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Title:
NOVEL FLUORINE-CONTAINING POLYMER AND METHOD FOR PRODUCING FLUORINE-CONTAINING POLYMER
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/087946
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a method for producing a fluorine-containing polymer wherein a fluorine-containing compound having, in a molecule, two or more terminal fluorine-containing vinyl groups directly bonded with an oxygen atom is addition polymerized with a compound having two or more groups represented by -XH (wherein X represents an oxygen atom or a sulfur atom). Also disclosed is a fluorine-containing polymer having a repeating unit represented by the following general formula (i). In the formula, Rf1 represents a perfluoroalkylene group, Rf2 and Rf3 independently represent a fluorine atom, a perfluoroalkyl group or a perfluoroalkoxy group, and Rf1, Rf2 and Rf3 may combine together to form a ring; X represents an oxygen or a sulfur atom; and L represents a divalent organic group.)

Inventors:
ITO TAKAYUKI (JP)
SAKUMA TOSHIMITSU (JP)
HARADA MASAYUKI (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/050374
Publication Date:
July 24, 2008
Filing Date:
January 15, 2008
Export Citation:
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Assignee:
FUJIFILM CORP (JP)
ITO TAKAYUKI (JP)
SAKUMA TOSHIMITSU (JP)
HARADA MASAYUKI (JP)
International Classes:
C08G65/34; C07D493/10; C08G75/04
Domestic Patent References:
WO2007043672A12007-04-19
Foreign References:
US3391118A1968-07-02
JPH10251353A1998-09-22
JP2006154590A2006-06-15
JPH10101922A1998-04-21
JPH04325237A1992-11-13
Other References:
IACONO S.T. ET AL.: "Facile preparation of fluorovinylene aryl ether telechelic polymers with dual functionality for thermal chain extension and tandem crosslinking", CHEMICAL COMMUNICATIONS, vol. 46, 2006, pages 4844 - 4846
MOLDAVSKII D.D. ET AL.: "Polyfluorinated organic compounds. Reaction of polyhydric alcohols with some internal perfluoroolefins", ZHURNAL OBSHCHEI KHIMII, vol. 66, no. 12, 1996, pages 1995 - 2002, XP003011787
Attorney, Agent or Firm:
IIDA, Toshizo (1-10 Shimbashi 3-chome,Minato-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
 酸素原子と直接連結した末端含フッ素ビニル基を分子中に2つ以上有する含フッ素化合物と、-XH(Xは酸素原子または硫黄原子を示す)で表される基を2つ以上有する化合物を付加重合させることを特徴とする含フッ素ポリマーの製造方法。
 酸素原子と直接連結した末端含フッ素ビニル基を分子中に2つ以上有する含フッ素化合物が下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
 式中、Rf 1 はペルフルオロアルキレン基を示し、Rf 2 およびRf 3 はそれぞれ独立にフッ素原子、ペルフルオロアルキル基、またはペルフルオロアルコキシ基を示し、Rf 1 、Rf 2 、Rf 3 はそれぞれ結合して環を形成してもよい。
 一般式(I)で表される化合物が下記一般式(II)で表される化合物であることを特徴とする、請求項2記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
 式中、Rf 4 は4価のペルフルオロ連結基を示す。
 一般式(II)で表される化合物が下記化合物(III)であることを特徴とする、請求項3記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
 -XH(Xは酸素原子または硫黄原子を示す)で表される基を2つ以上有する化合物が下記一般式(IV)、(V)または(VI)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の含フッ素ポリマーの製造方法。
 式中、Rf 5 はn価のペルフルオロアルキレン基を示し、Ar 1 はn価のアリーレン基を示し、nは2~6の整数を示し、R 6 は2価のアルキレン基、アリーレン基またはアラルキレン基を示す。
 下記一般式(i)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする含フッ素ポリマー。
 式中、Rf 1 はペルフルオロアルキレン基を示し、Rf 2 およびRf 3 はそれぞれ独立にフッ素原子、ペルフルオロアルキル基、またはペルフルオロアルコキシ基を示し、Rf 1 、Rf 2 、Rf 3 はそれぞれ結合して環を形成してもよく、Xは酸素原子または硫黄原子を示し、Lは2価の有機基を示す。
 一般式(i)で表される繰り返し単位が下記一般式(ii)で表される繰り返し単位であることを特徴とする、請求項6に記載の含フッ素ポリマー。
 式中、Rf 4 は4価のペルフルオロ連結基を示し、Xは酸素原子または硫黄原子を示し、Lは2価の有機基を示す。
 一般式(ii)で表される繰り返し単位が下記一般式(iii)で表される繰り返し単位であることを特徴とする、請求項7に記載の含フッ素ポリマー。
 式中、Xは酸素原子または硫黄原子を示し、Lは2価の有機基を示す。
 Lが下記一般式(iv)または(v)で表される2価の有機基であり、かつXが酸素原子であることを特徴とする、請求項6~8のいずれか1項に記載の含フッ素ポリマー。
 式中、Rf 5 ’は2価のペルフルオロアルキレン基を示し、Ar 1 ’は2価のアリーレン基を示す。
 Lが下記一般式(vi)で表される2価の有機基であり、かつXが硫黄原子であることを特徴とする、請求項6~8のいずれか1項に記載の含フッ素ポリマー。
 式中、R 6 は2価のアルキレン基、アリーレン基またはアラルキレン基を示す。
Description:
新規な含フッ素ポリマーおよび フッ素ポリマーの製造方法

 本発明は、含フッ素ポリマーの製造方法 よび新規な含フッ素ポリマーに関する。

 含フッ素ポリマーは、耐候性、耐熱性、 品耐性、低屈折率性、低誘電率性、撥水・ 油性、潤滑性等、様々な特性が期待できる これらの特性はフッ素原子に由来しており 一般にポリマー中のフッ素含有量が多くな ほど上記特性の向上が期待できる。しかし がら、脂肪族系含フッ素ポリマーにおいて 、フッ素含有量が多くなるに従って一般の 機溶剤に対する溶解性が低下して取扱い性 悪化したり、また、分子間力が低下して他 基材との密着性が悪化する等、弊害も多く る。そこで、フッ素含有率や主鎖の構造を 意に調整して所望の特性を獲得すべく、よ 汎用性の高いフッ素ポリマーの製造方法の 発が望まれている。

 フッ素含有率調整可能な脂肪族系含フッ ポリマーの製造方法としては、例えば、テ ラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロ レン、ペルフルオロビニルエーテル等の含 ッ素オレフィンとビニルエーテルとの交互 重合や含フッ素アクリレートの単独重合が えられる。しかし、これらの場合、主鎖の 造による物性調整は難しい。一方、アルカ 存在下、含フッ素末端ジエンと含フッ素ジ ールとの付加反応により含フッ素エーテル ポリマーを合成する例が知られている(例え ば、米国特許3,391,118号明細書参照)。この手 では含フッ素ジエンや含フッ素ジオールさ 入手できれば、原理的にはフッ素含有率や 鎖の構造を比較的広い範囲で調整可能と考 られるが、任意の含フッ素末端ジエンを合 することは必ずしも容易ではない。また、 生物の生成を少なくし、高分子量かつ溶媒 溶性の重付加ポリマーを得るためには、素 応の付加反応が定量的に進行する必要があ が、塩基性条件下におけるペルフルオロ末 オレフィンとアルコールとの付加反応は、 ッ化水素(HF)の脱離を伴うため、必ずしもき いな反応ではない(例えば、Journal of Fluorine  Chemistry,26,457-465(1984)参照)。したがって、副 物の生成を少なくし、含フッ素末端ジエン 含フッ素ジオールとの付加反応により高分 量かつ溶媒易溶性のポリマーを簡便に得る とができ、さらにフッ素含有率や主鎖の構 を広い範囲で調整するためには、含フッ素 端オレフィンの構造や反応条件のさらなる 良が必要である。

 本発明によれば、副生物の生成を少なく 、高分子量でかつ溶媒易溶性のポリマーを 率よく得ることができ、かつフッ素含有率 主鎖の構造を広い範囲で調整可能な含フッ ポリマーの製造方法を提供することができ 。また、本発明によれば、新規な含フッ素 リマーを提供することができる。

 本発明によれば、以下の手段が提供される
(1)酸素原子と直接連結した末端含フッ素ビニ ル基を分子中に2つ以上有する含フッ素化合 と、-XH(Xは酸素原子または硫黄原子を示す) 表される基を2つ以上有する化合物を付加重 させることを特徴とする含フッ素ポリマー 製造方法。
(2)酸素原子と直接連結した末端含フッ素ビニ ル基を分子中に2つ以上有する含フッ素化合 が下記一般式(I)で表される化合物であるこ を特徴とする、(1)項記載の含フッ素ポリマ の製造方法。

 式中、Rf 1 はペルフルオロアルキレン基を示し、Rf 2 およびRf 3 はそれぞれ独立にフッ素原子、ペルフルオロ アルキル基、またはペルフルオロアルコキシ 基を示し、Rf 1 ,Rf 2 ,Rf 3 はそれぞれ結合して環を形成してもよい。
(3)一般式(I)で表される化合物が下記一般式(II )で表される化合物であることを特徴とする (2)項記載の含フッ素ポリマーの製造方法。

 式中、Rf 4 は4価のペルフルオロ連結基を示す。
(4)一般式(II)で表される化合物が下記化合物(I II)であることを特徴とする、(3)項記載の含フ ッ素ポリマーの製造方法。

(5)-XH(Xは酸素原子または硫黄原子を示す)で 表される基を2つ以上有する化合物が下記一 式(IV)、(V)または(VI)で表される化合物である ことを特徴とする、(1)~(4)のいずれか1項に記 の含フッ素ポリマーの製造方法。

 式中、Rf 5 はn価のペルフルオロアルキレン基を示し、Ar 1 はn価のアリーレン基を示し、nは2~6の整数を し、R 6 は2価のアルキレン基、アリーレン基または ラルキレン基を示す。
(6)下記一般式(i)で表される繰り返し単位を有 することを特徴とする含フッ素ポリマー。

 式中、Rf 1 はペルフルオロアルキレン基を示し、Rf 2 およびRf 3 はそれぞれ独立にフッ素原子、ペルフルオロ アルキル基、またはペルフルオロアルコキシ 基を示し、Rf 1 、Rf 2 、Rf 3 はそれぞれ結合して環を形成してもよく、X 酸素原子または硫黄原子を示し、Lは2価の有 機基を示す。
(7)一般式(i)で表される繰り返し単位が下記一 般式(ii)で表される繰り返し単位であること 特徴とする、(6)項に記載の含フッ素ポリマ 。

 式中、Rf 4 は4価のペルフルオロ連結基を示し、Xは酸素 子または硫黄原子を示し、Lは2価の有機基 示す。
(8)一般式(ii)で表される繰り返し単位が下記 般式(iii)で表される繰り返し単位であること を特徴とする、(7)項に記載の含フッ素ポリマ ー。

 式中、Xは酸素原子または硫黄原子を示し、 Lは2価の有機基を示す。
(9)Lが下記一般式(iv)または(v)で表される2価の 有機基であり、かつXが酸素原子であること 特徴とする、(6)~(8)のいずれか1項に記載の含 フッ素ポリマー。

 式中、Rf 5 ’は2価のペルフルオロアルキレン基を示し Ar 1 ’は2価のアリーレン基を示す。
(10)Lが下記一般式(vi)で表される2価の有機基 あり、かつXが硫黄原子であることを特徴と る、(6)~(8)のいずれか1項に記載の含フッ素 リマー。

 式中、R 6 は2価のアルキレン基、アリーレン基または ラルキレン基を示す。

 本発明の上記及びその他の特徴及び利点 、下記の記載からより明らかになるであろ 。

 本発明の含フッ素ポリマーの製造は、酸素 子と直接連結した末端含フッ素ビニル基を 子中に2つ以上有する含フッ素化合物と、-XH (Xは酸素原子または硫黄原子を示す)で表され る基を2つ以上有する化合物を付加重合させ ことにより達成することができる。
 酸素原子と直接連結した末端含フッ素ビニ 基を分子中に2つ以上有する含フッ素化合物 の好ましい態様は下記一般式(I)で表されるも のである。

 式中、Rf 1 はペルフルオロアルキレン基を示し、Rf 2 およびRf 3 はそれぞれ独立にフッ素原子、ペルフルオロ アルキル基、またはペルフルオロアルコキシ 基を示し、Rf 1 ,Rf 2 ,Rf 3 はそれぞれ結合して環を形成してもよい。
 Rf 1 で表されるペルフルオロアルキレン基は、好 ましくは炭素数1~30のペルフルオロアルキレ 基であり、直鎖状、分岐状、環状のいずれ あってもよく、また、ペルフルオロアルキ ン基中にエーテル結合を有していてもよい さらに好ましい炭素数としては1~20であり、 り好ましくは2~10である。
 Rf 2 およびRf 3 で示されるペルフルオロアルキル基は、好ま しくは炭素数1~30のペルフルオロアルキル基 あり、直鎖状、分岐状、環状のいずれであ てもよく、また、ペルフルオロアルキル基 にエーテル結合を有していてもよい。さら 好ましい炭素数としては1~20であり、より好 しくは1~10である。
 Rf 2 およびRf 3 で示されるペルフルオロアルコキシ基は、好 ましくは炭素数1~30のペルフルオロアルコキ 基であり、直鎖状、分岐状、環状のいずれ あってもよく、また、ペルフルオロアルコ シ基中にエーテル結合を有していてもよい さらに好ましい炭素数としては1~20であり、 り好ましくは1~10である。

 一般式(I)において、好ましくはRf 2 およびRf 3 がともにフッ素原子またはペルフルオロアル コキシ基であり、Rf 2 およびRf 3 がともにペルフルオロアルコキシ基の場合、 下記一般式(II)で表される化合物がより好ま い。

 式中、Rf 4 は4価のペルフルオロ連結基を示す。Rf 4 で示される4価のペルフルオロ連結基は、好 しくは炭素数1~30のペルフルオロアルキレン であり、直鎖状、分岐状、環状のいずれで ってもよく、また、ペルフルオロ連結基中 エーテル結合を有していてもよい。さらに ましい炭素数としては4~20であり、より好ま しくは5~10である。
 以下に一般式(I)または一般式(II)で表される 化合物の具体的例を挙げるが、本発明はこれ らに限定されるわけではない。

 本発明の含フッ素ポリマーの製造方法で いられる-XH(Xは酸素原子または硫黄原子を す)で表される基を2つ以上有する化合物は、 好ましくは分子内に2つ以上の水酸基を有す ポリオール類または分子内に2つ以上のメル プト基を有するポリチオール類であり、よ 好ましくは下記一般式(IV)、(V)または(VI)で されるものである。

 式中、Rf 5 はn価のペルフルオロアルキレン基を示し、Ar 1 はn価のアリーレン基を示し、nは2~6の整数を し、R 6 は2価のアルキレン基、アリーレン基または ラルキレン基を示す。

 Rf 5 で示されるn価のペルフルオロアルキレン基 、好ましくは炭素数1~30のペルフルオロアル レン基であり、直鎖状、分岐状、環状のい れであってもよく、また、ペルフルオロア キレン基中にエーテル結合を有していても い。好ましい炭素数としては1~20であり、よ り好ましくは2~10である。

 Ar 1 で示されるn価のアリーレン基は、好ましく 炭素数6~30の置換または無置換のアリーレン である。さらに好ましい炭素数としては6~20 であり、より好ましくは6~10である。

 アリーレン基の置換基としては、例えば 下の置換基が挙げられる。ハロゲン原子(例 えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨ ウ素原子)、炭素数20以下のアルキル基(例え 、メチル、エチル)、炭素数30以下のアリー 基(例えば、フェニル、ナフチル)、シアノ基 、カルボキシル基、炭素数20以下のアルコキ カルボニル基(例えば、メトキシカルボニル )、炭素数30以下のアリールオキシカルボニル 基(例えば、フェノキシカルボニル)、カルバ イル基(例えば、カルバモイル、N-フェニル ルバモイル、N,N-ジメチルカルバモイル)、 素数20以下のアルキルカルボニル基(例えば アセチル)、炭素数30以下のアリールカルボ ル基(例えば、ベンゾイル)、ニトロ基、アミ ノ基(例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ア リノ)、炭素数20以下のアシルアミノ基(例え 、アセトアミド、エトキシカルボニルアミ )、スルホンアミド基(例えば、メタンスル ンアミド)、イミド基(例えば、スクシンイミ ド、フタルイミド)、イミノ基(例えば、ベン リデンアミノ)、ヒドロキシ基、炭素数20以 のアルコキシ基(例えば、メトキシ)、炭素 30以下のアリールオキシ基(例えば、フェノ シ)、炭素数20以下のアシルオキシ基(例えば アセトキシ)、炭素数20以下のアルキルスル ニルオキシ基(例えばメタンスルホニルオキ シ)、炭素数30以下のアリールスルホニルオキ シ基(例えばベンゼンスルホニルオキシ)、ス ホ基、スルファモイル基(例えばスルファモ イル、N-フェニルスルファモイル)、炭素数20 下のアルキルチオ基(例えばメチルチオ)、 素数30以下のアリールチオ基(例えばフェニ チオ)、炭素数20以下のアルキルスルホニル (例えばメタンスルホニル)、炭素数30以下の リールスルホニル基(例えばベンゼンスルホ ニル)、ヘテロ環基等。これらの置換基は更 置換されていても良く、置換基が複数ある 合は、同じでも異なっても良い。また置換 同士で結合して環を形成しても良い。

 nは好ましくは2または3であり、より好ま くは2である。

 R 6 で表される2価のアルキレン基、アリーレン またはアラルキレン基中にエーテル結合、 オエーテル結合またはスルホニル基等の2価 連結基を含んでいてもよい。

 R 6 で表される2価のアルキレン基は、好ましく 炭素数1~30の置換または無置換のアルキレン であり、直鎖状、分岐状、環状のいずれで ってもよい。好ましい炭素数としては1~20で あり、より好ましくは1~10である。

 R 6 で示される2価のアリーレン基は、好ましく 炭素数6~30の置換または無置換のアリーレン である。さらに好ましい炭素数としては6~20 であり、より好ましくは6~10である。

 R 6 で表される2価のアラルキレン基は、好まし は炭素数7~30の置換または無置換のアラルキ ン基であり、好ましい炭素数としては7~20で あり、より好ましくは7~10である。

 R 6 で表される2価のアルキレン基、アリーレン またはアラルキレン基の置換基としては、Ar 1 で表されるアリーレン基の置換基の例と同様 のものが挙げられる。

 以下に-XH(Xは酸素原子または硫黄原子を す)で表される基を2つ以上有する化合物の具 体的例を挙げるが、本発明はこれらに限定さ れるわけではない。

 本発明の含フッ素ポリマーの製造方法に り、副生物の生成を少なくし、高分子量で つ溶媒易溶性の含フッ素ポリマーを効率よ 製造することができる。

 本発明の含フッ素ポリマーは、繰り返し単 として下記一般式(i)で表されるものを有す ものであり、好ましくは下記一般式(ii)で表 される繰り返し単位を有するものであり、下 記一般式(iii)で表される繰り返し単位を有す ものがより好ましい。
 本発明の含フッ素ポリマーは、好ましくは 上記の酸素原子と直接連結した末端含フッ ビニル基を分子中に2つ以上有する含フッ素 化合物と、-XH(Xは酸素原子または硫黄原子を す)で表される基を2つ以上有する化合物を 加重合させる方法(上記(1)項に記載の方法、 ましくは上記(2)~(4)項のいずれか1項に記載 方法)により得られるものである。

 式中、Rf 1 、Rf 2 、Rf 3 およびRf 4 は上記のものと同義であり、その具体例は上 記の一般式(I)および(II)で表される化合物の 体的例として示された化合物のRf 1 、Rf 2 、Rf 3 およびRf 4 に相当する部分の基と同様である。Xは酸素 子または硫黄原子を示す。

 Lは2価の連結基を示す。一般式(i)、(ii)ま は(iii)において、Xが酸素原子の場合、Lは一 般式(iv)または(v)で表される2価の有機基であ ことが好ましい。

 式中、Rf 5 ’は2価のペルフルオロアルキレン基を示し 直鎖状、分岐状、環状のいずれであっても く、また、ペルフルオロアルキレン基中に ーテル結合を有していてもよい。好ましい 素数は1~30であり、さらに好ましい炭素数と ては1~20であり、より好ましくは2~10である
 Ar 1 ’は2価の置換または無置換のアリーレン基 あり、好ましい炭素数としては6~30であり、 らに好ましい炭素数としては6~20であり、よ り好ましい炭素数としては6~10である。
 Rf 5 ’およびAr 1 ’の具体例は上記の一般式(IV)または(V)で表 れる化合物の具体的例として示された化合 のRf 5 またはAr 1 に相当する部分の基と同様である。

 一般式(i)、(ii)または(iii)において、Xが硫 黄原子の場合は、Lは一般式(vi)で表される2価 の有機基であることが好ましい。

 式中、R 6 は一般式(VI)のものと同義である。

 本発明の含フッ素ポリマーにおける一般 (i)で表される繰り返し単位の割合に特に制 はなく、そのポリマーの分子量は適宜に設 できるが、含フッ素ポリマー中における一 式(i)で表される繰り返し単位が2以上である ことが好ましく、5~1,000であることがより好 しい。

 本発明の含フッ素ポリマーの分子量に特 制限はないが、数平均分子量が500~1,000,000で あることが好ましく、5,000~100,000であること より好ましい。

 本発明の含フッ素ポリマーの末端基に特に 限はない。末端基の例としては通常の末端 が挙げられ、フッ素原子、-XH(Xは酸素原子 たは硫黄原子を示す)基、アルコキシ基、ア ールオキシ基、アルキルチオ基、アリール オ基、=CF 2 基、アシル基、アミド基、カルボキシル基等 であることが好ましい。

 本発明において、一般式(I)で表される化 物の合成法は特に限定されないが、例えば 相フッ素化反応を鍵反応とする以下に示す 連の工程により合成することができる。各 程における詳細な反応条件等については、 えば、特表平4-500520号公報、国際公開特許00 /56694号パンフレット、国際公開特許02/004397号 パンフレット、特表2003-518051号公報やこれら 文献に引用されている文献等を参照して決 することができる。

 -XH(Xは酸素原子または硫黄原子を示す)で表 れる基を2つ以上有する化合物については、 多くの市販品を利用することができる。また 、例えば、一般式(IV)で表される含フッ素ア コール類については、液相フッ素化反応に って得られるエステル誘導体(例えば上記反 スキームの6の化合物)をLiAlH 4 やNaBH 4 等の試薬を用いてヒドリド還元することによ っても合成することができる。

 本発明の含フッ素ポリマーは、好ましく 、適宜選択した組み合わせの、酸素原子と 接連結した末端含フッ素ビニル基を分子中 2つ以上有する含フッ素化合物と、-XH(Xは酸 原子または硫黄原子を示す)で表される基を 2つ以上有する化合物を付加重合させること より得ることができる。付加重合反応は無 媒で行ってもよいが、反応促進に有効な触 を用いるのが好ましい。反応促進に有効な 媒としては塩基触媒および金属触媒が挙げ れる。

 好ましい塩基触媒としては、水酸化アルカ 金属(例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリ ウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム)、 酸化アルカリ土類金属(例えば、水酸化マグ シウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロ チウム、水酸化バリウム)、炭酸アルカリ金 属(例えば炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、 酸カリウム、炭酸セシウム)、炭酸アルカリ 類金属(例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カ ルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウ ム)、炭酸水素アルカリ金属(例えば炭酸水素 チウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カ ウム、炭酸水素セシウム)、炭酸水素アルカ リ土類金属(例えば、炭酸水素マグネシウム 炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチ ム、炭酸水素バリウム)等の無機塩基および リジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、 リエチルアミン、ジイソプロピルエチルア ン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン、1, 4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等の有機塩基 が挙げられる。より好ましい塩基としては、 水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナ トリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン 、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザ シクロ[5.4.0]ウンデセン、1,4-ジアザビシクロ [2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
 用いる塩基の当量数としては、反応させる- XHに対して0.1当量~10当量が好ましく、より好 しくは0.5当量~5当量である。

 好ましい金属触媒としては、例えばAngew.C hem.Int.Ed.2005,44,1128や特開2006-199625号公報に記 されているような第10族遷移金属触媒/配位 を挙げることができる。用いる遷移金属の 量数としては、反応させる-XHに対して0.005当 量~1当量が好ましく、より好ましくは0.01当量 ~0.1当量である。

 酸素原子と直接連結した末端含フッ素ビニ 基を分子中に2つ以上有する含フッ素化合物 と-XH(Xは酸素原子または硫黄原子を示す)で表 される基を2つ以上有する化合物の付加重合 溶媒中で行ってよいし、無溶媒で行っても い。好ましい溶媒としては、ジクロロメタ 、クロロホルム、四塩化炭素、ジエチルエ テル、ジブチルエーテル、シクロペンチル チルエーテル、ジグライム、テトラヒドロ ラン、ジオキサン、アセトン、酢酸エチル 酢酸ブチル、メチルエチルケトン、シクロ キサノン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン キシレン、アセトニトリル、N,N-ジメチルホ ムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、1-メ ルピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジ ノン、ジメチルスルホキシド等の一般的な有 機溶媒、AK-225(登録商標、旭ガラス社製)、2,2, 2-トリフルオロエチルメチルエーテル、2,2,2- リフルオロエチルジフルオロメチルエーテ 、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメチルエ ーテル、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルジ ルオロメチルエーテル、2,2,3,3,3-ペンタフル ロプロピル-1,1,2,2-テトラフルオロエチルエ テル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルメチル ーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチルエチル エーテル、1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,2- トリフルオロエチルエーテル、2,2,3,3-テトラ ルオロプロピルジフルオロメチルエーテル 1,1,2,2-テトラフルオロエチル-2,2,3,3-テトラ ルオロプロピルエーテル、ヘキサフルオロ ソプロピルメチルエーテル、1,1,3,3,3-ペンタ ルオロ-2-トリフルオロメチルプロピルメチ エーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロプロピ メチルエーテル、1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ ロピルエチルエーテル、2,2,3,4,4,4-ヘキサフ オロブチルジフルオロメチルエーテル、フ オロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,3 -ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼ 、2,4-ジフルオロトルエン、2,6-ジフルオロ ルエン、3,4-ジフルオロトルエン、1,2,3-トリ ルオロベンゼン、1,2,4-トリフルオロベンゼ 、1,3,5-トリフルオロベンゼン、2,3,4-トリフ オロトルエン、1,2,3,4-テトラフルオロベン ン、1,2,3,5-テトラフルオロベンゼン、1,2,4,5- トラフルオロベンゼン、ペンタフルオロベ ゼン、ヘキサフルオロベンゼン、α,α,α-ト フルオロメチルベンゼン、1,3-ビス(トリフ オロメチル)ベンゼン、1,4-ビス(トリフルオ メチル)ベンゼン等の含フッ素溶媒、ペルフ オロアルカン化合物[FC-72(商品名、住友スリ ーエム社製)等]、ペルフルオロエーテル化合 [FC-75、FC-77(共に商品名、住友スリーエム社 )等]、ペルフルオロポリエーテル化合物[商 名:クライトックス(Krytox(登録商標)、DuPont社 製)、フォブリン(Fomblin(登録商標)、AUSIMONT社 )、ガルデン(Galden(登録商標)、AUSIMONT社製)、 ムナム{ダイキン工業社製}等]、クロロフル ロカーボン化合物(CFC-11,CFC-113等)、クロロフ ルオロポリエーテル化合物、ペルフルオロト リアルキルアミン化合物、不活性流体(商品 :フロリナート、Fluorinert(登録商標)、住友ス ーエム社製)等のペルフルオロ溶媒、水およ びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
 溶媒量はモノマーに対して質量比で0.1倍~100 倍用いるのが好ましく、より好ましくは1倍~5 0倍、さらに好ましくは2倍~20倍である。

 反応は2相系で行ってもよく、その場合、 2相間を繰り返し行き来することのできる相 移動触媒を用いることが好ましい。水およ 有機系溶媒との2相系に用いることのできる 間移動触媒としては、例えばベンジルトリ チルアンモニウムブロミド、テトラブチル ンモニウムクロリド、テトラブチルアンモ ウムブロミド等の4級アンモニウム塩やテト ラブチルホスホニウムブロミド、ヘキサデシ ルトリブチルホスホニウムブロミド等の4級 スホニウム塩を挙げることができる。

 2種類のモノマーの当量比(付加反応に関与 るオレフィン数/-XH基数)は、目的により種々 調整することができるが、できるだけ高分子 量のポリマーを得るためには、当量比をでき る限り1に近づけるのが好ましい。本発明に いては、-XH(Xは酸素原子または硫黄原子を示 す)で表される基を2つ以上有する化合物に対 る酸素原子と直接連結した末端含フッ素ビ ル基を分子中に2つ以上有する含フッ素化合 物の当量比が0.5~2.0であることが好ましく、0. 8~1.2であることがより好ましい。できるだけ リマーの分子量を大きくする場合には、0.99 ~1.01であることが好ましい。
 反応温度は-20℃~150℃が好ましく、より好ま しくは0℃~100℃であり、さらに好ましくは20 ~80℃である。
 反応時間は用いる触媒、基質、溶媒の種類 量、反応温度、攪拌効率等に依存するが、 れらを制御して、10分~96時間で行うのが好 しく、より好ましくは30分~48時間、さらに好 ましくは1時間~24時間である。

 本発明によれば、副生物の生成を少なく 、付加重合により高分子量かつ溶媒易溶性 含フッ素ポリマーを効率よく簡便に得るこ ができる。また、フッ素含有率や主鎖の構 を広い範囲で調整可能であり、用途に応じ 、所定の耐候性、耐熱性、薬品耐性、低屈 率性、低誘電率性、撥水・撥油性、潤滑性 、フッ素特有の諸性能を有するポリマーを 易に製造することができる。

 以下、本発明を実施例に基づいてさらに 細に説明するが、本発明はこれらの実施例 何ら限定されるものではない。

参考例
[原料合成]
 以下のスキームにしたがってペルフルオロ エン(III)および含フッ素ジオール(IV-24)を合 した。

化合物Bの合成
 ヒドロキシアセトン(A,7.4g)およびピリジン(8 .1ml)の酢酸エチル(100ml)溶液に室温(25℃)にて ンデカフルオロ(2-メチル-3-オキサヘキサン )フルオリド(10g)を滴下した。室温にて2時間 拌後、反応液を希塩酸水に注加した。分液 、有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、 酸マグネシウムで乾燥した。濃縮残留物を ラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エ ル/ヘキサン)にて精製することにより化合物 B(10.2g,収率88%)を得た。
  1 H NMR(CDCl 3 ) δ 2.22(s,3H),4.85(d,J=16.2Hz,1H),4.96(d,J=16.2Hz,1H)
  19 F NMR(CDCl 3 ) δ -80.3(1F),-81.8(3F),-82.5(3F),-86.7(1F),-130.2(2F),-1 32.8(1F)

化合物Cの合成
 化合物B(9.9g)、ペンタエリスリトール(1.74g) p-トルエンスルホン酸一水和物(0.25g)および ルエン(50ml)を脱水しながら4時間還流した。 応液を炭酸水素ナトリウム水溶液、水およ 飽和食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾 した。濃縮残留物をカラムクロマトグラフ ー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン)にて精製 することにより化合物C(5.9g,収率53%)を得た。
  1 H NMR(CDCl 3 ) δ 1.41(s,3H),3.64~3.85(m,4H),4.31(d,J=11.1Hz,1H),4.48(d ,J=11.1Hz,1H)
  19 F NMR(CDCl 3 ) δ -80.2(1F),-81.7(3F),-82.5(3F),-86.8(1F),-130.1(2F),-1 32.3(1F)

化合物Dの合成
 原料供給口、フッ素供給口、へリウムガス 給口およびドライアイスで冷却した還流装 を経由してフッ素トラップに接続されてい 排気口を備えた300mlテフロン(登録商標)製容 器に、ペルフルオロ化合物(商品名:FC-72、住 スリーエム社製)溶液180mlを入れて、内温20℃ にてヘリウムガスを流速50ml/minで30分間吹き んだ。引き続き20%F 2 /N 2 ガスを100ml/minで30分間吹き込んだ後、フッ素 量はそのままで、化合物C(4.25g)のFC-72(13.5ml) 液およびヘキサフルオロベンゼン(1g)のFC-72( 5ml)溶液をそれぞれ6.2ml/hの速度で添加した。 らに、20%F 2 /N 2 ガスを100ml/minで30分およびヘリウムガスを200m l/minで30分間吹き込んだ。FC-72を常圧にて濃縮 後、さらに減圧にて濃縮することにより、化 合物D(5.1g,粗収率88%)をほぼ単一生成物として た。
  19 F NMR(CDCl 3 ) δ -60.6~-64.4(m,8F),-76.7(s,6F),-79.8~-80.0(m,1F),-80.3 ~-80.6(m,1F),82.0(m,6F),82.1(s,6F),-83.4~-83.8(m,4F),-86.7(b s,1F),-86.9(bs,1F),-130.2(s,4F),-132.0(s,1F),-132.1(s,1F)

化合物Eの合成
 フッ化ナトリウム(10g)のメタノール(200ml)分 液に上記で得られた粗化合物D(5.1g)を滴下し 、室温にて3時間攪拌した。不溶物をろ過に り除去した後、濾液を約30mlになるまで濃縮 、酢酸エチル/炭酸水素ナトリウム溶液で抽 出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄 し、硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮残留 物をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢 エチル/ヘキサン)にて精製することにより 合物E(1.8g,収率78%)を得た。
  1 H NMR(CDCl 3 ) δ 3.99(s,3H)
  19 F NMR(CDCl 3 ) δ -62.5~-63.8(m,4F),-69.9~-71.3(m,4F),-81.2(s,3F),-81.4 (s,3F)

含フッ素ジオール(IV-26)の合成
 化合物E(0.28g)のジエチルエーテル(10ml)溶液 リチウムアルミニウムヒドリド(0.038g)を5℃ て添加した。室温にて4時間攪拌後、反応液 希塩酸水をゆっくり加えた。酢酸エチルで 出後、有機層を水および飽和食塩水で洗浄 、硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮残留 をカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢 エチル/ヘキサン)にて精製することにより化 合物(IV-26)(0.2g,収率80%)を得た。
  1 H NMR(CDCl 3 ) δ 2.20(bs,1H),4.21(bs,2H)
  19 F NMR(CDCl 3 ) δ -56.2~-58.6(m,4F),-66.0~-67.3(m,4F),80.9~81.0(m,6F)

ペルフルオロジエン(III)の合成
 化合物E(16.2g)のメタノール(200ml)/水(40ml)溶液 に室温にて8N水酸化カリウム水溶液を10ml滴下 した。反応液を室温にて2時間攪拌した後、 圧にて溶媒を留去した。濃縮残留物に水30ml 加え、さらに濃塩酸水をpH試験紙で酸性を すまで滴下した。析出した白色結晶をろ過 、水(30ml)に分散し、1N水酸化カリウム水溶液 を滴下し、pH=8に調整した。反応液を減圧に 濃縮し、残留物を100℃にて真空ポンプで十 に乾燥することにより化合物F(16.5g,93%)を得 。化合物F(2g)を減圧下(4mmHg)280℃にて熱分解 、揮発成分を-78℃のトラップで捕集した。 られた液体を減圧蒸留することにより化合 (III)(0.98g,収率74%,GC(ガスクロマトグラフィー) 純度95%)を得た。不純物を解析したところ下 プロトン体(III’)であることが判明した。エ ーテル中、リチウムヘキサメチルジシラジド で処理することにより、GC純度が99%以上の化 物(III)を得た。
  19 F NMR(CDCl 3 ) δ -70.7(s,8F),-111.2(s,4F)、b.p.55℃(20mmHg)

実施例1 ペルフルオロジエン(III)と含フッ素 オール(IV-26)との重合
 ペルフルオロジエン(III)(1.12g、GC純度95%)、 フッ素ジオール(IV-26)(1.34g)、テトラブチルア ンモニウムブロミド(0.18g)、アセトニトリル(1 ml)、α,α,α-トリフルオロメチルベンゼン(10ml) および水酸化カリウム(0.32g)の水(10ml)溶液を50 ℃にて41時間攪拌した。室温まで冷却後、分 した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄 、硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧にて濃 した。濃縮残留物(2.1g)をアセトン(2ml)に溶 し、クロロホルム(300ml)で再沈、乾燥するこ により0.5gの白色結晶を得た。得られた結晶 を重アセトンに溶解し、 1 HNMRおよび 19 F-NMRを測定した結果、下記繰り返し単位を有 る線状のポリマーであること、および脱HF よる不飽和結合は存在しないことを確認し 。

  1 H NMR(CD 3 COCD 3 ) δ a:4.90(bs)、b:6.44(bs)  a/b≒2/1
  19 F NMR(CD 3 COCD 3 ) δ c:-57.62~-58.94(m)、d:-67.27~-68.90(m)、e:-71.81~-7 3.35(m)、f:-81.50(s)、g:-81.74(s)、h:-88.67(s)  c/d/e/( f+g)/h≒2/4/2/3/2

 GPC測定の結果、このポリマーの数平均分 量は11,500、重量平均分子量は15,800(いずれも スチレン換算)であった。また、10%質量減少 度は380℃であり、良好な熱安定性を示した

実施例2 ペルフルオロジエン(III)と含フッ素 オール(IV-2)との重合
 ペルフルオロジエン(III)(0.80g、GC純度95%)、 フッ素ジオール(IV-24)(0.32g)、炭酸カリウム(0. 61g)をアセトニトリル(10ml)中、室温にて64時間 攪拌した。反応液を酢酸エチル(30ml)/水(30ml) 注加し、分液した。有機層を水および飽和 塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し 減圧にて濃縮した。濃縮残留物を乾燥する とにより1.10gの非晶質ポリマーを得た。得ら れたポリマーを重アセトンに溶解し、 1 HNMRおよび 19 F-NMRを測定した結果、下記繰り返し単位を有 る線状のポリマーであること、および脱HF よる不飽和結合は存在しないことを確認し 。

  1 H NMR(CD 3 COCD 3 ) δ a:4.73(t,J=13.5Hz)、b:6.41(bs)  a/b≒2/1
  19 F NMR(CD 3 COCD 3 ) δ c:-67.90~-68.88(m)、d:-71.63~-73.30(m)、e:-88.72(s) 、f:-88.82(s)、g:-122.70(t,J=13.5Hz)  c/d/(e+g)/f≒1/1/ 1/1

 GPC測定の結果、このポリマーの数平均分 量は15,000、重量平均分子量は37,200(いずれも スチレン換算)であった。また、屈折率は1.36 低かった。

実施例3 ペルフルオロジエン(III)と含フッ素 オール(IV-2)との重合
 ペルフルオロジエン(III)(8.10g、GC純度>99%) 含フッ素ジオール(IV-24)(3.31g)、炭酸カリウ (6.05g)をアセトニトリル(100ml)中、室温にて72 間攪拌した。反応液を酢酸エチル(500ml)/水(5 00ml)に注加し、分液した。有機層を水および 和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾 し、減圧にて濃縮した。濃縮残留物(11.40g) アセトンに溶解し、クロロホルムから再沈 することにより、非晶質ポリマー(7.85g)を得 。得られたポリマーを重アセトンに溶解し 1 HNMRおよび 19 F-NMRを測定した結果、実施例2と同じ繰り返し 単位を有する線状のポリマーであること、お よび脱HFによる不飽和結合は存在しないこと 確認した。

 GPC測定の結果、このポリマーの数平均分 量は34,500、重量平均分子量は87,700(いずれも スチレン換算)であった。得られたポリマー 0.5質量%メチルエチルケトン溶液40μlを2.5cm×2 .5cmのガラス板にスピンコート(2000rpm×20s)した ところ撥水性を示した(接触角(水)94°)。また 10%質量減少温度は420℃であり、良好な熱安 性を示した。

実施例4 ペルフルオロジエン(I-4)と含フッ素 オール(IV-2)との重合
 ペルフルオロジエン(I-4)(0.79g、GC純度95%)、 フッ素ジオール(IV-2)(0.32g)、炭酸カリウム(0.6 1g)をアセトニトリル(10ml)中、室温にて48時間 拌した。反応液を酢酸エチル(30ml)/水(30ml)に 注加し、分液した。有機層を水および飽和食 塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥し、 減圧にて濃縮した。濃縮残留物を乾燥するこ とにより1.08gの油状ポリマーを得た。得られ ポリマーを重アセトンに溶解し、 1 HNMRおよび 19 F-NMRを測定した結果、下記繰り返し単位を有 る線状のポリマーであること、および脱HF よる不飽和結合は存在しないことを確認し 。

 GPC測定の結果、このポリマーの数平均分 量はポリスチレン換算で14,800であった。

実施例5 ペルフルオロジエン(III)と含フッ素 オール(IV-9)との重合
 ペルフルオロジエン(III)(1.0g、GC純度>99%) 含フッ素ジオール(IV-9)(1.4g)、炭酸カリウム(0 .76g)をメチルエチルケトン(12.5ml)中、室温に 66時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(100ml)/ (100ml)に注加し、分液した。有機層を水およ び飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで 乾燥し、減圧にて濃縮した。濃縮残留物をア セトン(10ml)に溶解し、クロロホルムから再沈 殿することにより1.69gの非晶質ポリマーを得 。得られたポリマーを重アセトンに溶解し 1 HNMRおよび 19 F-NMRを測定した結果、下記繰り返し単位を有 る線状のポリマーであること、および脱HF よる不飽和結合は存在しないことを確認し 。

  1 H NMR(CD 3 COCD 3 ) δ a:4.90(t,J=13.1Hz)、b:6.42(bs)  a/b≒2/1
  19 F NMR(CD 3 COCD 3 ) δ c:-67.90~-69.02(m)、d:-71.84~-73.35(m)、e:-88.57(s) 、f:-120.42(s)、g:-122.39(bs)、h:-123.61(s)  c/d/e/f/g/ h≒1/1/1/1/3/1

 NMRより、平均繰り返し単位数は約60であ た。得られたポリマーの0.5質量%メチルエチ ケトン溶液40μlを2.5cm×2.5cmのガラス板にス ンコート(2000rpm×20s)したところ撥水性を示し た[接触角(水)99°]。

実施例6 ペルフルオロジエン(III)と含フッ素 スフェノール(V-6)との重合
 ペルフルオロジエン(III)(1.0g、GC純度>99%) 含フッ素ビスフェノール(V-6)(0.84g)、炭酸カ ウム(1.1g)をメチルエチルケトン(12.5ml)中、室 温にて50時間攪拌した。反応液を酢酸エチル( 100ml)/水(100ml)に注加し、分液した。有機層を および飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシ ムで乾燥し、減圧にて濃縮した。濃縮残留 をアセトン(10ml)に溶解し、クロロホルムか 再沈殿することにより0.91gの非晶質ポリマ を得た。得られたポリマーを重アセトンに 解し、 1 HNMRおよび 19 F-NMRを測定した結果、下記繰り返し単位を有 る線状のポリマーであること、および脱HF よる不飽和結合は存在しないことを確認し 。

  1 H NMR(CD 3 COCD 3 ) δ a:6.60(bs)、b:7.49(d,J=8.25Hz)、c:7.59(d,J=8.25Hz)  a/b/c≒1/2/2
  19 F NMR(CD 3 COCD 3 ) δ d:-64.55(s)、e:-67.72~-68.68(m)、f:-71.55~-73.13(m) 、g:-85.21(bs)、h:-85.26(bs)  d/e/f/(g+h)≒3/2/2/2

 GPC測定の結果、このポリマーの数平均分 量は22,900、重量平均分子量は52,800(いずれも スチレン換算)であった。得られたポリマー 0.5質量%メチルエチルケトン溶液40μlを2.5cm×2 .5cmのガラス板にスピンコート(2000rpm×20s)した ところ撥水性を示した[接触角(水)96°]。

実施例7 ペルフルオロジエン(III)とジチオー (VI-4)との重合
 ペルフルオロジエン(III)(0.83g、GC純度>99%) 2,3-ブタンジチオール(VI-4)(0.24g)、炭酸カリ ム(0.63g)をメチルエチルケトン(10ml)中、室温 て50時間攪拌した。反応液を酢酸エチル(80ml )/水(80ml)に注加し、分液した。有機層を水お び飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム 乾燥し、減圧にて濃縮した。濃縮残留物を セトン(5ml)に溶解し、水から再沈殿するこ により0.40gの非晶質ポリマーを得た。得られ たポリマーを重アセトンに溶解し、 1 HNMRおよび 19 F-NMRを測定した結果、下記繰り返し単位を有 るポリマーであることを確認した。

  1 H NMR(CD 3 COCD 3 ) δ a:1.38(d,J=6.90Hz)、b:3.81(q,J=6.90Hz)、c:6.26(bs)  a/b/c≒3/1/1
  19 F NMR(CD 3 COCD 3 ) δ d:-67.48~-68.39(m)、e:-70.03~-73.32(m)、f:-87.51~-8 9.00(m)  d/e/f≒1/1/1

 GPC測定の結果、このポリマーの数平均分 量は12,600、重量平均分子量は20,500(いずれも スチレン換算)であった。得られたポリマー 0.5質量%メチルエチルケトン溶液40μlを2.5cm×2 .5cmのガラス板にスピンコート(2000rpm×20s)した ところ撥水性を示した[接触角(水)92°]。

実施例8 ペルフルオロジエン(I-4)と含フッ素 オール(IV-9)との重合
 ペルフルオロジエン(I-4)(0.39g、GC純度95%)、 フッ素ジオール(IV-9)(0.56g)、炭酸カリウム(0.4 1g)をメチルエチルケトン(6ml)中、室温にて24 間攪拌した。反応液を酢酸エチル(50ml)/水(50m l)に注加し、分液した。有機層を水および飽 食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウムで乾燥 、減圧にて濃縮した。濃縮残留物を乾燥す ことにより0.93gの非晶質ポリマーを得た。 られたポリマーを重アセトンに溶解し、 1 HNMRおよび 19 F-NMRを測定した結果、下記繰り返し単位を有 る線状のポリマーであること、および脱HF よる不飽和結合は存在しないことを確認し 。

  1 H NMR(CD 3 COCD 3 ) δ a:4.87(t,J=12.8Hz)、b:6.85(d,J=52.2Hz)  a/b≒2/1
  19 F NMR(CD 3 COCD 3 ) δ c:-84.89~-86.15(m)、d:-89.93~-92.21(m)、e:-120.51(s )、f:-122.44(s)、g:-122.61(s)、h:-123.61、i:-124.03、j: -126.64、k:-146.60(d,J=52.2Hz)  c/d/e/(f+g)/(h+i)/j/k≒2 /2/2/3/2/2/1

 GPC測定の結果、このポリマーの数平均分 量は25,800、重量平均分子量は53,100(いずれも スチレン換算)であった。得られたポリマー 0.5質量%メチルエチルケトン溶液40μlを2.5cm×2 .5cmのガラス板にスピンコート(2000rpm×20s)した ところ撥水性を示した[接触角(水)93°]。

 以上のように、本発明の含フッ素ポリマ の製造方法によれば、副生物の生成を少な し、高分子量でかつ溶媒易溶性の含フッ素 リマーを効率よく簡便に得ることができた また、フッ素含有率や主鎖の構造を広い範 で調整することができた。

 本発明によれば、末端含フッ素ビニル基 分子中に2つ以上有する含フッ素化合物と、 -XH(Xは酸素原子または硫黄原子を示す)で表さ れる基を2つ以上有する化合物との付加重合 より、副生物の生成を少なくし、高分子量 つ溶媒易溶性の含フッ素ポリマーを簡便に ることができる。また、本発明によれば、 ッ素含有率や主鎖の構造を広い範囲で調整 可能である。したがって、本発明によれば 耐候性、耐熱性、薬品耐性、低屈折率性、 誘電率性、撥水・撥油性、潤滑性等、フッ 特有の諸性能を容易に調整することができ 。

 本発明をその実施態様とともに説明した 、我々は特に指定しない限り我々の発明を 明のどの細部においても限定しようとする のではなく、添付の請求の範囲に示した発 の精神と範囲に反することなく幅広く解釈 れるべきであると考える。