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Patent Searching and Data


Title:
NOVEL HEPATITIS C VIRUS INHIBITOR
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/093614
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a hepatitis C virus (HCV) inhibitor which can affect the replication of HCV or the translation of a HCV protein. Specifically disclosed is an HCV inhibitor comprising a compound selected from compounds represented by the formulae (I) to (III) and (V) and pharmaceutically acceptable salts and solvates of the compounds [in the formulae, R1 to R3, R5 to R6 and R8 to R9 independently represent a group selected from a hydrogen atom, a halogen atom, a linear or branched saturated or unsatuarted aliphatic hydrocarbon group, or a cycloalkyl, aryl, aralkyl, alkyloxy, alkenyloxy, alkynyloxy, aryloxy and aralkyloxy group which may have a substituent.

Inventors:
TAKEBE YUTAKA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/051086
Publication Date:
August 07, 2008
Filing Date:
January 25, 2008
Export Citation:
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Assignee:
JAPAN HEALTH SCIENCE FOUND (JP)
TAKEBE YUTAKA (JP)
International Classes:
C07D221/16; A61K31/18; A61K31/341; A61K31/40; A61K31/4184; A61K31/473; A61K31/4745; A61P31/14; A61P43/00; C07D235/18; C07D295/08; C07D307/14
Domestic Patent References:
WO2006094239A22006-09-08
Foreign References:
JP2000510833A2000-08-22
JP2003501459A2003-01-14
Attorney, Agent or Firm:
SHOJI, Takashi (3-4-1 Higashi-nihonbashi, Chuo-k, Tokyo 04, JP)
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Claims:
以下の1)~4)で示されるいずれかの化合物からなる、宿主細胞においてC型肝炎ウイルスの産生を抑制しうるC型肝炎ウイルス阻害剤:
1)以下に示す一般式(I)で示される化合物、その薬学上許容される塩及び溶媒和物から選択されるいずれかである;
式(I):

(式中、R 1 及びR 2 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状若しくは分岐状の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基及びアラルキルオキシ基から選択される任意の基を表す。)
2)以下に示す一般式(II)で示される化合物、その薬学上許容される塩及び溶媒和物から選択されるいずれかである;
式(II):
(式中、R 3 は、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状若しくは分岐状の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基及びアラルキルオキシ基から選択される任意の基を表す。)
3)以下に示す一般式(III)で示される化合物、その薬学上許容される塩及び溶媒和物から選択されるいずれかである;
式(III):
(式中、R 4 は、式(IV)の(a)又は(b)から選択される。式中、R 5 及びR 6 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状若しくは分岐状の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基及びアラルキルオキシ基から選択される任意の基を表す。)
式(IV):
4)以下に示す一般式(V)で示される化合物、その薬学上許容される塩及び溶媒和物から選択されるいずれかである;
式(V):
(式中、R 7 は、式(VI)の(a)又は(b)から選択される。式中、R 8 及びR 9 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状若しくは分岐状の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基及びアラルキルオキシ基から選択される任意の基を表す。)
式(VI):
(式中、R 10 は、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状若しくは分岐状の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ基及びアラルキルオキシ基から選択される任意の基を表す。)
一般式(I)で示される化合物が、以下の式(VII)又は式(VIII)で示される化合物、その薬学上許容される塩及び溶媒和物から選択されるいずれかである、請求項1に記載のC型肝炎ウイルス阻害剤。
式(VII):

式(VIII):
一般式(II)で示される化合物が、以下の式(IX)で示される化合物、その薬学上許容される塩及び溶媒和物から選択されるいずれかである、請求項1に記載のC型肝炎ウイルス阻害剤。
式(IX):
一般式(III)で示される化合物が、以下の式(X)又は式(XI)で示される化合物、その薬学上許容される塩及び溶媒和物から選択されるいずれかである、請求項1に記載のC型肝炎ウイルス阻害剤。
式(X):
式(XI):
一般式(V)で示される化合物が、以下の式(XII)又は式(XIII)で示される化合物、その薬学上許容される塩及び溶媒和物から選択されるいずれかである、請求項1に記載のC型肝炎ウイルス阻害剤。
式(XII):
式(XIII):
請求項1~5に示されるいずれかの化合物からなるC型肝炎ウイルス阻害剤を有効量含み、さらに、薬学的に許容し得る担体を含んでなる医薬組成物。
Description:
新規C型肝炎ウイルス阻害剤

 本発明は、新規なC型肝炎ウイルス阻害剤 に関する。より詳しくは、C型肝炎ウイルス 感染、細胞への侵入、複製又はC型肝炎ウイ スタンパク質の翻訳、成熟、ウイルス粒子 組み立て、放出過程に影響を及ぼす各種物 を探索して検出された新規C型肝炎ウイルス 阻害剤に関するものである。

 本出願は、参照によりここに援用される ころの日本出願特願2007-18145号優先権を請求 する。

 C型肝炎ウイルス(HCV:hepatitis C virus)は、 本鎖RNAウイルスで、フラビウイルス科ヘパ ウイルス属に属する。 HCV1~6までの6種の遺 子型に分類される。さらにそれらの遺伝子 がいくつかのサブタイプに分類される(Hepatol ogy, 10: p1321-1324 (1994); Hepatology, 42: p962-973  (2005))。現在では、HCVの複数の遺伝子型につ てゲノム全長の塩基配列が決定されている(S cience,244: p359-362 (1989); J.Med.Virol., p334-339 (19 92); J.Gen Virol.,73: p673-679 (1992); Hepatology, 16,  293-299 (1992))。

 HCVは、約9.4kbの一本鎖RNAをゲノムとする ゲノムの両端に存在する非翻訳領域は二次 造にとみ、5’末端には通常のmRNAで観察され るキャップ構造がなく、そのかわりにキャッ プ非依存的にrRNAがRNAの翻訳を開始可能なIRES( Internal Ribosomal Entry Site)が存在する。ウイル スRNAから約3000アミノ酸からなる巨大な前駆 タンパク質が翻訳され、宿主細胞由来のタ パク質分解酵素によりウイルスの粒子を構 するコアタンパク質と2つのエンベロープタ パク質(E1、E2)に、また粒子には取り込まれ いが、複製に必要な非構造タンパク質(NSタ パク質)は、NS2とNS3が有するタンパク質分解 酵素によって各タンパク質に切断される。

 HAART(Highly active antiretroviral therapy)の導入 によって、エイズ患者の予後が大幅に改善さ れた結果、わが国を含む先進国では、ヒト免 疫不全ウイルス(HIV:Human Immunodeficiency Virus)感 染者においてもエイズ以外の病因で死亡する ケースが急増している。特に共感染したHCVに よる肝障害・肝不全の合併が死因の重要な部 分をしめるようになっている。特に、非加熱 凝固因子製剤によるHIV感染者では、HIVとHCVの 共感染は97%にもおよび、HCV感染症の治療はポ ストHAART時代の医療課題として重要なものと っている。現在、HCV感染症に対して、イン ーフェロンとリバビリン(Ribavirin(1-β-D-ribofur anosyl-1H-1,2,4-tri-azole-3-carboxamide))の併用療法が 般的であるが、患者全体の50%にしか有効で なく、また、血球減少症・溶血性貧血など 篤な副作用をおこすことが知られている。

 これまではHCVにはウイルス培養系と実験 の感染小動物が存在しないことがHCVの基礎 究の妨げになってきた。KolyhalovらはHCVと同 フラビウイルス科に属するKunjinウイルスの プリコンシステムを報告した(非特許文献1) このシステムはKunjinウイルスの構造領域を り除き、3'utrを脳心筋炎ウイルス(encephalomyoc arditis virus:EMCV)のIRESとネオマイシン耐性遺伝 子に置き換えたものであり、この遺伝子構築 から作られたRNAを培養細胞に導入し、ネオマ イシンで選択培養することにより、Kunjinウイ ルスRNAの持続的な複製とタンパク質発現が観 察されるという実験系であった。そして、199 9年、LohamannらによりHCVのレプリコンシステム が報告された(非特許文献2)。このシステムは HCVの構造領域の一部(NS2)を取り除き、その部 にEMCVのIRESとネオマイシン耐性遺伝子を挿 したものである。この構造物を鋳型として 験管内でRNAを合成し、Huh7細胞に導入した後 ネオマイシン選択培地で選択培養し、この 伝子構造から作られたRNAを培養細胞に導入 、ネオマイシンで選択培養することにより 複製したHCVレプリコンRNAからネオマイシン 性遺伝子が発現され、その遺伝子の働きで プリコンが複製している細胞のみが生存可 となり、増殖したコロニーを形成する。レ リコン複製細胞では、HCVレプリコンRNAが非 に高レベルで複製しており、複製しているR NAや発現しているHCVタンパク質を持続して安 して検出することができる。

 しかし、それまではレプリコンとして増 が報告されたHCV株は、全て遺伝子型1の株で あった。さらにこれらの株は培養細胞内での 増殖時にその複製効率を増強する適応変異を 持ち、その適応変異の多くは患者血清から分 離されたHCV株では認められない変異であった 。また、その適応範囲を感染性クローンに導 入し、そのRNAをチンパンジーの肝臓に接種し たところ、感染性が失われていることが明ら かとなった。

 遺伝子型が異なるHCVでは、コードされる イルスタンパク質にも違いがあることが報 されており、遺伝子型1bのHCV由来のサブゲ ムレプリコンの解析だけでは、HCVの複製機 を十分に解明することは難しいと考えられ 。さらに、インターフェロンの治療効果がHC Vの遺伝子型によって異なることから、遺伝 型1bのHCVのサブゲノムレプリコンを含むHCV複 製系のみを用いて様々なタイプのHCVに効果を 及ぼす抗HCV薬を開発することは特に難しいと 考えられる。したがって、数多くの遺伝子型 のHCVのレプリコンを作製して、HCV複製機構、 及び抗HCV薬の研究を行う必要があると考えら れる。

 その後、他の遺伝子型のHCV株の遺伝子を用 たHCVレプリコンが各種報告されている。特 感染性クローンのRNAをT7RNAポリメラーゼを いて合成するHCVレプリコンについて報告が る(非特許文献3、4、特許文献1)。しかし、従 来のレプリコンシステムでは、HCV感染後の後 期過程に作用する阻害剤であれば検出するこ とが可能であったが、増殖環の全過程から選 択される何れかの過程を標的とするHCVの阻害 剤・治療剤を検出するには不十分であった。 そこで、増殖環の全過程の何れかの過程を標 的とする新たなHCV阻害剤の開発が望まれてい た。
J. Virol., 71, 1497-1505 (1997) Science 285, p.110-113 (1999) Nature Medicine 11, Number 7, July p.791-796 (2 005) ウイルス第55巻第2号 pp.287-296 (2005)

国際公開WO2005/028652号パンフレット

 本発明は、新規なHCV阻害剤を提供するこ を課題とする。より詳しくは、HCVの複製又 HCVタンパク質の翻訳に影響を及ぼす薬剤で るHCV阻害剤を提供することを課題とする。

 本発明者らは、上記課題を解決するため 鋭意研究を重ねた結果、ヒト肝癌由来Huh7細 胞、試験検体及び感染性HCVを接触させたのち にHCVを測定し、HCVの複製又はHCVタンパク質の 翻訳などに影響を及ぼす各物質を探索するこ とにより、新規なHCV阻害剤を検出することが できた。

 すなわち、本発明は以下よりなる。
1.以下の1)~4)で示されるいずれかの化合物か なる、宿主細胞においてHCVの産生を抑制し るHCV阻害剤:
1)以下に示す一般式(I)で示される化合物、そ 薬学上許容される塩及び溶媒和物から選択 れるいずれかである;
式(I):

(式中、R 1 及びR 2 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン 原子、直鎖状若しくは分岐状の飽和若しくは 不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してい てもよいシクロアルキル基、アリール基、ア ラルキル基、アルキルオキシ基、アルケニル オキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオ キシ基及びアラルキルオキシ基から選択され る任意の基を表す。)
2)以下に示す一般式(II)で示される化合物、そ の薬学上許容される塩及び溶媒和物から選択 されるいずれかである;
式(II):
(式中、R 3 は、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状若しく は分岐状の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水 素基、置換基を有していてもよいシクロアル キル基、アリール基、アラルキル基、アルキ ルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニ ルオキシ基、アリールオキシ基及びアラルキ ルオキシ基から選択される任意の基を表す。 )
3)以下に示す一般式(III)で示される化合物、 の薬学上許容される塩及び溶媒和物から選 されるいずれかである;
式(III):
(式中、R 4 は、式(IV)の(a)又は(b)から選択される。式中 R 5 及びR 6 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン 原子、直鎖状若しくは分岐状の飽和若しくは 不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してい てもよいシクロアルキル基、アリール基、ア ラルキル基、アルキルオキシ基、アルケニル オキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオ キシ基及びアラルキルオキシ基から選択され る任意の基を表す。)
式(IV):
4)以下に示す一般式(V)で示される化合物、そ 薬学上許容される塩及び溶媒和物から選択 れるいずれかである;
式(V):
(式中、R 7 は、式(VI)の(a)又は(b)から選択される。式中 R 8 及びR 9 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン 原子、直鎖状若しくは分岐状の飽和若しくは 不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してい てもよいシクロアルキル基、アリール基、ア ラルキル基、アルキルオキシ基、アルケニル オキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオ キシ基及びアラルキルオキシ基から選択され る任意の基を表す。)
式(VI):
(式中、R 10 は、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状若しく は分岐状の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水 素基、置換基を有していてもよいシクロアル キル基、アリール基、アラルキル基、アルキ ルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニ ルオキシ基、アリールオキシ基及びアラルキ ルオキシ基から選択される任意の基を表す。 )
2.一般式(I)で示される化合物が、以下の式(VII )又は式(VIII)で示される化合物、その薬学上 容される塩及び溶媒和物から選択されるい れかである、前項1に記載のHCV阻害剤。
式(VII):

式(VIII):

3.一般式(II)で示される化合物が、以下の式(IX )で示される化合物、その薬学上許容される 及び溶媒和物から選択されるいずれかであ 、前項1に記載のHCV阻害剤。
式(IX):

4.一般式(III)で示される化合物が、以下の式(X )又は式(XI)で示される化合物、その薬学上許 される塩及び溶媒和物から選択されるいず かである、前項1に記載のHCV阻害剤。
式(X):
式(XI):
5.一般式(V)で示される化合物が、以下の式(XII )又は式(XIII)で示される化合物、その薬学上 容される塩及び溶媒和物から選択されるい れかである、前項1に記載のHCV阻害剤。
式(XII):
式(XIII):

6.前項1~5に示されるいずれかの化合物からな HCV阻害剤を有効量含み、さらに、薬学的に 容し得る担体を含んでなる医薬組成物。

 本発明のHCV阻害剤は、HCV増殖に対する高い 害活性(IC 50 =~70nM、CC 50 =~35μM;SI(selective index)=~500)を有する。

本発明におけるスクリーニング方法に 用される感染性HCVのレプリコンゲノムの構 及びプラスミドを示す図である。 本発明におけるスクリーニング方法に 用されるアッセイ方法を示す図である。

符号の説明

a(図2) スクリーニングしようとする試験検体 。例えば低分子化合物ライブラリー及び他の 試験検体(0.5μM)
b(図2) Huh7.5.1/pHH-JFH1 zeo R細胞の培養上清

 以下、詳細に本発明の内容を説明する。
(HCV阻害剤)
 本発明は、宿主細胞において、HCVの産生を 制しうるHCV阻害剤であり、以下の1.~5.で示 れる化合物から選択されるいずれかの化合 で示すことができる。本発明において、宿 細胞とは、HCVが感染しうる細胞をいい、例 ば肝細胞が挙げられる。この宿主細胞は、in  vitro又はin vivoの系は、いずれであっても良 い。HCVの産生を抑制しうるとは、例えば後述 するスクリーニング方法により、細胞におけ るHCVの産生、具体的にはコアタンパク質の産 生を抑制しうる系でアッセイすることにより 、選別することができる。
 本発明で化合物としては、具体的に構造式 示す化合物の他、L体、D体又はラセミ体が げられ、好ましくはL体が挙げられる。また 発明の化合物をさらに化学修飾して、別の 合物に誘導化することも可能である。

1.以下に示す一般式(I)で示される化合物、そ 薬学上許容される塩及び溶媒和物から選択 れるいずれかの化合物である。
式(I):

(式中、R 1 及びR 2 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン 原子、直鎖状若しくは分岐状の飽和若しくは 不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してい てもよいシクロアルキル基、アリール基、ア ラルキル基、アルキルオキシ基、アルケニル オキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオ キシ基及びアラルキルオキシ基から選択され る任意の基を表す。)

2.以下に示す一般式(II)で示される化合物、そ の薬学上許容される塩及び溶媒和物から選択 されるいずれかの化合物である。
式(II):
(式中、R 3 は、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状若しく は分岐状の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水 素基、置換基を有していてもよいシクロアル キル基、アリール基、アラルキル基、アルキ ルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニ ルオキシ基、アリールオキシ基及びアラルキ ルオキシ基から選択される任意の基を表す。 )

4.以下に示す一般式(III)で示される化合物、 の薬学上許容される塩及び溶媒和物から選 されるいずれかの化合物である。
式(III):
(式中、R 4 は、式(IV)の(a)又は(b)から選択される。式中 R 5 及びR 6 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン 原子、直鎖状若しくは分岐状の飽和若しくは 不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してい てもよいシクロアルキル基、アリール基、ア ラルキル基、アルキルオキシ基、アルケニル オキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオ キシ基及びアラルキルオキシ基から選択され る任意の基を表す。)

式(IV):

5.HCV阻害剤が、以下に示す一般式(V)で示され 化合物、その薬学上許容される塩及び溶媒 物から選択されるいずれかの化合物である
式(V):
(式中、R 7 は、式(VI)の(a)又は(b)から選択される。式中 R 8 及びR 9 は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン 原子、直鎖状若しくは分岐状の飽和若しくは 不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してい てもよいシクロアルキル基、アリール基、ア ラルキル基、アルキルオキシ基、アルケニル オキシ基、アルキニルオキシ基、アリールオ キシ基及びアラルキルオキシ基から選択され る任意の基を表す。)

式(VI):
(式中、R 10 は、水素原子、ハロゲン原子、直鎖状若しく は分岐状の飽和若しくは不飽和脂肪族炭化水 素基、置換基を有していてもよいシクロアル キル基、アリール基、アラルキル基、アルキ ルオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキニ ルオキシ基、アリールオキシ基及びアラルキ ルオキシ基から選択される任意の基を表す。 )

 上記において、「置換基を有していても いシクロアルキル基、アリール基、アラル ル基、アルキルオキシ基、アルケニルオキ 基、アルキニルオキシ基、アリールオキシ 及びアラルキルオキシ基」における置換基 しては、低級アルキル基、低級アルコキシ 、水酸基、ハロゲン原子、ハロアルキル基 アミノ基、置換 アミノ基、シアノ基、ニ ロ基、カルボキシ基、カルバモイル基等が げられる。

 「低級アルキル」とは、炭素数1~8個の直 状又は分岐状のアルキル基を意味し、具体 にはメチル、エチル、n-プロピル、イソプ ピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、te rt-ブチル、n-ぺンチル、イソぺンチル、ネオ ンチル、tert-ぺンチル、ヘキシル、ヘプチ 、オクチル等が挙げられる。

 「低級アルコキシ」とは、炭素数1~6個の 鎖状又は分岐状のアルコキシ基を意味し、 体的にはメトキシ、エトキシ、n-プロポキ 、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキ シ、s-ブトキシ、t-ブトキシ、n-ペンチルオキ シ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ イソヘキシルオキシが挙げられる。

 「アリール」としては、フェニル、ナフ ル又は多環芳香族炭化水素基(フェナンスリ ル等)が挙げられる。

 「ヘテロアリール」としては、N、O、S、 らなる群から選択されるヘテロ原子を1~4個 む5~6員の芳香環基(例えば、フラン、チオフ ェン、ピロール、オキサゾール、チアゾール 、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール 、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラ ジン、トリアジン)であるが、好ましくはN原 を含む環基(ピリジン、ピラジン等)を挙げ ことができる。

 「アラルキル」とは、上記の低級アルキ 基に上記アリールが置換 して形成される であり、ベンジル、メチルベンジル、ナフ ルメチルが例示される。

 「アラルキルオキシカルボニル」とは、 ルボニル基に上記のアラルキルがO原子を介 して結合して形成される基であり、ベンジル オキシカルボニル等が例示される。

 「ハロゲン」としては、フッ素、塩素、 素、ヨウ素が挙げられる。

 「低級アルキルカルボニル」、「アリー カルボニル」又は「ヘテロアリールカルボ ル」とは、それぞれ、カルボニル基に上記 低級アルキル、アリール又はヘテロアリー が置換 して形成される基である。アセチ 、ベンゾイル、ナフチルカルボニル等が例 される

 「低級アルキルスルホニル」、「アリー スルホニル」又は「ヘテロアリールスルホ ル」とは、それぞれ、スルホニル基に上記 低級アルキル、アリール又はヘテロアリー が置換 して形成される基である。

 「脂肪族ヘテロ環」とは、N、O及びSから る群から選択されるヘテロ原子を1~4個含む5 ~6員の脂肪族環であり、ピロリジニル、チア リジニル、オキサゾリジニル、イミダゾリ ニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モル リニル、チオモルホリニル、ピロリル、チ ゾリル等が例示される。

 本発明のHCV阻害剤としては、具体的には 以下の化合物1A~4B(式VII~XIII)で示される化合 が特に好適である。

 本発明において、薬学上許容される塩とは 以下が挙げられる。
 塩基性付加塩としては、例えばナトリウム 、カリウム塩等のアルカリ金属塩;例えばカ ルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土 類金属塩;例えばアンモニウム塩;例えばトリ チルアミン塩、トリエチルアミン塩;ジシク ロヘキシルアミン塩、エタノールアミン塩、 ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミ ン塩、ブロカイン塩等の脂肪族アミン塩;た えばN,N-ジベンジルエチレンジアミン等のア ルキルアミン塩;例えばピリジン塩、ピコリ ン塩、キノリン塩、イソキノリン塩等の複素 環芳香族アミン塩;例えばテトラメチルアン ニウム塩、テトラエチルアモニウム塩、ベ ジルトリメチルアンモニウム塩、ベンジル リエチルアンモニウム塩、ベンジルトリブ ルアンモニウム塩、メチルトリオクチルア モニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩 の第4級アンモニウム塩;アルギニン塩;リジ 塩等の塩基性アミノ酸塩等が挙げられる。

 酸付加塩としては、例えば塩酸塩、硫酸 、硝酸塩、りん酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩 過塩素酸塩等の無機酸塩;例えば酢酸塩、プ ロピオン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマ ール酸塩、酒石酸塩、りんご酸塩、くえん酸 塩、アスコルビン酸塩等の有機酸塩;例えば タンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、ベン ンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩等 のスルホン酸塩;例えばアスパラギン酸塩、 ルタミン酸塩等の酸性アミノ酸等を挙げる とができる。

(HCV阻害剤を含む医薬組成物)
 本発明は、上記に示すいずれかの化合物で されるHCV阻害剤を有効量含み、さらに、薬 的に許容し得る担体を含んでなる医薬組成 も含まれる。かかる医薬組成物は、経口的 は非経口的に投与することができる。経口 与による場合、本発明化合物は通常の製剤 例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤 の固形剤;水剤;油性懸濁剤;又はシロップ剤 しくはエリキシル剤等の液剤のいずれかの 形としても用いることができる。非経口投 による場合、本発明化合物は、水性又は油 懸濁注射剤、点鼻液として用いることがで る。その調製に際しては、慣用の賦形剤、 合剤、滑沢剤、水性溶剤、油性溶剤、乳化 、懸濁化剤、保存剤、安定剤等を任意に用 ることができる。

(本発明のHCV阻害剤のスクリーニング方法)
 本発明に係るHCV阻害剤をスクリーニングは ヒト肝癌由来Huh7細胞、試験検体及び感染性 HCVを接触させたのち、HCVを測定することによ り行うことができる。

 感染性HCVは、PNAS Vol.102, no.26 p.9294-9299 ( 2005)に記載の方法に従い、RNA PolIプロモータ /ターミネーター系を利用したJFH1株(genotype  2a)のcDNA発現プラスミド導入細胞株(Huh7.5.1/JFH1  zeo R細胞)を用いて、図1に示す感染性HCVレ リコンゲノムから作製することができる。HC Vストック液は、分注した後、-80℃で保存す 。

 より具体的には、以下のようにして行うこ ができる。
1)ヒト肝癌由来Huh7.5.1細胞を、播種する工程;
2)試験検体を上記播種した細胞を含む培養液 加える工程;
3)さらに感染性HCVを播種する工程;
4)37±1℃で加温する工程;
5)培養上清を採取し、HCVを測定する工程。

 上記スクリーニング方法について、さらに しく説明する。
1)上記ヒト肝癌由来Huh7.5.1細胞を、該細胞培 用培地に懸濁し、例えば96穴のマイクロプレ ートなどのスクリーニング用容器に播種する 。
2)スクリーニング候補化合物を、細胞を含む クリーニング用容器に加える。
3)さらに上記感染性HCVを播種し、スクリーニ グ候補化合物と感染性HCVを含む複製細胞を 養し、得られる培養物中の感染性HCVを検出 る。
4)感染性HCVを細胞中で培養するために、3~10日 間、37±1℃で加温することができる。
5)上記培養後、培養上清を採取し、HCVを測定 ることにより本発明のアッセイを行うこと できる。HCVの測定は、HCVの複製の促進又は 制を確認しうる方法であれば良く、特に限 されるものではないが、例えば市販のキッ を用いてHCVコアタンパクの産生量をELISA法 どにより確認することができる。

 本発明のHCV阻害剤は、上記のスクリーニ グ方法に加えて、候補化合物のHCVの複製の 進又は抑制に及ぼす影響をより確実に確認 るために、非特異作用を排除するために並 して細胞毒性試験を行い、毒性の低いもの 選定して得た。HCVの増殖を抑制する物質と ては、例えば、直接的若しくは間接的にHCV 増殖に影響を及ぼす有機化合物、あるいはH CVゲノム若しくはその相補鎖の標的配列にハ ブリダイズすることによりHCVの増殖若しく HCVタンパク質の翻訳に直接的又は間接的に 響を及ぼすアンチセンスオリゴヌクレオチ 等が挙げられる。

 以下に実施例を示して本発明をさらに具 的に説明するが、本発明はこれらにより限 されるものではない。

(実施例及び比較例)
 Enamine社(ナミキ商事)が保有する化合物につ て、本発明のHCV阻害剤のスクリーニング方 に従い、スクリーニングを行い、以下の化 物1A~4B(式VII~XIII)で示される化合物及び1C~3C( XIV~XVIII)で示される各化合物を選定した。

(実験例1)HCV阻害効果及び細胞毒性試験結果
 上記で得られた各化合物(実施例1~7、比較例 1~5)及びリバビリン(Ribavirin (1-β-D-ribofuranosyl-1 H-1,2,4-tri-azole-3-carboxamide))についての、以下に 示す方法にて抗HCV作用、毒性、並びにセレク ティブインデクス(SI)を測定した。結果を表1 示した。

1)抗HCV作用
 Huh7.5.1細胞(継代数が第43回目までのものを 用)を、10%FCSを含むDMEM培地に1×10 4 cells/100μl/ウェルとなるように懸濁したもの 96ウェルのマイクロプレートに播種し、1日 養後に培地を交換した。この細胞に、各試 化合物を検体として5μMとなるように添加し 。リバビリンについても同様の濃度で行っ 。15分間静置した後に、上記1)により得た感 染性HCV(HCVコアタンパク質量として、約0.2fmol/ ウェル)をHuh7.5.1細胞に播種して感染させ、37 、5%CO 2 にて5~6日間培養した。培養後、上清中のHCVコ アタンパク質量をオーソHCV抗原ELISAテストに り定量し、各化合物のHCV増殖阻害効果を評 した。該HCV増殖阻害効果から、IC 50 値を求めた。IC 50 値は、ウイルスの増殖を50%抑制する薬剤の濃 度で表す。
 表1において、(-)と示しているのは、IC 50 値及び細胞毒性の結果から判断したものであ る。

2)細胞毒性試験
 上記の各化合物について、テトラゾリウム WST-8の生成したホルマザンの吸光度を直接 定するWST法により、Huh7.5.1細胞に対する細胞 毒性試験を行った。該細胞毒性試験結果から 、CC 50 値を求めた。CC 50 値は、細胞が50%傷害を受ける薬剤の濃度で表 す。

3)SI
 IC 50 値は抗ウイルス効果を発揮する薬剤濃度で、 CC 50 値はその薬剤が安全に使える濃度である。CC 50 値をIC 50 値で割った値をSIといい、その値が大きいほ 、細胞を傷つけずにウイルスの増殖のみを える効果が高いとみなせる。

4)結果

 上記の試験結果を表1に示した。本発明のHCV 阻害剤のうち、上記各実施例に記載の各化合 物は、IC 50 はリバビリンに比べて低値であった。また、 CC 50 (毒性)を測定したものについては、その値は 等又はやや低い値を示した。SI値は、リバ リンでは2.0であったのに対し、実施例1、3、 4及び6に記載の化合物については、いずれも3 0以上の値を示し、HCV阻害剤として優れてい ことが確認された。特に実施例1に記載の化 物は、HCV増殖に対する高い阻害活性(IC 50 =~70nM、CC 50 =~35μM;SI=~500)を示し、抗HCV阻害剤として特に れていることが考えられた。

 以上詳述したように、本発明の化合物は 優れた抗HCV作用を示すことが確認された。 発明のHCV阻害剤を構成する化合物は、薬学 許容しうる担体とともに医薬用組成物とし の利用が可能である他、より優れた効果の HCV阻害剤を選別するためのリード化合物と ても利用することができる。