高木和広 (〒44 茨城県つくば市並木4-11-916-101 Ibaraki, 3050044, JP)
興和株式会社 (〒25 愛知県名古屋市中区錦三丁目6番29号 Aichi, 4608625, JP)
NATIONAL INSTITUTE FOR AGRO-ENVIRONMENTAL SCIENCES (1-3 Kannondai 3-chome, Tsukuba-shi Ibaraki, 04, 3058604, JP)
NATIONAL INSTITUTE FOR AGRO-ENVIRONMENTAL SCIENCES (3058604, JP)
| ジフェニルアルシン酸の分解能を有するシノリゾビウム(Sinorhizobium)属に属する微生物。 |
| 次の(A)又は(B): (A) 配列番号1に記載の塩基配列からなるDNA、 (B) 配列番号1に記載の塩基配列と95%以上の同一性を有するDNA、 を含む16SリボゾーマルRNA遺伝子を有する、ジフェニルアルシン酸の分解能を有するシノリゾビウム(Sinorhizobium)属に属する微生物。 |
| ジフェニルアルシン酸の分解能を有するシノリゾビウム(Sinorhizobium)属に属するL2406株(FERM BP-10658)。 |
| ジフェニルアルシン酸の分解能を有するエンシファー(Ensifer)属に属する微生物。 |
| 次の(A)又は(B): (A) 配列番号2に記載の塩基配列からなるDNA、 (B) 配列番号2に記載の塩基配列と95%以上の同一性を有するDNA、 を含む16SリボゾーマルRNA遺伝子を有する、ジフェニルアルシン酸の分解能を有するエンシファー(Ensifer)属に属する微生物。 |
| ジフェニルアルシン酸の分解能を有するエンシファー(Ensifer)属に属するL2413株(FERM BP-10659)。 |
| 請求の範囲第1項~第6項のいずれかに記載された微生物を用いて、ジフェニルアルシン酸を分解する方法。 |
| 請求の範囲第1項~第6項のいずれかに記載された微生物を用いて、土壌及び/又は汚染地下水を浄化する方法。 |
| 鉄成分の存在下で微生物を用いる、請求の範囲第7項又は請求の範囲第8項に記載の方法。 |
| 請求の範囲第1項~第6項のいずれかに記載された微生物を含んでなる、ジフェニルアルシン酸の分解剤。 |
| 鉄成分を含む、請求の範囲第10項に記載の分解剤。 |
| 請求の範囲第1項~第6項のいずれかに記載された微生物を含んでなる、汚染土壌及び/又は汚染地下水の浄化剤。 |
| 鉄成分を含む、請求の範囲第12項に記載の浄化剤。 |
| 請求の範囲第1項~第6項のいずれかに記載された微生物を用いて、フェニルアルソン酸を分解する方法。 |
| 請求の範囲第1項~第6項のいずれかに記載された微生物を用いて、ロキサルソンを分解する方法。 |
| 鉄成分の存在下で微生物を用いる、請求の範囲第14項又は請求の範囲第15項に記載の方法。 |
| 請求の範囲第1項~第6項のいずれかに記載された微生物を含んでなる、フェニルアルソン酸の分解剤。 |
| 請求の範囲第1項~第6項のいずれかに記載された微生物を含んでなる、ロキサルソンの分解剤。 |
| 鉄成分を含む、請求の範囲第17項又は請求の範囲第18項に記載の分解剤。 |
本発明は、シノリゾビウム(Sinorhizobium)属 属し、かつジフェニルアルシン酸の分解能 有する微生物に関する。また、本発明は、 ンシファー(Ensifer)属に属し、かつジフェニ アルシン酸の分解能を有する微生物に関す 。さらに、当該微生物を少なくとも1種類以 上用いるジフェニルアルシン酸の分解方法に 関する。
2003年3月、茨城県神栖市の飲用井戸水から 質基準の450倍という高濃度のヒ素が検出さ た。その後の調査により、このヒ素は有機 素化合物の一種で、ジフェニルアルシン酸[( C 6 H 5 ) 2 AsO(OH);構造式を式Iに示す]を主成分とするフ ニル化ヒ素化合物であることが判明した。
このフェニル化ヒ素化合物による汚染に って近隣住民が直接的な健康被害を被った 、近隣の水田で産出されるコメへのヒ素混 も発覚した。この地域における土壌や地下 の、ジフェニルアルシン酸が原因となった 素汚染は広く進行していると見られ、環境 によるモニタリング調査が現在も継続的に われている。
またジフェニルアルシン酸は、化学兵器 一種である嘔吐剤(くしゃみ剤)として使用 れているジフェニルシアノアルシンやジフ ニルクロロアルシンの合成原料であり、ま 加水分解生成物でもある。ジフェニルシア アルシンやジフェニルクロロアルシンが土 中に投棄されると、ジフェニルアルシンヒ ロキシド及びビスジフェニルアルシンオキ ドを経てジフェニルアルシン酸となる。こ ら有機ヒ素を含む化学兵器の遺棄によると えられる土壌汚染は、我が国では60年以上前 の軍関連施設があった場所やその近傍で発見 されている。また、海外でも化学兵器の投棄 によるものと考えられる土壌や地下水の有機 ヒ素汚染が確認されている。これらの有機ヒ 素汚染土壌修復技術については、その確立が 待たれている。
既存の有機ヒ素化合物汚染土壌の浄化方 としては、洗浄処理によって有機ヒ素化合 を汚染土壌から抽出除去する方法が提案さ ている(特許文献1)。その際、洗浄剤として 酸化ナトリウムを含有する水溶液、リン酸 しくはその塩を含有する水溶液、硫酸を含 する水溶液、塩酸を含有する水溶液、酒石 もしくはその塩を含有する水溶液、クエン もしくはその塩を含有する水溶液、または ュウ酸もしくはその塩を含有する水溶液、 いずれかを用いる。
また、有機ヒ素化合物含有水の浄化方法 しては、鉄イオン、銅イオン、コバルトイ ンおよびマンガンイオンからなる群より選 れる少なくとも1種の金属イオンの存在下、 過酸化水素を反応させて、有機ヒ素化合物を 無機ヒ素に酸化分解する有機ヒ素化合物の処 理方法が提案されている(特許文献2)。あるい は、塩化第二鉄などの無機凝集剤と有機高分 子凝集剤を添加してフロック形成させ、この フロックを沈殿分離した後に沈殿処理水を砂 ろ過器でろ過処理して、その処理水をさらに 活性炭吸着処理することで、有機ヒ素化合物 を低減する方法が提案されている(特許文献3) 。さらには、有機ヒ素化合物含有水に対し紫 外線を照射しながらオゾンガスを吹き込み、 有機ヒ素化合物を無機ヒ素化合物に分解する ことを特徴とする方法が提案されている(特 文献4)。
さらには、有機ヒ素を含有している水に 集剤を加えて、含有している有機ヒ素を沈 させて除去する沈殿工程の後に、さらに水 に残留する有機ヒ素を逆浸透膜にて除去す 逆浸透膜工程を行うことを特徴とする水処 方法と、有機ヒ素を含有している水を処理 る逆浸透膜装置を備えた水処理装置であっ 、前記水に凝集剤を混合して前記有機ヒ素 沈殿させる沈殿槽を、前記逆浸透膜装置の 流側に備えたことを特徴とする水処理装置 が提案されている(特許文献5)。
しかしながら、上記に挙げた有機ヒ素化 物の浄化方法を汚染土壌に適用しようとす 場合、汚染された土壌の掘削や水の汲み上 、有機ヒ素の抽出等を行う必要があり、多 な労力とコストが必要になる。従って、よ 簡便で、原位置で浄化が可能な方法が望ま ており、そのような要件に適合する新しい 境浄化技術の一つとして、バイオレメディ ーションが注目を集めている。その実施に 、対象となる汚染物質を効果的に分解・除 することが可能な微生物が不可欠であるが 有機ヒ素化合物による環境汚染にこの手法 適用する場合、有用な微生物が単離されて ないことが課題であった。
これまで、有機ヒ素化合物を分解する微 物としては、ジメチルアルシン酸を分解し る微生物としてK8株、12M17株及び7M5株が、モ ノメチルアルソン酸を分解し得る微生物とし てK-1´株及びIV-1株が報告されている(特許文 6)。K-1´株及びIV-1株はフェニルアルソン酸も 僅かながら分解し得ることが報告されている (特許文献6)。しかしながら、上記神栖市での ヒ素汚染等において最も高濃度で検出される 有機ヒ素化合物であるジフェニルアルシン酸 の分解菌はこれまで知られていない。
特許文献1(特開2005-169162号公報)、特許文献2(
特開2001-158622号公報)、特許文献3(特開2005-23818
4号公報)、特許文献4(特開2005-334761号公報)、
許文献5(特開2006-43616号公報)、及び特許文献6
(特開2005-229945号公報)に記載の内容は、本明
書の記載の一部として取り込む。
ジフェニルアルシン酸は有機ヒ素化合物 一種で、ジフェニルアルシン酸そのものの 棄や、土壌中に遺棄された化学兵器(ジフェ ニルシアノアルシンやジフェニルクロロアル シン)の加水分解によって土壌や地下水の汚 を引き起こしている。このような状況を改 する手段として、ジフェニルアルシン酸を 率的に分解する手段が望まれている。
従って、本発明は、ジフェニルアルシン を分解する能力を有する微生物、当該微生 によってジフェニルアルシン酸を分解する めの方法、当該微生物を用いて、汚染され 土壌及び/又は地下水を浄化する方法、当該 微生物を含んでなるジフェニルアルシン酸の 分解剤、当該微生物を含んでなる汚染土壌及 び/又は汚染地下水の浄化剤を提供すること 目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため 集積培養を行ったところ、ジフェニルアル ン酸で汚染した水田土壌に有効な微生物が 在していることを見出し、これら微生物の から単離した新規なエンシファー(Ensifer)属 菌及び新規なシノリゾビウム(Sinorhizobium)属 菌が高いジフェニルアルシン酸分解能を有 ることを見出した。また、当該微生物によ ジフェニルアルシン酸分解が硫酸第一鉄等 鉄成分の添加によって促進されることを見 し、本発明を完成するに至った。
従って、本発明は以下の[1]~[13]にある。
[1] ジフェニルアルシン酸の分解能を有する
ノリゾビウム(Sinorhizobium)属に属する微生物
[2] 次の(A)又は(B):
(A) 配列番号1に記載の塩基配列からなるDNA、
(B) 配列番号1に記載の塩基配列と95%以上の同
一性を有するDNA、
を含む16SリボゾーマルRNA遺伝子を有する、ジ
フェニルアルシン酸の分解能を有するシノリ
ゾビウム(Sinorhizobium)属に属する微生物。
[3] ジフェニルアルシン酸の分解能を有する
ノリゾビウム(Sinorhizobium)属に属するL2406株(F
ERM BP-10658)。
[4] ジフェニルアルシン酸の分解能を有する
ンシファー(Ensifer)属に属する微生物。
[5] 次の(A)又は(B):
(A) 配列番号2に記載の塩基配列からなるDNA、
(B) 配列番号2に記載の塩基配列と95%以上の同
一性を有するDNA、
を含む16SリボゾーマルRNA遺伝子を有する、ジ
フェニルアルシン酸の分解能を有するエンシ
ファー(Ensifer)属に属する微生物。
[6] ジフェニルアルシン酸の分解能を有する
ンシファー(Ensifer)属に属するL2413株(FERM BP-1
0659)。
[7] [1]~[6]のいずれかに記載された微生物を用
いて、ジフェニルアルシン酸を分解する方法
。
[8] [1]~[6]のいずれかに記載された微生物を用
いて、土壌及び/又は汚染地下水を浄化する
法。
[9] 鉄成分の存在下で微生物を用いる、[7]又
[8]に記載の方法。
[10] [1]~[6]のいずれかに記載された微生物を
んでなる、ジフェニルアルシン酸の分解剤
[11] 鉄成分を含む、[10]に記載の分解剤。
[12] [1]~[6]のいずれかに記載された微生物を
んでなる、汚染土壌及び/又は汚染地下水の
化剤。
[13] 鉄成分を含む、[12]に記載の浄化剤。
また、本発明は以下の[14]~[18]にもある。
[14] [1]~[6]のいずれかに記載された微生物を
いて、ジフェニルアルシン酸を分解してフ
ニルアルソン酸を製造する方法。
[15] [1]~[6]のいずれかに記載された微生物を
いて、汚染された土壌から浄化された土壌
製造する方法。
[16] [1]~[6]のいずれかに記載された微生物を
いて、汚染された地下水から浄化された地
水を製造する方法。
[17] 鉄成分の存在下で微生物を用いる、[14]~[
16]のいずれかに記載の方法。
[18] ヒ素汚染土壌を湿潤土のままで採取する
工程、
該ヒ素汚染土壌をジフェニルアルシン酸の
在下で培養して、培養液を得る工程、
得られた培養液を希釈して希釈系列を作製
る工程、
希釈系列である培養液をジフェニルアルシ
酸の存在下で培養する工程、
希釈系列のなかから、培養に伴ってジフェ
ルアルシン酸の濃度減少又は消失の生じる
養液を選択する工程、
を含む、ジフェニルアルシン酸分解能を有す
る菌株を選抜する方法。
すなわち、本発明はまずジフェニルアルシ
酸の分解能を有するシノリゾビウム(Sinorhizo
bium)属に属する微生物にある。このような微
物として、次の(A)又は(B):
(A) 配列番号1に記載の塩基配列からなるDNA、
(B) 配列番号1に記載の塩基配列と95%以上の同
一性を有するDNA、
を含む16SリボゾーマルRNA遺伝子を有する、ジ
フェニルアルシン酸の分解能を有するシノリ
ゾビウム(Sinorhizobium)属に属する微生物が好ま
しい。上記の同一性は95%以上が好ましく、よ
り好ましくは96%以上、さらに好ましくは97%以
上、さらに好ましくは98%以上、さらに好まし
くは99%以上であり、特に99.5%以上、特に99.8%
上、特に99.9%以上の同一性であることが好ま
しい。このような微生物として、シノリゾビ
ウム(Sinorhizobium)属に属するL2406株(FERM BP-10658)
が極めて好ましい。
また、本発明はジフェニルアルシン酸の分
能を有するエンシファー(Ensifer)属に属する
生物にある。このような微生物として、次
(A)又は(B):
(A) 配列番号1に記載の塩基配列からなるDNA、
(B) 配列番号1に記載の塩基配列と95%以上の同
一性を有するDNA、
を含む16SリボゾーマルRNA遺伝子を有する、ジ
フェニルアルシン酸の分解能を有するエンシ
ファー(Ensifer)属に属する微生物が好ましい。
上記の同一性は95%以上が好ましく、より好ま
しくは96%以上、さらに好ましくは97%以上、さ
らに好ましくは98%以上、さらに好ましくは99%
以上であり、特に99.5%以上、特に99.8%以上、
に99.9%以上の同一性であることが好ましい。
このような微生物として、エンシファー(Ensif
er)属に属するL2413株(FERM BP-10659)が極めて好ま
しい。
また、本発明は、上述の微生物の少なく も1種以上を用いて、ジフェニルアルシン酸 を分解する方法、ジフェニルアルシン酸を分 解してフェニルアルソン酸を製造する方法、 汚染された土壌及び/又は汚染地下水を浄化 る方法、汚染された土壌から浄化された土 を製造する方法、及び、汚染された汚染地 水から浄化された汚染地下水を製造する方 にもあり、これらの方法のための上述の微 物の使用にもある。さらに、これらの方法 び使用の好ましい態様において、鉄成分の 在下でこれを行うことができる。微生物と もに用いるために存在させる鉄成分の量は 鉄濃度[mg-Fe/l](体積1リットルあたりの鉄の質 量mg)として一般に0.01[mg-Fe/l]以上、好ましく 0.04[mg-Fe/l]以上、より好ましくは0.1[mg-Fe/l]以 、さらに好ましくは0.2[mg-Fe/l]以上、さらに ましくは0.3[mg-Fe/l]以上、さらに好ましくは0 .4[mg-Fe/l]以上、さらに好ましくは1[mg-Fe/l]以上 、さらに好ましくは2[mg-Fe/l]以上、さらに好 しくは4[mg-Fe/l]以上であり、鉄濃度は高いほ 好ましい。鉄濃度の上限には、特に制限は く、イオン積により定まる飽和濃度とする とができるが、一般に1000[mg-Fe/l]以下である 。これらの鉄濃度の達成は、例えば硫酸第一 鉄等の鉄成分の添加によって行うことができ る。
汚染された土壌又は地下水とは、主とし ジフェニルアルシン酸を含んでヒ素汚染さ た土壌又は地下水を言う。ヒ素汚染された 壌又は地下水とは、一般にはヒ素元素を有 化合物及び無機化合物の形態で含むことに り汚染された土壌又は地下水を言うが、本 明においては、主としてジフェニルアルシ 酸を含んでヒ素汚染された土壌又は地下水 言う。汚染土壌又は汚染地下水の浄化とは 主としてジフェニルアルシン酸が除去され 土壌又は地下水とすることを言う。しかし このような汚染土壌の浄化又は汚染地下水 浄化とは、ジフェニルアルシン酸を好適に 去した結果、ジフェニルアルシン酸の生成 となる有機ヒ素化合物が土壌又は地下水か 速やかに除去されることをも含み、また、 ェニルアルソン酸の分解を促進する公知の 成物及び方法を併用して、有機ヒ素化合物 般が土壌又は地下水から速やかに除去され ことをも含んでいる。
また、本発明は、上述の微生物を含んで る、ジフェニルアルシン酸の分解剤、汚染 壌あるいは汚染地下水の浄化剤にもあり、 れらの製造のために上述の微生物を使用す 方法にもある。これらの分解剤、土壌浄化 及び地下水浄化剤は、上述の微生物を有効 分として含み、さらに、その目的において 容される公知の補助成分を含んでなるもの することができる。また、これらの分解剤 土壌浄化剤及び地下水浄化剤は、好ましい 様において、硫酸第一鉄等の鉄成分を含ん なるものとすることができる。好適な鉄成 の含有量は、分解あるいは浄化にあたって 壌、地下水等において微生物とともに用い 際に存在する鉄成分の量が、鉄濃度[mg-Fe/l]( 体積1リットルあたりの鉄の質量mg)として上 の範囲の値となるように設定することが好 しい。
また、本発明は、ジフェニルアルシン酸の
解能を有する微生物の菌株を選抜(スクリー
ニング)するための次の方法:
ヒ素汚染土壌を湿潤土のままで採取する工
、
該ヒ素汚染土壌をジフェニルアルシン酸の
在下で培養して、培養液を得る工程、
得られた培養液を希釈して希釈系列を作製
る工程、
希釈系列である培養液をジフェニルアルシ
酸の存在下で培養する工程、
希釈系列のなかから、培養に伴ってジフェ
ルアルシン酸の濃度減少又は消失の生じる
養液を選択する工程、を含む、ジフェニル
ルシン酸分解能を有する菌株を選抜する方
にもある。
得られた培養液を希釈して希釈系列を作 する工程、希釈系列である培養液をジフェ ルアルシン酸の存在下で培養する工程、及 、希釈系列のなかから、培養に伴ってジフ ニルアルシン酸の濃度減少又は消失の生じ 培養液を選択する工程は、所望により複数 を繰り返して行うことができる。また、効 的な選抜のために、好ましい態様において ジフェニルアルシン酸の存在下での培養は 硫酸第一鉄等の鉄成分をさらに添加して行 ことができる。ヒ素汚染土壌からの湿潤土 採取は、ヒ素汚染水田土壌からの採取によ て好適に行うことができる。
このようなジフェニルアルシン酸分解能 有する菌株を選抜する方法によれば、上述 たような有用な微生物を選抜(スクリーニン グ)して取得することが可能である。
さらに、本発明者等は、上記の微生物の 株が、ジフェニルアルシン酸の代謝産物で るフェニルアルソン酸を分解して、無機ヒ 化合物を生成することを見いだした。
フェニルアルソン酸は、有機ヒ素化合物の 種であり、上記の微生物の菌株は、ジフェ ルアルシン酸を分解してフェニルアルソン [(C 6 H 5 )AsO(OH) 2 ;構造式を式IIに示す]をいったん生成させる しかし、土壌や地下水の浄化のためには、 のフェニルアルソン酸をさらに分解除去す ことが望ましい。このフェニルアルソン酸 分解して無機ヒ素化合物とすることができ ば、土壌や地下水の浄化はより徹底したも となる。
そこで、本発明者等は、さらに検討を行 て、上記の微生物の菌株が、ジフェニルア シン酸の代謝産物であるフェニルアルソン を分解して、無機ヒ素化合物を生成するこ を見いだした。
すなわち、本発明は、次の[19]~[22]にもある
[19] [1]~[6]のいずれかに記載された微生物を
いて、フェニルアルソン酸を分解する方法
[20] 鉄成分の存在下で微生物を用いる、[19]
記載の方法。
[21] [1]~[6]のいずれかに記載された微生物を
んでなる、フェニルアルソン酸の分解剤。
[22] 鉄成分を含む、[21]に記載の分解剤。
さらに、本発明は、次の[23]~[24]にもある。
[23] [1]~[6]のいずれかに記載された微生物を
いて、フェニルアルソン酸を分解して無機
素化合物を製造する方法。
[24] 鉄成分の存在下で微生物を用いる、[23]
記載の方法。
さらに、本発明者等は、上記の微生物の 株が、家禽の成長促進剤として使用される キサルソンを分解して、無機ヒ素化合物を 成することを見いだした。
ロキサルソン[{C 6 H 3 (NO 2 )(OH)}AsO(OH) 2 ;構造式を式IIIに示す]は、成長促進剤として 禽に与えられているフェニル化有機ヒ素化 物である。米国では83億羽のブロイラーの 7割に本剤が与えられており(2000年の場合)、 こから出た厩肥には900tのロキサルソンが含 まれ、ヒ素に換算すると250tに相当する。近 、この厩肥を農地などに施すことによる、 機ヒ素汚染土壌の発生が懸念されており、 の対策が求められている。
そこで本発明者等は、今回単離した分解 のロキサルソンに対する効果を明らかにす ため、ロキサルソンを唯一の炭素源として む無機塩培地にL2406株を植菌し、培地中の キサルソンの分解が可能であるか、検討し 。その結果、上記の微生物の菌株が、ロキ ルソンを分解して、無機ヒ素化合物を生成 ることを見いだしたものである。
すなわち、本発明は、次の[25]~[28]にもある
[25] [1]~[6]のいずれかに記載された微生物を
いて、ロキサルソンを分解する方法。
[26] 鉄成分の存在下で微生物を用いる、[25]
記載の方法。
[27] [1]~[6]のいずれかに記載された微生物を
んでなる、ロキサルソンの分解剤。
[28] 鉄成分を含む、[27]に記載の分解剤。
さらに、本発明は、次の[29]~[30]にもある。
[29] [1]~[6]のいずれかに記載された微生物を
いて、ロキサルソンを分解して無機ヒ素化
物を製造する方法。
[30] 鉄成分の存在下で微生物を用いる、[29]
記載の方法。
本発明のジフェニルアルシン酸を分解す 能力を有する微生物によれば、ある種のヒ 汚染等において最も高濃度で検出される有 ヒ素化合物であるジフェニルアルシン酸の 解が可能となる。この微生物を含んでなる フェニルアルシン酸の分解剤は、ジフェニ アルシン酸を分解するための好適な方法を 供するものである。そして、このようなジ ェニルアルシン酸の分解剤を、汚染土壌あ いは汚染地下水の浄化剤として使用して、 機ヒ素化合物による汚染土壌あるいは汚染 下水を浄化する方法を実施すれば、汚染さ た土壌の掘削や水の汲み上げ、有機ヒ素の 出等を必要とせず、多大な労力とコストが 要とせず、より簡便で、原位置で浄化が可 となる。すなわち、本発明は、新しい環境 化技術の一つである、バイオレメディエー ョンを、ジフェニルアルシン酸除去におい 、初めて可能とするものである。
以下、本発明を詳述する。
本願の優先権主張の基礎となる特願2006-23835
0及び特願2007-115920の明細書等に記載された内
容は、本明細書の記載の一部として取り込む
。
本発明のジフェニルアルシン酸分解能を有
る微生物は下記の様にして土壌から分離さ
た細菌である。
ジフェニルアルシン酸分解菌の集積培養 土壌・木炭還流法にて行った。まず表1に示 す組成を有するオートクレーブ滅菌(120℃、20 分)済の還流液を用意した。ただし、硫酸マ ネシウム・七水和物は、それのみで適当な 度の溶液を調製し、別にオートクレーブ滅 した後に加えた。
微生物源としては茨城県神栖市にて採取 たヒ素汚染水田土壌I及びIIを供試した。こ らの土壌を湿潤土のまま30g-乾土相当量秤取 して少量の木炭(チャコールA、東洋電化工業 式会社製)と混合し、還流装置内の所定の位 置にセットした。この装置を25℃に保った恒 室に置き、還流液200mlを還流させながら分 微生物の集積を行った。2週間毎に還流液を べて抜き取り、同組成の新鮮な還流液と交 した。今回運転した還流装置における供試 壌と還流液中ジフェニルアルシン酸濃度の み合わせを表2にまとめた。
集積培養中、還流液を微量採取してジフ ニルアルシン酸の濃度を表3に示す測定条件 に設定した高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて 測定した。その結果を図1に示す。
図1において、1~5はそれぞれ還流装置の番 号(表2参照)を示し、縦軸は初期ジフェニルア ルシン酸濃度に対する相対値であり、矢印は 還流液の交換時期を示している。
還流を開始してから19日後に、今回運転 た還流装置の中で、還流液中のジフェニル ルシン酸の濃度低下が著しく、ジフェニル ルシン酸分解菌が十分に集積したと思われ 還流装置3及び4から、土壌を湿潤状態でそれ ぞれ2g採取し、各々滅菌した生理食塩水20mlに 分散させて土壌懸濁液を調製した。これら土 壌懸濁液0.1mlを、L字管に分注した還流液と同 組成の滅菌済液体培地6mlに接種し、25℃にて とう培養を行った。この際のジフェニルア シン酸の濃度は5mg/lとし、各土壌懸濁液に いてL字管4本づつ、合計8本で本実験は実施 た。各L字管の培地中ジフェニルアルシン酸 度を経時的にHPLCにて測定した結果、いずれ も9日後にはジフェニルアルシン酸がほぼ消 した(図2参照)。
そこで、任意に選んだL字管の培養液を滅菌 済生理食塩水で希釈して希釈系列を作製し、 10 4 及び10 5 倍希釈液0.1mlを、別のL字管に分注した還流液 と同組成の滅菌済液体培地6mlに接種し、25℃ て振とう培養を行った。培養は各希釈系列 つき2本ずつ行った。各L字管の培地中ジフ ニルアルシン酸濃度を経時的にHPLCにて測定 たところ、培養開始から17日後にはいずれ L字管においてもジフェニルアルシン酸がほ 消失した(図3参照)。
同様に、10 5 倍希釈液を接種したL字管の培養液を基に希 と植え継ぎを繰り返して、培養液に含まれ 微生物種を安定化させた後、その一部を、 4に示す組成のDPAA20VTE培地に1.5%の寒天を加え て作製したプレートに播種し、30℃にて静置 養した。1週間後、出現したコロニーを釣っ てR2A寒天培地(Difco)に画線し、30℃にてさらに 静置培養して複数の純粋分離株を得た。これ ら純粋分離株について、あらかじめDPAA5VTE培 20mlを分注した100ml容三角フラスコに各1白金 耳を植菌して、25℃・120rpmにて旋回培養を行 た。そして培地中のジフェニルアルシン酸 度を経時的にHPLCにて測定することにより、 ジフェニルアルシン酸分解能を有する菌株の 選抜を行った。
以上の操作により、ジフェニルアルシン に対する分解能を有する菌株の選抜を行っ ところ、L2406株及びL2413株にジフェニルアル シン酸を分解する能力があることを見出した 。それぞれの株についてR2A寒天培地(Difco)に 再度単コロニー分離を行い、各5株についてD PAA5VTE培地6mlを分注したL字管に接種した。こ を25℃にて14日間振とう培養し、ジフェニル アルシン酸の残存量をHPLCにて、代謝物であ フェニルアルソン酸の生成量をLC-MSにて測定 した結果を表7に示す。なお、LC-MSの分析条件 は表8の通りとした。
以上のような手順で見出されたL2406株及 L2413株について、16SリボゾーマルRNA遺伝子(16 SリボソームRNA遺伝子)の塩基配列に基づいた 伝子分類学的な検討を実施した。まずそれ れの菌株をR2A寒天培地(Difco)に植菌し、30℃ 暗所にて前培養した。生じたコロニーを1白 金耳とって滅菌済生理食塩水1mlに分散させ、 ここからDNeasy Tissue Kit(Qiagen)を用いてDNAを抽 出した。得られたDNAを鋳型に、既知のD1fとD1r をプライマーとしてPCRを行い、16Sリボゾーマ ルRNA遺伝子を増幅した。このPCR産物をQIAquick PCR Purification Kit(Qiagen)にて精製後、サイク シーケンス反応に供し、その反応物をDNAシ ケンサー(日立製SQ-5500E)にて解析して塩基配 を決定した。その結果、L2406株については1, 101塩基対(配列番号1:SEQ ID No.1)、L2413株につ ては1,276塩基対(配列番号2:SEQ ID No.2)が決定 れた。
決定された塩基配列に基づき、ジェネテ クスPDB(GENETYX PDB)を用いてDNA塩基配列デー ベース(GenBank)に対するFASTA検索を行った結果 、L2406株はシノリゾビウム モレレンス(Sinorhi zobium morelense)と99.5%の、L2413株はエンシファ アドヘレンス(Ensifer adhaerens)と99.5%の相同 を有していた。
次にL2406株及びL2413株の形態学的及び生理 学的性質を調べた結果を表9に示す。表9中の +」は有り又は陽性を示し、「-」は無し又 陰性を示す。
また、両株の生化学的な性状をAPIシステ (BioMerieux社)のAPI20NEの測定方法に従って調べ た結果を表10に示す。
以上の結果は、「Brenner,D.J.,Krieg,N.R.,Staley, J.T.,Garrity,G.M.共著、バージーの系統学的微生 学のマニュアル(Bergey‘s Manual of Systematic Bacteriology)第2版、The Proteobacteria」に記載され ているシノリゾビウム属細菌及びエンシファ ー属細菌の特徴と矛盾がなかった。
以上の結果から、発明者らはL2406株をシ リゾビウム sp. L2406(Sinorhizobium sp. L2406)と 定し、独立行政法人産業技術総合研究所特 生物寄託センターに受託番号FERM BP-10658とし て寄託し、またL2413株をエンシファー sp. L24 13(Ensifer sp. L2413)と同定して独立行政法人産 技術総合研究所特許生物寄託センターに受 番号FERM BP-10659として寄託した。
L2406株及びL2413株の単離に用いたDPAA5VTE培 には、微量元素として鉄、亜鉛、マンガン ホウ素、コバルト、銅、モリブデン及びカ シウムが含まれる。両菌株のジフェニルア シン酸分解におけるこれら元素の必要性に いて試験したところ、鉄の添加が非常に重 であることが判明した。そこで、添加する 酸第一鉄・七水和物の量を変えることによ て培地中の鉄濃度を0、0.04、0.2、0.4、1、2及 び4mg-Fe/lとしたDPAA5VTE培地を用意し、培地中 鉄濃度がジフェニルアルシン酸分解菌の分 能にどのような影響を与えるかについて検 した。
それぞれの培地をL字管に6mlずつ分注し、 これにL2406株あるいはL2413株を植菌した。こ を25℃にて7日間振とう培養後、培養液中の フェニルアルシン酸濃度をHPLCにて測定して の分解率を求めた。その結果、L2406株及びL2 413株によるジフェニルアルシン酸分解は培地 中の鉄濃度が高いほど促進された(表11)。
以下、本発明を実施例によって説明する 、本発明の範囲はこれらに限定されるもの はない。
[ジフェニルアルシン酸分解菌の集積培養]
ジフェニルアルシン酸分解菌の集積培養は
壌・木炭還流法にて行った。まず表1に示す
組成を有するオートクレーブ滅菌(120℃、20分
)済の還流液を用意した。ただし、硫酸マグ
シウム・七水和物は、それのみで適当な濃
の溶液を調製し、別にオートクレーブ滅菌
た後に加えた。
微生物源としては茨城県神栖市にて採取 たヒ素汚染水田土壌I及びIIを供試した。こ らの土壌を湿潤土のまま30g-乾土相当量秤取 して少量の木炭(チャコールA、東洋電化工業 式会社製)と混合し、還流装置内の所定の位 置にセットした。この装置を25℃に保った恒 室に置き、還流液200mlを還流させながら分 微生物の集積を行った。2週間毎に還流液を べて抜き取り、同組成の新鮮な還流液と交 した。今回運転した還流装置における供試 壌と還流液中ジフェニルアルシン酸濃度の み合わせを表2にまとめた。
[ジフェニルアルシン酸の濃度の測定]
集積培養中、還流液を微量採取してジフェ
ルアルシン酸の濃度を表3に示す測定条件に
設定した高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて測
定した。その結果を図1に示す。
還流を開始してから19日後に、今回運転 た還流装置の中で、還流液中のジフェニル ルシン酸の濃度低下が著しく、ジフェニル ルシン酸分解菌が十分に集積したと思われ 還流装置3及び4から、土壌を湿潤状態でそれ ぞれ2g採取し、各々滅菌した生理食塩水20mlに 分散させて土壌懸濁液を調製した。これら土 壌懸濁液0.1mlを、L字管に分注した還流液と同 組成の滅菌済液体培地6mlに接種し、25℃にて とう培養を行った。この際のジフェニルア シン酸の濃度は5mg/lとし、各土壌懸濁液に いてL字管4本づつ、合計8本で本実験は実施 た。各L字管の培地中ジフェニルアルシン酸 度を経時的にHPLCにて測定した結果、いずれ も9日後にはジフェニルアルシン酸がほぼ消 した(図2参照)。
[希釈系列の作製と培養液の選択]
任意に選んだL字管の培養液を滅菌済生理食
塩水で希釈して希釈系列を作製し、10 4
及び10 5
倍希釈液0.1mlを、別のL字管に分注した還流液
と同組成の滅菌済液体培地6mlに接種し、25℃
て振とう培養を行った。培養は各希釈系列
つき2本ずつ行った。各L字管の培地中ジフ
ニルアルシン酸濃度を経時的にHPLCにて測定
たところ、培養開始から17日後にはいずれ
L字管においてもジフェニルアルシン酸がほ
消失した(図3参照)。
同様に、10 5 倍希釈液を接種したL字管の培養液を基に希 と植え継ぎを繰り返して、培養液に含まれ 微生物種を安定化させた後、その一部を、 4に示す組成のDPAA20VTE培地に1.5%の寒天を加え て作製したプレートに播種し、30℃にて静置 養した。1週間後、出現したコロニーを釣っ てR2A寒天培地(Difco)に画線し、30℃にてさらに 静置培養して複数の純粋分離株を得た。これ ら純粋分離株について、あらかじめDPAA5VTE培 20mlを分注した100ml容三角フラスコに各1白金 耳を植菌して、25℃・120rpmにて旋回培養を行 た。そして培地中のジフェニルアルシン酸 度を経時的にHPLCにて測定することにより、 ジフェニルアルシン酸分解能を有する菌株の 選抜を行った。
[菌株の選抜と特定]
以上の操作により、ジフェニルアルシン酸
対する分解能を有する菌株の選抜を行った
ころ、L2406株及びL2413株にジフェニルアルシ
ン酸を分解する能力があることを見出した。
それぞれの株についてR2A寒天培地(Difco)にて
度単コロニー分離を行い、各5株についてDPAA
5VTE培地6mlを分注したL字管に接種した。これ
25℃にて14日間振とう培養し、ジフェニルア
ルシン酸の残存量をHPLCにて、代謝物である
ェニルアルソン酸の生成量をLC-MSにて測定し
た結果を表7に示す。なお、LC-MSの分析条件は
表8の通りとした。
[菌株と特定と寄託]
以上のような手順で見出されたL2406株及びL2
413株について、16SリボゾーマルRNA遺伝子の塩
基配列に基づいた遺伝子分類学的な検討を実
施した。まずそれぞれの菌株をR2A寒天培地(Di
fco)に植菌し、30℃・暗所にて前培養した。生
じたコロニーを1白金耳とって滅菌済生理食
水1mlに分散させ、ここからDNeasy Tissue Kit(Qia
gen)を用いてDNAを抽出した。得られたDNAを鋳
に、既知のD1fとD1rをプライマーとしてPCRを
い、16SリボゾーマルRNA遺伝子を増幅した。
のPCR産物をQIAquick PCR Purification Kit(Qiagen)に
精製後、サイクルシーケンス反応に供し、
の反応物をDNAシーケンサー(日立製SQ-5500E)に
て解析して塩基配列を決定した。その結果、
L2406株については1,101塩基対(配列番号1:SEQ ID
No.1)、L2413株については1,276塩基対(配列番号2
:SEQ ID No.2)が決定された。
決定された塩基配列に基づき、ジェネテ クスPDB(GENETYX PDB)を用いてDNA塩基配列デー ベース(GenBank)に対するFASTA検索を行った結果 、L2406株はシノリゾビウム モレレンス(Sinorhi zobium morelense)と99.5%の、L2413株はエンシファ アドヘレンス(Ensifer adhaerens)と99.5%の相同 を有していた。
次にL2406株及びL2413株の形態学的及び生理 学的性質を調べた結果を表9に示す。表9中の +」は有り又は陽性を示し、「-」は無し又 陰性を示す。
また、両株の生化学的な性状をAPIシステ (BioMerieux社)のAPI20NEの測定方法に従って調べ た結果を表10に示す。
以上の結果は、「Brenner,D.J.,Krieg,N.R.,Staley, J.T.,Garrity,G.M.共著、バージーの系統学的微生 学のマニュアル(Bergey‘s Manual of Systematic Bacteriology)第2版、The Proteobacteria」に記載され ているシノリゾビウム属細菌及びエンシファ ー属細菌の特徴と矛盾がなかった。
以上の結果から、発明者らはL2406株をシ リゾビウム sp. L2406(Sinorhizobium sp. L2406)と 定し、独立行政法人産業技術総合研究所特 生物寄託センターに受託番号FERM BP-10658とし て寄託し、またL2413株をエンシファー sp. L24 13(Ensifer sp. L2413)と同定して独立行政法人産 技術総合研究所特許生物寄託センターに受 番号FERM BP-10659として寄託した。
[ジフェニルアルシン酸の分解条件の検討]
L2406株及びL2413株の単離に用いたDPAA5VTE培地
は、微量元素として鉄、亜鉛、マンガン、
ウ素、コバルト、銅、モリブデン及びカル
ウムが含まれる。両菌株のジフェニルアル
ン酸分解におけるこれら元素の必要性につ
て試験したところ、鉄の添加が非常に重要
あることが判明した。そこで、添加する硫
第一鉄・七水和物の量を変えることによっ
培地中の鉄濃度を0、0.04、0.2、0.4、1、2及び
4mg-Fe/lとしたDPAA5VTE培地を用意し、培地中の
濃度がジフェニルアルシン酸分解菌の分解
にどのような影響を与えるかについて検討
た。
それぞれの培地をL字管に6mlずつ分注し、 これにL2406株あるいはL2413株を植菌した。こ を25℃にて7日間振とう培養後、培養液中の フェニルアルシン酸濃度をHPLCにて測定して の分解率を求めた。その結果、L2406株及びL2 413株によるジフェニルアルシン酸分解は培地 中の鉄濃度が高いほど促進された(表11)。
[フェニルアルソン酸の分解の検討]
表7にあるように、L2406株及びL2413株は、ジ
ェニルアルシン酸を分解してフェニルアル
ン酸[(C 6
H 5
)AsO(OH) 2
;構造式を式IIに示す]を生成させる。しかし
いずれの菌株においても、検出されたフェ
ルアルソン酸の量は、分解されたジフェニ
アルシン酸の、ヒ素換算で1/3程度に過ぎず
このことから、これらの菌株がフェニルア
ソン酸をさらに分解している可能性が考え
れた。そこで次に、フェニルアルソン酸を
一の炭素源として含む無機塩培地にジフェ
ルアルシン酸分解菌を植菌し、培地中のフ
ニルアルソン酸の量を経時的に測定した。
まず、L2406株をR2A寒天培地(Difco)(組成を表 12に示す)にて前培養し、生じたコロニーを掻 きとって滅菌済の生理食塩水に懸濁した。次 に、表4のDPAA5VTE培地から、ジフェニルアルシ ン酸を除いて替わりにフェニルアルソン酸1mg を添加したものをPAA1VTE培地と命名し、PAA1VTE 地20 mlを100ml容三角フラスコに入れた。各 角フラスコに、先に調製したL2406株の菌体懸 濁液を0.1mlずつ植菌して、30℃・暗所にて旋 培養(120rpm)を行った。植菌を施さない三角フ ラスコも用意し、対照とした。本試験はn=2で 実施した。培地中のフェニルアルソン酸の定 量にはLC-MSを用い、表8の分析条件を適用した 。
その結果を図4に示す。図4の白丸(○)は、 L2406株を植菌したときの培養液中フェニルア ソン酸濃度の経時変化の平均値を示す。図4 の縦軸は、培養液中のフェニルアルソン酸濃 度の対照のフェニルアルソン酸濃度に対する 相対値を示し、横軸は培養日数を示す。図4 明らかな様に、L2406株はフェニルアルソン酸 を唯一の炭素源として含む無機塩培地中で、 フェニルアルソン酸濃度を減少させる能力を 有した。
また、14日後の培養液について、LC-ICP/MS 用いてヒ素の形態分析を行った。LC-ICP/MSで 分析時の、分離条件は表13の通りである。
LC-ICP/MSで得られたクロマトグラムを図5に 示す。縦軸はピーク強度、横軸は溶出時間を 示す。上段は標準試料のクロマトグラムで、 AsIIIは亜ヒ酸、DMAA+MAAはジメチルアルシン酸 モノメチルアルソン酸、AsVはヒ酸、DMPAOはジ メチルフェニルアルシンオキシド、MPAAはメ ルフェニルアルシン酸、PAAはフェニルアル ン酸、MDPAOはメチルジフェニルアルシンオキ シド、DPAAはジフェニルアルシン酸のピーク 出位置を示す(各20mg/l)。下段は28日間培養し 得たL2406株の培養液のクロマトグラムで、 ヒ酸(図5下段の(1)のピーク)とヒ酸(図5下段の (2)のピーク)に相当するピークが検出された さらに、未知なる3種類のヒ素化合物も検出 れた(図5下段の(3)のピーク)。なお、分解さ ずに残存したフェニルアルソン酸は、図5下 段の(4)の位置にて検出された。一方、対照( 菌なし)ではフェニルアルソン酸のピークし 出現しなかった。以上のことから、L2406株 フェニルアルソン酸を分解して無機ヒ素を じさせる能力を有すると結論付けられた。
フェニルアルソン酸を分解し、無機ヒ素 発生させる微生物としては、K-1´株及びIV-1 が報告されている(特許文献6)。しかしそれ のフェニルアルソン酸分解率(%)は、2週間の 培養でK-1´株が0.63%、IV-1株が2.20%と極めて遅 。これに対してL2406株の場合、2週間での分 率は10%程度、4週間では40%に達し、バイオレ ディエーションへの利用可能性はより高い のと判断された。
[ロキサルソンの分解の検討]
ロキサルソン[{C 6
H 3
(NO 2
)(OH)}AsO(OH) 2
;構造式を式IIIに示す]は、成長促進剤として
禽に与えられているフェニル化有機ヒ素化
物である。米国では83億羽のブロイラーの
7割に本剤が与えられており(2000年の場合)、
こから出た厩肥には900tのロキサルソンが含
まれ、ヒ素に換算すると250tに相当する。近
、この厩肥を農地などに施すことによる、
機ヒ素汚染土壌の発生が懸念されており、
の対策が求められている。そこで本研究で
、今回単離した分解菌のロキサルソンに対
る効果を明らかにするため、ロキサルソン
唯一の炭素源として含む無機塩培地にL2406株
を植菌し、培地中のロキサルソンの分解が可
能であるか、検討した。
まず、L2406株をR2A寒天培地(Difco)にて前培 し、生じたコロニーを掻きとって滅菌済の 理食塩水に懸濁した。次に、表4のDPAA5VTE培 から、ジフェニルアルシン酸を除いて替わ にロキサルソン6mgを添加したものをROX6VTE培 地と命名し、ROX6VTE培地20 mlを100ml容三角フラ スコに入れた。各三角フラスコに、先に調製 したL2406株の菌体懸濁液を0.1mlずつ植菌して 30℃・暗所にて旋回培養(120rpm)を行った。植 を施さない三角フラスコも用意し、対照と た。本試験はn=2で実施した。培地中のロキ ルソンの定量にはHPLCを用い、表13の分析条 を適用した。
その結果を図6に示す。図6の黒菱(◆)は、 L2406株を植菌したときの培養液中ロキサルソ 濃度の経時変化の平均値を示す。図6の縦軸 は、培養液中ロキサルソン濃度を対照のロキ サルソン濃度に対する相対値を示し、また横 軸は培養日数を示す。図6で明らかな様に、L2 406株はロキサルソンを唯一の炭素源として含 む無機塩培地中で、ロキサルソン濃度を減少 させる能力を有した。
本発明のジフェニルアルシン酸を分解す 能力を有する微生物によれば、ある種のヒ 汚染等において最も高濃度で検出される有 ヒ素化合物であるジフェニルアルシン酸の 解が可能となる。この微生物を含んでなる フェニルアルシン酸の分解剤は、ジフェニ アルシン酸を分解するための好適な方法を 供するものである。そして、このようなジ ェニルアルシン酸の分解剤を、汚染土壌あ いは汚染地下水の浄化剤として使用して、 機ヒ素化合物による汚染土壌あるいは汚染 下水を浄化する方法を実施すれば、汚染さ た土壌の掘削や水の汲み上げ、有機ヒ素の 出等の多大な労力とコストを必要とせず、 り簡便で、原位置で浄化が可能となる。す わち、本発明は、新しい環境浄化技術の一 である、バイオレメディエーションを、ジ ェニルアルシン酸除去において、初めて可 とするものである。
従って、本発明は優れた環境浄化技術を新
に提供する発明であり、産業上有用に利用
きる発明である。
配列番号1:本発明の分解菌L2406株の16Sリボゾ
ーマルRNA遺伝子の1101塩基。
配列番号2:本発明の分解菌L2413株の16Sリボゾ
ーマルRNA遺伝子の1276塩基。
[規則26に基づく差替え 18.09.2007]
