確実に発現するものをいう。

 工程IXでは、ウエブ102に対して、必須複 繊維2の鞘成分を溶融させることがないよう 温度の熱風、例えばポリエチレンが鞘成分 あれば80~125℃、より好ましくは90~110℃の熱 を1.5~3m/secの割合で吹き付けて、ウエブ102の 厚さ方向TDにおける必須複合繊維2の機械的な 捲縮状態を変化させることがないようにしな がら必須複合繊維2を厚さ方向TDの上方から下 方へ移動させる。

 工程Xでは、必須複合繊維2の鞘成分どう を互いに交差する部位において溶着させる とによって、必須複合繊維2を互いに交絡さ る。例えばポリエチレンが鞘成分であれば 130~150℃の熱風を0.5~1.5m/secの割合で吹き付け る。ウエブ102が潜在捲縮性を有する複合繊維 を混合用繊維112として含む場合には、工程X おいてその混合用繊維112が熱風の作用下に 須複合繊維2と溶着したり、機械的に交絡し りすると同時にスパイラル状に捲縮するこ によって、工程Xにおいての必須複合繊維2 動きを抑え、必須複合繊維2の機械方向MDや 差方向CDにおける配向状態の変化を防ぐこと が可能になる。

 このような製造工程では、機械的な捲縮 付与してあるトウ2bを必須複合繊維2の鞘成 の融点かそれに近い温度にまで加熱してア ーリング処理するので、そのトウ2bから得 れるステープル状態の必須複合繊維2におけ 捲縮状態を熱的に安定したものにすること できる。その必須複合繊維2は、カード機101 を通過して機械方向MDへ進むときに、機械方 MDと平行となるように延びる傾向が強くな とともに、厚さ方向TDにおいてジグザグ状の 屈曲を繰り返す傾向が強くなる。工程Xを通 して得られる不織布1では、処理室105,106,107 熱風の影響によって必須複合繊維2の機械的 捲縮が顕著なものではなくなる傾向にある 、それでもなお必須複合繊維2の多くは、機 械方向MDへ延びながら厚さ方向TDにおいて屈 を繰り返す傾向を維持することが可能であ 。

 このように必須複合繊維2の捲縮状態が熱 的に安定しているトウ2bは、厚さ方向TDに圧 されたときの弾性的回復力の指標である「 形残存率」が小さくなる傾向にある。その ウ2bから得られる不織布1は、それに荷重を えるときの前後の容積比である「比容積」 大きくて、荷重を加えたときでも嵩高いも になる傾向にある。不織布1はまた、それを 平面に置いて交差方向CDに平行な断面を観 したときに、水平面に対する垂線と必須複 繊維2との交差角度である「繊維角度」が小 くなる傾向にある。この傾向は、交差方向C Dに平行な断面に現れた必須複合繊維2が垂直 起立するように延びる傾向にあることを示 ている。不織布1ではさらに、それを生理用 ナプキンの透液性表面シートとして使用した ときに、所定量の人工経血の「透液時間」が 短くなる傾向にある。これら「変形残存率」 、「比容積」、「平均繊維角度」および「透 液時間」の測定方法と測定結果とは後記の実 施例において説明されている。

 図3は、この発明における不織布1の製造 程の一例を示す図2と同様な工程の部分図で る。ただし、図3の工程では、図2のカード 101に代えて、第1,第2,第3カード機301a,301b,301c 使用されている。第1,第2,第3カード機301a,301 b,301cそれぞれの上流側には、図2における工 I~工程VIに相当する工程(図示せず)が設けら ており、第1,第2,第3カード機301a,301b,301cのそ ぞれに対して必須複合繊維2の集合体が供給 される。第1,第2,第3カード機301a,301b,301cのそ ぞれからは必須複合繊維2からなる第1ウエブ 302a、第2ウエブ302b、第3ウエブ302cが得られる これら第1,第2,第3ウエブ302a,302b,302cは機械方 向MDへ走行する無端ベルト103上において重ね わせられてウエブ積層体302dとなって、図2 示される工程VIII以降の工程へ進む。

 図3における工程は、カード機の処理能力が 低く、一台のカード機では均一な組成で坪量 の大きなウエブを作りにくい場合に利用する ことができる。例えば、第1,第2,第3カード機3 01a,301b,301cで坪量が10g/m 2 の第1,第2,第3ウエブ302a,302b,302cを作り、これ を重ね合わせて坪量が30g/m 2 のウエブ積層体302dと不織布1とを得ることが きる。また、図3の工程において第1,第2,第3 エブ302a,302b,302cの間で繊維の構成に違いを たせることで、不織布1の厚さ方向において 維の構成に変化を持たせることができる。 お、この発明では、図2と図3との例に限定 れることなく、使用するカード機の台数を 由に選ぶことができる。

 図4,5,6は、この発明の実施形態の一例を す不織布201の斜視図と、不織布201を得るた の製造工程図と、その製造工程図において 用される部品の部分図である。

 図4の不織布201は、図14における必須複合 維2と同一のものを使用して得られたもので あるが、上面Aには互いに平行して機械方向MD へ延びる複数条の隆起部202と、隆起部202と同 じように互いに平行して機械方向MDへ延びる 数条の谷部203とが形成されていて、交差方 CDにおいて隆起部202と谷部203とが波型の起 を繰り返している。不織布201の下面Bは平坦 あって、谷部203には、上面Aと下面Bとの間 延びる透孔204が形成されている。透孔204は 機械方向MDにおいて間欠的に並んでいる。

 図5の製造工程図は、図2のそれとほぼ同 ものであるが、図2における工程VIIと工程IX の間の工程VIIIに成形手段210が加えられてい 。成形手段210は、不織布201における隆起部2 02と谷部203と透孔204とを形成するためのもの 、機械方向MDへ回転するサクションドラム21 1と、エア噴出用のノズル集合体212,213,214とを 含んでいる。ノズル集合体212,213,214のそれぞ は、サクションドラム211の周面に向かって アを噴出することができるもので、サクシ ンドラム211の周方向において互いに所要寸 の間隔をあけて配置されていて、サクショ ドラム211の周面からは所要寸法だけ離間し いる。ノズル集合体212,213,214のそれぞれは た、サクションドラム211の軸方向、すなわ 交差方向CDへ延びるエア配管(図示せず)に複 の単体ノズル215(図8参照)が所要の間隔をあ て取り付けられているもので、その取り付 状態の好ましい一例では、ノズル集合体212, 213,214それぞれにおける単体ノズル215が機械 向MDにおいて同一線上に位置するように調整 されている。

 ノズル集合体212,213,214は、例えば、サクシ ンドラム211の周方向へ30°ずつの間隔をあけ 配置することができ、ノズル集合体212,213,21 4それぞれにおける単体ノズル215は、例えば 差方向CDにおけるピッチが5mmとなるようにエ ア配管に取り付けることができる。ノズル集 合体212,213,214からは所要温度のエアを所要の 量で噴出することができる。複数の単体ノ ル215から噴出するエアは、そのエア自体に って、または単体ノズル215どうしのエアが 互に干渉することによってウエブ102におけ 必須複合繊維2の分布状態を乱すことがない ように調整されている。そのためには、例え ば坪量35g/m 2 のウエブ102が直径500mmのサクションドラム211 周面を0.5秒で通過するものであって、ノズ 集合体212,213,214それぞれの単体ノズル215が 差方向CDに5mmのピッチで配置してあってサク ションドラム211の周面からの離間寸法が5~8mm 調整してある場合、ウエブ102はサクション ラム211のサクションによって厚さを2~5mm程 に整えてから、単体ノズル215の下を通過さ ることが好ましい。そのときに使用する単 ノズル215の口径は0.5~1.5mm程度であり、単体 ズル215からのエアの噴出速度は50~700m/secであ り、サクションドラム211の吸引力は2~7m/secで ることが好ましい。

 図5のサクションドラム211の周面には、図 6に示す成形用プレート220が取り付けられて る。プレート220は、開孔部221と非開孔部222 がサクションドラム211の周方向Eへ交互に形 されているもので、開孔部221には複数の透 223が形成されていて、この透孔223がサクシ ンドラム211のサクション機構(図示せず)に ながっている。プレート220の一例において 開孔部221は、周方向Eの寸法が2~3mmであって サクションドラム211の軸方向、すなわち交 方向CDのほぼ全体に延びており、直径0.2~1mm 複数の透孔223が開孔部221の面積に対して15~30 %の開口率となるように形成されている。非 孔部222は、周方向Eの寸法が1.5~3mmであって、 サクションドラム211の軸方向の全体に延びて いる。プレート220が取り付けられたサクショ ンドラム211の周速は、ウエブ102の搬送速度に 同じである。

 図5の製造工程では、図2の製造工程と同 工程I~VIIを経て一様な厚さを有するウエブ102 が作られる。そのウエブ102は、工程VIIIにお て、成形手段210を通過する。成形手段210に いて、ウエブ102は、サクションドラム211の 面に載せられてノズル集合体212,213,214の下を 通過する。ノズル集合体212,213,214からはウエ 102に向かってエアを噴出する一方、サクシ ンドラム211では、そのエアを吸引するため サクションを作用させる。

 エアを噴出されたウエブ102では、ノズル 合体212,213,214それぞれにおける単体ノズル21 5の直下にある必須複合繊維2が交差方向CDへ 行移動して隣り合う単体ノズル215と単体ノ ル215との間に集積し、図4の隆起部202を形成 ることとなる隆起部(図示せず)を形成する 方、単体ノズル215の直下には図3の谷部203を 成することとなる谷部(図示せず)を形成す 。ただし、サクションドラム211の周面を形 している成形用プレート220の非開孔部222で 、ウエブ102に向かって噴出されたエアがサ ションドラム211の内側へ進まずに、成形用 レート220の表面に沿って交差方向CDへ流れる 。そのエアによって、非開孔部222に載せられ ている必須複合繊維2のほとんどすべてが交 方向CDへ移動したときには、図4の透孔204に 応する透孔(図示せず)がウエブ102に形成され る。また、プレート220の開孔部221に載せられ ている複合繊維102は、それに向かって噴出さ れたエアの多くがプレート220の透孔223を通っ てサクションドラム211の内側へ進むと、複合 繊維102のうちの一部のものが交差方向CDへ移 することなく単体ノズル215の直下に残り、 4において隣り合う隆起部202どうしをつない でいるブリッジ206に対応するブリッジ(図示 ず)を形成する。

 図4において明らかなように、谷部203には 、このようにして形成される透孔204とブリッ ジ206とが含まれている。ノズル集合体212,213,2 14から噴出するエアの温度は、必須複合繊維2 がポリエステルを芯成分とし、ポリエチレン を鞘成分とするものである場合には、90~250℃ に設定することが好ましい。エアの温度が必 須複合繊維2の鞘成分を溶融し得る程度であ ば、成形手段210において図4の形状に対応す 表面形状が作られたウエブ102では、単体ノ ル215の直下に位置している必須複合繊維2の 鞘成分どうしが溶着して、工程VIII以降にお ての表面形状の維持が容易になるのみなら 、工程IXにおいてのウエブ102の隆起部での圧 縮度合いが高くなる。この発明では、工程IX 先立つ工程VIIIにおいてウエブ102をこのよう に加熱することを予備的な加熱という。

 ノズル集合体212,213,214はまた、噴出する アの温度をこれらの順に高くすることがで る。この場合にあっては、ウエブ102の進入 にあるノズル集合体212,213からのエアによっ 、単体ノズル215直下の必須複合繊維2を交差 方向CDへ移動させ、交差方向CDにおいて隣り う単体ノズル215どうしの間に集積させる。 ズル集合体212,213からのそのエアは、ウエブ1 02を加熱するために、必須複合繊維2の鞘成分 を溶融させることがない程度に温度と風量と を調整する。ポリエステルを芯成分としポリ エチレンを鞘成分とする芯鞘型の必須複合繊 維2に対しては、そのエアの温度を90~200℃程 に設定することができる。ノズル集合体214 らのエアでは、主として単体ノズル215の直 にある必須複合繊維2の鞘成分どうしを溶着 せてウエブ102の形状を安定させる。そのと のエア温度は、ノズル集合体212,213のエア温 度よりも高く、180~250℃程度に設定すること できる。

 ノズル集合体212,213,214については、それ れの集合体における単体ノズル215の口径を の順序で次第に大きくして、ウエブ102に対 ての単体ノズル215からのエアの噴き付け幅 交差方向CDにおいて次第に大きくすることも できる。そのようにすることによって、図4 不織布201を得る際に、ウエブ102に作られる 部の交差方向CDにおける幅を徐々に広げるこ とができる。例えば、ノズル集合体212では口 径が0.7mmの単体ノズル215を使用し、ノズル集 体213,214では口径が1.0mmの単体ノズル215を使 する。成形手段210を使用してウエブ102をこ ように処理すると、工程IX,Xを通過するとき のウエブ102における必須複合繊維2どうしの 械方向MD、交差方向CD、厚さ方向TDにおける 布状態を大きく乱すということがない。

 ノズル集合体212,213,214を使用して、ウエ 102に機械方向MDへ延びる隆起部と谷部とを形 成する工程VIIIは、そのウエブ102が潜在捲縮 の繊維を混合用繊維112として含む場合にお ても適用することができる。図2や図5の工程 VIIにおいて必須複合繊維2に混合用繊維112が 合されて得られるウエブ102では、混合用繊 112が均一に分布しておらず局部的に密集し いるということが起こり得る。そのような エブ102が加熱されて潜在捲縮性の混合用繊 112がスパイラル状に捲縮したとすると、そ 捲縮によって見掛けの寸法が短くなる混合 繊維112が必須複合繊維2をウエブ102の内部に いて様々な方向へ引っ張るので、カード機1 01を通過した直後におけるウエブ102での必須 合繊維2の分布状態が著しく変化することに なる。

 しかし、例えばノズル集合体212やノズル 合体213を使用してウエブ102に隆起部と谷部 を予め形成して必須複合繊維2と複合用繊維 112とを隆起部に集めておき、その後にノズル 集合体214を使用してそのウエブ102を予備的に 加熱し、ウエブ102における繊維どうしを軽度 に溶着させる工程では、混合用繊維112の多く が、その予備的な加熱によって、ウエブ102の うちの隆起部という比較的狭い範囲内でスパ イラル状に捲縮して見掛けの寸法を短くする 。その結果として、必須複合繊維2には混合 繊維112によって混合用繊維112の寸法が短く る方向へ引っ張られるという現象が生じる であるが、その現象は、ウエブ102の広い範 にわたって一様に生じるのではなくて、主 して隆起部の内部で生じる。このように、 在捲縮性の混合用繊維112を使用しながらウ ブ102に隆起部を形成すると、ウエブ102から られる不織布201においての必須複合繊維2の 布を隆起部202に集中させることができる。 合用繊維112が潜在捲縮性の複合繊維である 合、混合用繊維112が捲縮して寸法が短くな ときの収縮率は一般的にばらつきが大きい しかし、成形手段210を通過するときに隆起 を形成するウエブ102では、混合用繊維112の くがその隆起部に集まっているので、その 起部では混合用繊維112の収縮率が平均化さ た値となって現れる。このようなウエブ102 ら得られる不織布201では、混合用繊維112の に時として混在している特に大きな収縮率 有する混合用繊維112の影響が顕在化するこ がない。

 混合用繊維112として使用できる潜在捲縮 繊維には、偏芯している芯鞘型複合繊維、 芯している芯鞘型の中空複合繊維、サイド イサイド型の複合繊維等があるが、これら 潜在捲縮性複合繊維は、後記するウエブ収 率が10~40%の範囲内にあることが好ましい。 エブ収縮率が10パーセント未満である場合 潜在捲縮性複合繊維は、捲縮したときに示 見掛け上の寸法の収縮率が小さくて、必須 合繊維2どうしを接近させる能力が低く、必 複合繊維2どうしの交絡を促進することが難 しい。また、ウエブ収縮率が40%を超える場合 の潜在捲縮性複合繊維は、捲縮したときに生 じるスパイラルの径が一般的に小さくなりが ちで、不織布1や不織布201においての必須複 繊維2を横に寝かせる傾向、換言すると平均 維角度θを大きくする傾向が強くなるので ましいものではない。このような潜在捲縮 複合繊維はまた、必須複合繊維2との溶着を 易にするうえにおいて、鞘成分と芯成分と 容積比率を50:50~70:30の範囲におさめて鞘成 の容積を十分に確保することが好ましい。 在捲縮性複合繊維はまた、必須複合繊維2と 接合箇所が多くなるように繊維長を38~64mmの 範囲におさめることが好ましく、繊度を1.5~4. 4dtexの範囲におさめることが好ましい。

 図5においてのウエブ102は、図2と同様な 程IX,X,XIを経て図4の不織布201となるのである が、この発明においては、図示例のプレート 220をその全面に透孔223が形成され、非開孔部 222を持たないものに代えることができる。そ のようなプレート220を使用すると、隆起部202 と谷部203とが形成されていても、透孔204が形 成されていない不織布201を得ることができる 。

 このようにして得られる不織布201の隆起 202では、厚さ方向TDにおける必須複合繊維2 延び方が図1の不織布1の場合と同様であっ 、不織布201は「比容積」が大きく、隆起部20 2における「平均繊維角度」が小さく、体液 「透液時間」が短いものになる。また、隆 部202における必須複合繊維2のうちで谷部203 近傍に位置するものは、成形手段210におい 噴出するエアの作用によって交差方向CDへ 動したものと考えられる。交差方向CDに平行 な不織布201の断面に現れる隆起部202を観察す ると、そのように移動した必須複合繊維2で 、厚さ方向TDへ延びる傾向が顕著である。

 図7は、この発明における不織布201の製造 工程の一例を示す図5と同様な工程の部分図 ある。ただし、図7の工程では、図5のカード 機101に代えて図3に例示の第1,第2,第3カード機 301a,301b,301cが採用されている。

 また、図7の工程では、図5に示す成形手 210に代えて成形手段210aが採用されている。 形手段210aは、ノズル集合体212の上流側に脱 気用ロール234を有し、サクションドラム211が 第1サクションゾーン231、第2サクションゾー 232、第3サクションゾーン233を有している。 第1,第2,第3サクションゾーン231,232,233は個別 サクション力を調整することが可能であっ 、第1サクションゾーン231は脱気用ロール234 向かい合い、第2サクションゾーン232はノズ ル集合体212,213と向かい合い、第3サクション ーン233はノズル集合体214と向かい合ってい 。脱気用ロール234は、その周面に例えば直 5mmの脱気用透孔(図示せず)が面積率30%の割 で形成されていて、無端ベルト103の走行速 の105~120%に相当する周速で回転して、ウエブ 積層体302dを機械方向MDへ緊張させながらサク ションドラム211の周面に接触させることがで きる。

 図7において、例えば坪量35g/m 2 のウエブ積層体302dが直径500mmのサクションド ラム211の周面を0.5秒で通過する場合には、直 径が200mmの脱気用ロール234をサクションドラ 211の周面から3mm程度離間させて使用するこ が好ましい。このような脱気用ロール234を 用することによって、成形手段210の直前で さ30~40mmを有していたウエブ積層体302dを厚 2~5mmのウエブ積層体302dにすることが容易に る。図7においてはまた、サクションドラム2 11において、第1,第2,第3サクションゾーン231,2 32,233それぞれの吸引力を5~10m/sec,2~5m/sec,5~7m/sec に設定することが好ましい。そのような場合 であっても、第1,第3サクションゾーン231,233 吸引力を高くする一方、それらの吸引力よ も第2サクションゾーン232の吸引力を低く設 しておくと、第2サクションゾーン232の上流 側と下流側とにおいてウエブ積層体302dをサ ションドラム211の周面に密着させながら、 2サクションゾーン232においてはノズル集合 212,213の作用によってウエブ積層体302dにお る必須複合繊維2や混合用繊維112を交差方向C Dへ移動させて、不織布201における隆起部202 谷部203とを形成することが容易になる。

 不織布201を得るために、図7の第1,第2,第3カ ド機301a,302b,302cを次のように使用すること できる。即ち、第1カード機301aからは、繊維 長が短くて、例えば15~44mmであり、機械的捲 数が少なくて10~15/25.4mmである必須複合繊維2 らなり、10g/m 2 の坪量を有する第1ウエブ302aを供給する。第2 カード機301bからは、繊維長が長くて、例え 44~64mmであり、機械的捲縮数が多くて15~35/25.4 mmである必須複合繊維2からなり、10g/m 2 の坪量を有する第2ウエブ302bを供給する。第3 カード機302cからは、第2ウエブ302bと同一のも のを第3ウエブ302cとして供給する。これら第1 ~第3ウエブ302a~302cで形成されたウエブ積層体3 02dは、第1ウエブ302aをサクションドラム211の 面に載せてノズル集合体212,213,214からのエ とサクションドラム211からのサクションと 作用させる。すると、第1ウエブ302aを形成し ている比較的繊維長の短い必須複合繊維2は 隆起部を形成するときに、機械方向MDへ向か って延びる傾向と、水平な無端ベルト103に対 して垂直をなす面内でジグザグ状の機械的捲 縮を示す傾向が強くなる。これらの傾向は、 ウエブ積層体302dの嵩維持率を向上させたり 不織布201の平均繊維角度θを小さくして透液 時間を短くしたりすることに効果的である。 また、第3ウエブ302cを形成している比較的繊 長の長い必須複合繊維2は、隆起部の表面に おいて必須複合繊維2の毛羽立ちを抑え、隆 部表面の密度を高くしたり、不織布201の外 のよさを向上させたりするうえにおいて効 的なものである。

 図8は、(a)と(b)とによって、図5や図7のノ ル集合体212,213,214において採用される単体 ズル215の配置を部分的に例示する図である (a)では、参照符号215で示す単体ノズル215が 差方向CDへ一列に並べられている。単体ノズ ル215は、例えば口径1mmのものが5mmのピッチP 並べられる。(b)では、単体ノズル215が交差 向CDへ二列に並べられていて、その二列にお ける単体ノズル215は、機械方向MDにおいて同 直線上にある。(b)の場合の単体ノズル215は 例えば口径1mmのものが交差方向CDにおいて5m mのピッチPで並べられ、機械方向MDにおいて 心間隔Qが5mmとなるように離間している。ノ ル集合体212,213,214において、これらの配置 (a),(b)を自由に選択することができるが、例 ばノズル集合体212,213においては配置例(a)を 採用し、ノズル集合体214では、配置例(b)を採 用して、ノズル集合体212,213によって形成さ たウエブ積層体302dの谷部に残る必須繊維2や 混合用繊維112の互いの溶着をノズル集合体214 によって促進することができる。

 図9は、図7の工程を使用して得られた不 布201の交差方向CDの断面図(写真)である。不 布201は、鎖線で示す水平面71の上に置かれ いて、隆起部202と谷部203とが交差方向CDにお いて交互に現れる。隆起部202は、水平面71か 隆起部202の頂点72までの高さTと、高さTの1/2 の点73における交差方向CDに幅Wを有する。不 布201は、図7の工程の各ノズル集合体212,213,2 14における単体ノズル215のピッチ、単体ノズ 215からのエアの噴出速度、工程Xと工程XIと おけるウエブ102の搬送速度の比等の条件を えることによって、隆起部202の高さTと幅W を変化させることができる。発明者が知見 たところによれば、T/Wの値は平均繊維角度θ の大きさに影響を与えることが明らかである 。また、不織布201は、その透液性を向上させ る上において平均繊維角度θを75度以下にす ことが好ましい。この発明の一例では、そ ような値の平均繊維角度θを有する不織布201 を得るために、T/Wの値を0.55~1.00の範囲におさ める。

 図10は、不織布201の使用例を示す生理用 プキン250の部分破断斜視図である。生理用 プキン250は、透液性表面シート251と不透液 裏面シート252との間に体液吸収性芯材253を 在させたもので、表面シート251と裏面シー 252とは、芯材253の周縁から延出して重なり っており、溶着部254において互いに接合し いる。また、表面シート251と裏面シート252 芯材253とは、長円形を画くように延びる圧 条部256において加熱、加圧され互いに容易 分離することがないように一体化している 表面シート251には、図4に例示の不織布201が 用されている。不織布201における隆起部202 谷部203とは、生理用ナプキン250の長さ方向L へ延びている。裏面シート252にはプラスチッ クフィルムが使用され、芯材253は、粉砕パル プと高吸水性ポリマー粒子(いずれも図示せ )との混合物をティッシュペーパ(図示せず) 被覆することにより形成されている。表面 ート251は、それを形成している不織布201の 須複合繊維2が不織布201の厚さ方向TDにおい 屈曲を繰り返していることによって、表面 ート251上の経血を生理用ナプキン250の長さ 向Lにも幅方向Wにも拡散させることが少なく て芯材253に向かって速やかに透過させること ができる。芯材253では、ティッシュペーパが 経血を速やかに拡散させ、パルプと高吸水性 ポリマー粒子とがその経血を吸収保持するの で、表面シート251を透過後の経血は、その透 過した部位に滞溜することがなく、表面シー ト251を逆流して肌を湿らせるということがな い。このように、生理用ナプキン250は、不織 布201を使用することによって、経血を表面シ ート251のごく限られた範囲で吸収するという 、いわゆるスポット吸収性能に優れたものに なると同時に、吸収した経血の逆流、いわゆ るリ・ウエットを防止する性能においても優 れたものになる。

 表1,2には、図2,3,5,7等の工程によって得ら れたこの発明に係る各種不織布と比較例の不 織布とについての構成繊維と性能評価結果と が示されている。

 表1,2における記載事項は、以下のとおりで る。
1.必須複合繊維I、必須複合繊維II
 この発明の実施形態における必須複合繊維2 として使用されるものである。
2.混合用繊維
 この発明の実施形態における混合用繊維112 して使用される潜在捲縮性繊維である。
3.繊維長
 繊維を直状に伸展させたときの長さを示す
4.捲縮数
 紡糸の後に続くボックス型クリンパで処理 たトウに含まれている繊維の機械的な捲縮 をJIS L 1015の規定に基づいて測定した結果 あって、捲縮数測定器において測定用の繊 をグリップしている一対のグリップの間隔2 5mm当たりについての捲縮数を示す。
5.捲縮後熱処理
 クリンパから取り出したトウを弛緩状態で7 分間加熱してアニーリング処理するときの温 度を示す。
6.ウエブ収縮率
 潜在捲縮性の繊維からなり200g/m 2 の坪量を有するウエブを使用して250×250mmの きさの試験用シートを作成し、この試験用 ートを145℃で5分間熱処理したときの試験用 ートの機械方向MDにおける収縮率を示す。
7.トウの変形残存率
(1)図2の工程Vにおいて、120000dtex分の熱処理し たトウを採取して垂直に吊し、このトウに対 して24gの加重を加えた状態で100mmの長さを示 マークを上下二箇所に入れる。
(2)トウに75gの荷重を追加し、120℃で5分間加 する。
(3)トウを室温にまで冷却してから、75gの荷重 を外し、上下のマークの間の距離d(mm)を測定 、次式によって変形残存率(%)を求める。
  (d-100)/100=変形残存率(%)
を求める。
8.トウの融解熱量
(1)工程Vにおける熱処理を施したトウから約2m gの複合繊維を試料として採取する。
(2)この試料について、DSC(Differential Scanning Ca lorimeter)を使用して融解熱量(J)を測定し、昇 過程における第1ピークの値を求める。その を試料の重量(g)で除したものを複合繊維の 融点樹脂、例えばポリエチレンの融解熱量 H(J/g)とする。
(3)測定に使用した機器と測定条件とは、次の とおりである。
 測定器:(株)島津製作所製 示差走査熱量計  DSC-60
 試料容器:品番PN/50-020(容量15μlの容器)およ
      品番PN/50-021(容器のクリンプ用カバ )
 昇温速度:5°C/min
 測定温度範囲:50~200℃
 測定雰囲気:窒素
9.ウエブのカード機通過後の厚さ
(1)工程VIIのカード機から出た30g/m 2 のウエブを300×300mmにカットして試料とする
(2)試料に0.1g/cm 2 の荷重をかけて、試料の厚さを測定し、その 値をカード機通過後のウエブの厚さとする。
10.ウエブの嵩維持率
(1)工程VIIのカード機から出た30g/m 2 のウエブを300×300mmにカットして得た試料を7 重ね、0.1g/cm 2 の荷重を加えて厚さh 0 を測定する。
(2)荷重を加えてある重ねた試料を135℃の加熱 炉で5分間処理した後に冷却して厚さh 1 を測定する。
(3)h 1 /h 0 ×100=嵩維持率(%)を求める。
11.比容積
(1)100×100mmにカットした不織布を10枚重ね、200 0gfの荷重を加えた状態で厚さを測定し、その 厚さの1/10を不織布の厚さtとする。
(2)100×100mmの不織布の重量から不織布の坪量w g/cm 2 の単位で求める。
(3)t/w=比容積(cm 3 /g)を求めて20gf/cm 2 荷重下の比容積とする。
12.透液時間
(1)市販の生理用ナプキン(ユニ・チャーム(株) 製、ソフィふわぴたスリム、25cm)の表面シー を外し、その表面シートの代わりに実施例 たは比較例の不織布を取り付けて試料とす 。
(2)試料には、人工経血滴下用ビュレットの先 端径とほぼ同じ径の透孔を有する40×10mmのア リル板を載せ、そのアクリル板に錘を載せ 試料に対する荷重が2gf/cm 2 となるように調整する。
(3)1回目の人工経血をアクリル板の透孔から 理用ナプキンに向かって90ml/minの速度で3ml滴 下し、1分間放置して、人工経血に表面シー を透過させる。人工経血は、水1000ccに対し 、グリセリン 80g、CMCのナトリウム塩 8g、Na Cl 10g、NaHCO3 4g、赤色色素102号 8g、赤色色素 2号 2g、黄色色素5号 2gを混合し、溶解させ ものである。
(4)さらに、2回目の人工経血を4ml滴下する。
(5)1回目の人工経血及び2回目の人工経血それ れについて、滴下後から表面シートを透過 て芯材に移行するまでの時間を計測し、1回 目透液時間と2回目透液時間とを求める。そ ぞれの透液時間が、不織布の透液性の良否 示す指標となる。
13.平均繊維角度θ
(1)測定用の試料とする不織布を70℃で30分間 熱して不織布の取り扱い過程で生じた折り を取り除き、試料を平坦なものにする。
(2)コクヨカッターナイフHA-7NB(商品名)用の標 替え刃HA-100Bを使用して、試料を交差方向CD 切断して、交差方向CDに平行する観測用の 断面を作り、その試料を水平な面に載せる
(3)切断面を電子顕微鏡(キーエンス社製リア サーフェスビュー顕微鏡 VE-7800)で観察し、 断面の30倍の拡大写真を撮影する。撮影で 、試料の上面から下面までを視野に入れる
(4)写真の切断面において、任意の位置に水平 面に対する垂線を引き、その垂線との平行間 隔が100μmとなる補助線を垂線の左右両側に引 く。
(5)2本の補助線と交差する1本の繊維について それぞれの補助線との交差位置にマークを ける。
(6)左右のマークを直線で結び、垂線の両側そ れぞれにおいてその直線と垂線との交角α、 (図11,12参照)を求め、求めた交角α、βのうち で値の小さい方の角度を繊維角度とする。
(7)写真の切断面において、焦点が合っていて 測定の対象となるすべての繊維について繊維 角度を求め、求めた繊維角度の算術平均値を 「平均繊維角度θ」とする。写真の切断面に いて焦点の合っているそれらの繊維が、こ 発明においての断面に現れる繊維である。

(実施例1~3)
 表1,2に示す実施例1~3の不織布は、必須複合 維2が100重量%を占めているもので、表1にお てその必須複合繊維2は必須複合繊維Iと命 されている。必須複合繊維Iの芯成分には融 260℃のポリエステル(PET)が使用され、鞘成 には融点130℃の高密度ポリエチレン(PE)が使 されている。必須複合繊維Iを得るためのト ウは、図2の工程IVにおける油剤処理で界面活 性剤を0.4重量%の割合で塗布することにより 水化処理し、機械的な捲縮の数が15/25mmとな ようにクリンパで処理した。捲縮を付与し 後のトウは、120℃で7分間熱処理した。実施 例1,2の不織布は、図2の工程を経て得られる 1に例示のごとき平坦なものであり、実施例3 の不織布は図5の工程を経て得られる図4に例 の如きものである。但し、実施例1,3では図2 の工程IXが使用されておらず、実施例2のみで 工程IXが使用されている。実施例3においては 、図6の成形用プレート220として、開孔部221 非開孔部222とがサクションドラム210の周方 へ5mmずつの単位で繰り返され、開孔部221に 孔径0.6mmの透孔223が面積率22%で形成されてい るものを使用した。

 図11,12は、実施例1の不織布についての「 均繊維角度θ」の測定方法と測定結果とを 示するもので、図11は、水平面上に置いた後 記実施例1の不織布の交差方向CDに平行な断面 を30倍に拡大したときの写真である。図11に 、不織布に対する一本の垂線Lとその垂線Lの 両側にあって垂線Lに平行な二本の補助線M,N が記入されている。また、図11には、一本の 繊維が二本の補助線と交差する位置を結ぶ繊 維角度測定線Dが記入されている。図12は、図 11における垂線Lと補助線M,Nと繊維角度測定線 Dとを示すとともに、測定対象の繊維No.1~48に いての交角αとβとのうちで値の小さい方の 角度を繊維角度として一覧表にして示してい る。「平均繊維角度θ」は、一覧表の値の算 平均値であって、70.8度である。

 図13は、実施例1の不織布の機械方向に平 な断面の一例を図11の倍率と同じ倍率で観 したときの写真である。多くの繊維が緩や な起伏を画きながら機械方向へ延びている

 図14,15は、実施例3の不織布についての「 均繊維角度θ」の測定方法と測定結果とを 示するもので、図14は、水平面上に置いた後 記実施例3の不織布の交差方向CDに平行な断面 に現れた隆起部の一つを30倍に拡大したとき 写真である。図14には、隆起部の頂部を通 一本の垂線Lと垂線Lに平行な二本の補助線M,N とが記入されている。また、図14には、一本 繊維が二本の補助線と交差する位置を結ぶ 維角度測定線Dが記入されている。図15は、 14における垂線Lと補助線M,Nと繊維角度測定 Dとを示すとともに、測定対象の繊維No.1~34 ついての繊維角度を一覧表にして示してい 。「平均繊維角度θ」は、67.4度である。な 、実施例3の不織布において谷部近傍で測定 た平均繊維角度θの一例は59度であった。

 図16は、実施例3の不織布についての隆起 の頂部における機械方向に平行な断面の一 を図14の倍率と同じ倍率で観察したときの 真である。多くの繊維が緩やかな起伏を画 ながら機械方向へ延びている。

(実施例4~6)
 表1,2に示す実施例4~6の不織布は、必須複合 維2が100%を占めているものであるが、必須 合繊維2には必須複合繊維Iと必須複合繊維II の2種類のものを70:30~30:70の重量割合で混合 て使用した。必須複合繊維Iは、38mmまたは51 mmの繊維長を有するものであるが、トウとし 15/25mmの機械的捲縮が付与してある。必須複 合繊維IIは、51mmの繊維長を有するものである が、トウとして18/25mmの機械的捲縮が付与し ある。必須複合繊維Iと必須複合繊維IIとは それらがトウであるときに親水化処理用の 面活性剤を0.4重量%の割合で塗布し、さらに 械的な捲縮を付与してから120℃で7分間熱処 理した。

(実施例7)
 表1,2における実施例7の不織布は、実施例1 使用した必須複合繊維2である必須複合繊維I と、図2の製造工程で示した混合用繊維112と 50:50の重量割合で混合したウエブを使用して 製造した。混合用繊維112として使用したもの は、親水化処理用の界面活性剤を0.4重量%塗 してあって15/25mmの割合で機械的な捲縮を付 したトウを90℃で7分間熱処理した後に38mmに カットして得られる芯鞘型の複合繊維である 。

(実施例8~10)
 必須複合繊維2として実施例1で使用した必 複合繊維Iを使用し、混合用繊維112として親 化処理用の界面活性剤を0.4重量%塗布してあ って15/25mmの機械的な捲縮を付与してある潜 捲縮性の芯鞘型複合繊維を使用した。必須 合繊維Iと混合用繊維112とは、80:20~50:50の重 割合で混合した。混合用繊維112が加熱され ときに示す捲縮の程度は、ウエブ収縮率に って評価した。

(実施例11,12)
 図4に例示の形状の不織布を図7に例示の工 を使用して製造し、得られた不織布の透液 間を測定した。実施例11では、図7の第1カー 機301aから表1に示す必須複合繊維Iと混合用 維とが80:20の割合で混合されている坪量10g/m 2 の第1ウエブ302aを得て、これを表1における下 層とした。第2カード機301bからは表1に示す必 須複合繊維Iと混合用繊維とが80:20の割合で混 合されている坪量10g/m 2 の第2ウエブ302bを得て、これを表1における中 間層として第1ウエブ302aの上に重ねた。第3カ ード機301cからは、第2ウエブ302bと同一組成を 有する坪量10g/m 2 の第3ウエブ302cを得て、これを表1における上 層として第2ウエブ302bの上に重ねた。これら ね合わせた第1,第2,第3ウエブ301a,302b,302cをウ エブ積層体302dとして、第1ウエブ302aが成形手 段210のサクションドラム211に接触するように して機械方向MDへ走行させた。成形手段210以 の工程の運転条件は実施例3の場合と同じに した。
 実施例12の不織布は、実施例11の不織布と同 一の条件で形成されたものではあるが、第1 エブ301aのみが実施例13のそれとは異なって て、15g/m 2 の坪量を有していた。

(比較例1,2)
 比較例1,2の不織布は、実施例1の不織布とト ウの熱処理条件のみが異なっているもので、 比較例1では機械的な捲縮を付与したトウを90 ℃で7分間熱処理し、比較例2ではトウを100℃ 7分間熱処理した。比較例1,2におけるそれ以 外の不織布製造条件は、実施例1と同じであ 。
 図17,18は、比較例1の不織布についての「平 繊維角度θ」の測定結果を例示する図11,12と 同様な図である。図17は、不織布の交差方向C Dに平行な断面を30倍に拡大したときの写真で ある。図17には、その断面においての典型的 形状を示し、不織布の表面から異様に突出 た繊維を含むことのない部位に一本の垂線L と垂線Lに平行な二本の補助線M,Nとが記入さ ている。また、図17には、断面に現れて測定 対象となる繊維それぞれについての繊維角度 測定線Dも示されている。図18は、これら垂線 Lと補助線M,Nと繊維角度測定線Dとを示すとと に、測定対象繊維No.1~15についての交角αと とのうちで値の小さい方の角度を繊維角度 して一覧表に示している。比較例1の不織布 「平均繊維角度θ」は78.4度である。
 図19は、比較例1の不織布の機械方向に平行 断面を図17の倍率と同じ倍率で観測したと の写真である。繊維は、平坦な状態で機械 向へ延びていて、不織布の厚さ方向におい 密集している。

 比較例3,4では、不織布における必須複合 維の含有量が20重量%または10重量%であって 平均繊維角度θが75度以上であり、1回目の 液時間が15秒よりも長く、2回目の透液時間 20秒よりも長かった。

 表1,2から明らかなように、機械的捲縮を 与した後のトウの熱処理温度、即ち表1にお ける捲縮後熱処理温度を必須複合繊維の鞘成 分を形成している低融点樹脂が溶融する温度 の近傍、好ましくは融点から融点よりも20℃ い温度までの間に設定することによって、 ウにおける残存変形率が非常に小さくなり トウは圧縮されても弾性的に速やかに回復 るものになる。このトウから得られるウエ も不織布も同様の傾向にあることが、ウエ の嵩維持率と不織布の比容積とに現れてい 。表2におけるトウの融解熱δHの値から明ら かなように、トウは、それを高い温度で熱処 理すると融解熱δHが上昇する。この融解熱δH は、実施例1,2と比較例1,2とで使用した複合繊 維における低融点樹脂、即ちポリエチレンの 融解熱量δHを示しているもので、融解熱量δH の上昇は、実施例における低融点樹脂が比較 例における低融点樹脂よりも熱的に安定した 状態にあって、トウとそのトウから得られる ステープルとが加熱されても捲縮状態は変化 し難いことを意味していると考えられる。実 施例の不織布はまた、平均繊維角度θが比較 の不織布よりも小さくて約75度以下の範囲 あることが特徴である。このことは、水平 に置いた不織布の交差方向CDに平行な断面に おいて、必須複合繊維2や混合用繊維112が、 平方向へ横になって延びるのではなくて、 直方向へ縦になって延びる傾向にあること 意味している。かような平均繊維角度θの影 響は、実施例の不織布における透液時間が1 目では15秒以下であり、2回目では20秒以下で あるという結果になって現れている。比較例 の不織布は、平均繊維角度θが75度よりも大 くて、透液時間が1回目で15秒よりも長く、2 目では20秒よりも長いものが多くなってい 。不織布が繰り返し排泄される体液に対し 優れたスポット吸収性能を有するものにな という効果となって現れている。

 実施例7によれば、混合用繊維112として、 比較例1で使用した機械捲縮処理を施した複 繊維を使用することができる。

 実施例8~12によれば、混合用繊維112として 、潜在捲縮性を有する複合繊維を使用するこ とができる。

 実施例11,12によれば、複数のカード機か 得られる複数枚のウエブを重ね合わせたウ ブ積層体を使用してこの発明に係る不織布 得ることができる。

 図20は、図10の生理用ナプキン250の透液性 表面シート251に使用した実施例3,13,14の不織 と比較例1の不織布との性能比較試験の結果 示す図である。この試験では、実施例また 比較例の不織布で作られた試験用の不織布 使用している生理用ナプキン250を20℃、相 湿度60%の試験室に置いて、不織布の上に20℃ の人工経血(実施例における「12.透液時間」 項参照)を6ml滴下し、その滴下した部位に測 器フィンガーロボットサーモラボ(京都市南 区 カトーテック(株)製造)のセンサーを当て 、そのセンサーが示す温度変化速度(℃/sec) 下記の手順によって記録する。

 手順1:市販の生理用ナプキン(ユニ・チャー (株)製、商品名:ソフィふわぴたスリム25mm) 表面シートを取り除き、その表面シートの わりに試験用不織布を取り付けて、試験用 生理用ナプキンを作る。その生理用ナプキ は、少なくとも24時間試験室に放置する。
 手順2:センサーを37℃にセットする。
 手順3:生理用ナプキンにおける試験用不織 の上に40×10mmの矩形の透孔を有する厚さ13mm アクリル板を置く。
 手順4:20℃の人工経血6mlをアクリル板の透孔 内に滴下する。
 手順5:人工経血が試験用不織布の表面から 失したならば、試験用不織布における人工 血を滴下した部位にセンサーを押し当てて センサーが示す温度変化速度を記録する。 ンサーは、試験用不織布に対する面圧が20~30 gf/cm 2 となるように調整する。
 手順6:測定開始後1,5,15,30,60秒における温度 化速度をグラフ用紙にプロットする。

 図20において、温度変化速度は時間の経 とともに遅くなる傾向にあるが、実施例の 織布は比較例の不織布と対比すると、測定 始後すみやかに温度変化速度が低下する傾 にある。その傾向は、図4に例示の隆起部202 谷部203とが形成してある実施例3,11,12の不織 布において顕著である。

 なお、この発明の発明者が知見したところ よれば、フィンガーロボットサーモラボで 測定対象物に指先が触れたときの冷たさに いての感覚とセンサーが示す温度変化速度 の間には、次の関係がある。即ち、
 温度変化速度 0~0.30℃/sec:ほとんど冷たいと は感じない
        0.30~0.50℃/sec:やや冷たいと感じる
        0.50℃/sec:冷たいと感じる

 この知見に基づくならば、実施例の不織 、特に実施例3,11,12の不織布を使用した生理 用ナプキンでは、測定開始後30秒以内で温度 化速度が0.30℃/sec以下になるから、生理用 プキンの着用者が排泄された経血によって たいという違和感を覚えるのは、極く短時 である。一般に、経血が排泄されると、着 者は例えば冷たいという違和感を覚えると 時に、経血の漏れや経血による肌の汚れを 力少なくしようとして、身体の動きを一時 に止めたり、身体の動きを緩慢にしたりす ことがある。しかし、実施例3,11,12の不織布 使用した生理用ナプキンであれば、経血が やかに吸収されて、違和感が短時間のうち 消失するから、着用者には身体の動きを止 るというようなことが不要になる。

 なお、フィンガーロボットサーモラボの ンサーを20℃の人工経血に接触させたとき 温度変化は0.80℃/secであり、人工経血を滴下 する前の試験用不織布にセンサーを接触させ たときの温度変化は0.04℃/secであった。

 図21は、実施例3の不織布における隆起部 T/Wの値(図9参照)と平均繊維角度θとの関係 示している。また、実施例3の不織布と同じ 維構成を有しているが、実施例3に対してノ ズル集合体212,213,214それぞれにおける単体ノ ル215のピッチとエア噴出速度、および溶着 程(工程X)と巻取り工程(工程XI)との搬送速度 の比を変化させて得られた実施例13~18の不織 における隆起部のT/Wの値と平均繊維角度θ の関係も示している。

 T/Wの値の測定手順は、以下のとおりである
(1)測定用の不織布である試料を70℃で30分間 熱して、試料の取り扱い過程で生じたしわ 折り癖を消して、試料をできるだけ平坦な のにする。
(2)コクヨ社製カッターナイフ替刃HA-100を使用 して、試料を交差方向CDにおいてカットして 試料に観察面を形成する。
(3)試料を水平な板面上に置き、観察面をキー エンス社製デジタルマイクロスコープVHX-900 観察し、観察面の25倍の拡大写真を撮る。
(4)拡大写真において、水平な板面に一致する 水平線と、試料の隆起部における頂点を通る 垂線とを引いて、基準線から頂点までの距離 を求めて隆起部の高さTとする(図9参照)。次 、高さTの1/2の点において基準線に平行する 平線を引いてその水平線上における隆起部 幅を求めてWとし、T/Wの値を求める。
(5)頂点を通る垂線を引くときには、平均的な 形状の隆起部における頂点を選ぶ。また、頂 点は、繊維が異常に突出しているようなもの を選ぶことがないようにする。

 図21から明らかなように、平均繊維角度θ が75度以下となるような図4の不織布を得よう とするときには、隆起部におけるT/Wの値を0.5 5~1.00の範囲におさめることが好ましい。