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Patent Searching and Data


Title:
NOVEL POLYPEPTIDE AND PRODUCTION METHOD THEREOF
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2009/035092
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed are: a novel polypeptide which does not have the risk of causing the infection with any pathogenic bacterium or the transfer of any pathogenic factor, which produces no adverse side effect, and which is useful as a carrier for various physiologically active substances and apatite-type substances; and a method for producing the polypeptide. Specifically disclosed are: a polypeptide which comprises a peptide unit having an amino acid sequence represented by the formula: -Pro-X-Gly- [wherein X represents Pro or Hyp] and a peptide unit having an amino acid sequence represented by the formula: -Pro-Hyp(O-Y-Z)-Gly- [wherein Y represents a carbonyl group, a saturated or unsaturated hydrocarbon group which has or does not have a carbonyl group, or a saturated or unsaturated hydrocarbon group which has an aromatic group and which has or does not have a carbonyl group; and Z represents a carboxyl group]; and a method for producing the polypeptide.

Inventors:
TANIHARA MASAO (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/066568
Publication Date:
March 19, 2009
Filing Date:
September 12, 2008
Export Citation:
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Assignee:
NAT UNIV CORP NARA INST (JP)
TANIHARA MASAO (JP)
International Classes:
C07K19/00; A61K8/64; A61K47/42; A61L17/00; A61L27/00; A61L31/00
Domestic Patent References:
WO2006098326A12006-09-21
WO2006046569A12006-05-04
Foreign References:
JP2007223981A2007-09-06
JP2003321500A2003-11-11
JP2005058499A2005-03-10
JP2005060314A2005-03-10
JP2005060315A2005-03-10
JP2004201566A2004-07-22
EP1288228A12003-03-05
Other References:
See also references of EP 2189476A4
None
Attorney, Agent or Firm:
TANAKA, Mitsuo et al. (IMP Building 3-7, Shiromi 1-chome, Chuo-ku, Osaka-sh, Osaka 01, JP)
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Claims:
 式:
(式中、XはProまたはHypを表す)
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニットと、式:
(式中、Yはカルボニル基、カルボニル基を有するかまたは有しない飽和または不飽和の炭化水素基、または芳香族基を含む、カルボニル基を有するかまたは有しない飽和または不飽和の炭化水素基を表し、Zはカルボキシル基を表す)
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニットとを含むポリペプチド。
 Yが、-(C=O)-(CH 2 )n- (式中、nは0または1~18の整数を表す);-(C=O)-(CH 2 )n-(CH=CH)m-(CH 2 )k- (式中、nおよびkは独立して0または1~18の整数を表し、mは1~18の整数を表す);および-(C=O)-(CH 2 )n-(C 6 H 4 )-(CH 2 )k- (式中、nおよびkは独立して0または1~18の整数を表し、C 6 H 4 はフェニレン基を表す)よりなる群から選択される1つ以上の基である請求項1記載のポリペプチド。
 前記ペプチドユニット(1)と前記ペプチドユニット(2)との割合が、モル比にて(1)/(2)=99.9/0.1~1/99である請求項1記載のポリペプチド。
 円二色性スペクトルにおいて、波長220~230nmに正のコットン効果を示し、波長195~205nmに負のコットン効果を示す請求項1ないし3のいずれか1項に記載のポリペプチド。
 該ポリペプチドの少なくとも一部分が三重らせん構造を形成する請求項4記載のポリペプチド。
 分子量5×10 3 ~5×10 6 の範囲にピークを示す請求項1ないし5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
 コラーゲン組織を形成可能である請求項1ないし6のいずれか1項に記載のポリペプチド。
 請求項1ないし7のいずれか1項に記載のポリペプチドに、ペプチド、タンパク質、ポリペプチド、核酸、糖、多糖類、脂質、ポリエチレングリコール誘導体、抗菌剤、アパタイト類およびこれらの複合体よりなる群から選択される1以上の物質が結合したポリペプチド誘導体。
 請求項8記載の物質が、請求項1ないし7のいずれか1項に記載のポリペプチドのジカルボン酸リンカーを介してポリペプチドのHyp残基に結合したポリペプチド誘導体。
 請求項1ないし9のいずれか1項に記載のポリペプチドまたはポリペプチド誘導体にアパタイト類が担持されているポリペプチド誘導体。
 式:
(式中、oは1以上の整数を表す)        
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニットと、式:
(式中、pは1以上の整数を表す)       
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニットとを縮合させて得られるポリペプチドに、式:
(式中、Yはカルボニル基、カルボニル基を有するかまたは有しない飽和または不飽和の炭化水素基、または芳香族基を含む、カルボニル基を有するかまたは有しない飽和または不飽和の炭化水素基を表し、Zはカルボキシル基を表す)
で表される化合物またはその無水物を反応させることを含む請求項1に記載のポリペプチドの製造方法。
 請求項11に記載の製造方法において、さらに、該ポリペプチドに、ペプチド、タンパク質、ポリペプチド、核酸、糖、多糖類、脂質、ポリエチレングリコール誘導体、抗菌剤、アパタイト類およびこれらの複合体よりなる群から選択される1つ以上の物質を反応させることを含むポリペプチド誘導体の製造方法。
 請求項12に記載の製造方法において、1つ以上の該物質を、該ポリペプチドのカルボン酸リンカーを介してポリペプチドのHyp残基に結合させることを含むポリペプチド誘導体の製造方法。
 請求項1ないし9のいずれか1項に記載のポリペプチドまたはポリペプチド誘導体と、カルシウムイオンおよびリン酸イオンを含む水溶液とを接触させてアパタイト類をポリペプチドまたはポリペプチド誘導体に沈着させることを含むアパタイト類が担持されているポリペプチド誘導体の製造方法。
 該アパタイト類がヒドロキシアパタイトである請求項14記載の製造方法。
 請求項14または15記載の製造方法によって得られる、アパタイト類が担持されているポリペプチド誘導体。
 式:
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニットと、式:
(式中、AAはOH、Tyr-Arg-His-Ala-Trp-Ser-Glu-Asn-Leu-Ala-Gln-Cys-Phe-Asn-NH 2
Lys-Ile-Pro-Lys-Ala-Ser-Ser-Val-Pro-Thr-Glu-Leu-Ser-Ala-Ile-Ser-Thr-Leu-Tyr-Leu-NH 2 、またはGly-Arg-Gly-Asp-Serを表す)
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユニットとを含むポリペプチド誘導体。
Description:
新規なポリペプチドおよびその 造方法

 本発明は、病原体感染の危険性や望まし ない副作用を生じる虞がなく、生理活性物 やアパタイト類の担体として有用な新規な リペプチド、ポリペプチド誘導体およびそ 製造方法に関する。さらに詳しくは、本発 は、安全性の高い生体材料または生体適合 料、特に生体組織の補填、修復および/また は再生に有用な新規なポリペプチド、ポリペ プチド誘導体およびその製造方法に関する。

 コラーゲンは、あらゆる多細胞生物に見 れる繊維状タンパク質であり、皮膚や骨の 成分として哺乳類では全タンパク質の25%を める。典型的なコラーゲン分子は、三本の ラーゲンポリペプチド鎖が三重らせん構造 呼ばれるロープ状の超らせん構造をとって る。コラーゲンにはプロリン(Pro)およびグ シン(Gly)が特に多く含まれ、両アミノ酸残基 とも安定な三重らせん構造の形成に重要であ る。

 コラーゲンの生体材料としての利用方法 は、例えば、ブタの皮膚組織をそのままあ いは凍結乾燥した後、火傷などによる皮膚 損傷部位に移植する方法、酵素処理などに って細胞成分を除去して用いる方法、酸性 液や酵素処理によって可溶化したコラーゲ を、所望の形態に再構成して用いる方法が る。非特許文献1には、一般的なコラーゲン の調製方法および定性方法が記載されている 。

 コラーゲンの利用について種々の提案がな れている。
 例えば、特許文献1には、皮膚に潤いを与え 、かつ皮膚をなめらかにするため、コラーゲ ンを含有する動物組織をアルコールでエステ ル化して修飾した後、修飾コラーゲンを抽出 するコラーゲン誘導体の製造方法、およびそ れを用いた化粧品基剤が提案されている。

 また、特許文献2には、可溶性コラーゲン を、メチレン鎖の両端にイミドエステル基を 有するアルキレンジイミデート二価性架橋試 薬で架橋処理することにより、熱変性後にお ける三重らせん構造の再生率が高く、水に可 溶性の架橋コラーゲンを製造する方法が記載 されている。

 また、特許文献3には、コラーゲンを第1 合成親水性ポリマーと反応させてコラーゲ -合成ポリマーマトリックスを形成し、さら コラーゲン-合成ポリマーマトリックスを、 第2の合成親水性ポリマー、生物学的活性物 、グリコサミノグリカンおよびその誘導体 化学的架橋剤、エステル化剤、アミド化剤 アシル化剤、アミノ酸、ポリペプチドなど 反応させることにより、免疫原性が低く、 々の医療用途で使用される生体適合性移植 の調製に有用なコラーゲン-合成ポリマーマ リックスが記載されている。

 また、特許文献4には、pH7で実質的に非繊 維形態である化学的修飾コラーゲンと共有結 合した親水性合成ポリマーを含む結合体が記 載されている。この文献には、前記結合体が 、特に眼科用デバイスにおいて有用であり、 光学的に透明で生体適合性を有することが記 載されている。

 また、特許文献5には、コラーゲンマトリ ックスを砕断し、この砕断マトリックスを高 遠心場で遠心し、沈殿を均質化してペースト とし、該ペーストを注型し、注型したペース トを37℃以下の温度で乾燥するコラーゲン膜 物質の製法が記載されている。このコラー ン膜状物質は、生体適合性で非炎症性、か 人工移植物として組織の修復に有用である とも記載されている。

 また、特許文献6には、魚鱗をそのまま若 しくは脱灰した後、ペプシン処理することに より、高純度の可溶性魚鱗コラーゲンとその 製造方法が記載されている。

 また、特許文献7には、70~90%エタノール媒 質中に、コラーゲン溶液をノズルより吐出し て、糸状物あるいは膜状物を生成し、乾燥し た後、裁断または粉砕することにより、粒状 または粉状の可溶性コラーゲン乾燥物を製造 する方法が記載されている。

 また、特許文献8には、未焼成のヒドロキ シアパタイト単結晶を、低抗原性化したコラ ーゲン線維の少なくとも一部に付着させ、骨 などの生体硬組織を修復する材料として用い ることが記載されている。

 また、特許文献9には、動物または人間由 来のコラーゲン中のプリオンを除去するため に、コラーゲン溶液中の細胞および組織の断 片を除去し、アルカリ処理する方法およびこ の方法により得られるコラーゲンが記載され ている。

 また、非特許文献2には、コラーゲン類似 物の化学合成の方法に関して、Pro-Ser-Glyのp- トロフェニルエステル、あるいはPro-Ala-Glyの p-ニトロフェニルエステルをジメチルホルム ミドに溶解し、トリエチルアミンを加えて2 4時間静置することにより、分子量が16,000~21,0 00の可溶性ポリアミドが得られることが報告 れている。これらの可溶性ポリアミドは円 色性スペクトルから三重らせん構造をとる とが推定されているが、得られたポリマー 性質に関する記述はない。

 また、非特許文献3には、エラスチン由来 のVal-Pro-Gly-Val-Gly配列を含む50量体のペプチド をジメチルスルホキシドに溶解し、2当量の1- エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボ イミドと1当量の1-ヒドロキシベンゾトリア ール、および1.6当量のN-メチルモルホリン 加えて14日間静置した後、分子量カットオフ が5万の透析膜で透析してポリアミドを得る 法が報告されている。

 また、特許文献10には、下記式(1)~(3)で表 れるペプチドユニットで構成されているポ ペプチドがコラーゲン組織を形成可能であ ことが開示されている。

[-(OC-(CH 2 )m-CO)p-(Pro-Y-Gly)n-]a   (1)
[-(OC-(CH 2 )m-CO)q-(Z)r-]b       (2)
[-HN-R-NH-]c              (3)
(式中、mは1-18の整数、pおよびqは同一または なって0または1、YはProまたはHypを表し、nは 1~20の整数を表す。Zは1~10個のアミノ酸残基か らなるペプチド鎖を表し、rは1~20の整数を表 、Rは直鎖状または分岐鎖状アルキレン基を 表す。aとbとの割合はa/b=100/0~30/70(モル比)で り、p=1およびq=0であるときc=a、p=0およびq=1 あるときc=bであり、p=1およびq=1であるときc= a+bであり、p=0およびq=0であるときc=0である。 )

 一方、前記した特許文献9に記載されてい るように、ヒツジの振戦病やウシの海綿状脳 症の原因物質がプリオンと呼ばれる伝染性タ ンパク質であり、この伝染性タンパク質がヒ トのクロイツフェルド-ヤコブ病伝染の原因 一つと言われている。非特許文献4には、プ オンはタンパク質であり、通常の滅菌、殺 方法では失活し難く、しかも種を越えて感 することが指摘されている。

 一般に、医療用具や医薬品、化粧品では シやブタ由来のコラーゲンを原料として用 ることが多い。そのため、通常の滅菌、殺 方法では除去できないプリオンなどの病原 (または病原性因子)の感染(または伝達)の危 険性が常に存在している。

 また、天然のコラーゲン中には種々の細 接着サイトが含まれているため、用途に応 た細胞選択性が発揮できない。例えば、神 の軸索誘導材料としてコラーゲンを用いる 、軸索の伸長速度より周囲の繊維芽細胞の 走、増速速度が大きく瘢痕組織化して軸索 伸長することができない。このため、繊維 細胞の遊走を防ぐ材料でコラーゲンの周囲 覆うことなどの措置が必要となる。

 一方、生体内において、ある種のセラミ クス(例えば、生体活性ガラスとしてのBiogla ss(登録商標)や、結晶化ガラスA-W(Cerabone(登録 標)A-W)など)が骨と結合することが知られて る。このセラミックスと骨との結合は、生 内(またはヒトの体液に近いイオン濃度を有 する水溶液中)で、前記セラミックス表面に いてヒドロキシアパタイト層が形成される とに起因している。その結合メカニズムは 先ず、前記セラミックス表面に形成された イ酸イオンやシラノール基が、生体内や水 液中のカルシウムおよびリン酸イオンと反 してヒドロキシアパタイトの核を形成し、 の核をベースに生体内または水溶液中の過 和なカルシウムおよびリン酸イオンを取り んで成長するものと考えられている。

 特許文献11には、板状、棒状、線維状、 状など各種の形状の金属、セラミックスな の基材に、液状のシリカヒドロゾルまたは ルをコーティングし、乾燥し加熱処理して リカゲルを基材に結合させた後、ヒドロキ アパタイトに対して過飽和となる量のカル ウムとリン酸イオンとを含む水溶液(疑似体 )に浸漬することにより、基材表面にヒドロ キシアパタイト層をコーティングする生体活 性層のコーティング方法が提案されている。 この文献には、アパタイト被覆材料は、人工 骨、生体埋込材料、生体埋込医療機器、器具 などへ利用できることも記載されている。し かし、このような無機系の生体材料では、細 胞接着性などの生体適合性が不十分である。

 また、生体材料としての有機無機複合材料 検討されている。例えば、特許文献12には 平均繊維長が60 μm以上のハイドロキシアパ イトとコラーゲン(哺乳動物、鳥類、魚類な どから得られるコラーゲンまたはコラーゲン 様タンパク質、遺伝子組換えコラーゲンなど )とを含む複合体で構成された有機無機複合 体材料が開示されている。また、この文献 は、前記複合材料が、反応容器内における ルシウムイオンおよびリン酸イオンを、例 ば、出発物質濃度や送液速度を制御するこ などにより、特定の濃度に維持し、得られ 複合体を加圧成形することにより製造でき ことも記載されている。また、非特許文献5 は、0.1MのCaCl 2 および0.1MのNaH 2 PO 4 存在下、酸で可溶化したラット尾腱由来のコ ラーゲンを中和することにより、コラーゲン とヒドロキシアパタイトとを複合化する方法 が記載されている。
 しかし、このような複合体においても、コ ーゲンとして、天然コラーゲンを用いたの は、病原体(または病原性因子)の感染(また 伝達)の危険性がある。

 また、特許文献13には、セリシンを有す ベースに、カルシウムイオンおよびリン酸 オンを含む水溶液を接触させ、前記ベース アパタイト類を沈着させる複合体の製造方 が開示されている。

 また、特許文献14には、特定のペプチド 基材に固定化した医療用手当材が開示され おり、該医療用手当材は、生理活性が高く 特に強い細胞増殖促進作用および/または細 接着作用を有し、生体組織の治癒、接着、 強および/または再生用の材料または剤とし て有用であると記載されている。

 また、特許文献15には、骨折の治療、骨 鬆症や歯周病疾患における骨量減少の抑制 骨粗鬆症やリウマチ性関節炎における骨折 予防等に有用な、骨形成作用を有するペプ ドおよびそれを有効成分とする骨形成促進 が開示されている。

 また、非特許文献6には、エチレンジアミン で架橋したアルギン酸ゲルに、骨形成作用を 有するペプチド、Lys-Ile-Pro-Lys-Ala-Ser-Ser-Val-Pro- Thr-Glu-Leu-Ser-Ala-Ile-Ser-Thr-Leu-Tyr-Leu-NH 2 を結合して得られる材料がラットの下腿筋肉 内に埋植されると、7週間以上にわたって骨 の石灰化を誘導することが記載されている

 また、非特許文献7には、同上のアルギン酸 ゲルに、神経幹細胞の分化促進作用を有する ペプチド、Tyr-Arg-His-Ala-Trp-Ser-Glu-Asn-Leu-Ala-Gln-C ys-Phe-Asn-NH 2 を結合して得られる材料上で、ラット海馬由 来の神経幹細胞を培養すると神経細胞への分 化を著しく促進することが記載されている。

特開平08-027192号公報

特開平07-097454号公報

特開平08-053548号公報

特開平07-278312号公報

特開平05-000158号公報

特開平05-125100号公報

特開平06-228506号公報

特開平08-276003号公報

特開平08-041425号公報

特開2003-321500号公報

特開平5-103829号公報

特開2003-190271号公報

特開2003-154001号公報

特開2006-272002号公報

特開2003-73400号公報 Methods Enzymol., Vol.82, pp33-64, 1982年 J. Mol. Biol., Vol.63, pp.85-99, 1972年 Int. J. Peptide Protein Res., Vol.46, pp.453-463 , 1995年 Nature Review, Vol.2, pp.118-126, 2001年 Chem. Mater. Vol.15, pp3221-3226, 2003年 J. Biomed. Master Res., Vol.70A, pp115-121, 2004 年 Cell Transplant, Vol.14, pp665-672, 2005年

 したがって、本発明の目的は、病原体の 染や病原性因子の伝達を生じる危険性や望 しくない副作用を生じる虞がなく、ペプチ などの種々の生理活性物質やアパタイト類 いった有用物質の担体として有用な新規な リペプチドおよびその製造方法を提供する とにある。

 本発明者は、前記課題を解決するため鋭 検討した結果、特定のアミノ酸配列を有す ペプチドユニットを縮合して得られるポリ プチド(繊維状集合体)が、生理活性物質や パタイト類の担体として有用であることを 出し、本発明を完成するに至った。

 すなわち、本発明は、
[1]
 式:
-Pro-X-Gly-        (1)
(式中、XはProまたはHypを表す)
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユ ニットと、式:
-Pro-Hyp(O-Y-Z)-Gly-   (2)
(式中、Yはカルボニル基、カルボニル基を有 るかまたは有しない飽和または不飽和の炭 水素基、または芳香族基を含む、カルボニ 基を有するかまたは有しない飽和または不 和の炭化水素基を表し、Zはカルボキシル基 を表す)
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユ ニットとを含むポリペプチド;
[2]
 Yが、-(C=O)-(CH 2 )n- (式中、nは0または1~18の整数を表す);-(C=O)- (CH 2 )n-(CH=CH)m-(CH 2 )k- (式中、nおよびkは独立して0または1~18の 数を表し、mは1~18の整数を表す);および-(C=O)- (CH 2 )n-(C 6 H 4 )-(CH 2 )k- (式中、nおよびkは独立して0または1~18の 数を表し、C 6 H 4 はフェニレン基を表す)よりなる群から選択 れる1つ以上の基である前記[1]記載のポリペ チド;
[3]
 前記ペプチドユニット(1)と前記ペプチドユ ット(2)との割合が、モル比にて(1)/(2)=99.9/0.1 ~1/99である前記[1]記載のポリペプチド;
[4]
 円二色性スペクトルにおいて、波長220~230nm 正のコットン効果を示し、波長195~205nmに負 コットン効果を示す前記[1]ないし[3]のいず か1に記載のポリペプチド;
[5]
 該ポリペプチドの少なくとも一部分が三重 せん構造を形成する前記[4]記載のポリペプ ド;
[6]
 分子量5×10 3 ~5×10 6 の範囲にピークを示す前記[1]ないし[5]のいず れか1に記載のポリペプチド;
[7]
 コラーゲン組織を形成可能である前記[1]な し[6]のいずれか1に記載のポリペプチド;
[8]
 前記[1]ないし[7]のいずれか1に記載のポリペ プチドに、ペプチド、タンパク質、ポリペプ チド、核酸、糖、多糖類、脂質、ポリエチレ ングリコール誘導体、抗菌剤、アパタイト類 およびこれらの複合体よりなる群から選択さ れる1つ以上の物質が結合したポリペプチド 導体;
[9]
 前記[8]記載の物質が、前記[1]ないし[7]のい れか1に記載のポリペプチドのジカルボン酸 リンカーを介してポリペプチドのHyp残基に結 合したポリペプチド誘導体;
[10]
 前記[1]ないし[9]のいずれか1に記載のポリペ プチドまたはポリペプチド誘導体にアパタイ ト類が担持されているポリペプチド誘導体;
[11]
 式:
H-(Pro-Pro-Gly)o-OH    (1a)
(式中、oは1以上の整数を表す)        
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユ ニットと、式:
H(-Pro-Hyp-Gly-)p-OH   (2a)
(式中、pは1以上の整数を表す)       
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユ ニットとを縮合させて得られるポリペプチド に、式:
HO-Y-Z           (3)
(式中、Yはカルボニル基、カルボニル基を有 るかまたは有しない飽和または不飽和の炭 水素基、または芳香族基を含む、カルボニ 基を有するかまたは有しない飽和または不 和の炭化水素基を表し、Zはカルボキシル基 を表す)
で表される化合物またはその無水物を反応さ せることを含む前記[1]に記載のポリペプチド の製造方法;
[12]
 前記[11]に記載の製造方法において、さらに 、該ポリペプチドに、ペプチド、タンパク質 、ポリペプチド、核酸、糖、多糖類、脂質、 ポリエチレングリコール誘導体、抗菌剤、ア パタイト類およびこれらの複合体よりなる群 から選択される1つ以上の物質を反応させる とを含むポリペプチド誘導体の製造方法;
[13]
 前記[12]に記載の製造方法において、1つ以 の該物質を、該ポリペプチドのカルボン酸 ンカーを介してポリペプチドのHyp残基に結 させることを含むポリペプチド誘導体の製 方法;
[14]
 前記[1]ないし[9]のいずれか1に記載のポリペ プチドまたはポリペプチド誘導体と、カルシ ウムイオンおよびリン酸イオンを含む水溶液 とを接触させてアパタイト類をポリペプチド またはポリペプチド誘導体に沈着させること を含むアパタイト類が担持されているポリペ プチド誘導体の製造方法;
[15]
 該アパタイト類がヒドロキシアパタイトで る前記[14]記載の製造方法;
[16]
 前記[14]または[15]記載の製造方法によって られる、アパタイト類が担持されているポ ペプチド誘導体;および
[17]
 式:
-Pro-Hyp-Gly-        (1b)
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユ ニットと、式:
-Pro-Hyp(O-CO-(CH 2 ) 2 -CO-AA)-Gly-   (2b)
(式中、AAはOH、
Tyr-Arg-His-Ala-Trp-Ser-Glu-Asn-Leu-Ala-Gln-Cys-Phe-Asn-NH 2
Lys-Ile-Pro-Lys-Ala-Ser-Ser-Val-Pro-Thr-Glu-Leu-Ser-Ala-Ile- Ser-Thr-Leu-
Tyr-Leu-NH 2 、またはGly-Arg-Gly-Asp-Serを表す)
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユ ニットとを含むポリペプチド誘導体
を提供する。

 本発明の新規なポリペプチドまたはポリ プチド誘導体は、病原体感染の危険性や副 用の虞がなく、安全性が高く、細胞親和性 も優れる。また、前記ポリペプチド(特にポ リペプチドの繊維状集合体)は、ペプチドな の種々の生理活性物質やアパタイト類とい た有用物質を結合または担持して、生体組 を補填、修復、および/または再生するのに 用なポリペプチドとアパタイト類との複合 を形成可能である。このようなポリペプチ 誘導体や複合体は、生体組織修復・再生材 または生体適合材料に適している。

 本発明は、第1の態様において、新規なポリ ペプチドを提供する。
 本発明のポリペプチドは、式:

(式中、XはProまたはHypを表す)
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユ ニットと、式:

(式中、Yはカルボニル基、カルボニル基を有 るかまたは有しない飽和または不飽和の炭 水素基、または芳香族基を含む、カルボニ 基を有するかまたは有しない飽和または不 和の炭化水素基を表し、Zはカルボキシル基 を表す)
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユ ニットとを含む。

 ポリペプチドを構成するペプチドユニッ (1)とペプチドユニット(2)との割合は、モル にて好ましくは(1)/(2)=99.9/0.1~1/99、より好ま くは99.5/0.5~2/98、最も好ましくは99/1~5/95であ る。(1)/(2)が99.9/0.1を超える場合は、下記に説 明するリンカーを介して結合する物質の量が 少なくなり、目的とする効果が十分に発揮さ れないため好ましくない。一方、割合が1/99 満である場合は、線維状集合体構造を形成 にくくなるため好ましくない。

 式中のYはポリペプチドに有用物質を結合す るためのジカルボン酸リンカー基を表し、Z ジカルボン酸リンカー末端であってカルボ シル基を表す。Yが-(C=O)-(CH 2 )n-である場合のnは好ましくは0または1~18、よ り好ましくは1~15、最も好ましくは2~12の整数 表す。また、Yが-(C=O)-(CH 2 )n-(CH=CH)m-(CH 2 )k-である場合のnおよびkは独立して、好まし は0または1~18、より好ましくは1~15、最も好 しくは2~12の整数を表し、mは好ましくは0ま は1~18、より好ましくは1~12、最も好ましく 1~8の整数を表す。さらに、Yが-(C=O)-(CH 2 )n-(C 6 H 4 )-(CH 2 )k-である場合のnおよびkは独立して、好まし は0または1~18、より好ましくは0~12、最も好 しくは0~8の整数を表し、C 6 H 4 はフェニレン基を表す。

 かかるジカルボン酸リンカーは、無水ジカ ボン酸をポリペプチド主鎖に付加すること より形成することができる。すなわち、Yが -(C=O)-(CH 2 )n- の場合は、無水シュウ酸、無水マロン酸 無水コハク酸、無水4-カルボキシ酪酸、無 5-カルボキシ吉草酸、無水6-カルボキシカプ ン酸、無水7-カルボキシヘプタン酸、無水8- カルボキシカプリル酸、無水9-カルボキシペ ルゴン酸などを、-(C=O)-(CH 2 )n-(CH=CH)m-(CH 2 )k-の場合は、無水マレイン酸、ペンタ-2-エン 二酸無水物、ヘキサ-3-エン二酸無水物、シト ラコン酸無水物などを、-(C=O)-(CH 2 )n-(C 6 H 4 )-(CH 2 )k-の場合は、フタル酸無水物などをポリペプ チド主鎖のヒドロキシプロリン残基のヒドロ キシル基と反応させて付加することができる 。

 本発明のポリペプチドは、4~60℃で、水溶 液、アルコール-水混合溶液、リン酸塩緩衝 などの緩衝液中で少なくとも一部分が三重 せん構造を形成し、円二色性スペクトル測 において波長220~230nmに正のコットン効果を し、波長195~205nmに負のコットン効果を示す

 また、本発明のポリペプチドは、好ましく 分子量5×10 3 ~5×10 6 の範囲、より好ましくは分子量1×10 4 ~3×10 6 の範囲、最も好ましくは分子量2×10 4 ~1×10 6 の範囲にピークを示す重合度を有する。

 本発明は、第2の態様において、上記のポリ ペプチドの製造方法を提供する。
 本発明のポリペプチドは、式:

(式中、oは1以上の整数を表す)        
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユ ニットまたはペプチドフラグメントと、式:

(式中、pは1以上の整数を表す)       
で表されるアミノ酸配列を有するペプチドユ ニットまたはペプチドフラグメントとを縮合 させて得られるポリペプチドに、式:

(式中、Yはカルボニル基、カルボニル基を有 るかまたは有しない飽和または不飽和の炭 水素基、または芳香族基を含む、カルボニ 基を有するかまたは有しない飽和または不 和の炭化水素基を表し、Zはカルボキシル基 を表す)
で表される化合物またはその無水物を反応さ せることにより製造することができる。

 本発明のポリペプチドの製造に使用し得 化合物(3)としては、例えば、シュウ酸、マ ン酸、コハク酸、4-カルボキシ酪酸、5-カル ボキシ吉草酸、6-カルボキシカプロン酸、7- ルボキシヘプタン酸、8-カルボキシカプリル 酸、9-カルボキシペラルゴン酸、マレイン酸 ペンタ-2-エン二酸、ヘキサ-3-エン二酸、ヘ サ-3-エン二酸、シトラコン酸、フタル酸な が挙げられる。好ましくは、マロン酸、コ ク酸、4-カルボキシ酪酸、マレイン酸、フ ル酸である。

 具体的には、H-Pro-Pro-Gly-OHなどのペプチド ユニットまたはそれが脱水縮合したH-Pro-Pro-Gl y-Pro-Pro-Gly-OHなどのペプチドフラグメント(1a) 、H-Pro-Hyp-Gly-OHなどのペプチドユニットまた はそれが脱水縮合したH-Pro-Hyp-Gly-Pro-Hyp-Gly-OH どのペプチドフラグメント(2a)とを適当な緩 液に溶解し、それに、1-ヒドロキシベンゾ リアゾールなどの縮合助剤を加え、さらに 却下にて1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピ ル)-カルボジイミド塩酸塩などの脱水縮合剤 加えた後、撹拌を続けて得られた反応溶液 適当な緩衝液に対して透析することにより 発明のポリペプチドを製造し得る。

 これらの成分の反応は、上記ペプチド成 および化合物を溶解または懸濁(一部または 全部を溶解)し得る溶媒中で行うことができ 通常、緩衝液を使用し得る。使用し得る緩 液としては、例えば、リン酸塩緩衝液、炭 塩緩衝液などが挙げられる。

 また、本発明のポリペプチドの製造に使 し得る縮合助剤としては、上記の1-ヒドロ シベンゾトリアゾール(HOBt)などのN-ヒドロキ シトリアゾール類の他に、例えば、N-ヒドロ シ多価カルボン酸イミド類[例えば、N-ヒド キシコハク酸イミド(HONSu)、N-ヒドロキシ-5- ルボルネン-2,3-ジカルボン酸イミド(HONB)な のN-ヒドロキシジカルボン酸イミド類]、3-ヒ ドロキシ-4-オキソ-3,4-ジヒドロ-1,2,3-ベンゾト リアジン(HOObt)などのトリアジン類、2-ヒドロ キシイミノ-2-シアノ酢酸エチルエステルなど が挙げられる。これらの縮合助剤は単独また は二種以上を組み合わせて使用し得る。好ま しい縮合助剤は、1-ヒドロキシベンゾトリア ール(HOBt)などのN-ヒドロキシベンゾトリア ール類である。

 縮合助剤の使用量は、溶媒の種類に関係 く、前記した反応成分(1a)、(2a)および(3)の 量1モルに対して、例えば、0.5~5モル、好ま くは0.7~2モル、さらに好ましくは0.8~1.5モル 度である。

 また、本発明のポリペプチドの製造に使 し得る脱水縮合剤としては、上記の1-エチ -3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミ ド塩酸塩(WSCI・HCl)の他に、例えば、カルボジ イミド系縮合剤[ジイソプロピルカルボジイ ド(DIPC)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピ ル)-カルボジイミド(EDC=WSCI)、ジシクロヘキシ ルカルボジイミド(DCC)など]、フルオロホスフ ェート系縮合剤[O-(7-アザベンゾトリアゾール -1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキ フルオロホスフェート、O-ベンゾトリアゾー ル-1-イル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘ サフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾ ル-1-イル-オキシ-トリス-ピロリジノホスホ ウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾ リアゾール-1-イル-トリス(ジメチルアミノ) スホニウムヘキサフルオロリン化物塩(BOP) ど]、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)など 挙げられる。これらの脱水縮合剤は単独ま は二種以上を組み合わせて使用し得る。好 しい脱水縮合剤は、1-エチル-3-(3-ジメチル ミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩などの カルボジイミド系縮合剤である。

 脱水縮合剤の使用量は、前記した反応成 (1a)、(2a)および(3)の総量1モルに対して、通 、水を含まない非水系溶媒を用いる場合に 0.7~5モル、好ましくは0.8~2.5モル、さらに好 しくは0.9~2.3モル(例えば1~2モル)程度である 一方、水を含む溶媒(水系溶媒)を用いる場 には、水による脱水縮合剤の失活があるの 、前記した反応成分(1a)、(2a)および(3)の総量 1モルに対して、通常、2~500モル(例えば、2~50 ル)、好ましくは5~250モル(例えば、5~25モル) さらに好ましくは10~125モル(例えば、10~20モ )程度である。

 また、本発明のポリペプチドを製造する の縮合反応においては、反応系のpHを調節 てもよく、また反応に関与しない塩基を添 してもよい。pHの調節は、通常、無機塩基[ 酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナ リウム、炭酸水素ナトリウムなど]、有機塩 、無機酸[塩酸など]や有機酸を用いて行う とができ、通常、反応溶液を中性付近(pH=6~8 度)に調節する。また、反応に関与しない塩 基としては、第三級アミン類、例えば、トリ メチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプ ロピルエチルアミンなどのトリアルキルアミ ン類、N-メチルモルホリン、ピリジンなどの 素環式第三級アミン類などを用いることが きる。このような塩基の使用量は、通常、 プチド成分および化合物中のアミノ基の総 ル数の1~2倍程度である。

 また、本発明は、第3の態様において、上 記のポリペプチドのジカルボン酸リンカーを 介して有用物質が結合したポリペプチド誘導 体を提供する。

 また、ジカルボン酸が付加されたポリペ チドに結合する有用物質としては、種々の 理活性および生体機能を有するオリゴまた ポリペプチドなどのペプチド、タンパク質 DNAやRNAなどの核酸、糖、多糖類、リン脂質 ステロイド類などの脂質、ポリエチレング コール誘導体などの高分子、抗菌剤および パタイト類などが挙げられる。また、これ の有用物質は、単独または二種以上の複合 として本発明のポリペプチドに結合するこ ができる。

 ポリペプチドに結合する有用物質としては 例えば、アポトーシス抑制作用と神経幹細 分化促進作用を有するTyr-Arg-His-Ala-Trp-Ser-Glu- Asn-Leu-Ala-Gln-Cys-Phe-Asn(配列番号:1)の配列を一 または全部に有するペプチドや、骨形成作 を有するLys-Ile-Pro-Lys-Ala-Ser-Ser-Val-Pro-Thr-Glu-Leu -Ser-Ala-Ile-Ser-Thr-Leu-Tyr-Leu(配列番号:2)の配列を 一部または全部に有するペプチドや、
Gly-Arg-Gly-Asp-Ser(配列番号:3)の配列を一部また 全部に有するペプチドなどの細胞接着活性 有する生理活性ペプチド;皮膚細胞増殖作用 や血管新生作用を有する塩基性線維芽細胞増 殖因子(bFGF)などのタンパク質、short interferenc e RNAs (siRNA)やshort hairpin RNAs (shRNA)、cDNA/RNAi  hybrid moleculesなどの遺伝子発現の抑制作用 有するRNAやgreen fluorescence proteinをコードす プラスミドDNAなどの核酸;薬剤の包摂作用を 有するシクロデキストリンなどの糖、多糖類 ;ホスファチジルエタノールアミンなどのリ 脂質、エストロゲンやプロゲステロンなど ステロイド類などの脂質;PEG400アミンやPEG1500 アミンなどのポリエチレングリコール誘導体 などの高分子、ゲンタマイシンやペニシリン 、オフロキサシンなどの抗菌剤;および、ヒ ロキシアパタイトなどのアパタイト類など 挙げられる。

 有用物質はジカルボン酸リンカーを介し ポリペプチドのHyp残基に結合する。有用物 はその種類や性質にも依存するが、一般的 は、本発明のポリペプチドのジカルボン酸 ンカーと共有結合で結合する。アパタイト が結合する場合は、その性質からイオン結 で結合する。アパタイト類は本発明のポリ プチドまたは有用物質が結合したポリペプ ド誘導体のいずれにも担持させることが可 である。ポリペプチドまたはポリペプチド 導体と、カルシウムイオンおよびリン酸イ ンを含む水溶液とを接触させてアパタイト をポリペプチドまたはポリペプチド誘導体 沈着させて、担持させることができる。

 また、本発明のポリペプチドのHyp残基に 用物質が結合する割合は、好ましくは1/100~1 00/100、より好ましくは5/100~90/100、最も好まし くは10/100~80/100である。この割合が1/100未満で ある場合は有用物質の付加量が少なく、目的 とする効果を十分に発揮することが困難にな るため好ましくない。一方、割合が100/100で る場合は、ポリペプチドのすべてのHyp残基 有用物質が付加した構造であり、これを超 る割合になることはない。

 本発明のポリペプチドまたはポリペプチ 誘導体の分子量は、例えば、ゲルパーミエ ションクロマトグラフィーで測定すること できる。

 本発明のポリペプチドまたはポリペプチド 導体は、好ましくは1700~1800cm -1 に赤外スペクトル吸収があるものである。こ の範囲に赤外スペクトル吸収ピークがないと 、主鎖に対するジカルボン酸リンカーの量が 少ないこととなり、十分な量のジカルボン酸 リンカーが結合されていない可能性がある。 赤外スペクトル吸収は、FT-IR(KBr法)で測定す ことができる。

 本発明のポリペプチドまたはポリペプチ 誘導体におけるジカルボン酸リンカーの付 量は、例えば、赤外スペクトル吸収におけ エステルとアミドのピーク強度比から測定 ることができる。また、より詳細には、ジ ルボン酸の付加反応後、未反応のジカルボ 酸の量(モル数)をHPLCで定量することにより 定することができる。すなわち、合成に用 たジカルボン酸全量より未反応のジカルボ 酸量を減じた量がジカルボン酸付加量とな 。

 本発明のポリペプチド誘導体における有 物質の付加量は、例えば、ペプチド付加反 後、未反応の有用物質の量(モル数)をHPLCで 量することにより測定することができる。 なわち、合成に用いた有用物質全量より未 応の有用物質量を減じた量が有用物質の付 量となる。

 本発明のポリペプチドまたはポリペプチ 誘導体は、コラーゲン組織を形成可能であ 、副作用を起こさない。さらに、病原体や 原性因子[例えば、病原性に転化したタンパ ク質(例えば、異常型プリオンなど)など]の感 染や伝達の危険性がない。そのため、本発明 のポリペプチドまたはポリペプチド誘導体は 、安全性が高い。また、細胞親和性や生体適 合性およびガラスなどの基材に対する細胞接 着促進作用にも優れている。そのため、生体 材料または生体適合材料、例えば、人工コラ ーゲンなどとして有用である。また、本発明 のポリペプチドまたはポリペプチド誘導体は 、被検体(被験体)の組織(例えば、表皮組織お よび真皮組織など)へ適用できる。被検体の としては、ヒトおよび非ヒト動物(例えば、 ル、ヒツジ、ウシ、ウマ、イヌ、ネコ、ウ ギ、ラット、マウスなど)を挙げることがで きる。

 また、本発明のポリペプチドまたはポリ プチド誘導体は、ポリペプチドに由来して じる感染または伝達(例えば、ポリペプチド に存在する病原体または病原性因子などの感 染または伝達)などを抑制または予防するた に使用できる。そのため、本発明のポリペ チドまたはポリペプチド誘導体は、例えば 患部[例えば、疾病部や損傷部(例えば、擦傷 および火傷などの損傷部)など]や、切開部[例 えば、手術などの切開部など]において有効 利用できる。

 また、本発明のポリペプチドまたはポリ プチド誘導体は、例えば、組織工学用の担 または支持体、再生医療用の担体または支 体(人工皮膚など)、組織接着剤や癒着防止 、手術用縫合糸、止血材、コンタクトレン などの医療用材料、医薬品の製剤素材(また 基剤)、化粧品の素材(または基剤)、食品添 剤などとして利用できる。

 本発明のポリペプチドまたはポリペプチ 誘導体は、公知の方法で種々の用途に応じ 成形できる。そのため、ポリペプチドまた ポリペプチド誘導体の利用形態は、液状(溶 液または懸濁液など)、粉粒状、二次元的形 (フィルムまたはシートなど)や三次元的形態 であってもよい。例えば、ポリペプチドまた はポリペプチド誘導体の溶液または懸濁液を 、剥離性ベース(例えば、フッ素樹脂(ポリテ ラフルオロエチレン)シート)上に流延して 乾燥することにより、ポリペプチドまたは リペプチド誘導体のシートやフィルムを得 ことができる。

 また、高濃度の塩を含む溶液またはポリペ チドを溶解しない溶剤中に、ポリペプチド たはポリペプチド誘導体の溶液または懸濁 をノズルから押し出すことにより繊維状物 得ることができる。
 さらに、ポリペプチドまたはポリペプチド 導体の水溶液または懸濁液をそのまま静置 たり、必要により多価架橋性試薬(グルタル アルデヒドなど)を添加して静置することに りゲル状物を得ることができる。

 さらに、この生成したゲル状物を凍結乾燥 ることによりスポンジ状の多孔質体を得る とができる。さらには、ポリペプチドまた ポリペプチド誘導体の水溶液または懸濁液 撹拌発泡して乾燥することによっても多孔 体を得ることもできる。
 さらに、本発明のポリペプチドまたはポリ プチド誘導体は被覆剤として利用してもよ 。例えば、前記ポリペプチドの溶液または 濁液を、基材の表面に塗布または散布した 、乾燥することにより、基材の表面を本発 のポリペプチドで被覆することができる。 記基材は、金属、セラミックス、プラステ ック、天然高分子、ガラスなどの様々な材 で作られた成形体であってもよく、成形体 形態は、粉粒状、線状または繊維状、フィ ムまたはシート状などの二次元的構造や三 元的構造を有していてもよい。さらには、 孔質体(粉粒状多孔質体、セルロース繊維紙 、不織布や織布などの二次元的多孔質体、円 筒状などの三次元的多孔質体)にポリペプチ の溶液または懸濁液を含浸させ、ポリペプ ドを保持させてもよい。

 本発明のポリペプチドを医療用途に用い 場合には、殺菌または滅菌して用いること 好ましい。殺菌、滅菌方法としては、種々 殺菌・滅菌方法、例えば、湿熱蒸気滅菌、 ンマ線滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌 薬剤殺菌、紫外線殺菌などが用いられる。 れらの方法のうち、ガンマ線滅菌、エチレ オキサイドガス滅菌は、滅菌効率と材料に える影響が少なく好ましい。

 つぎに実施例を挙げて本発明をさらに詳 く説明するが、これは説明することを目的 するものであって、本発明をこれらに限定 ることを意図するものではない。

実施例1
 H-Pro-Hyp-Gly-OH((株)ペプチド研究所)100 mg(0.35  mmol)を2 mLの10 mMリン酸塩緩衝液(pH7.4)に溶解 た。この混合液に、9.5 mg(0.07 mmol)の1-ヒド キシベンゾトリアゾールを加え、攪拌溶解 た。この混合液を4℃に冷却して攪拌しなが ら、335 mg(1.75 mmol)の1-エチル-3-(3-ジメチルア ミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩を添加 て、さらに4℃にて2時間攪拌を続けた。そ 後、20℃にて2日間撹拌を続けて得られた反 溶液に、4 mLの10 mMリン酸塩緩衝生食液(0.15 MのNaClを含む、pH7.4)で希釈し、ミリQ水に対 て3日間透析して、縮合剤などの試薬と未反 モノマーを除去した。

 得られたポリペプチドをゲルパーミエーシ ンクロマトグラフィー(アマシャム・バイオ サイエンス(株)、AKTApurifierシステム、カラム: Superdex 200 HR GL、流速:0.5mL/分、溶離液:10 mM ン酸塩緩衝生食液(0.15 MのNaClを含む、pH7.4)) に供したところ、分子量が10万以上の溶出位 にポリペプチドのピークが認められた。分 量はポリエチレングリコール標準品(Fluka社) を標準物質として使用して算出した。
 また、得られたポリペプチドの円二色性ス クトルを測定したところ、225nmに正のコッ ン効果、197nmに負のコットン効果が観測され 、三重らせん構造を形成していることが確認 された。

 つぎに、得られたポリペプチドの水溶液 凍結乾燥してスポンジ状のポリペプチドを た。このポリペプチド10 mgを約1 mm角に切 し、少量のジメチルホルムアミド(DMF)で2回 浄した。洗浄後のスポンジに、熱イソプロ ノールから再結晶して精製した無水コハク (和光純薬工業(株) 特級試薬)37 mg(0.37 mmol) ジイソプロピルエチルアミン64 μL(0.37 mmol) 氷冷下に加えて、その後室温にて終夜攪拌 た。得られた反応液をミリQ水で約5倍に希 した後、ミリQ水に対して2日間透析して、未 反応試薬を除去した。

 得られたコハク酸付加ポリペプチドの赤外 ペクトルには1735 cm -1 にエステルの吸収が出現し、ポリペプチド主 鎖に対するコハク酸リンカーの付加が確認さ れた。また、1639 cm -1 のアミドの吸収との強度比から、ペプチドユ ニット(1)と(2)の割合((1)/(2))は、31/69(モル比) あることが判明した。また、得られたコハ 酸付加ポリペプチドを水溶液中20℃で、円二 色性スペクトルを測定したところ、225 nmに のコットン効果、199 nmに負のコットン効果 観測され、三重らせん構造を形成している とが確認された。

 得られたコハク酸付加ポリペプチドを凍結 燥し、その5 mgをDMFで1回洗浄した。それに N-ヒドロキシコハク酸イミド21 mg(0.185 mmol) 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)-カル ボジイミド塩酸塩35 mg(0.185 mmol)を加えて室 にて終夜攪拌した。その後、反応生成物をDM Fで5回洗浄し、それに、3.2 mg(0.00185 mmol)のペ プチド、Tyr-Arg-His-Ala-Trp-Ser-Glu-Asn-Leu-Ala-Gln-Cys- Phe-Asn-NH 2 (配列番号:1)((株)ペプチド研究所)を200 μLのDM Fに溶解して添加した。さらに、ジイソプロ ルエチルアミン3.2 μL(0.0185 mmol)を氷冷下に えて、その後室温にて終夜攪拌した。その 応生成物をDMFで1回、その後メタノールで2 洗浄して、減圧乾燥した。反応前後でHPLC(カ ラム Waters NovaPak C18 3.9×150 mm column;溶離液  0.05% TFA-水中のアセトニトリル リニアグラ ジエント(5%-50%/30分)、流速1 ml/分、検出波長2 15 nm)により測定した上清中のペプチド濃度 ら、ポリペプチド主鎖に対するペプチドの 合率は0.4 mg/mgであることが判明した。

試験例1
 実施例1で得られたポリペプチド(ペプチド 結合していないコハク酸付加ポリペプチド) よび、Tyr-Arg-His-Ala-Trp-Ser-Glu-Asn-Leu-Ala-Gln-Cys-P he-Asn-NH 2 (配列番号:1)が結合したポリペプチド誘導体( プチド結合ポリペプチド)をエタノールに浸 漬して殺菌した。配列番号:1のペプチドはア トーシス抑制作用と神経幹細胞分化促進作 を有するものである。胎生16日目のWistarラ ト胎児脳の海馬から摘出した神経幹細胞の ューロスフェアを、殺菌したポリペプチド たはポリペプチド誘導体とともに、1%のN-2 s upplementと20 ng/mLのbFGFを含むD-MEM/F12培地中で5 間培養したところ、ニューロスフェアはペ チド結合ポリペプチド上に接着し、神経突 を伸長した。これに対して、ペプチドが結 していないコハク酸付加ポリペプチド上に ニューロスフェアは接着せず、神経突起の 長も見られなかった。すなわち、上記ペプ ド結合ポリペプチドは神経幹細胞の神経分 を促進することが判明した。

実施例2
 実施例1と同様の方法によってペプチドユニ ット、H-Pro-Hyp-Gly-OHから得られたポリペプチ の水溶液を凍結乾燥してスポンジ状のポリ プチドを得た。このポリペプチド10 mgを約1 mm角に切断し、少量のDMFで2回洗浄した。洗 後のポリペプチドに、熱イソプロパノール ら再結晶して精製した無水コハク酸(和光純 工業(株)、特級試薬)3.7 mg(0.037 mmol)とジイ プロピルエチルアミン6.4 μL(0.037 mmol)を氷 下に加えて、その後室温にて終夜攪拌した 得られた反応液にメタノールを加え、その 5回メタノールで洗浄し、未反応試薬を除去 た。

 得られたコハク酸付加ポリペプチドの赤外 ペクトルには1735 cm -1 にエステルの吸収が出現し、ポリペプチド主 鎖に対するコハク酸の付加が確認された。ま た、1640 cm -1 のアミドの吸収との強度比から、ペプチドユ ニット(1)と(2)の割合((1)/(2))は、62/38(モル比) あることが判明した。
 得られたコハク酸付加ポリペプチドの円二 性スペクトルを測定したところ、224 nmに正 のコットン効果、199 nmに負のコットン効果 観測され、三重らせん構造を形成している とが確認された。

 得られたポリペプチド約5 mgを1MのCaCl 2 水溶液中に室温にて終夜静置した。ミリQ水 2回洗浄した後、Na +  213 mM、K +  7.5 mM、Ca 2+  3.8 mM、Mg 2+  2.3  mM、Cl -  223.3 mM、HCO 3-  6.3 mM、HPO 4 2-  1.5 mM、SO 4 2-  0.75 mMを含み、トリス緩衝剤でpH7.25に調節 た水溶液に浸漬し、37℃にて7日間静置した 静置した後、ミリQ水で2回、メタノールで3 洗浄した後に減圧乾燥した。乾燥後のポリ プチド表面を金蒸着して、走査型電子顕微 ((株)日立製作所、モデルS-4800N)で観察したと ころ、ポリペプチド表面にアパタイトの結晶 が観察された。

実施例3
 Pro-Hyp-Gly((株)ペプチド研究所)100 mg (0.35 mmo l)を2 mLの10 mMリン酸塩緩衝液(PB、pH 7.4)に攪 拌溶解した後、この溶液にHOBt 9.5 mg (0.07 mm ol)を加え、攪拌溶解した。溶解後、4℃に冷 して攪拌しながら、1-エチル-3-(3-ジメチルア ミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩201 mg ( 1.05 mmol)を添加して、さらに4℃にて90分間攪 した。

 その溶液に4 mLの10 mMリン酸塩緩衝生食液(P BS、pH 7.4)を加え、良く攪拌した後、ミリQ水 対して2日間透析した。得られたポリペプチ ドをゲルパーミエーションクロマトグラフィ ー(アマシャム・バイオサイエンス(株)、AKTApu rifierシステム、カラム:Superdex 200 HR GL、流 :0.5 mL/分、溶離液:PBS)に供したところ、分子 量が10万以上の溶出位置(7.25 mL)にポリペプチ ドのピークが認められた。分子量はポリエチ レングリコール標準品(Fluka社)を標準物質と て使用して算出した。
 また、得られたポリペプチドの円二色性ス クトルを測定したところ、225 nmに正のコッ トン効果、197 nmに負のコットン効果が観測 れ、三重らせん構造を形成していることが 認された。

 つぎに、得られた0.1% poly(Pro-Hyp-Gly)水溶液1. 0 mLを内径28 mmのガラス製シャーレに加え、 シケータ内に60時間静置してフィルムを得 。得られたフィルムを少量のジメチルホル アミド(DMF)で2回洗浄した。洗浄後、熱イソ ロパノールから再結晶して精製した無水コ ク酸3.7 mg(0.037 mmol)とジイソプロピルエチル アミン(DIPEA)6.4 μL(0.037 mmol)を氷冷下に加え 、その後室温で終夜振盪した。DMFで2回、メ ノールで5回洗浄後、減圧乾燥した。
 得られたフィルムの一部を採取し、KBr法で 外スペクトルを測定するとエステル結合に 属される1731 cm -1 に吸収ピークが認められ、コハク酸化反応が 進行したことが確認された。

 得られたコハク酸付加poly(Pro-Hyp-Gly)フィ ムをDMFで1回洗浄後、N-ヒドロキシコハク酸 ミド4.3 mg (0.037 mmol)と1-エチル-3-(3-ジメチ アミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩7.1 m g (0.037 mmol)を加えて室温で終夜振盪した。DM Fで5回洗浄後、Gly-Arg-Gly-Asp-Ser((株)ペプチド研 究所) 0.18 mg (0.37 μmol)とジイソプロピルエ ルアミン 0.048mg (0.37 μmol)を加え、さらに 温で終夜振盪した。DMFで2回、メタノールで 5回洗浄後、エタノールに3回浸漬振盪して殺 した。

 得られたGly-Arg-Gly-Asp-Ser結合poly(Pro-Hyp-Gly)フ ルム上に、D-MEMに懸濁したNIH3T3細胞を10 4 個/cm 2 の割合で加え、37℃、5% CO 2 下、1時間静置した。接着しなかった細胞をPB Sで3回洗浄して除去し、接着した細胞数をフ ルム上の任意の5ヶ所の細胞数を計数するこ とにより求めた。

 その結果、Gly-Arg-Gly-Asp-Ser結合poly(Pro-Hyp-Gly) ィルム上では、平均7,900個/cm 2 の細胞が接着していたのに対し、Gly-Arg-Gly-Asp -Serを結合していないpoly(Pro-Hyp-Gly)フィルム上 では、平均2,000個/cm 2 、ウシ由来I型コラーゲンをコートしたプラ ティックディッシュ上では、平均6,000個/cm 2 、非-コート・プラスティックディッシュ上 は、平均4,500個/cm 2 であることが判明し、Gly-Arg-Gly-Asp-Ser結合poly( Pro-Hyp-Gly)フィルムの細胞接着促進作用が優れ ていることが明らかになった。

 本発明のポリペプチドまたはポリペプチ 誘導体は、医療、製薬、化粧品および食品 分野において、組織工学用の担体または支 体、再生医療用の担体または支持体(人工皮 膚など)、組織接着剤や癒着防止材、手術用 合糸、止血材、コンタクトレンズなどの医 用材料、医薬品の製剤素材(または基剤)、化 粧品の素材(または基剤)、食品添加剤などと て利用できる。

SEQ ID NO: 1
Peptide showing both inhibition of apoptosis and prom otion of neuronal differentiation of neuronal stem ce lls.
SEQ ID NO: 2
Peptide having an osteogenesis action.
SEQ ID NO: 3
Peptide showing cell adherence activity