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Title:
NOVEL VITAMIN B6 DERIVATIVE
Document Type and Number:
WIPO Patent Application WO/2008/139965
Kind Code:
A1
Abstract:
Disclosed is a vitamin B6 derivative having photostability and also having both of a proper water-solubility and a proper lipid-solubility. Specifically, the vitamin B6 derivative is a compound represented by the general formula (I) or a salt thereof. (I) wherein R1 represents a glycosyl group or a phosphate group; R2 represents a group represented by the formula: -CH2OH, -CHO, -CH2NH2 or -CH2O-CO-A [wherein A represents a C3-C15 alkyl group, an aryl group, or an aryl-(C1-C6)alkylene group], a group represented by the formula: -CH2NH-CO-B [wherein B represents A or -O-A], or a -CH2O-phosphate; and R3 represents a hydrogen atom, a phosphate group or a group represented by the formula: -CO-A.

Inventors:
SAKAMOTO KEIJI (JP)
WADA KOICHI (JP)
ITO HAJIME (JP)
HONGO KAZUYA (JP)
Application Number:
PCT/JP2008/058398
Publication Date:
November 20, 2008
Filing Date:
May 02, 2008
Export Citation:
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Assignee:
DAIICHI FINE CHEM CO LTD (JP)
SAKAMOTO KEIJI (JP)
WADA KOICHI (JP)
ITO HAJIME (JP)
HONGO KAZUYA (JP)
International Classes:
C07F9/6584; A61K31/661; A61P3/02; C07H17/02
Domestic Patent References:
WO2005033123A12005-04-14
Foreign References:
JP2003206279A2003-07-22
Other References:
ANDON M.B. ET AL.: "Dietary intake of total and glycosylated vitamin B6 and the vitamin B6 nutritional status of unsupplemented lactating women and their infants", AMERICAN JOURNAL OF CLINICAL NUTRITION, vol. 50, no. 5, 1989, pages 1050 - 1058
Attorney, Agent or Firm:
SIKs & Co. (Kyobashi-Nisshoku Bldg. 8-7, Kyobashi1-chome, Chuo-k, Tokyo 31, JP)
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Claims:
下記の一般式(I):
[式中、R 1 はグリコシル基又はリン酸基を示し、R 2 は-CH 2 OH、-CHO、-CH 2 NH 2 、-CH 2 O-CO-A(式中、AはC 3 -C 15 アルキル基、アリール基、又はアリール(C 1 -C 6 )アルキレン基を示す)で表される基、-CH 2 NH-CO-B(式中、BはA又は-O-Aを示す)で表される基、又は-CH 2 O-リン酸を示し、R 3 は水素原子、リン酸基、又は-CO-Aで表される基を示す。ただし、R 1 がリン酸基であり、かつR 2 が-CH 2 OHである場合には、R 1 のリン酸基とR 2 とが結合して環状リン酸基を形成していてもよく、R 3 が水素原子又はリン酸基である場合には、R 2 は-CH 2 O-CO-Aで表される基又は-CH 2 NH-CO-Bで表される基のいずれかである]で表される化合物又はその塩。
R 2 が-CH 2 OH、-CHO、-CH 2 NH 2 、-CH 2 O-CO-A(式中、AはC 3 -C 15 アルキル基である)で表される基又は-CH 2 NH-CO-B(式中、BはAであり、AはC 3 -C 15 アルキル基である)で表される基であり、R 3 が水素原子又は-CO-A(式中、AはC 3 -C 15 アルキル基である)で表される基である請求項1に記載の化合物又はその塩。
R 1 がリン酸基であり、R 2 が-CH 2 OHであってR 1 のリン酸基とR 2 とが結合して環状リン酸基を形成しており、R 3 が-CO-A(AはC 3 -C 15 アルキル基である)である請求項1に記載の化合物又はその塩。
AがC 5 -C 11 アルキル基である請求項2又は3に記載の化合物又はその塩。
R 2 及びR 3 の炭素数の合計が5~17である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
R 1 がD-グルコース残基又はモノリン酸基である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の化合物又はその塩。
Description:
新規なビタミンB6誘導体

 本発明は、新規なビタミンB6誘導体に関 るものである。

 ピリドキシン、ピリドキサール、及びピ ドキサミンはともにビタミンB6作用を持つ 質であり、それぞれの5'位のリン酸エステル であるピリドキシン 5'-リン酸、ピリドキサ ル 5'-リン酸、及びピリドキサミン 5'-リン 酸とともにビタミンB6群と呼ばれている。こ らの化合物は体内でピリドキサール 5'-リ 酸に代謝され、アミノ酸代謝にあずかる酵 の補酵素として重要な役割を果たしている

 ピリドキシンおよびその塩酸塩は、光に して非常に不安定であることが知られてお 、ピリドキサール、ピリドキサミン、及び リドキサール 5'-リン酸も同様に光に対し 非常に不安定である。このため、光安定性 向上させたビタミンB6誘導体を提供すること が望まれている。

 光安定性を向上させたビタミンB6誘導体と ては、3位が配糖化されたビタミンB6配糖体 びリン酸エステル体が知られている(国際公 WO2005/033123)。また、3位、4'位、及び5'位を脂 肪酸エステルとした化合物も知られている( 開2003-206279)。上記の配糖体やリン酸エステ 化合物は水溶性が高く、化粧品などへの配 が容易になるという利点を有するが、脂溶 が低いことから皮膚透過性及び細胞移行性 関してはビタミンB6自体よりも劣るという欠 点を有している。また、3、4'、及び5'位の脂 酸エステル化合物では皮膚透過性及び細胞 行性は改善されているものの、脂溶性が高 ぎるために例えばローションなどへの配合 困難であるという問題がある。

国際公開WO2005/033123

特開2003-206279

 本発明の課題は、従来のビタミンB6誘導 の欠点を克服した化合物を提供することに り、より具体的には、光安定性を有し、か 適度な水溶性及び脂溶性を兼ね備えたビタ ンB6誘導体を提供することが本発明の課題で ある。

 本発明者らは、上記の課題を解決すべく 意研究を行った結果、3位を配糖化又はリン 酸エステル化したビタミンB6誘導体において 4'位及び/又は5'位を特定の置換基で修飾し ビタミンB6誘導体が、光安定性を保持したま ま適度な水溶性及び脂溶性を兼ね備えており 、高い皮膚透過性及び細胞移行性を有すると ともに、水溶液及び乳化系への配合が可能に なるなど優れた性質を有していることを見出 した。本発明は上記の知見を基にして完成さ れた。

 すなわち、本発明により、下記の一般式(I):
[式中、R 1 はグリコシル基又はリン酸基を示し、R 2 は-CH 2 OH、-CHO、-CH 2 NH 2 、-CH 2 O-CO-A(式中、AはC 3 -C 15 アルキル基、アリール基、又はアリール(C 1 -C 6 )アルキレン基を示す)で表される基、-CH 2 NH-CO-B(式中、BはA又は-O-Aを示す)で表される基 、又は-CH 2 O-リン酸を示し、R 3 は水素原子、リン酸基、又は-CO-Aで表される を示す。ただし、R 1 がリン酸基であり、かつR 2 が-CH 2 OHである場合には、R 1 のリン酸基とR 2 とが結合して環状リン酸基を形成していても よく、R 3 が水素原子又はリン酸基である場合には、R 2 は-CH 2 O-CO-Aで表される基又は-CH 2 NH-CO-Bで表される基のいずれかである]で表さ る化合物又はその塩が提供される。

 本発明の好ましい態様によれば、R 1 がD-グルコース残基又はモノリン酸基である 記の化合物又はその塩;R 2 が-CH 2 OH、-CHO、-CH 2 NH 2 、-CH 2 O-CO-A(式中、AはC 3 -C 15 アルキル基である)で表される基、又は-CH 2 NH-CO-B(式中、BはC 3 -C 15 アルキル基である)で表される基であり、R 3 が水素原子又は-CO-A(式中、AはC 3 -C 15 アルキル基である)で表される基である上記 合物又はその塩:R 1 がリン酸基であり、R 2 が-CH 2 OHであってR 1 のリン酸基とR 2 とが結合して環状リン酸基を形成しており、 R 3 が-CO-A(AはC 3 -C 15 アルキル基である)である上記化合物又はそ 塩が提供される。また、より好ましい態様 よれば、R 2 が-CH 2 OH、-CHO、-CH 2 NH 2 、-CH 2 O-CO-A(式中、AはC 5 -C 11 アルキル基である)で表される基、又は-CH 2 NH-CO-B(式中、BはC 5 -C 11 アルキル基である)で表される基であり、R 3 が水素原子又は-CO-A(式中、AはC 5 -C 11 アルキル基である)で表される基である上記 合物又はその塩:R 1 がリン酸基であり、R 2 が-CH 2 OHであってR 1 のリン酸基とR 2 とが結合して環状リン酸基を形成しており、 R 3 が-CO-A(AはC 5 -C 11 アルキル基である)である上記化合物又はそ 塩が提供される。

 別の観点からは、本発明により、上記の 般式(I)で表される化合物又はその塩を有効 分として含む医薬、好ましくはビタミンB6 用剤である医薬が提供される。また、ビタ ンB6の投与により予防及び/又は治療が可能 疾患の予防及び/又は治療方法であって、上 の一般式(I)で表される化合物又はその塩の 効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工 を含む方法が本発明により提供される。さ に、上記の一般式(I)で表される化合物又は の塩を含む食品、好ましくは健康食品、上 の一般式(I)で表される化合物又はその塩を む飼料、及び上記の一般式(I)で表される化 物又はその塩を含む化粧料も本発明により 供される。

 一般式(I)で表される本発明の化合物又は の塩は光安定性を有し、かつ適度な水溶性 び脂溶性を兼ね備えていることから、高い 膚透過性及び細胞移行性を有するとともに 水溶液及び乳化系への配合が可能になるな 優れた性質を有する。

 R 1 はグリコシル基又はリン酸基を示す。本明細 書において「グリコシル基」とは糖化合物の 1位(フルクトースの場合には2位)の水酸基を 去して得られる残基を意味する。R 1 が示すグリコシル基とピリジン環とのエーテ ル結合のアノマー型はα型又はβ型のいずれ もよく、あるいは両者の混合物であっても い。グリコシル基を構成する糖化合物の種 は特に限定されず、例えば単糖、二糖、三 、又は四糖以上のオリゴ糖のいずれでもよ 。糖化合物の立体に関しては、D-又はL-、あ いは混合物のいずれであってよい。グリコ ル基を構成する糖化合物としては、例えば D-グルコース、L-グルコース、D-ガラクトー 、L-ガラクトース、D-マンノース、L-マンノ ス、D-フルクトース、L-フルクトース、D-リ ース、L―リボース、D-キシロース、L-キシ ース、D-アラビノース、L-アラビノース、D- ロース、L-タロース、D-リキソース、L-リキ ース、D-アロース、L-アロース、D-アルトロ ス、L-アルトロース、D-グロース、L-グロー 、D-イドース、L-イドース、D-キノボース、L- キノボース、D-ラムノース、L-ラムノース、D- フコース、L-フコース、マルトース、セロビ ース、ラクトース、又はマルトトリオース どが挙げられる。これらのうち、D-グルコ ス、D-ガラクトースが好ましい。R 1 が示すグリコシル基としてD-グルコース残基 好ましい。

 R 1 が示すリン酸基は、モノリン酸、ピロリン酸 、若しくはトリポリリン酸などの鎖状エステ ル基であるか、又はR 2 が-CH 2 OHである場合には、R 2 とR 1 が示すリン酸基とが結合して環状エステル基 となっていてもよい。あるいは鎖状エステル 基又は環状エステル基を有する複数の化合物 の混合物であってもよい。R 1 が示すリン酸基としては、モノリン酸又はR 2 が示す-CH 2 OHと結合して形成される環状リン酸が好まし 。

 AはC 3 -C 15 アルキル基、アリール基、又はアリール(C 1 -C 6 )アルキレン基を示す。Aが示すC 3 -C 15 アルキル基としては直鎖状又は分枝鎖状のア ルキル基が好ましい。例えば、プロピル基、 イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、 イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、 キシル基、ヘプチル基、オクチル基、ウン シル基、又はテトラデシル基等が挙げられ が、これらに限定されることはない。Aが示 すC 3 -C 15 アルキル基としては、直鎖状又は分枝鎖状の C 5 -C 11 アルキル基がさらに好ましく、より好ましく はヘキシル基、オクチル基、1-エチルペンチ 基、1-ブチルヘプチル基である。C 1 -C 6 アルキレン基には直鎖状の-(CH 2 )n- (nは1から6の整数を示す)のほか、分枝鎖 のアルキレン基も含まれる。

 Aが示すアリール基としては単環式又は縮合 多環式の芳香族炭化水素基を用いることがで き、例えば、フェニル基、ナフチル基、アン トラセニル基などが挙げられる。アリール基 の環上には1個又は2個以上の置換基が存在し いてもよい。置換基の種類は特に限定され いが、例えば、C 1 -C 6 アルキル基(直鎖状、分枝鎖状、環状、又は れらの組合せからなるアルキル基のいずれ もよい)、C 1 -C 6 アシル基(例えば、アセチル基などのアルカ イル基など)、水酸基、アミノ基、カルボキ ル基、又はハロゲン原子(例えば、フッ素、 塩素、臭素、ヨウ素原子など)が挙げられる 、これらに限定されることはない。アリー 基が2個以上の置換基を有する場合には、そ らは同一でも異なっていてもよい。Aが示す アリール(C 1 -C 6 )アルキレン基におけるアリール部分につい も同様である。Aが示すC 3 -C 15 アルキル基、アリール基、又はアリール(C 1 -C 6 )アルキレン基のうちC 3 -C 15 アルキル基が好ましい。BはAであることが好 しく、BがAである場合には上記に説明したA 好ましい。

 R 2 が-CH 2 OH、-CHO、-CH 2 NH 2 、-CH 2 O-CO-A、又は-CH 2 NH-CO-Bであり、A又はBがC 3 -C 15 アルキル基、好ましくはC 5 -C 11 アルキル基である場合には、R 3 が水素原子又は-CO-Aであることが好ましい(た だし、R 3 が水素原子である場合には、R 2 は-CH 2 O-CO-Aで表される基又は-CH 2 NH-CO-Bで表される基のいずれかである)。この 合、R 1 がD-グルコース残基又はモノリン酸基である とが好ましい。また、R 1 がリン酸基であり、R 2 が-CH 2 OHであってR 1 のリン酸基とR 2 とが結合して環状リン酸基を形成しており、 R 3 が-CO-A(AはC 3 -C 15 アルキル基、好ましくはC 5 -C 11 アルキル基である)であることも好ましい。R 2 及びR 3 の炭素数の合計は5~20個、好ましくは5~17個、 り好ましくは7~13個程度である。

 上記一般式(I)で表される化合物は塩を形 することができる。薬理学的に許容される としては、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩 硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の鉱酸塩、あ いはメタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホ 酸塩、パラトルエンスルホン酸塩、酢酸塩 プロピオン酸塩、酒石酸塩、フマール酸塩 マレイン酸塩、リンゴ酸塩、シュウ酸塩、 ハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、マン ル酸塩、ケイ皮酸塩、乳酸塩等の有機酸塩 挙げることができる。酸性基が存在する場 には、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩 カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム 等の金属塩、又はアンモニウム塩、メチル ンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、 リメチルアンモニウム塩、ジシクロヘキシ アンモニウム塩等のアンモニウム塩を挙げ ことができる。グリシンなどのアミノ酸と を形成する場合もある。

 上記一般式(I)で表される化合物又はその は、水和物又は溶媒和物として存在する場 もある。一般式(I)で表される化合物は1以上 の不斉炭素を有するので、光学活性体やジア ステレオマーなどの立体異性体として存在す る場合がある。純粋な形態の立体異性体、光 学対掌体又はジアステレオマーの任意の混合 物、ラセミ体などはいずれも本発明の範囲に 包含される。

 上記一般式(I)で表される本発明の化合物の ましい例として、例えば、
ピリドキシン-3-β-グルコシド-4'-オクタノイ
ピリドキシン-3-β-グルコシド-5'-オクタノイ
ピリドキシン-3-β-グルコシド-4',5'-ジオクタ イル
ピリドキシン-3-α-グルコシド-4'-オクタノイ
ピリドキシン-3-α-グルコシド-5'-オクタノイ
ピリドキシン-3-α-グルコシド-4',5'-オクタノ ル
ピリドキサール-3-β-グルコシド-5'-オクタノ ル
ピリドキサール-3-α-グルコシド-5'-オクタノ ル
ピリドキサミン-3-β-グルコシド-5'-オクタノ ル
ピリドキサミン-3-β-グルコシド-4',5'-ジオク ノイル
ピリドキサミン-3-α-グルコシド-5'-オクタノ ル
ピリドキサミン-3-α-グルコシド-4',5'-ジオク ノイル
ピリドキシン 3-リン酸-4'-オクタノイル
ピリドキシン 3-リン酸-5'-オクタノイル
ピリドキシン 3-リン酸-4',5'-ジオクタノイル
ピリドキシン 3,4'-環状リン酸-5'-オクタノイ
などを挙げることができるが、本発明の化合 物はこれらの具体例に限定されることはない 。

 本発明の化合物又はその塩を製造するた の原料として利用可能な化合物として、例 ばピリドキシン-3-β-グルコシドやピリドキ ン 3,4'-環状リン酸などを挙げることができ るが、ピリドキシン-3-β-グルコシドは国際公 開WO2005/033123に記載されている方法により容 に製造することができる。本発明の化合物 、上記のグルコシド化合物やリン酸エステ 化合物などを原料として用い、例えば適宜 酸ハライドなどのアシル化剤を反応させる とにより製造することができる。あるいは 肪酸、4-ジメチルアミノピリジン、N-エチル- N'-3-ジメチルアミノプロピルカルボジイミド 酸塩を加えて反応させることによって容易 製造することができる。もっともこれらの 法に限定されるものではない。本明細書の 施例には本発明の化合物又はその塩の製造 法が具体的かつ詳細に説明されている。こ 実施例を参照することにより、必要に応じ 適宜の原料化合物を選択し、さらに必要に じて適宜の修飾ないし改変を加えることに り、当業者は上記一般式(I)に包含される任 の化合物を容易に製造することができる。

 一般式(I)で表される本発明の化合物又は の塩は、安定性に優れたビタミンB6誘導体 して、特に光に対して安定なビタミンB6誘導 体として、医薬、食品、飼料、又は化粧料な どの分野において有用である。例えば、医薬 としてはビタミンB6の投与により予防及び/又 は治療が可能な疾患の予防及び/又は治療の めに投与することができる。例えば、ビタ ンB6欠乏症の予防及び/又は治療、あるいは 炎、胃炎、眼・鼻・口周囲の脂漏性皮膚病 、又は乳児痙攣などの疾患の予防及び/又は 療に用いることができる。また、ビタミンB 6の要求が増大し、食事からの摂取が不充分 場合、例えば、消耗性疾患、妊産婦、授乳 など、経口避妊薬使用時、甲状腺機能亢進 放射線照射、慢性アルコール中毒、抗生物 の投与などの際に補給用の医薬として投与 ることもできる。さらに、ビタミンB6依存性 (依存性貧血又は依存性痙攣など)の治療、ビ ミンB6の欠乏または代謝障害が関与してい と思われる疾患(例えば口角炎、口唇炎、舌 、急・慢性湿疹、接触皮膚炎など)の治療に 有用である。

 また、食品としては、例えば、清涼飲料 、健康志向食品の栄養強化、栄養補助剤(サ プリメント)などの成分として用いることが き、各種飼料においてビタミンB6の強化のた めに用いることができる。化粧料としては、 例えば、頭髪化粧品、皮膚用化粧品、又はひ げそり用化粧品などに添加することができ、 クリーム、溶液、乳液、ローション、パウダ ー、ファンデーション、シャンプー、リンス 、トリートメント又はムースなどの形態の組 成物への配合が好ましいが、一般式(I)で表さ れる化合物又はその塩の用途はこれらの具体 的用途に限定されることはない。特に本発明 の化合物又はその塩は水溶性及び脂溶性のバ ランスがよく、水溶性又は脂溶性を兼ね備え ていることを特徴としており、適度な脂溶性 を有することから高い皮膚透過性及び細胞移 行性を有するとともに、乳化系への配合に加 えて、水溶性も有することから水性基剤を用 いたローションなどへの配合も可能である。 従って、経皮吸収性の医薬又は医薬組成物あ るいは化粧料に配合することができる。医薬 組成物にはヒトの病気の予防、診断、及び治 療に用いられる医薬組成物のほか、いわゆる 医薬部外品、総合ビタミン剤、ヒト以外の哺 乳類動物の病気に用いられる医薬組成物が含 まれる。

 以下、実施例により本発明をさらに具体 に説明するが、本発明の範囲は下記の例に 定されることはない。

例1:ピリドキシン 3,4'-環状リン酸-5'-n-ブチリ ル
 ピリドキシン 3,4'-環状リン酸(7 g、30.3 mmol )を塩化メチレン(70 mL)及びピリジン(4.9 mL、6 0.6 mmol)に懸濁し、氷冷下、酪酸クロライド(3 .3 mL、31.8 mmol)を投入した。室温で16時間撹 後、不溶物をろ去し、ろ液を減圧濃縮した 残渣をカラムクロマトグラム(シリカゲル;150  g、クロロホルム(CHCl 3 ):メタノール(MeOH)=3:1の混合溶媒で溶出)で精 して、無色無定形粉末の表記化合物 (2.4 g 収率26%)を得た。
融点:100~105℃
1 H-NMR (CDCl 3 ) δ ppm; 0.90 (3H, dd, J=6.3Hz), 1.62 (2H, dd, J= 7.5Hz), 2.33 (2H, t, J=7.4Hz), 2.66 (3H, s), 5.09 ( 2H, s), 5.44 (2H, d, J=12.0Hz), 8.18 (1H, s)

例2:ピリドキシン 3,4'-環状リン酸-5'-n-オクタ ノイル
 例1の酪酸クロライドをn-オクタン酸クロラ ドとし、同様な操作で淡黄色無定形粉末の 記化合物 (5.3 g、収率41%)を得た。
融点:170~175℃
1 H-NMR (CD 3 OD) δ ppm; 0.88 (3H, m), 1.29 (8H, m), 1.59 (2H, m), 2.39 (2H, m), 2.65 (3H, s) 5.21 (2H, s), 5.52  (2H, d, J=10.5Hz), 8.36 (1H,s)

例3:ピリドキシン 3,4'-環状リン酸-5'-n-ウンデ カノイル
 例1の酪酸クロライドをn-ウンデカン酸クロ イドとし、同様な操作で淡黄色無定形粉末 表記化合物 (1.2 g、収率13%)を得た。
融点:164~167℃
1 H-NMR (CDCl 3 ) δ ppm; 0.87 (3H, m), 1.27 (14H, m), 1.62 (2H,  m), 2.37 (2H, m), 2.76 (3H, s) 5.09 (2H, s), 5.49 (2H, d, J=12.3Hz), 8.30 (1H,s)

例4:ピリドキシン 3,4'-環状リン酸-5'-パルミ イル
 例1の酪酸クロライドをパルミチン酸クロラ イドとし、同様な操作で淡黄色無定形粉末の 表記化合物 (2.3 g、収率23%)を得た。
融点:161~165℃
1 H-NMR (CDCl 3 ) δ ppm; 0.87 (3H, m), 1.25 (24H, m), 1.62 (2H,  m), 2.37 (2H, m), 2.74 (3H, s), 5.08 (2H, s), 5.48  (2H, d, J=12.6Hz), 8.27 (1H,s)

例5:ピリドキシン 3,4'-環状リン酸-5'-ピバロ ル
 例1の酪酸クロライドをピバリン酸クロライ ドとし、同様な操作で無色無定形粉末の表記 化合物 (0.6 g、収率0.6%)を得た。
融点:220℃以上
1 H-NMR (D 2 O) δ ppm; 1.18 (9H, s), 2.47 (3H, s), 5.13 (2H,  s), 5.42 (2H, d, J=12.3Hz), 8.11 (1H, s)

例6:ピリドキシン 3,4'-環状リン酸-5'-(2-エチ )ヘキサノイル
 例1の酪酸クロライドを2-エチルヘキサノイ クロライドとし、同様な操作で淡黄色油状 の表記化合物 (3.0 g、収率40%)を得た。
1 H-NMR (CDCl 3 ) δ ppm; 0.83 (6H, m), 1.25 (4H, m), 1.54 (4H, m ), 2.33 (1H, m), 2.69 (3H, s), 5.09 (2H, s), 5.48 (2H, m), 8.20 (1H, s)

例7:ピリドキシン 3,4'-環状リン酸-5'-(2-ブチ )オクタノイル
 例1の酪酸クロライドを2-ブチルオクタノイ クロライドとし、同様な操作で淡黄色油状 の表記化合物 (4.0 g、収率45%)を得た。
1 H-NMR (CDCl 3 ) δ ppm; 0.83 (6H, m), 1.22 (12H, m), 1.51 (4H,  m), 2.36 (1H, m), 2.67 (3H, s), 5.06 (2H, s), 5.47  (2H, m), 8.18 (1H, s)

例8:ピリドキシン 3-β-D-グルコシド-5'-n-オク ノイル
 ピリドキシン 3-β-D-グルコシド(10 g、30.2 m mol)をN,N-ジメチルホルムアミド(100 mL)に溶解 、次いで4-ジメチルアミノピリジン(0.7 g、6  mmol)、n-オクタン酸(6 mL、37.7 mmol)を投入し 氷冷下N-エチル-N'-3-ジメチルアミノプロピ カルボジイミド塩酸塩(1.4 g、7.1 mmol)を投入 し、室温で16時間撹拌した。酢酸エチル(1000  mL)中に反応液を投入し、析出物をろ取し酢酸 エチルで洗浄して、淡黄色無定形粉末の表記 化合物 (2.1 g、収率15%)を得た。
融点:153-155℃
1 H-NMR (DMSO-d 6 +D 2 O)δ ppm; 0.87-0.92 (3H, m), 1.28 (8H, m) 1.55-1.6  (2H, m), 2.37 (2H, t, J=9.6Hz), 3.12-3.72 (5H, m),  4.54-4.63 (2H, m), 4.78-4.82 (1H, m), 5.34 (2H, s), 8.27 (1H, s)

例9:ピリドキシン 3-β-D-グルコシド-4',5'-ジ-n- オクタノイル
 例8のろ液、洗液を混合し、減圧濃縮した残 渣をカラムクロマトグラム(シリカゲル;500 g CHCl 3 :MeOH=10:1の混合溶媒で溶出)で精製して、淡黄 無定形粉末の表記化合物 (1.3 g、収率7%)を た。
融点:119-122℃
1 H-NMR (DMSO-d 6 +D 2 O) δ ppm ; 0.88-0.92 (6H, m), 1.29 (16H, m), 1.57 -1.65 (4H, m), 2.31-2.38 (4H, m), 3.06-3.67 (5H, m),  4.55 (1H, d, J=7.5Hz), 5.18 (2H, s), 5.35 (2H, dd , J=23Hz), 8.33 (1H,s)

例10:ピリドキシン 3-β-D-グルコシド-5'-n-ウン デカノイル
 例8のn-オクタン酸をn-ウンデカン酸とし、 様な操作で無色無定形粉末の表記化合物 (1. 3 g、収率17%)を得た。
融点:157-160℃
1 H-NMR (DMSO-d 6 + D 2 O) δ ppm ; 0.88-0.93 (3H, m), 1.28 (14H, m), 1.55 -1.6 (2H, m), 2.39 (2H, t, J=7.2Hz), 3.12-3.73 (5H, m), 4.55-4.68 (2H, m), 4.78-4.83 (1H, m), 5.35 (2H,  s), 8.27 (1H, s)

例11:ピリドキシン 3-β-D-グルコシド-4',5'-ジ-n -ウンデカノイル
 例10のろ液、洗液を混合し、減圧濃縮した 渣をカラムクロマトグラム(シリカゲル;500 g 、CHCl 3 :MeOH=10:1の混合溶媒で溶出)で精製して、淡黄 無定形粉末の表記化合物 (0.3 g、収率3%)を た。
融点:114-116℃
1 H-NMR (DMSO-d 6 +D 2 O) δ ppm ; 0.88-0.90 (6H, m), 1.25 (28H, m),1.55-1 .60 (4H, m), 2.24-2.34 (4H, m), 3.06-3.73 (5H, m),  4.55-4.58 (1H, m), 5.15 (2H, s), 5.37 (2H, dd, J=12 .3Hz), 8.33 (1H, s)

例12:ピリドキシン 3-β-D-グルコシド-5'-パル トイル
 例8のn-オクタン酸をパルミチン酸とし、同 な操作で黄色無定形粉末の表記化合物 (1.3 g、収率9%)を得た。
融点:142-149℃
1 H-NMR (DMSO-d 6 +D 2 O) δppm ; 0.88-0.93 (3H, m), 1.28 (24H, m), 1.58-1 .65 (2H, m), 2.4 (2H, m), 3.12-3.72 (5H, m), 4.55-4 .85 (3H, m), 5.3 (2H, s), 8.28 (1H, s)

例13:ピリドキシン 3-β-D-グルコシド-4',5'-ジ ルミトイル
 例12のろ液、洗液を混合し、減圧濃縮した 渣を減圧濃縮後、残渣をカラムクロマトグ ム(シリカゲル;500 g、CHCl 3 :MeOH=10:1の混合溶媒で溶出)で精製して、淡黄 無定形粉末の表記化合物 (0.7 g、収率4%)を た。
融点:100-103℃
1 H-NMR (DMSO-d 6 +D 2 O) δ ppm ; 0.89-0.93 (6H, m), 1.29 (24H, m), 1.56  (4H, m), 2.32-2.37 (4H, m), 3.17-3.67 (5H, m), 4.5 5-4.57 (1H, m), 5.18 (2H, s), 5.35 (2H, dd, J=23Hz) , 8.34 (1H,s)

例14:ピリドキサール 3-β-D-グルコシド-5'-n-オ クタノイル
 ピリドキサール 3-β-D-グルコシド(3.0 g、9.1  mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(30 mL)及び リジン(1.5 mL, 18.2 mmol)に溶解し、氷冷下、n -オクタン酸クロライド(1.9 mL、18.2 mmol)を加 、室温で24時間撹拌した。反応液を酢酸エ ル(300 ml)に希釈後、飽和食塩水で洗浄した 有機層を無水MgSO 4 乾燥、減圧濃縮後、残渣をカラムクロマトグ ラム(シリカゲル;150 g、CHCl 3 :MeOH=10:1の混合溶媒で溶出)で精製して、白色 定形粉末の表記化合物(0.6 g、収率14%)を得 。
融点:75-78℃
1 H-NMR (DMSO-d 6 ) δ ppm ; 0.84 (3H, m), 1.21 (8H, m), 2.25 (2H, m), 2.45-2.55 (3H, m), 3.0-3.5 (5H, m), 3.6-3.8 (1H , m), 4.6-5.5 (7H, m), 6.5-6.6 (1H, m), 6.84 (0.4H,  d, J=6.6Hz), 6.98 (0.6H, d, J=7.0Hz), 8.05 (0.6H,  s), 8.20 (0.4H, s)

例15:4'-tert-ブチルオキシカルボニル-ピリドキ サミン 3-β-D-グルコシド-5'-n-オクタノイル
a) 3-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラ ノシル)- 4'-tert-ブチルオキシカルボニル-ピ ドキサミン
 3-(2,3,4,6-テトラ-O-アセチル-β-D-グルコピラ シル)-ピリドキサミン酢酸塩(38.6 g、62.4 mmol )を水(200 mL)に溶解後、氷冷し28%水酸化ナト ウム水溶液にて中和した。次いでアセトン(2 00 mL)を投入し析出物を溶解した後に、ジ ter t-ブチルオキシカルボニル(15 g、68.6 mmol)の セトン溶液を加え、室温で1時間撹拌した。 セトンを減圧留去後、酢酸エチル(300 mL)で 出し、無水MgSO 4 乾燥後、溶媒を減圧留去し、残渣にジエチル エーテルを加え、析出した固体をろ取し、ジ エチルエーテルで洗浄して、淡黄色無定形粉 末の表記化合物(29.8 g、79%)を得た。
1 H-NMR(CDCl 3 ) δppm; 1.41 (9H, s), 2.01-2.15 (12H, m), 2.53 (3H , s), 3.5-3.7 (1H, m), 4.03-5.55 (12H, m), 8.32 (1H , s)

b) 4'-tert-ブチルオキシカルボニル-ピリドキ ミン 3-β-D-グルコシド
 例15-a)の化合物(29.7 g、49.5 mmol)をメタノー (300 mL)と水(30 mL)に溶解し、氷冷攪拌下、 酸化カリウム(3.2 g、49.5 mmol)を水(32 mL)に溶 解したものを加え、室温で15分間撹拌した。 料の消失を確認後、6 mol/L 塩酸で中和し、 減圧濃縮し、残渣を水(50 mL)に溶解し、カラ クロマトグラム(SP207 ; 500 mL、水からメタ ールで溶出)で精製し、得られた油状物をジ エチルエーテルで固化して無色無定形粉末の 表記化合物(21.3g、収率100%)を得た。
1 H-NMR (CD 3 OD) δppm ; 1.31 (9H, s), 2,46 (3H, s), 3.08-3.75  (5H, m), 4.27-4.76 (5H, m), 8.16 (1H, s)

c) 4'-tert-ブチルオキシカルボニル-ピリドキ ミン-3-β-D-グルコシド-5'-n-オクタノイル
 例15-b)の化合物(10.0 g、23.2 mmol)をN,N-ジメチ ルホルムアミド(100 mL)に溶解し、氷冷下、ト リエチルアミン(9.7 mL、69.7 mmol)及びn-オクタ ン酸クロライド(6 mL, 34.8 mmol)を加え、室温 て6時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(1000 ml)に希釈後、飽和食塩水で洗浄した。有機 を無水MgSO 4 乾燥、減圧濃縮後、残渣をカラムクロマトグ ラム(シリカゲル;600 g、CHCl 3 :MeOH=10:1の混合溶媒で溶出)で精製して、淡黄 無定形粉末の表記化合物(5.7 g、収率44%)を た。
融点:105-110℃
1 H-NMR (CD 3 OD) δppm ; 0.86-0.92 (3H, m), 1.28 (9H, s), 1.41  (8H, m), 1.58-1.63 (2H, m), 2.36 (2H, t, J=12.3Hz), 2.60 (3H, s), 3.18-3.86 (5H, m), 4.39-4.95 (3H, m),  5.24 (2H, d, J=5.7Hz), 8.22(1H, s)

例16:ピリドキサミン 3-β-D-グルコシド-5'-n-オ クタノイル
例15-c)の化合物(5.6 g、10.1 mmol)を氷冷し、4 m ol/L塩酸/ジオキサン溶液(56 mL)を投入した。 温で30分間撹拌後、酢酸エチル(560 mL)中へ反 応液を投入し、室温で30分間撹拌後、析出物 ろ取し、酢酸エチルで洗浄して、淡黄色無 形粉末の表記化合物(5.1g、収率95%)を得た。
融点:91-96℃
1 H-NMR (DMSO-d 6 +D 2 O) δ ppm ; 0.84-0.89 (3H, m), 1.25 (8H, m), 1.53 (3H, m), 2.34-2.39 (2H,m), 2.68-2.71 (3H, m), 2.45-2 .55 (3H, m), 3.03-3.68 (5H, m), 4.19-4.33 (2H, m),  4.81-4.82 (1H, d, J=3.6Hz), 5.24-5.35 (2H, m), 8.47  (1H, s)

例17:ピリドキサミン 3-β-D-グルコシド-4',5'- -n-オクタノイル
 例16の化合物(2.5 g、4.7 mmol)をN,N-ジメチル ルムアミド(25 mL)に溶解し、氷冷下、トリエ チルアミン(1.3 ml、9.4 mmol)を投入した。次い で1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(1.0 g、7.1  mmol)、n-オクタン酸(0.9 mL、5.7 mmol)、N-エチ -N'-3-ジメチルアミノプロピルカルボジイミ 塩酸塩(1.4 g、7.1 mmol)を投入し、室温で16時 間撹拌後、酢酸エチル(250 mL)中に反応液を投 入し、析出物をろ取し、酢酸エチルで洗浄し て、淡黄色無定形粉末の表記化合物(0.9 g、 率33%)を得た。
融点:105-110℃
1 H-NMR (DMSO-d 6 +D 2 O) δppm ; 0.86-0.91 (6H, m), 1.26 (16H, m), 1.48-1 .58 (4H, m), 2.13 (2H, t, J=7.4Hz), 2.34 (2H, t, J =0.8Hz), 3.08-3.52 (5H, m), 3.76-3.80 (1H, m), 4.30-4 .35 (1H, m), 4.65 (1H, d, J=7.5Hz), 4.73 (1H, d, J =13.8Hz), 5.11 (2H, dd, J=12.8Hz), 8.25 (1H, s)

試験例1
 例2で得たピリドキシン 3,4'-環状リン酸-5'-n -オクタノイルの0.5%(w/v)水溶液(pH 6.7)0.3 mLを1  mL容ガラスアンプルに封入し、D65蛍光ラン (東芝)を20日間、照射した。照射は室温で行 、照度は13,000 Lxとした。照射前、照射10日 、照射20日後のサンプルをHPLCで分析し、ピ ドキシン 3,4'-環状リン酸-5'-オクタノイル 量を測定した。結果を表1に示す。ピリドキ ン 3,4'-環状リン酸(対照化合物1)同様、例2 化合物は20日間ランプ照射しても分解が見ら れず、光安定性が維持していることがわかっ た。

試験例2
 上記実施例で得られた化合物のLogP値を日本 工業規格Z7260-107(2000)「分配係数(1-オクタノー ル/水)の測定-フラスコ振とう法」により測定 した。対照化合物として、ピリドキシン 3,4' -環状リン酸(対照化合物1)、ピリドキシン 3- -D-グルコシド(対照化合物2)、ピリドキサー  3-β-D-グルコシド(対照化合物3)、ピリドキ ミン 3-β-D-グルコシド(対照化合物4)も測定 た。結果を表2に示す。何れも対照化合物と 較して、分配係数が向上していた。

試験例3
 上記実施例で得られた化合物の水溶性を測 した。試験例2の対照化合物1~4に加え、ジカ プリル酸ピリドキシン(対照化合物5、日光ケ カルズ製)、ジパルミチン酸ピリドキシン( 照化合物6、日光ケミカルズ製)も測定した。 対照化合物1及び例1~7についてはナトリウム で測定を行い、対照化合物2~6及び例8~17につ ては塩酸塩で測定を行った。結果を表3に示 す。本発明の化合物はいずれも対照化合物5 び6よりも高い水溶性を示した。

試験例4
 ヒト皮膚線維芽細胞(NB1-RGB)をαMEM培地(MP Bio medical、10%牛胎児血清を含む)を入れた100 mmデ ィッシュに播種し、CO 2 インキュベータ内37℃で培養した。ピリドキ ン 3,4'-環状リン酸(対照化合物1)又は例2で たピリドキシン 3,4'-環状リン酸-5'-オクタノ イル0.5 mMを含むαMEM培地(10%牛胎児血清を含 )に入れ替え、4時間または2日間 CO 2 インキュベータ内37℃で培養した。培地を除 、細胞を冷却したリン酸緩衝液を含有する 理食塩水で3回洗い、1 mol/L 水酸化ナトリ ム溶液600μLで細胞を溶解させ、6 mol/L 塩酸 中和した。この液150μLをねじ口試験管に入 、3 mol/L硫酸30μLを加え、121℃で30分加熱し 。6 mol/L 水酸化ナトリウム溶液で中和し、 遠心分離して、メンブランフィルターでろ過 しサンプルとした。これを蛍光検出器のつい たHPLCにインジェクトしてサンプル中の総ピ ドキシン量(遊離ピリドキシンとピリドキシ 誘導体をすべて加水分解したものの合計)を 求めた。試料を入れない培地で培養した細胞 で同様の操作をおこなったがサンプル中にピ リドキシンは検出されなかった。サンプル中 のタンパク量を測定し、ピリドキシン量をタ ンパク量で割り、細胞中への取り込み量(nmol/ mgタンパク)とした。結果を表4に示す。本発 の化合物において明らかな細胞取り込み量 増大が認められた。