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Patent Searching and Data


Title:
NOVEL OXIDASE GENE AND METHOD OF PRODUCING 3-INDOLE-PYRUVIC ACID USING THE GENE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/028338
Kind Code:
A1
Abstract:
It is intended to provide a means of achieving the economical and convenient production of 3-indole-pyruvic acid. By using a polynucleotide that has a definite base sequence encoding a protein having an oxidase activity, a transformant is constructed. Then, this transformant is cultured in a medium and thus oxidase is produced by accumulating the oxidase in the medium and/or the transformant. Further, tryptophan is converted into 3-indole-pyruvic acid in the presence of the above-described transformant and/or the culture thereof to thereby produce 3-indole-pyruvic acid.

Inventors:
TAKAKURA YASUAKI (JP)
HARA SEIICHI (JP)
TABA TOSHIKI (JP)
SUZUKI SHUNICHI (JP)
SUGIYAMA MASAKAZU (JP)
WATANABE KUNIHIKO (JP)
YOKOZEKI KENZO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/064635
Publication Date:
March 05, 2009
Filing Date:
August 15, 2008
Export Citation:
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Assignee:
AJINOMOTO KK (JP)
TAKAKURA YASUAKI (JP)
HARA SEIICHI (JP)
TABA TOSHIKI (JP)
SUZUKI SHUNICHI (JP)
SUGIYAMA MASAKAZU (JP)
WATANABE KUNIHIKO (JP)
YOKOZEKI KENZO (JP)
International Classes:
C12N15/53; C12N1/15; C12N1/19; C12N1/21; C12N5/10; C12N9/06; C12P17/10
Domestic Patent References:
WO2003056026A12003-07-10
Foreign References:
JPH04218386A1992-08-07
Other References:
MASSAD G. ET AL.: "Proteus mirabilis amino acid deaminase:cloning,nucleotide sequence, and characterization of aad", J.BACTERIOL., vol. 177, no. 20, 1995, pages 5878 - 5883
TAKAHASHI E. ET AL.: "Cloning of L-Amino Acid Deaminase Gene from Proteus vulgaris", BIOSCI.BIOTECHNOL.BIOCHEM., vol. 63, no. 12, 1999, pages 2244 - 2247
DUERRE J.A.,CHAKRABARTY S.: "L-amino acid oxidases of proteus rettgeri", J.BACTERIOL., vol. 121, no. 2, 1975, pages 656 - 663
Attorney, Agent or Firm:
SAKAI, Hiroaki (Kasumigaseki Building2-5, Kasumigaseki 3-chome,Chiyoda-k, Tokyo 20, JP)
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Claims:
 下記(a)~(e)からなる群から選ばれるポリヌクレオチド。
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において、1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を含むアミノ酸配列を有し、かつ、オキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列と90%以上の相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつ、オキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
(d)配列番号1に記載のヌクレオチド配列のうちヌクレオチド番号61~1476のヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチド
(e)配列番号1に記載のヌクレオチド配列のうちヌクレオチド番号61~1476のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列、または該配列から調製されうるプローブとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつオキシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチド
 前記ストリンジェントな条件が、1×SSCおよび0.1%SDSに相当する塩濃度で60℃で洗浄が行われる条件である、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
 請求項1または2に記載のポリヌクレオチドを有する組換えポリヌクレオチド。
 請求項3に記載の組換えポリヌクレオチドが導入された形質転換体。
 請求項4に記載の形質転換体を培地中で培養し、培地中および/または形質転換体中に、オキシダーゼを蓄積させることを特徴とする、オキシダーゼの製造方法。
 請求項4に記載の形質転換体および/またはその培養物の存在下で、トリプトファンを3-インドールピルビン酸に変換する工程を有する、3-インドールピルビン酸の製造方法。
 トリプトファンを3-インドールピルビン酸に変換する反応系に、スーパーオキシドジスムターゼを添加する、請求項6に記載の3-インドールピルビン酸の製造方法。
 トリプトファンを3-インドールピルビン酸に変換する反応系に、スーパーオキシドジスムターゼを発現する形質転換体および/またはその培養物を添加する、請求項6に記載の3-インドールピルビン酸の製造方法。
 前記培養物が、前記スーパーオキシドジスムターゼを発現する形質転換体の細胞膜を破膜処理する、請求項8に記載の3-インドールピルビン酸の製造方法。
Description:
新規オキシダーゼ遺伝子、およ 該遺伝子を利用する3-インドールピルビン の製造方法

 本発明は新規オキシダーゼ遺伝子、およ 該遺伝子を利用する3-インドールピルビン の新規製造方法に関する。

 3-インドールピルビン酸の化学的製造方 としては、Giovanna De Luca等により、トリプ ファンを出発原料とし、プロトン受容体脱 用塩基の存在下、ピリジンアルデヒドと反 させることにより、3-インドールピルビン酸 が収率50-62%で得られている(特表昭62-501912号 報(特許文献1);国際公開87/00169号パンフレッ (特許文献2)参照)。この方法においては、必 となる塩基とピリジンアルデヒドが高価で り、収率が低く、その結果、製造コストが 常に高いと考えられる。また、Politi Vincenzo 等により、インドールとethyl-3-bromopyruvate este r oximeとを原料に用いた縮合反応の後、酸加 分解に付すことによって3-インドールピル ン酸が64%で得られている(欧州特許出願公開 421946号明細書(特許文献3)参照)。この方法に おいては、シリカゲルを用いた精製工程が必 要であり、収率が低く、原料も高価であり、 工業的製造では非常にコストが高いという問 題点があった。

 他方、酵素的製造方法としては、アミノ ランスフェラーゼを用いる方法が知られて る(下記反応式1参照。)。

 L-トリプトファン(L-Trp)にCandida maltosa由来 L-トリプトファン アミノトランスフェラー を作用させ、40mM L-Trpと80mM 2-ケトグルタル から3-インドールピルビン酸を生成させ、 オン交換樹脂等で精製し、収率72%で得る方 (Bobe Ruediger等、東ドイツ特許DD 297190(特許文 献4)参照)やアスパラギン酸アミノトランスフ ェラーゼをL-Trpと2-ケトグルタル酸に作用さ て3-インドールピルビン酸を生成せしめ、該 反応液を石油エーテル抽出後、カラムクロマ トグラフィーによる分取によって3-インドー ピルビン酸を精製し、これを採取する方法( マリオ・マテラツツイ等、特開昭59-95894号公 (特許文献5)参照)について報告がある。また 、国際公開第2003/091396号パンフレット(特許文 献6)、米国特許出願公開2005/0282260号明細書(特 許文献7)には、E.coli由来のaspC遺伝子、tyrB遺 子等によりコードされるアミノトランスフ ラーゼが記載されている。これらのアミノ ランスフェラーゼを用いる方法は、収率が く、L-Trpの他にアミノ基受容体として2-ケト ルタル酸等のケト酸を原料として必要とす 上に、生成する3-インドールピルビン酸と モルのアミノ基受容体に対応するアミノ酸 副生する。更に、収率を向上せしめるため L-Trpに対して過剰量のケト酸を反応系に投入 するために、反応後に未反応のケト酸が残存 する。これらの理由により、反応液から目的 とする3-インドールピルビン酸を採取するた には、イオン交換樹脂等を用いた精製工程 必要であり、操作が煩雑でコスト高となっ いる。

 また、L-Trpから3-インドールピルビン酸へ の製法としては、L-アミノ酸オキシダーゼを いる方法が知られている。但し、L-アミノ オキシダーゼによるトリプトファンの酸化 応(下記反応式2参照)の際に副生する過酸化 素によって3-インドールピルビン酸がインド ール酢酸へと分解される(下記反応式3参照)た めに、カタラーゼを反応系に添加して過酸化 水素を分解する(下記反応式4参照)方法が提案 されている(米国特許第5,002,963号明細書;1991,De  Luca,et al.(特許文献8)参照)。

 上記の方法では、蛇毒由来L-アミノ酸オ シダーゼと牛肝臓由来カタラーゼを担体に 定化した固定化酵素カラムを使用し、L-Trpを 含む溶液を通過させて反応せしめ、生成した 3-インドールピルビン酸をイオン交換カラム 吸着させ、メタノールで溶出後、乾固して 取する。しかしながら、本法では初発0.5gの L-Trpから0.2gの3-インドールピルビン酸しか取 できず収率が40%と低い。さらに、この方法 、酵素の固定化やイオン交換樹脂精製等の 程が煩雑であり、更に未反応のL-Trpの回収 たは再利用工程も必要であるためコスト高 あるという問題点を有していた。

 さらに、微生物由来のL-アミノ酸オキシ ーゼについては、John A.Duerre等により、Proteu s rettgeri由来L-アミノ酸オキシダーゼ(デアミ ーゼ)を粗精製し、L-Trpの酸化活性が、酸素 費量を検出する活性測定法によって検出さ ている(Journal of Bacteriology 1975,vol121,No.2,p656 -663(非特許文献1)参照。)。また、古山等によ 、Pseudomonas sp.P-501由来L-フェニルアラニン キシダーゼがL-Trpにも作用することが、酸素 消費量を検出する活性測定法によって確認さ れている(野田産研、特開昭57-146573号公報(特 文献9)参照。)。

 しかし、これらの報告では何れも酵素反 中のL-トリプトファン消費量、酸素消費量 至生成過酸化水素量を測定することによっ オキシダーゼ活性を検出しており、インド ルピルビン酸を直接定量していない。これ アミノ酸オキシダーゼによる反応で生成す 過酸化水素によって3-インドールピルビン酸 がインドール酢酸へと分解されるためである と考えられる。他方、微生物菌体乃至菌体処 理物を用いて3-インドールピルビン酸を生成 しめた例は無く、微生物によってトリプト ァンがどのように代謝され、どのような分 産物が生成されるかは未知であった。

 また、国際公開第03/056026号パンフレット( 特許文献10)では、オキシダーゼ活性を有する Achromobacter属、Proteus属、Morganella属、Pseudomonas 及びNeurospora属に属する微生物が開示されて いる。しかし、3-インドールピルビン酸を工 的に大量生産するにあたっては、これらの 体反応のみでは限界があった。

 さらに、前述の公知技術の中で、アミノ ランスフェラーゼを用いる方法または蛇毒 来L-アミノ酸オキシダーゼを用いる方法に いては、反応収率が低く、副生ケト酸また 未反応L-トリプトファンが反応液中に混在し てしまう。そのため、3-インドールピルビン の採取にクロマト分離工程を必要としてお 、操作が煩雑でコスト高であるという問題 有していた。

 以上のような情況下に、安価かつ簡便に3 -インドールピルビン酸を製造する方法の開 が求められている。

特表昭62-501912号公報

国際公開第87/00169号パンフレット

欧州特許出願公開第421946号公報

東ドイツ特許DD 297190号公報

特開昭59-95894号公報

国際公開第2003/091396号パンフレット

米国特許出願公開2005/0282260号明細書

米国特許第5,002,963号明細書

特開昭57-146573号公報

国際公開第03/056026号パンフレット Journal of Bacteriology 1975,vol121,No.2,p656-663

 3-インドールピルビン酸は種々の医薬品 び飲食品、特に甘味料等の合成中間体とし 極めて有用である。本発明の目的は、安価 つ簡便な3-インドールピルビン酸の製造を実 現するための手段を提供することにある。

 本発明者等は上記の事情に鑑み検討を重 た結果、オキシダーゼ活性を有する微生物 ら、新規オキシダーゼ遺伝子をクローニン して形質転換体を構築し、かかる形質転換 の存在下でトリプトファンを反応させると 3-インドールピルビン酸が生成し、これを 取できること、好ましくは、形質転換体を 発現株として菌株を構築することにより、 に反応性が高まることを見出した。更には 形質転換体を高密度培養に供することによ 得られる培養物または培養処理物の存在下 反応せしめることにより、更なる高収率が られることを見出し、本発明を完成した。

 即ち、本発明は、以下の各発明を提供する のである。
〔1〕 下記(a)~(e)からなる群から選ばれるポ ヌクレオチド。
(a)配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する ンパク質をコードするポリヌクレオチド
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、お び/または挿入を含むアミノ酸配列を有し、 かつ、オキシダーゼ活性を有するタンパク質 をコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列と90%以上 相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつ オキシダーゼ活性を有するタンパク質をコ ドするポリヌクレオチド
(d)配列番号1に記載のヌクレオチド配列のう ヌクレオチド番号61~1476のヌクレオチド配列 有するポリヌクレオチド
(e)配列番号1に記載のヌクレオチド配列のう ヌクレオチド番号61~1476のヌクレオチド配列 相補的なヌクレオチド配列、または該配列 ら調製されうるプローブとストリンジェン な条件下でハイブリダイズし、かつオキシ ーゼ活性を有するタンパク質をコードする リヌクレオチド
〔2〕 前記ストリンジェントな条件が、1×SSC および0.1%SDSに相当する塩濃度で60℃で洗浄が 行われる条件である、上記〔1〕に記載のポ ヌクレオチド。
〔3〕 上記〔1〕または〔2〕に記載のポリヌ レオチドを有する組換えポリヌクレオチド
〔4〕 上記〔3〕に記載の組換えポリヌクレ チドが導入された形質転換体。
〔5〕 上記〔4〕に記載の形質転換体を培地 で培養し、培地中および/または形質転換体 に、オキシダーゼを蓄積させることを特徴 する、オキシダーゼの製造方法。
〔6〕 上記〔4〕に記載の形質転換体および/ たはその培養物の存在下で、トリプトファ を3-インドールピルビン酸に変換する工程 有する、3-インドールピルビン酸の製造方法 。
〔7〕 トリプトファンを3-インドールピルビ 酸に変換する反応系に、スーパーオキシド スムターゼを添加する、上記〔6〕に記載の 3-インドールピルビン酸の製造方法。
〔8〕 トリプトファンを3-インドールピルビ 酸に変換する反応系に、スーパーオキシド スムターゼを発現する形質転換体および/ま たはその培養物を添加する、上記〔6〕に記 の3-インドールピルビン酸の製造方法。
〔9〕 スーパーオキシドジスムターゼを発現 する形質転換体の細胞膜を破膜処理する、上 記〔8〕に記載の3-インドールピルビン酸の製 造方法。

 なお、本明細書においては、特に断らな 限り、配列番号は配列表に記載された配列 番号を示す。

 本発明によれば、オキシダーゼ活性を有 るタンパク質をコードするポリヌクレオチ が提供される。係るポリヌクレオチドを利 すれば、トリプトファンを利用して、甘味 等として有用なモナティンの原料である3- ンドールピルビン酸を簡便かつ高収率で製 することができ、工業上、特に食品の分野 おいて有用である。

1.本発明のポリヌクレオチド
 本発明は、第1に、オキシダーゼ活性を有す るタンパク質をコードするポリヌクレオチド を提供する。

 本発明においてオキシダーゼとは、アミ 酸等の基質の酸化的脱アミノ基反応を触媒 る酵素を意味し、オキシダーゼ活性を備え とは、係るオキシダーゼの酵素活性を備え ことを意味する。このような反応の代表的 ものとしては、トリプトファンを3-インド ルピルビン酸に変換する反応(例えば、下記 応式5に示される反応が挙げられる。)を示 ことができる。尚、本発明においてトリプ ファン等のアミノ酸は、L-体、D-体、DL-体の れも含むものであるが、通常はL-体である

 本発明においては、オキシダーゼは、上 の反応を触媒するとともに、カタラーゼ活 をも備えていることが好ましい。カタラー 活性とは、過酸化水素水の分解反応を触媒 る活性であり、例えば下記反応式6に示され る反応を触媒する。

 本発明のポリヌクレオチドとしては、こ ようなオキシダーゼ活性を有するタンパク をコードするタンパク質であり、その代表 なものとして、(a)配列番号2に記載のアミノ 酸配列を有するタンパク質をコードするポリ ヌクレオチドを挙げることができる。

 配列番号2に記載のアミノ酸配列を有する タンパク質は、プロビデンシア レットゲリ( Providencia rettgeri)AJ2770株から、本発明者らが 規に単離し、オキシダーゼ活性を有するタ パク質のアミノ酸配列として特定したもの ある。AJ2770株は1985年11月28日に通商産業省工 業技術院微生物工業技術研究所(現独立行政 人 産業技術総合研究所)に国際寄託され、 託番号FERM BP-941が付与されている。AJ2770株 当初プロテウス レットゲリ(Proteus rettgeri) 同定されたが、再同定の結果、プロビデン ア レットゲリエスピー(Providencia rettgeri)に 類された。

 また、上記反応式5に示されるオキシダー ゼ活性を有するタンパク質は、プロテウス  ットゲリ(Proteus rettgeri)IFO13501株からも単離 得る。IFO13501株は、財団法人発酵研究所(日 国大阪府大阪市淀川区十三本町2丁目17-85)に 寄託されたものであるが、平成14年6月30日以 、その業務は独立行政法人製品評価技術基 機構(NITE)・バイオテクノロジー本部(DOB)・ 物遺伝資源部門(NBRC)に移管され、NBRCより上 IFO番号を参照して分譲を受けることができ 。

 本発明のポリヌクレオチドは、上述の配列 号2に記載のアミノ酸配列を有するタンパク 質と実質的に同一のタンパク質をコードする ポリヌクレオチドをも含む。具体的には、下 記ポリヌクレオチド(b)およびポリヌクレオチ ド(c)を挙げることができる。
(b)配列番号2に記載のアミノ酸配列において 1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、お び/または挿入を含むアミノ酸配列を有し、 かつ、オキシダーゼ活性を有するタンパク質 をコードするポリヌクレオチド
(c)配列番号2に記載のアミノ酸配列と90%以上 相同性を有するアミノ酸配列を有し、かつ オキシダーゼ活性を有するタンパク質をコ ドするポリヌクレオチド

 ポリヌクレオチド(b)において、「数個」 は、アミノ酸残基のタンパク質の立体構造 おける位置や種類によっても異なるが、ア ノ酸残基のタンパク質の立体構造や活性を きく損なわない範囲のものであり、具体的 は、好ましくは2~140個、より好ましくは2~95 、より好ましくは2~50個、より好ましくは2~3 0個、さらに好ましくは2~10個である。また、1 若しくは数個のアミノ酸の変異を有する配列 は、変異を有さない配列に対して、70%以上、 好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上 、さらにより好ましくは95%以上、さらにより 好ましくは98%以上の相同性(ホモロジー)を有 るものとすることができる。ここでいう相 性とは、2つまたはそれ以上の配列間におけ る配列の一致の度合いを表す概念である。相 同性の一つの簡便な評価方法として、二つの 配列のうちより長い方のアミノ酸配列におけ る全長アミノ酸残基数を分母として、比較す る二つの配列のうち対応するアミノ酸残基が 同一のものの数を分子として算出し、これに 100を乗じて数値化した度合いを得ることがで きる。相同性は、バイオインフォマティクス の論理に従ってより細密に算出することが可 能であり、複数の配列の類似性を対比するた めの種々のソフトウエアが開発されている。 相同性を算出するためのソフトウエアとして は、例えば、BLASTなどが挙げられる。

 また、ポリヌクレオチド(c)において、配 番号2に記載のアミノ酸配列との相同性は好 ましくは、70%、より好ましくは80%、より好ま しくは90%以上、より好ましくは95%以上、さら に好ましくは98%以上である。

 ポリヌクレオチド(b)またはポリヌクレオ ド(c)は、オキシダーゼ活性を有することが 要である。特に、30℃、pH8の条件下で、変 を含まない状態で、配列番号2に記載のアミ 酸配列を有するタンパク質の半分程度以上 より好ましくは80%以上、さらに好ましくは9 0%以上の酵素活性を保持していることが望ま い。例えば、30℃、pH8の条件下で配列番号2 記載のアミノ酸配列を有するタンパク質の 分程度以上、より好ましくは80%以上、さら 好ましくは90%以上の酵素活性を保持してい ことが望ましい。

 上記ポリヌクレオチド(b)に示されるよう アミノ酸の変異は、例えば部位特異的変異 によって、配列番号2に記載のアミノ酸配列 中の特定の部位のアミノ酸が置換、欠失、お よび/または挿入されるように改変されたア ノ酸配列をあらかじめ設計し、このアミノ 配列に対応するヌクレオチド配列を発現さ ることによって得られる。

 また、ポリヌクレオチド(c)に示されるよ なアミノ酸の変異も、例えば部位特異的変 法によって、配列番号2に記載のアミノ酸配 列中の特定の部位のアミノ酸が前記配列と90% 以上の相同性を有する範囲で改変されたアミ ノ酸配列をあらかじめ設計し、このアミノ酸 配列に対応するヌクレオチド配列を発現させ ることによって得られる。

 また、上記のような塩基の置換、欠失、 よび/または挿入等には、微生物の種あるい は菌株による差等、天然に生じる変異も含ま れる。上記のような変異を有するアミノ酸を コードするポリヌクレオチドを適当な細胞で 発現させ、発現産物の本酵素活性を調べるこ とにより、配列番号2に記載のアミノ酸配列 有するタンパク質と実質的に同一のタンパ 質が得られる。

 上述のポリヌクレオチド(a)~(c)において、そ れぞれのアミノ酸配列を規定するヌクレオチ ド配列は、コドンの縮重により複数あり得る 。ポリヌクレオチド(a)~(c)の具体例の代表的 ものとしては、下記のポリヌクレオチド(d) 挙げられる。
(d)配列番号1に記載のヌクレオチド配列のう ヌクレオチド番号61~1476のヌクレオチド配列 有するポリヌクレオチド

 配列番号1に記載のヌクレオチド配列から なるポリヌクレオチドは、プロビデンシア  ットゲリ AJ2770株より単離されたものであ 。配列番号1のヌクレオチド番号61~1476のヌク レオチド配列からなるポリヌクレオチドは、 コードシーケンス(CDS)部分であり、このCDS部 によりコードされるアミノ酸配列は、配列 号2に示される。

 なお、以下に挙げる種々の遺伝子組換え 法については、Molecular Cloning,2nd edition,Cold Spring Harbor press(1989)などの記載に準じて行 ことができる。

 本発明のポリヌクレオチド(d)は、オキシ ーゼ活性を有する微生物、好ましくは、ト プトファンに作用するアミノ酸オキシダー 活性とカタラーゼ活性を有する微生物から ることができる。例えばプロビデンシア  ットゲリなどの染色体DNA、もしくはDNAライ ラリーから、PCR(polymerase chain reacion、White,T. J.et al;Trends Genet.,5,185(1989)参照)又はハイブリ ダイゼーションによって取得することができ る。PCRに用いるプライマーは、プロビデンシ ア レットゲリから精製されたオキシダーゼ 基づいて決定された内部アミノ酸配列に基 いて設計することができる。また、配列番 1に記載のヌクレオチド配列に基づいてプラ イマーやハイブリダイゼーション用のプロー ブを設計することもでき、プローブを使って 単離することもできる。PCR用のプライマーと して、5'非翻訳領域及び3'非翻訳領域に対応 る配列を有するプライマーを用いると、本 素のコード領域全長を増幅することができ 。具体的には、5'側プライマーとしては配列 番号1において塩基番号61よりも上流の領域の ヌクレオチド配列を有するプライマーが、3' プライマーとしては塩基番号1476よりも下流 の領域のヌクレオチド配列に相補的な配列を 有するプライマーが挙げられる。

 プライマーの合成は、例えば、Applied Bios ystems社製DNA合成機 model 380Bを使用し、ホス アミダイト法を用いて(Tetrahedron Letters(1981),2 2,1859参照)常法に従って合成できる。PCR反応 、例えばGene Amp PCR System 9600(PERKIN ELMER社 )及びTaKaRa LA PCR in vitro Cloning Kit(宝酒造 製)を用い、各メーカーなど供給者により指 された方法に従って行うことができる。

 本発明のポリヌクレオチドには、上記ポリ クレオチド(d)と実質的に同一のポリヌクレ チドも含まれる。このような実質的に同一 ポリヌクレオチドとしては、下記ポリヌク オチド(e)を挙げることができる。
(e)配列番号1に記載のヌクレオチド配列のう ヌクレオチド番号61~1476のヌクレオチド配列 相補的なヌクレオチド配列、または該配列 ら調製されうるプローブとストリンジェン な条件下でハイブリダイズし、かつオキシ ーゼ活性を有するタンパク質をコードする リヌクレオチド

 本発明において「ストリンジェントな条 」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが 成され、非特異的なハイブリッドが形成さ ない条件をいう。この条件を明確に数値化 ることは困難であるが、一例を示せば、相 性が高いポリヌクレオチド同士、例えば50% 上、より好ましくは80%以上、さらに好まし は90%以上、中でも好ましくは95%以上、更に り好ましくは97%以上の相同性を有するポリ クレオチド同士がハイブリダイズし、それ り相同性が低いポリヌクレオチド同士がハ ブリダイズしない条件、あるいは通常のサ ンハイブリダイゼーションの洗いの条件で る60℃、1×SSC、0.1%SDS、好ましくは、60℃、0. 1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダ ズする条件が挙げられる。このような条件 ハイブリダイズする遺伝子の中には途中に トップコドンが発生したものや、活性中心 変異により活性を失ったものも含まれるが それらについては、市販の発現ベクターに なぎ、適当な宿主で発現させて、発現産物 酵素活性を後述の方法で測定することによ て容易に取り除くことができる。

 ポリヌクレオチド(e)におけるプローブは 配列番号1のヌクレオチド配列と相補的な配 列から調整されうる配列からなる。そのよう なプローブは、配列番号1のヌクレオチド配 に基づいて作製したオリゴヌクレオチドを ライマーとし、配列番号1のヌクレオチド配 を含むDNA断片を鋳型とするPCRによって作製 ることができる。プローブとして、300bp程 の長さのDNA断片を用いる場合には、ハイブ ダイゼーションの洗いの条件としては、例 ば50℃、2×SSC、0.1%SDSなどが挙げられる。

 上述のポリヌクレオチド(e)の場合には、 キシダーゼ活性を有することが必要である 例えば、30℃、pH8の条件下で、前述のポリ クレオチド(d)によってコードされるアミノ 配列で規定されるタンパク質の半分程度以 、より好ましくは80%以上、さらに好ましく 90%以上の酵素活性を保持していることが望 しい。具体的には、30℃、pH8の条件下で、配 列番号1に記載のヌクレオチド配列のうちヌ レオチド番号61~1476のヌクレオチド配列によ コードされるタンパク質の半分程度以上、 り好ましくは80%以上、さらに好ましくは90% 上の酵素活性を保持していることが望まし 。

 これらのポリヌクレオチド(e)の入手手段 特に限定されない。例えば、変異を有する 酵素をコードするポリヌクレオチドまたは れを保持する細胞などから、配列番号1に記 載のCDSと相補的なヌクレオチド配列からなる ポリヌクレオチドもしくは同ヌクレオチド配 列から調製されるプローブとストリンジェン トな条件下でハイブリダイズし、かつ、オキ シダーゼ活性を有するタンパク質をコードす るポリヌクレオチドを単離することによって 得ることができる。

 プローブは、例えば配列番号1に記載のヌ クレオチド配列に基づいて常法により作製す ることができる。また、プローブを用いてこ れとハイブリダイズするポリヌクレオチドを つり上げ、目的とするポリヌクレオチドを単 離する方法も、常法に従って行えばよい。例 えば、DNAプローブはプラスミドやファージベ クターにクローニングされたヌクレオチド配 列を増幅し、プローブとして用いたいヌクレ オチド配列を制限酵素により切り出し、抽出 して調製することができる。切り出す箇所は 、目的とするポリヌクレオチドに応じて調節 することができる。

 このような改変されたポリヌクレオチド 、従来知られている突然変異処理によって 得され得る。突然変異処理としては、本酵 をコードするポリヌクレオチド、例えば上 のポリヌクレオチド(d)を、ヒドロキシルア ン等でインビトロ処理する方法、および本 素をコードするポリヌクレオチドを保持す エシェリヒア属細菌を、紫外線照射またはN -メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(NTG) しくは亜硝酸等の通常人工突然変異に用い れている変異剤によって処理する方法が挙 られる。

2.本発明の組換えポリヌクレオチド、形質転 体およびオキシダーゼの製造方法
 本発明は第2に、上述の本発明のポリヌクレ オチドを有する組換えポリヌクレオチド、該 組換えポリヌクレオチドが導入された形質転 換体、および培地中で培養し、培地中および /または形質転換体中に、オキシダーゼを蓄 させることを特徴とするオキシダーゼの製 方法を提供する。

 ポリヌクレオチドにより特定されるタン ク質を発現させるための宿主としては、エ ェリヒア コリ(Escherichia coli)等のエシェリ ア属細菌、及びバチルス ズブチリス(Bacillu s subtilis)をはじめとする種々の原核細胞、サ ッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevi siae)、ピヒア スティピティス(Pichia stipitis) アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)を じめとする種々の真核細胞を用いることが きる。

 ポリヌクレオチドを宿主に導入するのに いる組換えポリヌクレオチドは、発現させ うとする宿主の種類に応じたベクターに、 入しようとするポリヌクレオチドを、該ポ ヌクレオチドがコードするタンパク質が発 可能な形態で挿入することで調製可能であ 。本発明のポリヌクレオチドを発現させる めのプロモータとしては、プロビデンシア レットゲリなどのオキシダーゼ遺伝子固有 プロモータが宿主細胞で機能する場合には 該プロモータを使用することができる。ま 、必要に応じて宿主細胞で働く他のプロモ タを本発明のポリヌクレオチドに連結し、 プロモータ制御下で発現させるようにして よい。

 組換えポリヌクレオチドを宿主細胞に導 するための形質転換法としては、D.M.Morrison 方法(Methods in Enzymology 68,326(1979))あるいは 容菌細胞を塩化カルシウムで処理してポリ クレオチドの透過性を増す方法(Mandel,M.and H iga,A.,J.Mol.Biol.,53,159(1970))等が挙げられる。

 タンパク質を組換えポリヌクレオチド技 を用いて大量生産する場合、該タンパク質 生産する形質転換細胞内で該タンパク質が 合し、タンパク質の封入体(inclusion body)を 成させる形態も好ましい一実施形態として げられる。この発現生産方法の利点は、目 のタンパク質を菌体内に存在するプロテア ゼによる消化から保護する点および目的の ンパク質を菌体破砕に続く遠心分離操作に って簡単に精製できる点等である。

 このようにして得られるタンパク質封入 は、タンパク質変性剤により可溶化され、 にその変性剤を除去することによる活性再 操作を経た後、正しく折り畳まれた生理的 活性なタンパク質に変換される。例えば、 トインターロイキン-2の活性再生(特開昭61-2 57931号公報)等多くの例がある。

 タンパク質封入体から活性型タンパク質 得るためには、可溶化・活性再生等の一連 操作が必要であり、直接活性型タンパク質 生産する場合よりも操作が複雑になる。し し、菌体の生育に影響を及ぼすようなタン ク質を菌体内で大量に生産させる場合は、 活性なタンパク質封入体として菌体内に蓄 させることにより、その影響を抑えること できる。

 目的タンパク質を封入体として大量生産 せる方法として、強力なプロモータの制御 、目的のタンパク質を単独で発現させる方 の他、大量発現することが知られているタ パク質との融合タンパク質として発現させ 方法がある。

 以下、形質転換された大腸菌を作製し、 れを用いてオキシダーゼを製造する方法を として、より具体的に説明する。なお、大 菌などの微生物にオキシダーゼを作製させ 場合、タンパク質のコード配列として、リ ダー配列を含む前駆タンパク質をコードす ポリヌクレオチドを組み込こんでも、リー ー配列を含まない成熟タンパク質領域のポ ヌクレオチドのみを組み込んでもよく、作 しようとする酵素の製造条件、形態、使用 件などにより適宜選択することができる。

 オキシダーゼをコードするポリヌクレオ ドを発現させるプロモータとしては、通常 腸菌における異種タンパク質生産に用いら るプロモータを使用することができ、例え 、T7プロモータ、lacプロモータ、trpプロモ タ、trcプロモータ、tacプロモータ、ラムダ ァージのPRプロモータ、PLプロモータ等の強 なプロモータが挙げられる。また、ベクタ としては、pUC19、pUC18、pBR322、pHSG299、pHSG298 pHSG399、pHSG398、RSF1010、pMW119、pMW118、pMW219、p MW218等を用いることができる。他にもファー ポリヌクレオチドのベクターも利用できる さらに、プロモータを含み、挿入ポリヌク オチド配列を発現させることができる発現 クターを使用することもできる。

 オキシダーゼを融合タンパク質封入体と て生産させるためには、オキシダーゼ遺伝 の上流あるいは下流に、他のタンパク質、 ましくは親水性であるペプチドをコードす 遺伝子を連結して、融合タンパク質遺伝子 する。このような他のタンパク質をコード る遺伝子としては、融合タンパク質の蓄積 を増加させ、変性・再生工程後に融合タン ク質の溶解性を高めるものであればよく、 えば、T7gene 10、β-ガラクトシダーゼ遺伝子 、デヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、γインター ェロン遺伝子、インターロイキン-2遺伝子 プロキモシン遺伝子等が候補として挙げら る。

 これらの遺伝子とオキシダーゼをコード る遺伝子とを連結する際には、コドンの読 取りフレームが一致するようにする。適当 制限酵素部位で連結するか、あるいは適当 配列の合成ポリヌクレオチドを利用すれば い。

 また、生産量を増大させるためには、融 タンパク質遺伝子の下流に転写終結配列で るターミネータを連結することが好ましい 合がある。このターミネータとしては、rrnB ターミネータ、T7ターミネータ、fdファージ ーミネータ、T4ターミネータ、テトラサイク リン耐性遺伝子のターミネータ、大腸菌trpA 伝子のターミネータ等が挙げられる。

 オキシダーゼまたはオキシダーゼと他の ンパク質との融合タンパク質をコードする 伝子を大腸菌に導入するためのベクターと ては、いわゆるマルチコピー型のものが好 しく、ColE1由来の複製開始点を有するプラ ミド、例えばpUC系のプラスミドやpBR322系の ラスミドあるいはその誘導体が挙げられる ここで、「誘導体」とは、塩基の置換、欠 、および/または挿入などによってプラスミ に改変を施したものを意味する。なお、こ でいう改変とは、変異剤やUV照射などによ 変異処理、あるいは自然変異などによる改 をも含む。

 また、形質転換体を選別するために、該 クターがアンピシリン耐性遺伝子等のマー ーを有することが好ましい。このようなプ スミドとして、強力なプロモータを持つ発 ベクターが市販されている(pUC系(宝酒造(株) 製)、pPROK系(クローンテック製)、pKK233-2(クロ ンテック製)ほか)。

 プロモータ、オキシダーゼまたはオキシ ーゼと他のタンパク質との融合タンパク質 コードする遺伝子、場合によってはターミ ータの順に連結したポリヌクレオチド断片 、ベクターポリヌクレオチドとを連結して 換えポリヌクレオチドを得る。

 該組換えポリヌクレオチドを用いて大腸 を形質転換し、この大腸菌を培養すると、 キシダーゼまたはオキシダーゼと他のタン ク質との融合タンパク質が発現生産される 形質転換される宿主は、異種遺伝子の発現 通常用いられる株を使用することができる 、エシェリヒア コリ JM109株が好ましい。 質転換を行う方法、および形質転換体を選 する方法はMolecular Cloning,2nd edition,Cold Sprin g Harbor press(1989)等に記載されている。

 融合タンパク質として発現させた場合、 液凝固因子Xa、カリクレインなどの、オキ ダーゼ内に存在しない配列を認識配列とす 制限プロテアーゼを用いてオキシダーゼを り出せるようにしてもよい。

 生産培地としては、M9-カザミノ酸培地、L B培地など、大腸菌を培養するために通常用 る培地を用いてもよい。また、培養条件、 産誘導条件は、用いたベクターのマーカー プロモータ、宿主菌等の種類に応じて適宜 択する。

 オキシダーゼまたはオキシダーゼと他の ンパク質との融合タンパク質を回収するに 、以下の方法などがある。オキシダーゼあ いはその融合タンパク質が菌体内に可溶化 れていれば、菌体を回収した後、菌体を破 あるいは溶菌させ、粗酵素液として使用で る。さらに、必要に応じて、通常の沈澱、 過、カラムクロマトグラフィー等の手法に りオキシダーゼあるいはその融合タンパク を精製して用いることも可能である。この 合、オキシダーゼあるいは融合タンパク質 抗体を利用した精製法も利用できる。

 タンパク質封入体が形成される場合には 変性剤でこれを可溶化する。菌体タンパク とともに可溶化してもよいが、以降の精製 作を考慮すると、封入体を取り出して、こ を可溶化するのが好ましい。封入体を菌体 ら回収するには、従来公知の方法で行えば い。例えば、菌体を破壊し、遠心分離操作 によって封入体を回収する。タンパク質封 体を可溶化させる変性剤としては、グアニ ン塩酸(例えば、6M、pH5~8)や尿素(例えば8M)な どが挙げられる。

 これらの変性剤を透析等により除くと、 性を有するタンパク質として再生される。 析に用いる透析溶液としては、トリス塩酸 衝液やリン酸緩衝液などを用いればよく、 度としては20mM~0.5M、pHとしては5~8が挙げら る。

 再生工程時のタンパク質濃度は、500μg/ml 度以下に抑えるのが好ましい。再生したオ シダーゼが自己架橋を行うのを抑えるため 、透析温度は5℃以下であることが好ましい 。また、変性剤除去の方法として、この透析 法のほか、希釈法、限外濾過法などがあり、 いずれを用いても活性の再生が期待できる。

3.本発明の3-インドールピルビン酸の製造方
 本発明の3-インドールピルビン酸の製造方 は、本発明の形質転換体および/またはその 養物の存在下で、トリプトファンを3-イン ールピルビン酸に変換する工程を有するこ を特徴とする。係る本発明の製造方法によ ば、オキシダーゼを簡便に大量生成できる め、3-インドールピルビン酸の生成も大量に 速く行うことができる。

 本発明に使用するトリプトファンは、L- 、D-体、DL-体何れであってもよいが、入手の 容易さと価格の点からL-体を採用することが ましい。

 本発明の形質転換体については既に述べ とおりである。形質転換体の培養物とは、 質転換体を培養して得られるものを意味す 。培養は、液体培養、固体培養のいずれに ってもよく、また培地の種類も特に限定さ ない。形質転換体の培養物の例としては、 養に用いた培地、培養された形質転換体に り生成された物質、これらの混合物が挙げ れる。これらの培養物は、さらに、酵素を り出すことを目的として行われる処理、例 ば超音波、ガラスビーズ、フレンチプレス 凍結乾燥処理、溶菌酵素、有機溶剤、界面 性剤等による処理が施されたものであって よい。また、これらの処理物は、常法、例 ば液体クロマトグラフィーや硫安分画等に り精製されていてもよいほか、カラギーナ ゲルやポリアクリルアミドに包括或いはポ エーテルスルホンや再生セルロース等の膜 固定化されていてもよい。

 形質転換体またはその培養物の使用量は 目的とする効果を発揮する量(有効量)であ ばよく、この有効量は当業者であれば簡単 予備実験により容易に求められる。例えば 洗浄湿潤菌体の場合、反応液100mlあたり1~40mg とすることができる。

 本発明の製造方法において、上述の本発 の形質転換体の培養物をトリプトファンに 用せしめるにあたっては、形質転換体の培 物とトリプトファンとを接触させればよい 例えば、上述の本発明の形質転換体を培地 で培養し、その形質転換体中および/または 形質転換体の培養液中にオキシダーゼを蓄積 させ、この培養液中にトリプトファンを添加 する方法;予めオキシダーゼを得るために培 された形質転換体の培養物にトリプトファ を添加させる方法を挙げることができる。 リプトファンの添加は、目的の反応が抑制 れない濃度の範囲(例えば、0.1~10%)で、一括 て、間欠的に、または連続的に行われる。 加の際、基質は水溶液或いはスラリー状の 態で添加され得るが、溶解度の増加や分散 促進を目的として、反応に影響を与えない 機溶媒や界面活性剤と混合して添加しても い。

 本発明の製造方法において、反応条件は 宜定めることができる。反応pHは、通常は3~ 10、好ましくは5~9である。反応温度は通常10~6 0℃、好ましくは20~40℃である。反応時間は通 常0.5~120時間、好ましくは0.5~24時間である。 た、必要に応じて攪拌を行ってもよいし、 置培養であってもよい。

 生成された3-インドールピルビン酸は、 法により回収し、必要に応じて精製するこ ができる。尚、培養後に生成した3-インドー ルピルビン酸の分解を防止する必要がある場 合には、脱気処理や脱酸素処理を行うことも できる。

 下記反応式7に示すように、本発明の製造 方法〔反応式7のステップ(1)〕によりトリプ ファンから生成された3-インドールピルビン 酸は、甘味料として有用な4-(インドール-3-イ ルメチル)-4-ヒドロキシ-グルタミン酸(3-(1-ア ノ-1,3-ジカルボキシ-3-ヒドロキシ-ブタン-4- ル)インドール)〔モナティン〕の出発原料 して有用である。すなわち、3-インドールピ ルビン酸をピルビン酸とアルドール縮合させ ることにより前駆体ケト酸(IHOG)を合成し〔反 応式7のステップ(2)〕、酵素の存在下IHOGの2位 をアミノ化してモナティンを合成することが できる〔反応式7のステップ(3)〕。

 本発明の3-インドールピルビン酸の製造 法の好ましい一実施形態として、反応系に ーパーオキシドジスムターゼ(以下、SODとい 場合がある)を添加する形態が挙げられる。 生成した3-インドールピルビン酸は、条件に よるが、自発的に酸化し、スーパーオキシ が生じ得る。生成したスーパーオキシドは3 -インドールピルビン酸を分解させ、ラジカ 反応により、急速に3-インドールピルビン酸 の分解が進行してしまう場合がある。そこで 、反応系内にSODを添加することにより、スー パーオキシドを反応系内から消去し、スーパ ーオキシドによる3-インドールピルビン酸の 解を抑制することができる。また、SOD以外 も、メルカプトエタノールなどのラジカル カベンジャーを添加し、3-インドールピル ン酸の分解を防ぐことも可能である。

 SODを用いると過酸化水素が生成し、過酸 水素によって3-インドールピルビン酸が分 される可能性も生じるようにも推測される 、意外にも下記実施例にて実証された通り SODを添加することによって、反応系内に存 する3-インドールピルビン酸の量を維持する ことができた。その機構は必ずしも定かでは ないが、過酸化水素よりもスーパーオキシド の方が、3-インドールピルビン酸の分解作用 強く、その結果、わずかに過酸化水素の量 増えたとしても、SODを反応系に添加しスー ーオキシドを軽減した方が、3-インドール ルビン酸は安定して反応系に残存し得るも と推測される。

 SODは市販の酵素として入手可能である。S ODは、精製酵素として反応系に添加してもよ 。また、SODを発現する形質転換体を作製し 形質転換体またはその培養物を反応系に添 してもよい。SODをコードする遺伝子(sod遺伝 子)、例えば、sodA遺伝子、sodB遺伝子、および sodC遺伝子などは、公開データベース上にそ 塩基配列等が公開されている。これらのデ タベースを参照し、SODをコードする核酸断 を増幅し、これを用いて形質転換体を作製 得る。

 形質転換体を作製する場合、上記アミノ オキシダーゼを発現するように形質導入さ た形質転換体に、さらにSODを発現するよう 形質転換させてもよいし、あるいは、それ れ個別に形質転換体を作製し、それぞれの 質転換体を反応系内に共存させるようにし もよい。また、一つの形質転換体に、アミ 酸オキシダーゼとSODを共発現させる場合、 れぞれ個別に、それぞれのタンパク質をコ ドする核酸断片をプラスミドに組み込んで よいし、或いは、一つのプラスミドにタン ムに両核酸断片を組み込んでもよい。

 SODは、菌体内に蓄積される菌体内酵素と て存在する場合がある。そのため、好まし 一形態として、形質転換体内からSODを放出 せる形態が挙げられる。SODの放出は、形質 換体を破膜処理することによって行っても い。例えば、SODを発現する形質転換体を培 し、十分な量のSODを形質転換体内に蓄積せ め、その後形質転換体を破膜処理して、形 転換体内に蓄積されたSODを形質転換体内か 放出させてもよい。SODを供給する形質転換 を破膜処理することにより、SODとスーパー キシドとの接触確率をより向上させること でき、その結果、3-インドールピルビン酸 分解を抑制し、3-インドールピルビン酸の収 率を向上させることができる。破膜処理は、 形質転換体の細胞膜を破膜できればよい。破 膜処理としては、例えば、超音波破砕、トル エンなど溶剤を用いた溶菌処理などが挙げら れる。なお、トルエンを用いて破膜する場合 、トルエンによりアミノ酸オキシダーゼが失 活してしまう場合があるため、SODの生成は、 アミノ酸オキシダーゼの生成およびこれを用 いた反応系とは別個に行い、SODを単離してそ の反応系に添加してもよい。

実施例1 インドール-3-ピルビン酸(IPA)を生成 る微生物
 微生物の培養には、1L中に硫酸アンモニウ  3g、リン酸一カリウム 1g、リン酸二カリウ ム 3g、硫酸鉄 10mg、硫酸マンガン 10mg、酵 エキス 10g、ペプトン 10gを含む培地(pH7.0)50m Lを500mL坂口フラスコに分注し、120℃で20分殺 したものを用いた(培地1)。1L中に普通ブイ ン 18gを含む斜面寒天培地(寒天 20g/L)を調製 し、この斜面寒天培地にて30℃、24時間培養 た微生物を1白金耳接種し、30℃、120往復/分 16時間振盪培養を行った。培養後菌体を遠 分離し湿菌体として調製した。

 これらの微生物を、L-Trp10g/Lを含む20mM Tri s-HCl緩衝液(pH8.0)に湿菌体重量1%(w/v)になるよ に添加し、全量を50mLとした後、30℃にて1時 反応をおこなった。Providencia rettgeri(プロビ デンシア レットゲリ)湿菌体を添加した場合 に、5.25g/Lの3-インドールピルビン酸(IPA)の生 が確認された。

実施例2 プロビデンシア レットゲリ(Providenc ia rettgeri)由来のアミノ酸オキシダーゼ(デア ナーゼ)酵素遺伝子の単離
 以下、アミノ酸オキシダーゼ(デアミナーゼ )酵素遺伝子の単離について述べるが、微生 はプロビデンシア レットゲリ AJ2770株を用 た。遺伝子の単離にはエシェリヒア コリ(E scherichia coli)JM109を宿主に用い、ベクターはpU C118を用いた。

 プロビデンシア レットゲリ AJ2770株を普 通ブイヨン18g/Lを含む寒天培地上で30℃、24時 間培養した。この菌体を、50mlの培地1を張り んだ500mlの坂口フラスコに1白金耳植菌し、3 0℃で振盪培養した。

 培養液50mlを遠心分離(8,000rpm、4℃、10分間 )し、集菌した。QIAGEN Genomic-tip System(Qiagen社) を用いて、説明書の方法に基づき、この菌体 から染色体DNAを取得した。

 プロビデンシア レットゲリ AJ2770株より 調製した染色体DNA5μgをBamHIで完全に消化した 。0.8%アガロースゲル電気泳動により2kb~10kbの DNAを分離し、Gene Clean II Kit(フナコシ社製) 用いてDNAを精製し、10μlのTE(Tris-EDTA)に溶解 た。10μlのTEのうち4.5μlと、pUC118 BamHI/BAP(宝 造製)とを混合し、DNA Ligation Kit Ver.2(宝酒 製)を用いて連結反応を行った。このライゲ ーション反応液0.5μlとEscherichia coli JM109のコ ンピテント・セル(東洋紡績製)100μlとを混合 て、Escherichia coliを形質転換した。得られ 形質転換体をE. coliの培養に適当な固形培地 に塗布し、染色体DNAライブラリーを作製した 。

 固定培地上に形成されたコロニーを、96 プレート上のTB培地(1L中に酵母エキス 24g、 プトン 12g、グリセロール 4ml、リン酸一カ リウム 1g、リン酸二カリウム 3g、pH7.0)に植 し30℃一晩培養した。これらの培養菌液100μ lをL-Trp10g/Lを含む20mMTris-HCl緩衝液(pH8.0)100μlに 添加し、30℃、120往復/分振盪反応を行った。 生成した赤色に発色する株をL-Trpデアミナー 活性菌株として採取した。

 本発明に用いられる酵素の活性単位(アミ ノ酸オキシダーゼ活性)については、L-Trp10g/L 含む20mM Tris-HCl緩衝液(pH8.0)を用いて、30℃ 120往復/分で振盪反応させた条件で、1分間に 1μmoleのL-Trpを変換する酵素量を1単位(U)と定 した。

 比色法によりアミノ酸オキシダーゼ(デア ミナーゼ)活性が確認された株を、50mg/lアン シリンを含むTB培地3mlを張り込んだ試験管で 、37℃、16時間培養した。培養液1mlあたり2.84U のアミノ酸オキシダーゼ(デアミナーゼ)活性 有しており、クローニングした遺伝子がE.co liで発現したことを確認した。この株をpTB2株 と命名した。なお、対照としてpUC118のみを導 入した形質転換体には、活性は検出されなか った。

 アミノ酸オキシダーゼ(デアミナーゼ)活 を有することが確認された上記菌株から、 シェリヒア コリ JM109が保有するプラスミ を、QIAprep Spin Miniprep Kit(250) (QIAGEN社製)を いて調製し、挿入DNA断片の塩基配列を決定 た。シーケンス反応はBigDye Terminator v3.1 Cy cle Sequencing Kit(Applied Biosystems社製)を用いて 説明書に基づき行った。また、電気泳動は3 100 genetic anaryzer(Applied Biosystems社製)を用い 行った。

 その結果、アミノ酸オキシダーゼ(デアミ ナーゼ)に相同性を有するタンパク質をコー するオープンリーディングフレームが存在 、アミノ酸オキシダーゼ(デアミナーゼ)をコ ードする遺伝子であることを確認した。アミ ノ酸オキシダーゼ(デアミナーゼ)遺伝子全長 塩基配列とこれに対応するアミノ酸配列を 列番号1に示した。得られたオープンリーデ ィングフレームをBLASTP.プログラムで相同性 析した結果、Proteus mirabilis由来L-amino acid de aminase(gb|AAA86752.1|)と71%、Proteus vulgaris由来L-ami no acid deaminase(EC 3.5.4.-)、57%の相同性が検出 れた。

実施例3 Ps_aad発現株の作成
 エシェリヒア コリ(Escherichia coli)W3110染色 DNA上のtrpオペロンのプロモーター領域を配 番号3および配列番号4に示すオリゴヌクレオ チドをプライマーとしてPCRにより目的遺伝子 領域を増幅した。得られたDNA断片をpGEM-Teasy クター(プロメガ製)にライゲーションした。 このライゲーション溶液でE.coli JM109を形質 換し、アンピシリン耐性株の中からtrpプロ ーターの方向がlacプロモーターと反対向き 挿入された目的のプラスミドを有する株を 択した。次にこのプラスミドをEcoO109I/EcoRIに て処理して得られるtrpプロモーターを含むDNA 断片と、pUC19(Takara製)のEcoO109I/EcoRI処理物とラ イゲーションした。このライゲーション溶液 でエシェリヒア コリ JM109を形質転換し、ア ンピシリン耐性株の中から目的のプラスミド を有する株を選択した。次にこのプラスミド をHindIII/PvuIIにて処理して得られるDNA断片と pKK223-3(Amersham Pharmacia製)をHindIII/HincIIにて処 し、得られたrrnBターミネーターを含むDNA断 片とをライゲーションした。このライゲーシ ョン溶液でE.coli JM109を形質転換し、アンピ リン耐性株の中から目的のプラスミドを有 る株を選択した。得られたプラスミドをpTrp4 と命名した。

 アミノ酸オキシダーゼ(デアミナーゼ)活 を有することが確認された上記菌株が保有 るプラスミドを鋳型とし、配列番号5および 列番号6に示すオリゴヌクレオチドをプライ マーとしてPCRにより目的遺伝子を増幅した。 このDNA断片をNdeI/HindIIIにて処理し、得られた DNA断片とpTrp4のNdeI/HindIII処理物をライゲーシ ンした。このライゲーション溶液でエシェ ヒア コリ JM109を形質転換し、アンピシリ 耐性株の中から目的のプラスミドを有する を選択し、このプラスミドをpTrp4-Ps_aadと命 した。

 pTrp4-Ps_aadを有するエシェリヒア コリ JM1 09を50mg/lアンピシリンを含むLB寒天培地で、37 ℃、16時間培養した。得られた菌体を、50mlの TB培地(アンピシリン50mg/lを含む)を張り込ん 500ml坂口フラスコに一白金耳植菌し、37℃、1 6時間の本培養を行った。培養液1mlあたり0.74U のアミノ酸オキシダーゼ(デアミナーゼ)活性 有しており、クローニングした遺伝子がE.co liで発現したことを確認した。なお、対照と てpTrp4のみを導入した形質転換体には、活 は検出されなかった。

実施例4 親株と形質転換株のL-Trp酸化活性評
 プロビデンシア レットゲリ AJ2770株を普通 ブイヨン18g/Lを含む寒天培地上で30℃、24時間 培養した。この菌体を、50mlの培地1を張り込 だ500mlの坂口フラスコに1白金耳植菌し、30 で16時間振盪培養した。得られた培養液は1ml あたり0.69UのL-Trp酸化活性を有していた。

 pTB2株を、100mg/lアンピシリンを含むTB培地 50mlを張り込んだ500mlの坂口フラスコに1白金 植菌し、37℃で16時間振盪培養した。得られ 培養液は1mlあたり3.5UのL-Trp酸化活性を有し いた。pTB2株が、プロビデンシア レットゲ  AJ2770と比べ約5倍程度の高いL-Trp酸化活性 備えることが確認された。

実施例5 TrpからIPAへの変換反応
 pTB2株を、100mg/mlのアンピシリンを含むLB培 50mlを張り込んだ500mlの坂口フラスコに1白金 植菌し、37℃で16時間振盪培養した。得られ た培養液25mlを、100mg/lアンピシリンを含むTB 地500mlを張り込んだ5000mlの坂口フラスコに接 種し、37℃で16時間振盪培養した。得られた 養液120mlが、L-Trp100mmol/l、Tris-HCl20mM、ディス ーム GD-113-K(日本油脂株式会社)0.0025%、pH7.0 反応液300mlに含まれるよう調製した。

 反応は1L容ジャーファーメンターを用い 30℃で、100、200、300あるいは400rpmで攪拌し行 った。空気は流速300ml/分の条件で通気させた 。反応液に含まれるIPAを定量し、IPAが最も高 濃度となった時の濃度と反応時間を確認した ところ、100rpmで74mM(28時間後)、200rpmで85mM(11時 間後)、300rpmで80mM(4時間後)、400rpmで70mM(2時間 )であった。

実施例6 IPA回収
 pTB2株を、100mg/mlのアンピシリンを含むLB培 50mlを張り込んだ500mlの坂口フラスコに1白金 植菌し、37℃で16時間振盪培養した。得られ た培養液25mlを、100mg/lアンピシリンを含むTB 地500mlを張り込んだ5000mlの坂口フラスコに接 種し、37℃で16時間振盪培養した。得られた 養液120mlが、L-Trp100mmol/l、ディスホーム GD-11 3-K0.0025%、pH7.0の反応液300mlに含まれるよう調 した。

 反応は500ml容4つ口フラスコを用いて30℃ 400rpmで攪拌し行った。空気は流速300ml/分の 件で通気させた。5.5時間の反応後、空気の 気を停止しアルゴンガスを通気した。その 1Mの硫酸を用いて反応液をpH4.0に調整し、遠 分離、菌体を除去した。得られた上清に1M 酸を添加し、pH2.0に調整、20℃、300rpmで終夜 拌、中和晶析を行った。結晶をろ別し水で 浄後、減圧下で乾燥し純度90%のIPA結晶3.81g 得た。このように、イオン交換樹脂などを いた煩雑な精製工程を経ることなく、簡便 方法でIPAを回収することができた。

実施例7 IPA安定化因子としてのSuperOxide Dismut ase(SOD)、メルカプトエタノール添加効果の評
 IPAを10mM、Tris-HClを10mM、アセトニトリルを1% む溶液1mlを試験管に入れ、25℃、150往復/分 10時間振盪した。得られた溶液に含まれるIP Aを定量したところ、2.6mMまで減少していた。

 上記IPA溶液にSOD(1、10、100U/ml)、カタラー (100U/ml)、アスコルビン酸(10mM)、トコフェロ ル(10mM)、DTT(1、10mM)、ハイドロサルファイト ナトリウム(10mM)、メルカプトエタノール(1、1 0%)、エタノール(10%)、メタノール(10%)、グリ ロール(10%)、SDS(10mM)、Tween20(10%)、Triton―X100(1 0%)、ホウ酸ナトリウムバッファー(10mM)、Tiron( 10mM)、チオ硫酸ナトリウム(10mM)が含まれるよ それぞれ個別に添加し、同様にして振盪し 。それぞれの場合について、IPAを定量した 結果を表1に示す。

実施例8 SODを添加したTrpからIPAへの変換反応
 pTB2株を、100mg/lアンピシリンを含むTB培地50m lを張り込んだ500mlの坂口フラスコに1白金耳 菌し、37℃で16時間振盪培養した。得られた 養液0.4mlが、L-Trp150mmol/l、Tris-HCl20mM、pH7.0の 応液1mlに含まれるよう調製した。また、SOD( E.coli―MnSOD、Sigma)は100U/mlとなるよう反応液に 添加した。

 これらの反応液1mlを、試験管を用いて25 、150往復/分で6時間振盪した。得られた反応 液に含まれるIPAは、SODを添加しない条件では 61mM、SODを添加した条件では120mMであった。

実施例9 SOD発現株の構築
 E.coli JM109株をLB寒天培地上で37℃、16時間培 養した。この菌体を鋳型にして、sodA遺伝子 含むDNA断片をPCRにより増幅した。sodA遺伝子 、SOD A(Mn型)をコードする遺伝子であり、例 えば、ecogene(URL:http://ecogene.org/index.php)などの 開データベース上において、アクセション 号:EG10953としてその配列が登録されている プライマーは、下記プライマー、SD-Nde-sodA-f( 配列番号7)及びsodA-Hind-r(配列番号8)を用いた 得られたDNA断片をNdeI及びHindIIIで消化し、同 様にNdeI及びHindIIIで消化した国際公開第2006/07 5486号パンフレットに記載のベクターpSFN(同公 報実施例のpSFN Sm_Aet(特に、実施例1、6、12参 のこと。))とをライゲーションした。この イゲーション溶液でE.coli JM109を形質転換し アンピシリン耐性株の中から目的のプラス ドを有する株を選択した。得られたプラス ドをpSFN-sodAと命名した。

 同様にして、pSFN-sodB(プライマー、SD-Nde-so dB-f(配列番号9)及びsodB-Hind-r(配列番号10)を用 た)、pSFN-sodC(プライマー、SD-Nde-sodC-f(配列番 11)及びsodC-Hind-r(配列番号12)を用いた)を構築 した。pSFN-sodBは、sodB遺伝子を含むDNA断片が み込まれたプラスミドである。pSFN-sodCは、so dC遺伝子を含むDNA断片が組み込まれたプラス ドである。sodA遺伝子の発現産物であるSOD A (Mn型)、sodB遺伝子の発現産物であるSOD B(Fe型) およびSOD C(Cu-Zn型)はそれぞれアイソザイム ある。sodB遺伝子およびsodC遺伝子は、例えば 、ecogeneなどの公開データベースにおいて、 れぞれアクセッション番号:EG10954、アクセッ ション番号:EG13419としてその配列が登録され いる。

 また、NdeI、HindIIIで消化したpSFNベクター 、pTrp4をNdeI、HindIIIで消化し得られたマルチ クローニングサイトを含むDNA断片をライゲー ションした。このライゲーション溶液でE.coli  JM109を形質転換し、アンピシリン耐性株の から目的のプラスミドを有する株を選択し 。このプラスミドをpSFN-mcsと命名した。

実施例10 SOD発現株のSOD活性測定
 構築したSOD発現プラスミドpSFN-sodAをE.coli JM 109に導入し、形質転換体を100mg/lアンピシリ を含むTB培地50mlに1白金耳接種し、37℃で16時 間振盪させ培養液を得た。

 同様にして、pSFN-sodBを保有する形質転換 、pSFN-sodCを保有する形質転換体及びpSFN-mcs 保有する形質転換体の培養液を得た。

 これらの培養液を集菌し、BugBusterマスタ ミックス(Novagen社)に懸濁して菌体抽出液を 製した。得られた菌体抽出液のSOD活性を、S OD Assay Kit―WST(Dojindo)を用いて測定し、培養 1ml当たりのSOD活性を算出した。スタンダー にはSOD(E.coli-MnSOD、Sigma社)を使用した。SodC 現株の菌体抽出液には0.01mMのCuCl2を添加しSOD 活性を測定した。

 その結果、いずれのSod発現株も、pSFN-mcs に比べ高いSOD活性を有していることが明ら となった。結果を表2に示す。

実施例11 SOD発現株を用いたTrpからIPAへの変 反応
 SOD発現株培養液を0.1ml、さらにpTB2株の培養 を0.4ml含むように、L-Trp200mmol/l、Tris-HCl20mM、 pH7.0の反応液1mlをそれぞれ調製した。また、S odA発現株培養液には1%のトルエンを混合し攪 した後、反応液に添加した。同様に、SodB発 現株培養液も1%のトルエンを混合し攪拌した 、反応液に添加した。SodC発現株培養液には 0.01mMとなるようCuCl 2 を添加し攪拌した後、反応液に添加した。Sod 発現株培養液を添加しない反応液、SOD(E.coli MnSOD、Sigma社)を100U/mlとなるよう添加した反 液を同様に作成した。

 これらの反応液1mlを、試験管を用いて25 、140往復/分で6時間振盪した。得られた反応 液に含まれるIPAを定量したところ、トルエン 処理を行ったsodB発現株培養液を添加した場 に129mMと最も高濃度のIPAが確認された。結果 を表3に示す。

[規則26に基づく差替え 08.09.2008]